以下、本発明に係る作業機1の油圧システムの好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図6は、本発明に係る作業機の側面図を示している。図6では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
作業機1は、図7及び図8に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図7の左側)を前方、運転者の後側(図7の右側)を後方、運転者の左側(図7の手前側)を左方、運転者の右側(図7の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機32が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸(第1枢支軸)16を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸(第2枢支軸)17を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸(第3枢支軸)18を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸(第4枢支軸)19を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸(第5枢支軸)20を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸(第6枢支軸)21を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
左側及び右側の各走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
次に、走行系の油圧システムについて説明する。
図1に示すように、油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、左走行モータ装置(第1走行モータ装置)31Lと、右走行モータ装置(第2走行モータ装置)31Rと、原動機32と、走行駆動装置34とを有している。
第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動ポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、主に制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、作動油を貯留するタンク22のことを作動油タンクということがある。また、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。第1油圧ポンプP1の吐出側には、作動油(パイロット油)を流す油路(吐出油路)40が設けられている。吐出油路40には、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rが設けられている。
原動機32は、電動モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。なお、原動機32は、電動モータとエンジンとを有するハイブリッド型であってもよいし、電動モータのみを有するものであってもよい。
走行駆動装置34は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rを駆動する装置であって、第1走行モータ装置31Lの駆動用の駆動回路(左駆動回路)34Lと、第2走行モータ装置31Rの駆動用の駆動回路(右駆動回路)34Rとを有している。
左駆動回路34L及び右駆動回路34Rは、それぞれ走行ポンプ(走行油圧ポンプ)53L,53Rと、変速用油路57h,57iと、第2チャージ油路57jと、を有している。変速用油路57h,57iは、走行ポンプ53L,53Rと走行モータ36とを接続する油路である。第2チャージ油路57jは、変速用油路57h,57iに接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油を変速用油路57h,57iに補充する油路である。
走行ポンプ53L,53Rは、原動機32の動力によって駆動される斜板形可変容量アキシャルポンプである。言い換えれば、走行ポンプ53L,53Rは、作動油によって操作可能な走行用アクチュエータである。走行ポンプ53L,53Rは、パイロット圧が作用する前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとを有している。前進用受圧部53a、後進用受圧部53bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、走行ポンプ53L,53Rの出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。
第1走行モータ装置31Lは、機体2の左側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。第2走行モータ装置31Rは、機体2の右側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。
第1走行モータ装置31Lは、走行モータ36と、前後切換弁35と、走行制御弁(油圧切換弁)38とを有している。走行モータ36、前後切換弁35及び走行制御弁38には、作動油が供給可能である。
走行モータ36は、カムモータ(ラジアルピストンモータ)である。走行モータ36は、稼動時における容量(モータ容量)の大きさを可変することによって、出力軸の回転やトルクを変更する。
次に、作業系の油圧システムについて説明する。
図2に示すように、油圧システムは、複数の制御弁56と、作業系油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)P2を備えている。
第2油圧ポンプP2は、第1油圧ポンプP1とは異なる位置に設置されたポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。第2油圧ポンプP2は、主に油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する。
第2油圧ポンプP2の吐出側には、油路(メイン油路)39が設けられている。このメイン油路39には、複数の制御弁56が接続されている。制御弁56は、パイロット油のパイロット圧によって作動油の流す方向を切換可能な弁である。また、制御弁56は、例えば、ブーム、バケット、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の油圧アクチュエータ(油圧装置)を制御(駆動)する。
