JP2019527831A - レーダーシステムにおける欠陥検出 - Google Patents

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Abstract

記載される例において、レーダーシステムが、複素ベースバンドを含む受信チャネル(104)と、複素ベースバンドの帯域内(I)チャネルから第1のデジタル中間周波数(IF)サンプルを、及び、複素ベースバンドの直交(Q)チャネルから対応する第2のデジタルIFサンプルを受信するように受信チャネル(104)に結合されるプロセッサ(106)とを含む。プロセッサ(106)は、第1のデジタルIFサンプル及び第2のデジタルIFサンプルに基づいて、少なくとも一つの欠陥メトリックを演算するために命令を実行するように構成される。

Description

本願は、概してレーダーシステムに関し、更に特定して言えば、レーダーシステムにおける欠陥検出に関連する。
人間によるオペレーションエラーを低減するために、先進運転支援システム(ADAS)と称される新たな部類の安全システムが、車両に導入されてきている。これらのシステムは、主としてミリ波オートモーティブレーダーに基づくスマートセンサにより作動可能となる。このような支援システムは、後方カメラ、電子的安定性制御、及びビジョンベースの歩行者検出システムなどの機能を提供し得、このような支援システムの普及は、マイクロコントローラ及びセンサ技術における改善により部分的に可能となってきている。高度な埋め込みレーダーベースの解決策が、ADAS設計者に相補型安全特性を可能としている。
オートモーティブレーダーシステムにおいて、車両の周りの障害物、及び検出されたオブジェクトの車両に対する速度を検出するために、1つ又は複数のレーダーセンサが用いられ得る。レーダーセンサにより生成される信号に基づいて、衝突を避けるため又は付随するダメージを低減するためなど、必要とされる適切なアクションを、レーダーシステムにおける処理ユニットが判定し得る。現在のオートモーティブレーダーシステムは、車両の周りのオブジェクト及び障害物、任意の検出されたオブジェクト及び障害物の車両に対する位置、及び任意の検出されたオブジェクト及び障害物の車両に対する速度を検出することが可能である。例えば、処理ユニットを介して、レーダーシステムは、潜在的な危険について車両運転者に通知し得、危険な状況において車両を制御することにより衝突を防止し得、車両の部分的制御を引き継ぎ得、又は車両を駐車する際に運転者を支援し得る。
自動車用レーダーシステムは、道路車両機能安全性(Road Vehicles-functional Safety)と題された国際規格(ISO)26262の機能安全性の仕様を満たすために必要とされる。ISO 26262は、機能安全性を、電気/電子システムの機能不良挙動によって引き起こされる不適切なリスクがないことと定義している。自動車用レーダーにおける機能安全性は、レーダーの構成要素の欠陥に起因する人間に対する被害の予防である。自動車用レーダーの場合、レーダーは、約100ミリ秒(ms)のフォールトトレラント時間インタバル内で適切に機能することが既知であるべきである。そのため、車両が動作している間、信号対ノイズ比(SNR)の劣化を引き起こし得る、レーダーの如何なる部分における欠陥も検出されるべきであり、約100ms内に適切な応答が成されるべきである。
記載される例において、レーダーシステムが、複素ベースバンドと、複素ベースバンドの帯域内(I)チャネルから第1の複数のデジタル中間周波数(IF)サンプルを、及び直交(Q)チャネルから複素ベースバンドの対応する第2の複数のデジタルIFサンプルを受信するように受信チャネルに結合されるプロセッサとを含む。プロセッサは、第1の複数のデジタルIFサンプル及び第2の複数のデジタルIFサンプルに基づいて少なくとも一つの欠陥メトリック(metric)を演算するため命令を実行するように構成される。
少なくとも一つの例において、レーダーシステムにおける欠陥検出のための方法が、レーダーシステムの受信チャネルの複素ベースバンドの帯域内(I)チャネルから第1の複数のデジタル中間周波数(IF)サンプルを、及び複素ベースバンド直交(Q)チャネルから対応する第2の複数のデジタルIFサンプルを受信すること、第1の複数のデジタルIFサンプル及び第2の複数のデジタルIFサンプルに基づいて少なくとも一つの欠陥メトリックを算出すること、及び少なくとも一つの欠陥メトリックに基づいて欠陥が生じたか否かを判定することを含む。
受信チャネルにおいて複素ベースバンドを備える例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムのブロック図である。
FMCWレーダーシステムの複素ベースバンドにおける欠陥検出のための方法のフローチャートである。
例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムのブロック図である。
