JP2020000163A - 油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末、錠剤 - Google Patents

油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末、錠剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、HMB−Caの苦みを抑えつつ、打錠時における打錠障害を抑制することが可能なHMB−Caを提供することにある。また、HMB−Caを含有し、良好な崩壊性を有する錠剤を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、粉末油脂と、粉末のβ−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩を含む、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末であって、前記の粉末油脂は、融点が40〜70℃かつ35℃の固体脂含量が20〜100%である油脂(A)、乳化剤(B)、および賦形剤(C)を含有し、前記の粉末油脂における油脂(A)の含有量は、40〜75質量%であり、前記の粉末油脂における乳化剤(B)の含有量は、2.5〜13質量%であり、前記の粉末油脂における賦形剤(C)の含有量は、22質量%以上である、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂を含有するβ−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩(以下、「HMB−Ca」という。)、及びこの粉末を含有する錠剤に関する。
β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸(以下、「HMB」という。)は、必須アミノ酸であるロイシンの体内における代謝産物であり、筋肉におけるたんぱく質合成を誘導する重要な働きをすると想定されている(非特許文献1)。しかし、体内でのロイシンからHMBへの変換効率は約5%と報告されており(非特許文献2)、より効率的にHMBを摂取するために、HMBをサプリメントとして直接摂取することが注目されている。
HMBはそのカルシウム塩であるHMB−Caとして、サプリメント用として広く流通しており、室温時の状態は独特の風味を有する粉末である。サプリメントは、カプセル状、液状、粉末状、錠剤などさまざまな形態があり、HMB−Caを所望の状態に加工する方法が開示されている。
HMB−Caは、不快な苦みがあるという特徴や、食品として好ましくない独特の風味が経時的に増強するという特徴がある。そのため、HMB−Caの不快な苦みや経時的な風味の変化を抑えた粉末を製造する技術が開示されている(特許文献1)。
錠剤は、目的とする有効成分を直接打錠成形して製造したものであり、1錠の中により多くの有効成分を含有させることができる利点がある。また、携帯性、保存性も優れているため、多くのサプリメントで用いられている形態である。さらに、HMB−Caにおいては、錠剤にすることにより経時的な風味の変化を防止する効果も得ることができる。しかし、錠剤の原料となる粉末の性能(付着性、流動性等)によっては、打錠時に製品の割れ・欠けが生じる、大きさにばらつきが生じるといった打錠障害が発生することがある。そのような打錠障害を抑制するため、目的とする有効成分に各種添加剤を混合する方法(特許文献2)や、核となる粉末粒子を固体油脂で被覆する方法(特許文献3)が開示されている。なお、HMB−Caの錠剤においては、結晶セルロースを添加物として用いて打錠品製造時の打錠障害を抑制する方法(特許文献4)が開示されている。
また、サプリメントとしての錠剤は、摂取したときに体内で崩壊し、吸収されることにより栄養素として機能を発することが求められる。しかし、特許文献3に開示された技術によりHMB−Caの錠剤を製造した場合、摂取後の体内で崩壊遅延を起こし、目的とする有効成分が充分に利用(消化・吸収)できないという問題があった。
以上のように、HMB−Caでは、不快な苦みを抑えつつ、打錠障害がなく打錠することも可能であり、かつ摂取時に良好な崩壊性を有するHMB−Caの錠剤を製造することができるという特性が求められている。
「『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会』報告書」、[online]、平成26年3月28日、厚生労働省、[平成30年6月15日検索]、インターネット<URL: http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html> Van Koevering Mら、「Oxidation of leucine and alpha-ketoisocaproate to beta-hydroxy-beta-methylbutyrate in vivo.」、American Journal of Physiology、1992年1月、262(1)、E27−31
特開2016−88844号公報 特開2014−156435号公報 特開2014−91714号公報 特開2015−218158号公報
