JP2020000218A - 青果物の剥皮方法及び剥皮青果物 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率よく青果物の剥皮を行うことができ、しかも品質に優れた剥皮青果物が得られる剥皮方法及びこの剥皮方法で得られた剥皮青果物を提供する。【解決手段】青果物の表面に研削材を衝突させて、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、第1の工程を行った後の青果物の導入口から外果皮に外果皮崩壊剤を導入する外果皮崩壊処理を行う第2の工程と、第2の工程を行った後の青果物の外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、を順次行うものであり、青果物を加熱する工程を含まない、青果物の剥皮方法及びこの青果物の剥皮方法で得られる剥皮青果物である。【選択図】なし

Description

本発明は、青果物の剥皮方法及び剥皮青果物に関するものである。
従来、野菜や果実等の青果物の加工現場では、これらの青果物の剥皮作業は、ナイフ等の刃物を用いて人手により行われていたため、多くの労力を必要としていた。一方、刃物を使うことなく、効率的に剥皮を行うため、果実等を酵素液等の溶液に浸漬して果皮を軟化、崩壊、溶解させて分離除去する方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような溶液処理の前処理として、果実全体を沸騰水等で加熱する加熱処理を行うことが有効であることが知られている(非特許文献1、2参照)。
特許文献1には、カキ果実を加熱処理してカキ果実に含まれているペクチン質分解酵素活性阻害因子を不活性化させ、かつ、カキ果実の外果皮表面のクチクラ層に亀裂を生じさせた後、カキ果実をペクチン質分解酵素液に浸漬し、外果皮に浸透した当該酵素によるペクチン質分解反応進行後に、カキ果実の外果皮を除去する技術が開示されている。
また、特許文献2には、加熱処理の前処理として、剣山等の先鋭な突起物等を用いてカキ果実の外果皮表面のクチクラ層に傷を生じさせることで、加熱処理による外果皮表面のクチクラ層への亀裂の発生を促進して、外果皮への酵素液の浸透性を高めようとする技術が開示されている。
また、特許文献3には、加熱処理の前処理として、カキ果実の外果皮表面のクチクラ層を構成する成分であるワックスに界面活性剤を作用させ、外果皮を弱体化した後に、カキ果実を加熱処理することで、加熱処理による外果皮表面のクチクラ層への亀裂の発生を促進して、外果皮への酵素液の浸透性を高めようとする技術が開示されている。
また、酵素処理を行わない剥皮方法として、非特許文献3には、キウイフルーツやカキをエチレン処理した後、数日間追熟し、95℃以上の熱水に30秒間浸漬して、外果皮を湯剥きする技術が開示され、エチレン処理が外果皮の湯剥きを容易にする作用があることが記載されている。
しかしながら、上記従来技術では、いずれも果実を加熱処理する工程があるため、剥皮した果肉の硬度の低下、香りの変質その他の品質の劣化が生じることがある。そのため、加熱処理をすることなく、かつ簡易に外果皮を剥皮できる技術の開発が望まれている。
一方、加熱処理を行わない剥皮方法として、特許文献4には、果実等の表皮に、融解又は昇華する性質を有する粒子状の氷、冷却固化したアルコール、又はドライアイスを吹き付けることで、果実等の表皮を除去する技術が開示されている。また、特許文献5には、氷スラリを吹き付けることで、野菜等農作物の剥皮と同時に洗浄を行う技術が開示され、特許文献6には、ドライアイスブラストを用いてジャガイモの芽や皮等を除去する技術が開示されている。また、食品分野に限らず、ドライアイス等を吹き付けて表面処理を行う技術は広く用いられており、そのための装置も開発されている(特許文献7参照)。
しかしながら、特許文献4〜6に記載の従来技術では、果肉等の一部を削り取りながら果皮を除去する方法であるため、果肉歩留まりが低く、さらに果肉の表面に凹凸ができて品質に影響するおそれがあった。また、根菜類等の組織の硬いものでは剥皮が可能であるが、果実等の組織の柔らかいものでは剥皮できる品種が限られていた。また、ジャガイモ等では同じ品種であっても貯蔵期間によって剥離状況が変化する。また、1つの個体であっても、表面に凹凸等がある場合には、部位によって剥皮しにくい等、個体内でも剥離状況が変化する。そのため、剥離状況の変化に対応しながら剥皮処理を行うことは困難であった。
特許第3617042号明細書 特許第4896651号明細書 特許第5916116号明細書 特開2002−315555号公報 特許第3877210号明細書 特開2009−106264号公報 特許第5579052号明細書
野口真己、"青果物の酵素剥皮−カンキツ、カキ、ビワの酵素剥皮工程の比較−"、JATAFFジャーナル、3(11)、p22-27、2015 野口真己、"新しいカキの皮むき加工法−農産物加工での酵素剥皮技術展開の可能性"、果実日本、70(9)、p8-11、2015 村上覚、山口和希、橋本望、荒木勇二、"エチレンにはキウイフルーツおよびカキにおいて湯剥きを容易にする作用がある"、園芸学研究Vol.17、別冊1_p267、2018
本発明は、上記課題を解決し、果肉等を傷つけることなく、酵素等の外果皮崩壊剤を青果物の外果皮に導入するための経路を確保する処理を簡易に行うことができ、その結果、効率よく青果物の剥皮を行うことができ、しかも品質に優れた剥皮青果物が得られる剥皮方法及びこの剥皮方法で得られた剥皮青果物を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、従来行われていた加熱処理の代わりに、青果物の表面に研削材を衝突させることで、この表面に酵素等の外果皮崩壊剤を外果皮に導入するための導入口が形成され、外果皮への外果皮崩壊剤の導入が促進され、しかもその結果、効率よく青果物の剥皮ができることを見出した。この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、次の(1)〜(13)に示す通りである。
(1)青果物の表面に研削材を衝突させて、前記青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を前記表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、前記第1の工程を行った後の前記青果物の前記導入口から前記外果皮に前記外果皮崩壊剤を導入する外果皮崩壊処理を行う第2の工程と、前記第2の工程を行った後の前記青果物の前記外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、を順次行うものであり(以下、工程順に「第1の工程」、「第2の工程」及び「第3の工程」という。)、前記青果物を加熱する工程を含まないことを特徴とする、青果物の剥皮方法である。
(2)前記第1の工程で用いる前記研削材が、粉末状又は粒子状の化学物質、鉱物、金属及び植物片からなる群から選択される少なくとも一種である、前記(1)に記載の青果物の剥皮方法である。
(3)前記化学物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムからなる塩、ドライアイス、氷、ガラス、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、冷却固化したエタノール及び冷却固化した含水エタノール(以下、併せて「冷却固化したアルコール」という。)、ナイロン、ポリエステル、尿素樹脂、ポリカーボネート、澱粉及び澱粉とアクリル酸との共重合体、前記鉱物が、石英、方解石、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻、苦灰石、岩塩、柘榴石、ジルコン及びコランダム、前記金属が、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄及び鋼、並びに前記植物片が、トウモロコシの穂軸の粉砕物、クルミ、モモ及びアンズの核果類の粉砕物並びに米の穀粒を粉砕した穀粉からなる群から選択される少なくとも一種である、前記(2)に記載の青果物の剥皮方法である。
(4)前記第1の工程で用いる前記研削材が、粉末状又は粒子状の、常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質、並びに塩、鉱物及び植物片からなる群から選択される少なくとも一種である、前記(1)に記載の青果物の剥皮方法である。
(5)前記常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質がドライアイス、氷及び冷却固化したアルコール、前記塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、前記鉱物が方解石、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻及び苦灰石、並びに前記植物片が穀紛からなる群から選択される少なくとも一種である、前記(4)に記載の青果物の剥皮方法である。
(6)前記第2の工程で用いる前記外果皮崩壊剤が、前記外果皮を加水分解する外果皮分解酵素又は当該外果皮分解酵素を含む溶液である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の青果物の剥皮方法である。
(7)前記外果皮分解酵素が、糖質分解酵素である、前記(6)に記載の青果物の剥皮方法である。
(8)前記糖質分解酵素が、ペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、及びセルラーゼ系酵素からなる群から選択される少なくとも一種からなる糖質分解酵素である、前記(7)に記載の青果物の剥皮方法である。
(9)前記第2の工程で用いる前記外果皮崩壊剤が、酸性物質又は塩基性物質を含む溶液である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の青果物の剥皮方法である。
(10)前記酸性物質が、塩酸及びクエン酸、前記塩基性物質が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む溶液である、前記(9)に記載の青果物の剥皮方法である。
(11)前記青果物が、イモ類、野菜類及び果実類のいずれかである、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の青果物の剥皮方法である。
(12)前記野菜類がハス地下茎(以下、「レンコン」ともいう。)、前記果実類がカキ果実(以下、「カキ」ともいう。)である、前記(11)に記載の青果物の剥皮方法である。
(13)前記第1の工程における表面処理を、前記外果皮の一部に対して選択的に行う、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の青果物の剥皮方法である。
(14)前記(1)〜(13)のいずれかに記載の青果物の剥皮方法により得られる、外果皮が除去された剥皮青果物である。
