JP2019533011A - シクロデキストリン系ポリマー、方法、組成物及びその応用 - Google Patents
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- URONLSZSALWTLT-UHFFFAOYSA-N CC(C)[n]1nnc(COC(C)(C)OCc2c[n](C(C)C)nn2)c1 Chemical compound CC(C)[n]1nnc(COC(C)(C)OCc2c[n](C(C)C)nn2)c1 URONLSZSALWTLT-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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- C08B37/0012—Cyclodextrin [CD], e.g. cycle with 6 units (alpha), with 7 units (beta) and with 8 units (gamma), large-ring cyclodextrin or cycloamylose with 9 units or more; Derivatives thereof
Abstract
本開示は、シクロデキストリン又はその誘導体とリンカー部分とのコンジュゲートを含むポリマー、及び細胞からのコレステロールなどの脂質の除去による脂質蓄積障害の治療におけるそれらの応用に関する。以下の構造を有する:【化39】(式中、CD、L、及びnは本明細書において定義される)前記ポリマーは、改善された生体適合性、改善された保持時間、細胞内での長期の作用期間、及び様々な腎臓疾患及び関連症状の治療における向上した効力を包含するがこれらに限定されない、改善された特性を示す。【選択図】 なし
Description
優先権の情報
本出願は、2016年9月19日に出願されたインド仮特許出願番号201641031941は利益を主張する。全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、2016年9月19日に出願されたインド仮特許出願番号201641031941は利益を主張する。全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
本開示は、生物医学、薬学及びポリマー科学の分野にある。本開示は、高分子治療薬、その製造方法、及び脂質蓄積症及び腎臓障害を包含する様々な障害の治療におけるその治療上の使用に関する。ある特定の実施形態では、本開示は、シクロデキストリンのコンジュゲート、その塩、その溶媒和物、及び/又はシクロデキストリン誘導体を含むポリマー、その製造方法、並びに様々な障害の治療における治療薬としてのそれらの使用、例えば細胞からコレステロールなどの過剰な脂質を除去すること、及び/又は脂質蓄積障害を治療すること、に関する。
本開示は、生物医学、薬学及びポリマー科学の分野にある。本開示は、高分子治療薬、その製造方法、及び脂質蓄積症及び腎臓障害を包含する様々な障害の治療におけるその治療上の使用に関する。ある特定の実施形態では、本開示は、シクロデキストリンのコンジュゲート、その塩、その溶媒和物、及び/又はシクロデキストリン誘導体を含むポリマー、その製造方法、並びに様々な障害の治療における治療薬としてのそれらの使用、例えば細胞からコレステロールなどの過剰な脂質を除去すること、及び/又は脂質蓄積障害を治療すること、に関する。
背景
脂質蓄積症、又はリピドーシスは、有害な又は過剰な量の脂質(例えば、コレステロール)が体内の様々な細胞及び組織に蓄積する代謝障害の一群である。これらの患者は、脂質を代謝するのに必要な1つ以上の酵素を適切な量で生産できないか、又は適切に働かない酵素を生産するので、これらの障害を有する患者は通常、身体の様々な組織において高レベルのコレステロールを示す。近年、人々の座りがちな生活習慣や貧弱な食習慣も、患者の組織に脂質が過剰に蓄積する原因となっている。
脂質蓄積症、又はリピドーシスは、有害な又は過剰な量の脂質(例えば、コレステロール)が体内の様々な細胞及び組織に蓄積する代謝障害の一群である。これらの患者は、脂質を代謝するのに必要な1つ以上の酵素を適切な量で生産できないか、又は適切に働かない酵素を生産するので、これらの障害を有する患者は通常、身体の様々な組織において高レベルのコレステロールを示す。近年、人々の座りがちな生活習慣や貧弱な食習慣も、患者の組織に脂質が過剰に蓄積する原因となっている。
動物組織における脂質の過剰発現又は蓄積は、さまざまな疾患に関連する主要な健康上の要因である。例えば、血漿コレステロールレベル、及び特に低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルの上昇が冠状動脈性心臓病、脳卒中、末梢血管疾患、腎臓病、アテローム性動脈硬化症、及び高血圧の発症に重要な役割を果たすことは十分に確立されている。特にコレステロールの腎臓蓄積は、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎臓病、及びアルポート症候群などの糸球体疾患の発症と相関している。
巣状分節性糸球体硬化症は、成人の腎不全の主要な原因であり、且つ、ネフローゼ症候群の症例の約17%の原因になっている。米国だけでFSGSについて5万件症例が報告されており、年間約5,000件の新規症例が報告されていると推定される。治療は現在、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)に限定されているが、これら選択肢の各々は疾患の進行を遅らせるだけである。透析及び最終的には腎臓移植が必要であり、そして移植後でさえもFSGSは患者の30〜40%において戻る。
コレステロール関連腎臓病に対する新たな治療法は、シクロデキストリンなどのコレステロールクリアランス分子の投与である。残念なことに、現世代のシクロデキストリン治療薬(treatments)は、そのサイズが小さいために患者の血流から急速に排除される。したがって、治療薬の最小有効濃度を維持するためには、通常、これらのコレステロール除去薬の高濃度/用量又は反復投与が対象に投与される必要がある。
前記治療薬/薬物のより高濃度/用量を対象に投与すると毒性をもたらし、且つ、対象の様々な臓器に悪影響を及ぼす可能性があるので、このアプローチは、身体からの現在のシクロデキストリンに基づく治療薬(treatments)の急速な排除から生じる欠点に対する一般的な解決策ではない。したがって、薬物の有効性を損なうことなく、所望の臓器又は組織中のこれらの薬物の安全で最小の有効濃度を維持しながらこれらの治療薬のクリアランス速度のバランスをとることは、コレステロール関連腎臓病を治療するための新薬及びドラッグデリバリーシステムの研究開発における挑戦でありかつ重要な目的である。
したがって、糸球体腎臓疾患をもたらすリソソーム脂質蓄積障害を治療するための長期作用期間を包含する改善された効能プロファイルを有する薬物−ポリマーコンジュゲートなどの薬物を提供するため、当技術分野において継続的な必要性が存在している。本開示に記載される主題は、先行技術の前述の欠点を克服する。
開示の概要
本開示のポリマーは、異常な脂質貯蔵に関連する状態又は疾患を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、本開示は、腎臓糸球体疾患を治療するための方法を教示する。前記方法は、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
(式中、
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本開示のポリマーは、異常な脂質貯蔵に関連する状態又は疾患を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、本開示は、腎臓糸球体疾患を治療するための方法を教示する。前記方法は、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本発明の方法の一実施形態では、前記シクロデキストリン部分が、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の方法の別の実施形態において、Lは以下の構造を含む。
式中、Ar1及びAr2は、個々にN、O、及びSから選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む、それぞれ独立して、5員又は6員のヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は、R3で任意に置換されており;
Yは独立してO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であり、又はR1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合したO、S、又はNR4を形成し、それらの各々は任意に置換されており;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン及びハロゲンから選択される。
R4はHであるか、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、これらのそれぞれは任意に置換されている。
Yは独立してO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であり、又はR1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合したO、S、又はNR4を形成し、それらの各々は任意に置換されており;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン及びハロゲンから選択される。
R4はHであるか、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、これらのそれぞれは任意に置換されている。
本方法の特定の実施形態において、Lは
である。
本方法の一実施形態では、4〜1000個のシクロデキストリン単位を含む腎臓糸球体疾患のような異常な脂質蓄積に関連する状態又は疾患を治療するためのポリマーは以下の構造を有する。
式中、XはOHであるが、ただし、各シクロデキストリンサブユニットからの少なくとも1つのXは、場合によって以下:
によって置換されていてもよく;且つ、
yは0、1、又は2である。
yは0、1、又は2である。
本方法の別の実施形態において、脂質蓄積異常に関連する状態又は疾患を治療するための本開示のポリマーは以下の構造を有する。
(式中、yは0、1、又は2であり、nは4〜1000である)
本方法の特定の実施形態では、yは0である。他の特定の実施形態では、yは1である。さらに他の特定の実施形態では、yは2である。
本開示の一実施形態では、医薬的に許容可能な担体又は医薬的賦形剤及び本開示のポリマー、例えばシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDK)、を含む医薬組成物を使用した治療方法が提供される。別の実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、1つ以上の追加の治療活性剤をさらに含む。関連実施形態では、前記1つ以上の追加の治療活性剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)からなる群から選択される。様々な実施形態において、前記1つ以上の追加の治療活性剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤からなる群から選択される。特定の実施形態では、前記1つ以上のACE阻害薬は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、及びフォシノプリルからなる群から選択される。特定の実施形態では、前記1つ以上のACE阻害剤はラミプリルである。様々な他の実施形態において、前記1つ以上の追加の治療活性剤は、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)からなる群から選択される。特定の実施形態では、前記1つ以上のARBは、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、スパルセンタン、及びバルサルタンからなる群から選択される。特定の実施形態では、前記1つ以上のARBはスパルセンタンである。
様々な実施形態において、本開示の前記ポリマー及び組成物は、脂質蓄積症(リピドーシス)を治療するのに有用である。他の様々な実施形態では、本開示の前記ポリマー及び組成物は、脂質を代謝するために必要な酵素の不十分な量の産生又は適切な機能を欠いている酵素の産生から生じる脂質蓄積症を治療するのに有用である。
いくつかの実施形態において、前記ポリマーコンジュゲート(pBCDK)及び組成物は、冠状動脈性心臓病、卒中、末梢血管疾患、腎臓病、アテローム性動脈硬化症、及び高血圧などの血漿コレステロール(例えば低密度リポタンパク質)レベルの上昇から生じ得る脂質蓄積症の治療に有用である。他の関連する実施形態において、本発明の前記pBCDKS及び組成物は、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓病、微小変化(minimal change)腎臓病、及び微小変化腎症からなる群から選択される糸球体疾患である腎臓病の治療に有用である。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞、細胞の原形質膜、又は糸球体疾患を患っている患者における組織中の脂質含有量を減少させるための方法を提供する。前記方法は、細胞脂質含有量を減少させるシクロデキストリンポリマーの有効量を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記減少は、細胞、細胞の原形質膜、又は前記患者の組織からの過剰な脂質の除去である。本開示の前記治療方法に使用される前記シクロデキストリンポリマーは、以下にさらに記載される。
本開示の一実施形態では、それを必要とする対象に本開示のポリマー、例えばシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDK)、を投与することを含む、脂質蓄積障害を治療する方法が提供される。
図面の簡単な説明
図1は、リンカー部分を介して結合したシクロデキストリン/シクロデキストリン変異体(variants)の繰り返し単位を含む例示的なポリマーの構造の図である。
図2は、β−シクロデキストリン(CD)及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)を示す。
図3描く例示的なpBCDKポリマー本開示の構造(例えば、シクロデキストリン − トリアゾリル −ケタール − トリアゾリルの繰り返し単位を有する)。
図4は、ポリマーAのゲル浸透クロマトグラフを示す。
図5は、ポリマーAのHPLC分析を示す。
図6は、ポリマーBのゲル浸透クロマトグラフを示す。
図7は、ポリマーBのHPLC分析を示す。
図8は、皮下投与後のマウスにおけるポリマーBの体内分布プロファイルを示す。
図9は、鼻腔内投与によるマウスにおけるポリマーBの体内分布プロファイルを示す。
図10は、コントロール(controls)、参照(reference)、及び試験化合物を比較する、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)動物モデル研究において使用された用量反応/頻度研究を要約する。
図11は、いくつかの用量に関して参照化合物及び試験化合物を用いた治療中及び治療終了時のマウスの週平均体重のグラフである。エラーバーは平均±SDを示す。
図12は、参照化合物及び試験化合物をいくつかの用量で用いた治療中及び治療終了時のマウスにおける平均アルブミン対クレアチニン比(ACR)のグラフである。エラーバーは平均±SDを示す。
図13は、いくつかの用量で参照化合物及び試験化合物で処理した後、マウスにおける平均血清血中尿素窒素レベル(BUN)のグラフである。エラーバーは平均値±SDである。
図14は、いくつかの用量での参照化合物及び試験化合物で処理した後のマウスにおける平均血清クレアチニンレベルのグラフである。エラーバーは平均値±SDである。
図15は、正常マウス(グループ1)、未処理コントロール(グループ2、アドリアマイシン注射マウス)、及び陽性コントロール(グループ3、ADR+HPbCD @40mg/kg/日)についての組織病理学に供された腎臓組織サンプルを示す。
図16は、ADR+ポリマーA@25mg/kg、週3回、(グループ4、A及びB)、ADR+ポリマーA@40mg/kg、週3回(グループ5、C及びD)、ADR+ポリマーA@100mg/kg、週2回(グループ6、E及びF)及びADR+ポリマーA@200mg/kg、週1回(グループ7、G及びH)についての組織病理学に供された腎臓組織サンプルを示す。
図17は、ADR+ポリマーB@25mg/kg、週3回、(グループ8、A及びB)、ADR+ポリマーB@40mg/kg、週3回(グループ9、C及びD)、ADR+ポリマーB@100mg/kg、週2回(グループ10、E及びF)及びADR+ポリマーB@200mg/kg、週1回(グループ11、G及びH)についての組織病理学に供された腎臓組織サンプルを示す。
図18は、損傷からタコ足細胞(podocyte)を保護する過蓄積コレステロールの調節/除去をもたらす本開示のシクロデキストリンポリマーの作用を示す概略図である。
本開示の詳細な説明
以下の用語は当業者によってよく理解されていると考えられるが、以下の定義は本明細書に開示された主題の説明を容易にするために示される。
以下の用語は当業者によってよく理解されていると考えられるが、以下の定義は本明細書に開示された主題の説明を容易にするために示される。
本明細書を通して、特定の量について数値範囲が提供されている。これらの範囲はその中のすべての部分範囲を含むことを理解すべきである。したがって、「50〜80」の範囲は、その中のすべての可能な範囲(例えば、51〜79、52〜78、53〜77、54〜76、55〜75、60〜70など)を包含する。さらに、所与の範囲内のすべての値は、それによって包含される範囲の終点であり得る(例えば、50〜80の範囲は、55〜80、50〜75などのような終点を有する範囲を包含する)。
本明細書を通して、「約(about)」及び/又は「およそ(approximately)」という用語は、数値及び/又は範囲と共に使用され得る。用語「約」は、列挙された値に近いそれらの値を意味すると理解される。例えば、「約40[単位]」は、40の±25%以内(例えば、30〜50)、±20%以内、±15%以内、±10%以内、±9%以内、±8%以内、±7%以内、±6%以内、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、±1%未満、又はその中もしくはその下にある任意の他の値もしくは値の範囲を意味し得る。。他の文脈では、「約」という用語は、数値シーケンス内の隣接する値の間の中間の値を指すことがある。さらに、「約[値]より小さい」又は「約[値]より大きい」という句は、本明細書で提供される用語「約」の定義を考慮して理解されるべきである。「約」及び「およそ」という用語は互換的に使用され得る。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに関して、以下の要素のうちの任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されたい。しかし、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを包含するのではなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除するわけではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に識別された要素以外の要素が、具体的に識別された要素に関連するか関連しないかどうかに関わらず、存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも一方」(又は同等に、「A又はBの少なくとも一方」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも一方」)は、一実施形態において、Bが存在しない(及び任意にB以外の要素を包含する)少なくとも1つ、任意に1つより多いAを包含することを指すことができ;別の実施形態では、Aが存在しない(及び任意にA以外の要素を包含する)少なくとも1つ、任意に1つより多いBを包含することを指すことができ;さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に1つより多いAを包含すること、及び少なくとも1つ、任意に1つより多いBを包含すること(及び場合により他の要素を包含すること);等を指すことができる。
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所での「一(one)実施形態では」又は「一(an)実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を包含する。また、「又は(or)」という用語は、その内容が明確に指示していない限り、一般に「及び/又は」を包含する意味で使用されていることにも留意されたい。
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」、「involving」、「holding」、「composed of」などの全ての移行句は、オープンエンド型であると理解されるべきであり、すなわち、限定するものではないが包含することを意味する。「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ排他的な(closed)移行句又は半排他的な(semi-closed)移行句であるものとする。米国特許庁の特許審査手続マニュアル、セクション2111.03を参照。
特許請求の範囲は、いずれの任意選択の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。このように、この記述は、請求項要素の列挙、又は「否定的な」制限の使用に関連して「単に(solely)」、「のみ(only)」などの排他的用語を使用するための先行基準として役立つことを意図している。
本明細書で使用されるとき、「実質的に(substantially)」又は「実質的な(substantial)」は、作用、特性、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の完全なもしくはほぼ完全な限度(extent)又は程度(degree)を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、その物体が完全に囲まれているか又はほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的完全性からの正確な許容偏差の程度は、場合によっては特定の状況に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、完成の近さは、あたかも絶対的かつ完全な完成が得られたのと同じ全体的な結果を有するようになるだろう。「実質的に」の使用は、完全な又はほぼ完全な作用、特徴、性質、状態、構造、アイテム、又は結果の欠如を指すために否定的な意味合いで使用されるときにも同様に適用可能である。例えば、他の活性剤を「実質的に含まない」組成物は、他の活性剤を完全に欠いているか、又は他の活性剤を完全に欠いているかのように効果がほぼ同じである。言い換えれば、成分もしくは要素又は別の活性剤を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な効果がない限り、そのようなアイテムを依然として含有していてもよい。
本明細書で使用される以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有する。
(a)「アミノ」はNH2ラジカルを指す。
(b)「シアノ」はCNラジカルを指す。
(c)「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードラジカルを指す。
(d)「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、OHラジカルを指す。
(e)「イミノ」は、=NH置換基を指す。
