前記特許文献1に開示の個体高分子形燃料電池のカソード電極およびアノード電極の作成方法は、以下のとおりである。炭素粒子に粒子径が3〜5nmの範囲にある白金微粒子を重量比で55%担持させた触媒担持炭素微粒子を作り、その触媒担持炭素微粒子1gに5重量%ナフィオン溶液を適量加えて攪拌し、カソード電極用の触媒ペーストを作る。カソード電極用の触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー上に8mg/cm2の量で塗布した後、乾燥させて4cm×4cmのカソード電極を作製する。次に、白金微粒子に替えて粒子径が3〜5nmの範囲にある白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金微粒子(Ruの割合は60at%)を重量比で55%担持させた触媒担持炭素微粒子を作り、その触媒担持炭素微粒子1gに5重量%ナフィオン溶液を適量加えて攪拌し、アノード電極用の触媒ペーストを作る。アノード電極用の触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー上に8mg/cm2の量で塗布した後、乾燥させて4cm×4cmのアノード電極を作製する。
固体高分子形燃料電池の電極触媒として各種の白金担持カーボンが広く利用されている。しかし、白金族元素は、貴金属であり、その生産量に限りがある希少な資源であることから、その使用量を抑えることが求められている。さらに、今後の固体高分子形燃料電池の普及に向けて高価な白金以外の金属を利用した非白金触媒を有する廉価な電極の開発が求められている。
本発明の目的は、白金族元素を利用することなく触媒活性(触媒作用)を有する燃料極および空気極を備え、非白金の燃料極および空気極を使用して十分な電気を発電することができ、負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる固体高分子形燃料電池を提供することにある。本発明の他の目的は、白金族元素を利用することなく、廉価に作ることができ、十分な触媒活性(触媒作用)を有する固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を製造する電極製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、複数のセルを有するセルスタックを備え、セルが、燃料極および空気極と、燃料極と空気極との間に位置する固体高分子電解質膜と、燃料極の外側と空気極の外側とに位置するセパレータとから形成された固体高分子形燃料電池である。
前記第1の前提における本発明の固体高分子形燃料電池の特徴は、燃料極および空気極が、各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属から形成され、選択された少なくとも3種類のそれら遷移金属の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極であり、燃料極および空気極では、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されていることにある。
本発明の固体高分子形燃料電池の一例としては、燃料極および空気極の厚み寸法が、0.03mm〜0.3mmの範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極および空気極が、Niの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極では、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、Niの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、30%〜50%の範囲、Niの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、Niの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極および空気極が、Feの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極では、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、Feの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、30%〜50%の範囲、Feの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、Feの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極および空気極が、Cuの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極では、Crの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、Cuの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、30%〜50%の範囲、Cuの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、Cuの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極および空気極の空隙率が、15%〜30%の範囲にあり、燃料極および空気極の密度が、5.0g/cm2〜7.0g/cm2の範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、遷移金属の粉体の粒径が、10μm〜200μmの範囲にある。
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例として、燃料極および空気極では、所定面積の薄板状に圧縮した金属粉体混合物の焼成時に最も融点の低い遷移金属の粉体が溶融し、溶融した遷移金属をバインダーとして他の遷移金属の粉体が接合され、バインダーとなる遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、固体高分子形燃料電池のセルを形成する燃料極および空気極を製造する電極製造方法である。
前記第2の前提における本発明の電極製造方法の特徴は、電極製造方法が、各種の遷移金属から選択する少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属を選択する遷移金属選択工程と、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物を作る金属粉体混合物作成工程と、金属粉体混合物作成工程によって作られた金属粉体混合物を所定圧力で加圧して金属薄板を作る金属薄板作成工程と、金属薄板作成工程によって作られた金属薄板を所定温度で焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極を作るポーラス構造アロイ薄板電極作成工程とを有することにある。
本発明の電極製造方法の一例としては、金属粉体混合物作成工程が、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する。
本発明の電極製造方法の他の一例としては、金属薄板作成工程が、金属粉体混合物作成工程によって作られた金属粉体混合物を500Mpa〜800Mpaの圧力で加圧し、0.03mm〜0.3mmの厚み寸法を有して多数の微細な流路を形成した金属薄板を作る。
本発明の電極製造方法の他の一例としては、ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程が、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属のうちの融点が最も低い遷移金属の粉体を溶融させる温度で金属薄板を焼成する。