複数の制御弁56は、第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56Cである。第1制御弁56Aは、ブームを制御する油圧シリンダ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。第2制御弁56Bは、バケットを制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)15を制御する弁である。第3制御弁56Cは、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の予備アタッチメントに装着された油圧機器(油圧シリンダ、油圧モータ)を制御する弁である。以下の説明において、第1制御弁56Aをブーム制御弁ということがある。また、第2制御弁56Bをバケット制御弁ということがある。
第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、パイロット圧によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。第1制御弁56Aは、第1制御弁56Aの一方側及び他方側の受圧部に作用した作動油の圧力差によって操作可能である。また、第2制御弁56Bは、第2制御弁56Bの一方側及び他方側の受圧部に作用した作動油の圧力差によって操作可能である。第1制御弁56Aには、油路を介してブームシリンダ14が接続され、第2制御弁56Bには、油路を介してバケットシリンダ15が接続されている。
第3制御弁56Cには、給排油路83が接続されている。給排油路83の一端は、第3制御弁56Cの給排ポートに接続され、給排油路83の中途部は、接続部材50に接続され、給排油路83の他端部は、予備アタッチメントの油圧機器に接続される。詳しくは、給排油路83は、第3制御弁56Cの第1給排ポートと接続部材50の第1ポートとを接続する第1給排油路83aを含んでいる。また、給排油路83は、第3制御弁56Cの第2給排ポートと接続部材50の第2ポートとを接続する第2給排油路83bとを含んでいる。つまり、第3制御弁56Cを作動させることによって、第3制御弁56Cから第1給排油路83aに向けて作動油を流したり、第3制御弁56Cから第2給排油路83bに向けて作動油を流すことができる。
図1及び図2に示すように、作業機1の走行に関する操作(走行操作)及び作業に関する操作(作業操作)は、運転席8の左に設けられた第1操作装置47と、運転席8の右に設けられた第2操作装置48とによって行う。言い換えれば、第1操作装置47及び第2操作装置48は、走行系の油圧機器(走行モータ36、走行ポンプ53L,53R)、作業系の油圧機器(第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56C、ブームシリンダ14、バケットシリンダ15、予備アタッチメントに設けた油圧シリンダ、油圧モータ)を操作する操作装置である。
次に、第1操作装置47及び第2操作装置48について詳しく説明する。
第1操作装置47は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第1操作部材54を有している。第1操作部材54は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第1操作部材54は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
第1操作部材54において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第1操作部材54は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第1操作部材54は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
第1操作部材54の下部には、複数のパイロット弁55が設けられている。複数のパイロット弁55は、第1操作部材54の操作に応じて作動油の圧力を変更可能である。詳しく説明すると、パイロット弁55は、第1操作部材54と当接するロッドを有している。つまり、第1操作部材54の操作に応じて、ロッドが押されることで、パイロット弁55から出力される作動油の圧力が変更される。複数のパイロット弁55は、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dである。パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dは、吐出油路40に接続されている。
パイロット弁55Aは、第1操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁55Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁55A及びパイロット弁55Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
パイロット弁55Cは、第2操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁55Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁55C及びパイロット弁55Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
第2操作装置48は、走行操作と作業操作との両方を行うことが可能な装置であり、第2操作部材58を有している。第2操作部材58は、前後に動かす第1操作と、前後とは異なる左右(機体幅方向)に動かす第2操作とを行うことが可能なレバーである。言い換えれば、第2操作部材58は、一方向(例えば、前、左)と、一方向とは異なる他方向(例えば、後、右)とに動かすことが可能なレバーである。
第2操作部材58において、第1操作は走行操作に割り当てられており、第2操作は作業操作に割り当てられている。つまり、第2操作部材58は、走行の操作部材(走行操作部材)と、作業の操作部材(作業操作部材)とを兼用している。なお、第2操作部材58は、少なくとも第1操作と第2操作とを独立して行うことができるものであれば、レバーに限定されない。