(f)「ニトロ」はNO2ラジカルを指す。
(g)「オキソ」は=O置換基を指す。
(h)「チオキソ」は=S置換基を指す。
(a)「アミノ」はNH2ラジカルを指す。
(b)「シアノ」はCNラジカルを指す。
(c)「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードラジカルを指す。
(d)「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、OHラジカルを指す。
(e)「イミノ」は、=NH置換基を指す。
(f)「ニトロ」はNO2ラジカルを指す。
(g)「オキソ」は=O置換基を指す。
(h)「チオキソ」は=S置換基を指す。
「アルキル」又は「アルキル基」は、1から12個の炭素原子を有し、そして単結合によって分子の残りの部分に結合している、完全に飽和した、直鎖又は分岐の炭化水素鎖ラジカルを指す。1〜12の任意の数の炭素原子を含むアルキルが包含される。12個までの炭素原子を含むアルキルは、C1〜C12アルキルであり、10個までの炭素原子を含むアルキルは、C1〜C10アルキルであり、6個までの炭素原子を含むアルキルは、C1〜C6アルキルであり、そして5個までの炭素原子を含むアルキルは、C1〜C5アルキルである。C1〜C5アルキルには、C5アルキル、C4アルキル、C3アルキル、C2アルキル及びC1アルキル(すなわち、メチル)が含まれる。C1‐C6アルキルは、C1‐C5アルキルについて上記した全ての部分を包含するが、C6アルキルをも包含する。C1〜C10アルキルは、C1〜C5アルキル及びC1〜C6アルキルについて上述したすべての部分を包含するが、C7、C8、C9及びC10アルキルをも包含する。同様に、C1−C12アルキルは前述の部分全てを包含するが、C11及びC12アルキルをも包含する。C1〜C12アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、sec‐プロピル、n‐ブチル、i−ブチル、sec‐ブチル、t‐ブチル、n‐ペンチル、t‐アミル、n−ヘキシル、n‐ヘプチル、n‐オクチル、n‐ノニル、n‐デシル、n‐ウンデシル、及びn‐ドデシルを包含する。本明細書中に特に明記しない限り、アルキル基は任意に置換されていてもよい。
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、完全に飽和した、直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖ラジカルを指し、そして1〜12個の炭素原子を有する。C1〜C12アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、n‐ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n‐ブテニレン、プロピニレン、n‐ブチニレンなどを包含する。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、及び単結合を介してラジカル基(radical group)に結合している。分子の残りへの及びラジカル基へのアルキレン鎖の結合点は、鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介するものであり得る。本明細書中に特に明記しない限り、アルキレン鎖は任意に置換されていてもよい。
「アルケニル」又は「アルケニル基」は、2から12個の炭素原子を有し、そして1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。各アルケニル基は単結合によって分子の残りの部分に結合している。2〜12の任意の数の炭素原子を含むアルケニル基が包含される。12個までの炭素原子を含むアルケニル基は、C2〜C12アルケニルであり、10個までの炭素原子を含むアルケニルは、C2〜C10アルケニルであり、6個までの炭素原子を含むアルケニルは、C2〜C6アルケニルであり、5個までの炭素原子を含むアルケニルは、C2‐C5アルケニルである。C2〜C5アルケニルには、C5アルケニル、C4アルケニル、C3アルケニル、及びC2アルケニルが含まれる。C2〜C6アルケニルは、C2〜C5アルケニルについて上記した全ての部分を包含するが、C6アルケニルをも包含する。C2〜C10アルケニルは、C2〜C5アルケニル及びC2〜C6アルケニルについて上記した全ての部分を包含するが、C7、C8、C9及びC10アルケニルをも包含する。同様に、C2−C12アルケニルは前述の部分全てを包含するが、C11及びC12アルケニルをも包含する。C2‐C12アルケニルの非限定的な例には、エテニル(ビニル)、1‐プロペニル、2‐プロペニル(アリル)、イソ−プロペニル、2‐メチル‐1‐プロペニル、1‐ブテニル、2‐ブテニル、3‐ブテニル、1‐ペンテニル、2‐ペンテニル、3‐ペンテニル、4‐ペンテニル、1‐ヘキセニル、2‐ヘキセニル、3‐ヘキセニル、4‐ヘキセニル、5‐ヘキセニル、1‐ヘプテニル、2‐ヘプテニル、3‐ヘプテニル、4‐ヘプテニル、5‐ヘプテニル、6‐ヘプテニル、1‐オクテニル、2‐オクテニル、3‐オクテニル、4‐オクテニル、5‐オクテニル、6‐オクテニル、7‐オクテニル、1‐ノネニル、2‐ノネニル、3‐ノネニル、4‐ノネニル、5‐ノネニル、6‐ノネニル、7‐ノネニル、8‐ノネニル、1‐デセニル、2‐デセニル、3‐デセニル、4‐デセニル、5‐デセニル、6‐デセニル、7‐デセニル、8‐デセニル、9‐デセニル、1‐ウンデセニル、2‐ウンデセニル、3‐ウンデセニル、4‐ウンデセニル、5‐ウンデセニル、6‐ウンデセニル、7‐ウンデセニル、8‐ウンデセニル、9‐ウンデセニル、10‐ウンデセニル、1‐ドデセニル、2‐ドデセニル、3‐ドデセニル、4‐ドデセニル、5‐ドデセニル、6‐ドデセニル、7‐ドデセニル、8‐ドデセニル、9‐ドデセニル、10‐ドデセニル、及び11‐ドデセニルが含まれる。本明細書中に特に明記しない限り、アルキル基は任意に置換されていてもよい。
「アルケニレン」又は「アルケニレン鎖」は、2から12個の炭素原子を有し、そして1と以上の炭素−炭素二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素鎖ラジカルを指す。C2〜C12アルケニレンの非限定的な例としては、エテン、プロペン、ブテンなどを包含する。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残りと結合しており、単結合を介してラジカル基と結合している。前記分子の残り及び前記ラジカル基への前記アルケニレン鎖の結合点は、鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介するものであり得る。本明細書中に特に明記しない限り、アルケニレン鎖は任意に置換されていてもよい。
「アルキニル」又は「アルキニル基」は、2から12個の炭素原子を有し、そして1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。各アルキニル基は単結合によって分子の残りに結合している。2〜12の任意の数の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。12個までの炭素原子を含むアルキニル基は、C2〜C12アルキニルであり、10個までの炭素原子を含むアルキニルは、C2〜C10アルキニルであり、6個までの炭素原子を含むアルキニル基は、C2〜C6アルキニルであり、5個までの炭素原子を含むアルキニル基は、C2‐C5アルキニルである。C2−C5アルキニルには、C5アルキニル、C4アルキニル、C3アルキニル、及びC2アルキニルが含まれる。C2‐C6アルキニルは、C2‐C5アルキニルについて上記した全ての部分を包含するが、C6アルキニルをも包含する。C2〜C10アルキニルは、C2〜C5アルキニル及びC2〜C6アルキニルについて上記したすべての部分を包含するが、C7、C8、C9及びC10アルキニルをも包含する。同様に、C2−C12アルキニルは前述の部分全てを包含するが、C11及びC12アルキニルをも包含する。C2−C12アルケニルの非限定的な例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが含まれる。本明細書中に特に明記しない限り、アルキル基は任意に置換されていてもよい。
「アルキニレン」又は「アルキニレン鎖」とは、2から12個の炭素原子を有し、そして1個以上の炭素−炭素三重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素鎖ラジカルをいう。C2−C12アルキニレンの非限定的な例には、エチニレン、プロパルギレンなどが含まれる。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残りと結合しており、単結合を介してラジカル基と結合している。前記分子の残り及びラジカル基へのアルキニレン鎖の結合点は、鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介してもよい。本明細書中に特に明記しない限り、アルキニレン鎖は任意に置換されていてもよい。
「アルコキシ」とは、式ORaのラジカルを指す。式中、Raは、1〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されたようなアルキル、アルケニル又はアルキニルラジカルである。本明細書中に特に明記しない限り、アルコキシ基は任意に置換されていてもよい。
「アルキルアミノ」は、式−NHRa又は−NRaRaのラジカルを意味する。式中、各Raは、独立して、1〜12個の炭素原子を含む上記に定義されるアルキル、アルケニル又はアルキニル基である。本明細書中に特に明記しない限り、アルキルアミノ基は任意に置換されていてもよい。
「アルキルカルボニル」とは、−C(=O)Ra部分を意味し、ここでRaは、上で定義されたようなアルキル、アルケニル又はアルキニルラジカルである。アルキルカルボニルの非限定的な例は、メチルカルボニル(「アセタール」)部分である。アルキルカルボニル基はまた、「Cw〜Czアシル」とも称され得、ここで、w及びzは、上で定義されるように、Ra中の炭素数の範囲を表す。例えば、「C1−C10アシル」は、上で定義されたようなアルキルカルボニル基を意味し、ここで、Raが上記で定義のC1−C10アルキル、C1−C10アルケニル、又はC1−C10アルキニルラジカルである。本明細書中に特に明記しない限り、アルキルカルボニル基は任意に置換されていてもよい。
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり得、これは縮合又は架橋環系を包含し得る。アリールラジカルとしては、限定されるものではないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s‐インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンから誘導されるアリールラジカルを包含する。本明細書中に特に明記しない限り、用語「アリール」は、場合により置換されているアリールラジカルを包含することを意味する。
「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、式−Rb−Rcのラジカルを意味し、ここでRbは上記で定義したアルキレン基であり、Rcは上記で定義した1つ以上のアリールラジカル、例えばベンジル、ジフェニルメチル等、である。本明細書中に特に明記しない限り、アラルキル基は任意に置換されていてもよい。
「アラルケニル」又は「アリールアルケニル」は、式−Rb−Rcのラジカルを意味し、ここでRbは上記で定義したアルケニレン基であり、Rcは上記で定義した1つ以上のアリールラジカルである。本明細書中に特に明記しない限り、アラルケニル基は任意に置換されていてもよい。
「アラルキニル」又は「アリールアルキニル」は、式−Rb−Rcのラジカルを指し、ここでRbは上記で定義したアルキニレン基であり、Rcは上記で定義した一つ以上のアリールラジカルである。本明細書中に特に明記しない限り、アラルキニル基は任意に置換されていてもよい。
「カルボシクリル」、「炭素環式環(carbocyclic ring)」又は「炭素環式化合物(carbocycle)」は環構造を意味し、ここで環を形成する原子がそれぞれ炭素である。炭素環式環は、環中に3から20個の炭素原子を含み得る。炭素環式環としては、アリール、並びに本明細書に定義のシクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル、を包含する。本明細書において他に具体的に述べられていない限り、カルボシクリル基は任意に置換されていてもよい。
「シクロアルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式又は多環式の完全飽和炭化水素ラジカルを指し、それは、3〜20個の炭素原子を有し、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する縮合又は架橋環系を包含することができ、そしてそれは単結合によって分子の残りに結合している。単環式シクロアルキルラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルを包含する。多環式シクロアルキルラジカルは、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを包含する。本明細書中に特に明記しない限り、シクロアルキル基は任意に置換され得る。
「ヘテロシクリル」、「複素環(heterocyclic ring)」又は「複素環(heterocycle)」は、2〜12個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子とからなる安定な3〜20員非芳香族環ラジカルを指す。ヘテロシクリル又は複素環には、以下に定義されるようなヘテロアリールが含まれる。本明細書中に特に明記しない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり得、これは縮合又は架橋環系を包含し得る。ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素又は硫黄原子は任意に酸化されていてもよい。窒素原子は任意に四級化されていてもよい。ヘテロシクリルラジカルは部分的に又は完全に飽和していてもよい。そのようなヘテロシクリルラジカルの例には、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2‐オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4‐ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1オキソチオモルホリニル、及び1,1‐ジオキソチオモルホリニルを包含する。本明細書において他に具体的に述べられていない限り、ヘテロシクリル基は任意に置換されていてもよい。
少なくとも1つの窒素を含有する上記で定義したヘテロシクリルラジカルを意味し、ここで、分子の残りへのヘテロシクリルラジカルの結合点はN−ヘテロシクリルラジカル中の窒素原子を介している。本明細書中に特に明記しない限り、N−ヘテロシクリル基は任意に置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、水素原子、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1〜6個のヘテロ原子、及び少なくとも1個の芳香環を含む、5〜20員環系ラジカルを意味する。本発明の目的のためには、ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり得、縮合又は架橋環系を包含することができる。ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素又は硫黄原子は任意に酸化することができる。窒素原子は任意に四級化されていてもよい。例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4‐ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2a]ピリジニル、カロバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2‐オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1‐オキシドピリジニル、1‐オキシドピリミジニル、1‐オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1−フェニル1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル及びチオフェニル(すなわちチエニル)を包含するが、これらに限定されない。本明細書中に特に明記しない限り、ヘテロアリール基は任意に置換されていてもよい。
「N−ヘテロアリール」は少なくとも1つの窒素を含有するヘテロアリールラジカルを意味し、ここで、分子の残りへのヘテロアリールラジカルの結合点は、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介している。本明細書において他に具体的に述べられていない限り、N‐ヘテロアリール基は任意に置換され得る。
「ヘテロアリールアルキル」は式Rb−Rfのラジカルを意味し、式中、Rbは上記で定義したようなアルキレン鎖であり、そしてRfは上記で定義したようなヘテロアリールラジカルである。本明細書中に特に明記しない限り、ヘテロアリールアルキル基は任意に置換されていてもよい。
「チオアルキル」は、式−SRaのラジカルを指し、ここでRaは、1〜12個の炭素原子を含有する上記で定義したアルキル、アルケニル、又はアルキニル基である。本明細書中に特に明記しない限り、チオアルキル基は任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用される「置換された」という用語は、上記の基のいずれかを意味する(すなわち、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、チオアルキル、アリール、アラルキル、カルボシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N‐ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキル)。ここで、少なくとも1個の水素原子が、非水素原子、これらに限定されるものではないが、例えばF、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子;水酸基、アルコキシ基、エステル基等の基における酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、スルホキシド基等の基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N‐オキシド、イミド、及びエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基等の基中のケイ素原子;並びに他のさまざまな基における他のヘテロ原子、への結合により置換されている。「置換された」はまた、1個以上の水素原子が、ヘテロ原子、例えばオキソ、カルボニル、カルボキシル及びエステル基中の酸素など;及びイミン、オキシム、ヒドラゾン及びニトリルなどの基における窒素、への高次結合(例えば、二重結合又は三重結合)で置換されている上記の基のいずれかを意味する。例えば、「置換された」は、上記の基のいずれかを含む。ここで、1つ以上の水素原子は、−NRgRh、−NRgC(=O)Rh、−NRgC(=O)NRgRh、−NRgC(=O)ORh、−NRgSO2Rh、−ORg、−SRg、−SORg、−SO2Rg、−OSO2Rg、−SO2ORg、=NSO2Rg、及び−SO2NRgRhで置換される。「置換された」という用語はまた、1個以上の水素原子が−C(=O)Rg、−C(=O)ORg、−C(=O)NRgRh、−CH2SO2Rg、−CH2SO2NRgRhで置換される上記の基のいずれかを意味する。上記において、Rg及びRhは同じか又は異なり、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N‐ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキルである。「置換された」はさらに、1個以上の水素原子がアミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N‐ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N‐ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキル基への結合によって置換されている上記の基のいずれかを意味する。加えて、前述の置換基の各々はまた、上記置換基の1以上で任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、記号
(以下「アタッチメント結合点」(a ppoint of attachment bond)と称する)は、2つの化学物質間の結合点である結合を表す。その一方はアタッチメント結合点に結合されているように描かれており、その他方はアタッチメント結合点に結合されているようには描かれていない。例えば、
は、化学物質「XY」がアタッチメント結合点を介して別の化学物質に結合していることを示す。さらに、図示されていない化学物質に対する特定の結合点は、推論によって特定することができる。例えば、化合物CH3R3(ここで、R3はHであるか又は
である)は、R3がXYである場合、アタッチメント結合点は、R3がCH3に結合していると表される結合と同じ結合である。
「任意の(optional)」又は「場合によって(optionally)」という用語は、後で説明される状況のイベントが起こり得る又は起こらないこと、及びその記述がそのようなイベント又は状況が起こる場合と起こらない場合を包含することを意味する。例えば、「場合により置換されているアリール」は、アリールラジカルが置換されていてもいなくてもよく、その説明が置換アリールラジカルと置換基を有しないアリール基との両方を包含することを意味する。
用語「治療すること(treating)」は、対象における状態の少なくとも1つの症状を緩和する、軽減すること、遅延すること、低減すること、逆転すること、改善すること、又は管理することのうちの1つ以上を意味する。用語「治療すること」はまた、停止すること、発症を遅らせること(すなわち、症状の臨床症状が現れる前の期間)、又は症状を発症するもしくは悪化させるリスクを低減することのうちの1つ以上を意味し得る。
「有効量」は、状態、障害又は状態を治療するために患者に投与されたときに、そのような治療を達成するのに十分である本発明による製剤の量を意味する。「有効量」は、活性成分、治療されるべき状態、障害、又は条件及びその重症度、並びに治療されるべき哺乳動物の年齢、体重、体調及び反応性に応じて変わるであろう。治療的又は予防的適用の文脈において、いくつかの実施形態において、対象に投与される組成物の量は、疾患の種類、程度、及び重症度、並びに一般的な健康状態、年齢、性別、体重、及び薬物に対する耐性などの個体の特徴に依存する。当業者は、これら及び他の要因に応じて適切な投与量を決定することができるだろう。
用量又は量に適用される「治療上有効な」という用語は、それを必要とする患者への投与後に所望の臨床的利益をもたらすのに十分な化合物又は医薬製剤の量を指す。
「糸球体濾過速度(glomerular filtration rate)」又はGFRは、腎臓を通して濾過された流体の流量を意味する。言い換えれば、それは、単位時間当たりに腎臓(腎臓)糸球体毛細血管からボーマン嚢へ濾過される流体の容積である。GFRは、いくつかの異なる技術によって決定され得る。例えば、イヌリン又はイヌリン−アナログシニストリンを血漿に注射し、そしてその尿中排泄を測定することができる。別の例として、GFRは、任意の便利な方法論を用いて、身体からのクレアチニンクリアランスの決定された(Ccr)又は推定された(eCo)速度に基づいて概算され得る。正常に機能している腎臓におけるGFRは通常90mL/min/1.73m2を上回り、タンパク尿はない。
