JP2020010678A - 美白剤のスクリーニング方法、製剤、及び、線維形成阻害剤 - Google Patents

美白剤のスクリーニング方法、製剤、及び、線維形成阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な美白剤のスクリーニング方法、及び、上記美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤を提供すること、並びに、新規な線維形成阻害剤を提供すること。【解決手段】メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認すること、を含む、美白剤のスクリーニング方法、及び、上記美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤、並びに、オリザノールを含む線維形成阻害剤。【選択図】なし

Description

本開示は、美白剤のスクリーニング方法、製剤、及び、線維形成阻害剤に関する。
メラニンは、ヒトを含む動物、植物、原生動物、また一部の菌類、真正細菌において形成される色素である。脊椎動物では、メラニンの大半が皮膚の表皮最下層の基底層や毛髪の毛母などにあるメラノサイト(色素細胞)で生成され、一部は網膜色素上皮細胞で生成される。
メラノサイト内では、メラノソームと呼ばれる顆粒中でメラニンが合成され、その後、
メラノソームは、周囲のケラチノサイト(表皮細胞)へ輸送される。メラニンは、細胞核のDNAを破壊する紫外線を吸収し、皮膚ガンのリスクを減らす、医学上重要な因子である。しかしながら、皮膚内でメラニンが過剰に生成され、クスミ、シミ、ソバカスなどが発生する場合もある。
上記クスミ、シミ、ソバカス等の抑制のため、様々な美白剤を含む製剤が開発されている。また、上記美白剤を含む製剤の開発において、美白剤を探索するための美白剤のスクリーニング方法としても、様々な方法が行われている。
例えば、特許文献1には、脂化メラニン産生抑制作用を指標とする、美白剤のスクリーニング方法が記載されている。
特許文献2には、線維芽細胞を用いることを特徴とする美白成分のスクリーニング方法
が記載されている。
非特許文献1には、βセクレターゼの一種であるBACE2によるPMELタンパクの分解がメラニン生成と関連していることが記載されている。
特開2014−048235号公報 特開2015−204780号公報
BACE2 processes PMEL to form the melanosome amyloid matrix in pigment cells.,Rochin L et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2013 Jun 25;110(26):10658-63.
ここで、現在知られている美白剤としては、メラニン生合成を阻害する物質、メラニン生合成を促す情報伝達物質を抑制する物質などが挙げられる。
特許文献1又は2には、それぞれ美白剤のスクリーニング方法が記載されている。しかし、メラニン生合成等の、クスミ、シミ、ソバカス等が発生するメカニズムにはいまだ不明な点も多く、美白剤の探索においては、特許文献1又は2に記載のスクリーニング方法のみでは不十分であり、更なる新規なスクリーニング方法の開発が求められている。
また非特許文献1には、色素細胞におけるBACE2という酵素とメラニン生成についての関連性は示唆されているものの、美白剤のスクリーニング方法については一切の記載がない。
本開示に係る実施形態が解決しようとする課題は、新規な美白剤のスクリーニング方法、及び、上記美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤を提供することである。
また、本開示に係る別の実施形態が解決しようとする課題は、新規な線維形成阻害剤を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認すること、を含む
美白剤のスクリーニング方法。
<2> 上記切断状態を確認する方法が、PMEL−Mβフラグメントの定量である、上記<1>に記載の美白剤のスクリーニング方法。
<3> 上記細胞が、ヒト正常細胞である、上記<1>又は<2>に記載の美白剤のスクリーニング方法。
<4> 上記切断状態を確認することの前に、上記細胞に被験物質を付与することを更に含む、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の美白剤のスクリーニング方法。
<5> 被験物質によるβセクレターゼの阻害活性を測定すること、を含む
美白剤のスクリーニング方法。
<6> 上記βセクレターゼが、BACE2である、上記<5>に記載の美白剤のスクリーニング方法。
<7> 上記被験物質が、チロシナーゼ阻害活性を有しない、上記<4>〜<6>のいずれか1つに記載の美白剤のスクリーニング方法。
<8> 細胞におけるメラニン産生量を測定することを更に含む、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の美白剤のスクリーニング方法。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤。
<10> 皮膚外用剤である、上記<9>に記載の製剤。
<11> オリザノールを含む線維形成阻害剤。
本開示に係る実施形態によれば、新規な美白剤のスクリーニング方法、及び、上記美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤を提供することができる。
また、本開示に係る別の実施形態によれば、新規な線維形成阻害剤を提供することができる。
PMELタンパクの一部により線維が形成される推測メカニズムの概略説明図である。 BACE阻害剤を用いた場合の切断状態確認工程の結果を示すグラフである。 BACE阻害剤を用いた場合のメラニン産生抑制効果を示すグラフである。 オリザノールを用いた場合の阻害活性測定工程の結果を示すグラフである。 オリザノールを用いた場合のメラニン産生抑制効果を示すグラフである。 BACE阻害剤を用いた場合のメラノソームの透過型電子顕微鏡観察結果を示す写真である。 皮膚モデルにおけるBACE阻害のメラニン産生抑制効果を示すグラフである。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、組成物の各成分の量は、各成分に該当する物質が層中に複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
なお、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(美白剤のスクリーニング方法)
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認すること(切断状態確認工程)、を含む。
また、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様は、被験物質によるβセクレターゼの阻害活性を測定すること(阻害活性測定工程)、を含む。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法は、新規な美白剤のスクリーニング方法である。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態に着目したものである。
本開示において、PMELタンパクのβ部位とは、PMELタンパクにおけるβ−セクレターゼ酵素(β部位切断酵素)により切断される部位をいい、後述するギャップドメイン2(GAP2)に含まれる部位であると考えられる。
また、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様は、メラニン産生能を有する細胞におけるβセクレターゼの阻害活性に着目したものである。
本発明者等は、クスミ、シミ、ソバカス等の形成は、例えば下記ステージI〜ステージIVの4つのステージを経て進行すると推定している。
ステージI:メラニン産生能を有する細胞(例えば、メラノサイト)内でゴルジ体から小胞が形成され、上記小胞の一部がメラノソームとなる。
ステージII:βセクレターゼ等の酵素によりPMELタンパクが切断され、上記メラノソームにおいて切断されたPMELタンパクの一部により線維が形成される。
ステージIII:上記線維上でチロシナーゼによるメラニン合成が開始される。
ステージIV:生成されたメラニンがケラチノサイト等へ輸送される。
ここで、PMELタンパクとは、PMEL17、gp100、silver(SILV)等とも呼ばれる上記メラノソームの膜タンパクである。
