JP2020006532A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録画像の画質低下を抑制することができるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)、ブラック及びグレーのインクを用いて、三原色のうち少なくとも一色とグレーとを混色させた部分を含む画像を記録媒体に記録可能なインクジェット記録装置は、搬送部により搬送される記録媒体に対して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグレーのうち互いに異なる一色のインクをそれぞれ吐出する5つのインク吐出部を備え、当該5つのインク吐出部は、搬送部による記録媒体の搬送方向について互いに異なる位置に設けられ、上記5つのインク吐出部のうちグレーのインクを吐出するグレーインク吐出部は、搬送方向について、5つのインク吐出部のうち三原色のインクを吐出する3つのインク吐出部からなる原色インク吐出部群の配置範囲の内側に配置されている。【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
従来、搬送部により搬送される記録媒体に対し、インク吐出部に設けられたノズルからインクを吐出させて所望の位置に着弾させることで画像などを記録するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置の一つとして、互いに異なる色のインクを各々吐出する複数のインク吐出部が記録媒体の搬送方向について異なる位置に設けられ、搬送されている記録媒体に対して各インク吐出部から適切なタイミングでインクを吐出させることでカラー画像を記録することができるものがある。
このようなインクジェット記録装置では、三原色(イエロー、マゼンタ、シアン)及びブラックからなるプロセスカラーのインクを吐出するインク吐出部に加えて、ブラックより明度の高い無彩色であるグレーのインクを吐出するインク吐出部をさらに設け、三原色のうち少なくとも一色とグレーとを混色させた色の画像も記録可能とすることで、記録画像の色再現性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2012−920号公報
しかしながら、インク吐出部の数が増加して搬送方向についての色間の距離が大きくなるほど、搬送方向に直交する幅方向についての記録媒体の位置ずれ量が増大する傾向がある。
記録媒体のこのような位置ずれに応じてインクの着弾位置にもずれが生じるため、複数のインク吐出部からそれぞれ吐出されたインク同士による所望の混色がなされず、記録画像における色ずれの発生に繋がる。特に、プロセスカラーのインクに加えてグレーのインクを用いるインクジェット記録装置では、グレーのインクを吐出するインク吐出部と、三原色のインクを吐出するインク吐出部との距離が広がることで、グレーと三原色との混色が適切になされなくなることによる色ずれが生じる。この結果、グレーインクによる色再現性の向上効果が得られにくくなって画質が低下してしまうという課題がある。
この発明の目的は、記録画像の画質低下を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のインクジェット記録装置の発明は、
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグレーのインクを用いて、イエロー、マゼンタ及びシアンからなる三原色のうち少なくとも一色とグレーとを混色させた部分を含む画像を記録媒体に記録可能なインクジェット記録装置であって、
記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される記録媒体に対して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグレーのうち互いに異なる一色のインクをそれぞれ吐出する5つのインク吐出部と、
を備え、
前記5つのインク吐出部は、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について互いに異なる位置に設けられ、
前記5つのインク吐出部のうちグレーのインクを吐出するグレーインク吐出部は、前記搬送方向について、前記5つのインク吐出部のうち前記三原色のインクを吐出する3つのインク吐出部からなる原色インク吐出部群の配置範囲の内側に配置されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記グレーインク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群に属するいずれか一つのインク吐出部の下流側、かつ前記原色インク吐出部群に属する残り2つのインク吐出部の上流側に配置されている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、
前記グレーインク吐出部は、前記原色インク吐出部群に属する3つのインク吐出部のうち、予め定められた色変換処理に応じてグレーと混色させる頻度が最も低い色のインクを吐出するインク吐出部を除いた2つのインク吐出部と隣り合う位置に配置されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記グレーインク吐出部は、マゼンタのインクを吐出するインク吐出部、及びシアンのインクを吐出するインク吐出部と隣り合う位置に配置されている。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記搬送方向について上流側から、マゼンタのインクを吐出するインク吐出部、前記グレーインク吐出部、シアンのインクを吐出するインク吐出部、及びイエローのインクを吐出するインク吐出部が順に配列されている。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記5つのインク吐出部のうちブラックのインクを吐出するブラックインク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群の配置範囲の外側に配置されている。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記三原色の各々とは色相が異なる特色のインクを吐出する特色インク吐出部をさらに備え、
前記特色インク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群の配置範囲の外側に配置されている。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、
前記特色は、前記三原色のうち一部の色と混色させて用いられ、
前記原色インク吐出部群の配置範囲のうち前記特色インク吐出部から最も遠い位置には、前記三原色のうち前記特色と混色させずに用いられる色のインクを吐出するインク吐出部が配置されている。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載のインクジェット記録装置において、
前記5つのインク吐出部のうちブラックのインクを吐出するブラックインク吐出部は、前記5つのインク吐出部のうち当該ブラックインク吐出部を除く任意のインク吐出部、及び前記特色インク吐出部よりも前記搬送方向について上流側、又は下流側に配置されている。
