JP6368219B2 - エストロゲン受容体β活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、エストロゲン受容体βに対して選択性の高い、エストロゲンβ受容体活性化剤に関する。
エストロゲンは、卵胞ホルモンとも呼ばれ、黄体ホルモンであるプロゲステロンと協同的に女性ホルモンとして生殖関係の機能調節を行う。エストロゲンには斯かる機能の他に、皮膚の線維芽細胞に作用し、コラーゲンとヒアルロン酸の生合成を促進する作用、男性ホルモンと拮抗作用を示し、男性ホルモンが活性化する皮脂腺の機能亢進を抑制する作用、紫外線ストレスを軽減する作用、があることが報告されている。したがって、エストロゲンの分泌能が低下すると、皮膚の張りの低下やシワの増加等の皮膚老化の進行促進や、皮脂の過剰分泌に基づくニキビの発生や紫外線ストレスや皮膚のバリア機能の低下に基づく肌荒れ等の皮膚疾患の発生頻度が増大する。
例えば、女性が閉経を迎え、血液中のエストロゲン濃度が著しく減少すると、皮膚全体の機能に変化が生じる。特に、真皮においてはコラーゲン線維が著しく減少し、その結果しわやたるみといった皮膚老化現象が目立つようになる(非特許文献1、2)。また、血液中のエストロゲン濃度の減少は、種々の更年期障害を引き起こす。その中でも代表的な症状の一つに、突然顔や体が熱くなり、心拍数の上昇や、大量の発汗を起こす、ホットフラッシュがある(非特許文献3)。
一方、閉経後の女性に対して女性ホルモン補充療法(HRT)を行うとしわ、血行が改善すること、エストロゲンを塗布するとしわ、弾力性、水分量が改善することが報告されている(非特許文献4、5)。また、エストロゲンを塗布すると皮脂腺からの皮脂の分泌が抑制されることが報告されている(非特許文献6)。また、大豆等に含まれる植物エストロゲンの一種であるイソフラボンの摂取によりホットフラッシュの症状が顕著に改善することが報告されている(非特許文献7)。
エストロゲンは2種類のエストロゲン受容体(ERα、ERβ)に結合し、これらが協調して働くことでその作用を発揮することが知られている。エストロゲンは初めに、ERα、ERβのligand binding domain(LBD)に結合して立体構造を変化させ、それに続いて二量体(ERα/α、ERβ/β、ERα/βの三種類の組み合わせ)を形成する(非特許文献8、9)。二量体を形成したERは核内へ移行し、ゲノム上に存在するエストロゲン応答配列に結合し、そこで様々な共役因子をリクルートした後に、標的遺伝子の転写活性を制御する(非特許文献10、11)。
ERαとERβの標的遺伝子は、大部分が同一であることが報告されている(非特許文献12)。ところが最近になって、いくつかの相違する標的遺伝子の組み合わせに起因して、ERαとERβがそれぞれ異なる生理機能を有していることが示唆されている(非特許文献12)。例えば、ERαは、乳癌細胞の増殖を活性化する一方で、ERβは、その増殖を抑制するといった正反対の役割を果たしていることが報告されている(非特許文献13)。また、ERβは、皮膚の光老化を防御する機能を有することが報告されている(非特許文献14)。
このようなことから、ERβは安全にエストロゲンの作用を発揮できる理想的な分子であり、ERβを選択的に活性化できれば、エストロゲン減少に起因する皮膚老化症状やホットフラッシュ等の更年期障害の予防・改善等に有用であると考えられる。
プテロカルパン類は、ベンゾフラン骨格とクロマン骨格を持つ酸素環式化合物であり、主としてマメ科植物(Leguminosae)から20数種類が単離されている。このうち、3−ヒドロキシ−9,10−ジメトキシ−プテロカルパンには骨形成促進作用、抗動脈硬化作用があること(特許文献1)、7、4’−ジヒドロキシプテロカルパンにはチロシナーゼ阻害作用があること(特許文献2)、また、Medicarpin(3−ヒドロキシ−9−メトキシ−プテロカルパン)にはエストロゲン作用があること(非特許文献15)が報告されている。
しかしながら、プテロカルパン類に、エストロゲン受容体βを選択的に活性化する作用があることについては全く知られていない。
特開2003−155236号公報 特開平6−16531号公報
Nicholas et al(2003)Am J Clin Dermatol 4:371-378 Hall et al(2005)J Am Acad Dermatol 53:555-68 Rendall MJ et al et al(2008) Maturitas 60:158-69 Sator et al(2001)Maturitas 39:43-55 PiCrard-Franchimon et al(1995) Maturitas 22:151-154 Peter et al(1974)J Invest Dermatol 62:191-201 van de Weijer PH et al(2002) Maturitas 42:187-93 Mukherjee et al(2010)Pharm Res 27:1439-1468 Powell et al(2008)Proc Natl Acad Sci U S A 105:19012-19017 Kulakosky et al(2002)J Mol Endocrinol 29:137-152 Michael et al(2006) Genes Dev 2006 20 : 1405-1428 Liu et al(2008) Proc Natl Acad Sci USA 105:2604-2609 Helguero et al(2005)Oncogene 24 : 6605-6616 Chang et al(2010)Mol Pharmacol 77:744-750 Biosci. Biotechnol. Biochem. 2010, 74, 2176-2182
本発明は、エストロゲン受容体βに対して選択性の高い、エストロゲン受容体β活性化剤を提供することに関する。
本発明者は、エストロゲン受容体のうちERβの活性を選択的に高める物質について研究したところ、3,9−ジヒドロキプテロカルパンに、ERαを活性化せずに、ERβの活性を特異的に高める作用があることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に係るものである。
(1)3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
(2)3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
(3)3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
