JP2019534313A - 光学活性ジアザスピロ[4.5]デカン誘導体の分割 - Google Patents

光学活性ジアザスピロ[4.5]デカン誘導体の分割 Download PDF

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Abstract

本発明は、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)、特にアイソフォーム1(TPH1)の阻害剤であるスピロ環化合物を調製するのに有用な、ジアザスピロ[4.5]デカン中間体およびその塩を対象とする。中間体およびその塩を調製する方法も提供する。

Description

本発明は、例えば、胃腸性、心臓血管性、肺、炎症性、代謝性、および骨量低下の疾患を含む末梢セロトニンに関わる疾患または障害、ならびにセロトニン症候群および癌の治療に有用な、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)、特にアイソフォーム1(TPH1)の阻害剤であるスピロ環化合物の調製に有用な中間体を調製する方法を対象とする。
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5−HT)は、神経、平滑筋、および他の細胞種に作用することによって中枢および末梢機能を調整する神経伝達物質である。5−HTは、複数の生理学的および精神的過程の制御および調整に関与する。中枢神経系(CNS)において、5−HTは、心的状態、食欲、および他の行動機能を調節する。GI系において、5−HTは、一般的な運動促進の役割を果たし、GI管と脳との間の感覚(例えば、吐き気および満腹感)の重要なメディエーターである。末梢5−HT信号伝達系の異常調節が、いくつかの症状、例えば骨粗鬆症、癌、心臓血管性疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化、ならびに胃腸性、肺、炎症性、および肝臓の疾患または障害などの病因に関与すると報告されている。
TPHの脊椎動物の2種のアイソフォーム、すなわちTPH1およびTPH2が同定されている。TPH1は主に、松果腺および非神経組織、例えば胃腸(GI)管にあるクローム親和性(EC)細胞で発現される。TPH2(脳における主な形態)はもっぱら、神経細胞、例えば背側縫線または筋層間神経叢細胞で発現される。5−HT生合成に関与する末梢系および中枢系は隔離されていて、5−HTは血液脳関門を通過することができない。したがって、5−HTの薬理作用は、末梢のTPH、主に胃腸のTPH1に影響を及ぼす薬剤によって調整することができる。
最近の報告は、5−HTに関わる病気を治療し、予防するための手段として、腸内5−HT濃度を選択的に減らすのに有用な、新規のスピロ環TPH1阻害剤の開発を記載している例えば、米国特許第9199994号を参照されたい。その開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる)。本発明の方法は、米国特許第9199994号に記載されたTPH1阻害剤、例えば(S)−エチル8−(2−アミノ−6−((R)−1−(5−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキシレートを調製するのに有用である。
本発明は、とりわけ、式I−(S)の異性体化合物の量を、
Figure 2019534313
式I−(R)の異性体化合物の量に対して、
Figure 2019534313
式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物において、増加させる方法を提供し、この方法は、
出発混合物を、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物と、アルデヒドの存在下で反応させて、異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を含む塩混合物を生成させることを含み、
塩混合物は、出発混合物中に存在する式I−(S)および式I−(R)の異性体化合物の相対量と比較したとき、ある量の式I−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含んでおり、成分の変数は本明細書に定義されている。
本発明はさらに、式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物の混合物であって、式I−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上である混合物を提供する。
本発明はさらに、式I−(S)または式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を提供する。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
本出願は、とりわけ、式I−(S)の異性体化合物の量を、
Figure 2019534313
(RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)
式I−(R)の異性体化合物の量に対して、
Figure 2019534313
式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物において、増加させる方法を提供し、この方法は、
出発混合物を、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物と、アルデヒドの存在下で反応させて、異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を含む塩混合物を生成させることを含み、
塩混合物は、出発混合物中に存在する式I−(S)および式I−(R)の異性体化合物の相対量と比較したとき、ある量の式I−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含んでいる。
いくつかの実施形態において、反応で用いる2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物は、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物である。いくつかの実施形態において、反応を、出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、約1モル当量の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物を用いて行う。
いくつかの実施形態において、反応で用いるアルデヒドは芳香族アルデヒド、例えばベンズアルデヒドである。アルデヒドの量は、出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、触媒量で用いることができる。いくつかの実施形態において、反応を、出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、1モル当量未満、例えば、1モル当量未満、0.8モル当量未満、0.6モル当量未満、0.4モル当量未満、0.2モル当量未満、または0.1モル当量未満のアルデヒドを用いて行う。いくつかの実施形態において、反応を、出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、約0.01〜約0.5モル当量、例えば、約0.01〜約0.5、約0.01〜約0.4、約0.01〜約0.3、約0.01〜約0.2、または約0.01〜約0.1モル当量のアルデヒドを用いて行う。さらなる実施形態において、反応を、反応中の少なくとも何れかの時点で、高温で行うことができる。いくつかの実施形態において、温度は、約35℃〜約45℃、約30℃〜約40℃、約25℃〜約35℃、約20℃〜約30℃、または約15℃〜約25℃の範囲でありうる。有機溶媒のような溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフランのようなエーテル溶媒)を用いて、反応を行ってもよい。
いくつかの実施形態において、式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率は約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、または約99%以上である。
いくつかの実施形態において、式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率は約75%〜約99.9%、約80%〜約99.9%、約85%〜約99.9%、約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%、約96%〜約99.9%、約97%〜約99.9%、約98%〜約99.9%、約99%〜約99.9%、または約99.5%〜約99.9%の範囲でありうる。
いくつかの実施形態において、方法はさらに、塩混合物を(例えば、再結晶化によって)精製して、精製前の異性体化合物のグロン酸塩の相対量と比較したとき、式I−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含む精製塩混合物を生成させることを含む。精製は、有機溶媒のような溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフランのようなエーテル溶媒)中で行うことができる。
いくつかの実施形態において、精製工程後の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率は約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、または約99%以上である。
