[00038]多様な態様を記載する前に、本開示の解説は、記載する特定の態様に限定されず、そしてこうしたものとして、もちろん、多様でありうることが理解されるものとする。本明細書に用いる用語が、特定の態様を記載する目的のためのみのものであり、そして本解説の範囲は、付随する請求項によってのみ限定されるため、該用語は、限定することを意図しないこともまた、理解されるものとする。
[00039]別に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の一般の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似であるかまたは同等である任意の方法および材料もまた、本解説の実施または試験において使用可能であるが、いくつかの例示的な方法および材料をここで記載する。
[00040]本明細書において、そして付随する請求項において、背景が明らかに別に示さない限り、単数形「a」、「an」、および「the」には複数の指示対象が含まれることに注目しなければならない。請求項は、いかなる場合による要素も排除するように立案されうることがさらに注目される。こうしたものとして、本言及は、請求要素の列挙と関連して、「単独で(solely)」、「のみ(only)」等の排除的用語の使用、あるいは「負の」限定の使用のための前提として働くよう意図される。物質の濃度またはレベルに関して提供する数値の限定は、背景が明らかに別に示さない限り、およそのものであると意図される。したがって、濃度が(例えば)10μgと示される場合、濃度は、少なくともおよそまたは約10μgであると理解されるよう意図される。
[00041]本開示を読んだ際に当業者には明らかであろうように、本明細書に記載し、そして例示する個々の態様は各々、本解説の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴と容易に分離するかまたは組み合わせることが可能な、別個の構成要素および特徴を有する。いかなる列挙される方法も、列挙される事象の順で、または論理的に可能な任意の他の順で実行されてもよい。
定義
[00042]本開示を参照して、本明細書の説明に用いる技術的および科学的用語は、別に明確に定義しない限り、一般の当業者によって一般的に理解される意味を有するであろう。したがって、以下の用語は、以下の意味を有するよう意図される。
[00043]本明細書において、「アクチュエーター要素」は、RNA制御デバイスの系制御機能をコードするドメインと定義される。アクチュエータードメインは、場合によって、遺伝子制御機能をコードしてもよい。
[00044]本明細書において、「抗体」は、機能的にはリガンド結合タンパク質と定義され、そして構造的には免疫グロブリンの可変領域に由来すると当業者に認識されるアミノ酸配列を含むと定義される、タンパク質であると定義される。抗体は、免疫グロブリン遺伝子、免疫グロブリン遺伝子の断片、ハイブリッド免疫グロブリン遺伝子(異なる動物由来の遺伝情報を組み合わせることによって作製される)、または合成免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1またはそれより多いポリペプチドからなることも可能である。認識される天然免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子、ならびに多様な免疫グロブリン可変領域遺伝子ならびに多数のDセグメントおよびJセグメントが含まれる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、次にこれらは、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。抗体は、損なわれていない(intact)免疫グロブリンとして、多様なペプチダーゼでの消化によって生じるよく特徴付けられたいくつかの断片として、または組換えDNA技術によって作製された多様な断片として存在する。抗体は、多くの異なる種(例えばウサギ、ヒツジ、ラクダ、ヒトまたは齧歯類、例えばマウスもしくはラット)から得られることも可能であるし、あるいは合成であってもよい。抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒューマニア化(humaneered)であってもよい。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル、多重鎖または一本鎖、断片または損なわれていない免疫グロブリンであってもよい。
[00045]本明細書において、「抗体断片」は、損なわれていない抗体の少なくとも1つの部分、またはその組換え変異体であると定義され、そしてターゲット、例えば抗原に対する抗体断片の認識および特異的結合を与えるために十分である、抗原結合ドメイン、例えば損なわれていない抗体の抗原性決定可変領域を指す。抗体断片の例には、限定されるわけではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、scFv抗体断片、直鎖抗体、単一ドメイン抗体、例えばsdAb(VLまたはVHいずれか)、ラクダ科(camelid)VHHドメイン、および抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。用語「scFv」は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片、および重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片を含む、融合タンパク質と定義され、ここで軽鎖および重鎖可変領域が短い柔軟なポリペプチドリンカーを通じて隣接して連結され、そして一本鎖ポリペプチドとして発現されることが可能であり、そしてscFvは由来した、損なわれていない抗体の特異性を保持する。別に明記しない限り、本明細書において、scFvは、例えばポリペプチドのN末端およびC末端に関して、いずれかの順でVLおよびVH可変領域を有することも可能であり、scFvは、VL−リンカー−VHを含んでもよいし、またはVH−リンカー−VLを含んでもよい。
[00046]本明細書において、「抗原」は、免疫反応を誘発する分子と定義される。この免疫反応は、抗体産生、または特定の免疫適格細胞の活性化、あるいはその両方のいずれかを伴うことも可能である。当業者は、限定されるわけではないが、グリコシル化ポリペプチド、リン酸化ポリペプチド、および脂質で修飾されたポリペプチドを含む他の翻訳後修飾ポリペプチドを含む、実質的にすべてのタンパク質またはポリペプチドを含む、任意の巨大分子が、抗原として作用しうることを理解するであろう。さらに、抗原は、組換えまたはゲノムDNAに由来してもよい。当業者は、免疫反応を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列を含む、任意のDNAが、したがって、該用語を本明細書で用いた際の「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が、遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明には、限定されるわけではないが、1より多い遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用が含まれ、そして所望の免疫反応を誘発するポリペプチドをコードするようにこれらのヌクレオチド配列を多様な組み合わせで配置することが容易に明らかであろう。さらに、当業者は、抗原が、「遺伝子」によってコードされる必要もまったくないことを理解するであろう。抗原を合成してもよく、または抗原は生物学的試料に由来してもよく、またはポリペプチド以外の巨大分子であってもよいことが容易に明らかである。こうした生物学的試料には、限定されるわけではないが、組織試料、腫瘍試料、細胞または他の生物学的構成要素を含む液体が含まれることも可能である。
[00047]本明細書において、用語「キメラ抗原受容体」および用語「CAR」は、交換可能に用いられる。本明細書において、「CAR」は、抗原認識部分および細胞活性化要素を含む、融合タンパク質と定義される。
[00048]本明細書において、「CAR T細胞」または「CAR Tリンパ球」は、交換可能に用いられ、そして実際の発現レベルに関わらず、CARポリペプチドを産生する能力を含有するT細胞と定義される。例えば、CARを発現可能な細胞は、細胞におけるCARの発現のための核酸配列を含有するT細胞である。
[00049]本明細書において、「共刺激要素」または「共刺激シグナル伝達ドメイン」または「共刺激ポリペプチド」は、共刺激ポリペプチドの細胞内部分であると定義される。共刺激ポリペプチドは、以下のタンパク質ファミリーに代表されてもよい:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、および活性化ナチュラルキラー細胞受容体。こうしたポリペプチドの例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7−H3、MyD88等が含まれる。
[00050]本明細書において、「Cmax」は、細胞がポリペプチドを産生するように刺激されるかまたは活性化された後に、細胞によって産生されるポリペプチドの最大濃度を意味するよう定義される。
[00051]本明細書において、「サイトカインCmax」は、サイトカインを産生するように刺激または活性化された後、免疫細胞によって産生されるサイトカインの最大濃度を意味するよう定義される。
[00052]本明細書において、「細胞傷害性ポリペプチドCmax」は、細胞傷害性ポリペプチドを産生するように刺激または活性化された後、免疫細胞によって産生される細胞傷害性ポリペプチドの最大濃度を意味するよう定義される。
[00053]本明細書において、「不安定化要素」または「DE」または「Degron」は、交換可能に用いられ、そしてリガンドの添加または排除(subtraction)によって、細胞背景において、分解に対して、誘導性に耐性であるかまたは感受性であり、そしてシスに融合された同時翻訳ポリペプチドに対して、この安定調節を与えるポリペプチド配列と定義される。
[00054]本明細書において、「有効量」または「療法的有効量」は、交換可能に用いられ、そして本明細書において、特定の生物学的結果を達成するために有効である、化合物、配合物、材料、または組成物の量と定義される。
[00055]本明細書において、「エピトープ」は、免疫反応を誘発可能な抗原の部分、または抗体に結合する抗原の部分と定義される。エピトープは、抗体によって認識されるタンパク質配列または下位配列であってもよい。
[00056]本明細書において、「発現ベクター」および「発現構築物」は、交換可能に用いられ、そしてどちらも、プラスミド、ウイルス、または細胞におけるタンパク質発現のために設計された他の核酸と定義される。ベクターまたは構築物は、宿主細胞内に遺伝子を導入するために用いられ、それによって、ベクターは、細胞におけるポリメラーゼと相互作用して、ベクター/構築物中にコードされるタンパク質を発現するであろう。発現ベクターおよび/または発現構築物は、細胞において、染色体外に存在してもよいし、または染色体内に組み込まれていてもよい。染色体内に組み込まれている場合、発現ベクターまたは発現構築物を含む核酸は、発現ベクターまたは発現構築物であろう。
[00057]本明細書において、「細胞外要素」は、キメラ抗原受容体の抗原結合または認識要素と定義される。
[00058]本明細書において、「造血細胞」は、造血幹細胞から生じる細胞と定義される。これには、限定されるわけではないが、骨髄前駆細胞、リンパ前駆細胞、巨核細胞、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、マクロファージ、血小板、単球、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、Bリンパ球および形質細胞が含まれる。
[00059]本明細書において、「異種」は、核酸および/またはポリペプチドが宿主細胞に対して同種でないことを意味するよう定義される。例えば、構築物は、宿主細胞に見られない方式で配置されたいくつかの同種配列を含有し、そして/または宿主細胞に見られないいくつかの異種配列を含有する場合、宿主細胞に対して異種である。
[00060]本明細書において、「細胞内要素」は、真核細胞の細胞質膜の細胞質側に存し、そして真核細胞内にシグナルを伝達するキメラ抗原受容体の部分と定義される。「細胞内シグナル伝達要素」は、真核細胞に特殊な機能を実行させるエフェクター機能シグナルを形質導入する細胞内要素部分である。
[00061]本明細書において、「RNA不安定化要素」または「RDE」は、交換可能に用いられ、そしてどちらも、タンパク質に結合され、そしてそのタンパク質結合が、RNAの安定性および/または翻訳を変化させるRNA中の核酸配列と定義される。RDEの例には、クラスI AUリッチ要素(ARE)、クラスII ARE、クラスIII ARE、Uリッチ要素、GUリッチ要素、およびステム−ループ不安定化要素(SLDE)が含まれる。理論によって束縛されることは望ましくないが、RDEはまた、HuRのようなRNA安定化ポリペプチドに結合することも可能である。
[00062]本明細書において、「RNアーゼIII基質」は、RNアーゼIIIファミリーのエンドリボヌクレアーゼによって認識され、そして切断されるRNA配列モチーフと定義される。
[00063]本明細書において、「RNAi基質」は、アルゴノートファミリーのエフェクターエンドヌクレアーゼに複合体化した小分子干渉RNA(siRNA)によって結合されそして/または切断されるRNA配列と定義される。
[00064]本明細書において、「一本鎖抗体」(scFv)は、抗原結合活性における機能を持つ免疫グロブリン分子と定義される。scFv(一本鎖断片可変)形式の抗体は、柔軟なペプチドリンカーによってともに連結された、重(VH)鎖および軽(VL)鎖の可変領域からなる。
[00065]本明細書において、「Tリンパ球」または「T細胞」は、通常、胸腺で発達する、造血細胞と定義される。Tリンパ球またはT細胞には、限定されるわけではないが、ナチュラルキラーT細胞、制御T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、ガンマ・デルタT細胞および粘膜インバリアントT細胞が含まれる。
[00066]本明細書において、「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」は、外因性核酸を宿主細胞にトランスファーするかまたは導入するプロセスと定義される。「トランスフェクション」または「形質転換」または「形質導入」細胞は、外因性核酸でトランスフェクション、形質転換または形質導入されているものである。該細胞には、初代被験体細胞およびその子孫が含まれる。
[00067]本明細書において、「膜貫通要素」は、細胞外要素および細胞内要素の間の要素と定義される。膜貫通要素の部分は、細胞膜内に存在する。
不安定化要素
[00068]不安定化要素(DE)は、小分子リガンドと相互作用可能な安定性に影響を及ぼすポリペプチドであり、そのリガンドの存在、非存在、または量を用いて、関心対象のDE−ポリペプチドの安定性を調節する。関心対象のポリペプチドは、免疫調節ポリペプチドであってもよい。関心対象のポリペプチドはまた、CARであってもよい。DE−CARによるリガンドの結合は、真核細胞におけるDE−CARポリペプチドの分解速度を減少させうる。DE−CARによるリガンドの結合はまた、真核細胞におけるDE−CARの分解速度を増加させうる。
[00069]例示的な不安定化要素またはDEは、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載され、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。例えば、USSN 15/070,352は、FKBPタンパク質の変異体、DHFRタンパク質の変異体、変異体エストロゲン受容体結合ドメイン(ERBD)、およびエンバク(Avena sativa)の変異体フォトトロピン1(AsLOV2)に由来するDEを記載する。変異体FKBP核酸およびポリペプチドの他の例は、2012年7月12日公表のUS公開特許出願20120178168A1に記載され、該文献は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。変異体DHFR核酸およびポリペプチドの他の例は、2012年7月12日公表の米国公開特許出願20120178168A1に記載され、該文献は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。変異体ERBD核酸、ポリペプチドおよびリガンドの他の例は米国特許出願20140255361に記載され、該文献は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。変異体AsLOV2 DEの他の例は、Bongerら, ACS Chem. Biol. 2014, vol.9, pp.111−115およびUsherenkoら, BMC Systems Biology 2014, vol.8, pp.128−143に記載され、これらの文献は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00070]他のDEは、2016年3月15日出願の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日出願の米国特許出願第15/369,132号に記載されるような他のリガンド結合ポリペプチドに由来してもよく、これらの文献はどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00071]DEとして使用するために変異体を作製可能な他のリガンド結合ポリペプチドには、例えば、酵素、抗体または抗体断片または可変ドメインを用いた組換えDNA法によって操作される抗体断片、リガンド結合受容体、または他のタンパク質が含まれる。酵素の例には、ブロモドメイン含有タンパク質、FKBP変異体、または原核DHFR変異体が含まれる。DEを作製する際に有用な受容体要素の例には:変異体ERBD、または哺乳動物、特にヒトに非毒性であるリガンドを有する他の受容体が含まれる。
[00072]DEのリガンド(単数または複数)を、例えば2016年3月15日出願の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日出願の米国特許出願第15/360,132号に記載されるような、療法的魅力のための特定の特質の最適化のために選択してもよく、これらの文献はどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
RNA制御デバイス
[00073]本明細書に開示するリボ核酸(RNA)制御デバイスは、遺伝子発現の調節可能な制御、モジュール方式設計、およびターゲット特異性を示しうる。RNA制御デバイスは、細胞ネットワークを通じた情報フローを配線し直すように作用し、そして細胞環境における変化に反応して、細胞の振る舞いを再プログラミングすることも可能である。ポリペプチド発現を制御する際、RNA制御デバイスは、多様なインプット分子のレベルにおける時間的および空間的変動を監視する合成細胞センサーとして働きうる。RNA制御デバイスは、多様な生存系において、ターゲットCAR、DE−CAR、および/またはSide−CAR構築物のRNA制御を可能にする特異的エフェクター分子に反応して、本発明のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの発現を調節するようあつらえられたリガンド制御遺伝子調節系を構築するための強力なツールに相当する。
[00074]本明細書に開示するRNA制御デバイスは、調節要素およびセンサー要素を含む。本明細書に開示するRNA制御デバイスは調節機能および感知機能の両方を含む単一要素を含むことも可能である。本明細書に開示するRNA制御デバイスは、調節機能および感知機能を含むことも可能である。本明細書に開示するRNA制御デバイスは、調節要素、センサー要素、ならびに調節要素およびセンサー要素と機能的にカップリングする情報伝達要素(ITE)を含むことも可能である。ITEは、例えば鎖置換機構、静電相互作用、コンホメーション変化、または立体効果に基づいてもよい。RNA制御デバイスの感知機能は、RNA制御デバイスの構造変化につながり、作用機能活性の改変につながる。これらの構造変化が起こりうるいくつかの機構には、立体効果、疎水性駆動効果(lоg p)、静電的駆動効果、ヌクレオチド修飾効果(例えばメチル化、プソイドウリジン化等)、二次リガンド相互作用効果および他の効果が含まれる。鎖置換機構は、2つの核酸配列(例えば競合鎖およびRNA制御デバイス鎖)の、RNA制御デバイスの一般的な伝達領域(例えばアプタマーのベースステム)への競合的結合を用いて、センサー要素へのリガンド結合に反応した制御要素の破壊または回復を生じうる。
[00075]RNA制御デバイスは、センサー要素および制御要素を含んでもよい。センサー要素はRNAアプタマーであってもよい。RNA制御デバイスは、1より多いセンサー要素を有してもよい。いくつかの側面において、制御要素はリボザイムであってもよい。リボザイムはハンマーヘッドリボザイムであってもよい。リボザイムはまた、ヘアピンリボザイム、または肝炎デルタウイルス(HDV)リボザイム、またはVarkud Satellite(VS)リボザイム、glmSリボザイム、および/または当該技術分野に知られる他のリボザイムであってもよい。
[00076]単数または複数のRNA制御デバイスを、DNA配列内に包埋してもよい。RNA制御デバイスは、メッセンジャーRNA中にコードされてもよい。多重RNA制御デバイスは、導入遺伝子コードmRNAとシスにコードされてもよい。多重RNA制御デバイスは同じであってもよく、そして/または異なるRNA制御デバイスの混合物が反復されてもよい。RNA制御デバイスをコードするために用いられる核酸を反復してもよい。多重RNA制御デバイスを含めることによって、感受性および用量反応をあつらえるかまたは最適化することも可能である。多重RNA制御デバイスは、各々、異なるリガンドに特異的であってもよい。これは、センサー要素と相互作用する内因性に産生されるリガンドによる、意図されない発現を軽減しうる。
RNA制御デバイス:センサー要素
[00077]例示的なセンサー要素が、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載され、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。センサー要素は、アプタマーに由来してもよい。「アプタマー」は、高アフィニティおよび特異性で、特異的分子に結合可能な核酸分子、例えばRNAまたはDNAである(Ellingtonら, Nature 346, 818−22(1990);およびTuerkら, Science 249, 505−10(1990)、どちらもすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)。小分子を認識するアプタマーの概説に関しては、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Famulok, Science 9:324−9(1999)を参照されたい。
[00078]本発明のRNA制御デバイスが、「オン」および「オフ」状態の間で切り替わるように、そのリガンドに対するアプタマーの結合アフィニティは、十分に強くなければならず、そしてそのリガンドに結合した際にアプタマーによって形成される構造は、有意に十分でなければならない。アプタマーおよび会合するリガンドに関する会合定数は、被験体へのリガンドの投与に際して得られるリガンド濃度で、リガンド(単数または複数)がアプタマーに結合し、そして所望の効果を有するようなものである。in vivo使用のため、例えば、会合定数は、血清または他の組織中で達成可能であるリガンド濃度よりもはるかに低い濃度で、あるいは細胞膜は、細胞内リガンド濃度が血清または細胞外環境におけるレベルに近付くことを可能にするために十分に浸透性ではない可能性があるため、細胞内で達成可能である濃度よりもはるかに低い濃度で、結合が起こるようなものでなければならない。in vivo使用のために必要なリガンド濃度はまた、被験体に対して望ましくない効果を有しうるものよりも下であることも可能である。
RNA制御デバイスに関するリガンド
[00079]RNA制御デバイスは、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載されるような、所望の結合特性、動力学、生物学的利用能等を持つ、外因性リガンドの添加、または内因性リガンドの合成(または添加)を通じて制御可能である。
[00080]リガンドは天然存在分泌代謝物であってもよい。例えば、腫瘍によってユニークに産生されるか、または腫瘍微小環境中に存在するリガンドは、センサー要素に関するリガンドであり、そしてセンサー要素へのこのリガンドの結合は、RNA制御デバイスの活性を変化させる。したがって、制御デバイスは、反応性であり、そして化学的シグナル伝達または腫瘍への近接性を通じて制御される。
[00081]リガンドは、その薬力学的またはADMEの振る舞いに関して選択されてもよい。例えば、リガンドは、ヒト解剖学および生理学の特定の部分に局在してもよい。例えば、特定の分子は、腸、肝臓、腎臓等において、優先的に吸収されるかまたは代謝される。リガンドは、特定の臓器において優先的な薬力学的振る舞いを示すように選択されていてもよい。例えば、リガンドのピーク濃度が必要な部位である一方、身体の残りの部位での濃度は最小限であり、望ましくない非特異的な毒性を防止するように、結腸直腸癌のため、結腸に優先的に局在するリガンドを有することが有用であろう。リガンドは、非優先的な薬力学的振る舞いを示すように選択されてもよい。例えば、血液学的悪性疾患のような播種性腫瘍に関しては、身体全体で、リガンドの非変動濃度を有することが有用であろう。
[00082]RNA制御デバイス(またはDE)に関するリガンドは、フォリン酸、S−フォリン酸、R−フォリン酸、ビタミンC(アスコルビン酸)、アシクロビル等であってもよい。
RNA制御デバイス:制御要素
[00083]制御要素は、リボザイム、アンチセンス核酸、またはsiRNAもしくはmiRNAを生じさせるRNAi配列もしくは前駆体、またはshRNAもしくはその前駆体、またはRNアーゼIII基質、または選択的スプライシング要素、または転写ターミネーター、またはリボソーム結合部位、またはIRES、またはポリA部位を含んでもよい。本発明で有用な制御要素は、例えば、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載され、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00084]アンチセンス技術において有用なオリゴマーを構築するための一般的なアプローチは、例えばvan der Krolら(1988) Biotechniques 6:958−976;およびSteinら(1988) Cancer Res 48:2659−2668に概説され、これらは、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。本発明で使用されうる特定のmiRNAは、Brenneckeら, Genome Biology 4:228(2003); Kimら, Mol. Cells. 19:1−15 (2005)に記載され、これらは、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00085]RNA制御デバイスは、多重制御要素、および/または多重センサー要素を有してもよい。多重センサー要素は、同じまたは異なるリガンドを認識可能である。多重センサー要素は、制御要素に対して、異なる(例えば増分性の、付加的なまたは相乗的な)効果を有してもよい。
RNA不安定化要素
[00086]RNA不安定化要素(RDE)は、RNA分子の安定性またはRNA分子の翻訳動力学に影響を及ぼすかまたはこれらを維持する核酸である。いくつかのRDEは、RNAを不安定化する(例えば切断する)か、または翻訳を防止するポリペプチドに結合し、RNAに関する機能喪失を導く。いくつかのRDE結合ポリペプチドは、RNAを安定化させて、RNAの半減期を増加させる。RDEを用いて、導入遺伝子、例えばキメラ抗原受容体をコードする導入遺伝子の発現を制御することも可能である。RDEをRNA制御デバイス、DE、および/またはSide CARとともに用いて、導入遺伝子の発現を制御することも可能である。また、RDEを用いて、CAR以外のポリペプチドをコードする導入遺伝子の発現を制御することも可能である。他の導入遺伝子は、例えば、サイトカイン、抗体、チェックポイント阻害剤、グランザイム、アポトーシス誘導剤、補体、細胞傷害性小分子、他の細胞傷害性化合物、画像化のためのポリペプチド、または所望の効果を有しうる他のポリペプチドをコードしてもよい。RDEは、導入遺伝子ペイロードの送達を制御してもよい。RDEの例には、例えば、AUリッチ要素、Uリッチ要素、GUリッチ要素、および特定のステム−ループ要素が含まれる。例示的なRDEは、Kovarikら, Cytokine 89:21−26 (2017); Rayら, Nature 499:172−177 (2013); Castelloら, Cell 149:1393−1406 (2012); Vlasovaら, Molc. Cell. 29:263−270 (2008); Barreauら, Nucl. Acids Res. vol 33, doi:10.1093/nar/gki1012 (2006); Meisnerら, ChemBioChem 5:1432−1447 (2004); Guhaniyogiら, Gene 265:11−23 (2001)に記載され、これらはすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00087]RDEは、クラスI AUリッチ要素(Uリッチ背景における分散AUUUA(配列番号8))、クラスII AUリッチ要素(重複(AUUUA)n)、クラスIII AUリッチ要素(U−リッチストレッチ)、ステム−ループ不安定化要素(SLDE)、サイトカイン3’ UTR(例えば、INF−γ、IL−2、T−細胞受容体α鎖、TNFα、IL−6、IL−8、GM−CSF、G−CSF等)、およびAUUUAUUUAUUUAの配列(配列番号9)であってもよい。Khabar, WIREs RNA 2016, doi:10.1002/wrna.1368(2016); Palanisamyら, J. Dent. Res. 91:651−658 (2012)、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。RDEは、例えばUUGUU(配列番号10)、UGGGGAU(配列番号11)、またはGUUUG(配列番号12)の1またはそれより多くで構成される、GUリッチ要素であってもよい。RDEは、例えば、UUUGUUU(配列番号13)、NNUUNNUUU(配列番号14)、UUUAUUU(配列番号15)、UUUUUUU(配列番号16)、UUAGA(配列番号17)、またはAGUUU(配列番号18)の1またはそれより多くで構成されるUリッチ要素であってもよい。いくつかの側面において、多重RDEを組み合わせて、調節単位を作製してもよく、例えば同じ配列を有する多重RDEを鎖状体に配置してもよいし、あるいはRDEのいくつかまたはすべての間に介在配列を含めて配置してもよい。RDE配列を修飾して、RDEに関するRNA結合タンパク質(単数または複数)のアフィニティを増加させるかまたは減少させてもよい。例えば、AUリッチRDEを変化させて、RDEへのグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のアフィニティを改変してもよい。アフィニティのこの変化は、GAPDHが結合するRDEによって制御される導入遺伝子の発現に関するGAPDH−活性化閾値を改変することも可能である。
[00088]RDEは、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、GM−CSF、G−CSF、VEG F、PGE2、COX−2、MMP(マトリックスメタロプロテイナーゼ)、bFGF、c−myc、c−fos、ベータ(betal)−AR、PTH、インターフェロン−ガンマ、MyoD、p21、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンD1、PAI−2、NOS HANOS、TNF−アルファ、インターフェロン−アルファ、bcl−2、インターフェロン−ベータ、c−jun、GLUT1、p53、ミオゲニン、NF−M、またはGAP−43、リンパ球抗原96、SUPV3L1、SFtPA2、BLOC1S2、OR10A6、OR8D1、TRPT1,CIP29、EP400、PLE2、H3ST3A1、ZNF571、PPP1R14A、SPAG4L、OR10A6およびKIR3DLをコードする遺伝子の3’UTRに由来してもよい。他のRDEは、例えば、GLMN、AMY2B、AMY2A、AMY2A、AMY1A、TRIM33、TRIM33、TRIM33、CSRP1、PPP1R12B、KCNH1、レティキュロン4、MRPL30、Nav1.2、組織因子経路阻害剤、EEF1B2、CRYGB、ARMC9、RPL15、EAF2、MRPS22、MRPS22、COPB2、PDCD10、RE1−サイレンシング転写因子、アンフィレギュリン、AP1AR、TLR3、SKP2、ペプチドグリシンアルファアミド化モノオキシゲナーゼ、TNFAIP8、インターロイキン9、PCDHA2、PCDHA12、アルデヒドデヒドロゲナーゼ5ファミリーメンバーA1、KCNQ5、COX7A2、モノカルボキシレート・トランスポーター10、MLLT4、PHF10、PTPN12、MRNA(グアニン−N7−)−メチルトランスフェラーゼ、WHSC1L1、毛髪・鼻・指節症候群1型、インターフェロン・アルファ−1、ZCCHC6、網膜色素変性GTPアーゼ制御因子、MED14、CLCN5、DNA2L、OR52D1、NELL1、SLC22A25、SLC22A10、TRPC6、CACNA2D4、EPS8、CT2(遺伝子)、ミトコンドリア・リボソーム・タンパク質L42、TAOK3、NUPL1、B型エンドセリン受容体、生存運動ニューロンタンパク質相互作用タンパク質1、POLE2、肝臓リパーゼ、TPSG1、TRAP1、RPS15A、HS3ST3A1、CROP(遺伝子)、アポリポタンパク質H、GRB2、CEP76、VPS4B、インターロイキン28B、IZUMO1、FGF21、PPP1R15A、LIN7B、およびCDC45関連タンパク質由来の3’−UTRに見られる。
