JP2020000076A - コンバイン - Google Patents

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Abstract

【課題】穀粒タンクの内部のメンテナンス作業を容易に行えるようにしながら、穀粒タンクが貯留可能な状態のときに穀粒が漏れ出る等のおそれを少なくするコンバインを提供する。【解決手段】穀粒タンク7における側板31が、タンク本体部32に対して縦軸芯周りで回動して、タンク本体部32に形成された開口35を閉塞する閉状態と、外部に開放する開状態とに切り換え可能に設けられ、開口35の周縁にシール部材81が備えられ、側板31を閉状態にロックするロック具69が、開状態から閉状態に切り換わるに伴って、開口35を通して被係止部材70に対応する位置まで貯留空間内に入り込み可能に設けられ、シール部材81のうちのロック具69が通過する部分に対してタンク内方側に隣り合う位置に、ロック具69のタンク内方側への入り込みを規制する規制部82が備えられている。【選択図】図7

Description

本発明は、収穫した穀粒を貯留する穀粒タンクを備えているコンバインに関する。
従来では、穀粒タンクは、箱状に形成された壁体によって閉じられた貯留空間に穀粒を貯留する構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
特開2017−184768号公報
上記従来構成では、穀粒タンクは、箱状に閉じられた状態で空間が形成されているから、例えば、収穫作業が終了した後に、貯留空間の内部壁面に付着堆積している塵埃や残留穀粒を除去する清掃作業等のタンク内部のメンテナンス作業が行い難い不利があった。メンテナンス作業を行えるようにするために、例えば、穀粒タンクの上面の一部に開閉可能な蓋体によって閉塞された開口が形成され、この開口を通して穀粒タンクの上方側から作業を行えるようにしたものもあるが、大型の穀粒タンクに対して上方側からの作業は行い難いものであった。
そこで、このような不利を解消するために、穀粒タンクの側部を大きく開放させることが可能に構成されることが考えられる。このように側部を大きく開放させる構成とした場合、その開閉部分から穀粒が漏れ出ること等が懸念される。
そこで、穀粒タンクの内部のメンテナンス作業を容易に行えるようにしながら、穀粒タンクが貯留可能な状態のときに穀粒が漏れ出る等のおそれを少なくすることが望まれていた。
本発明に係るコンバインの特徴構成は、内部の貯留空間に穀粒を貯留する穀粒タンクが備えられ、前記穀粒タンクにおける側板が、タンク本体部に対して縦軸芯周りで回動可能に支持され、前記側板は、前記縦軸芯周りで回動することにより、前記タンク本体の側部に形成された開口を閉塞して穀粒の貯留を可能にする閉状態と、前記開口を通して前記貯留空間を外部に開放する開状態とに切り換え可能に設けられ、前記タンク本体における前記開口の周縁に、内周側に向けて突出する状態でシール部材が備えられ、前記側板に、前記貯留空間内に備えられた被係止部材に係止して前記側板を前記閉状態にロックするロック具が備えられ、前記ロック具は、前記側板が前記開状態から前記閉状態に切り換わるに伴って、前記開口を通して前記被係止部材に対応する位置まで前記貯留空間内に入り込み可能に設けられ、前記シール部材のうちの前記ロック具が通過する部分に対してタンク内方側に隣り合う位置に、前記ロック具のタンク内方側への入り込みを規制する規制部が備えられている点にある。
本発明によれば、収穫作業を行うときは、穀粒タンクの側板を閉状態に切り換えることにより、収穫された作物を穀粒タンク内部の貯留空間に貯留することができる。収穫作業が終了すると、穀粒タンクの側板を開状態に切り換えることにより、側部に形成された開口を通して貯留空間が外部に開放されるので、清掃等のメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
