JP2020008282A - 弾性材料の性能を評価するための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実車走行時の性能と相関性の高い試験結果を得ることができる性能評価装置方法を提供する。【解決手段】性能評価装置方法は、ゴム又はエラストマーを含む弾性材料の性能を評価するための方法であって、弾性材料からなる試験片に歪を与えて、試験片の内部に低密度領域を形成する工程S2と、試験片の内部の低密度領域を撮影する撮像工程S3,S4と、撮影されたデータから前記試験片に占める低密度領域の割合を測定する測定工程S5,S6と、試験片に与えられた単位歪量あたりの低密度領域の割合に基づいて、弾性材料の性能を評価する評価工程S7,S8とを含む。【選択図】 図2

Description

本発明は、弾性材料の耐摩耗性能等の各種性能を評価するための方法に関する。
従来、加硫ゴムの耐摩耗性能を評価する方法として、例えば、いわゆるランボーン摩耗試験機等の室内摩耗試験機によって摩耗させて評価する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来の方法では、予測した耐摩耗性能の結果と、評価対象のタイヤを実際に車両に装着して走行させた実車走行試験での耐摩耗性能の結果とが一致しない場合があり、精度上の問題があった。このため、ランボーン摩耗試験機に変わる新たな評価技術の確立が望まれている。
特開2005−308447号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、実車走行時の性能と相関性の高い試験結果を得ることができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ゴム又はエラストマーを含む弾性材料の性能を評価するための方法であって、前記弾性材料からなる試験片に歪を与えて、前記試験片の内部に複数の低密度領域を形成する工程と、前記試験片の内部の前記低密度領域を撮影する撮像工程と、撮影されたデータから前記試験片に占める前記低密度領域の割合を測定する測定工程と、前記試験片に与えられた単位歪量あたりの前記割合の変化量に基づいて、前記弾性材料の性能を評価する評価工程とを含む。
本発明に係る前記方法において、前記低密度領域は、空隙を含む、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記弾性材料は、1種類以上の共役ジエン系化合物を用いて得られるゴム材料である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記歪が、引張歪である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記弾性材料は、タイヤ用のゴム材料である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記撮像工程では、前記引張歪が与えられた状態での前記試験片が撮影される、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記単位歪量あたりの前記割合は、2%以下である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記試験片に与えられる歪は、0.2以上である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記撮像工程は、コンピュータートモグラフィー法により行われ、前記コンピュータートモグラフィー法において用いられるX線の輝度は、1010 photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記X線の輝度は、1012 photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記撮像工程では、X線を可視光に変換するための蛍光体が用いられ、前記蛍光体の減衰時間は、100ms以下である、ことが望ましい。
本発明に係る前記方法において、前記測定工程は、撮影されたデータから前記試験片の断層画像を構成する工程と、前記断層画像から前記試験片内に生成された前記低密度領域の直径の分布を計算する工程とを含む、ことが望ましい。
本発明の方法では、弾性材料からなる試験片に歪を与えることにより、試験片の内部に複数の低密度領域が形成される。この低密度領域は、弾性材料の摩耗や亀裂等の起点となることが発明者によって見出された。
本発明では、試験片の内部の低密度領域を撮影する撮像工程と、撮像されたデータから試験片に占める低密度領域の割合を測定する測定工程と、単位歪量あたりの試験片に占める低密度領域の割合の変化量に基づいて、弾性材料の性能を評価する評価工程とを含む。そして、歪量に対する低密度領域の割合の変化量に基づく弾性材料の性能の評価は、実車走行時での弾性材料の性能と高い相関性が得られることが発明者によって確認された。また、特に物性差が小さい弾性材料間においては、上記低密度領域の割合の変化量を計算することにより、その性能を詳細に評価することが可能となる。
本発明の性能評価方法の実施に用いられる装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。 本発明の性能評価方法の処理手順を示すフローチャートである。 図1の試験片及び治具を示す分解図である。 図1の試験片を示す斜視図である。 本発明によって撮影された投影像の一例を模式的に示す図である。 弾性材料Aによる試験片の断層画像である。 弾性材料Cによる試験片の断層画像である。 弾性材料A、Cにおける引張歪量と空隙部の割合との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の性能評価方法に用いられる性能評価装置の概略構成を示す斜視図である。性能評価装置1は、弾性材料の耐摩耗性能及び耐チッピング性能、耐クラック性能等の各種性能を評価するための装置である。図1に示されるように、本実施形態の性能評価装置1は、歪印加手段2と、撮像手段5と、評価手段6とを具えている。
