以下、貨幣処理装置及び貨幣処理システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、貨幣処理装置及び貨幣処理システムの一例である。
図1は、貨幣処理システム1の構成例を示している。貨幣処理システム1は、様々な施設(例えば鉄道の駅のバックオフィス)や、小売店舗などに構築されている。ここでは、貨幣処理システム1は、鉄道の駅のバックオフィスに構築されているとする。貨幣処理システム1は、駅の乗車券類発売所における売上金を入金したり、釣銭準備金を出金したりするときに用いられる。
貨幣処理システム1は、貨幣処理装置としての出納機10と、管理コンピュータ71と、ネットワーク9と、を備えている。
ネットワーク9は、出納機10、及び、管理コンピュータ71を互いに接続している。出納機10、及び、管理コンピュータ71は互いに、ネットワーク9を通じて信号の送受信が可能である。
尚、符号72、73はそれぞれ、タブレット端末72及びスマートフォン73によって構成される携帯端末である。これらの携帯端末は、管理コンピュータ71と無線により通信可能に構成されている。これらの携帯端末も、貨幣処理システム1を構成する。
管理コンピュータ71は、貨幣処理システム1の管理を行うよう構成されている。出納機10は、取引に関する情報を、管理コンピュータ71に出力する。また、操作者は、管理コンピュータ71に接続したタブレット端末72及びスマートフォン73を利用して、出納機10に関する各種の情報を表示したり、タブレット端末72及びスマートフォン73の操作を通じて、出納機10に対する各種の指示を入力したり、することが可能である。尚、タブレット端末72又はスマートフォン73が、出納機10と直接通信できる構成としてもよい。タブレット端末72及びスマートフォン73はまた、貨幣処理システム1において省略することも可能である。
管理コンピュータ71は、当該貨幣処理システム1とは別のシステム70に対し接続されている。当該システム70は、例えば鉄道会社の経理システムである。
(出納機の構成)
出納機10は、入金処理及び出金処理を伴う出納処理を含む、各種の処理を実行する。図2は、出納機10の構成を例示するブロック図である。出納機10は、バラ紙幣処理部100、帯封紙幣処理部200、バラ硬貨処理部300、包装硬貨処理部400、及び、これらの各処理部100〜400を統合制御する制御部20を含んで構成されている。
バラ紙幣処理部100は、入金口に投入されたバラ紙幣を、処理装置内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ紙幣を、出金口に払い出す出金処理を行うよう構成されている。
図3は、バラ紙幣処理部100の構成を例示している。バラ紙幣処理部100には、外部から筐体102内に紙幣を投入するためのバラ紙幣入金口110及び筐体102内から外部にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣出金口152が設けられている。紙幣繰出部112は、バラ紙幣入金口110の紙幣を1枚ずつ筐体102内に繰り出す。入金搬送部114は、紙幣を1枚ずつ搬送する。入金搬送部114に設けられた入金識別部116は、搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等を識別する。また、入金識別部116の紙幣搬送方向下流側には表裏反転部118が設けられている。表裏反転部118は、入金識別部116により識別された紙幣の表裏を揃える。また、入金識別部116により、正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は、入金リジェクト部120にリジェクトされる。
入金搬送部114には、1つの一括一時保留部130と、複数の金種別一時保留部132とが接続されている。一括一時保留部130は、複数金種の紙幣を混合状態で一時的に保留する。各金種別一時保留部132は、それぞれ特定の金種の紙幣を一時的に保留する。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられ、各金種別一時保留部132に対応して金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140は、一括一時保留部130から送られた紙幣を積層状態で収納する。金種別紙幣収納庫142は、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣を積層状態で収納する。また、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられている。紙幣繰出部144は、一括紙幣収納庫140及び各金種別紙幣収納庫142の紙幣を1枚ずつ繰り出す。尚、一括紙幣収納庫140は、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損券や各金種別紙幣収納庫142が満杯となって収納できなかった紙幣等を、金種混合状態で収納する。
各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されている。下部搬送部146は、一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣を1枚ずつ搬送する。下部搬送部146には出金識別部148が接続されている。出金識別部148は、下部搬送部146によって搬送される紙幣の金種、真偽、正損、新旧等を識別する。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されている。出金搬送部150には、バラ紙幣出金口152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されている。出金搬送部150は、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出される紙幣をバラ紙幣出金口152に送り、バラ紙幣出金口152内部に集積させる。また、出金搬送部150は、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣を、出金リジェクト部154に送る。操作者は、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を、バラ紙幣処理部100の筐体102に設けられた扉を開いて取り出すことができる。また、出金搬送部150は、出金識別部148により識別された紙幣のうち、帯封紙幣処理部200により結束される紙幣を各整理一時保留部160に送る。各整理一時保留部160は、出金搬送部150から送られた紙幣を集積する。
