一例として示す固体高分子形燃料電池10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る固体高分子形燃料電池及び固体高分子形燃料電池に使用するカーボンナノチューブ電極15A(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)の電極製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、セルスタック12を形成するセル11の一例を示す分解斜視図であり、図3は、セル11の側面図である。図4は、一例として示すカーボンナノチューブ電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)の斜視図である。図4では、厚み方向を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。
固体高分子形燃料電池10は、複数のセル11を有するセルスタック12(燃料電池スタック)を備え、水素と酸素とを供給することで発電する(電気エネルギーを生成する)。セルスタック12では、複数のセル11(単セル)が一方向へ重なり合って直列に接続されている。セル11の一例としては、図2に示すように、燃料極13A(又は燃料極13B)(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15B)と、空気極14A(又は空気極14B)(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15B)と、燃料極13A(又は燃料極13B)及び空気極14A(又は空気極14B)の間に位置(介在)する固体高分子電解質膜16(電極接合体膜)(スルホン酸基を有するフッ素系イオン交換膜)と、燃料極13A(又は燃料極13B)の厚み方向外側に位置するセパレータ17(バイポーラプレート)と、空気極14A(又は空気極14B)の厚み方向外側に位置するセパレータ18(バイポーラプレート)とから形成されている。
それらセパレータ17,18には、反応ガス(水素や酸素等)の供給流路が刻設されている(彫り込まれている)。セル11では、図3に示すように、燃料極13A,13Bや空気極14A,14B、固体高分子電解質膜16が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体19(Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体19をそれらセパレータ17,18が挟み込んでいる。固体高分子電解質膜16は、プロトン導電性があり、電子導電性がない。燃料極13A(又は燃料極13B)とセパレータ17との間には、ガス拡散層21が形成され、空気極14A(又は空気極14B)とセパレータ18との間には、ガス拡散層22が形成されている。燃料極13A(又は燃料極13B)とセパレータ17との間であってガス拡散層20の上部及び下部には、ガスシール22が設置されている。空気極14A(又は空気極14B)とセパレータ18との間であってガス拡散層21の上部及び下部には、ガスシール23が設置されている。
固体高分子形燃料電池16(セル11)に使用する燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15B)及び空気極14A,14B(カーボンナノチューブ電極又15Aはカーボンナノホーン電極15B)は、図4に示すように、前面24及び後面25を有するとともに、所定面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。なお、燃料極13A(又は燃料極13B)や空気極14A(又は空気極14B)の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、その用途にあわせて円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15B)及び空気極14A,14B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)は、アロイ成形物42(合金成形物)のアロイ微粒子26(合金微粒子)と、金属電極薄板27又はカーボン電極薄板28と、所定面積のカーボンナノチューブ29の凝集体30(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン31の凝集体32(凝集板)とから形成されている。アロイ成形物42(合金成形物)(図14参照)は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属38から選択された少なくとも3種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40(図14参照)を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。
なお、アロイ成形物42(合金成形物)を微粉砕して粒径が10μm~200μmのアロイ微粉体43(合金微粉体)とし、カーボンナノチューブ電極13A又はカーボンナノホーン電極13Aがアロイ微粉体43のアロイ微粒子26(合金微粒子)と、金属電極薄板27又はカーボン電極薄板28と、所定面積のカーボンナノチューブ29の凝集体30(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン31の凝集体32(凝集板)とから形成される場合がある。
遷移金属38としては、3d遷移金属や4d遷移金属が使用される。3d遷移金属には、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)が使用される。4d遷移金属には、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)が使用される。遷移金属38の遷移金属微粉体39には、粉状に加工(微粉砕)されたTi(チタン)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCr(クロム)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMn(マンガン)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCo(コバルト)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたZn(亜鉛)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNb(ニオブ)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMo(モリブデン)微粉体、粉状に加工されたAg(銀)微粉体が使用される。
Tiの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたTi)やCrの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCr)、Mnの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMn)、Feの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたFe)、Coの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCo)、Niの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNi)、Cuの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCu)、Znの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたZn)、Nbの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNb)、Moの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMo)、Agの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたAg)は、それらの粒径が10μm~200μmの範囲にある。
遷移金属微粉体混合物40(アロイ成形物42)では、選択された少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数(物質から電子を取り出すのに必要なエネルギー)の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38が選択されている。Tiの仕事関数は、4.14(eV)、Crの仕事関数は、4.5(eV)、Mnの仕事関数は、4.1(eV)、Feの仕事関数は、4.67(eV)、Coの仕事関数は、5.0(eV)、Niの仕事関数は、5.22(eV)、Cuの仕事関数は、5.10(eV)、Znの仕事関数は、3.63(eV)、Nbの仕事関数は、4.01(eV)、Moの仕事関数は、4.45(eV)、Agの仕事関数は、4.31(eV)である。なお、白金の仕事関数は、5.65(eV)である。
遷移金属微粉体混合物40の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)の微粉体を主成分とし、Niの微粉体とNiを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体39とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40である。
主成分となるNi(ニッケル)の微粉体とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39とを混合した遷移金属微粉体混合物40は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が選択されている。