しかし、例えばβセクレターゼの活性が上昇した場合には、上記PMELタンパクはメラニン産生細胞内のβ部位において切断され、切断されたPMELタンパクの一部が更なる切断等を受ける。さらに、上記切断後のPMELタンパクがチロシナーゼによるメラニンが蓄積される足場のような役割を果たし、メラノソーム内で上記線維が形成されると考えられる。
上記βセクレターゼの活性が向上する原因としては、紫外線の照射、加齢等が考えられるが、定かではない。
上記メカニズムを鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認することにより、美白剤のスクリーニング方法において、新たな判断基準を提供することができることを見出し、本開示に係る方法を完成するに至った。
また、同様に、本発明者らが鋭意検討した結果、被験物質によるβセクレターゼの阻害活性を測定することにより、美白剤のスクリーニング方法において、新たな判断基準を提供することができることを見出し、本開示に係る方法を完成するに至った。
例えば、ある化合物を上記細胞に付与することにより、PMELタンパクのβ部位の切断が抑制される、又は、βセクレターゼの活性が抑制される場合には、例えば上記推測メカニズムにおいては、上述のメラニンが蓄積される足場としての役割を果たしうるPMELタンパクのフラグメントの発生が抑制され、続くチロシナーゼによるメラニン合成等も抑制されるという機序により、クスミ、シミ、ソバカス等の形成も抑制され、美白剤として有用であることが推測される。
すなわち、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様又は第二の態様によれば、例えば、従来のチロシナーゼ活性阻害による美白剤、上述の特許文献1又は特許文献2に記載の美白剤等とは異なる、新たな作用機序を有する美白剤をスクリーニング可能であると考えられる。すなわち、例えば従来の美白剤(例えば、チロシナーゼ阻害活性を有する美白剤等)と、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法によりスクリーニングされた美白剤と、を組み合わせることにより、更なる美白効果を奏する美白剤が提供できる可能性がある。
また、現時点では上記PMELタンパクのβ部位の切断、又は、上記βセクレターゼの活性化が引き起こされる原因は明確ではないが、今後これらが引き起こされる原因が解明された場合には、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法により、従来の美白剤とは、生体への付与のタイミング、付与方法、付与量等、適用対象又は用途が異なる美白剤を提供できる可能性がある。
以下、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様又は第二の態様の詳細について説明する。
<第一の態様>
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認することを含む。
〔切断状態確認工程〕
切断状態確認工程においては、上記β部位が切断されていることが確認可能な評価系であれば、特に制限なく用いることが可能である。
例えば、上記細胞に対し、後述する被験物質の付与等を行い、上記β部位の切断が抑制される場合に、被験物質は美白剤として有用である、又は、上記β部位の切断が抑制されない場合に、被験物質(又は、被験物質の投与量等)は美白剤として不適当である可能性があるとそれぞれ判定することができる。
図1に、上述のステージIIにおける、PMELタンパクの一部により線維が形成される推測メカニズムの概略説明図を記載する。
図1(A)は、メラノソーム膜100に存在するPMELタンパク10Aの一例を示している。
PMELタンパク10Aにおいて、CはC末端側を示し、NはN末端側を示している。
また、メラノソーム膜100における、PMELタンパク10AのC末端側が細胞質側であり、N末端側がメラノソーム内部側である。
PMELタンパク10Aは、シグナルペプチドドメイン12と、N末端ドメイン(NTD)14と、多発性嚢胞腎疾患様ドメイン(polycystic kidney disease-like domain、PKD)16と、ギャップドメイン1(GAP1)18と、プロリン/セリン/トレオニンリッチリピートドメイン(proline/serine/threonine-rich repeat domain、RPT)20と、ギャップドメイン2(GAP2)22と、クリングル様ドメイン(kringle-like domain、KLD)24と、ギャップドメイン3(GAP3)26と、膜貫通ドメイン(transmembrane domain、TM)28と、C末端ドメイン(CTD)30と、を有する。また、ジスルフィド結合32は、PMELタンパク10におけるNTD14とKLD24との間に存在する結合である。
GAP2 22にはKex2プロテアーゼによる開裂部位34が存在し、上記開裂部位34よりもN末端側であり、GAP2 22の一部と、RPT 20と、GAP1 18と、PKD 16と、NTD 14とを含む領域をMα領域と、上記開裂部位34よりもC末端側であり、GAP2 22の一部と、KLD 24と、GAP3 26と、TM 28と、CTD 30とを含む領域をMβ領域という。また、本開示において、Mα領域からなるフラグメント(図1(C)におけるN末端側のフラグメント)をPMEL−Mαフラグメントと、Mβ領域からなるフラグメント(図1(C)におけるC末端側のフラグメント)をPMEL−Mβフラグメントともいう。
図1(B)に示すように、メラノソーム内でシグナルペプチドドメイン12が一旦切断されると、プロタンパク質転換酵素(proprotein convertase)によりGAP2 22における開裂部位34において切断されると考えられる。
その後、図1(C)に示すようにβセクレターゼ(例えば、BACE2)等の酵素によりGAP3 26における破線36で示した部位(β部位)が切断されると考えられる。
上記β部位の切断後に、図1(D)に示すようにβ部位の切断後のPMELタンパク10B及び10Cは破線38、40、及び、42に示す部位で切断され、フラグメント44、46、48、50及び52に分解されると推測される。これらのフラグメントのうち、フラグメント46及び/又は48が上述のメラニンが蓄積される足場としての役割を果たしうる線維を形成すると推測されるが、定かではない。
上記切断状態を確認する方法の一例としては、β部位において切断される前のPMELタンパクのフラグメントの量を測定(定量)する方法が挙げられる。
β部位において切断される前のPMELタンパクのフラグメントの量が多いほど、上述のメラニンが蓄積される足場としての役割を果たしうる線維の形成は抑制され、美白剤として有用であると考えられる。
上記β部位において切断される前のPMELタンパクのフラグメントとしては、特に限定されないが、例えば図1(C)におけるβ部位切断前のMβフラグメント(PMEL−Mβフラグメント)が挙げられる。
具体的には、上記切断状態は、例えば後述する被験物質の付与後の上記細胞におけるPMEL−Mβフラグメントの量(タンパク量A)を基に評価することができ、上記被験物質の付与を行わない場合の、上記細胞におけるPMEL−Mβフラグメントの量(タンパク量B)と、上記タンパク量Aとを比較することにより評価することが好ましい。また、公知のβセクレターゼの阻害剤が付与された細胞におけるPMEL−Mβフラグメントのタンパク量を測定し、タンパク量A(及び、必要に応じてタンパク量B)と更に比較して評価してもよい。
すなわち、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様における切断状態を確認する方法は、PMEL−Mβフラグメントの定量であることが好ましい。
一例としては、上記タンパク量Aと上記タンパク量Bをそれぞれn=3以上で測定し、タンパク量Aについての標本群とタンパク量Bについての標本群において、タンパク量Aについての各標本値の平均値が、タンパク量Bについての各標本値の平均値よりも大きく、かつ、各群に対してスチューデントのt検定を行った場合に帰無仮説が有意水準5%(好ましくは1%)で棄却される場合に、切断が抑制されており、上記被験物質は美白剤として有用な可能性が有ると判定することができる。上記スチューデントのt検定のような統計解析処理方法については、特に限定されず、公知の方法から適切なものを選択して行えばよい。なお、n数については適宜変更することができる。
上記切断状態を確認する方法の別の一例としては、β部位において切断された後のPMELタンパクのフラグメントの量を測定(定量)する方法が挙げられる。
