以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、画像記録装置100は、給紙ロール102、巻き取りロール104、巻き癖除去用ロール106、駆動ロール対110、巻き掛けロール112,116、搬送ロール118A,118B,118C,118Dを備えている。また、画像記録装置100は、コントローラ10、ラインセンサ12、液滴吐出ヘッド140K,140C,140M,140Y、乾燥器143、及びプラテン120を備えている。また、画像記録装置100は、コントローラ10を備えている。コントローラ10は、検出部30及び制御部32を有しており、画像記録装置100の全体を制御する。
なお、以下では、説明の便宜上、液滴吐出ヘッド140K,140C,140M,140Yを区別して説明する必要がない場合、末尾のアルファベットを省略して「液滴吐出ヘッド140」と称する。また、以下では、説明の便宜上、搬送ロール118A,118B,118C,118Dを区別して説明する必要がない場合、「搬送ロール118」と称する。
給紙ロール102には、白色の連長紙114がロール状に巻き付けられており、給紙ロール102から連長紙114が引き出される。巻き取りロール104は、給紙ロール102から引き出された連長紙114を巻き取る。
給紙ロール102と巻き取りロール104との間には、給紙ロール102から巻き取りロール104にかけて、巻き癖除去用ロール106、駆動ロール対110、搬送ロール118、プラテン120、及び巻き掛けロール112,116が配置されている。連長紙114は、送り出しロール102と巻き取りロール104との間で、巻き癖除去用ロール106、駆動ロール対110、搬送ロール118、プラテン120、及び巻き掛けロール112,116に張り掛けられ、これにより、連長紙114に張力が付与される。
巻き癖除去用ロール106は、給紙ロール102から引き出された連長紙114に対して巻き癖除去用の張力を付与することで、給紙ロール102に巻き付けられていたことによる連長紙114の巻き癖を除去する。
搬送ロール対110は、対向配置された第1ロール110A及び第2ロール110Bを有する。第1ロール110A及び第2ロール110Bは、巻き癖除去用ロール106によって巻き癖が除去された連長紙114を挟み込む。第1ロール110A及び第2ロール110Bは、連長紙114を挟み込んだ状態で、モータ(図示省略)の駆動力を受けて回転することで、給紙ロール102から連長紙114を引き出すと共に、搬送ロール118へ連長紙114を送り出す。
第2ロール110Bと巻き掛けロール112との間には、搬送ロール118が配置されており、搬送ロール118は、連長紙114の平面性を保持したまま連長紙114を搬送する。搬送ロール118よりも搬送方向下流側には、平面状の板部材であるプラテン120が配置されている。連長紙114は、プラテン120上を経由して、プラテン120よりも搬送方向下流側で巻き掛けロール112,116に巻き掛けられており、巻き掛けロール116よりも搬送方向下流側で巻き取りロール104によって巻き取られる。なお、搬送方向とは、連長紙114が搬送される方向を意味し、搬送方向下流側とは、搬送方向の下流側を意味する。
液滴吐出ヘッド140は、インクを吐出する面であるインク吐出面αを有している。液滴吐出ヘッド140Kは、ブラック(K)のインクに対応した液滴吐出ヘッドであり、インク吐出面αが連長紙114を介して搬送ロール118Aの外周面に対向するように配置されている。液滴吐出ヘッド140Cは、シアン(C)のインクに対応した液滴吐出ヘッドであり、インクを吐出する面であるインク吐出面αが連長紙114を介して搬送ロール118Bの外周面に対向するように配置されている。液滴吐出ヘッド140Mは、マゼンタ(M)のインクに対応した液滴吐出ヘッドであり、インク吐出面αが連長紙114を介して搬送ロール118Cの外周面に対向するように配置されている。液滴吐出ヘッド140Yは、イエロー(Y)のインクに対応した液滴吐出ヘッドであり、インク吐出面αが連長紙114を介して搬送ロール118Dの外周面に対向するように配置されている。
本第1実施形態では、液滴吐出ヘッド140の一例として、インクジェット方式の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)が採用されている。すなわち、各液滴吐出ヘッド140は、それぞれ対応する色の滴状のインクであるインク滴(本発明に係る液滴の一例)を連長紙114に向けて吐出する。
各液滴吐出ヘッド140は、それぞれ連長紙114における画像記録領域の幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面αには画像記録領域の全幅に亘ってインク吐出用のノズル(図3の符号161を参照)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各液滴吐出ヘッド140は、連長紙114の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置されている。なお、ここで、直交とは、例えば、誤差(例えば、±0.001度の誤差)を含む直交を意味する。
なお、本第1実施形態では上記のようにCMYKの4色のインクを用いて画像を記録する構成を例に挙げているが、これに限らず、インクの色やその組み合わせは変更しても良く、例えば必要に応じて淡インク(例えばライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インク)や濃インク、特別色インクを追加しても良い。また、各色のヘッドの配置順序についても図1に示した順序に限られるものではない。
画像記録装置100では、液滴吐出ヘッド140がフルライン型のヘッドとされているので、搬送方向について連長紙114と各液滴吐出ヘッド140とを相対的に移動させる動作が1回行われるだけで、連長紙114の画像記録領域に画像が記録される。これにより、連長紙114の搬送方向と直交する方向に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドを用いる場合と比較して画像を高速に記録可能であり、プリント生産性が向上する。
液滴吐出ヘッド140よりも搬送方向下流側には、乾燥器143が配置されている。乾燥器143は、各液滴吐出ヘッド140から各色のインク滴が連長紙114上に付着された後、連長紙114におけるインクが付着された箇所に対して熱を与えることで溶媒成分を蒸発させる乾燥処理を行っている。
