一例として示す固体高分子形燃料電池10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る固体高分子形燃料電池及び固体高分子形燃料電池に使用する燃料極及び空気極の電極製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、セルスタックを形成するセル11の一例を示す分解斜視図であり、図3は、セル11の側面図である。図4は、一例として示す燃料極13A及び空気極14Aの斜視図であり、図5は、燃料極13A及び空気極14Aの一例として示す部分拡大正面図である。図6は、図5のA-A線端面図である。図4では、厚み方向を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。
固体高分子形燃料電池10は、複数のセル11を有するセルスタック12(燃料電池スタック)を備え、水素と酸素とを供給することで発電する(電気エネルギーを生成する)。セルスタック12では、複数のセル11(単セル)が一方向へ重なり合って直列に接続されている。セル11の一例としては、図2に示すように、燃料極13A(又は燃料極13B)(アノード)と、空気極14A(又は空気極14B)(カソード)と、燃料極13A(又は燃料極13B)及び空気極14A(又は空気極14B)の間に位置(介在)する固体高分子電解質膜15(電極接合体膜)(スルホン酸基を有するフッ素系イオン交換膜)と、燃料極13A(又は燃料極13B)の厚み方向外側に位置するセパレータ16(バイポーラプレート)と、空気極14A(又は空気極14B)の厚み方向外側に位置するセパレータ17(バイポーラプレート)とから形成されている。
それらセパレータ16,17には、反応ガス(水素や酸素等)の供給流路が刻設されている(彫り込まれている)。セル11では、図3に示すように、燃料極13や空気極14、固体高分子電解質膜15が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体18(Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体18をそれらセパレータ16,17が挟み込んでいる。固体高分子電解質膜15は、プロトン導電性があり、電子導電性がない。燃料極13A(又は燃料極13B)とセパレータ16との間には、ガス拡散層19が形成され、空気極14A(又は空気極14B)とセパレータ17との間には、ガス拡散層20が形成されている。燃料極13A(又は燃料極13B)とセパレータ16との間であってガス拡散層20の上部及び下部には、ガスシール21が設置されている。空気極14A(又は空気極14B)とセパレータ17との間であってガス拡散層20の上部及び下部には、ガスシール22が設置されている。
固体高分子形燃料電池10(セル11)に使用する燃料極13A及び空気極14Aは、前面23及び後面24を有するとともに、所定面積及び所定の厚み寸法を有し、その平面形状が四角形に成形されている。なお、燃料極13A(又は燃料極13B)や空気極14(又は空気極14B)の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、その用途にあわせて円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
燃料極13A及び空気極14Aは、アロイ粉体25(合金粉体)と所定面積のカーボン電極板26(カーボン電極薄板)とから形成されている。アロイ粉体25は、アロイ成形物37(合金成形物)(図12参照)を微粉砕することから作られている。アロイ粉体25は、その粒径が10μm~200μmの範囲にある。アロイ成形物37は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属38から選択された少なくとも3種類の遷移金属38の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34(図12参照)を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。遷移金属38としては、3d遷移金属や4d遷移金属が使用される。3d遷移金属には、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)が使用される。4d遷移金属には、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)が使用される。
遷移金属38の粉体には、粉状に加工(微粉砕)されたTi(チタン)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCr(クロム)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMn(マンガン)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCo(コバルト)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたZn(亜鉛)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNb(ニオブ)粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMo(モリブデン)粉体、粉状に加工されたAg(銀)粉体が使用される。
Tiの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたTi)やCrの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCr)、Mnの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMn)、Feの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたFe)、Coの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCo)、Niの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNi)、Cuの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCu)、Znの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたZn)、Nbの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNb)、Moの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMo)、Agの粉体(粉状に加工(微粉砕)されたAg)は、それらの粒径が10μm~200μmの範囲にある。
金属粉体混合物34では、選択された少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数(物質から電子を取り出すのに必要なエネルギー)の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38が選択されている。Tiの仕事関数は、4.14(eV)、Crの仕事関数は、4.5(eV)、Mnの仕事関数は、4.1(eV)、Feの仕事関数は、4.67(eV)、Coの仕事関数は、5.0(eV)、Niの仕事関数は、5.22(eV)、Cuの仕事関数は、5.10(eV)、Znの仕事関数は、3.63(eV)、Nbの仕事関数は、4.01(eV)、Moの仕事関数は、4.45(eV)、Agの仕事関数は、4.31(eV)である。なお、白金の仕事関数は、5.65(eV)である。