歪印加手段2は、ゴム又はエラストマーを含む弾性材料からなる試験片10に歪を与えて、試験片10の内部に低密度領域を発生させる。
歪印加手段2は、試験片10が固着される一対の治具21、22と、治具21と治具22とを相対的に移動させて試験片10に歪を印加する駆動手段23とを有している。駆動手段23は、一方の治具21を固定した状態で、他方の治具22を試験片10の軸方向に移動させる。これにより、試験片10が、その軸方向に伸張され、試験片10に引張歪が与えられる。
試験片10に印加される歪又は荷重は、ロードセル(図示せず)等により検出される。ロードセルの位置及び形式は、任意である。歪印加手段2によって試験片10には、予め定められた歪又は荷重が印加される。駆動手段23は、試験片10及び治具21、22を試験片10の軸回りに回転可能に構成されている。
撮像手段5は、試験片10の内部を撮影する。本実施形態の撮像手段5は、試験片10にX線を照射して、投影像を撮影するX線撮影装置が適用されているが、試験片10の内部を撮影可能な構成であればこれに限られない。
撮像手段5は、X線を照射するX線管51と、X線を検出して電気信号に変換する検出器52とを有する。試験片10及び治具21、22を試験片10の軸回りに回転させながら、撮像手段5が複数の投影像を撮影することにより、全周にわたる試験片10の投影像を得ることができる。
X線管51から照射されるX線のエネルギー幅が広い場合、撮像手段5によって撮影された画像に含まれるノイズが多くなり、正確な解析が困難となるおそれがある。従って、X線管51には、エネルギー幅の狭いX線を照射可能な大型の放射光施設が好適に用いられる。
検出器52は、X線を可視光に変換するための蛍光体52aを有している。試験片10等を試験片10の軸回りに回転させながら複数の投影像を連続して撮影する際には、検出器52のシャッター間隔と蛍光体52aの減衰時間との関係が重要である。蛍光体52aの減衰時間が検出器52のシャッター間隔よりも長くなる場合、先に撮影した投影像の残像が後から撮影する投影像に影響を及ぼすおそれがある。このような観点から、蛍光体52aの望ましい減衰時間は100ms以下であり、より望ましい減衰時間は50ms以下であり、より一層望ましい減衰時間は10ms以下である。
評価手段6は、投影像から測定される空隙部に基づいて、弾性材料の性能を評価する。評価手段6には、例えば、コンピュータ60が適用される。コンピュータ60は、本体61、キーボード62、及びディスプレイ装置63を含んでいる。この本体61には、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ及びハードディスクなどの記憶装置が設けられる。記憶装置には、本実施形態の方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、上記性能評価装置1を用いた性能評価装置方法の処理手順を示している。性能評価装置方法は、試験片10に歪を与えて試験片10の内部に密度の偏りを発生させる工程S1、S2と、試験片10にX線を照射して投影像を撮影する撮像工程S3、S4と、撮像工程S3、S4によって撮影された投影像のデータから試験片10の内部に生じた低密度領域15(後述する図5参照)の割合を測定する工程S5、S6と、試験片10に与えられた単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量に基づいて、弾性材料の性能を評価する評価工程S7、S8とを含む。
工程S1では、試験片10が治具21、22に固定される。
図3は、試験片10及び治具21、22を示している。図4は、試験片10を示している。試験片10には、一様な密度分布の弾性材料が用いられる。試験片10を構成する弾性材料の一例としては、例えば、1種類以上の共役ジエン系化合物を用いて得られるゴム材料が挙げられる。また、試験片10を構成する弾性材料の一例としては、例えば、タイヤ用のゴム材料が挙げられる。
本実施形態では、円柱状の試験片10が適用されている。このような試験片10は、対称性を有し、容易に再現性の高い測定結果を得ることができる。
試験片10は、その軸方向の長さHの5倍以上の直径Dを有しているのが望ましい。試験片10のより望ましい直径Dは、長さHの10倍以上である。このような試験片10によれば、試験片10に引張歪が印加されたとき、試験片10の側面の変形が制限される。その結果、試験片10の体積が増加し、内部に非常に大きな応力が印加される。従って、試験片10の内部に低密度領域が発生し易くなり、弾性材料の性能評価を迅速かつ容易に行えるようになる。
試験片10は、治具21及び22に挟み込まれた状態で固着されている。試験片10の上端面10aは、治具21の下端面21aに固着され、試験片10の下端面10bは、治具22の上端面22bに固着されている。固着の方法は、試験環境等に応じて適宜選択されうる。例えば、接着剤による固着や、試験片10を構成する弾性材料の加硫接着による固着が適用されうる。また、上端面10a、下端面21a、及び、下端面10b、上端面22bに、それぞれ対応する係合部を設けて各係合部を係合させることにより、試験片10と治具21、22とが固着されていてもよい。