図示は省略するが、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所にはそれぞれ分岐部材が設けられている。これらの分岐部材は、分岐箇所における紙幣の搬送先を制御する。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣を検出する紙幣検出センサが複数設けられている。これらの紙幣検出センサの検出信号は、分岐部材による紙幣の搬送先制御のタイミングを決定するために利用される。
帯封紙幣処理部200は、所定枚数(例えば100枚)の紙幣を一つに束ねた帯封紙幣を作成しかつ、帯封紙幣を処理装置内に収納するよう構成されていると共に、指定された金種及び束数の帯封紙幣を、処理装置外に出金する処理を行うよう構成されている。
図4は、帯封紙幣処理部200の構成を例示している。帯封紙幣処理部200は、バラ紙幣処理部100内の整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210によって取り出された紙幣の束を帯封(結束)するための帯封部212とを有している。アーム部210は、詳細な図示は省略するが、例えば上下一対のアーム(上アーム及び下アーム)から構成されている。アーム部210は、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を、上下一対のアームで上下方向から挟んで整理一時保留部160から取り出す。帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられている。帯封部212は、テープセット部214から帯封部212に送られた帯封紙によって、例えば100枚の紙幣の束を帯封する。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されている。帯封紙幣搬送部216は、帯封部212により帯封された束紙幣を帯封紙幣出金口218に搬送する。帯封紙幣出金口218は帯封紙幣処理部200の筐体202の外部からアクセス可能となっている。操作者は、この帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣を筐体202外から取り出すことができる。
また、帯封紙幣出金口218には帯封紙幣搬送部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣搬送部220には帯封紙幣判別部222が設けられている。帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣出金口218から帯封紙幣搬送部220に送られた束紙幣の金種等の判別を行う。また、帯封紙幣搬送部220には、複数の金種別帯封紙幣収納カセット230と、1つの一括帯封紙幣収納カセット231とが接続されている。各金種別帯封紙幣収納カセット230は、帯封紙幣出金口218により筐体202の外部に投出されない束紙幣を金種別に収納する。各金種別帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられている。カセット駆動部232は、各金種別帯封紙幣収納カセット230に収納された束紙幣を、金種別帯封紙幣収納カセット230から繰り出して帯封紙幣搬送部220に戻すことができる。帯封紙幣搬送部220は、各金種別帯封紙幣収納カセット230から繰り出された束紙幣を帯封紙幣出金口218に送って、筐体202の外部に投出する。また、リフト部224は、帯封紙幣出金口218に送られた束紙幣を上下方向に搬送することができる。リフト部224の下部には束紙幣回収用の帯封紙幣投出口221が設けられている。リフト部224が束紙幣を帯封紙幣投出口221に搬送すると、束紙幣は、帯封紙幣投出口221から筐体202の外部に投出される。
一括帯封紙幣収納カセット231は、金種別帯封紙幣収納カセット230が満杯となって収納できなかった束紙幣を、金種混合状態で収納する。一括帯封紙幣収納カセット231は、帯封紙幣処理部200の筐体202から取り外すことが可能に構成されている。一括帯封紙幣収納カセット231の束紙幣を回収するときに、操作者は、一括帯封紙幣収納カセット231を筐体202から取り外して、一括帯封紙幣収納カセット231内の束紙幣を手で取り出すことになる。
バラ硬貨処理部300は、入金口に投入されたバラ硬貨を、処理装置内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ硬貨を、出金口に払い出す出金処理を行うよう構成されている。
図5は、バラ硬貨処理部300の構成を例示している。バラ硬貨処理部300の筐体302上部には、バラ硬貨を外部から受け入れるバラ硬貨入金口310と、このバラ硬貨入金口310から、装置内で硬貨を搬送する搬送路上に1枚ずつ硬貨を繰り出す硬貨繰出部312と、搬送路を搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等を識別する入金識別部314が配置されている。入金識別部314により識別された硬貨は、硬貨選別部320に搬送される。硬貨選別部320は、識別結果に基づいて硬貨を選別する。硬貨選別部320は、正常な硬貨ではないと識別された硬貨、すなわちリジェクト硬貨を、入金リジェクト口322にリジェクトする。
硬貨選別部320には1つの一括一時保留部330と、複数の金種別一時保留部332とがそれぞれ接続されている。一括一時保留部330は、複数金種の硬貨を混合状態で一時的に保留し、各金種別一時保留部332は、それぞれ特定の金種の硬貨を一時的に保留する。また、一括一時保留部330に対応して1つの一括硬貨収納庫340が設けられ、各金種別一時保留部332に対応して金種別硬貨収納庫342が設けられている。
入金処理時に、入金硬貨を識別して一時保留した状態で入金が確定されると、一括一時保留部330は、保留している硬貨を一括硬貨収納庫340へ送り、金種別一時保留部332は、保留している硬貨を金種別硬貨収納庫342へ送る。一括硬貨収納庫340は、硬貨を収納し、金種別一時保留部332は、硬貨を収納する。入金処理がキャンセルされた場合には、一括一時保留部330及び金種別一時保留部332は、保留している硬貨を、返却回収箱328へ送る。操作者は、返却回収箱328の硬貨を取り出すことができる。尚、一括硬貨収納庫340は、例えば、市場での再利用に適さないと判定された損貨や各金種別硬貨収納庫342が満杯となって収納できなかった硬貨等が、金種混合状態で収納される。一括硬貨収納庫340は、バラ硬貨処理部300の筐体302から取り外すことが可能に構成されている。一括硬貨収納庫340の硬貨を回収するときに、操作者は、一括硬貨収納庫340を筐体302から取り外して、一括硬貨収納庫340内のバラ硬貨を手で取り出すことになる。