「蛋白尿」とは、尿中の過剰量の血清タンパク質(proteinin)の存在を意味する。タンパク尿は、腎臓(腎臓)、尿路、膵臓窮迫、ネフローゼ症候群(すなわち、1日当たり3.5グラムを超えるタンパク尿)、子癇、腎臓の中毒性病変のいずれかに特徴的な症状であり、しばしば真性糖尿病の症状である。重度のタンパク尿を伴うと、一般的な低タンパク血症が発症する可能性があり、それは膠質浸透圧の低下をもたらす(腹水症、浮腫、水胸症)。タンパク尿を検出するための方法の非限定的な例には、タンパク質の尿検査、例えば、定時採尿中のタンパク質定量的定量又は無作為採尿におけるクレアチニンレベルに対するタンパク質レベルの比、泡立った外観又は過度の尿の泡立ちによる、タンパク質測定が含まれる。
「アルブミン尿症」とは、タンパク質アルブミンが尿中で検出可能であるタンパクの種類を意味する。アルブミン尿症検査は、タンパク尿検査よりも感度が高いのが普通である。そのため、ある場合には、個体は、アルブミン尿症について陽性であるがタンパク尿について陰性であると試験することができる。アルブミン尿症を測定するための方法の非限定的な例としては、時限尿採取における定量的アルブミン測定、又はランダム尿採取におけるクレアチニンレベルに対するアルブミンレベルの比(アルブミン/クレアチニン比(ACR))を包含する。
「正常アルブミン尿」とは、尿中のアルブミンの実質的に正常なレベルを有することを意味する。尿中のアルブミンタンパク質の存在及びレベルは、アルブミンの濃度が24時間の採尿で測定される尿検査、又はスポット検査によって決定され得る。正常アルブミン尿は、24時間の採尿において約30mg以下(30mg以下/日)のアルブミンレベルによって特徴付けられる。いくつかの例において、正常アルブミン尿は、サンプル中のクレアチニンの濃度と比較したサンプル中のアルブミンの量であるアルブミン/クレアチニン比(ACR)に基づいて定義される。そのような場合、正常アルブミン尿は、約30μg以下のアルブミン/mgクレアチニン(「30μg以下/mg」)のACRとして定義される。
「微量アルブミン尿症」とは、腎糸球体におけるアルブミンの透過性の増加によって引き起こされる状態を意味する。微量アルブミン尿症は、24時間の採尿において30〜300mgのアルブミンのレベル(30〜300mg/24時間)として、あるいは、30〜300μgアルブミン/mgクレアチニン(「30〜300μg/mg」)のACRとして定義される。
「マクロアルブミン尿症」とは、腎糸球体におけるアルブミンに対する異常に高い透過性によって引き起こされる状態を意味する。マクロアルブミン尿症は、24時間の採尿における300mg以上のアルブミンのレベル(300mg超/24時間)として、あるいはクレアチニン1mg当たり300μg以上のアルブミンのACRとして(「300μg以上/mg」)特徴づけられる。
「糖尿病」とは、膵臓が血糖値を調節するのに十分な量のホルモンインスリンを産生しない場合に(「1型糖尿病」)、あるいは体が産生するインスリンを有効に使用できない場合に、起こる代謝疾患を意味する。(「2型糖尿病」)。インスリン依存型糖尿病(insulin dependent diabetes mellitus)(IDDM)としても知られる1型糖尿病(type 1 diabetes)(T1D)は、免疫系の細胞によるβ細胞の破壊又は機能不全から生じる。症状は、多尿(頻尿)、多飲(渇きの増加)、多食(飢餓の増加)、及び体重減少を包含する。T1Dは、インスリンで治療しない限り致命的であり、無期限に続けなければならないが、それ以外の点ではこの疾患を発症する多くの人々は健康であり、治療は通常の活動を著しく損なう必要はない。定期的に運動する、健康的な食生活や血糖値の監視もまた推奨されるかもしれない。以下のうちの1つ以上を含む他の薬も同様に処方されるかもしれない: 胃を通る食物の動きを遅くする薬(例えばプラムリンタイド)、高血圧薬、そしてコレステロール低下薬。インスリン非依存型糖尿病(non-insulin dependent diabetes mellitus)(NIDDM)としても知られる2型糖尿病(type 2 diabetes)(T2D)は、末梢組織(骨格筋や肝臓など)におけるインスリン抵抗性に関連し、並びにβ細胞が同様にインスリン抵抗性を発現するにつれて、経時的なβ細胞機能及び数の漸進的な低下によって引き起こされる。その結果、T2Dでは、膵臓は血糖値を正常に保つのに十分なインスリンを作らない。症状には、高血糖症(高血糖)、糖尿病性ケトアシドーシス(尿中のケトン増加)、及び高浸透圧性高血糖性非ケトン症症候群が含まれる。治療法には血糖値のモニタリング;健康的な食事;定期的な運動;グルコース産生を低下させる糖尿病治療薬(例:メトホルミン、シタグリプチン、サクサグリプチン、レパグリニド、ナテグリニド、エクセナチド、リラグルチド)、膵臓を刺激してより多くのインスリンを産生させ、放出させる糖尿病治療薬(例えば、グリピジド、グリブリド、グリメピリド);及び/又は炭水化物を分解する、又は組織をインスリンに対してより敏感にする酵素の作用をブロックする糖尿病治療薬(例:ピオグリタゾン);及びインスリン療法;が含まれるかもしれない。
「糖尿病性腎疾患」及び「糖尿病性腎症」は、糖尿病によって引き起こされる又は糖尿病に関連する慢性腎臓病を意味するために本明細書では互換的に用いられる。
特に明記しない限り、本明細書で参照されるすべての重量パーセント(すなわち、「重量%」及び「wt.%」及びw/w)は、医薬組成物の総重量に対して測定される。
以下の説明は、本発明を理解するのに有用でありうる情報を包含する。本明細書に提供される情報のいずれもが先行技術であるか、又は現在請求されている発明に関連すること、又は具体的又は黙示的に参照されているいずれの刊行物が先行技術であることを承認するものではない。
シクロデキストリンポリマーの使用方法
本開示は、当技術分野における前述の必要性に対処し、且つ、薬物療法のための薬剤としてシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDK)を包含するシクロデキストリンベースのポリマーを使用する方法を提供する。本開示のポリマーは、リンカー部分を介して接続されたシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含む。
本開示は、当技術分野における前述の必要性に対処し、且つ、薬物療法のための薬剤としてシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDK)を包含するシクロデキストリンベースのポリマーを使用する方法を提供する。本開示のポリマーは、リンカー部分を介して接続されたシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含む。
本明細書で使用される場合、「シクロデキストリンベースのポリマー」、「シクロデキストリンコンジュゲートのポリマー」、「シクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー」、「シクロデキストリン:ケタールコンジュゲート」、「シクロデキストリン:ケタールポリマー」、「シクロデキストリン:ケタール分子」、「ケタールとシクロデキストリンとのコンジュゲート」、及び「コンジュゲート」なる表現は、本開示内で互換的に使用され、本開示のポリマー化合物/治療用分子/生成物を指す。
いくつかの態様において、本開示は、腎臓糸球体疾患を治療するための方法を提供する。前記方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のシクロデキストリンポリマーコンジュゲートの有効量を投与することを含む。
種々の実施形態では、本方法は、以下の構造を含む化合物を提供する。:
(式中、
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本方法の別の実施形態では、nは10〜100である。一実施形態では、nは10〜75である。一実施形態では、nは15〜65である。一実施形態では、nは20〜30である。一実施形態では、nは10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は100である。特定の一実施形態では、nは約17である。別の特定の実施形態では、nは約25である。nは約25である。
一実施形態では、本発明の方法は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択されるシクロデキストリン部分又はその誘導体を提供する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分又はその誘導体は、ヒドロキシアルキル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル−γ−シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、ヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、それらの溶媒和物中のアルキルは、それぞれ場合によって置換されたC1‐C10直鎖アルキル、C1‐C10分岐アルキル又はC1‐C10シクロアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、アルキルについて任意の置換基は、メチル、エチル、及びブチルからなる群から選択される。本方法のさらに他の実施形態において、シクロデキストリン、それらの塩、又はそれらの組み合わせは、アジドシクロデキストリン又はジアジドシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、前記ジアジドシクロデキストリンはジアジド−α−シクロデキストリン、ジアジド−βシクロデキストリン、又はジアジド−γシクロデキストリンである。本方法の別の実施形態では、前記アジドシクロデキストリン誘導体は、ジアジド−ヒドロキシアルキル−α−シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、又はジアジド−(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリンである。本開示のさらに他の実施形態において、前記ジアジドシクロデキストリン誘導体は、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、ジアジド−(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリンである。
本方法の非限定的な実施形態において、本開示のポリマー中のシクロデキストリン部分には、β−シクロデキストリン(β−CD)、又はその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。ここで、前記誘導体は、α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HP‐β‐CD)、スルホブチルエーテルβ‐シクロデキストリン(SBE‐β‐CD)、メチルβ‐シクロデキストリン(Me‐β‐CD)、γ‐シクロデキストリン、及びβ‐CDの他の荷電又は非荷電誘導体からなる群から選択される。。
他の実施形態において、本方法は、β−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせから誘導されるシクロデキストリン部分又はその誘導体を提供する。一実施形態において、シクロデキストリンはβ−シクロデキストリン又は(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンである。
本方法は、特にシクロデキストリン−リンカーコンジュゲートを含むポリマー(pBCDK)を提供する。本方法の別の実施形態において、シクロデキストリン−リンカーコンジュゲートの前述のポリマーは、共有結合リンカー部分を介してコンジュゲート化したβ‐シクロデキストリン又はその誘導体の繰り返し単位を含む。いくつかの実施形態では、前記シクロデキストリン部分又はその誘導体は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体、例えばヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせと、本明細書に記載のリンカーとの反応から誘導される。を有する。
一般的に上記で定義したように、各Lは、独立して、リンカー部分である。前記リンカーは、本開示のポリマーを提供する方法において、1つ以上のシクロデキストリンサブユニットを1つ以上の他のシクロデキストリンサブユニットに結合するのに役立つ。いくつかの実施形態において、本方法は、前記シクロデキストリンに共有結合しているリンカーを提供する。種々の実施形態において、本開示のポリマーは、
として表すことができる(例えば図1)。
本方法の非限定的な実施形態において、コンジュゲートにおいて用いられるリンカーは、生分解性リンカーである。他の非限定的な実施形態において、コンジュゲートにおいて用いられるリンカーは、非生分解性リンカーである。
本方法の一実施形態において、リンカーLは、以下の構造を含む。:
(式中、
は、ケタール、アセタール、ビニルエーテル、エステル、アミド、尿素、ヒドラゾン、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、カーボネート、カルバメート、チオカルバメート、イミン、アミジン、及びグアニジンからなる群から選択され;
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、N、O、及びSから個々に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5員又は6員ヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は任意にR3で置換され;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択され;そして、
m及びpは、それぞれ独立して1〜10の整数である。
Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、N、O、及びSから個々に選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5員又は6員ヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は任意にR3で置換され;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択され;そして、
m及びpは、それぞれ独立して1〜10の整数である。
関連する実施形態において、本方法は、2又は3個のヘテロ原子を含むそれぞれ5員ヘテロアリール環であるAr1及びAr2を提供する。関連実施形態において、2又は3個のヘテロ原子を含む前記5員ヘテロアリール環は、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びオキサジアゾールから選択されるが、これらに限定されない。より具体的な実施形態では、Ar1及びAr2はそれぞれトリアゾールである。他の実施形態では、Ar1及びAr2はそれぞれテトラゾールである。別の実施形態では、Ar1及びAr2は、2個又は3個のヘテロ原子を含むそれぞれ6員のヘテロアリール環である。関連実施形態において、2個又は3個のヘテロ原子を含む前記6員ヘテロアリール環は、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、及びトリアジンから選択されるが、これらに限定されない。
本方法の別の実施形態において、本方法によって提供されるリンカーLは以下の構造を含む。:
(式中、
Ar1及びAr2は、個々にN、O、及びSからなる群から選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む、それぞれ独立して、5員又は6員のヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は、R3で任意に置換されており;
YはO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であり、又はR1及びR2は一緒になって、二重結合したO、S、又はNR4を形成し;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン及びハロゲンからなる群から選択され;
R4はHであるか、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、これらのそれぞれは任意に置換されている)
Ar1及びAr2は、個々にN、O、及びSからなる群から選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む、それぞれ独立して、5員又は6員のヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は、R3で任意に置換されており;
YはO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であり、又はR1及びR2は一緒になって、二重結合したO、S、又はNR4を形成し;
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン及びハロゲンからなる群から選択され;
R4はHであるか、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、これらのそれぞれは任意に置換されている)
一実施形態において、YはOである。
開示された方法の一実施形態において、m及びpはそれぞれ独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。一実施形態において、mは1である。一実施形態において、mは2である。一実施形態において、mは3である。一実施形態において、mは4である。一実施形態において、mは5である。一実施形態において、mは6である。一実施形態において、mは7である。一実施形態において、mは8である。一実施形態において、mは9である。一実施形態において、mは10である。一実施形態において、pは1である。一実施形態において、pは2である。一実施形態において、pは3である。一実施形態において、pは4である。一実施形態において、pは5である。一実施形態において、pは6である。一実施形態において、pは7である。一実施形態において、pは8である。一実施形態において、pは9である。一実施形態において、pは10である。いくつかの実施形態において、m及びpは両方とも1である。
本方法一実施形態において、R1及びR2はそれぞれC1−C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1及びR2はそれぞれC1−C3アルキルである。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルから選択される。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれメチルである。
別の実施形態において、本方法は、2又は3個のヘテロ原子を含むそれぞれ5−員のヘテロアリール環であるAr1及びAr2を提供する。関連実施形態において、2又は3個のヘテロ原子を含む前記5員ヘテロアリール環は、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びオキサジアゾールから選択されるが、これらに限定されない。より具体的な実施形態では、Ar1及びAr2はそれぞれトリアゾールである。他の実施形態では、Ar1及びAr2はそれぞれテトラゾールである。別の実施形態では、Ar1及びAr2はそれぞれ2又は3個のヘテロ原子を含む6−員のヘテロアリール環である。関連実施形態において、2又は3個のヘテロ原子を含む前記6員ヘテロアリール環は、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、及びトリアジンから選択されるが、これらに限定されない。
一実施形態において、Ar1及びAr2は同一のヘテロアリールである。
本方法の別の実施形態において、前記リンカーLは以下の構造を含む。:
(式中、
Yは、O、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立してR4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;そして
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択され;
R4はH又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和のC1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであって、それらの各々は場合によって置換されている。)
Yは、O、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立してR4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;そして
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択され;
R4はH又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和のC1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであって、それらの各々は場合によって置換されている。)
本方法のいくつかの実施形態において、m及びpは、それぞれ独立して、1、2、4、又は5である。他の実施形態において、m及びpは両方とも1である。
一実施形態において、本方法は、それぞれC1−C6アルキルであるR1及びR2を提供する。いくつかの実施形態では、R1及びR2はそれぞれC1〜C3アルキルである。一実施形態では、R1及びR2はそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルから選択される。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれメチルである。
別の実施形態では、本方法の前記リンカーLは以下の構造を含む。:
式中、
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立してR4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;そして
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択される。
R4は、H又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和のC1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであって、それらの各々が場合によって置換されている。
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立してR4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;そして
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択される。
R4は、H又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和のC1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであって、それらの各々が場合によって置換されている。
いくつかの実施形態では、m及びpは、それぞれ独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。他の実施形態では、m及びpは両方とも1である。
本方法の一実施形態において、R1及びR2はそれぞれC1−C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R1及びR2はそれぞれC1〜C3アルキルである。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルから選択される。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれメチルである。
特定の一実施形態において、当該方法によって開示されたリンカーLは、
である。
本方法は、より具体的には、シクロデキストリン−トリアゾール−ケタール−トリアゾールコンジュゲートのポリマーに関する。一実施形態において、4〜1000個のシクロデキストリン単位を含む本開示のポリマーは、以下の構造を有する。:
式中、XはOHであるが、ただし、各シクロデキストリンサブユニットからの少なくとも1つのXは、場合よって以下によって置換されており、:
;且つ、
Yは0、1、又は2である。
Yは0、1、又は2である。
いくつかの実施形態において、yは0である。他の実施形態において、yは1である。さらに他の実施形態において、yは2である。
本方法の別の実施形態において、本開示の前記ポリマーは以下の構造を有する。:
式中、yは0、1又は2であり;そして
nは4〜1000である。
nは4〜1000である。
いくつかの実施形態において、yは0である。他の実施形態において、Yは1である。さらに別の実施形態において、yは2である。
本方法の別の実施形態において、nは10〜100である。一実施形態において、nは10〜75である。一実施形態において、nは15〜65である。一実施形態において、nは20〜30である。一実施形態において、nは50〜65である。一実施形態において、nは10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は100である。特定の一実施形態において、nは約17である。別の特定の実施形態において、nは約25である。
一実施形態において、本方法の前記ポリマーは、約1〜約1.5の多分散指数を有する。
本開示はさらに、前記障害を有するか又は有することが疑われる対象における脂質貯蔵障害/リピドーシス(例えば、糸球体疾患)を管理又は治療するための方法であって、治療有効量のシクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを前記対象に投与することを含む、方法に関する。一実施形態において、本開示は、前記障害を有するか又は有すると疑われる対象における脂質貯蔵障害を管理又は治療するための方法であって、本開示の化合物を治療有効量投与することを含む方法を提供する。トリアゾール−ケタール−トリアゾールリンカーを介して結合したシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含むシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDKポリマー)、又はそれらの組成物/配合物を包含するがこれらに限定されない。
本発明のポリマーは循環性、生体適合性であり、且つ、脂質を代謝するのに必要な生産酵素又は適切な機能を欠く酵素の生産を欠く細胞からのコレステロール除去を実質的に増加させることができる(概略図については図18を参照のこと)。さらに、前記ポリマーは、シクロデキストリン又はその誘導体の複数コピー/単位を細胞のリソソームに送達することができる。
本開示の一実施形態において、前記脂質貯蔵障害は、リソソーム脂質貯蔵障害である。別の実施形態において、前記リソソーム脂質貯蔵障害は、スフィンゴリピドーシス、Wolman疾患及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、前記スフィンゴリピドーシスは、ニーマン・ピック病C型(NPC)、ファブリー病、クラッベ病、ゴーシェ病、テイ・サックス病、異染性白質ジストロフィー、家族性高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、多種スルファターゼ欠損症、ファーバー疾患、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本開示のさらなる実施形態において、前記脂質貯蔵障害は糸球体疾患を包含する腎臓病である。
本発明は、臨床的及び実験的研究が腎臓のコレステロール蓄積を糸球体硬化症の発症と関連させたという本発明者の認識に部分的に基づいている。(Merscher−Gomez et al., 2013 “Cyclodextrin Protects Podocytes in Diabetic Kidney Disease.” Diabetes 62:3817−382)。本発明者らはさらに、糖尿病ラット由来の腎臓がコレステロールを蓄積することが示されていることを認識した。コレステロールの過剰な蓄積は、いくつかのメカニズム、細胞アクチン細胞骨格の調節、いくつかの循環因子(インスリン、IGF、VEGF、任意の成長因子、アポリポタンパク質、アディポカイン、内分泌ホルモン)に対する足細胞の応答の調節、局所的に産生される炎症性サイトカイン、ケモカイン及びそれらの受容体、インテグリンの調節、免疫応答の調節(例えば、B7−1−CD80としてTLR及び共刺激分子を介して媒介されるもの)、又はアポトーシス促進性(pro−)及び抗アポトーシス性細胞死経路の調節を包含する、メカニズムを通して細胞機能に有害となる可能性がある。
このように、いくつかの実施形態において、本開示は、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓病、微小変化型腎臓病、及び微小変化型腎症を包含する糸球体疾患を治療又は管理する方法を教示する。前記方法は、シクロデキストリンコンジュゲートの前記ポリマーの治療有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、本開示は、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓病、微小変化腎臓病、及び微小変化腎症の症状のうちの1つ以上を有する又は示す患者にシクロデキストリンポリマーを投与する方法を教示する。
腎糸球体疾患
本開示の一実施形態において、腎臓関連疾患を治療する方法は、それを必要とする対象に本開示の化合物、例えばシクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー、を投与することを含む。
本開示の一実施形態において、腎臓関連疾患を治療する方法は、それを必要とする対象に本開示の化合物、例えばシクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー、を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は糸球体疾患を治療する方法を教示する。糸球体は、動物の血液をきれいにしてろ過する腎臓内のループ状の血管のクラスターである。いくつかの実施形態において、糸球体疾患は、糸球体がもはやこの機能を果たしていないものである。糸球体の損傷は、流体及び水分をろ過する腎臓の能力に影響を与える。これは、尿中の血液(血尿)及び/又はタンパク質(タンパク尿)につながる。糸球体疾患はしばしばネフローゼ症候群の徴候及び症状と関連しており、且つ、急性腎不全、又は透析又は腎移植を伴う末期腎臓疾患に至る進行性の慢性腎臓病の素因となる。
いくつかの実施形態において、糸球体疾患は、以下の症状: タコ足細胞減少症(podocytopenia)(減少したタコ足細胞減少症)、タコ足細胞(podocyte)インスリン抵抗性、アポトーシス感受性、アルブミン尿(尿中のタンパク質の存在)、血尿(尿中の血液の存在)、糸球体濾過率の低下(血液からの老廃物の非効率的な濾過)、低タンパク血症(低血中タンパク質)、及び浮腫(体の一部の腫れ)、を包含するがこれらに限定されない、のうちの1つ以上の存在を特徴とする。
糸球体疾患は、大きく2つの主要なカテゴリー、すなわち、糸球体腎炎(フィルタとしての役割を果たす腎臓の組織の炎症)及び糸球体硬化症(腎臓内の血管の硬化又は瘢痕化)、に分類することができるさまざまな原因の異なる多くの状態を包含する。本開示の例示的糸球体疾患を以下に記載する。
糖尿病性腎臓病
いくつかの実施形態において、本開示は、糖尿病性腎疾患(DKD)を治療する方法を教示している。糖尿病自体が全身性疾患であるため、米国における腎不全の主な原因の一つであるDKDは、全身性疾患であると同時に硬化性疾患でもあると考えられている糸球体疾患の一形態である。
いくつかの実施形態において、本開示は、糖尿病性腎疾患(DKD)を治療する方法を教示している。糖尿病自体が全身性疾患であるため、米国における腎不全の主な原因の一つであるDKDは、全身性疾患であると同時に硬化性疾患でもあると考えられている糸球体疾患の一形態である。
糖尿病性腎臓病は、糖尿病によって引き起こされるか又は糖尿病に関連する慢性腎臓病である。糖尿病性腎臓病の症状には、ミクロアルブミン尿症もしくはマクロアルブミン尿症の発生、又は任意の形態の糖尿病を伴う正常なアルブミン尿症の個体におけるGFRの進行性の低下が含まれる。
タンパク尿が確立されたら、主な治療法はACE阻害薬であり、これは通常タンパク尿レベルを下げ、糖尿病性腎症の進行を遅らせる。この状態の管理において重要である他の問題は、高血圧及び血糖値の制御、並びに食事中の塩分摂取量の減少を包含する。
巣状分節性糸球体硬化症
いくつかの実施形態において、本開示は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を治療する方法を提供する。FSGSは、米国における、特に小児及び若年成人における、糸球体腎炎に起因する末期腎臓病(ESKD)に至る最も一般的な原発性糸球体疾患である。毎年約2000人がESKDに達している。FSGSの推定生涯リスクは、ヨーロッパ系アメリカ人で0.17%、アフリカ系アメリカ人で0.72%である(Kitiyakara C. et al. 2004 Twenty−one−year trend in ESRD due to focal segmental glomerulosclerosis in the United States. Am J Kidney Dis 44, 815−25)。アフリカ系アメリカ人におけるFSGSに対する感受性は、APOL1遺伝子の遺伝的変異体(G1及びG2)と関連している(Genovese G, Friedman DJ, Ross MD, et al. 2010 Association of trypanolytic ApoL1 variants with kidney disease in African Americans. Science 329, 841−5)。したがって、他の実施形態では、本開示は、APOL1遺伝子の遺伝的変異体、G1及びG2、に関連するFSGSを治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を治療する方法を提供する。FSGSは、米国における、特に小児及び若年成人における、糸球体腎炎に起因する末期腎臓病(ESKD)に至る最も一般的な原発性糸球体疾患である。毎年約2000人がESKDに達している。FSGSの推定生涯リスクは、ヨーロッパ系アメリカ人で0.17%、アフリカ系アメリカ人で0.72%である(Kitiyakara C. et al. 2004 Twenty−one−year trend in ESRD due to focal segmental glomerulosclerosis in the United States. Am J Kidney Dis 44, 815−25)。アフリカ系アメリカ人におけるFSGSに対する感受性は、APOL1遺伝子の遺伝的変異体(G1及びG2)と関連している(Genovese G, Friedman DJ, Ross MD, et al. 2010 Association of trypanolytic ApoL1 variants with kidney disease in African Americans. Science 329, 841−5)。したがって、他の実施形態では、本開示は、APOL1遺伝子の遺伝的変異体、G1及びG2、に関連するFSGSを治療する方法を提供する。
FSGSは、腎生検の分析時に、タコ足細胞(podocyte)の足の消失を特徴とする糸球体瘢痕化疾患である。さらに、FSGSを患っている患者からの尿サンプルを分析すると、大量の尿タンパク質が失われることが観察され、それは最後には腎不全へと進行する。
FSGSの病因は、最終的に糸球体硬化症及び末期腎臓病に至るタコ足細胞傷害に関連している(Kim Y.H., et al. 2001 Podocyte depletion and glomerulosclerosis have a direct relationship in the PAN−treated rat. Kidney Int 60, 957−968 ; Pagtalunan M.E., et al. 1997 Podocyte loss and progressive glomerular injury in type II diabetes. The Journal of clinical investigation 99, 342−348; Meyer T.W., et al. 1999 Podocyte number predicts long−term urinary albumin excretion in Pima Indians with Type II diabetes and microalbuminuria. Diabetologia 42, 1341−1344; White K.E., et al. 2002 Podocyte number in normotensive type 1 diabetic patients with albuminuria. Diabetes 51, 3083−3089; and Faul C. et al. 2007, Actin up: regulation of podocyte structure and function by components of the actin cytoskeleton. Trends Cell Biol 17, 428−437を参照)。
FSGSは脂質関連遺伝子の誤調節にも関連しており、コレステロールの過剰蓄積をもたらすと仮定されている。最近の研究は、シクロデキストリン治療がコレステロール蓄積の減少を介してタコ足細胞(podocyte)傷害を予防できたことを示唆している(Merscher−Gomez et al., 2013, “Cyclodextrin Protects Podocytes in Diabetic Kidney Disease” Diabetes 62:3817)。
アルポート症候群
いくつかの実施形態において、本開示は、アルポート症候群を治療する方法を教示している。アルポート症候群は、腎疾患、難聴、及び眼の異常によって特徴付けられる遺伝子疾患であり、そして50,000人の新生児のうち約1人に発生し、全末期腎臓病の約2%を占める。
いくつかの実施形態において、本開示は、アルポート症候群を治療する方法を教示している。アルポート症候群は、腎疾患、難聴、及び眼の異常によって特徴付けられる遺伝子疾患であり、そして50,000人の新生児のうち約1人に発生し、全末期腎臓病の約2%を占める。
他の実施形態において、本開示は、COL4A3、COL4A4、及びCOL4A5遺伝子における突然変異によって引き起こされるアルポート症候群を治療する方法を提供する。これらの遺伝子はそれぞれ、IV型コラーゲンと呼ばれるタンパク質の一成分を作るための指示を提供する。このタンパク質は腎臓の糸球体において重要な役割を果たしている。腎臓の段階的な瘢痕化が起こり、最終的にアルポート症候群を有する多くの人において腎機能の進行性の喪失及び末期腎臓病をもたらす。
早期かつ正確な診断は、アルポート症候群の早期介入にとって重要である。血尿のある被験者の診断アプローチは、臨床的特徴と家族歴の慎重な評価に基づいており、組織生検と分子遺伝学的分析によって補完される。血尿は難聴と眼の異常が検出されるずっと前にアルポート症候群に存在する。したがって、血尿のある対象に特徴的な感音性難聴又は眼の変化があると、アルポート症候群の疑いが高まるが、通常の聴覚検査及び眼科検査ではアルポート症候群を除外するのに役立たない。アルポート症候群の疑いのある診断は、
腎臓や皮膚の生検で確認できる。腎生検材料の完全な評価には、光学顕微鏡、免疫蛍光、及び電子顕微鏡検査が必要である。
腎臓や皮膚の生検で確認できる。腎生検材料の完全な評価には、光学顕微鏡、免疫蛍光、及び電子顕微鏡検査が必要である。
腎移植は通常、末期腎臓病(ESRD)を発症するアルポート症候群の患者に提供される。再発性疾患は移植された腎臓では発生せず、そしてこれらの患者における同種移植片生存率は他の腎臓疾患を有する患者におけるそれと類似している。しかし、抗糸球体基底膜(抗GBM)腎炎は、アルポート症候群を有する移植患者のごく一部において発症する。
最近の研究は、アルポート症候群を罹患動物の腎皮質における脂肪滴の蓄積と関連づけている(Morales et al., 2015 “Cyclodextrin Improves Renal Function in Experimental Alport Syndrome” Poster Presentation Variant Pharma、http://content.stockpr.com/variantpharma/files/pages/pipeline/var-200-presentationspublications/ASN+Alport+2015+New.pdfから入手可能)。
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本発明のポリマーから放出されル場合、シクロデキストリンは、過剰発現コレステロール又は他の過剰発現脂質と複合体を形成し、それをリソソームから流出させ、それによって細胞中のコレステロール含有量を著しく減少させ、これにより、脂質貯蔵障害を管理/治療することができる(Lopez CA, de Vries AH, Marrink SJ. Molecular mechanism of cyclodextrin mediated cholesterol extraction. PLOS Comput Biol 2011;7:e1002020)。あるいは、シクロデキストリン部分は、pBCDKから放出されることなく、それらの利用可能な腔内でコレステロール又は他の過剰発現脂質に結合し得、続いて細胞中の脂質含有量を減少させる手段としての上記流出ステップが続く。
したがって、本開示はまた、対象の細胞から脂質を除去する(すなわち、前記細胞の脂質含有量を減少させる)方法に関し、前記方法は、シクロデキストリンコンジュゲートの治療有効量のポリマーを前記対象に投与するステップを含む。
いくつかの実施形態において、コレステロールを前記除去は、細胞からのコレステロールの完全な除去である。さらに別の実施形態において、前記除去は部分的除去である。部分的除去は、細胞中のコレステロールの約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%であり得る(その間のすべての値を含む)。
一実施形態において、脂質はコレステロールを包含するが、これに限定されるものではない。例示的な実施形態において、対象の細胞からコレステロールを除去する方法が提供される。前記方法は、治療上有効量の本開示の化合物を投与する工程を含む。前記化合物は、トリアゾール−ケタール−トリアゾールリンカーを介して結合したシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含むシクロデキストリン結合体のポリマー(pBCDKポリマー)、又はその組成物/配合物を包含するが、これらに限定されない。
本開示の実施形態において、対象はヒトを包含するがこれに限定されない哺乳動物である。
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本pBCDKポリマー又はその組成物/製剤を投与すると、前記ポリマーは、肝臓、腎臓、肺、脾臓及び脳などの体内の様々な罹患臓器に蓄積する可能性がある。臓器内に入り細胞内移行すると、ポリマーは細胞内に入り、分解して遊離のシクロデキストリンを与え、続いてシクロデキストリンがリソソーム中の過剰のコレステロールと錯体化する。コレステロールをこのように除去すると、細胞/臓器の病的状態が減少し、したがって治療効果が得られる。
本開示において使用されるように、「管理」又は「管理すること」なる表現は、疾患又は障害又は状態が対象において発生するのを防止すること、疾患又は障害又は状態による死亡の危険性を減少させること、疾患又は障害又は状態の発症を遅らせること、疾患又は障害又は状態の進行を阻害すること、疾患又は障害又は状態の、及び/又は前記疾患又は障害又は状態に起因する悪影響の部分的又は完全な治癒、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ること(その効果は、障害又は疾患又は状態を完全に又は部分的に防止するという点で予防的であり得、及び/又は疾患又は障害又は状態に対する部分的又は完全な治癒及び/又は疾患又は障害に起因する有害作用に関して治療的であり得る)、疾患又は障害又は状態を軽減すること(すなわち、疾患又は障害又は状態の後退を引き起こすこと)を指す。
したがって、本開示の糸球体疾患に関する用語「管理」の使用は、いくつかの実施形態では、前記疾患に関連する症状のうちの1つ以上の重症度の軽減を指すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、糸球体疾患と診断された患者は、以下の症状: タコ足細胞減少(podocytopenia)(減少したタコ足細胞減少)、タコ足細胞のインスリン抵抗性、アポトーシスに対する感受性、アルブミン尿(尿中のタンパク質の存在)、血尿症(尿中の血液の存在)、低下した糸球体濾過率(血液からの老廃物の非効率な濾過)、低タンパク質血症(低い血中タンパク質)、及び浮腫(体の部分的な腫れ)、のうちの任意の1つ以上の症状の軽減をもたらすため、本開示の方法を通して彼又は彼女の疾患を管理することができる。
上記の方法のいくつかの実施形態において、pBCDKのポリマーは、腎臓細胞中で過剰発現した脂質を除去する。いくつかの実施形態において、脂質はコレステロールを包含するが、これに限定されるものではない。
さらに、本発明は、脂質貯蔵障害の管理又は治療におけるシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー又はこれらの組成物/製剤の使用に関する。一実施形態において、脂質貯蔵障害の管理のためのpBCDKのポリマー又はそれを含む組成物/製剤の使用が提供される。
一実施形態において、脂質貯蔵障害は、リソソーム脂質蓄積障害である。別の実施形態において、リソソーム脂質蓄積障害は、スフィンゴリピドーシス、Wolman病及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、スフィンゴリピドーシスは、ニーマン・ピック病C型(NPC)、ファブリー病、クラッベ病、ゴーシェ病、テイ・サックス病、異染性白質ジストロフィー、家族性高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、多種スルファターゼ欠損症、ファーバー病、コレステロール恒常性である腎障害、例えば巣状分節状糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓、及びそれらの組み合わせなど、からなる群から選択される。
一実施形態において、本開示のポリマーは、約6時間〜約24時間の消失半減期を有する。
一実施形態において、本開示のポリマーと共に投与される治療活性剤のバイオアベイラビリティは改善される。
医薬組成物
例示的な実施形態において、本開示は、糸球体疾患を管理又は治療する際に使用するためのpBCDKポリマー又はその組成物/製剤を提供する。
例示的な実施形態において、本開示は、糸球体疾患を管理又は治療する際に使用するためのpBCDKポリマー又はその組成物/製剤を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載の治療有効量のポリマーを、場合により賦形剤(複数可)と共に含む医薬組成物又は製剤を提供する。本開示の一実施形態において、医薬的に許容可能な担体又は医薬的賦形剤及び本開示のポリマー、例えばシクロデキストリンコンジュゲートのポリマー(pBCDK)を含む医薬組成物が提供される。別の実施形態において、本明細書に開示の医薬組成物は1つ以上の追加の治療活性剤をさらに含む。別の実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、1つ以上の追加の治療活性剤と、1つ以上の医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤とをさらに含む。関連実施形態では、1つ以上の追加の治療活性剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)からなる群から選択される。特定の実施形態において、1つ以上のACE阻害剤は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、及びフォシノプリルからなる群から選択される。他の様々な実施形態では、1つ以上の追加の治療活性剤は、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)からなる群から選択される。特定の実施形態において、1つ以上のARBは、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、及びバルサルタンからなる群から選択される。
