JP2013067606A - エストロゲン受容体β活性化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
【選択図】なし
Description
閉経後の女性に対して女性ホルモン補充療法(HRT)を行うとしわ、血行が改善すること、エストロゲンを塗布するとしわ、弾力性、水分量が改善することが報告されている(非特許文献3、4)。また、エストロゲンを塗布すると皮脂腺からの皮脂の分泌が抑制されることが報告されている(非特許文献5)。
ERαとERβの標的遺伝子は、大部分が同一であることが報告されている(非特許文献10)。ところが最近になって、いくつかの相違する標的遺伝子の組み合わせに起因して、ERαとERβがそれぞれ異なる生理機能を有していることが示唆されている(非特許文献11)。例えば、ERαは、乳癌細胞の増殖を活性化する一方で、ERβは、その増殖を抑制するといった正反対の役割を果たしていることが報告されている(非特許文献12)。また、ERβは、皮膚の光老化を防御する機能を有することが報告されている(非特許文献13)。
このようなことから、ERβは安全にエストロゲンの作用を発揮できる理想的な分子であり、ERβを選択的に活性化できれば、エストロゲン減少に起因する皮膚老化症状の予防・改善等に有用であると考えられる。
しかしながら、これらの植物とエストロゲン受容体活性化との関係については知られていない。
(1)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
(2)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
(3)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
(4)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
(5)ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
斯かる植物は、そのまま又は乾燥・粉砕等して用いることができる。また、上記部位は、そのまま抽出工程に付されてもよく、又は粉砕、切断若しくは乾燥された後に抽出工程に付されてもよい。該抽出物は天然成分由来であり安全性も高い。
抽出物の酸化を防止するため、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する手段を併用してもよい。
また、植物の抽出物は市販品を使用することもできる。
当該評価系は、ERαとERβのligand binding domain(LBD)の配列の違い(J Endocrinol 163:379−383(1999))を利用した系であって、リガンドのLBDへの結合、ERの活性化を判別することによりERβの選択的な活性化評価を可能にしたものである。
また、本発明の植物又はそれらの抽出物は、エストロゲン応答配列(Estrogen Response Element:ERE、AGGTCAnnnTGACCT)を利用したERβを介する転写活性化能評価系において標的遺伝子の転写を活性化させる作用を示した。
そして、本発明の植物又はそれらの抽出物は、ERβを活性化することが有用と考えられる各種疾病や症状の予防、改善又は治療に有効であると考えられる。例えば、ERβが皮膚の光老化を防御する機能を有することが報告されていることから(非特許文献13)、本発明の植物又はそれらの抽出物は、皮膚のシワ、タルミ(弛緩)、弾力性やハリの低下等の皮膚の老化症状の予防、改善又は治療に有効であると考えられる。
また、後記参考例に示すように、ERβの活性化によりハムスター耳介部の皮脂腺の大きさが減少するため、本発明の植物又はそれらの抽出物は皮脂の分泌抑制やニキビの改善に有効であると考えられる。
このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
種々の形態の食品を調製するには、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中の本発明の植物又はそれらの抽出物の含有量(抽出物の乾燥物換算)は、一般的に0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして100質量%以下、95質量%以下が挙げられる。例えば0.01〜100質量%とするのが好ましく、0.1〜100質量%とするのがより好ましく、更に好ましくは1〜100質量%とするのが好ましい。
尚、飼料を製造する場合には、本発明のエストロゲン受容体β活性剤等の他に、牛、豚、羊等の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を組み合わせて用いることができる。
また、飼料中の、本発明の植物又はそれらの抽出物の含有量は、その使用形態により異なるが、乾燥物換算で、通常0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、そして20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下が挙げられる。例えば0.0001〜20質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
<1> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
<2> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
<3> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
<4> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
<5> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
<7> 皮膚外用剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<8> 皮膚老化予防又は改善剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<9> 皮脂分泌抑制剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<10> ニキビ改善剤を製造するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種の使用。
<11> エストロゲン受容体β活性化に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<12> 皮膚に外用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<13> 皮膚老化予防又は改善に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<14> 皮脂分泌抑に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<15> ニキビ改善に使用するための、ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種。