タンパク量Bの測定におけるβ部位が切断された後のPMELタンパクのフラグメントとしては、特に限定されず、PMELタンパクのβ部位が切断されたPMELタンパクの配列における任意のフラグメントを測定すればよいが、例えば図1Dにおけるβ部位切断後のタンパク10B、10C、フラグメント44、46、48、50又は52で表されるタンパク等が挙げられる。
これらのタンパクの中でも、例えば、CTFフラグメント(タンパク10C)、HMB45フラグメント(フラグメント44、46、48及び/又は50)を定量することが好ましい。
ここで、本開示において、上記細胞におけるタンパク量の測定は、例えば公知のSDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)等により行えばよい。細胞中に含まれるタンパクが上述の各フラグメントであることは、例えば、結合する抗体、タンパクの分子量等により確認することが可能である。
その他、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(Matrix-assisted laser desorption/ionization- time of flight mass spectrometry:MALDI-TOF MS)等の質量分析、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)、生検により得られた試料に対する公知の免疫染色法等によりPMELタンパクにおけるβ部位の切断状態を確認してもよい。
−細胞−
上記切断状態確認工程において用いられる細胞は、メラニン産生能を有する限り特に限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、サル等の哺乳動物細胞であることが好ましく、ヒト細胞であることがより好ましい。
また、上記細胞は、正常細胞であってもガン細胞であってもよい。
例えば、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様をヒトに用いるための美白剤のスクリーニングとして用いる観点からは、実際に美白剤として用いる環境をより正確に近く再現できるためヒト正常細胞を用いることが好ましく挙げられる。
また、上記細胞としては、由来する組織や、分化の状態は特に限定されないが、入手容易性の観点から、メラノーマ又はヒト色素細胞(メラノサイト)が好ましい。特に、実際に美白剤として用いる環境をより正確に近く再現できる観点からは、正常ヒト表皮メラノサイトがより好ましい。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様においては、細胞を含む系を特に制限なく使用することが可能であり、例えば、生体、組織、細胞培養系等を用いればよいが、実験の簡便さの観点からは、細胞培養系を用いることが好ましい。
上記細胞培養系としては、細胞を1種単独で含む細胞培養系、又は2種以上の細胞を含む共培養系等が特に制限なく用いられ、例えば、細胞を単層に播種して作製した単層培養系、皮膚の3次元モデルを構築したモデル培養系等の公知の培養系を特に制限なく用いることができるが、実験の簡便さの観点からは、単層培養系を用いることが好ましい。
上記細胞培養系における培養細胞としては、正常細胞である場合、初代培養細胞及び第2代以降の株細胞のいずれであってもよく、継代数については特に制限なく用いることができる。一般的には、継代数が15以下である株細胞であることが好ましい。
その他、詳細な培養方法等については、公知の方法を特に制限なく用いることができる。
〔被験物質付与工程〕
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様においては、上記切断状態確認工程の前に、被験物質を付与すること(被験物質付与工程)を含むことが好ましい。
上記被験物質は美白剤の候補として考えられる物質であり、例えば、上記切断状態確認工程においてβ部位の切断が抑制される場合に、上記被験物質は美白剤として有用である可能性があると判断される。
また被験物質付与工程においては、被験物質を1種単独で付与してもよいし、2種以上を併用してもよい。
被験物質の付与方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよい。
例えば、生体、組織等への塗布、細胞培養系における培地への添加(必要に応じてDMSO(ジメチルスルホキシド)等の溶剤を用いてもよい。)等の方法が考えられる。
被験物質の付与濃度、付与タイミング、付与方法等は、用いる被験物質の物性、被験物質の生体等への毒性、付与対象の種類等を考慮して適宜設定すればよい。例えば本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様を、付与濃度、付与タイミング、付与方法等を変更した複数の群を用いて行うことにより、適切な付与濃度、付与タイミング、付与方法等を推定するために用いてもよい。
本開示に係る被験物質として、チロシナーゼ阻害活性を有しないもの、すなわち、チロシナーゼ阻害活性を有することが一般的に知られていないもの、又は、公知のスクリーニング方法を用いてチロシナーゼ阻害活性の有無が判断できないものを用いてもよい。
美白剤としては、チロシナーゼ阻害活性を有する化合物等が既に知られているが、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様によれば、チロシナーゼの阻害活性を有しない被験物質であっても、新たな作用機序による美白剤として有用な被験物質を発見することが可能となると考えられる。
〔メラニン産生量変化工程〕
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、上記細胞におけるメラニン産生量を変化させること(メラニン産生量変化工程)を更に行ってもよい。
例えば、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様において、メラニン産生細胞に対し、上記被験物質を付与した後、又は、付与しながら、紫外線照射を行ってメラニンの産生を亢進すること等が考えられる。
また、例えば培養細胞に対し、メラニンの産生量を増加する化合物を事前に付与する、及び/又は付与しながら、上記被験物質の付与を行ってもよい。このようなメラニン産生量を増加する化合物としては、特に限定されないが、インシュリン、トランスフェリン、環状アデノシン一リン酸(cAMP:サイクリックAMP)等が挙げられる。
その他、例えばチロシナーゼ活性を抑制する化合物を被験物質の付与前又は付与と同時に付与するなど、メラニン産生量を抑制しながら本開示に係る美白剤のスクリーニング方法を行ってもよい。
メラニンの産生量を変化させる方法としては、特に限定されないが、公知の化合物の付与、過酸化水素等の酸化剤を用いた酸化ストレスの付与、紫外線の照射等の、美白剤のスクリーニング分野において公知の方法を特に制限なく用いることができる。
〔メラニン産生量測定工程〕
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、細胞におけるメラニン産生量を測定すること(メラニン産生量測定工程)を更に含んでもよい。
メラニン産生量測定工程において用いられる細胞は、上述の切断状態確認工程における細胞と同種の細胞であってもよいし、別種の細胞であってもよい。
メラニン産生量測定工程において用いられる細胞の好ましい態様は、上述の切断状態確認工程における細胞の好ましい態様と同様である。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様が、メラニン産生量測定工程を更に含むことにより、美白剤として有用であるか否かの判定基準を追加することが可能となり、美白剤として有用な化合物のスクリーニングの精度が向上する場合がある。
メラニン産生量の測定方法としては、特に制限なく公知の方法を用いることが可能となる。
〔その他の工程〕
その他、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、後述する第二の態様における阻害活性測定工程を更に含んでもよい。
その他、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様は、上述のPMELタンパクのβ部位の切断の抑制という機構とは異なる機構を示す美白剤のスクリーニング方法等を更に含んでもよい。例えば、メラニン産生に関わる遺伝子(例えばMITF(Microphthalmia-associated transcription factor)遺伝子等)の活性検査、メラニンの排出(ターンオーバー)又は分解に寄与する活性測定等が挙げられる。