[00089]さらに他のRDEが、例えばSCFD1、MAL2、KHSRP、IQCB1、CAMP反応性要素調節剤、MFAP5、SBF2、FKBP2、PDCD10、UBE2V2、NDUFAB1、コイルドコイルドメイン含有タンパク質、ALG13、TPTE、エナプチン、サイモポエチン、デルタ様1、C11orf30、アクチニン・アルファ4、TMEM59、SP110、ダイサー、TARDBP、IFNA17、IFNA16、IFNA14、ZMYM3、インターロイキン9、I型、OPN1SW、THSD1、ERGIC2、CAMK2B、WDR8、FXR1、チミン−DNAグリコシラーゼ、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、OSBPL3、Ran、GYPE、AKAP4、LOC642658、L2HGDH、AKAP1、ジンクフィンガータンパク質334、TC2N、FKBPL、GRB14、CXorf67、CXorf66、CEP76、ガストリシン、CEP70、CYP26A1、NAA35、アリール炭化水素受容体核内輸送体、KLC4、GPR112、LARP4、NOVA1、UBE2D3、ITGA6、GPR18、MGST A型、RE1サイレンシング転写因子、ASPM、ZNF452、KIR2DS4、AHSA1、TMTC4、VSX1、P16、MRPL19、CCL20、TRPT1、肝臓リパーゼ、PDLIM5、CCDC53,’CCDC55、GAPVD1、HOXB2、KCNQ5、BRCC3、GTF2IRD1、CDK5RAP3、転写因子II_B、ZEB1、IRGM、SLC39A6、RHEB、PSIP1、RPS6KA5、ウロキナーゼ受容体、GFM1、DNAJC7、ホスホイノシチド依存性キナーゼ−1、LMOD3、TTC35、RRP12、ATXN2、ACSM3、SOAT1、FGF8、HNRPH3、CTAGE5、POLG2、DYRK3、POLK、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1C、CD137、カルモジュリン1、ZNF571、CNOT2、CRYZL1、SMC3、SMC4、SLC36A1、デコリン、HKR1、ERC1、S100A6、RIMS1、TMEM67、ミトコンドリア・リボソーム・タンパク質L42、MECP2、RNF111、SULT1A1、MYLK3、TINAG、PRKAR1A、RGPD5、UBE2V1、SAR1B、SLC27A6、ZNF638、RAB33A、TRIOBP、MUCL1、CADPS2、MCF2L、TBCA、SLC17A3、LEO1、IFNA21、RUNX1T1、PRKD2、ATP11B、MORC2、RBM6、KLRD1、MED31、PPHLN1、HMGB2、DNA修復組換えタンパク質RAD54様、RBM9’、ARL11、HuD、SPEF2、CBLL1、SLC38A1、「カスパーゼ1」、S100G、CA1_、CELA1、PTS、ITM2B、ナトリウム利尿ペプチド前駆体C、TRPP3、IMPDH2、DPYS、CDCA3、EFCAB6、SLIT2、SIPA1L1、FIP1L1、ATP6V1B2、HSD17B4、HSD17B7、NDUFC1、CROP、CD48、APPBP1、CD44、CD46、ヒストンデアセチラーゼ2 XI型、インターロイキン4、毛髪・鼻・指節症候群1型、SEC61G、TRIP12、PLEKHO1、SEC61B、ST6GALNAC1、CPVL、E2F7、UTP20、E2F5、PARD3、EXOC7、HEXB、カスパーゼ補充ドメイン含有タンパク質8、MBD4、PPP4C、ヘリカーゼ、ホスデューシン、SPG11、CGGBP1、PSKH1、カテプシンS、オレキシン、IMMP2L、C2orf28、ラミニン、EIF3S6、LRRC41 XII型、カテプシンC、HPS6、ARAF、ジンクフィンガーおよびBTBドメイン含有タンパク質16、性ホルモン結合グロブリン、FBLN2、サイトカインシグナル伝達抑制因子1、TMEM126A、DOM3Z、TSFM_POLQ様、DYNLT3、CDH9、EAF2、MIPEP、NDUFA12、HDAC8、MKKS、FGG、IL36G、CDCA7、CRISPLD2、オルファクトメジン様2b、MRPL32、MRPL33、AHI1、SMARCAL1、UTP14A、SSH2、ディストニン、コンタクチン6、PPFIBP1、THOC1、CNOT1、RHCE、SLC41A3、SLC2A9、SNAP23、RFX3、GNG4、MRPL40、LSR、アンギオゲニン、TRIP4、VRK1、COUP−TFII、FOXP2、SNX2、ヌクレオポリン85、RPL37A、RPL27A、SEC62、カルシウム活性化カリウムチャネルサブユニットアルファ−1、SMARCE1、RPL17、CEP104、CEP290、VPS29、ANXA4、ジンクフィンガータンパク質737、DDX59、SAP30、NEK3、エキソソーム構成要素9、活性化Cキナーゼ受容体1、ペプチジルプロリルイソメラーゼA、TINP1、CEACAM1、DISC1、LRRTM1、POP1ラミンB1、SREBP切断活性化タンパク質、COX6C、TLR_1、ARID2、LACTB、MMS22L、UBE2E3、DAP3、ZNF23、SKP2、GPR113、IRF9グレリンO−アセチルトランスフェラーゼ、NEIL3、EEF1E1、COX17、ESD、デンチン・シアロホスホタンパク質、HDAC9、RFC4、CYLD、RPLP0、EIF2B3、UGT2A1、FABP7、TRIP11、PLA2G4A、AKR1C3、INTS12、MYH1、ZBTB17、MYH4、NLRP2、MECOM、MYH8、サーモゲニン受容体2、IFI16、THYN1、RAB17、ETFA、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子、F13B、RAB6A、ST8SIA1、SATB2、SATB1、HMG20B、UHRF1、CNOT3、プロスタグランジンEP2受容体、FAM65B、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ、KvLQT2、GRIK5、SHOC2、コルタクチン、FANCI、KIAA1199、キヌレニナーゼ、デコイ受容体1、NEU3、PHF10、メチル−CpG結合ドメインタンパク質2、RABGAP1、CEP55、SF3B1、MSH5、MSH6、CREB結合タンパク質、LIMS1、SLC5A4、CCNB1IP1、RNF34、SORBS2、UIMC1、SOX5、YWHAZ、ICOSLG、NOP58、ジンクフィンガータンパク質679、PHKB、MED13、ABCB7、COQ9、C14orf104、ジンクフィンガータンパク質530、KLRC2、LSM8、NBR1、PRKCD、長鎖アルデヒドデヒドロゲナーゼ、MTSS1、ソマトスタチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼL5、WDR72、FERMT3、核受容体関連−1タンパク質、クエン酸シンターゼ、VPS11、KIZ、ZFYVE27、BCKDHB、ヒポクレチン、CACNG2、PTCH1、カルボニックアンヒドラーゼ4、ヌクレオポリン107、LDL受容体、LEKTI、FBXO11、NDUFB3、FCHO2、CEP78、RAPGEF6、PPIL3、NIN、RAPGEF2、成長ホルモン1、成長ホルモン2、MNAT1、Nav1、MAP3K8、SUGT1、LAIR1、ヒアルロナン仲介性運動受容体、MAP3K2、MPP2、TFB2M、CRB3、MPP5、CACNA1G、DLGAP2、INHBA、MAGI2、CIP29、SETDB1、チトクロムb5、TRPV2、インターロイキン1受容体、HOXD8、TIMM10、ATXN2L、CLCN2、CREB1、TNIP1、CBLB、因子V、USP33、SON、RBBP8、SLC22A18、PTPN12、ADCY8、MYLK、KIF23、REXO2、BST1、TOP3B、COPB1、AXIN2、COPB2、TNRC6B、グアニジノアセテートN−メチルトランスフェラーゼ、アシル−CoAチオエステラーゼ9、C4orf21、TSHB、FRS3、EPB41、サイクリンT2、LAIR2、ヌクレオポリン43、APLP2、TNFRSF19、死関連タンパク質6、上皮細胞接着分子、CLEC7A、ゲフィリン、CLDND1、VPS37A、PCDHAC2、骨形成タンパク質4、NVL、RBM33、RNF139、精子関連抗原5、PLCB1、グリア細胞株由来新神経栄養因子、PARP4、PARP1、MAN2A1、骨形成タンパク質1、PAX4、BCCIP、MMP7、デコイ受容体3、RAMP2、NCAPD3、LRRC37A、RWDD3、UBE2A、UBE2C、SLC3A1、MRPS22、CDC14A、ITSN1、POLE2、MYC−誘導性核抗原、TMLHE、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、GPR177、PPP2R5C、KIAA1333、RPP38、MYO1F、ファルネソイドX受容体、カルデスモン、FBXO4、FBXO5、OPN1MW、PIGN、ARNTL2、BCAS3、C6orf58、PHTF2、SEC23A、NUFIP2、OAZ1、オステオプロテジェリン、ANAPC4、ATP6V0A2、SPAM1、PSMA6、TAS2R30、RABEP1、DPM3、SLC6A15、RPS26、RPS27、RPS24、RPS20、RPS21、ARHGAP24、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ、ERCC5、転写開始タンパク質SPT3相同体、OR1E1、ZNRF1、GMEB1、CCT2_GNAQ、ムチン6、ムチン4、LRP5、PDE9A、C2orf3、EZH2、上皮増殖因子受容体、TMTC2、PDE4A、EPH受容体A4、PPIB、DENND4A、ANTXR1、ANTXR2、ヌクレオポリン88、SLCO1B3、COG8、RBMS1、MAP7、HIST2H2BE、AEBP2、DCLRE1A、RPL24、HNRPA2B1、RPL21、RPL23、MAPKAP1、NIPBL、ATG7、SERPINI2、GYLTL1B、ATP5G2、DIP2A、AMY2A、CEP63、TDRD7、PIEZO1、CLDN20、GRXCR1、PMEL、NIF3L1、MCC_、PCNX、TMBIM4、DUSP12、ZMYND8、GOSR1、インターフェロンガンマ受容体1、LDB3、PON3、C1D、ABCC8、COQ7、COQ6、AMELY、HAVCR1、PICALM、シェーグレン症候群抗原B、PLK4、HBB、AKT1、PCDHGB7、C6orf10、UBR1、網膜芽細胞腫様タンパク質1、GRK6、WWC2、GRK4、INPP4B、SLC34A1、GOLGA2、MYCBP2、PTP4A2、NUCB2、MAGOH、RPP40、アルファ−2Aアドレナリン受容体、SPAG11B、ヌクレオポリン205、COG1、運動性精子ドメイン含有3、KCNMB3、運動性精子ドメイン含有1、KLHL7、KCNN2、TSPAN8、GPR21、輸送体タンパク質、HNRNPLL、ABHD5、CAB39L、アンフィレギュリン、GPR1、インターロイキン18、EIF4G3、インターロイキン15、CCDC80、CD2AP、NFS1、GRB2、ULBP2、血管内皮増殖因子C、RPS3、TLR8、BCL2関連タンパク質A1、RHOT1、コラーゲン、中心体タンパク質E、STMN2、HESX1、RPL7、Kalirin、PCMT1、HLA−F、SUMO2、NOX3、EP400、DNM3、
EED、NGLY1、NPRL2、PLAC1、バキュロウイルスIAPリピート含有タンパク質3、C7orf31、TUBA1C、HAUS3、IFNA10、MYST4、DCHS1、SIRT4、EFEMP1、ARPC2、MED30、IFT74、PAK1IP1、DYNC1LI2、POLR2B、POLR2H、KIF3A、PRDM16、PLSCR5、PEX5、副甲状腺ホルモン1受容体、CDC23、RBPMS、MAST1、NRD1、BAT5、BAT2、Dock11、GCSH、POF1B、USP15、POT1、MUTYH、CYP2E1、FAM122C、A1ポリペプチド、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3、HPGD、LGALS13、MTHFD2L、生存運動ニューロンドメイン含有1、PSMA3、MRPS35、MHCクラスIポリペプチド関連配列A、SGCE、REPS1、PPP1R12A、PPP1R12B、PABPC1、MAPK8、PDCD5、ホスホグルコムターゼ3、ユビキチンC、GABPB2、ミトコンドリア翻訳放出因子1、PFDN4、NUB1、SLC13A3、ZFP36L1、ガレクチン−3、CC2D2A、GCA、組織因子経路阻害剤、UCKL1、ITFG3、SOS1、WWTR1、GPR84、HSPA14、GJC3、TCF7L1、マトリックスメタロペプチダーゼ12、ISG20、LILRA3、血清アルブミン、ホスデューシン様、RPS13、UTP6、HP1BP3、IL12A、HtrAセリンペプチダーゼ2、LATS1、BMF、サイモシン・ベータ−4、B細胞リンカー、BCL2L11、凝固因子XIII、BCL2L12、PRPF19、SFRS5、インターロイキン23サブユニット・アルファ、NRAP、60Sリボソームタンパク質L14、C9orf64、テスチン、VPS13A、DGKD、PTPRB、ATP5C1、KCNJ16、KARS、GTF2H2、AMBN、USP13、ADAMTSL1、TRO_、RTF1、ATP6V1C2、SSBP1、SNRPN上流リーディングフレームタンパク質、RPS29、SNRPG、ABCC10、PTPRU、APPL1、TINF2、TMEM22、UNC45A、RPL30、PCDH7、ガラクトサミン−6スルファターゼ、UPF3A、ACTL6A、ACTL6B、IL3RA、SDHB、カテプシンL2、TAS2R7、カテプシンL1、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、RPN2、DYNLL1、KLK13、NDUFB3、PRPF8、SPINT2、AHSA1、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、DRAP1、RNASE1、オルファクトメジン様2b、VRK1、IKK2、ERGIC2、TAS2R16、CAMK2G、CAMK2B、エストロゲン受容体ベータ、NADHデヒドロゲナーゼ、RPL19、NUCB2、KCTD13、ユビキノン、H2AFY、CEP290、PABPC1、HLA−F、DHX38、KIAA0922、MPHOSPH8、DDX59、MIB2_、ZBP1、C16orf84、UACA、C6orf142、MRPL39、サイクリン依存性キナーゼ7、遠位上流要素結合タンパク質_1、SGOL1、GTF2IRD1、ATG10、デルムシジン、EPS8L2、デコリン、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、CDC20、MYB、WNT5A、RBPJ、DEFB103A、RPS15A、ATP5H、RPS3、FABP1、SLC4A8、血清アミロイドP構成要素、ALAS1、MAPK1、PDCD5、SULT1A1、CHRNA3、ATXN10、MNAT1、ALG13、アタクシン3、LRRC39、ADH7、デルタ−サルコグリカン、TACC1、IFNA4、胸腺間質リンホポエチン、LGTN、KIAA1333、MSH6、MYOT、RIPK5、BCL2L11、RPL27、Rnd1、血小板因子4、HSD17B7、LSM8、CEP63、INTS8、CTNS、ASAHL、CELA3A、SMARCAL1、HEXB、SLC16A5、MAP3K12、FRMD6の3’UTRに見られうる。
[00090]RDEは、例えばc−myc、c−fоs、ベータ−AR、PTH、インターフェロン−ガンマ、MyoD、p21、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンD1、PAI−2またはNOS HANOSをコードする遺伝子の3’UTRから生じるクラスI AUリッチ要素であってもよい。RDEはまた、クラスII AUリッチ要素であってもよく、そして例えば、GM−CSF、TNF−アルファ、インターフェロン−アルファ、COX−2、IL−2、IL−3、bcl−2、インターフェロン−ベータ、またはVEG−Fをコードする遺伝子の3’UTRから生じる。RDEは、例えば、c−jun、GLUT1、p53、hsp70、ミオゲニン、NF−M、またはGAP−43をコードする遺伝子の3’UTRから生じる、クラスIII AUリッチ要素であってもよい。他のRDEを、T細胞受容体サブユニット(α、β、γ、またはδ鎖)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、プログラム細胞死タンパク質(PD−1)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、およびリンパ球活性化遺伝子−3(LAG3)、および他のチェックポイント阻害剤の3’−UTRから得てもよい。さらに他のRDEを、すべての目的のためにその全体が本明細書に援用される、Coppeら, Ann. Rev. Pathol. 5:99−118 (2010)に開示される老化関連分泌表現型遺伝子の3’−UTRから得てもよい(例えば表1を参照されたい)。
[00091]RDEは、例えばAREポリ(U)結合/分解因子(AUF−1)、トリステトラプロリン(TTP)、ヒト抗原関連タンパク質(HuR)、酪酸反応因子(BRF−1)、酪酸反応因子2(BRF−2)、T細胞制限細胞内抗原−1(TIA−1)、TIA−1関連タンパク質(TIAR)、CUG3つ組リピート、RNA結合タンパク質1(CUGBP−1)、CUG3つ組リピート、RNA結合タンパク質2(CUGBP−2)、ヒトニューロン特異的RNA結合タンパク質(Hel−N1、Hel−N2)、RNA結合タンパク質HuA、HuBおよびHuC、KH型スプライシング制御タンパク質(KSRP)、3−メチルグルタコニル−CoAヒドラターゼ(AUH)、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、熱ショックタンパク質70(Hsp70)、熱ショックタンパク質10(Hsp10)、異種核リボ核タンパク質A1(hnRNP A1)、異種核リボ核タンパク質A2(hnRNP A2)、異種核リボ核タンパク質A3(hnRNP A3)、異種核リボ核タンパク質C(hnRNP C)、異種核リボ核タンパク質L(hnRNP L)、Bcl−2 AUリッチ要素RNA結合タンパク質(TINO)、ポリ(A)結合タンパク質相互作用タンパク質2(PAIP2)、IRP1、ピルビン酸キナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、エノラーゼ、およびアルドラーゼを含む、特定のポリペプチドに結合されてもよい。RDE結合タンパク質はまた、解糖または炭水化物代謝に関与する酵素であってもよく、例えば、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、エノラーゼ(ENO1またはENO3)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)、アルドラーゼA(ALDOA)、ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGAM1)、ヘキソキナーゼ(HK−2)、または乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であってもよい。RDE結合タンパク質は、ペントースリン酸シャントに関与する酵素であってもよく、これには例えば、トランスケトラーゼ(TKT)またはトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)が含まれる。さらなる例示的なRNA結合タンパク質は、Castelloら, Molc. Cell 63:696−710 (2016); Kovarikら, Cytokine 89:21−26 (2017); Rayら, Nature 499:172−177 (2013); Castelloら, Cell 149:1393−1406 (2012); Vlasovaら, Molc. Cell. 29:263−270 (2008); Barreauら, Nucl. Acids Res. vol 33, doi:10.1093/nar/gki1012 (2006); Meisnerら, ChemBioChem 5:1432−1447 (2004); Guhaniyogiら, Gene 265:11−23 (2001)に記載され、これらの文献はすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[00092]RDE結合タンパク質は、例えばUUAUUUAUU(配列番号19)およびAUUUA(配列番号8)の1またはそれより多くを含むRDEに結合可能なTTP、あるいはAUリッチRDEに結合するKSRP、あるいは例えばUUGA(配列番号20)、AGUUU(配列番号18)、またはGUUUG(配列番号12)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するAuf1、あるいは例えばUUGUU(配列番号10)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するCELF−1、あるいは例えばUUUAUUU(配列番号15)、UUUUUUU(配列番号16)、またはUUUGUUU(配列番号13)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するHuR、あるいは例えばUGGGGAU(配列番号21)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するESRP1またはESRP2、あるいは例えばUUUGUUU(配列番号13)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するELAVであってもよい。RDE結合タンパク質は、解糖に関与する酵素であってもよく、これには例えばAUUUA(配列番号8)要素の1またはそれより多くを含むAUリッチ要素に結合するGAPDH、あるいは例えばCUGCUGCUG(配列番号22)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するENO3/ENO1、あるいは例えばAUUGA(配列番号23)の1またはそれより多くを含むRDEに結合するALDOAが含まれる。
[00093]いくつかのRNA結合タンパク質は、RDEに結合した後、RNA分解速度を増加させる。いくつかのRNA結合タンパク質は、RDEに結合した後、RNA分解速度を減少させる。1より多いRNA結合タンパク質がRDEに結合することも可能である。いくつかのRDE調節単位において、1より多いRNA結合タンパク質が、1より多いRDEに結合する。1またはそれより多いRDEに対する1またはそれより多いRNA結合タンパク質の結合は、RNAの分解速度を増加させうる。1またはそれより多いRNA結合タンパク質の結合は、RNAの分解速度を減少させうる。分解を増加させるRNA結合タンパク質が、分解を減少させるRNA結合タンパク質と、RDEへの結合に関して競合し、こうしてRNAの安定性が、2つのRNA結合タンパク質の相対的結合に依存することも可能である。他のタンパク質がRDE結合タンパク質に結合し、そしてRDEを含むRNAに対するRNA結合タンパク質の効果を調節することも可能である。RNA結合タンパク質へのタンパク質の結合が、RNA安定性を増加させることもまたはRNA安定性を減少させることも可能である。RNAは、タンパク質HuRおよびTTPに結合される多数のRDEを有することも可能である。HuRタンパク質はRNAを安定化させることも可能であり、そしてTTPタンパク質はRNAを不安定化させることも可能である。RNAは、タンパク質KSRP、TTPおよび/またはHuRと相互作用する少なくとも1つのRDEを有することも可能である。KSRPは、RNAを不安定化させ、そしてRNAを安定化させうるHuRタンパク質との結合に関して競合することも可能である。KSRPタンパク質はRDEに結合可能であり、そしてRNAを不安定化し、そしてTTPタンパク質はKSRPに結合可能であり、そしてRNAの分解を防止しうる。異なるタンパク質が同じ転写物に結合可能であり、そして分解および安定化速度に対して、競合する影響を有しうる。異なるタンパク質が同じ転写物に結合可能であり、そして分解および安定化速度に対して、協調する影響を有しうる。異なるタンパク質が異なる時点で同じ転写物に結合して、分解および安定化に対する異なる影響を与えることも可能である。
[00094]RDEはクラスII AUリッチ要素であってもよく、そしてRNA結合タンパク質はGAPDHであってもよい。GAPDHが結合するクラスII AUリッチ要素は、AUUUAUUUAUUUA(配列番号9)であってもよい。クラスII AUリッチ要素およびGAPDHを用いて、導入遺伝子、CAR、Smart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARの発現を制御してもよい。また、クラスII AUリッチ要素およびGADPHを用いて、Tリンパ球において、導入遺伝子、CAR、Smart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARの発現を達成してもよい。クラスII AUリッチ要素およびGADHPを用いて、CD8+ Tリンパ球において、導入遺伝子、CAR、Smart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARの発現を達成してもよい。クラスII AUリッチ要素およびGADPHを用いて、CD4+ Tリンパ球において、導入遺伝子、CAR、Smart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARの発現を達成してもよい。クラスII AUリッチ要素およびGADPHを用いて、ナチュラルキラー細胞において、導入遺伝子、CAR、Smart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARの発現を達成してもよい。
[00095]RDEはマイクロRNA結合部位を有してもよい。RDEを操作して、これらのマイクロRNA結合部位の1またはそれより多くを除去してもよい。マイクロRNA結合部位の除去は、少なくとも5、10、15、20、50または100倍、RDEを含む構築物からの発現を増加させうる。マイクロRNA部位を含むRDEは、GAPDHに結合されるRDEであってもよい。GAPDHに結合されるRDEからマイクロRNA部位を除去すると、GAPDH感受性RDEを含む構築物の発現は、少なくとも5〜10倍増加しうる。RDEを通じたこのGAPDH制御を用いて、ターゲット部位にペイロードを送達することも可能である。GAPDH制御を、ターゲット部位に優先的に見られる抗原を認識するCARによる、真核細胞の活性化と結びつけてもよい。
[00096]RDEは、IL−2またはIFN−γの3’−UTRであってもよく、そしてマイクロRNA部位の除去は、RDEを含む導入遺伝子RNAからの発現の速度および/または発現のダイナミックレンジを増加させうる。RDEはIL−2の3’−UTRであってもよく、そして除去されるマイクロRNA部位はMIR−186部位であってもよく、この欠失は、約50倍、発現の動力学を増加させ、そして発現のダイナミックレンジを増加させる。RDEはまた、IFN−γの3’−UTRであってもよく、そして除去されるマイクロRNA部位はMIR−125部位であってもよい。
キメラ抗原受容体
[00097]キメラ抗原受容体(CAR)は、細胞外抗原結合/認識要素、受容体を細胞膜に係留する膜貫通要素、および少なくとも1つの細胞内要素を含む、融合タンパク質であってもよい。これらのCAR要素は当該技術分野に知られ、例えば本明細書のすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、特許出願US20140242701に記載される通りである。CARは、少なくとも細胞外抗原結合要素、膜貫通要素、および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素を含む構築物から発現される組換えポリペプチドであってもよい。刺激分子は、T細胞受容体複合体と会合するゼータ鎖であってもよい。細胞質シグナル伝達要素は、少なくとも1つの共刺激分子に由来する1またはそれより多い機能的シグナル伝達要素をさらに含んでもよい。共刺激分子は、4−1BB(すなわちCD137)、CD27および/またはCD28より選択されてもよい。CARは、細胞外抗原認識要素、膜貫通要素、および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素を含む、キメラ融合タンパク質であってもよい。CARは、細胞外抗原認識要素、膜貫通要素、ならびに共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素を含む、キメラ融合タンパク質であってもよい。CARは、細胞外抗原認識要素、膜貫通要素、ならびに1またはそれより多い共刺激分子(単数または複数)に由来する2つの機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素を含む、キメラ融合タンパク質であってもよい。CARは、細胞外抗原認識要素、膜貫通要素、ならびに1またはそれより多い共刺激分子(単数または複数)に由来する少なくとも2つの機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素を含む、キメラ融合タンパク質であってもよい。CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N末端)に場合によるリーダー配列を含んでもよい。CARは、細胞外抗原認識要素のN末端にリーダー配列をさらに含んでもよく、該リーダー配列は、場合によって、細胞プロセシングおよびCARの細胞膜への局在の間に、抗原認識要素(例えばscFv)から切断される。
キメラ抗原受容体−細胞外要素
[00098]CARを作製する際に有用な例示的な細胞外要素は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
[00099]細胞外要素(単数または複数)は、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載されるように、疾患に対して免疫になっている被験体の免疫細胞から得られる抗体のレパートリーから得られることも可能である。
[000100]細胞外要素は、そのすべてが、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号、米国特許第5,359,046号、第5,686,281号および第6,103,521号に記載されるように、リガンド結合および/またはシグナル伝達に関連する、多様な細胞外要素または分泌タンパク質のいずれかから得られることも可能である。
[000101]どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載されるように、ウイルス、感染性疾患、細菌、腫瘍関連抗原、炎症性疾患関連抗原、神経障害に関連する抗原、糖尿病に関連する抗原、老化細胞に関連する抗原、心臓血管疾患に関連する抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、および/またはアレルギーに関連する抗原由来の抗原に結合可能である、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを提供する。これらの適用に有用な抗原の例は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に見られる。
細胞内要素
[000102]細胞内要素は、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARの細胞外要素が抗原に結合した(抗原と相互作用した)際に、細胞内にシグナルを伝達可能である分子であってもよい。細胞内シグナル伝達要素は、一般的に、Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)および/またはSide−CAR(単数または複数)が導入されている免疫細胞の正常エフェクター機能の少なくとも1つの活性化の原因となりうる。用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊化された機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、サイトカインの分泌を含む、細胞溶解活性またはヘルパー活性であってもよい。したがって、用語「細胞内シグナル伝達要素」は、エフェクター機能シグナルを伝達し、そして細胞に特殊化された機能を実行させる、タンパク質部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメイン全体を使用してもよいが、多くの場合、細胞内要素または細胞内シグナル伝達要素は、ドメイン全体からなる必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの一部切除部分を使用する限り、こうした一部切除部分は、エフェクター機能シグナルを伝達できるならば使用可能である。したがって、用語、細胞内シグナル伝達要素はまた、エフェクター機能シグナルを伝達するために十分な細胞内シグナル伝達ドメインのいかなる一部切除部分も含むよう意味される。本発明のSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARで使用するための細胞内シグナル伝達要素の例には、抗原受容体結合後に、シグナル伝達を開始するように協調して作用するT細胞受容体(TCR)および共受容体の細胞質配列、ならびに同じ機能的能力を有する、これらの配列の任意の誘導体または変異体および任意の組換え配列が含まれる。
[000103]細胞内要素とともにまたは細胞内要素として有用な細胞内要素およびポリペプチドの組み合わせは、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
膜貫通要素およびスペーサー要素