乾燥器143よりも搬送方向下流側には、本発明に係る読取素子列の一例であるラインセンサ12を備えている。一例として図2に示すように、ラインセンサ12は、各々光の明暗を電気信号に変換する複数の読取素子R(例えば、CMOSイメージセンサ)が線状に一列に配置されたセンサであり、ラインセンサ12の主走査方向の長さは、連長紙114の幅に対応している。ラインセンサ12は、連長紙114を介してプラテン120に対向する位置に配置される。
一例として図3に示すように、液滴吐出ヘッド140は、本発明に係る複数の液滴吐出部材の一例である複数のヘッドモジュール160がヘッド長手方向に沿って配置されている。液滴吐出ヘッド140は、モジュールホルダ140Aを備えており、複数のヘッドモジュール160は、モジュールホルダ140Aによって保持されている。なお、ここで、ヘッド長手方向とは、液滴吐出ヘッド140の長手方向を意味し、連長紙114の幅方向に相当する方向を指す。これに対し、ヘッド短手方向とは、液滴吐出ヘッド140の短手方向を意味し、連長紙114の搬送方向に相当する方向を指す。
ヘッドモジュール160の平面形状は、ヘッド長手方向に長尺の平行四辺形状であり、ヘッド長手方向の端面160A,160Bはヘッド長手方向に対して角度θ(図3に示す例では、45度)で傾斜している。隣接したヘッドモジュール160であるヘッドモジュール対170において、一方のヘッドモジュール160の端面160Aは、他方のヘッドモジュール160の端面160Bと対面している。
ヘッドモジュール160は、インク滴の吐出口であるノズル161と各ノズル161に対応する圧力室162とを有する複数のインク室ユニット163(本発明に係る液滴吐出素子の一例)を備えている。複数のインク室ユニット163は、マトリクス状に(二次元状に)配置されている。これにより、ヘッド長手方向(連長紙114の搬送方向と直交する方向)に沿った実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化、ひいては連長紙114上に形成されるドットピッチの高密度化を実現している。
圧力室162はその平面形状が四角形状とされている。一例として図4に示すように、圧力室162には供給口164が設けられており、各圧力室162は供給口164を介して共通流路165に繋がっている。共通流路165はインク供給源であるインク供給タンク(図示省略)に繋がっており、インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。圧力室162の天面を形成すると共に、共通電極としての機能を兼ね備えた振動板166には、個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、圧電素子168は個別電極167に駆動電圧が印加されると変形し、この圧電素子168の変形に伴ってノズル161からインク滴が吐出される。そして、ノズル161からのインク滴の吐出に伴い、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
なお、本第1実施形態では、圧電素子168を用いているが、これに代えて圧力室162内にヒータを設け、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用しても良い。
一例として図3に示すように、本第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド140は、ノズル161が、特定の配列パターンでマトリクス状に配置されることで、投影ノズルピッチの高密度化を実現している。ここで、特定の配列パターンとは、例えば、連長紙114の搬送方向と直交する方向に沿う行方向にピッチd1で配置され、角度θを成す傾斜した列方向にピッチd2で複数配置される配置パターンを指す。また、投影ノズルピッチの高密度化とは、例えば、連長紙114の搬送方向と直交する方向について、各ノズル161がピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱われることを意味する。
各ノズル161からインク滴を吐出させて連長紙114の幅方向に沿った1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットで形成されたライン)を記録する際のノズル161の駆動方式には様々な駆動方式がある。例えば、全てのノズル161を同期させて駆動する駆動方式、ノズル161を一方から他方に向けて順次駆動する駆動方式、又は、ノズル161を複数ブロックに分割し、ブロック毎に一方から他方に向けて順次駆動する駆動方式等が挙げられる。なお、本第1実施形態では、何れかの駆動方式によって連長紙114の幅方向に沿った1ラインを記録させるためのノズル161の駆動を主走査と定義する。
なお、画像記録装置100では、一例として図3に示すように、ノズル161−1〜161−5を1つのブロックとし、連長紙114の搬送速度に応じてノズル161−1〜161−5が順次駆動されることで連長紙114の幅方向に1ラインが記録される。
また、本第1実施形態では、上述したフルラインヘッドと連長紙114とを相対移動させることによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)の記録を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、主走査によって記録される1ラインの示す方向を主走査方向といい、副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、連長紙114の搬送方向が副走査方向、それに直交する連長紙114の幅方向が主走査方向となる。
一例として図5に示すように、コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)40、一次記憶部42、及び二次記憶部44を備えている。一次記憶部42は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))である。二次記憶部44は、画像記録装置100の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)など)である。CPU40、一次記憶部42、及び二次記憶部44は、バス46を介して相互に接続されている。