例えば、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様により得られた、PMELタンパクのβ部位の切断が抑制される化合物と、メラニン産生に関わる遺伝子の発現を抑制する化合物と、を併用することにより、美白作用の強い製剤が得られる可能性があると考えられる。
また、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様により得られた、PMELタンパクのβ部位の切断が抑制される化合物と、メラニンの排出又は分解を促進する化合物と、を併用することにより、美白作用の強い製剤が得られる可能性があると考えられる。
このような化合物としては、特許第05530875号公報、特許第05635932号公報、特許06121199号公報、特許第06026785号公報、特開2015−051931号公報、特開2015−010071号公報、特開2015−010070号公報、特開2014−210825号公報に記載の化合物が例として挙げられる。
<第二の態様>
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様は、被験物質によるβセクレターゼの阻害活性を測定すること、を含む。
〔阻害活性測定工程〕
阻害活性測定工程においては、βセクレターゼの活性が阻害されていることを確認可能な評価系を、特に制限なく用いることが可能である。
例えば、被験物質と、βセクレターゼと、βセクレターゼの基質との混合を行い、βセクレターゼの活性が阻害される場合に、被験物質は美白剤として有用であると、又は、βセクレターゼの活性が阻害されない又は阻害の程度が低い場合に、被験物質(又は、被験物質の投与量等)は美白剤として不適当である可能性があるとそれぞれ判定することができる。
被験物質としては、上述の第一の態様における被験物質付与工程における被験物質を用いることが好ましい。
被験物質によりβセクレターゼの活性が阻害される場合、上記被験物質を細胞へと付加した場合には、上述の図1(C)において示したβ部位のタンパクの切断が抑制されると考えられる。その結果、図1(D)に示したフラグメント46及び/又は48等の発生が抑制されるため、上述のメラニンが蓄積される足場としての役割を果たしうる線維の形成が抑制され、シミ、クスミ、ソバカス等の発生が抑制されると推測されるが、定かではない。
ここで、本開示におけるβセクレターゼとは、PMELタンパクの上記ギャップドメイン2の少なくとも1か所を切断する酵素をいい、アミロイドβ前駆体蛋白質(APP)を切断する酵素として知られているBACE1は、PMELタンパクのβ部位の切断への関与は薄いと考えられるため、本開示におけるβセクレターゼには含まれないものとする。
現時点で知られているPMELタンパクのβ部位を切断する酵素としては、BACE2が挙げられる。
すなわち、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様において活性が測定されるβセクレターゼは、BACE2であることが好ましい。
ただし、将来的に他のPMELタンパクのβ部位を切断する酵素が発見された場合には、上記酵素もPMELタンパクのβ部位を切断する限り、本開示におけるβセクレターゼに含まれるものとする。
また、上記BACE2としては、PMELタンパクのβ部位を切断する酵素であれば、リコンビナントタンパクを用いてもよい。
上記リコンビナントタンパクは、例えば、βセクレターゼの安定性、溶解性等の特性の向上等を目的として用いられる場合がある。
なお、βセクレターゼの由来は特に制限なく、細胞を経由して合成されたものであっても、市販されている試薬であってもよい。スクリーニング方法をより簡便に行う観点からは、試薬であることが好ましい。
βセクレターゼの活性の測定方法としては、特に限定なく公知の方法が用いられる。
一例としては、βセクレターゼを含む試料に対し、SensoLyte520 BACE2 Activity Assay Kit(フナコシ(株)製)等を用いることにより測定する方法が挙げられる。
具体的には、被験物質及びβセクレターゼ(BACE2等)を含む試料に対し、βセクレターゼにより切断されると蛍光を発するFRET基質を作用させて切断の有無を判定する方法、リコンビナントPMELタンパク等のβセクレターゼにより切断されるタンパクを作用させた後に、発生するフラグメント量をSDS−PAGE等の公知の方法により測定する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
また、上記活性の阻害は、例えば上述の被験物質が存在する場合のβセクレターゼの活性(活性A)を基に評価することができ、上記被験物質が存在しない場合の、βセクレターゼの活性(活性B)と、上記活性Aとを比較することにより評価することが好ましい。
また、公知のBACE2阻害剤等のβセクレターゼ阻害剤が存在する場合のβセクレターゼの活性等と比較して評価してもよい。
一例としては、上記活性Aと上記活性Bをそれぞれn=3以上で測定し、活性Aについての標本群と活性Bについての標本群において、活性Aについての各標本値の平均値が、活性Bについての各標本値の平均値よりも小さく、かつ、各群に対してスチューデントのt検定を行った場合に帰無仮説が有意水準5%(好ましくは1%)で棄却される場合に、切断が抑制されており、上記被験物質は美白剤として有用な可能性が有ると判定することができる。上記スチューデントのt検定のような統計解析処理方法については、特に限定されず、公知の方法から適切なものを選択して行えばよい。なお、n数については適宜変更することができる。
〔被験物質付与工程、メラニン産生量変化工程、メラニン産生量測定工程、及び、その他の工程〕
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様は、更に細胞を用いる工程を含んでもよい。
細胞を用いる工程としては、被験物質付与工程、メラニン産生量変化工程、メラニン産生量測定工程、及び、その他の工程よりなる群から選ばれた少なくとも1つの工程を更に含んでもよい。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様における、被験物質付与工程、メラニン産生量変化工程、メラニン産生量測定工程、及び、その他の工程はそれぞれ、上述した本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様におけるこれらの工程と同義である。具体的には、上述のそれぞれの工程の説明における「美白剤のスクリーニング方法の第一の態様」の記載を「美白剤のスクリーニング方法の第二の態様」と読み替えた工程を含むことができる。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様は、細胞におけるメラニン産生量を測定すること(メラニン産生量測定工程)を更に含むことが好ましい。
細胞としては、上述の切断状態確認工程において用いられる細胞と同様の細胞が挙げられる。具体的には、上述の切断状態確認工程において用いられる細胞の説明における「美白剤のスクリーニング方法の第一の態様」の記載を「美白剤のスクリーニング方法の第二の態様」と読み替えたものを用いることができる。
例えば、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様において、必要に応じて上記メラニン産生量変化工程を行った後、又は、行いながら、上記被験物質付与工程により細胞に被験物質を付与し、上記メラニン産生量測定工程によりメラニン産生量の測定を行うことができる。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様が、メラニン産生量測定工程を更に含むことにより、美白剤として有用であるか否かの判定基準を追加することが可能となり、美白剤として有用な化合物のスクリーニングの精度が向上する場合がある。
(製剤、及び、製剤の設計方法)
本開示に係る製剤は、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む。
本開示に係る製剤の形態としては、上記美白剤を含む以外は特に限定されず、オイル組成物、乳化組成物、粉末組成物などが挙げられる。また本開示に係る製剤は、公知の方法に従い調製することができる。
また、本開示に係る製剤は、化粧料であることが好ましい。化粧料の形態には特に制限はなく、化粧水(ローション)、美容液(エッセンス)、クリーム、乳液などの化粧料を例示することができる。これらのいずれも公知の方法で調製することができ、たとえば乳液などの場合、水相および油相をそれぞれ加熱溶解し、乳化分散して冷却することで製造することができる。
本開示に係る製剤としては、経口的又は非経口的に投与されるものが挙げられるが、非経口的に投与することが好ましい。また、直接皮膚へ投与可能な局所投与が好ましく、経皮投与がより好ましい。