図3のFMCWレーダーにおけるレーダーシステムオンチップ(SOC)の一実施例のブロック図である。
図面において、一貫性を保つため同様の要素は同様の参照数字で示す。
例示の実施例は、例えば、動作する車両において、レーダーシステムが用いられるようなレーダーシステムの受信チャネルにおける機能的安全性モニタリングを提供する。より具体的には、種々の実施例において、レーダーシステムにおける各複素ベースバンドにおける構成要素の性能は、各複素ベースバンドのI(帯域内)チャネル及びQ(直交)チャネルにおいて生成される信号に基づいて一つ又は複数の欠陥メトリックを算出することによって監視される。欠陥メトリックは、一次レーダー機能を中断することなく、レーダーシステムの通常オペレーションの間演算される。欠陥メトリックは、複素ベースバンドのIチャネル及びQチャネルにおける受信信号のエネルギーの比、複素ベースバンドのIチャネル及びQチャネルにおける受信信号間の相互相関、及び画像帯域におけるスペクトルコンテンツ、の一つ又は複数であり得る。
実施例は本願において、周波数変調連続波(FMCW)レーダーを参照して記載されている。FMCWレーダーは、一つ又は複数の送信アンテナを介して、チャープと称される無線周波数(RF)周波数ランプを送信する。また、複数のチャープが、フレームと称されるユニットで送信され得る。送信されたチャープは、レーダーの視野(FOV)における任意のオブジェクトから反射され、一つ又は複数の受信アンテナにより受信される。各受信アンテナに対する受信信号が、中間周波数(IF)信号にダウンコンバートされ、その後デジタル化される。全フレームに対するデジタル化されたデータが受信された後、FOVにおける任意のオブジェクトを検出し、検出されたオブジェクトのレンジ、速度及び到来角を識別するために、データが処理される。
図1は、受信チャネルにおいて複素ベースバンドを備える例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムのブロック図である。この例では、FMCWレーダーシステムは、局部発振器生成器(LO Gen)100、送信チャネル102、受信チャネル104、及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)106を含む。LO生成器100は、送信チャネル102を介する送信のため周波数変調無線周波数(RF)信号を生成するように構成される。送信チャネルは、RF信号を受信及び増幅するようにLO生成器100に結合されるパワー増幅器(PA)108、及び送信のため増幅された信号を受信するようにPAに結合される送信アンテナ110を含む。
受信チャネル104は、反射された送信されたRF信号を受信するための受信アンテナ112、RF信号を受信し、受信されたRF信号を増幅するように受信アンテナ112に結合される低ノイズ増幅器(LNA)114、及び増幅された受信したRF信号を受信するようにLNA114に結合される複素ベースバンドを含む。複素ベースバンドは、Iチャネル及びQチャネルを含む。各チャネルは、信号を受信するようにLNA114に結合されるミキサ116、118を含む。また、各ミキサ116、118は、オリジナルのRF信号を受信するようにLO生成器100に結合される。特に、Iチャネルにおけるミキサ116は信号同相を受信し、Qチャネルにおけるミキサ118は、90度位相がずれた信号を受信する。ミキサ116、188は、入力信号を混合してそれぞれのI及びQ IF信号を生成する。各ミキサ116、188は、LNA114及びLO生成器100から受信した入力の周波数間の差に等しい周波数を有する出力信号を生成するダウンコンバータとして機能する。
各チャネルにおいて、中間周波数(IF)増幅器120、122が、それぞれのIF信号を受信するようにそれぞれのミキサ116、118に結合される。例えば、各IF増幅器120、122は、IF信号をフィルタリングするためのベースバンドバンドパスフィルタ、及び、フィルタされたIF信号を増幅するための可変利得増幅器(VGA)を含み得る。アナログデジタルコンバータ(ADC)124、126が、それぞれのアナログI及びQ IF信号を受信し、デジタル信号に変換するように、各IF増幅器120、122に結合される。また、各ADC124、126は、FMCWレーダー信号処理のため、デジタル信号をDSP106に提供するためデジタルシグナルプロセッサ(DSP)106に結合される。また、DSP106は、図2の欠陥検出方法の一実施例を実装する命令を実行するようにプログラムされ得る。図3を参照してより詳細に記載されるように、DSPは、複素ベースバンドから受信したサンプルを用いて一つ又は複数の欠陥メトリックを演算するために用いられ得る。一つ又は複数の欠陥メトリックはその後、存在する場合、複素ベースバンドにおける構成要素の欠陥を検出するために用いられ得る。