タンク本体における開口の周縁にシール部材が備えられ、しかも、ロック機構によって閉状態にロックできるので、側板とタンク本体との隙間から穀粒が漏れ出したり、雨水が内部に侵入する等の不利がなく、良好に穀粒を貯留することができる。そして、ロック具は、シール部材の近傍を通過するので、ロック具がシール部材に接触して損傷を与えるおそれがある。しかし、シール部材のうちのロック具が通過する部分に対してタンク内方側に隣り合う位置に規制部が備えられるから、ロック具は、規制部によって受止められ、シール部材を破断させるようにそのまま通過することがない。シール部材がロック具と規制部とによって挟まれることがあっても、挟まれるだけでは損傷するおそれは少ない。その結果、シール部材の損傷を防止でき、側板が閉状態にロックされた状態で、穀粒が漏れ出したり、雨水が内部に侵入することを回避して良好に穀粒を貯留できる状態が維持される。
従って、穀粒タンクの内部のメンテナンス作業を容易に行えるようにしながら、穀粒タンクが貯留可能な状態のときに穀粒が漏れ出る等のおそれを少なくすることが可能となった。
本発明においては、前記規制部が、前記シール部材の上方にわたって設けられていると好適である。
本構成によれば、ロック具がシール部材の上方側から下方に移動してくる場合であっても、規制部によってロック具が受止められるので、ロック具が直接にシール部材に衝突して損傷することを防止できる。
本発明においては、前記規制部は、前記被係止部材が上方に延ばされて形成されていると好適である。
本構成によれば、ロック具が係止作用するために、タンク本体側に備えられる被係止部材を有効に利用して、この被係止部材を上方に延ばすことによって規制部が形成される。その結果、被係止部材とは別体で規制部を構成するための専用の部材を設ける必要がなく、簡素な構成で対応できる。
本発明においては、前記被係止部材が、前記タンク本体における前記開口が形成される壁部に対して、カラーを外挿させた状態で、締結具によって連結固定されていると好適である。
本構成によれば、締結具よりも大径のカラーを介在させることで、被係止部材に対して横方向に力が作用しても、大径であるカラーにより、できるだけ広い範囲により受止め支持することで、締結具や被係止部材等における変形や損傷を防止することが可能となる。
コンバインの全体側面図である。 コンバインの全体平面図である。 穀粒タンクの斜視図である。 メンテナンス状態における穀粒タンクの斜視図である。 穀粒タンクの縦断正面図である。 穀粒タンクの横断平面図である。 開状態から閉状態への切り換え時の開閉壁部の縦断正面図である。 閉状態における開閉壁部の縦断正面図である。 開閉壁部の前部上部の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を自脱型のコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1によって自走する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取る刈取部3が備えられている。走行機体2の前部右側に、キャビン4にて周囲が覆われた運転部5が備えられている。運転部5の後方には、刈取部3にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置6と、脱穀処理にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク7とが、横方向に並ぶ状態で配備されている。穀粒タンク7は機体右側に位置し、脱穀装置6は機体左側に位置している。つまり、運転部5は穀粒タンク7の前方に位置している。運転部5における運転座席8の下方にエンジンEが備えられている。走行機体2の後部であって穀粒タンク7の後方に、穀粒タンク7に貯留された穀粒を機外に排出する穀粒排出装置9が備えられている。脱穀装置6の後部には、排藁を細断処理するための排ワラ処理装置20が備えられている。