画像記録装置100は、インプット・アウトプット・インタフェース(I/O)48を備えている。I/O48は、コントローラ10と各種の入出力デバイスとを電気的に接続してコントローラ10と各種の入出力デバイスとの間の各種情報の送受信を司る。各種の入出力デバイスは、I/O48に接続されることにより、バス46を介してコントローラ10と電気的に接続される。ここでは、各種の入出力デバイスとして、ラインセンサ12、受付デバイス50、表示デバイス52、外部インタフェース(I/F)54、乾燥器ドライバ56、ヘッドドライバ58、第1モータドライバ60、及び第2モータドライバ62が適用されている。
受付デバイス50は、例えば、ハードキー及びタッチパネルであり、ユーザから与えられる各種情報を受け付ける。受付デバイス50は、I/O48を介してバス46に接続されているので、受付デバイス50によって受け付けられた各種情報はCPU40によって取得される。表示デバイス52は、例えば、液晶ディスプレイであり、液晶ディスプレイの表示面には受付デバイス50のタッチパネルが重ねられている。表示デバイス52は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の制御下で各種情報を表示する。
外部I/F54は、USBメモリや外付けハードディスク装置などの外部装置に接続され、外部装置とCPU40との間の各種情報の送受信を司る。
乾燥器ドライバ56には乾燥器143が接続されている。乾燥器ドライバ56は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従って乾燥器143を駆動する。
ヘッドドライバ58には液滴吐出ヘッド140が接続されている。ヘッドドライバ58には、画像記録用のデータや、インク滴を吐出するタイミングを規定するタイミング信号などが供給される。ヘッドドライバ58は、供給された画像記録用のデータやタイミング信号などに基づいて液滴吐出ヘッド140によるインク滴の吐出動作を制御する。ヘッドドライバ58は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従って液滴吐出ヘッド140を制御する。
画像記録装置100は、本発明に係る移動手段の一例である移動機構66を備えている。移動機構66は、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160とを相対的に移動させる移動機構である。移動機構66は、ヘッドモジュール160毎に設けられており、対応するヘッドモジュール160を保持すると共に、主走査方向及び副走査方向に選択的に移動させる。
第1モータドライバ60には、モータ64が接続されている。モータ64は、移動機構66毎に設けられており、対応する移動機構66に対して駆動力を供給する。第1モータドライバ60は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ64の動作を制御する。移動機構66は、モータ64により供給された駆動力を受けてヘッドモジュール160を主走査方向に移動させる。
第2モータドライバ62には、モータ68が接続されている。モータ68は、移動機構66毎に設けられており、対応する移動機構66に対して駆動力を供給する。第2モータドライバ62は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ68の動作を制御する。移動機構66は、モータ68により供給された駆動力を受けてヘッドモジュール160を副走査方向に移動させる。
ところで、一例として図3に示すように、画像記録装置100では、検出用画像14が連長紙114に記録される。検出用画像14は、不良ノズルを検出するためにラインセンサ12によって主走査方向に読み取られる線画像である。不良ノズルは、ラインセンサ12によって検出用画像14が読み取られて得られた読取結果を用いて検出される。
ここで、不良ノズルとは、インク滴が吐出不良のノズル161を指す。不良ノズルとしては、例えば、不吐ノズル、吐出量不足ノズル、及び吐出方向異常ノズルが挙げられる。不吐ノズルとは、例えば、指示が与えられてもインク滴を吐出しないノズル161を指す。吐出量不足ノズルとは、例えば、インク滴の吐出量が規定吐出量未満のノズル161を指す。吐出方向以上ノズルとは、吐出した主インク滴又は後続インク滴の吐出方向が異常であり、インク滴の着弾位置が理想的な着弾位置から規定値以上ずれてしまうノズル161を指す。なお、不吐ノズルには、意図的に不吐化されたノズル161も含まれる。意図的に不吐化されたノズル161とは、ノズル161によるインク滴の吐出状態が異常であるために、インク滴の吐出が常時禁止されるように事前に設定されたノズル161を意味する。
検出用画像14は、連長紙114の全幅にわたる線画像であり、YMCKの色毎に連長紙114に記録される。また、検出用画像14は、一例として図3に示すように、液滴吐出ヘッド140によりインク滴が吐出されることによって主走査方向に列状にインク滴が着弾して得られる着弾列で形成される線画像である。
ここで、検出用画像14に着弾異常箇所が含まれることがある。着弾異常箇所とは、ノズル161が不良ノズルであることに起因してインク滴が着弾していない箇所を指す。よって、例えば、検出用画像14に単一画素分の着弾異常箇所が存在している場合に、着弾異常箇所の位置に対応する位置の1つのノズル161が不良ノズルとして検出される。
この場合、例えば、欠落した画素のないKの画像を示す画像情報に従って液滴吐出ヘッド140によりKの画像が連長紙114に記録されると、一例として図6に示すように、単一画素分の着弾異常箇所を含むKの画像が連長紙114に記録される。
このように、検出用画像14に単一画素分の着弾異常箇所が存在している場合、画像記録装置100では、単一画素分の着弾異常箇所の位置に対応する位置の不良ノズルに隣接するノズル161によって吐出されるインク滴の吐出量を増加させる補正処理が行われる。これにより、一例として図6に示すように、着弾異常箇所が解消される。
補正処理は、コントローラ10に含まれるCPU40が補正プログラム(図示省略)を実行することによって実現される。補正処理の一例としては、連長紙114に記録すべき画像を示す画像情報の補正、又は、不良ノズルに隣接するノズル161によるインク滴の吐出量の設定値の調整が挙げられる。設定値は、インク滴の吐出量の嵩上げ量を指示する値であり、ノズル161毎に定められている。ノズル161によるインク滴の吐出量は、設定値が大きいほど増加する。なお、インク滴の大きさは、「大」、「中」、及び「小」の3つの大きさで規定されており、設定値がデフォルト値の場合、インク滴の大きさは「中」である。
