JP2020001989A - 炭酸カルシウム製造工程用添加剤および炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な製造工程や面倒な工程管理を行うことなく、炭酸カルシウムの結晶形態を制御することが可能な炭酸カルシウムの製造工程用添加剤および炭酸カルシウムの製造方法を提供する。【解決手段】炭酸カルシウムの製造工程において、炭酸カルシウム結晶を制御するための炭酸カルシウム製造工程用添加剤であって、重量平均分子量が10000〜50000の範囲のエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含む重合体の金属塩を有効成分として含有することを特徴とする炭酸カルシウム製造工程用添加剤、及び炭酸カルシウムの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、プラスチック、製紙、ゴム、塗料、インク、化粧品等の分野でフィラー(充填材)、緩衝剤、増量剤等の用途に使用される炭酸カルシウムの製造工程用添加剤及びそれを用いた炭酸カルシウムの製造方法に関する。
工業用炭酸カルシウムは、従来からプラスチック、製紙、ゴム、塗料、インク、化粧品等の分野でフィラー、緩衝剤、増量剤等の用途で広く使用されており、蛍光体、電子材料、セラミックス等の原料としても使用されている。工業用炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムと合成炭酸カルシウムに大別できる。重質炭酸カルシウムは石灰石を機械的に粉砕、分級して各粒度の粉体としたものであるが、粒子形状が不定形であるため用途が限定されていた。一方、合成炭酸カルシウムは、その製造方法を変えることにより粒子形状、粒子径等を用途や目的に応じて設定することができ、利点が多い。
合成炭酸カルシウムの代表的な製造方法として、生石灰を水で消化させる消和工程により得られる水酸化カルシウムの水性懸濁液に、炭酸含有ガスを吹き込む炭酸化工程を起こし炭酸カルシウムを得る炭酸ガス法が一般的である。今日では、炭酸カルシウムの合成工程、特に炭酸化工程の反応条件を制御することで炭酸カルシウムの粒子径や粒子形状をコントロールする方法や、各種添加物を加えることによって粒子径をコントロールする方法が提案されている。
製紙用填料として使用される合成炭酸カルシウムに求められる性能として凝集が少なく、良好な分散性があげられる。さらに塗工紙用顔料として使用する場合であれば、光沢性、不透明度、インキ着肉性、インキセット性などの性能が求められる。また合成炭酸カルシウムは、プラスチックやゴム等の力学的補強効果や耐熱性付与効果を有しており、アスペクト比(短径に対する長径の比)が大きいほど力学的補強効果や耐熱性付与効果が高くなる。このため、アスペクト比が大きい炭酸カルシウムの製造方法が検討されている。
アスペクト比が大きい炭酸カルシウムを製造する方法としては、消石灰水性懸濁液に二酸化炭素含有ガスを吹き込む際の条件を三段階にわたって制御する方法(特許文献1)、炭酸化率により昇温温度を制御しながら強制加温を行うような方法(特許文献2)が提案されている。これらの方法では合成条件および制御を厳密に規定する必要が有り、且つ合成条件が比較的狭い範囲に限られるため、操作が複雑となる。
また、微小な針状炭酸カルシウム種結晶を添加してアスペクト比が大きい炭酸カルシウムを製造する方法が特許文献3乃至5にて提案されている。これらの方法にて、合成条件の幅を広げることに成功しているが、やはり撹拌力の調整や温度管理、反応温度に際して硫酸化合物の追加添加などが必要などの問題点を有している。
複雑な工程管理の必要ない合成炭酸カルシウムの製造方法としては特許文献6に提案されているように脂肪酸又はビニル酢酸のアルカリ塩を炭酸化反応前後に添加する方法や、特許文献7に提案されているようにポリカルボン酸又はそのアンモニウム塩を炭酸化反応前や反応途中に加える方法が提案されている。これらの方法によって製造された炭酸カルシウムは微粒子で且つ凝集しにくく、保存安定性が高いものが得られる。しかし、この製造方法では、結晶の形態を制御することができず、力学的補強効果や耐熱性付与効果に必要なアスペクト比の大きな炭酸カルシウムや、塗工紙におけるインキ着肉性向上、インキセット性向上に必要な吸油量に優れた炭酸カルシウムを製造することはできなかった。
本発明の課題は、複雑な製造工程や面倒な工程管理を行うことなく、炭酸カルシウムの結晶形態を制御することが可能な炭酸カルシウムの製造工程用添加剤および炭酸カルシウムの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭酸カルシウムの製造時に重量平均分子量10000〜50000のエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含む重合体の金属塩を添加することにより本課題を達成でき、アスペクト比が8以上、さらには吸油量150(ml/100g)以上の炭酸カルシウム結晶を生成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、請求項1に係る発明は、炭酸カルシウムの製造工程において、炭酸カルシウム結晶を制御するための炭酸カルシウム製造工程用添加剤であって、重量平均分子量が10000〜50000の範囲のエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含む重合体の金属塩を有効成分として含有することを特徴とする炭酸カルシウム製造工程用添加剤である。
請求項2に係る発明は、エチレン性不飽和ジカルボン酸がイタコン酸であることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤である。