すなわち、本開示に係る製剤は、皮膚外用剤であることが好ましい。
本開示に係る製剤は、上記美白剤のほかに、他の成分を含むことができる。
上記他の成分は、組成物の形態、目的などに応じて適宜選択すればよく、例えば、機能性油性成分、乳化剤、その他の添加成分などが挙げられる。
また、本開示に係る製剤は、上記美白剤以外の他の美白剤を更に含んでもよい。
他の美白剤としては、PMELタンパクのβ部位の切断の抑制が認められない化合物、βセクレターゼの阻害活性が認められない化合物等が挙げられ、例えば、メラニン産生に関わる遺伝子の発現を抑制する化合物、メラニンの排出(ターンオーバー)又は分解を促進する化合物、等が好ましく挙げられる。
<機能性油性成分>
機能性油性成分としては、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する油溶性成分であれば、特に限定はなく、目的に応じた物性や機能性を有するものを適宜選択して使用することができる。機能性油性成分としては、上述の美白剤以外の成分であって、紫外線吸収剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、脂溶性ビタミン剤、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤などとして使用されているものが挙げられる。
ここで、機能性油性成分とは、生体において所望の生理学的作用の発揮が期待され得る油性成分を意味する。
<その他の添加成分>
上記成分の他、医薬品、機能性食品、化粧品などの分野において通常用いられる添加成分を、組成物に、その形態に応じて適宜含有させてもよい。他の添加成分は、その特性を考慮し、油溶性又は水溶性の添加成分として、組成物に含有させることができる。
その他の添加成分としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール;グルコース、加糖、乳糖、麦芽糖、ショ糖、ペクチン、カッパーカラギーナン、
ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリンなどの単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチンなどの分子量5000超のタンパク質;グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、メチオニン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリンなどのアミノ酸及びそれらの誘導体;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体などの合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体;などを挙げることができ、その機能に基づいて、たとえば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤などとして含んでもよい。
その他、pH調整剤、pH緩衝剤、防腐剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本開示における製剤の設計方法は、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法により美白剤として選択された被験物質を製剤に含有させることを含む。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る製剤における他の成分を更に製剤に含有させることを更に含んでもよい。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る美白剤のスクリーニング方法を行うことを含んでもよいし、他者が行った本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の結果を元に製剤を設計する設計方法であってもよい。
(線維形成阻害剤)
本開示に係る線維形成阻害剤は、オリザノールを含む。
オリザノールは、米糠などの脂質に含有される、フェルラ酸とステロールとが縮合したフェルラ酸エステルである。
オリザノールの構成成分としては、シクロアルテノールフェルラ酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステル、カンペステロールフェルラ酸エステル、β−シトステロールフェルラ酸エステル、シクロブタノールフェルラ酸エステル等が知られている。
ここで、オリザノールは本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第一の態様において、PMELタンパクのβ部位の切断の抑制が確認される化合物である。
また、オリザノールは本開示に係る美白剤のスクリーニング方法の第二の態様において、βセクレターゼの阻害活性を有することが確認される化合物である。
本開示に係る線維形成阻害剤は、美白用製剤であってもよいが、例えば、アルツハイマー病の治療薬として用いることも可能であると考えられる。
アルツハイマー病の作用機序は未だ完全に解明されていないが、BACE1、又は、βセクレターゼによるアミロイドβ前駆体蛋白質の切断、及び、それに伴う線維の形成がアルツハイマー病の進行に関連しているという報告がある。
ここで、βセクレターゼの活性を抑制し、PMELタンパクのβ部位の切断を抑制することが本開示に係る美白剤のスクリーニング方法により確認されているオリザノールは、アミロイドβ前駆体蛋白質の切断を抑制することにより、上記線維の形成を抑制する可能性があると考えられる。 すなわち、オリザノールを含む線維形成阻害剤は、例えば、アルツハイマー病の治療、進行の抑制、予防等にも有用であると考えられる。
本開示における線維は、特に限定されないが、例えば、アミロイド線維など、特定の構造をもつ水に不溶の繊維状タンパク質や、筋線維や神経線維など、糸状の長い細胞で構成される組織、 繊維状タンパク等が含まれる。本開示において線維は、メラノソーム内骨格を形成するアミロイド線維であることが好ましい。
本開示における線維形成阻害剤におけるオリザノールの含有量は、特に限定されないが、製剤1mL当たりオリザノールを0.0001mg以上0.1mg以下含むことが好ましく、0.003mg以上0.1mg以下含むことがさらに好ましく、 0.015mg以上0.1mg以下含むことが最も好ましい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、本実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
<切断状態確認工程>
ヒト正常メラノサイト(HEMn−DP、ThermoFisher社)を回収した後、培地(Gibco社製Medium254、Human Melanocyte Growth Supplement含有)にて懸濁した。遠心(300×g(1g=9.8m/s)、3分、室温)し上清を除き上記培地に再懸濁後、6ウェルプレートに1ウェルあたり3×10cells/cmとなるよう1mLを播種し、更にMerck社製のBACE阻害剤(β-Secretase Inhibitor IV)を目的濃度の2倍濃度で含む培地を1mL加えよく混ぜ、COインキュベーター(37℃)で静置した。
本開示において、室温とは25℃をいう。
上記目的濃度は0.1μM(mol/L)、1μM及び10μMの3群とし、上記目的濃度の2倍濃度を含む培地にはDMSOに溶解した上記BACE阻害剤を培地100mLに対し1μLとなるように付与した。コントロールとしては、目的濃度の2倍濃度を含む培地の替わりに、上記同じ割合でBACE阻害剤を含まないDMSOを付与した培地を使用した。
0.1μM、1μM、10μM及びコントロールの計4群(各n=3)を用いて試験を行った。
上記播種から3日後、各ウェルにおける培地を同組成のBACE阻害剤を含む培地へと交換し、播種から1週間後にトリプシン処理により各細胞を回収した。遠心(300×g、3分、室温)し上清を除いた後、1%TrionX−100を含む細胞溶解液で破砕後5分間氷上に置き、遠心(15000×g、10分、4℃)後の上清を可溶性画分としてタンパク質液を抽出した。抽出したタンパク質溶液はSDSサンプルバッファー(最終濃度1.67% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、1.55% DTT(ジチオトレイトール)含む)にて処理し、95℃で5分間熱変性を行った後SDS−PAGEゲル(e−PAGEL E−T10L、ATTO社)にアプライし電気泳動した。泳動後、メンブレンにブロッティングしブロッキング剤(PVDF Blocking Reagent、東洋紡社)でブロッキングを行い、一次抗体反応(抗PMEL−Mβフラグメント抗体、ab137062、Abcam社)後、二次抗体反応(HRP標識IgG抗体)させ、HRP基質による化学発光反応によってバンドを検出した。検出されたバンドはCSAnalyzer(ATTO社)の自動濃度測定により定量化した。
