JP2020007509A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、非吸収メディアに対して、水性インクでインクジェット記録をしても、メディア中にはインクが浸透しない。このため、記録メディアへのインクの浸透による濡れ広がりが生じないことから、個々のインクのドット径が、インク吸収メディアと比較して小さくなる。インクのドット径が小さいと、例えばベタ画像の形成において、必要なインクの量が増加する、印刷時間が長くなる等の経済的な損失が生じる。また、単位面積当たりのインク量が増加すると、ベタ画像の画像ムラ、乾燥不良等も生じ易く、画像品質の劣化にもつながる。このため、非吸収メディアに印刷したときでも、大きなドット径が得られるインクが強く要望されている。
1)
水、水不溶性の着色剤、アンモニアにより中和された分散剤、下記式(1)で表される化合物、及びジオール化合物を含有するインクであって、
前記ジオール化合物の接触角が、54度以下であるインク。
但し、前記のジオール化合物は、25℃で液体ではないジオール化合物を含まない。
2)
前記ジオール化合物の接触角が、50度未満である前記1)に記載のインク。
3)
前記ジオール化合物が、アルカンジオールである前記1)に記載のインク。
4)
インクの総質量に対する式(1)で表される化合物の含有量が、0.1質量〜5質量%である前記1)に記載のインク。
5)
界面活性剤をさらに含有する、前記1)〜4)のいずれか一項に記載のインク。
6)
前記1)〜5)のいずれか一項に記載のインクの、インクジェット記録における使用。
7)
前記1)〜5)のいずれか一項に記載のインクの液滴をインクジェットプリンタから吐出して、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
8)
前記の記録メディアが、インク非吸収メディア、及びインク難吸収メディアより選択されるメディアである、前記7)に記載のインクジェット記録方法。
前記のインクは水を含有する水性インクである。使用できる水に制限は無いが、無機イオン等の不純物が少ないものが好ましい。そのような水としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
前記の水不溶性の着色剤としては、例えば、顔料、分散染料、溶剤染料、建染染料等が挙げられる。これらの中では顔料、分散染料、及び溶剤染料が好ましく、顔料がよりこのましい。
本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下の着色剤を意味する。
なお、特に断りのない限り「水不溶性の着色剤」を、以下「着色剤」ということがある。
前記インクが含有する着色剤の種類は通常3種類以上、黒インクのときは3〜5種類が好ましく、黒インク以外のカラーインクのときは通常3種類、好ましくは2種類、又は1種類である。但し、黒インクが着色剤としてカーボンブラックを含有するときは、着色剤の種類は2種類、又は1種類が好ましい。本明細書において、カラーインクとは黒インク以外の有色インク(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、レッド、オレンジ、ブラウン、バイオレット、ブルー、グリーン、及びホワイト等の各色のインク)を意味する。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
カーボンブラックは、例えば、コロンビア・カーボン社製のRaven シリーズ;キャボット社製のMonarch シリーズ、Regal シリーズ、及びMogul シリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のColorBlack シリーズ、Printex シリーズ、SpecialBlack シリーズ、及びNerox シリーズ;三菱化学社製のMA シリーズ、MCF シリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等として入手することができる。
また、溶剤染料としてはC.I.Solventから選択される染料が好ましい。
また、着色剤の平均粒径は通常50nm〜300nm、好ましくは60nm〜250nmである。本明細書において平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を言う。
前記のアンモニアとしては、特に制限されず、気体、水や有機溶剤へ溶解した液体等が使用できる。それらの中ではアンモニア水が好ましい。
「アンモニアにより中和された分散剤」とは、アンモニアにより以下の中和度に調整された分散剤を意味する。分散剤の中和度は、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30〜200%、好ましくは50〜150%、より好ましくは75〜125%、さらに好ましくは90%〜110%である。
(メタ)アクリレートとしてはアルキル(メタ)アクリレート、及びアリールアルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーが好ましく、アルキルメタクリレート、及びアリールアルキルメタクリレートから選択されるモノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしてはC1−C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートから選択されるアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、n−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
アリールアルキル(メタ)アクリレートとしてはC6−C10アリールC1−C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C6−C10アリールC1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、フェニルC1−C4アルキルメタクリレートがさらに好ましく、ベンジルメタクリレートが特に好ましい。
前記の重合体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーからなる重合体;及び、スチレン−(メタ)アクリル系の重合体から選択される重合体が好ましい。