第2操作部材58の下部には、複数のパイロット弁59が設けられている。複数のパイロット弁59は、第2操作部材58の操作に応じて作動油の圧力を変更可能である。詳しく説明すると、パイロット弁59は、第2操作部材58と当接するロッドを有している。つまり、第2操作部材58の操作に応じて、ロッドが押されることで、パイロット弁59から出力される作動油の圧力が変更される。複数のパイロット弁59は、パイロット弁59A、パイロット弁59B、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dである。パイロット弁59A、パイロット弁59B、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dは、吐出油路40に接続されている。
パイロット弁59Aは、第2操作(前後の操作)のうち前操作で作動する弁であって、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁59Bは、第1操作(前後の操作)のうち後操作で作動する弁であって、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁59A及びパイロット弁59Bは、第1操作によって作動する弁であり、走行操作に対応する動きをする。
パイロット弁59Cは、第1操作(左右の操作)のうち左操作で作動する弁であって、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。パイロット弁59Dは、第2操作(左右の操作)のうち右操作で作動する弁であって、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。つまり、パイロット弁59C及びパイロット弁59Dは、第2操作によって作動する弁であり、作業操作に対応する動きをする。
以上のことから、複数のパイロット弁のうち、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁59A、パイロット弁59Bは、走行操作に対応して作動し、パイロット弁55C、パイロット弁55D、パイロット弁59C、パイロット弁59Dは、作業操作に対応して作動する。説明の便宜上、パイロット弁55A、パイロット弁55B、パイロット弁59A、パイロット弁59Bのことを、走行パイロット弁ということがある。走行パイロット弁のうち、第1操作部材54の一方向(例えば、前)によって作動するパイロット弁55Aのことを「第1パイロット弁」といい、第1操作部材54の他方向(例えば、後)によって作動するパイロット弁55Bのことを「第2パイロット弁」といい、第2操作部材58の一方向(例えば、前)によって作動するパイロット弁59Aのことを「第3パイロット弁」といい、第2操作部材58の他方向(例えば、後)によって作動するパイロット弁59Bのことを「第4パイロット弁」という。
次に、走行パイロット弁、作業パイロット弁、油圧機器との関係について説明する。図1及び図2に示す符号「W1」、「W2」、「D1」、「D2」は油路の接続先を示している。
走行パイロット弁と、走行系の油圧機器(走行油圧機器)の1つである走行ポンプ53L,53Rとは、走行油路45によって接続されている。走行油路45は、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dを有している。第1走行油路45aは、第1パイロット弁55Aと走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第2走行油路45bは、第2パイロット弁55Bと走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bとを接続する油路である。第3走行油路45cは、第3パイロット弁59Aと走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aとを接続する油路である。第4走行油路45dは、第4パイロット弁59Bと走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bとを接続する油路である。
第1操作部材54を前側に傾動させると、第1パイロット弁55Aが操作されて当該第1パイロット弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの前進用受圧部53aに作用する。第2操作部材58を前側に傾動させると、第3パイロット弁59Aが操作されて当該第3パイロット弁59Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの前進用受圧部53aに作用する。
第1操作部材54を後側に傾動させると、第2パイロット弁55Bが操作されて当該第2パイロット弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Lの後進用受圧部53bに作用する。第2操作部材58を後側に傾動させると、第4パイロット弁59Bが操作されて当該第4パイロット弁59Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、走行ポンプ53Rの後進用受圧部53bに作用する。
したがって、第1操作部材54と第2操作部材58とを前側に揺動すると、走行モータ(HSTモータ)36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で正転し、その結果、作業機1が前方に直進する。第1操作部材54と第2操作部材58とを後側に揺動すると、走行モータ36は、第1操作部材54及び第2操作部材58の揺動量に比例した速度で逆転して、その結果、作業機1が後方に直進する。
また、第1操作部材54と第2操作部材58とのうち、一方を前側に揺動し、他方を後側に揺動すると、左側の走行モータ36と右側の走行モータ36とが異なる方向に回転して、その結果、作業機1が右又は左に旋回する。
以上、第1操作部材54を前後に動かしたり、第2操作部材58を前後に動かすことによって、作業機1を前進、後進、右旋回、左旋回させる走行操作を行うことができる。
また、作業パイロット弁と、作業系の油圧機器(作業油圧機器)の1つである制御弁56とは、作業油路46によって接続されている。作業油路46は、第1作業油路46a、第2作業油路46b、第3作業油路46c、第4作業油路46dを有している。第1作業油路46aは、パイロット弁55Cと第1制御弁56Aの受圧部とを接続する油路である。第2作業油路46bは、パイロット弁55Dと第1制御弁56Aの受圧部とを接続する油路である。第3作業油路46cは、パイロット弁59Cと第2制御弁56Bの受圧部とを接続する油路である。第4作業油路46dは、パイロット弁59Dと第2制御弁56Bの受圧部とを接続する油路である。