各金種別硬貨収納庫342にはそれぞれ硬貨繰出部344が設けられている。硬貨繰出部344は、各金種別硬貨収納庫342の硬貨を1枚ずつ繰り出す。各硬貨繰出部344にはバラ硬貨搬送部350が接続されており、各金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨がバラ硬貨搬送部350により搬送される。
バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨を袋取シュート部324から回収する場合に、硬貨は、バラ硬貨搬送部350から入金識別部314へ搬送される。袋取シュート部324には硬貨袋を取り付けられるようになっており、入金識別部314により枚数計数された硬貨は、硬貨選別部320から袋取シュート部324へ送られて、硬貨袋内へ回収される。
一方、バラ硬貨搬送部350に繰り出された硬貨をバラ硬貨出金口370から出金する場合に、硬貨は、バラ硬貨搬送部350から出金識別部352へ搬送される。出金識別部352では、バラ硬貨搬送部350から搬送される硬貨の金種、真偽、正損、新旧等が識別される。出金識別部352には出金一時保留部354が接続されており、出金識別部352により識別された硬貨は出金一時保留部354に搬送される。出金一時保留部354には出金リジェクト箱356及び出金箱360が接続されており、出金識別部352による識別結果に基づいて、出金対象となる硬貨は出金箱360へ収納され、リジェクト硬貨は出金リジェクト箱356へ収納される。出金箱360は上下に移動可能に設けられており、出金対象となる全ての硬貨が収納された後、上方へ移動してバラ硬貨出金口370から硬貨を出金する。出金リジェクト箱356内のリジェクト硬貨は、筐体302に設けられた扉を開いて取り出せるようになっている。
金種別硬貨収納庫342に収納された硬貨により包装硬貨を作成する場合には、硬貨繰出部344によって金種別硬貨収納庫342から繰り出された硬貨が、受渡バラ硬貨収納部380に収納される。
包装硬貨処理部400は、所定枚数(例えば50枚)の硬貨を円筒形状に包装した包装硬貨を作成しかつ、包装硬貨を処理装置内に収納するよう構成されていると共に、指定された金種及び本数の包装硬貨を、処理装置外に出金する処理を行うよう構成されている。
図6は、包装硬貨処理部400の構成を例示している。包装硬貨処理部400では、受渡バラ硬貨収納部380に収納された硬貨が硬貨繰出部410によって繰り出されて硬貨包装部420へ搬送される。硬貨包装部420は、所定枚数(例えば50枚)の硬貨を包装した包装硬貨を作成する。硬貨包装部420は、硬貨繰出部410によって繰り出された硬貨が所定枚数に達しなかった場合、作成した包装硬貨の長さが所定値を超えるために異常であると判断した場合に、これらを端数箱430へ収納する。操作者は、端数箱430に収納された硬貨を、筐体402に設けられた扉を開いて取り出すことができる。
所定枚数の硬貨を包装して正常に包装硬貨が作成された場合には、硬貨包装部420は、包装硬貨を包装硬貨搬送部440へと送る。包装硬貨搬送部440は、包装硬貨の金種に対応する金種別包装硬貨収納庫450へ包装硬貨を送り、金種別包装硬貨収納庫450は、包装硬貨を収納する。また、包装硬貨搬送部440は、硬貨包装部420によって作成した包装硬貨を、包装硬貨一括箱460、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470へ搬送することもできる。包装硬貨は、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470を通じて、外部に排出される。
また、金種別包装硬貨収納庫450は、収納している包装硬貨を、包装硬貨搬送部440へ繰り出すことができる。包装硬貨搬送部440が、金種別包装硬貨収納庫450から繰り出された包装硬貨を、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470へ搬送することによって、包装硬貨を、包装硬貨出金口480又は包装硬貨投出口470を通じて、外部に排出することもできる。
尚、包装硬貨一括箱460は、例えば各金種別包装硬貨収納庫450が満杯となって収納できなかった包装硬貨が、金種混合状態で収納される。包装硬貨一括箱460は、包装硬貨処理部400の筐体402から取り外すことが可能に構成されている。包装硬貨一括箱460の包装硬貨を回収するときに、操作者は、包装硬貨一括箱460を筐体402から取り外して、包装硬貨一括箱460内の包装硬貨を手で取り出すことになる。
制御部20は、バラ紙幣処理部100、帯封紙幣処理部200、バラ硬貨処理部300、包装硬貨処理部400を制御することによって、貨幣の出入の管理を行う。
出納機10はまた、第1ターミナル51、第2ターミナル52、第1プリンタ53、第2プリンタ54、記憶部55、及び、通信部56を備えている。
図1に示すように、第1ターミナル51は、包装硬貨処理部400の上面に配置されており、第2ターミナル52は、帯封紙幣処理部200の上面に配置されている。第1ターミナル51及び第2ターミナル52は同じ構成を有している。第1ターミナル51及び第2ターミナル52はそれぞれ、例えばタッチパネル式の表示操作部を有し、操作者に向けて情報を表示すると共に、操作者の操作を受け付ける。表示操作部は、表示を行う表示部と、操作者の操作を受け付ける操作部とに分けてもよい。第1ターミナル51及び第2ターミナル52はまた、操作者の認証を行うために、カード情報を読み取るカードリーダを有している。尚、以下の説明において、第1ターミナル51及び第2ターミナル52を総称する場合は、単にターミナル5と呼ぶ場合がある。
第1プリンタ53は、例えばインクジェットプリンタによって構成されかつ、帳票の印刷を行う。第1プリンタ53は、例えばバラ紙幣処理部100の上面に配置されている。第2プリンタ54は、例えば感熱式プリンタによって構成されている。第2プリンタ54は、各種のレシートの印刷を行う。第2プリンタ54は、例えばバラ硬貨処理部300の上面に配置されている。
記憶部55は、例えばハードディスクドライブや、不揮発性メモリによって構成されている。記憶部55は、制御部20に対して、信号の授受可能に接続されている。記憶部55は、出納機10が実行をした各種の処理に関する情報(つまり、ログ情報)、並びに、出納機10において収納している紙幣及び硬貨の在高情報を記憶している。記憶部55はまた、出納機10を使用する操作者の権限に関する情報(つまり、担当者情報)も記憶している。