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
第1の前記特色のインクを吐出する第1の前記特色インク吐出部と、
第2の前記特色のインクを吐出する第2の前記特色インク吐出部と、
を備え、
前記第1の特色はオレンジであり、前記第2の特色はブルーである。
請求項11に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
第1の前記特色のインクを吐出する第1の前記特色インク吐出部と、
第2の前記特色のインクを吐出する第2の前記特色インク吐出部と、
を備え、
前記第1の特色はレッドであり、前記第2の特色はバイオレットである。
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体は布帛である。
本発明に従うと、記録画像の画質低下を抑制することができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットの構成を示す模式図である。 インクジェット記録装置の主要な機能構成を示すブロック図である。 特色であるBの、色相環における位置を示す図である。 ヘッドユニットの配列順序を示す図である。 ヘッドユニットの配列順序の他の例を示す図である。 変形例1における特色であるO及びBの、色相環における位置を示す図である。 変形例1におけるヘッドユニットの配列順序を示す図である。 変形例2における特色であるR及びVの、色相環における位置を示す図である。 変形例2におけるヘッドユニットの配列順序を示す図である。 ヘッドユニットの配列順序の他の例を示す図である。
以下、本発明のインクジェット記録装置に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部10と、記録部20と、制御部30などを備える。
搬送部10は、駆動ローラー11と、従動ローラー12と、搬送ベルト13と、搬送モーター14と、ロータリーエンコーダー15と、押圧ローラー16と、剥がしローラー17などを備える。
駆動ローラー11は、搬送モーター14の駆動によって回転軸を中心に回転する。搬送ベルト13は、駆動ローラー11及び従動ローラー12(以下ではまとめて搬送ローラーとも記す)により内側が支持された輪状のベルトであり、駆動ローラー11が回転動作するのに従って周回移動する。従動ローラー12は、搬送ベルト13の周回移動に伴って駆動ローラー11の回転軸と平行な回転軸を中心に回転する。搬送ベルト13としては、搬送ローラーとの接触面で柔軟に屈曲し、かつ確実に記録媒体mを支持する材質のものが用いられ、例えば、ゴムなどの樹脂製のベルトや、スチールベルトなどを用いることができる。この搬送ベルト13は、記録媒体mが吸着される材質及び/又は構成を有することで、より記録媒体mを安定して搬送ベルト13に載置可能とすることができる。
搬送モーター14は、制御部30からの制御信号に応じた回転速度で駆動ローラー11を回転動作させる。搬送モーター14は、駆動ローラー11を通常の搬送方向とは反対方向に逆回転させることも可能となっている。搬送部10は、搬送ベルト13の搬送面上に記録媒体mが載置された状態で、駆動ローラー11の回転速度に応じた速度で搬送ベルト13が周回移動することで記録媒体mを搬送ベルト13の移動方向(搬送方向)に搬送する搬送動作を行う。
なお、記録媒体mの搬送は、例えば搬送部10によるインク吐出が行われる期間一時停止させるといった態様で間欠的に行われても良い。搬送部10による搬送動作は、上記のように搬送を一時停止させる動作を含むものとする。
本実施形態では、記録媒体mとして布帛が用いられる。記録媒体mは、記録媒体mが巻き取られたロール(記録媒体巻出部)から巻き出されて(繰り出されて)搬送ベルト13上に供給される。本実施形態の搬送部10は、搬送方向と直交する幅方向の幅が約2m、ロール全体での長さが約4000mの記録媒体mを搬送可能に構成されている。なお、搬送部10により、幅方向の幅が2mより小さい記録媒体mを搬送しても良い。また、搬送部10は、幅方向の幅が2mより大きい記録媒体mを搬送可能な構成とされていても良く、また、搬送可能な記録媒体mの幅方向の最大幅が2mより小さい構成とされていても良い。
なお、記録媒体mは、上述の布帛に限定されず、紙やシート状の樹脂等、表面に吐出されたインクを固着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。また、ロールから巻き出される長尺の記録媒体mに代えて、枚葉紙等の短尺の記録媒体mが用いられても良い。
ロータリーエンコーダー15は、駆動ローラー11が所定の角度回転するごとにパルス信号(検出信号)を制御部30及びヘッド制御部24(図3)に出力する。ロータリーエンコーダー15の構成は、特には限られないが、例えば、所定の円周上に配列された複数のスリットが設けられ駆動ローラー11とともに回転するコードホイールと、当該コードホイールのスリットに光を照射する発光部と、発光部から射出されスリットを通過した光を検出する受光部とを備え、受光部による光の検出結果に基づくパルス信号を制御部30及びヘッド制御部24に出力する構成とすることができる。ここで、パルス信号は、例えば、スリット通過光の受光周期と同一の周期を有し互いに位相が90度異なる2つの方形派(A相及びB相)の各々における立ち上がり及び立ち下りのタイミングで出力されるものとすることができる。このような構成では、A相及びB相の位相により駆動ローラー11の回転方向を検出することもできる。
押圧ローラー16は、搬送ベルト13の搬送面に供給される記録媒体mを当該搬送面に対して押圧することでしわなどの搬送面からの浮きを除去する。
剥がしローラー17は、搬送ベルト13に吸着された状態で搬送されてきた記録媒体mを所定の圧力で引っ張ることで、記録媒体mを搬送面から引き剥がして図示略の後処理装置へ送る。本実施形態では、後処理装置として、画像が記録された記録媒体mを乾燥させる乾燥装置、発色を良くし、またインクを固着させるために記録媒体mを蒸す装置、汚れや未固着のインク等を洗い落す洗浄装置、記録媒体mを所定の位置で裁断する裁断装置などが設けられている。
記録部20は、6つのヘッドユニット21(インク吐出部)を備える。各ヘッドユニット21は、画像データに基づいてインクを吐出するインク吐出動作を各々行う複数の記録素子を有し、当該複数の記録素子がインク吐出動作を行うことにより、搬送部10により搬送される記録媒体m上に画像を記録する画像記録動作を行う。6つのヘッドユニット21は、互いに異なる色のインクを吐出する。具体的には、各ヘッドユニット21は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、グレー(Gy)、ブルー(B)の6色のうち互いに異なる一色のインクを吐出する。
以下では、Y、M、C、K、Gy、Bのインクを吐出するヘッドユニット21を、それぞれヘッドユニット21Y、ヘッドユニット21M、ヘッドユニット21C、ヘッドユニット21K(ブラックインク吐出部)、ヘッドユニット21Gy(グレーインク吐出部)、ヘッドユニット21B(特色インク吐出部)とも記す。また、このうち三原色のインクを吐出するヘッドユニット21Y、21M、21Cからなるユニット群を、原色ヘッドユニット群(原色インク吐出部群)とも記す。また、6つのヘッドユニット21のうちヘッドユニット21Bを除いたヘッドユニット21Y、21M、21C、21K、21Gyにより「5つのインク吐出部」が構成される。