第1操作部材54を左側に傾動させると、パイロット弁55Cが操作されて当該パイロット弁55Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14が伸長して、ブーム10は上昇する。第1操作部材54を右側に傾動させると、パイロット弁55Dが操作されて当該パイロット弁55Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14は収縮して、ブーム10は下降する。第2操作部材58を左側に傾動させると、パイロット弁59Cが操作されて当該パイロット弁59Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は収縮して、バケット11がスクイ動作する。第2操作部材58を右側に傾動させると、パイロット弁59Dが操作され当該パイロット弁59Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は伸長して、バケット11がダンプ動作する。
したがって、第1操作部材54を左右に動かしたり、第2操作部材58を左右に動かすことによって、ブーム10の昇降、バケットのダンプ動作或いはスクイ動作等の作業操作を行うことができる。
さて、油圧システムは、油圧ポンプと、第1油圧機器と、第2油圧機器と、操作部材と、操作弁と、を備えている。本実施形態において、油圧ポンプは、第1油圧ポンプP1である。第1油圧機器は、第2制御弁56Bである。第2油圧機器は、第1制御弁56Aである。操作部材は、第2操作部材58である。操作弁は、パイロット弁59C,59Dである。また、油圧システムは、供給油路を備えている。本実施形態において、供給油路は、パイロット弁59Cと第2制御弁56Bを接続する第3作業油路46cと、パイロット弁59Dと第2制御弁56Bを接続する第4作業油路46dである。第2制御弁56Bは、第1受圧部76aと、第2受圧部76bとを有し、且つ第1受圧部76a及び第2受圧部76bにそれぞれ作用した作動油の圧力差によって操作可能である。具体的には、第1受圧部76aは、第3作業油路46cが接続されている。第1受圧部76bは、第4作業油路46dが接続されている。つまり、第2制御弁56Bは、第1受圧部76a及び第2受圧部76bに作用した作動油のパイロット圧の圧力差によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。
油圧システムは、分岐油路64と、電磁弁65とを有している。分岐油路64は、第3作業油路46cに合流する第1分岐油路64aと、第4作業油路46dに合流する第2分岐油路64bを含む。
電磁弁65は、ソレノイドを励磁することによって開度が変更可能な電磁比例弁(比例弁)である。つまり、電磁弁65は、通過する作動油の流量を変更可能である。電磁弁65は、第1分岐油路64aに接続された第1電磁弁65aと、第2分岐油路64bに接続された第2電磁弁65bを含む。電磁弁65は、入側を第1油圧ポンプP1と接続され、且つ出側を分岐油路64と接続されている。詳しく説明すると、第1電磁弁65aは、出側を第1分岐油路64aと接続されている。第2電磁弁65bは、出側を第2分岐油路64bと接続されている。電磁弁65によれば、全閉の状態から開度を変更すると、作業油路46c,46dが、第1油圧ポンプP1と繋がる。つまり、油圧ポンプP1から第2制御弁56Bに、電磁弁65を介して作動油を作用することができる。具体的には、第1油圧ポンプP1が吐出した作動油は、電磁弁65及び分岐油路64を介して作業油路46c,46dにそれぞれ合流させることができる。これによって、油圧ポンプP1が吐出した作動油を第2制御弁56Bに作用することができる。
油圧システムは、変更部51を備えている。変更部51は、パイロット弁59C,59Dと電磁弁65とのいずれか一方を作動させる第1状態と、パイロット弁59C,59Dと電磁弁65との両方を作動させる第2状態とに変更可能である。変更部51は、シャトル弁85,86を有している。シャトル弁85は、作業油路46と分岐油路64の合流部66に設けられている。シャトル弁86は、第4作業油路46dと、第2分岐油路64bとが合流する第2合流部66bに設けられている。
パイロット弁59C又は電磁弁65のいずれかが作動した場合(第1状態である場合)は、シャトル弁85は、作動したパイロット弁59C又は電磁弁65で設定された作動油の圧力を、第1受圧部76aに伝達する。
パイロット弁59D又は電磁弁65のいずれかが作動した場合(第1状態である場合)は、シャトル弁86は、作動したパイロット弁59D又は電磁弁65で設定された作動油の圧力を、第2受圧部76bに伝達する。
また、パイロット弁59Cと電磁弁65との両方が作動した場合(第2状態である場合)は、シャトル弁85は、作動したパイロット弁59C又は電磁弁65のうち、高い作動油の圧力を、第1受圧部76aに伝達する。
パイロット弁59Dと電磁弁65との両方が作動した場合(第2状態である場合)は、シャトル弁85は、作動したパイロット弁59D又は電磁弁65のうち、高い作動油の圧力を、第2受圧部76bに伝達する。
したがって、変更部51は、第1状態である場合は、操作弁59C、59Dで設定された作動油の圧力、又は、電磁弁65で設定された作動油の圧力を、制御弁56等の第1油圧機器に付与して、当該第1油圧機器を作動させることができる。一方、変更部51は、第2状態である場合は、操作弁59C、59Dで設定された作動油の圧力及び電磁弁65で設定された作動油の圧力のいずれかを、制御弁56等の第1油圧機器に付与して、当該第1油圧機器を作動させることができる。
また、変更部51は、制御装置90を備えている。制御装置90は、電磁弁65を制御する。制御装置90は、CPU等から構成されていて、制御装置90に接続された機器に関する様々な処理を行う。制御装置90について具体的に説明すると、制御装置90には、ブーム10の角度を検出する角度検出部91が接続されている。制御装置90は、水平制御モードに切り換え可能である。水平制御モードは、オペレータが第2操作部材58の操作を行わなくとも、バケット11の角度を一定に保つモードである。水平制御モードへの切換は、制御装置90に接続されたスイッチ92によって行う。スイッチ92は、制御装置90に水平制御モードへの切換を指示する部材である。スイッチ92が押圧されると、水平制御モードへの切換をするよう制御装置90に信号が出力される。一方、スイッチ92が再度押圧されれば、水平制御モードが解除される。スイッチ92は、モーメンタリスイッチやオルタネートスイッチ等の押しボタンスイッチ92である。なお、スイッチ92は、モーメンタリスイッチやオルタネートスイッチの押しボタンスイッチ92に限定されず、制御装置90に信号を出力するスイッチ92であれば何でもよい。