いくつかの実施形態において、精製工程後の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率は約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%、約96%〜約99.9%、約97%〜約99.9%、約98%〜約99.9%、約99%〜約99.9%、または約99.5%〜約99.9%の範囲でありうる。
いくつかの実施形態において、方法はさらに、精製塩混合物を塩基と反応させて、式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物を含む遊離塩基混合物を生成することを含む。
Figure 2019534313
いくつかの実施形態において、遊離塩基反応で用いる塩基は、アルカリ金属塩基、例えば炭酸ナトリウムである。用いる塩基の量は塩混合物中のグロン酸の合計量に対してモル過剰(例えば、塩混合物中のグロン酸塩の量に対して、1モル当量より多い)であり、またはグロン酸塩を遊離塩基化合物に変換するのに十分な任意の量でありうる。いくつかの実施形態において、遊離塩基反応で用いる塩基の量は、塩混合物中のグロン酸塩の量に対して、約1.1〜約100モル当量、約1.1〜約50モル当量、約1.1〜約25モル当量、約1.1〜約10モル当量、または約1.1〜約5モル当量である。さらなる実施形態において、塩基を水溶液、例えば10%水溶液、20%水溶液、30%水溶液、40%水溶液などとして用意する。遊離塩基反応はさらに、反応中の少なくとも何れかの時点で、高温で行うことができる。いくつかの実施形態において、温度は、約10℃〜約30℃、約15℃〜約25℃、または約15℃〜約20℃の範囲でありうる。エーテル溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフランのようなフラン)もしくは炭化水素溶媒(例えば、n−ヘプタンのような)、またはそれらの組み合わせを含む有機溶媒のような溶媒を用いて、遊離塩基反応を行ってもよい。
いくつかの実施形態において、遊離塩基混合物中の式I−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率は約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約99.9%以上である。
いくつかの実施形態において、遊離塩基混合物中の式I−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率は約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%、約96%〜約99.9%、約97%〜約99.9%、約98%〜約99.9%、約99%〜約99.9%、または約99.5%〜約99.9%の範囲でありうる。
本明細書で用いる限り、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用する用語「Ci〜jアルキル」は、i〜j個の炭素原子を有し、直鎖または分枝鎖であってもよい飽和炭化水素基をいう。いくつかの実施形態において、アルキル基は1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を含む。アルキル部分の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルのような化学基を含む。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。
本明細書に記載した、化合物および塩を調製する方法は、様々な化学基の保護および脱保護(例えば、アミノ保護基による、ミン基の保護および脱保護)を含みうる。保護および脱保護の必要性、および適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定しうる。保護基の化学は、例えば、WutsおよびGreene、Protective Groups in Organic Synthesis、第4版、John Wiley&Sons:New Jersey(2007)に見出すことができ、これは参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載した保護基に対する調整ならびに生成法および開裂法は、必要に応じて、様々な置換基に照らして調整されるであろう。
例えば、適切なPg保護基は、これらに限定されないが、WutsおよびGreene、Protective Groups in Organic Synthesis、第4版、John Wiley&Sons:New Jersey、696〜887頁(特に、872〜887頁)(2007)に記載されたアミンの保護基を含み、その開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。アミノ保護基の例は、これらに限定されないが、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル(Teoc)、2−(4−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(Tsc)、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、2−アダマンチルカルボニル(2−Adoc)、2,4−ジメチルペンタ−3−イルオキシカルボニル(Doc)、シクロヘキシルオキシカルボニル(Hoc)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(TcBOC)、ビニル、2−クロロエチル、2−フェニルスルホニルエチル、アリル、ベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、ジフェニル−4−ピリジルメチル、N’,N’−ジメチルヒドラジニル、メトキシメチル、t−ブトキシメチル(Bum)、ベンジルオキシメチル(BOM)、または2−テトラヒドロピラニル(THP)、トリ(C1〜4アルキル)シリル(例えば、トリ(イソプロピル)シリル)、1,1−ジエトキシメチル、またはN−ピバロイルオキシメチル(POM)を含む。いくつかの実施形態において、Pgはtert−ブトキシカルボニルである。
いくつかの実施形態において、式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物を、式IIの化合物を
Figure 2019534313
(RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)、水素化触媒の存在下で水素ガスと反応させることを含む方法によって調製する。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Pgはtert−ブトキシカルボニルである。
本明細書で用いる限り、用語「水素化触媒」は、水素化反応(すなわち、化合物の水素ガスとの反応)を触媒するのに好適な金属(例えば、パラジウム、ニッケル、またはロジウム)触媒をいう。水素化触媒の例は、これらに限定されないが、炭素上のパラジウム、リンドラー触媒(炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムに堆積させたパラジウム)、ラネーNi(例えば、ラネーNi A5000)、ウィルキンソン触媒、HRuCl(PPh、RhCl(PPh、[Rh(COD)Cl]、[Ir(COD)(PMePh、[Rh(1,5−シクロオクタジエン)(PPh、PtO(アダムス触媒)、炭素上のパラジウム、パラジウムブラックなどを含む。水素化触媒の追加の例は、Nishimura、Heterogeneous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis、第1版、Wiley(4月17日、2001)、およびChaloner、Homogeneous Hydrogenation、第1版、Springer Netherlands(12月6日、2010)に見出されるであろう。その各々の開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、反応に用いる水素化触媒はラネーNiA5000である。水素化触媒は、反応に用いる式IIの化合物の量に対して、触媒量で用いることができる。プロトン性溶媒(例えば、エタノール)もしくはエーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフランのようなフラン溶媒)、またはそれらの組み合わせを含む有機溶媒のような溶媒を用いて水素化反応を行ってもよい。さらなる実施形態において、反応を、反応中の少なくとも何れかの時点で、高温で行うことができる。いくつかの実施形態において、温度は約30℃〜約45℃、約30℃〜約40℃、または約35℃〜約40℃の範囲でありうる。
いくつかの実施形態において、式IIの化合物を、式IIIの化合物を、
Figure 2019534313
式IVの化合物と、
Figure 2019534313
塩基の存在下で反応させることを含む方法によって調製する(RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Pgはtert−ブトキシカルボニルである。
いくつかの実施形態において、式IIIおよび式IVの化合物の反応に用いる塩基は、アミン塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、またはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。用いる塩基の量は、式IVの化合物の量に対して、モル過剰でありうる。いくつかの実施形態において、用いる塩基の量は、式IIIの化合物の1モル当量に対して、約1.1〜約3モル当量、約1.1〜約2モル当量、約1.4〜約2モル当量、または約1.4〜約1.8モル当量の範囲でありうる。いくつかの実施形態において、反応を、式IVの化合物1モル当量に対して、約1モル当量の式IIIの化合物を用いて行う。さらなる実施形態において、反応を、反応中の少なくとも何れかの時点で、おおよそ室温またはより低い温度で行うことができる。いくつかの実施形態において、温度は約−10℃〜約25℃、約−10℃〜約20℃、約0℃〜約20℃、約0℃〜約15℃、または約10℃〜約15℃の範囲でありうる。炭化水素溶媒(例えば、トルエン)もしくはエーテル溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフランのようなフラン溶媒)、またはこれらの組み合わせを含む有機溶媒のような溶媒を用いて、反応を行ってもよい。