(15)ハス地下茎又はカキ果実からなる青果物の表面に、ドライアイス、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、方解石、苦灰石及び穀粉からなる群から選択される少なくとも1種の研削材を衝突させて、前記青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を前記表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、前記第1の工程を行った後の前記青果物の前記導入口から前記外果皮に、前記外果皮崩壊剤としてペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素及びセルラーゼ系酵素からなる群から選択される少なくとも1種の糖質分解酵素又は当該糖質分解酵素を含む溶液を導入し、前記外果皮を酵素的に加水分解する酵素処理を行う第2の工程と、前記第2の工程を行った後の前記青果物の前記外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、を順次行うものであり、前記青果物を加熱する工程を含まないことを特徴とする、青果物の剥皮方法である。
(16)前記(15)に記載の青果物の剥皮方法により得られる、外果皮が除去された剥皮青果物である。
本発明によれば、青果物の果肉の損傷を回避しつつ、酵素等の外果皮崩壊剤を青果物の外果皮に導入するための経路を確保する処理を簡易に行うことができ、その結果、効率よく青果物の剥皮を行うことができ、しかも品質に優れた剥皮青果物が得られる。
即ち、本発明によれば、外果皮崩壊処理の前段階での処理として、従来行われていた熱湯等による加熱処理が不要となり、外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を表面に形成する程度に青果物の表面に研削材を衝突させるという表面処理だけで、外果皮崩壊剤を青果物の外果皮に導入するための導入口を簡易に確保することができる。その結果、品種間差、個体間差、個体内差に影響されることなく、青果物の外果皮に均一かつ良好に外果皮崩壊剤を導入させることができ、外果皮の剥皮を容易に行うことが可能となる。
また、このようにして本発明の剥皮方法により得られた剥皮青果物は、剥皮の工程で加熱処理を受けていないため、剥皮した果肉の硬度の低下、香りの変質その他の品質の劣化が回避又は低減される。また、研削材によって外果皮だけでなく果肉までもが削られるのを抑制できるため、果肉の歩留まりが高く維持され、優れた食感等を得ることができる。さらに、剥皮した果肉の表面については、不必要な凹凸の形成が抑制され、滑らかな仕上がりとなり、その結果、外観が優れた剥皮青果物を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る剥皮方法において、外果皮表面の半分のみに第1の工程の表面処理を施した後、表面全体に着色水を散布した状態のカキの写真像図である。 本発明の一実施形態に係る剥皮方法において、外果皮表面の半分のみに第1の工程の表面処理の施した後のカキの写真像図と、その表面温度の分布を表す図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例1のカキ「富有」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例2のカキ「富有」の写真像図である。 第3の工程完了後の実施例3のカキ「富有」の写真像図である。 第3の工程完了後の実施例4のカキ「富有」の写真像図である。 第3の工程完了後の実施例5のカキ「富有」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例6のカキ「富有」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例7のカキ「富有」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例8のカキ「富有」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例9のサツマイモ「べにはるか」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例10のジャガイモの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例11のレンコン(ハス地下茎)の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例12のカブの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例13のゴボウの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例14のサトイモの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例15のニンジンの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例16のアスパラガスの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例17のカボチャの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例18のキウイフルーツの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例19のアボカドの写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例20のニホンナシ「豊水」の写真像図である。 第1の工程完了後と、第3の工程完了後の実施例21のニホンナシ「豊水」の写真像図である。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態に係る青果物の剥皮方法は、青果物の表面に研削材を衝突させて、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、第1の工程を行った後の青果物の導入口から外果皮に外果皮崩壊剤を導入する外果皮崩壊処理を行う第2の工程と、前記第2の工程を行った後の前記青果物の外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、を順次行うものであり、青果物を加熱する工程を含まない。
また、本実施の形態に係る剥皮青果物は、上記本実施の形態に係る青果物の剥皮方法によって得られる、外果皮が除去された剥皮青果物である。
即ち、本実施の形態に係る剥皮青果物は、まず、青果物を加熱することなく、青果物の表面に研削材を衝突させることで、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を当該表面に形成し、続いて、当該導入口から外果皮に外果皮崩壊剤を導入し、その後に、外果皮を除去することで得られる、外果皮が除去された構成を有する剥皮青果物である。
上記本実施の形態に係る青果物の剥皮方法により得られる本実施の形態の剥皮青果物は、剥皮の工程で加熱処理を受けていないため、剥皮した果肉の硬度の低下、香りの変質その他の品質の劣化が回避又は低減される。また研削材によって外果皮だけでなく果肉までもが削り取られるのを抑制できるため、果肉の歩留まりが高く維持される。さらに、剥皮した果肉の表面については、不必要な凹凸の形成が抑制され、滑らかな仕上がりとなる。したがって、優れた品質の剥皮青果物を得ることができる。
ところで、このような特徴のある剥皮青果物の特徴を、物の構造又は特性により直接特定することは、不可能である。
即ち、青果物は、品種、産地、収穫時期、成熟度等の条件によって、硬度その他の物理的性質、並びに、栄養成分、香気成分その他の化学物質の組成や含有量といった化学的性質の状態が異なるため、本実施の形態に係る剥皮青果物の状態も異なってくる。このように品種、産地、収穫時期、成熟度等の条件によって、その構造やそれに伴う特性が異なることにも照らせば、本実施の形態の剥皮青果物を、例えば、硬度の測定値、又は、栄養成分や香気成分の組成や含有量等で特定するのは、不可能である。そして、他に、上記特徴を構造上又は特性上、明確に特定する文言も存在しない。
そのため、本実施の形態の剥皮青果物を、青果物の剥皮方法によって得られる、外果皮が除去された剥皮青果物と特定している。
本実施の形態に係る青果物の剥皮方法で剥皮される処理対象としての青果物は、表面が皮(外果皮)で被覆されている青果物である。このような青果物としては、例えば、イモ類、野菜類、果実類等が好適に挙げられる。野菜類としては、人間が食用する部位により、根菜類、果菜類、葉菜類に三区分することが可能であるが、剥皮をすることなく食用するのが一般的な葉菜類の一部の品目(ハクサイ、レタス等)を除き、三区分のいずれもが好適に挙げられる。これらの中でも、通常は刃物等を用いなければ剥皮が困難なものが、本実施の形態の青果物の剥皮方法の処理対象としてより好適である。
イモ類としては、例えば、ジャガイモ、サツマイモ等が好適に挙げられる。
野菜類としては、根菜類、果菜類、葉菜類に三区分すると、根菜類としては、例えば、ニンジン、ダイコン、レンコン(ハス地下茎)、カブ、ゴボウ、サトイモ、ヤマイモ、ナガイモ、ショウガ等が好適に挙げられ、果菜類としては、例えば、カボチャ、トマト、ナス、キュウリ等が好適に挙げられ、葉菜類としては、例えば、アスパラガス、ウド、フキ等が好適に挙げられる。そして、根菜類の中でも、レンコン(ハス地下茎)が、本実施の形態の青果物の剥皮方法を適用し、剥皮したレンコン(ハス地下茎)を得るのに最も有効である。
果実類としては、例えば、カキ、キウイフルーツ、アボカド、モモ等が好適に挙げられる。皮を剥いてすぐに食べられる状態にしたカットフルーツの市場が近年拡大し続けていることから、果実類の剥皮に本実施の形態の青果物の剥皮方法を適用し、剥皮果実を得ることが有効である。そして、果実類の中でも、カキが、本実施の形態の青果物の剥皮方法を適用し、剥皮カキ果実を得るのに最も有効である。
ここで、果実類の「果皮(pericarp)」は、「外果皮(epicarp)」、「中果皮(mesocarp)」、「内果皮(endocarp)」で構成される。果実類においては、「皮」として剥皮されるのが「外果皮」であり、「果肉」として食用されるのが「中果皮」と「内果皮」である。これに対して、イモ類や野菜類においては、「皮」として剥皮される外側の部位が「外皮(epiderm)」と呼ばれ、「外皮」以外の食用される内側の部位が、「実」や「肉」等と呼ばれることがある。
本明細書では、青果物の種類を問わず、果実類だけでなくイモ類や野菜類であっても、青果物の表面側の部位であって一般的に「皮」と呼ばれる部位を、「外果皮」という。そして、この外果皮に被覆された内側の部位であって、食用される部位を「果肉」という。
カキ果実の外果皮は、クチクラ層、石細胞層の二層に分けることができる。このうち、最外層のクチクラ層は特に強固であり、果肉の保護に重要な役割を果たしている。クチクラ層は組織が緻密で表面に撥水性や光沢性を有するのに対し、クチクラ層よりも内側の層は比較的組織が疎である。クチクラ層の表層の主成分はワックスである。外果皮の内側は中果皮及び内果皮であり、これらが果肉として喫食される部位である。