本発明の課題は、HMB−Caの苦みを抑えつつ、打錠時における打錠障害を抑制することが可能なHMB−Caを提供することにある。
また、HMB−Caを含有し、良好な崩壊性を有する錠剤を提供することである。
本発明者は、前記の課題に鑑み、鋭意検討した結果、HMB−Caに対して、特定融点及び特定の固体脂含有量を有する油脂を乳化剤、賦形剤と特定量で組み合わせた粉末油脂を混合することにより、上記の課題を解決できることの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔3〕である。
〔1〕
粉末油脂と、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩を含む、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末であって、
前記の粉末油脂は、融点が40〜70℃かつ35℃の固体脂含量が20〜100%である油脂(A)、乳化剤(B)、および賦形剤(C)を含有し、
前記の粉末油脂における油脂(A)の含有量は、40〜75質量%であり、
前記の粉末油脂における乳化剤(B)の含有量は、2.5〜13質量%であり、
前記の粉末油脂における賦形剤(C)の含有量は、22質量%以上である、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末。
〔2〕
前記の〔1〕に記載の油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末を含有する、錠剤。
〔3〕
錠剤中におけるβ−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩の含有量が30〜60質量%である、前記の〔2〕に記載の錠剤。
本発明によれば、HMB−Caの苦みを抑えつつ、打錠時における打錠障害を抑制することが可能なHMB−Caを提供することができる。
また、HMB−Caを含有し、良好な崩壊性を有する錠剤を提供することができる。
本発明の油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末(以下、「油脂含有HMB−Ca粉末」という。)は、油脂(A)、乳化剤(B)、および賦形剤(C)を含有した粉末油脂と、HMB−Caを含む。
[粉末油脂]
本発明における粉末油脂は、油脂(A)、乳化剤(B)、および賦形剤(C)を含有する粉末であり、油脂(A)の周囲に、乳化剤(B)と賦形剤(C)が配置するように形成されたものである。この粉末油脂は、乳化剤(B)の作用により油脂(A)が水に分散するという性質を有する。
以下に、粉末油脂に含まれる各成分及びその製造方法について詳述する。
<油脂(A)>
本発明に用いる油脂(A)の融点は、40〜70℃である。好ましくは45℃以上65℃以下、より好ましくは50℃以上60℃以下である。融点が40℃未満の場合、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が低下し、打錠障害が生じる。
油脂(A)は、35℃における固体脂含量が20〜100%である。好ましくは50%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下である。35℃における固体脂含量が20%未満の場合、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が低下し、打錠障害が生じる。
油脂(A)は、上記の性質を有する食用油脂であれば、特に限定されない。具体的にはパーム油、ナタネ油、大豆油、綿実油、コーン油、ヤシ油、パーム核油、米油、ゴマ油、オリーブ油、カカオ脂、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、牛脂、豚脂、魚油、乳脂、魚油、中鎖脂肪、硬化油、分別油、エステル交換油等が挙げられる。さらに、これらを単独あるいは組み合わせて使用することもできる。
粉末油脂における油脂(A)の含有量は、40〜75質量%であり、好ましくは45質量%以上70質量%以下、より好ましくは50質量%以上60質量%以下である。油脂(A)の含有量が40質量%未満の場合、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が低下し、打錠障害が生じ、さらに苦みを抑制する効果が小さくなる。75質量%を超える場合、錠剤の崩壊遅延が発生する。
<乳化剤(B)>
本発明に用いる乳化剤(B)は、油脂(A)を乳化させられるものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、カゼインナトリウム、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチンなどが挙げられ、好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル、カゼインナトリウム、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤(B)として、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用すると、粉末油脂の粒子径を小さくすることができるため、HMB−Caと混合した際に、HMB−Caの表面に粉末油脂をより密に配置することができる。これにより、HMB−Caの苦味抑制効果が特に優れるという効果がある。
