発明の詳細な説明
定義
特に断りのない限り、本明細書中及び特許請求の範囲で使用される以下の具体的な用語及び表現は、以下のように定義される。
「部分」という用語は、1つ以上の化学結合によって別の原子又は分子に結合することにより、分子の一部を形成する、原子又は化学結合した原子群を指す。例えば、式Iの可変部R1〜R5は、共有結合により式Iで示されるコア構造に結合している部分を指す。
1つ以上の水素原子を有する特定の部分に関して、「置換されている」という用語は、その部分の水素原子の少なくとも1つが別の置換基又は部分により置き換えられているという事実を指す。例えば、「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」という用語は、低級アルキル(以下で定義されるとおり)の1個以上の水素原子が1つ以上のハロゲン原子により置き換えられている(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、クロロメチル等)という事実を指す。
「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖又は分枝鎖で飽和の炭化水素部分を指す。特定の実施態様では、アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する。特定の実施態様では、アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する。
「アリール」は、5〜16個の炭素環原子の単環、二環又は三環系芳香環を有する環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書中で定義されるように、場合により置換されていることができる。アリール部分の例は、これらに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル等を含む。また、「アリール」という用語は、環状芳香族炭化水素部分の部分的に水素化された誘導体も含むが、ただし、環状芳香族炭化水素部分の少なくとも1つの環が芳香族であり、それぞれ、場合により置換されているという条件である。一実施態様において、アリールは、6〜14個の炭素環原子を有する(即ち、(C6〜C14)アリール)。別の実施態様では、アリールは、6〜10個の炭素環原子を有する(即ち、(C6〜C10)アリール)。
「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5〜12個の環原子の芳香族複素環式単環又は二環系を指す。ヘテロアリール部分の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル又はキノキサリニルを含む。
「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」という用語は、互換可能に使用してもよく、置換基であるフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の1つ以上の水素原子が同じか又は異なるハロゲン原子(特に、フルオロ原子)により置き換えられているアルキル基を指す。ハロアルキルの例は、モノフルオロ−、ジフルオロ−又はトリフルオロ−メチル、−エチル又は−プロピル(例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フルオロメチル又はトリフルオロメチル)を含む。
「シクロアルキル」は、単環式又は二環式(架橋された二環式を含む)環、かつ環に3〜10個の炭素原子を有する、飽和又は部分不飽和の炭素環式部分を意味する。シクロアルキル部分は、1つ以上の置換基で場合により置換されていることができる。特定の実施態様では、シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子(即ち、(C
3〜C
8)シクロアルキル)を含有する。他の特定の実施態様では、シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子(即ち、(C
3〜C
6)シクロアルキル)を含有する。シクロアルキル部分の例は、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びそれらの部分不飽和(シクロアルケニル)誘導体(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプテニル)を含む。シクロアルキル部分は、「スピロシクロアルキル(spirocycloakyl)」様式(例えば、「スピロシクロプロピル」:
)で結合することができる。
「複素環」又は「ヘテロシクリル」は、飽和又は部分不飽和であり、1つ以上(例えば、環における酸素、窒素及びイオウから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を有し、残りの環原子は炭素である、4、5、6及び7員の単環又は7、8、9及び10員の二環式(架橋された二環式を含む)の複素環部分を指す。複素環の環原子に関して使用する場合、窒素又はイオウは、酸化された形態であってもよく、窒素は、1つ以上の(C1〜C6)アルキル又は基により置換されていてもよい。複素環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子でそのペンダント基に結合することができ、環原子のいずれかは、場合により置換されていることができる。このような飽和又は部分不飽和複素環の例は、これらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニルを含む。また、該用語(複素環という用語)は、複素環が、1つ以上のアリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル環に縮合している基(例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、オクタヒドロインドリル又はテトラヒドロキノリニル)も含む。