工程S2では、図1に示されるように、駆動手段23によって、治具21と治具22とが相対的に移動され、試験片10に歪が印加される。本実施形態では、円柱状の試験片10の軸方向すなわち治具22が治具21から離れる方向に移動され、試験片10が伸張される。試験片10の歪は、引張歪に限られない。例えば、圧縮歪又はせん断歪みであってもよい。工程S2で歪が与えられることにより弾性材料に応力が印加される。応力が弾性材料に固有の臨界値を超えると、試験片10に密度の偏りが生じ、内部に低密度領域が発生する。
転動中のタイヤにおいても、路面の凹凸に囲まれた微細な領域において、トレッド踏面のゴムが拘束された状態で応力が印加されていると考えられる。そして、応力が上記臨界値を超えると、トレッドゴムの内部に低密度領域が発生し、摩耗等の起点となりうると考えられる。
工程S3では、X線管51から試験片10にX線が照射される。X線は、試験片10を透過して、検出器52によって検出される。検出器52は、検出したX線を電気信号に変換(撮像データ)し、コンピュータ60に出力する。試験片10を透過する電磁波であれば、X線以外の電磁波が照射されてもよい。
工程S4では、検出器52から出力された電気信号は、コンピュータ60によって処理され、投影像が取得される。本実施形態では、工程S3において、軸心回りに、試験片10を回転させて、複数の投影像(回転シリーズ像)が取得される。
図5は、上記工程S1乃至S4を経て、撮影された投影像を模式的に示している。投影像から試験片10の内部に発生した低密度領域15が確認されうる。低密度領域15は、例えば、弾性材料の密度が予め定められた閾値以下の領域として定義されうる。例えば、歪を与える前の弾性材料の密度の平均を1とした場合、歪によって密度が0.8以下に減少した領域を低密度領域15とする。なお、弾性材料の密度は、投影像から計算されうる。
工程S5では、投影像がコンピュータ60によって再構成され、試験片10の三次元の断層画像が取得される。投影像の再構成は、例えば、Convolution Back Projection法を用いて行うことができる。撮影された画像データ(試験片10の投影像、及び、試験片10の断層画像)は、コンピュータ60等に記憶される。なお、図6,7は、工程S5で取得される断層画像の例である。
S3において照射するX線の輝度については、適宜設定することができる。なお、X線の輝度は、X線散乱データのS/N比に大きく関係している。X線の輝度が小さいと、X線の統計誤差よりもシグナル強度が弱くなる傾向にあり、計測時間を長くしても十分にS/N比の良いデータを得ることが困難となるおそれがある。このような観点から、X線の輝度は、1010photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上が望ましい。また、より望ましいX線の輝度は、1012photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である。
断層画像の厚さは、検出器52の空間分解能に依存する。本実施形態では、例えば、厚さ10μmの断層画像が200枚撮影される。複数の断層画像を取得することにより、低密度領域15の三次元形状が特定される。
試験片10に与えられる歪が比較的小さい場合、低密度領域15の形状は球に近似している。上記歪が大きくなるに従い、低密度領域15は成長し、隣接する低密度領域15と互いに連結し、いびつな形状へと変化する。
本実施形態では、S2において試験片50に与えられる引張歪が小さく設定され、低密度領域15を球に近似する形状に留めつつ、工程S6において、複数の断層画像から低密度領域15の直径の分布が計算される。そして、低密度領域15の直径の分布に基づいて、低密度領域15の体積が計算される。試験片10内に複数の低密度領域15が発生している場合、各低密度領域15の体積の総和が計算される。さらには、試験片10に占める低密度領域15の割合すなわち試験片10の全体積に対する低密度領域15の体積の比が計算される。
そして、工程S7では、工程S6において計算された低密度領域15の割合の変化量を工程S2において与えられた引張歪量の変化量で除することにより、試験片10に与えられた単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量が計算される。さらに、工程S8では、工程S7で計算された単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量に基づいて、弾性材料の性能が評価される。
例えば、単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量が小さい弾性材料は、単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量が大きい弾性材料よりも、内部での局所的な応力の集中が生じにくく、耐摩耗性能に優れていると評価できる。また、単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量が予め定められた閾値よりも小さい弾性材料は、一定以上の耐摩耗性能を有すると評価できる。
そして、後述する実施例にて示されるように、工程S7で計算された単位歪量あたりの低密度領域15の割合の変化量、すなわち、歪量の増加に対する低密度領域15の体積の増加の割合は、実車走行時での弾性材料の性能と高い相関性が得られることが発明者によって確認された。また、特に物性差が小さい弾性材料間においては、上記低密度領域の割合の変化量を計算することにより、その性能を詳細に評価することが可能となる。
S2において試験片10に印加する歪が極めて小さい場合、歪の解放によって低密度領域15が消滅し、弾性材料の密度分布は元の一様な状態に回復する。このような場合に