本開示の一実施形態において、賦形剤は、造粒剤、結合剤、滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動促進剤、粘着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、ガム、コーティング剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、可塑剤、保存剤、懸濁剤、乳化剤、植物セルロース材料、球形化剤及びそれらの組み合わせ、から選択されるが、これらに限定されない。
本開示のさらなる実施形態において、本開示の1つ以上のポリマー、例えば、シクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー、及び医薬的に許容可能な賦形剤又はアジュバントを含む医薬組成物が提供される。医薬的に許容可能な賦形剤及びアジュバントは、様々な目的のために組成物又は製剤に添加される。別の実施形態において、本開示の1つ以上のポリマー、例えば、シクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー、を含む医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体をさらに含む。一実施形態において、医薬的に許容可能な担体は、医薬的に許容可能な賦形剤、結合剤、及び/又は希釈剤を包含する。一実施形態において、好適な医薬的に許容可能な賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを包含する、これらに限定されない。
特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、それらの技術的に確立された使用レベルで、医薬組成物中に従来見出される他の補助成分をさらに含み得る。したがって、例えば、医薬組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬又は抗炎症薬などの追加の適合性の医薬活性物質を含有してもよいか、あるいは、本発明の組成物の種々の剤形を物理的に製剤化するのに有用な追加の材料、例えば染料、香味剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤、を含有してよい。しかしながら、そのような材料は、添加されたときに、本明細書に記載の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げるべきではない。製剤は滅菌することができ、且つ、所望ならば、製剤のオリゴヌクレオチドと有害に相互作用しない補助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、バッファー、着色剤、香味剤及び/又は芳香剤など、と混合することができる。
シクロデキストリンポリマーの投与量と投与
特に、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを4mg/患者の体重kg(b.w.)〜4000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
特に、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを4mg/患者の体重kg(b.w.)〜4000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
一実施形態において、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを4mg/患者の体重kg(b.w.)〜120mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
別の実施形態において、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを4mg/患者の体重kg(b.w.)〜4000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
さらに別の実施形態において、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを100mg/患者の体重kg(b.w.)〜1000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
さらに別の実施形態において、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを200mg/患者の体重kg(b.w.)〜2000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
さらに別の実施形態において、場合により賦形剤(複数可)と共に、pBCDKポリマーを300mg/患者の体重kg(b.w.)〜3000mg/kg b.w.含む医薬組成物又は製剤が提供される。
特定の実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約1mg/kg体重〜約10g/kg体重までの量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約2mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約3mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約4mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約5mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約6mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約7mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約8mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約9mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約10mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約20mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約30mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約40mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約50mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約60mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約70mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約80mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約90mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約100mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約200mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約300mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約400mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約500mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約600mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約700mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約900mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約1000mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約2000mg/kg体重の量で含む。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、本ポリマーを約3000mg/kg体重の量で含む。
本開示の一実施形態において、患者はヒトを包含するがそれに限定されるものではない哺乳動物である。
本開示の別の態様では、本開示のポリマー又はそれを含む医薬組成物/製剤は、静脈内、皮下、経皮、髄腔内、鼻腔内、槽内、経口及び経口及びいずれの他の互換モードからなる群から選択されるでモード、及びそれらの組み合わせによって投与される。
一実施形態において、本開示のpBCDKポリマー又はそれを含む医薬組成物/製剤は、皮下、鼻腔内、又はそれらの組み合わせで投与される。
例示的な実施形態において、本開示のpBCDKのポリマー又はそれを含む医薬組成物/製剤は皮下投与される。
別の例示的な実施形態において、本開示のpBCDKのポリマー又はそれを含む医薬組成物/製剤は鼻腔内投与される。
さらに別の例示的な実施形態において、本開示のpBCDKのポリマー又はそれを含む医薬組成物/製剤は皮下及び鼻腔内投与の組み合わせで投与される。
本明細書に開示されているポリマーは、所望の投与経路に適合したルーチン手順に従って製剤化することができる。したがって、本明細書に開示されるポリマーは、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとることができ、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような配合剤を含有することができる。本明細書中に開示されるポリマーはまた、移植又は注射のための調製物として配合され得る。したがって、例えば、ポリマーは、適切なポリマー又は疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂として、又は難溶性誘導体(例えば、難溶性塩として)として配合することができる。あるいは、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であり得る。これらの投与方法の各々に適した製剤は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, A. Gennaro, ed., 20th edition, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに見出すことができる。
本開示の別の実施形態では、医薬組成物/製剤は、溶液、水性懸濁液、カプセル、錠剤、注射剤、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、エマルション、フォーム、トローチ、ロゼンジ、油性懸濁液、パッチ、歯磨剤、スプレー、滴剤、分散性粉末又は顆粒、シロップ、エリキシル剤、食品、及びそれらの形態の任意の組み合わせ、から選択されるが、これらに限定されない形態に製剤化される。
本開示のポリマー技術アプローチは、体内でのシクロデキストリンの保持時間を増加させ、それによって薬物動態学的特性及び生体内分布プロファイルを改善し、及び従って長期間の治療作用を可能にする。これは、そのサイズが大きいために腎クリアランス速度が低下したためと考えられる。結果として、治療濃度を維持するのに必要とされる用量は、体内の循環時間の延長の観点から著しく減少する。これにより、投与頻度が少なくなり、患者のコンプライアンスが大幅に向上する。
上記方法の一実施態様では、対象はヒトを包含するがこれに限定されない哺乳動物である。
製剤化及び製造
特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、浮遊化、乳化、カプセル化、封入又は錠剤化プロセスを包含するがこれらに限定されない既知の技術を用いて調製される。
特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、浮遊化、乳化、カプセル化、封入又は錠剤化プロセスを包含するがこれらに限定されない既知の技術を用いて調製される。
一実施形態において、本開示は、本開示のポリマー、例えば、本明細書に開示されるようなシクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマーを、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、好適な医薬的に許容可能な担体は、不活性固体充填剤又は希釈剤及び滅菌水溶液又は有機溶液を包含するが、これらに限定されない。医薬的に許容可能な担体は当業者に周知であり、且つ、約0.01〜約0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液又は0.8%の食塩水を包含するが、それに限定されない。そのような医薬的に許容可能な担体は、水溶液又は非水溶液、懸濁液及びエマルションであり得る。本出願における使用に適した非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを包含するが、これらに限定されない。
本出願での使用に適した水性担体は、水、エタノール、アルコール性/水性溶液、グリセロール、エマルション又は懸濁液を包含するが、これらに限定されず、食塩水及び緩衝媒体を包含する。経口担体は、エリキシル剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤などであり得る。
本出願における使用に好適な液体担体は、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤、エリキシル剤及び加圧ポリマーの製造に使用することができる。活性成分は、医薬的に許容可能な液体担体、例えば水、有機溶媒、両者の混合物又は医薬的に許容可能な油脂など、に溶解又は懸濁することができる。液体担体は、他の適切な医薬添加剤、例えば可溶化剤、乳化剤、バッファー、防腐剤、甘味剤、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤又は浸透圧調整剤など、を含有することができる。
本出願における使用に好適な液体担体は、水(部分的に上記のような添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液、を含有する)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えば、グリコール、を包含する)及びそれらの誘導体、並びに油(例えば、分別ヤシ油及び落花生油)を包含するが、これらに限定されない。非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルも包含することができる。滅菌液体担体は、非経口投与用のポリマーを含む滅菌液体形態において有用である。本明細書に開示される加圧ポリマー用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素又は他の医薬的に許容可能な噴射剤であり得る。
本出願における使用に好適な固体担体は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール等のような不活性物質を包含するが、これらに限定されない。固体担体は、香味剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、増量剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤又は錠剤崩壊剤として作用する1つ以上の物質をさらに含み得る。それはカプセル化材料であり得る。散剤では、担体は、微粉化された活性化合物と混合されている微粉化された固体であり得る。錠剤では、活性化合物を必要な圧縮特性を有する担体と適切な割合で混合し、そして所望の形状及び大きさに圧縮する。散剤及び錠剤は、好ましくは活性化合物の99%までを含有する。適切な固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂を包含する。錠剤は、場合により1つ以上の副成分と共に圧縮又は成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、場合により結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤と共に混合された、粉末又は顆粒のような自由流動形態の活性成分を、適切な機械において圧縮することによって調製できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械において成形することによって製造することができる。前記錠剤は、任意にコーティング又は刻み目を入れてもよく、且つ、例えば、所望の放出プロファイルを提供するため、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用してその中の活性成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化してもよい。錠剤は、場合によって、胃以外の腸の部分で放出するために、腸溶性コーティングを施してもよい。
本出願における使用に好適な非経口担体は、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム加リンゲル液及び不揮発性油を包含するが、これらに限定されない。静脈内担体には、流体及び栄養補給剤、電解質補給剤、例えばリンゲルデキストロースに基づくものなど、を包含する。防腐剤及び他の添加剤、例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなど、も存在し得る。
本出願での使用に適した担体は、当技術分野で公知の従来の技術を使用して、必要に応じて崩壊剤、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤などと混合することができる。当該技術分野で一般的に知られているように、前記担体はポリマーと有害に反応しない方法を用いて滅菌することもできる。
希釈剤は、本発明の製剤に添加することができる。希釈剤は、固体医薬組成物及び/又は組合せの嵩を増大させ、そしてこの組成物及び/又は組合せを含有する医薬剤形を患者及び介護人が扱いやすくすることができる。固体組成物及び/又はコンビネーションのための希釈剤は、例えば、微結晶セルロース(例えば、AVICEL)、微細セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びタルクを包含する。
追加の実施形態は、ここで、製剤が固体、粉末、液体及びゲルからなる群より選択される医薬精製剤に関する。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は固体(例えば、粉末、錠剤、カプセル、顆粒、及び/又は凝集体)である。特定のそのような実施形態において、当該分野で公知の1つ以上の成分を含む固体医薬組成物は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤を包含するが、これらに限定されない。
錠剤などの剤形に圧縮された固体医薬組成物は、その機能が圧縮後に活性成分と他の賦形剤とを一緒に結合するのを助けることを包含する賦形剤を包含してよい。固形医薬組成物及び/又はコンビネーションのための結合剤は、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、トラガカントガム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL)、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON、PLASDONE)、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びデンプンを包含する。
患者の胃における圧縮された固体医薬組成物の溶解速度は、組成物及び/又はコンビネーションに崩壊剤を添加することによって増加させることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOL及びPRIMELLOSE)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLIDON及びPOLYPLASDONE)、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB)、ジャガイモデンプン、及びデンプンを包含する。
流動促進剤は、非圧縮固形組成物及び/又はコンビネーションの流動性を改良するために、及び投与量の精度を向上させるために添加することができる。流動促進剤として機能し得る賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、及び三塩基性リン酸カルシウムを包含する。
例えば、錠剤などの剤形が粉末組成物の圧縮によって作製される場合、当該組成物は、パンチ及び染料(dye)からの圧力を受ける。いくつかの賦形剤及び活性成分はパンチ及び染料(dye)の表面に付着する傾向があり、それは製品に凹み(pitting)及び他の表面の凹凸を生じさせることがある。付着を減少させそして染料(dye)からのプロダクトの放出を容易にするため、潤滑剤を組成物及び/又はコンビネーションに添加することができる。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛を包含する。
香味剤及び香味増強剤は、用量形を、患者に対して口に合うようにする。本発明の組成物及び/又はコンビネーションに含まれ得る医薬品用の一般的な香味剤及び香味増強剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、及び酒石酸を包含する。
固体及び液体組成物はまた、それらの外観を改善し、及び/又はプロダクト及び単位投与レベルの患者の識別を容易にするために、任意の医薬的に許容可能な着色剤を用いて染色することができる。
特定の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、液体(例えば、懸濁液、エリキシル及び/又は溶液)である。このような特定の実施形態では、液体医薬組成物は、水、グリコール、油、アルコール、香料、保存料、及び着色料を包含するがこれらに限定されない、当技術分野において公知の成分を用いて調製される。
液体医薬組成物は、本開示のポリマー、例えばシクロデキストリンのコンジュゲートを含むポリマー、及び前記成分が液体担体、例えば水、植物油、アルコール、ポリエチレンなどのグリコール、プロピレングリコール、又はグリセリンなど、に溶解又は懸濁しているいずれの他の固体賦形剤を用いて調製できる。
例えば、非経口投与のための製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタレンなどを含有することができる。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性化合物の放出を制御するのに有用な賦形剤であり得る。他の潜在的に有用な非経口送達システムは、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、及びリポソームを包含する。吸入投与用製剤は賦形剤として例えばラクトースを含有することができるか、又は例えばポリオキシエチレン−9−アウリルエーテル、グリココレート(glycocholate)及びデオキシコレート(deoxycholate)を含有する水溶液、又は点鼻薬の形態で、又は鼻腔内に適用されるゲルとしての投与のための油性溶液であり得る。非経口投与用の製剤はまた、バッカル投与用のグリココレート、直腸投与用のメトキシサリチレート、又は膣内投与用のクエン酸を包含し得る。