通信部56は、ネットワーク9を介して管理コンピュータ71との間における通信を行う。通信部56は、制御部20に対して、信号の授受可能に接続されている。
(出納機の出納処理)
出納機10は、出納処理を実行するが、その出納処理として、第1の出納処理と、第1の出納処理とは独立した第2の出納処理とを行うことが可能に構成されている。第1の出納処理は、この構成例においては、貨幣処理システム1が設置されている駅の、乗車券類発売所における売上金の入金及び釣銭準備金の出金を行う出納処理である。第2の出納処理は、貨幣処理システム1が設置されている駅の運営に必要な、いわゆる「小口現金」の入金及び出金を行う出納処理である。
出納機10の制御部20は、第1出納処理部21と、第2出納処理部22とを含んでいる。第1出納処理部21、及び、第2出納処理部22はそれぞれ、所定の機能を実現する制御部20の機能ブロックである。
第1出納処理部21は、第1の出納処理として、操作者がターミナル5を操作することに従い、バラ紙幣処理部100、及び/又は、バラ硬貨処理部300に、バラ紙幣、及び/又は、バラ硬貨を入金する処理を行ったり、バラ紙幣処理部100、帯封紙幣処理部200、バラ硬貨処理部300、及び/又は、包装硬貨処理部400から、バラ紙幣、帯封紙幣、バラ硬貨、及び/又は、包装硬貨を出金する処理を行ったりする。第1出納処理部21はまた、第1の出納処理に係る貨幣の入出金の情報を、記憶部55に記憶させて管理する。
同様に第2出納処理部22は、第2の出納処理として、操作者がターミナル5を操作することに従い、バラ紙幣処理部100、及び/又は、バラ硬貨処理部300に、バラ紙幣、及び/又は、バラ硬貨を入金する処理を行ったり、バラ紙幣処理部100、帯封紙幣処理部200、バラ硬貨処理部300、及び/又は、包装硬貨処理部400から、バラ紙幣、帯封紙幣、バラ硬貨、及び/又は、包装硬貨を出金する処理を行ったりする。第2出納処理部22はまた、第2の出納処理に係る貨幣の入出金の情報を、記憶部55に記憶させて管理する。
記憶部55は、第1の出納処理に係るログ情報と、第2の出納処理に係るログ情報とを区別して記憶していると共に、第1の出納処理に係る貨幣の在高情報と、第2の出納処理に係る貨幣の在高情報と区別して記憶している。尚、以下の説明においては、第1の出納処理に係る貨幣の在高情報を、収支現金在高情報と呼び、第2の出納処理に係る貨幣の在高情報を、小口現金在高情報と呼ぶ場合がある。
次に、図7A及び7Bのフローを参照しながら、制御部20が実行する、出納機10の制御(主に、小口現金処理に係る制御)について説明をする。先ずスタート後のステップS71において、制御部20は、ターミナル5に待機画面(図示省略)を表示する。続くステップS72において、制御部20は、認証処理を行う。前述したように操作者が、ターミナル5のカードリーダにカード情報を読み取らせる操作を行うことにより、制御部20は、カード情報を読み取って、操作者の認証を行う。
ステップS73において、制御部20は、認証結果がOKであるか否かを判定する。ステップS73の判定がYESのときには、プロセスはステップS75に進む。ステップS73の判定がNOのときには、プロセスは、ステップS74に進む。ステップS74において、制御部20は、認証NGであることを、ターミナル5を通じて操作者に報知する。プロセスはその後、ステップS72に戻る。
ステップS75において、制御部20は、ターミナル5にメニュー画面を表示し、操作者に、実行する処理を選択させる。図8は、メニュー画面D1を例示している。メニュー画面D1には、操作者が選択することが可能な処理が表示されている。メニュー画面D1に表示されている処理の内、「入金」「出金」は、第1の出納処理に係る「入金処理」及び「出金処理」である。「小口現金」は、第2の出納処理に係る処理(つまり、小口現金処理)である。
ステップS76において、制御部20は、小口現金処理が選択されたか否かを判定する。小口現金処理が選択されたときには、プロセスはステップS77に進む(図7B参照)。一方、小口現金処理が選択されなかったときには、プロセスはステップS715に進む。
ここで、操作者権限について説明する。この出納機10は、前述の通り、第1の出納処理と第2の出納処理とのそれぞれを実行することができる。第1の出納処理を行うための操作者権限と、第2の出納処理を行うための操作者権限とは、別に設定されている。従って、前述した認証処理によって認証OKであった操作者であっても、第2の出納処理を実行する権限を有していない操作者は、「小口現金」を選択しても、第2の出納処理を実行することはできない。制御部20は、例えば図9に例示するような、認証エラーを表す画面D2をターミナル5に表示させる。尚、小口現金処理を実行することが可能な操作者は、例えば駅においては、特定の担当者(例えば現場長)である。
図7Aのフローに戻り、ステップS715において制御部20は、小口現金処理以外の処理が選択されたか否かを判定する。ステップS715の判定がYESのときには、プロセスはステップS716に進み、NOのときには、プロセスはステップS716に進まずに、終了する(図7B参照)。ステップS716において制御部20は、操作者が指定をした処理を実行する。出納機10は、例えば、第1の出納処理に係る、売上金の入金処理や釣銭準備金の出金処理を実行する。出納機10が第1の出納処理を実行すると、制御部20は、第1の出納処理に係るログ情報と共に、貨幣の在高(収支現金在高)を記憶部55に記憶させる。
メニュー画面D1において操作者が小口現金処理を選択すると、制御部20は、図10に例示する小口現金処理のメニュー画面D3を、ターミナル5に表示する。このメニュー画面D3には、「小口入金」「小口出金」「小口現金集計」及び「小口現金書留簿(再出力)のボタンが設けられている。「小口入金」は、第2の出納処理における入金処理を行うボタンであり、「小口出金」は、第2の出納処理における出金処理を行うボタンである。「小口現金集計」は、第2の出納処理の集計処理を行うボタンであり、「小口現金書留簿(再出力)」は、第2の出納処理の集計処理時に作成をした小口現金書留簿を、再出力するためのボタンである。
図7BのフローのステップS77において、制御部20は、メニュー画面D3において、小口現金入金処理が選択されたか否かを判定する。ステップS77の判定がYESのときには、プロセスはステップS78に移行する。NOのときには、プロセスはステップS79に移行する。