請求項3に係る発明は、合成した炭酸カルシウムのアスペクト比が8以上、及び吸油量が150(ml/100g)以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤を水性媒体中でカルシウム化合物と炭酸化合物を反応させて炭酸カルシウムを製造する工程に添加することを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法である。
本発明の炭酸カルシウムの製造工程用添加剤、及び製造方法で得られたアスペクト比が8以上の炭酸カルシウム結晶は、これを各種プラスチックに配合した場合、その結晶形状のために曲げ弾性率、曲げ強度、寸法安定性等に優れたプラスチックを得ることができる。また、本発明の炭酸カルシウム結晶は熱的に安定であるため、各種エンジニアリングプラスチックの原料として使用できる。また吸油性にも優れるため、塗工用顔料として適用することにより、光沢性、不透明度、インキ着肉性、インキセット性等に優れた塗工紙を得ることができる。
本発明では、複雑な製造工程、面倒な工程管理および種晶の添加を行うことなく、水性媒体中でカルシウム化合物と炭酸化合物を反応させて炭酸カルシウムを製造する工程において、重量平均分子量が10000〜50000の範囲のエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含む重合体の金属塩、中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸がイタコン酸である重合体の金属塩を添加することで、炭酸カルシウムの結晶の形態を制御することができる。
本発明に用いる水性媒体は、水又は親水性溶媒及びそれらの混合物であり、炭酸カルシウムを製造するために用いるカルシウム化合物及び炭酸化合物を所定濃度で溶解できる媒体である。
本発明において制御する結晶の形態とはアスペクト比であり、短径に対する長径の比である。
本発明に用いるカルシウム化合物は、水性媒体中にカルシウムイオンを放出するものであれば何でもよく、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、カルシウム含有鉱物等が使用できる。
本発明に用いる炭酸化合物は、水性媒体中に炭酸イオン、炭酸水素イオン、炭酸のいずれかを放出するものであれば何でもよく、二酸化炭素、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸塩含有鉱物等が使用できる。
本発明の炭酸カルシウムの製造方法において、カルシウム化合物と炭酸化合物の添加比率は特に限定されないが、通常はカルシウムと炭酸根の比率がほぼ等モルとなるように添加する。添加比率が等モルよりも著しく外れた場合、カルシウム化合物または炭酸化合物のいずれかの未反応成分が過剰となり経済的でない。水性媒体中における炭酸カルシウムの理論的生成濃度は特に限定されないが、通常1〜20重量%の範囲である。ここで炭酸カルシウムの理論的生成濃度は、カルシウムと炭酸根の添加モル濃度のうちの低い方のモル濃度から換算した値である。
本発明のカルシウム化合物と炭酸化合物を反応させて炭酸カルシウムを製造する工程における反応温度は特に限定されないが、好ましくは30〜120℃の範囲である。また、該工程におけるカルシウム化合物と炭酸化合物の添加方法は特に限定されないが、例えば水性媒体中にカルシウム化合物と炭酸化合物をそれぞれ別個に連続的に添加してもよく、カルシウム化合物を加えた水性媒体中に炭酸化合物を連続的に添加してもよく、炭酸化合物を加えた水性媒体中にカルシウム化合物を連続的に添加してもよい。
本発明で使用されるエチレン性不飽和ジカルボン酸を構成単位として含む重合体の金属塩は、ラジカル重合法等の公知の方法で製造でき、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸溶液にアゾ化合物や過酸化物等の重合開始剤を加えて加熱することにより目的の重合体を製造することができる。
本発明で使用される重合体の構成単位であるエチレン性不飽和ジカルボン酸とは、2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸は単独で重合してもよいし、2種以上の任意の種類の異なる単量体同士で共重合してもよい。エチレン性不飽和ジカルボン酸の単量体が単独で重合するとは、例えば、イタコン酸同士が重合するホモポリマーのことをいう。種類の異なるエチレン性不飽和カルボン酸同士が共重合するとは、例えば、イタコン酸とマレイン酸とが共重合するコポリマーのことをいう。本発明で使用される重合体の金属塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の部分中和塩、完全中和塩が挙げられる。
本発明で使用されるエチレン性不飽和ジカルボン酸を構成単位として含む重合体の重量平均分子量は、10000以上50000以下の範囲である場合に優れた効果を示す。重量平均分子量が10000未満及び50000を超えると、炭酸カルシウムの結晶の形態を制御できず、任意の結晶形態の炭酸カルシウムを製造できない。
本発明で使用されるエチレン性不飽和ジカルボン酸を構成単位として含む重合体の金属塩の好ましい添加量は、炭酸カルシウムの理論生成量に対して0.01〜10重量%の範囲である。該重合体の添加時期は、炭酸カルシウムの製造工程の前に水性媒体中に一括添加するか、あるいは炭酸カルシウムの製造工程の段階において連続的あるいは断続的に添加するのが好ましい。すなわち、本発明の重合体は炭酸カルシウムの結晶が生成する前か、あるいは結晶の成長段階に添加する必要があり、結晶生成が終了した段階で添加しても結晶の形態を制御することはできない。