カキ果実としては、カキノキ科カキノキ属(Diospyros)に属する植物、例えばカキノキ(Diospyros kaki)の果実であればよい。また、食用に用いられるものであれば、甘柿、渋柿のいずれであってもよい。具体的には例えば、甘柿の「富有」、「次郎」、渋柿の「平核無」、「刀根早生」、「甲州百目」、「市田柿」、「西条」、「愛宕」等の品種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの品種を剥皮の難易度により、剥皮容易、中間的、剥皮困難に三区分すると、剥皮容易な品種として「平核無」、中間的な品種として「市田柿」、剥皮困難な品種として「富有」が挙げられる。これに対して、本実施の形態の青果物の剥皮方法によれば、剥皮が最も困難な品種の一つである「富有」であっても簡易かつ良好に外果皮を除去することができる。
以下、本実施の形態に係る青果物の剥皮方法の各工程について、詳細に説明する。
<第1の工程>
第1の工程は、青果物を表面処理する工程である。この第1の工程を施すに先立って、青果物の表面の汚れを予め除去し、柔らかい材質の布等で、表面の水分を拭き取っておくことが望ましい。例えば、人手による水洗い、ブラッシング等によって汚れを除去してもよいし、水流コンベア等を用いた自動洗浄によって汚れを除去してもよい。
第1の工程で施す表面処理は、適宜のブラスト装置を用いて行われる、いわゆる「ブラスト処理(研削処理)」を利用して行われる工程である。つまり、青果物の表面に粒子状の研削材(ブラスト材、投射材等ともいう)を衝突させて、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を表面に形成する工程である。
この第1の工程の表面処理は、青果物の表面全体に対してだけでなく、表面の一部に対してのみ、即ち外果皮の一部に対して選択的に施すこともできる。
青果物全体に対して表面処理する場合は、青果物の表面の、好適には90%以上、より好適には95%以上、さらに好適には98%以上、最も好適には100%に対して表面処理するのが望ましい。
また、青果物の一部に対してのみ表面処理する場合、例えば、テープ等で表面を一部マスキングしたり、研削材を局所に収束させて衝突させられるブラスト装置を用いたりする等の方法で、任意の部位を任意の形状で表面処理しないようにすることもできる。任意の形状については、丸型、四角型、星型といった幾何学的形状とすることや、文字、絵、画像の輪郭形状とすることができる。
表面処理(ブラスト処理)の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、圧縮気体の噴流に研削材を乗せて被研削物としての青果物の表面に吹き付けて衝突させるエアーブラスト法、水等の液体に懸濁させた研削材を圧縮気体の噴流等を用いて青果物の表面に衝突させるウェットブラスト法(液体ホーニング)が好適に挙げられる。また、羽根車装置等を用いて研削材に運動エネルギーを与えて投射することで青果物の表面に衝突させるショットブラスト法等も好適に挙げられる。
また、エアーブラスト法の中でも、ドライアイスを研削材として用いるエアーブラスト法は、特に区別してドライアイスブラスト法とも呼ばれる。また、圧縮気体の噴流に代えてブロワ等により形成した搬送気体流に研削材を乗せて被研削物に吹き付けて衝突させるエアーブラスト法は、特に区別してブロワブラスト法とも呼ばれる。
青果物は、品種、産地、収穫時期、成熟度等の条件によって、硬度その他の物理的性質、並びに、栄養成分、香気成分その他の化学物質の組成や含有量といった化学的性質の状態が異なるため、本実施の形態に係る剥皮青果物の状態も異なってくる。そのため、上記方法の中から、青果物の状態、研削材の種類や形態によって適宜の方法を選択することができる。
このようなブラスト処理で用いられる研削材の材質(硬度)や形状は、被研削物の表面処理の方法、被研削物の種類や性質、被研削物に求められる表面粗さ等の要求に応じて適宜選択される。
本実施の形態の表面処理で用いる研削材としては、一般的な慣用の研削材を用いることができるが、食品加工用として安全に使用でき、かつ処理後に被研削物である青果物からの除去を必要としないか、清掃又は洗浄により容易に除去できる粉末状又は粒子状の物質であることが望ましい。
このような研削材としては、粉末状又は粒子状の化学物質、鉱物、金属及び植物片等が挙げられ、化学物質としては、無機化合物及び有機化合物が挙げられ、無機化合物としては、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウム等の各種の塩、ドライアイス、氷、ガラス、二酸化ケイ素、炭化ケイ素及び炭化ホウ素等が、有機化合物としては、冷却固化したアルコール、ナイロン、ポリエステル、尿素樹脂、ポリカーボネート、コムギ若しくはトウモロコシ等の澱粉及び当該澱粉とアクリル酸等との共重合体(例えば、当該澱粉とアクリル酸とのグラフト共重合体等)が、鉱物としては、一般的には包括的に「砂」と呼称される粉末状又は粒子状の鉱物が挙げられ、例えば、石英(珪砂)、方解石(石灰岩)、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻、苦灰石、岩塩、柘榴石(ガーネット)、ジルコン及びコランダム等が、金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄及び鋼等が、植物片としては、トウモロコシ等の穂軸の粉砕物、クルミ、モモ及びアンズ等の核果類の粉砕物及び米等の穀粒を粉砕した穀粉等が、それぞれ好適に挙げられる。
また、このような研削材としては、粉末状又は粒子状の、常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質、並びに塩、鉱物及び植物片等が最も好適に挙げられ、例えば、常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質としてはドライアイス、氷及び冷却固化したアルコール等、塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等、鉱物としては石灰岩、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻及び苦灰石等、並びに植物片としては米粉等の穀紛等が最も好適に挙げられる。
なお、風化造礁サンゴ、貝殻及び有孔虫の殻としては、コーラルサンド、シェルサンド及び星砂等が好適に挙げられる。
これらの研削材を用いることで、青果物の表面に、均一かつ良好に外果皮崩壊剤の導入口を形成することができる。また、これらの研削材は比較的安価に入手できるものである。そのため、これらの研削材を用いることで、表面処理や材料のコストを抑えることができる。
特に、研削材が常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質、具体的には、ドライアイス、氷及び冷却固化したアルコール等であれば、表面処理後に青果物や機器から研削材を除去、回収、廃棄する手間がなく、簡便かつ効率的な表面処理が可能となり、食品衛生的にも好ましい。
また、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩、方解石、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻、苦灰石及び米粉等の穀紛は、清掃又は洗浄により青果物や機器から容易に除去することができる。また、これらは、食品添加物として認められているか、又は安全な天然由来物質であるため、食品衛生的にも好ましい。
この中でも、特に、苦灰石(ドロマイト)は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムからなる複塩であり、天然の石として産出され、食品衛生法上は食品として扱われるとともに、無味無臭で潮解性がなく、適度な硬さを有していることから、青果物のような食品向けの研削材として好適である。
また、研削材を用いて表面処理を行う際の条件(例えば、粒径、衝突速度、圧力、時間、温度等)としては、特に限定されるものではないが、果肉に傷をつけることがなく、かつ青果物の外果皮に酵素等の外果皮崩壊剤を導入するための導入口としての微細な傷又は亀裂を、青果物の表面に形成できる程度とする。
具体的には、研削材としてドライアイスを用いる場合、例えば、特許文献4(特開2002−315555号公報)や特許文献6(特開2009−106264号公報)に記載の装置や方法、特許文献7(特許第5579052号明細書)に記載の方法(ドライアイスの粒径:0.5μm〜2mm、噴射速度:200〜300m/s)等、公知の方法等で得られた粒子状のドライアイスを、公知の方法等で噴射して用いることができる。
また、研削材として氷、冷却固化したアルコールを用いる場合、例えば、特許文献4(特開2002−315555号公報)に記載の装置や方法、特許文献5(特許第3877210号明細書)に記載の方法(氷の粒径:0.1〜1.0mm、吐出圧:0.1〜0.5Mpa)に記載の方法等、公知の方法等を用いて、清水の過冷却により得られた過冷却水の過冷却解除により得られた微細氷粒を冷水と混合して得られる氷スラリを用いることができる。
研削材のモース硬度としては、特に限定されるものではないが、必要以上に硬い研削材はブラスト処理に用いる機器等を摩耗させる場合があること、また万が一青果物に残留した場合には喫食者の歯等に当たって食感を低下させる場合があること等から、青果物に対して必要十分な研削効果を得ることができるモース硬度とすることが望ましく、例えば、モース硬度1〜4程度とすることが望ましく、モース硬度2〜4程度とすることがより望ましく、モース硬度2〜3程度とすることが最も望ましい。
研削材の粒径としては、特に限定されるものではないが、ブラスト装置での取り扱いに必要な流動性が得られるだけ十分に細かく、かつ粉塵として浮遊するほどには細かくない粒径とすることが望ましい。
例えば、研削材としてドライアイスを用いる場合は粒径0.3〜2mm程度、炭酸水素ナトリウムを用いる場合は平均粒子径150〜200μm程度、炭酸カルシウム(石灰岩粉砕物)を用いる場合は平均粒径270μm程度が望ましい。米粉等の穀粉についても炭酸水素ナトリウムや炭酸カルシウムと同程度の粒径とすることができる。
また、エアーブラスト法によって研削材を吹き付けて衝突させる場合は、例えば、以下のようなブラスト装置を使用して、以下のような供給空気圧と空気消費量とすることが望ましい。なお、空気消費量は最大値であり、単位時間あたりの空気流量はレバー操作等により適宜調節される。この空気流量の調節により、研削材の噴射速度が調節され、必要な研削効果が得られかつ青果物を必要以上に傷つけない強度でブラスト処理を行うことができる。
・株式会社不二製作所製「TSGD−2」(ドライアイスブラスト専用)
空気消費量0.29〜0.43m3/分、供給空気圧0.3〜0.5MPa
・株式会社ストレート社製「サンドブラスター下カップ式 15−050」
空気消費量0.25m3/分、推奨空気圧0.59MPa
・株式会社イリイ社製「サンドブラスト TR−313SB」
空気消費量0.2m3/分、使用空気圧0.6〜0.8MPa
表面処理の際の温度(雰囲気温度)としては、特に限定されるものではないが、青果物の変質や腐敗を防ぐため、表面処理を常温(JIS Z 8703:5〜35℃)下で行うことが望ましい。