Niの微粉体を主成分としたアロイ成形物42では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が遷移金属微粉体混合物40の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38の遷移金属微粉体39をバインダーとしてそれら遷移金属38の遷移金属微粉体39が接合されている。なお、Niを主成分としたアロイ成形物42を微粉砕して作られたアロイ微粉体43は、Niの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Ni(ニッケル)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するNiの微粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ成形物42の具体例としては、Niの微粉体、Cuの微粉体、ZNの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Niを主成分としたアロイ微粉体42(Niを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Niの微粉体、Cuの微粉体、ZNの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体43)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するCuの微粉体の重量比が42%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するZnの微粉体の重量比が10%である。Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃、Znの融点が419.85℃であるから、Znの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したZn及びCuの微粉体がバインダーとなってNiの微粉体を接合している。
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ成形物42の他の具体例としては、Niの微粉体、Mnの微粉体、Moの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Niを主成分としたアロイ微粉体43(Niを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Niの微粉体、Mnの微粉体、Moの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するMnの微粉体の重量比が7%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するMoの微粉体の重量比が45%である。Niの融点が1455℃、Mnの融点が1246℃、Moの融点が2623℃であるから、Mnの微粉体及びNiの微粉体が溶融し、溶融したMn及びNiの微粉体がバインダーとなってMoの微粉体を接合している。
遷移金属微粉体混合物40の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)の微粉体を主成分とし、Feの微粉体とFeを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属38(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体39とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40である。
主成分となるFe(鉄)の微粉体とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39とを混合した遷移金属微粉体混合物40は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が選択されている。
Feの微粉体を主成分としたアロイ成形物42では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が遷移金属微粉体混合物40の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38の遷移金属微粉体39をバインダーとしてそれら遷移金属38の遷移金属微粉体39が接合されている。なお、Feを主成分としたアロイ成形物42を微粉砕して作られたアロイ微粉体43は、Feの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Fe(鉄)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するFeの微粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ成形物42の具体例としては、Feの微粉体、Niの微粉体、Cuの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体42(Feを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Feの微粉体、Niの微粉体、Cuの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体43)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するCuの微粉体の重量比が4%である。Feの融点が1536℃、Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃であるから、Cuの微粉体及びNiの微粉体が溶融し、溶融したCu及びNiの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ成形物42の他の具体例としては、Feの微粉体、Tiの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Feを主成分としたアロイ微粉体43(Feを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Feの微粉体、Tiの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体43)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するTiの微粉体の重量比が46%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するAgの微粉体の重量比が6%である。Feの融点が1536℃、Tiの融点が1666℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの微粉体及びFeの微粉体が溶融し、溶融したAg及びFeの微粉体がバインダーとなってTiの微粉体を接合している。
遷移金属微粉体混合物40の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)の微粉体を主成分とし、Cuの微粉体とCuを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属38(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体39とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40である。
主成分となるCu(銅)の微粉体とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39とを混合した遷移金属微粉体混合物40は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が選択されている。
Cuの微粉体を主成分としたアロイ成形物42では、選択された遷移金属38のうちの少なくとも2種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39が遷移金属微粉体混合物40の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属38の遷移金属微粉体39をバインダーとしてそれら遷移金属38の遷移金属微粉体39が接合されている。なお、Cuを主成分としたアロイ成形物42を微粉砕して作られたアロイ微粉体43は、Cuの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
Cu(銅)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するCuの微粉体の重量比が30%~50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が20%~50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物40の全重量に対する重量比が3%~20%の範囲にある。