本発明の炭酸カルシウムの製造方法においては、さらに公知の各種助剤を添加するこができる。例えば、キレート剤を炭酸化反応に添加することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸、シュウ酸などのジカルボン酸、グルコン酸などの糖酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩、アセト酢酸メチル、アセト酢酸アリルなどのケトン類、ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩やエステルおよびエーテル、アルコール系活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系やアミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩、アミノカルボン酸、ホスホン酸、縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸−マレイン酸共重合体アンモニウム塩、メタクリル酸−ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは炭酸化反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、炭酸カルシウムの理論生成量に対して、好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の量で添加することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
[重合体1の合成]
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸60g、水270g、連鎖移動剤を適量加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。フラスコ内に窒素ガスを通気しながら溶液を60℃に加温し、液温を維持しながら撹拌下に過硫酸ナトリウム0.5gを投入し、反応を開始した。2時間反応を継続した後、70℃に加温して、さらに2時間維持し、冷却して、ポリイタコン酸金属塩である表1記載の重合体1の水溶液を得た。高速液体クロマトグラフィーにより残存モノマー濃度を測定した結果、未反応のモノマーは0.1重量%未満であり、反応率は実質100%であることを確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定の結果、重量平均分子量は10000であった。
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸60g、水270g、連鎖移動剤を適量加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。フラスコ内に窒素ガスを通気しながら溶液を60℃に加温し、液温を維持しながら撹拌下に過硫酸ナトリウム0.5gを投入し、反応を開始した。2時間反応を継続した後、70℃に加温して、さらに2時間維持し、冷却して、ポリイタコン酸金属塩である表1記載の重合体1の水溶液を得た。高速液体クロマトグラフィーにより残存モノマー濃度を測定した結果、未反応のモノマーは0.1重量%未満であり、反応率は実質100%であることを確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定の結果、重量平均分子量は10000であった。
[重合体2、3、5、6の合成]
分子量を調整するため、連鎖移動剤の添加量を増減した以外は、重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体2、3、5,6の水溶液を得た。
分子量を調整するため、連鎖移動剤の添加量を増減した以外は、重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体2、3、5,6の水溶液を得た。
[重合体4の合成]
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸30g、マレイン酸30g、水270gを加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。その後の操作は重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体4の水溶液を得た。
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸30g、マレイン酸30g、水270gを加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。その後の操作は重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体4の水溶液を得た。
[重合体7の合成]
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸30g、アクリル酸30g、水270gを加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。その後の操作は重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体7の水溶液を得た。
500mlの4つ口セパラブルフラスコに、イタコン酸30g、アクリル酸30g、水270gを加え、撹拌下に冷却しながら25%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えて、pHを7.5とした。その後の操作は重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体7の水溶液を得た。
[重合体8の合成]