<16> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取するエストロゲン受容体β活性化方法。
<17> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取する皮膚老化予防又は改善方法。
<18> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取する皮脂分泌抑制方法。
<19> ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を、それらを必要とする対象に投与又は摂取するニキビ改善方法。
<ハムスター耳介部への化合物の塗布>
6週齢のSyrian hamster雄(日本SLC製)を使用し、10%グリセリン含有エタノール溶媒のみを塗布するコントロール群を5匹、100nMのエストラジオール(和光純薬社製、以下同じ)を塗布するEstradiol(E2)群を5匹、160nMの1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−4−プロピル−1H−ピラゾール(PPT、ERα選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するPPT群を5匹、700nMの2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニトリル(DPN、ERβ選択的アゴニスト、Tocris社製、以下同じ)を塗布するDPN群5匹を用意し、それぞれの溶液100μlを1日1回、2週間連続して耳介部に塗布した(PPT、DPNの塗布濃度はエストラジオールのEC50の値に基づいて設定した)。その後、J Invest Dermatol 124:1127−1133, 2005に記載の方法に準じて耳介部を回収し、凍結組織包埋剤(OCTコンパウンド、 サクラファインテックジャパン)に包埋後、使用するまで−80℃にて保存した。
OCTコンパウンドに包埋した凍結耳介部組織より、クリオスタットを用いて6μmの厚さで凍結切片を作成し、スライドガラス上に貼り付けた(1匹に対して1スライド作成)。組織の固定を行うために、10% 中性緩衝ホルマリンに1分間浸漬し、その後OCTコンパウンドを除去するためにdistilled water(D.W.)に浸漬した。次に60%イソプロパノールに浸漬し、余分なイソプロパノールを除去した後、オイルレッド染色溶液を100μLマウントし5分間染色を行った。染色終了後、60% イソプロパノール、D.W.の順番で洗浄し、水溶性封入剤を用いて封入を行った。
皮脂腺においてオイルレッド染色陽性領域を抽出するために、顕微鏡下で組織像を取り込み、画像解析ソフトであるImage Pro Plus(Media Cybernetics社製)を用いて画像解析を行った。取り込んだ画像からダクト部分を含む皮脂腺をランダムに5つ選択し、皮脂腺1つにおけるオイルレッド染色陽性領域(赤色)のピクセル数を算出した。
オイルレッド染色後の組織像を図1に示した。基底細胞(最外層の細胞)付近の染色強度は弱く、成熟細胞の分化過程の進行(皮脂腺の中心に向かって分化は進行する)に伴い、染色強度が増強する傾向が認められた。コントロール群と比較しエストラジオール群、PPT群、DPN群で皮脂腺サイズの減少が視覚的にも確認された。
各群の皮脂腺サイズをImage Pro Plusを用いて解析した結果を図2に示した。統計学的有意差検定はDunnett法を用いて解析した。その結果、コントロール群と比較してエストラジオール群、PPT群、DPN群のいずれも有意に皮脂腺サイズを縮小していた(p<0.01:コントロールvsエストラジオール、コントロールvsPPT、p<0.05:コントロールvsDPN)。また、有意差は認められなかったもののPPT群は、DPN群よりも若干強く皮脂腺サイズを抑制していた。
このことから、ERβの活性化は皮脂の分泌抑制に有効であることが示唆された。
pBIND−ERα及びpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]はPromega社より購入した。pBIND−ERβは、pBIND vectorにERβのLBD(アミノ酸配列:222−531)をクローニングしプラスミドを構築した。
この評価系では、ERのLBDに被験物質が反応した場合にのみ、pGL4.35にコードされたホタルルシフェラーゼの転写活性が上昇する(詳細はPharm Res 27:1439−1468(2010)参照)。
ホタルルシフェラーゼ(ER活性の指標)、及びウミシイタケルシフェラーゼ(plasmidの導入効率の指標)の活性測定には、Dual−GloTM Luciferase Assay System(Promega社)を用い、添付のプロトコールに従いルシフェラーゼ活性を測定した。ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。それぞれの結合活性の値は陽性対照であるエストラジオールを終濃度10nMで添加した際のRLUを1とした場合の相対値として示した。
結果を表1に示す。対ERα、対ERβの欄の数値は、それぞれpBIND−ERαを導入した細胞、pBIND−ERβを導入した細胞に、各化合物を添加した際の結合活性を示している。結合活性増強作用の評価は陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際の結合活性値と比較して行った。
<植物抽出物の調製>
(製造例1)ホウトウ(Paulownia fortunei(Seem.)Hemsl.)抽出物の調製
ホウトウの花200gに、15倍量(3L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、85℃、3時間で抽出し、不溶物をろ別後、抽出液を得、減圧濃縮し、ホウトウの抽出乾固物を得た。
この抽出固形分を50(v/v)%エタノールに溶解し、ホウトウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
カチランの全草100gに、20倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてカチランの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
キョウヨウヨウの根皮、樹皮、葉計100gに、20倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてキョウヨウヨウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