また、表面処理は、前述したように、青果物の表面全体に、外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための無数の導入口が均一に形成されるまで行うことが望ましい。このような状態となって、表面処理が完了したことを判断する指標として、青果物表面の光沢の変化、撥水性の変化、色(特定波長の光に対する反射・透過・吸収特性)の変化、ささくれ(むしれ)の発生、蒸散コンダクタンスの増加等が、好適に挙げられる。
(1)光沢の変化を指標とする場合について
青果物の中には、クチクラ層を最外層に有しているものが多く存在する。一般に、クチクラ層はそれに含まれるワックス等の脂質により光沢を備える。そのため、クチクラ層を外果皮の最外層に有する青果物では、外果皮の表面の光沢の低下は、表面処理が完了したと判断する指標となる。
即ち、クチクラ層を外果皮の最外層に有している青果物である場合は、第1の工程では、青果物の表面の光沢度が低下したときに、青果物の表面に導入口が形成され、表面処理が完了したと判断することができる。
なお、表面処理に先立って、紙タオルや乾布、ブラシ等を用いてクチクラ層の磨き上げを行うことが望ましく、表面処理による光沢の変化をより明瞭に検出できるようになる。この光沢の変化の検出は、目視によって行ってもよいし、光沢度計等の機器を用いて行ってもよい。
ここで、表面処理の完了を判断する指標として光沢の変化を用いることの有効性を、以下のような調査方法で検証した。
調査方法:クチクラ層を有する青果物として、カキ「富有」の果実2個を対象として、紙タオルによる磨き出しを行った。その後、炭酸カルシウムを研削材とする表面処理(エアーブラスト処理)を行い、光沢の低下が目視により認識されるまで果実表面を研削した。研削後はカキ果実を水洗し、紙タオルを用いて水を拭き取った後、カキ果実表面の60度光沢度を、光沢度計(株式会社堀場製作所製「IG−331」)を用いて、測定角60度で測定した。測定位置は、へたを除く果実の表面10点×表面処理の有無(2水準)×2個であり、計40点の測定を実施した。
調査結果:表面処理を行っていない表面部分の60度鏡面光沢度は平均14であったのに対し、表面処理を行った表面部分の光沢度は平均2に低下していた。つまり光沢度が8〜9割程度低下していた。この結果は表面処理により、光沢を持つクチクラ層に傷が付いた、或いはクチクラ層表層のワックス等の脂質が除去されたことを示している。これにより、果肉に傷をつけることなく、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を形成することができ、光沢の低下が表面処理完了の判断の指標として有効であることがわかる。
(2)撥水性の変化を指標とする場合について
一般に、クチクラ層はそれに含まれる脂質により撥水性を備えている。そのため、クチクラ層を外果皮の最外層に有している青果物では、外果皮の表面の撥水性の低下は表面処理の完了を判断する指標となる。
即ち、クチクラ層を外果皮の最外層に有している青果物である場合は、第1の工程では、青果物の表面の撥水性が低下したときに、青果物の表面に導入口が形成され、表面処理が完了したと判断することができる。
この場合も、表面処理に先立って、紙タオルや乾布、ブラシ等を用いてクチクラ層の磨き上げを行うと、表面処理による撥水性の変化をより明瞭に検出できるようになる。なお、表面処理後に水洗により研削材を除去する作業の際に、併せて撥水性の低下の確認も行うことで工数が削減できる。
ここで、表面処理の完了を判断する指標として撥水性の変化を用いることの有効性を、以下のような調査方法で検証した。その調査方法と結果を、図1を参照しながら説明する。なお、この図1及び他の図面中に記載の、「処理」及び「無処理」は、第1の工程である表面処理(ブラスト処理)の有無を示す。
調査方法:クチクラ層を有する青果物として、カキ「富有」の果実1個を対象として、紙タオルによる表面磨き出しを行った。その後、カキ果実の表面の半分(図1では、右半分の部位)に炭酸カルシウムを研削材とする表面処理(エアーブラスト処理)を行い、光沢の低下が目視により認識されるまでカキ果実の表面
を研削した。研削後はカキ果実の表面を水洗し、紙タオルを用いて水を拭き取った後、食用色素(赤色102号)で着色した着色水をカキ果実の表面全体に散布した。
結果:図1に示すように、表面処理を行っていない左半分の部位では着色水による水滴が認められた。一方、表面処理を行った右半分の部位では着色水による水滴が形成されず、均一に濡れた状態となった。この結果は、表面処理により撥水性を持つクチクラ層に傷が付いた、或いはクチクラ層表層のワックス等の脂質が除去されたことを示している。これにより、果肉に傷をつけることなく、青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を形成することができ、光沢の低下が表面処理完了の判断の指標として有効であることがわかる。なお、撥水性の変化を確認するために使用する色素としては、赤色以外の色素を適宜使用することができ、また簡便には色素を使用せずに撥水性の変化を確認することもできる。
(3)色の変化を指標とする場合について
外果皮の最外層とその直下の層の色が異なる青果物(例えば、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ等)において、色の変化は最外層に傷が付いた、或いは最外層が除去されたことを示すので、表面処理の完了を判断する指標となる。また、外果皮における最外層とその直下の層の色がほぼ同じ青果物(例えば、カキ、ニンジン等)において、表面処理により露出した青果物の内部組織と研削材との化学反応による色の変化(例えば、カキ果実のクチクラ層直下の組織と研削材の炭酸水素ナトリウムが接触することによって生じる黒ずみ)や、表面処理により露出した青果物の内部組織と空気中の酸素との化学反応による色の変化(例えば、ニンジンの黒ずみ)は、最外層に傷が付いた、或いは最外層が除去されたことを示すため、表面処理の完了を判断する指標となる。なお、ここでの色の変化とは人間の可視波長域における光線の反射率や透過率、吸収率の変化に限定されず、赤外等の可視波長域外の光線の反射率や透過率、吸収率の変化を含む。色の変化の検出は、目視によって行ってもよいし、光度計等の機器を用いて行ってもよい。
(4)ささくれ(むしれ)を指標とする場合について
外果皮の最外層が平滑な青果物において、ささくれ(むしれ)の発生は最外層に傷が付いた、或いは除去されたことを示すので、表面処理の完了を判断する指標となる。最外層とその直下の層に色の違いがない青果物(例えば、ダイコン、カブ等)の場合に、特に有効な判断指標となる。
(5)蒸散コンダクタンスを指標とする場合について
一般に、植物の表面は蒸散による水分の損失を防ぐ組織を備えるので、植物の表面の水蒸気透過性の指標である蒸散コンダクタンスの増大は、表面処理の完了を判断する指標となる。なお、蒸散コンダクタンスの増大に伴って蒸散速度が上がると、潜熱放散により表面温度の低下が生じるので、蒸散コンダクタンスの増大を表面温度の低下により間接的に検出することもできる。この検出は、例えば、蒸散測定装置やサーモグラフィー装置等により行うことができる。
ここで、表面処理の完了を判断する指標として蒸散コンダクタンスの変化を用いることの有効性を、以下のような調査方法で検証した。その調査方法と結果を、図2を参照しながら説明する。
調査方法:カキ「富有」の果実1個を対象として、紙タオルによる磨き出しを行った。その後、カキ果実の表面の半分(図2では、左半分の部位)に炭酸カルシウムを研削材とする表面処理(エアーブラスト処理)を行い、光沢の低下が目視により認識されるまでカキ果実表面を研削した。研削後にカキ果実を水洗し、紙タオルを用いて水を拭き取った後、蒸散測定装置(Decagon社製「SC−1」)を使用して、カキ果実表面の蒸散コンダクタンスを測定した。測定位置は果実の肩(へたの近く)、底部及び胴について各2点(計6点)×ブラスト処理の有無(2水準)であり、計12点の測定を実施した。
結果:表面処理を行っていない右半分の部位の蒸散コンダクタンスは平均0.082cm/sで、ガス交換のため蒸散を行っている日中の一般的な葉と較べて大幅に低い値に抑えられていた。一方、表面処理を行った左半分の部位の蒸散コンダクタンスは平均0.734cm/sで、無処理の約9倍に達しており、日中の一般的な葉に迫る値となっていた。
図2の紙面下部に、表面温度の分布(サーモグラフィー)を表す図(画像)を示した。この図から、表面処理を行った左半分の部位の表面温度は、無処理の右半分の部位の表面温度より低いことがわかる。これは、表面処理を行った部位は、無処理の部位よりも蒸散コンダクタンスが大きくなり、潜熱放散が盛んとなったためである。
植物はクチクラ層を発達させることで蒸散による水分損失を防いでおり、上記結果は表面処理によりクチクラ層に傷が付いた、或いは除去されたことを示している。そのため、蒸散コンダクタンスの増加が表面処理完了の判断の指標として有効であることがわかる。
上記したような第1の工程(表面処理工程)を行うことにより、加熱処理を行うことなく、外果皮崩壊剤を外果皮に導入するための導入口(亀裂等)を、青果物の表面に簡易かつ良好に形成することができる。
本実施の形態の第1の工程では、導入口を形成するために、従来のような加熱処理を行う必要がないため、果肉の硬度の低下や香りの変質その他の品質の劣化を回避又は低減できる。また、ブラスト処理のみで外果皮を剥皮するものではないため、果肉まで削ることがなく、果肉歩留まりを高くすることができる。また、機械化する場合であっても、公知のブラスト装置等を用いることができ、特殊な装置が不要となることから、コストを低く抑えることができる。
<第2の工程>
第2の工程は、第1の工程を行った後の青果物を外果皮崩壊処理する工程である。第1の工程に続き、第2の工程で青果物の表面に対して外果皮崩壊剤を接触させて外果皮崩壊処理を行う。これにより、第1の工程で形成された導入口を通じて、外果皮崩壊剤を外果皮に良好に導入することができ、外果皮を崩壊状態にさせることができる。その結果、後述の第3の工程(外果皮除去処理工程)を容易に行うことができる。
第2の工程は、外果皮崩壊剤として酵素又は酵素を含む溶液(以下、「酵素含有液」ということがある。)を用いた外果皮崩壊処理工程(以下、「酵素処理工程」ということがある。)であって、外果皮を酵素的に加水分解処理するものであってもよい。また、外果皮崩壊剤として酸性物質又は塩基性物質を含む溶液を用いた外果皮崩壊処理工程(以下、「化学処理工程」ということがある。)であって、外果皮を化学的に加水分解処理するものであってもよい。
[酵素処理工程]
以下、第2の工程が酵素的加水分解を行う酵素処理工程である場合について説明する。
酵素処理工程で用いる酵素としては、外果皮を加水分解する外果皮分解酵素であれば特に限定されるものではないが、外果皮の構成成分である糖質を加水分解する活性を有する糖質分解酵素が好ましい。
この糖質の一例として、外果皮の細胞の細胞壁構成成分である多糖類が挙げられる。この多糖類は、酸可溶・アルカリ可溶であるペクチン、酸不溶・アルカリ可溶であるヘミセルロース、酸不溶・アルカリ不溶であるセルロースに分類することができる。