図2は、FMCWレーダーシステムの複素ベースバンドを用いる欠陥検出のための方法のフローチャートである。この方法は、単一受信チャネルにおける単一の複素ベースバンドを仮定して記載されている。各々が複素ベースバンドを有する複数の受信器を備えるレーダーシステムでは、この方法は、各複素ベースバンドに対して実施され得る。初期的に、チャープのフレームに対してデジタルI及びQ IFサンプルが、複素ベースバンドのI及びQチャネルから受信される200。Iチャネルからの信号のDC(直流)オフセット、及びQチャネルからの信号がその後演算される202。それぞれのDCオフセットは、それぞれのチャネルからのサンプルの平均として演算され得る。
エネルギー比欠陥メトリックMがその後演算される204。エネルギー比欠陥メトリックは、Iチャネル及びQチャネルにおける受信信号のエネルギーの比である。この欠陥メトリックが1に近くなるべきであることが予測される。この欠陥メトリックが1とは著しく異なるか否かをチェックすることにより、何らかの欠陥が検出され得る。欠陥メトリックは下記により演算され得る。
=E{|I|}/E{|Q|
ここで、E{.}は、予測、即ち、それぞれのI又はQチャネルからのサンプルの平均平方エネルギーを示す。例えば、E{|I|}は、下記により演算され得る。
Figure 2019527831
ここで、nはIサンプルの数である。E{|Q|}が同様に演算される。具体的には示さないが、この欠陥メトリックが演算される前に、それぞれのDCオフセットが各サンプルから減じられる。
また、相互相関欠陥メトリックMが演算される206。相互相関欠陥メトリックは、I及びQチャネルにおいて受信された信号間の相互相関を測定する。この欠陥メトリックがゼロに近くなるべきであることが予測される。この欠陥メトリックがゼロとは著しく異なるか否かをチェックすることにより、何らかの欠陥が検出され得る。欠陥メトリックは下記により演算され得る。
=E{IQ}/sqrt(E{|I|}×E{|Q|})
ここで、E{|I|}及びE{|Q|}は上述したように演算され、E{IQ}は下記により演算される。
Figure 2019527831
ここで、nはIサンプル及びQサンプルの数である。具体的には示さないが、この欠陥メトリックが演算される前に、それぞれのDCオフセットが各サンプルから減じられる。
また、画像帯域スペクトルコンテンツ欠陥メトリックMが演算される208。「画像帯域」という用語は、実際のビート周波数(帯域内)スペクトルのミラー周波数スペクトルを指す。機能的FMCWレーダーにおいて、検出されたオブジェクトに対応するピークは、スペクトルの一つの側のみに存在するはずである。画像帯域における過剰なコンテンツについてチェックすることにより何らかの欠陥が検出され得る。より具体的には、構成要素欠陥がない場合、画像帯域スペクトルは熱雑音のみを含むはずである。そのため、画像帯域における過剰な又は予測されない(スプリアス)信号コンテンツ、即ち、熱雑音を表さない信号コンテンツについてチェックすることにより何らかの欠陥が検出され得る。この欠陥メトリックの値は、スプリアスコンテンツが画像帯域において存在するか否かを示すように設定される。
例えば、欠陥メトリックは、画像帯域におけるエネルギーの、受信チャネルの熱的又は全体的なノイズレベルに対する比として演算され得る。この欠陥メトリックを演算するために任意の適切な技法が用いられ得る。例えば、幾つかの実施例において、欠陥メトリックは、I+jQサンプルデータの複素高速フーリエ変換(FFT)を算出し、画像帯域ビン、即ち、負のFFTビンを、熱雑音エネルギー閾値と比較することによって演算され得る。画像帯域ビンの任意のものが閾値を超え、Mの値がそれに従って設定される場合、画像帯域におけるスプリアスコンテンツが示される。幾つかの実施例において、欠陥メトリックは、画像帯域コンテンツのみを抽出するために複素I+jQデータをフィルタを介して通過させることにより演算され得、フィルタされたサンプル(画像帯域信号を含む)のエネルギーはメトリックとして用いられる。後者の場合において、フィルタされたサンプルは、画像帯域における過剰な又は予測されない信号コンテンツを検出するために熱雑音エネルギー閾値と比較される。
例えば、熱雑音エネルギー閾値の値は、経験的に決定され得、又は、いかなる欠陥もない場合に、ランダム熱雑音を含むサンプルが閾値を超える可能性が非常に小さくなるように、確率分析計算を用いて決定され得る。受信チャネルの予測された熱雑音レベルは、製造テストなどに基づいて、機能オペレーションの間のADC出力サンプルを観察することにより、又は、送信チャネル(TX)がオフにされた状態で受信チャネルが動作されるか、又は受信チャネル(RX)が内部TX−RXループバックテストモードで動作されるオペレーションの特殊な較正モードを用いることにより判定され得る。