この実施形態では、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、図1及び図2に符号(F)で示す方向が機体前側、図1及び図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。図2に符号(L)で示す方向が機体左側、図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
刈取部3は、刈取対象となる植立穀稈の株元を分草案内する分草具10と、分草された植立穀稈を縦姿勢に引き起こす複数の引き起こし装置11、引き起された植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置12、刈取穀稈を縦姿勢から徐々に横倒れ姿勢になるように姿勢変更しながら後方に搬送して脱穀装置6に供給する縦搬送装置13等が備えられている。縦搬送装置13の上方側は防塵カバー14によって覆われている。
図示はしていないが、脱穀装置6は、供給された刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって挟持搬送しながら、穂先側を扱室にて扱き処理して脱穀処理を行う。脱穀処理された後の処理物が下方の選別部にて穀粒とワラ屑等に選別される。穀粒は、図示しない一番物搬送スクリューにより脱穀装置6の右横側外方に搬出されたのち、揚穀コンベア15により揚送されて穀粒タンク7の内部に搬送される。穀粒タンク7は、脱穀装置6から送り込まれる穀粒を貯留する。その後、穀粒タンク7に貯留された穀粒は、穀粒排出装置9により外部に搬出される。
穀粒タンク7の底部には、前後向き軸芯周りで回転して貯留される穀粒を機体後部側に向けて搬送する底部スクリュー16が備えられている。穀粒排出装置9は、底部スクリュー16から搬出される穀粒を受け入れて、その穀粒を上方に向けて搬送する縦向き搬送装置としての縦送りスクリューコンベア17と、その縦送りスクリューコンベア17の上端部に連なる基端部から先端部の排出口18まで穀粒を横方向に向けて搬送する横送りスクリューコンベア19とが備えられている。
支持構成については詳述しないが、穀粒タンク7は、タンク全体が縦送りスクリューコンベア17の回転軸芯である縦向き軸芯X周りで揺動可能に支持されている。つまり、図1,2に示すように、機体内方側に収納された通常の貯留状態と、図1,2に示すように、機体横側外方に張り出し揺動するメンテナンス状態とに切り換え可能に、縦向き軸芯X周りで揺動可能に支持されている。穀粒タンク7は貯留状態において図示しない位置保持機構により姿勢が保持される。
揚穀コンベア15は、スクリューコンベア28により穀粒を上端部近くまで揚送させたのち、上端部に設けられた送り出し羽根24によって、穀粒を穀粒タンク7に形成された開口部25を通してタンク内方側に向けて放出する。
〔穀粒タンク〕
次に、穀粒タンク7について説明する。
図4,6,7に示すように、穀粒タンク7は、前後左右夫々の側面を有する状態で周囲が囲まれて穀粒の貯留空間Qが形成されている。穀粒タンク7の右側面を構成する右側壁部30のうちの一部(後述する開閉壁部31)は、貯留空間Qを閉塞して穀粒の貯留を可能にする閉状態と、貯留空間Qを外部に開放して貯留空間Qへの作業者のアクセスを可能にする開状態とに切り換え可能に設けられている。
穀粒タンク7における右側面を除く他の側面、すなわち、前側面、後側面、左側面、上側面の夫々は、全て一連に連なるように連結された状態の壁部材によって形成され、タンク本体部32を構成している。図6に示すように、タンク本体部32のうち左側壁部33には、揚穀コンベア15を入り込ませた状態で配備するための凹入部34が形成されている。
穀粒タンク7の右側壁部30は、走行機体2の右横側外方に臨む状態で位置している。右側壁部30は、上部から下部に亘るとともに前部から後部に亘る範囲の領域を開放可能である。すなわち、図4に示すように、右側壁部30には、上部から下部に亘るとともに前部から後部に亘る範囲の領域を開放するように大きく開放される状態で開口35が形成されている。このように大きく開放されている開口35を開閉自在な開閉壁部31(側板の一例)によって閉塞して、内部に貯留空間Qを形成するように構成されている。