これらの6色のうち、減法混色による色の表現に用いられる三原色であるY、M及びCと、当該三原色の混色では実際には得られ難いK(ブラック)とからなる4色は、プロセスカラー(基本色)と呼ばれ、インクジェット記録装置をはじめとする各種の画像形成装置による画像の記録に用いられる基本的な色の組合せである。以下では、三原色のうちの一色を指して「原色」とも記す。
また、Gy(グレー)は、Kより明度が高い無彩色(Kの淡色)であり、上記の三原色のうち一又は二以上の色と混色させることで、三原色により表現される色よりも彩度の低い色を表現するために用いられる。
また、Bは、三原色の各々とは色相が異なる色であり、特色と呼ばれる。本実施形態では、特色は、三原色のうち少なくとも一色との混色により、三原色により表現される色とは異なる色を表現するために用いられる。
このように、本実施形態のインクジェット記録装置1では、プロセスカラーのインクと、Gy、Bのインクとを用いることで、プロセスカラー同士の混色により得られる色に加えて、三原色のうち少なくとも一色とGy又はBとの混色により得られる色を表現することができるようになっている。
ここで、インクジェット記録装置1による画像形成における混色は、異なる色のインクを記録媒体m上の所定の近傍範囲内に着弾させることで、記録媒体mの(通常の巨視的な視点からの)観察者には当該異なる色同士が混ぜ合わされた色に見える効果を用いて表現される。したがって、必ずしも記録媒体m上で液体状態のインク同士が合一するようにインクを吐出させる必要はなく、近接位置に(又は少なくとも一部が重なる位置に)着弾した異なる色のインク同士が互いに別個のタイミングで固化する態様で(すなわち、液体状態で合一しない態様で)インクを吐出させても良い。
また、本実施形態では、綿や麻といった天然繊維などの記録媒体mに対して好適に用いられる反応染料インクが用いられている。反応染料インクは、記録媒体mに吐出した後に蒸し処理(加熱及び加湿)を行うことで染料分子が記録媒体の分子と共有結合し、安定した状態で記録媒体mを着色させることができる。
6つのヘッドユニット21は、記録媒体mの搬送方向について互いに異なる位置に、所定の間隔を開けて配列されている。このような構成において、各ヘッドユニット21は、記録素子から吐出するインクの色に対応する画像を形成し、インクジェット記録装置1は、Y、M、C、K、Gy、Bの画像を記録媒体m上の同一領域に重ねて記録することにより記録対象のカラー画像を記録する。
なお、6つのヘッドユニット21の配列順序については、後に詳述する。
図2は、ヘッドユニット21の構成を示す模式図である。図2では、ヘッドユニット21の全体を搬送ベルト13の搬送面に相対する側から見た平面図が示されている。
ヘッドユニット21は、インクを吐出する複数の記録素子がそれぞれ設けられた54個の記録ヘッド22を備える。各記録ヘッド22では、幅方向について約72mmの幅に亘って連続するように記録素子が配列されている。記録ヘッド22に設けられた記録素子は、それぞれ、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズル23とを有する。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズル23からインクを吐出する。図2では、記録素子におけるノズル23のインク吐出口の位置が示されている。なお、各記録ヘッド22における記録素子の配列方向は、搬送方向に直交する幅方向に限られず、直角以外の角度で搬送方向と交差する方向であっても良い。
ヘッドユニット21では、記録素子のノズル23が幅方向について交互に配置されるような位置関係で搬送方向に隣接して配置された2つの記録ヘッド22により、ヘッドモジュール22Mが構成されている。また、ヘッドユニット21では、27個のヘッドモジュール22Mが、ノズル23からインクを吐出可能な範囲が幅方向についての画像の記録幅(約2m)に亘って連続的に繋がるような位置関係で、幅方向についての配置範囲が互いに一部重複するように千鳥格子状に配置されてラインヘッドが構成されている。ヘッドユニット21は、画像の記録時には位置が固定されて用いられ、記録媒体mの搬送に応じて搬送方向の異なる位置に所定の間隔で順次インクを吐出していくことで、シングルパス方式で画像を記録する。なお、ヘッドモジュール22Mの数(したがって記録ヘッド22の数)は、記録媒体mの幅方向の長さなどに応じて適宜変更することができる。
図3は、インクジェット記録装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部10に設けられた搬送駆動部101及びロータリーエンコーダー15と、ヘッドユニット21に設けられたヘッド制御部24及びヘッド駆動部221と、制御部30と、画像処理部41と、操作表示部42と、入出力インターフェース43と、バス44などを備える。
搬送駆動部101は、制御部30から供給される制御信号に基づいて搬送モーター14に駆動信号を供給して駆動ローラー11を所定の回転速度で回転させることにより、搬送ベルト13を所定の移動速度で移動させる。
ヘッド制御部24は、制御部30からの制御信号や、ロータリーエンコーダー15から入力されたパルス信号のカウント数に応じた適切なタイミングで、ヘッド駆動部221に対して各種制御信号や画像データを出力する。
ヘッド駆動部221は、ヘッド制御部24から入力される制御信号や画像データに応じて記録ヘッド22の記録素子に対して圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給し、各ノズル23の開口部からインクを吐出させる。
制御部30は、CPU31(Central Processing Unit)、RAM32(Random Access Memory)、ROM33(Read Only Memory)及び記憶部34を有する。
CPU31は、ROM33に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM32に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU31は、インクジェット記録装置1の全体動作を統括制御する。
RAM32は、CPU31に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM32は、不揮発性メモリーを含んでいても良い。
ROM33は、CPU31により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM33に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
記憶部34には、入出力インターフェース43を介して外部装置2から入力されたプリントジョブ(画像記録命令)及び当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部34としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されても良い。