特に断りのない限り、「水素」又は「ヒドロ」という用語は、水素原子(−H)の部分を指し、H2を指すものではない。
「呼吸器障害」という用語は、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、気管支痙攣及び嚢胞性線維症を含む。
特に断りのない限り、用語「式で示される化合物(a compound of the formula)」若しくは「式で示される化合物(a compound of formula)」、又は「式で示される化合物(compounds of the formula)」若しくは「式で示される化合物(compounds of formula)」は、式により定義される化合物の種類から選択される任意の化合物(特に断りのない限り、任意のそのような化合物の薬学的に許容し得る塩若しくはエステル、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、薬学的に許容し得る塩、又はプロドラッグ等の任意のその実施態様を含む)を指す。
「薬学的に許容し得る塩」という用語は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に又はその他の点で望ましくなくはないそのような塩を指す。塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、好ましくは、塩酸)及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、N−アセチルシステイン等)と形成してもよい。加えて、塩は、遊離酸へ無機塩基又は有機塩基を添加することにより調製してもよい。無機塩基から得られる塩は、これらに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウムの塩等を含む。有機塩基から得られる塩は、これらに限定されるものではないが、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂等)の塩を含む。
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態で存在することができる。別の実施態様は、式Iで示される化合物を単離し又は精製するための中間体として有用であることができる、式Iで示される化合物の非薬学的に許容し得る塩を提供する。また、本発明の化合物は、薬学的に許容し得るエステル(即ち、プロドラッグとして使用される式Iで示される酸のメチルエステル及びエチルエステル)の形態で存在することができる。本発明の化合物は、溶媒和化(即ち、水和化)することもできる。溶媒和は、製造プロセスの過程で行うことができるか、又は生じる(即ち、式Iで示される初期無水化合物の吸湿特性の結果として)ことができる。
同じ分子式を有するが、性質、又はそれらの原子の結合の順序若しくは空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。ジアステレオマーは、エナンチオマーではない、1つ以上のキラル中心において反対の立体配置を有する立体異性体である。互いに重なり合わない鏡像である1つ以上の不斉中心を有する立体異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合(例えば、炭素原子が4つの異なる基に結合している場合)、一対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、1つ以上のその不斉中心(単数又は複数)の絶対配置により特徴付けることができ、カーン−インゴルド−プレローグのR−及びS−順位則により、又は分子が偏光面を回転させ、右旋性又は左旋性(即ち、それぞれ(+)又は(−)−異性体として)と命名される様式により記載される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとして又はそれらの混合物としてのいずれかで存在し得る。等比率のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。ある実施態様では、化合物は、単一のジアステレオマー又はエナンチオマーで、少なくとも約90重量%により濃縮される。他の実施態様では、化合物は、単一のジアステレオマー又はエナンチオマーで、少なくとも約95%、98%又は99重量%により濃縮される。エナンチオマーは、キラル分離法(例えば、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC))により、ラセミ混合物から分離してもよい。
「キラル中心」という用語は、その鏡像を重ね合わせることができない、空間的配置でリガンドのセットを保持する原子を指す。キラル中心は、不斉炭素から任意の元素の中心原子への一般的な概念の拡張と考えてもよい。各キラル中心(*C)は、その置換基が、原子番号に基づいてカーン−インゴルド−プレローグの順位則(CIP)により優先順位をそれぞれ指定されるシステムにより、好適にR又はSとラベルされる。幾つかの実施態様では、キラル中心(「*C」で示される)の立体化学は、相対化学及び絶対化学に関してすべての可能な組み合わせを表わす。