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物を、式Vの化合物を、
Figure 2019534313
ヒドロキシルアミンまたはその塩と反応させることを含む方法によって調製する(RはC1〜6アルキルである)。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルアミンはヒドロキシルアミン塩、例えばヒドロキシルアミン塩酸塩である。用いるヒドロキシルアミンまたはその塩の量は、式Vの化合物1モル当量に基づいて、約1.1〜約2モル当量、約1.1〜約1.8モル当量、約1.1〜約1.6モル当量、または約1.1〜約1.4モル当量の範囲でありうる。さらなる実施形態において、反応を、反応中の少なくとも何れかの時点で、おおよそ室温またはより低い温度で行うことができる。いくつかの実施形態において、温度は約10℃〜約30℃、約10℃〜約25℃、または約15℃〜約25℃の範囲でありうる。炭化水素溶媒(例えば、トルエン)もしくはプロトン性溶媒(例えば、水)、またはそれらの組み合わせのような溶媒を用いて、反応を行ってもよい。
いくつかの実施形態において、式IVの化合物を、式VIの化合物を、
Figure 2019534313
ピロリジンと反応させることを含む方法によって調製する(Pgはアミノ保護基である)。いくつかの実施形態において、Pgはtert−ブトキシカルボニルである。
用いるピロリジンの量は、用いる式VIの化合物の量に対して、モル過剰でありうる。いくつかの実施形態において、用いるピロリジンの量は、式VIの化合物1モル当量に対して、約1.1〜約3モル当量、約1.1〜約2モル当量、または約1.1〜約1.8モル当量の範囲でありうる。有機溶媒(例えば、トルエンのような炭化水素溶媒)のような溶媒を用いて、反応を行ってもよい。さらなる実施形態において、反応を、反応中の少なくとも何れかの時点で、高温で行うことができる。いくつかの実施形態において、反応を、溶媒の沸点で行うことができる。
いくつかの実施形態において、本出願は、式Ia−(S)の異性体化合物の量を、
Figure 2019534313
式Ia−(R)の異性体化合物の量に対して、
Figure 2019534313
式Ia−(S)および式Ia−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物において、増加させる方法を提供し、この方法は下記を含む。
出発混合物を、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物と、ベンズアルデヒドの存在下で反応させて、異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を含む塩混合物を生成させ、塩混合物は、出発混合物中に存在する式Ia−(S)および式Ia−(R)の異性体化合物の相対量と比較したとき、ある量の式Ia−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式Ia−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含み、
塩混合物を再結晶化して、精製前の異性体化合物のグロン酸塩の相対量と比較したとき、式Ia−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式Ia−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含む精製塩混合物を生成させ、ならびに
精製塩混合物を酸ナトリウムの存在下で反応させて、式Ia−(S)および式Ia−(R)を有する異性体化合物を含む遊離塩基混合物を生成させ、遊離塩基混合物中の式Ia−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%より高い。
式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物を、上述した実施形態に従って、また例えば、スキーム1によってさらに説明したように、調製してもよい。
Figure 2019534313
本明細書に記載した、式I−(R)の異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の異性体化合物のグロン酸塩を含む塩混合物(すなわち、式I−(S)の異性体化合物で富化された塩混合物)を、上述した実施形態に従って、また例えば、スキーム2で以下に示したように、調製してもよい。
Figure 2019534313
(RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)。
本明細書で用いる限り、用語「反応させる」は、当分野において知られているように用いており、一般に、化学試薬を分子レベルで相互作用させて化学的または物理的な変換を達成するような仕方で接合させることをいう。いくつかの実施形態において、反応は2の試薬を含み、第1の試薬に対して第2の試薬1モル当量以上を用いる。本明細書に記載した方法の反応工程は、特定の生成物を調製するのに適した時間および条件で行うことができる。
いくつかの実施形態において、化合物または塩の調製は、例えば所望の反応または酸付加塩のような塩形態の生成(例えば、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩の生成)の触媒作用に影響を及ぼす、酸または塩基の添加を含みうる。
酸の例は、無機酸または有機酸でありえ、これらに限定されないが、強酸および弱酸を含む。いくつかの例の酸は、これらに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、酒石酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、およびデカン酸を含む。
いくつかの例の塩基は、これらに限定されないが、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)、重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム)、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミド、およびアリールアミンを含み、ここでアルコキシドはメチル、エチルおよびtert−ブチルオキシドのリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩を含み、金属アミドはナトリウムアミド、カリウムアミドおよびリチウムアミドを含み、金属水素化物は水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化リチウムを含み、金属ジアルキルアミドはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリルおよびシクロヘキシル置換アミドのリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩を含む。
全ての化合物、およびその塩は、水および溶媒のような他の物質とともに存在しうる(例えば、水和物および溶媒和物)か、または単離しうる。
本明細書で用いる限り、用語「富化された」は、富化される前の混合物中の化合物の量と比較したとき、混合物中における増加した量の特定の化合物または塩(例えば、(S)−異性体化合物または塩)をいう。いくつかの実施形態において、出発混合物中(例えば、富化混合物の生成前)の異性体化合物の相対量と比較したとき、混合物は、第2の異性体化合物または塩(例えば、(R)−異性体化合物)に対して、第1の異性体化合物または塩(例えば、(S)−異性体化合物または塩)の量で富化されているであろう。例えば、式I−(S)の異性体化合物または塩で富化された混合物は、出発混合物(例えば、式I−(S)および式I−(R)の異性体化合物のラセミ混合物)中の式I−(S)および式I−(R)の異性体化合物の相対量と比較したとき、式I−(R)の異性体化合物に対して、増加した量の式I−(S)の異性体化合物を含む。
本明細書に記載した方法の反応を、有機合成の当業者によって容易に選択することができる好適な溶媒中で行うことができる。好適な溶媒は、反応を行う温度、例えば溶媒の凝固点から溶媒の沸点の範囲でありうる温度で、原材料(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性でありうる。所与の反応を、1の溶媒、または2以上の溶媒の混合物中で行うことができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒を選択することができる。いくつかの実施形態において、例えば試薬の少なくとも1が液体または気体であるとき、反応を溶媒の非存在下で行うことができる。
好適なハロゲン化溶媒は、これらに限定されないが、四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、塩化ブチル、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、2−クロロプロパン、I,I,I−トリフルオロトルエン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、およびフルオロベンゼンを含む。