金属粉体混合物34の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)の粉体を主成分とし、Niの粉体とNiを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属38(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物34である。
主成分となるNi(ニッケル)の粉体とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体とを混合した金属粉体混合物34は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されている。Niの粉体を主成分としたアロイ成形物37では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38が金属粉体混合物34の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38をバインダーとしてそれら遷移金属38の粉体が接合されている。Niを主成分としたアロイ粉体25は、Niの粉体を主成分とした金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とした金属粉体混合物34では、金属粉体混合物34の全重量に対するNiの粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Niの粉体を除く1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Fe(鉄)粉体、Co(コバルト)粉体、Cu(銅)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Niの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Fe(鉄)粉体、Co(コバルト)粉体、Cu(銅)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの他の少なくとも1種類)の金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ粉体25(Niを主成分とした合金粉体)の具体例としては、Niの粉体、Cuの粉体、ZNの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するNiの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するCuの粉体重量比が42%、金属粉体混合物34の全重量に対するZnの粉体重量比が10%である。Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃、Znの融点が419.85℃であるから、Znの粉体及びCuの粉体が溶融し、溶融したZn及びCuがバインダーとなってNiの粉体を接合している。
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ粉体25の他の具体例としては、Niの粉体、Mnの粉体、Moの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するNiの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するMnの粉体重量比が7%、金属粉体混合物34の全重量に対するMoの粉体重量比が45%である。Niの融点が1455℃、Mnの融点が1246℃、Moの融点が2623℃であるから、Mnの粉体及びNiの粉体が溶融し、溶融したMn及びNiがバインダーとなってMoの粉体を接合している。
金属粉体混合物34の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)の粉体を主成分とし、Feの粉体とFeを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属38(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物34である。
主成分となるFe(鉄)の粉体とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体とを混合した金属粉体混合物34は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されている。Feの粉体を主成分としたアロイ成形物37では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38が金属粉体混合物34の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38をバインダーとしてそれら遷移金属38の粉体が接合されている。Feを主成分としたアロイ粉体25は、Feの粉体を主成分とした金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Fe(鉄)の粉体を主成分とした金属粉体混合物34では、金属粉体混合物34の全重量に対するFeの粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Feの粉体を除く1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Co(コバルト)粉体、Ni(ニッケル)粉体、Cu(銅)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Feの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Co(コバルト)粉体、Ni(ニッケル)粉体、Cu(銅)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの他の少なくとも1種類)の前記金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ粉体25(Feを主成分とした合金粉体)の具体例としては、Feの粉体、Niの粉体、Cuの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するFeの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するNiの粉体重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するCuの粉体重量比が4%である。Feの融点が1536℃、Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃であるから、Cuの粉体及びNiの粉体が溶融し、溶融したCu及びNiがバインダーとなってFeの粉体を接合している。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ粉体25の他の具体例としては、Feの粉体、Tiの粉体、Agの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するFeの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するTiの粉体重量比が46%、金属粉体混合物34の全重量に対するAgの粉体重量比が6%である。Feの融点が1536℃、Tiの融点が1666℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの粉体及びFeの粉体が溶融し、溶融したAg及びFeがバインダーとなってTiの粉体を接合している。