[000104]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARは膜貫通要素を含んでもよい。膜貫通要素は、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARの細胞外要素に付着してもよい。膜貫通要素には、膜貫通領域に隣接する1またはそれより多いさらなるアミノ酸、例えば膜貫通要素が由来するタンパク質の細胞外領域に関連する1またはそれより多いアミノ酸(例えば細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大15アミノ酸)および/または膜貫通タンパク質が由来するタンパク質の細胞内領域に関連する1またはそれより多いさらなるアミノ酸(例えば細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大15アミノ酸)が含まれてもよい。膜貫通要素は、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARに用いられる他の要素の1つと会合していてもよい。膜貫通要素は、こうした要素が同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通要素に結合するのを回避するため、例えば受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にするため、選択されるかまたはアミノ酸置換によって修飾されてもよい。膜貫通要素は、細胞表面上の別のSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARとホモ二量体化可能であってもよい。同じ細胞に存在する天然結合パートナーの結合要素との相互作用を最小限にするように、膜貫通要素のアミノ酸配列を修飾するかまたは置換してもよい。
[000105]膜貫通要素は、多重特異性細胞外誘導因子クラスター化要素を提供するタンパク質、エフェクター機能シグナル伝達要素を提供するタンパク質、増殖シグナル伝達部分を提供するタンパク質によって、あるいは完全に異なるタンパク質によって提供されてもよい。ほとんどの場合、要素の1つに天然に関連する膜貫通要素を有することが好適であろう。いくつかの場合、ジスルフィド結合可能なシステイン残基を含有し、したがって生じるキメラタンパク質がそれ自体と、あるいはζ、ηまたはFcεR1γ鎖の非修飾型または関連タンパク質と、ジスルフィド連結二量体を形成可能であるように、ζ、ηまたはFcεR1γ鎖の膜貫通要素を使用することが望ましいであろう。膜貫通要素は、こうした要素が同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通要素に結合するのを回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にするため、選択されるかまたはアミノ酸置換によって修飾されてもよい。受容体複合体の他のメンバーとの物理的会合を保持するため、ζ、η、FcεR1−γおよび−β、MB1(Igα)、B29またはCD3−γ、ζ、またはεの膜貫通要素を用いてもよい。
[000106]本発明において有用である膜貫通要素は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
不安定化要素とカップリングしたキメラ抗原受容体(DE−CAR)
[000107]真核細胞中のCARポリペプチドの量がDEの制御下にあるように、上述のような不安定化要素を、上述のようなCARとシスに組み合わせてもよい。DE−CAR、DEの選択、および1または多数のDEの使用は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
キメラ抗原受容体:Side−CAR
[000108]CAR、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSmart−DE−RDE−CARは、機能性CARまたはDE−CARを形成するように会合する、少なくとも2つの部分で構成されてもよい。細胞外抗原結合要素は、CARの膜貫通要素、場合によるスペーサー、および細胞内要素と別個の部分として発現されてもよい。別個の細胞外結合要素は、宿主細胞膜と(膜貫通ポリペプチド以外の手段を通じて)会合していてもよい。細胞内要素は、細胞外要素、膜貫通要素、および場合によってスペーサーと別個の部分として発現されてもよい。細胞外要素および細胞内要素は、別個に発現されてもよく、そして各々が膜貫通要素、および場合によってスペーサーを有してもよい。CARまたはDE−CARの各部分は、2つの部分をともにするための会合要素(「Side−CAR」)を有して、機能的CARまたはDE−CARを形成してもよい。
[000109]Side CAR、Side CARの選択、およびテザーを伴うまたは伴わないその使用は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
リンパ球拡大分子および他の制御因子
[000110]リンパ球拡大分子(「LEM」)、IL1、IL2、IL4、IL5、IL6、IL7、IL10、IL12、IL15、GM−CSF、G−CSF、TNFα、および/またはIFNγの発現を制御するためのDE、RDE、および/またはRNA制御デバイスの使用は、例えば、どちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、2016年3月15日提出の米国特許出願第15/070,352号、および2016年12月5日提出の米国特許出願第15/369,132号に記載される。
CARオフスイッチとしてのドミナントネガティブ制御因子
[000111]制御デバイスは、CARがTリンパ球またはナチュラルキラー細胞を活性化する能力を阻害するかまたは減少させるポリペプチドの発現を制御しうる。このポリペプチドは、CAR活性化を阻害するかまたは減少させることが可能であり、例えばTリンパ球で発現された際、ドミナントネガティブ効果を有するZAP−70の突然変異体がある。こうしたZAP−70突然変異体は、ZAP−70のΔ277−619(残基1〜276を残す)、Y319F、またはK369A突然変異体であってもよい。
[000112]いくつかの側面において、ドミナントネガティブ突然変異体を用いて、所望の時点で、活性化CARからのシグナル伝達を停止する。ドミナントネガティブ突然変異体は、活性化CARからの細胞内シグナル伝達を妨害するポリペプチドである。ドミナントネガティブ突然変異体を、CARによって活性化されるシグナル伝達カスケード由来のポリペプチドまたは該カスケードと相互作用するポリペプチドから用いてもよい。こうした突然変異体は、いくつかのシグナル伝達構成要素と相互作用可能であるが、CARからのシグナルを伝播することができず、そしてしたがって、CARによる宿主細胞のさらなる活性化を防止する。ドミナントネガティブ突然変異体は、ZAP70タンパク質由来であってもよい。ドミナントネガティブ突然変異体は、ZAP−70のΔ277−619(残基1〜276を残す)、ZAP−70のY319F、またはZAP−70のK369A突然変異体であってもよい。
[000113]ドミナントネガティブ突然変異体の発現は、RNA制御デバイス、RDE、不安定化要素(DE)、および/または誘導性プロモーターの誘導性制御下にあってもよい。この誘導性制御は、所望の時点で、ドミナントネガティブ突然変異体の発現を可能にし、この構築物がCAR真核細胞に関するオフスイッチとして作用することを可能にする。所望の時点で、ドミナントネガティブ突然変異体は、誘導性刺激に反応して発現され、そしてドミナントネガティブ突然変異体は、CAR、DE−CARおよび/またはSide−CARからのシグナル伝達を停止する。
[000114]上述のようなTetRNA制御デバイスまたは(6R)−フォリン酸RNA制御デバイスを用いて、ZAP70ドミナントネガティブ突然変異体(例えばZap−70のΔ277−619(残基1−276を残す)、ZAP 70のY319F、またはZAP 70のK369A)の発現を制御してもよい。これらの構築物では、Zap70のドミナントネガティブ突然変異体は、培地にテトラサイクリンまたは(6R)−フォリン酸を添加した際に、宿主細胞において発現されうる。このテトラサイクリンまたは(6R)−フォリン酸RNA制御デバイスは、テトラサイクリンまたは(6R)−フォリン酸によって誘導性であるCAR活性に関するオフスイッチを提供する。
[000115]ZAP−70のドミナントネガティブ突然変異体を、適切なRDE、DE、RNA制御デバイス、またはSide−CARの制御下に置いてもよい。RNA制御デバイスは、制御デバイスリガンド(例えばTetまたは(6R)−フォリン酸)が導入された際に、ドミナントネガティブZAP−70突然変異体が発現され、そしてZAP−70突然変異体の発現がCARによるTリンパ球の活性化を阻害するように、Tetまたは(6R)−フォリン酸反応性RNA制御デバイスであってもよい。ZAP−70突然変異体は、Tet制御デバイスの制御下である、Tリンパ球に関するオフスイッチとして作用してもよい。
受容体
[000116]CARを、細胞およびRDE−導入遺伝子とともに、受容体として用いてもよい。CARは上述の通りである。CARに加えて、他の受容体を用いて、RDEの制御下の導入遺伝子が発現されるように、活性化するかまたはそうでなければ細胞中の条件を変化させてもよい。化学シグナルを認識しそしてこれに反応する受容体を、RDEを通じた導入遺伝子の発現にカップリングしてもよい。例えば、イオンチャネル連結(イオンチャネル型)受容体、Gタンパク質連結(代謝調節型)受容体、および酵素連結受容体を、導入遺伝子の発現にカップリングしてもよい。
[000117]導入遺伝子発現にカップリングしうる受容体の1つのクラスは、免疫受容体、例えばT細胞受容体、B細胞受容体(別名抗原受容体または免疫グロブリン受容体)および自然免疫受容体である。
[000118]T細胞受容体は、2つの異なるポリペプチド鎖のヘテロ二量体である。ヒトにおいて、大部分のT細胞は、アルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖で作製されるT細胞受容体を有し、ガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖(それぞれ、TRGおよびTRDによってコードされる)で作製されるT細胞受容体を有する。リンパ球由来のT細胞受容体をコードする核酸を増幅するための技術およびプライマーは、当該技術分野に周知であり、そして例えば、Clontechより商業的に販売されるSMARTerヒトTCR a/bプロファイリングキット、Boriaら, BMC Immunol. 9:50−58 (2008); Moonkaら, J. Immunol. Methods 169:41−51 (1994); Kimら, PLoS ONE 7:e37338 (2012); Seitzら, Proc. Natl Acad. Sci. 103:12057−62 (2006)に記載されており、これらはすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。TCRレパートリーを別個の鎖として用いて、抗原結合ドメインを形成してもよい。TCRレパートリーを一本鎖抗原結合ドメインに変換してもよい。一本鎖TCRを、例えば、米国特許出願公報第US2012/0252742号、Schodinら, Mol. Immunol. 33:819−829 (1996); Aggenら, “Engineering Human Single−Chain T Cell Receptors,” イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の博士論文(2010) ideals.illinois.edu/bitstream/handle/2142/18585/Aggen_David.pdf?sequence=1でコピー入手可能に記載されるものを含む、当該技術分野に周知の技術を用いて、ヒト・アルファおよびベータ鎖をコードする核酸から作製可能であり、これらの文献はすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[000119]B細胞受容体には、膜結合型である免疫グロブリン、シグナル伝達部分、CD79、およびITAMが含まれる。ヒト抗体軽鎖および重鎖をコードする核酸を増幅するための技術およびプライマーは当該技術分野に周知であり、そして例えば、ProGenのヒトIgGおよびIgMライブラリープライマーセット、カタログ番号F2000; Andris−Widhopfら, “Generation of Human Fab Antibody Libraries: PCR Amplification and Assembly of Light and Heavy Chain Coding Sequences,” Cold Spring Harb. Protoc. 2011; Limら, Nat. Biotechnol. 31:108−117 (2010); Sunら, World J. Microbiol. Biotechnol. 28:381−386 (2012); Coronellaら, Nucl. Acids. Res. 28:e85 (2000)に記載され、これらの文献はすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。マウス抗体軽鎖および重鎖をコードする核酸を増幅するための技術およびプライマーは、当該技術分野に周知であり、そして例えば、米国特許第8,143,007号; Wangら, BMC Bioinform. 7(Suppl):S9 (2006)に記載され、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。抗体レパートリーは、抗原結合ドメインにおいて別個の鎖として用いられてもよいし、または一本鎖抗原結合ドメインに変換されてもよい。一本鎖抗体は、当該技術分野に周知の技術を用いて、ヒト軽鎖および重鎖をコードする核酸から作製されてもよく、これには、例えば、Pansriら, BMC Biotechnol. 9:6 (2009); Peraldi−Roux, Methods Molc. Biol. 907:73−83 (2012)に記載されるものが含まれ、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。一本鎖抗体は、当該技術分野に周知の技術を用いて、マウス軽鎖および重鎖をコードする核酸から作製されてもよく、こうした技術には、例えば、Imaiら, Biol. Pharm. Bull. 29:1325−1330 (2006); Chengら, PLoS ONE 6:e27406 (2011)に記載されるものが含まれ、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[000120]自然免疫受容体には、例えば、CD94/NKG2受容体ファミリー(例えばNKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H)、2B4受容体、NKp30、NKp44、NKp46、およびNKp80受容体、Toll様受容体(例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、RP105)が含まれる。
[000121]7回膜貫通ドメイン受容体としてもまた知られるGタンパク質連結受容体は、リガンドの受容体結合を、Gタンパク質を通じて細胞反応にカップリングする、受容体の大きなファミリーである。これらのGタンパク質は、α、β、およびγサブユニット(それぞれGα、Gβ、およびGγとして知られる)の三量体であり、GTPに結合した際に活性であり、そしてGDPに結合した際に不活性である。受容体がリガンドに結合した際、コンホメーション変化を経て、そしてアロステリックに、Gタンパク質を活性化して、結合したGDPに対してGTPを交換する。GTP結合後、Gタンパク質は、受容体から解離して、Gα−GTP単量体およびGβγ二量体を生じる。Gタンパク質連結受容体は、例えばロドプシン様受容体、セクレチン受容体、代謝型グルタミン酸/フェロモン受容体、真菌交配フェロモン受容体、サイクリックAMP受容体、およびfrizzled/smoothened受容体を含むクラスに、ともにグループ分けされている。Gタンパク質受容体は、電磁放射の検出、味覚(味)、臭い感覚、神経伝達、免疫系制御、増殖、細胞密度感知等を含む、非常に多様な生理学的プロセスで用いられる。
[000122]触媒受容体としてもまた知られる酵素連結受容体は、膜貫通受容体であり、細胞外リガンドの結合が、細胞内側で酵素活性を引き起こす。酵素連結受容体は、ポリペプチドの膜貫通部分(またはドメイン)によってともに連結された2つのドメインを有する。2つの末端ドメインは、細胞外リガンド結合ドメインおよび触媒機能を有する細胞内ドメインである。例えばErb受容体ファミリー、グリア細胞由来神経栄養因子受容体ファミリー、ナトリウム利尿ペプチド受容体ファミリー、trk神経栄養受容体ファミリー、およびToll様受容体ファミリーを含む、酵素連結受容体の多数のファミリーがある。
[000123]リガンドゲート型イオンチャネルとしてもまた知られるイオンチャネル連結受容体は、受容体へのリガンドの結合に反応して、膜を通じて、例えばNa+ K+、Ca2+およびCl−などのイオンを通過させる受容体である。例えばカチオンcys−ループ受容体、アニオンcysループ受容体、イオンチャネル型グルタミン酸受容体(AMPA受容体、NMDA受容体)、GABA受容体、5−HT受容体、ATP−ゲート化チャネル、およびPIP2ゲート化チャネルを含む、リガンドゲート化イオンチャネルの多数のファミリーがある。
真核細胞
[000124]本発明の真核細胞として、多様な真核細胞を用いてもよい。真核細胞は動物細胞であってもよい。真核細胞は、哺乳動物細胞、例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ブタ、ウシ、ネコ、またはイヌのものであってもよい。哺乳動物細胞は、限定されるわけではないが、サル、チンパンジー、ゴリラ、およびヒトを含む霊長類の細胞であってもよい。哺乳動物細胞はマウス細胞であってもよく、これは、マウスが、他の哺乳動物、とりわけヒトのモデルとしてルーチンに機能するためである(例えば、Hanna, J.ら, Science 318:1920−23, 2007; Holtzman, D.M.ら, J Clin Invest. 103(6):R15−R21, 1999; Warren, R.S.ら, J Clin Invest. 95: 1789−1797, 1995;各刊行物は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)。動物細胞には、例えば、線維芽細胞、上皮細胞(例えば腎、乳腺、前立腺、肺)、角化細胞、肝細胞、脂肪細胞、内皮細胞、および造血細胞が含まれる。動物細胞は、成体細胞(例えば最終分化、分裂性、または非分裂性)または胚細胞(例えば胚盤胞細胞等)または幹細胞であってもよい。真核細胞はまた、動物または他の供給源に由来する細胞株であってもよい。
[000125]真核細胞は幹細胞であってもよい。多様な幹細胞タイプが当該技術分野に知られ、そして例えば胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、上皮神経冠幹細胞、乳腺幹細胞、腸幹細胞、間葉系幹細胞、嗅覚性成体幹細胞、精巣細胞、および前駆細胞(例えば神経、血管芽細胞、骨芽細胞、軟骨芽細胞、膵臓、上皮等)を含めて、真核細胞として使用可能である。幹細胞は、被験体から採取した細胞に由来する幹細胞であってもよい。
[000126]真核細胞は、ヒトを含む哺乳動物の循環系に見られる細胞であってもよい。例示的な循環系細胞には、とりわけ、赤血球、血小板、形質細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、マクロファージ、好中球等、およびこれらの前駆細胞が含まれる。グループとして、これらの細胞は、本発明の循環性真核細胞と定義される。真核細胞は、これらの循環性真核細胞のいずれに由来してもよい。導入遺伝子を、これらの循環細胞または循環細胞由来の真核細胞のいずれかとともに用いてもよい。真核細胞は、T細胞あるいはT細胞前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、ガンマ・デルタT細胞、あるいは前述のものの前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、ナチュラルキラー細胞、あるいはナチュラルキラー細胞の前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、B細胞、あるいはB細胞の前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、好中球、あるいは好中球前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、巨核細胞、あるいは巨核細胞の前駆体または前駆細胞であってもよい。真核細胞は、マクロファージ、あるいはマクロファージの前駆体または前駆細胞であってもよい。
[000127]真核細胞は植物細胞であってもよい。植物細胞は、単子葉または双子葉植物の細胞であってもよく、こうした植物には、限定されるわけではないが、アルファルファ、アーモンド、アスパラガス、アボカド、バナナ、オオムギ、マメ、ブラックベリー、アブラナ、ブロッコリー、キャベツ、キャノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、チェリー、チコリ、柑橘類、コーヒー、ワタ、キュウリ、ユーカリ、大麻、レタス、レンズマメ、トウモロコシ、マンゴー、メロン、オーツムギ、パパイヤ、エンドウマメ、ピーナッツ、パイナップル、プラム、イモ(サツマイモを含む)、カボチャ、ラディッシュ、ナタネ、ラズベリー、イネ、ライムギ、ソルガム、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、タバコ、トマト、カブ、コムギ、ズッキーニ、および他の結実菜類(例えばトマト、ピーマン(pepper)、チリ、ナス、キュウリ、カボチャ等)、他の鱗茎菜類(例えばニンニク、タマネギ、リーキ等)、他の仁果類(例えばリンゴ、ナシ等)、他の核果類(例えばピーチ、ネクタリン、アプリコット、ナシ、プラム等)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、木本植物、例えば針葉樹および落葉樹、観賞植物、多年生牧草、飼料作物、花、他の野菜、他の果物、他の農業作物、ハーブ、草、あるいは多年生植物部分(例えば球根;塊茎;根茎;冠(crown);茎;走根;ひこばえ;シュート;無根切穂、有根切穂、およびカルス切穂またはカルス生成小植物を含む切穂;頂端分裂組織)が含まれる。用語「植物」は、種子、苗木、若木、根茎、塊茎、茎、柄、葉および果実を含む、植物のすべての物理的部分を指す。
[000128]真核細胞はまた、限定されるわけではないが、クロレラ属(Chlorella)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、セネデスムス属(Scenedesmus)、イソクリシス属(Isochrysis)、デュナリエラ属(Dunaliella)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、ナノクロロプシス属(Nannochloropsis)、またはプロトテカ属(Prototheca)の藻類を含む藻類であってもよい。真核細胞は、限定されるわけではないが、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クロイベロミセス属(Klyuveromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ハンセヌラ属(Hansenula)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、またはシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)の真菌を含む真菌細胞であってもよい。
[000129]真核細胞は被験体から得られてもよい。被験体は、任意の生存生物であってもよい。細胞は、被験体から得られる細胞に由来してもよい。被験体の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそのトランスジェニック種が含まれる。T細胞を、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む、いくつかの供給源から得てもよい。当該技術分野で利用可能である多くのT細胞株のいずれもまた用いてもよい。T細胞を、Ficoll分離など、当業者に知られる多くの技術のいずれを用いて、被験体から収集した血液単位から得てもよい。個体の循環血から、アフェレーシスによって細胞を得てもよい。アフェレーシス産物は、典型的にはリンパ球を含有し、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板を含む。アフェレーシスによって収集された細胞を洗浄して、血漿分画を除去し、そして続くプロセシング工程のために、適切な緩衝剤または培地中に細胞を入れてもよい。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄してもよい。別の側面において、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、そしてマグネシウムを欠くことも可能であるし、またはすべてではなくても多くの二価陽イオンを欠くことも可能である。カルシウムの非存在下での最初の活性化工程は、活性化増大を導きうる。
[000130]負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞にユニークな表面マーカーに対して向けられる抗体の組み合わせで達成可能である。細胞上に存在する細胞表面マーカーに対して向けられるモノクローナル抗体のカクテルを用いて、細胞ソーティングおよび/または負の磁気免疫接着またはフローサイトメトリーを通じた選択によって、細胞を濃縮してもよい。例えば、CD4+細胞を濃縮するため、モノクローナル抗体カクテルには、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA−DR、およびCD8に対する抗体が含まれる。典型的にはCD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、およびFoxP3+を発現する、制御性T細胞を濃縮することが望ましい可能性もある。あるいは、特定の側面において、T制御性細胞を、抗C25コンジュゲート化ビーズまたは他の類似の選択法によって枯渇させる。
[000131]一般的に、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041号;および米国特許出願第20060121005号に記載されるような方法を用いて、T細胞を活性化させ、そして拡大してもよく、これらの特許文書の各々は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[000132]NK細胞は、膜結合性IL−15および4−1BBリガンド(CD137L)を発現するように遺伝的に修飾されている骨髄細胞株の存在下で拡大させることも可能である。MHCクラスIおよびII分子を持たない、こうした方法で修飾された細胞株は、NK細胞溶解に非常に感受性であり、そしてNK細胞を活性化する。例えば、K562骨髄細胞に、ヒトCD8αおよびGFPのシグナルペプチドおよび膜貫通ドメインに融合した、ヒトIL−15成熟ペプチドからなるキメラタンパク質構築物を形質導入してもよい。次いで、形質導入細胞を、限界希釈によって、単細胞クローニングし、そして最高のGFP発現および表面IL−15を持つクローンを選択してもよい。次いで、このクローンにヒトCD137Lを形質導入して、K562−mb15−137L細胞株を生成してもよい。NK細胞を優先的に拡大するため、NK細胞を含有する末梢血単核細胞培養物を、10 IU/mLのIL−2の存在下で、K562−mb15−137L細胞株と、NK細胞集団を活性化し、そして濃縮するために十分な期間、培養する。この期間は、2〜20日の範囲であってもよく、好ましくは約5日間である。次いで、拡大NK細胞に、抗CD19−BB−ζキメラ受容体を形質導入してもよい。
核酸
[000133]本開示にやはり記載するのは、少なくとも部分的に、本明細書記載の個々のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、およびRNA制御デバイスをコードする核酸である。核酸は、天然、合成、またはその組み合わせであってもよい。本発明の核酸は、RNA、mRNA、DNA、またはcDNAであってもよい。
[000134]本発明の核酸にはまた、発現ベクター、例えばプラスミド、またはウイルスベクター、または直鎖ベクター、または染色体DNA内に組み込まれるベクターが含まれてもよい。発現ベクターは、ベクターが1またはそれより多い選択された宿主細胞において複製されることを可能にする核酸配列を含有してもよい。こうした配列は、多様な細胞に関して周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に関して適切である。真核宿主細胞、例えば哺乳動物細胞において、発現ベクターは、宿主細胞染色体内に組み込まれ、そして次いで宿主染色体とともに複製されることも可能である。同様に、ベクターは、原核細胞の染色体内に組み込まれることも可能である。
[000135]発現ベクターはまた、一般的に、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含有する。選択可能マーカーは、本発明の宿主細胞を含む、原核および真核細胞に関して当該技術分野に周知である。一般的に、選択遺伝子は、選択培地中で増殖する形質転換宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されていない宿主細胞は、培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリンに耐性を与えるか、(b)栄養要求不全を補完するか、あるいは(c)複合培地から入手可能でない必須栄養素、例えばバチルス属(Bacilli)に関してはD−アラニン・ラセマーゼをコードする遺伝子を供給するタンパク質をコードする。例示的な選択スキームは、薬剤を利用して、宿主細胞の増殖を抑制してもよい。異種遺伝子で成功裡に形質転換された細胞は、薬剤耐性を与えるタンパク質を産生し、そしてしたがって、選択レジームを生き延びるであろう。細菌または真核(哺乳動物を含む)系で使用するための他の選択マーカーが当該技術分野に周知である。
[000136]哺乳動物T細胞においてSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR導入遺伝子を発現可能なプロモーターの例は、EF1aプロモーターである。天然EF1aプロモーターは、伸長因子1複合体のアルファサブユニットの発現を駆動し、これはアミノアシルtRNAのリボソームへの酵素送達に関与する。EF1aプロモーターは、哺乳動物発現プラスミドにおいて、広範に用いられており、そしてレンチウイルスベクター内にクローニングされる導入遺伝子からのCAR発現を駆動する際に有効であることが示されてきている。例えば、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Miloneら, Mol. Ther. 17(8): 1453−1464 (2009)を参照されたい。プロモーターの別の例は、極初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、該配列に機能可能であるように連結されたいかなるポリヌクレオチド配列の高レベル発現も駆動可能な、強い恒常性プロモーター配列である。他の恒常性プロモーター配列もまた使用可能であり、これには限定されるわけではないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、MNDプロモーター(骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを含む修飾MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーター、例えば、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Liら, J. Neurosci. Methods vol. 189, pp. 56−64 (2010)を参照されたい)、鳥類白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン−バーウイルス極初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば限定されるわけではないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子1aプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターが含まれる。さらに、本発明は恒常性プロモーターの使用に限定されない。
[000137]本開示における使用には、誘導性または抑制性プロモーターもまた意図される。誘導性プロモーターの例には、限定されるわけではないが、活性化T細胞誘導性プロモーターの核因子(NFAT)、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、テトラサイクリンプロモーター、c−fоsプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス極初期プロモーターからの発現をテトラサイクリンオペレーター(単数または複数)の制御下に置くThermoFisherのT−REx系、およびIntrexonのRheoSwitchプロモーターが含まれる。Macianら, Oncogene 20:2476−2489 (2001); Karzenowski, D.ら, BioTechiques 39:191−196 (2005); Dai, X.ら, Protein Expr. Purif 42:236−245 (2005); Palli, S. R.ら, Eur. J. Biochem. 270:1308−1515 (2003); Dhadialla, T. S.ら, Annual Rev. Entomol. 43:545−569 (1998); Kumar, M. B,ら, J. Biol. Chem. 279:27211−27218 (2004); Verhaegent, M.ら, Annal. Chem. 74:4378−4385 (2002); Katalam, A. K.,ら, Molecular Therapy 13:S103 (2006);およびKarzenowski, D.ら, Molecular Therapy 13:S194 (2006)、米国特許第8,895,306号、第8,822,754号、第8,748,125号、第8,536,354号、これらはすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。