(4)3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするニキビ予防又は改善剤。
(5)3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするホットフラッシュ予防又は改善剤。
本発明のエストロゲン受容体β活性化剤等は、エストロゲン受容体βを選択的に活性化し、また、乳癌発症・悪化の危険性がなく安全であることから、皮膚の老化症状の予防又は改善、皮脂腺からの皮脂分泌の抑制、ニキビの予防又は改善、ホットフラッシュ等の更年期障害の予防又は改善等を発揮し得る医薬品、医薬部外品、化粧品として、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤として有用である。
ハムスター耳介部組織のオイルレッド染色を示す図。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処理行為を含まない概念である。
本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、下記式(I)で示されるプテロカルパンの誘導体である。
3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、アメリカンデイゴ(Erythrina crista-galli)等のマメ科のデイゴ属植物から抽出分画すること(Phytochemistry (1980),19(6),1203-7)により得ることができ、また、化学合成によっても得ることができる(Australian Journal of Chemistry 1987 40 1705-1711、Phytochemistry, 1990, 29, 2879-82)。また、市販品を使用することもできる。
本発明の3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、医薬品、医薬部外品、化粧品として許容し得る規格に適合し本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよく、さらに得られた粗精製物を公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
後記実施例で示すとおり、3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、エストロゲン応答配列(Estrogen Response Element:ERE、AGGTCAnnnTGACCT)を利用したエストロゲン受容体(ERs)を介する転写活性化能評価系において、ERβについてのみ標的遺伝子の転写を活性化させる作用を示した。
したがって、3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、エストロゲン減少に起因する皮膚老化症状(皮膚のシワ、タルミ(弛緩)、皮膚の弾力性やハリの低下)の予防又は改善やホットフラッシュ等の更年期障害の予防又は改善、特に、ERβを活性化することが有用と考えられる各種疾病や症状の予防、改善又は治療に有効である。
ここで、皮膚のシワやタルミの改善には、シワやタルミの発生抑制又はシワの外観を薄くする、シワやタルミを減少させる又は消失させる、シワやタルミを目立たなくする等の効果が包含される。
ホットフラッシュとは、女性ホルモンの減少に伴い自立神経が乱れ、体温調節機能が低下することに起因する症状であり、体表面温度の局所的な上昇、およびそれに伴うほてり、のぼせ、紅潮、及び多汗といった症状を意味する。
また、後記参考例に示すように、ERβの活性化によりハムスター耳介部の皮脂腺の大きさが減少することから、3,9−ジヒドロキプテロカルパンは皮脂の分泌抑制やニキビの予防又は改善に有効であると云える。
従って、3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、エストロゲン受容体β活性剤、皮膚外用剤、皮膚老化予防又は改善剤、皮脂分泌抑制剤、ニキビの予防又は改善剤、ホットフラッシュの予防又は改善剤(以下、エストロゲン受容体β活性剤等)となり得、また、エストロゲン受容体β活性剤等を製造するために使用することができる。
また、3,9−ジヒドロキプテロカルパンは、ヒトに対して、ERβの選択的な活性化、皮膚の老化症状の予防、改善又は治療、皮脂の分泌抑制、ニキビの予防又は改善、或いはホットフラッシュ等の更年期障害の予防又は改善のために使用することができる。ここで、ヒトに対する使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
当該エストロゲン受容体β活性剤等は、ERβの選択的活性化、皮膚の老化症状の予防、改善又は治療、皮脂の分泌抑制、ニキビの予防又は改善、ホットフラッシュの予防又は改善効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、又は化粧料であってもよく、又は当該医薬品等に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
上記医薬品(医薬部外品も含む)の剤形は、例えば注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、各種外用剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の何れでもよく、また投与形態も、経口投与(内用)、非経口投与(外用、注射)の何れであってもよい。
このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、本発明の3,9−ジヒドロキプテロカルパンを単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口又は外用投与であり、製剤中の3,9−ジヒドロキプテロカルパンの含有量は、一般的に0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、そして10質量%以下、好ましくは5質量%以下が挙げられる。また、0.00001〜10質量%、好ましくは0.0001〜5質量%である。