金属粉体混合物34の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)の粉体を主成分とし、Cuの粉体とCuを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の遷移金属38(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の粉体とを均一に混合・分散した金属粉体混合物34である。
主成分となるCu(銅)の粉体とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体とを混合した金属粉体混合物34は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されている。Cuの粉体を主成分としたアロイ成形物37では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38が金属粉体混合物34の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38をバインダーとしてそれら遷移金属38の粉体が接合されている。Cuを主成分としたアロイ粉体25は、Cuの粉体を主成分とした金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Cu(銅)の粉体を主成分とした金属粉体混合物34では、金属粉体混合物34の全重量に対するCuの粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Cuの粉体を除く1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Fe(鉄)粉体、Co(コバルト)粉体、Ni(ニッケル)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの少なくとも1種類)の金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Cuの粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の粉体(Ti(チタン)粉体、Cr(クロム)粉体、Mn(マンガン)粉体、Fe(鉄)粉体、Co(コバルト)粉体、Ni(ニッケル)粉体、Zn(亜鉛)粉体、Nb(ニオブ)粉体、Mo(モリブデン)粉体、Ag(銀)粉体のうちの他の少なくとも1種類)の金属粉体混合物34の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Cu(銅)を主成分としたアロイ粉体25(Cuを主成分とした合金粉体)の具体例としては、Cuの粉体、Feの粉体、Znの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するCuの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するFeの粉体重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するZnの粉体重量比が4%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Znの融点が419.58℃であるから、Znの粉体及びCuの粉体が溶融し、溶融したZn及びCuがバインダーとなってFeの粉体を接合している。
Cu(銅)を主成分としたアロイ粉体25の他の具体例としては、Cuの粉体、Feの粉体、Agの粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。このアロイ粉体25は、金属粉体混合物34の全重量に対するCuの粉体の重量比が48%、金属粉体混合物34の全重量に対するFeの粉体重量比が46%、金属粉体混合物34の全重量に対するAgの粉体重量比が6%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの粉体及びCuの粉体が溶融し、溶融したAg及びCuがバインダーとなってFeの粉体を接合している。
カーボン電極板26は、前面27及び後面28を有するとともに、所定面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。なお、カーボン電極板26の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。カーボン電極板26の一例としては、数μm~数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを冷間静水圧プレスによって成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極板26の他の一例としては、数μm~数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを押出型から押し出し成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極板26としては、ガラス状カーボンを使用することもできる。
カーボン電極板26は、その厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm~0.1mmの範囲にある。カーボン電極板26の前面27の全域及び後面28の全域(両面の全域)には、図6に示すように、既述の複数のアロイ粉体25が担持されている。カーボン電極板26の前面27の全域及び後面28の全域は、アロイ粉体25によって被覆されている。アロイ粉体25は、カーボン電極板26の前面27の全域及び後面28の全域(両面)に導電性バインダー(導電性結合材)やプラズマ溶射によって担持される。なお、固体高分子形燃料電池10(セル11)では、固体高分子電解質膜15とカーボン電極板26の両面(前後面27,28)に担持された複数のアロイ粉体25とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜15とそれらアロイ粉体25とが隙間なく密着している。
カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm未満では、その強度が低下し、衝撃が加えられたときにカーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が容易に破損又は損壊し、その形状を維持することができない場合がある。カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.3mmを超過すると、カーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)の電気抵抗が大きくなり、カーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)に電流がスムースに流れず、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが固体高分子形燃料電池10に使用されたときに燃料電池10において十分な電気を発電することができず、燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができない。