画像処理部41は、制御部30による制御下で、記憶部34に記憶された画像データに対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データを記憶部34に記憶させる。画像処理部41が行う画像処理としては、外部装置2から入力され記憶部34に記憶されたPDL(Page Description Language)データをラスター形式の画像データに変換するラスタライズ処理、R、G、Bの各色成分の画像データをY、M、C、K、Gy、Bの各色成分の画像データに変換する色変換処理、画像データに対するハーフトーン処理などがある。このうち色変換処理には、ラスター形式の元の画像データにおける色を、Y、M、C、K、Gy、Bのうち当該色に対応して予め定められた所定の色の組み合わせ(混色させる色の組み合わせ)に分解、変換する処理が含まれる。インクジェット記録装置1で用いられる6色には、この分解、変換処理で混色させる頻度の高い色の組み合わせや混色させる頻度の低い色の組み合わせが存在する。一例では、三原色のうちYは、M、Cと比較して、Gyと混色させる頻度が低くなっている。
このように生成されたY、M、C、K、Gy、Bの画像データは、6つのヘッドユニット21のうちインクの色が対応するヘッドユニット21に供給され、制御部30及びヘッド制御部24による制御下で、当該供給された画像データに基づいてインク吐出動作が行われる。
なお、画像処理部41を設けず、制御部30において上記各種の画像処理を行っても良い。また、インクジェット記録装置1の外部に設けられた外部装置2において上記各種の画像処理を行い、処理後の画像データを記憶部34に記憶させるようにしても良い。
操作表示部42は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネルといった入力装置とを備える。操作表示部42は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部30に出力する。
入出力インターフェース43は、外部装置2と制御部30との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース43は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか又はこれらの組み合わせで構成される。
バス44は、制御部30と他の構成との間で信号の送受信を行うための経路である。
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース43を介してプリントジョブ及び画像データ等を制御部30に供給する。
なお、インクジェット記録装置1の構成要素は上記に限られず、必要に応じて他の構成要素が設けられていても良い。例えば、搬送方向についてヘッドユニット21の上流側に、記録媒体mの浮きといった載置異常や記録媒体m上に付着した異物などの検出を行うためのセンサー(異状検知部)を設けても良い。
次に、インクジェット記録装置1において用いられる6色のインクのうち、互いに混色させて用いられる色の組み合わせについて説明する。
インクジェット記録装置1では、6色のインクのうち互いに混色させて用いられる色の組み合わせが予め定められている。
具体的には、三原色であるY、M、CにGyを加えた4色は、互いに混色させて用いられる。
また、特色であるBは、三原色のうちM、Cとのみ混色させて用いられ、Yとは混色させずに用いられる。また、Bは、Gyとは混色させて用いられる。
なお、K(ブラック)は、他の色とは混色させずに用いられるが、仮に他の色と混色させても明度、彩度及び色相が変化しない。よって、Kは、着弾位置がずれてもK自身の色ずれには繋がらない。
三原色のうち、特色であるBと混色させる色(M、C)は、色相環における色相の相対関係に基づいて定められている。
図4は、特色であるBの、色相環における位置を示す図である。
ここで、色相環は、色の三要素の一つである色相を、連続的に変化して知覚されるような順序で円環状に配置したものである。図4の色相環では、Y、R(レッド)、M、B、C、G(グリーン)が時計回りでこの順に60度間隔で配置されている。以下では、色相環において、Y、M及びCに対応する色相の位置で区分された3つの範囲を色相範囲A1〜A3とする。このうち色相範囲A1は、Y及びMに対応する色相の位置で区分された範囲であり、色相範囲A2は、M及びCに対応する色相の位置で区分された範囲であり、色相範囲A3は、C及びYに対応する色相の位置で区分された範囲である。
図4に示されるように、特色のBは、色相範囲A2に属している。
本実施形態で用いられている反応染料インクでは、当該反応染料インクに使用可能な染料の色の関係上、色相範囲A2の中ではBの色相を有するインクが調製しやすい。このため、本実施形態では、特色としてBが用いられている。
ここで、特色として用いられるBは、例えば色相がマンセル色相環において7.5B〜7.5PBの範囲内にある色である。
インクジェット記録装置1による画像の記録では、色相環のうちある色相範囲に属する特色は、当該特色が属する色相範囲の両端の色相に対応する原色(以下では、便宜上「近傍原色」と記す)との間で混色させて用いられる一方、通常、当該特色が属する色相範囲の両端の色相とは異なる色相の原色(以下では、便宜上「反対原色」と記す)との間では混色させずに用いられる。これは、特色と反対原色とを混色させると無彩色に近い色となるため、混色による記録画像の色再現性の向上には寄与しないためである。
具体的には、Bは、Bについての近傍原色であるM、Cと混色させて用いられる一方、反対原色であるYとは混色させずに用いられる。
上述した画像処理部41よる色変換処理では、上記の混色の可否に係る条件が満たされるようにY、M、C、K、Gy、Bの各画像データが生成される。具体的には、互いに混色させないB及びYの画像データの各々では、B及びYのインクが混色して認識される近傍範囲に吐出されないような位置関係で、インク吐出に対応する画素(オン画素)が配置される。
他方で、その他の混色させる色の画像データの間では、変換前の画像データにおける色に応じて、吐出されたインク同士が混色して認識される近傍範囲に吐出されるように、各画像データのオン画素が配置される。
次に、6つのヘッドユニット21の配列順序について説明する。
図5は、本実施形態におけるヘッドユニット21の配列順序を示す図である。この図では、6つのヘッドユニット21の搬送方向における配置位置(搬送方向上流側から順にP1〜P6とする)と、各配置位置P1〜P6に配置されたヘッドユニット21により吐出されるインクの色との関係が示されている。図5に示されるとおり、本実施形態では、K、B、M、Gy、C、Yのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。
このような順序でヘッドユニット21を配置することにより、記録画像における色ずれを抑制することができる。以下では、その理由について説明する。
インクジェット記録装置1では、別個のヘッドユニット21からそれぞれ吐出された異なる色のインクが所望の位置に着弾されなかった場合には、当該異なる色同士の混色が適切に行われなくなって記録画像における色ずれの発生に繋がる。
具体的には、本実施形態のインクジェット記録装置1では、搬送ベルト13に蛇行が生じていると、記録画像Mが搬送方向に対して斜行し、搬送方向について異なる位置の間で記録媒体mの幅方向についての位置ずれが生じる。この結果、別個のヘッドユニット21からそれぞれ吐出されたインクの幅方向についての着弾位置が相対的にずれて所望の混色が行われなくなり、上記の色ずれが発生する。搬送ベルト13の蛇行は、当該搬送ベルト13が搬送ローラーから受ける力の幅方向についての分布の不均衡などに起因して、搬送ローラーにおける搬送ベルト13の接触範囲が幅方向にずれることなどにより生じる。