液体医薬組成物は、組成物及び/又はコンビネーション全体にわたって、液体担体に溶解しない活性成分又は他の賦形剤を均一に分散させるための乳化剤を含有することができる。本発明の液体組成物及び/又はコンビネーションに有用であり得る乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アラビアゴム、トラガカントゴム、Chondrus属、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、及びセチルアルコールを包含する。
液体医薬組成物はまた、製品の口当たりを改善するために及び/又は胃腸管の内層をコーティングするために増粘剤を含むことができる。そのような薬剤には、アラビアゴム、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、デンプントラガカントゴム、及びキサンタンガムを包含する。
味を改善するために、甘味剤、例えばアスパルテーム、ラクトース、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパルテーム、フルクトース、マンニトール、及び転化糖など、を添加することができる。
保存剤及びキレート剤、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びエチレンジアミン四酢酸などは、貯蔵安定性を改善するために摂取のための安全レベルで添加されてもよい。
液体組成物はまた、グルコン酸、乳酸、クエン酸又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムなどのバッファーも含有することができる。賦形剤の選択及び使用される量は、当分野における経験及び標準的な手順及び参考文献の考察に基づいて製剤科学者によって容易に決定され得る。
一実施形態において、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために調製される。そのような実施形態のうちのあるものにおいて、医薬組成物は担体を含み、且つ、水などの水溶液、又はハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性の緩衝液中に配合される。特定の実施形態では、他の成分(例えば、溶解性を補助するか又は防腐剤として役立つ成分)が包含される。特定の実施形態では、注射用懸濁液は適切な液体担体、懸濁剤などを用いて調製される。注射用の特定の医薬組成物は、単位投与形態、例えばアンプル又は多用量容器に入れて提供される。注射用の特定の医薬組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤又は乳剤であり、且つ、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有してもよい。注射用医薬組成物に使用するのに適した特定の溶媒としては、ゴマ油などの親油性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、並びにリポソームを包含するが、これらに限定されない。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を高める物質を含有し得る。任意選択で、そのような懸濁液はまた、高濃度溶液の調製を可能にするため、医薬品の溶解度を高める適切な安定剤又は薬剤を含有し得る。
無菌注射用製剤は、1,3‐ブタンジオール中の溶液などの非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液であってもよく、あるいは凍結乾燥粉末として調製してもよい。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張食塩水である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に使用され得る。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを包含するいずれの無刺激性不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用することができる。静脈内投与用の製剤は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液を含み得る。必要に応じて、製剤はまた、注射部位の痛みを和らげるために可溶化剤及び局所麻酔薬を含むこともできる。一般に、成分は、例えば、活性凍結乾燥剤の量を示すアンプル又はサシェなどの密閉容器中の乾燥凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、別々に供給されるか、又は単位剤形で一緒に混合されるかのいずれかである。ポリマーが注入により投与される場合、それは無菌の医薬等級の水、食塩水又はデキストロース/水を含有する注入ボトルを有する製剤中に分配され得る。ポリマーを注射によって投与する場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水又は食塩水のアンプルを提供することができる。
好適な製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、殺菌性抗生物質、及び製剤を意図するレシピエントの体液と等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性の無菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を包含し得る、水性及び非水性の無菌懸濁液をさらに包含する。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物はデポー製剤として製剤化される。特定のこのようなデポー製剤は、典型的には非デポー製剤よりも作用が長い。特定の実施形態において、そのような調製物は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与される。特定の実施形態において、デポー製剤は、好適なポリマー材料又は疎水性材料(例えば許容可能な油中のエマルション)又はイオン交換樹脂を用いて、又は難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として調製される。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は送達システムを含む。送達システムの例は、リポソーム及びエマルションを包含するがこれらに限定されない。特定の送達システムは、疎水性化合物を含むものを包含する特定の医薬組成物を調製するのに有用である。特定の実施形態において、ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒が使用される。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は共溶媒系を含む。このような共溶媒系の特定のものは、例えば、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水性相を含む。特定の実施形態において、そのような共溶媒系は疎水性化合物に使用される。そのような共溶媒系の非限定的な例は、3%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤であるポリソルベート80及び65%w/vのポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液であるVPD共溶媒系である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解度及び毒性の特徴を著しく変えることなく、かなり変えることができる。さらに、共溶媒成分の同一性は様々であり得る。例えば、ポリソルベート80の代わりに他の界面活性剤を使用することができる。ポリエチレングリコールの画分サイズは変わり得る。他の生体適合性ポリマーが、ポリエチレングリコール、例えばポリビニルピロリドンに取って代わってもよい。そして他の糖類又は多糖類はブドウ糖の代わりになるかもしれない。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は徐放システムを含む。そのような徐放システムの非限定的な例は、固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスである。特定の実施形態において、徐放システムは、それらの化学的性質に応じて、数時間、数日、数週間又は数ヶ月にわたって医薬品を放出することができる。
本発明の適当な医薬組成物は、対象への組成物の投与のいずれの臨床的に許容可能な経路に応じて決定することができる。組成物が投与される方法は、部分的には原因及び/又は位置に依存する。当業者は、特定の投与経路の利点を認識するであろう。当該方法は、所望の生物学的応答を達成するために有効量、例えば腫瘍学及び神経学的障害のような、治療されるべき状態の症状を全体的に又は部分的に軽減する、改善する、又は予防するのに有効である量など、の薬剤又は化合物を投与することを包含する。種々の態様において、投与経路は全身的、例えば経口又は注射による。薬剤(agents)又はポリマー、又はその医薬的に許容可能な塩もしくは誘導体は、経口投与、経鼻投与、経皮投与、肺投与、吸入投与、バッカル投与、舌下投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、直腸投与、胸膜内投与、髄腔内投与、門脈内投与、及び非経口投与される。あるいは又は加えて、投与経路は局所的、例えば局所的、腫瘍内及び腫瘍周辺である。いくつかの実施形態において、ポリマーは経口投与される。
特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は経口投与用に調製される。そのような実施形態のうちの特定のものでは、医薬組成物は、1つ以上の薬剤と医薬的に許容可能な担体とを組み合わせることによって製剤化される。このような担体の特定のものは、対象による経口摂取のために、医薬組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化ることを可能にする。好適な賦形剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを包含する糖類などの充填剤;セルロース製剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP);を包含するが、これらに限定されない。特定の実施形態では、そのような混合物は場合により粉砕され、且つ、助剤が場合により添加される。特定の実施形態では、医薬組成物は錠剤又は糖衣錠コアを得るために形成される。特定の実施形態では、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなど)を添加する。
特定の実施形態において、糖衣錠コアにはコーティングが施される。そのような特定の実施形態では、濃縮糖溶液を使用することができる。濃縮糖溶液は、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有することができる。染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加することができる。
特定の実施形態において、経口投与用の医薬組成物はゼラチン製の押込ばめ式カプセル剤である。このような押込ばめ式カプセルの特定のものは、ラクトースのような1つ以上の増量剤、デンプンのような結合剤、及び/又はタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、及び任意に安定剤と混合した1つ以上の本発明の薬剤を含む。特定の実施形態において、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールでできている軟質の密封カプセル剤である。特定のソフトカプセルでは、本発明の1つ以上の医薬品は、好適な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなど、に溶解又は懸濁されている。さらに、安定剤を添加することができる。
特定の実施形態において、医薬組成物は、バッカル投与のために調製される。そのような医薬組成物の特定のものは、従来の方法で配合された錠剤又はロゼンジである。
特定の実施形態において、医薬組成物は経粘膜投与用に調製される。そのような実施形態のうちのあるものにおいては、浸透させるべき障壁に適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は一般に当該技術分野において既知である。
特定の実施形態において、医薬組成物は吸入投与用に調製される。吸入用のこのような医薬組成物のいくつかは、加圧パック又はネブライザー中のエアロゾルスプレーの形態で調製される。このような医薬組成物の特定のものは、噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスを含む。加圧エアロゾルを使用する特定の実施形態では、投与量単位は、定量を送達する弁を用いて決定され得る。特定の実施形態では、吸入器又は注入器で使用するためのカプセル及びカートリッジを製剤化することができる。そのような製剤のいくつかは、本発明の医薬品とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含む。
他の実施形態では、本開示のポリマーは静脈内経路によって投与される。さらなる実施形態では、非経口投与はボーラスで又は注入によって提供されてもよい。
特定の実施形態において、医薬組成物は直腸投与用に調製され、例えば座薬又は停留浣腸剤である。このような医薬組成物の特定のものは、カカオバター及び/又は他のグリセリドなどの既知の成分を含む。
特定の実施形態において、医薬組成物は、局所投与のために調製される。このような医薬組成物のいくつかは、軟膏又はクリームなどの刺激の少ない保湿基剤を含む。例示的な好適な軟膏基剤としては、限定されるものではないが、ペトロラタム、ペトロラタム+揮発性シリコーン、並びにラノリン及び油中水型エマルションを包含する。例示的な好適なクリーム基剤としては、コールドクリーム及び親水性軟膏を包含するが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、治療的有効量は、疾患の症状を予防、緩和、又は改善するのに、又は処置される対象の生存を延長するのに十分である。治療的有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
医薬的に許容可能な混合物中の開示されたポリマーの濃度は、投与されるポリマーの投与量、使用されたポリマー(複数可)の薬物動態学的特性、及び投与経路を包含するいくつかの要因に応じて変わるであろう。薬剤は単回投与又は反復投与で投与することができる。本発明のポリマーを利用する投与計画は、患者の種類、種、年齢、体重、性別及び病状;治療する症状の重症度;投与経路;患者の腎機能及び肝機能;及び使用される特定のポリマー;を包含する様々な要因に従って選択される。治療は、患者の全体的な健康状態、並びに選択された化合物(複数可)の配合物及び投与経路を包含する、多数の要因に応じて、毎日又はより頻繁に投与することができる。通常の熟練した医師又は獣医師は、状態の進行を予防、対処又は阻止するのに必要なポリマーの有効量を容易に決定しそして処方することができる。
本開示のポリマー又は医薬組成物は、単一又は複数の単位用量形態で製造及び/又は投与することができる。
代表的な実施形態
本開示のポリマーは、異常な脂質貯蔵に関連する状態又は疾患を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、本開示は、腎臓糸球体疾患を治療するための方法を提供する。前記方法は、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
(式中、
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本開示のポリマーは、異常な脂質貯蔵に関連する状態又は疾患を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、本開示は、腎臓糸球体疾患を治療するための方法を提供する。前記方法は、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本発明の方法のいくつかの実施形態では、前記シクロデキストリン部分が、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本方法の他の実施形態では、前記シクロデキストリン部分は、ヒドロキシアルキル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル−βシクロデキストリン、ヒドロキシアルキル−γ−シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、それらの溶媒和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、それらの誘導体である。
本方法の他の種々の実施形態において、前記シクロデキストリン部分は、β−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン、その誘導体、その塩、その溶媒和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本方法の関連実施形態において、前記シクロデキストリン部分は、β−シクロデキストリン又は(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンである。
本方法のさらに他の実施形態において、前記ヒドロキシアルキルシクロデキストリンの前記アルキルは、C1−C10直鎖アルキル、C1−C10分枝アルキル、及びC1−C10シクロアルキルからなる群から選択され、各々は1以上の任意の置換基をさらに含む。本方法の関連実施形態において、前記1つ以上の任意の置換基はメチル、エチル及びブチルから選択される。
本方法の様々な実施形態において、本開示の前記ポリマーは、以下の構造を有するリンカーLを含む。:
(式中、Ar1及びAr2は、個々にN、O、及びSから選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む、それぞれ独立して、5員又は6員のヘテロアリールであり、ここでAr1及びAr2は、1〜3個のR3基で任意に置換されている。種々の実施形態において、Ar1及びAr2は、それぞれトリアゾールである。他の実施形態において、Ar1及びAr2は同一である。ある実施形態において、R1及びR2はそれぞれ独立してR4、OR4、SR4であるか、あるいはR1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成する。いくつかの実施形態では、R1及びR2はそれぞれC1−C3アルキルである。特定の実施形態では、R1及びR2がそれぞれメチルである。種々の実施形態では、R3はC1−C3アルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、C1〜C3Cアルキル、1−C3アルキルスルフィド、ヒドラジン、アミン及びハロゲンからなる群から選択される。他の実施形態では、R4はH、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、その各々は置換されていてもよい。
本発明の方法の様々な実施形態において、Yは、独立してO、S、又はNR4である。本開示の他の実施形態では、YはOである。
本方法の他の実施形態において、m及びpはそれぞれ独立しての1から10までの整数である。特定の実施形態では、m及びpは両方とも1である。
本発明の方法の様々な他の実施形態において、Lは以下の構造を含む。
特定の実施形態において、本開示は腎臓糸球体疾患を治療するための方法を提供する。前記方法は、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
(式中、nは4〜1000である)
本方法のいくつかの実施形態において、nは10〜100である。他の実施形態において、nは10〜75である。様々な実施形態において、nは15〜65である。いくつかの他の実施形態において、nは20〜30である。関連する実施形態において、nは50〜65である。特定の他の実施形態において、nは約17である。他の特定の実施形態において、nは約25である。
本発明の方法の様々な実施形態では、腎臓糸球体疾患を治療するための前記方法は、医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含む。本方法の他の実施形態では、当該方法は1つ以上の追加の治療活性剤をさらに含む。特定の実施形態では、当該方法は1つ以上のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む。特定の実施形態では、当該方法は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、及びフォシノプリルからなる群から選択される1つ以上のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む。他の特定の実施形態では、当該方法は1つ以上のアンジオテンシン受容体遮断薬を含む。特定の実施形態では、当該方法は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、スパルセンタン、及びバルサルタンからなる群から選択される1つ以上のアンジオテンシン受容体遮断薬を含む。
他の種々の実施形態では、当該方法は、腎臓糸球体疾患を治療するのに有用である。ここで、前記腎糸球体疾患は、糸球体腎炎又は糸球体硬化症である。様々な実施形態において、本開示は腎臓糸球体疾患を治療する方法を提供する。ここで、前記腎臓糸球体疾患は、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓病、微小変化型腎臓病、及び微小変化型腎症からなる群から選択される。本方法の関連実施形態において、前記腎臓糸球体疾患はタコ足細胞罹患疾患を包含する。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、治療後の腎臓糸球体疾患に罹患している対象における平均血中尿素窒素レベルは、正常な腎機能を有する腎臓糸球体疾患に罹患していない対象におけるレベルと実質的に同様である。
本発明の他の実施形態では、治療後の腎臓糸球体疾患に罹患している対象におけるクレアチニン比に対するアルブミン平均値は、正常な腎臓機能を有する腎臓糸球体疾患に罹患していない対象における比と実質的に同様である。
本開示の種々の実施形態において、当該方法は、腎糸球体疾患を患う患者における細胞の細胞又は細胞の血漿膜における脂質含有量を減少させるのに有用である。前記方法は、それを必要とする患者に、以下の構造を有する前記シクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む。
(式中、
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である)
本発明の方法のいくつかの実施形態では、前記シクロデキストリンポリマー化合物又は組成物は、筋肉内、腹腔内、(全身性)静脈内、皮下、経皮、経口、直腸、吸入、局所投与、及び鼻腔内から選択される経路によって投与される。他の実施形態において、前記シクロデキストリンポリマーは、約10mg/kg/日又は約200mg/kg/週の範囲の用量で投与される。
シクロデキストリンポリマー合成
本開示はまた、リンカー分子を介して結合したシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含むシクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを製造するプロセスに関する。シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを製造する当該プロセスにおいて、シクロデキストリンの前記繰り返し単位又はその誘導体は、pBCDKのポリマーを得るため、リンカー分子を介して結合している。