あっても、S2で与えられた引張歪が維持された状態で、X線を照射し(S3)、投影像を撮影する(S4)ことにより、断層画像で低密度領域15が確認されうる。従って、小さい歪量で、弾性材料の性能を評価することが可能となる。
試験片10に与える歪が大きくなると、弾性材料の内部構造(分子鎖の結合)が部分的に破壊され、歪を解放した後であっても、元の状態に回復せずに残留する。さらに、弾性材料の内部構造破壊が極度に進行すると、試験片10の内部に空隙部15Zが生ずる(図5参照)。
空隙部15Zとは、低密度領域15のうち、密度が零又は零に極めて近い不可逆部分である。本実施形態では、歪を与える前の弾性材料の密度の平均を1とした場合、歪によって密度が0.1以下に減少した低密度領域15を空隙部15Zとする。
このような空隙部15Zは、弾性材料の耐摩耗性能及び耐チッピング性能、耐クラック性能等の各種性能に重大な影響を及ぼす一因となる。一方、単位歪量に対して空隙部15Zの体積の割合が小さい弾性材料は、内部で局所的に応力が集中する箇所が少なく、耐摩耗性能等に優れた材料と考えられる。
上記観点から、S6において空隙部15Zの体積を計算し、S7において単位歪量あたりの空隙部15Zの体積を計算することにより、弾性材料の性能をより一層精度よく評価することが可能となる。
単位歪量あたりの低密度領域15の割合は、2%以下が望ましい。単位歪量あたりの低密度領域15の割合を2以下に抑制することにより、互いに隣接する低密度領域15同士の連結が抑制され、低密度領域15が球に近似する形状に維持される。従って、低密度領域15の体積を正確に計算でき、弾性材料の性能を精度よく評価することが可能となる。
試験片10に与えられる引張歪は、0.2以上が望ましい。上記引張歪が0.2以上であれば、試験片10の内部に十分な数の低密度領域15が発生し、弾性材料の性能を精度よく評価することが可能となる。試験片10に与えられる引張歪は、1.0以下が望ましい。上記引張歪が1.0以下であれば、互いに隣接する低密度領域15同士の連結が抑制され、低密度領域15が球に近似する形状に維持される。従って、低密度領域15の体積を正確に計算でき、弾性材料の性能を精度よく評価することが可能となる。
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
弾性材料A乃至Cについて、本発明によって耐摩耗性能が評価され、実車走行試験による耐摩耗性能の評価との相関が検証された。比較例として上記弾性材料A乃至Cについて、本発明によってランボーン試験機を用いて耐摩耗性能が評価され、実車走行試験による耐摩耗性能の評価との相関が検証された。
使用試薬は以下の通りである。
1.重合体(1):(変性基1個;特開2010−116554号公報に基づいて重合されたポリマー)
2.重合体(2):(変性基2個;重合体(1)のモノマー量違い)
3.重合体(3):(変性基3個;重合体(1)のモノマー量違い)
4.SBR :STYRON製のSPRINTAN SLR6430
5.BR :宇部興産(株)製のBR150B
6.変性剤 :アヅマックス社製3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
7.老化防止剤 :大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン)
8.ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン
9.酸化亜鉛 :東邦亜鉛の銀嶺R
10.アロマチックオイル:ダイアナプロセスAH−24(出光興産製)
11.ワックス :大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
12.硫黄 :鶴見化学(株)製の粉末硫黄
13.加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
14.加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
15.シリカ :デグッサ製のウルトラジルVN3
16.シランカップリング剤:デグッサ製のSi69
17.カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックLH(N326、N2SA:84m2/g)
モノマー及び重合体は、以下の方法によって合成された。
<モノマー(1)>
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml、ジビニルベンゼン8.9mlが加えられ、0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mlが加えられ攪拌された。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことでモノマー(1)が得られた。
<重合体(1)>
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml、ブタジエン71.0ml、モノマー(1)0.06g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlが加えられ、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlが加えられて撹拌された。3時間後、変性剤0.5mlが加えられて攪拌された。1時間後、イソプロパノール3mlが加えられて重合が停止された。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理が行なわれ、加熱乾燥により重合体(1)が得られた。