したがって、酵素処理工程では、ペクチン分解活性(ペクチナーゼ活性)、ヘミセルロース分解活性(ヘミセルラーゼ活性)、セルロース分解活性(セルラーゼ活性)の内、少なくとも一つの活性を有する酵素(ペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、セルラーゼ系酵素等の糖質分解酵素)又は当該酵素を含有する酵素含有液を好適に用いることができる。
青果物がカキ果実等の果実類である場合は、外果皮の細胞の細胞壁構成成分であるペクチンを分解する活性を有するペクチナーゼ系酵素剤を好適に用いることができる。市販のペクチナーゼ系酵素剤には、ペクチナーゼ活性だけでなくセルラーゼ活性も有するものがあり、当該酵素剤を用いてもよい。
即ち、酵素処理工程では、ペクチナーゼ活性のみを有する酵素剤だけでなく、ペクチナーゼ活性以外にセルラーゼ活性を有する酵素剤も用いてよい。したがって、ペクチナーゼ活性のみを有する酵素剤か、或いはペクチナーゼ活性とセルラーゼ活性の両方を有する酵素剤が好適である。
ペクチナーゼ活性のみを有する酵素剤としては、例えば、IGAバイオリサーチ株式会社製の「プロトペクチナーゼIGA」が好適に挙げられる。ペクチナーゼ活性とセルラーゼ活性の両方を有する酵素剤としては、例えば、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」が好適に挙げられる。
ペクチナーゼは、ペクチンを分解する活性を有する酵素の総称である。ペクチナーゼとしては、由来となる微生物により分類すると、トリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporon penicillatum)等の酵母及び酵母近縁微生物由来のプロトペクチナーゼ類、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来のポリガラクチュロナーゼ類、トリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporon penicillatum)由来のポリメトキシポリガラクチュロナーゼ類等が挙げられる。
これらの中でも、トリコスポロン・ペニシラタム(Trichosporon penicillatum)等の酵母及び酵母近縁微生物由来のプロトペクチナーゼ類が好ましい。プロトペクチナーゼ類を含有するペクチナーゼ系酵素剤としては、例えば、IGAバイオリサーチ株式会社製の「プロトペクチナーゼIGA」が好適に挙げられる。
酵素処理工程において、ペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、セルラーゼ系酵素等の糖質分解酵素を、水又は緩衝液のように酵素作用に影響を及ぼさない液体(好ましくは常温)に溶解させた酵素含有液として用いることができる。なお、水としては、水道水、蒸留水、脱イオン水、硬度の高い水等、如何なる水を用いることもできるが、蒸留水が最も好ましい。
酵素処理工程に用いる酵素含有液中の酵素の濃度としては、特に限定されることはなく、公知の濃度とすることができる。ここでは、ペクチナーゼ活性とセルラーゼ活性の両方を有する粉末状の酵素剤の場合の一例を示す。なお、酵素活性の単位である1ユニットは、至適条件下で毎分1マイクロモルの基質を変化させることができる酵素量と定義されている。
酵素処理工程に用いる酵素含有液が有する活性値において、ペクチナーゼ活性が8,000〜10,000ユニット/gで、セルラーゼ活性が2,000〜6,000ユニット/gである場合、酵素含有液中の酵素の濃度を0.001〜1.0重量%とすることが好ましい。酵素の濃度を0.005〜0.5重量%とするのがより好ましく、0.01〜0.25重量%とするのがさらに好ましく、0.05〜0.2重量%とするのが最も好ましい。
酵素処理工程の処理温度としては、酵素含有液が凍結しない温度から、タンパク質である酵素が熱失活する温度までの範囲内であればよい。即ち、酵素処理工程は、高温短時間処理と低温長時間処理のいずれも可能である。より具体的には、例えば、5〜55℃が好ましく、常温(5〜35℃)がより好ましい。
また、酵素処理工程における酵素処理の態様としては、前記第1の工程を行った後の青果物の表面に上記酵素の乾燥酵素製剤を粉衣し、青果物から滲出する液で溶解させて用いることができる。また、上記酵素の酵素含有液を、前記第1の工程を行った後の青果物の表面へ吹き付けたり(例えば、シャワー噴射、霧状噴霧)、筆状の道具等で塗布したり、上記酵素含有液中へ青果物を浸漬したり、上記酵素含有液に浸漬した布により包埋したりする態様が挙げられるが、均一処理の観点から、上記酵素含有液中に前記第1の工程を行った後の青果物を浸漬する態様が最も好ましい。以上を鑑みて、常温とした上記酵素を含む溶液中に、前記第1の工程を行った後の青果物を浸漬する態様が最も好ましい。また、酵素含有液に浸漬する場合、浸漬中に加圧処理もしくは減圧処理することで、外果皮に外果皮崩壊剤の酵素が導入されるのを促進することもできる。
酵素処理工程は、pHを調整することなく(即ち、pH無調整)行うことができる。なお、酵素活性を最大限に活用するため、緩衝作用を有する緩衝剤を酵素含有液に添加して、至適pHに調整することもできる。
酵素処理工程における酵素処理の時間は、特に制限されないが、例えば、15〜25℃の大気圧条件下、pH無調整で処理する場合は、2〜48時間とするのが好ましく、4〜24時間とするのがより好ましく、12〜20時間とするのがさらに好ましく、14〜18時間とするのが最も好ましい。この場合、酵素含有液中の酵素の濃度の濃淡に応じて、処理時間を適宜短縮又は延長するように調整することができる。
なお、第1の工程で、青果物の表面に良好に導入口が形成されているので、この第2の工程(酵素処理工程)では、界面活性剤を添加する必要はない。しかしながら、例えば、剥皮し難い品種のような場合には、必要に応じて、界面活性剤を添加することもでき、外果皮表面のクチクラ層を構成する成分であるワックスに界面活性剤を作用させ、外果皮を弱体化させることで、外果皮崩壊剤である酵素含有液の外果皮への導入性を向上させることができる。
この第2の工程の外果皮崩壊処理工程として、酵素処理工程を行うことにより、第1の工程により形成された導入口(青果物の外果皮に形成された、第2の工程での酵素処理における酵素含有液を外果皮に導入するための導入口)を通じて、外果皮崩壊剤である酵素含有液を外果皮に導入し、外果皮を崩壊状態にさせることができる。
[化学処理工程]
以下、第2の工程が化学的加水分解を行う化学処理工程である場合について説明する。
化学処理工程で用いる水溶液としては、酸性物質又は塩基性物質の水溶液を使用することが好ましい。
酸性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、強酸の塩酸等の無機酸、弱酸の炭酸等の無機酸、弱酸のクエン酸等の有機酸が好適に挙げられる。
塩基性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、強塩基の水酸化ナトリウム等、弱塩基の炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が好適に挙げられる。
この中でも、塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む水溶液を用いることがより好ましい。
化学処理工程において、酸性物質又は塩基性物質は、粉末状、顆粒状又は液体状のものを、水等の液に溶解させた水溶液として用いることができる。なお、水としては、水道水、蒸留水、脱イオン水、硬度の高い水等、如何なる水を用いることもできるが、化学的加水分解作用に影響を及ぼさない観点から、蒸留水が最も好ましい。
化学処理工程の処理時間としては、短時間で処理することが好ましく、具体的には、例えば、5〜60分間とすることが好ましい。
また、化学処理工程における化学処理の態様としては、上記水溶液を、前記第1の工程を行った後の青果物の表面へ吹き付けたり(例えば、シャワー噴射、霧状噴霧)、筆状の道具等で塗布したり、上記水溶液中へ前記第1の工程を行った後の青果物を浸漬したり、上記水溶液に浸漬した布により包埋したりする態様等が挙げられるが、均一処理の観点から、上記水溶液中に前記第1の工程を行った後の青果物を浸漬する態様が最も好ましい。
この第2の工程の外果皮崩壊処理工程として、酸性物質又は塩基性物質を含む水溶液を用いて化学処理工程を行うことにより、第1の工程により形成された導入口(青果物の外果皮に形成された、第2の工程での化学処理における前記水溶液を外果皮に導入するための導入口)を通じて、前記水溶液を外果皮に導入し、これを崩壊状態にさせることができる。
<第3の工程>
第3の工程は、第2の工程を行った後の青果物の外果皮を除去する工程である。この第3の工程(外果皮除去処理工程)を行うことにより、第2の工程(外果皮崩壊処理工程)によって崩壊状態となっている外果皮を、第2の工程を行った後の青果物の表面から除去することができる。
第3の工程(外果皮除去処理工程)で行う外果皮除去手段としては、第2の工程(外果皮崩壊処理工程)によって崩壊状態となっている外果皮を、第2の工程を行った後の青果物の表面から除去しうる手段であれば特に制限されず、例えば、手で擦過したり、手袋を嵌めて擦過したり、回転ブラシを用いたり、或いはこれらと流水を組み合わせる等の手段の他、公知の外果皮除去装置を用いて行う手段等が挙げられる。
これらの中でも、手間がかからず、しかも外果皮を除去した後の青果物の表面を傷めない点から、流水下にて手で擦過すること、或いは流水下に回転ブラシを用いて外果皮を除去することが最も好ましい。流水下にて外果皮除去処理を行うことにより、酵素含有液等の外果皮崩壊処理溶液の洗浄除去も合わせて行うことができる。なお、剥皮した果肉に残存した酵素が果肉に作用することに起因して果肉の硬度が低下する現象は、当該洗浄除去を十分に行うことにより回避することができる。
本実施の形態においては、上記した第1の工程から第3の工程までを、順次行うことが必要であって、この順序でないと目的を達成することはできない。例えば、第1の工程(表面処理工程)を、第2の工程(外果皮崩壊処理工程)の後に行ったとしても、目的を達成することはできない。
また、青果物を加熱する工程(加熱処理工程)を含まないことが必要であって、この工程を含んだ場合は、目的を達成することはできない。
上記のようにして、本発明により効率よく青果物の剥皮を行うことができる。
このようにして得られた本発明の剥皮青果物は、剥皮の工程において従来のような加熱がされていないことから、剥皮果肉の硬度の低下や香りの変質その他の品質の劣化が回避又は低減され、優れた品質を備えたものとなる。
そのため、一般的に生食する品目の場合、そのまま食品として提供することができる。例えば、果実類の場合、すぐに食べられる状態のカットフルーツやフルーツサラダとして提供することができる。
一方、一般的に生食しない品目の場合、調理加工向け食材として提供することができる。例えば、イモ類や野菜類の場合、袋から出してすぐに調理等ができるカット野菜等のカット青果物として提供することができる。