幾つかの実施例において、スペクトルコンテンツ欠陥メトリックは、画像帯域内のサブバンドにおいて演算され得、そのため、画像帯域におけるいかなるスプリアスコンテンツ(スパイク)もより正確に検出され得る。従って、各サブバンドにおける熱雑音はより小さくなり、そのためスプリアスコンテンツが、一層容易に検出され得る。そのような実施例において、各サブバンドにおける熱雑音の量が変化し得るので異なる熱雑音閾値が各サブバンドに必要とされ得る。全画像帯域に対して上述したように各サブバンドにおける予測された熱雑音レベルが判定され得る。
また、画像帯域スペクトルコンテンツ欠陥メトリックを用いるとき、例えば、対向車のレーダーなどの別のレーダーからの干渉が、欠陥検出を起こし得る。これは、応用例に応じて、所望とされる場合もあり、所望とされない場合もある。干渉の存在が欠陥の検出として扱われるべき場合、改変なしに画像帯域スペクトルコンテンツ欠陥メトリックを用いることができる。しかし、受信チェーン回路要素における恒久的な欠陥のみが欠陥の検出として扱われるべきである場合、画像帯域スペクトルコンテンツメトリックは、別のレーダーからの干渉の存在が疑われるときはいつも条件付きで無視されるべきである。このような別のレーダーからの干渉は、典型的に一時的な現象であり、チャープにおける数個のサンプルにのみ影響を与える。例えば、干渉の存在は、受信した時間ドメインI及びQサンプルにおける一時的スパイクとして検出され得る。また、例えば、時間ドメインにおけるサンプルにおける一時的スパイクが、I又はQ時間ドメインサンプルの二乗平均平方根(平方平均と称されることもある)の関数として判定され得る。干渉が検出される場合、画像帯域スペクトルコンテンツ欠陥メトリックは無視され得る。例えば、欠陥メトリックMは、たとえメトリックの演算がスプリアスコンテンツを示したとしても、スプリアスコンテンツを示さないように設定され得る。
別のレーダーからの干渉は、同様にIチャネル及びQチャネル両方に影響を与えるはずである。幾つかの実施例において、時間ドメインサンプルにおいて干渉が検出される場合、Iチャネル及びQチャネルの各々における一時的スパイクに対応する時間ドメインサンプルは、スパイク検出閾値と比較され得る。一つのチャネルがスパイクを示し、他のチャネルが示さない場合、複素ベースバンドの欠陥が示され得、例えば、欠陥メトリックMは、干渉が検出されたという事実にもかかわらずスプリアスコンテンツを示すように設定され得る。例えば、スパイク検出閾値の値は、経験的に決定され得、又は、いかなる欠陥もない場合に、サンプルが閾値を超える可能性が非常に小さくなるように、確率分析計算を用いて決定され得る。
図2を参照すると、欠陥メトリックが演算された後、欠陥メトリックは、複素ベースバンドにおいて欠陥が生じたか否かを判定するために用いられる210。例えば、エネルギー比欠陥メトリックMは、メトリックが充分に1に近いかを判定するために閾値と比較され得る。同様に、相互相関欠陥メトリックMは、メトリックが充分にゼロに近いかを判定するために閾値と比較され得る。例えば、各閾値は、経験的に決定され得、又は、いかなる欠陥もない場合に、対応するメトリックが閾値を超える可能性が非常に小さくなるように、確率分析計算を用いて決定され得る。更に、スプリアスコンテンツが画像帯域において検出されたかを調べるために、画像帯域スペクトルコンテンツ欠陥メトリックMの値がチェックされ得る。これらの欠陥メトリックの任意の一つが欠陥を示す場合、レーダーシステムの欠陥が生じている。
上述した方法は、レーダーシステムの通常オペレーションの間、実施される。レーダーシステムの複素ベースバンドが正しく動作すると仮定すると、欠陥メトリックは、欠陥(検出するように設計される欠陥メトリックのタイプ)がないことを確認する。更に、欠陥メトリックは、種々の通常動作条件に対してロバストである。例えば、レーダーシステムのFOVにオブジェクトがない場合、受信信号は熱雑音であり得、これは、レーダーシステムを正しく動作させるために(任意のIQミスマッチを補償した後)、
Figure 2019527831
及び
Figure 2019527831
を満たし得、Mは、スプリアススペクトルコンテンツを示さない。別の例において、レーダーシステムのFOVにおいて一つ又は複数のオブジェクトがある場合、受信信号は、複素ベースバンドのスペクトルの一つの側にあるべきである一つ又は複数のオブジェクトに対応するビート周波数トーンを含み得る。正しく動作するレーダーシステム(任意のIQミスマッチを補償した後)は、
Figure 2019527831
及び
Figure 2019527831
を満たし得、Mは、スプリアススペクトルコンテンツを示さない。