本発明に係る固体高分子形燃料電池によれば、それに使用される燃料極および空気極が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属から形成され、選択された少なくとも3種類のそれら遷移金属の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極であり、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されているから、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極および空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極および空気極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にある固体高分子形燃料電池は、燃料極および空気極の厚み寸法を前記範囲にすることで、燃料極および空気極の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極や空電極に電流をスムースに流すことができる。固体高分子形燃料電池は、前記範囲の厚み寸法を有する非白金の燃料極および空気極を使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極および空気極がNiの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてNiの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている固体高分子形燃料電池は、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてNiの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、Niの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するとともに、Niを主成分とした燃料極および空気極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極や空気極の電気抵抗が小さく、燃料極や空電極に電流がスムースに流れ、非白金の廉価な燃料極および空気極を使用したとしても、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Niの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Niの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Niの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているとともに、Niの粉体の重量比やNiの粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比、Niの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比を前記範囲にすることで、Niの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮し、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極および空気極がFeの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてFeの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている固体高分子形燃料電池は、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてFeの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、Feの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するとともに、Feを主成分とした燃料極および空気極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極や空気極の電気抵抗が小さく、燃料極や空電極を電流がスムースに流れ、非白金の廉価な燃料極および空気極を使用したとしても、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Feの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Feの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Feの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているとともに、Feの粉体の重量比やFeの粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比、Feの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比を前記範囲にすることで、Feの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮し、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極および空気極がCuの粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形されたポーラス構造のアロイ薄板電極であり、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてCrの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている固体高分子形燃料電池は、ポーラス構造のアロイ薄板電極においてCuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、Cuの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するとともに、Cuを主成分とした燃料極および空気極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極や空気極の電気抵抗が小さく、燃料極や空電極を電流がスムースに流れ、非白金の廉価な燃料極および空気極を使用したとしても、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Cuの粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Cuの粉体を除く1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Cuの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているとともに、Cuの粉体の重量比やCuの粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比、Cuの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の粉体の重量比を前記範囲にすることで、Cuの粉体を主成分とした燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮し、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極および空気極の空隙率が15%〜30%の範囲にあり、燃料極および空気極の密度が5.0g/cm2〜7.0g/cm2の範囲にある固体高分子形燃料電池は、燃料極や空気極の空隙率を前記範囲にし、燃料極や空気極の密度を前記範囲にすることで、ポーラス構造のアロイ薄板電極である燃料極および空気極が多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成形され、燃料極や空気極の比表面積を大きくすることができ、それら流路をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極や空気極の接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極や空気極が白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮することができ、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができるとともに、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
遷移金属の粉体の粒径が10μm〜200μmの範囲にある固体高分子形燃料電池は、遷移金属の粒径を前記範囲にすることで、ポーラス構造のアロイ薄板電極である燃料極および空気極が多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成形され、燃料極や空気極の比表面積を大きくすることができ、それら流路をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極や空気極の接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極や空気極が白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮することができ、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができるとともに、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