このように、単一画素分の着弾異常箇所であれば、補正処理によって着弾異常箇所が解消されるが、検出用画像14内に連続着弾異常箇所が含まれる場合、補正処理での対応は困難である。
連続着弾異常箇所とは、繋ぎ部に含まれるノズル161によるインク滴が着弾していない着弾異常箇所が主走査方向に予め定められた長さ以上で連続している箇所を指す。ここで、予め定められた長さとは、単一画素を超える画素分以上の長さを指し、例えば、補正処理での対応が困難な長さ(補正処理が行われたとしても、単一画素分異常の着弾異常箇所が残存してしまう長さ)を意味する。補正処理での対応が困難な長さとは、例えば、2画素分以上の長さを指す。
繋ぎ部は、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160との相互間で副走査方向に隣接して重なる端部対(本発明に係る隣接する端部の一例)に含まれる部分である。端部対とは、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160の端部、及び、ヘッドモジュール対170に含まれる他方のヘッドモジュール160の端部を指す。
ここで、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160の端部とは、例えば、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160の主走査方向の端部のうちの端面160A側の端部を指す。ヘッドモジュール対170に含まれる他方のヘッドモジュール160の端部とは、例えば、ヘッドモジュール対170に含まれる他方のヘッドモジュール160の主走査方向の端部のうちの端面160B側の端部を指す。
繋ぎ部では、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160の端部に含まれるノズル161、及び、他方のヘッドモジュール160の端部に含まれるノズル161が、主走査方向に混在している。そのため、後述の位置調整処理が行われる前段階では、繋ぎ部において、不良ノズルが主走査方向に連続することがある。
なお、以下では、説明の便宜上、一例として図8に示すように、繋ぎ部182を例に挙げて説明する。繋ぎ部182は、一方のヘッドモジュール160の端面160Aに隣り合っているノズル161の一列、及び、他方のヘッドモジュール160の端面160Bに隣り合っているノズル161の一列を有する。
また、以下では、説明の便宜上、一例として図8に示すように、連続着弾異常箇所180を例に挙げて説明する。連続着弾異常箇所180とは、主走査方向に2画素分連続している着弾異常箇所を指す。
ここで、連続着弾異常箇所180を解消すべく、二次記憶部44は、位置調整プログラム64を記憶している。CPU40は、二次記憶部44から位置調整プログラム64を読み出して一次記憶部42に展開し、位置調整プログラム64を実行することで、検出部30及び制御部32として動作する。
検出部30は、検出用画像14がラインセンサ12によって読み取られて得られた読取結果を用いて、繋ぎ部182に含まれるノズル161によるインク滴の吐出により形成された検出用画像14における連続着弾異常箇所180を検出する。
制御部32は、検出部30により連続着弾異常箇所180が検出された場合に、連続着弾異常箇所180が解消されるように、移動機構66を制御する。
なお、ここでは位置調整プログラム64を二次記憶部44から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部44に記憶させておく必要はない。例えば、画像記録装置100に接続されて使用されるSSD(Solid State Drive)、DVDディスク、ICカード、光磁気ディスク、CD−ROMなどの任意の可搬型の記憶媒体に先ずは位置調整プログラム64を記憶させておいてもよい。そして、CPU40が可搬型の記憶媒体から位置調整プログラム64を取得して実行するようにしてもよい。また、通信網(図示省略)を介して画像記録装置100に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に位置調整プログラム64を記憶させておき、CPU40が他のコンピュータ又はサーバ装置等から位置調整プログラム64を取得して実行してもよい。
次に、本第1実施形態の作用について説明する。ここでは、位置調整処理の実行を開始する指示が受付デバイス50によって受け付けられた場合にCPU40が位置調整プログラム64を実行することにより画像記録装置100で行われる位置調整処理について、図7を参照して説明する。
なお、以下では、説明の便宜上、液滴吐出ヘッド104Kに含まれるノズル161が不良ノズルの検出対象とされている場合について説明する。すなわち、以下では、液滴吐出ヘッド140KによってKのインク滴が吐出されることでKの検出用画像14が連長紙114に記録される場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、連長紙114の搬送が行われていることを前提として説明する。また、以下では、説明の便宜上、連続着弾異常箇所180は、繋ぎ部182のノズル161により形成されることを前提として説明する。
図7に示す位置調整処理では、先ず、ステップ200で、検出部30は、検出用画像14が連長紙114に記録されるように液滴吐出ヘッド140を制御する。これにより、検出用画像14が液滴吐出ヘッド140によって連長紙114に記録される。
次のステップ202で、検出部30は、検出用画像14が読取開始位置に到達したか否かを判定する。ここで、読取開始位置とは、検出用画像14がラインセンサ12と対向する位置を指す。ステップ202において、検出用画像14が読取開始位置に到達していない場合は、判定が否定されて、ステップ202の判定が再び行われる。ステップ202において、検出用画像14が読取開始位置に到達した場合は、判定が肯定されて、ステップ204へ移行する。
ステップ204で、検出部30は、ラインセンサ12によって検出用画像14が読み取られるようにラインセンサ12を制御する。これにより、検出用画像14がラインセンサ12によって読み取られる。
ステップ206で、検出部30は、検出用画像14に対するラインセンサ12による読取結果を用いて、検出用画像14に連続着弾異常箇所180が存在しているか否かを判定する。ステップ206において、検出用画像14に連続着弾異常箇所180が存在していない場合は、判定が否定されて、本位置調整処理を終了する。ステップ206において、検出用画像14に連続着弾異常箇所180が存在している場合は、判定が肯定されて、ステップ208へ移行する。