[000138]発現ベクターは、典型的には、転写開始頻度を調節するプロモーター要素、例えばエンハンサーを有する。典型的には、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは、開始部位の下流にもまた、機能要素を含有することが示されてきている。要素が互いに対して反転するかまたは移動している際もプロモーター機能が保持されるように、プロモーター要素間のスペーシングは、しばしば柔軟である。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーター要素間のスペーシングは、活性が減少し始めるまでに50bp離れるまで増加させることも可能である。プロモーターに応じて、個々の要素は、転写を活性化するために協調してまたは独立にのいずれで機能することも可能であるようである。
[000139]発現ベクターは、二シストロン性構築物または多重シストロン性構築物であってもよい。二シストロンは、2つのシストロン間に位置するシストロンに関する制御領域と反対の方向で配置されていてもよい。構築物が二シストロンより多い場合、シストロンは、転写に関して反対の方向に配向した2つの群である2群に配置されていてもよい。例示的な二シストロン性構築物は、Amendolaら, Nat. Biotechnol. 23:108−116 (2005)に記載され、該文献は、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。1つのシストロンに関する制御領域は、高転写活性が可能であってもよく、そしてもう一方が使用条件下で低転写活性を有してもよい。一方または両方の制御領域は誘導性であってもよい。高転写活性制御領域の例には、例えば、MND、EF1−アルファ、PGK1、CMV、ユビキチンC、SV40初期プロモーター、テトラサイクリン反応性要素プロモーター、細胞特異的プロモーター、ヒトベータ−アクチンプロモーター、および場合によってCMV初期エンハンサーを含むCBG(ニワトリベータ−グロビン)が含まれる。低転写活性制御領域の例には、例えば、TRE3G(Clontechによって商業的に販売される、基底発現を減少させる突然変異を含む、テトラサイクリン反応性要素プロモーター)、T−RExTM(ThermoFisherによって商業的に販売される)、および最小TATAプロモーター(Kiranら, Plant Physiol. 142:364−376 (2006)、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、HSP68、および最小CMVプロモーターが含まれる。誘導性制御領域の例には、例えば、NFAT制御領域(Macianら, Oncogene 20:2476−2489 (2001))、および上記の誘導性制御領域が含まれる。
[000140]二シストロン性構築物は、CAR、およびターゲット部位に送達しようとするペイロードである(またはペイロードを作製する)ポリペプチドをコードしてもよい。例示的なペイロードを上および下に記載する。CARをコードする核酸を、強いプロモーター、弱いプロモーター、および/または誘導性プロモーターに機能可能であるように連結してもよく、そして場合によって、RNA制御デバイス、DE、RDE、または前述のものの組み合わせに機能可能であるように連結されてもよい。CARは、Side−CAR形式で核酸にコードされてもよい。ポリペプチドをコードする核酸は、強いプロモーター、弱いプロモーター、および/または誘導性プロモーターに機能可能であるように連結されていてもよい。ペイロードである(またはペイロードを作製する)ポリペプチドをコードする核酸は、RDEの制御下にあってもよい。RDEは、例えば解糖酵素、例えばグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、エノラーゼ(ENO1またはENO3)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)、アルドラーゼA(ALDOA)、またはホスホグリセリン酸ムターゼ(PGAM1)を通じて、細胞の活性化状態に反応するものであってもよい。RDEはまた、他のエネルギー代謝酵素、例えばトランスケトラーゼ(TKT)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH2)、スクシニルCoAシンテターゼ(SUGLG1)、クエン酸ATPリアーゼ(ACLY)、またはイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH1/2)によって結合され、そして制御されてもよい。宿主細胞は、被験体において、ターゲット部位でその抗原に結合するCARを発現してもよい。ターゲット部位での抗原のこの結合は、細胞を活性化し、細胞での解糖を増加させ、これがRDE(解糖または他のエネルギー代謝酵素によって結合される)の制御下でポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する。
[000141]多重シストロン性構築物は、各々が導入遺伝子のいくつかまたはすべてに機能可能であるように連結された制御領域(場合によって誘導性)およびRDEを有する、3またはそれより多いシストロンを有してもよい。これらのカセットは、構築物上で、反対方向に転写される2つの群に編成されていてもよい。2またはそれより多い導入遺伝子は、同じ制御領域から転写されてもよいし、そして2またはそれより多い導入遺伝子は、下流導入遺伝子に機能可能であるように連結されたIRES(内部リボソーム進入部位)配列を有してもよい。あるいは、2またはそれより多い導入遺伝子は、blog.addgene.org/plasmids−101−multicistrnic−vectorsに見られるPlasmids 101: Multicistronic Vectorsに記載されるように、2A要素によってともに機能可能であるように連結されている。一般的に用いられる2A配列には、例えば、EGRGSLLTCGDVEENPGP(T2A)(配列番号24)、ATNFSLLKQAGDVEENPGP(P2A)(配列番号25); QCTNYALLKLAGDVESNPGP(E2A)(配列番号26);およびVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP(F2A)(配列番号27)が含まれ、これらはすべて、場合によってアミノ末端に配列GSGが含まれていてもよい。これによって、多数の導入遺伝子が、RDE(または多数のRDE)を含む3’−UTRによって制御される、単一の転写物上に転写されることが可能になる。
[000142]二シストロン性/多重シストロン性ベクターは、(別個の構築物上のシストロンの導入に対して)2またはそれより多いシストロンの全体の発現を増加させることも可能である。二シストロン性/多重シストロン性構築物は、レンチウイルスベクターに由来してもよい。二シストロン性/多重シストロン性構築物は、CAR、および導入遺伝子(単数または複数)上にコードされるポリペプチド(単数または複数)(例えばペイロード)をコードしてもよく、そして二シストロン性構築物は、細胞がCARによって活性化された際、導入遺伝子(単数または複数)にコードされるポリペプチドの発現を増加させうる。
[000143]本明細書に記載するポリペプチドを修飾することが望ましい可能性もある。当業者は、変異体ポリペプチドを生成するため、所定の核酸構築物における改変を生成する、多くの方法を認識するであろう。こうした周知の方法には、部位特異的突然変異誘発、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅、突然変異誘発剤または放射線照射に対する、核酸を含有する細胞の曝露、所望のオリゴヌクレオチドの化学合成(例えば大きい核酸を生成するため、連結および/またはクローニングと組み合わせる)、および他の周知の技術が含まれる(例えば、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、GillamおよびSmith, Gene 8:81−97, 1979; Robertsら, Nature 328:731−734, 1987を参照されたい)。本発明のポリペプチドをコードする組換え核酸を修飾して、選択した生物における核酸の翻訳を増進する好ましいコドンを提供してもよい。
[000144]ポリヌクレオチドにはまた、本明細書記載の他のポリヌクレオチドと実質的に同等のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドもまた含まれてもよい。ポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドに、少なくとも約80%、より典型的には少なくとも約90%、そしてさらにより典型的には少なくとも約95%の配列同一性を有してもよい。核酸もまた、本明細書に列挙するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、少なくとも約80%、より典型的には少なくとも約90%、そしてさらにより典型的には少なくとも約95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの相補体も提供する。ポリヌクレオチドは、DNA(ゲノム、cDNA、増幅、または合成)またはRNAであってもよい。こうしたポリヌクレオチドを得るための方法およびアルゴリズムは当業者に周知であり、そしてこれには、例えば、所望の配列同一性のポリヌクレオチドをルーチンに単離可能なハイブリダイゼーション条件を決定するための方法が含まれてもよい。
[000145]部位特異的突然変異誘発、またはプライマー(単数または複数)が所望の点突然変異を有するPCR増幅を用いて、タンパク質類似体または変異体をコードする(すなわち1またはそれより多いアミノ酸が、野生型ポリペプチドと異なるように設計されている)核酸を産生してもよい。適切な突然変異誘発技術の詳細な説明に関しては、その各々が、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)および/またはCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubelら監修, Green Publishers Inc. and Wiley and Sons, N.Y (1994)を参照されたい。当該技術分野に周知の方法を用いた化学合成、例えばEngelsら, Angew Chem Intl Ed. 28:716−34, 1989(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)に記載されるものもまた、こうした核酸を調製するために用いてもよい。
[000146]変異体を生成するためのアミノ酸「置換」は、好ましくは、類似の構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸での1つのアミノ酸の置換、すなわち保存的アミノ酸置換の結果である。アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて実行可能である。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれ;極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれ;正荷電(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれ;そして負荷電(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。
[000147]やはり本明細書に開示するのは、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARをコードする核酸である。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARをコードする核酸は、慣用的方法によって、RNA制御デバイスの配列と組み合わされた明記するCARのアミノ酸配列から容易に調製可能である。アミノ酸配列をコードする塩基配列は、各要素のアミノ酸配列に関する前述のNCBI RefSeq IDまたはGenBank寄託番号から得られることも可能であるし、そして本発明の核酸は、標準的な分子生物学的および/または化学的方法を用いて、調製可能である。例えば、塩基配列に基づいて、核酸を合成してもよく、そしてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、cDNAライブラリーから得たDNA断片を組み合わせることによって、本発明の核酸を調製してもよい。
[000148]適切なプロモーターの制御下で発現されるように、核酸を別の核酸に連結してもよい。核酸の効率的な転写を達成するため、核酸はまた、プロモーターまたは転写開始部位と協調する他の制御要素、例えばエンハンサー配列、ポリA部位、またはターミネーター配列を含む核酸に連結されてもよい。本発明の核酸に加えて、核酸の発現を確認するためのマーカーになりうる遺伝子(例えば薬剤耐性遺伝子、レポーター酵素をコードする遺伝子、または蛍光タンパク質をコードする遺伝子)を取り込んでもよい。
[000149]核酸をex vivoで細胞内に導入する際、前述の賦形剤に加えて、細胞内への核酸の輸送を促進する物質、例えばリポソームまたは陽イオン性脂質などの核酸を導入するための試薬と、核酸を組み合わせてもよい。あるいは、本発明の核酸を所持するベクターもまた有用である。特に、適切なベクターによって所持される本発明の核酸を含有する、生体への投与に適した型の組成物は、in vivo遺伝子療法に適している。
真核細胞内への核酸の導入
[000150]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/またはRDE(単数または複数)に機能可能であるように連結された導入遺伝子を発現している細胞を産生するためのプロセスには、本明細書記載のSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸を、真核細胞内に導入する工程が含まれる。この工程は、ex vivoで実行可能である。例えば、細胞を、ex vivoで、本明細書記載の核酸を所持するウイルスベクターまたは非ウイルスベクターで形質転換して、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する細胞を産生してもよい。
[000151]1つのプロセスにおいて、上述のような真核細胞を用いてもよい。真核細胞は、哺乳動物、例えばヒト細胞に由来してもよいし、あるいは非ヒト哺乳動物、例えばサル、マウス、ラット、ブタ、ウマまたはイヌ由来の細胞を用いてもよい。該プロセスに用いる細胞は特に限定されず、そして任意の細胞が使用可能である。例えば、体液、組織あるいは臓器、例えば血液(末梢血、臍帯血等)または骨髄から収集するか、単離するか、精製するかまたは誘導した細胞を用いてもよい。末梢血単核細胞(PBMC)、免疫細胞、樹状細胞、B細胞、造血幹細胞、マクロファージ、単球、NK細胞または造血細胞、臍帯血単核細胞、線維芽細胞、前駆体脂肪細胞、肝細胞、皮膚角化細胞、間葉系幹細胞、脂肪幹細胞、多様な癌細胞株、または神経幹細胞が使用可能である。本発明において、特に、T細胞、T細胞前駆細胞(造血幹細胞、リンパ球前駆細胞等)またはこれらを含有する細胞集団が好ましい。T細胞の例には、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞、制御性T細胞、細胞傷害性T細胞、および腫瘍浸潤リンパ球が含まれる。T細胞およびT細胞前駆細胞を含有する細胞集団には、PBMCが含まれる。前述の細胞を、生体から収集するか、生体から収集した細胞の拡大培養によって得るか、または細胞株として確立してもよい。産生されたSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDE発現細胞、あるいは産生されたSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEから分化した細胞を、生体に移植することが望ましい場合、核酸を生体自体から収集した細胞内に導入することが好ましい。
[000152]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸をベクター内に挿入し、そして該ベクターを細胞に導入する。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸を、トランスフェクション(例えばGormanら Proc. Natl. Acad. Sci. 79.22 (1982): 6777−6781、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、形質導入(例えば、CepkoおよびPear (2001) Current Protocols in Molecular Biology unit 9.9; DOI: 10.1002/0471142727.mb0909s36、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、リン酸カルシウム形質転換(例えば、Kingston, ChenおよびOkayama (2001) Current Protocols in Molecular Biology Appendix 1C; DOI: 10.1002/0471142301.nsa01cs01、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、細胞浸透性ペプチド(例えば、Copolovici, Langel, Eriste,およびLangel (2014) ACS Nano 2014 8 (3), 1972−1994; DOI: 10.1021/nn4057269、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、エレクトロポレーション(例えば、Potter (2001) Current Protocols in Molecular Biology unit 10.15; DOI: 10.1002/0471142735.im1015s03およびKimら(2014) Genome 1012−19. doi:10.1101/gr.171322.113。Kimら、2014は最適化エレクトロポレーション系であるAmaza Nucleofectorを記載する。これらの参考文献のどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、マイクロインジェクション(例えば、McNeil (2001) Current Protocols in Cell Biology unit 20.1; DOI: 10.1002/0471143030.cb2001s18、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、リポソームまたは細胞融合(例えば、Hawley−NelsonおよびCiccarone (2001) Current Protocols in Neuroscience Appendix 1F; DOI: 10.1002/0471142301.nsa01fs10、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、機械的操作(例えば、Sharonら (2013) PNAS 2013 110(6); DOI: 10.1073/pnas.1218705110、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)または真核細胞に核酸を送達するための他の周知の技術によって、真核細胞に導入される。ひとたび導入されたら、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDE核酸は、エピソームで一過性に発現されてもよいし、あるいは例えば組換え(例えば、LisbyおよびRothstein (2015) Cold Spring Harb Perspect Biol. Mar 2;7(3). pii: a016535. doi: 10.1101/cshperspect.a016535、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、または非相同組込み(例えば、DeyleおよびRussell (2009) Curr Opin Mol Ther. 2009 Aug;11(4):442−7、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)などの周知の技術を用いて、真核細胞ゲノム内に組み込まれてもよい。相同および非相同組換えの効率は、ターゲティング二本鎖ブレーク(DSB)を導入するゲノム編集技術によって促進されうる。DSB生成技術の例は、CRISPR/Cas9、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、または同等の系である(例えば、Congら Science 339.6121 (2013): 819−823, Liら Nucl. Acids Res (2011): gkr188, Gajら Trends in Biotechnology 31.7 (2013): 397−405、これらのすべてが、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、トランスポゾン、例えばスリーピングビューティー(例えば、Singhら(2014) Immunol Rev. 2014 Jan;257(1):181−90. doi: 10.1111/imr.12137、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、例えばFLPレコンビナーゼを用いたターゲティング組換え(例えば、O’Gorman, FoxおよびWahl Science (1991) 15:251(4999):1351−1355、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)、CRE−LOX(例えば、SauerおよびHenderson PNAS (1988): 85; 5166−5170)、または同等の系、あるいはSmart CAR、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARをコードする核酸を、真核細胞ゲノム内に組み込むための当該技術分野に知られる他の技術である。
[000153]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードするポリヌクレオチドは、真核細胞の染色体内に組み込まれてもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードするポリヌクレオチドは、真核細胞中で染色体外に存在してもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードするポリヌクレオチドは、ゲノム編集酵素(CRISPR、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ)、および適切な核酸(Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸を含む)を用いて、組み込まれていてもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸は、例えば、CCR5、AAVS1、ヒトROSA26、またはPSIP1遺伝子座などのゲノム安全ハーバー部位で真核細胞染色体内に組み込まれていてもよい(Sadelainら, Nature Rev. 12:51−58 (2012); Fadelら, J. Virol. 88(17):9704−9717 (2014); Yeら, PNAS 111(26):9591−9596 (2014)、これらはすべて、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)。遺伝子編集系、例えばCRISPR、TALEN、スリーピングビューティートランスポザーゼ、ピギーバック(PiggyBac)トランスポザーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼ系を用いて、CCR5、PSIP1、またはTRAC遺伝子座(T細胞受容体α定常遺伝子座)でのSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸の組み込みを行ってもよい。Eyquemら, Nature 543:113−117 (2017)、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される。真核細胞は、ヒトTリンパ球であってもよく、そしてCRISPR系を用いて、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをCCR5またはPSIP1遺伝子座に組み込む。CRISPR系を用いたCCR5、PSIP1、またはTRAC遺伝子座での核酸の組込みは、CCR5遺伝子、PSIP1遺伝子、またはTRAC遺伝子座の一部またはすべてを欠失させることもまた可能である。真核細胞におけるCas9は、Cas9をコードするプラスミド、Cas9をコードする外因性mRNA、あるいは単独のまたはリボ核タンパク質複合体中の組換えCas9ポリペプチドに由来してもよい(Kimら(2014) Genome 1012−19. doi:10.1101/gr.171322.113.; Wangら(2013) Cell 153 (4). Elsevier Inc.: 910−18. doi:10.1016/j.cell.2013.04.025、これらはどちらも、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)。
[000154]宿主細胞内にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段には、コロイド分散系、例えば巨大分子複合体、ナノカプセル、微小球体、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質に基づく系が含まれる。in vitroおよびin vivoで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系はリポソーム(例えば人工膜小胞)である。核酸の最新技術のターゲティング送達の他の方法、例えばターゲティングナノ粒子でのポリヌクレオチドの送達または他の適切なミクロン未満のサイズの送達系が利用可能である。
[000155]レトロウイルスベクター(オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびプソイド型ベクターを含む)などのウイルスベクターで形質導入を行ってもよく、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、またはセンダイウイルスベクター、エプスタイン−バーウイルス(EBV)ベクター、およびHSVベクターが使用可能である。好ましくは、ウイルスベクターとして、感染細胞において自己複製しないように、複製能を欠くウイルスベクターを用いる。
[000156]レトロウイルスベクターを用いて宿主細胞に形質導入する場合、ベクターによって所持されるLTR配列およびパッケージングシグナル配列に基づいて、適切なパッケージング細胞を選択し、そしてパッケージング細胞を用いてレトロウイルス粒子を調製することによって、プロセスを実行してもよい。パッケージング細胞の例には、PG13(ATCC CRL−10686)、PA317(ATCC CRL−9078)、GP+E−86およびGP+envAm−12(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、米国特許第5,278,056号)、およびPsi−Crip(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol. 85, pp. 6460−6464 (1988))が含まれる。また、高トランスフェクション効率を有する293細胞またはT細胞を用いて、レトロウイルス粒子を調製してもよい。レトロウイルスに基づいて産生される多くの種類のレトロウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターのパッケージングに使用可能なパッケージング細胞が、多くの企業から、広く商業的に入手可能である。
[000157]哺乳動物細胞内への遺伝子移入のため、多くのウイルスに基づく系が開発されてきている。当該技術分野に知られる技術を用いて、選択される遺伝子をベクター内に挿入し、そしてウイルス粒子中にパッケージングすることも可能である。次いで、組換えウイルスを単離し、そしてin vivoまたはex vivoのいずれかで、被験体の細胞に送達してもよい。いくつかのウイルス系が当該技術分野に知られる。アデノウイルスベクターを使用してもよい。いくつかのアデノウイルスベクターが当該技術分野に知られ、そしてこれらが使用可能である。さらに、レンチウイルスベクターを用いてもよい。
[000158]RNAウイルス由来のウイルスベクターを用いて、細胞に、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードするポリヌクレオチドを導入してもよい。RNAウイルスベクターは、RNA制御デバイスおよびCAR構築物をコードするポリヌクレオチドの逆相補体またはアンチセンスをコードしてもよい(相補鎖は、RNA制御デバイス、DE、RDE、CARおよび/またはSide−CAR構築物のセンス鎖をコードする)。したがって、RNA制御デバイスは、一本鎖RNAウイルスベクターにおいては活性でないはずである。RNA制御デバイス、DE、RDE、CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子をコードするRNAウイルス構築物のセンス鎖を用いてもよく、そしてRNA制御デバイス、DE、RDE、CARおよび/またはSide−CAR構築物を含むウイルスベクターは、RNA制御デバイスのセンサー要素のリガンドの存在下(または非存在下)で(あるいはRDEが安定である条件下で)維持され、そして複製されて、RNAの切断を防止する。次いで、ウイルスベクター中でRNA制御デバイス、DE、RDE、CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子構築物のセンス鎖をコードするウイルスベクターをセンサー要素のリガンドとともに(またはこれを伴わずに)維持し、そして複製することも可能である。
[000159]WO 96/10038、WO 97/18185、WO 97/25329、WO 97/30170およびWO 97/31934(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)に記載されるように、リポソームおよび凝集剤(condensing agent)、例えば陽イオン性脂質と組み合わせて、非ウイルスベクターを用いてもよい。リン酸カルシウム形質導入、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、または粒子銃によって、本発明の核酸を細胞内に導入してもよい。
[000160]安定性および/または翻訳効率を促進する能力を持つ化学構造を用いてもよい。RNAは好ましくは5’および3’UTRを有する。5’UTRは、長さ1〜3000ヌクレオチドの間であってもよい。コード領域に付加すべき5’および3’UTR配列の長さは、限定されるわけではないが、UTRの異なる領域にアニーリングするPCRプライマーの設計を含む異なる方法によって、改変可能である。このアプローチを用いて、一般の当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後の最適な翻訳効率を達成するために必要な5’および3’UTRの長さを修飾することも可能である。5’および3’UTRは、関心対象の核酸の天然存在内因性5’および3’UTRであることも可能である。順方向および逆方向プライマー内に、UTR配列を取り込むことによって、あるいはテンプレートに適用される他の修飾技術によって、関心対象の核酸に対して内因性ではないUTR配列を付加することも可能である。関心対象の核酸に対して内因性でないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を修飾するために有用でありうる。例えば、3’UTR配列中のAUリッチ要素は、mRNAの安定性を減少させうることが知られる。したがって、当該技術分野に周知のUTRの特性に基づいて、転写されるRNAの安定性を増加させるように、3’UTRを選択するかまたは設計することも可能である。
[000161]mRNAは、5’および3’ポリ(A)テール上の両方に、細胞におけるmRNAのリボソーム結合、翻訳開始および安定性を決定するキャップを有することも可能である。循環DNAテンプレート、例えばプラスミドDNA上で、RNAポリメラーゼは、真核細胞における発現に適切でない、長い鎖状産物を生じる。3’UTR端で直線化したプラスミドDNAの転写は、通常のサイズのmRNAを生じ、これは、転写後にポリアデニル化されたとしても、真核細胞トランスフェクションには有効ではない。
[000162]核酸を細胞に導入する工程において、導入効率を改善するための機能的物質もまた使用可能である(例えば、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 95/26200およびWO 00/01836)。導入効率を改善するための物質の例には、ウイルスベクターに結合する能力を有する物質、例えばフィブロネクチンおよびフィブロネクチン断片が含まれる。フィブロネクチン断片は、ヘアピン結合部位を有してもよく、例えばRetroNectin(登録商標、CH−296、TAKARA BIO INC.によって製造)として商業的に入手可能である断片を用いてもよい。また、細胞内へのレトロウイルス感染効率を改善する効果を有する合成ポリカチオンであるポリブレン、線維芽細胞増殖因子、V型コラーゲン、ポリリジンまたはDEAE−デキストランも使用可能である。