所定面積の薄板状に圧縮した前記金属粉体混合物の焼成時に最も融点の低い遷移金属の粉体が溶融し、溶融した遷移金属をバインダーとして他の遷移金属の粉体が接合され、バインダーとなる遷移金属の粉体の金属粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、最も融点の低い粉状の金属をバインダーとして他の粉状の金属を接合することで、燃料極および空気極が高い強度を有してその形状を維持することができ、燃料極や空気極に衝撃が加えられたときの燃料極や空気極の破損や損壊を防ぐことができる。固体高分子形燃料電池は、バインダーとなる遷移金属の粉体の重量比を前記範囲にすることで、バインダーとなる遷移金属が溶融したとしても、ポーラス構造のアロイ薄板電極である燃料極および空気極の微細な流路(通路孔)が塞がれることはなく、燃料極や空気極の多孔質構造を維持することができ、燃料極や空気極の触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であり、非白金の燃料極および空気極を使用した燃料電池において十分な電気を発電することができるとともに、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を製造する電極製造方法によれば、各種の遷移金属から選択する少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属を選択する遷移金属選択工程と、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物を作る金属粉体混合物作成工程と、金属粉体混合物作成工程によって作られた金属粉体混合物を所定圧力で加圧して金属薄板を作る金属薄板作成工程と、金属薄板作成工程によって作られた金属薄板を所定温度で焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極を作るポーラス構造アロイ薄板電極作成工程とから燃料極および空気極を作るから、白金族元素を利用しない非白金の固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を廉価に作ることができ、触媒活性(触媒作用)を有して触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を作ることができる。
金属粉体混合物作成工程が遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する電極製造方法は、遷移金属を前記範囲の粒径に微粉砕することで、多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成形されて比表面積が大きいポーラス構造のアロイ薄板電極である燃料極および空気極を作ることができ、それら流路をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極や空気極の接触面に広く接触させることが可能となり、白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮することが可能な固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を作ることができる。電極製造方法は、触媒活性(触媒作用)を有して燃料極および空気極の触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を廉価に作ることができる。
金属薄板作成工程が金属粉体混合物作成工程によって作られた金属粉体混合物を500Mpa〜800Mpaの圧力で加圧し、0.03mm〜0.3mmの厚み寸法を有して多数の微細な流路を形成した金属薄板を作る電極製造方法は、金属粉体混合物を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、厚み寸法が0.03mm〜0.3mmであって多数の微細な流路(通路孔)を有する金属薄板を作ることができ、白金族元素を利用しない非白金のポーラス構造のアロイ薄板電極である燃料極および空気極を廉価に作ることができる。電極製造方法は、触媒活性(触媒作用)を有して燃料極および空気極の触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を廉価に作ることができる。電極製造方法は、燃料極および空気極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲であって燃料極や空気極に多数の微細な流路(通路孔)を形成することで、燃料極や空気極の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極や空気極を電流がスムースに流れ、燃料電池において十分な電気を発電することができるとともに燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することが可能な燃料極や空気極を作ることができる。
ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程が遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属のうちの融点が最も低い遷移金属の粉体を溶融させる温度で金属薄板を焼成する電極製造方法は、最も融点の低い遷移金属の粉体をバインダーとして他の遷移金属の粉体を接合することで、燃料極および空気極が高い強度を有してその形状を維持することができ、燃料極や空気極に衝撃が加えられたときの燃料極や空気極の破損や損壊を防ぐことが可能な燃料極や空気極を作ることができる。電極製造方法は、燃料極および空気極の形状を維持することができるから、触媒活性(触媒作用)を有して燃料極や空気極の触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な固体高分子形燃料電池の燃料極および空気極を廉価に作ることができる。
一例として示す固体高分子形燃料電池10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る固体高分子形燃料電池および固体高分子形燃料電池に使用する燃料極および空気極の製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、セルスタック12を形成するセル11の一例を示す分解斜視図であり、図3は、セル11の側面図である。図4は、一例として示す燃料極13および空気極14の斜視図であり、図5は、燃料極13および空気極14の一例として示す部分拡大正面図である。図6は、燃料極13および空気極14の他の一例として示す部分拡大正面図である。
固体高分子形燃料電池10は、複数のセル11を有するセルスタック12(燃料電池スタック)を備え、水素と酸素とを供給することで電気エネルギーを生成する。セルスタック12では、複数のセル11(単セル)が一方向へ重なり合って直列に接続されている。セル11の一例としては、図2に示すように、燃料極13(アノード)および空気極14(カソード)と、燃料極13および空気極14の間に位置(介在)する固体高分子電解質膜15(スルホン酸基を有するフッ素系イオン交換膜)と、燃料極13の厚み方向外側に位置するセパレータ16(バイポーラプレート)と、空気極14の厚み方向外側に位置するセパレータ17(バイポーラプレート)とから形成されている。
それらセパレータ16,17には、反応ガス(水素や酸素等)の供給流路が刻設されている(彫り込まれている)。セル11では、図3に示すように、燃料極13や空気極14、固体高分子電解質膜15が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体18(Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体18をそれらセパレータ16,17が挟み込んでいる。固体高分子電解質膜15は、プロトン導電性があり、電子導電性がない。燃料極13とセパレータ16との間には、ガス拡散層19が形成され、空気極14とセパレータ17との間には、ガス拡散層20が形成されている。燃料極13とセパレータ16との間であってガス拡散層20の上部および下部には、ガスシール21が設置されている。空気極14とセパレータ17との間であってガス拡散層20の上部および下部には、ガスシール22が設置されている。
固体高分子形燃料電池10(セル11)に使用する燃料極13および空気極14は、前面23および後面24を有するとともに、所定の面積および所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。燃料極13および空気極14は、多数の微細な流路25(通路孔)を有するポーラス構造のアロイ薄板電極26である。流路25には、ガス(気体)が通流する。なお、燃料極13や空気極14の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、その用途にあわせて円形や楕円形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