搬送ベルト13の蛇行等に起因して記録媒体mが斜行している場合、記録媒体mの幅方向についての位置ずれ量は、搬送方向についての距離が大きい2点間ほど大きくなる傾向がある。したがって、6つのヘッドユニット21のうち搬送方向についての配置間隔が大きいヘッドユニット21からそれぞれ吐出されたインクほど、幅方向についての着弾位置がずれやすく、記録画像における色ずれに繋がりやすい。
他方で、上述のとおり、インクジェット記録装置1で用いられる6色のインクにおいて、互いに混色させない色の組み合わせが予め定められている。よって、混色させない組み合わせの色同士では、インクの着弾位置にずれが生じても記録画像における色ずれには繋がらない。このため、混色させない色に対応するヘッドユニット21同士をできるだけ遠くに配置するとともに、混色させて用いられる色のヘッドユニット21同士をできるだけ近付けることで、色ずれを抑制することができる。
具体的には、図5に示されるとおり、ヘッドユニット21Gyは、ヘッドユニット21Y、21M、21Cからなる原色ヘッドユニット群の配置範囲rの内側に配置されている。また、これらの4つのヘッドユニット21が連続して配置されている(P3〜P6)。
これにより、ヘッドユニット21Gyと、Gyと混色させて用いられる三原色のインクを吐出するヘッドユニット21Y、21M、21Cとの距離が小さく抑えられている。よって、Gyのインクと、三原色の各色のインクとの間で、幅方向の着弾位置ずれを小さく抑えることが可能となり、記録画像における、Gyと三原色との混色に係る色ずれが抑制される。
また、ヘッドユニット21Gyは、原色ヘッドユニット群のうちヘッドユニット21Mより搬送方向下流側、かつ残りの2つのヘッドユニット21C、21Yより上流側に配置されている。換言すれば、これら4つのヘッドユニット21のうち、搬送方向上流側から2番目の位置にヘッドユニット21Gyが配置されている。より詳しくは、当該4つのヘッドユニット21は、搬送方向上流側から、ヘッドユニット21M、ヘッドユニット20Gy、ヘッドユニット21C、ヘッドユニット21Yの順に配置されている。
Y、M又はCのインクを吐出して着弾させた後にGyのインクを吐出して、Gyのインクを一部(又は全部)重ねて着弾させると、Gyの前に着弾していたインクの色がくすみやすくなって、表現可能な色域が小さくなることが知られている。換言すれば、Gyの後に吐出されたインクの色は、Gyのインクの影響による色域の縮小が抑えられる。このため、上記4つのヘッドユニット21のうちヘッドユニット21Gyを搬送方向上流側から2番目に配置することで、三原色のうちなるべく多くの(すなわち2色の)インクをGyの後に吐出することができ、記録画像の色域をなるべく広く確保できるようになっている。
より詳しくは、Mは、三原色のうち明度及び彩度が最も低い色であるため、Gyを後に吐出することによるくすみの影響が最も小さい色である。よって、ヘッドユニット21Gyの上流側にヘッドユニット21Mを配置し、下流側にヘッドユニット21C、21Yを配置することで、C、Yの2色のくすみを抑えて色域の縮小を効果的に抑えることができる。また、Yは、三原色のうち明度及び彩度が最も高い色であるため、M、Cより下流側に配置して三原色の最後に吐出することで、他の色の影響によるくすみをより効果的に抑えることができる。
また、本実施形態では、Yは、三原色のうちGyと混色させる頻度が最も低い色となっている。これに鑑みて、ヘッドユニット20Gyは、ヘッドユニット21M、21Cと隣接させ、ヘッドユニット21Yとは隣接しない位置に配置されている。すなわち、Gyと混色させる頻度が相対的に高いM、Cに対応するヘッドユニット21M、21Cをヘッドユニット21Gyに隣接させることで、色ずれによる画質低下がより効果的に抑制される。
また、特色であるBのインクを吐出するヘッドユニット21Bは、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの外側(P2)に配置されている。また、原色ヘッドユニット群の配置範囲rのうち、ヘッドユニット21Bから最も遠い位置(P6)には、Bについての反対原色(Y)のインクを吐出するヘッドユニット21Yが配置されている。
これにより、搬送方向についての間隔が大きい位置関係(P2とP6)のヘッドユニット21B、21Yから、混色させることのない特色(B)及び反対原色(Y)のインクがそれぞれ吐出されることとなるため、記録媒体mの斜行によって、これらのヘッドユニット21B、21Yから吐出されたインクの幅方向の着弾位置ずれが生じても、記録画像における色ずれに繋がらないようになっている。
なお、BとGyは互いに混色させて用いられるところ、BとGyとの間にMが挟まれている位置関係となっていて色間距離が若干長くなっているが、BとGyとの混色頻度は、三原色とGyとの混色頻度より低いため、このような配置としても色ずれによる画像低下の問題は生じにくい。
また、Kのインクを吐出するヘッドユニット21Kは、搬送方向について最も上流側(P1)に配置されている。このように、いずれの色とも混色させないKのヘッドユニット21Kを端部に配置することで、その他の混色させる色に対応するヘッドユニット21同士を近付けて配置することができる。
なお、図6に示されるように、ヘッドユニット21Kを搬送方向について最も下流側(P6)に配置しても良い。
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
本変形例では、特色として、O(オレンジ)(第1の特色)及びB(第2の特色)の2色が用いられる。よって、インクジェット記録装置1は、Oのインクを吐出するヘッドユニット21O(第1の特色インク吐出部)と、Bのインクを吐出するヘッドユニット21B(第2の特色インク吐出部)とを含む7つのヘッドユニット21を備えている。
図7は、特色であるO及びBの、色相環における位置を示す図である。
図7に示されるように、Oは、色相範囲A1に属している。
反応染料インクでは、当該反応染料インクに使用可能な染料の色の関係上、色相範囲A1の中ではオレンジの色相を有するインクが調製しやすい。このため、本変形例では、色相範囲A1に属する特色としてOが用いられている。
ここで、特色として用いられるオレンジは、例えば色相がマンセル色相環において7.5R〜7.5YRの範囲内にある色である。
Oは、両端がM及びYである色相範囲A1に属しているため、Oについての近傍原色はM及びYであり、反対原色はCである。このため、Oは、近傍原色であるM及びYと混色させて用いられる一方、反対原色であるCとは混色させずに用いられる。
また、本変形例のように、互いに異なる色相範囲に属する特色を用いる場合には、当該特色同士は、混色させずに用いられる。これは、特色及び反対原色を混色させない理由と同様の理由による。したがって、本変形例の2つの特色であるO及びBは、互いに混色させずに用いられる。
図8は、本変形例におけるヘッドユニット21の配列順序を示す図である。
本変形例では、図8(a)に示されるように、K、B、C、Gy、M、Y、Oのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。