カーボン電極板26は、その厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm~0.1mmの範囲にあるから、カーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が高い強度を有してその形状を維持することができ、カーボン電極板26に衝撃が加えられたときのカーボン電極板26の破損や損壊を防ぐことができる。さらに、厚み寸法L1を前記範囲にすることで、カーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)の電気抵抗を小さくすることができ、カーボン電極板26(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)に電流がスムースに流れ、燃料極13A(又は燃料極13B)及び空気極14A(又は空気極14B)が固体高分子形燃料電池10に使用されたときに燃料電池10において十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図7は、他の一例として示す燃料極13B及び空気極14Bの部分拡大正面図であり、図8は、図7のB-B線端面図である。図7に示す燃料極13B及び空気極14Bが図4の燃料極13A及び空気極14Aと異なるところは、カーボン電極板26の厚み方向へ重なる複数のアロイ粉体25によってアロイ粉体積層ポーラス構造物29がカーボン電極板26の前面27及び後面28(両面)に形成されている点にあり、その他の構成は図4の燃料極13A及び空気極14Aと同一であるから、図4と同一の符号を付すとともに、図4の燃料極13A及び空気極14Aの説明を援用することで、この燃料極13B及び空気極14Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
燃料極13B及び空気極14Bは、図4のそれらと同様に、固体高分子形燃料電池10(セル11)のアノード及びカソードとして使用される(図1参照)。燃料極13B及び空気極14Bは、前面23及び後面24を有するとともに、所定面積及び所定の厚み寸法を有し、その平面形状が四角形に成形されている。燃料極13B及び空気極14Bは、アロイ粉体25(合金粉体)と、両面(前後面27,28)にアロイ粉体25を担持させた所定面積のカーボン電極板26とから形成されている。
カーボン電極板26の前面27の全域と後面28の全域(両面の全域)とには、カーボン電極板26の厚み方向へ重なり合った(積層された)複数のアロイ粉体25によってアロイ粉体積層ポーラス構造物29が形成されている。アロイ粉体25は、アロイ成形物37(合金成形物)を微粉砕することから作られている。アロイ成形物37は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属38から選択された少なくとも3種類の遷移金属38の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。
遷移金属38や金属粉体混合物34、アロイ成形物37、アロイ粉体25は、図4の燃料極13A及び空気極14Aのそれらと同一である。遷移金属粉体の粒径やアロイ粉体25の粒径、カーボン電極板26の厚み寸法L1は、図4の燃料極13A及び空気極14Aのそれらと同一である。なお、固体高分子形燃料電池10(セル11)では、固体高分子電解質膜15とカーボン電極板26の両面(前後面27,28)に担持された複数のアロイ粉体25によって形成されたアロイ粉体積層ポーラス構造物29とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜15とアロイ粉体積層ポーラス構造物29とが隙間なく密着している。
アロイ粉体積層ポーラス構造物29には、径が異なる多数の微細な流路30(通路孔)が形成されている。それら流路30(通路孔)には、気体(水素ガスや酸素ガス)又は液体(水)が通流する。それら流路30(通路孔)は、カーボン電極板26の前面27の側に開口する複数の通流口31とカーボン電極板26の後面28の側に開口する複数の通流口31とを有し、燃料極13B及び空気極14Bの前面27に向かってアロイ粉体積層ポーラス構造物29を貫通しているとともに、燃料極13B及び空気極14Bの後面28に向かってアロイ粉体積層ポーラス構造物29を貫通している。
それら流路30は、カーボン電極板26の厚み方向へ不規則に曲折しながら延びているとともに、カーボン電極板26の外周縁から中心に向かってカーボン電極板26の径方向へ不規則に曲折しながら延びている。カーボン電極板26の径方向へ隣接して厚み方向へ曲折して延びるそれら流路30は、径方向において部分的につながり、一方の流路30と他方の流路30とが互いに連通している。カーボン電極板26の厚み方向へ隣接して径方向へ曲折して延びるそれら流路30は、厚み方向において部分的につながり、一方の流路30と他方の流路30とが互いに連通している。
それら流路30(通路孔)の開口面積(開口径)は、カーボン電極板26の厚み方向に向かって一様ではなく、厚み方向に向かって不規則に変化しているとともに、カーボン電極板26の径方向に向かって一様ではなく、径方向に向かって不規則に変化している。それら流路30は、その開口面積(開口径)が大きくなったり、小さくなったりしながら厚み方向と径方向とへ不規則に開口している。また、前面27に開口する通流口31と後面28に開口する通流口31とは、その開口面積(開口径)が一様ではなく、その面積が相違している。それら流路30(通路孔)の開口径や通流口31の開口径は、1μm~100μmの範囲にある。
アロイ粉体積層ポーラス構造物29は、その空隙率が15%~30%の範囲にあり、その相対密度が70%~85%の範囲にある。アロイ粉体積層ポーラス構造物29の空隙率が15%未満であって相対密度が85%を超過すると、アロイ粉体積層ポーラス構造物29に多数の微細な流路30(通路孔)が形成されず、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができない。アロイ粉体積層ポーラス構造物29の空隙率が30%を超過し、相対密度が70%未満では、流路30(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の強度が低下し、衝撃が加えられたときにアロイ粉体積層ポーラス構造物29が容易に破損又は損壊し、その形態を維持することができない場合がある。
アロイ粉体積層ポーラス構造物29は、その空隙率及び相対密度が前記範囲にあるから、アロイ粉体積層ポーラス構造物29が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路30(通路孔)を有する多孔質となり、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができ、それら流路30(通路孔)を気体や液体が通流しつつ気体や液体をアロイ粉体積層ポーラス構造物29の接触面(アロイ粉体25の表面)に広く接触させることができる。