乳化剤(B)は、2種以上組み合わせて使用することが好ましく、特に、グリセリン脂肪酸エステルとカゼインナトリウムの組み合わせが好ましい。この組み合わせとすることにより、錠剤の硬度が高くなるという効果や、崩壊性が向上するという効果がある。なお、錠剤の硬度が高くなると、流通時における錠剤の割れや欠けなどのトラブルの発生を抑制することができる。
粉末油脂におけるグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%であり、特に好ましくは0.8〜1.3質量%である。また、粉末油脂におけるカゼインナトリウムの含有量は、好ましくは1〜13質量%であり、より好ましくは3〜10質量%であり、特に好ましくは4〜8質量%である。
また、グリセリン脂肪酸エステルを使用する場合、HLBは特に制限されないが、好ましくは1〜6である。下限値としては、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上である。グリセリン脂肪酸エステルのHLBをこの範囲とすることにより、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性を向上することができる。
また、乳化剤(B)の状態は、特に制限されないが、常温(25℃)において固体であることが好ましい。乳化剤(B)が融解する性質を有する物質である場合、その融点は、好ましくは50℃以上である。乳化剤(B)の融点が50℃以上であると、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性を向上することができる。
粉末油脂における乳化剤(B)の含有量は、2.5〜13質量%であり、好ましくは4質量%以上10質量%以下、より好ましくは5質量%以上8質量%以下である。乳化剤(B)の含有量が低すぎると錠剤の崩壊遅延が発生し、高すぎると打錠障害抑制効果が低下する。
<賦形剤(C)>
本発明に用いる賦形剤(C)は、生理活性能を有さず、油脂(A)の粉末化や、錠剤の成形性の向上のために含有するものである。また、水に対する溶解性又は分散性に優れるものであり、錠剤の崩壊性を高める作用を有する。
賦形剤(C)の具体例としては、糖質、食物繊維、タンパク質等が挙げられる。糖質としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類や、乳糖、ショ糖、麦芽糖、トレハロース等の二糖類や、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、還元イソマルツロース、イソマルト等の糖アルコールや、オリゴ糖、デキストリン、澱粉、加工デンプン等の多糖類等が挙げられる。食物繊維としては、例えば、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン等の水分散性食物繊維や、グルコマンナン、ペクチン、アラビアガム、難消化性オリゴ糖、難消化性デキストリン、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、寒天、カルボキシメチルセルロース等の水溶性食物繊維等が挙げられる。タンパク質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン等が挙げられる。また、脱脂粉乳のように、糖質やタンパク質の混合物などでもよい。その他、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールを用いてもよい。これらの賦形剤を単独又は2種以上を混合して使用することができる。錠剤の崩壊性に優れるという観点から、好ましくは、糖質、食物繊維であり、より好ましくは、糖質である。
更には、2種以上を混合して使用することが好ましく、特に好ましくは、二糖類以下の糖質と、三糖類以上の多糖類との混合物である。また、二糖類以下の糖質の含有量に対する三糖類以上の多糖類の含有量の比(三糖類以上の多糖類の含有量/二糖類以下の糖質の含有量)は、特に制限されないが、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.8〜1.2である。この比とすることにより、錠剤の硬度を高めつつ、崩壊性を向上するという効果を奏する。
粉末油脂における賦形剤(C)の含有量は、22質量%以上であり、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上である。また、上限については、特に制限されないが、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは44質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。賦形剤(C)の含有量が低すぎると打錠品の崩壊遅延が発生する。
<その他の成分>
本発明における粉末油脂は、上記の(A)〜(C)成分に加えて、その他の成分を配合することできる。
