JP2020010325A - 高周波受動部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板から広壁が剥離することを抑制することが可能な高周波受動部品を提供する。【解決手段】導波領域20を含む誘電体からなる基板10と、基板10の両面に形成された広壁11,12および広壁11,12に接続された貫通電極13により導波領域20を囲むように構成される導波路構造21と、基板10上において広壁11の外側に形成された第1誘電体層15と、第1誘電体層15が形成された基板10の面に形成された広壁11の上に形成された第2誘電体層16と、上部導体層14と、を備え、上部導体層14は、第1誘電体層15と、第1誘電体層15および広壁11の間の基板10上と、広壁11と、に渡って形成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、ミリ波等の高周波通信に利用可能な導波路構造を有する高周波受動部品に関する。
近年、ミリ波帯を利用した数G[bps]の高速大容量通信が提案され、その一部が実現されつつある。小型で安価なミリ波通信モジュールを実現する形態として、例えば、特許文献1には、ポスト壁導波路(Post−wall Waveguide)を利用したモード変換器が提案されている。
導波路構造のうち広壁は導体層の面積が大きい。このため、広壁の上に誘電体層を形成すると、場合によっては広壁が基板から剥離することがあった。高周波用途の基板材料を選択する場合は、広壁に対する密着性よりも、高周波特性に優れていることが優先的に要求されることがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板から広壁が剥離することを抑制することが可能な高周波受動部品を提供する。
前記課題を解決するため、本発明は、導波領域を含む誘電体からなる基板と、前記基板の両面に形成された広壁および前記広壁に接続された貫通電極により前記導波領域を囲むように構成される導波路構造と、前記基板上において前記広壁の外側に形成された第1誘電体層と、前記第1誘電体層が形成された前記基板の面に形成された前記広壁の上に形成された第2誘電体層と、上部導体層と、を備え、前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、に渡って形成されていることを特徴とする高周波受動部品を提供する。
前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、前記第2誘電体層と、に渡って形成されていてもよい。
前記上部導体層が、前記広壁の周囲の少なくとも隅部に配置されていてもよい。
前記上部導体層が、前記広壁の周囲の全体に配置されていてもよい。
前記上部導体層が、前記広壁の周囲の全体に配置されていてもよい。
前記基板を構成する誘電体がガラスから構成され、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層を構成する誘電体が樹脂から構成されていてもよい。
前記上部導体層は、少なくとも一部を、樹脂で封止されていてもよい。
前記上部導体層は、少なくとも一部を、樹脂で封止されていてもよい。
前記導波路構造とは異なる位置において、前記基板の両面に貫通した貫通電極を有する貫通構造と、前記基板上において前記貫通構造から離れて形成された第3誘電体層と、接続導体層と、を有し、前記接続導体層は、前記貫通構造と、前記貫通構造および前記第3誘電体層の間の前記基板上と、前記第3誘電体層と、に渡って形成されていてもよい。
前記第1誘電体層および前記上部導体層を前記基板の両面に備え、前記基板の両面において、前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、に渡って形成されていてもよい。
前記上部導体層が、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁の端部とを覆う箇所において、前記基板と接触する位置における前記広壁の端部が、前記基板から離れた位置における前記広壁の端部よりも、外側に位置してもよい。
前記上部導体層が、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁の端部とを覆う箇所において、前記広壁の端部が、前記基板から離れた位置と、前記基板と接触する位置との間に、前記上部導体層が追従した凹部を有してもよい。
本発明によれば、導波路構造を有する基板上において、誘電体層と上部導体層との配置を工夫することにより、基板から広壁が剥離することを抑制することができる。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、高周波受動部品の外観を例示する。この高周波受動部品においては、基板10に導波路構造21が形成されている。基板10としては、例えば、ガラス基板、サファイア基板、石英基板などの誘電体基板、単結晶基板、複合基板等が挙げられる。この導波路構造21は、例えばミリ波などの高周波信号(電磁波)が伝搬される高周波デバイスの導波路構造として利用することができる。周波数は特に限定されないが、例えば30〜300GHz、60〜80GHz等が挙げられる。基板は、誘電正接が小さい等、高周波特性の優れた材料が好ましい。
図2に、第1実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。基板10は、ガラス等の誘電体からなり、導波路構造21の導波領域20を含む。導波領域20は、基板10の両面に形成された広壁11,12と、両端が広壁11,12に接続された貫通電極13により囲まれている。導波領域20は、高周波信号が伝搬する経路として機能する。導波路構造21は、導波路、フィルタ、ダイプレクサ、方向性結合器、分配器等の受動部品(パッシブデバイス)を構成してもよい。