図4に示すように、右側壁部30は、開閉壁部31と開口35の周囲を囲う枠状部分36とを備えており、枠状部分36は、他の側面に連結されており、タンク本体部32の一部を構成している。図5に示すように、開閉壁部31が貯留状態に切り換えられて、後述するように開閉壁部31と枠状部分36とが一体的に連結されることで、右側壁部30を構成する。
図4に示すように、開閉壁部31は、穀粒タンク7の後方に位置する縦軸芯Y1周りで揺動開閉可能にタンク本体部32に支持されている。タンク本体部32の後側壁部38の右側端部において、上下方向に間隔をあけて2つの回動支持部39が備えられ、この回動支持部39により、開閉壁部31が縦軸芯Y1周りで揺動自在に支持する構成となっている。
次に、タンク本体部32における強度補強のための構成について説明する。
図4,6に示すように、タンク本体部32の前部と後部とに亘って機体前後方向に延びる前後向きフレーム40が備えられている。前後向きフレーム40は、円筒状に形成され、タンク本体部32における前側壁部41と後側壁部42とに亘って延びる状態で設けられている。前後向きフレーム40は、穀粒タンク7内部の機体右側端部の上下中間部に位置する状態で設けられている。
前後向きフレーム40の前後中央部よりも前側に寄った位置、及び、前後中央部よりも後側に寄った位置の夫々において、前後向きフレーム40と左側壁部33に取り付けられたブラケット44とを連結する丸棒材からなる第一補助フレーム45が備えられている。
図4に示すように、開閉壁部31が開状態にあるときに、開いた状態に保持するための開度保持具46が備えられている。開度保持具46は両端が曲げられた棒状の部材であって、一方の端部(支持端)が支持板47に保持され、他方の端部(自由端)が、タンク本体部32の枠状部分36に取り付けられた連結具48の穴に差し込まれる(図4の仮想線参照)。これにより開度保持具46が、開閉壁部31を開いた状態に保持する。開度保持具46は使用しないときは、図4に実線で示すように、垂れさがって姿勢で図示しないクリップ部材により保持される。
又、開閉壁部31が所定の角度(例えば、90度)以上に開くことを防止するための開放防止ワイヤ50が備えられている。開放防止ワイヤ50は金属製の柔軟なワイヤであって、一方の端部がタンク本体部32の連結具48に接続され、他方の端部が開閉壁部31に設けられたピン53に接続されている。尚、開度保持具46にて保持されている状態や、開閉壁部31が閉じられた状態においては、弛んだ状態となる。
開度保持具46や開放防止ワイヤ50によって、開閉壁部31が開状態で保持されているときに、例えば、風等によって、開閉壁部31に対してさらに開放する方向にむけて無理な力がかかると、開度保持具46や開放防止ワイヤ50が連結されるタンク本体部32の枠状部分36が変形するおそれがある。そこで、次のような第二補助フレーム体54が設けられている。
図5に示すように、第二補助フレーム体54は、帯板にて構成され、後部側の第一補助フレーム体45が連結される左側壁部33側のブラケット44と、枠状部分36側の連結具48とに亘って架設連結されている。この第二補助フレーム体54により、開閉壁部31に対してさらに開放する方向にむけて無理な力がかかる場合に、無理な力によるタンク本体部32側の変形を阻止している。
次に、開閉壁部31における強度補強のための構成について説明する。
図5に示すように、開閉壁部31は前後方向視で緩やかな円弧状に形成されている。図4,5に示すように、開閉壁部31のタンク内方側の上部側箇所に上部側補強部56が備えられている。上部側補強部56は、板材を断面略U字形に折り曲げて形成され且つ前後方向に延びる上部支持体57が、前後方向全域にわたり開閉壁部31の壁面に一体的に連結されて角筒状の補強部を構成している。
開閉壁部31のタンク内方側の下部側箇所には、下部側補強部59が備えられている。下部側補強部59は、板材を略U字形に折り曲げて形成された第一補強体59aと、平板状の第二補強体59bとを略筒状に連結して構成されている(図8参照)。下部側補強部59は、前後方向全域にわたり開閉壁部31の壁面に一体的に連結されている。図6に示すように、開閉壁部31の後部側端部には、上下両側の回動支持部39を介して開閉壁部31全体を支持するための角筒状の縦向き補強部58が備えられている(図6参照)。