その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、無機塩等が挙げられる。例えば、メタリン酸ナトリウムを配合することにより、カゼインナトリウムの乳化力を向上することができる。
その他の成分の含有量は、特に制限されないが、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。その他の成分の含有量を低下することにより、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
本発明における粉末油脂は粒子状である。前記の粒子の粒子径は、特に制限されないが、メディアン径として10〜150μmであり、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上80μm以下である。
粉末油脂の粒子径が上記の範囲内のときに、錠剤製造時の打錠障害抑制効果が良好になる。
[粉末油脂の製造方法]
粉末油脂は、乳化工程および乾燥工程を経て、油脂(A)の周囲に、乳化剤(B)と賦形剤(C)が配置された粉末油脂とすることができる。
<乳化工程>
油脂(A)と乳化剤(B)と賦形剤(C)の混合液を乳化する工程である。例えば、温水に乳化剤(B)と賦形剤(C)を攪拌しながら投入し、溶解したあとで、攪拌を続けながら油脂(A)を投入し粗乳化させ、次いで、この粗乳化液を均質化機で乳化させる。
<乾燥工程>
乾燥工程は、乳化工程により乳化された乳化液を乾燥機で水分を蒸発させる工程である。例えば、乳化工程により乳化された乳化液をスプレードライヤーなどの乾燥機にて水分を蒸発させ乾燥させる。乾燥後、必要に応じて粉砕、篩過をして、粉末油脂を得る。
[油脂含有HMB−Ca粉末]
本発明の油脂含有HMB−Ca粉末は、上記の粉末油脂と、HMB−Caを含むものである。
<HMB−Ca>
本発明に用いるHMB−Caは、食品用として市販されている粉末のHMB−Caであり、具体的には、例えば、製品名「小林HMBCa」(小林香料株式会社製、HMB−Ca含量98.0質量%以上、白色粉末)などが挙げられる。
HMB−Caの粒子径は、特に制限されないが、好ましくはメディアン径として10〜500μmである。下限値としては、より好ましくは40μm以上であり、更に好ましくは80μm以上であり、特に好ましくは100μm以上である。上限値としては、より好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは200μmである。HMB−Caの粒子径を大きくすると、粉末油脂がHMB−Caの表面に配置されるため、苦みを抑制する効果や、錠剤の硬度を高めつつ、崩壊性を向上するという効果を奏する。
油脂含有HMB−Ca粉末において、粉末油脂の含有量に対するHMB−Caの含有量の比(HMB−Caの含有量/粉末油脂の含有量)は、特に制限されないが、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1.5〜19であり、更に好ましくは2.5〜9であり、特に好ましくは3〜6である。この比とすることにより、苦みを抑制する効果や、錠剤の硬度を高めつつ、崩壊性を向上するという効果を奏する。
[油脂含有HMB−Ca粉末の製造]
本発明の油脂含有HMB−Ca粉末は、粉末油脂とHMB−Caを混合することにより得ることができる。混合には、公知のミキサー、高能率粉体混合装置、高速気流の対流により粉体を混合接触させる装置等を使用することができる。
また、混合時の混合槽内の温度は、特に制限されないが、20〜45℃の温度が好ましい。20℃以上の場合、粉末油脂とHMB−Caを効率よく混合することができる。また、45℃以下の場合、粉末油脂から油分の染み出しを抑制し、錠剤製造時の打錠障害を抑制するという効果を向上する。
[錠剤]
本発明の錠剤は、上記の油脂含有HMB−Ca粉末を含むものである。錠剤中における油脂含有HMB−Ca粉末の配合量は、特に制限されないが、錠剤中におけるHMB−Caの含有量が30〜60質量%となるように配合することが好ましい。
また、錠剤には、その他の成分として、公知の打錠用賦形剤、崩壊剤、流動化向上剤、滑沢剤等を適宜配合することができる。打錠用賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、糖アルコール、乳糖、澱粉などが挙げられる。また、流動化向上剤としては、例えば、微粒二酸化ケイ素等が挙げられ、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウムや、ショ糖脂肪酸エステル、菜種極度硬化油微粉末などが挙げられる。
[錠剤の製造方法]
本発明の錠剤は、油脂含有HMB−Ca粉末及びその他の成分を混合して、打錠用混合粉末を調製し、この打錠用混合粉末を打錠することにより得ることができる。なお、この打錠用混合粉末は、打錠前に造粒してもよい。造粒することにより、打錠障害の発生を抑制する効果を向上する。また、打錠用混合粉末をそのまま打錠することにより、錠剤製造における作業工程を減少し、作業を簡略化することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