燃料極13および空気極14は、粉状に加工された遷移金属の中から選択された少なくとも3種類の遷移金属から形成されている。遷移金属としては、3d遷移金属や4d遷移金属が使用される。3d遷移金属には、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)が使用される。4d遷移金属には、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)が使用される。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数(物質から電子を取り出すのに必要なエネルギー)の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されている。Tiの仕事関数は、4.14(eV)、Crの仕事関数は、4.5(eV)、Mnの仕事関数は、4.1(eV)、Feの仕事関数は、4.67(eV)、Coの仕事関数は、5.0(eV)、Niの仕事関数は、5.22(eV)、Cuの仕事関数は、5.10(eV)、Znの仕事関数は、3.63(eV)、Nbの仕事関数は、4.01(eV)、Moの仕事関数は、4.45(eV)、Agの仕事関数は、4.31(eV)である。なお、白金の仕事関数は、5.65(eV)である。
燃料極13および空気極14には、各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類のそれら遷移金属の粉体(粉状に加工されたTi(チタン)、粉状に加工されたCr(クロム)、粉状に加工されたMn(マンガン)、粉状に加工されたFe(鉄)、粉状に加工されたCo(コバルト)、粉状に加工されたNi(ニッケル)、粉状に加工されたCu(銅)、粉状に加工されたZn(亜鉛)、粉状に加工されたNb(ニオブ)、粉状に加工されたMo(モリブデン)、粉状に加工されたAg(銀))を均一に混合・分散した金属粉体混合物27(図10参照)を所定面積の薄板状に圧縮し、その後に所定温度で焼成(焼結)することで、径が異なる多数の微細な流路25(通路孔)が形成されている。
それら流路25(通路孔)は、前面23に開口する複数の通流口28と後面24に開口する複数の通流口28とを有し、燃料極13および空気極14の前面23から後面24に向かって燃料極13および空気極14を貫通している。それら流路25は、燃料極13および空気極14の前面23と後面24との間において燃料極13や空気極14の厚み方向へ不規則に曲折しながら延びているとともに、燃料極13や空気極14の外周縁29から中心に向かって燃料極13や空気極14の径方向へ不規則に曲折しながら延びている。径方向へ隣接して厚み方向へ曲折して延びるそれら流路25は、径方向において部分的につながり、一方の流路25と他方の流路25とが互いに連通している。厚み方向へ隣接して径方向へ曲折して延びるそれら流路25は、厚み方向において部分的につながり、一方の流路25と他方の流路25とが互いに連通している。
それら流路25(通路孔)の開口面積(開口径)は、厚み方向に向かって一様ではなく、厚み方向に向かって不規則に変化しているとともに、径方向に向かって一様ではなく、径方向に向かって不規則に変化している。それら流路25は、その開口面積(開口径)が大きくなったり、小さくなったりしながら厚み方向と径方向とへ不規則に開口している。また、前面23に開口する通流口28と後面24に開口する通流口28とは、その開口面積(開口径)が一様ではなく、その面積が相違している。それら流路25(通路孔)の開口径や前後面23,24の通流口28の開口径は、1μm〜100μmの範囲にある。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の厚み寸法L1が0.03mm未満では、その強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損または損壊し、その形状を維持することができない場合がある。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の厚み寸法L1が0.3mmを超過すると、燃料極13や空気極14の電気抵抗が大きくなり、燃料極13や空気極14を電流がスムースに流れず、固体高分子形燃料電池10(セル11)において十分な電気を発電することができず、燃料電池10に接続された負荷30(図7参照)に十分な電気エネルギーを供給することができない。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にあるから、燃料極13や空気極14が高い強度を有してその形状を維持することができ、燃料極13や空気極14に衝撃が加えられたときの燃料極13や空気極14の破損や損壊を防ぐことができる。さらに、厚み寸法L1を前記範囲にすることで、燃料極13および空気極14の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13や空気極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10(セル22)において十分な電気を発電することができるとともに、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その空隙率が15%〜30%の範囲にあり、その相対密度が70%〜85%の範囲にある。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の空隙率が15%未満であって相対密度が85%を超過すると、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25(通路孔)が形成されず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができない。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の空隙率が30%を超過し、相対密度が70%未満では、流路25(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、燃料極13や空気極14の強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損または損壊し、その形状を維持することができない場合がある。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その空隙率および相対密度が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質に成形され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25(通路孔)をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の接触面に広く接触させることができ、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を最大限に利用することができる。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その密度が5.0g/cm2〜7.0g/cm2の範囲にある。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の密度が5.0g/cm2未満では、燃料極13や空気極14の強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損または損壊し、その形状を維持することができない場合がある。燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の密度が7.0g/cm2を超過すると、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25(通路孔)が形成されず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができない。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、その密度が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質に成形され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25(通路孔)をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13や空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の接触面に広く接触させることができ、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を最大限に利用することができる。
Tiの粉体(粉状に加工されたTi)やCrの粉体(粉状に加工されたCr)、Mnの粉体(粉状に加工されたMn)、Feの粉体(粉状に加工されたFe)、Coの粉体(粉状に加工されたCo)、Niの粉体(粉状に加工されたNi)、Cuの粉体(粉状に加工されたCu)、Znの粉体(粉状に加工されたZn)、Nbの粉体(粉状に加工されたNb)、Moの粉体(粉状に加工されたMo)、Agの粉体(粉状に加工されたAg)の粒径は、10μm〜200μmの範囲にある。