アロイ粉体積層ポーラス構造物29は、その密度が5.0g/cm2~7.0g/cm2の範囲にある。アロイ粉体積層ポーラス構造物29の密度が5.0g/cm2未満では、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の強度が低下し、衝撃が加えられたときにアロイ粉体積層ポーラス構造物29が容易に破損又は損壊し、その形態を維持することができない場合がある。アロイ粉体積層ポーラス構造物29の密度が7.0g/cm2を超過すると、アロイ粉体積層ポーラス構造物29に多数の微細な流路30(通路孔)が形成されず、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができない。
カーボン電極板26の両面(前後面27,28)に形成されたアロイ粉体積層ポーラス構造物29は、その密度が前記範囲にあるから、アロイ粉体積層ポーラス構造物29が多数の微細な流路30(通路孔)を有する多孔質に成形され、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができ、それら流路30(通路孔)を気体や液体が通流しつつ気体や液体をアロイ粉体積層ポーラス構造物29の接触面(アロイ粉体25の表面)に広く接触させることができる。
それら遷移金属38の粉体の粒径が10μm未満では、遷移金属38nお粉体によって流路30(通路孔)が塞がれ、アロイ粉体積層ポーラス構造物29に多数の微細な流路30を形成することができず、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができない。それら遷移金属38の粉体の粒径が200μmを超過すると、流路30(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、アロイ粉体積層ポーラス構造物29に多数の微細な流路30を形成することができず、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができない。それら遷移金属38の粉体の粒径が前記範囲にあるから、アロイ粉体積層ポーラス構造物29が多数の微細な流路30(通路孔)を有する多孔質に成形され、アロイ粉体積層ポーラス構造物29の比表面積を大きくすることができ、それら流路30を気体や液体が通流しつつ気体や液体をアロイ粉体積層ポーラス構造物29の接触面(アロイ粉体25の表面)に広く接触させることができる。
図9は、固体高分子形燃料電池10の発電を説明する図であり、図10は、燃料極13A,13B及び空気極14A,14Bの起電圧試験の結果を示す図である。図11は、燃料極13A,13B及び空気極14A,14BのI-V特性試験の結果を示す図である。固体高分子形燃料電池10では、図9に示すように、燃料極13A又は燃料極13Bに水素(燃料)が供給され、空気極14A又は空気極Bに空気(酸素)が供給される。
燃料極13A又は燃料極13Bでは、水素がH2→2H++2e-の反応(触媒作用)によってプロトン(水素イオン、H+)と電子とに分解される。その後、プロトンが固体高分子電解質膜15内を通って空気極14A又は空気極14Bへ移動し、電子が導線32内を通って空気極14A又は空気極14Bへ移動する。固体高分子電解質膜15には、燃料極13A又は燃料極13Bで生成されたプロトンが通流する。空気極14A又は空気極Bでは、固体高分子電解質膜15から移動したプロトンと導線32を移動した電子とが空気中の酸素と反応し、4H++O2+4e→2H2Oの反応によって水が生成される。少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属38の中から選択された少なくとも3種類の遷移金属38から燃料極13A又は燃料極13Bや空気極14A又は空気極Bが形成されているから、燃料極13A又は燃料極13Bや空気極14A又は空気極Bが優れた触媒活性(触媒作用)を示し、水素がプロトンと電子とに効率よく分解される。
起電圧試験では、水素ガスを注入してから15分の間、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極Bとの間(電極間)の電圧(V)を測定した。図10の起電圧試験の結果を示す図では、横軸に測定時間(min)を表し、縦軸に燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極Bとの間(電極間)の電圧(V)を表す。白金族元素を利用した(担持させた)燃料極及び空気極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池では、図10の起電圧試験の結果を示す図から分かるように、燃料極と空気極との電圧が1.079(V)前後であった。それに対し、燃料極13A(白金レス電極)又は燃料極13B(白金レス電極)及び空気極14A(白金レス電極)又は空気極B(白金レス電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極Bとの間(電極間)の電圧(起電力)が1.01(V)~1.02(V)であった。
I-V特性試験では、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極Bとの間(電極間)に負荷33を接続し、電圧と電流との関係を測定した。図11のI-V特性試験の結果を示す図では、横軸に電流(A)を表し、縦軸に電圧(V)を表す。燃料極13A(白金レス電極)又は燃料極13B(白金レス電極)及び空気極14A(白金レス電極)又は空気極B(白金レス電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、図11のI-V特性試験の結果を示す図から分かるように、白金族元素を利用した(担持させた)燃料極(白金電極)及び空気極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池の電圧降下率と大差のない結果が得られた。図10の起電圧試験の結果や図11のI-V特性試験の結果に示すように、白金族元素を利用していない白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極Bが電子を放出させて水素イオンとなる反応を促進させる優れた触媒作用を有するとともに、白金を利用した燃料極及び空気極と略同様の酸素還元機能(触媒作用)を有することが確認された。
固体高分子形燃料電池10は、それに使用される燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが各種の遷移金属38から選択された少なくとも3種類の遷移金属38の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した後に焼成したアロイ成形物37を微粉砕したアロイ粉体25と、アロイ粉体25を両面に担持させた所定面積のカーボン電極板26とから形成され、選択された少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38が選択されているから、アロイ粉体25又はアロイ粉体積層ポーラス構造物29を有する白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極Bを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bは、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からNiの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されているから、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にあるから、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bの電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。