広壁11,12が形成される基板10の両面とは、厚さ方向で互いに対向する面である。広壁11,12は、例えば金属薄膜等の導体層から構成することができる。広壁11,12は、グランド電位(図示せず)に接続されていてもよい。貫通電極13は、基板10に形成された貫通孔13aの内壁に設けられる。貫通電極13が、貫通孔13a内で中空に構成されてもよく、貫通孔13a内を中実に充填してもよい。
導波路構造21は、少なくとも導波領域20に接する広壁11,12および貫通電極13を備えればよい。導波路構造21の外側の領域22は、基板10において導波領域20を除いた外側の領域である。広壁11,12は、領域22まで延在してもよい。
貫通電極13は、図1に示すように、例えば多数を配列することで導波領域20を囲む壁部を構成することができる。貫通電極13から構成される壁部としては、導波路構造21の幅方向に対向する狭壁、長手方向の端部に設けられるショート壁、その他の側壁等が挙げられる。壁部を構成する貫通電極13の形状は、図1のような円柱形状等の導体柱(ポスト)に限定されない。例えば、壁部に沿って連続した形状、隅部に沿って連続した形状などを採用することもできる。また、貫通電極13の配列も、受動部品の機能等に応じて種々の構成が可能であり、貫通電極13が等間隔に配置された部分、貫通電極13の間隔が不均等の部分、貫通電極13が所定の区間に渡り配置されていない部分等を設けてもよい。
貫通電極13と接続される広壁11,12の外周部11e,12eは、基板10上に配置されている。基板10上において広壁11の外側には、第1誘電体層15が形成されている。また、広壁11の上には、第2誘電体層16が形成されている。図2に示す第1実施形態の高周波受動部品の場合は、第2誘電体層16が、平面視で導波領域20の内側に配置されている。
以下の説明では、第1誘電体層15および第2誘電体層16を総称して、誘電体層15,16という場合がある。誘電体層15,16は、同一の成膜プロセスで形成してもよく、別々の成膜プロセスで形成してもよい。誘電体層15,16を構成する材料としては、例えば樹脂が挙げられる。
第2誘電体層16に配置された上部導体層14は、広壁11の外周部11eを経て、第1誘電体層15に達している。広壁11と第1誘電体層15との間においては、上部導体層14が基板10上に配置されている。上部導体層14は、第2誘電体層16において、穴、間隙等の空隙部14aを有してもよい。上部導体層14が貫通電極13上に形成される場合には、貫通電極13との接続部14bが貫通孔13a内に形成されてもよい。
第2誘電体層16に配置された上部導体層14の端部14eは、基板10から厚さ方向に離れた位置に配置されている。端部14eの位置は、基板10の面方向に沿った第2誘電体層16の上面に配置されてもよく、基板10の厚さ方向に沿った第2誘電体層16の側面に配置されてもよい。第2誘電体層16に配置された上部導体層14が、外部接続用のパッドを有してもよい。パッドは、配線よりも幅が広い導体パターンで構成することができる。パッドの平面形状は特に限定されず、例えば四角形等の多角形、円形等が挙げられる。
上部導体層14が、第1誘電体層15と、第1誘電体層15および広壁11の間の基板10上と、広壁11と、第2誘電体層16と、に渡って形成されている。上部導体層14が広壁11に接続されているため、面積が大きい広壁11の外周部11eを疑似的に第1誘電体層15に配置された上部導体層14の端部14eに置き換えることができる。例えばフォトリソグラフィにより成膜する場合、広壁11、誘電体層15,16、上部導体層14の順に重ね合わせられるため、上部導体層14の端部は、第1誘電体層15および第2誘電体層16に配置することができる。
第1実施形態の高周波受動部品によれば、上部導体層14と誘電体層15,16との配置を工夫することにより、基板10から広壁11が剥離することを抑制することができる。この理由については、特に本発明を限定するものではないが、例えば次のような仮説が考えられる。例えば、図2に示す基板10の下面側では広壁12上に誘電体層16が形成されないため、上部導体層14および誘電体層15を省略してよい。広壁11上に第2誘電体層16が形成されるときには、使用環境によっては広壁11が基板10から剥離する場合がある。例えば、低温から高温への温度上昇や、高温から低温への温度降下が甚だしいと、広壁11の導体層を構成する材料と、誘電体層16を構成する材料との熱膨張率の違いから、層間に応力が生じるおそれがある。広壁11の剥離は、広壁11の外周部11eを起点とする。そこで、広壁11から離れた位置に第1誘電体層15を設け、上部導体層14の端部14eを第1誘電体層15に配置することにより、上部導体層14の端部14eが基板10に接することなく、第1誘電体層15を介して応力を緩和する状況になるため、上部導体層14の端部14eからの剥離は起こりにくく、さらには、上部導体層14が広壁11の外周部11eを覆っているため、広壁11の外周部11eの剥離も抑制できると考えられる。
上部導体層14が、広壁11の外周部の少なくとも隅部、あるいは広壁11の外周部の全体に配置されていることが好ましい。
図2に示した第1実施形態の高周波受動部品では、上部導体層14は、第1誘電体層15と、第1誘電体層15および広壁11の間の基板10上と、広壁11と、第2誘電体層16と、に渡って形成されているが、上部導体層14は広壁11の外周部11eを覆っていればよいため、上部導体層14は、第1誘電体層15と、第1誘電体層15および広壁11の間の基板10上と、広壁11と、に渡って形成されていてもよい。この場合、広壁11の上から第2誘電体層16を省略してもよい。