ステップS78において制御部20は、小口現金入金処理を実行する。図11及び図12は、小口現金入金処理時にターミナル5に表示される画面を例示している。図11に示す現金投入画面D4は、操作者に、入金対象の貨幣の投入を案内する画面である。操作者は、現金投入画面D4の案内に従って、バラ紙幣をバラ紙幣処理部100及び/又はバラ硬貨をバラ硬貨処理部300に投入する。貨幣の投入後に、操作者が「計数開始」のボタンを操作すると、バラ紙幣が投入されたバラ紙幣処理部100及び/又はバラ硬貨が投入されたバラ硬貨処理部300はそれぞれ、投入された貨幣の計数を行う。
貨幣の計数が完了した後、制御部20は、ターミナル5に、図12に例示する小計画面D5を表示させる。小計画面D5には、計数結果が表示されている。操作者が、「完了」のボタンを操作すると、制御部20は、小口現金入金処理のログ情報と共に、入金金額を記憶部55に記憶させる。ステップS78の小口現金入金処理が終了する。
出納機10は、小口現金入金処理時に入金された貨幣を、第1の出納処理時に入金された貨幣と分けることなく、同じ収納部に収納をする。その一方で、出納機10は、小口現金処理に係る貨幣の在高(小口現金在高)と、第1の出納処理に係る貨幣の在高(収支現金在高)とを区別して、記憶部55に記憶する。
図7BのフローのステップS79において、制御部20は、メニュー画面D3において、小口現金出金処理が選択されたか否かを判定する。ステップS79の判定がYESのときには、プロセスはステップS710に移行する。NOのときには、プロセスはステップS711に移行する。
ステップS710において制御部20は、小口現金出金処理を実行する。図13、図14及び図15は、小口現金出金処理時にターミナル5に表示される画面を例示している。図13に示す小計画面D6は、操作者が出金金額を入力する画面である。操作者は、小計画面D6において、出金対象となる貨幣の、金種別の枚数を入力することができる。小計画面D6にはまた、その左下に、当日分の入出金金額(「小口入金計」及び「小口出金計」)と、残高とが表示される。操作者が、「完了」のボタンを操作すると、制御部20は、ターミナル5に摘要選択画面D7を表示させる。
図14は、摘要選択画面D7を例示している。操作者は、摘要選択画面D7において、摘要を選択(入力)することができる。操作者は、「備品」「会議弁当」等、予め設定されている摘要の候補の中から選択をすることにより、摘要を入力することができる。操作者が、「完了」のボタンを操作すると、出納機10は出金処理を行う。つまり、指定された金額の貨幣を装置外に払い出す。図15は、現金抜き取り画面D8を例示している。操作者は、現金抜き取り画面D8の案内に従って、貨幣を取り出す。貨幣の取り出しが完了すれば、制御部20は、小口現金出金処理のログ情報と共に、出金金額及び摘要を、記憶部55に記憶させる。ステップS710の小口現金出金処理が終了する。
出納機10は、小口現金出金処理時に出金する貨幣も、第1の出納処理時に出金する貨幣も、同じ収納部から繰り出す。その一方で、出納機10は、前述の通り、小口現金処理(第2の出納処理)に係る貨幣の在高(小口現金在高)と、第1の出納処理に係る貨幣の在高(収支現金在高)とを区別して、記憶部55に記憶する。
ステップS711において、制御部20は、メニュー画面D3において、小口現金集計処理が選択されたか否かを判定する。ステップS711の判定がYESのときには、プロセスはステップS712に移行する。NOのときには、プロセスはステップS713に移行する。
ステップS712において制御部20は、小口現金集計処理を実行する。小口現金集計処理は、操作者が指定した期間内において処理を行った小口現金の入出金の集計を行う処理である。図16及び図17は、小口現金集計処理時にターミナル5に表示される画面を例示している。図16に示す集計範囲設定画面D9は、操作者が集計を行う期間を設定する画面である。操作者は、日単位、週単位、及び、月単位等、集計期間を任意に設定することができる。操作者が「確定」のボタンを操作すると、制御部20は、記憶部55が記憶している小口現金処理のログ情報に基づいて集計を行う。そして、制御部20は、ターミナル5に集計結果画面D10を表示させる(つまり、集計結果を出力する)。
図17は、集計結果画面D10を例示している。集計結果画面D10には、指定された期間における受入(つまり、入金)と、支払(つまり、出金)とが、日付順に記載されている。集計結果画面D10における摘要は、前述した摘要選択画面D7において、操作者が選択をした摘要である。また、集計結果画面D10には、内訳(科目)が記載されている。記憶部55は、摘要選択画面D7において選択される摘要と、科目とを対応付けて記憶しており、制御部20は、小口現金処理の集計時に、記憶部55に記憶されている対応情報に基づいて、内訳の情報を追加する。
小口現金集計処理は、貨幣処理システム1を利用している施設の、小口現金の経理処理に合わせて実行されることが多い。つまり、小口現金を月単位で集計することにして、月末又は月初めに、ひと月中に使った小口現金の総額を集計すると共に、それと同額の現金を次のひと月分として補給(つまり、入金)する。
そこで、小口現金集計処理において制御部20は、予め定められている一ヶ月における小口現金の限度額と、当月中に使った小口現金の総額(「合計」)と、に基づいて、翌月の繰越金(「次月繰越」「前月繰越」)と、翌月分の補給金(「本日補給」)とを演算し、それらの金額も、集計結果画面D10に表示する。
制御部20はまた、操作者の操作に基づいて、集計結果を、第1プリンタ53及び第2プリンタ54に印字させる。操作者は、集計結果画面D10の右上の「レシート印字」及び「帳票印字」のボタンを操作することによって、集計結果を印字することができる。
図18は、第1プリンタ53が印字をする計数結果、つまり、小口現金書留簿P1を例示している。操作者は、集計結果画面D10の右上の「帳票印字」のボタンを操作することによって、第1プリンタ53に小口現金書留簿P1を印字させることができる。小口現金書留簿P1は、集計結果画面D10に表示される計数結果と、実質的に同じ構成である。具体的に、小口現金書留簿P1には、日付、受入金額(つまり、入金金額)、支払金額(つまり、出金金額)、摘要、内訳が記載されていると共に、支払合計金額、内訳毎の支払い合計金額が記載されている。また、小口現金書留簿P1には、次月繰り越し(つまり、受入から支払の合計額を差し引いた金額)、前月繰越(次月繰越と同じ)、及び、本日補給(支払合計金額と同じ)がそれぞれ記載されている。
操作者(つまり、小口現金の管理を行う担当者)は、印字した小口現金書留簿P1を見ながら、管理コンピュータ71、又は、タブレット端末72若しくはスマートフォン73を通じて、他のシステム70に、小口現金書留簿P1の内容を入力する。つまり、操作者は、小口現金書留簿P1の内容を手入力する。