図2に結果を記載した。図2の縦軸はコントロール群におけるPMEL−Mβフラグメント量を100%とした場合のタンパク量を示している。また、Cont.の記載はコントロール群を、0.1μM、1μM及び10μMの記載は、それぞれの濃度で上記BACE阻害剤を付与した群を示している。また、各群における棒グラフは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
図2の結果から、BACE阻害剤濃度依存的にPMEL−Mβフラグメント量が増加したことがわかる。コントロール群におけるPMEL−Mβフラグメント量を100%とすると、BACE阻害剤10μMの付与時にはPMEL−Mβフラグメント量において300%以上の増加が認められた。
<BACE阻害によるメラニン産生抑制効果の確認>
トリプシン処理によりヒト正常メラノサイト(HEMn−DP、ThermoFisher社)を回収した後培地(Gibco社製Medium254、Human Melanocyte Growth Supplement含有)にて懸濁した。遠心(300×g、3分、室温)し上清を除き上記培地に再懸濁後、6ウェルプレートに1ウェルあたり3×10cells/cmとなるよう1mLを播種し、更にMerck社製のBACE阻害剤(β-Secretase Inhibitor IV)を目的濃度の2倍濃度を含む培地を1mL加えよく混ぜ、COインキュベーター(37℃)で静置した。
上記目的濃度は0.1μM、1μM及び10μMの3群とし、上記目的濃度の2倍濃度を含む培地にはDMSOに溶解した上記BACE阻害剤を培地100mLに対し1μLとなるように付与した。コントロールとしては、目的濃度の2倍濃度を含む培地の替わりに、上記同じ割合でBACE阻害剤を含まないDMSOを付与した培地を使用した。
0.1μM、1μM、10μM及びコントロールの計4群(各n=3)を用いて試験を行った。
上記播種から3日後、各ウェルにおける培地を同組成のBACE阻害剤を含む培地へと交換し、播種から1週間後に、上清を除去しPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄を行い、WST試薬(Cell Counting Kit、(株)同仁化学研究所社製)により生細胞数を検出した。生細胞数測定後、各ウェルに対してPBSにて2回洗浄を行い、メラニン溶解液(1mol/l NaOH、10% DMSO、水溶液)を加え50℃、20分間超音波処理にて完全に溶解させた。
上記溶解後、各ウェルにおけるメラニン溶解後のメラニン溶解液のうち200μLを96ウェルプレートに移し、室温において400nmの吸光度を測定し、その測定から得られた吸光度からメラニン量を算出した。最終的なメラニン量は上記生細胞数により補正した値を採用した。
図3に結果を記載した。図3の縦軸はコントロール群におけるメラニン産生量を100%とした場合のメラニン産生量を示している。また、Cont.の記載はコントロール群を、0.1μM、1μM、10μMの記載は、それぞれの濃度で上記BACE阻害剤を付与した群を示している。また、各群における棒グラフは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
図3の結果から、BACE阻害剤濃度依存的にメラニン産生量が抑制されたことがわかる。コントロール群におけるメラニン産生量を100%とすると、BACE阻害剤10μMの付与時にはメラニン産生量において50%以上の抑制が認められた。
<阻害活性測定工程>
オリザノールを用い、βセクレターゼの阻害活性の測定を行った。
上記阻害活性の測定はSensoLyte520 BACE2 Activity Assay Kit(ANASPEC社)のプロトコルに従い行った。
DMSOストックをアッセイバッファーで10倍希釈し10μLをプレートに入れた。
更に2.5μg/mLに調製したリコンビナントBACE2タンパク質を40μL入れ、基質溶液を50μL入れて室温で15分間静置した。
上記DMSOストックには、下記各群におけるオリザノール(γ−オリザノール、Oryzanol、(株)岡安商店製)、フェルラ酸(Ferulic acid)又はコレステロール(Cholesterol)が目的濃度の100倍の濃度で含まれるものを使用した。
上記目的濃度はオリザノールについては3μM及び30μMの2群とし、フェルラ酸及びコレステロールについては3μM及び10μMの各2群とした
コントロールとしては、DMSOを使用した。
オリザノール3μM、30μM、フェルラ酸3μM、10μM、コレステロール3μM、10μM、及び、コントロールの計7群(各n=3)を用いて試験を行った。
上記15分間の静置後に、励起波長490nm/蛍光波長520nmの蛍光強度をプレートリーダーEnvision(パーキンエルマー社)にて検出した。BACE2活性は、上記コントロール群のBACE2活性を100%、付属のBACE阻害剤濃度が0.5μM(mol/L)の場合のBACE2活性の値を0%(100%阻害)として算出した。
図4に結果を記載した。図4の縦軸は上記BACE2活性を示している。また、Cont.の記載はコントロール群を、3μM、30μM等の記載は、それぞれの濃度で上記各薬剤を付与した群を示している。また、各群における棒グラフは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
また、コントロール群と、3μMを付与した群、又は、30μMを付与した群と、のそれぞれに対して、F検定により等分散性検定を行った後、スチューデントのt検定を実施した。図4中、「***」は、上記t検定における危険率が0.1%以下であることを示している。
図4の結果から、オリザノール濃度依存的にBACE2活性が阻害され、オリザノール30μMでほぼ100%の阻害効果を示した。更に、以下の構造式に示すように、オリザノールを構成するコレステロール及びフェルラ酸については、いずれの化合物高濃度においてもBACE2酵素活性抑制効果は認められず、本効果はオリザノールの構造の特異性に起因するものと推察される。
<オリザノールによるメラニン産生抑制効果の確認>
トリプシン処理によりマウスメラノーマ細胞(B−16、DSファーマ社)を回収した後培地(Gibco社製DMEM、10%FBS(牛胎児血清)含有、1%PSN(ペニシリン−ストレプトマイシン−ネオマイシン)含有)にて懸濁した。遠心(300×g、3分、室温)し上清を除き上記培地に再懸濁後、12ウェルプレートに1ウェルあたり5×10cells/cmとなるよう0.5mLを播種し、更に(株)岡安商店製のγ−オリザノールを目的濃度の2倍濃度を含む培地を0.5mL加えよく混ぜ、COインキュベーター(37℃)で静置した。
上記目的濃度は30μM、100μMの2群とし、目的濃度の2倍濃度を含む培地にはDMSOに溶解した上記γ−オリザノールを培地100mLに対し1μLとなるように付与した。コントロールとしては、目的濃度の2倍濃度を含む培地の替わりに、上記同じ割合でγ−オリザノールを含まないDMSOを付与した培地を使用した。
30μM、100μM、及び、コントロールの計3群(各n=5)を用いて試験を行った。
播種から3日後、各ウェルにおいて上清を除去しPBSで2回洗浄を行い、WST試薬(Cell Counting Kit、(株)同仁化学研究所社製)により生細胞数を検出した。
生細胞数測定後、各ウェルに対してPBSにて2回洗浄を行い、メラニン溶解液(1mol/L NaOH、10%DMSO、水溶液)を加え50℃、20分間超音波処理にて完全に溶解させた。
上記溶解後、各ウェルにおけるメラニン溶解後のメラニン溶解液のうち200μLを96ウェルプレートに移し、室温において400nmの吸収波長にてメラニン量を測定した。最終的なメラニン量は上記生細胞数により補正した値を採用した。
図5に結果を記載した。図5の縦軸はコントロール群におけるメラニン産生量を100%とした場合のメラニン産生量を示している。また、Cont.の記載はコントロール群を、30μM及び100μMの記載は、それぞれの濃度で上記γ−オリザノールを付与した群を示している。また、各群における棒グラフは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