本開示はまた、リンカー分子を介して結合したシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含むシクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを製造するプロセスに関する。シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを製造する当該プロセスにおいて、シクロデキストリンの前記繰り返し単位又はその誘導体は、pBCDKのポリマーを得るため、リンカー分子を介して結合している。
本開示の実施形態では、pBCDKのポリマーを調製する代表的プロセスは、以下のステップを含む。:
ビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドCDを得るため、シクロデキストリン(CD)をビフェニル−4,4‘−ジスルホニルハライド誘導体と反応させるステップ1;
CDのジアジド誘導体を得るため、ビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドCDをアジ化ナトリウムと反応させるステップ2;
CDのジアジド誘導体と
(式中、
TはO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立に1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;且つ、
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキル硫化物、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択される。
R4はH又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであり、それらの各々は場合によって置換されている)
との間でクリック反応(1,3‐双極子付加環化反応)を行うステップ3。
ビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドCDを得るため、シクロデキストリン(CD)をビフェニル−4,4‘−ジスルホニルハライド誘導体と反応させるステップ1;
CDのジアジド誘導体を得るため、ビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドCDをアジ化ナトリウムと反応させるステップ2;
CDのジアジド誘導体と
TはO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立に1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であるか、又はR1及びR2は一緒になって二重結合のO、S、又はNR4を形成し;且つ、
R3は、C1−C3アルキル、C1−C3アルキル硫化物、ヒドラゾン、アミン、及びハロゲンから選択される。
R4はH又は飽和もしくは不飽和のC1−C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分枝アルキル、又は飽和もしくは不飽和のC1−C10シクロアルキルであり、それらの各々は場合によって置換されている)
との間でクリック反応(1,3‐双極子付加環化反応)を行うステップ3。
本開示の別の実施形態では、YはOである。
いくつかの実施形態では、m及びpは、それぞれ独立して、1、2、4、又は5である。他の実施形態では、m及びpは両方と1である。
一実施形態において、R1及びR2はそれぞれC1−C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R1及びR2はそれぞれC1−C3アルキルである。一実施形態では、R1及びR2はそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルから選択される。一実施形態において、R1及びR2はそれぞれメチルである。
pBCDKポリマーを製造するためのプロセスの他の実施形態において、前記ジスルホネートキャップドCDは、ビフェニル‐4,4’‐ジスルホニルクロリド、ビフェニル‐4,4’‐ジスルホニルブロミド、及びビフェニル‐4,4’−ヨーダイドからなる群から選択されるビフェニル‐4,4’‐ジスルホニルハライドを用いて調製される。特定の実施形態では、前記ビフェニル−4,4'−ジスルホニルハライドはビフェニル−4,4'−ジスルホニルクロリドである。さらに他の実施形態では、前記ジスルホネートキャップドCDは、4,4'−trans−スチルベンジスルホニルクロリド、4,4'−trans−スチルベンジスルホニルブロミド、及び4,4'−trans−スチルベンジスルホニルヨーダイドからなる群から選択される4,4'−trans−スチルベンジスルホニルハライドを用いて調製される。別の特定の実施形態では、前記4,4'−trans−スチルベンジスルホニルハライドは4,4'−trans−スチルベンジスルホニルクロリドである。
上記プロセスの一実施形態では、
は、トリアルキルシリルトリフレート及び有機溶媒の存在下でケトンをトリアルキルシロキシ‐1‐アルキンと反応させることによって得られる。
pBCDKポリマーを調製するための上記のプロセスは、多数の異なるシクロデキストリン及び関連分子に適用可能である。いくつかの実施形態では、本発明のポリマーを調製するプロセスで使用される前記シクロデキストリン部分又はその誘導体は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組み合わせから選択される。他の実施形態において、本発明のポリマーを調製するプロセスにおいて使用される前記シクロデキストリン部分又はその誘導体は、ヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、及びそれらの組み合わせである。一実施形態では、ヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、それらの溶媒和物における前記アルキルは、C1〜C10直鎖アルキル、C1〜C10分岐アルキルから選択され、各々は場合によって位置換されている。いくつかの実施形態において、前記アルキルの任意選択の置換基は、メチル、エチル及びブチルから選択される。開示された当該プロセスのさらに他の実施形態において、前記シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組み合わせは、アジドシクロデキストリン又はジアジドシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、前記ジアジド−シクロデキストリンは、ジアジド−α−シクロデキストリン、ジアジド−β−シクロデキストリン、又はジアジド−γ−シクロデキストリンである。開示される当該プロセスの別の実施形態において、前記アジドシクロデキストリン誘導体は、ジアジド−ヒドロキシアルキル−α−シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル−γ−シクロデキストリン、又はジアジド−(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンである。さらに他の実施形態において、前記ジアジドシクロデキストリン誘導体は、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐α‐シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐β‐シクロデキストリン、ジアジド−ヒドロキシアルキル‐γ‐シクロデキストリン、又はジアジド−(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリンである。
非限定的な実施形態において、開示されるような当該プロセスにおける前記シクロデキストリン部分は、β‐シクロデキストリン(β‐CD)、又はその誘導体を包含するが、これらに限定されず、ここで、前記誘導体は、α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(HP−β−CD)、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(SBE−β−CD)、メチルβ−シクロデキストリン(Me−β−CD)、γ−シクロデキストリン、及び他の荷電又は非荷電誘導体β−CDからなる群から選択される。
他の実施形態において、前記シクロデキストリン部分又はその誘導体は、β‐シクロデキストリン、(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせから誘導される。一実施形態において、前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリン又は(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンである。
本開示は特に、トリアゾール−ケタール−トリアゾールリンカーを介して結合したシクロデキストリン部分の繰り返し単位を含むシクロデキストリンコンジュゲートのポリマーの製造プロセスを提供する[pBCDKポリマー]、すなわち、(シクロデキストリン−トリアゾール−ケタール−トリアゾール)n、ここでnは約4〜1000の範囲である)。前記プロセスにおいて、前記シクロデキストリン単位は、pBCDKポリマーを与えるトリアゾール−ケタール−トリアゾールを介して共役している(conjugated)。
本開示のより具体的な実施形態では、pBCDKポリマーを調製するプロセスは、以下のステップを含む。:
ビフェニル‐4,4’‐ジスルホネートキャップドβ‐CDを得るため、β‐CDをビフェニル‐4,4‐ジスルホニルクロリドと反応させてるステップ1;
β−CDのジアジド誘導体を得るため、ビフェニル−4,4'−ジスルホネートキャップドβ−CDをアジ化ナトリウムと反応させるステップ2;
図4に例示されるようなpBCDKポリマーを得るため、β‐CDのジアジド誘導体と、
とのクリック反応(1,3‐双極子付加環化反応)を行うステップ3。
ビフェニル‐4,4’‐ジスルホネートキャップドβ‐CDを得るため、β‐CDをビフェニル‐4,4‐ジスルホニルクロリドと反応させてるステップ1;
β−CDのジアジド誘導体を得るため、ビフェニル−4,4'−ジスルホネートキャップドβ−CDをアジ化ナトリウムと反応させるステップ2;
図4に例示されるようなpBCDKポリマーを得るため、β‐CDのジアジド誘導体と、
上記プロセスの一実施形態において、β‐CDの前記ジアジド誘導体は、以下の構造のジアジド‐β‐CDである。
シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを調製する上記のプロセスの一実施形態において、ステップ1は、溶媒の存在下で任意に行われる。別の実施形態では、ステップ1における溶媒は、ピリジン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを調製する上記のプロセスの一実施形態では、ステップ2は、ハロゲン化金属の存在下で任意に行われる。別の実施形態では、ステップ2における金属ハロゲン化物は、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを調製する上記プロセスの一実施形態では、ステップ3は、溶媒の存在下で任意に行われる。別の実施形態では、ステップ3の溶媒は、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、水、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
上記プロセスの一実施形態において、前記リンカー(トリアゾール−ケタール−トリアゾール)は、アルキン部分とシクロデキストリンのアジドとの間の1,3‐双極子付加環化反応を介して最終生成物(pBCDKポリマー)中に形成される。
シクロデキストリン結合体のポリマーを調製する上記のプロセスの一実施形態において、アルキン部分とシクロデキストリンのアジドとの間の1,3‐双極性環状付加反応は、銅塩の存在下で行われる。一実施形態では、前記銅塩は、銅トリス(トリフェニルホスフィン)ブロミド、ヨウ化銅、臭化銅、及びそれらの組み合わせである。
一実施形態では、前記銅塩は、銅トリス(トリフェニルホスフィン)ブロミドである。
本開示のなお別の実施形態において、シクロデキストリンコンジュゲートのポリマーを合成する上記のプロセスは、約‐78℃〜約100℃の範囲の温度で、そして約1時間〜約48時間の範囲の期間にわたって行われる。
以上、本発明を一般的に説明してきたが、以下の実施例を参照することにより、本発明をより容易に理解することができ、それらは例示として提供され、本発明を限定することを意図しない。
本明細書では様々な発明の実施形態を説明し例示してきたが、当業者は、機能を実行するため、及び/又は結果を得るため、及び/又は本明細書に記載される利点のうちの1つもしくは複数を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想起する。そして、そのような変形形態及び/又は修正形態のそれぞれは、本明細書に記載の発明の実施形態の範囲内にあると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は特定の用途に依存すること、独創的な教示が使用されていることを容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に記載の特定の発明の実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は日常的な実験のみを用いて確かめることができるだろう。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内であることを理解されたい。本発明の実施形態は、具体的に説明され請求されたものとは異なる方法で実施されてもよい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載されている個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のそれぞれに関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が互いに矛盾していない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の2つ以上の任意の組み合わせも本開示の発明の範囲内に含まれる。
上述の実施形態は、多数の方法のうちのいずれかで実施することができる。また、様々な発明概念が1つ以上の方法として具現化されてもよく、その例が提供されている。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では順次動作として示されていても、動作が図示された順序とは異なる順序で実行される実施形態を構成することができ、それはいくつかの動作を同時に実行することを包含し得る。
さらに、当業者は、ある種の反応が起こる前に、いくつかの官能基が様々な保護基を使用して保護/脱保護され得ることを認識する。特定の官能基を保護及び/又は脱保護するための好適な条件、及び保護基の使用は当技術分野において周知である。例えば、様々な種類の保護基が、T.W. Greene and G.M. Wuts, Protecting Groups in Organic Synthesis, Second edition, Wiley, New York, 1991及び上記で引用した他の参考文献において記載されている。
実施例1: pBCDKポリマーの合成手順
ステップ1: ビフェニル−4,4'−ジスルホネート−キャップドβ−CD(2)の合成
ステップ1: ビフェニル−4,4'−ジスルホネート−キャップドβ−CD(2)の合成
250mLの新たに蒸留したピリジン中の乾燥β‐シクロデキストリン(10g、8.8mmol、1.0当量)の溶液に、ビフェニル‐4,4'‐ジスルホニルクロリド(2.78g、8.0mmol、0.9当量)を15分間隔で4等分に分けて添加した。得られた溶液を窒素下、60℃でさらに3時間撹拌した後、引き続き溶媒を真空下で乾燥するまで除去して粘着性の固体を得た。粗製残渣を最少量の水に溶解し、得られた溶液を激しく撹拌しながら15%H2O:ACN混合物(1L)に滴下した。形成した沈殿物をブフナー漏斗で濾過し、アセトニトリル中の10〜20%の水の勾配溶離を用いるカラムクロマトグラフィーにかけた。この手順により、5.8g(収率46.7%)のβ−CD(OT)2(化合物2)が得られた。
IR (KBr, cm−1): 3407, 2910, 1658; 1HNMR (400 MHz, D2O) δ 3.52−4.02 (m, 54H), 5.10 (s, 7H), 7.61−8.85 (8H).
IR (KBr, cm−1): 3407, 2910, 1658; 1HNMR (400 MHz, D2O) δ 3.52−4.02 (m, 54H), 5.10 (s, 7H), 7.61−8.85 (8H).
ステップ2: 6A、6D−ジヨード6A、6D−ジデオキシβシクロデキストリンの合成
50mLの無水DMF中のビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドβ‐CD(5.8g、4.1mmol、1.0当量)の溶液に、乾燥ヨウ化カリウム(20.4g、123.1mmol、30.0当量)を加えた。得られた溶液を80℃でさらに2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、不溶性物質を濾過により除去した。溶媒を真空下で蒸発乾固した。次いで残渣を25mLの水に溶解し、8mLのテトラクロロエチレンを0℃で激しく撹拌しながら加えた。形成した沈殿物をブフナー漏斗で濾過し、過剰のアセトンで洗浄した。沈殿物を凍結乾燥して乾固させ、所望の生成物を得て、それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
50mLの無水DMF中のビフェニル‐4,4'‐ジスルホネートキャップドβ‐CD(5.8g、4.1mmol、1.0当量)の溶液に、乾燥ヨウ化カリウム(20.4g、123.1mmol、30.0当量)を加えた。得られた溶液を80℃でさらに2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、不溶性物質を濾過により除去した。溶媒を真空下で蒸発乾固した。次いで残渣を25mLの水に溶解し、8mLのテトラクロロエチレンを0℃で激しく撹拌しながら加えた。形成した沈殿物をブフナー漏斗で濾過し、過剰のアセトンで洗浄した。沈殿物を凍結乾燥して乾固させ、所望の生成物を得て、それをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
ステップ3: 6A,6D−ジアジド6A,6D−ジデオキシ βシクロデキストリン(3)の合成
50mLの無水DMF中の6A,6D‐ジヨード6A,6D‐ジデオキシβ‐CD(8g、5.8mmol、1当量)の溶液に、アジ化ナトリウム(2.26g、34.8mmol、6当量)を添加した。得られた懸濁液を窒素下、80℃でさらに12時間撹拌した。反応完了後、溶液を蒸発乾固させ、粗残留物をアセトニトリル中の水を用いてカラムクロマトグラフィーにかけた。この手順により、1.8g(25%)のβ‐CD(N3)2(化合物3)が得られた。
IR (KBr, cm−1): 3366, 2037; 1HNMR (400 MHz, D2O) δ 2.93 (s, 2H), 3.09 (s, 2H), 3.66−4.07 (m, 50H), 5.14 (s, 7H).
50mLの無水DMF中の6A,6D‐ジヨード6A,6D‐ジデオキシβ‐CD(8g、5.8mmol、1当量)の溶液に、アジ化ナトリウム(2.26g、34.8mmol、6当量)を添加した。得られた懸濁液を窒素下、80℃でさらに12時間撹拌した。反応完了後、溶液を蒸発乾固させ、粗残留物をアセトニトリル中の水を用いてカラムクロマトグラフィーにかけた。この手順により、1.8g(25%)のβ‐CD(N3)2(化合物3)が得られた。
IR (KBr, cm−1): 3366, 2037; 1HNMR (400 MHz, D2O) δ 2.93 (s, 2H), 3.09 (s, 2H), 3.66−4.07 (m, 50H), 5.14 (s, 7H).
ステップ4: 2,2−ジプロパルギルオキシープロパンの合成(4)の合成
アセトン(1.43mL、19.5mmol、1当量)及び(プロパルギルオキシ)トリメチルシラン(5g、38.9mmol、2.0当量)の乾燥ジクロロメタン中溶液に、‐78℃で不活性雰囲気下で、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.86g、20mol%)をゆっくり加えた。反応混合物を同じ温度でさらに2.5時間撹拌した。ピリジン(0.6mL)を反応混合物に添加し、さらに15分間撹拌した。反応の進行をTLCによって監視した。反応終了後、反応混合物を飽和重曹水に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出した。集合有機層をブラインで洗浄し、減圧下で蒸発乾固した。溶離液系としてヘキサン/EtOAc(95:05)を使用するカラムクロマトグラフィーを通して粗残留物を精製して、無色の油として化合物4(2.2g、76%)を得た。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (s, 6H), 2.41 (t, J = 2.4 Hz, 2H), 4.16 (d, J = 2.7 Hz, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3):δ 24.62, 49.36, 73.46, 80.46, 101.51.
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (s, 6H), 2.41 (t, J = 2.4 Hz, 2H), 4.16 (d, J = 2.7 Hz, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3):δ 24.62, 49.36, 73.46, 80.46, 101.51.
ステップ5: pBCDKのポリマーを合成するクリック反応
ここで、nは4〜1000の範囲である。
一般的手順:
溶媒(DMF又はDMF:H2O 1:1又はTHF:H2O 1:1)中3の脱気溶液に、4及びCu(PPh3)3Br(5モル%)を添加する。溶液を60℃で約24時間加熱撹拌する。粘稠な溶液を大過剰の酢酸エチル(ヘキサン又はアセトン又はジエチルエーテル)(反応容量の10倍)に注ぐ。生じた沈殿物を遠心分離により除去する。固体生成物をそれぞれ(アセトン、ヘキサン、又は酢酸エチル)に再溶解及び再沈殿させる。同じプロセスを約3回続けて、オフホワイトの粉末、すなわちpBCDKポリマーを得る。pBCDKポリマーの分子量はDMF中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
溶媒(DMF又はDMF:H2O 1:1又はTHF:H2O 1:1)中3の脱気溶液に、4及びCu(PPh3)3Br(5モル%)を添加する。溶液を60℃で約24時間加熱撹拌する。粘稠な溶液を大過剰の酢酸エチル(ヘキサン又はアセトン又はジエチルエーテル)(反応容量の10倍)に注ぐ。生じた沈殿物を遠心分離により除去する。固体生成物をそれぞれ(アセトン、ヘキサン、又は酢酸エチル)に再溶解及び再沈殿させる。同じプロセスを約3回続けて、オフホワイトの粉末、すなわちpBCDKポリマーを得る。pBCDKポリマーの分子量はDMF中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
ポリマーA−Xは約17である。
1gの3及び128mgの4を使用して、ポリマーAを上記の一般的手順に従って合成した。反応を6時間進行させた。ポリマーAは、20,853g/molの分子量ピーク(Mp)及び1.621の多分散性指数(PDI)を有する。ポリマーAをGPC(図4)及びHPLC(図5)で特徴付けた。
1gの3及び128mgの4を使用して、ポリマーAを上記の一般的手順に従って合成した。反応を6時間進行させた。ポリマーAは、20,853g/molの分子量ピーク(Mp)及び1.621の多分散性指数(PDI)を有する。ポリマーAをGPC(図4)及びHPLC(図5)で特徴付けた。
ポリマーB−Xは約25である
ポリマーBは、1gの3及び128mgの4を使用して、ポリマーBを上記の一般的手順に従って合成した。反応を24時間進行させた。ポリマーBは、33,213g/molの分子量ピーク(Mp)及び1.021の多分散指数(PDI)を有する。ポリマーBをGPC(図6)及びHPLC(図7)で特徴付けた。