尚、小口現金書留簿P1の内容を、操作者が手入力する代わりに、出納機10が、小口現金処理の集計結果を、管理コンピュータ71を介して他のシステム70に、データ送信するようにしてもよいし、出納機10が、管理コンピュータ71を介さずに、他のシステム70に直接に、データ送信するようにしてもよい。
図19は、第2プリンタ54が印字をする計数結果を例示している。操作者が集計結果画面D10の右上の「レシート印字」のボタンを操作することによって、第2プリンタ54は、小口現金書留簿P1の簡易版であるレシートP2を印字する。小口現金の集計結果の出力が二種類、用意されているため、操作者の利便性が向上する。
前述したように、小口現金処理においては、補給が行われる。操作者は、小口現金の補給を、前述の小口現金入金処理を利用して行うことができる、また、操作者は、現金の入金処理を行わないで、小口現金の補給を行うこともできる。
前述の通り、出納機10は、第1の出納処理時に入出金する貨幣も、第2の出納処理(つまり、小口現金処理)時に入出金する貨幣も、同じ収納部に収納し、同じ収納部から繰り出している。出納機10は、第1の出納処理時に利用する収納部と、第2出納処理時に利用する収納部とを区別していない。その一方で、出納機10は、第1の出納処理に係る貨幣の在高(収支現金在高)と、小口現金処理に係る貨幣の在高(小口現金在高)と、を区別して、記憶部55に記憶している。
そこで、出納機10の制御部20は、図20に概念的に示すように、記憶部55が記憶している補給前の小口現金在高に対して、補給分を加える一方で、記憶部55が記憶している補給前の収支現金在高から、補給分を差し引く。制御部20が、記憶部55に記憶している在高のデータにおいて、補給分の貨幣情報を、収支現金在高から小口現金在高へと移動させることで、現金の入金処理を行わないで、小口現金の補給を行うことができる。操作者は、現金の管理を行うことがないため、操作者の負担を軽減することができる。
この出納機10は、第1の出納処理と、第2の出納処理(つまり、小口現金処理)とを、操作者の選択に従って切り替えて実行することができる。従来のような現金を入れる金庫と現金の収支を記入する台帳とを使った管理が不要になるため、小口現金を管理する担当者の負担を軽減することができる。また、手作業により発生する管理ミスを、できるだけ少なくすることもでき、小口現金の管理を適正化することができる。
また、第1の出納処理及び第2の出納処理に対応して収納部を分けないため、出納機10がコンパクトになると共に、出納機10の構成が簡略化する。
さらに、第1の出納処理を行うための権限と、第2の出納処理を行うための権限とを区別することにより、出納機10を用いた、二種類の出納処理の管理のそれぞれを適切に行うことができる。
また、出納機10は、小口現金処理(第2の出納処理)の集計を行うと共に、集計結果を出力することで、操作者は、第2の出納処理を、容易にかつ適切に管理することができる。
尚、出納機10は、第2の出納処理において、小口現金の在高に関しニアエンプティ値を予め定めておき、在高がニアエンプティ値を下回ったときには、その旨を操作者に報知をし、操作者に補給を促すようにしてもよい。つまり、出納機10内の収納部が十分な貨幣を収納していたとしても、出納機10は、小口現金の在高に基づいて補給を促す報知を行ってもよい。
また、出納機10は、第1の出納処理を実行するときにターミナル5に表示する画面の態様と、第2の出納処理を実行するときにターミナル5に表示する画面の態様とを異ならせてもよい。具体的には、第2の出納処理(つまり、小口現金処理)の実行中は、「小口現金処理」の文言を画面に表示したり、第1の出納処理時と第2の出納処理時とで画面の背景色や枠の色を異ならせたりしてもよい。こうすることで、操作者は、第1の出納処理を実行しているか、第2の出納処理を実行しているかを一目で認識することができ、操作者の操作ミスを防止することができる。
また、出納機10は、第1の出納処理における処理可能な金額の上限と、第2の出納処理における処理可能な金額の上限とを個別に設定することが可能に構成してもよい。例えば第2の出納処理(小口現金処理)は、上限を30万円とし、処理可能な金額は30万円以下で設定する一方、第1の出納処理は、上限を30万円よりも高く設定(例えば1000万円)してもよい。また、例えば第1の出納処理は、上限を定めるのではなく、収納部の空き容量や、在高に基づいて、処理可能な金額を制限してもよい。こうすることで、操作ミスや、不正を抑制することができる。
(担当者情報の配信)
出納機10の記憶部55は、出納機10を使用する操作者の権限に関する情報(つまり、担当者情報)を記憶している。前述したように、出納機10は、操作者がIDカードを用いて認証をした結果と、記憶部55が記憶している権限情報とに基づいて、当該操作者に許可されている処理を実行する。
図21に概念的に示すように、出納機10の記憶部55は、担当者情報の記憶領域の一部は、所定の操作者が、出納機10において担当者情報を手入力した担当者情報を記憶するエリアであり、残りは、管理コンピュータ71が、ネットワークを通じて出納機10に配信した担当者情報を記憶するエリアである。管理コンピュータ71は、例えば定期的に、担当者情報を、出納機10に配信する。出納機10は、配信された担当者情報に基づいて、記憶部55が記憶している担当者情報を更新する。尚、担当者情報は、オペレータID、オペレータの氏名、及び、権限によって構成されている。
ここで、出納機10の制御部20は、担当者情報が配信されたときに、常に、記憶部55が記憶している担当者情報を更新するのではなく、図22に示すように、配信された担当者情報に応じて、担当者情報の取り扱いを変更する。
具体的に、制御部20は、配信によって取得したオペレータIDが、出納機10の担当者情報に存在しないときには、新たな担当者の情報であるとして、当該担当者情報を、新規に、配信エリアに追加する。
制御部20は、取得した担当者情報のオペレータIDと、記憶部55が記憶している担当者情報のオペレータIDとが同じである一方で、取得した担当者情報のオペレータの名前と、記憶部55が記憶している担当者情報のオペレータの名前とが相違しているときには、配信された担当者情報を優先して、制御部20は、記憶部55が記憶している担当者情報を、配信された担当者情報に書き替えて、記憶部55に記憶させる。
制御部20は、取得した担当者情報のオペレータIDと、記憶部55が記憶している担当者情報のオペレータIDとが同じである一方で、取得した担当者情報の権限と、記憶部55が記憶している担当者情報の権限とが相違しているときには、配信された担当者情報を優先して、制御部20は、記憶部55が記憶している担当者情報を、配信された担当者情報に書き替えて、記憶部55に記憶させる。