また、コントロール群と、30μMを付与した群、又は、100μMを付与した群と、のそれぞれに対して、F検定により等分散性検定を行った後、スチューデントのt検定を実施した。図5中、「**」は、上記t検定における危険率が0.1%を超え0.5%以下であることを、「***」は、上記t検定における危険率が0.1%以下であることをそれぞれ示している。
図5の結果から、オリザノール濃度依存的にメラニン産生量が抑制された。
コントロール群におけるメラニン産生量を100%とすると、オリザノール100μMの付与時にはメラニン産生量において20%以上の抑制が認められた
<BACE阻害剤作用後のメラノソームTEM(透過型電子顕微鏡)観察>
トリプシン処理によりヒト正常メラノサイト(HEMn−DP、ThermoFisher社)を回収した後培地(Gibco社製Medium254、Human Melanocyte Growth Supplement含有)にて懸濁した。遠心(300×g、3分、室温)し上清を除き上記培地に再懸濁後、6ウェルプレートに1ウェルあたり3×10cells/cmとなるよう1mLを播種し、更にMerck社製のBACE阻害剤をβ−Secretase Inhibitor IV)目的濃度の2倍濃度で含む培地を1mL加えよく混ぜ、COインキュベーター(37℃)で静置した。
上記目的濃度は10μMとし、目的濃度の2倍濃度を含む培地にはDMSOに溶解した上記BACE阻害剤を培地100mLに対し1μLとなるように付与した。コントロールとしては、目的濃度の2倍濃度を含む培地の替わりに、上記同じ割合でBACE阻害剤を含まないDMSOを付与した培地を使用した。
10μM、及び、コントロールの計2群(各n=3)を用いて試験を行った。
上記播種から3日後、各ウェルにおける培地を同組成のBACE阻害剤を含む培地へと交換し、播種から1週間後にトリプシン処理により各細胞を回収した。
遠心(300×g、3分、室温)し上清を除いた後、前固定液(2%パラホルムアルデヒド、2%グルタルアルデヒドを含む)で処置後、洗浄し2%低温重合寒天液で固化させた。細胞塊を含む寒天を切り出し、後固定液(2%四酸化オスミウムを含む)で60分間氷上静置後、超純水で洗浄しエタノール置換し、更にn−ブチルグリシジルエーテル及びエポキシ樹脂(Quetol−651、ethylene diglycidyl ether)へ置換した後、60℃24時間熱重合し樹脂ブロックを作製した。60nmの薄切片をTEM試料台に回収し、酢酸ガドリニウムで60分間、鉛染色液で4分間染色し、透過型電子顕微鏡(TEM:JEM−2100Plus、日本電子(株)製)を用いて加速電圧100kVにてCCD(Charge Coupled Device)撮影を行った。
図6に結果を記載した。図6中、(A)は固定化及び染色された細胞の外観を、(B)はコントロール群におけるTEM観察の結果を、(C)は上記BACE阻害剤を10μMの濃度で付加した群におけるTEM観察の結果を、それぞれ示している。
また、(B)中の黒矢頭、及び、(C)中の白矢頭はそれぞれメラノソームを示している。
図6に示した結果から、10μMのBACE阻害剤の付加によりメラノソームの線維状構造がみられなくなり、メラニン蓄積量が劇的に減少している様子が観察された。
図2〜図6に示す結果から、本開示に係る実施形態によれば、新規な美白剤のスクリーニング方法が提供されることが確認された。
<皮膚モデルにおけるBACE阻害のメラニン産生抑制効果の確認>
メラノサイト含有皮膚3次元モデル(MEL−300キット、クラボウ社)を開封後、培地(EPI−100NMM113、クラボウ社)にてプレインキュベーションした。翌日、Merck社製のBACE阻害剤(β-Secretase Inhibitor IV)を目的濃度含む培地に交換し、さらに皮膚モデル角層側へ培地を50μL添加し、COインキュベーター(37℃)で静置した。培地は2日に1度交換した。
上記目的濃度は1μM、10μM及び30μMの3群とし、上記目的濃度を含む培地にはDMSOに溶解した上記BACE阻害剤を培地100mLに対し1μLとなるように付与した。コントロールとしては、目的濃度を含む培地の替わりに、上記同じ割合でBACE阻害剤を含まないDMSOを付与した培地を使用した。
1μM、10μM、30μM及びコントロールの計4群(各n=3)を用いて試験を行った。
上記最初の培地交換から1週間後に、皮膚モデルをPBSにて洗浄を行い、MTT試薬(MTT−100JP、クラボウ社)により生細胞数を検出した。生細胞数測定後、各モデルに対してイソプロパノールにてMTT試薬で反応した生成物を完全に除去し、メラニン溶解液(1mol/l NaOH、10% DMSO、水溶液)を加え80℃、1時間加熱処理にて完全に溶解させた。
上記溶解後、各モデルにおけるメラニン溶解後のメラニン溶解液のうち200μLを96ウェルプレートに移し、室温において400nmの吸光度を測定し、その測定から得られた吸光度からメラニン量を算出した。最終的なメラニン量は上記生細胞数により補正した値を採用した。
図7に結果を記載した。図7の縦軸はコントロール群におけるメラニン産生量を100%とした場合のメラニン産生量を示している。また、Cont.の記載はコントロール群を、1μM、10μM、30μMの記載は、それぞれの濃度で上記BACE阻害剤を付与した群を示している。また、各群における棒グラフは平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
また、コントロール群と、1μMを付与した群、10μMを付与した群、又は、30μMを付与した群と、のそれぞれに対して、F検定により等分散性検定を行った後、スチューデントのt検定を実施した。図7中、「*」は、上記t検定における危険率が1%を超え5%以下であることを、「**」は、上記t検定における危険率が0.1%を超え1%以下であることを、それぞれ示している。
図7の結果から、BACE阻害剤濃度依存的にメラニン産生量が抑制されたことがわかる。コントロール群におけるメラニン産生量を100%とすると、BACE阻害剤30μMの付与時にはメラニン産生量において20%以上の抑制が認められた。
<アスタキサンチン含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物Aを得た。
〔水相組成物A〕
ショ糖ステアリン酸エステル(HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値:16):33.0g
モノオレイン酸デカグリセリル(HLB値:12):67.0g
グリセリン(アルコール):450.0g
純水:300.0g
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物Aを得た。
〔油相組成物A〕
オキアミ抽出物(アスタキサンチン含有率:20質量%):15.0質量部
ミックストコフェロール(理研Eオイル800、理研ビタミン(株)製):32.0質量部
中鎖脂肪酸グリセライド(ココナードMT、花王(株)製):93.0質量部
レシチン(レシオンP(大豆由来)、理研ビタミン(株)製):10.0質量部
上記で得られた水相組成物Aを70℃に保ったままホモジナイザー(機種名:HP93、(株)エスエムテー社製)を用いて、10,000rpm(revolutions per minute)で攪拌し、水相組成物Aへ油相組成物Aを添加して予備乳化物Aを得た。
続いて、得られた予備乳化物Aを約40℃まで冷却し、超高圧ホモジナイザー(アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。高圧乳化後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン含有乳化組成物(アスタキサンチン含有率:0.3質量%)を調製した。
得られたアスタキサンチン含有乳化組成物をミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザー(型番:FPAR−1000、大塚電子(株)製)を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、58nmであった。
上記オキアミ抽出物を「Astax−ST(製品名)」((株)マリン大王社製)又は、ヘマトコッカス藻抽出物(製品名:ASTOTS−S、富士フイルム(株)製)に替えても同等の乳化組成物を得ることができる。
<オリザノール含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物B(水相組成物Aと同じ組成)を得た。
〔水相組成物B〕
ショ糖ステアリン酸エステル(HLB値:16):33.0質量部
モノオレイン酸デカグリセリル(HLB値:12):67.0質量部
グリセリン(アルコール):450.0質量部