水平制御モードが解除されている場合、パイロット弁59C,59Dから第2制御弁56Bに作動油を作用させる。また、制御装置90は、電磁弁65を閉鎖する。一方、水平制御モードに移行すると、制御装置90は、電磁弁65を制御して、当該電磁弁65から第2制御弁56Bに作動油を作用させる。言い換えれば、パイロット弁59C,59Dの作動油と、電磁弁65の作動油とのいずれか一方が第1油圧機器である第2制御弁56Bに作用される。
水平制御モードにおいて、制御装置90は、角度検出部91が検出したブーム角度に応じて、バケット11の操作を行う。言い換えれば、制御装置90は、ブームシリンダ14に接続された第2油圧機器である第1制御弁56Aの動きに応じて、電磁弁65を制御する。例えば、水平制御モードへの移行時からのブーム10の移動角度に基づいて、バケット角度を制御する。具体的に説明すると、ブームシリンダ14が収縮して、ブーム10が下降すると、制御装置90は、バケット11が当該ブーム10の移動角度と同値だけスクイ動作するよう電磁弁65を制御する。一方、ブームシリンダ14が伸長して、ブーム10は上昇すると、制御装置90は、バケット11が当該ブーム10の移動角度と同値だけダンプ動作するよう電磁弁65を制御する。即ち、バケット11は水平制御される。つまり、制御装置90は、第1制御弁56Aの動作に応じて、電磁弁65を制御する。これによって、ブームシリンダ14を介して、第1制御弁56Aに接続されたブーム10の移動角度に応じて、第2制御弁56Bに接続されたバケット11の移動角度を制御することができる。このため、上述した構成は簡単であって、取り外しが可能であるから、作業機1の油圧システムにバケット11の水平制御機能を導入することができる。なお、ブーム10の移動角度に応じて、バケット11を操作できればよく、角度検出部91の代わりにブームシリンダ14の伸長及び収縮距離を計測する検出装置が設けられていても良い。また、作業油路46に圧力センサを設けておき、制御装置90は、操作弁59C,59Dから出力された作動油の圧力に基づいて、第1電磁弁65a及び第2電磁弁65bの制御を行っても良い。
さて、シャトル弁85,86は、第1シャトル弁85と、第2シャトル弁86とを含む。合流部66は、第1合流部66aと、第2合流部66bとを含む。
第1シャトル弁85は、第3作業油路46cと、第1分岐油路64aとが合流する第1合流部66aに設けられている。第1シャトル弁85は、パイロット弁59Cと第2制御弁56Bとを連通し、第1電磁弁65aと第2制御弁56Bとの作動油を規制する第1位置と、パイロット弁59Cと第2制御弁56Bとの作動油を規制し、第1電磁弁65aと第2制御弁56Bとを連通する第2位置とを有している。即ち、パイロット弁59Cから第1シャトル弁85に作用する作動油の圧力が、第1電磁弁65aから当該第1シャトル弁85に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、パイロット弁59Cで設定された作動油の圧力が第1受圧部76aに作動油が作用する。係る場合において、第1電磁弁65aから第1シャトル弁85に作用する作動油は、第1受圧部76aに圧力がかからない。一方、第1電磁弁65aから第1シャトル弁85に作用する作動油の圧力が、パイロット弁59Cから当該第1シャトル弁85に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、第1電磁弁65aで設定された作動油の圧力が第1受圧部76aに作動油が作用する。係る場合において、パイロット弁59Cから第1シャトル弁85に作用する作動油は、第1受圧部76aに圧力がかからない。
第2シャトル弁86は、第4作業油路46dと、第2分岐油路64bとが合流する第2合流部66bに設けられている。第2シャトル弁86は、パイロット弁59Dと第2制御弁56Bとを連通し、第2電磁弁65bと第2制御弁56Bとの作動油を規制する第1位置と、パイロット弁59Dと第2制御弁56Bとの作動油を規制し、第2電磁弁65bと第2制御弁56Bとを連通する第2位置とを有している。即ち、パイロット弁59Dから第2シャトル弁86に作用する作動油の圧力が、第2電磁弁65bから当該第2シャトル弁86に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、パイロット弁59Dで設定された作動油の圧力が第2受圧部76bに作動油が作用する。係る場合において、第2電磁弁65bから第2シャトル弁86に作用する作動油は、第2受圧部76bに圧力がかからない。一方、第2電磁弁65bから第2シャトル弁86に作用する作動油の圧力が、パイロット弁59Dから当該第2シャトル弁86に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、第2電磁弁65bで設定された作動油の圧力が第2受圧部76bに作動油が作用する。係る場合において、パイロット弁59Dから第2シャトル弁86に作用する作動油は、第2受圧部76bに圧力がかからない。これによって、作業油路46c,46dの作動油と、分岐油路64の作動油とで、圧力が高い方の作動油を第2制御弁56Bに作用させることができる。一方、作業油路46c,46dの作動油と、分岐油路64の作動油とで、圧力が低い方の作動油による第2制御弁56Bへの作用を阻止することができる。このため、パイロット弁59C,59D側と、電磁弁65とのいずれか一方から第2制御弁56Bへ作用させることができる。
第3作業油路46cにおける第1シャトル弁85の出側と第1受圧部76aとの間と、第4作業油路46dにおける第2シャトル弁86の出側と第2受圧部76bとの間と、にはそれぞれバイパス逆止弁96が設けられている。バイパス逆止弁96は、パイロット弁59C,59Dから第2制御弁56Bへの作動油の流れを許容し、第2制御弁56Bからパイロット弁59C,59Dへの作動油の流れを阻止する。バイパス逆止弁96の入側及び出側には、バイパス油路95が設けられ、バイパス油路95には絞り97が設けられている。絞り97は、作動油の流量を低減する。絞り97は、例えば、バイパス油路95の一部を他の部分よりも細くすることにより構成されている。言い換えれば、バイパス油路95において作動油が流れる部分の断面積を他の部分よりも小さくすることにより構成されている。なお、上記構成は、走行系の油圧システムに適用してもよい。