本発明のある化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有する。これらに限定されるものではないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、並びにそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)を含む本発明の化合物の全ての立体異性体形態は、本発明の一部を形成することが意図される。幾つかの例では、立体化学は決定されていないか又は仮に割り当てられている。分離されたエナンチオマーにおけるキラル中心での立体配置の割り当ては仮のものである場合があり、説明の目的で表1〜3の構造に描かれているが、立体化学は、x線結晶学データ等から決定的に確立される。
「治療有効量」の化合物という用語は、疾患の兆候を予防し、緩和し若しくは改善するか、又は治療される対象の生存を延長するために有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当技術分野の技能の範囲内である。本発明による化合物の治療有効量又は投与量は、広い範囲内で変動させることができ、当技術分野で公知の方法で決定してもよい。このような投与量は、投与される具体的な化合物、投与経路、処置される状態及び処置される患者を含む、各特定の場合における個々の必要性に合わせて調節されるであろう。一般的には、体重約70kgの成人に経口又は非経口投与する場合、約0.1mg〜約5,000mg、1mg〜約1,000mg又は1mg〜100mgの1日投与量が適切であり得るが、必要があれば下限及び上限を超えてもよい。1日投与量は、単回用量として又は分割用量で投与することができ、又は非経口投与については、持続注入として与えてもよい。
「薬学的に許容し得る担体」という用語は、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに薬学的投与に適合する他の材料及び化合物を含む、薬学的投与に適合する任意、かつ全ての材料を含むことを意図する。任意の従来の媒体又は剤が活性化合物と非適合性である場合を除き、本発明の組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性化合物も、組成物に包含させることができる。
本明細書中の組成物を調製するために有用な医薬担体は、固体、液体又は気体であることができ;したがって、該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、散剤、腸溶被覆又は他の保護された製剤(例えば、イオン交換樹脂への結合、又は脂質−タンパク質小胞へのパッキング)、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤等の形態をとることができる。担体は、石油、動物、植物又は合成起源のものを含む様々な油(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等)から選択することができる。水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールは、特に、(血液と等張である場合)注射用溶液のための、好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与のための製剤は、固体活性成分を水中に溶解させて水溶液を生成し、溶液を無菌にすることにより調製される活性成分の無菌水溶液を含む。好適な医薬賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、タルク、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等を含む。該組成物は、保存剤、安定剤、湿潤剤又は乳化剤、浸透圧を調節するための塩、バッファー等の従来の医薬添加剤に供してもよい。好適な医薬担体及びそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences by E. W. Martinに記載されている。このような組成物は、いずれにしても、レシピエントに適切に投与するための適切な投薬形態を調製するために、好適な担体と共に有効量の活性化合物を含有するであろう。
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物のいずれか1つ若しくは本発明の化合物のいずれかの組み合わせ、又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルは、当技術分野において公知の通常及び許容される方法のいずれかを介して、単独又は組み合わせのいずれかで投与される。このため、該化合物又は組成物は、これらに限定されるものではないが、経口(例えば、頬腔)、舌下、非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)、直腸(例えば、坐剤又は洗浄剤)、経皮(例えば、皮膚エレクトロポレーション)又は吸入(例えば、エアロゾルにより)、並びに固体、液体又は気体の投与形態(錠剤及び懸濁剤を含む)で投与することができる。投与は、継続的な療法と合わせた単回単位形態で、又は単回投与療法で自由に行うことができる。また、治療組成物は、パモ酸等の親油性塩と組み合わせた油エマルジョン又は分散剤の形態で、又は皮下若しくは筋肉内投与のための生分解性徐放性組成物の形態であることもできる。