好適なエーテル溶媒は、これらに限定されないが、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、およびt−ブチルメチルエーテルを含む。
好適なプロトン性溶媒は、これらに限定されないが、水、メタノール、エタノール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1−、2−、または3−ペンタノール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、およびグリセロールを含む。
好適な非プロトン性溶媒は、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、およびヘキサメチルホスホルアミドを含む。
好適な炭化水素溶媒は、これらに限定されないが、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、エチルベンゼン、m−、o−、またはp−キシレン、オクタン、インダン、ノナン、およびナフタレンを含む。
本明細書に記載した方法の反応は、空気中または不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴンの雰囲気)下で行うことができる。典型的には、実質的に空気と反応性である試薬または生成物を含む反応は、当業者に周知の空気に敏感な合成技術を用いて行うことができる。
本明細書に記載した方法による化合物および塩の調製を行う際に、通常の単離および精製の操作、例えば濃縮、ろ過、抽出、固相抽出、再結晶化、クロマトグラフィーなどを用いて、所望の生成物を単離してもよい。
本明細書に記載した方法の反応は、当業者によって容易に決定しうる適切な温度で行うことができる。反応温度は、例えば、試薬および存在する場合には溶媒の融点および沸点、反応の熱力学(例えば、激しい発熱反応は低温で行うことが必要であろう)、ならびに反応の動力学(例えば、高い活性エネルギー障壁は高温を必要とするであろう)に依存するであろう。例えば、表現「室温」は、本明細書で用いる限り、当分野において理解されものであり、一般におおよそ反応が行われる部屋の温度である温度(例えば、反応温度)、例えば、約20℃〜約30℃の温度をいう。
反応は、当分野で既知の、任意の好適な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の生成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV−可視光)、質量分析法によって、またはクロマトグラフィー法、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターすることができる。
本発明の化合物および塩
本出願はさらに、式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物の混合物を提供する。
Figure 2019534313
はC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基であり、式I−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、または約99.9%以上である。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Pgは、tert−ブトキシカルボニルである。
いくつかの実施形態において、式I−(S)の異性体化合物のエナンチオマー過剰率は約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%、約96%〜約99.9%、約97%〜約99.9%、約98%〜約99.9%、約99%〜約99.9%、または約99.5%〜約99.9%の範囲でありうる。
いくつかの実施形態において、式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物の混合物は、本明細書で提供した方法に従って調製し、混合物は式I−(S)の異性体化合物で富化されている。
本出願はさらに、式I−(S)または式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を提供する。
Figure 2019534313
はC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Pgはtert−ブトキシカルボニルである。
いくつかの実施形態において、塩は式I−(S)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩である。
いくつかの実施形態において、塩は式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩である。
いくつかの実施形態において、式I−(S)または式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩は、本発明で提供した方法に従って調製する。
本発明の化合物および塩は互変異性型を含みうる。互変異性型は、プロトンの同時移動に伴う、単結合と隣接する二重結合とのスワッピングによるものである。互変異性型は、同じ実験式および総電荷を有する異性体プロトン付加状態である、プロトトロピー互変異性体を含む。プロトトロピー互変異性体の例は、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、アミド−イミド酸対、エナミン−イミン対、ならびにプロトンがヘテロ環系の2つ以上の位置を占めることができる環形態、例えば1H−および3H−イミダゾール、1H−、2H−、および4H−1,2,4−トリアゾール、1H−および2H−イソインドール、ならびに1H−および2H−ピラゾールを含む。
用語「化合物」は、本明細書で用いる限り、示した構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことを意味する。1つの特定の互変異性型としての名称または構造によって本明細書において特定した化合物および塩は、別段の規定がない限り、他の互変異性型を含むことを意図する。本明細書において、立体中心の具体的なコンフィギュレーションを特定することなく名称または構造によって特定した化合物および塩は、立体中心で全ての可能なコンフィギュレーションを含むことを意味する。例えば、本発明の化合物における具体的な立体中心がRまたはSでありうるが、化合物の名称または構造はそれがどちらかを指示していなければ、立体中心はRまたはSの何れかでありうる。
本明細書に記載した化合物および塩は、非対称(例えば、1以上の立体中心を有する)でありうる。別段の規定がない限り、全ての立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオ異性体を意図している。非対称置換炭素原子を含む、本発明の化合物および塩は、光学活性またはラセミ体として単離することができる。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も、本明細書に記載した化合物または塩に含まれることがありえ、全てのこうした安定な異性体が本発明において考慮される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体は、異性体の混合物としてまたは分離された異性体形態として単離されるであろう。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物または塩は実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、化合物が、それが生成されるかまたは検出された環境から、少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることを意味する。部分的な分離は、例えば、本発明の化合物で富化された組成物を含みうる。実質的な分離は、本発明の化合物もしくは塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物、またはその塩を含みうる。化合物およびその塩を単離する方法は当分野におけるルーチンである。
本発明の化合物および塩は、中間体または最終化合物中に存在する全ての原子の同位体をも含みうる。同位体は、同じ原子番号であるが異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は三重水素および重水素を含む。
TPH1阻害剤の合成
本明細書に記載した、式I−(S)の異性体化合物で富化された塩混合物をさらに反応させて、例えば、スキーム3において以下に示すように、TPH1阻害剤である化合物の調製に有用な中間体を調製してもよい。例えば、式I−(S)の異性体化合物で富化された塩混合物を、本明細書に記載した1以上の実施形態に従って調製し(工程1)、引き続いて式I−(S)の異性体化合物の遊離塩基形態を生成し(例えば、炭酸ナトリウムとの反応による)、単離する(工程2)。その後、式I−(S)の異性体化合物の遊離アミンを、工程3に示した標準的なアミン保護条件、例えば、塩基(例えば、トリメチルアミン)の存在下でのPg−Xとの反応を用いて保護することができる。ここでPgはアミノ保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル、カルボベンジルオキシなど)であり、Xはハロ(例えば、Cl)である。アミノ保護基Pgの選択的脱保護(工程4)は、TPH1阻害剤である化合物の調製に有用な中間体である所望の中間体1を生成させる。
Figure 2019534313