図3に、第2実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第2実施形態の高周波受動部品では、第2誘電体層16が導波領域20の上のみならず、貫通電極13上を超えて、導波路構造21の外側の領域22における広壁11上に達している。第2誘電体層16が貫通電極13上を超えて外側に広がる寸法は、特に限定されないが、例えば、貫通電極13の直径と同程度でもよい。第2実施形態の高周波受動部品の場合も、第1実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11が剥離することを抑制することができる。
図4に、第3実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第3実施形態の高周波受動部品では、導波領域20に接する位置において、広壁11に開口11aが設けられている。これにより、開口11aを通して導波領域20のモードと外部のモードとを変換することができる。開口11aの位置は、第2誘電体層16が積層される部分でもよく、それ以外の位置でもよい。また、反対面の広壁12に開口を設けてもよい。
図5に、第4実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第4実施形態の高周波受動部品では、広壁11と上部導体層14との間を接続するように、第2誘電体層16を貫通する導体からなるビア17を設けている。これにより、広壁11と上部導体層14との間を電気的に接続することができる。
図6に、第5実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第5実施形態の高周波受動部品では、基板10の導波領域20に対して非貫通導体(ブラインドビア)を含むモード変換部18を有する。これにより、上部導体層14に電気信号の伝送路を設けた場合に、上部導体層14の伝送路と導波路構造21の導波領域20との間で、信号を伝搬させることができる。例えば、上部導体層14から伝搬した信号をモード変換部18から導波領域20に放射することにより、導波路構造21に信号を伝搬させることができる。また、導波領域20を伝搬した信号をモード変換部18に受信させることにより、上部導体層14の伝送路に信号を伝搬させることができる。モード変換部18の下部には、広壁11の開口11aから導波領域20に突出するピン18aが形成され、モード変換部18の上部には、上部導体層14と接続される貫通導体18bが形成されている。
図7に、第6実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第6実施形態の高周波受動部品では、上部導体層14の上に、樹脂等からなる封止層19が積層されている。封止層19は、例えば外部接続用の部分に開口19a,19bを設けてもよい。開口19a,19bに含まれる上部導体層14は、外部接続用のパッドを有してもよい。
図8に、第7実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第7実施形態の高周波受動部品では、封止層19の上に配線層32が設けられている。また、配線層32と上部導体層14との間は、封止層19を貫通するビア31で接続されている。これにより、上部導体層14に対して配線層32を介して電気信号を入力したり、または上部導体層14から配線層32を介して電気信号を出力したりすることができる。図8に示すように、第2誘電体層16に設けられた上部導体層14が、開口を有しない領域を有してもよい。
図9に、第8実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第8実施形態の高周波受動部品では、モード変換部18を有している。モード変換部18は、下部に導波領域20に突出するピン18aを有し、上部には配線層32のビア31と接続される貫通導体18bを有する。ピン18aと貫通導体18bは電気的に接続されている。これにより、配線層32から導波路構造21の導波領域20に対してモード変換部18を介して電気信号を入力したり、または導波路構造21の導波領域20から配線層32に対してモード変換部18を介して電気信号を出力したりすることができる。
図10に、第9実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第9実施形態の高周波受動部品では、導波路構造21とは異なる位置において、基板10の両面に貫通した貫通電極を有する貫通構造33を有する。また、基板10上において貫通構造33から離れて外側には、第3誘電体層35が形成されている。さらに、貫通構造33に電気的に接続された接続導体層34が形成されている。接続導体層34は、貫通構造33と、貫通構造33および第3誘電体層35の間の基板10上と、第3誘電体層35と、に渡って形成されている。接続導体層34は、配線層32と一体に形成されてもよい。
広壁12が形成された側では、貫通構造33から離れて第3誘電体層37が形成され、貫通構造33に電気的に接続された接続導体層36が形成され、接続導体層36は、貫通構造33と、貫通構造33および第3誘電体層37の間の基板10上と、第3誘電体層37と、に渡って形成されていてもよい。
接続導体層34,36の端部34e,36eが、基板10上ではなく、樹脂等で構成された第3誘電体層35,37に設けられることにより、第3誘電体層35,37が応力緩和層として機能し、接続導体層34,36の端部34e,36eにおける剥離を抑制することができる。また、接続導体層34,36の端部34e,36eが全て第3誘電体層35,37の上に配置されるため、フォトリソグラフィー等によるパターン形成も容易である。
接続導体層34,36は、外部接続用の部分等を除き、樹脂等の誘電体からなる封止層38,39で封止されていてもよい。例えば、接続導体層36を封止する封止層38を任意構成として追加してもよく、あるいは、接続導体層34を封止する封止層39を任意構成として追加してもよい。接続導体層36を封止する封止層38および接続導体層34を封止する封止層39の両方を設けてもよい。