表1、2に示した配合で粉末油脂を製造し、表3、4に示した配合で錠剤を製造した。製造方法は以下のとおりである。
[粉末油脂の製造]
<乳化工程>
温水(80℃)に、乳化剤(B)、賦形剤(C)及びメタリン酸ナトリウムを溶解し、水相を攪拌しながら油脂(A)を投入して、粗乳化液を調整した。なお、温水と、成分(A)〜成分(C)及びメタリン酸ナトリウムの重量比(温水:成分(A)〜成分(C)及びメタリン酸ナトリウムの総重量)は、1:1とした。さらに、この粗乳化液をマントンゴーリン型ホモジナイザー(30MPa)で処理し、乳化液とした。
<乾燥工程>
前記乳化工程で得られた乳化液を、スプレードライヤーを用いて乾燥を行った(熱風温度150℃、排風温度85℃)。次に、得られた乾燥物を篩過(20メッシュ)をして、粉末油脂を得た。
[HMB−Ca錠剤の製造]
<混合工程1:油脂含有HMB−Ca粉末の調製>
高速攪拌混合機(バーチカルグラニュレーターVG−05型、株式会社パウレック製)に、粉末油脂100gとHMB−Ca400gを投入した。次に、主軸550rpm、副軸1500rpm、製品温度20〜25℃で20分間攪拌混合し、油脂含油HMB−Ca粉末を得た。
<混合工程2:打錠用混合粉末の調製>
表2に記載の配合のとおりに、上記混合工程1で得られた油脂含油HMB−Ca粉末と、結晶セルロース、糖アルコール、微粒二酸化ケイ素を混合した。次いで、ステアリン酸カルシウムを追加混合し、打錠用混合粉末を得た。
<打錠>
回転式ロータリー打錠機(VELA5:(株)菊水製作所製)を使用して、9.0mm、R7.5の臼・杵で、上記混合工程2で得られた打錠用混合粉末を打錠圧力5〜7kNで打錠し、1錠300mgの錠剤を得た。
[使用原料]
<油脂(A)>
・パーム硬化油−1(横関油脂(株)製)
・パーム硬化油−2(日油(株)製)
・パーム分別油(日油(株)製)
・パーム油(日油(株)製)
・豚脂(日油(株)製)
・菜種硬化油−1(日油(株)製)
・菜種硬化油−2(日油(株)製)
・ハイエルシン菜種硬化油(横関油脂(株)製)
・菜種油(日清オイリオ(株)製)
・大豆油(日清オイリオ(株)製)
<乳化剤(B)>
・グリセリンモノステアリン酸エステル(商品名:エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)
・カゼインナトリウム(商品名:Sodium Caseinate 180、Fonterra Limited製)
・オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(商品名:ピュリティガムBE、National Starch LLC製)
<賦形剤(C)>
・デキストリン(商品名:パインデックス#2、松谷化学工業(株)製)
・乳糖(商品名:ラクトース Leprino 100、Leprino Foods製)
<その他>
・メタリン酸ナトリウム(商品名:ヘキサメタリン酸ナトリウム、米山化学工業(株)製)
・結晶セルロース(商品名:セオラスST−100、旭化成(株)製)
・糖アルコール(商品名:アマルティMR−50、三菱商事フードテック(株)製)
・微粒二酸化ケイ素(商品名:サイロページ720、富士シリシア化学(株)製)
・ステアリン酸カルシウム(商品名:ステアリン酸カルシウム(植物性)、太平化学産業(株)製)
[分析及び評価の方法]
原料、錠剤の分析、評価は以下のとおりに行った。なお、各分析の測定値、評価結果を、表1〜4の下段に示した。
<油脂の融点>
油脂の融点は、基準油脂分析試験法(日本油化学会編 2.2.4.2 融点(上昇融点))に準じて測定した。
<固体脂含量(SFC)>
油脂の固体脂含量は、基準油脂分析試験法(日本油化学会編 2.2.9−2003)に準じて測定した。なお、NMRの測定装置は、「PRAXIS社 MODEL SFC−900A」を使用した。
<粒子径>
粉末油脂の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD−2100」)を用いて粒度を測定し、メディアン径として算出した。
<風味>
実施例及び比較例で調製した油脂含有HMB−Ca粉末について、10人のパネラーにより苦味の抑制効果を評価した。評価方法は、粒子状のHMB−Ca(原末)と、油脂含有HMB−Ca粉末を、HMB−Ca量として200mgを食し、以下の基準により評価した。評価結果は、10人のパネラーが最も多い評価を選択し、表に記載した。なお、10人のパネラーによる評価が二分した場合には、その中から、10人の中で予め設定された3人の代表パネラーの評価結果を採択した。
○:原末よりかなり苦味が抑制されている。
△:原末よりやや苦味が抑制されている。
×:原末と同程度の苦味を感じる。
<加工適性>
混合工程1の混合処理後に、高速攪拌混合機の槽内に油脂の染み出しが認められるか否かを目視にて確認し、以下のとおり評価した。○以上を実用に供することができる合格範囲とした。
◎:油脂の染み出しが全くない。
○:粉全体がしっとりしてダマが認められるが、槽内に油滴は認められない。
×:油脂の染み出しがひどく、槽内に油滴が認められる。
<安息角の測定>