それら遷移金属の粉体の粒径が10μm未満では、遷移金属によって流路25(通路孔)が塞がれ、燃料極13および空気極14に多数の微細な流路25を形成することができず、燃料極13や空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の比表面積を大きくすることができない。それら遷移金属の粉体の粒径が200μmを超過すると、流路25(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)に多数の微細な流路25を形成することができず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができない。
燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、それら遷移金属の粉体の粒径が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質に成形され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13や空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の接触面に広く接触させることができ、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を最大限に利用することができる。
遷移金属から形成された燃料極13および空気極14の一例としては、粉状に加工されたNi(ニッケル)の粉体を主成分とし、Niの粉体とNiを除く粉状に加工されたその他の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質の薄板状に成形され、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。Niの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。Niの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、所定面積の薄板状に圧縮した金属粉体混合物27の焼成時に最も融点の低い遷移金属の粉体が溶融し、溶融した遷移金属をバインダーとして他の遷移金属の粉体が接合されている。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、粉状に加工されたNiの金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Niを除く粉状に加工された少なくとも1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Niを除く粉状に加工された少なくとも他の1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも他の1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。なお、バインダーとなる遷移金属の粉体の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の具体例としては、Niの粉体、Cuの粉体、ZNの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するNiの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するCuの粉体重量比が42%、金属粉体混合物27の全重量に対するZnの粉体重量比が10%である。Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃、Znの融点が419.85℃であるから、Znの粉体が溶融し、溶融したZnがバインダーとなってNiの粉体とCuの粉体とを接合している。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の他の具体例としては、Niの粉体、Mnの粉体、Moの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するNiの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するMnの粉体重量比が7%、金属粉体混合物27の全重量に対するMoの粉体重量比が45%である。Niの融点が1455℃、Mnの融点が1246℃、Moの融点が2623℃であるから、Mnの粉体が溶融し、溶融したMnがバインダーとなってNiの粉体とMoの粉体とを接合している。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形された燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13および空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、Niを主成分とした燃料極13および空気極14の厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極13や空気極14の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13や空電極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。Niを主成分とした燃料極13および空気極14を使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13および空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
遷移金属から形成された燃料極13および空気極14の他の一例としては、粉状に加工されたFe(鉄)の粉体を主成分とし、Feの粉体とFeを除く粉状に加工されたその他の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。
Fe(鉄)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質の薄板状に成形され、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。Feの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。Feの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、所定面積の薄板状に圧縮した金属粉体混合物27の焼成時に最も融点の低い遷移金属の粉体が溶融し、溶融した遷移金属をバインダーとして他の遷移金属の粉体が接合されている。
Fe(鉄)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、粉状に加工されたFeの金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Feを除く粉状に加工された少なくとも1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Feを除く粉状に加工された少なくとも他の1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも他の1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。なお、バインダーとなる遷移金属の粉体の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
Fe(鉄)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の具体例としては、Feの粉体、Niの粉体、Cuの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するFeの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するNiの粉体重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するCuの粉体重量比が4%である。Feの融点が1536℃、Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃であるから、Cuの粉体が溶融し、溶融したCuがバインダーとなってFeの粉体とNiの粉体とを接合している。