[000163]機能物質を適切な固相、例えば細胞培養に用いた容器(プレート、ペトリ皿、フラスコまたはバッグ)またはキャリアー(マイクロビーズ等)上に固定してもよい。
Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを発現する真核細胞
[000164]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する細胞は、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEをコードする核酸が導入されそして発現されている細胞であってもよい。
[000165]真核細胞は、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを通じて、特定の抗原に結合して、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを真核細胞内へのシグナルに伝達することも可能であり、そしてその結果、真核細胞が活性化されることも可能である。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを発現する真核細胞の活性化は、真核細胞の種類、ならびにSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARの細胞内要素の種類に応じて多様であることも可能であり、そして例えば、指標として、サイトカイン放出、細胞増殖速度の改善、細胞表面分子の変化等に基づいて確認することも可能である。例えば、活性化細胞からの細胞傷害性サイトカイン(腫瘍壊死因子、リンホトキシン等)の放出は、抗原を発現するターゲット細胞の破壊を引き起こす。さらに、サイトカイン放出または細胞表面分子の変化は、他の免疫細胞、例えばB細胞、樹状細胞、NK細胞、および/またはマクロファージを刺激する。
[000166]CAR、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR構築物を発現する真核細胞は、プロテインL(免疫グロブリンの可変軽鎖(カッパ鎖)に選択的に結合する、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptoccocus magnus)から単離された細菌表面タンパク質)を用いて検出可能である。プロテインLをレポーター(例えば光放出または吸収部分)で直接標識してもよいし、またはビオチンなどの剤で標識してもよい。ビオチンまたは関連分子を用いてプロテインLを標識する場合、レポーター(例えばフィコエリトリン)で標識されたストレプトアビジン(または類似の対分子)を添加することによって、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドをディスプレイする真核細胞へのプロテインLの結合を検出可能である。すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Zhengら, J. Translational Med., 10:29 (2012)。CAR、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR構築物を含有する真核細胞に対するプロテインL結合は、真核細胞上の、抗体軽鎖、CARの細胞外ドメインの存在を示しうる。真核細胞上でのCAR発現を検出するこの方法を用いて、真核細胞表面上でのCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を定量化することもまた可能である。CAR、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR構築物を含む真核細胞を作製するため、QCおよびQA方法論で、プロテインLを用いてもよい。
[000167]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を療法剤として用いて、疾患を治療してもよい。この療法剤は、活性成分として、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を含んでもよく、そして適切な賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤の例には、組成物のための薬学的に許容されうる賦形剤が含まれる。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を投与する疾患は、疾患が真核細胞に対する感受性を示すならば、特に限定されない。本発明の疾患の例には、癌(血液癌(白血病)、固形腫瘍(卵巣癌)等)、炎症性疾患/自己免疫疾患(喘息、湿疹)、肝炎、ならびにその原因がウイルス、例えばインフルエンザおよびHIV、細菌、または真菌である感染性疾患、例えば結核、MRSA、VRE、および深在性真菌症が含まれる。自己免疫疾患(例えば尋常性天疱瘡、エリテマトーデス、関節リウマチ)を、自己免疫疾患を引き起こす免疫タンパク質に結合する、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEで治療してもよい。例えば、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞は、自己免疫疾患を引き起こす抗体を作製する細胞をターゲティングしうる。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞は、自己免疫疾患を引き起こすT−リンパ球をターゲティングしうる。
[000168]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを療法剤として用いて、アレルギーを治療してもよい。こうした療法剤は、活性成分として、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を含んでもよく、そして適切な賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤の例には、組成物のための薬学的に許容されうる賦形剤が含まれる。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞で治療可能なアレルギーの例には、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギーが含まれる。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞は、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギー性反応を引き起こす抗体を作製する細胞をターゲティングしうる。ターゲティングされる細胞は、B細胞、メモリーB細胞、形質細胞、プレB細胞、および前駆体B細胞の1またはそれより多くであってもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞は、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギー性反応を引き起こすT−リンパ球をターゲティングしうる。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEは、抗体またはT細胞受容体のイディオタイプ決定基に結合可能である。
[000169]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を、疾患または状態の治療のために投与してもよい。これらの真核細胞を、骨髄移植後または放射線曝露後、再発性白血病の寛解の目的のためのドナーリンパ球輸血後の感染性疾患などの防止のために利用してもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する真核細胞を含む療法剤が活性成分であることも可能であり、そしてこれらを、皮内、筋内、皮下、腹腔内、鼻内、動脈内、静脈内、腫瘍内で、あるいは輸入リンパ管内に、非経口投与によって、例えば注射または注入によって投与することも可能であるが、投与経路は限定されない。
[000170]被験体への投与前に、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを含む真核細胞を特徴付けてもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを含む真核細胞を試験して、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDE発現を確認してもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを含む真核細胞を、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現の所望のレベルを生じるリガンド(単数または複数)のレベルに曝露してもよい。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドのこの所望のレベルは、被験体に配置された際、抗ターゲット細胞活性の所望のレベル、および/または増殖活性の所望のレベルを持つ真核細胞を生じることも可能である。
[000171]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを、攻撃的抗腫瘍特性を有するTリンパ球、例えばすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Pegramら, CD28z CARs and armored CARs, 2014, Cancer J. 20(2):127−133に記載されるものとともに用いてもよい。RNA制御デバイスを、Tリンパ球中で、アーマード(armored)CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドとともに用いてもよい。
[000172]上述のSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDE態様にはまた、LEMまたはDE−LEMの制御された発現を提供する、DE−LEM、RDE−LEM、SmartLEM、Smart−DE−LEM、Smart−RDE−LEM、DE−RDE−LEM、および/またはSmart−DE−RDE−LEMもまた含まれてもよい。その拡大シグナルが、所望の時点で提供されるように、LEMまたはDE−LEMの量を制御してもよい。拡大シグナルのこの制御は、LEMまたはDE−LEMと関連するDE(単数または複数)および/またはRNA制御デバイスのリガンド(単数または複数)の量を改変し、それによってLEMまたはDE−LEMの量を改変することによって達成される。LEM拡大シグナルの制御はまた、所望の時点で、真核細胞に外因性LEMを添加することによっても達成可能である。
薬学的組成物
[000173]本発明の薬学的組成物は、本明細書に記載するようなSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する細胞、例えば複数のSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子−RDEを発現する細胞を、1またはそれより多い薬学的または生理学的に許容されうるキャリアー、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含んでもよい。こうした組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等の緩衝剤;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質:ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;酸化防止剤:EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば水酸化アルミニウム);および保存剤を含んでもよい。本発明の組成物は、1つの側面において、静脈内投与のために配合される。
[000174]薬学的組成物を、治療しようとする(または予防しようとする)疾患に適した方式で投与することも可能である。投与の量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患のタイプおよび重症度のような要因によって決定されるであろうが、適切な投薬量は臨床試験によって決定されうる。
[000175]適切な薬学的に許容されうる賦形剤は当業者に周知である。薬学的に許容されうる賦形剤の例には、リン酸緩衝生理食塩水(例えば、0.01Mリン酸、0.138M NaCl、0.0027M KCl、pH7.4)、鉱酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、または硫酸塩を含有する水溶液、生理食塩水、グリコールまたはエタノールの溶液、および有機酸塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩または安息香酸塩が含まれる。湿潤剤または乳化剤のようなアジュバント、およびpH緩衝剤もまた使用可能である。Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co.、ニュージャージー州、1991)(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される)に記載される薬学的に許容されうる賦形剤は適切に使用可能である。組成物を、非経口投与、例えば注射または注入に適した既知の型に配合してもよい。組成物は、配合添加剤、例えば懸濁剤、保存剤、安定化剤および/または分散剤、および貯蔵中の有効期間を延長させるための保存剤を含んでもよい。
[000176]活性成分として本明細書に記載する真核細胞を含む組成物を、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドが結合する抗原に依存して、癌(血液癌(白血病)、固形腫瘍(卵巣癌)等)、炎症性疾患/自己免疫疾患(尋常性天疱瘡、エリテマトーデス、関節リウマチ、喘息、湿疹)、肝炎、ならびにその原因がウイルス、例えばインフルエンザおよびHIV、細菌、または真菌である感染性疾患、例えば結核、MRSA、VRE、または深在性真菌症などの疾患の治療のために投与してもよい。
[000177]エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、植え込みまたは移植によるものを含めた、任意の好適な方式で、対象組成物の投与を実行してもよい。本明細書記載の組成物を、患者に、経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、節内(intranodally)、髄内、筋内、鼻内、動脈内、腫瘍内、輸入リンパ管内、静脈内(i.v.)注射または腹腔内で患者に投与してもよい。1つの側面において、本発明のT細胞組成物を、皮内または皮下注射によって患者に投与する。1つの側面において、本発明のT細胞組成物を、i.v.注射によって投与する。T細胞組成物を、腫瘍、リンパ節または感染部位内に直接注射してもよい。養子移入によって投与を行ってもよい。
[000178]「免疫学的有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」、または「療法量」と示される場合、投与すべき本発明の組成物の正確な量は、患者(被験体)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の度合い、および状態の個々の相違を考慮して、医師によって決定可能である。本明細書記載の真核細胞を含む薬学的組成物を、この範囲内のすべての整数値を含む、104〜109細胞/kg体重、いくつかの場合、105〜106細胞/kg体重の投薬量で投与してもよい。また、真核細胞組成物をこれらの投薬量で多数回投与してもよい。また、免疫療法に一般的に知られる注入技術を用いることによって、真核細胞を投与してもよい(例えば、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Rosenbergら, New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照されたい)。
真核細胞の使用
[000179]Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、Side−CAR(単数または複数)、および/または導入遺伝子−RDE(単数または複数)をコードする核酸を用いて、真核細胞において、CAR、DE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子ポリペプチドを発現させてもよい。真核細胞は、例えばヒト細胞またはネズミ細胞を含む哺乳動物細胞であってもよい。真核細胞はまた、例えば、T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、またはマクロファージを含む、例えば造血細胞であってもよい。
[000180]Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、Side−CAR(単数または複数)、および/または導入遺伝子−RDE(単数または複数)をコードする核酸を用いて、真核細胞表面上で、所望のレベルのCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを発現させてもよい。この側面において、DE、RNA制御デバイス、RDE、および/またはSide−CARは、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現レベルを、少なくとも部分的に制御し、そしてDE、RNA制御デバイス、RDE、および/またはSide−CARの活性レベルを調節することによって、所望の量のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドが、真核細胞表面上で発現され、そしてディスプレイされる。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドに特異的な抗体を用いて、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を測定してもよい。細胞外要素によって認識される抗原を用いて、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を測定してもよい。ターゲット細胞殺傷の機能アッセイにおいて、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を測定してもよい。(CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドによって誘導される)真核細胞増殖に関する機能アッセイにおいて、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を測定してもよい。上記真核細胞は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞またはマクロファージまたは他の食細胞タイプであってもよい。
[000181]DEのリガンド、RNA制御デバイスセンサーのリガンド、および/またはSide−CARのリガンドを、所望のレベルの真核細胞活性が得られるまで、増加する量で添加してもよい。所望の真核細胞活性は、ターゲット細胞の殺傷であってもよい。ターゲット細胞殺傷は、所望の期間に渡って起こることも可能であり、例えば特定の数のターゲット細胞の殺傷が、12時間、または24時間、または36時間、または2日間、あるいは3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日間、あるいは2ヶ月、あるいは3、4、5、または6ヶ月間に起こることも可能である。ターゲット細胞殺傷は、ターゲット細胞の標準化された数に関する半減期として表されてもよい。ターゲット細胞殺傷の半減期は、12時間、24時間、36時間、あるいは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日間、あるいは2ヶ月、あるいは3、4、5、または6ヶ月であってもよい。所望の真核細胞活性は増殖であってもよい。細胞増殖は、12時間、24時間、36時間、2日間、あるいは3、4、5、6、または7日の倍加時間で起こってもよい。上記真核細胞は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞またはマクロファージまたは他の食細胞タイプであってもよい。
[000182]異なる所望のレベルのCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドが異なる時点で真核細胞上に存在するように、異なる量の(センサー、DE、および/またはSide−CARの)リガンドの投与計画を、経時的に添加してもよい。例えば、Smart−Car、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞、あるいはSmart−Car、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARナチュラルキラー細胞での患者における癌の治療において、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現の量をまず減少させて、腫瘍溶解による毒性を減少させることも可能であり、そして腫瘍塊が排除されるにつれて、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現の量を増加させて、腫瘍細胞が体内でより稀になるため、残りの腫瘍細胞を殺すことも可能である。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現を最初に増加させてもよく、そして腫瘍塊が減少するため、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド発現レベルが減少して、やはりターゲット抗原を発現しうる健康な組織の殺傷を減少させる。正常組織の殺傷に対する腫瘍細胞殺傷比が所望の範囲内で維持されるように、腫瘍細胞に対する反応性を調節することも可能である。真核細胞表面上で発現されるCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量は、真核細胞増殖によって減少しうる。真核細胞が増殖するにつれて、Smart Car、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CAR核酸からの発現レベルが、親真核細胞で見られるレベルのCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドコピー数を維持するために不十分である場合、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドは希釈されるであろう(すなわち、親細胞が、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量を倍増しなければ、各娘細胞は親細胞に比較して減少した量のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを有するであろう)。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドは、被験体における真核細胞の倍加時間に比較して、短い半減期を有するように設計可能である。リガンド(単数または複数)は、被験体における真核細胞の倍加時間に比較して、被験体において短い半減期を有してもよい。抗リガンド抗体または異なるリガンド結合分子を被験体に投与するかまたは真核細胞に提供して(in vitro)、リガンドが抗体またはリガンド結合分子に結合し、そしてDE、RNA制御デバイスセンサー、および/またはSide−CARと反応不能であるようにしてもよい。上記真核細胞は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞またはマクロファージまたは他の食細胞タイプであってもよい。
[000183]Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)を含む真核細胞は、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを含む真核細胞を含有する被験体が、療法レベルのターゲット細胞殺傷を生じつつ、毒性および副作用を許容されうるレベルに維持するように、所望の量のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを発現することも可能である。上記真核細胞は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞またはマクロファージまたは他の免疫細胞タイプであってもよい。例えば、本発明のSmart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)を用いて、腫瘍溶解症候群、サイトカインストーム、あるいはSmart Car、DE−CAR、Smart−DE−CAR、および/またはSide−CARを含むTリンパ球による健康な組織の殺傷を減少させることも可能である。
[000184]Smart CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを2またはそれより多いRNA制御デバイスと関連付けてもよい。DE、Side−CARの2またはそれより多いリガンド、および/または2またはそれより多いRNA制御デバイスの異なる量を真核細胞に添加して、真核細胞において、所望の量のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを産生することも可能である。異なる療法措置のリガンドの組み合わせを真核細胞に適用して、真核細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドの量の経時的な所望のプロファイルを生じることも可能である。
[000185]所望の量のCAR発現は、Tリンパ球消耗、機能不全、および/または他の制御不全プロセス(例えば細胞運命の変化、または例えば解糖を達成する代謝の変化)を最小限の量にしながら、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞のエフェクター機能を活性化しうる。所望の量のCAR発現は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞が消耗するかまたは機能不全になるようにする細胞の阻害、消耗、および/または機能不全を最小限の量にしながら、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞のエフェクター機能を活性化しうる。所望の量のCAR発現は、ターゲット細胞に存在するターゲット抗原に反応したエフェクター機能の所望のダイナミックレンジを提供しうる。所望の量のCAR発現は、所望の範囲のエフェクター機能を提供しうる。例えばターゲット細胞が高密度のターゲット抗原を有し、そして健康な非ターゲット細胞が低密度のターゲット抗原を有する場合には、所望の量のCAR発現は、小さいダイナミックレンジのエフェクター機能を提供する(オンオフスイッチのように作用する)ことも可能である。所望の量のCAR発現は、真核細胞が、ターゲット細胞(オン−CARがエフェクター機能を活性化する)に対する健康な正常細胞(オフ−CARがほとんどまたはまったくエフェクター機能を活性化しない)の間を区別することを可能にする。所望の量のCAR発現は、操作された真核細胞(例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞)のターゲット細胞に関するアビディティを増加させることも可能であり、それによって、ターゲット細胞に対する効果が増加する。所望の量のCAR発現は、操作された真核細胞(例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞)のターゲット細胞に関するアビディティを増加させることも可能であり、それによってターゲット細胞殺傷が増進する。所望の量のCAR発現は、操作された造血細胞(例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞)のターゲット細胞に関するアビディティを増加させることも可能であり、それによってサイトカイン分泌が増進する。
[000186]T細胞(例えばCD4+またはCD8+)またはナチュラルキラー細胞を、Smart Car、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARをコードするポリヌクレオチドで操作することも可能である。RNA制御デバイス、DE、またはSide CARのリガンドをT細胞(例えばCD4+またはCD8+)またはナチュラルキラー細胞に増加する量で添加して、所望の量のエフェクター機能を得ることも可能である。所望の量のエフェクター機能は、ターゲット細胞上のターゲット抗原の既知の量(および/または密度)でのエフェクター機能の最適化された量であってもよい。エフェクター機能は、ターゲット細胞殺傷、宿主免疫細胞の活性化、サイトカイン分泌、グランザイムの産生、アポトーシス誘導性リガンドの産生、免疫系を調節する他のリガンドの産生等であってもよい。エフェクター機能は、サイトカイン、例えばIL−2、IFN−γ、TNF−α、TGF−β、および/またはIL−10などの分泌であってもよい。エフェクター機能は、ターゲット細胞の殺傷であってもよい。ターゲット細胞はグランザイムで殺傷されてもよい。ターゲット細胞は、アポトーシスを経るように誘導されてもよい。CARを含む真核細胞は、アポトーシスおよびグランザイムを通じてターゲット細胞を殺傷しうる。最適なリガンド濃度は、エフェクター機能を増加させうる。リガンドの最適濃度は、エフェクター機能のダイナミックレンジ(ターゲット抗原に反応したエフェクター活性)を増加させうる。リガンドの最適濃度は、エフェクター細胞の所望の量、ならびに真核細胞(例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞)の消耗、機能不全、および/または阻害の所望の(または許容されうる)量を提供しうる。活性の最適量は、所望の増殖活性を生じうる。活性の最適量は、ターゲット結合の量またはエフェクター活性(例えばターゲット細胞殺傷)の量であってもよい。最適CAR、DE−CAR、および/またはSide−CAR発現は、真核細胞が適切な免疫細胞である場合、メモリー細胞形成の所望の速度を提供しうる。最適化可能な他の真核細胞活性には、疾患治療に有用な任意の活性が含まれ、これには例えば、メモリー細胞形成速度、サイトカイン放出速度、食作用、ターゲット結合、生得的骨髄またはリンパ細胞の補充、エピトープ伝播、消耗の発展、細胞機能不全の発展、および/または真核細胞機能の阻害が含まれる。
[000187]RDE、DE、RNA制御デバイス、またはSide CAR制御要素を用いて、導入遺伝子発現を制御してもよい。この導入遺伝子発現は、ターゲット部位にペイロードを送達しうる。導入遺伝子発現は、真核細胞において所望の変化を引き起こしうる。GAPDHによって制御されるRDEをペイロード送達に用いて、そして真核細胞(例えばT細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または他の抗原提示細胞)がターゲット部位に到達したら、これらは(例えばCARによって)活性化されうる。CARを通じたターゲット部位での真核細胞の活性化に際して、細胞は解糖を誘導し、そしてGAPDHがRDEから放出されて、ペイロード発現および送達が可能になる。ターゲット部位は、腫瘍または感染であってもよく、そして導入遺伝子は、サイトカイン、ケモカイン、抗体、チェックポイント阻害剤、グランザイム、アポトーシス誘導剤、補体、細胞傷害性小分子を作製するための酵素、ペプチドまたは糖を切断する酵素(例えばバイオフィルムを消化するため)、他の細胞傷害性化合物、あるいはターゲット部位で所望の効果を有しうる他のポリペプチドであってもよい。チェックポイント阻害剤には、免疫チェックポイントとして作用する剤が含まれ、これには例えば、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、プログラム細胞死タンパク質(PD−1)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、およびリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)が含まれる。ペイロードとして使用されうるチェックポイント阻害剤の例には、例えばニボルマブ(オプディーボ)、ペムブロリズマブ(キートルーダ)、アテゾリズマブ(テセントリク)、イピリムマブ(エルボイ)、リリルマブ、およびBMS−986016が含まれる。ニボルマブ、アテゾリズマブおよびペムブロリズマブは、チェックポイントタンパク質PD−1で作用し、そして抗腫瘍免疫細胞のアポトーシスを阻害する。いくつかのチェックポイント阻害剤は、PD−1およびそのリガンドPD−L1の間の相互作用を防止する。イピリムマブはCTLA4で作用して、そして腫瘍においてCTLA4が活性化T細胞を下方制御するのを防止する。リリルマブはKIRで作用して、そしてナチュラルキラー細胞の活性化を促進する。BMS−986016はLAG3で作用して、そして抗原特異的Tリンパ球を活性化し、そして腫瘍細胞の細胞傷害性T細胞仲介性溶解を増進する。サイトカインには、例えば、IL−2、IL−12、IL−15、IL−18、IFN−γ、TNF−α、TGF−β、および/またはIL−10が含まれうる。細胞傷害性剤には、例えば、グランザイム、アポトーシス誘導剤、補体、または細胞傷害性小分子が含まれてもよい。ターゲット部位(例えば非腫瘍ターゲット部位)に送達されるペイロードは、ターゲット部位を保護する因子、例えば抗炎症性因子、T制御性細胞を部位に誘引する因子、あるいは免疫活性の抑制および減少を引き起こすサイトカインまたは他の因子であってもよい。ペイロードは、ペプチドまたは糖を切断する酵素、例えばヒアルロニダーゼ、ヘパラナーゼ、メタロプロテイナーゼ、および例えば望ましくないバイオフィルムを消化するために使用可能である他のプロテイナーゼであってもよい。ペイロードは、ターゲット部位が画像化されることを可能にする画像化剤であってもよい。ペイロードは、直接画像化可能なポリペプチドであってもよいし、または基質と相互作用して、画像化可能な産物を作製するポリペプチドであってもよく、画像化ポリペプチドには、例えばチミジンキナーゼ(PET)、ドーパミンD2(D2R)受容体、ヨウ化ナトリウム輸送体(NIS)、デオキシシチジンキナーゼ、ソマトスタチン受容体サブタイプ2、ノルエピネフリン輸送体(NET)、カンナビノイド受容体、グルコース輸送体(Glut1)、チロシナーゼ、ヨウ化ナトリウム輸送体、ドーパミンD2(D2R)受容体、修飾ハロアルカンデハロゲナーゼ、チロシナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびソマトスタチン受容体2が含まれる。これらの受容体ペイロードは、例えば光学画像化、超音波画像化、コンピュータ断層撮影画像化、光干渉断層撮影画像化、X線検査画像化、核医学的画像化、陽電子放出断層撮影画像化、断層撮影画像化、光音響断層撮影画像化、X線画像化、熱画像化、蛍光顕微鏡画像化、生物発光画像化、および蛍光画像化を用いて画像化可能である。これらの画像化法には、陽イオン放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)が含まれる。