Cu(銅)を主成分としたアロイ成形物42の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Znの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体43(Cuを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Znの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体43)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するCuの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するZnの微粉体の重量比が4%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Znの融点が419.58℃であるから、Znの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したZn及びCuの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
Cu(銅)を主成分としたアロイ成形物42の他の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42である。また、Cuを主成分としたアロイ微粉体43(Cuを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmの微粉砕物である。
このアロイ成形物42(アロイ微粉体43)は、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するCuの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するFeの微粉体の重量比が46%、遷移金属微粉体混合物40の全重量に対するAgの微粉体の重量比が6%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したAg及びCuの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
金属電極薄板27は、前面及び後面を有するとともに、所定面積及び0.02~0.2mmの厚み寸法を有する。金属電極薄板27は、導電性の金属(銀や銅、鉄、又は、導電性の合金)を薄板状に成形したものであり、その平面形状が四角形に成形されている。金属電極薄板27には、気体や液体が通流する微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されている。なお、金属電極薄板27の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
カーボン電極薄板28は、前面及び後面を有するとともに、所定面積及び0.02~0.2mmの厚み寸法を有し、その平面形状が四角形に成形されている。カーボン電極薄板28には、気体や液体が通流する微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されている。なお、カーボン電極板28の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
カーボン電極薄板28の一例としては、数μm~数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを冷間静水圧プレスによって成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極薄板28の他の一例としては、数μm~数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを押出型から押し出し成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極薄板28としては、ガラス状カーボンを使用することもできる。
カーボンナノチューブ29の凝集体30は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成された金属電極薄板27の両面(前後面)に固着(成長)し、又は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されたカーボン電極薄板28の両面(前後面)に固着(成長)している。カーボンナノチューブ29の表面には、図6に示すように、アロイ成形物42のアロイ微粒子26(アロイ成形物42を蒸発させたアロイ微粒子26)又はアロイ成形物42を微粉砕したアロイ微粉体43のアロイ微粒子26(アロイ微粉体43を蒸発させたアロイ微粒子26)が満遍なく均一に分散した状態で担持されている。アロイ微粒子26を担持したカーボンナノチューブ29には、気体や液体が通流する多数の微細な開口が形成されている。アロイ微粒子26は、レーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29の表面に担持されている。固体高分子形燃料電池10(セル11)では、固体高分子電解質膜16とカーボンナノチューブ29の表面及びアロイ微粒子26とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜16とカーボンナノチューブ29の表面及びアロイ微粒子26とが隙間なく密着している。
カーボンナノホーン31の凝集体32は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成された金属電極薄板27の両面(前後面)に固着(成長)し、又は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されたカーボン電極薄板28の両面(前後面)に固着(成長)している。カーボンナノホーン31の表面には、図7に示すように、アロイ成形物42のアロイ微粒子26(アロイ成形物42を蒸発させたアロイ微粒子26)又はアロイ成形物42を微粉砕したアロイ微粉体43のアロイ微粒子26(アロイ微粉体43を蒸発させたアロイ微粒子26)が満遍なく均一に分散した状態で担持されている。アロイ微粒子26を担持したカーボンナノホーン31には、気体や液体が通流する多数の微細な開口が形成されている。アロイ微粒子26は、レーザー蒸発法によってカーボンナノホーン31の表面に担持されている。固体高分子形燃料電池10(セル11)では、固体高分子電解質膜16とカーボンナノホーン31の表面及びアロイ微粒子26とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜16とカーボンナノホーン31の表面及びアロイ微粒子26とが隙間なく密着している。
図5は、一例として示すカーボンナノチューブ電極15A(燃料極13A及び空気極14A)又はカーボンナノホーン電極15A(燃料極13A及び空気極14A)の部分拡大正面図であり、図6は、アロイ微粒子26を担持した一例として示すカーボンナノチューブ29の概念図である。図7は、アロイ微粒子26を担持した一例として示すカーボンナノホーン31の概念図である。
燃料極13A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)及び空気極14A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)は、その厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm~0.1mmの範囲にある。燃料極13A及び空気極14Aの厚み寸法L1が0.03mm未満では、その強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13A及び空気極14Aが容易に破損又は損壊し、その形状を維持することができない場合がある。燃料極13A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)及び空気極14A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)の厚み寸法L1が0.3mmを超過すると、燃料極13A及び空気極14Aの電気抵抗が大きくなり、燃料極13A及び空気極14Aに電流がスムースに流れず、燃料極13A及び空気極15Aが固体高分子形燃料電池10に使用されたときに燃料電池10において十分な電気を発電することができず、燃料電池10に接続された負荷37に十分な電気エネルギーを供給することができない。
燃料極13A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)及び空気極14A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)は、その厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm~0.1mmの範囲にあるから、燃料極13A及び空気極14Aが高い強度を有してその形状を維持することができ、燃料極13A及び空気極14Aに衝撃が加えられたときの燃料極13A及び空気極14Aの破損や損壊を防ぐことができる。さらに、厚み寸法L1を前記範囲にすることで、燃料極13A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)及び空気極14A(カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15A)の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13A及び空気極14Aに電流がスムースに流れ、燃料極13A及び空気極14Aが固体高分子形燃料電池10に使用されたときに燃料電池10において十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷37に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図8は、他の一例として示すカーボンナノチューブ電極15B(燃料極13B及び空気極14B)又はカーボンナノホーン電極15B(燃料極13B及び空気極14B)の部分拡大正面図であり、図9は、アロイ微粒子26を担持した他の一例として示すカーボンナノチューブ29の概念図である。図10は、アロイ微粒子26を担持した他の一例として示すカーボンナノホーン31の概念図である。
