JP2013067606A - エストロゲン受容体β活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】エストロゲン受容体βを選択的に活性化する、エストロゲン受容体β活性化剤の提供。
【解決手段】ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、エストロゲン受容体βに対して選択性の高い、エストロゲンβ受容体活性化剤に関する。
女性は閉経を迎えると血液中のエストロゲン濃度が著しく減少し、皮膚全体の機能に変化が生じることが知られている。特に、真皮においてはコラーゲン線維が著しく減少し、その結果しわやたるみといった皮膚老化現象が目立つようになる(非特許文献1、2)。
閉経後の女性に対して女性ホルモン補充療法(HRT)を行うとしわ、血行が改善すること、エストロゲンを塗布するとしわ、弾力性、水分量が改善することが報告されている(非特許文献3、4)。また、エストロゲンを塗布すると皮脂腺からの皮脂の分泌が抑制されることが報告されている(非特許文献5)。
エストロゲンは2種類のエストロゲン受容体(ERα、ERβ)に結合し、これらが協調して働くことでその作用を発揮することが知られている。エストロゲンは初めに、ERα、ERβのligand binding domain(LBD)に結合して立体構造を変化させ、それに続いて二量体(ERα/α、ERβ/β、ERα/βの三種類の組み合わせ)を形成する(非特許文献6、7)。二量体を形成したERは核内へ移行し、ゲノム上に存在するエストロゲン応答配列に結合し、そこで様々な共役因子をリクルートした後に、標的遺伝子の転写活性を制御する(非特許文献8、9)。
ERαとERβの標的遺伝子は、大部分が同一であることが報告されている(非特許文献10)。ところが最近になって、いくつかの相違する標的遺伝子の組み合わせに起因して、ERαとERβがそれぞれ異なる生理機能を有していることが示唆されている(非特許文献11)。例えば、ERαは、乳癌細胞の増殖を活性化する一方で、ERβは、その増殖を抑制するといった正反対の役割を果たしていることが報告されている(非特許文献12)。また、ERβは、皮膚の光老化を防御する機能を有することが報告されている(非特許文献13)。
このようなことから、ERβは安全にエストロゲンの作用を発揮できる理想的な分子であり、ERβを選択的に活性化できれば、エストロゲン減少に起因する皮膚老化症状の予防・改善等に有用であると考えられる。
一方、ホウトウ(Paulownia fortunei(Seem.)Hemsl.)はゴマノハグサ科の高木で、鼻炎、結膜炎、やけど等の治療に、カチラン(Crotalaria ferruginea Grah.)はマメ科の草木で、咳止めや耳鳴り等の治療に、キョウヨウヨウ(Populus adenpoda Maxim.)はヤナギ科の植物で、虫歯や打撲等の治療に、キンセンソウ(Desmodium styracifolium(Osb.)Werr)はマメ科の植物で、尿路感染や結石、胆石、腎炎浮腫、でき物、黄疸等の治療に、ロウバイ(Chimonanthus praecox(L.)Link)はロウバイ科の低木で、解熱、鎮咳、鎮痛、麻疹、百日咳等の治療に、ミゾコウジュ(Salvia plebeia R.Brown)はシソ科の草で、吐血、痔等の治療に、ウケツ(Stenoloma chusanum(L.)Ching)はイノモトソウ科の植物で、肝炎、急性気管支炎、やけど等の治療に、シナフジ(Wisteria sinensis Sweet)はマメ科のつる性の木本で、下剤等に、テンオウゴン(Scutellaria amoena C.H.Wright)はシソ科の植物で、消炎、解熱、気管支炎、風邪等の治療に、それぞれ有用なことが知られている。
しかしながら、これらの植物とエストロゲン受容体活性化との関係については知られていない。
Nicholas et al(2003)Am J Clin Dermatol 4:371−378 Hall et al(2005)J Am Acad Dermatol 53:555−68 Sator et al(2001)Maturitas 39:43−55 PiCrard−Franchimon et al(1995) Maturitas 22:151−154 Peter et al(1974)J Invest Dermatol 62:191−201 Mukherjee et al(2010)Pharm Res 27:1439−1468 Powell et al(2008)Proc Natl Acad Sci U S A 105:19012−19017 Kulakosky et al(2002)J Mol Endocrinol 29:137−152 Michael et al(2006) Genes Dev 2006 20 : 1405−1428 Liu et al(2008) Proc Natl Acad Sci USA 105:2604−2609 Liu et al(2008)Proc Natl Acad Sci U S A 105:2604−2609 Helguero et al(2005)Oncogene 24 : 6605−6616 Chang et al(2010)Mol Pharmacol 77:744−750
本発明は、エストロゲン受容体βに対して選択性の高い、エストロゲン受容体β活性化剤を提供することに関する。
本発明者は、ERβの分子構造内にあるligand binding domain(LBD)を利用した評価系及びDNA上に存在するエストロゲン応答配列を利用した転写活性化能評価系を構築し、エストロゲン受容体のうちERβの活性を選択的に高める物質について鋭意研究したところ、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴンに優れたエストロゲン受容体β活性化作用があることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に係るものである。
(1)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
(2)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
(3)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
(4)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
(5)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