ステップ208で、制御部32は、連続着弾異常箇所180の位置に対応する位置に繋ぎ部182を有するヘッドモジュール対170の相対的な移動方向及び移動量を導出する。ヘッドモジュール対170の相対的な移動方向及び移動量は、例えば、連続着弾異常箇所180の位置とヘッドモジュール対170の相対的な移動方向及び移動量との対応関係を規定している演算式又はテーブル(図示省略)によって導出される。
なお、ここでは、説明の便宜上、ヘッドモジュール対170の相対的な移動とは、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160との相対的な移動を意味する。また、以下では、説明の便宜上、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160を、単に「一方のヘッドモジュール160」と称する。また、ヘッドモジュール対170に含まれる他方のヘッドモジュール160を、単に「他方のヘッドモジュール160」と称する。
ヘッドモジュール対170の相対的な移動は、一次元的移動パターン及び二次元的移動パターンの何れかの移動パターンで行われる。
そこで、本ステップ208では、ヘッドモジュール対170の相対的な移動方向及び移動量として、一次元的移動パターン及び二次元的移動パターンの何れかの移動パターンで要する移動方向及び移動量が導出される。
ここで、一元的移動パターンとは、例えば、検出用画像14において、結果的に、単一画素分の着弾異常箇所の両端にインク滴が着弾するように他方のヘッドモジュール160を主走査方向に移動させる移動パターンを指す。なお、ここでは、説明の便宜上、主走査方向に移動させるヘッドモジュール160として他方のヘッドモジュール160を例示しているが、これに限らず、一方のヘッドモジュール160を主走査方向に移動させてもよい。また、ヘッドモジュール対170に含まれるヘッドモジュール160の各々を主走査方向に移動させてもよい。
一次元的移動パターンは、第1の一次元的移動パターンと第2の一次元的移動パターンとに分類される。
第1の一次元的移動パターンとは、一例として図8に示すように、主走査方向において一方のヘッドモジュール160に対して近付く方向に他方のヘッドモジュール160を移動させる移動パターンを指す。第2の一次元的移動パターンとは、一例として図9に示すように、主走査方向において一方のヘッドモジュール160から離れる方向に他方のヘッドモジュール160を移動させる移動パターンを指す。
本ステップ208では、先ず、第1の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られるか否かが判定される。第1の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が導出される移動方向及び移動量が得られると判定された場合は、第1の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が導出される。
第1の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られないと判定された場合は、第2の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られるか否かが判定される。第2の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られると判定された場合は、第2の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が導出される。
第2の一次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られないと判定された場合は、二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られるか否かが判定される。
二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られると判定された場合は、二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が導出される。
なお、二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られないと判定された場合は、例えば、移動方向及び移動量が得られない旨を示すメッセージが表示デバイス52に表示され、本位置調整処理を終了する(図示省略)。
二次元的移動パターンは、検出用画像14において、結果的に、単一画素分の着弾異常箇所の両端にインク滴が着弾するように一方のヘッドモジュール160を主走査方向及び副走査方向に移動させる移動パターンである。二次元的移動パターンによる移動が行われると、結果的に、一方のヘッドモジュール160は、他方のヘッドモジュール160に対して斜め方向に移動したことになる。
なお、ここでは、斜め方向への移動を実現するために、一方のヘッドモジュール160を主走査方向及び副走査方向に移動させているが、これに限らず、他方のヘッドモジュール160を主走査方向及び副走査方向に移動させてもよい。また、ヘッドモジュール対170に含まれるヘッドモジュール160の各々を主走査方向及び副走査方向に移動させてもよい。
本ステップ208では、ヘッドモジュール対170の相対的な移動が一次元的移動パターンで行われる場合、他方のヘッドモジュール160を主走査方向に移動させる移動方向及び移動量が導出される。
ヘッドモジュール対170の相対的な移動が第1の一次元的移動パターンで行われる場合、一例として図8に示すように、他方のヘッドモジュール160が一方のヘッドモジュール160に近付く方向が、制御部32によって導出される移動方向である。また、単一画素分の着弾異常箇所の両端に、ヘッドモジュール対170により吐出されたインク滴が着弾する位置まで他方のヘッドモジュール160を一方のヘッドモジュール160に近付けるのに要する距離が、制御部32によって導出される移動量である。
ヘッドモジュール対170の相対的な移動が第2の一次元的移動パターンで行われる場合、一例として図9に示すように、他方のヘッドモジュール160が一方のヘッドモジュール160から離れる方向が、制御部32によって導出される移動方向である。また、単一画素分の着弾異常箇所の両端に、ヘッドモジュール対170により吐出されたインク滴が着弾する位置まで他方のヘッドモジュール160を一方のヘッドモジュール160から離すのに要する距離が、制御部32によって導出される移動量である。