これらの封止層38,39は、例えば外部接続用の部分に開口を設けてもよい。開口により露出する接続導体層34,36は、外部接続用等のパッドを有してもよい。図10では、封止層38に開口38aを設けた例を示すが、封止層38に開口を設けなくてもよい。また、封止層39には開口を示していないが、封止層39に開口を設けてもよい。
図11に、第10実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第10実施形態の高周波受動部品では、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、広壁11の上には第2誘電体層16が形成されている。広壁11の側では、第2誘電体層16に上部導体層14が配置されている。広壁12の側では、第2誘電体層16を省略して上部導体層14が配置されている。上部導体層14は、広壁11,12から広壁11,12の外周部11e,12eを経て、第1誘電体層15に達している。広壁11,12と第1誘電体層15との間においては、上部導体層14が基板10上に配置されている。上部導体層14の端部14eは、基板10から厚さ方向に離れた位置に配置されている。第10実施形態の高周波受動部品の場合、広壁11,12の外周部11e,12eに上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図12に、第11実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第11実施形態の高周波受動部品では、広壁11の上のみならず、広壁12の上にも第2誘電体層16が形成されている。よって、広壁12の側でも、第2誘電体層16に上部導体層14が配置されている。第11実施形態の高周波受動部品の場合においても、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、第10実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図13に、第12実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第12実施形態の高周波受動部品では、基板10の両面において、第2誘電体層16が導波領域20の上のみならず、貫通電極13上を超えて、導波路構造21の外側の領域22における広壁11,12上に達している。第2誘電体層16が貫通電極13上を超えて外側に広がる寸法は、特に限定されないが、例えば、貫通電極13の直径と同程度でもよい。第12実施形態の高周波受動部品の場合においても、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、第10実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図14に、第13実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第13実施形態の高周波受動部品では、導波領域20に接する位置において、広壁11,12に開口11a,12aが設けられている。これにより、開口11a,12aを通して導波領域20のモードと外部のモードとを変換することができる。開口11a,12aの位置は、第2誘電体層16が積層される部分でもよく、それ以外の位置でもよい。第13実施形態の高周波受動部品の場合においても、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、第10実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図15に、第14実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第14実施形態の高周波受動部品では、広壁11と上部導体層14との間を接続するように、第2誘電体層16を貫通する導体からなるビア17を設けている。これにより、広壁11と上部導体層14との間を電気的に接続することができる。第14実施形態の高周波受動部品の場合においても、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、第10実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図16に、第15実施形態の高周波受動部品の断面構造を示す。第15実施形態の高周波受動部品では、基板10の導波領域20に対して非貫通導体(ブラインドビア)を含むモード変換部18を有する。これにより、上部導体層14に電気信号の伝送路を設けた場合に、上部導体層14の伝送路と導波路構造21の導波領域20との間で、信号を伝搬させることができる。第15実施形態の高周波受動部品の場合においても、基板10の両面において、広壁11,12の外側に第1誘電体層15が形成され、第10実施形態の高周波受動部品と同様に上部導体層14が設けられているため、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制することができる。
図17に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第1実施形態を示す。図2〜図16において、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成は、例えば図17に示すように、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eに追従して形成されていることが好ましい。外周部11e,12eは、基板10に垂直な面に限られず、基板10から離れるほど広壁11,12の幅が広くなるように傾斜した平面又は曲面、あるいは基板10から離れるほど広壁11,12の幅が狭くなるように傾斜した平面又は曲面等であってもよい。外周部11e,12eの形状は、例えば広壁11,12のパターンをレジストで形成する場合に、レジストの端面の形状を外周部11e,12eと相補的になるような形状として形成してもよい。外周部11e,12eに凹部を設ける場合は、レジストの端面に凸部を設けてもよく、外周部11e,12eに凸部を設ける場合は、レジストの端面に凹部を設けてもよい。