<重合体(2)>
モノマー(1)を0.17gとし、上記重合体(1)と同様の方法で重合体(2)が得られた。
<重合体(3)>
モノマー(1)を0.29gとし、上記重合体(1)と同様の方法で重合体(3)が得られた。
<弾性材料の製造方法>
弾性材料の製造には、公知の方法を適用できる。例えば、上記各成分をバンバリーミキサー、オープンロール等のゴム混練装置を用いて混練する方法を適用できる。
テスト方法は、以下の通りである。
<低密度領域の割合の変化量による評価(実施例)>
弾性材料A乃至Cについて、直径20mm、軸方向の長さが1mmの円柱状の試験片10が準備され、図1に示される性能評価装置を用いて、図2に示される性能評価装置方法で、弾性材料の性能が評価された。工程S2では、試験片10に歪量が1.2までの引張歪が与えられた。工程S3は、大型放射光施設SPring−8のビームラインBL20B2を用いて実施された。
図6は工程S4で得られた弾性材料Aによる試験片10の引張歪量が0.8での断層画像であり、図7は工程S4で得られた弾性材料Cによる試験片10の引張歪量が0.8での断層画像である。図8は、引張歪量とS6で計算された空隙部15Zの割合との関係を示している。横軸は、引張歪量を示し、縦軸は試験片10に占める空隙部15Zの割合を示している。実線は弾性材料Cの上記割合であり、破線は弾性材料Aの上記割合である。実線及び破線の傾きは、工程S7にて計算される単位歪量あたりの空隙部15Zの割合の変化量に相当し、引張歪量を増加させたときの空隙部15Zの生成速度と解することもできる。評価に用いられる引張歪量の範囲は任意であるが、本実施例では、引張歪量が0.0〜0.8での単位歪量あたりの空隙部15Zの割合が評価された。結果は、弾性材料Aを3.0とする指数であり、数値が小さい程、耐摩耗性能に優れていることを示す。
<ランボーン試験(比較例)>
弾性材料A乃至Cについて、ランボーン型摩耗試験機を用いて、環境温度23℃、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で摩耗量が測定され、その逆数が計算された。結果は、弾性材料Aを100とする指数であり、数値が大きい程、耐摩耗性能に優れていることを示す。
<実車走行試験>
弾性材料A乃至Cからなるトレッド部を有するサイズ195/65R15の空気入りタイヤが作成され、国産FF車に装着され、走行距離8000kmでのトレッド部の溝深さが測定され、トレッド部の摩耗量1mmあたりの走行距離が計算された。結果は、弾性材料Aを100とする指数であり、数値が大きい程、耐摩耗性能に優れていることを示す。
表1から明らかなように、実施例の方法は、比較例に比べて実車走行試験との相関が良好であり、精度よく弾性材料の性能を予測できることが確認できた。
10 :試験片
15 :低密度領域
15Z :空隙部
S3 :撮像工程
S4 :撮像工程
S5 :測定工程
S6 :測定工程
S7 :評価工程
S8 :評価工程

Claims (12)

  1. ゴム又はエラストマーを含む弾性材料の性能を評価するための方法であって、
    前記弾性材料からなる試験片に歪を与えて、前記試験片の内部に低密度領域を形成する工程と、
    前記試験片の内部の前記低密度領域を撮影する撮像工程と、
    撮影されたデータから前記試験片に占める前記低密度領域の割合を測定する測定工程と、
    前記試験片に与えられた単位歪量あたりの前記割合の変化量に基づいて、前記弾性材料の性能を評価する評価工程とを含む、
    方法。
  2. 前記低密度領域は、空隙を含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記弾性材料は、1種類以上の共役ジエン系化合物を用いて得られるゴム材料である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記弾性材料は、タイヤ用のゴム材料である、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記歪が、引張歪である、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記撮像工程では、前記引張歪が与えられた状態での前記試験片が撮影される、請求項5記載の方法。
  7. 前記単位歪量あたりの前記割合は、2%以下である、請求項6記載の方法。
  8. 前記試験片に与えられる歪は、0.2以上である、請求項7記載の方法。
  9. 前記撮像工程は、コンピュータートモグラフィー法により行われ、
    前記コンピュータートモグラフィー法において用いられるX線の輝度は、1010 photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記X線の輝度は、1012 photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw以上である、請求項9記載の方法。
  11. 前記撮像工程では、X線を可視光に変換するための蛍光体が用いられ、
    前記蛍光体の減衰時間は、100ms以下である、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記測定工程は、
    撮影されたデータから前記試験片の断層画像を構成する工程と、
    前記断層画像から前記試験片内に生成された前記低密度領域の直径の分布を計算する工程とを含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
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