表1〜表4は、4つの例示のシナリオにおける4つの例示の欠陥ケースにおける欠陥メトリックを用いたシミュレーションされた結果を図示する。表1は、Mに対して2dBの閾値を用いて、Iチャネルにおいて3dBの利得低下(欠陥)が生じるときの各欠陥メトリックに対するシミュレーションされた欠陥検出結果を図示する。表2は、Qチャネルにおいて10度の位相変化(欠陥)が生じるときの各欠陥メトリックに対するシミュレーションされた欠陥検出結果を図示する。表3は、ノイズのみが熱雑音レベルに類似するレベルでチャネルから出るように、Qチャネルが失敗したしたときの各欠陥メトリックに対するシミュレーションされた欠陥検出結果を図示する。表4は、Iチャネル全パワー(信号+ノイズ)類似するレベルでノイズのみチャネルがから出るように、Qチャネルが失敗したときのシミュレーションされた欠陥検出結果を図示する。
Figure 2019527831
Figure 2019527831
Figure 2019527831
Figure 2019527831
図3は、車両における通常オペレーションの間、レーダーシステムの受信チャネルの複素ベースバンドを用いて欠陥検出を実施するように構成される、例示の周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステム300のブロック図である。例示のFMCWレーダーシステム300は、レーダーシステムオンチップ(SOC)302、処理ユニット304、及びネットワークインタフェース306を含む。レーダーSOC302の例示のアーキテクチャが、図4を参照して説明される。
レーダーSOC302は、高速シリアルインタフェースを介して処理ユニット304に結合される。別の実施例において、処理ユニット304はレーダーSOC302内部に統合され得る。図4を参照してより詳細に記載されるように、レーダーSOC302は、複数の受信チャネルを含み、各受信チャネルが、高速シリアルインタフェースを介して処理ユニット304に提供される、一対のデジタルI及びQ IF信号(代替として、デチャープされた信号、ビート信号、又は生レーダー信号と称される)を生成する複素ベースバンドを有する。
処理ユニット304は、任意の検出されたオブジェクトの距離、速度、及び角度を判定するために受信したレーダー信号を処理するなどの、レーダー信号処理を実施する機能を含む。また、処理ユニット304は、オブジェクトをトラッキングし、動きのレート及び方向を判定するなど、検出されたオブジェクトについての情報の後処理を実施する機能を含み得る。更に、処理ユニット304は、デジタルI及びQ IF信号の各対を用いて欠陥検出を実施する機能を含む。より具体的には、処理ユニット304は、複素ベースバンドにおいて生成されたデジタルI及びQ IF信号に基づいてレーダーSOC302における各複素ベースバンドのための図2の方法の一実施例に従って、上述したメトリックの一つ又は複数を演算する機能を含む。更に、処理ユニット304は、レーダー欠陥が、演算されたメトリックに基づいてネットワークインタフェース106を介して車両のオペレータに示され得るようにする機能を含む。
処理ユニット304は、レーダーデータを用いる応用例の処理スループットに必要とされるように、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの組み合わせを含み得る。例えば、処理ユニット304は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ(MCU)、DSP及びMCU処理両方を組み合わせるSOC、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及びDSPを含み得る。
処理ユニット304は、必要に応じて、ネットワークインタフェース306を介して車両における一つ又は複数の電子的制御ユニットに制御情報を提供し得る。電子的制御ユニット(ECU)は、車両内の一つ又は複数の電気的システム又はサブシステムを制御する、車両内の任意の埋め込みシステムに対する一般的な用語である。ECUの例示のタイプには、電子的/エンジン制御モジュール(ECM)、パワートレイン制御モジュール(PCM)、送信制御モジュール(TCM)、ブレーキ制御モジュール(BCM又はEBCM)、中央制御モジュール(CCM)、中央タイミングモジュール(CTM)、汎用電子的モジュール(GEM)、ボディ制御モジュール(BCM)、及びサスペンション制御モジュール(SCM)が含まれる。
ネットワークインタフェース306は、コントローラエリアネットワーク(CAN)プロトコル、FlexRayプロトコル、又はEthernetプロトコルなど、任意の適切なプロトコルを実装し得る。
図4は、例示のレーダーSOC302のブロック図である。レーダーSOC302は、FMCW信号を送信するための複数の送信チャネル404、及び反射された送信された信号を受信するための複数の受信チャネル402を含み得る。送信チャネル404は、同一であり、送信された信号を増幅するための電力増幅器405、407、及びアンテナを含む。受信チャネルは、適切なレシーバ及びアンテナを含む。また、受信チャネル402の各々は、同一であり、複素ベースバンドに結合される受信信号を増幅するための低ノイズ増幅器(LNA)406、408を含む。