Ni(ニッケル)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷32に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Fe(鉄)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bは、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からFeの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されているから、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にあるから、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bの電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。
Fe(鉄)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷32に十分な電気エネルギーを供給することができる。
Cu(銅)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bは、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からCuの粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の粉体が選択されているから、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるとともに、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にあるから、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bの電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10の電極として好適に使用することができる。
Cu(銅)の粉体を主成分とし、カーボン電極板26の厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲にある燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用した固体高分子形燃料電池10は、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bが白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷32に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図12は、固体高分子形燃料電池10に使用する燃料極13A,13B及び空気極14A,14Bの電極製造方法を説明する図である。燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bは、図12に示すように、遷移金属選択工程S1、金属粉体混合物作成工程S2、金属粉体圧縮物作成工程S3、アロイ成形物作成工程S4、アロイ粉体作成工程S5、アロイ粉体担持工程S6を有する電極製造方法によって製造される。
遷移金属選択工程S1では、各種の遷移金属38から選択する少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38(Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀))を選択する。
遷移金属選択工程S1において、既述のように、Ni(ニッケル)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、Cu(銅)及びZN(亜鉛)を選択し、又は、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)を選択する。Fe(鉄)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、Ni(ニッケル)及びCu(銅)を選択し、又は、Ti(チタン)及びAg(銀)を選択する。Cu(銅)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、Fe(鉄)及びZn(亜鉛)を選択し、又は、Fe(鉄)及びAg(銀)を選択する。
金属粉体混合物作成工程S2では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。金属粉体混合物作成工程S2において、Ni(ニッケル)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi、Cu(銅)、ZN(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してNiの粉体35、Cuの粉体35、Znの粉体35を作成する。次に、Niの粉体35やCuの粉体35、Znの粉体35を混合機に投入して混合機によってNiの粉体35、Cuの粉体35、Znの粉体35を攪拌・混合し、Niの粉体35、Cuの粉体35、Znの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi(ニッケル)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してNiの粉体35、Mnの粉体35、Moの粉体35を作成する。次に、Niの粉体35やMnの粉体35、Moの粉体35を混合機に投入して混合機によってNiの粉体35、Mnの粉体35、Moの粉体35を攪拌・混合し、Niの粉体35、Mnの粉体35、Moの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
金属粉体混合物作成工程S2において、Fe(鉄)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe、Ni(ニッケル)、Cu(銅)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してFeの粉体35、Niの粉体35、Cuの粉体35を作成する。次に、Feの粉体35やNiの粉体35、Cuの粉体35を混合機に投入して混合機によってFeの粉体35、Niの粉体35、Cuの粉体35を攪拌・混合し、Feの粉体35、Niの粉体35、Cuの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe(鉄)、Ti(チタン)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してFeの粉体35、Tiの粉体35、Agの粉体35を作成する。次に、Feの粉体35やTiの粉体35、Agの粉体35を混合機に投入して混合機によってFeの粉体35、Tiの粉体35、Agの粉体35を攪拌・混合し、Feの粉体35、Tiの粉体35、Agの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