図3は、第1実施形態の第1の変形例を示している。作業油路46は、第1逆止弁71と、第2逆止弁72を有している。第1逆止弁71は、作業油路46c,46dにおいて、作業油路46c,46dと分岐油路64との合流部66と、パイロット弁59C,59Dとの間に設けられている。即ち、第1逆止弁71は、第3作業油路46cと、第4作業油路46dとのそれぞれに設けられている。具体的に説明すれば、第1逆止弁71は、パイロット弁59C,59Dから合流部66に向かう作動油の流れを許容し、合流部66からパイロット弁59C,59Dに向かう作動油の流れを規制する。
一方、第2逆止弁72は、第3作業油路46cに接続された第1分岐油路64aと、第4作業油路46dに接続された第2分岐油路64bとにそれぞれ設けられている。第2逆止弁72は、電磁弁65から合流部66に向かう作動油の流れを許容し、合流部66から電磁弁65に向かう作動油の流れを規制する。これによって、パイロット弁59C,59D側から第2制御弁56B側に向かって流れる作動油を許容し、第2制御弁56B及び電磁弁65側からパイロット弁59C,59D側に向かって流れる作動油を阻止することができる。また、電磁弁65側から第2制御弁56B側に向かって流れる作動油を許容し、第2制御弁56B及びパイロット弁59C,59D側から電磁弁65側に向かって流れる作動油を阻止することができる。このため、第2制御弁56B及び電磁弁65側からパイロット弁59C,59Dへの作動油の逆流を防止することができる。また、第2制御弁56B及びパイロット弁59C,59D側から電磁弁65への作動油の逆流を防止することができる。なお、上述した変形例において、第2操作部材58の操作のみで、第2制御弁56Bを操作してもよいし、制御装置90の制御のみで第2制御弁56Bを操作してもよい。また、第2操作部材58及び制御装置90の両方の操作で第2制御弁56Bを操作してもよい。
図4は、第1実施形態の第2の変形例を示している。第1電磁弁65aは、入側を第2作業油路46bと接続され、且つ出側を分岐油路64aと接続されている。つまり、水平制御モードにおいて、制御装置90が第1電磁弁65aを閉鎖から開口すると、パイロット弁55Dから出力された作動油は、第2作業油路46bと第1電磁弁65aとを介して、分岐油路64aに流入する。係る場合において、ブームシリンダ14とバケットシリンダ15の動作について詳しく説明すると、パイロット弁55Dが出力した作動油は、第1制御弁56Aの受圧部に作用して、ブームシリンダ14は収縮して、ブーム10は下降する。また、当該パイロット弁55Dが出力した作動油は、第2制御弁56Bの第1受圧部76aに作用し、バケットシリンダ15は収縮して、バケット11がスクイ動作する。即ち、上記構成によれば、制御装置90が第1電磁弁65aの開度を制御することで、ブーム10の下降に応じて、バケット11のスクイ動作を制御することができる。つまり、バケット11の水平制御が可能である。
上述した作業機1の油圧システムは、油圧ポンプP1と、第1油圧機器56Bと、操作部材58と、操作弁59C,59Dと、電磁弁65と、制御装置90と、変更部51と、を備えている。これによって、第1油圧機器56Bに、操作弁59C,59Dと電磁弁65との異なる2系統から作動油を作用させることができる。このため、オペレータによる操作部材58の操作とは別に、制御装置90が電磁弁65を開口し、第1油圧機器56Bに作動油を作用させることで、容易に第1油圧機器56Bを操作することができる。
また、作業機1の油圧システムは、第2油圧機器56Aを備え、制御装置90は、第2油圧機器56Aの動作に応じて、電磁弁65を制御する。これによって、第2油圧機器56Aに接続された油圧機器14の動作角度に応じて、第1油圧機器56Bに接続された油圧機器15の動作角度を制御することができる。このため、上述した構成は簡単であって、取り外し可能であるため、作業機1の油圧システムに水平制御機能を導入することができる。
また、作業機1の油圧システムは、供給油路46c,46dと、分岐油路64と、を備えている。これによって、第1油圧機器56Bに、操作弁59C,59Dが接続された供給油路46c,46dと、電磁弁65が設けられた分岐油路64との異なる2系統の油路から作動油を作用させることができる。このため、オペレータによる操作部材58の操作とは別に、制御装置90が電磁弁65を開口し、分岐油路64を介して第1油圧機器56Bに作動油を作用させることで、容易に第1油圧機器56Bを操作することができる。
また、変更部51は、シャトル弁85,86を備えている。これによって、供給油路46c,46dを流れる作動油と、分岐油路64を流れる作動油とで、圧力が高い方の作動油を第1油圧機器56Bに作用させることができる。一方、供給油路46c,46dの作動油と、分岐油路64の作動油とで、圧力が低い方の作動油の流れを阻止することができる。このため、操作弁59C,59D側と、電磁弁65とのいずれか一方から第1油圧機器56Bへ作用させることができる。
また、作業機1の油圧システムは、第1逆止弁71と、第2逆止弁72と、を備えている。これによって、操作弁59C,59D側から第1油圧機器56B側に向かって流れる作動油を許容し、第1油圧機器56B及び電磁弁65側から操作弁59C,59D側に向かって流れる作動油を阻止することができる。また、電磁弁65側から第1油圧機器56B側に向かって流れる作動油を許容し、第1油圧機器56B及び操作弁59C,59D側から電磁弁65側に向かって流れる作動油を阻止することができる。このため、第1油圧機器56B及び電磁弁65側から操作弁59C,59Dへの作動油の逆流を防止することができる。また、第1油圧機器56B及び操作弁59C,59D側から電磁弁65への作動油の逆流を防止することができる。
また、第1油圧機器56Bは、バケット制御弁56Bであり、第2油圧機器56Aは、ブーム制御弁56Aである。これによって、ブームシリンダ14を介して、ブーム制御弁56Aに接続されたブーム10の動作角度に応じ、バケットシリンダ15を介して、バケット制御弁56Bに接続されたバケット11の動作角度を制御することができる。このため、上述した構成は簡単であって、取り外し可能であるため、作業機1の油圧システムに水平制御機能を導入することができる。
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る油圧システムを示している。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