Aブロックはアリールアルキル(メタ)アクリレートで構成されるのが好ましく、(メタ)アクリル酸を含むことができる。このときの(メタ)アクリル酸の含有量は、アリールアルキル(メタ)アクリレートに対して通常0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%、より好ましくは0〜1モル%、さらに好ましくは0〜0.1モル%である。
Bブロックはアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から構成される共重合体が好ましい。
前記A−Bブロックポリマーとしては、水不溶性ポリマーが好ましい。本明細書において水不溶性ポリマーとは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下を意味する。溶解度の下限は0gを含む。そのようなA−Bブロックポリマーとしては、例えば、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するリビングラジカル重合法により得られるA−Bブロックポリマーが挙げられる。
前記の分散剤は、中和剤がアミン化合物であることを除き、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するA−Bブロックポリマーと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。また、A−Bブロックポリマーの製造方法等についても同様である。
分散剤の重量平均分子量は通常10000〜60000、好ましくは10000〜40000、より好ましくは15000〜30000である。
着色剤の総質量に対する分散剤の使用比率は通常0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.5である。
前記式(1)中、R1におけるヒドロキシ基を有するアルコキシ基としては通常ヒドロキシC1−C6アルコキシ、好ましくはヒドロキシC1−C4アルコキシ、より好ましくはヒドロキシC2−C4アルコキシの各基が挙げられる。そのアルコキシ部分としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシが挙げられ、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。また、ヒドロキシ基の置換位置は特に制限されない。その具体例としては、ヒドロキシメトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシ−n−プロポキシ、3−ヒドロキシ−n−プロポキシ、2−ヒドロキシ−n−ブトキシ、3−ヒドロキシ−n−ブトキシ、4−ヒドロキシ−n−ブトキシ、2−ヒドロキシ−n−ペントキシ、3−ヒドロキシ−n−ペントキシ、4−ヒドロキシ−n−ペントキシ、5−ヒドロキシ−n−ペントキシ、2−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、3−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、4−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、5−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、6−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ等の直鎖のもの;2−ヒドロキシイソプロポキシ、2−ヒドロキシイソブトキシ、3−ヒドロキシイソブトキシ、2−ヒドロキシイソペントキシ、3−ヒドロキシイソペントキシ、4−ヒドロキシイソペントキシ、2−ヒドロキシイソヘキシロキシ、3−ヒドロキシイソヘキシロキシ、4−ヒドロキシイソヘキシロキシ、5−ヒドロキシイソヘキシロキシ等の分岐鎖のもの;2−ヒドロキシシクロプロポキシ、2−ヒドロキシシクロブトキシ、3−ヒドロキシシクロブトキシ、2−ヒドロキシシクロペントキシ、3−ヒドロキシシクロペントキシ、2−ヒドロキシシクロヘキシロキシ、3−ヒドロキシシクロヘキシロキシ、4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ等の環状のもの;等が挙げられる。これらの中では2−ヒドロキシエトキシが好ましい。
R2としては直鎖又は分岐鎖が好ましく、分岐鎖がより好ましい。前記の中ではn−プロピル、イソプロピル、t−ブチルが好ましく、イソプロピルがより好ましい。
R3としては直鎖が好ましく、前記の中ではメチルが好ましい。
R4としては直鎖又は分岐鎖が好ましく、前記の中ではn−プロピル、イソプロピル、t−ブチルが好ましい。
R5としては直鎖又は分岐鎖が好ましく、分岐鎖がより好ましい。前記の中ではエチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチルが好ましく、イソプロピルがより好ましい。
R1としてはヒドロキシ基又はヒドロキシ基を有するアルコキシ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
R2としてはアルキル基が好ましく、分岐鎖アルキル基がより好ましい。
R3としてはアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。
R4としては水素原子又はヒドロキシ基が好ましい。
R5としては分岐鎖アルキル基が好ましい。
Ph:フェニル。
i−Pr:イソプロピル。
n−Pr:ノルマルプロピル。
t−Bu:ターシャリーブチル。
Et:エチル。
前記ジオール化合物は、接触角が通常54度未満、好ましくは50度以下、より好ましくは49度以下である。下限は特に限定されないが、通常0度以上、好ましくは10度以上、より好ましくは20度以上、さらに好ましくは30度以上、場合により好ましくは40度以上、特に好ましくは45度以上である。
ジオール化合物としては、アルカンジオールが好ましい。
このようなジオール化合物を含有するインクを用いることにより、ドット径の大きい記録画像を得ることができる。
ジオール化合物の接触角は、以下のようにして測定することができる。
[接触角の測定方法]