純水:300.0質量部
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物Bを得た。
〔油相組成物B〕
γ−オリザノール(γ−オリザノールC:商品名、(株)岡安商店製):10.0質量部
中鎖脂肪酸グリセライド(ココナードMT、花王(株)製):130.0質量部
レシチン(レシオンP(大豆由来)、理研ビタミン(株)製):10.0質量部
上記で得られた水相組成物Bを70℃に保ったままホモジナイザー(機種名:HP93、(株)エスエムテー社製)を用いて、10,000rpm(revolutions per minute)で攪拌し、水相組成物Bへ油相組成物Bを添加して予備乳化物Bを得た。
続いて、得られた予備乳化物Bを約40℃まで冷却し、超高圧ホモジナイザー(アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。高圧乳化後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、オリザノール含有乳化組成物(オリザノール含有率:1質量%)を調製した。
得られたオリザノール含有乳化組成物をミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザー(型番:FPAR−1000、大塚電子(株)製)を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、61nmであった。
<ツボクサエキス含有水性分散組成物の調製>
下記の成分を混合し、70℃で加熱しながら30分、パドルで攪拌しながら溶解して、懸濁液Aを得た。
〔懸濁液A〕
グリセリン:67.0質量部
純水:28.0質量部
レシチン(SLP−ホワイト(商品名);辻製油社(株)製):450.0質量部
TECA*1:11.0質量部
*1:TECA(商品名)(バイエルヘルスケア社製、5環性トリテルペンであるアジアチン酸、マデカシン酸及びアジアチコシドを含む混合物)
上記で得られた懸濁液Aを60℃に保ったまま、超高圧分散機(機種名:スターバーストミニ、(株)スギノマシン製)に200MPaの圧力で5回通過させて、高圧分散処理を行い、ツボクサエキス含有水性分散組成物を調製した。
得られたツボクサエキス含有水性分散組成物をミリQ水にて10倍に希釈し、動的光散乱式粒径測定機(商品名:ナノトラックUPA、日機装(株)製)を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、19nmであった。
<グリチルレチン酸ステアリル分散組成物の調製>
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物Cを得た。
〔水相組成物C〕
モノオレイン酸デカグリセリル(HLB値:12):18.9質量部
グリセリン:35.0質量部
純水:組成の合計が100質量部となる量
また、下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物Cを得た。
〔油相組成物C〕
グリチルレチン酸ステアリル:3.33質量部
酢酸トコフェロール:3.33質量部
トコフェロール:10.77質量部
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:6.0質量部
精製レシチン(大豆由来):4.2質量部
水相組成物Cを攪拌した状態に維持しながら、油相組成物Cを加えた後、高圧ホモジナイザーを用いて4分間分散することで予備分散物Cを得た。
続いて、得られた予備分散物Cを約60℃まで冷却し、超高圧ホモジナイザー(アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、245MPaの圧力で高圧分散を行って分散組成物Cを得た。
その後、得られた分散組成物Cを平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過し、80℃で30分加熱滅菌することで、グリチルレチン酸誘導体(グリチルレチン酸ステアリルを含有するグリチルレチン酸ステアリル分散組成物を調製した。
下記組成を有する美容液を常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕:〔含有量(質量%)〕
アスタキサンチン含有乳化組成物(アスタキサンチン0.3質量%含有):0.5
オリザノール分散組成物(オリザノール1質量%含有):0.05
ジプロピレングリコール:4.0
グリセリン:5.0
ジグリセリン:2.0
1,2−ペンタンジオール:2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.(エチレンオキサイド)):0.2
リン酸−L−アスコルビルマグネシウム:2.0
グリチルリチン酸ジカリウム:1.0
フェノキシエタノール:0.5
パラオキシ安息香酸メチル:0.1
アルカリゲネス レータスB−16ポリマー:0.05
クエン酸:適量
クエン酸ナトリウム:適量
N−アセチル−L−ヒドロキシプロリン:1.0
水溶性コラーゲン:1.0
加水分解コラーゲン:1.0
酵母エキス:1.0
ツボクサエキス含有水性分散組成物(ツボクサエキス1質量%含有):0.05
グリチルレチン酸ステアリル分散組成物(グリチルレチン酸ステアリル1.0質量%含有):0.5
モノオレイン酸ポリグリセリル:0.2
水:残部
得られた美容液は、本開示に係る美白剤のスクリーニング方法によりスクリーニングされた美白剤を含む美容液であり、かつ、美白美容液として好ましい使用感を有していた。
本開示に係る美白剤のスクリーニング方法によりスクリーニングされた美白剤は、これを含む化粧水、クリーム、ジェル状製剤など幅広く応用することができる。
10A PMELタンパク
10B、10C β部位の切断後のPMELタンパク
12 シグナルペプチドドメイン
14 N末端ドメイン(NTD)
16 多発性嚢胞腎疾患様ドメイン(polycystic kidney disease-like domain、PKD)
18 ギャップドメイン1(GAP1)
20 プロリン/セリン/トレオニンリッチリピートドメイン(proline/serine/threonine-rich repeat domain、RPT)
22 ギャップドメイン2(GAP2)
24 クリングル様ドメイン(kringle-like domain、KLD)
26 ギャップドメイン3(GAP3)
28 膜貫通ドメイン(transmembrane domain、TM)
30 C末端ドメイン(CTD)
32 ジスルフィド結合
34 開裂部位
36、38、40、42 破線
44、46、48、50、52 フラグメント
100 メラノソーム膜
C C末端側
N N末端側
Mα Mα領域
Mβ Mβ領域

Claims (11)

  1. メラニン産生能を有する細胞におけるPMELタンパクのβ部位の切断状態を確認すること、を含む
    美白剤のスクリーニング方法。
  2. 前記切断状態を確認する方法が、PMEL−Mβフラグメントの定量である、請求項1に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  3. 前記細胞が、ヒト正常細胞である、請求項1又は請求項2に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  4. 前記切断状態を確認することの前に、前記細胞に被験物質を付与することを更に含む、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  5. 被験物質によるβセクレターゼの阻害活性を測定すること、を含む
    美白剤のスクリーニング方法。
  6. 前記βセクレターゼが、BACE2である、請求項5に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  7. 前記被験物質が、チロシナーゼ阻害活性を有しない、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  8. 細胞におけるメラニン産生量を測定することを更に含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の美白剤のスクリーニング方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の美白剤のスクリーニング方法により発見された美白剤を含む製剤。
  10. 皮膚外用剤である、請求項9に記載の製剤。
  11. オリザノールを含む線維形成阻害剤。
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