図18に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第2実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eのうち、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41が、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42よりも外側に位置する。これにより、基板10と広壁11,12との接触面積が大きくなり、さらに上部導体層14と広壁11,12との接触面積も大きくなるため、相互の密着性に優れる。このため、上部導体層14が、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制する効果を高めることができる。
図19に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第3実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eのうち、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42との間に、凹部43を有する。上部導体層14は、端部41,42の間で凹部43に追従して、形成されている。すなわち、凹部43の内部まで上部導体層14が配置されている。これにより、上部導体層14と広壁11,12の接触面積が大きくなるため、相互の密着性に優れる。このため、上部導体層14が、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制する効果を高めることができる。凹部43の断面形状は、例えば広壁11,12の内部に向かって凹部43の幅が徐々に狭くなる楔型(断面V字形)に限定されず、断面半円形、断面U字形、断面W字形、断面C字形等でもよい。
図20に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第4実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eのうち、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41が、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42よりも外側に位置する。さらに、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42との間に、上部導体層14が追従して形成された凹部43を有する。これにより、基板10と広壁11,12との接触面積が大きくなり、さらに上部導体層14と広壁11,12との接触面積が大きくなるため、相互の密着性に優れる。このため、上部導体層14が、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制する効果を高めることができる。
図21に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第5実施形態を示す。この場合、広壁11,12は、基板10と接触する第1層44と、第1層44の上に形成された第2層45とを有する。また、広壁11,12の外周部11e,12eのうち、第1層44の端部44aが、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41となっている。また、第2層45の端部45aが、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42となっている。さらに、端部41,44aが端部42,45aよりも外側に位置する。これにより、基板10と広壁11,12との接触面積が大きくなり、さらに上部導体層14と広壁11,12との接触面積が大きくなるため、相互の密着性に優れる。このため、上部導体層14が、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制する効果を高めることができる。広壁11,12の第1層44をチタン(Ti)等の蒸着、スパッタ、無電解メッキ等で形成し、広壁11,12の第2層45を銅(Cu)等の電解メッキ等で形成してもよい。
図22に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第6実施形態を示す。この場合、広壁11,12は、基板10と接触する第1層44と、第1層44の上に形成された第2層45とを有する。また、広壁11,12の外周部11e,12eのうち、第1層44の端部44aが、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41となっている。また、第2層45の端部45aが、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42を含む。さらに、端部41,44aが端部42,45aよりも外側に位置する。また、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42との間で、上部導体層14が追従して形成された凹部43を有する。凹部43の断面形状は、奥に向かうにしたがって徐々に第1層44との距離が狭くなり、最も奥においては第1層44との距離はゼロとなっている。これにより、基板10と広壁11,12との接触面積が大きくなり、さらに上部導体層14と広壁11,12との接触面積が大きくなるため、相互の密着性に優れる。このため、上部導体層14が、基板10から広壁11,12が剥離することを抑制する効果を高めることができる。ただし、凹部43の断面形状はこれに限らない。第1層44と上部導体層14との接触面積が大きくなるのであれば、形状は任意である。