本発明のエストロゲン受容体β活性化剤等は、エストロゲン受容体βを選択的に活性化し、また、乳癌発症・悪化の危険性がなく安全であることから、皮膚の老化症状の予防又は改善や皮脂腺からの皮脂分泌抑制効果等を発揮し得る医薬品、医薬部外品、化粧品として、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤として有用である。
ハムスター耳介部組織のオイルレッド染色を示す図である。 エストラジオール、PPT又はDPN塗布による皮脂腺サイズの変化を示す図である。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処理行為を含まない概念である。
本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
本明細書において、ホウトウとは、ゴマノハグサ科キリ属のPaulownia fortunei(Seem.)Hemsl.(和名ココノエギリ、キリ)を指し、カチランとは、マメ科タヌキマメ属のCrotalaria ferruginea Grah.(和名ナンバンタヌキマメ、キョウレイソウ)を指し、キョウヨウヨウとは、ヤナギ科ポプラ属のPopulus adenpoda Maxim.を指し、キンセンソウとは、マメ科ヌスビトハギ属のDesmodium styracifolium(Osb.)Werrを指し、ロウバイとは、ロウバイ科ロウバイ属のChimonanthus praecox(L.)Link(和名ロウバイ)を指し、ミゾコウジュとは、シソ科サルビア(アキギリ)属のSalvia plebeia R.Brown(和名ミゾコウジュ)を指し、ウケツとは、イノモトソウ科ステノロマ属のStenoloma chusanum(L.)Ching(和名ダイヨウキンカソウ)を指し、シナフジとは、マメ科フジ属のWisteria sinensis Sweet(和名シナフジ、シトウ)を指し、テンオウゴンとは、シソ科タツナミソウ属のScutellaria amoena C.H.Wright(和名オウゴン)を指す。
斯かる植物は、いずれの任意の部位、例えば全草、葉、茎、芽、花、蕾、木質部、樹皮、地衣体、根、根茎、仮球茎、球茎、塊茎、種子、果実、菌核若しくは樹脂等、又はそれらの組み合わせを使用することができるが、ホウトウ(Paulownia fortunei(Seem.)Hemsl.)は花、カチラン(Crotalaria ferruginea Grah.)は全草、キョウヨウヨウ(Populus adenpoda Maxim.)は根皮、樹皮或いは葉、キンセンソウ(Desmodium styracifolium(Osb.)Werr)は枝葉、ロウバイ(Chimonanthus praecox(L.)Link)は花蕾、ミゾコウジュ(Salvia plebeia R.Brown)は全草、ウケツ(Stenoloma chusanum(L.)Ching)は全草或いは根状茎、シナフジ(Wisteria sinensis Sweet)は茎葉、テンオウゴン(Scutellaria amoena C.H.Wright)は根、をそれぞれ用いるのが好ましい。
斯かる植物は、そのまま又は乾燥・粉砕等して用いることができる。また、上記部位は、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。該抽出物は天然成分由来であり安全性も高い。
抽出物を得る抽出手段は、具体的には、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができる。抽出時間を短縮する場合には、攪拌を伴う固液抽出が望ましい。この固液抽出の好適な条件の一例としては、100〜400r/minで1〜30分間の攪拌が挙げられる。
抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。
抽出のための溶剤には、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。溶剤の具体例としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び超臨界二酸化炭素;ピリジン類;油脂、ワックス等その他オイル類等の有機溶剤;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類、アルコール−水混合液、炭化水素類が挙げられ、アルコール−水混合液、炭化水素類がより好ましい。アルコール類としては炭素数1〜5のアルコール類が好ましく、エタノールがより好ましい。炭化水素類としてはヘキサンが好ましい。
抽出のための溶剤としてアルコール−水混合液を使用する場合には、アルコール類と水との配合割合(容量比)としては、0.001〜100:99.999〜0が好ましく、5〜95:95〜5がより好ましく、20〜80:80〜20がさらに好ましく、30〜70:70〜30がさらにより好ましく、40〜60:60〜40がなお好ましい。エタノール水溶液の場合、エタノール濃度が40〜60容量%であることが好ましい。
溶剤の使用量としては、それぞれの植物(乾燥質量換算)1gに対して1〜100mL、更に8〜50mLが好ましく、抽出時間としては、1分間〜100日間が好ましく、1分間〜3日間がより好ましい。このときの抽出温度は、0℃〜溶媒沸点、より好ましくは20〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃である。
斯くして得られる植物抽出物は、抽出液や画分をそのまま用いてもよく、適宜な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、或いは濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したものでもよい。また、凍結乾燥し、用時に、通常抽出に用いられる溶剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、水・エタノール混液、水・プロピレングリコール混液、水・ブチレングリコール混液等の溶剤で希釈して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
また、植物の抽出物は市販品を使用することもできる。
本発明の植物の抽出物は、食品上・医薬品上許容し得る規格に適合し本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよく、さらに得られた粗精製物を公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
後記実施例で示すとおり、本発明の植物又はそれらの抽出物は、ERβの分子構造内にあるligand binding domain(LBD)を利用したin vitro評価系において優れたエストロゲン受容体β活性化作用を示した。