また、特許文献4〜6のように、氷スラリ等の噴射のみで青果物の外果皮を剥皮する場合は、外果皮が粉砕されているため、果肉歩留まりが低く、果肉の表面に凹凸ができて品質に影響するとともに、外果皮の再利用は困難であった。これに対して、本発明における青果物の外果皮の剥皮は、研削材によって剥皮を行うものではなく、外果皮崩壊剤の導入口を形成する工程であり、この導入口から外果皮へ導入させた外果皮崩壊剤の作用によって外果皮を崩壊し、崩壊された外果皮を剥皮するものである。そのため、歩留まりがよく、外観も凹凸がなく良好で品質に優れるだけでなく、外果皮を破砕することなく剥皮することができ、外果皮の回収作業も容易である。よって、例えば、剥皮された皮を肥料や飼料の材料とすることができる。また、カキ果実の場合は、外果皮に含まれる石細胞を回収して研磨剤やスクラブ剤等に再利用することができる。
本発明により得られる剥皮青果物は、生食する以外の方法でも利用することができる。例えば、剥皮青果物を、菓子や料理向けの二次加工の食材として利用することができる。また、乾燥工程を経て、ドライフルーツやドライ野菜等の乾燥青果物として利用することができる。さらに、剥皮青果物に保存処理を施して流通させることもできる。
したがって、本発明の青果物の剥皮方法は、必要に応じて、第3の工程で外果皮が除去された剥皮青果物に対して、保存処理工程や二次加工工程等を施す第4の工程を含んでいてもよい。
以下、本発明の他の異なる実施の形態として、第4の工程の一例について説明する。
<第4の工程>
第4の工程は、第3の工程(外果皮除去処理工程)で外果皮が除去された剥皮青果物に対して、保存性や製品性を向上させるための保存処理や二次加工を行う工程である。第4の工程としては、例えば、特許文献1(特許第3617042号明細書)に記載の手法を用いることができる。
第4の工程が保存処理工程の場合、第3の工程を行って得られた剥皮青果物を、適宜慣用の方法にて殺菌処理し、気体バリア性を有する合成樹脂フィルムで密封状に包装する。例えば、第3の工程を行って得られた剥皮青果物に対して、食品製造用水の流水による洗浄、薬剤による殺菌、食品製造用水の流水による前記薬剤の洗浄除去の三工程を順次施す。その後、当該剥皮青果物を、気体バリア性を有する合成樹脂フィルムで密封状に包装する。
当該薬剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム溶液又はこれと同程度の殺菌効果を有する亜塩素酸水、亜塩素酸ナトリウム溶液、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液が挙げられる。
剥皮青果物は、上記殺菌及び包装によって外部から遮断されるため、カビや微生物との接触による腐敗や、空気中の酸素による酸化等の品質劣化が抑制されやすくなる。したがって、剥皮青果物を長期間(例えば、数週間程度)保存することが可能となり、保存性が向上する。その後は、冷凍のまま、又は解凍して市場に流通させることや、剥皮青果物を食べ易い大きさにカットして、カットフルーツ、フルーツサラダ、カット野菜、野菜サラダ等として市場に流通させることができる。
第1の工程から第3の工程までをまとめて一次加工工程とし、その後に第4の工程として二次加工工程を追加することができる。例えば、一次加工工程を行って得られる剥皮青果物に対して、適宜慣用の二次加工を施して各種の食品を製造することができる。二次加工工程を行って得られる食品としては、例えば、果実類であればカットフルーツ、及び、果肉入りゼリー、フルーツケーキ、シロップ漬け、羊羹その他の和洋菓子が挙げられ、野菜類及びイモ類であれば、カット野菜、サラダ、惣菜、漬物、スープ、ソース類その他の調理加工品が挙げられる。
二次加工工程としては、慣用の乾燥加工や冷凍加工等が好適に挙げられる。当該二次加工工程を行って得られる乾燥加工食品としては、各種ドライフルーツ、干柿、あんぽ柿、フリーズドライ青果物等が挙げられる。当該二次加工工程を行って得られる冷凍加工食品としては、冷凍果実、冷凍野菜等が挙げられる。
二次加工工程が酒類の製造である場合、一次加工工程を行って得られる剥皮青果物を、果実酒その他の醸造酒類、焼酎その他の蒸留酒類、リキュールその他の混成酒類、及び、発泡酒その他の発泡性酒類の原料として利用することができる。
以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:ドライアイス(ブラスト装置内で0.3〜2mm大に粉砕して用いた。)
ブラスト装置:株式会社不二製作所製「TSGD−2」
空気消費量0.29〜0.43m3/分、供給空気圧0.3〜0.5MPa
カキ果実の表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.3〜0.5MPaの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、ドライアイスを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
このとき、青果物の個体間差の影響を回避しつつ、表面処理の効果の有無の差異を検討するため、表面処理時には、カキ果実の垂直方向の半分(右半分)については、マスキングテープで覆い、研削材が外果皮表面に影響しないようにした。
このようにして表面処理して、マスキングテープを除去したカキ果実の外観の写真像図を、図3の紙面上部に示す。図3中、「処理」は表面処理を施したことを示し、「無処理」はマスキングテープで覆って表面処理を施していないことを示す。以降の図でも同様である。
表面処理の結果を評価したところ、図3の紙面上部の写真像図に示すように、表面処理を施した部位の外果皮表面(左半分)の光沢の喪失が観察された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行った。
酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。酵素含有液のpHは無調整とした。
「アクレモセルラーゼKM」は、ペクチナーゼ活性とセルラーゼ活性を有する粉末状の酵素剤である。
以下、ペクチナーゼ活性とセルラーゼ活性を有する酵素剤を「PC」と省略して呼ぶことがある(図3等参照)。また、ペクチナーゼ活性を有する酵素剤を「P」(図4B等参照)、セルラーゼ活性を有する酵素剤を「C」(図4C等参照)、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素剤を「H」(図5参照)と省略して呼ぶことがある。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去処理工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後のカキ果実の外観の写真像図を、図3の紙面下部に示す。
第3の工程での外果皮脱離の剥皮性を、以下の4段階の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
[外果皮脱離の剥皮性の判定基準]
・◎:青果物全体の外果皮除去が可能。外観品質良好、かつ、剥皮作業性良好。
・〇:青果物全体の外果皮除去が可能。外観品質、剥皮作業性、果肉歩留まりの何れかに難あり。
・△:青果物の一部のみ外果皮除去。
・×:全く剥皮できない。剥皮できる部位が全くない。
また、外果皮脱離の作業性を、以下の6段階の判定基準で評価した。結果を表1に示す。なお、レベル0〜2を「不可」(許容範囲外)と判定し、レベル3〜5を「可以上」(許容範囲内)と判定した。
[外果皮脱離の作業性の判定基準]
・0:不可;全く剥けない。
・1:不可;部分的に剥ける。部位により全く剥けない。
・2:不可;強引に力を入れて長時間(3分以上)かければ剥けるレベル。
・3:可;外果皮脱離に、レベル5よりも力と時間が必要。所要時間2分程度。
・4:良;外果皮脱離に、レベル5よりも力が必要。所要時間1分程度。
・5;優;外果皮脱離が短時間・容易。所要時間30秒以内。
なお、最高評価(レベル5)の基準としては、果実表面を流水で流すだけで、短時間に、かつ、容易に外果皮脱離を行うことができた場合をレベル5としている。
表1の結果によれば、研削材の吹き付けにより表面処理を行う実施例1では、外果皮の除去が可能であった(◎)。作業性については、所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。
<実施例2、3、4>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:炭酸水素ナトリウム(平均粒子径150〜200μm)
ブラスト装置:株式会社ストレート社製「サンドブラスター下カップ式15−050」
空気消費量0.25m3/分、推奨空気圧0.59MPa
カキ果実の垂直方向の半分(左半分)をマスキングテープで覆い、その表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.55MPaの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、炭酸水素ナトリウムを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理後に、マスキングテープを除去したカキ果実の外観の写真像図を、図4Aの紙面上部に示す。
表面処理の結果を評価したところ、図4Aの紙面上部に示すように、外果皮表面の表面処理を施した部位(右半分)の光沢の喪失、ささくれ(むしれ)が確認された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行った。
実施例2では、酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」(PC)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。
実施例3では、酵素剤として、IGAバイオリサーチ株式会社製の「プロトペクチナーゼIGA」(P)を用いて、濃度10.0体積%の酵素含有液を用いた。本酵素剤は、液状のペクチナーゼ系の酵素剤である。本酵素剤のセルラーゼ活性は極微弱であるため、本酵素剤による処理はセルラーゼ活性を含まない処理とみなす。
実施例4では、酵素剤として、協和化成株式会社製の「セルラーゼTP5−協和」(C)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。本酵素剤は、粉末状のセルラーゼ系の酵素剤である。本酵素剤のペクチナーゼ活性は極微弱であるため、本酵素剤による処理はペクチナーゼ活性を含まない処理とみなす。
いずれの場合も、酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した各酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例2、3、4のカキ果実の外観の写真像図を、図4Aの紙面下図、図4B、図4Cにそれぞれ示す。
実施例2〜4における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例2、3では、外果皮の除去が可能であった(◎)。実施例4では外果皮の除去が可能であったが、果肉の損失があったため、判定を〇とした。作業性については、いずれも所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。