[000188]PETレポータープローブ、例えば[18F]9−(4−[18F]−フルオロ−3−ヒドロキシメチルブチル)−グアニン、チミジンキナーゼ(TK)によってリン酸化された際、細胞内に保持されるフッ素−18−標識ペンシクロビル類似体、または5−(76)Br−ブロモ−2’−フルオロ−2’−デオキシウリジンとともに、チミジンキナーゼを用いてもよい。PETレポーター各々に関する適切なレポータープローブが当業者に周知である。ドーパミンD2(D2R)受容体に対する例示的なレポータープローブは、3−(2’−[18F]フルオロエチル)スピペロン(FESP)である(MacLarenら, Gene Ther. 6(5):785−91 (1999))。ヨウ化ナトリウム輸送体の例示的なレポータープローブは124Iであり、124Iは、輸送体による輸送の後に細胞に保持される。デオキシシチジンキナーゼの例示的なレポータープローブは、2’−デオキシ−2’−18F−5−エチル−1−β−d−アラビノフラノシルウラシル(18F−FEAU)である。ソマトスタチン受容体サブタイプ2の例示的なレポータープローブは、111In−、99m/94mTc−、90Y−、または177Lu−標識オクトレオチド類似体、例えば90Y−、または177Lu−標識DOTATOC(Zhangら, J Nucl Med. 50(suppl 2):323 (2009)); 68Ga−DOTATATE;および111In−DOTABASS(例えば、本明細書に援用されるBraderら, J Nucl Med. 54(2):167−172 (2013)を参照されたい)である。ノルエピネフリン輸送体の例示的なレポータープローブは、11C−m−ヒドロキシエピネフリンである(Buursmaら, J Nucl Med. 46:2068−2075 (2005))。カンナビノイド受容体の例示的レポータープローブは、11C−標識CB2リガンド、11C−GW405833である(Vandeputteら, J Nucl Med. 52(7):1102−1109 (2011))。グルコース輸送体の例示的なレポータープローブは、[18F]フルオロ−2−デオキシ−d−グルコースである(Herschman, H.R., Crit Rev Oncology/Hematology 51:191−204 (2004))。チロシナーゼの例示的レポータープローブは、N−(2−(ジエチルアミノ)エチル)−18F−5−フルオロピコリナミドである(Qinら, Sci Rep. 3:1490 (2013))。他のレポータープローブは当該技術分野に記載され、例えば本明細書に援用される、Yaghoubiら, Theranostics 2(4):374−391 (2012)に記載される。
[000189]β−ガラクトシダーゼに関する例示的な光音響受容体プローブは、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシダーゼ(X−gal)である(Liら, J Biomed Opt. 12(2):020504 (2007))。例示的なX線受容体には、とりわけ、ソマトスタチン受容体2、または受容体に基づく結合剤の他のタイプが含まれる。レポータープローブは、レポータープローブに結合し、そして例えばX線またはコンピュータ断層撮影によって画像化される、放射線不透過性標識部分を有してもよい。例示的な放射線不透過性標識は、ヨウ素、特に、ポリヨウ化化学基(例えば米国特許第5,141,739号を参照されたい)、および常磁性標識(例えばガドリニウム)であり、これらを慣用的手段によって、レポータープローブに付着させてもよい。光学的画像化剤には、例えば、蛍光ポリペプチドが含まれる。蛍光ポリペプチドには、例えば、オワンクラゲ(Aequorea victoria)またはウミシイタケ(Renilla reniformis)由来の緑色蛍光タンパク質、およびその活性変異体(例えば青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質等)、ヒドロ虫(Hydroid)、クラゲ(jelly fishes)、カイアシ類(Copepod)、有櫛動物門(Ctenophora)、花虫綱(Anthrozoa)、およびサンゴイソギンチャク(Entacmaea quadricolor)由来の蛍光タンパク質、およびその活性変異体;ならびにフィコビリタンパク質およびその活性変異体が含まれる。光学画像化剤はまた、生物発光ポリペプチドであってもよい。これらには、例えば、エクオリン(および他のCa2+制御光タンパク質)、ルシフェリン基質に基づくルシフェラーゼ、コエレンテラジン基質に基づくルシフェラーゼ(例えばレニラ属(Renilla)、ガウシア属(Gaussia)、およびメトリジナ属(Metridina))、およびシプリジナ属(Cypridina)由来のルシフェラーゼ、ならびにその活性変異体が含まれる。
[000190]CAR発現の所望の量は、ターゲット細胞濃度、ターゲット抗原密度、ターゲット細胞が他のターゲット細胞と会合しているかどうか(例えば腫瘍またはバイオフィルム中)、ターゲット抗原に関する細胞外要素(抗原結合要素)の結合アフィニティ(Kd)、およびCARを含む真核細胞の濃度を考慮することも可能である。これらのパラメータを用いて、所望のレベルのCAR発現を定義するであろう、真核細胞上のCARの所望の密度に到達することも可能である。所望の量のCAR発現はまた、真核細胞上で発現される阻害性受容体(IR)の量、およびターゲット(および他の)細胞上で発現される阻害性受容体リガンド(IRL)の量を考慮することも可能である。以下の等式を用いて、少なくとも部分的に、CAR発現の所望の量に到達することも可能である:
CAR発現=[ターゲット細胞][ターゲット抗原密度][Kd][真核細胞] I
CAR発現=[ターゲット細胞][ターゲット抗原密度][K d ][真核細胞] II
[IR][IRL]
[000191]等式IIには、場合によって、分母に[健康な細胞上のターゲット抗原密度]が含まれてもよい。
[000192]CAR発現の所望の量は、真核細胞表面上に所望の数のCARを生じうる。CAR発現の所望の量は、真核細胞表面上に2〜100,000CAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。真核細胞は、Tリンパ球であってもよく、そしてTリンパ球表面上のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)の数は、2〜100,000であってもよい。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、マイクロモル濃度(μM)範囲のアフィニティでターゲットリガンドに結合してもよく、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、100〜500,000であってもよい。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、ナノモル濃度(nM)範囲のアフィニティでターゲットリガンドに結合してもよく、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、2〜100,000であってもよい。
[000193]所望の量のCAR発現は、真核細胞表面上に、2〜1,000、10〜1,000、10〜5,000、10〜10,000、10〜50,000、10〜100,000、10〜500,000、または10〜1,000,000のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。所望の量のCAR発現は、真核細胞表面上に、100〜1,000、100〜5,000、100〜10,000、100〜50,000、100〜100,000、100〜500,000、100〜1,000,000、1,000〜5,000、1,000〜10,000、1,000〜50,000、1,000〜100,000、1,000〜500,000、1,000〜1,000,000、10,000〜50,000、10,000〜100,000、10,000〜500,000、または10,000〜1,000,000のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。所望の量のCAR発現は、真核細胞表面上に、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、30,000、31,000、32,000、33,000、34,000、35,000、36,000、37,000、38,000、39,000、40,000、41,000、42,000、43,000、44,000、45,000、46,000、47,000、48,000、49,000、50,000、51,000、52,000、53,000、54,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000または100,000のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。所望の量のCAR発現は、真核細胞表面上に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、30,000、31,000、32,000、33,000、34,000、35,000、36,000、37,000、38,000、39,000、40,000、41,000、42,000、43,000、44,000、45,000、46,000、47,000、48,000、49,000、50,000、51,000、52,000、53,000、54,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000または100,000未満のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。所望の量のCAR発現は、真核細胞表面上に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、30,000、31,000、32,000、33,000、34,000、35,000、36,000、37,000、38,000、39,000、40,000、41,000、42,000、43,000、44,000、45,000、46,000、47,000、48,000、49,000、50,000、51,000、52,000、53,000、54,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000または100,000のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)を生じうる。真核細胞は、Tリンパ球であってもよく、そしてTリンパ球表面上のCAR(あるいはDE−CARまたはSide−CAR)は、100〜100,000であってもよい。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、マイクロモル濃度(μM)範囲(例えば1〜500μM)のアフィニティでターゲットリガンドに結合可能であり、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、100〜100,000でありうる。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、マイクロモル濃度(μM)範囲のアフィニティでターゲットリガンドに結合可能であり、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、100〜1,000、100〜5,000、100〜10,000、100〜50,000、100〜100,000、100〜500,000、100〜1,000,000、1,000〜5,000、1,000〜10,000、1,000〜50,000、1,000〜100,000、1,000〜500,000、1,000〜1,000,000、10,000〜50,000、10,000〜100,000、10,000〜500,000、または10,000〜1,000,000でありうる。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、ナノモル濃度(nM)範囲のアフィニティでターゲットリガンドに結合可能であり、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、10〜100,000でありうる。CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARは、ナノモル濃度(nM)範囲(例えば1〜500nM)のアフィニティでターゲットリガンドに結合可能であり、そしてTリンパ球またはナチュラルキラー細胞表面上のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARの所望の数は、100〜1,000、100〜5,000、100〜10,000、100〜50,000、100〜100,000、100〜500,000、100〜1,000,000、1,000〜5,000、1,000〜10,000、1,000〜50,000、1,000〜100,000、1,000〜500,000、1,000〜1,000,000、10,000〜50,000、10,000〜100,000、10,000〜500,000、または10,000〜1,000,000でありうる。
[000194]所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えば時間の関数としてのターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する所望の量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最大量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最適な量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する所望の活性速度最大値(Cmaxと類似)を生じる量であってもよい。所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最大活性速度を生じる量であってもよい。所望の量のCAR発現は、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最適な活性速度を生じる量であってもよい。カスタマイズ可能な真核細胞活性には、例えば、疾患の治療に有用な任意の活性が含まれ、これには例えば、増殖速度、メモリー細胞形成速度、サイトカイン放出速度、食作用、ターゲット結合、生得的骨髄またはリンパ細胞の補充、エピトープ伝播、消耗の発展、細胞機能不全の発展、および/または真核細胞機能の阻害が含まれる。1つの側面において、所望の量のCAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチド(単数または複数)は、真核細胞の消耗、機能不全、および/または阻害シグナルが最小限になりうるようなものであってもよい。
[000195]所望の量のCAR発現は、所望の量の消耗、機能不全、および/または阻害性受容体活性および/または発現で、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する所望の量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、許容されうる量の阻害活性、Tリンパ球機能不全活性、および/または消耗で、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する所望の量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、最小量の宿主細胞機能不全、消耗、および/または阻害性受容体発現で、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最大量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、最小量の宿主細胞機能不全で、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する最大量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、阻害活性に関する曲線下面積に対して、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する曲線下面積の所望の比で、所望の活性に関する最大量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、宿主細胞機能不全に関する曲線下面積に対して、所望の活性(例えばターゲット細胞殺傷および/またはサイトカイン放出)に関する曲線下面積の所望の比で、所望の活性に関する最大量の曲線下面積を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、阻害性受容体活性に関する曲線下面積に対する、エフェクター機能に関する曲線下面積の最大比を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、宿主細胞機能不全活性に関する曲線下面積に対する、エフェクター機能に関する曲線下面積の最大比を生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、阻害性または機能不全活性、および/または消耗に関する曲線下面積に対する、エフェクター機能に関する曲線下面積の最大比を生じる量であることも可能である。
[000196]所望の量のCAR発現は、ある期間に渡って、所望の活性に関する所望の曲線下面積、および次のオンサイクル(エフェクター機能のためのサイクル)のため、CAR細胞が(オフ期間中に)所望の活性を回復する(または維持する)所望の期間の長さを生じる量であることも可能である。所望の量のCAR発現は、所望の活性に関する所望の曲線下面積および(オフ期間中に)所望のエフェクター機能を回復するために所望の長さの時間を生じうる。所望の量のCAR発現は、エフェクター機能が誘導される速度、Tリンパ球(またはナチュラルキラー細胞)の阻害性機能、消耗、および/または機能不全が誘導される速度、ならびにCAR発現が停止された際に、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞から阻害性受容体が失われ、そして/または阻害活性が失われる速度と相関することも可能である。
[000197]所望の量のCAR発現をサイクリングして、真核細胞がオン(真核細胞およびエフェクター機能の活性化)およびオフ(活性化なし−阻害性受容体の下方制御)の期間を経験するようにすることも可能である。所望の量のCAR発現をサイクリングして、CAR真核細胞によって活性化される細胞をサイクリングし、例えばCARを含む真核細胞(および該真核細胞によって活性化される他の免疫細胞)によって発現されるサイトカインによって活性化される細胞をサイクリングすることも可能である。Tリンパ球および/またはナチュラルキラー細胞を操作して、例えばPD−1およびCTLA−4を含む阻害性受容体発現をノックアウトしてもよい。活性化および不活性化状態に沿ったCAR発現のサイクリングを集団に基づいて行ってもよい。活性化および不活性化状態に沿ったCAR発現のサイクリングを個々の真核細胞に関して行ってもよい。
[000198]時間の関数としての所望のエフェクター活性の一次導関数(最大値を見つけるため)を取ることによって、CAR、DE−CAR、またはSide−CARの最適発現を決定することも可能である。以下の等式を用いて、エフェクター活性を記載することも可能であり、これは、阻害関連シグナル伝達分子の生成速度(FI)を引き、そして場合によって代謝状態における改変に依存するエフェクター機能パラメータQmのある程度の損失を引いた、活性化関連シグナル伝達分子の生成速度(FA)に依存しうる。
[000199]
[000200]FAは、dNA/dtともまた表しうる、活性化分子生成速度である。FAはNRT(ターゲットに結合した受容体の瞬間的な数)、ならびに定数、c活性化に線形に依存しうる。
[000201]
[000201]NRTは、反応等式、ならびに会合および解離の対応する速度を通じて見出されうる。
[000203]
[000204]
[000205]
[000206]この一次ODEをdNRTに関して解く。
[000207]
[000208]平衡条件で、dNRT/dtは0にセットされ、等式FAに代入可能であるNRTを残し、純粋にNR(受容体数)、NT(ターゲット数)、そのターゲットに対する抗体アフィニティによって定義される、受容体ターゲット複合体の会合および解離の速度定数である受容体k1およびk_1に依存する。
[000209]
[000210]F1に関しては、本発明者らは、活性の負のフィードバックを提供することを求め、これは観察される生物学的機能と一致する。ここで、本発明者らは、これをNAならびに定数c2およびc阻害の指数関数として表す。
[000211]
[000212]Qの場合による型は、NAの任意関数であることも可能であり、これはまたしばしば活性化状態に依存する。
[000213]
[000214]これらの等式を用いて、Eをプロットすることも可能であり、そして所定のnT、k1、k_1および多様なNRに関して、最大Eは図4に示すように同定されうる。図4は、細胞上のCAR受容体の数の関数としてのエフェクター機能(E)、活性化(エフェクター機能の)シグナルまたは分子の活性化(NA)、および阻害(エフェクター機能の)シグナルまたは分子(NI)のグラフを示す。図4のグラフは、セットターゲット濃度を有し、そしてグラフは、真核細胞表面上で発現されうるCAR受容体の最大数未満のCAR受容体数で生じる、最大(およびいくつかの場合最適)エフェクター機能を示す。
[000215]所望の量のCAR発現は、真核宿主細胞活性化(CAR発現と相関するようなもの)の競合プロセスおよび宿主細胞のエフェクター機能の阻害(不活性化、機能不全、および/または消耗)を考慮してもよい。所望の量のCAR発現は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞活性化(CAR発現と相関するようなもの)の競合プロセスおよびエフェクター機能の阻害(不活性化、機能不全、および/または消耗)を考慮してもよい。図5は、阻害(消耗、機能不全および/または不活性化)が上昇するにつれて、Tリンパ球活性化(宿主細胞のエフェクター機能)が減少することを示す。Smart−CAR宿主細胞の機能可能であるウィンドウは、図5に示すようなこれらの2つのプロセスによって定義されうる。Smart−CAR宿主細胞を、エフェクター機能を機能ウインドウ中に維持するリガンドのサイクルに曝露することも可能である(CAR発現を停止することによって、宿主細胞は活性化を減少させるはずであり、これが続いて、宿主細胞における阻害性プロセス、例えば阻害性受容体の発現を減少させるであろう)。
[000216]図7は、本明細書の最後のpythonコードのプログラムによって計算されるような、時間に対するエフェクター機能(E)、ターゲット細胞数(nT)、CAR受容体数(nR)、およびCAR受容体−ターゲット細胞相互作用の数(nRT)に関する計算されたグラフを示す。最大エフェクター機能(E)は、CAR受容体が刺激の時間全体で抗原と関連するという事実にも関わらず、時間0.7で到達可能である。明細書の最後のpythonプログラムを、ターゲット細胞数(nT)、CAR受容体数(nR)、およびCAR受容体−ターゲット細胞相互作用の数(nRT)の異なるパラメータと共に用いて、最大エフェクター機能をモデリングすることも可能である。
[000217]図7は、CARコピー数、ターゲット抗原(エピトープ)数、およびその抗原(エピトープ)に関するCAR結合アフィニティの関数として、エフェクター活性を見る図を示す。CARコピー数、抗原に対するCARアフィニティ、およびターゲットエピトープのコピー数の変数が、細胞において所望の量のエフェクター活性を生じるように協調している場合、最適CAR活性を得ることも可能である。制御デバイスは、CARコピー数を制御して、図7の最適CAR活性範囲にエフェクター機能の量を維持することも可能である。ターゲットエピトープのコピー数が減少するにつれて(ターゲット細胞が死ぬにつれて)、CARコピー数が増加して、CARに結合して、そしてこれらを活性化させるために利用可能なターゲット抗原の量の減少を補償することも可能である。
[000218]所望の量のCAR発現をサイクリングして、真核細胞(または真核細胞集団)がオン(細胞およびエフェクター機能の活性化)およびオフ(活性化なし−阻害性受容体、阻害剤活性、および/または機能不全の下方制御)の期間を経験するようにすることも可能である。所望の量のCAR発現をサイクリングして、CAR真核細胞によって誘導される細胞の活性をサイクリングし、例えばCARを含む真核細胞(および該真核細胞によって活性化される他の免疫細胞)によって発現されるサイトカインによって活性化される細胞をサイクリングすることも可能である。Tリンパ球および/またはナチュラルキラー細胞を操作して、阻害性受容体発現をノックアウトするか、または例えばPD−1、CTLA−4、TIM−3、LAG−3、T−betおよび/またはBlimp−1を含む、機能不全および/または消耗を引き起こす他の因子をノックアウトしてもよい。活性化および不活性化状態に沿ったCAR発現のサイクリングを集団に基づいて行ってもよい。活性化および不活性化状態に沿ったCAR発現のサイクリングを個々の真核細胞に関して行ってもよい。
[000219]癌免疫療法のため、Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)を、T細胞を遺伝子操作するために用いてもよい。いくつかの免疫療法適用に用いる場合、白血球フェレーシスを通じて、白血球を患者から除去して、そしてTリンパ球を優先的にソーティングし、そして保存する。Tリンパ球を、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARをコードする導入遺伝子のレンチウイルスまたはレトロウイルス導入(または核酸導入の他の手段)に供し、ターゲット療法細胞濃度まで拡大し、そして患者に注入し、ほとんど移植片対宿主合併症を伴わずに、自家治療を生じる。CARは、難治性/再発性急性リンパ芽球性白血病に対する寛解を達成し、そして維持する際に非常に有効であることが示されてきている(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Maudeら, NEJM, 371:1507, 2014)が、サイトカイン放出症候群(CRS)、腫瘍溶解症候群(TLS)、B細胞形成不全または「オン腫瘍、オフターゲット(on−tumor, off−target)」毒性に関連する危険な副作用が起こる。Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)における、DE、RDE、RNA制御デバイス、および/またはSide−CARの取り込みを通じたCAR発現の調節は、これらの毒性を制御しうる。Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)における、DE、RDE、RNA制御デバイス、および/またはSide−CARの取り込みを通じたCAR発現の調節はまた、Tリンパ球(またはナチュラルキラー細胞)の消耗、機能不全および/または阻害も最小限にしながら、所望のレベルのエフェクター機能を提供することも可能である。
[000220]T細胞は、組み込まれたRNA制御デバイスとともに、CAR、DE−CAR、RDE−CARおよび/またはSide−CARを含んでもよい。組み合わせたSmart DE−CAR、Smart−RDE−CAR、および/またはSmart Side−CAR T細胞を用いてもよく、ここで独立のT細胞は、別個の腫瘍関連抗原(TAA)をターゲティングする、直交性のSmart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)を発現する。多数のTAAを同時にターゲティングすると、原発性腫瘍または転移に対するより高いCTL反応を導き、そして再発を防止することも可能である。CAR、DE−CARおよび/またはSide−CARポリペプチドT細胞を用いる潜在的に不都合な点は、オンターゲット、オフ腫瘍効果を誘発する可能性がより高くなり、毒性を導きうることである。DE、RDE、RNA制御デバイス、および/またはSide−CARを、Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)T細胞中のCARにカップリングすると、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞のより強い反応および再発防止を可能にしつつ、毒性の問題が軽減される。Smart−DE−CARおよび/またはSide−CAR T細胞は、多数のリガンドによって制御可能である。DE、RDE、RNA制御デバイス、およびSide−CARを、発現クロストークが最小限であるかまたは排除されるように、異なるリガンドまたはリガンドの組み合わせに対して特異的である、組み合わせたSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞と用いてもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞を、異なる腫瘍関連表面抗原をターゲティングすることによって、単一腫瘍に対して用いてもよい。これらのSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞を、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARの異なる膜貫通、ヒンジ、受容体、共刺激要素、他の側面、あるいはその組み合わせで、同じ腫瘍関連表面抗原をターゲティングすることによって、単一腫瘍に対して用いてもよい。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞を、クローン的に異質である腫瘍タイプに対して用いてもよく、ここで、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞の各集団は、特定のTAAに対して特異的である。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞の相対集団は制御可能である。リガンドの組み合わせを投与して、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞の特定の集団の発現を誘導してもよい。普遍的なSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞を用いてもよい。こうしたCAR T細胞は、1より多いSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR、あるいはSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR発現のための1より多い手段を含む、単一のT細胞である。
[000221]Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CARおよび/または普遍的−CARが、細菌、真菌またはウイルス起源である抗原に対する受容体を含むように設計してもよい。Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)、および/またはSide−CAR(単数または複数)は、免疫無防備状態の患者において、毒性の供給源である、感染と闘うために利用可能であるため、こうした抗病原体Smart CAR(単数または複数)、DE−CAR(単数または複数)、RDE−CAR(単数または複数)、Smart−RDE−CAR(単数または複数)、DE−RDE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−CAR(単数または複数)、Smart−DE−RDE−CAR(単数または複数)および/またはSide−CAR(単数または複数)を、TAAに特異的なSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CAR T細胞療法と組み合わせて用いてもよい。