図8に示すカーボンナノチューブ電極15B(燃料極13B及び空気極14B)又はカーボンナノホーン電極15B(燃料極13B及び空気極14B)が図5の電極15A(燃料極13A及び空気極14A)と異なるところは、カーボンナノチューブ29の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33がカーボンナノチューブ29の表面に形成されている点、カーボンナノホーン31の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33がカーボンナノホーン31の表面に形成されている点にあり、その他の構成は図5のカーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15Aのそれらと同一であるから、図5~図7と同一の符号を付すとともに、図5~図7の電極15A(燃料極13A及び空気極14A)の説明を援用することで、この電極15B(燃料極13B及び空気極14B)のその他の構成の詳細な説明は省略する。
燃料極13B(カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15B)及び空気極14B(カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15B)は、図5の燃料極13A及び空気極14Aと同様に、前面24及び後面25を有するとともに、所定の面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。燃料極13B及び空気極14Bは、アロイ成形物42(合金成形物)のアロイ微粒子26(合金微粒子)と、金属電極薄板27又はカーボン電極薄板28と、所定面積のカーボンナノチューブ29の凝集体30(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン31の凝集体32(凝集板)とから形成されている。
なお、燃料極13B及び空気極14Bがアロイ成形物42を微粉砕した粒径が10μm~200μmのアロイ微粉体43(合金微粉体)のアロイ微粒子26(合金微粒子)と、金属電極薄板27又はカーボン電極薄板28と、所定面積のカーボンナノチューブ29の凝集体30(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン31の凝集体32(凝集板)とから形成される場合がある。
カーボンナノチューブ29の凝集体30は、厚み寸法が0.02~0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成された金属電極薄板27の両面に固着し、又は、厚み寸法が0.02~0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成されたカーボン電極薄板28の両面に固着している。カーボンナノチューブ29の表面には、図9に示すように、アロイ成形物42のアロイ微粒子26(アロイ成形物42を蒸発させたアロイ微粒子26)又はアロイ成形物42を微粉砕したアロイ微粉体43のアロイ微粒子26(アロイ微粉体43を蒸発させたアロイ微粒子26)が担持され、カーボンナノチューブ29の表面から外側へ向かって重なり合うそれらアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33が形成されている。
カーボンナノホーン31の凝集体32は、厚み寸法が0.02~0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成された金属電極薄板27の両面に固着し、又は、厚み寸法が0.02~0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成されたカーボン電極薄板28の両面に固着している。カーボンナノホーン31の表面には、図10に示すように、アロイ成形物42のアロイ微粒子26(アロイ成形物42を蒸発させたアロイ微粒子26)又はアロイ成形物42を微粉砕したアロイ微粉体43のアロイ微粒子26(アロイ微粉体43を蒸発させたアロイ微粒子26)が担持され、カーボンナノホーン31の表面から外側へ向かって重なり合うそれらアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33が形成されている。
アロイ微粉体26(合金微粉体)は、アロイ成形物42(合金成形物)を微粉砕することから作られている。アロイ成形物42は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属38から選択された少なくとも3種類の遷移金属38の微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。遷移金属38や遷移金属微粉体混合物40、アロイ成形物42、アロイ微粉体43は、図5の燃料極13A及び空気極14Aのそれらと同一である。遷移金属微粉体38の粒径やアロイ微粉体43の粒径、燃料極13B及び空気極14Bの厚み寸法L1は、図5の燃料極13A及び空気極14Aのそれらと同一である。
固体高分子形燃料電池10(セル11)では、固体高分子電解質膜16とカーボンナノチューブ29の表面及びアロイ微粒子積層ポーラス構造33とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜16とカーボンナノチューブ29の表面及びアロイ微粒子積層ポーラス構造33とが隙間なく密着している。また、固体高分子電解質膜16とカーボンナノホーン31の表面及びアロイ微粒子積層ポーラス構造33とが隙間なく重なり合い、固体高分子電解質膜16とカーボンナノホーン31の表面及びアロイ微粒子積層ポーラス構造33とが隙間なく密着している。
アロイ微粒子積層ポーラス構造33には、径が異なる多数の微細な流路34(通路孔)が形成されている。それら流路34(通路孔)には、気体(水素ガスや酸素ガス)または液体(水)が通流する。それら流路34(通路孔)は、カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bの前面の側に開口する複数の通流口35と電極10Bの後面の側に開口する複数の通流口35とを有し、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31に向かってアロイ微粒子積層ポーラス構造33を貫通している。それら流路34は、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の様々な方向(厚み方向や縦横方向)へ不規則に曲折しながら延びている。それら流路34は、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の内部において部分的につながり、一方の流路34と他方の流路34とが互いに連通している。それら流路34(通路孔)の開口面積(開口径)は、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の内部において一様ではなく、不規則に変化している。
アロイ微粒子積層ポーラス構造は33、その空隙率が15%~30%の範囲にあり、その相対密度が70%~85%の範囲にある。アロイ微粒子積層ポーラス構造33の空隙率が15%未満であって相対密度が85%を超過すると、アロイ微粒子積層ポーラス構造33に多数の微細な流路34(通路孔)が形成されず、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の比表面積を大きくすることができない。アロイ微粒子積層ポーラス構造33の空隙率が30%を超過し、相対密度が70%未満では、流路34(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の強度が低下し、衝撃が加えられたときにアロイ微粒子積層ポーラス構造33が容易に破損又は損壊し、その形態を維持することができない場合がある。
アロイ微粒子積層ポーラス構造33は、その空隙率及び相対密度が前記範囲にあるから、アロイ微粒子積層ポーラス構造33が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路34(通路孔)を有し、アロイ微粒子積層ポーラス構造33の比表面積を大きくすることができ、それら流路34(通路孔)を気体や液体が通流しつつ気体や液体をアロイ微粒子積層ポーラス構造33の接触面(アロイ微粒子26(合金微粒子)の表面)に広く接触させることができる。
図11は、固体高分子形燃料電池10の発電を説明する図であり、図12は、燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)及び空気極14A,14B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)の起電圧試験の結果を示す図である。図13は、燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)及び空気極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)のI-V特性試験の結果を示す図である。固体高分子形燃料電池10では、図11に示すように、燃料極13A,13Bに水素(燃料)が供給され、空気極14A,14Bに空気(酸素)が供給される。
燃料極13A又は燃料極13Bでは、水素がH2→2H++2e-の反応(触媒作用)によってプロトン(水素イオン、H+)と電子とに分解される。その後、プロトンが固体高分子電解質膜16内を通って空気極14A又は空気極14Bへ移動し、電子が導線36内を通って空気極14A又は空気極14Bへ移動する。固体高分子電解質膜16には、燃料極13A又は燃料極13Bで生成されたプロトンが通流する。空気極14A又は空気極14Bでは、固体高分子電解質膜16から移動したプロトンと導線36を移動した電子とが空気中の酸素と反応し、4H++O2+4e→2H2Oの反応によって水が生成される。