ここでは、互いに混色させて用いられることのない2つの特色(O及びB)を吐出するヘッドユニット21O及びヘッドユニット21Bは、原色ヘッドユニット群の配置範囲rを挟む両側に配置されている。すなわち、ヘッドユニット21Oは、搬送方向について、ヘッドユニット21Yの下流側(P7)に配置され、ヘッドユニット21Bは、ヘッドユニット21Cの上流側(P2)に配置されている。
このような配置では、ヘッドユニット21Oとヘッドユニット21Bとの距離が大きくなるが、O及びBは混色させずに用いられるため、記録媒体mの斜行によって、これらのヘッドユニット21から吐出されたインクの幅方向の着弾位置ずれが生じても、記録画像における色ずれには繋がらないようになっている。
また、原色ヘッドユニット群の配置範囲rのうち、特色のインクを吐出するヘッドユニット21から最も遠い位置には、当該特色の反対原色(すなわち、当該特色と混色させずに用いられる色)のインクを吐出するヘッドユニット21が配置されている。
具体的には、配置範囲rのうち、ヘッドユニット21B(P2)から最も遠い位置(P6)には、Bの反対原色であるYのインクを吐出するヘッドユニット21Yが配置されている。また、配置範囲rのうち、ヘッドユニット21O(P7)から最も遠い位置(P3)には、Oと混色させずに用いられるCのインクを吐出するヘッドユニット21Cが配置されている。
このような配置により、搬送方向についての間隔が大きい位置関係のヘッドユニット21から、混色させることのない特色及び反対原色のインクがそれぞれ吐出されることとなるため、記録媒体mの斜行によって、これらのヘッドユニット21から吐出されたインクの幅方向の着弾位置ずれが生じても、記録画像における色ずれに繋がらないようになっている。
また、このような配置の結果、特色のインクを吐出するヘッドユニット21と、当該特色と混色させる近傍原色のインクを吐出するヘッドユニット21とを相対的に近づけることができる。具体的には、互いに混色させるO、Y、Mのインクを吐出するヘッドユニット21O、21Y、21Mの配置位置を近接させることができ(P5〜P7)、また、互いに混色させるB、C、Mのインクを吐出するヘッドユニット21B、21C、21Mの配置位置を近接させることができる(P2、P3、P5)。このため、互いに混色させる特色及び原色のインクについて幅方向の着弾位置ずれを小さくすることができ、記録画像における色ずれを抑制することができる。
また、本変形例におけるヘッドユニット21の配列順序は、図8(b)〜図8(d)のような順序としても良い。
このうち図8(b)では、B、C、Gy、M、Y、O、Kのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。図8(b)の配列順序は、図8(a)の配列順序におけるヘッドユニット21Kの位置を、搬送方向について最下流側(P7)に変更し、他の6つのヘッドユニット21の位置を一つずつ上流側にずらしたものである。
また、図8(c)では、O、Y、M、Gy、C、B、Kのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。図8(c)の配列順序は、図8(a)の配列順序を、搬送方向について逆転させたものである。
また、図8(d)では、K、O、Y、M、Gy、C、Bのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。図8(d)の配列順序は、図8(c)の配列順序におけるヘッドユニット21Kの位置を、搬送方向について最上流側(P1)に変更し、他の6つのヘッドユニット21の位置を一つずつ下流側にずらしたものである。別の観点では、図8(d)の配列順序は、図8(b)の配列順序を、搬送方向について逆転させたものである。
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、使用する特色が変形例1とは異なる。以下では、変形例1との相違点について説明する。
本変形例では、インク中に染料が分散された状態となっている分散染料インクが用いられる。分散染料インクは、ポリエステルやアセテートといった化学染料に対して好適に用いられる。
また、本変形例では、特色として、レッド(R)及びバイオレット(V)が用いられる。
図9は、特色であるR及びVの、色相環における位置を示す図である。
図9に示されるように、Rは色相範囲A1に属し、Vは色相範囲A2に属している。このため、Rは、近傍原色であるM及びYとは混色させて用いられる一方、反対原色であるCとは混色させずに用いられる。また、Vは、近傍原色であるM及びCと混色させて用いられる一方、反対原色であるYとは混色させずに用いられる。また、R及びVの特色同士は、混色させずに用いられる。
分散染料インクでは、当該分散染料インクに使用可能な染料の色の関係上、色相範囲A1の中ではレッドの色相を有する色のインクが調製しやすく、また色相範囲A2の中ではバイオレットの色相を有する色のインクが調製しやすい。このため、本実施形態では、2つの特色としてR及びVが選択されている。
ここで、特色として用いられるレッドは、例えば色相がマンセル色相環において7.5RP〜7.5Rの範囲内にある色である。また、特色として用いられるバイオレットは、例えば色相がマンセル色相環において7.5PB〜7.5Pの範囲内にある色である。
図10は、本変形例におけるヘッドユニット21の配列順序を示す図である。
本変形例では、図10(a)に示されるように、K、V、C、Gy、M、Y、Rのインクを吐出するヘッドユニット21が搬送方向上流側からこの順に配列されている。この配列順序は、図8に示される変形例1の配列順序において、OをRに置き換え、BをVに置き換えたものに相当する。
なお、図10(a)の配列順序に代えて、図10(b)〜図10(d)のような配列順序としても良い。図10(b)〜図10(d)の配列順序は、それぞれ図8(b)〜図8(d)の配列順序において、OをRに置き換え、BをVに置き換えたものに相当する。
このような配列順序とすることで、互いに混色させることのないRとV、RとC、YとVのインクを吐出するヘッドユニット21同士を搬送方向について離れた位置に配置することができる。よって、これらの組み合わせのインクの着弾位置が記録媒体mの斜行によりずれたとしても、記録画像における色ずれに繋がらないようになっている。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、Y、M、C、K、Gyのインクを用いて、Y、M、Cからなる三原色のうち少なくとも一色とGyとを混色させた部分を含む画像を記録媒体mに記録可能であり、記録媒体mを搬送する搬送部10と、搬送部10により搬送される記録媒体mに対して、Y、M、C、K、Gyのうち互いに異なる一色のインクをそれぞれ吐出する5つのヘッドユニット21と、を備え、当該5つのヘッドユニット21は、搬送部10による記録媒体mの搬送方向について互いに異なる位置に設けられ、上記5つのヘッドユニット21のうちGyのインクを吐出するヘッドユニット21Gyは、搬送方向について、上記5つのヘッドユニット21のうち三原色のインクを吐出する3つのヘッドユニット21からなる原色ヘッドユニット群の配置範囲の内側に配置されている。
このような構成によれば、ヘッドユニット21Gyと、三原色のインクを吐出するヘッドユニット21Y、21M、21Cとの距離を小さくすることができる。よって、記録媒体mの斜行が生じた場合でも、Gyのインクと、三原色の各色のインクとの間で、幅方向の着弾位置ずれを小さくすることができるため、Gy及び三原色の組み合わせで表現される色についての色ずれを抑制することができ、また、色ずれによる記録画像の画質低下を抑制することができる。特に、Gyは、三原色の各色と混色させる頻度が高いため、上記のような配置によってGyと三原色の各色との距離を小さくすることで、効果的に色ずれを抑制することができる。