<実施例5>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:炭酸カルシウム(石灰岩粉砕物、三共精粉株式会社「粒状炭カルK−1(1厘)」、平均粒径270μm)
ブラスト装置:株式会社ストレート社製「サンドブラスター下カップ式15−050」
空気消費量0.25m3/分、推奨空気圧0.59MPa
カキ果実の垂直方向の半分(右半分)をマスキングテープで覆い、その表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.55MPaとする水滴除去済みの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、炭酸カルシウムを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理の結果を評価したところ、外果皮表面の表面処理を施した部位(左半分)の光沢の喪失、ささくれ(むしれ)が確認された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行った。
酵素剤として、天野エンザイム株式会社製の「ヘミセルラーゼ「アマノ」90」(H)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。本酵素剤は、粉末状のヘミセルラーゼ系の酵素剤である。酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、3日間酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去処理工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例5のカキ果実の外観の写真像図を、図5に示す。
実施例5における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例5では、外果皮の除去が可能であったが、一晩(16時間)では剥皮ができなかったため、判定を〇とした。なお、当該酵素剤を用いた場合には、酵素濃度を濃くする、加温する等により、処理時間を短縮することができる。作業性については、所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。
<実施例6>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:炭酸カルシウム(石灰岩粉砕物、三共精粉株式会社「粒状炭カルK−1(1厘)」、平均粒径270μm)
ブラスト装置:株式会社ストレート社製「サンドブラスター下カップ式15−050」
空気消費量0.25m3/分、推奨空気圧0.59MPa
カキ果実の垂直方向の半分(左半分)をマスキングテープで覆い、その表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.55MPaの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、炭酸カルシウムを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理後に、マスキングテープを除去したカキ果実の外観の写真像図を、図6の紙面上部に示す。
表面処理の結果を評価したところ、図6の紙面上部に示すように、外果皮表面の表面処理を施した部位(右半分)の光沢の喪失、ささくれ(むしれ)が確認された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行
った。
酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」(PC)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去処理工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例6のカキ果実の外観の写真像図を、図6の紙面下部に示す。
実施例6における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例6では、外果皮の除去が可能であった(◎)。作業性については、所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。
<実施例7>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:米粉(合資会社伏繁商店製「正雪粉(微粉道明寺)」)
ブラスト装置:株式会社イリイ社製「サンドブラストTR−313SB」
空気消費量0.2m3/分、使用空気圧0.6〜0.8MPa
カキ果実の垂直方向の半分(左半分)をマスキングテープで覆い、その表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.55MPaとする水滴除去済みの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、米粉を
吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理後に、マスキングテープを除去したカキ果実の外観の写真像図を、図7の紙面上部に示す。
表面処理の結果を評価したところ、図7の紙面上部に示すように、外果皮表面の表面処理を施した部位(右半分)の光沢の喪失、ささくれ(むしれ)が確認された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行った。
酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」(PC)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、外果皮が崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例7のカキ果実の外観の写真像図を、図7の紙面下部に示す。
実施例7における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例7では、外果皮の除去が可能であった(◎)。作業性については、所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。なお、実施例7では、上記の微粉道明寺だけでなく、それより粒子が大きい「6ツ割」と称される道明寺粉についても同様の処理工程を行った。外果皮脱離の剥皮性及び作業性については、微粉及び6ツ割の二種類いずれも同じ判定結果であった。
<実施例8>
青果物:カキ「富有」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:炭酸カルシウム(石灰岩粉砕物、三共精粉株式会社「粒状炭カルK−1(1厘)」、平均粒径270μm)
ブラスト装置:株式会社イリイ社製「サンドブラストTR−313SB」
空気消費量0.2m3/分、使用空気圧0.6〜0.8MPa
カキ果実の表面の一部を、文字の形状(漢字「祝」の文字の形状、図8の紙面上部の写真像図参照)でマスキングした。マスキング後のカキ果実の表面に、上記ブラスト装置を用いて、供給空気圧0.55MPaとする水滴除去済みの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、炭酸カルシウムを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理後に、マスキングテープを除去したカキ果実の外観の写真像図を、図8の紙面上部に示す。
表面処理の結果を評価したところ、図8の紙面上部に示すように、外果皮表面の表面処理を施した部位(「祝」以外の部位)の光沢の喪失、ささくれ(むしれ)が確認された。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去したカキ果実に対して、酵素処理を行った。
酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」(PC)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去処理工程)
上記酵素処理を施されたカキ果実を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、外果皮が崩壊したカキ果実の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例8のカキ果実の外観の写真像図を、図8の紙面下部に示す。
実施例8における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例8では、外果皮の除去が可能であった(◎)。作業性については、所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。第1の工程におけるマスキングの効果として、マスキングした文字の形状で外果皮を残すことができた。
以上、表1の実施例1〜8の結果より、加熱処理をすることなく、外果皮に研削材を衝突させ、表面処理を行った後に酵素処理することで、効率よく、かつ品質を損なうことなく、カキ果実の外果皮除去が可能であることがわかる。また、ペクチナーゼ系酵素のみならず、セルラーゼ系酵素とヘミセルラーゼ系酵素でも、第3の工程の後、カキ果実の外果皮除去が可能であることがわかる。
したがって、本発明の剥皮方法をカキ果実に適用することにより、表面処理によって外果皮崩壊剤をカキ果実の外果皮に導入するための導入口を形成することができ、その結果、効率よくカキ果実の外果皮除去を行うことができ、品質に優れた剥皮カキ果実が得られる。
<実施例9〜20>
上記のように、本発明の剥皮方法により、カキ果実を効率的に剥皮することが可能であることを確認した。続いて、イモ類、野菜類(根菜類、葉菜類、果菜類)及び果実類(カキを除く)に本発明の剥皮方法を適用した。各実施例の青果物の品目を以下に示す。
実施例9 :イモ類 サツマイモ「べにはるか」
実施例10:イモ類 ジャガイモ
実施例11:野菜類(根菜類) レンコン(ハス地下茎)
実施例12:野菜類(根菜類) カブ
実施例13:野菜類(根菜類) ゴボウ
実施例14:野菜類(根菜類) サトイモ
実施例15:野菜類(根菜類) ニンジン
実施例16:野菜類(葉菜類) アスパラガス
実施例17:野菜類(果菜類) カボチャ
実施例18:果実類 キウイフルーツ
実施例19:果実類 アボカド
実施例20:果実類 ニホンナシ「豊水」
(1)第1の工程(研削材での表面処理工程)
研削材:炭酸カルシウム(石灰岩粉砕物、三共精粉株式会社「粒状炭カルK−1(1厘)」、平均粒径270μm)
ブラスト装置:株式会社イリイ社製「サンドブラストTR−313SB」
空気消費量0.2m3/分、使用空気圧0.6〜0.8MPa
各実施例の青果物の一部をマスキングテープで覆い、その表面に、上記ブラスト装置を用いて供給空気圧0.27〜0.41MPaとする水滴除去済みの圧縮空気を搬送気体とする乾式エアーブラストにより、炭酸カルシウムを吹き付けて衝突させ、表面処理を施した。
表面処理後に、マスキングテープを除去した各実施例の青果物の外観の写真像図を、図9〜図20の紙面上部に示す。