制御部20は、取得した担当者情報と、同一の担当者情報が、記憶部55の手入力エリアに記憶されているときには(但し、取得した担当者情報の権限と、記憶部55の手入力エリアに記憶されている担当者情報の権限とが同じである)、手入力エリアの担当者情報を削除し、配信された担当者情報を、記憶部55の配信エリアに記憶させる。
制御部20は、取得した担当者情報のオペレータIDと、記憶部55の手入力エリアに記憶されている担当者情報のオペレータIDとが同じである一方で、取得した担当者情報の権限と、記憶部55の手入力エリアに記憶されている担当者情報の権限とが相違しているときには、制御部20は、担当者情報の更新を自動的に行わずに、担当者情報の更新の可否を、操作者に選択させる。制御部20は、例えば図23に示す更新確認画面D11を、ターミナル5に表示させる。これは、メッセージ表示に相当する。操作者は、担当者情報を更新するか否かを選択することができる。例えば、担当者が出納機10を操作することにより、手入力エリアの担当者情報を更新した後、手動更新した情報が反映されていない担当者情報が、管理コンピュータ71から出納機10に配信されることが起こり得る。記憶部55に記憶させる担当者情報を、配信された情報に自動的に更新するのではなく、担当者情報の更新の可否を操作者が選択可能にすることで、利便性を向上させることができる。
制御部20は、取得した担当者情報の数が、記憶部55の配信エリアの容量を超えているときには、制御部20は、担当者情報の更新を自動的に行わずに、担当者情報の更新の可否を、操作者に選択させる。制御部20は、ターミナル5に、例えば図23に示す更新確認画面D11を表示させる。操作者が、更新しないことを選択したときには、記憶部55の配信エリアに記憶されている担当者情報は更新されず、もとのままになる。一方、操作者が更新することを選択したときには、制御部20は、記憶部55の配信エリアに記憶されている担当者情報は更新すると共に、配信エリアの容量を超える分の担当者情報を、「未取り込み一覧」として、第1プリンタ53又は第2プリンタ54に出力させる。操作者は、出力された「未取り込み一覧」に基づいて、担当者情報を、手入力エリアに手入力することができる。
制御部20は、取得した担当者情報がゼロであったときには、図示は省略するが、ターミナル5に、配信された担当者情報がゼロであった旨を表示する。このときに、記憶部55に記憶されている担当者情報は、更新されない。
また、制御部20は、記憶部55には、担当者情報が記憶されている一方、取得した担当者情報には、当該担当者情報が含まれていないときには、記憶部55に記憶されていた担当者情報を消去する。
管理コンピュータ71から配信された担当者情報に基づいて、出納機10の記憶部55が記憶している担当者情報を常に、自動的に更新するのではなく、操作者が、更新の可否を選択可能にすることによって、担当者情報を適切に保つことができるから、利便性を向上させることができる。
(出納機の回収処理)
貨幣処理システム1において締め上げ処理を行う際には、出納機10に収納している貨幣の、少なくとも一部を出納機10の外に払い出す回収処理が行われる。
具体的に回収処理は、図24に示す順番に貨幣を回収し、設定した回収金額分の貨幣を、出納機10の外に払い出す。回収順の一番は、損券等の、出納機10が処理することができない貨幣が収納されているポスト部(図示省略)である。担当者は、ポスト部から手で貨幣を回収する。回収順の二番は、一括帯封紙幣収納カセット231である。担当者は、前述したように、一括帯封紙幣収納カセット231を筐体202から取り外して、一括帯封紙幣収納カセット231内の束紙幣を手で回収する。回収順の三番は、包装硬貨一括箱460である。担当者は、前述したように、包装硬貨一括箱460を筐体402から取り外して、包装硬貨一括箱460内の包装硬貨を手で回収する。回収順の四番は、一括硬貨収納庫340である。担当者は、前述したように、一括硬貨収納庫340を筐体302から取り外して、一括硬貨収納庫340内のバラ硬貨を手で回収する。これらポスト部、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び、一括硬貨収納庫340は全て、釣銭準備金として、出納機10から出金することができない貨幣を収納している。また、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び、一括硬貨収納庫340はそれぞれ、筐体から取り外すことができるよう構成された収納部である。
回収順の五番は、筐体から取り外すことができない固定収納部である。具体的に固定収納部は、バラ紙幣処理部100の金種別紙幣収納庫142、帯封紙幣処理部200の金種別帯封紙幣収納カセット230、バラ硬貨処理部300の金種別硬貨収納庫342、及び、包装硬貨処理部400の金種別包装硬貨収納庫450である。これらの固定収納部から繰り出された紙幣又は硬貨(バラ紙幣若しくは束紙幣、又は、バラ硬貨若しくは包装硬貨)は、計数された後、装置の外に払い出される。こうして、操作者は、出納機10から指定した回収金額分の貨幣を回収することができる。
ここで、出納機10においてエラー等が発生し、出納機10の在高が不定になったときを考える。出納機10の在高が不定になると、出納機10は、前述した、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び、一括硬貨収納庫340を、筐体から取り外すことを禁止するよう構成されている。出納機10の在高不定を解消するには、少なくとも、在高不定の処理部に収納している貨幣を全て回収する、又は、全て計数し直すことが必要になる。こうした処理を実行すると、長時間を要する。
在高不定の解消には、時間がかかる一方で、在高が不定のままであると、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び、一括硬貨収納庫340を、筐体から取り外すことを禁止されるから、図24に示す順番で、貨幣を回収することができなくなる。