当該評価系は、ERαとERβのligand binding domain(LBD)の配列の違い(J Endocrinol 163:379−383(1999))を利用した系であって、リガンドのLBDへの結合、ERの活性化を判別することによりERβの選択的な活性化評価を可能にしたものである。
また、本発明の植物又はそれらの抽出物は、エストロゲン応答配列(Estrogen Response Element:ERE、AGGTCAnnnTGACCT)を利用したERβを介する転写活性化能評価系において標的遺伝子の転写を活性化させる作用を示した。
そして、本発明の植物又はそれらの抽出物は、ERβを活性化することが有用と考えられる各種疾病や症状の予防、改善又は治療に有効であると考えられる。例えば、ERβが皮膚の光老化を防御する機能を有することが報告されていることから(非特許文献13)、本発明の植物又はそれらの抽出物は、皮膚のシワ、タルミ(弛緩)、弾力性やハリの低下等の皮膚の老化症状の予防、改善又は治療に有効であると考えられる。
また、後記参考例に示すように、ERβの活性化によりハムスター耳介部の皮脂腺の大きさが減少するため、本発明の植物又はそれらの抽出物は皮脂の分泌抑制やニキビの改善に有効であると考えられる。
従って、本発明の植物又はその抽出物は、ERβの選択的な活性化のために或いは皮膚の老化症状の予防、改善又は治療や、皮脂の分泌抑制のために使用することができる。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
また、本発明の植物又はそれらの抽出物は、エストロゲン受容体β活性剤、皮膚外用剤、皮膚老化予防又は改善剤、皮脂分泌抑制剤、ニキビ改善剤(以下、エストロゲン受容体β活性剤等)として使用することができ、さらにこれらの剤を製造するために使用することができる。このとき、当該エストロゲン受容体β活性化剤等には、本発明の植物及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を単独で、又はこれ以外に、必要に応じて適宜選択した担体等の、配合すべき後述の対象物において許容されるものを使用してもよい。なお、当該製剤は配合すべき対象物に応じて常法により製造することができる。
当該エストロゲン受容体β活性剤等は、それ自体、ERβの選択的活性化、皮膚の老化症状の予防、改善又は治療、皮脂の分泌抑制効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、化粧料、食品又は飼料であってもよく、又は当該医薬品等に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。ここで、食品には、エストロゲンβ受容体の活性化或いは皮膚の老化症状の予防、改善又は治療や、皮脂の分泌抑制、ニキビ改善等の生理機能をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した飲食品、機能性飲食品、病者用飲食品、特定保健用食品等が包含される。
上記医薬品(医薬部外品も含む)の剤形は、例えば注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、各種外用剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の何れでもよく、また投与形態も、経口投与(内用)、非経口投与(外用、注射)の何れであってもよい。
このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与でありエストロゲン受容体β活性剤等を含む製剤中の本発明の植物又はそれらの抽出物の含有量(抽出物の乾燥物換算)は、一般的に0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、そして10質量%以下、好ましくは1質量%以下が挙げられる。例えば0.00001〜10質量%とするのが好ましく、0.0001〜1質量%とするのがより好ましい。
上記食品の形態は、固形、半固形又は液状であり得、例えば、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。
種々の形態の食品を調製するには、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中の本発明の植物又はそれらの抽出物の含有量(抽出物の乾燥物換算)は、一般的に0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして100質量%以下、95質量%以下が挙げられる。例えば0.01〜100質量%とするのが好ましく、0.1〜100質量%とするのがより好ましく、更に好ましくは1〜100質量%とするのが好ましい。
また、上記飼料としては、例えば牛、豚、鶏、羊、馬等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、マグロ、ウナギ、タイ、ハマチ等に用いる魚介類用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等が挙げられる。
尚、飼料を製造する場合には、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等の他に、牛、豚、羊等の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を組み合わせて用いることができる。
また、飼料中の、本発明の植物又はそれらの抽出物の含有量は、その使用形態により異なるが、乾燥物換算で、通常0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、そして20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下が挙げられる。例えば0.0001〜20質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
本発明のエストロゲン受容体β活性剤等の投与量又は摂取量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与又は摂取の場合成人1人当たり、植物抽出物(乾燥物換算)として、1日あたり0.01mg〜100mg/kgとすることが好ましく、特に0.1mg〜10mg/kgとするのが好ましい。
上記化粧料(医薬部外品も含む)のは、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料等の形態とすることができ、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の化粧料は、本発明の植物及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種と、皮膚化粧料に配合され得る、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤(例えば、抗炎症剤、殺菌剤、酸化防止剤、ビタミン類、脂肪代謝促進作用又は脱共役蛋白質発現促進作用が知られている薬物或いは天然物)、香料、樹脂、防菌防黴剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