中間体1を、例えば、スキーム4において以下に示したように、TPH1阻害化合物の調製に用いてもよい。ここでRはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基であり、変数W、X、Y、R、R、R、R、R、R、および環Aは米国特許第9199994号において定義された通りであり、その開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。例えば、中間体1(例えば、2−ベンジル3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3−ジカルボキシレート)を、塩基(例えば、NaHCO)の存在下で、化合物Aを溶媒(例えば、ジオキサン)中に含む溶液に加え、加熱して還流させて、式Cの化合物を得る。工程2において、式CのPg基(例えば、カルボベンジルオキシ(CBZ))基を除去し(例えば、トリメチルシリルヨージド(TMSI)との反応、強酸、または遷移金属触媒水素化による)、所望のTPH1阻害化合物を生成させる。
Figure 2019534313
また、スキーム3の中間体1を、例えば、スキーム5において以下に示したように、TPH1阻害化合物の調製に用いてもよい。例えば、中間体1(例えば、2−ベンジル3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3−ジカルボキシレート)を、塩基(例えば、NaHCO)の存在下で、化合物Aを溶媒(例えば、ジオキサン)中に含む溶液に加え、加熱して還流させて、式Bの化合物を得る。標準的なアリール−アリールカップリング条件下でのフェニルボロン酸との引き続く反応(例えば、KHCOのような塩基の存在下でのPdCl(dppf)−CHClのようなパラジウム触媒存在下での反応)により、化合物Cを得る。その後、式Cのアミノ保護基Pg基(例えば、カルボベンジルオキシ(CBZ))基を除去し(例えば、TMSIとの反応)、式Dの所望のTPH1阻害化合物を生成させる。
Figure 2019534313
本明細書で用いる限り、用語「アミノ」は式−NHの基をいう。
本明細書で用いる限り、用語「ハロ」はF、Cl、I、およびBrから選択されるハロゲン原子をいう。いくつかの実施形態において、ハロ基はClである。
本明細書で用いる限り、用語「脱保護」はアミン保護基を開裂するのに好適な条件をいう。いくつかの実施形態において、脱保護は、強酸の存在下での、強塩基の存在下での、還元剤の存在下での、または酸化剤の存在下での保護基の開裂を含むであろう。例えば、アミン保護基の脱保護は、アミンの具体的な保護基の除去に関して、当分野で既知の方法、例えばWutsおよびGreene、Protective Groups in Organic Synthesis、第4版、John Wiley&Sons:New Jersey、696〜887頁(特に、872〜887頁)(2007)に記載のものによって達成することができ、これは参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、脱保護は酸性条件(例えば、塩酸またはトリフルオロ酢酸)下で保護された化合物を反応させることを含む。
記載した方法が、それによって本明細書において提供した化合物および塩が合成されるであろう専用の手段ではないこと、ならびに広範なレパートリーの合成有機反応を、本明細書において提供した化合物を合成するために、潜在的に利用できることは、当業者によって認識されるであろう。当業者は、どのように適切な合成経路を選択し実行するかを知っている。原材料、中間体および生成物の好適な合成法は、参照ソース例えばAdvances in Heterocyclic Chemistry、1〜107巻(Elsevier、1963〜2012);Journal of Heterocyclic Chemistry、1〜49巻(Journal of Heterocyclic Chemistry、1964〜2012);Carreiraら(Ed.)Science of Synthesis、1〜48巻(2001〜2010)、およびKnowledge Updates KU2010/1〜4;2011/1〜4;2012/1〜2(Thieme、2001〜2012);Katritzkyら(Ed.)Comprehensive Organic Functional Group Transformations(Pergamon Press、1996);Katritzkyら(Ed.);Comprehensive Organic Functional Group Transformations II(Elsevier、第2版、2004);Katritzkyら(Ed.)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry(Pergamon Press、1984);Katritzkyら、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II(Pergamon Press、1996);Smithら、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure、第6版(Wiley、2007);Trostら(Ed.)、Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press、1991)を含む文献を参照することによって確認できるであろう。その各々の開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。
本発明を具体的な例によってより詳細に説明する。以下の例は、説明のために提示し、いかなる仕方でも本発明を限定することを意図していない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または改変することができる、多様な非重要パラメーターを容易に認識するであろう。
HPLC分析は、Agilent 1100装置で、以下の条件:カラム:Altima C18、長さ150mm、直径3.1mm、粒径3μmで行った。移動相A:ミリQ水中ギ酸0.1%。移動相B:アセトニトリル中ギ酸0.1%。
エナンチオマー純度を以下の条件の一方を用いて決定した。
エナンチオマー純度法A:溶離剤としてn−ヘプタン:イソプロパノール:エタノール:ジエチルアミン(80:10:10:0.1、v:v:v:v%)を用いた、Agilent 1100 HPLC装置の、YMC Chiral Amylose−SAカラム(長さ250mm、直径4.6mm、粒径5μm)。
エナンチオマー純度法B:溶離剤として、ミリQ水およびエタノール中の過塩素酸ナトリウム150mmol/L(pH2.5)を用いた、Agilent 11 1100 HPLC装置の、YMC Chiral NEA[NR30S05−2546WT](長さ250mm、直径4.6mm、粒径5μm)。
例1. 8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート(異性体混合物)
Figure 2019534313
工程1. エチル(Z)−3−ブロモ−2−(ヒドロキシイミノ)プロパノエート
Figure 2019534313
反応器に、ヒドロキシルアミンHCl(13.4kg、192.8モル、1.25当量)、飲料水(2.5vol)、およびトルエン(5vol)を仕込んだ。混合物を撹拌し、約15℃まで冷却した。ブロモピルビン酸エチル(29.9kg、153.3モル、1.0当量)、およびトルエン(1.5vol)を加え、混合物を15〜25℃で16〜20時間撹拌した。次いで、少なくとも15分間静置させた後、相を分離させた。水層を除去し、有機層を反応器に保持した。引き続き、反応器に飲料水(0.5vol)を仕込み、得られた混合物を少なくとも15分間撹拌した。水層を除去し、有機層を反応器に保持し、水抽出をさらに2回行った。有機層を、35〜40℃で真空蒸留を用いて濃縮した(約3.5vol除去;3.6相対容積残留)。引き続き、反応器にn−ヘプタン(3vol)を仕込み、得られた溶液を35〜40℃で真空蒸留を用いて約3.6相対容積が残留するまで濃縮した。追加のn−ヘプタンを加え(3vol)、得られた溶液を35〜40℃で真空蒸留を用いて約3.6相対容積が残留するまで濃縮した。その後、得られた混合物を約10℃に冷却し、約20〜25分撹拌した。混合物をろ過し、得られた母液を除去した。反応器にn−ヘプタン(0.73vol)を仕込み、少なくとも5分間撹拌した。得られたろ過ケーキをn−ヘプタンですすぎ、雰囲気温度で少なくとも5分間乾燥させた。すすぎおよび乾燥の工程を繰り返し、その時点でろ過ケーキを雰囲気温度で真空および窒素流の下、0.5〜2.5日間乾燥させた。HPLC純度:バッチ1:93.21面積%。バッチ2:93.76面積%。H−NMR純度(2バッチ):バッチ1:51.9重量%;バッチ2:93.7重量%。
工程2. tert−ブチル4−(ピロリジン−1−イルメチレン)ピペリジン−1−カルボキシレート
Figure 2019534313
反応に、N−Boc−ピペリジン−4−カルボアルデヒド(18.2kg、85.3モル、1.0当量)およびトルエン(16vol)を仕込み、N−Boc−ピペリジン−4−カルボアルデヒドが溶解するまで混合物を撹拌した。ピロリジン(10.2kg、143.3モル、1.6当量)および追加のトルエン(0.5vol)を加え、得られた混合物を加熱して還流させて(約111℃)、共沸蒸留によって水を除去した。その後、得られた溶液を35〜40℃で真空蒸留を用いて12.2相対容積が残留するまで濃縮した。追加のトルエン(6vol)を加え、得られた溶液を35〜40℃で12.2相対容積が残留するまで濃縮した。得られた混合物をおおよそ20℃まで冷却し、さらに精製することなく次の工程で用いた。バッチ1:tert−ブチル4−(ピロリジン−1−イルメチレン)ピペリジン−1−カルボキシレート84.1面積%;N−Boc−ピペリジン−4−カルボアルデヒド8.8面積%;ピロリジン7.0面積%。KF:<0.1重量%。バッチ2:tert−ブチル4−(ピロリジン−1−イルメチレン)ピペリジン−1−カルボキシレート86.6面積%;N−Boc−ピペリジン−4−カルボアルデヒド6.3面積%;ピロリジン6.2面積%。KF:<0.1重量%。
工程3. 9−(tert−ブチル)4−エチル1−ヒドロキシ−2−オキサ−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−3−エン−4,9−ジカルボキシレート