混合工程2で得られた打錠用混合粉末を、漏斗を介して直径9cmの円形状の水平面に静かに落下させ、山型に層を形成した。なお、落下高さは、23cmとした。次に、形成された山型の層の斜面と水平面とのなす角度(安息角)を測定した。安息角の測定は、角度計(筒井理化学器械(株)製)を用いて測定した。安息角の評価は、3回の測定の平均値を用いた。
安息角は、粉の流動性を評価する基準として用いた。安息角が小さいほど粉の流動性が良好で、粉の流動性が悪いと安息角は測定できなかった。
<錠剤の硬度>
錠剤の直径方向に加圧し、錠剤が割れたときの加重(kgf)を測定し、錠剤硬度とした。錠剤硬度は錠剤硬度計(錠剤破壊強度測定器TH−203、富山産業株式会社製)を用いて測定し、錠剤10錠の平均値を求めた。
<錠剤の崩壊試験>
第十七改正日本薬局方(6.09崩壊試験法 2.1即放性製剤)に準じて行い、30分後の錠剤の状態で適合であるかどうか判定した。
<打錠障害の評価>
各錠剤を100錠ずつ製造し、打錠障害(割れ、欠け、外観不良(表面のざらつき))の有無について評価を行った。
また、重量異常(280mg以下または320mg以上/錠)の有無について評価を行った。
Figure 2020000163
Figure 2020000163
Figure 2020000163
Figure 2020000163
実施例1〜6を見ると、HMB−Caに対して、融点が40〜70℃かつ35℃の固体脂含量が20〜100%である油脂(A)を40〜75質量%、乳化剤としてカゼインナトリウムとグリセリンモノステアリン酸エステルを2.5〜13質量%、賦形剤を22質量%以上含有する粉末油脂を混合することにより、HMB−Caの苦みを抑制しつつ、さらに打錠障害の発生を抑制するという効果が認められる。また、実施例7〜9を見ると、乳化剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを用いた場合でも、同様の効果が認められる。
一方、比較例1では、粉末油脂における油脂(A)の含有量が40質量%未満であるため、苦みを抑制する効果が認められなかった。また、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が悪く、打錠時における重量異常が生じた。流動性が悪い(安息角が測定不可)と、打錠機のホッパー内でブリッジが生じやすくなり、臼への充填不足が生じていた。
比較例2では、粉末油脂における油脂(A)の含有量が75質量%を超えているため、油脂で被覆されたHMB−Caは、苦みが十分に抑制されたが、錠剤の崩壊性が悪くなった。
比較例3では、粉末油脂における乳化剤(B)の含有量が2.5質量%未満であるため、錠剤の崩壊性が悪くなった。
比較例4では、粉末油脂における乳化剤(B)の含有量が13質量%超であるため、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が悪く、打錠時における重量異常が生じた。
比較例5〜7では、粉末油脂における賦形剤(C)の含有量が22質量%未満であるため、錠剤の崩壊性が悪くなった。
比較例8では、粉末油脂における油脂(A)の融点が40℃未満であり、35℃の固体脂含量が20%未満であることにより、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性が悪く、打錠時における重量異常が生じた。
比較例9では、粉末油脂における油脂(A)の含有量が40質量%未満であり、乳化剤(B)の含有量が13質量%超であるため、苦みを抑制する効果が低下した。また、油脂含有HMB−Ca粉末の流動性も悪く、打錠時における重量異常が生じた。
比較例10では、粉末油脂における乳化剤(B)の含有量が極めて少なく乳化力が弱いため、錠剤の崩壊性が悪くなる傾向が認められた。
比較例11では、HMB−Caを油脂のみで被覆したものを用いて、錠剤を作製した。油脂で被覆されたHMB−Caは、苦みが十分に抑制されたが、錠剤の崩壊性が悪くなった。
比較例12は、HMB−Caをそのまま打錠用混合粉末に添加した結果、流動性が悪く、重量異常が発生した。

Claims (3)

  1. 粉末油脂と、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩を含む、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末であって、
    前記の粉末油脂は、融点が40〜70℃かつ35℃の固体脂含量が20〜100%である油脂(A)、乳化剤(B)、および賦形剤(C)を含有し、
    前記の粉末油脂における油脂(A)の含有量は、40〜75質量%であり、
    前記の粉末油脂における乳化剤(B)の含有量は、2.5〜13質量%であり、
    前記の粉末油脂における賦形剤(C)の含有量は、22質量%以上である、油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末。
  2. 請求項1に記載の油脂含有β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩粉末を含有する、錠剤。
  3. 錠剤中におけるβ−ヒドロキシ−β−メチル酪酸カルシウム塩の含有量が30〜60質量%である、請求項2に記載の錠剤。


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