当該化粧料の全量中の、本発明の植物又はそれらの抽出物は、抽出物の乾燥物換算で、通常0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、そして20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下が挙げられる。例えば0.0001〜20質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
<2> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
<3> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
<4> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
<5> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
<6> エストロゲン受容体β活性化剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<7> 皮膚外用剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<8> 皮膚老化予防又は改善剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<9> 皮脂分泌抑制剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<10> ニキビ改善剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<11> エストロゲン受容体β活性化に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<12> 皮膚に外用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<13> 皮膚老化予防又は改善に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<14> 皮脂分泌抑に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<15> ニキビ改善に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<16> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取するエストロゲン受容体β活性化方法。
<17> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取する皮膚老化予防又は改善方法。
<18> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取する皮脂分泌抑制方法。
<19> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取するニキビ改善方法。
参考例1 皮脂の分泌抑制
<ハムスター耳介部への化合物の塗布>
6週齢のSyrian hamster雄(日本SLC製)を使用し、10%グリセリン含有エタノール溶媒のみを塗布するコントロール群を5匹、100nMのエストラジオール(和光純薬社製、以下同じ)を塗布するEstradiol(E2)群を5匹、160nMの1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−プロピル−1H−ピラゾール(PPT、ERα選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するPPT群を5匹、700nMの2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニトリル(DPN、ERβ選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するDPN群5匹を用意し、それぞれの溶液100μlを1日1回、2週間連続して耳介部に塗布した(PPT、DPNの塗布濃度はエストラジオールのEC50の値に基づいて設定した)。その後、J Invest Dermatol 124:1127−1133, 2005に記載の方法に準じて耳介部を回収し、凍結組織包埋剤(OCTコンパウンド、 サクラファインテックジャパン)に包埋後、使用するまで−80℃にて保存した。
<オイルレッド染色(中性脂質の染色法)>
OCTコンパウンドに包埋した凍結耳介部組織より、クリオスタットを用いて6μmの厚さで凍結切片を作成し、スライドガラス上に貼り付けた(1匹に対して1スライド作成)。組織の固定を行うために、10% 中性緩衝ホルマリンに1分間浸漬し、その後OCTコンパウンドを除去するためにdistilled water(D.W.)に浸漬した。次に60%イソプロパノールに浸漬し、余分なイソプロパノールを除去した後、オイルレッド染色溶液を100μLマウントし5分間染色を行った。染色終了後、60% イソプロパノール、D.W.の順番で洗浄し、水溶性封入剤を用いて封入を行った。
<オイルレッド染色陽性領域の抽出>
皮脂腺においてオイルレッド染色陽性領域を抽出するために、顕微鏡下で組織像を取り込み、画像解析ソフトであるImage Pro Plus(Media Cybernetics社製)を用いて画像解析を行った。取り込んだ画像からダクト部分を含む皮脂腺をランダムに5つ選択し、皮脂腺1つにおけるオイルレッド染色陽性領域(赤色)のピクセル数を算出した。
<オイルレッド染色後の組織像>
オイルレッド染色後の組織像を図1に示した。基底細胞(最外層の細胞)付近の染色強度は弱く、成熟細胞の分化過程の進行(皮脂腺の中心に向かって分化は進行する)に伴い、染色強度が増強する傾向が認められた。コントロール群と比較しエストラジオール群、PPT群、DPN群で皮脂腺サイズの減少が視覚的にも確認された。
<皮脂腺サイズの測定>
各群の皮脂腺サイズをImage Pro Plusを用いて解析した結果を図2に示した。統計学的有意差検定はDunnett法を用いて解析した。その結果、コントロール群と比較してエストラジオール群、PPT群、DPN群のいずれも有意に皮脂腺サイズを縮小していた(p<0.01:コントロールvsエストラジオール、コントロールvsPPT、p<0.05:コントロールvsDPN)。また、有意差は認められなかったもののPPT群は、DPN群よりも若干強く皮脂腺サイズを抑制していた。