上記化粧料(医薬部外品も含む)は、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等の形態とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の化粧料は、本発明の3,9−ジヒドロキプテロカルパンと、皮膚化粧料に配合され得る、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤(例えば、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、ビタミン類)、香料、樹脂、防菌防黴剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
当該化粧料中の、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの含有量は、通常0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、そして20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下が挙げられる。また、0.0001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
上記製剤、特に医薬品又は医薬部外品の適用量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与又は摂取の場合成人1人当たり、3,9−ジヒドロキプテロカルパンとして、1日あたり0.01mg/kg以上、好ましくは0.1mg/kg以上であり、そして100mg/kg以下、好ましくは10mg/kg以下である。また、好ましくは0.01mg〜100mg/kg、より好ましくは0.1mg〜10mg/kgである。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
<2>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
<3>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
<4>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするニキビ予防又は改善剤。
<5>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするホットフラッシュ予防又は改善剤。
<6>エストロゲン受容体β活性化剤を製造するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの使用。
<7>皮膚老化予防又は改善剤を製造するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの使用。
<8>皮脂分泌抑制剤を製造するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの使用。
<9>ニキビ予防又は改善剤を製造するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの使用。
<10>ホットフラッシュ予防又は改善剤を製造するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパンの使用。
<11>エストロゲン受容体β活性化に使用するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパン。
<12>皮膚老化予防又は改善に使用するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパン。
<13>皮脂分泌抑制に使用するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパン。
<14>ニキビの予防又は改善に使用するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパン。
<15>ホットフラッシュの予防又は改善に使用するための、3,9−ジヒドロキプテロカルパン。
<16>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを、それらを必要とする対象に投与又は適用するエストロゲン受容体β活性化方法。
<17>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを、それらを必要とする対象に投与又は適用する皮膚老化予防又は改善方法。
<18>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを、それらを必要とする対象に投与又は適用する皮脂分泌抑制方法。
<19>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを、それらを必要とする対象に投与又は適用するニキビの予防又は改善方法。
<20>3,9−ジヒドロキプテロカルパンを、それらを必要とする対象に投与又は適用するホットフラッシュの予防又は改善方法。
実施例1 ERβ選択的増強作用
<試験化合物>
<評価方法>
(1)細胞培養
ヒト腎臓由来の細胞株であるHEK293は、10%(v/v)Fetal Bovine Serum(FBS)、ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中で培養した(37℃、5%CO)。
(2)ERβ結合活性の選択的増強作用
HEK293細胞を96−well plateに3.0×10cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5%チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pBIND−ERα、もしくはpBIND−ERβをpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]とともに、Lipofectamine 2000(Life Technologies社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照であるエタノール溶媒を含む培地、さらには陽性対照であるエストラジオール(E2)を終濃度10nM、又は表1に示す各化合物を終濃度100nM含む培地に置換し24時間培養した。その後、Dual−GloTM Luciferase Assay System(Promega社)を用いて、添付のプロトコールに従い、ルシフェラーゼの活性を測定した。ホタルルシフェラーゼ(ERβのリガンドバインディングドメインに対する結合活性の指標)の発光強度(Fluc)を、ウミシイタケルシフェラーゼ(plasmidの導入効率の指標)の発光強度(Rluc)で除したものを、Relative Light Unit(RLU)として算出した。その結果を表2に示す。