Fe(鉄)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の他の具体例としては、Feの粉体、Tiの粉体、Agの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するFeの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するTiの粉体重量比が46%、金属粉体混合物27の全重量に対するAgの粉体重量比が6%である。Feの融点が1536℃、Tiの融点が1666℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの粉体が溶融し、溶融したAgがバインダーとなってFeの粉体とTiの粉体とを接合している。
Fe(鉄)の粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形された燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13および空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、Feを主成分とした燃料極13および空気極14の厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極13や空気極14の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13や空電極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。Feを主成分とした燃料極13および空気極14を使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13および空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
遷移金属から形成された燃料極13および空気極14の他の一例としては、粉状に加工されたCu(銅)の粉体を主成分とし、Cuの粉体とCuを除く粉状に加工されたその他の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。
Cu(銅)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、多数の微細な流路25(通路孔)を有する多孔質の薄板状に成形され、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。Cuの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されている。Cuの粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、所定面積の薄板状に圧縮した金属粉体混合物27の焼成時に最も融点の低い遷移金属の粉体が溶融し、溶融した遷移金属をバインダーとして他の遷移金属の粉体が接合されている。
Cu(銅)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)では、粉状に加工されたCuの金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が30%〜50%の範囲、Cuを除く粉状に加工された少なくとも1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Cuを除く粉状に加工された少なくとも他の1種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも他の1種類)の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。なお、バインダーとなる遷移金属の粉体の金属粉体混合物27の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある。
Cu(銅)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の具体例としては、Cuの粉体、Feの粉体、Znの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するCuの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するFeの粉体重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するZnの粉体重量比が4%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Znの融点が419.58℃であるから、Znの粉体が溶融し、溶融したZnがバインダーとなってCuの粉体とFeの粉体とを接合している。
Cu(銅)の粉体を主成分とした燃料極13および空気極14の他の具体例としては、Cuの粉体、Feの粉体、Agの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、その金属粉体混合物27を所定温度で焼成することで多数の微細な流路25(通路孔)が形成されたポーラス構造のアロイ薄板電極26である。この燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、金属粉体混合物27の全重量に対するCuの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物27の全重量に対するFeの粉体重量比が46%、金属粉体混合物27の全重量に対するAgの粉体重量比が6%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの粉体が溶融し、溶融したAgがバインダーとなってCuの粉体とFeの粉体とを接合している。
Cu(銅)の粉体を主成分として0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形された燃料極13および空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の粉体が選択されているから、白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13および空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、Cuを主成分とした燃料極13および空気極14の厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるから、燃料極13や空気極14の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13や空電極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。Cuを主成分とした燃料極13および空気極14を使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13および空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図7は、固体高分子形燃料電池10の発電を説明する図であり、図8は、燃料極13および空気極14の起電圧試験の結果を示す図である。図9は、燃料極13および空気極14のI−V特性試験の結果を示す図である。固体高分子形燃料電池10では、図7に示すように、燃料極13に水素(燃料)が供給され、空気極14に空気(酸素)が供給される。
燃料極13では、水素がH2→2H++2e−の反応(触媒作用)によってプロトン(水素イオン、H+)と電子とに分解される。その後、プロトンが固体高分子電解質膜15内を通って空気極14へ移動し、電子が導線31内を通って空気極14へ移動する。固体高分子電解質膜15には、燃料極13で生成されたプロトンが通流する。空気極14では、固体高分子電解質膜15から移動したプロトンと導線31を移動した電子とが空気中の酸素と反応し、4H++O2+4e→2H2Oの反応によって水が生成される。少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属の中から選択された少なくとも3種類の遷移金属から燃料極13や空気極14が形成されているから、燃料極13や空気極14が優れた触媒活性(触媒作用)を示し、水素がプロトンと電子とに効率よく分解される。
起電圧試験では、水素ガスを注入してから15分の間、燃料極13と空気極14との間(電極間)の電圧(V)を測定した。図7の起電圧試験の結果を示す図では、横軸に測定時間(min)を表し、縦軸に燃料極13と空気極14との間(電極間)の電圧(V)を表す。白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池では、図7の起電圧試験の結果を示す図から分かるように、電極間の電圧が1.079(V)前後であったのに対し、燃料極13(非白金電極)および空気極14(非白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、燃料極13と空気極14との間(電極間)の電圧(起電力)が1.01(V)〜1.02(V)であった。