[000222]真核細胞は、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドを通じて、特定の抗原に結合して、CAR、DE−CAR、および/またはSide−CARポリペプチドに真核細胞内にシグナルを伝達させることも可能であり、そしてその結果、真核細胞が活性化され、そしてしたがって、適切なRDE−導入遺伝子を発現することも可能である。Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを発現する真核細胞の活性化は、真核細胞の種類、ならびにSmart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARの細胞内要素に応じて多様である。真核細胞は、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、および/またはSide−CARを通じた真核細胞の刺激に際して、エフェクター機能に関して細胞を平衡化する、RDE転写物を発現することも可能である。
[000223]RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を、疾患を治療する療法剤として用いてもよい。療法剤は、RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を、活性成分として含んでもよく、そして適切な賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤の例には、組成物のための薬学的に許容されうる賦形剤が含まれる。RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を投与する疾患は、疾患が、該真核細胞および/またはRDE−導入遺伝子の産物に感受性を示す限り、特に限定されない。
[000224]治療可能な疾患の例には、癌(血液癌(白血病)、固形腫瘍(卵巣癌)等)、炎症性疾患/自己免疫疾患(喘息、湿疹)、肝炎、ならびにその原因がウイルス、例えばインフルエンザおよびHIV、細菌、または真菌である感染性疾患、例えば結核、MRSA、VRE、および深在性真菌症、アルツハイマー病またはパーキンソン病のような神経変性疾患などの他の免疫仲介性疾患、ならびに糖尿病のような代謝疾患が含まれる。受容体(例えばCAR)は、真核細胞を疾患細胞(単数または複数)にターゲティングし、そして受容体が疾患細胞(単数または複数)でターゲットに結合すると、受容体が真核細胞内にシグナルを送り、RDE−導入遺伝子の発現を導くことも可能である。RDE−導入遺伝子は、疾患細胞(単数または複数)を治療するかまたは殺す際に有用であるポリペプチドをコードする。癌および/または固形腫瘍を、上述のものなどの腫瘍関連(または癌関連)抗原に結合する受容体を発現する真核細胞で治療することも可能である。受容体が腫瘍関連抗原に結合すると、受容体は、RDE−導入遺伝子が発現されるように、該細胞内にシグナルを送る(例えばシグナルはRDE結合タンパク質を生じさせて、RDE−転写物の発現を導く)。RDE−転写物は、真核細胞が癌を治療するように真核細胞を活性化するポリペプチドをコードしてもよいし、そして/またはRDE−転写物は、それ自体、癌を治療するポリペプチド(例えば細胞傷害性ポリペプチド)をコードしてもよい。
[000225]自己免疫疾患(例えば尋常性天疱瘡、エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病)を、自己免疫疾患に関連する免疫タンパク質に結合する、RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞で治療してもよい。受容体またはターゲティングポリペプチドは、自己免疫疾患を治療する際に有用なポリペプチドをコードするRDE−導入遺伝子の発現を誘発することも可能である(例えばポリペプチドは、自己免疫疾患を引き起こす細胞を制御するかまたはこれらの細胞を殺すことも可能である)。RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、および受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞は、自己免疫疾患に関与する抗体を作製する細胞をターゲティングすることも可能である(例えば、RDE−導入遺伝子は、抗体産生細胞を殺すか、またはこれらの細胞による抗体の産生を阻害するポリペプチドをコードすることも可能である)。RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、および受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞は、自己免疫疾患に関与するTリンパ球をターゲティングすることも可能である(例えば、RDE−導入遺伝子は、ターゲットTリンパ球を殺すか、またはTリンパ球の活性を制御するポリペプチドをコードすることも可能である)。
[000226]RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を、アレルギーを治療する療法剤として用いることも可能である。治療可能なアレルギーの例には、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギーが含まれる。RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、および受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞は、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギー性反応を引き起こす抗体を作製する細胞をターゲティングすることも可能である。ターゲティングされる細胞は、B細胞、メモリーB細胞、形質細胞、プレB細胞、および前駆体B細胞の1またはそれより多くであってもよい。ターゲティングされる細胞にはまた、例えば、花粉、動物のふけ、ピーナッツ、他のナッツ、乳製品、グルテン、卵、シーフード、貝、およびダイズに対するアレルギー性反応を引き起こすT−リンパ球が含まれてもよい。RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、および受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞は、抗体またはT細胞受容体のイディオタイプ決定基に結合することも可能である。
[000227]RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を、疾患または状態の治療のために投与してもよい。例えば、真核細胞を利用して感染性疾患を治療することも可能である。真核細胞は、感染性疾患を引き起こす病原体またはこうした病原体に感染した細胞上に見られる抗原に結合する受容体またはターゲティングポリペプチドを発現することも可能である。受容体またはターゲティングポリペプチドは、感染性疾患に関連する抗原に結合し、そして真核細胞内にシグナルを送り、これがRDE−導入遺伝子の発現を導く。RDE−導入遺伝子は、感染性疾患を治療するために、真核細胞を活性化可能な産物をコードする(例えば、真核細胞は、細胞傷害性ポリペプチドまたは免疫細胞を活性化するサイトカインを産生することも可能である)。RDE−導入遺伝子はまた、それ自体、細胞傷害性ポリペプチドまたはサイトカインであるポリペプチドをコードしてもよい。真核細胞はまた、例えば骨髄移植または放射線照射に対する曝露、再発性白血病の寛解の目的のためのドナーリンパ球輸血等の後、感染性疾患の防止に利用されてもよい(予防的に用いられてもよい)。
[000228]RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを発現する真核細胞を含む療法剤を、活性成分として、皮内、筋内、皮下、腹腔内、鼻内、動脈内、静脈内、腫瘍内で、あるいは輸入リンパ管内に、非経口投与によって、例えば注射または注入によって投与することも可能であるが、投与経路は限定されない。
[000229]RDE−導入遺伝子またはRDE転写物、ならびに場合によって、Smart CAR、DE−CAR、RDE−CAR、Smart−DE−CAR、Smart−RDE−CAR、DE−RDE−CAR、Smart−DE−RDE−CAR、Side−CAR、T細胞受容体、B細胞受容体、自然免疫受容体および/または他の受容体またはターゲティングポリペプチドを、攻撃的抗腫瘍特性を有するTリンパ球、例えばすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Pegramら, CD28z CARs and armored CARs, 2014, Cancer J. 20(2):127−133に記載されるものとともに用いてもよい。RDE転写物は、Tリンパ球の攻撃的抗腫瘍特性を引き起こすポリペプチドをコードしてもよい。
[000230]導入遺伝子、CAR、DE−CAR、および/またはSide CARポリペプチドは、IL−2をコードする遺伝子の3’−UTRまたはIFN−γの3’−UTR由来のRDEによって制御可能である。これらのRDEを修飾して、RDE中に見られるマイクロRNA部位を不活性化してもよい。これらの制御要素を用いて、RDEとグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の相互作用を通じて、CAR、DE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子の発現を、宿主細胞の解糖状態の変化に感受性にする。宿主細胞が休止状態である場合、GAPDHの大部分は解糖に関与せず、そしてRDEに結合可能であり、その結果、CAR、DE−CAR、Side−CAR、および/または導入遺伝子ポリペプチドをコードする転写物の翻訳が減少する。例えば、宿主細胞にグルコース、または解糖活性を増加させるであろう他の小分子を提供することによって、宿主細胞を誘導して解糖を増加させると、GAPDHは酵素的に活性になり、そしてRDEに結合不能となる。RDEへのGAPDH結合の減少は、CAR、DE−CAR、Side−CAR、または他の導入遺伝子をコードする転写物の翻訳を増加させる(例えば転写物の半減期を増加させることによって、そして/または翻訳速度を増加させることによって)。GAPDHの解糖活性は、トリオースイソメラーゼの量および/または活性を増加させることによって増加させてもよい。宿主細胞を誘導して、組換えトリオースイソメラーゼを過剰発現させてもよく、そしてこの過剰発現は、GAPDHの解糖活性を増加させる。解糖阻害剤を添加して、RDEを含む転写物の発現を減少させてもよい。こうした解糖阻害剤には、例えば、ラパマイシン、2−デオキシグルコース、3−ブロモピルビン酸、ヨードアセテート、フッ化物、オキサメート、プログリタゾン、ジクロロ酢酸、キノン、または他の代謝阻害剤、例えばデヒドロエピアンドロステロンが含まれる。RDE制御転写物からの発現を、GAPDH(または他のRDE結合タンパク質)によるRDEの結合を阻害する、GAPDH(または他のRDE結合タンパク質)阻害剤の添加によって増加させてもよい。こうしたGAPDH阻害剤には、例えば、CGP 3466マレイン酸塩またはヘプテリジン酸(どちらもSanta Cruz Biotechnology, Inc.によって販売される)、ペンタレノラクトン、または3−ブロモピルビン酸が含まれる。
[000231]RDEを含む転写物をコードする構築物を、真核細胞において発現させて、RDE結合タンパク質に結合させ、そしてこうして、これらのRDE結合タンパク質が、細胞中の天然転写物と相互作用する能力を減少させることも可能である。組換え転写物は、RDE結合タンパク質の結合に関して競合可能であり、そしてこれは、RDE結合タンパク質による真核細胞内の天然転写物の阻害および/または活性化を減少させうる。RDEを含む転写物をコードする構築物をこの方式で用いて、真核細胞において天然転写物がいつそしてどのように発現されるかを変更することも可能である。真核細胞は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはB細胞であってもよく、そして組換え転写物は、サイトカインまたは細胞傷害性転写物と共有するRDEを(例えばその3’非翻訳領域に)有する。組換え転写物は、サイトカインまたは細胞傷害性ポリペプチドの発現を制御し、そしてサイトカインまたは細胞傷害性ポリペプチドを発現するために必要な閾値(例えばGAPDHの解糖活性)を変化させるRDE結合タンパク質(例えばGAPDHおよび/または上述の他の解糖酵素)との結合に関して競合することも可能である。これを用いて、免疫細胞の刺激に反応して(例えばCARまたはT細胞受容体を通じて)、より多量のサイトカインおよび/または細胞傷害性タンパク質を分泌するであろう(より高いCmaxの)、スーパーT細胞(アングリーT細胞またはホーネットT細胞としても知られる)を生成することも可能である。T細胞がそのT細胞受容体によって刺激された際、該細胞が、より迅速な動力学で、より多くのIL−2および他のエフェクターポリペプチドを生じるように、IL−2転写物由来のRDEをコードする組換え転写物で、T細胞を再プログラミングすることも可能である。これらの再プログラミングされたT細胞はまた、他の炎症性サイトカインおよび細胞傷害性ポリペプチド(例えばグランザイムおよび/またはパーフォリン)を、より多量に、そしてより迅速な動力学で産生することも可能である。こうしたアングリー/ホーネット状態に再プログラミングされたT細胞およびナチュラルキラー細胞は、例えば、腫瘍、他の癌、および感染性疾患を含む疾患および障害を治療するために有用でありうる。
[000232]被験体は、被験体のRDEの変化を同定することによって、特定の疾患に関して診断可能である。こうした変化は、RDEの機能獲得または機能喪失を引き起こしうる。例えば、欠失、染色体再編成、および特定の塩基置換は、RDEの機能を喪失させうる(例えばRDEと通常相互作用するRNA結合タンパク質がもはや結合しない)。こうした機能喪失変化は、転写物の発現を改変し、そして異常な発現を生じる。次世代核酸配列決定、タンパク質−RNA結合アッセイまたはRNA結合タンパク質トラップ法、例えばすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Castelloら, Mоlc. Cell 63:696−710(2016)に記載する方法を用いて、異常なRDEの検出を行うことも可能である。これらのRNA結合アッセイを用いて、被験体のRDEの機能変化を診断することも可能である。この異常な発現は、疾患状態を生じる可能性もあり、例えば、成人T細胞白血病/リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および胃腺癌(これらの癌は、PD−L1の3’−UTRのRDEが改変されて、PD−L1の過剰発現を導く変異体を有する)(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Kataoka Kら, Nature (2016) 534:402, doi:10.1038/nature18294);炎症性疾患、自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、セリアック病(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、de Jongら, Genes and Immunity (2016) 17, 75−78)(RDEの長さを増加させたCTLA−4の3’−UTRにおける変化は、自己免疫と相関した)、および関節リウマチ(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Tsuzakaら Modern Rheumatol. (2002) 12:167−173)(選択的スプライシングは、T細胞受容体ζ鎖のRDEを変化させ、そして発現の下方制御を生じる);ならびに神経学的障害および疼痛障害(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、FoulkesおよびWood, PLoS Genetics (2008) 4(7):e1000086)が含まれる。
[000233]配列決定技術、増幅法、ハイブリダイゼーションに基づく技術、および配列変化を検出するための他の方法を用いて、被験体の異常なRDEを検出してもよい。被験体の核酸(mRNAおよび/またはDNA)の分析によって、RDEを検出してもよい。配列決定技術には、例えばサンガー配列決定、他の鎖終結配列決定法、マクサムおよびギルバート配列決定、ポロニー配列決定、SOLID配列決定(連結による配列決定)、一分子配列決定(例えばPacific Biosciences)、イオントレント配列決定、ピロ配列決定(例えば454 Life Sciences)、合成による配列決定(Illumina)、ナノポア配列決定等が含まれる。増幅法には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムPCR、転写仲介性増幅技術、逆転写酵素PCR、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅法、クリバーゼ・インベーダー等が含まれる。ハイブリダイゼーション法には、例えば、サザン、ノーザン、DNA−DNAハイブリダイゼーション、DNA−RNAハイブリダイゼーション、RNA−RNAハイブリダイゼーション、蛍光in situハイブリダイゼーション等が含まれる。他の側面において、RDEとRDE結合タンパク質の相互作用の変化は、タンパク質−RNA結合アッセイまたはRNA結合タンパク質トラップ法、例えばすべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Castelloら, Mоlc. Cell 63:696−710(2016)に記載する方法を用いて同定される。
[000234]本明細書に開示する発明は、続く実験の詳細からよりよく理解されるであろう。しかし、当業者は、論じられる特定の方法および結果が、その後に続く請求項により詳細に記載されるような本発明の単なる例示であることが容易に認識されるであろう。別に示さない限り、開示は特定の方法、材料等に限定されず、これはこれらが多様でありうるためである。本明細書で用いる用語は、特定の態様を記載する目的のためであり、そして限定することを意図されないこともまた、理解されるものとする。
実施例1. Smart−CARでのT細胞エフェクター活性の制御
[000235]Budde 2013(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Buddeら PLoS1, 2013 doi:10.1371/journal.pone.0082742)に記載される第三世代抗CD20 CARカセット、およびRNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−88)を用いて、Smart CARを作製する。3XL2bulge9制御デバイスをコードする核酸を、適切な発現ベクター中の抗CD20 CARカセット内にあるよう操作する。
[000236]この抗CD20 Smart CARを、T細胞(Jurkat細胞および/または初代ヒトT細胞)に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD20 Smart CARを含むT細胞集団(CD20−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000237]活性化された抗CD20 Smart CAR T細胞を、CD20+/CD22+/CD3− Ramosターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR T細胞:Ramosターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、500μM〜1mMの範囲の濃度で、培地に添加する(より低いまたはより高い濃度を用いて、Smart−CAR活性を所望のレベルに滴定することも可能である)。Smart−CAR T細胞およびRamos細胞をともに48時間培養する。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Ramosターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのSmart−CAR発現でのSmart−CAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
実施例2. ヒト被験体における、組み合わせSmart−CARでのT細胞エフェクター活性の制御
[000238]別個のTAAに関する特異性を有し、そして別個の小分子リガンドに反応する直交性Smart CARをコードする核酸を構築し、そしてこれをレンチウイルスベクター内にパッケージングする。これらのSmart CARは各々、同族(cognate)リガンド曝露に反応して、in vitro細胞傷害性T細胞エフェクター機能および抗原依存性拡大を示し、そして個々に、ヒト患者における既知の療法ウィンドウを有する。
[000239]このSmart CARプールによって認識される多数のTAAの定義されるセットを発現する腫瘍を有するヒト被験体を治療するため、アフェレーシスによって、患者末梢血から自己T細胞を採取し、そしてex vivoで、個々にまたはプールしてのいずれかで、同族Smart CARをコードするレンチウイルスで形質導入する。次いで、拡大されたSmart CAR CD4+および/またはCD8+ T細胞を患者に戻して養子移入する。各Smart CARは、それ自体の同族小分子リガンドで個々に活性化されて、腫瘍認識および排除を開始する。各Smart CARが個々に制御されるため、各Smart CARの療法ウィンドウを調節して、許容されうる移植片対宿主反応で、最大の移植片対腫瘍反応を実施する。腫瘍免疫編集のエスケープ期に到達すると、失われたTAAをターゲティングするSmart CARは、その同族リガンドの除去によって不活性化されて、移植片対腫瘍利益をもはや提供しないSmart CARに関するさらなる移植片対宿主反応は制限される。Smart CAR毒性を制御し、そしてTAAに対する分散した攻撃を平行させることによって、いかなる腫瘍タイプに関しても、迅速で、耐久性がある寛解が達成される。
実施例3. DE−CARでのT細胞エフェクター活性の制御
[000240]Budde 2013(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Buddeら PLоS1, 2013 doi:10.1371/journal.pone.0082742)に記載される抗CD20 CARカセット、およびIwamoto 2010(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Iwamotoら Chemistry and Biology, 2010 doi:10.1016/j.chembiol.2010.07.009)を用いて、DE−CARを作製する。DE−CARはまた、RNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−8)をコードすることも可能である。突然変異体scDHFRのDEをコードする核酸を、適切な発現ベクター中の抗CD20 CARカセット内にあるよう操作する。あるいは、3XL2bulge9制御デバイスをコードする核酸を、さらに、DE−抗CD20 CARカセット内にあるよう操作する。
[000241]この抗CD20 DE−CARを、ルーチンの方法によってT細胞(Jurkat細胞および/または初代ヒトT細胞)内にトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD20 DE−CARまたは抗CD20 Smart−DE−CAR(CD20−/CD22−/CD3+)で、T細胞集団を活性化する。
[000242]活性化された抗CD20 DE−CAR T細胞または抗CD20 Smart−DE−CAR T細胞を、CD20+/CD22+/CD3− Ramosターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のDE−CAR T細胞(またはSmart−DE−CAR T細胞):Ramosターゲット比で共培養する。DEのリガンド、トリメトプリム、および/またはRNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、500μM〜1mMの範囲の濃度で、培地に添加する(より低いまたはより高い濃度を用いて、Smart−CAR活性を所望のレベルに滴定することも可能である)。DE−CAR T細胞またはSmart−DE−CAR T細胞およびRamos細胞をともに48時間培養する。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Ramosターゲット細胞)およびCD3+細胞(DE−CARおよび/またはSmart−DE−CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのSmart−CAR発現でのSmart−CAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
実施例4. Smart−CARでのT細胞エフェクター活性の増加
[000243]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載される第三世代抗CD19 CARカセット、およびRNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−88)を用いて、Smart CARを作製する。3XL2bulge9制御デバイスをコードする核酸を、適切な発現ベクター中の抗CD19 CARカセット内にあるよう操作する。
[000244]抗CD19 Smart CARおよび抗CD19 CAR構築物を、T細胞(Jurkat細胞および/または初代ヒトT細胞)の異なる集団に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 Smart CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000245]活性化された抗CD19 Smart CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Ramosターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、2μM〜2mMの範囲(2μM、10μM、20μM、100μM、200μM、1mM、および2mM)の濃度で、培地に添加する。Smart−CAR T細胞およびRaji細胞をともに48時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのSmart−CAR発現でのSmart−CAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
[000246]活性化された抗CD19 Smart CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Ramosターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、2μM〜2mMの範囲(2μM、10μM、20μM、100μM、200μM、1mM、および2mM)の濃度で、培地に添加する。Smart−CAR T細胞およびRaji細胞をともに48時間増殖させる。培地から試料を採取し、そしてELISAによって、IL−2に関して試験する。
[000247]対照として、活性化された抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のCAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、2μM〜2mMの範囲(2μM、10μM、20μM、100μM、200μM、1mM、および2mM)の濃度で、培地に添加する。CAR T細胞およびRamos細胞をともに48時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのCAR発現でのCAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
[000248]対照として、活性化された抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のCAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、2μM〜2mMの範囲(2μM、10μM、20μM、100μM、200μM、1mM、および2mM)の濃度で、培地に添加する。CAR T細胞およびRaji細胞をともに48時間増殖させる。培地由来の試料を採取し、そしてELISAによって、IL−2に関して試験する。
実施例5:Smart−CARでのCD8+ Tリンパ球によるターゲット細胞殺傷
[000249]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載される抗CD19 CAR、およびRNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−88)を用いて、Smart Carを作製した。3XL2bulge9制御デバイスをコードする核酸を、発現ベクター中の抗CD19 CARカセット内にあるよう操作した。
[000250]抗CD19 Smart CARおよび抗CD19 CAR構築物を、T細胞(Jurkat細胞および/またはヒトT細胞)の異なる集団に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 Smart CARを含むT細胞集団(CD20−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CARを含むT細胞集団(CD20−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000251]抗CD19 Smart CARまたは抗CD19 CARを含むT細胞を、0、75および250μMのテオフィリンと72時間インキュベーションした。活性化された抗CD19 Smart CAR T細胞または抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、0μM、75μM,および250μMの濃度で、培地中で維持する。Smart−CAR T細胞またはCAR T細胞およびRaji細胞をともに18時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。
[000252]この実験の結果を図6に示し、これは各テオフィリン濃度に関する、そして抗CD19 Smart CARを含むTリンパ球または抗CD19 CARを含むTリンパ球に関する個々の曲線を伴う、時間に対してグラフ化したターゲット細胞殺傷を示す。この図は、恒常的に発現されるCARよりもテオフィリンに制御されたSmart CARでのターゲット細胞殺傷が改善されていることを示す。改善は、250μMテオフィリンで約2倍であり、そして75μMおよび250μMテオフィリンはどちらも、恒常的に発現されるCARよりも、ターゲット細胞殺傷を改善した。また、テオフィリン濃度はどちらも、テオフィリンを含まずに増殖させた抗CD19 Smart CARを含むTリンパ球よりも、細胞殺傷に約2倍の増加を示した(これらの細胞はまた、ある程度の基底レベルのCAR発現を示すターゲット細胞も殺した)。
実施例6:CD19 CARを含むCD8+ Tリンパ球に関する、Tリンパ球消耗マーカーの減少
[000253]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載される抗CD19 CAR、およびRNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−88)を用いて、Smart CARを作製した。3XL2bulge9制御デバイスをコードする核酸を、発現ベクター中の抗CD19 CARカセット内にあるよう操作した。
[000254]抗CD19 Smart CARおよび抗CD19 CAR構築物を、T細胞(Jurkat細胞および/または初代ヒトT細胞)の異なる集団に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 Smart CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000255]抗CD19 Smart CARまたは抗CD19 CARを含むT細胞を、0、75および250μMのテオフィリンと72時間インキュベーションする。活性化された抗CD19 Smart CAR T細胞または抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、0μM、75μM,および250μMの濃度で、培地中で維持する。Smart−CAR T細胞およびRaji細胞をともに18時間培養する。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。細胞をまた、抗PD−1、抗TIM3および/または抗LAG−3試薬でも染色して、ELISAまたは細胞ソーティングによって、これらのTリンパ球消耗マーカーを測定する。
[000256]CD−19 Smart CAR Tリンパ球は、恒常的に発現されるCD−19 CAR Tリンパ球に比較して、より低いレベルの消耗マーカーを有するであろう。消耗マーカーのこの減少は、ターゲットRaji細胞上のCD−19によるCD−19 CARリンパ球およびCD−19 Smart CARリンパ球の刺激より前であっても見られうる。
実施例7. RDE−CARでのT細胞エフェクター活性の制御
[000257]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載される第三世代抗CD19 CARカセット、およびIL−2をコードする遺伝子の3’−UTR(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、NCBI参照配列番号:NM_000586.3)を用いて、RDE Carを作製する。IL−2 3’−UTRをコードする核酸を、適切な発現ベクター中の抗CD19 CARカセット内にあるよう操作する。用いたIL−2、3’−UTR配列は以下の通りであった:
[000258]抗CD19 RDE CARおよび抗CD19 CAR構築物を、T細胞(初代ヒトT細胞)の異なる集団に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 RDE CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)を活性化し、そしてビーズを除いたのち、休止状態に戻ることを可能にする。