本ステップ208では、ヘッドモジュール対170の相対的な移動が二次元的移動パターンで行われる場合、一方のヘッドモジュール160を主走査方向及び副走査方向の各々に移動させる移動方向及び移動量が導出される。
すなわち、本ステップ208では、ヘッドモジュール対170の相対的な移動が二次元的移動パターンで行われる場合、第1移動方向、第2移動方向、第1移動量、及び第2移動量が導出される。第1移動方向とは、主走査方向での移動方向を指し、第2移動方向とは、副走査方向での移動方向を指し、第1移動量とは、第1移動方向の移動量を指し、第2移動量とは、第2移動方向の移動量を指す。
なお、図10に示す例では、一方のヘッドモジュール160が副走査方向において他方のヘッドモジュール160から離れる方向が、制御部32によって導出される第2移動方向である。また、一方のヘッドモジュール160が主走査方向において他方のヘッドモジュール160に近付く方向が、制御部32によって導出される第1移動方向である。
また、図10に示す例では、特定の位置に一方のヘッドモジュール160を配置するのに第1移動方向での移動に要する距離が、制御部32によって導出される第1移動量である。また、特定の位置に一方のヘッドモジュール160を配置するのに第2移動方向での移動に要する距離が、制御部32によって導出される第2移動量である。ここで、特定の位置とは、一例として図10に示すように、単一画素分の着弾異常箇所の両端にヘッドモジュール対170により吐出されたインク滴が着弾する位置を指す。
次のステップ210で、制御部32は、ステップ208で導出した移動方向及び移動量でヘッドモジュール対170を相対的に移動させ、その後、本位置調整処理を終了する。
本ステップ210では、例えば、一次元的移動パターンでヘッドモジュール対170を相対的に移動させる場合は、ステップ208で導出した移動方向及び移動量で他方のヘッドモジュール160を移動させる。また、二次元的移動パターンでヘッドモジュール対170を相対的に移動させる場合は、ステップ208で導出した移動方向及び移動量で一方のヘッドモジュール160を移動させる。
なお、制御部32は、二次元的移動パターンで一方のヘッドモジュール160を移動させる場合、一例として図10に示すように、反対側ヘッドモジュール160−Aもステップ208で導出した移動方向及び移動量で移動させる。なお、反対側ヘッドモジュール160−Aとは、一方のヘッドモジュール160に対する他方のヘッドモジュール160の側と反対側のヘッドモジュール160を指す。
このように、ステップ208で導出した移動方向及び移動量でヘッドモジュール対170が相対的に移動されることで、連続着弾異常箇所180が解消されるように一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160との相対的な位置が調整される。
すなわち、本ステップ210の処理が実行されることで、一例として図8、図9、及び図10に示すように、検出用画像14において、単一画素分の着弾異常箇所の両端にインク滴が着弾して、連続着弾異常箇所180が解消される。よって、一例として図6に示すように、単一画素分の着弾異常箇所は、補正処理が行われることによって解消される。
なお、上記第1実施形態では、ヘッドモジュール160を主走査方向へ移動させるための一次元的移動パターンを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、副走査方向移動パターンも採用してもよい。副走査方向移動パターンとは、検出用画像14において、結果的に、単一画素分の着弾異常箇所の両端に、ヘッドモジュール対170により吐出されたインク滴が着弾するようにヘッドモジュール対170を副走査方向に相対的に移動させる移動パターンを指す。ヘッドモジュール対170を副走査方向に相対的に移動させるとは、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュールとを副走査方向に相対的に移動させることを意味する。
ここで、副走査方向移動パターンは、第1の副走査方向移動パターンと第2の副走査方向移動パターンとに分類される。
第1の副走査方向移動パターンとは、例えば、副走査方向において一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160とが互いに近付く方向にヘッドモジュール対170を副走査方向に相対的に移動させることを指す。第2の副走査方向移動パターンとは、副走査方向において一方のヘッドモジュール160と他方のヘッドモジュール160とが互いに離れる方向にヘッドモジュール対170を副走査方向に相対的に移動させることを指す。
上記第1実施形態では、ステップ208において、移動方向及び移動量を導出し、ステップ210において、ステップ208で導出した移動方向及び移動量でヘッドモジュール160を移動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示す位置調整処理において、ステップ210の処理に代えて、制御部32によって行われる通知ステップの処理を適用してもよい。
ここで、通知ステップとは、ステップ208で導出した移動方向及び移動量、並びに、連続着弾異常箇所180の位置に対応する位置のノズル161を特定するノズル番号を表示デバイス52に表示することでユーザに通知する処理が行われるステップを指す。
通知ステップの処理が実行されることで移動方向及び移動量並びにノズル番号が表示デバイス52に表示された場合、表示デバイス52に表示されたノズル番号がユーザによって受付デバイス50を介して指示される。また、表示デバイス52に表示された移動方向及び移動量がユーザによって受付デバイス50を介して指示される。
このように、ユーザの指示が受付デバイス50によって受け付けられると、制御部32は、受付デバイス50を介して指示されたノズル番号により特定されたノズル161を有するヘッドモジュール160を移動対象として指定する。そして、制御部32は、移動対象として指定したヘッドモジュール160を、受付デバイス50を介して指示された移動方向及び移動量で移動させる。