このことから、ERβの活性化は皮脂の分泌抑制に有効であることが示唆された。
参考例2 評価系の構築
pBIND−ERα及びpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]はPromega社より購入した。pBIND−ERβは、pBIND vectorにERβのLBD(アミノ酸配列:222−531)をクローニングしプラスミドを構築した。
この評価系では、ERのLBDに被験物質が反応した場合にのみ、pGL4.35にコードされたホタルルシフェラーゼの転写活性が上昇する(詳細はPharm Res 27:1439−1468(2010)参照)。
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pBIND−ERα又はpBIND−ERβをpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]とともに、Lipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照である50(v/v)%エタノール、陽性対照であるエストラジオール、PPT又はDPNをそれぞれ表1記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。
ホタルルシフェラーゼ(ER活性の指標)、及びウミシイタケルシフェラーゼ(plasmidの導入効率の指標)の活性測定には、Dual−GloTM Luciferase Assay System(Promega社)を用い、添付のプロトコールに従いルシフェラーゼ活性を測定した。ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。それぞれの結合活性の値は陽性対照であるエストラジオールを終濃度10nMで添加した際のRLUを1とした場合の相対値として示した。
結果を表1に示す。対ERα、対ERβの欄の数値は、それぞれpBIND−ERαを導入した細胞、pBIND−ERβを導入した細胞に、各化合物を添加した際の結合活性を示している。結合活性増強作用の評価は陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際の結合活性値と比較して行った。
その結果、pBIND−ERαを導入した細胞では陽性対照であるエストラジオール及びERα選択的アゴニストであるPPTによるERαとの結合活性増強作用が認められた。他方、pBIND−ERβを導入した細胞ではエストラジオール及びERβ選択的アゴニストであるDPNによるERβとの結合活性増強作用が認められ、PPTによるERβとの結合活性増強作用は認められなかった。このことから、当該評価系によりERβとの結合活性を選択的に増強する物質の探索が可能であることが確認された。
実施例1 各抽出物におけるERβ結合活性の選択的増強作用
<植物抽出物の調製>
(製造例1)ホウトウ(Paulownia fortunei(Seem.)Hemsl.)抽出物の調製
ホウトウの花200gに、15倍量(3L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、85℃、3時間で抽出し、不溶物をろ別後、抽出液を得、減圧濃縮し、ホウトウの抽出乾固物を得た。
この抽出固形分を50(v/v)%エタノールに溶解し、ホウトウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例2)カチラン(Crotalaria ferruginea Grah.)抽出物の調製
カチランの全草100gに、20倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてカチランの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例3)キョウヨウヨウ(Populus adenpoda Maxim.)抽出物の調製
キョウヨウヨウの根皮、樹皮、葉計100gに、20倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてキョウヨウヨウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例4)キンセンソウ(Desmodium styracifolium(Osb.)Werr)抽出物の調製
キンセンソウの枝葉200gに、10倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてキンセンソウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例5)ロウバイ(Chimonanthus praecox(L.)Link)抽出物の調製
ロウバイの花蕾180gに、約11倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてロウバイの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例6)ミゾコウジュ(Salvia plebeia R.Brown)抽出物の調製
ミゾコウジュの全草100gに、15倍量(1.5L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてミゾコウジュの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例7)ウケツ(Stenoloma chusanum(L.)Ching)抽出物の調製
ウケツの全草、根状茎計200gに、11倍量(2.2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてウケツの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例8)シナフジ(Wisteria sinensis Sweet)抽出物の調製
シナフジの茎葉200gに、10倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてシナフジの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
(製造例9)テンオウゴン(Scutellaria amoena C.H.Wright)抽出物の調製
テンオウゴンの根200gに、15倍量(3L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてテンオウゴンの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