[000259]休止抗CD19 RDE CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のRDE CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。解糖活性化剤、グルコースを、1.0mM〜10mMの範囲(1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、7.5mMおよび10mM)の濃度で培地中に添加する。RDE−CAR T細胞およびRaji細胞をともに24時間培養する。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのRDE−CAR発現でのRDE−CAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
[000260]活性化された抗CD19 RDE CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のRDE CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。解糖活性化剤、グルコースを、1.0mM〜10mMの範囲(1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、7.5mMおよび10mM)の濃度で、培地に添加する。RDE−CAR T細胞およびRaji細胞をともに24時間増殖させる。培地から試料を採取し、そしてELISAによって、IL−2に関して試験する。
[000261]対照として、活性化された抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のCAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。解糖活性化剤、グルコースを、1.0mM〜10mMの範囲(1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、7.5mMおよび10mM)の濃度で、培地に添加する。CAR T細胞およびRaji細胞をともに24時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(CAR T細胞)を計数する。
[000262]対照として、活性化された抗CD19 CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のCAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。解糖活性化剤、グルコースを、1.0mM〜10mMの範囲(1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、7.5mMおよび10mM)の濃度で、培地に添加する。CAR T細胞およびRaji細胞をともに48時間増殖させる。培地から試料を採取し、そしてELISAによって、IL−2に関して試験する。
実施例8:RDEからのマイクロRNA結合部位の除去
[000263]IL−2の3’−UTR由来のAU−リッチ要素は、mir−181およびmir 186マイクロRNA結合部位を有する。異なる組み合わせのマイクロRNA部位をIL−2の3’−UTRから除去した。MIR 186マイクロRNA部位をIL−2の3’−UTRから除去した場合、このUTRを含む構築物からの発現のダイナミックレンジは50倍増加した。修飾IL−2、3’−UTRは、GAAを含む配列中のCTTを置換し、そして以下に示すとおりである(新規GAAを配列中、下線で示す):
[000264]IFNgの3’UTR由来のAUリッチ要素もまた、mir−125と特徴付けられるマイクロRNA結合部位を有する。IFNg RDEの配列は:
である。
[000265]異なる組み合わせのマイクロRNA部位をIFNgの3’UTRから除去し、そして発現増加に関して試験した。mir125マイクロRNA部位を、IFN−γの3’−UTRから除去した場合、このUTRを含む構築物からの発現率は増加する。
[000266]CD3/CD28ビーズで24時間活性化した後、RDE−GFPに加えてマイクロRNA部位でトランスフェクションされたT細胞におけるGFPの発現を、マイクロRNA部位が除去されているRDE−GFPを含むT細胞におけるGFPの発現に比較する。マイクロRNA部位の除去は、マイクロRNA部位を含む細胞に比較して、24時間後、2〜5の間の係数で、GFPの発現を増加させた。
実施例9:AMLに関するキメラ抗原受容体の制御
[000267]抗CD20細胞外ドメインを置換する細胞外要素(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Rothfelderら, 2015, ash.confex.com/ash/2015/webprogram/Paper81121.html)に関して、Budde 2013(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Buddeら PLoS1, 2013 doi:10.1371/journal.pone.0082742)に記載される抗CD20 CARカセットを用いて、CARを作製する。抗CD133 CARをコードする核酸には、実施例11に記載するような、MIR186マイクロRNA部位を除去するよう操作したIL−2由来の3’−UTR、またはMIR125マイクロRNA部位を除去するように操作したIFN−γの3’−UTRが含まれてもよい。抗CD20 CARカセットをコードする構築物を操作して、抗CD133要素で抗CD20細胞外ドメインを置換し、そしてMIR125マイクロRNA部位を除去するよう操作されたIL−2の3’−UTR、またはMIR125マイクロRNA部位を除去するよう操作されたIFN−γの3’−UTRもまた、構築物内にあるよう操作する。3’−UTRを含むまたは含まない抗CD133 CARを適切な発現ベクター内にクローニングする。
[000268]この抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE−CARの1つ(IL−2の3’UTRまたはIFN−γの3’UTR)を、Tリンパ球(Jurkat細胞および/または初代ヒトT細胞)に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、Tリンパ球の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗抗CD133 CARまたは抗CD133 RDE CARを含むTリンパ球集団(CD20−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000269]活性化された抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE CAR Tリンパ球を、CD133+/CD3− AMLターゲット細胞(例えばU937、MV4−11、MOLM−14、HL−60および/またはKG1a)と、2:1、5:1、および10:1の抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE CAR Tリンパ球:AMLターゲット比で共培養する。抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE CAR Tリンパ球およびAML細胞をともに48時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD133および抗CD3試薬で染色した後、CD133+(AMLターゲット細胞)およびCD3+細胞(抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE CAR Tリンパ球)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのCAR発現での抗CD133 CAR、または抗CD133 RDE CAR Tリンパ球のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
実施例10. T細胞エフェクター活性を制御するためのオフスイッチ
[000270]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Wangら, Cold Spring Harb Perspect Biol 2:a002279 (2010)に記載されるY319F ZAP 70突然変異体、および実施例9に記載されるTet RNA制御デバイスを用いて、Smart−ZAP 70突然変異体を作製することも可能である。Tet−RNA制御デバイスをコードする核酸を、Y319F ZAP 70突然変異体をコードする核酸に、機能可能であるように連結して、そしてこの構築物は適切な発現ベクター中にある。
[000271]実施例8の抗CD19 RDE CARおよび抗CD19 CAR構築物を含むT細胞を本実施例で用いる。RNA制御デバイスY319F ZAP 70を、実施例8にしたがって作製された抗CD19 RDE CARおよび抗CD19 CAR構築物を含むT細胞に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、T細胞の安定集団を選択する。抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 RDE CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CARを含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000272]活性化RNA制御デバイスY319F ZAP70および抗CD19 RDE CAR T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Ramosターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のRDE CAR T細胞:Rajiターゲット比で共培養する。解糖活性化剤、グルコースを、1.0mM〜10mMの範囲(1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、7.5mMおよび10mM)の濃度で、培地中で維持する。2μM〜2mMの範囲(2μM、10μM、20μM、100μM、200μM、1mM、および2mM)のテトラサイクリンを細胞に添加するかまたは添加しない(細胞培養±テトラサイクリンを有する)。RNA制御デバイスY319F ZAP70+RDE−CAR T細胞およびRaji細胞をともに48時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのY319F ZAP 70発現および異なるレベルのRDE−XAP発現での、RDE−CAR T細胞に対する、RNA制御デバイスY319F ZAP70+RDE−CAR T細胞のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。
実施例11:抗CD19 CAR T細胞を用いた、DLBCLへのペイロード送達
[000273]実施例6の抗CD19 Smart CAR Tリンパ球および抗CD19 CAR T細胞リンパ球を本実施例で用いる。これらのCAR Tリンパ球が、MIR186部位の除去によって修飾されているIL2の3’−UTRの制御下でPD−1阻害剤をコードする構築物を含むように、さらに操作する。構築物によって発現されるPD−1阻害剤には、例えば、ペムブロリズマブ(キートルーダ(登録商標))、ニボルマブ(オプディーボ(登録商標))、アテゾリズマブ(テセントリク(登録商標))、BMS−936558、ラムブロリズマブ、またはこれらの薬剤由来のポリペプチドが含まれる。構築物によって発現可能な他のPD−1阻害剤には、Herbstら, J Clin Oncol., 31:3000 (2013); Heeryら, J Clin Oncol., 32:5s, 3064 (2014); Powlesら, J Clin Oncol, 32:5s, 5011(2014); Segalら, J Clin Oncol., 32:5s, 3002 (2014)、あるいは米国特許第8,735,553号;第8,617,546号;第8,008,449号;第8,741,295号;第8,552,154号;第8,354,509号;第8,779,105号;第7,563,869号;第8,287,856号;第8,927,697号;第8,088,905号;第7,595,048号;第8,168,179号;第6,808,710号;第7,943,743号;第8,246,955号;および第8,217,149に開示されるものが含まれる。
[000274]抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD19 Smart CAR/PD−1を含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)および抗CD19 CAR/PD−1を含むT細胞集団(CD19−/CD22−/CD3+)を活性化する。抗CD19 Smart CAR/PD−1阻害剤または抗CD19 CAR/PD−1阻害剤を含むT細胞を、0、75および250μMのテオフィリンと72時間インキュベーションした。活性化された抗CD19 Smart CAR/PD−1 T細胞または抗CD19 CAR/PD−1 T細胞を、CD19+/CD22+/CD3− Rajiターゲット細胞と、2:1、5:1、および10:1のSmart CAR/PD−1 T細胞:Rajiターゲット比で共培養した。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、0μM、75μM,および250μMの濃度で、培地中で維持する。Smart−CAR/PD−1 T細胞またはCAR/PD−1 T細胞およびRaji細胞をともに18時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD22および抗CD3試薬で染色した後、CD22+(Rajiターゲット細胞)およびCD3+細胞(Smart CAR T細胞)を計数する。6時間、12時間、および18時間でもまた培地から試料を採取し、そしてELISAによって、PD−1阻害剤に関して試験する。
実施例12:抗CD133 CAR T細胞を用いた、AMLへのペイロード送達
[000275]抗CD20細胞外ドメインを置換する細胞外要素(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Rothfelderら, 2015, ash.confex.com/ash/2015/webprogram/Paper81121.html)に関して、抗CD133mAb 293C3−SDIEを用いて、Budde 2013(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Buddeら PLoS1, 2013 doi:10.1371/ journal.pone.0082742)に記載される抗CD20 CARカセットを用いて、CARを作製する。抗CD133 CARはまた、RNA制御デバイス、3XL2bulge9(すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WinおよびSmolke 2007 Proc. Natl Acad. Sci. 104 (36): 14283−88)もコードしてもよい。抗CD20 CARカセットをコードする核酸を操作して、抗CD133で抗CD20細胞外ドメインを置換し、そして場合によって、RNAデバイスもまた、カセット内にあるように操作する。RNA制御デバイスを含むまたは含まない抗CD133 CARを適切な発現ベクター内にクローニングする。
[000276]これらの抗CD133 CARおよび抗CD133 Smart CAR構築物を、Tリンパ球(Jurkat細胞および/または初代ヒトTリンパ球)に、ルーチンの方法によってトランスフェクションし、そして適切な抗生物質(または他の選択スキーム)を用いて、Tリンパ球の安定集団を選択する。
[000277]これらのCAR Tリンパ球が、MIR186部位の除去によって修飾されているIL2の3’−UTR由来のRDEの制御下にあるPD−1阻害剤をコードする構築物を含むように、さらに操作する。構築物によって発現されるPD−1阻害剤には、例えば、ペムブロリズマブ(キートルーダ(登録商標))、ニボルマブ(オプディーボ(登録商標))、アテゾリズマブ(テセントリク(登録商標))、BMS−936558、ラムブロリズマブ、またはこれらの薬剤由来のポリペプチドが含まれる。構築物によって発現可能な他のPD−1阻害剤は、Herbstら, J Clin Oncol., 31:3000 (2013); Heeryら, J Clin Oncol., 32:5s, 3064 (2014); Powlesら, J Clin Oncol, 32:5s, 5011(2014); Segalら, J Clin Oncol., 32:5s, 3002 (2014)、あるいは米国特許第8,735,553号;第8,617,546号;第8,008,449号;第8,741,295号;第8,552,154号;第8,354,509号;第8,779,105号;第7,563,869号;第8,287,856号;第8,927,697号;第8,088,905号;第7,595,048号;第8,168,179号;第6,808,710号;第7,943,743号;第8,246,955号;および第8,217,149に開示されるものが含まれる。
[000278]抗CD3/CD28ビーズとの同時インキュベーションによって、抗CD133 CAR/PD−1阻害剤または抗CD133 Smart CAR/PD−1阻害剤を含むTリンパ球集団(CD20−/CD22−/CD3+)を活性化する。
[000279]活性化された抗CD133 CAR/PD−1阻害剤または抗CD133 Smart−CAR/PD−1阻害剤Tリンパ球を、CD133+/CD3− AMLターゲット細胞(例えばU937、MV4−11、MOLM−14、HL−60および/またはKG1a)と、2:1、5:1、および10:1の抗CD133 CARおよび/または抗CD133 Smart CAR Tリンパ球:AMLターゲット比で共培養する。RNA制御デバイスのリガンド、テオフィリンを、500μM〜1mMの範囲の濃度で、培地に添加する(より低いまたはより高い濃度を用いて、Smart−CAR活性を所望のレベルに滴定することも可能である)。抗CD133 CAR/PD−1阻害剤および/または抗CD133 Smart−CAR/PD−1阻害剤Tリンパ球およびAML細胞をともに48時間増殖させる。培養物を洗浄し、そして次いで、抗CD133および抗CD3試薬で染色した後、CD133+(AMLターゲット細胞)およびCD3+細胞(抗CD133 CAR、抗CD133 DE−CAR、抗CD133 Smart CAR、および/または抗CD133 DE−Smart CAR Tリンパ球)を計数する。これらの測定は、異なるレベルのCAR発現での抗CD133 CAR/PD−1阻害剤および/または抗CD133 Smart−CAR/PD−1阻害剤Tリンパ球のターゲット細胞殺傷率(例えば半減期)および増殖率を同定するであろう。また、12、24、26および48時間の時点で、培地から試料を採取し、そしてELISAによって、PD−1に関して試験した。
実施例13:CARおよび第二の導入遺伝子を発現するための構築物
[000280]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載されるような抗CD19 CARカセット、およびGFP−RDE2(IL−2由来の3’−UTR)挿入物を用いて、構築物を作製した。これらの2つの挿入物/カセットを、異なるレンチウイルス構築物上に配置するか、または同じ二シストロン性レンチウイルス構築物中に配置した。二シストロン性構築物において、抗CD19 CARを含む挿入物およびGFP−RDEを含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。単一構築物レンチベクターにおけるGFP−RDE2挿入物に関する制御領域は、MND(骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを伴う修飾MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーター)であり、これは、すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、Liら, J. Neurosci. Methods 189:56−64 (2010)に記載される。二シストロン性レンチベクター中のGFP−RDE2挿入物の制御領域はMinPであり、そしてRDEはIL−2の内因性3’−UTRを用いた。両構築物中の抗CD19 CARカセットの制御領域もまた、MNDであった。CD4+ T細胞は、個々の抗CD19 CARレンチ構築物およびGFP−RDE2レンチ構築物で二重に形質導入されるか、または抗CD19 CARレンチ構築物およびGFP−RDE2レンチ構築物の両方を含む二シストロン性構築物で1回、形質導入された。
[000281]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットおよび「CD3/CD28ビーズ」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞または抗CD3/抗CD28ビーズを形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供して、T細胞におけるこれらのマーカーおよびGFP発現を測定した。
[000282]二重形質導入T細胞は、Rajiターゲット細胞と培養した際(CARを活性化させる)、19.5%から42.5%の蛍光増加(約2倍)を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際(TCRを活性化させる)、19.5%から34.9%の蛍光増加(約1.8倍)を示した。二重形質転換T細胞は、Raji細胞と培養した際、0.9%から56.9%の集団における活性化細胞の変化を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際、0.9%から92.5%の変化を示した。
[000283]単一形質導入T細胞は、Raji細胞と培養した際、3.6%から5.8%の集団における活性化細胞の変化を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際、3.6%から6.6%の変化を示した。
実施例14:第二の導入遺伝子を発現するためのRDE構築物
[000284]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載されるような抗CD19 CARカセット、およびGFP−RDE1(IFNg由来の3’−UTR)挿入物を用いて、構築物を作製した。これらの2つの挿入物/カセットを同じレンチウイルス構築物中に配置した。抗CD19 CARカセットおよびGFP−RDEを含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。GFP−RDE挿入物に関する制御領域はMinPであり、そしてRDEはIFNgの内因性3’−UTRであった。抗CD19 CARカセットの制御領域はMNDであった(上述の通り)。CD4+ T細胞を二シストロン性構築物で形質導入した。
[000285]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットおよび「CD3/CD28ビーズ」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞または抗CD3/抗CD28ビーズを形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供して、T細胞におけるこれらのマーカーおよびGFP発現を測定した。
[000286]形質導入T細胞は、Rajiターゲット細胞と培養した際(CARを活性化させる)、1.0%から6.5%の蛍光増加(約6.5倍)を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際(TCRを活性化させる)、1.0%から4.4%の蛍光増加(約4.4倍)を示した。形質転換T細胞は、Raji細胞と培養した際、0.9%から84.8%の集団における活性化細胞の変化を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際、0.9%から90.8%の変化を示した。
実施例15:第二の導入遺伝子を発現するための修飾RDE2構築物
[000287]実施例11および12に記載するような抗CD19 CARカセット、およびGFP−RDE2.1(IL−2 RDE)挿入物を用いて構築物を作製した。RDE2.1を修飾してMIR186マイクロRNA部位を除去し、IL−2の3’−UTRからヌクレオチドを改変して、RDE2として用いた。
[000288]これらの2つの挿入物/カセットを同じレンチウイルス構築物中に配置した。抗CD19 CARカセットおよびGFP−RDEを含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。GFP−RDE挿入物に関する制御領域はMinPであった。抗CD19 CARカセットの制御領域はMNDであった(上述の通り)。CD4+ T細胞を二シストロン性構築物で形質導入した。
[000289]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットおよび「CD3/CD28ビーズ」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞または抗CD3/抗CD28ビーズを形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供して、T細胞におけるこれらのマーカーおよびGFP発現を測定した。
[000290]形質導入T細胞は、Raji細胞と培養した際、3.9%から12.1%の集団における活性化細胞の変化を、そしてCD3/CD28ビーズと培養した際、3.9%から11.1%の変化を示した。
実施例16:ルシフェラーゼ導入遺伝子を発現するためのRDE構築物
[000291]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載されるような抗CD19 CARカセット、およびルシフェラーゼ−RDE1(IFNgの3’−UTR、Gold1)挿入物またはルシフェラーゼ−3’−UTR(細胞の代謝状態に反応して、示差的導入遺伝子翻訳を与えない3’−UTR、3’−UTR)を用いて、構築物を作製した。抗CD19 CARカセットおよびルシフェラーゼ−RDE1を含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。ルシフェラーゼ−RDE1挿入物およびルシフェラーゼ−3’−UTRに関する制御領域は:
の配列を有するMinPプロモーターまたはNFATプロモーターのいずれかであった。対照CD19 CARカセットの制御領域はMNDプロモーターであった。CD4+ T細胞は二シストロン性構築物で形質導入された。
[000292]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットおよび「CD3/CD28ビーズ」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞または抗CD3/抗CD28ビーズを形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供して、T細胞におけるこれらのマーカーおよびルシフェラーゼ発現を測定した。
[000293]図16は、形質導入T細胞が、休止状態のT細胞の生物発光に比較した際、Rajiターゲット細胞と培養した場合(CARを活性化する)、またはCD3/CD28ビーズと培養した場合(TCRを活性化する)、生物発光の増加を有したことを示す。NFATプロモーターおよびIFNgの3’−UTR(Gold1)を含むT細胞は、TCR刺激に対して、CAR刺激から、より大きなオン−オフ反応を示した。すべての条件下で、Gold1を含むT細胞は、IFNgの3’UTR(3’−UTR)によって制御されないルシフェラーゼを用いた同じ条件(および同じプロモーター)下で、T細胞よりもより少量の生物発光を有した。
実施例17:ルシフェラーゼを制御するRDEの比較
[000294]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載されるような抗CD19 CARカセット、およびルシフェラーゼ−RDE1(IFNgの3’−UTR、Gold1)挿入物、ルシフェラーゼ−RDE2(IL−2の3’−UTR、Gold2)挿入物、ルシフェラーゼ−RDE3(mir186部位を除去するために上述のように修飾されたIL−2の3’−UTR、Gold3)、またはルシフェラーゼ−3’−UTR(細胞の代謝状態に反応した示差的導入遺伝子翻訳を与えない3’−UTR、3’−UTR)を用いて、構築物を作製した。図17に示すこれらの挿入物/カセットの組み合わせを、類似のレンチウイルス構築物中に配置した。抗CD19 CARカセットおよびルシフェラーゼ−RDEを含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。ルシフェラーゼ−RDE挿入物およびルシフェラーゼ−3’−UTRに関する制御領域は、MinPプロモーターまたはNFATプロモーターのいずれかであった。抗CD19 CARカセットの制御領域はMNDプロモーターであり、そしてCD4+ T細胞は二シストロン性構築物で形質導入された。
[000295]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞を形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供して、T細胞におけるこれらのマーカーおよびルシフェラーゼ発現を測定した。
[000296]図17は、形質導入T細胞が、RDE1(Gold1)、RDE2(Gold2)、またはRDE3(Gold3)を含む構築物に関して休止しているT細胞の生物発光に比較した際、Rajiターゲット細胞(CARを活性化する)と培養した場合の生物発光の増加を有したことを示す。NFATプロモーターおよびRDE1を含むT細胞は、MinPプロモーターおよび対応するRDEを含むT細胞よりも、より大きいオンオフ反応を示した。すべての条件下で、RDE制御ルシフェラーゼを含むT細胞は、RDEによって制御されないルシフェラーゼカセットを含むT細胞よりもより少量の生物発光を有した。MinPプロモーターと組み合わせると、RDE1は、CAR刺激での生物発光において4.1倍の増加を生じ、RDE2は、生物発光において1.8倍の増加を生じ、そしてRDE3は、1.4倍の増加を生じた。NFATプロモーターと組み合わせると、RDE1は、CAR刺激での生物発光において、8.5倍の増加を生じ、RDE2は、生物発光において3.1倍の増加を生じ、そしてRDE3は、1.3倍の増加を生じた。どちらのプロモーターでも、RDE3構築物は、最高量の生物発光を生じ、RDE1構築物は、最低量の生物発光を生じ、そしてRDE2構築物は、RDE3およびRDE1の間の生物発光の量を生じた。
実施例18:IL−12を発現するためのRDE構築物
[000297]すべての目的のため、その全体が本明細書に援用される、WO 2012/079000に記載されるような抗CD19 CARカセット、およびIL−12−RDE1(IFNgの3’−UTR)挿入物またはIL−12 3’−UTR(細胞の代謝状態に反応して示差的導入遺伝子翻訳を与えない3’−UTR)を用いて、構築物を作製した。抗CD19 CARカセットおよびIL−12−RDE1を含む挿入物は、反対方向に転写され、そして各々の制御領域は、2つの挿入物/カセットの間に位置する。IL−12−RDE1挿入物およびIL−12 3’−UTRに関する制御領域は、minPプロモーターまたはNFATプロモーターのいずれかであった。抗CD19 CARカセットの制御領域はMNDプロモーターであった。CD4+ T細胞は二シストロン性構築物で形質導入された。
[000298]形質導入T細胞を休止状態に戻すことが可能であり、そして次いで、以下のように刺激後に試験した。「非刺激」セットに関しては、形質導入T細胞を、培地中、単独で24時間インキュベーションした。「Raji共培養」セットに関しては、CD19+ Raji B細胞を形質導入T細胞と24時間インキュベーションした。24時間の時点で、T細胞を、活性化マーカーであるCD25およびCD69に関して染色し、そしてフローサイトメトリーに供してこれらのマーカーを測定した。T細胞中のIL−12発現をELISAによって測定した。
[000299]図18は、形質導入T細胞が、MinPプロモーターまたはNFATプロモーターによって制御される構築物を用いた、休止状態のT細胞のIL−12発現に比較した際、Rajiターゲット細胞(CARを活性化する)と培養した場合、IL−12発現の増加を有することを示す。NFATプロモーターおよびRDE1(Gold1)を含むT細胞は、CAR刺激に対する休止細胞からのIL−12発現の168倍の変化を示した。NFATプロモーターおよび3’−UTR(CAR刺激に反応性ではない、3’−UTR)を含むT細胞は、発現の50倍の変化を示し、そしてRDE1(Gold1)を含むminPプロモーターは、発現の6.3倍の変化を示した。
時間依存性エフェクター機能を計算するためのPythonコードの開示
[000300]本明細書に論じられ、そして引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、その全体が本明細書に援用される。開示する発明は、記載する特定の方法論、プロトコルおよび材料に限定されず、これはこれらが多様でありうるためであることが理解される。本明細書で用いる用語は、特定の態様を記載する目的のみのためのものであり、そして付随する請求項によってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定するよう意図されない。
[000301]当業者は、ルーチンの実験より多くを用いずに、本明細書に記載する本発明の特定の態様の多くの同等物を認識するかまたは確認することが可能であろう。こうした同等物は、以下の請求項に含まれると意図される。