少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、選択された少なくとも3種類の遷移金属から作られたアロイ成形物43のアロイ微粒子26がカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33がカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面に形成され、又は、アロイ成形物42を微粉砕したアロイ微粉体43のアロイ微粒子26がカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33がカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面に担持され、アロイ微粒子26又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33が燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)及び空気極14A,14B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)を構成するから、燃料極13A,13Bや空気極14A,14Bが優れた触媒活性(触媒作用)を示し、水素がプロトンと電子とに効率よく分解される。
起電圧試験では、水素ガスを注入してから15分の間、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極14Bとの間(電極間)の電圧(V)を測定した。図12の起電圧試験の結果を示す図では、横軸に測定時間(min)を表し、縦軸に燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極14Bとの間(電極間)の電圧(V)を表す。白金族元素を利用した(担持させた)燃料極及び空気極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池では、図12の起電圧試験の結果を示す図から分かるように、燃料極と空気極との電圧が1.079(V)前後であった。それに対し、燃料極13A(白金レス電極)又は燃料極13B(白金レス電極)及び空気極14A(白金レス電極)又は空気極14B(白金レス電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極14Bとの間(電極間)の電圧(起電力)が1.04(V)~1.03(V)であった。
I-V特性試験では、燃料極13A又は燃料極13Bと空気極14A又は空気極14Bとの間(電極間)に負荷37を接続し、電圧と電流との関係を測定した。図13のI-V特性試験の結果を示す図では、横軸に電流(A)を表し、縦軸に電圧(V)を表す。燃料極13A(白金レス電極)又は燃料極13B(白金レス電極)及び空気極14A(白金レス電極)又は空気極14B(白金レス電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、図13のI-V特性試験の結果を示す図から分かるように、白金族元素を利用した(担持させた)燃料極(白金電極)及び空気極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池の電圧降下率と大差のない結果が得られた。図12の起電圧試験の結果や図13のI-V特性試験の結果に示すように、白金族元素を利用していない白金レスの燃料極13A,13B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)及び空気極14A,14B(カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15B)が電子を放出させて水素イオンとなる反応を促進させる優れた触媒作用を有するとともに、白金を利用した燃料極及び空気極と略同様の酸素還元機能(触媒作用)を有することが確認された。
固体高分子形燃料電池10は、それに使用される燃料極13A及び空気極14Aであるカーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15Aが各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を圧縮した後に焼成したアロイ成形物42(又はアロイ微粉体43)のアロイ微粒子26(合金微粒子)と、金属電極薄板27又はカーボン電極薄板28と、カーボンナノチューブ29の凝集体30又はカーボンナノホーン31の凝集体32とから形成され、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されているとともに、アロイ微粒子26がカーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面に均一に分散した状態で担持されているから、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26を担持したカーボンナノチューブ電極15A(燃料極13A及び空気極14A)又はカーボンナノホーン電極15A(燃料極及13A及び空気極14A)が白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスのカーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15Aを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷37に十分な電気エネルギーを供給することができる。
カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33がカーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面に形成され、固体高分子電解質膜16(電極接合体膜)とカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面およびアロイ微粒子積層ポーラス構造33とが隙間なく重なり合っている固体高分子形燃料電池10は、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成することで、アロイ微粒子26の比表面積を大きくすることができ、アロイ微粒子26の触媒作用を十分に利用することができるとともに、アロイ微粒子積層ポーラス構造33を有するカーボンナノチューブ電極15B(燃料極及13B及び空気極14B)又はカーボンナノホーン電極15B(燃料極13B及び空気極14B)が白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスのカーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷37に十分な電気エネルギーを供給することができる。
固体高分子形燃料電池10は、それに使用されるカーボンナノチューブ電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体から作られたアロイ微粒子26(アロイ成形物42)を利用し、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、固体高分子形燃料電池10を廉価に作ることができる。
遷移金属微粉体混合物がNi(ニッケル)の微粉体を主成分とした固体高分子形燃料電池10は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の微粉体が選択されているから、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33を有するカーボンナノチューブ電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスのカーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
遷移金属微粉体混合物がFe(鉄)の微粉体を主成分とした固体高分子形燃料電池10は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の微粉体が選択されているから、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33を有するカーボンナノチューブ電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスのカーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
遷移金属微粉体混合物がCu(銅)の微粉体を主成分とした固体高分子形燃料電池10は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の微粉体が選択されているから、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26又はアロイ微粒子積層ポーラス構造33を有するカーボンナノチューブ電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)又はカーボンナノホーン電極15A,15B(燃料極13A,13B及び空気極14A,14B)が白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む燃料極及び空気極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、白金レスのカーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bを使用した固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができるとともに、固体高分子形燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