I−V特性試験では、燃料極13と空気極14との間(電極間)に負荷30を接続し、電圧と電流との関係を測定した。図8のI−V特性試験の結果を示す図では、横軸に電流(A)を表し、縦軸に電圧(V)を表す。燃料極13(非白金電極)および空気極14(非白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、図8のI−V特性試験の結果を示す図から分かるように、白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池の電圧降下率と大差のない結果が得られた。図7の起電圧試験の結果や図8のI−V特性試験の結果に示すように、白金族元素を利用していない非白金の燃料極13および空気極14が電子を放出させて水素イオンとなる反応を促進させる優れた触媒作用を有するとともに、白金を利用した電極と略同様の酸素還元機能(触媒作用)を有することが確認された。
固体高分子形燃料電池10は、それに使用される燃料極13および空気極14が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属から形成され、選択された少なくとも3種類のそれら遷移金属の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26であり、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されているから、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13および空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図10は、燃料極13および空気極14の製造方法を説明する図である。燃料極13(電極)および空気極14(電極)は、図10に示すように、遷移金属選択工程S1、金属粉体混合物作成工程S2、金属薄板作成工程S3、ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4を有する電極製造方法によって製造される。遷移金属選択工程S1では、各種の遷移金属32から選択する少なくとも3種類の遷移金属32の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属32の中から少なくとも3種類の遷移金属32(Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀))を選択する。
遷移金属選択工程S1において、既述のように、Ni(ニッケル)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Cu(銅)およびZN(亜鉛)を選択し、または、Mn(マンガン)およびMo(モリブデン)を選択する。Fe(鉄)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Ni(ニッケル)およびCu(銅)を選択し、または、Ti(チタン)およびAg(銀)を選択する。Cu(銅)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Fe(鉄)およびZn(亜鉛)を選択し、または、Fe(鉄)およびAg(銀)を選択する。
金属粉体混合物作成工程S2では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属32の粉体33を均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。金属粉体混合物作成工程S2において、Ni(ニッケル)を主成分とした燃料極13や空気極14では、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi、Cu(銅)、ZN(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してNiの粉体33、Cuの粉体33、Znの粉体33を作成する。次に、Niの粉体33やCuの粉体33、Znの粉体33を混合機に投入して混合機によってNiの粉体33、Cuの粉体33、Znの粉体33を攪拌・混合し、Niの粉体33、Cuの粉体33、Znの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
または、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi(ニッケル)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してNiの粉体33、Mnの粉体33、Moの粉体33を作成する。次に、Niの粉体33やMnの粉体33、Moの粉体33を混合機に投入して混合機によってNiの粉体33、Mnの粉体33、Moの粉体33を攪拌・混合し、Niの粉体33、Mnの粉体33、Moの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
金属粉体混合物作成工程S2において、Fe(鉄)を主成分とした燃料極13や空気極14では、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe、Ni(ニッケル)、Cu(銅)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してFeの粉体33、Niの粉体33、Cuの粉体33を作成する。次に、Feの粉体33やNiの粉体33、Cuの粉体33を混合機に投入して混合機によってFeの粉体33、Niの粉体33、Cuの粉体33を攪拌・混合し、Feの粉体33、Niの粉体33、Cuの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
または、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe(鉄)、Ti(チタン)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してFeの粉体33、Tiの粉体33、Agの粉体33を作成する。次に、Feの粉体33やTiの粉体33、Agの粉体33を混合機に投入して混合機によってFeの粉体33、Tiの粉体33、Agの粉体33を攪拌・混合し、Feの粉体33、Tiの粉体33、Agの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
金属粉体混合物作成工程S2において、Cu(銅)を主成分とした燃料極13や空気極14では、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してCuの粉体33、Feの粉体33、Znの粉体33を作成する。次に、Cuの粉体33やFeの粉体33、Znの粉体33を混合機に投入して混合機によってCuの粉体33、Feの粉体33、Znの粉体33を攪拌・混合し、Cuの粉体33、Feの粉体33、Znの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
または、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu(銅)、Fe(鉄)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してCuの粉体33、Feの粉体33、Agの粉体33を作成する。次に、Cuの粉体33やFeの粉体33、Agの粉体33を混合機に投入して混合機によってCuの粉体33、Feの粉体33、Agの粉体33を攪拌・混合し、Cuの粉体33、Feの粉体33、Agの粉体33が均一に混合・分散した金属粉体混合物27を作る。
金属薄板作成工程S3では、金属粉体混合物作成工程S2によって作られた金属粉体混合物27を所定圧力で加圧し、金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮した金属薄板34を作る。金属薄板作成工程S3では、金属粉体混合物27を金型に入れ、金型をプレス機によって加圧(プレス)するプレス加工によって金属薄板34を作る。プレス加工時におけるプレス圧(圧力)は、500Mpa〜800Mpaの範囲にある。
プレス圧(圧力)が500Mpa未満では、金属薄板34に形成される流路25(通路孔)の開口径が大きくなり、金属薄板34の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mmにしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を金属薄板34に形成することができない。プレス圧(圧力)が800Mpaを超過すると、金属薄板34に形成される流路25(通路孔)の開口径が必要以上に小さくなり、金属薄板34の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mmにしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を金属薄板に形成することができない。電極製造方法は、金属粉体混合物27を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、金属薄板34の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mmにしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路27(通路孔)を形成した金属薄板34を作ることができる。