さて、油圧システムは、油圧ポンプと、第1油圧機器と、操作部材と、操作弁と、を備えている。本実施形態において、油圧ポンプは、第1油圧ポンプP1である。第1油圧機器は、第1制御弁56A及び第2制御弁56Bである。操作部材は、第1操作部材54及び第2操作部材58である。操作弁は、パイロット弁55C,55D,59C,59Dである。また、油圧システムは、供給油路を備えている。本実施形態において、供給油路は、パイロット弁55Cと第1制御弁56Aを接続する作業油路46aと、パイロット弁55Dと第1制御弁56Aを接続する第2作業油路46bと、パイロット弁59Cと第2制御弁56Bを接続する第3作業油路46cと、パイロット弁59Dと第2制御弁56Bを接続する第4作業油路46dである。第1制御弁56Aは、第1受圧部75aと、第2受圧部75bとを有し、且つ第1受圧部75a及び第2受圧部75bにそれぞれ作用された作動油の圧力差によって操作可能である。具体的には、第1受圧部75aは、第1作業油路46aが接続されている。第2受圧部75bは、第2作業油路46bが接続されている。つまり、第1制御弁56Bは、第1受圧部75a及び第2受圧部75bに作用する作動油のパイロット圧の圧力差によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。
分岐油路64は、第1作業油路46aに合流する第3分岐油路64cと、第2作業油路46bに合流する第4分岐油路64dを含む。
電磁弁65は、第3分岐油路64cに接続された第3電磁弁65cと、第4分岐油路64dに接続された第4電磁弁65dを含む。第3電磁弁65cは、出側を第3分岐油路64cと接続されている。第4電磁弁65dは、出側を第4分岐油路64dと接続されている。電磁弁65によれば、全閉の状態から開度を変更すると、作業油路46a,46bが、第1油圧ポンプP1と繋がる。つまり、油圧ポンプP1から第1制御弁56Aに、電磁弁65を介して作用させることができる。具体的には、油圧ポンプP1が吐出した作動油は、電磁弁65及び分岐油路64を介して作業油路46a,46bに作用させることができる。これによって、油圧ポンプP1が吐出した作動油を第1制御弁56Aに作用させることができる。
変更部51は、シャトル弁87,88を有している。シャトル弁87,88は、作業油路46a,46bと分岐油路64の合流部66に設けられ、且つ、パイロット弁55C,55Dと第1制御弁56Aとを連通し、電磁弁65と第1制御弁56Aとの作動油を規制する第1位置と、パイロット弁55C,55Dと第1制御弁56Aとの作動油を規制し、電磁弁65と第1制御弁56Aとを連通する第2位置とを有している。シャトル弁87,88について具体的に説明すると、シャトル弁87,88は、第3シャトル弁87と、第4シャトル弁88とを含む。合流部66は、第3合流部66cと、第4合流部66dとを含む。
第3シャトル弁87は、第1作業油路46aと、第3分岐油路64cとが合流する第3合流部66cに設けられている。第3シャトル弁87は、パイロット弁55Cと第1制御弁56Aとを連通し、第3電磁弁65cと第1制御弁56Aとの作動油を規制する第1位置と、パイロット弁55Cと第1制御弁56Aとの作動油を規制し、第3電磁弁65cと第1制御弁56Aとを連通する第2位置とを有している。即ち、パイロット弁55Cから第3シャトル弁87に作用する作動油の圧力が、第3電磁弁65cから当該第3シャトル弁87に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、パイロット弁55Cで設定された作動油の圧力が第1受圧部75aに作動油が作用する。係る場合において、第3電磁弁65cから第3シャトル弁87に作用する作動油は、第1受圧部75aに圧力がかからない。一方、第3電磁弁65cから第3シャトル弁87に作用する作動油の圧力が、パイロット弁55Cから当該第3シャトル弁87に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、第3電磁弁65cで設定された作動油の圧力が第1受圧部75aに作動油が作用する。係る場合において、パイロット弁55Cから第3シャトル弁87に作用する作動油は、第1受圧部75aに圧力がかからない。
第4シャトル弁88は、第2作業油路46bと、第4分岐油路64cとが合流する第4合流部66dに設けられている。第4シャトル弁88は、パイロット弁55Dと第1制御弁56Aとを連通し、第4電磁弁65dと第1制御弁56Aとの作動油を規制する第1位置と、パイロット弁55Dと第1制御弁56Aとの作動油を規制し、第4電磁弁65dと第1制御弁56Aとを連通する第2位置とを有している。即ち、パイロット弁55Dから第4シャトル弁88に作用する作動油の圧力が、第4電磁弁65dから当該第4シャトル弁88に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、パイロット弁55Dで設定された作動油の圧力が第2受圧部75bに作動油が作用する。係る場合において、第4電磁弁65dから第4シャトル弁88に作用する作動油は、第2受圧部75bに圧力がかからない。一方、第4電磁弁65dから第4シャトル弁88に作用する作動油の圧力が、パイロット弁55Dから当該第4シャトル弁88に作用する作動油の圧力よりも大きい場合、第4電磁弁65dで設定された作動油の圧力が第2受圧部75bに作動油が作用する。係る場合において、パイロット弁55Dから第4シャトル弁88に作用する作動油は、第2受圧部75bに圧力がかからない。
第1作業油路46aにおける第3シャトル弁87の出側と第1受圧部75aとの間と、第2作業油路46bにおける第4シャトル弁88の出側と第2受圧部75bとの間と、にはそれぞれバイパス逆止弁96が設けられている。バイパス逆止弁96は、パイロット弁から第1制御弁への作動油の流れを許容し、第1制御弁からパイロット弁への作動油の流れを阻止する。バイパス逆止弁96の入側及び出側には、バイパス油路95が設けられ、バイパス油路95には絞り97が設けられている。