そこで、この出納機10は、在高不定によって、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び/又は、一括硬貨収納庫340からの貨幣の回収を行うことができないときには、それらの収納部から回収する貨幣と同額の貨幣を、固定収納部から回収する(つまり、代替回収)。具体的に、一括帯封紙幣収納カセット231からの束紙幣の回収を行うことができないときに、制御部20は、バラ紙幣処理部100の金種別紙幣収納庫142からバラ紙幣による代替回収を行う。また、包装硬貨一括箱460、及び/又は、一括硬貨収納庫340から硬貨の回収を行うことができないときに、制御部20は、バラ硬貨処理部300の金種別硬貨収納庫342からバラ硬貨による代替回収を行う。代替回収は、払出時に計数を行うため、出納機10は、在高不定のままであっても、回収処理を速やかに完了することができる。その結果、締め上げ処理も速やかに完了することができる。
尚、バラ紙幣処理部100及び帯封紙幣処理部200の両方において在高不定が発生していて、代替回収を行うことができないときには、制御部20は、エラーメッセージをターミナル5に表示させる。
また、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び/又は、一括硬貨収納庫340から回収することができなかった貨幣は、締め上げ処理の完了後に、全回収処理によって回収してもよい。
(回収貨幣の自動計算)
前述した回収処理を実行するときには、釣銭準備金として必要な貨幣が出納機10内に残るように貨幣が回収される場合がある(残置回収)。
従来の出納機は、操作者に、回収する各金種の枚数を設定させていた。具体的に出納機は、回収処理時に、(1)当日分の収入金額合計と、(2)金種毎の、回収可能な枚数と、(3)計数回収をすることができないユニット(ポスト部、一括帯封紙幣収納カセット231、包装硬貨一括箱460、及び、一括硬貨収納庫340)に収納されていて回収が必要な枚数と、を、ターミナルに表示し、操作者は、(1)から(3)を差し引いた金額がゼロになるよう、(2)の回収可能な枚数を超えないようにかつ、釣銭として使用することができない金種(万、二千、五、一)は、全て回収されるよう、各金種の枚数を設定していた。これは、操作者の負担が大きい。
これに対し、前記の出納機10は、回収処理時の、金種別の回収枚数を、自動的に計算するよう構成されている。図25は、回収処理時に、制御部20がターミナル5に表示させる明細画面D12を例示している。この画面は、自動計算された金種別の回収枚数を表示すると共に、操作者が、金種別の回収枚数を修正することができる画面である。
当該画面D12には、回収金額に相当する当日分の収入金額合計が記載されていると共に、金種毎に、回収可能な枚数(回収可能在高)と、計数回収をすることができないユニットに収納されているため回収が必要な枚数(「ポスト+一括」)とが記載されている。操作者が「自動計算」のボタンを操作すると、制御部20は、金種毎の回収枚数を自動的に計算し、「回収明細入力」の欄に、金種毎の枚数を表示する。これにより、操作者の負担を軽減し、作業の効率化を図ることができる。
制御部20は、予め定めた計算アルゴリズムに従って、金種毎の枚数を計算する。計算アルゴリズムには、前述したように、釣銭として使用することができない金種(万、二千、五、一)は、全て回収されるように設定されていると共に、回収枚数が最小となるよう、高額金種から優先的に回収をするように設定されている。
前述の通り、操作者は、明細画面D12において、「回収明細入力」に記載されている金種毎の枚数(つまり、自動計算された金種毎の枚数)を、手入力により、修正することができる。こうすることで、操作者は、出納機10に残置する貨幣の金種毎の枚数を、適宜、調整することができる。尚、前述した計算アルゴリズムに、金種毎の残置枚数を考慮する設定を含めるようにしてもよい。そうすれば、操作者の負担をさらに軽減することができる。
(出金パターンの表示)
例えば釣銭準備金の出金処理を行うときには、予め定めた出金パターン(つまり、金種別の出金枚数)に従って出金を行うことが多い。操作者は、出納機10において、予め定めた出金パターンを、複数、登録することができる。例えば図26に例示するように、出金処理時にターミナル5に表示される画面D13、D14の右上には、「パターン」ボタンが設けられている。操作者が、「パターン」ボタンを操作すると、予め登録している出金パターンが、オーバーレイ表示される。
ここで、出金パターンは、一列のリスト状に表示されるが、表示スペースの関係から、登録されている全ての出金パターンを一度に表示することができず、スクロールをすることによって、全ての出金パターンを表示することができる。従来の出納機は、出金パターンの表示順は、出金パターンの登録順で固定されていたが、この場合、よく利用する出金パターンが、スクロールをしなければ画面に表示されないこともあり、利便性を改善する余地がある。
これに対し、この出納機10は、出金パターンの表示順を、予め定めたルールに従って入れ替えるよう構成されている。制御部20は、出金パターンを、例えば使用頻度が高い順に並べて表示をする。こうすることで、使用頻度が高い出金パターンは、スクロールをしなくても、表示されるようになり、操作者の利便性が高くなる。
尚、使用頻度は、例えば操作者毎に、使用頻度の統計をとって記憶しておき、認証データに基づいて特定した操作者の使用頻度に基づいて、表示順を入れ替えてもよい。また、例えば時間帯毎に、使用頻度の統計をとり、出金処理を行おうとする時間帯に基づいて、表示順を入れ替えてもよい。
尚、操作者が、「パターン」ボタンを操作することにより予め登録している出金パターンが表示されるときに、使用頻度の最も高い登録パターンが、予め選択されているよう構成してもよい。
さらに、過去に行った出金処理のデータに基づいて、登録パターンとして登録されていないものの、使用頻度の高い出金パターンが存在しているときには、操作者が、「パターン」ボタンを操作したときに、登録パターンと共に、使用頻度の高い、非登録の出金パターンを、表示するようにしてもよい。また、そうした使用頻度の高い、非登録の出金パターンを、自動的に又は操作者の操作によって、登録することができるようにしてもよい。
画面D13において、操作者がいずれかのパターンを選択すると、出金小計画面D14において、選択したパターンに対応する出金金額等が自動的に入力される。
(他の実施形態)
尚、前記の構成では、出納機10の制御部20が、第1の出納処理と第2の出納処理とを実行するよう構成しているが、出納機10に接続された管理コンピュータ71が、出納機10を用いながら、第1の出納処理と第2の出納処理とを実行するよう構成してもよい。この場合、管理コンピュータ71が、第1の出納処理に係る貨幣の入出金の情報、及び、第2の出納処理に係る貨幣の入出金の情報を記憶してもよい。
また、ここに開示する技術は、出納機10に適用することに限らず、様々な貨幣処理装置(例えば、売り上げ入金機等)に適用することが可能である。
また、第2の出納処理は、前述した小口現金処理に限らない。