金属薄板作成工程S3において、Ni(ニッケル)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Niの粉体33、Cu(銅)の粉体33、ZN(亜鉛)粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
または、Niの粉体33、Mn(マンガン)の粉体33、Mo(モリブデン)の粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
金属薄板作成工程S3において、Fe(鉄)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Feの粉体33、Ni(ニッケル)の粉体33、Cu(銅)の粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路27(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
または、Feの粉体33、Ti(チタン)の粉体33、Ag(銀)の粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路27(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
金属薄板作成工程S3において、Cu(銅)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Cuの粉体33、Fe(鉄)の粉体33、Zn(亜鉛)の粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
または、Cuの粉体33、Fe(鉄)の粉体33、Ag(銀)の粉体33を混合した金属粉体混合物27の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物27をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物27を所定面積の薄板状に圧縮し、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmであって開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成した金属薄板34を作る。
ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4では、金属薄板作成工程S3によって作られた金属薄板34を炉(電気炉等)に投入し、金属薄板34を炉において所定温度で焼成(焼結)して多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属32のうちの融点が最も低い遷移金属32の粉体33を溶融させる温度で金属薄板34を長時間焼成する。焼成(焼結)時間は、3時間〜6時間である。ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4では、所定面積の薄板状に圧縮した金属薄板34(金属粉体混合物27)の焼成時において、最も融点の低い遷移金属32の粉体33が溶融し、溶融した遷移金属32をバインダーとして他の遷移金属32の粉体33を接合(固着)する。
ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした燃料極13(電極)や空気極14(電極)では、Niの粉体33、Cu(銅)の粉体33、ZN(亜鉛)粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Niの粉体33、Cuの粉体33、Znの粉体33から形成された金属薄板34では、Znの粉体33を溶融させる温度(例えば、500℃〜800℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したZnの粉体33によってNiの粉体33とCuの粉体33とが接合(固着)される。
また、Ni(ニッケル)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Niの粉体33、Mn(マンガン)の粉体33、Mo(モリブデン)の粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Niの粉体33、Mnの粉体33、Moの粉体33から形成された金属薄板34では、Mnの粉体33を溶融させる温度(例えば、1200℃〜1400℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したMnの粉体33によってMnの粉体33とMoの粉体33とが接合(固着)される。
ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした燃料極13(電極)や空気極14(電極)では、Feの粉体33、Ni(ニッケル)の粉体33、Cu(銅)の粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Feの粉体33、Niの粉体33、Cuの粉体33から形成された金属薄板34では、Cuの粉体33を溶融させる温度(例えば、1100℃〜1300℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したCuの粉体33によってFeの粉体33とNiの粉体33とが接合(固着)される。
また、Fe(鉄)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Feの粉体33、Ti(チタン)の粉体33、Ag(銀)の粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Feの粉体33、Tiの粉体33、Agの粉体33から形成された金属薄板34では、Agの粉体33を溶融させる温度(例えば、1000℃〜1200℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したAgの粉体33によってFeの粉体33とTiの粉体33とが接合(固着)される。
ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした燃料極13(電極)や空気極14(電極)では、Cuの粉体33、Fe(鉄)の粉体33、Zn(亜鉛)の粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Cuの粉体33、Feの粉体33、Znの粉体33から形成された金属薄板34では、Znの粉体33を溶融させる温度(例えば、500℃〜800℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したZnの粉体33によってCuの粉体33とFeの粉体33とが接合(固着)される。
また、Cu(銅)を主成分とした燃料極13や空気極14では、Cuの粉体33、Fe(鉄)の粉体33、Ag(銀)の粉体33を混合した金属粉体混合物27を圧縮した金属薄板34を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ薄板電極26を作る。Cuの粉体33、Feの粉体33、Agの粉体33から形成された金属薄板34では、Agの粉体33を溶融させる温度(例えば、1000℃〜1100℃)で金属薄板34を焼成し、溶融したAgの粉体33によってCuの粉体33とFeの粉体33とが接合(固着)される。
電極製造方法は、遷移金属選択工程S1や金属粉体混合物作成工程S2、金属薄板作成工程S3、ポーラス構造アロイ薄板電極作成工程S4によって厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲であって多数の微細な流路25(通路孔)を形成した燃料極13(電極)や空気極14(電極)を作ることができ、白金族元素を利用しない非白金の燃料極13や空気極14を廉価に作ることができるとともに、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって触媒活性(触媒作用)を有して固体高分子形燃料電池10に使用する燃料極13や空気極14を作ることができる。
電極製造方法は、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲であって多数の微細な流路25(通路孔)を形成した燃料極13(電極)や空気極14(電極)を作ることができるから、燃料極13や空気極14の電気抵抗を小さくすることができるとともに、燃料極13や空気極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することが可能であって燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することが可能な燃料極13や空気極14を作ることができる。