金属粉体混合物作成工程S2において、Cu(銅)を主成分とした金属粉体混合物34(アロイ粉体25やアロイ粉体積層ポーラス構造物29)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してCuの粉体35、Feの粉体35、Znの粉体35を作成する。次に、Cuの粉体35やFeの粉体35、Znの粉体35を混合機に投入して混合機によってCuの粉体35、Feの粉体35、Znの粉体35を攪拌・混合し、Cuの粉体35、Feの粉体35、Znの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu(銅)、Fe(鉄)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してCuの粉体35、Feの粉体35、Agの粉体35を作成する。次に、Cuの粉体35やFeの粉体35、Agの粉体35を混合機に投入して混合機によってCuの粉体35、Feの粉体35、Agの粉体35を攪拌・混合し、Cuの粉体35、Feの粉体35、Agの粉体35が均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る。
金属粉体圧縮物作成工程S3では、金属粉体混合物作成工程S2によって作られた金属粉体混合物34を所定圧力で加圧し、金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。金属粉体圧縮物作成工程S3では、金属粉体混合物34を所定の金型に入れ、金型をプレス機によって加圧(プレス)するプレス加工によって金属粉体圧縮物36を作る。プレス加工時におけるプレス圧(圧力)は、500Mpa~800Mpaの範囲にある。
プレス圧(圧力)が500Mpa未満では、金属粉体混合物34を十分に圧縮することができず、所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作ることができない。プレス圧(圧力)が800Mpaを超過すると、アロイ成形物作成工程S4によって作られるアロイ成形物37の硬度が必要以上に高くなり、アロイ粉体作成工程S5によって所期する粒径のアロイ粉体25を作ることができない。電極製造方法は、金属粉体混合物34を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、所定硬度の金属粉体圧縮物36を作ることができ、その金属粉体圧縮物36を焼成して所定硬度のアロイ成形物37を作ることができるとともに、アロイ成形物37を微粉砕した所定粒径のアロイ粉体25を作ることができる。
金属粉体圧縮物作成工程S3において、Ni(ニッケル)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Niの粉体35、Cu(銅)の粉体35、ZN(亜鉛)粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。又は、Niの粉体35、Mn(マンガン)の粉体35、Mo(モリブデン)の粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。
金属粉体圧縮物作成工程S3において、Fe(鉄)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Feの粉体35、Ni(ニッケル)の粉体35、Cu(銅)の粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。又は、Feの粉体35、Ti(チタン)の粉体35、Ag(銀)の粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。
金属粉体圧縮物作成工程S3において、Cu(銅)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Cuの粉体35、Fe(鉄)の粉体35、Zn(亜鉛)の粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧(圧縮)して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。又は、Cuの粉体35、Fe(鉄)の粉体35、Ag(銀)の粉体35を混合した金属粉体混合物34の所定量を金型に投入し、その金属粉体混合物34をプレス加工によって加圧して金属粉体混合物34を圧縮した所定面積及び所定厚みの金属粉体圧縮物36を作る。
アロイ成形物作成工程S4では、金属粉体圧縮物作成工程S3によって作られた金属粉体圧縮物36を炉(蒸気過熱炉や電気炉等)に投入し、金属粉体圧縮物36を炉において所定温度で焼成(焼結)し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。アロイ成形物作成工程S4では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38を溶融させる温度で金属粉体圧縮物36を長時間焼成する。焼成(焼結)時間は、3時間~6時間である。アロイ成形物作成工程S4では、所定面積及び所定厚みに圧縮された金属粉体圧縮物36の焼成時において、少なくとも2種類の遷移金属38の粉体35が溶融し、溶融した遷移金属38をバインダーとして他の遷移金属38の粉体35を接合(固着)する。
アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Niの粉体35、Cu(銅)の粉体35、ZN(亜鉛)粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Niの粉体35、Cuの粉体35、Znの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Zn及びCuの粉体35を溶融させる温度(例えば、1100℃~1200℃)で金属粉体圧縮物36を焼成(焼結)し、溶融したZn及びCuの粉体35によってNiの粉体35が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Niの粉体35、Mn(マンガン)の粉体35、Mo(モリブデン)の粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Niの粉体35、Mnの粉体35、Moの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Mn及びNiの粉体35を溶融させる温度(例えば、1460℃~1500℃)で金属粉体圧縮物36を焼成し、溶融したMn及びNiの粉体35によってMoの粉体35が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Feの粉体35、Ni(ニッケル)の粉体35、Cu(銅)の粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Feの粉体35、Niの粉体35、Cuの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Cu及びNiの粉体35を溶融させる温度(例えば、1460℃~1500℃)で金属粉体圧縮物36を焼成し、溶融したCu及びNiの粉体35によってFeの粉体35が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Feの粉体35、Ti(チタン)の粉体35、Ag(銀)の粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