前記の接触角は、公知の液滴法により測定できる。本明細書においては、以下の条件で測定を行い、得られた数値の小数点以下1桁目を四捨五入することにより、接触角の値とする。
すなわち、ジオール化合物の液滴量は2.0マイクロリットル、測定までの待ち時間は200ミリ秒、測定のステージ温度は25℃として3回測定を行い、その平均値を接触角の数値とした。
接触角の測定機器としては協和界面化学株式会社製、Drop Masterシリーズ DM―501を用いた。また、ステージは同シリーズのジャケット式恒温恒湿槽(ステージの材質はアルミニウム5052、アルマイト表面処理)を用いた。
なお、前記のとおり測定のステージ温度が25℃であり、且つ、測定は常圧で行うため、25℃で液体ではないジオール化合物の接触角を測定することができない。この理由から、前記ジオール化合物は、25℃で液体ではないジオール化合物を含まない。
また、インクの表面張力は通常10〜50mN/m、好ましくは20〜40mN/mである。
また、インクの粘度は通常30mPa・s以下、好ましくは20mPa・s以下、下限は0.1mPa・s程度である。
また、アーチケミカル社製の商品名プロクセルGXL(S)、及びプロクセルXL−2(S)等のプロクセルシリーズが好ましく挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩、株式会社ADEKA製のアデカコール EC−8600等が挙げられる。
水不溶性の分散剤により着色剤を分散する方法としては、例えば、転相乳化法が挙げられる。すなわち、2−ブタノン等の有機溶剤に分散剤を溶解し、中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液に着色剤を加えて分散処理を行い、液を得る。このようにして得られた液から有機溶剤と一部の水を減圧留去することにより、目的とする着色剤の分散液を得ることができる。
分散処理としては、例えば、着色剤と分散剤とをサンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等に入れて、分散を行う方法が挙げられる。一例として、サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm〜1mm程度のビーズを使用し、ビーズの充填率を適宜設定して分散処理を行うことができる。
前記のようにして得られた分散液に対して、ろ過及び/又は遠心分離等の操作をすることができる。この操作により、分散液が含有する粒子の粒子径の大きさを揃えることができる。
また、前記インクをインクジェットインクとして使用するときは、インクを精密濾過することが好ましい。精密濾過をするときは、メンブランフィルター及び/又はガラス濾紙等を用いることができる。精密濾過を行うときのフィルター等の孔径は通常0.5μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μmである。
インクジェット記録方法としては、インク中の着色剤の含有量の低いインクを小さい体積で多数射出して画質を改良する方法;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方法;及び、無色透明のインクと、着色剤を含有するインクとを併用することにより、記録メディアに対する着色剤の定着性を向上させる方法等も挙げられる。前記インクは、これらの方法においても着色剤を含有するインクとして使用することができる。
ここで、難吸収メディア、及び非吸収メディアに対して、通常の水性インクで記録を行うと、インクの吸収が困難であるためにモットリングを生じたり、インクがはじかれる現象が生じる。一方、前記インクはそのような記録メディアに対してもインクがはじかれることなく記録を行うことができる。このため、記録メディアとしては難吸収メディア、及び非吸収メディアが好ましく、非吸収メディアが特に好ましい。難吸収メディアとしては、例えば普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が挙げられる。また、非吸収メディアとしては塩化ビニルシート、高分子樹脂からなるシート、ガラス、ゴム等が挙げられる。
難吸収メディア、又は非吸収メディアに対して、前記インクで記録を行うときは、各メディアを加熱しながら記録を行うことができる。メディアの加熱温度は通常30℃〜70℃、好ましくは30℃〜60℃、より好ましくは35℃〜50℃である。
前記インクジェット記録方法は、前記カラーインクから選択される複数のインクのインクセットとして、フルカラーの記録ができる。そのときは、各色のインクを含有する容器を前記と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の記録方法で記録メディアに記録する。
前記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
また、本発明のインクにより得られた記録画像のインクのドット径は、通常のインクにより得られた記録画像のドット径よりも大きい。このため、複数のパスで印刷することなく、1パスの印刷でも効率よくベタ印刷が行えることから、本発明のインクを使用すると印刷時間、及びインクの消費量の両方を低減することができる。この効果は、産業用途において特に有用である。また、ドット径が小さいために複数のパスでベタ印刷を行うと、インクの使用量が増加するため記録画像がモットリング及び/又は粒状感を生じることがある。しかし、本発明のインクにより得られる記録画像は、そのような現象を生じることもない。
また、本発明のインクにより得られた記録画像は耐擦過性に優れ、記録メディア上でのインクドットの真円度が高く、平滑性があり、光沢感を損なわない画像が得られる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた記録画像を得ることができる。
顔料固形分の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて、乾燥重量法により求めた。なお、実施例中の顔料固形分とは、乾燥重量法により求めた測定値からの顔料固形分のみの換算値である。