各複素ベースバンドは、アナログI及びQ IF信号を生成するため、SOC302において送信生成回路要素により生成された信号を受信信号と混合するための直交ミキサ410、412、それぞれのアナログI及びQ IF信号をフィルタリングするための一対のベースバンドバンドパスフィルタ414、416、それぞれのフィルタされたアナログI及びQ IF信号を増幅するための一対の可変利得増幅器415、417、及びそれぞれのアナログI及びQ IF信号をデジタルI及びQ IF信号に変換するための一対のアナログデジタルコンバータ418、420を含む。直交ミキサ410は、いずれも無線周波数(RF)信号である、低ノイズ増幅器及び送信生成回路要素から受信した入力の周波数間の差に等しい周波数を有する出力信号を生成するダウンコンバータとして機能する。バンドパスフィルタ、VGA、及びADCは、ベースバンドチェーン又はベースバンドフィルタチェーンと総称され得る。また、バンドパスフィルタ及びVGAは、IF増幅器と総称され得る。
受信チャネル402は、デジタルI及びQ IF信号をDFE422に提供するためデジタルフロントエンド(DFE)構成要素422に結合される。DFE422は、データ転送レートを低減するため、デジタルI及びQ IF信号に対してディシメーションフィルタリングを実施する機能を含み得る。また、DFE422は、例えば、RX間利得不均衡非理想性、RX間位相不均衡非理想性、及び同様のものなどの、受信チャネルにおける非理想性のデジタル補償など、デジタルIF信号に対する他のオペレーションを実施し得る。DFE422は、ディシメートされたデジタルI及びQ IF信号を処理ユニット306に搬送するために高速シリアルインタフェース(I/F)424に結合される。
シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)426は、処理ユニット306との通信のためのインタフェースを提供する。例えば、処理ユニット306は、制御情報(チャープのタイミング及び周波数、出力パワーレベル、及びモニタリング機能のトリガなど)を制御モジュール428に送るためにSPI426を用い得る。
制御モジュール428は、レーダーSOC302のオペレーションを制御する機能を含む。例えば、制御モジュール428は、DFE422の出力サンプルをストアするためのバッファ、バッファコンテンツのスペクトル情報を演算するためのFFT(高速フーリエ変換)エンジン、及びレーダーSOC302のオペレーションを制御するためファームウェアを実行するMCUを含み得る。
プログラマブルタイミングエンジン432は、制御モジュール428からレーダーフレームにおけるチャープのシーケンスのためのチャープパラメータ値を受信し、パラメータ値に基づいてフレームにおけるチャープの送信及び受信を制御するチャープ制御信号を生成する機能を含む。例えば、チャープパラメータは、レーダーシステムアーキテクチャにより定義され、どのトランスミッタをイネーブルにするか、チャープ周波数開始値、チャープ周波数勾配、チャープ期間、送信チャネルがいつ送信すべきか及び更なるレーダー処理のためDFE出力デジタルがいつ収集されるべきかのインジケータなどを示すためのトランスミッタイネーブルパラメータを含み得、これらのパラメータの一つ又は複数がプログラム可能であり得る。
無線周波数シンセサイザー(SYNTH)430は、タイミングエンジン432からのチャープ制御信号に基づいて送信のためFMCW信号を生成する機能を含む。幾つかの実施例において、SYNTH430は、電圧制御された発振器(VCO)を備える位相ロックループ(PLL)を含む。
クロック乗算器440は、送信信号(LO信号)の周波数をミキサ410、412のLO周波数まで増大させる。クリーンアップPLL(位相ロックループ)434は、外部低周波数基準クロック(図示せず)の周波数信号をSYNTH430の周波数まで増大させ、基準クロック位相ノイズをクロック信号からフィルタして除くように動作する。
クロック乗算器440、シンセサイザー430、タイミング生成器432、及びクリーンアップPLL434は、送信生成回路要素の一例である。送信生成回路要素は、クロック乗算器を介して、無線周波数(RF)信号を送信チャネルへの入力として及び受信チャネルにおける直交ミキサへの入力として生成する。送信生成回路要素の出力は、LO(局部発振器)信号又はFMCW信号と称され得る。
メトリックがフレームレベルで演算される例示の実施例が本願において説明される。幾つかの実施例において、メトリックは、フレームにおける各チャープに対して又はフレームにおけるチャープのシーケンスに対して演算される。
別の例において、全ての3つのメトリックが演算される実施例が本願において記載されている。幾つかの実施例において、一つのメトリックが演算され、又は任意の2つのメトリックが演算される。