Figure 2019534313
第1の反応器に、エチル(Z)−3−ブロモ−2−(ヒドロキシイミノ)プロパノエート(例1、工程1より;バッチ1:18.81kg、89.6モル、1.06当量;バッチ2:18.9kg、90.0モル、1.06当量)および2−メチルテトラヒドロフラン(1.7〜1.92vol)を仕込み、得られた混合物を撹拌し、−5℃まで冷却した。第2の反応器において、tert−ブチル4−(ピロリジン−1−イルメチレン)ピペリジン−1−カルボキシレートのトルエン溶液(例1、工程2より;バッチ1:22.7kg、85.3モル、1.00当量。バッチ2:22.7kg、85.3モル、1.00当量)を−5℃まで冷却し、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(バッチ1:17.4kg、134.2モル、1.6当量。バッチ2:17.5kg、135.4モル、1.6当量)およびトルエン(0.5vol)を加えた。その後、(Z)−3−ブロモ−2−(ヒドロキシイミノ)プロパノエートおよび2−メチルテトラヒドロフランの溶液を、第2の反応器に、温度10℃未満に保ちながら約1〜2時間かけて加えた。その後、第1の反応器を追加の2−メチルテトラヒドロフラン(0.22vol)ですすぎ、これを第2の反応器に加えた。(Z)−3−ブロモ−2−(ヒドロキシイミノ)プロパノエート溶液を第2の反応器に完全に加えると、得られた混合物を約15℃まで加熱し、約45分間撹拌した。塩酸水溶液(HCl2.2当量および飲料水3.5volから調製したHCl30%)を反応混合物(バッチ1:24.2kg、199.1モル、2.3当量;バッチ2:23.9kg、196.7モル、2.3当量)に加え、得られた混合物を30℃まで加熱し、約45分間撹拌した。少なくとも15分間静置させた後、有機相および水相を分離し、水層を除去した。有機相を飲料水(1.0vol)で洗浄し、混合物を少なくとも5分間撹拌した。少なくとも10分間静置させた後、相を分離し、水相を除去し、追加の2−メチルテトラヒドロフラン(5vol)でさらに抽出した。有機層を合わせて、飲料水の追加分(1vol)で洗浄し、水相を除去した。得られた合わせた有機相を35〜40℃で真空蒸留を用いて約5.4相対容積が残留するまで濃縮し、その時点でn−ヘプタン(3vol)を加え、得られた混合物を35〜40℃で約5.4相対容積が残留するまで濃縮した。n−ヘプタンの追加および真空蒸留を繰り返し、その時点で追加のn−ヘプタン(3vol)を加え、得られた混合物を約20℃まで冷却した。混合物をろ過し、得られたろ過ケーキをn−ヘプタン(2.57vol)およびトルエン(0.14vol)で洗浄した(2×)。ろ過ケーキを乾燥させ、n−ヘプタンの追加分(2.57vol)で洗浄し、撹拌した。その後、n−ヘプタンを除去し、得られたろ過ケーキを雰囲気温度で窒素の下18〜72時間乾燥させ、さらに精製することなく次の工程で用いた。バッチ1:HPLC純度:98.37面積%。H−NMR:91.8重量%。バッチ2:HPLC純度:99.52面積%。H−NMR:90.7重量%。
工程4. 8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート(異性体混合物)
反応器に、9−(tert−ブチル)4−エチル1−ヒドロキシ−2−オキサ−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカ−3−エン−4,9−ジカルボキシレート(例1、工程3より、38.2kg、111.8モル、1.0当量)、エタノール(無水、4vol)、およびテトラヒドロフラン(4vol)を仕込み、混合物を撹拌した。その後、スポンジ触媒A5000(28.9kg)を加え、反応器を真空および窒素で数回パージした後、真空および水素でパージした。その後、得られた混合物を約30℃まで加熱し、反応器を水素で4±0.5バールまで加圧し、混合物を30±5℃で水素の下で約16〜22時間撹拌した。その後、反応器を減圧し、窒素を仕込んだ。その後、反応器を真空および水素でパージし、水素で4±0.5バールまで加圧し、30±5℃で水素の下で約46時間撹拌を続けた。反応器を減圧し、反応混合物をダイカライトフィルターでろ過し、2−メチルテトラヒドロフランですすいだ。ろ液を回収し、追加の2−メチルテトラヒドロフランで洗浄し、減圧で35〜40℃で約3.75相対容積が残留するまで濃縮した。蒸留過程をさらに2回繰り返し、その時点で得られた混合物を約20℃まで冷却し、得られた生成物をさらに精製することなく用いた。HPLC純度:78.8面積%。
例2A. 8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩((S)−異性体で富化された異性体混合物)
Figure 2019534313
反応器に、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物(32.65kg、111.5モル、1.0当量)、2−メチルテトラヒドロフラン(2vol)、およびベンズアルデヒド(0.04vol)を仕込んだ。次に、8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレートの溶液(例1の異性体混合物)を、追加の2−メチルテトラヒドロフラン(1vol)とともに加えた。得られた混合物を撹拌し、28℃で溶液が生成されるまで加熱した。その後、溶液を40±3℃で少なくとも30分間撹拌した。その後、得られた混合物を30±3℃まで冷却した後、さらに2時間撹拌した。その後、混合物に、8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩(2g)を接種し、得られた混合物を30±3℃で約14〜15時間撹拌した。その後、反応混合物を4時間かけて約20±3℃まで冷却した後、さらに15時間撹拌した。混合物をろ過し、ろ液をさらなる反応のために分離した。得られたろ過ケーキを2−メチルテトラヒドロフラン(1vol、3×)で洗浄し、2−メチルテトラヒドロフランの各々の添加の間に5分間乾燥させて、8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレートで富化された8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の混合物を得た。HPLC純度:95.67面積%。(S−)異性体のエナンチオマー純度:78.55面積%。分離したろ液を、別途に35〜40℃で3.5相対容積が残留するまで濃縮し、混合物を27.5℃まで冷却した。その後、混合物に8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を接種し、20±3℃で少なくとも16時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、ろ液を除去し、得られたろ過ケーキを2−メチルテトラヒドロフラン(0.57vol)で洗浄し、乾燥させて(3×)、8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩で富化された8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の混合物の第2の収量を得た。HPLC純度:98.29面積%;(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):93.60面積%。得られた容積およびモル比は、例1で調製した8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレートの異性体混合物に対するものである。
その後、得られた8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の混合物(23.2kg、39.5モル、1.0当量)を、2−メチルテトラヒドロフラン(16vol)とともに反応器に加え、固形分が溶解するまで混合物を加熱して還流させた(約80℃)。その後、混合物を約2時間かけて40±3℃まで冷却し、結晶化を観測した。その後、混合物を35〜40℃で約9相対容積が残留するまで濃縮した。その後、混合物を20±3℃まで冷却し、約2〜3時間撹拌を続けた。得られた混合物をろ過し、2−メチルテトラヒドロフランですすいだ(1.4vol、2×、各々の洗浄の間に5分間、窒素下で乾燥)。その後、ろ過ケーキを約14〜16時間、窒素下で乾燥させて、8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩で富化された8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の所望の混合物を得た。バッチ1:HPLC純度:99.49面積%;(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):93.98面積%。バッチ2:HPLC純度:>99.9面積%;(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):95.22面積%。8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の第2の再結晶化を行い、異性体混合物を(S−)異性体でさらに富化させた。バッチ1:HPLC純度:99.49面積%;(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):99.02面積%。バッチ2:HPLC純度:99.95面積%;(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):99.48面積%。
例2B. 8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩の代替的な調製