ポリマーBは、1gの3及び128mgの4を使用して、ポリマーBを上記の一般的手順に従って合成した。反応を24時間進行させた。ポリマーBは、33,213g/molの分子量ピーク(Mp)及び1.021の多分散指数(PDI)を有する。ポリマーBをGPC(図6)及びHPLC(図7)で特徴付けた。
実施例2: マウスにおけるポリマーBの皮下投与
HPLC−UVに基づく生物分析法がポリマーBについてマウス血漿中で開発された。当該方法は13.4〜500μg/ml血漿の間で直線的であり、LLOQは13.4μg/mlで、正確かつ正確であった。血漿及び組織からの回収率は>90%であった。pBCDKのPK及び組織分布は、100mg/kgの単回皮下投与後にマウスにおいて行われた。様々な細胞中のポリマーBの濃度を24時間にわたってモニターした。脳、肺、肝臓、脾臓、及び腎臓を包含する臓器におけるポリマーB Aの取り込み及び保持が観察された(図9)。図9におけるエラーバーはSEMである。
HPLC−UVに基づく生物分析法がポリマーBについてマウス血漿中で開発された。当該方法は13.4〜500μg/ml血漿の間で直線的であり、LLOQは13.4μg/mlで、正確かつ正確であった。血漿及び組織からの回収率は>90%であった。pBCDKのPK及び組織分布は、100mg/kgの単回皮下投与後にマウスにおいて行われた。様々な細胞中のポリマーBの濃度を24時間にわたってモニターした。脳、肺、肝臓、脾臓、及び腎臓を包含する臓器におけるポリマーB Aの取り込み及び保持が観察された(図9)。図9におけるエラーバーはSEMである。
実施例3: 巣状分節状糸球体硬化症における用量反応/頻度研究
実験プロトコル:
6〜7週齢の群あたり6匹の動物(BALB/cマウス)を使用した。投与量6ml/kgのアドリアマイシン(ADR、11mg/kg、静脈内、単回投与)を用いて、グループ1(正常コントロール)を除く全ての動物において腎症を誘発した。標準食塩水(0.9%)を参照化合物及び試験化合物のためのビヒクルとして使用した。アドリアマイシン注射の24時間後に治療を開始した。動物の群(n=6)をビヒクル、HBCD、ポリマーA及びポリマーBで図10に示す用量及び投与計画で10週間、皮下処置した。。研究の終わりに、動物をCO2曝露によって屠殺し、血液サンプル及び腎臓を血清中の様々なバイオマーカーの推定のために集めた。
実験プロトコル:
6〜7週齢の群あたり6匹の動物(BALB/cマウス)を使用した。投与量6ml/kgのアドリアマイシン(ADR、11mg/kg、静脈内、単回投与)を用いて、グループ1(正常コントロール)を除く全ての動物において腎症を誘発した。標準食塩水(0.9%)を参照化合物及び試験化合物のためのビヒクルとして使用した。アドリアマイシン注射の24時間後に治療を開始した。動物の群(n=6)をビヒクル、HBCD、ポリマーA及びポリマーBで図10に示す用量及び投与計画で10週間、皮下処置した。。研究の終わりに、動物をCO2曝露によって屠殺し、血液サンプル及び腎臓を血清中の様々なバイオマーカーの推定のために集めた。
体重:
体重を試験開始時及び毎週10週間にわたって測定し(図11)、治療後のげっ歯類の健康の一般的評価を提供した。ADR/HBCD(ヒドロキシプロピルβ‐シクロデキストリン、40mg/kg/日)で処置されたマウスは、正常マウス(ビヒクルのみ)と比較した場合、全試験群のうち最悪のものに耐え、実質的なリバウンドなしに平均体重の最大低下を示した。対照的に、200MPKのポリマーAの単回投与(最高投与量送達)で処置したマウスは、処置群の最も実質的な体重増加を示し、これは動物の全体的な健康状態が良好であることを示している。この結果は、研究の完了時に各群の動物がほぼ同じ平均体重を有する、100MPKのポリマーA又は100MPKのポリマーBのいずれかを投与されたマウスに密接に続いた。しかしながら、ポリマーA及びポリマーBを有する全ての試験群は、HBCDポジティブコントロールよりも良好な体重増加で応答し、HBCD治療選択肢と比較してこれらの新規薬剤の改善された耐容性及び/又は有効性を強調している。全体的な結果は、本開示のポリマーが高用量で耐容性であり、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)などの腎臓病を治療するための一連の潜在的な選択肢を提供することを示唆する。
体重を試験開始時及び毎週10週間にわたって測定し(図11)、治療後のげっ歯類の健康の一般的評価を提供した。ADR/HBCD(ヒドロキシプロピルβ‐シクロデキストリン、40mg/kg/日)で処置されたマウスは、正常マウス(ビヒクルのみ)と比較した場合、全試験群のうち最悪のものに耐え、実質的なリバウンドなしに平均体重の最大低下を示した。対照的に、200MPKのポリマーAの単回投与(最高投与量送達)で処置したマウスは、処置群の最も実質的な体重増加を示し、これは動物の全体的な健康状態が良好であることを示している。この結果は、研究の完了時に各群の動物がほぼ同じ平均体重を有する、100MPKのポリマーA又は100MPKのポリマーBのいずれかを投与されたマウスに密接に続いた。しかしながら、ポリマーA及びポリマーBを有する全ての試験群は、HBCDポジティブコントロールよりも良好な体重増加で応答し、HBCD治療選択肢と比較してこれらの新規薬剤の改善された耐容性及び/又は有効性を強調している。全体的な結果は、本開示のポリマーが高用量で耐容性であり、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)などの腎臓病を治療するための一連の潜在的な選択肢を提供することを示唆する。
尿分析からのACR比:
0日目に6匹の動物を絶食させ、アドリアマイシン注射前のベースラインアルブミン/クレアチニン比(ACR)を決定するために、尿サンプルを採取した。第1週、第4週、第6週、第8週及び第10週の終わりに、アルブミン/クレアチニン比を決定するため(図12)、すべての動物から尿サンプルを採取した。自動臨床化学分析装置EM360、Transasia Bio‐medicals Ltd.において尿サンプルをアルブミン及びクレアチニンについて分析した。アルブミンは、Erba標準アルブミンキットを用いてBCG染料法を使用することによって分析した。クレアチニンは、Erba標準クレアチニンキットを用いてJaffeの方法で分析した。早期腎臓病の代用物としてのADRの注射により損なわれた腎機能は、予想通りにアルブミン/クレアチニン比の漸進的な増加を示した。しかしながら、全ての投与レベル及びスケジュールでのポリマーA及びポリマーBによる処置は、正常レベル以下にACR比を回復させ、これはマウス腎臓が適切に機能していたことを示している。結果は、本開示のポリマーがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンよりも低濃度及び低投与頻度で特に有用であり、それによって副作用が潜在的に減少している腎臓病の治療のための実行可能な代替法を提供することを示唆する。
0日目に6匹の動物を絶食させ、アドリアマイシン注射前のベースラインアルブミン/クレアチニン比(ACR)を決定するために、尿サンプルを採取した。第1週、第4週、第6週、第8週及び第10週の終わりに、アルブミン/クレアチニン比を決定するため(図12)、すべての動物から尿サンプルを採取した。自動臨床化学分析装置EM360、Transasia Bio‐medicals Ltd.において尿サンプルをアルブミン及びクレアチニンについて分析した。アルブミンは、Erba標準アルブミンキットを用いてBCG染料法を使用することによって分析した。クレアチニンは、Erba標準クレアチニンキットを用いてJaffeの方法で分析した。早期腎臓病の代用物としてのADRの注射により損なわれた腎機能は、予想通りにアルブミン/クレアチニン比の漸進的な増加を示した。しかしながら、全ての投与レベル及びスケジュールでのポリマーA及びポリマーBによる処置は、正常レベル以下にACR比を回復させ、これはマウス腎臓が適切に機能していたことを示している。結果は、本開示のポリマーがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンよりも低濃度及び低投与頻度で特に有用であり、それによって副作用が潜在的に減少している腎臓病の治療のための実行可能な代替法を提供することを示唆する。
血清分析:
血清サンプルをアルブミン及びクレアチニンについて自動臨床化学分析装置EM360、Transasia Bio−medicals Ltdで分析した。
(a)腎機能のレベルを評価するための血中尿素窒素(BUN)アッセイは、Erba標準BUNキットを用いてGLDHウレアーゼ法によって分析した(図13)。腎症を誘発するためのADRの投与は、腎臓障害から予想されるように血中尿素窒素レベルが上昇した。その後のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(ポジティブコントロール、40mg/kg/日)での治療は、研究終了時に適度に機能を回復させるようであるので、BUNレベルはコントロール群について見出されたものに戻る。ポリマーA及びポリマーBを用いた様々な投与計画はこのアッセイにおいてわずかに有効であったが、1週間に3回40mg/kgのポリマーAをマウスに投与すると、BUNレベルがベースラインを下回るレベルまで実質的に減少した。これは、腎臓による老廃物除去の有意な増強を示す。ポジティブコントロールと比較して低い投与量(全体で120mg/kg/週vs.全体で280mg/kg/週)は、適切な薬物濃度のより良い維持を示し、これは体からのクリアランスを減少させる親水性の減少が原因で可能性がある。
血清サンプルをアルブミン及びクレアチニンについて自動臨床化学分析装置EM360、Transasia Bio−medicals Ltdで分析した。
(a)腎機能のレベルを評価するための血中尿素窒素(BUN)アッセイは、Erba標準BUNキットを用いてGLDHウレアーゼ法によって分析した(図13)。腎症を誘発するためのADRの投与は、腎臓障害から予想されるように血中尿素窒素レベルが上昇した。その後のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(ポジティブコントロール、40mg/kg/日)での治療は、研究終了時に適度に機能を回復させるようであるので、BUNレベルはコントロール群について見出されたものに戻る。ポリマーA及びポリマーBを用いた様々な投与計画はこのアッセイにおいてわずかに有効であったが、1週間に3回40mg/kgのポリマーAをマウスに投与すると、BUNレベルがベースラインを下回るレベルまで実質的に減少した。これは、腎臓による老廃物除去の有意な増強を示す。ポジティブコントロールと比較して低い投与量(全体で120mg/kg/週vs.全体で280mg/kg/週)は、適切な薬物濃度のより良い維持を示し、これは体からのクリアランスを減少させる親水性の減少が原因で可能性がある。
(b) ポリマーA及びポリマーBで処理した後の腎臓障害のレベルを評価するため、Erba標準クレアチニンキットを用いてJaffeの方法を用いてクレアチニンを分析した(図14)。血清クレアチニンについても上記のBUNレベルで観察されたのと同様の傾向が観察された。クレアチニンはベースライン及び対照と比較してすべての処置群において上昇したが、週3回40mg/kgで投薬されたポリマーAマウスは、より低い投与量にもかかわらず、血清クレアチニンの有意な減少を見た。これは、HBCD処置マウスについて見出された量よりかなり低い。これらの研究からのデータの組み合わせは、既知のコレステロールクリアランス化合物と比較して腎臓病の治療選択肢としての本開示のポリマーの可能性を説明するのに役立つ。
実施例4: 正常マウス、コントロールグループ、ポリマーAを注射したマウス、及びポリマーBを注射したマウスの組織病理学的画像。
組織病理学:
研究の終了時に、腎臓サンプルを各動物から収集し、10%NBF(中性緩衝食塩水)で固定し、そして病理組織学に供した。4ミクロン厚の組織切片の過ヨウ素酸−シッフ(PAS)又はヘマトキシリン−エオシン(H/E)染色を標準的なプロトコルに従って実施した。メサンギウム拡大面積は、PAS染色の面積に基づいて決定された。
組織病理学:
研究の終了時に、腎臓サンプルを各動物から収集し、10%NBF(中性緩衝食塩水)で固定し、そして病理組織学に供した。4ミクロン厚の組織切片の過ヨウ素酸−シッフ(PAS)又はヘマトキシリン−エオシン(H/E)染色を標準的なプロトコルに従って実施した。メサンギウム拡大面積は、PAS染色の面積に基づいて決定された。
図15において、グループ1は、2種類の染色、H/E及びPASの下での正常マウス糸球体の組織病理学を示す。ADRによる腎症(腎臓病)の誘発は、グループ2のマウスによって示されるように、メサンギウム領域の有意な拡大をもたらす。しかし、コレステロールクリアランス化合物、HBCD 40mg/kg/日での処置からなるポジティブコントロール(グループ3)は、外観上正常な糸球体を維持しながら、ADRの有害な作用に対抗することができる。
様々な用量のポリマーAで処置したマウスにおける糸球体に対する有益な効果を図16に示す。週3回25mg/kgの最低用量では、腎臓顕微鏡写真は正常な外観の糸球体を示した。メサンギウム領域の拡大は観察されず、これは腎症性マウスに対する治療上の利益を示している。組織病理学的画像がグループ5(週に3回40mg/kg)及びグループ6(週に2回100mg/kg)についても同様に正常であったので、同様の結果がより高い用量で達成された。グループ6及びグループ7のマウスの比較は、投与計画が腎症の治療に及ぼす影響を示す。両グループの総投与量が同じであっても、200mg/kgのポリマーAの単回注射を受けたグループ7のマウス、及び100mg/kgのポリマーAを1週間に2回受けたグループ6のマウスは治療に反応しなかった。グループ7のマウスからの病理組織像は、ネガティブコントロールに対してはるかに改善されたが、それでも軽度の腎症に特徴的なメサンギウム領域の最小の拡大を示した。
上記の組織病理学的研究をポリマーBについて繰り返したが、ほとんど同じ効果であった。腎臓顕微鏡写真が正常な外観の糸球体を示したので、週3回25mg/kgの低用量を受けたグループ8のマウスは、ネガティブコントロールと比較して劇的な改善を示した。ポリマーBについては、グループ11のマウスに与えられた200mg/kg/週の単回投与を包含する、残りの処置グループ(9〜11)全てがADR誘発性腎症を完全に打ち消した。
いかなる理論にも縛られることなく、結果は、ポリマーA及びポリマーBが、HBCDのようなより親水性の分子の生存率を妨げる急速なクリアランスを減少させるように機能する改良された物理化学的性質を有することを示唆する。HDCDが40mg/kgで毎日投与される一方で、pBCDKポリマーは、それほど要求の厳しくない投与スケジュールの範囲で有効であることが証明された。ポリマーA及びポリマーBは、複数回の低用量から中程度の用量、並びに毎週の単回注射で腎症を治療することがかなり可能であることが証明された。これは、ポリマーA及びポリマーBの有効濃度が様々な投与計画にわたって維持される可能性が高いことを示している。高濃度/用量のこれらのコレステロール除去薬の必要性を軽減することは、観察された用量依存毒性を最小限に抑えながら治療上の利益を最適化することを可能にするはずである非常に望ましい属性である。それらの改善された特性に基づいて、本開示のポリマーは、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎臓病、アルポート症候群、微小変化型腎臓病、及び微小変化型腎症などの腎臓病の治療において現在利用されているコレステロールクリアランス化合物を超える有意な利益をもたらす。
本開示のさらなる実施形態及び特徴は、本明細書に提供される説明及び実施例に基づいて当業者に明らかとなるであろう。しかしながら、上記の例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
特定の実施形態の前述の説明は、現在の知識を適用することによって、一般的な概念から逸脱することなく特定の実施形態などの様々な用途に容易に修正及び/又は適応することができるように本明細書の実施形態の一般的な性質を完全に明らかにする。及びしたがって、そのような適合及び変更は、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲内で包含されるべきでありそして包含されることを意図している。本明細書で使用されている表現又は用語は説明を目的としており、限定を目的としていないことを理解されたい。したがって、本開示における実施形態は異なる実施形態に関して説明されているが、当業者は、本明細書に記載されている実施形態の精神及び範囲内で修正を伴って本明細書の実施形態を実施できることを認識するであろう。
したがって、本開示は、シクロデキストリンコンジュゲートのポリマー、特にpBCDKポリマー、対応する方法及び用途を紹介する。ここで、前記ポリマーは、より長い循環時間、長期にわたる作用、生体適合性の向上、細胞からコレステロールを除去する/脂質蓄積障害を治療するための改善された有効性、患者の服薬遵守の向上につながる投与の容易さ/効果的な投与経路、より高い神経保護効果、より低い用量、より少ない投与回数のポリマー又はその組成物、及びより低い副作用をもたらす脳内の取り込みの増加、を包含するが、これら限定されるものではない、改善された特性を有する。
本明細書で論じられている刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供されている。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。
本発明をその提案された特定の実施形態に関連して説明してきたが、それはさらなる修正が可能であり、そして本出願は一般に以下の本発明の任意の変形、使用又は適応をカバーすることを意図する。 本発明の原理は、本発明が属する技術分野の既知の又は慣習的な慣例の範囲内であり、かつ前述の本質的な特徴及び添付の特許請求の範囲の範囲に適用されるような本開示からの逸脱を包含する。
Claims (36)
- 腎臓糸球体疾患を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む、前記方法。
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である) - 前記シクロデキストリン部分が、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記シクロデキストリン部分が、β‐シクロデキストリン、(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、それらの溶媒和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記シクロデキストリン部分が、β‐シクロデキストリン、(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリン、それらの誘導体、それらの塩、それらの溶媒和物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記シクロデキストリン部分が、β‐シクロデキストリン又は(2‐ヒドロキシプロピル)‐β‐シクロデキストリンである、請求項3に記載の方法。
- 前記ヒドロキシアルキルシクロデキストリンの前記アルキルが、C1−C10直鎖アルキル、C1〜C10分枝アルキル、及びC1−C10シクロアルキルからなる群から選択され、各々は1以上の任意の置換基をさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 前記1以上の任意の置換基がメチル、エチル及びブチルから選択される、請求項6に記載の方法。
- Lが以下の構造を含む、請求項1に記載の方法。
Yは独立してO、S、又はNR4であり;
m及びpはそれぞれ独立して1〜10の整数であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、R4、OR4、SR4であり、又はR1及びR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって、二重結合したO、S、又はNR4を形成し;
R3は、H、C1−C3アルキル、C1−C3アルキルスルフィド、ヒドラジン、アミン及びハロゲンからなる群から選択され;
R4はHであるか、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10直鎖アルキル、飽和もしくは不飽和C1〜C10分岐アルキル、又は飽和もしくは不飽和C1〜C10シクロアルキルであり、これらのそれぞれは任意に置換されている) - YがOである、請求項8に記載の方法。
- m及びpが両方とも1である、請求項8に記載の方法。
- R1及びR2がそれぞれC1−C3アルキルである、請求項8に記載の方法。
- R1及びR2がそれぞれメチルである、請求項8に記載の方法。
- Ar1及びAr2がそれぞれトリアゾールである、請求項8に記載の方法。
- Ar1及びAr2が同一である、請求項8に記載の方法。
- R3はC1−C3アルキルである、請求項8に記載の方法。
- Lが以下の構造を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記シクロデキストリンポリマーが以下の構造を有する、請求項1に記載の方法。
- nが10〜100である、請求項17に記載の方法。
- nが10〜75である、請求項17に記載の方法。
- nが15〜65である、請求項17に記載の方法。
- nが20〜30である、請求項17に記載の方法。
- nが50〜65である、請求項17に記載の方法。
- nが約17である、請求項17に記載の方法。
- nが約25である、請求項17に記載の方法。
- 医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 1つ以上の追加の治療活性剤をさらに含む、請求項25に記載の方法。
- カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、トランドラプリル、シラザプリル、及びフォシノプリルからなる群から選択される1つ以上のアンジオテンシン変換酵素阻害剤を含む、請求項26に記載の方法。
- アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、スパルセンタン、及びバルサルタンからなる群から選択される1つ以上のアンジオテンシン受容体遮断薬を含む、請求項26に記載の方法。
- 前記腎臓糸球体疾患が、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、糖尿病性腎臓病、微小変化型腎疾患、及び微小変化型腎症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記シクロデキストリンポリマーが、筋肉内、腹腔内、静脈内(全身)、皮下、経皮、経口、直腸内、吸入、局所及び鼻腔内から選択される経路によって投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記シクロデキストリンポリマーが、約10mg/kg/日又は約200mg/kg/週の範囲の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
- 腎糸球体疾患に罹患している患者における細胞又は細胞の原形質膜中の脂質含有量を減少させるための方法であって、それを必要とする患者に、以下の構造を有するシクロデキストリンポリマーの有効量を投与することを含む、前記方法。
CDはシクロデキストリン部分又はその誘導体であり、
Lはリンカー部分であり、
nは4〜1000である) - 処置後の腎臓糸球体疾患に罹患している対象における平均血中尿素窒素レベルが、正常な腎機能を有する腎臓糸球体疾患に罹患していない対象におけるレベルと実質的に同様である、請求項1に記載の方法。
- 処置後の腎臓糸球体疾患に罹患している対象における平均アルブミン対クレアチニン比が、正常な腎機能を有する腎臓糸球体疾患に罹患していない対象における比と実質的に同様である、請求項1に記載の方法。
- 前記腎臓糸球体疾患が糸球体腎炎又は糸球体硬化症である、請求項1に記載の方法。
- 腎臓糸球体疾患がタコ足細胞罹患疾患を包含する、請求項1に記載の方法。
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2017
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