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製した。得られた共重合体6.6部を、2−ブタノン20部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.21部の28%アンモニア水溶液を51部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することにより液を得た。得られた液にC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)22部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行い液を得た。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び、一部の水を減圧留去することにより、顔料固形分が11.9%のシアン分散液「Dp1」を得た。
ジョンクリル678(6.6部)を、2−ブタノン20部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.21部の28%アンモニア水溶液を50部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することで液を調製した。得られた液にC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)22部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行い液を得た。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び、一部の水を減圧留去することにより、顔料固形分が12.5%のシアン分散液「Dp2」を得た。
ジョンクリル678(20部)、トリエタノールアミン11.4部、及びイオン交換水68.6部を混合し、180rpmで撹拌しながら60℃に昇温することにより、トリエタノールアミンで中和されたジョンクリル678を20%含有する、水溶液を得た。得られた水溶液に2−ブタノン20部、イオン交換水52部を加えて1時間攪拌することにより、液を得た。得られた液にC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)22部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行い液を得た。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び、一部の水を減圧留去することにより、顔料固形分が12.7%のシアン分散液「Dp3」を得た。
下記表2及び表3に記載の各成分を混合した後、0.8μmのシリンジフィルターで濾別することにより、実施例1〜3、及び比較例1〜11の各インクを得た。各インクが含有する顔料固形分が5%になるように、残部としてイオン交換水で調整した。
Tex:テキサノール。
LPX:BYK LPX 23289。
EC:アデカコール EC−8600。
12HD:1,2−ヘキサンジオール。
2M24PD:2−メチル−2,4−ペンタンジオール。
12BD:1,2ブタンジオール。
13BD:1,3ブタンジオール。
14BD:1,4ブタンジオール。
12OD:1,2オクタンジオール。
2M13PD:2−メチル−1,3−プロパンジオール。
3M13BD:3−メチル−1,3−ブタンジオール。
EG:エチレングリコール。
DPG:ジプロピレングリコール。
TEG:トリエチレングリコール。
PG:プロピレングリコール。
接触角:前記「接触角の測定方法」において測定した、ジオールの接触角。
上記実施例及び比較例のインクを、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名 PX205にてポリ塩化ビニルシートに10%Duty画像としてベタ印刷を行った。その後、90℃の恒温槽で5分間乾燥させることにより評価用の試験片を得た。
得られた試験片を、光学顕微鏡にて観察し、各インクのドット径を測定した。
結果を前記の表2及び表3に示す。
なお、比較例5で使用した1,2−オクタンジオールは、25℃で液体ではない(固体であった)ため接触角を測定できなかった。
また、比較例5のインクは、油滴のようなものが分離して、インクの表面に浮いていた。そこで、1,2オクタンジオールを増量したが、分離の状態がさらに悪化した。このため、比較例5については表3の組成のまま、ドット径の測定試験を実施した。その結果、ドット径は小さいことが分かった。また、ベタ埋まりしていない状態も観察され、画質についても不良であることが分かった。
さらに、比較例5のインクは、ドット径の測定を複数回行うと、その再現性が極めて悪く、ドット径の数値がばらつくことが分かった。その理由は不明であるが、インクが均一な状態ではないことに起因すると思われた。このため、前記表3中の比較例5のドット径は、参考程度の数値である。
Claims (8)
- 水、水不溶性の着色剤、アンモニアにより中和された分散剤、下記式(1)で表される化合物、及びジオール化合物を含有するインクであって、
前記ジオール化合物の接触角が、54度以下であるインク。
但し、前記のジオール化合物は、25℃で液体ではないジオール化合物を含まない。
- 前記ジオール化合物の接触角が、50度未満である請求項1に記載のインク。
- 前記ジオール化合物が、アルカンジオールである請求項1に記載のインク。
- インクの総質量に対する式(1)で表される化合物の含有量が、0.1質量〜5質量%である請求項1に記載のインク。
- 界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクの、インクジェット記録における使用。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクの液滴をインクジェットプリンタから吐出して、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記の記録メディアが、インク非吸収メディア、及びインク難吸収メディアより選択されるメディアである、請求項7に記載のインクジェット記録方法。
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JP2023052018A (ja) | 2023-04-11 |
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