変更部51は入力装置93を有している。入力装置93は、制御装置90に接続されている。入力装置93は、複数のスライドスイッチ93a,93bを含む。詳しくは、入力装置93は、第1制御弁56A及び第2制御弁56Bへの作動油の供給量、即ち、電磁弁65から出力される作動油の供給量を変更する操作ができる操作装置である。言い換えれば、入力装置93は、制御弁56A,56Bに接続された電磁弁65の開度を設定する操作装置である。スライドスイッチ93a,93bは、例えばスライドボリュームのように、移動量(操作量)を検出することができる可変抵抗器である。スライドスイッチ93a,93bの操作信号は、制御装置90に入力される。例えば、スライドスイッチ93aを一方方向に摺動すると、制御装置90は、当該スライドスイッチ93aに対応付けられた第1電磁弁65aを開くよう制御する。スライドスイッチ93aを他方方向に摺動させると、制御装置90は、第2電磁弁65bを開くよう制御する。つまり、スライドスイッチ93aを操作すると、第2制御弁56B及びバケットシリンダ15を介してバケット11を操作することができる。また、スライドスイッチ93bを一方方向に摺動すると、制御装置90は、当該スライドスイッチ93bに対応付けられた第3電磁弁65cを開くよう制御する。スライドスイッチ93bを他方方向に摺動させると、制御装置90は、第4電磁弁65dを開くよう制御する。つまり、スライドスイッチ93bを操作すると、第1制御弁56A及びブームシリンダ14を介してブーム10を操作することができる。なお、入力装置93は、スライドスイッチ93a,93bに限定されず、制御装置90に信号を入力するものであれば何でもよい。例えば、操作装置がプッシュスイッチの場合、プッシュスイッチが押圧されると、操作対象の電磁弁65が所定の大きさに開口されるようなものでもよい。また、スライドスイッチ93a,93bの操作対象は、ブーム10又はバケット11に限定されず、作業機1に設けられた油圧機器であればなんでもよい。これによって、オペレータは、第1操作部材54及び第2操作部材58を操作してパイロット弁55C,55D,59C,59Dを介する油圧系統と、複数のスライドスイッチ93a,93bを操作して、制御装置90及び電磁弁65を介する電気系統との2系統とで、ブームシリンダ14及びバケットシリンダ15を操作することができる。即ち、作業機1の油圧システムは、操作性や耐久性に優れた油圧系統を備え、加えて微細な操作が可能であって、且つ汎用性に優れた電気系統との2系統の操作系統を備える。なお、第2実施形態における作業系の油圧システムは、走行系の油圧システムに適用してもよい。
上述した作業機1の油圧システムは、入力装置93を備え、制御装置90は、入力装置93の操作に応じて電磁弁65を制御する。これによって、オペレータは、入力装置93を操作することで、第1油圧機器56Bを操作することができる。このため、操作部材58を操作して操作弁59C,59Dを介する油圧系統と、入力装置93を操作して、制御装置90及び電磁弁65を介する電気系統との2系統とで、第1油圧機器56Bを操作することができる。即ち、作業機1の油圧システムは、耐久性と操作性に優れた油圧系統を備え、加えて微細な操作が可能であって、且つ汎用性に優れた電気系統との2系統の操作系統を備える。
図6は、上述した実施形態の第3の変形例を示している。図6に示すように、第3の変形例では、第1油圧機器は、第2制御弁(バケット制御弁)56Bであり、電磁弁65は、第2制御弁(バケット制御弁)56Bを操作可能な第1電磁弁65a、第2電磁弁65bである。なお、第1油圧機器は、第2制御弁56Bに限定されず、他の制御弁であってもよいし、制御弁以外の油圧機器であってもよい。また、電磁弁65は、第1電磁弁65a及び第2電磁弁65bに限定されず、他の電磁弁であってもよい。
図6に示すように、作業機の油圧システムは、複数の第1接続油路101と、複数の第2接続油路102とを有している。複数の第1接続油路101は、第1電磁弁65aと第2制御弁56Bの第1受圧部76aとを接続する油路101aと、第2電磁弁65bと第2制御弁56Bの第2受圧部76bとを接続する油路101bとである。複数の第2接続油路102は、第1電磁弁65aとパイロット弁59Cとを接続する油路102aと、第2電磁弁65bとパイロット弁59Dとを接続する油路102bとである。
さて、第3の変形例では、上述した実施形態とは異なり、第1電磁弁65a及び第2電磁弁65bの接続方法が異なっている。第1電磁弁65a及び第2電磁弁65bは、一次ポート111、二次ポート112及び三次ポート113を有している。一次ポート111は、油圧ポンプP1から吐出した作動油が導入されるポートである。二次ポート112は、第1接続油路101(油路101a、油路101b)に接続され且つ一次ポート111に導入された作動油が通過可能なポートである。三次ポート113は、第2接続油路102(油路102a、油路102b)に接続されたポートである。
言い換えれば、三次ポート113は、電磁弁65(第1電磁弁65a、第2電磁弁65b)において、一般的に作動油を外部に排出するための排出ポートであり、一次ポート111を油圧ポンプP1に接続し、二次ポート112を第1接続油路101(油路101a、油路101b)に接続し、排出ポートを第2接続油路102(油路102a、油路102b)に接続している。
第1電磁弁65a及び第2電磁弁65bのそれぞれは、内部油路120と、内部排出油路121とを有している。内部油路120は、内部に設けられた油路であって、一次ポート111と三次ポート(排出ポート)113とを接続する油路である。内部排出油路121は、内部に設けられた油路であって、内部油路120に連通し且つ内部油路120の作動油を外部に排出する油路である。
以上、第3の変形例の作業機の油圧システムは、電磁弁65(第1電磁弁65a、第2電磁弁65b)と第1油圧機器(第2制御弁56B)とを接続する第1接続油路101と、操作弁59C,59Dと電磁弁(第1電磁弁65a、第2電磁弁65b)とを接続する第2接続油路102とを備えている。また、電磁弁(第1電磁弁65a、第2電磁弁65b)は、油圧ポンプP1から吐出した作動油が導入される一次ポート111と、第1接続油路101に接続され且つ一次ポート111に導入された作動油が通過可能な二次ポート112と、第2接続油路102に接続された三次ポート113とを有している。即ち、電磁弁(第1電磁弁65a、第2電磁弁65b)は、一次ポート111、二次ポート112及び排出ポート113を有し、一次ポート111を油圧ポンプP1に接続し、二次ポート112を第1接続油路101に接続し、排出ポート113を第2接続油路112に接続している。これによれば、例えば、入力装置(操作装置)93を操作していない状況下において、第2操作部材58を操作すれば、パイロット弁59C、パイロット弁59Dから出力された作動油が、三次ポート(排出ポート)113を通過して二次ポート112から第1油圧機器101(油路101a、油路101b)へ流れるため、第2制御弁(バケット制御弁)56Bを操作することができる。
また、第2操作部材58を操作していない状況下において、入力装置(操作装置)93を操作すれば、一次ポート111に油圧ポンプP1からの作動油が導入され、二次ポート112から第1油圧機器101(油路101a、油路101b)へ流れるため、第2制御弁(バケット制御弁)56Bを操作することができる。つまり、上述した実施形態と比べると、第1逆止弁71、第2逆止弁72、シャトル弁87,88を設けなくても、簡単に第2制御弁(バケット制御弁)56Bを操作することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。