図23に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第7実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第5実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、上部導体層14の第1層46の全体を覆っている。
図24に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第8実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第6実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42と、凹部43とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、上部導体層14の第1層46の全体を覆っている。上部導体層14の第1層46及び第2層47の両方が、凹部43に追従して形成されている。
図25に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第9実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第5実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42と、広壁11,12の第2層45の外側における広壁11,12の第1層44の上面と、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、広壁11,12の第1層44の外側における基板10の上とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、第1層46の全体を覆っている。
図26に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第10実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第6実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42と、凹部43と、第2層45の外側における第1層44の上面と、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、第1層44の外側における基板10の上とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、第1層46の全体を覆っている。上部導体層14の第1層46及び第2層47の両方が、凹部43に追従して形成されている。
図27に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第11実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第5実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、第2層45の外側における第1層44の上面と、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、第1層44の外側における基板10の上とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、上部導体層14の第1層46が覆う範囲全体に加えて、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42を覆っている。
図28に、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第12実施形態を示す。この場合、広壁11,12の外周部11e,12eの構成及び効果は、上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第6実施形態と同じである。さらに、上部導体層14が、第1層46と第2層47とを有する。上部導体層14の第1層46は、広壁11,12の第2層45の上面と、第2層45の外側における第1層44の上面のうち広壁11,12の第2層45の下側とならない領域と、基板10と接触する位置における広壁11,12の端部41と、第1層44の外側における基板10の上とを覆っている。上部導体層14の第2層47は、上部導体層14の第1層46の全体に加えて、基板10から離れた位置における広壁11,12の端部42と、第2層45の外側における第1層44の上面のうち第2層45の下側にある領域とを覆い、かつ、凹部43に追従して形成されている。
上部導体層14が広壁11,12の外周部11e,12eを覆う構成の第7〜12実施形態において、上部導体層14の第1層46をチタン(Ti)等の蒸着、スパッタ、無電解メッキ等で形成し、上部導体層14の第2層47を銅(Cu)等の電解メッキ等で形成してもよい。上部導体層14の第2層47は、広壁11の第1層44の上か、上部導体層14の第1層46のいずれの上に形成されてもよい。広壁11の第1層44を構成する材料と、上部導体層14の第1層46を構成する材料とは、互いに同一でもよく、あるいは異なってもよい。広壁11の第2層45を構成する材料と、上部導体層14の第2層47を構成する材料とは、互いに同一でもよく、あるいは異なってもよい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