上記第1実施形態では、モータ64,68の駆動力を利用してヘッドモジュール160を移動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザは、通知ステップの処理によって通知された情報を参照して、治具などを用いて手動でヘッドモジュール160を移動させるようにしてもよい。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、一次元的移動パターン及び二次元的移動パターンによる相対的な移動を例示したが、本第2実施形態では、一次元的移動パターン及び二次元的移動パターンに加え、回転式移動パターンも採用する場合について説明する。なお、以下では、上記第1実施形態で説明した構成部材については、同一の符号を付し、その説明を省略し、上記第1実施形態とは異なる点について説明する。
一例として図11に示すように、画像記録装置300は、上記第1実施形態で説明した画像記録装置100に比べ、第3モータドライバ320及びモータ322を有する点が異なる。また、画像記録装置300は、画像記録装置100に比べ、移動機構66に代えて移動機構366を有する点が異なる。
移動機構366は、移動機構66に比べ、主走査方向及び副走査方向に直交するZ軸を中心としてヘッドモジュール160を回転させる機能が更に付加された移動機構である。
第3モータドライバ320には、モータ322が接続されている。モータ322は、移動機構366毎に設けられており、対応する移動機構366に対して回転駆動力を供給する。第3モータドライバ60は、I/O48を介してバス46に接続されているので、CPU40の指示に従ってモータ322の動作を制御する。移動機構366は、モータ322により供給された駆動力を受けて、被回転対象とされたヘッドモジュール160における平面視中央のZ軸を中心としてヘッドモジュール160を回転させる。
一例として図11に示すように、画像記録装置300は、画像記録装置100に比べ、コントローラ10に代えてコントローラ310を有する点が異なる。コントローラ310は、図5に示すコントローラ10に比べ、二次記憶部44が位置調整プログラム64に代えて位置調整プログラム364を記憶している点が異なる。
CPU40は、二次記憶部44から位置調整プログラム364を読み出して一次記憶部42に展開し、位置調整プログラム364を実行することで、検出部30及び制御部32として動作する。
次に、本第2実施形態の作用について説明する。ここでは、位置調整処理の実行を開始する指示が受付デバイス50によって受け付けられた場合にCPU40が位置調整プログラム364を実行することにより画像記録装置300で行われる位置調整処理について、図7を参照して説明する。
本第2実施形態に係る位置調整処理は、上記第1実施形態に係る位置調整処理に比べ、ステップ208の処理に代えてステップ408の処理を有する点、及びステップ210の処理に代えてステップ410の処理を有する点が異なる。なお、以下では、上記第1実施形態で用いたフローチャートに示されるステップと同一のステップについては同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
ステップ408の処理は、ステップ208の処理に比べ、二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される移動方向及び移動量が得られないと判定された場合に、回転式移動パターンを導出する点が異なる。
ここで、回転式移動パターンとは、例えば、検出用画像14において、単一画素分の着弾異常箇所の両端に、ヘッドモジュール対170により吐出されたインク滴が着弾するように、Z軸を中心に他方のヘッドモジュール160を回転させる回転パターンを指す。なお、ここでは、説明の便宜上、回転対象とされるヘッドモジュール160として他方のヘッドモジュール160を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘッドモジュール対170に含まれる一方のヘッドモジュール160であってもよい。また、ヘッドモジュール対170に含まれるヘッドモジュール160の各々であってもよい。
回転式移動パターンは、第1の回転式移動パターンと第2の回転式移動パターンとに分類される。
第1の回転式移動パターンとは、一例として図12に示すように、他方のヘッドモジュール160における平面視中央のZ軸を中心に他方のヘッドモジュール160を角度θzで回転させる回転パターンを指す。角度θzとは、結果的に、単一画素分の着弾異常箇所の両端にインク滴が着弾するように、許容範囲内で他方のヘッドモジュール160を回転させる予め定められた角度を指す。ここで、許容範囲とは、着弾異常箇所の位置に対応する位置のノズル161とは異なるノズル161により吐出されるインク滴の着弾位置のずれが許容される範囲内を指す。例えば、インク滴の着弾位置が本来着弾する予定の位置よりも単一画素分を超えてずれると、補正処理による対応が困難になるので、この場合、許容範囲は、着弾位置を単一画素分以内でずらす角度範囲である。
第2の回転式移動パターンとは、一例として図13に示すように、他方のヘッドモジュール160における平面視中央のZ軸を中心に他方のヘッドモジュール160を180度回転させる回転パターンを指す。第2の回転式移動パターンで他方のヘッドモジュール160が回転すると、他方のヘッドモジュール160の主走査方向の向きが逆転する。すなわち、他方のヘッドモジュール160の主走査方向の両端の位置が入れ替わる。
本ステップ408では、第1の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されるか否かが判定される。第1の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されると判定された場合は、第1の回転式移動パターンが選択される。
本ステップ408では、第1の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される回転量が得られないと判定された場合は、第2の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されるか否かが判定される。第2の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されると判定された場合は、第2の回転式移動パターンが選択される。
なお、第2の回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されないと判定された場合は、例えば、連続着弾異常箇所180が解消されない旨を示すメッセージが表示デバイス52に表示され、本位置調整処理を終了する(図示省略)。