表2より、本発明化合物はERαには結合せず、ERβ選択的に結合することが確認された。一方、比較化合物ではERα、ERβいずれに対する結合も認められなかった。
(3)エストロゲン受容体(ERs)を介した転写活性の測定
HEK293細胞を96−well plateに3.0×10 cells/wellの細胞密度で播種した。その12時間後に培養液(5%(v/v)のチャコール処理血清を含むDMEM)を置換し、pcDNA3.1(Life Technologies社)のマルチプルクローニングサイトにERα、およびERβのオープンリーディングフレームを導入したpcDNA3−ERαもしくはpcDNA3−ERβをER Luciferase Reporter Vector(Affymetrix社)およびpRL−CMV(Promega社)と共に、Lipofectamine 2000(Life Technologies社)を用いて、製品添付のプロトコールに従って細胞に導入した。導入24時間後に、陰性コントロールであるエタノール溶媒を含む培地、エストラジオール(E2)(終濃度:0.01nM)、本発明化合物(終濃度100nM)を含む培地に置換し、さらに24時間培養した。その後、Dual−GloTM Luciferase Assay System(Promega社)を用いて、添付のプロトコールに従い、ルシフェラーゼの活性を測定した。ホタルルシフェラーゼ(Estrogen response element(ERE)を介した転写活性化能の指標)の発光強度(Fluc)を、ウミシイタケルシフェラーゼ(plasmidの導入効率の指標)の発光強度(Rluc)で除したものを、Relative Light Unit(RLU)として算出し、E2を0.01nMで処理した際のRLUを1とした場合の相対活性を求めた。結果を表3に示す。
表3より、本発明化合物にERβを介した転写活性化能が認められた。以上より、本発明化合物はERβと選択性高く結合し、標的遺伝子の転写を活性化する作用を有していることが確認された。
参考例1 皮脂の分泌抑制
<ハムスター耳介部への化合物の塗布>
6週齢のSyrian hamster雄(日本SLC製)を使用し、10%グリセリン含有エタノール溶媒のみを塗布するコントロール群を5匹、100nMのエストラジオール(和光純薬社製、以下同じ)を塗布するEstradiol(E2)群を5匹、160nMの1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−プロピル−1H−ピラゾール(PPT、ERα選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するPPT群を5匹、700nMの2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニトリル(DPN、ERβ選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するDPN群5匹を用意し、それぞれの溶液100μLを1日1回、2週間連続して耳介部に塗布した(PPT、DPNの塗布濃度はエストラジオールのEC50の値に基づいて設定した)。その後、J Invest Dermatol 124:1127 -1133, 2005に記載の方法に準じて耳介部を回収し、凍結組織包埋剤(OCTコンパウンド、 サクラファインテックジャパン)に包埋後、使用するまで−80℃にて保存した。
<オイルレッド染色(中性脂質の染色法)>
OCTコンパウンドに包埋した凍結耳介部組織より、クリオスタットを用いて6μmの厚さで凍結切片を作成し、スライドガラス上に貼り付けた(1匹に対して1スライド作成)。組織の固定を行うために、10% 中性緩衝ホルマリンに1分間浸漬し、その後OCTコンパウンドを除去するためにdistilled water(D.W.)に浸漬した。次に60%イソプロパノールに浸漬し、余分なイソプロパノールを除去した後、オイルレッド染色溶液を100μLマウントし5分間染色を行った。染色終了後、60% イソプロパノール、D.W.の順番で洗浄し、水溶性封入剤を用いて封入を行った。
<オイルレッド染色陽性領域の抽出>
皮脂腺においてオイルレッド染色陽性領域を抽出するために、顕微鏡下で組織像を取り込み、画像解析ソフトであるImage Pro Plus(Media Cybernetics社製)を用いて画像解析を行った。取り込んだ画像からダクト部分を含む皮脂腺をランダムに5つ選択し、皮脂腺1つにおけるオイルレッド染色陽性領域(赤色)のピクセル数を算出した。
<オイルレッド染色後の組織像>
オイルレッド染色後の組織像を図2に示した。基底細胞(最外層の細胞)付近の染色強度は弱く、成熟細胞の分化過程の進行(皮脂腺の中心に向かって分化は進行する)に伴い、染色強度が増強する傾向が認められた。コントロール群と比較しエストラジオール群、PPT群、DPN群で皮脂腺サイズの減少が視覚的にも確認された。
<皮脂腺サイズの測定>
各群の皮脂腺サイズをImage Pro Plusを用いて解析した結果を図1に示した。統計学的有意差検定はDunnett法を用いて解析した。その結果、コントロール群と比較してエストラジオール群、PPT群、DPN群のいずれも有意に皮脂腺サイズを縮小していた(p<0.01:コントロールvsエストラジオール、コントロールvsPPT、p<0.05:コントロールvsDPN)。また、有意差は認められなかったもののPPT群は、DPN群よりも若干強く皮脂腺サイズを抑制していた。
このことから、ERβの活性化は皮脂の分泌抑制に有効であることが示唆された。

Claims (5)

  1. 3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
  2. 3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
  3. 3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
  4. 3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするニキビ予防又は改善剤。
  5. 3,9−ジヒドロキプテロカルパンを有効成分とするホットフラッシュ予防又は改善剤。
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