各実施例における表面処理の結果(表面処理を施した部位の状態)を、以下に示す。
実施例9(サツマイモ「べにはるか」):表面の赤紫色の層の脱落(白色の層の露出)、ささくれ(むしれ)(図9の紙面上部の写真像図参照)。
実施例10(ジャガイモ):表面の黄色の層の脱落(薄黄色の層の露出)、ささくれ(むしれ)(図10の紙面上部の写真像図参照)。
実施例11(レンコン(ハス地下茎)):表面の薄茶色の層の脱落(灰色の層の露出)
(図11の紙面上部の写真像図参照)。
実施例12(カブ):ささくれ(むしれ)(図12の紙面上部の写真像図参照)。
実施例13(ゴボウ):ささくれ(むしれ)(図13の紙面上部の写真像図参照)。
実施例14(サトイモ):表面の茶色の層の脱落(図14の紙面上部の写真像図参照)。
実施例15(ニンジン):光沢の喪失、色の変化(黒ずみ)(図15の紙面上部の写真像図参照)。
実施例16(アスパラガス):ささくれ(むしれ)(図16の紙面上部の写真像図参照)。
実施例17(カボチャ):光沢の喪失、表面の緑色の層の脱落(黄緑色の層の露出)(図17の紙面上部の写真像図参照)。
実施例18(キウイフルーツ):毛の脱落、光沢の喪失(図18の紙面上部の写真像図参照)。
実施例19(アボカド):光沢の喪失、表面の茶色の層の脱落(白〜黄緑色の層の露出)(図19の紙面上部の写真像図参照)。
実施例20(ニホンナシ「豊水」):色の変化(黒変)(図20の紙面上部の写真像図参照)。
(2)第2の工程(酵素処理工程)
上記第1の工程完了後、マスキングテープを除去した各青果物に対して、酵素処理を行った。
酵素剤として、協和化成株式会社製の「アクレモセルラーゼKM」(PC)を用いて、濃度0.2重量%の酵素含有液を調製した。酵素含有液のpHは無調整とした。
上記のように調製した酵素含有液に、20℃の条件下で、上記表面処理が施されたカキ果実を浸漬し、一晩(16時間)酵素処理を行った。
(3)第3の工程(外果皮除去処理工程)
上記酵素処理を施された各青果物を取り出し、流水中で軽く擦った。これにより、崩壊した各青果物の外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例9〜20の各青果物の外観の写真像図を、図9〜図20の紙面下部に示す。
実施例9〜20における第3の工程での外果皮脱離の剥皮性及び作業性を、実施例1と同様の判定基準で評価した。結果を表2に示す。
表2の結果によれば、実施例9〜20では、いずれの青果物も外果皮の除去が可能であった(◎)。作業性については、実施例9〜19では所要時間30秒程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル5:優)。実施例20では、所要時間1分程度で、容易に外果皮の脱離除去を行うことができた(レベル4:良)。得られた剥皮青果物の外観色調は、各青果物の果肉本来の色であった。
表2の実施例9〜20の結果より、本発明の剥皮方法は、イモ類、野菜類(根菜類、葉菜類、果菜類)及び果実類(カキを除く)にも適用できることがわかる。即ち、これらの青果物の外果皮に研削材を衝突させて表面処理を行った後に酵素処理することにより、効率よく、かつ品質を損なうことなく、青果物の外果皮除去が可能であることがわかる。
<実施例21>
青果物:ニホンナシ「豊水」
ニホンナシの表面の一部に対して、実施例8の(1)第1の工程と同様の表面処理を施して、任意の文字(英字「NARO」「ABIC」)の形状を描いた。表面処理後のニホンナシの外観の写真像図を、図21の紙面上部に示す。
表面処理の結果を評価したところ、図21の紙面上部に示すように、外果皮表面の表面処理を施した部位(「NARO」「ABIC」以外の部位)の黒変が確認された。よって、第1の工程によれば、外果皮表面に黒色の任意の形状を描くことができる。
また、表面処理後のニホンナシに対して、実施例8の(2)第2の工程と同様の酵素処理を施し、次いで実施例8の(3)第3の工程と同様の外果皮除去処理を施して、外果皮を脱離除去した。
この第3の工程完了後の実施例21のニホンナシの外観の写真像図を、図21の紙面下部に示す。この図21の紙面下部に示すように、第1の工程で描いた文字の形状で外果皮を残すことができた。
表1及び表2の実施例1〜20の結果及び実施例21の結果より、本発明の剥皮方法を青果物に適用することで、表面処理によって外果皮崩壊剤を青果物の外果皮に導入するための導入口を形成することができ、その結果、効率よく青果物の外果皮除去を行うことができ、品質に優れた剥皮青果物が得られる。
以上、本発明、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
本発明の技術は、青果物を剥皮する一次加工工程において利用することができる。また、一次加工工程を行って得られる剥皮青果物は、さらに、カットフルーツ、カット野菜、和洋菓子、サラダ、ドライフルーツ、ドライ野菜、冷凍果実、冷凍野菜、惣菜、漬物その他の食品並びに、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類、発泡性酒類その他の酒類を製造するための二次加工工程において利用することができる。
さらに、本発明により、既存の青果物剥皮の自動化機械装置よりも安価な機械装置の開発、提供が期待される。

Claims (16)

  1. 青果物の表面に研削材を衝突させて、前記青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を前記表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、
    前記第1の工程を行った後の前記青果物の前記導入口から前記外果皮に前記外果皮崩壊剤を導入する外果皮崩壊処理を行う第2の工程と、
    前記第2の工程を行った後の前記青果物の前記外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、
    を順次行うものであり、
    前記青果物を加熱する工程を含まないことを特徴とする、青果物の剥皮方法。
  2. 前記第1の工程で用いる前記研削材が、粉末状又は粒子状の化学物質、鉱物、金属及び植物片からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の青果物の剥皮方法。
  3. 前記化学物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムからなる塩、ドライアイス、氷、ガラス、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、冷却固化したアルコール、ナイロン、ポリエステル、尿素樹脂、ポリカーボネート、澱粉及び澱粉とアクリル酸との共重合体、前記鉱物が、石英、方解石、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻、苦灰石、岩塩、柘榴石、ジルコン及びコランダム、前記金属が、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄及び鋼、並びに前記植物片が、トウモロコシの穂軸の粉砕物、クルミ、モモ及びアンズの核果類の粉砕物並びに米の穀粒を粉砕した穀粉からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の青果物の剥皮方法。
  4. 前記第1の工程で用いる前記研削材が、粉末状又は粒子状の、常温で融解又は昇華する
    性質を有する化学物質、並びに塩、鉱物及び植物片からなる群から選択される少なくとも
    一種である、請求項1に記載の青果物の剥皮方法。
  5. 前記常温で融解又は昇華する性質を有する化学物質がドライアイス、氷及び冷却固化したアルコール、前記塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、前記鉱物が方解石、風化造礁サンゴ、貝殻、有孔虫の殻及び苦灰石、並びに前記植物片が穀紛からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の青果物の剥皮方法。
  6. 前記第2の工程で用いる前記外果皮崩壊剤が、前記外果皮を加水分解する外果皮分解酵素又は当該外果皮分解酵素を含む溶液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の青果物の剥皮方法。
  7. 前記外果皮分解酵素が、糖質分解酵素である、請求項6に記載の青果物の剥皮方法。
  8. 前記糖質分解酵素が、ペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素、及びセルラーゼ系酵素からなる群から選択される少なくとも一種からなる糖質分解酵素である、請求項7に記載の青果物の剥皮方法。
  9. 前記第2の工程で用いる前記外果皮崩壊剤が、酸性物質又は塩基性物質を含む溶液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の青果物の剥皮方法。
  10. 前記酸性物質が、塩酸及びクエン酸、前記塩基性物質が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む溶液である、請求項9に記載の青果物の剥皮方法。
  11. 前記青果物が、イモ類、野菜類及び果実類のいずれかである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の青果物の剥皮方法。
  12. 前記野菜類がハス地下茎、前記果実類がカキ果実である、請求項11に記載の青果物の剥皮方法。
  13. 前記第1の工程における表面処理を、前記外果皮の一部に対して選択的に行う、請求項1〜12のいずれか一項に記載の青果物の剥皮方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の青果物の剥皮方法により得られる、外果皮が除去された剥皮青果物。
  15. ハス地下茎又はカキ果実からなる青果物の表面に、ドライアイス、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、方解石、苦灰石及び穀粉からなる群から選択される少なくとも1種の研削材を衝突させて、前記青果物の外果皮に外果皮崩壊剤を導入するための導入口を前記表面に形成する表面処理を行う第1の工程と、
    前記第1の工程を行った後の前記青果物の前記導入口から前記外果皮に、前記外果皮崩壊剤としてペクチナーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素及びセルラーゼ系酵素からなる群から選択される少なくとも1種の糖質分解酵素又は当該糖質分解酵素を含む溶液を導入し、前記外果皮を酵素的に加水分解する酵素処理を行う第2の工程と、
    前記第2の工程を行った後の前記青果物の前記外果皮を除去する外果皮除去処理を行う第3の工程と、
    を順次行うものであり、
    前記青果物を加熱する工程を含まないことを特徴とする、前記青果物の剥皮方法。
  16. 請求項15に記載の青果物の剥皮方法により得られる、外果皮が除去された剥皮青果物。
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