別の例において、メトリックの演算及び欠陥判定の計算がレーダーSOCの外部のプロセッサにおいて実施される実施例が本願において記載されている。幾つかの実施例において、メトリックの演算がレーダーSOC上のプロセッサによって実施され、その結果が欠陥判定のためSOCの外部のプロセッサに通信され、メトリックの演算及び欠陥判定両方が、SOC上のプロセッサによって実施され、欠陥指示がSOCの外部のプロセッサに通信される。
別の例において、複素ベースバンドにおける構成要素の一つ又は複数が、本願において説明されるものとは異なり得る。
別の例において、FMCWレーダーを参照して実施例が本願において記載されているが、他のタイプのレーダー変調の実施例が可能である。
別の例において、レーダーシステムが車両における埋め込みレーダーシステムである幾つかの実施例が本願において記載されているが、監視及びセキュリティ応用例、工場や倉庫におけるロボットの操作、及び工業流位感知等、埋め込みレーダーシステムの他の応用例に対する実施形態も可能である。
本明細書において、方法のステップが順次提示され説明されるが、図に示され、及び/又は、本明細書に説明されるステップの1つ又は複数が、同時に実施され得、組み合わされ得、及び/又は、異なる順に実施され得る。従って、実施例は、図に示され、及び/又は、本明細書に説明される特定の順に限定されない。
本願において説明される方法の全て又は一部を実装するソフトウェア命令は、初期的に、コンピュータ可読媒体にストアされ得、プロセッサによりロードされ得、実行され得る。幾つかの場合において、ソフトウェア命令は、例えば、着脱可能なコンピュータ読出し可能な媒体を介して、別のデジタルシステム上のコンピュータ読出し可能な媒体から伝送通路などを介して、分配され得る。コンピュータ読み取り可能媒体の例には、読み出し専用メモリデバイスなどの書き込み不能ストレージ媒体、ディスク、フラッシュメモリ、メモリ、又はそれらの組み合わせなどの書き込み可能ストレージ媒体が含まれる。
レーダーシステムにおける構成要素は、異なる名称で参照され得、及び/又は、説明された機能から逸脱することなく、本明細書に示されない方式で組み合わされ得る。本説明において、用語「結合する」及びその派生語は、間接的、直接的、光学的、及び/又はワイヤレス電気的接続を含む。例えば、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、そのような接続は、直接的な電気的接続を介して、他のデバイス又は接続を介する間接的な電気的接続を介して、光学的電気的接続を介して、及び/又は、ワイヤレス電気的接続を介してなされ得る。
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。

Claims (20)

  1. レーダーシステムであって、
    複素ベースバンドを含む受信チャネル、及び
    前記複素ベースバンドの帯域内(I)チャネルからの第1の複数のデジタル中間周波数(IF)サンプルと、前記複素ベースバンド直交(Q)チャネルからの対応する第2の複数のデジタルIFサンプルとを受信するように前記受信チャネルに結合されるプロセッサ、
    を含み、
    前記プロセッサが、前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のデジタルIFサンプルに基づいて少なくとも一つの欠陥メトリック(metric)を演算するためも命令を実行するように構成される、
    レーダーシステム。
  2. 請求項1に記載のレーダーシステムであって、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが、前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のデジタルIFサンプルにおけるエネルギーの比として演算される、レーダーシステム。
  3. 請求項1に記載のレーダーシステムであって、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが、前記第1の複数のデジタルIFサンプルと前記第2の複数のデジタルIFサンプルとの間の相互相関の測定として演算される、レーダーシステム。
  4. 請求項1に記載のレーダーシステムであって、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが、熱雑音を上回る画像帯域における信号コンテンツについてチェックすることにより演算される、レーダーシステム。
  5. 請求項4に記載のレーダーシステムであって、熱雑音を上回る前記画像帯域における信号コンテンツが、I+jQサンプルデータの複素高速フーリエ変換の負のビンを比較することにより検出される、レーダーシステム。