キンセンソウの枝葉200gに、10倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてキンセンソウの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
ロウバイの花蕾180gに、約11倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてロウバイの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
ミゾコウジュの全草100gに、15倍量(1.5L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてミゾコウジュの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
ウケツの全草、根状茎計200gに、11倍量(2.2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてウケツの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
シナフジの茎葉200gに、10倍量(2L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてシナフジの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
テンオウゴンの根200gに、15倍量(3L)の50(v/v)%エタノール−水混合溶液を加え、上記(1)と同様にしてテンオウゴンの50(v/v)%エタノール抽出物を調製した。
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104 cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pBIND−ERα、もしくはpBIND−ERβをpGL4.35[luc2P/9XGAL4UAS/Hygro]とともに、Lipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液、陽性対照であるエストラジオール(終濃度10nM)、又は上記製造例1〜9で調製した植物抽出物を表2記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。
ルシフェラーゼ活性を上記と同様にして測定し、ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。それぞれの活性値は陽性対照におけるRLUを1とした場合の相対値として示した。結合活性増強作用の評価は陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際の結合活性値と比較して行った。
結果を表2に示す。
表2より、本発明の植物抽出物はERαと比較してERβとの結合活性増強作用が顕著に高いことが認められた。
このことから、上記植物抽出物は、ERβと選択性高く結合し、活性化する作用を有していることが確認された。
ERβは、ゲノム上に存在するERE(J Steroid Biochem Mol Biol. 120, 172-9, (2010).)に結合し、標的遺伝子の転写を制御することが知られている。そこで、EREを利用し、ERβを介した転写活性化能の有無を評価できる系の構築を行った。
pERE(ホタルルシフェラーゼ)はSABiosciences社より購入した。pRL−CMV(ウミシイタケルシフェラーゼ)は、Promega社より購入した。
<評価方法>
HEK293細胞を96−well plateに4.0×104 cells/wellの細胞密度で播種し、その12時間後に培養液(5% チャコール処理血清を含むDMEM)を交換し、pERE、pRL−CMV及びpcDNA3−ERβをLipofectamine 2000(Invtrogen社)を用い、製品添付のプロトコールに従い細胞に導入した。導入24時間後に、陰性対照として50(v/v)%エタノール、陽性対照としてエストラジオール、又は上記製造例1〜9で調製した各植物抽出物を表4記載の終濃度となるように添加し、さらに24時間培養を行った。ルシフェラーゼ活性を上記と同様にして測定し、ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除したものを、Relative light unit(RLU)として算出した。ERβを介した転写活性化能は、陰性対照である50(v/v)%エタノール水溶液を添加した際のRLUと比較して評価した。
表4より、本発明の植物抽出物にERβを介した転写活性化能が認められた。以上より、本発明の植物抽出物はERβと選択性高く結合し、標的遺伝子の転写を活性化する作用を有していることが確認された。
<評価方法>
ハムスター初代培養皮脂腺細胞(クラボウ社)を24−well plateに1×105cells/wellとなるよう播種し、3日間Humedia−BG(クラボウ社)で培養した後、陰性対照であるDimethyl sulfoxide(コントロール)、皮脂蓄積を抑制することが知られているall trans retinoic acid(atRA)、アダパレン(adapalene)、および上記製造例1で調製したホウトウ抽出物をそれぞれ1.0(v/v)%となるように添加したHumedia−BD(クラボウ社)中で更に3日間培養した。培養後、それぞれのwellをPBSで2回洗浄し、10μg/ml Nile Red染色液を滴下し30分37℃、CO2 5%の条件下で染色した。染色終了後にPBSで2回洗浄し、485nmの励起波長を当て、565nmの波長の蛍光強度を測定した。
ホウトウ抽出物は、ハムスター皮脂腺細胞における皮脂の産生を抑制した(表1)。
Claims (5)
- ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ、ウケツ、シナフジ、テンオウゴン及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするエストロゲン受容体β活性化剤。
- ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する皮膚外用剤。
- ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ウケツ、シナフジ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮膚老化予防又は改善剤。
- ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とする皮脂分泌抑制剤。
- ホウトウ、カチラン、キョウヨウヨウ、キンセンソウ、ロウバイ、ミゾコウジュ及びそれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするニキビ改善剤。
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