図14は、カーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bの製造方法を説明する図である。電極15A,15Bは、図14に示すように、遷移金属選択工程S1、遷移金属微粉体混合物作成工程S2、遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3、アロイ成形物作成工程S4、アロイ微粒子担持工程S5を有する電極製造方法によって製造される。なお、アロイ成形物作成工程S4とアロイ微粒子担持工程S5との間にアロイ微粉体作成工程S6が行われる場合がある。
遷移金属選択工程S1では、各種の遷移金属38から選択する少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38(Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀))を選択する。
遷移金属選択工程S1において、既述のように、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、Cu(銅)及びZN(亜鉛)を選択し、又は、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)を選択する。Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、Ni(ニッケル)及びCu(銅)を選択し、又は、Ti(チタン)及びAg(銀)を選択する。Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物49(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、Fe(鉄)及びZn(亜鉛)を選択し、又は、Fe(鉄)及びAg(銀)を選択する。
遷移金属微粉体混合物作成工程S2では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi、Cu(銅)、ZN(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してNiの微粉体39、Cuの微粉体39、Znの微粉体39を作成する。次に、Niの微粉体39やCuの微粉体39、Znの微粉体39を混合機に投入して混合機によってNiの微粉体39、Cuの微粉体39、Znの微粉体39を攪拌・混合し、Niの微粉体39、Cuの微粉体39、Znの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi(ニッケル)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してNiの微粉体39、Mnの微粉体39、Moの微粉体39を作成する。次に、Niの微粉体39やMnの微粉体39、Moの微粉体39を混合機に投入して混合機によってNiの微粉体39、Mnの微粉体39、Moの微粉体39を攪拌・混合し、Niの微粉体39、Mnの微粉体39、Moの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe、Ni(ニッケル)、Cu(銅)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してFeの微粉体39、Niの微粉体39、Cuの微粉体39を作成する。次に、Feの微粉体39やNiの微粉体39、Cuの微粉体39を混合機に投入して混合機によってFeの微粉体39、Niの微粉体39、Cuの微粉体39を攪拌・混合し、Feの微粉体39、Niの微粉体39、Cuの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe(鉄)、Ti(チタン)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してFeの微粉体39、Tiの微粉体39、Agの微粉体39を作成する。次に、Feの微粉体39やTiの微粉体39、Agの微粉体39を混合機に投入して混合機によってFeの微粉体39、Tiの微粉体39、Agの微粉体39を攪拌・混合し、Feの微粉体39、Tiの微粉体39、Agの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40(アロイ微粒子26やアロイ微粒子積層ポーラス構造33)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してCuの微粉体39、Feの微粉体39、Znの微粉体39を作成する。次に、Cuの微粉体39やFeの微粉体39、Znの微粉体39を混合機に投入して混合機によってCuの微粉体39、Feの微粉体39、Znの微粉体39を攪拌・混合し、Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Znの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu(銅)、Fe(鉄)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してCuの微粉体39、Feの微粉体39、Agの微粉体39を作成する。次に、Cuの微粉体39やFeの微粉体39、Agの微粉体39を混合機に投入して混合機によってCuの微粉体39、Feの微粉体39、Agの微粉体39を攪拌・混合し、Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Agの微粉体39が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る。
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3では、遷移金属微粉体混合物作成工程S2によって作られた遷移金属微粉体混合物40を所定圧力で加圧し、遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3では、遷移金属微粉体混合物40を所定の金型に入れ、金型をプレス機によって加圧(プレス)するプレス加工によって遷移金属微粉体圧縮物41を作る。プレス加工時におけるプレス圧(圧力)は、500Mpa~800Mpaの範囲にある。
プレス圧(圧力)が500Mpa未満では、遷移金属微粉体混合物40を十分に圧縮することができず、所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作ることができない。プレス圧(圧力)が800Mpaを超過すると、アロイ成形物作成工程S4によって作られるアロイ成形物42の硬度が必要以上に高くなり、アロイ微粒子担持工程S5においてアロイ成形物42をスムースに蒸発させることができず、アロイ微粉体作成工程S6において所期する粒径のアロイ微粉体43を作ることができない。電極製造方法は、遷移金属微粉体混合物40を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、所定硬度の遷移金属微粉体圧縮物41を作ることができ、その遷移金属微粉体圧縮物41を焼成して所定硬度のアロイ成形物42を作ることができ、アロイ成形物42をスムースに蒸発させることができるとともに、アロイ成形物42を微粉砕した所定粒径のアロイ微粉体43を作ることができる。
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、Niの微粉体39、Cu(銅)の微粉体39、ZN(亜鉛)微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。又は、Niの微粉体39、Mn(マンガン)の微粉体39、Mo(モリブデン)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、Feの微粉体39、Ni(ニッケル)の微粉体39、Cu(銅)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。又は、Feの微粉体39、Ti(チタン)の微粉体39、Ag(銀)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物40では、Cuの微粉体39、Fe(鉄)の微粉体39、Zn(亜鉛)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧(圧縮)して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。又は、Cuの微粉体39、Fe(鉄)の微粉体39、Ag(銀)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物40をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物40を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物41を作る。
アロイ成形物作成工程S4では、遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3によって作られた遷移金属微粉体圧縮物41を炉(蒸気過熱炉や電気炉等)に投入し、遷移金属微粉体圧縮物41を炉において所定温度で焼成(焼結)し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。アロイ成形物作成工程S4では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38うちの少なくとも2種類の遷移金属38を溶融させる温度で遷移金属微粉体圧縮物41を長時間焼成する。焼成(焼結)時間は、3時間~6時間である。アロイ成形物作成工程S4では、所定面積及び所定厚みに圧縮された遷移金属微粉体圧縮物41の焼成時において、少なくとも2種類の遷移金属38の微粉体39が溶融し、溶融した遷移金属38の微粉体39をバインダーとして他の遷移金属38の微粉体39を接合(固着)する。
アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Niの微粉体39、Cu(銅)の微粉体39、ZN(亜鉛)微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Niの微粉体39、Cuの微粉体39、Znの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Zn及びCuの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1100℃~1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成(焼結)し、溶融したZn及びCuの微粉体39によってNiの微粉体39が接合(固着)される。
また、アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Niの微粉体39、Mn(マンガン)の微粉体39、Mo(モリブデン)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Niの微粉体39、Mnの微粉体39、Moの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Mn及びNiの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1460℃~1500℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成し、溶融したMn及びNiの微粉体39によってMoの微粉体39が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Feの微粉体39、Ni(ニッケル)の微粉体39、Cu(銅)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Feの微粉体39、Niの微粉体39、Cuの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Cu及びNiの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1460℃~1500℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成し、溶融したCu及びNiの微粉体39によってFeの微粉体39が接合(固着)される。
また、アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Feの微粉体39、Ti(チタン)の微粉体39、Ag(銀)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Feの微粉体39、Tiの微粉体39、Agの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Ag及びFeの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1540℃~1600℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成し、溶融したAg及びFeの微粉体39によってTiの微粉体39が接合(固着)される。
アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Cuの微粉体39、Fe(鉄)の微粉体39、Zn(亜鉛)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Znの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Zn及びCuの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1090℃~1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成し、溶融したZn及びCuの微粉体39によってFeの微粉体39が接合(固着)される。
また、アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物41では、Cuの微粉体39、Fe(鉄)の微粉体39、Ag(銀)の微粉体39を混合した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を炉において長時間焼成し、開口径が1μm~100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物42を作る。Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Agの微粉体39から形成されたアロイ成形物42では、Ag及びCuの微粉体39を溶融させる温度(例えば、1090℃~1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物41を焼成し、溶融したAg及びCuの微粉体39によってFeの微粉体39が接合(固着)される。
アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物42をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させる。アロイ微粒子26は、カーボンナノチューブ29の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ29の表面に担持され、カーボンナノホーン31の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン31の表面に担持される。カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26を担持させることでカーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15Aが作られる。アロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極15A又はカーボンナノホーン電極15Aが0.03mm~0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
アロイ微粒子26の担持方法としては、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ成形物26を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させる場合、又は、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ成形物42を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させる場合がある。
また、アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ成形物作成工程によって作られたアロイ成形物42をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させつつ、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する。アロイ微粒子26は、カーボンナノチューブ29の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ29の表面に担持されて重なり合い、カーボンナノホーン31の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン31の表面に担持されて重なり合ってアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する。カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面に多数のアロイ微粒子26からなるアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成することでカーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが作られる。アロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成するアロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが0.03mm~0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
アロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する方法としては、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ成形物42を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する場合、又は、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ成形42物を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物42のアロイ微粒子26を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する場合がある。