次のステップ410で、制御部32は、ステップ408で移動方向及び移動量を導出した場合、ステップ208で導出した移動方向及び移動量でヘッドモジュール対170を相対的に移動させ、その後、本位置調整処理を終了する。ステップ410で、制御部32は、ステップ208で回転式移動パターンを導出した場合、ステップ208で選択した回転式移動パターンでヘッドモジュール対170を相対的に移動させ、その後、本位置調整処理を終了する。
ここで、ステップ208で選択した回転式移動パターンでヘッドモジュール対170を相対的に移動させるとは、ステップ208で第1の回転式移動パターンが選択された場合、Z軸を中心に他方のヘッドモジュール160を角度θzで回転させることを意味する。また、ステップ208で第2の回転式移動パターンが選択された場合、Z軸を中心に他方のヘッドモジュール160を180度回転させることを意味する。
なお、第2の回転式移動パターンでヘッドモジュール160が回転される場合、被回転対象とされるヘッドモジュール160は、Z軸方向に持ち上げられてから回転され、回転後に元の高さに引き下げられる。被回転対象とされるヘッドモジュール160へのZ軸方向に持ち上げ量は、隣接するヘッドモジュール160との衝突の回避に要する持ち上げ量であれば足りる。ヘッドモジュール160のZ軸方向への移動は、例えば、モータ又はソレノイド等の駆動手段(図示省略)によるZ方向への駆動力が移動機構366を介してヘッドモジュール160に供給されることで実現される。
なお、上記第2実施形態では、ステップ408において、回転式移動パターンを導出し、ステップ410において、ステップ408で導出した回転式移動パターンでヘッドモジュール160を移動させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示す位置調整処理において、ステップ410の処理に代えて、制御部32によって行われる通知ステップの処理を適用してもよい。
ここで、通知ステップとは、パターン特定情報、及び連続着弾異常箇所180の位置に対応する位置のノズル161を特定するノズル番号を表示デバイス52に表示することでユーザに通知する処理が行われるステップを指す。パターン特定情報は、ステップ408で導出した回転式移動パターンを特定する情報である。
通知ステップの処理が実行されることでパターン特定情報及びノズル番号が表示デバイス52に表示された場合、表示デバイス52に表示されたノズル番号がユーザによって受付デバイス50を介して指示される。また、表示デバイス52に表示されたパターン特定情報がユーザによって受付デバイス50を介して指示される。
このように、ユーザの指示が受付デバイス50によって受け付けられると、制御部32は、受付デバイス50を介して指示されたノズル番号により特定されたノズル161を有するヘッドモジュール160を回転対象として指定する。そして、制御部32は、回転対象として指定したヘッドモジュール160を、受付デバイス50を介して指示されたパターン特定情報により特定された回転式移動パターンで移動させる。
上記第2実施形態では、二次元的移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されないと判定された場合に、回転式移動パターンが適用される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消される否かが判定され、回転式移動パターンで連続着弾異常箇所180が解消されないと判定された場合に、一次元的移動パターン又は二次的移動パターンが適用されるようにしてもよい。
上記第2実施形態では、モータ322の駆動力を利用してヘッドモジュール160を回転させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザは、通知ステップの処理によって通知された情報を参照して、治具などを用いて手動でヘッドモジュール160を回転させるようにしてもよい。
上記各実施形態では、ヘッドモジュール160の端面160A,160Bが互いに変わらない角度で傾斜している端面であることを前提として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図14に示すように、一端面の傾斜角度と他端面の傾斜角度とが異なるヘッドモジュール460を用いてもよい。図14に示す例では、ヘッドモジュール460の端面460Aの傾斜角度は45度とされ、ヘッドモジュール460の端面460Bの傾斜角度は135度とされている。そして、複数のヘッドモジュール460が、ヘッドモジュール460における副走査方向の両面が交互に入れ替わるように主走査方向に沿って配置されている。
上記各実施形態では、ヘッドモジュール160を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、ヘッドモジュール560を用いてもよい。ヘッドモジュール560には、複数のインク室ユニット563がマトリクス状に(2次元的に)配置されている。インク室ユニット563は、インク滴の吐出口であるノズル561、及び各ノズル561に対応する圧力室562を備えている。
ヘッドモジュール560は、主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。この場合、ヘッドモジュール対570の繋ぎ部582による連続着弾異常箇所180が検出用画像14に存在していることが検出されると、位置調整処理が実行されることで連続着弾異常箇所180の位置に対応する位置のヘッドモジュール560が移動される。
なお、ここで、ヘッドモジュール対570とは、副走査方向に隣接するヘッドモジュール560を指す。繋ぎ部582とは、ヘッドモジュール対570の一方のヘッドモジュール560の端面560Aに隣接しているノズル561の一列、及び、ヘッドモジュール対570の他方のヘッドモジュール560の端面560Bに隣接しているノズル561の一列を指す。
また、上記各実施形態では、CPU40によって位置調整プログラム64,364の各ステップを実現するソフトウェア的な形態を例示したが、これに限らず、各種回路(一例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))を接続して構成されるハードウェア的な形態や、ソフトウェア的な形態とハードウェア的な形態とを組み合わせた形態が挙げられる。