8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート(1g、3.20mmol)を室温でTHF(5vol、5ml)に溶解させた。溶液を2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物1モル当量で処理した後、温度を40℃までゆっくりと上げた。20分後、40℃で沈殿物が生成し始め、その時点でTBME(5vol、5ml)を混合物に加え、その時点後に反応を速度1℃/分で5℃までゆっくりと冷却した。この時点後、生成した固形分をろ過した後、冷TBMEで洗浄した。固形分を真空で乾燥させて、接種に好適な結晶固形分として8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩(45%、>99%ee)を得た。
例3. 8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート
Figure 2019534313
反応器に、8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体の富化混合物(例2、23.80kg、40.5モル、1.0当量)、2−メチルテトラヒドロフラン(2vol)、およびn−ヘプタン(8vol)を仕込み、混合物を15±3℃で撹拌した。反応混合物の温度を15〜20℃に保ちながら、炭酸ナトリウム(10%水溶液、125.8kg)を15分かけて加え、得られた混合物を少なくとも35分間撹拌した。相を分離し、水相を除去した。反応混合物の温度を15〜20℃に保ちながら、残留有機相に追加の炭酸ナトリウム(10%水溶液、27.4kg)を加え、得られた混合物を少なくとも35分間撹拌した。相を分離し、水相を除去し、有機相を乾燥状態まで濃縮して、表題の化合物を得た。HPLC純度:97.65面積%。(S−)異性体のエナンチオマー純度(方法A):98.89面積%。得られた容積およびモル比は、例2Aで調製した8−(tert−ブチル)3−エチル2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート 2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸異性体に対するものである。
例4. 2−ベンジル8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3,8−トリカルボキシレート
Figure 2019534313
反応器に、8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3,8−ジカルボキシレート(例3、12.6kg、32.2モル、1.0当量)、炭酸ナトリウム(水中10%、86.4kg)、および2−メチルテトラヒドロフラン(0.55相対vol)を仕込み、混合物を0±3℃まで冷却した。その後、反応混合物の温度を−2〜2℃に保ちながら、クロロギ酸ベンジル(6.7kg、38.76モル、1.0当量)の2−メチルテトラヒドロフラン(0.25vol)溶液を40分かけて加えた。追加の2−メチルテトラヒドロフラン(0.25vol)を用いて、残留クロロギ酸ベンジル溶液をすすいで反応混合物にし、得られた混合物を0±3℃で5〜10分間撹拌した。その後、混合物を30±3℃まで加熱し、さらに20〜30分間撹拌した。その後、相を分離し、水相を除去した。有機相を、一部の飲料水(1vol)で洗浄し、混合物を30±3℃まで加熱し、少なくとも5分間撹拌した。その後、水相を除去し、残留有機相を35〜40℃で真空蒸留を用いて約3相対容積が残留するまで濃縮した。その後、無水エタノール(3vol)を加え、得られた混合物を35〜40℃で真空蒸留を用いて約3相対容積が残留するまで濃縮した。エタノールの添加および蒸留を2回行って、表題の生成物を得た。HPLC純度:65.58面積%。脱保護化合物である、2−ベンジル3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3−ジカルボキシレートも認めた。表題の生成物およびBOC脱保護生成物の合わせたHPLC純度は80.45面積%であった。
例5. 2−ベンジル3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3−ジカルボキシレート塩酸塩
Figure 2019534313
反応器に、無水エタノール(67kg、3.75vol)を仕込み、約12.5℃まで冷却した。混合物の温度を15℃未満に保ちながら、塩化アセチル(10.0kg、6.00当量)を55分かけて加えた。酢酸エチル(10.2kg、0.5vol)を加え、温度を17℃まで上げながら、混合物を15〜25分間撹拌した。次に、反応混合物の温度を約16℃に保ちながら、2−ベンジル8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3,8−トリカルボキシレートのエタノール溶液(例4、2−ベンジル8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3,8−トリカルボキシレート17.3kg;2−ベンジル8−(tert−ブチル)3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3,8−トリカルボキシレートとエタノールとの全溶液:87kg)を25分かけて加えた。追加の無水エタノール(0.5vol)を加え、反応混合物を30±3℃まで加熱し、約16時間撹拌した。その後、混合物を35〜40℃で真空蒸留を用いて約4相対容積が残留するまで濃縮した。2−メチルテトラヒドロフラン(3vol)を加え、得られた混合物を35〜40℃で真空蒸留を用いて約4相対容積が残留するまで濃縮した。2−メチルテトラヒドロフランの追加および蒸留を、2−メチルテトラヒドロフラン3volを用いて3回、2−メチルテトラヒドロフラン2volを用いて最終回に行った。その後、反応混合物を約30〜35℃まで加熱し、約40分間撹拌した。その後、温度を約29℃で保ちながら、追加の2−メチルテトラヒドロフラン(1.5vol)を加えた。混合物を1時間かけて25±3℃まで冷却した後、約18時間撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキを2−メチルテトラヒドロフラン(1.0vol)で洗浄し、少なくとも5分間撹拌した。洗浄を繰り返し、洗浄の間に少なくとも5分間ろ過ケーキを乾燥させた。その後、ろ過ケーキを雰囲気温度で窒素流の下で約19時間乾燥させて表題の生成物を得た。HPLC純度:99.09%。キラル純度(方法B):99.85%。(S−)異性体のエナンチオマー過剰率(方法B):≧98%。
表題の化合物の第2の収量を、ろ液および洗浄溶媒を合わせて約35Lまで濃縮し、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)35Lを45分かけて加えることによって調製した。その後、混合物を25℃で1時間撹拌し、ろ過した。得られたろ過ケーキを追加のMTBEで洗浄し、17時間乾燥させて、表題の生成物の第2の収量を得た。HPLC純度:98.56%。キラル純度(方法B):99.27%。(S−)異性体のエナンチオマー過剰率(方法B):≧98%。
例6. (S)−エチル8−(2−アミノ−6−((R)−1−(5−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキシレート
Figure 2019534313
表題の化合物を、2−ベンジル3−エチル(S)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,3−ジカルボキシレート塩酸塩(例5)から、スキーム5および米国特許第9199994号(その開示は参照によりその全体として本明細書に組み込まれる)に示した手順に従って調製した。表題の化合物は、米国特許第9199994号に記載された1以上の分析によって、TPH1の阻害剤であることがわかった。
本明細書に記載したものに加えて、前述の説明から、当業者にとって本発明の種々の改変が明らかであろう。こうした改変も、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図している。本出願において引用した全ての特許、特許出願、および出版物を含む、各々の参考文献は、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。

Claims (43)

  1. 式I−(S)の異性体化合物の量を、
    Figure 2019534313
    (RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)
    式I−(R)の異性体化合物の量に対して、
    Figure 2019534313
    式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物において、増加させる方法であって、
    前記出発混合物を、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物と、アルデヒドの存在下で反応させて、前記異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を含む塩混合物を生成させることを含み、
    前記塩混合物は、前記出発混合物中に存在する式I−(S)および式I−(R)の前記異性体化合物の相対量と比較したとき、ある量の式I−(R)の前記異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩を含んでいる、方法。