開閉壁部31のタンク内方側には、上部側補強部56と下部側補強部59とにわたって、上下方向に延びる複数の縦向き支持板が、前後方向に間隔をあけて複数備えられている。具体的には、図4,6に示すように、縦向き支持板として、開閉壁部31の前部側端部に位置する第一の縦向き支持板60、前部側端部よりも設定幅だけ後部側に寄った箇所に位置する第二の縦向き支持板61、前後中間部に位置する第三の縦向き支持板62の夫々が備えられている。複数の縦向き支持板60,61,62は夫々、断面L字形の板体からなり、開閉壁部31のタンク内方側の側面に一体的に連結されている。上部側補強部56は、開閉壁部31の前後方向の全幅にわたって設けられている。下部側補強部59は、第二の縦向き支持板61から後側端部にわたって設けられている。
次に、開閉壁部31をタンク本体部32に連結するための連結構造について説明する。
開閉壁部31には、前後向きフレーム40に係止する係止部材63が備えられている。操作レバー64の揺動操作により、係止部材63が前後向きフレーム40に引っ掛かり係止する係止状態と、係止を解除する解除状態とに切り換え操作可能に構成されている。係止部材63は、略U字状の係止溝65を有するフック状部材にて構成されている。
図4,6に示すように、操作レバー64の揺動操作により一体回動する回動軸66が備えられ、係止部材63が回動軸66に一体的に回動自在に連結されている。操作レバー64の揺動操作に伴う回動軸66の回動により、係止部材63が係止状態と解除状態とに切り換わる。
回動軸66は、開閉壁部31のタンク内方側の近い位置において、開閉壁部31の前後中間部と前部とにわたって前後方向に延びる状態で備えられている。回動軸66は、第二の縦向き支持板61と第三の縦向き支持板62に形成された挿通孔(図示せず)を夫々挿通して、第二の縦向き支持板61と第三の縦向き支持板62とにより回動自在に支持されている。
回動軸66の前側端部であって、第一の縦向き支持板60と第二の縦向き支持板61との間に位置する状態で操作レバー64が備えられている。図1に示すように、開閉壁部31のうち、第一の縦向き支持板60と第二の縦向き支持板61との間における操作レバー64が対応する位置に開口67が形成されている。開口67は、上下方向のスライド可能な蓋体68(図6参照)によって覆われる状態と、開放される状態とに切り換え可能である。蓋体68を上方にスライドすると、開口67を通して操作レバー64が外方に臨む状態となり、機体外部から作業者が手動操作可能な状態となる。
図5,8に示すように、操作レバー64が開閉壁部31の内部に位置する縦向き姿勢に切り換えられると、係止部材63が前後向きフレーム40に係止して、貯留状態の開閉壁部31の揺動側端部とタンク本体部32とが連結される。図7に示すように、開口67を通して手動で操作レバー64を外方側に引き操作して、操作レバー64が外方に傾倒する傾斜姿勢に切り換えられると、係止部材63が前後向きフレーム40に対する係止が解除され、開閉壁部31の揺動側端部とタンク本体部32との連結が解除される。
この穀粒タンク7には、開閉壁部31を貯留状態で位置保持するとともに、開閉壁部31をタンク本体部32側に引き寄せて隙間を無くして貯留空間の閉塞性を高めるための構成が備えられている。
以下、その構成について説明する。
図4,5に示すように、開閉壁部31に、上下方向にのみ移動可能に支持されるとともに、回動軸66の回動に伴って上下方向に移動可能に回動軸66に連動連結されたロック具としての複数のロッド69が備えられ、タンク本体部32に複数の被係止部材としての案内保持部材70が備えられている。