  6. 請求項4に記載のレーダーシステムであって、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが、熱雑音を上回る信号コンテンツについて前記画像帯域のサブバンドをチェックすることにより演算される、レーダーシステム。
  7. 請求項4に記載のレーダーシステムであって、別のレーダーからの干渉が検出される場合、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが用いられない、レーダーシステム。
  8. 請求項4に記載のレーダーシステムであって、別のレーダーからの干渉が検出される場合、前記少なくとも一つの欠陥メトリックが、前記第1の複数のデジタルIFサンプルにおいて検出された干渉と前記第2の複数のデジタルIFサンプルにおいて検出された干渉との比較として再演算される、レーダーシステム。
  9. 請求項1に記載のレーダーシステムであって、前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のIFサンプルが、チャープのフレームと、或るフレームにおける単一チャープと、或るフレームにおけるチャープのシーケンスとから成るグループから選択される一つに対応する、レーダーシステム。
  10. 請求項1に記載のレーダーシステムであって、前記レーダーシステムが周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムである、レーダーシステム。
  11. レーダーシステムにおける欠陥検出のための方法であって、前記方法が、
    前記レーダーシステムの受信チャネルの複素ベースバンドの帯域内(I)チャネルから第1の複数のデジタル中間周波数(IF)サンプルを、及び前記複素ベースバンドの直交(Q)チャネルから対応する第2の複数のデジタルIFサンプルを受信すること、
    前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のデジタルIFサンプルに基づいて、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出すること、及び
    前記少なくとも一つの欠陥メトリックに基づいて、欠陥が生じたか否かを判定すること、
    を含む、方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出することが、前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のデジタルIFサンプルにおけるエネルギーの比を算出することを含む、方法。
  13. 請求項11に記載の方法であって、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出することが、前記第1の複数のデジタルIFサンプルと前記第2の複数のデジタルIFサンプルとの間の相互相関の測定を算出すること含む、方法。
  14. 請求項11に記載の方法であって、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出することが、熱雑音を上回る画像帯域における信号コンテンツについてチェックすることを含む、方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、熱雑音を上回る前記画像帯域における信号コンテンツが、I+jQサンプルデータの複素高速フーリエ変換の負のビンを比較することにより検出される、方法。
  16. 請求項14に記載の方法であって、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出することが、熱雑音を上回る信号コンテンツについて前記画像帯域のサブバンドをチェックすることを含む、方法。
  17. 請求項14に記載の方法であって、別のレーダーからの干渉が検出されるとき、欠陥が生じたか否かを判定することが前記少なくとも一つの欠陥メトリックを無視することを含む、方法。
  18. 請求項14に記載の方法であって、別のレーダーからの干渉が検出される場合、少なくとも一つの欠陥メトリックを算出することが、前記第1の複数のデジタルIFサンプルにおいて検出される干渉と前記第2の複数のデジタルIFサンプルにおいて検出される干渉の比較として、前記少なくとも一つの欠陥メトリックを再算出することを含む、方法。
  19. 請求項11に記載の方法であって、前記第1の複数のデジタルIFサンプル及び前記第2の複数のIFサンプルが、チャープのフレームと、或るフレームにおける単一チャープと、或るフレームにおけるチャープのシーケンスとから成るグループから選択される一つに対応する、方法。
  20. 請求項11に記載の方法であって、前記レーダーシステムが、周波数変調連続(FMCW)レーダーシステムである、方法。
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