  2. 前記2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物は、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応を、前記出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、約1モル当量の前記2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸またはその水和物を用いて行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アルデヒドはベンズアルデヒドである、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記反応を、前記出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、1モル当量未満の前記アルデヒドを用いて行う、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記反応を、前記出発混合物中の式I−(S)および式I−(R)の両方の異性体化合物の合計量に対して、約0.01〜約0.1モル当量の前記アルデヒドを用いて行う、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記反応を、約30℃〜約40℃の温度で行う、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記反応を有機溶媒の存在下で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記反応をエーテル溶媒の存在下で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記反応を2−メチルテトラヒドロフランを含む有機溶媒の存在下で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  11. 前記塩混合物中の式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率が約75%以上である、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記塩混合物中の式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率が約90%以上である、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  13. さらに、前記塩混合物を再結晶化し、精製前の前記異性体化合物のグロン酸塩の相対量と比較したとき、式I−(R)の前記異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩を含んでいる精製塩混合物を生成させることを含む、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率が約90%以上である、請求項13に記載の方法。
  15. 式I−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩のエナンチオマー過剰率が約95%以上である、請求項13に記載の方法。
  16. さらに、前記精製塩混合物を塩基と反応させて、式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物を含む遊離塩基混合物を生成することを含む、請求項13〜15の何れか1項に記載の方法。
    Figure 2019534313
  17. 前記塩基は水溶液の形態にある、請求項16に記載の方法。
  18. 前記塩基は炭酸ナトリウムの水溶液である、請求項16に記載の方法。
  19. 前記精製塩混合物の前記反応を、前記塩混合物中の式I−(S)および式I−(R)の前記異性体化合物の両方のグロン酸塩の合計量に対して、モル過剰量の塩基を用いて行う、請求項16〜18の何れか1項に記載の方法。
  20. 前記精製塩混合物の前記反応を有機溶媒の存在下で行う、請求項16〜19の何れか1項に記載の方法。
  21. 前記精製塩混合物の前記反応をエーテル溶媒および炭化水素溶媒を含む有機溶媒の存在下で行う、請求項16〜19の何れか1項に記載の方法。
  22. 前記精製塩混合物の前記反応を2−メチルテトラヒドロフランおよびn−ヘプタンを含む有機溶媒の存在下で行う、請求項16〜19の何れか1項に記載の方法。
  23. 前記遊離塩基混合物中の式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上である、請求項16〜22の何れか1項に記載の方法。
  24. 前記遊離塩基混合物中の式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約95%以上である、請求項16〜22の何れか1項に記載の方法。
  25. はエチルである、請求項1〜24の何れか1項に記載の方法。
  26. Pgはtert−ブトキシカルボニルである、請求項1〜25の何れか1項に記載の方法。
  27. 式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物の混合物であって、
    Figure 2019534313
    はC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基であり、式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上である、混合物。
  28. 式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約95%以上である、請求項27に記載の混合物。
  29. エチルである、請求項27または28に記載の混合物。
  30. Pgはtert−ブトキシカルボニルである、請求項27〜29の何れか1項に記載の混合物。
  31. 式I−(S)または式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩。
    Figure 2019534313
    (RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である)
  32. はエチルである、請求項31に記載の塩。
  33. Pgはtert−ブトキシカルボニルである、請求項31または32に記載の塩。
  34. 式I−(S)の前記異性体化合物の前記2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩である、請求項31〜33の何れか1項に記載の塩。
  35. 式I−(S)および式I−(R)を有する異性体化合物の混合物であって、
    Figure 2019534313
    前記混合物は請求項16〜26の何れか1項に記載の方法に従って調製され、RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基であり、式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上である、混合物。
  36. 式I−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約95%以上である、請求項35に記載の混合物。
  37. はエチルである、請求項35または36に記載の混合物。
  38. Pgはtert−ブトキシカルボニルである、請求項35〜37の何れか1項に記載の混合物。
  39. 式I−(S)または式I−(R)の異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩であって、
    Figure 2019534313
    前記塩は、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法によって調製され、RはC1〜6アルキルであり、Pgはアミノ保護基である、塩。
  40. はエチルである、請求項39に記載の塩。
  41. Pgはtert−ブトキシカルボニルである、請求項39または40に記載の塩。
  42. 式I−(S)の前記異性体化合物の前記2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩である、請求項39〜41の何れか1項に記載の塩。
  43. 式Ia−(S)の異性体化合物の量を、
    Figure 2019534313
    式Ia−(R)の異性体化合物の量に対して、
    Figure 2019534313
    式Ia−(S)および式Ia−(R)の両方の異性体化合物を含む出発混合物において、増加させる方法であって、下記を含む方法。
    前記出発混合物を、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸一水和物と、ベンズアルデヒドの存在下で反応させて、前記異性体化合物の2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸塩を含む塩混合物を生成させ、前記塩混合物は、前記出発混合物中に存在する式Ia−(S)および式Ia−(R)の前記異性体化合物の相対量と比較したとき、ある量の式Ia−(R)の前記異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式Ia−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩を含み、
    前記塩混合物を再結晶化して、精製前の前記異性体化合物のグロン酸塩の相対量と比較したとき、式Ia−(R)の前記異性体化合物のグロン酸塩に対して、増加した量の式Ia−(S)の前記異性体化合物のグロン酸塩を含む精製塩混合物を生成させ、
    前記精製塩混合物を炭酸ナトリウムの存在下で反応させて、式Ia−(S)および式Ia−(R)を有する異性体化合物を含む遊離塩基混合物を生成させ、前記遊離塩基混合物中の式Ia−(S)の前記異性体化合物のエナンチオマー過剰率が約90%以上である。
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