また、ヘッドユニット21Gyは、搬送方向について、原色ヘッドユニット群に属するいずれか一つのヘッドユニット21の下流側、かつ原色ヘッドユニット群に属する残り2つのヘッドユニット21の上流側に配置されている。このように、ヘッドユニット21Y、21M、21C、21Gyのうちヘッドユニット21Gyを搬送方向上流側から2番目に配置することで、三原色のうち2色のインクをGyの後に吐出することができるため、原色インクの後からGyのインクを吐出することによる色のくすみをできるだけ抑えて、記録画像の色域の縮小を抑制することができる。
また、ヘッドユニット21Gyは、原色ヘッドユニット群に属する3つのヘッドユニット21のうち、予め定められた色変換処理に応じてGyと混色させる頻度が最も低い色のインクを吐出するヘッドユニット21を除いた2つのヘッドユニット21と隣り合う位置に配置されている。具体的には、ヘッドユニット21Gyは、ヘッドユニット21M及びヘッドユニット21Cと隣り合う位置に配置されている。このように、Gyと混色させる頻度が相対的に高い色のヘッドユニット21M、21Cをヘッドユニット21Gyに隣接させることで、色ずれによる画質低下を効果的に抑制することができる。
また、搬送方向について上流側から、ヘッドユニット21M、ヘッドユニット21Gy、ヘッドユニット21C、及びヘッドユニット21Yが順に配列されている。Mは、三原色のうち明度及び彩度が最も低い色であるため、Gyを後に吐出することによるくすみの影響が最も小さい色である。よって、ヘッドユニット21Gyの上流側にヘッドユニット21Mを配置することで、C、Yの2色のくすみを抑えて色域の縮小を抑えることができる。また、Yは、三原色のうち明度及び彩度が最も高い色であるため、M、Cより下流側に配置して三原色の最後に吐出することで、他の色の影響によるくすみをより効果的に抑えることができる。
また、上記5つのヘッドユニット21のうちブラックのインクを吐出するヘッドユニット21Kは、搬送方向について、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの外側に配置されている。このような構成では、ヘッドユニット21Y、21M、21C、21Gyを搬送方向に連続して配置することができるため、これらのヘッドユニット21間の距離を小さくして、幅方向のインクの着弾位置ずれをより効果的に抑制することができる。
また、特色を用いる場合において、特色のインクを吐出するヘッドユニット21をさらに備え、当該特色のヘッドユニット21は、搬送方向について、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの外側に配置されている。具体的には、上記実施形態のヘッドユニット21B、変形例1のヘッドユニット21B、21O、及び変形例2のヘッドユニット21V、21Rは、いずれも配置範囲rの外側に配置されている。このように特色のインクを吐出するヘッドユニット21を設けることで、プロセスカラー及びGyのインクのみから画像を形成する場合よりも色再現性を高めることができる。また、特色のヘッドユニット21を、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの外側に配置することで、ヘッドユニット21Y、21M、21C、21Gyを搬送方向に連続して配置することができるため、これらのヘッドユニット21間の距離を小さくして、幅方向のインクの着弾位置ずれをより効果的に抑制することができる。
また、特色を用いる場合において、原色ヘッドユニット群の配置範囲rのうち特色のヘッドユニット21から最も遠い位置には、三原色のうち当該特色と混色させずに用いられる原色(反対原色)のインクを吐出するヘッドユニット21Yが配置されている。具体的には、上記実施形態では、配置範囲rのうちヘッドユニット21Bから最も遠い位置に、Bと混色させないYのヘッドユニット21Yが配置されている。また、変形例1では、配置範囲rのうちヘッドユニット21Bから最も遠い位置に、Bと混色させないYのヘッドユニット21Yが配置され、ヘッドユニット21Oから最も遠い位置に、Oと混色させないCのヘッドユニット21Cが配置されている。また、変形例2では、配置範囲rのうちヘッドユニット21Vから最も遠い位置に、Vと混色させないYのヘッドユニット21Yが配置され、ヘッドユニット21Rから最も遠い位置に、Rと混色させないCのヘッドユニット21Cが配置されている。これにより、搬送方向についての間隔が大きい位置関係のヘッドユニット21から、混色させることのない特色及び反対原色のインクがそれぞれ吐出されることとなるため、これらの特色及び反対原色のヘッドユニット21からそれぞれ吐出されたインクの幅方向の着弾位置ずれが生じても、記録画像における色ずれに繋がらないようにすることができる。
また、特色を用いる場合において、上記5つのヘッドユニット21のうちKのインクを吐出するヘッドユニット21Kは、他の任意のヘッドユニット21よりも搬送方向について上流側、又は下流側に配置されている。このように、いずれの色とも混色させないKのヘッドユニット21Kを端部に配置することで、混色させる色に対応するヘッドユニット21同士を近付けて配置することができる。よって、効果的に色ずれを抑制することができる。
また、変形例1に係るインクジェット記録装置1は、Oのインクを吐出するヘッドユニット21Oと、Bのインクを吐出するヘッドユニット21Bを備える。また、変形例2に係るインクジェット記録装置1は、Rのインクを吐出するヘッドユニット21Rと、Vのインクを吐出するヘッドユニット21Vとを備える。このように、複数の特色のインクを用いることで、記録画像の色再現性をより向上させることができる。
また、布帛の記録媒体mを用いる場合には、プロセスカラーと、グレーや特色とを混色させることが色再現性の向上のために効果的であるところ、上記の構成を適用することで、色ずれを抑制して所望の色再現性向上効果を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態及び各変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、特色のインクを使用せず、Y、M、C、K、Gyの5色のインクのみを用いても良い。この場合の5つのヘッドユニット21の配列順序は、例えば図11に示されるように、搬送方向上流側からK、M、Gy、C、Yとすることができる。
また、特色のインクを使用する場合、特色の数は1色又は2色に限られず、3色以上としても良い。例えば、色相範囲A3に属する特色のインクをさらに用いても良い。
また、Mの淡色であるライトマゼンタ(Lm)のインクや、Cの淡色であるライトシアン(Lc)のインクなどをさらに用いても良い。
いずれの場合にも、追加する色のインクを吐出するヘッドユニット21は、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの外側に配置することが望ましい。
上記実施形態及び各変形例におけるヘッドユニット21の配列順序は一例であり、これに限られない。
例えば、上記実施形態及び各変形例に示した配列順序を搬送方向について逆転させても良い。