<評価方法>
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104 cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pBIND−ERα、もしくはpBIND−ERβをpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]とともに、Lipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液、陽性対照であるエストラジオール(終濃度10nM)、又は上記製造例1〜9で調製した植物抽出物を表2記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。
ルシフェラーゼ活性を上記と同様にして測定し、ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。それぞれの活性値は陽性対照におけるRLUを1とした場合の相対値として示した。結合活性増強作用の評価は陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際の結合活性値と比較して行った。
結果を表2に示す。
<結果>
表2より、本発明の植物抽出物はERαと比較してERβとの結合活性増強作用が顕著に高いことが認められた。
このことから、上記植物抽出物は、ERβと選択性高く結合し、活性化する作用を有していることが確認された。
参考例3 ERβを介する転写活性化能評価系の構築
ERβは、ゲノム上に存在するERE(J Steroid Biochem Mol Biol. 120, 172-9, (2010).)に結合し、標的遺伝子の転写を制御することが知られている。そこで、EREを利用し、ERβを介した転写活性化能の有無を評価できる系の構築を行った。
pERE(ホタルルシフェラーゼ)はSABiosciences社より購入した。pRL−CMV(ウミシイタケルシフェラーゼ)は、Promega社より購入した。
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104 cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pERE、pRL−CMV及びpcDNA3−ERβをLipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照として50(v/v)%エタノール、陽性対照としてエストラジオール、PPT又はDPNをそれぞれ表3記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。ホタルルシフェラーゼ(転写活性化能の指標)、及びウミシイタケルシフェラーゼ(plasmidの導入効率の指標)の活性測定には、Dual−GloTM Luciferase Assay System(Promega社)を用い、添付のプロトコールに従い実施した。ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。ERβを介した転写活性化能は、陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際のRLUと比較して評価した。
その結果、PPT又はDPNを添加したところ、PPTよりもDPNの方が、ERβを介した転写活性化能が高かった。このことから、当該評価系はERβを介した転写活性化能を評価するのに有用であることが確認された。
実施例2 各抽出物におけるERβを介した転写活性化能の評価
<評価方法>
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104 cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pERE、pRL−CMV及びpcDNA3−ERβをLipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照として50(v/v)%エタノール、陽性対照としてエストラジオール、又は上記製造例1〜9で調製した各植物抽出物を表4記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。ルシフェラーゼ活性を上記と同様にして測定し、ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。ERβを介した転写活性化能は、陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際のRLUと比較して評価した。
<結果>
表4より、本発明の植物抽出物にERβを介した転写活性化能が認められた。以上より、本発明の植物抽出物はERβと選択性高く結合し、標的遺伝子の転写を活性化する作用を有していることが確認された。
実施例2 植物抽出物の皮脂分泌抑制作用
<評価方法>
ハムスター初代培養皮脂腺細胞(クラボウ社)を24−well plateに1×105cells/wellとなるよう播種し、3日間Humedia−BG(クラボウ社)で培養した後、陰性対照であるDimethyl sulfoxide(コントロール)、皮脂蓄積を抑制することが知られているall trans retinoic acid(atRA)、アダパレン(adapalene)、および上記製造例1で調製したホウトウ抽出物をそれぞれ1.0(v/v)%となるように添加したHumedia−BD(クラボウ社)中で更に3日間培養した。培養後、それぞれのwellをPBSで2回洗浄し、10μg/ml Nile Red染色液を滴下し30分37℃、CO2 5%の条件下で染色した。染色終了後にPBSで2回洗浄し、485nmの励起波長を当て、565nmの波長の蛍光強度を測定した。
<結果>
ホウトウ抽出物は、ハムスター皮脂腺細胞における皮脂の産生を抑制した(表1)。

Claims (5)

  1. ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
  2. ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
  3. ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
  4. ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
  5. ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
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