広壁、貫通電極、上部導体層等の導体層を形成する方法としては、蒸着、スパッタ、無電解メッキ、電解メッキ、導体ペーストなどが挙げられる。2種以上の導体材料または成膜方法を併用してもよく、2種以上の導体を積層して導体層を構成してもよい。例えば、ガラス等の基板表面に薄いシード層を形成した後、シード層の上に所望の厚みのメッキ層を積層してもよい。
導体層の端部としては、配線等における長手方向の端部、パッド等におけるパターン等が挙げられる。導体層の端部と誘電体層との接触面は、基板の面方向に対して平行でも垂直でも傾斜してもよい。導体層の端部全てを誘電体層上に配置してもよい。
上述の実施形態に係る高周波受動部品においては、同一の基板に複数の部品が構成されてもよい。基板に構成される他の部品は、高周波用の受動部品に限らず、他の受動部品や能動部品等を含んでもよい。部品をモジュール化することにより、高周波モジュールを構成することもできる。本実施形態の高周波モジュールは、例えば、上述の高周波受動部品を備えるモジュールである。モジュールには、機能に必要な種々の部品を組み込むことができる。
10…基板、11,12…広壁、11a,12a…広壁の開口、11e,12e…広壁の外周部、13…貫通電極、13a…貫通孔、14…上部導体層、14a…上部導体層の空隙部、14b…上部導体層の接続部、14e…上部導体層の端部、15…第1誘電体層、16…第2誘電体層、17,31…ビア、18…モード変換部、18a…ピン、18b…貫通導体、19,38,39…封止層、19a,19b,38a…封止層の開口、20…導波領域、21…導波路構造、22…導波路の外側の領域、32…配線層、33…貫通構造、34,36…接続導体層、34e,36e…接続導体層の端部、35,37…第3誘電体層、41…基板と接触する位置における広壁の端部、42…基板から離れた位置における広壁の端部、43…凹部、44…広壁の第1層、44a…広壁の第1層の端部、45…広壁の第2層、45a…広壁の第2層の端部、46…上部導体層の第1層、47…上部導体層の第2層。
Claims (10)
- 導波領域を含む誘電体からなる基板と、
前記基板の両面に形成された広壁および前記広壁に接続された貫通電極により前記導波領域を囲むように構成される導波路構造と、
前記基板上において前記広壁の外側に形成された第1誘電体層と、
前記第1誘電体層が形成された前記基板の面に形成された前記広壁の上に形成された第2誘電体層と、
上部導体層と、
を備え、
前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、に渡って形成されていることを特徴とする高周波受動部品。 - 前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、前記第2誘電体層と、に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波受動部品。
- 前記上部導体層が、前記広壁の周囲の少なくとも隅部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波受動部品。
- 前記上部導体層が、前記広壁の周囲の全体に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波受動部品。
- 前記基板を構成する誘電体がガラスから構成され、前記第1誘電体層および前記第2誘電体層を構成する誘電体が樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波受動部品。
- 前記上部導体層は、少なくとも一部を、樹脂で封止されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波受動部品。
- 前記導波路構造とは異なる位置において、前記基板の両面に貫通した貫通電極を有する貫通構造と、
前記基板上において前記貫通構造から離れて形成された第3誘電体層と、
接続導体層と、を有し、
前記接続導体層は、前記貫通構造と、前記貫通構造および前記第3誘電体層の間の前記基板上と、前記第3誘電体層と、に渡って形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高周波受動部品。 - 前記第1誘電体層および前記上部導体層を前記基板の両面に備え、前記基板の両面において、前記上部導体層は、前記第1誘電体層と、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁と、に渡って形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高周波受動部品。
- 前記上部導体層が、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁の端部とを覆う箇所において、前記基板と接触する位置における前記広壁の端部が、前記基板から離れた位置における前記広壁の端部よりも、外側に位置することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高周波受動部品。
- 前記上部導体層が、前記第1誘電体層および前記広壁の間の前記基板上と、前記広壁の端部とを覆う箇所において、前記広壁の端部が、前記基板から離れた位置と、前記基板と接触する位置との間に、前記上部導体層が追従した凹部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の高周波受動部品。
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