案内保持部材70におけるタンク本体部32の開口35の内周側に対応する箇所には、内周側に向かうほど外方側に向けて傾斜する傾斜部71が形成されている。案内保持部材70における開口35の外周側に対応する箇所には、傾斜部71から一連に連なる状態で上下方向に延びる受止め保持部72が形成されている。説明を加えると、上側の案内保持部材70は、下部に傾斜部71が形成され、上部に受止め保持部72が形成されている。下側の案内保持部材70は、上部に傾斜部71が形成され、下部に受止め保持部72が形成されている。
係止部材63が係止状態となるように、操作レバー64が傾斜姿勢から縦向き姿勢に切り換え操作されると、ロッド69が、案内保持部材70の傾斜部71にて摺動案内されて、開閉壁部31をタンク本体部32側に引き寄せるように構成されている。操作レバー64が縦向き姿勢に切り換わると、ロッド69は受止め保持部72にて受止められ、開閉壁部31をタンク本体部32側に引き寄せている状態を維持する。
説明を加えると、側面視で、回動軸66の前後両端部に対応する箇所であって、且つ、開閉壁部31の上部側箇所及び下部側箇所の夫々に、合計4本のロッド69が上下方向にのみ移動可能に備えられている。図4,5に示すように、上側に位置する2本の上側のロッド(上ロッド)69は、上部側支持部材73及び上部側補強部56の夫々に形成された挿通孔を挿通する状態で設けられ、上下方向にのみ移動可能に支持されている。下側に位置する2本のロッド(下ロッド)69は、前後方向視で略U字形に形成され且つロッド69が挿通する挿通孔が形成された下部側支持部材74によって、上下方向にのみ移動可能に支持されている。
図4,5に示すように、回動軸66の前後両側端部に一体回動する天秤アームとしての操作体77が連結されている。操作体77は、長手方向の一方側端部に、リンク部材78を介して上側の上ロッド69が枢支連結されている。操作体77は、長手方向の他方側端部には、リンク部材78を介して下側の下側のロッド69が枢支連結されている。操作レバー64の操作に伴って回動軸66が回動して、操作体77とリンク部材78を介してロッド69が上下方向にスライド移動する。
図4に示すように、タンク本体部32の枠状部分36におけるロッド69がスライド移動する箇所に、複数の案内保持部材70が備えられている。上側に位置する2つの案内保持部材70は、枠状部分36におけるタンク外側の箇所に設けられている。下側に位置する2つの案内保持部材70は、枠状部分36におけるタンク内側の箇所に設けられている。上側に位置する2つの案内保持部材70は、下端部が枠状部分36から離間する側に位置し、上方に向かうほど枠状部分36に近づくような傾斜面を備えている。下側に位置する2つの案内保持部材70は、上端部が枠状部分36から離間する側に位置し、下方に向かうほど枠状部分36に近づくような傾斜面を備えている。
上側に位置する2つの案内保持部材70は、枠状部分36に対するネジ軸79のナット80による締め付け位置を変更することにより、タンク本体部32と開閉壁部31との接近離間方向での位置を変更調節可能に設けられている。下側に位置する2つの案内保持部材70の取り付け構造については後述する。
操作レバー64が縦向き姿勢に切り換えられると、操作体77とリンク部材78を介して、上側のロッド69は上方に移動し、下側のロッド69は下方に移動する。上側のロッド69は、タンク本体部32に備えられた上側の案内保持部材70に摺動案内され、下側のロッド69は、タンク本体部32に備えられた下側の案内保持部材70に摺動案内される。ロッド69と案内保持部材70との摺動案内によって、開閉壁部31とタンク本体部32とが相対変位して、開閉壁部31がタンク本体部32に近づく方向に引き寄せられる。その結果、開閉壁部31とタンク本体部32の開口35の周囲の枠状部分36とが密に接触する状態となる。
開閉壁部31と枠状部分36における開口35の周縁部との接触箇所には、シール部材81が備えられている。特に、図4に示すように、開口35の周縁部のうちの下側縁部と揺動外周側の縁部には、弾性変形量が大きく密閉性を高めることが可能なゴム製のウェザーストリップにて構成されるシール部材81が備えられている。