なお、アロイ成形物作成工程S4とアロイ微粒子担持工程S5との間にアロイ微粉体作成工程S6が行われる場合、アロイ微粉体作成工程S6では、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕してアロイ微粉体43を作る。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ微粉体43(Niを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Niの微粉体39、Cuの微粉体39、ZNの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ微粉体43の他の一例としては、Niの微粉体39、Mnの微粉体39、Moの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体43(Feを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Feの微粉体39、Niの微粉体39、Cuの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体43の他の一例としては、Feの微粉体39、Tiの微粉体39、Agの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体43(Cuを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Znの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体43の他の一例としては、Cuの微粉体39、Feの微粉体39、Agの微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物41を焼成してアロイ成形物42を作り、そのアロイ成形物42を微粉砕機によって10μm~200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
アロイ微粉体作成工程S6の後に行われるアロイ微粒子担持工程S5では、アロイ微粉体作成工程S6によって作られたアロイ微粉体43をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させる。アロイ微粒子26は、カーボンナノチューブ29の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ29の表面に担持され、カーボンナノホーン31の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン31の表面に担持される。カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子43を担持させることでカーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが作られる。アロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが0.03mm~0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
アロイ微粒子26の担持方法としては、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体43を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させる場合、又は、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体43を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させる場合がある。
また、アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ微粉体作成工程S6によって作られたアロイ微粉体43をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させつつ、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子26によってアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する。アロイ微粒子26は、カーボンナノチューブ29の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ29の表面に担持されて重なり合い、カーボンナノホーン31の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン31の表面に担持されて重なり合ってアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する。カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面に多数のアロイ微粒子26からなるアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成することでカーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが作られる。アロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成するアロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極15B又はカーボンナノホーン電極15Bが0.03mm~0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
アロイ微粒子積層ポーラス構造を形成する方法としては、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体43を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する場合、又は、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板31の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体43を蒸発させ、カーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粉体43のアロイ微粒子26を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造33を形成する場合がある。
電極製造方法は、各種の遷移金属38から選択する少なくとも3種類の遷移金属38の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属38の中から少なくとも3種類の遷移金属38を選択する遷移金属選択工程S1と、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属38の遷移金属微粉体39を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物40を作る遷移金属微粉体混合物作成工程S2と、遷移金属微粉体混合物作成工程S2によって作られた遷移金属微粉体混合物40を所定圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物41を作る遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3と、遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3によって作られた遷移金属微粉体圧縮物41を所定温度で焼成してアロイ成形物42を作るアロイ成形物作成工程S4と、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31を生成し、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物43を蒸発させてカーボンナノチューブ29の表面又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ成形物43のアロイ微粒子26を担持させるアロイ微粒子担持工程S5との各工程によってカーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bを作ることができるから、白金族元素を利用しない白金レスの電極15A,15Bを廉価に作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して固体高分子形燃料電池10に好適に使用することが可能な白金レスの電極15A,15Bを廉価に作ることができる。
電極製造方法は、金属電極薄板27の両面(前後面)又はカーボン電極薄板28の両面(前後面)にカーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31が固着され、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子26が担持され、又は、カーボンナノチューブ29又はカーボンナノホーン31の表面にアロイ微粒子積層ポーラス構造33が形成された厚み寸法L1が0.03mm~0.3mmのカーボンナノチューブ電極15A,15B又はカーボンナノホーン電極15A,15Bを作ることができるから、電極15A,15Bの電気抵抗を低くすることができ、電極15A,15Bに電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することが可能であって固体高分子形燃料電池10に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することが可能な電極15A,15Bを廉価に作ることができる