Feの粉体35、Tiの粉体35、Agの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Ag及びFeの粉体35を溶融させる温度(例えば、1540℃~1600℃)で金属粉体圧縮物36を焼成し、溶融したAg及びFeの粉体35によってTiの粉体35が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Cuの粉体35、Fe(鉄)の粉体35、Zn(亜鉛)の粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Cuの粉体35、Feの粉体35、Znの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Zn及びCuの粉体35を溶融させる温度(例えば、1090℃~1200℃)で金属粉体圧縮物36を焼成し、溶融したZn及びCuの粉体35によってFeの粉体35が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした金属粉体圧縮物36では、Cuの粉体35、Fe(鉄)の粉体35、Ag(銀)の粉体35を混合した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物37を作る。Cuの粉体35、Feの粉体35、Agの粉体35から形成されたアロイ成形物37では、Ag及びCuの粉体35を溶融させる温度(例えば、1090℃~1200℃)で金属粉体圧縮物36を焼成し、溶融したAg及びCuの粉体35によってFeの粉体35が接合(固着)される。
アロイ粉体作成工程S5では、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してアロイ粉体25を作る。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ粉体25(Niを主成分とした合金粉体)の一例としては、Niの粉体35、Cuの粉体35、ZNの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ粉体25の他の一例としては、Niの粉体35、Mnの粉体35、Moの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ粉体25(Feを主成分とした合金粉体)の一例としては、Feの粉体35、Niの粉体35、Cuの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Fe(鉄)を主成分としたアロイ粉体25の他の一例としては、Feの粉体35、Tiの粉体35、Agの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
Cu(銅)を主成分としたアロイ粉体25(Cuを主成分とした合金粉体)の一例としては、Cuの粉体35、Feの粉体35、Znの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Cu(銅)を主成分としたアロイ粉体25の他の一例としては、Cuの粉体35、Feの粉体35、Agの粉体35を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を圧縮した金属粉体圧縮物36を焼成してアロイ成形物37を作り、そのアロイ成形物37を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
アロイ粉体担持工程S6では、アロイ粉体作成工程S5によって作られた複数のアロイ粉体25を所定面積及び0.03mm~0.3mmの厚み寸法L1のカーボン電極板26の前面27の全域と後面28の全域(両面の全域)とに担持させる。又は、アロイ粉体担持工程S6では、複数のアロイ粉体25をカーボン電極板26の厚み方向へ重なり合うように(積層するように)、それらアロイ粉体25を所定面積及び0.03mm~0.3mmの厚み寸法L1のカーボン電極板26の前面27の全域と後面28の全域(両面の全域)とに担持させ、カーボン電極板26の厚み方向へ重なり合う(積層した)複数のアロイ粉体25によって既述のアロイ粉体積層ポーラス構造物29を形成する。アロイ粉体担持工程S6では、アロイ粉体25をカーボン電極板26の両面(前後面27,28)に導電性バインダー(導電性結合材)やプラズマ溶射によって担持する。
固体高分子形燃料電池10に使用する燃料極13A,13B及び空気極14A,14Bの電極製造方法は、各種の遷移金属38から選択する少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38を選択する遷移金属選択工程S1と、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38の粉体を均一に混合・分散した金属粉体混合物34を作る金属粉体混合物作成工程S2と、金属粉体混合物作成工程S2によって作られた金属粉体混合物34を所定圧力で加圧して金属粉体圧縮物36を作る金属粉体圧縮物作成工程S3と、金属粉体圧縮物作成工程S3によって作られた金属粉体圧縮物36を所定温度で焼成してアロイ成形物37を作るアロイ成形物作成工程S4と、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物37を微粉砕してアロイ粉体25を作るアロイ粉体作成工程S5と、アロイ粉体作成工程S5によって作られたアロイ粉体25を所定面積のカーボン電極板26の両面(前後面27,28)に担持させるアロイ粉体担持工程S6との各工程によって燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを製造するから、白金族元素を利用しない白金レスの燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを廉価に作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して固体高分子形燃料電池10に好適に使用することが可能な燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを作ることができる。
固体高分子形燃料電池10に使用する燃料極13A,13B及び空気極14A,14Bの電極製造方法は、厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲のカーボン電極板26の前面27の全域と後面28の全域とにアロイ粉体25を担持させ、複数のアロイ粉体25を備えた燃料極13A及び空気極14A、又は、複数のアロイ粉体25が重なり合ったアロイ粉体積層ポーラス構造物29が形成された燃料極13B及び空気極14Bを作ることができるから、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bの電気抵抗を低くすることができ、燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bに電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することが可能であって燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することが可能な燃料極13A又は燃料極13B及び空気極14A又は空気極14Bを作ることができる。