上記したようなウェザーストリップ型のシール部材81は、図7に示すように、タンク本体部32における開口35の周縁に内周側に向けて突出する状態で備えられている。そして、開閉壁部31がメンテナンス状態(開状態)から貯留状態(閉状態)に切り換わるときに、下側のロッド69がシール部材81に接触して破損させることを回避することができるようになっている。
すなわち、下側のロッド69は、開閉壁部31がメンテナンス状態(開状態)から貯留状態(閉状態)に切り換わるに伴って、開口35を通して案内保持部材70に対応する位置まで貯留空間内に入り込み可能に設けられている。そして、図7に示すように、シール部材81のうちのロッド69が通過する部分に対してタンク内方側に隣り合う位置に、ロッド69のタンク内方側への入り込みを規制する規制部82が備えられている。規制部82は、下側に位置する2つの案内保持部材70が上方に延ばされて一体的に形成されており、上部の傾斜部71がシール部材81の上方に重なるように位置しており、シール部材81の上方にわたって設けられている。
このように構成すると、開閉壁部31がメンテナンス状態(開状態)から貯留状態(閉状態)に向けて揺動するときに、下側のロッド69が十分に上昇しておらず、シール部材81に接当する状態で揺動することがあっても、下側のロッド69は規制部82によって受止められて、開閉壁部31はそれ以上揺動できないので、揺動操作が停止される。このとき、シール部材81は下側のロッド69と規制部82とによって挟まれた状態となるが、挟まれる状態はすぐに解除されるので、シール部材81が損傷するおそれはない。
又、開閉壁部31が、貯留状態(閉状態)に向けて揺動するときは、規制部82よりも上方に位置している場合であっても、開閉壁部31が充分に閉まらずに、下側のロッド69がシール部材81の上方に位置している状態で停止して、そのままロック操作が行われることがある。その場合、下側のロッド69が下方にスライドすると、シール部材81の上方に位置する規制部82に先に当たり、シール部材81への接当が回避される。
下側に位置する2つの案内保持部材70は、図7に示すように、案内保持部材70と枠状部分36との間に、締結具としてのネジ軸83よりも大径のカラー84を介在させた状態で、ネジ軸83とナット85とで締め付けて枠状部分36に連結固定されている。このように大径のカラー84を介在させることで、上下方向に長く延びた案内保持部材70に対して横方向に力が作用しても、大径であるカラー84によって広い範囲により受止め支持することで、ネジ軸83や案内保持部材70等における変形や損傷を防止するようにしている。
カラー84と枠状部分36との間には隙間調節用のシム86が介在されている。シム86の枚数を変更することで、案内保持部材70のネジ軸83の軸芯方向での位置調整を行うように構成されている。
上記したような構成では、図7に示すように、操作レバー64が傾斜姿勢に切り換えられると、係止部材63が解除状態となり、それに伴って、操作体77とリンク部材78を介して、上側のロッド69は下方に移動して案内保持部材70との係合が解除され、下側のロッド69は上方に移動して案内保持部材70との係合が解除される。その結果、開閉壁部31を外方に揺動させて、メンテナンス状態に切り換えることができる。
図6に示すように、開閉壁部31の第一の縦向き支持板60と第二の縦向き支持板61とで挟まれるレバー収納領域と貯留空間Qとは仕切られる構成となっている。貯留空間Qに穀粒が貯留されていても、操作レバー64が備えられるレバー収納領域には穀粒がなく、操作を容易に行える。
タンク本体部32の枠状部分36における機体前部側の上部箇所に、開閉壁部31が閉状態に切り換えられているか否かを検出する検出センサSが備えられている。検出センサSは、開閉壁部31に備えられた被検知体87が接触作用することで閉状態を検知する構成となっている。図示はしていないが、検出センサSが閉状態を検知していなければ、エンジンEの始動が牽制され、収穫作業中に閉状態が検知されなくなると、エンジンEを停止させるように構成されている。