また、三原色のインクを吐出するヘッドユニット21Y、21M、21Cの配列順序は、必要に応じて入れ換えても良い。
また、ヘッドユニット21Y、21M、21C、21Gyのうち、ヘッドユニット21Gyを搬送方向上流側から2番目に配置する例を挙げて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、搬送方向上流側から3番目に配置しても良い。
また、ヘッドユニット21Kの位置は、搬送方向上流側の端部又は下流側の端部に限られない。例えば、ヘッドユニット21Kは、原色ヘッドユニット群の配置範囲rに隣接する位置に配置しても良いし、必要に応じて、原色ヘッドユニット群の配置範囲rの内側に配置しても良い。
また、色相環は、上記実施形態のもの(Y、R、M、B、C、Gが60度間隔で配置されているもの)に限られず、マンセル色相環やPCCS色相環といった、Y、R、M、B、C、Gに対応する色相がこの順に配列された他の種別の色相環を用いても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、搬送ベルト13を備える搬送部10により記録媒体mを搬送する例を用いて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、搬送部10は、例えば、搬送部材として搬送ドラムを用い、回転する搬送ドラムの外周面上で記録媒体mを保持して搬送するものであっても良い。このような搬送ドラムを用いた場合であっても、記録媒体mの幅方向についての位置ずれが生じ得るため、本発明を適用することで、記録媒体mの位置ずれに起因する色ずれを抑制することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1 インクジェット記録装置
2 外部装置
10 搬送部
11 駆動ローラー
12 従動ローラー
13 搬送ベルト
14 搬送モーター
15 ロータリーエンコーダー
16 押圧ローラー
17 剥がしローラー
20 記録部
21 ヘッドユニット
22 記録ヘッド
22M ヘッドモジュール
23 ノズル
24 ヘッド制御部
30 制御部
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 記憶部
41 画像処理部
42 操作表示部
43 入出力インターフェース
44 バス
A1〜A3 色相範囲
m 記録媒体

Claims (12)

  1. イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグレーのインクを用いて、イエロー、マゼンタ及びシアンからなる三原色のうち少なくとも一色とグレーとを混色させた部分を含む画像を記録媒体に記録可能なインクジェット記録装置であって、
    記録媒体を搬送する搬送部と、
    前記搬送部により搬送される記録媒体に対して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグレーのうち互いに異なる一色のインクをそれぞれ吐出する5つのインク吐出部と、
    を備え、
    前記5つのインク吐出部は、前記搬送部による記録媒体の搬送方向について互いに異なる位置に設けられ、
    前記5つのインク吐出部のうちグレーのインクを吐出するグレーインク吐出部は、前記搬送方向について、前記5つのインク吐出部のうち前記三原色のインクを吐出する3つのインク吐出部からなる原色インク吐出部群の配置範囲の内側に配置されているインクジェット記録装置。
  2. 前記グレーインク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群に属するいずれか一つのインク吐出部の下流側、かつ前記原色インク吐出部群に属する残り2つのインク吐出部の上流側に配置されている請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記グレーインク吐出部は、前記原色インク吐出部群に属する3つのインク吐出部のうち、予め定められた色変換処理に応じてグレーと混色させる頻度が最も低い色のインクを吐出するインク吐出部を除いた2つのインク吐出部と隣り合う位置に配置されている請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記グレーインク吐出部は、マゼンタのインクを吐出するインク吐出部、及びシアンのインクを吐出するインク吐出部と隣り合う位置に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記搬送方向について上流側から、マゼンタのインクを吐出するインク吐出部、前記グレーインク吐出部、シアンのインクを吐出するインク吐出部、及びイエローのインクを吐出するインク吐出部が順に配列されている請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記5つのインク吐出部のうちブラックのインクを吐出するブラックインク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群の配置範囲の外側に配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記三原色の各々とは色相が異なる特色のインクを吐出する特色インク吐出部をさらに備え、
    前記特色インク吐出部は、前記搬送方向について、前記原色インク吐出部群の配置範囲の外側に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記特色は、前記三原色のうち一部の色と混色させて用いられ、
    前記原色インク吐出部群の配置範囲のうち前記特色インク吐出部から最も遠い位置には、前記三原色のうち前記特色と混色させずに用いられる色のインクを吐出するインク吐出部が配置されている請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記5つのインク吐出部のうちブラックのインクを吐出するブラックインク吐出部は、前記5つのインク吐出部のうち当該ブラックインク吐出部を除く任意のインク吐出部、及び前記特色インク吐出部よりも前記搬送方向について上流側、又は下流側に配置されている請求項7又は8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 第1の前記特色のインクを吐出する第1の前記特色インク吐出部と、
    第2の前記特色のインクを吐出する第2の前記特色インク吐出部と、
    を備え、
    前記第1の特色はオレンジであり、前記第2の特色はブルーである請求項7から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 第1の前記特色のインクを吐出する第1の前記特色インク吐出部と、
    第2の前記特色のインクを吐出する第2の前記特色インク吐出部と、
    を備え、
    前記第1の特色はレッドであり、前記第2の特色はバイオレットである請求項7から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記記録媒体は布帛である請求項1から11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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