イタコン酸をアクリル酸に替えた以外は水溶性重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体8の水溶液を得た。
イタコン酸をアクリル酸に替えた以外は水溶性重合体1と同様の製造方法により、表1記載の重合体8の水溶液を得た。
(実施例1)
[炭酸カルシウムの製造]
水酸化カルシウム:Ca(OH)2の10重量%水性懸濁液400mlを、1000ml容量の反応容器に入れ、反応容器内に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガス法によって炭酸カルシウム粒子を合成した。炭酸化反応前に、Ca(OH)2の10重量%水性懸濁液中に重合体1をスラリーに対して1重量%添加した。反応温度は50℃、炭酸ガス吹き込み量は1.5L/minにて炭酸化反応を行い、反応液のpHが約7(25℃)になった段階で反応を停止し(反応前のpHは約12.8)、表1記載の炭酸カルシウムを得た。
[平均長径・アスペクト比]
走査型電子顕微鏡(SEM)により、製造した炭酸カルシウムの長径及び短径を測定し、アスペクト比を計算した。平均長径とアスペクト比を表1に記載した。
[吸油量]
JIS K 5101に従い、製造した炭酸カルシウムの吸油量を測定し、結果を表1に記載した。
[炭酸カルシウムの製造]
水酸化カルシウム:Ca(OH)2の10重量%水性懸濁液400mlを、1000ml容量の反応容器に入れ、反応容器内に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガス法によって炭酸カルシウム粒子を合成した。炭酸化反応前に、Ca(OH)2の10重量%水性懸濁液中に重合体1をスラリーに対して1重量%添加した。反応温度は50℃、炭酸ガス吹き込み量は1.5L/minにて炭酸化反応を行い、反応液のpHが約7(25℃)になった段階で反応を停止し(反応前のpHは約12.8)、表1記載の炭酸カルシウムを得た。
[平均長径・アスペクト比]
走査型電子顕微鏡(SEM)により、製造した炭酸カルシウムの長径及び短径を測定し、アスペクト比を計算した。平均長径とアスペクト比を表1に記載した。
[吸油量]
JIS K 5101に従い、製造した炭酸カルシウムの吸油量を測定し、結果を表1に記載した。
(実施例2〜4、比較例1〜5)
実施例1と同様な製造方法で、表1記載の炭酸カルシウムを得た。また、実施例1と同様な方法で平均長径、アスペクト比、吸油量を測定し、結果を表1に記載した。
実施例1と同様な製造方法で、表1記載の炭酸カルシウムを得た。また、実施例1と同様な方法で平均長径、アスペクト比、吸油量を測定し、結果を表1に記載した。
実施例1〜4の結果から、炭酸カルシウムの製造時に重量平均分子量が10000〜50000のエチレン性不飽和ジカルボン酸を構成単位として含む重合体の金属塩、中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸がイタコン酸である重合体の金属塩を添加することにより、アスペクト比が8以上であり、吸油量が150ml/100g以上の炭酸カルシウムを製造することができた。
対して、比較例2、3のように、重量平均分子量が10000以下、または50000を超えると、エチレン性不飽和ジカルボン酸がイタコン酸である重合体の金属塩を添加した場合でも、製造した炭酸カルシウムはアスペクト比が3以下であり、吸油量が110ml/100g以下であった。
また、比較例4、5のように、構成単位にエチレン性不飽和ジカルボン酸ではないアクリル酸を含む場合は重量平均分子量が10000〜50000であっても、製造した炭酸カルシウムはアスペクト比が2以下であり、吸油量が110ml/100g以下であった。
このことから、エチレン性不飽和ジカルボン酸で構成された重量平均分子量10000〜50000の重合体の金属塩を添加することにより結晶形態を制御することができ、アスペクト比が8以上で、吸油性が150ml/100g以上である炭酸カルシウムを得られるという本発明の特異な効果が明示された。
本発明の炭酸カルシウムの製造工程用添加剤、及び製造方法で得られたアスペクト比が8以上の炭酸カルシウム結晶は、これを各種プラスチックに配合した場合、その結晶形状のために曲げ弾性率、曲げ強度、寸法安定性等に優れたプラスチックを得ることができる。また、本発明の炭酸カルシウム結晶は熱的に安定であるため、各種エンジニアリングプラスチックの原料として使用できる。また吸油性にも優れるため、塗工用顔料として適用することにより、光沢性、不透明度、インキ着肉性、インキセット性等に優れた塗工紙を得ることができる。
Claims (4)
- 炭酸カルシウムの製造工程において、炭酸カルシウム結晶を制御するための炭酸カルシウム製造工程用添加剤であって、重量平均分子量が10000〜50000の範囲のエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれる1種または2種以上を構成単位として含む重合体の金属塩を有効成分として含有することを特徴とする炭酸カルシウム製造工程用添加剤。
- エチレン性不飽和ジカルボン酸がイタコン酸であることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤。
- 合成した炭酸カルシウムのアスペクト比が8以上、及び吸油量が150(ml/100g)以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム製造工程用添加剤を水性媒体中でカルシウム化合物と炭酸化合物を反応させて炭酸カルシウムを製造する工程に添加することを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
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