図1に示すように、開閉壁部31の下方側には、穀粒タンク7の下部側の右側外方を覆う下部カバー93が備えられている。下部カバー93は、前端部の上下幅が後端部の上下幅よりも少し幅狭であって、下端縁は略水平姿勢であり、上端縁が後上がり傾斜姿勢になるように形成されている。この下部カバー93は、取り外し可能に支持されている。図3に示すように、下部カバー93は、前後両側部に備えられたフック状の係止部材94が、開閉壁部31の前後両側部に備えられた係止ピン95に係止して位置保持することができるとともに、下部側の前後両側に設けられた周知構成の弾性係合式のロック具96により、タンク本体部32に設けられた係止部(図示せず)に係止してロック可能に構成されている。
図4,9に示すように、開閉壁部31の前端部の横向き縁部における上部側箇所に、円形の挿通孔88が形成されている。この挿通孔88を通して、作業者が上側のロッド69が確実に案内保持部材70に係止している状態(ロック状態)であるか否かを目視で検査することができる。尚、この挿通孔88は、製造工程において、塗装作業を行う際に、吊り上げ装置によって引っかけて吊り下げる際に利用することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、規制部82が、案内保持部材70(被係止部材)が上方に延ばされて、案内保持部材70に一体的に形成される構成としたが、この構成に代えて、規制部82が案内保持部材70とは別体で構成されるものでもよい。
(2)上記実施形態では、規制部82が、シール部材81の上方にわたって設けられる構成としたが、この構成に代えて、シール部材81の上方には、規制部82に対応する部材を設けない構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、被係止部材としての下側の案内保持部材70がタンク本体部32に対して、カラー84を外挿させた状態で締結具によって連結固定される構成としたが、この構成に代えて、カラー84を設けることなく、ネジ軸83とナット85からなる締結具だけで連結する構成としてもよく、ナット85のネジ軸83に対する締め付け位置の変更により、タンク本体部32との位置調整を行うようにしてもよい。
本発明は、自脱型コンバインに限らず、刈取穀稈の全稈を脱穀装置に投入する普通型コンバインにも適用できる。
7 穀粒タンク
31 側板
32 タンク本体部
35 開口
69 ロック具
70 被係止部材
81 シール部材
82 規制部
83 締結具
84 カラー

Claims (4)

  1. 内部の貯留空間に穀粒を貯留する穀粒タンクが備えられ、
    前記穀粒タンクにおける側板が、タンク本体部に対して縦軸芯周りで回動可能に支持され、
    前記側板は、前記縦軸芯周りで回動することにより、前記タンク本体部の側部に形成された開口を閉塞して穀粒の貯留を可能にする閉状態と、前記開口を通して前記貯留空間を外部に開放する開状態とに切り換え可能に設けられ、
    前記タンク本体部における前記開口の周縁に、内周側に向けて突出する状態でシール部材が備えられ、
    前記側板に、前記貯留空間内に備えられた被係止部材に係止して前記側板を前記閉状態にロックするロック具が備えられ、
    前記ロック具は、前記側板が前記開状態から前記閉状態に切り換わるに伴って、前記開口を通して前記被係止部材に対応する位置まで前記貯留空間内に入り込み可能に設けられ、
    前記シール部材のうちの前記ロック具が通過する部分に対してタンク内方側に隣り合う位置に、前記ロック具のタンク内方側への入り込みを規制する規制部が備えられているコンバイン。
  2. 前記規制部が、前記シール部材の上方にわたって設けられている請求項1に記載のコンバイン。
  3. 前記規制部は、前記被係止部材が上方に延ばされて形成されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
  4. 前記被係止部材が、前記タンク本体部における前記開口が形成される壁部に対して、カラーを外挿させた状態で、締結具によって連結固定されている請求項1から3のいずれか1項に記載のコンバイン。
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