化合物
本開示の様々な実施態様において、スルホニルシクロアルキルカルボキサミド化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、下記式(I):
で示される。
様々な実施態様のいずれにおいても、nは、2又は3である。幾つかの実施態様では、nは、2であり、それによって、シクロブタン環が提供される。幾つかの実施態様では、nは、3であり、それによって、シクロペンタン環が提供される。
R1は、アリール又はヘテロアリールであり、それぞれ、独立して、ハロゲン、−CN、C1−6アルキル及びC1−6ハロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換されている。幾つかの実施態様では、R1は、オルト位、メタ位又はパラ位のいずれかにおいて、Br、Cl、F、−CHF2、−CF3、−CHCl2及び−CCl3から選択された置換基で置換されているアリールである。
幾つかの実施態様では、R
1は:
である。幾つかの代替的な実施態様では、Fは、示された位置以外の環位置にあってもよく、Fは、−CHF
2又は−CF
3で置き換えられていてもよい。
様々な実施態様のいずれにおいても、mは、0、1、2又は3である。幾つかの実施態様では、mは、0である。幾つかの実施態様では、mは、1である。幾つかの実施態様では、mは、2である。幾つかの実施態様では、mは、3である。
各R2は、独立して、ハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6ハロアルキル、−O−C1−6アルキル、−C3−7シクロアルキル及び−CNから選択される。幾つかの実施態様では、各R2は、独立して、−CH3、−CH2CH3、−シクロプロパン、−CF3、−CN及びFから選択される。
R3は、−NH−C(O)−及び−C(O)−NH−の向きから選択されるアミドである。
R4は、独立して、ハロゲン、−C1−6アルキル、−C1−6ハロアルキル、−O−C1−6ハロアルキル及び−CNから選択される1つ以上の基で場合により置換されている4、5、6又は7員の複素環、アリール又はヘテロアリールである。
幾つかの実施態様では、R
4は、式:
で示される。
このような実施態様において、Y
1及びY
2は、独立して、C及びNから選択され、sは、0又は1である。R
8は、ハロゲン、−O−C
1−6ハロアルキル及び−C
1−6ハロアルキルから選択される。幾つかの実施態様では、R
4は、以下:
から選択される。
幾つかの実施態様では、−CF
3、−O−CF
3及び−CHF
2は、示された位置以外の環位置に位置していてもよい。
Aは、A1、A2及びA3から選択される。A1は、1又は2つの窒素ヘテロ原子を含む非置換又は置換の5員のヘテロアリールである。A2は、非置換又は置換アリールである。A3は、1又は2つのヘテロ窒素原子を含む非置換又は置換の6員のヘテロアリールである。
幾つかの実施態様では、Aは、A1であり、ここで、A1は、以下:
から選択される。
このような実施態様において、pは、0又は1であり、R
5は、ハロゲン、−O−C
1−6アルキル、−C
1−6ハロアルキル及び−C
3−7シクロアルキルから選択される。幾つかの実施態様では、A1は、以下:
から選択される。
幾つかの実施態様では、−O−CH
3、−CHF
2、−CF
3、−Cl及びシクロプロピルは、示された位置以外の環位置に位置していてもよい。
幾つかの実施態様では、Aは、A2であり、ここで、A2は、式:
で示される。
このような実施態様では、qは、0、1又は2である。各R
6は、独立して、ハロゲン、−O−C
1−6アルキル及び−C
1−6ハロアルキルから選択される。幾つかの実施態様では、A2は、式:
で示される。
幾つかの代替的な実施態様では、Fは、示された位置以外の環位置にあってもよく、Fは、−CHF
2又は−CF
3で置き換えてもよい。
幾つかの実施態様では、AはA3であり、ここで、A3は、式:
で示される。
このような実施態様では、X
1、X
2及びX
3は、独立して、C及びNから選択され、ここで、(i)X
1、X
2及びX
3のうちの1つは、Nであり、rは、0、1又は2であるか;又は(ii)X
1及びX
3はそれぞれ、Nであり、rは、0又は1である。各R
7は、独立して、ハロゲン、−O−C
1−6アルキル及び−C
1−6ハロアルキルから選択される。幾つかの実施態様では、A3は、以下:
から選択される。
幾つかの代替的な実施態様では、F及びClは、示された位置以外の環位置にあってもよく、F及びClは、−CHF
2又は−CF
3により置き換えてもよい。
幾つかの実施態様では、nは、2であり、スルホニルシクロアルキルカルボキサミド化合物は、以下の化合物のリストから選択され、ここで、環置換は、示された環位置以外の環位置にあってもよく、示された置換基は、代替的に、本明細書中の他の箇所に記載された置換基により置き換えてもよく、アスタリスクは、キラル中心を指す。
幾つかの実施態様では、nは、3であり、スルホニルシクロアルキルカルボキサミド化合物は、以下の化合物のリストから選択され、ここで、環置換は、示された環位置以外の環位置にあってもよく、示された置換基は、代替的に、本明細書中の他の箇所に記載された置換基により置き換えてもよく、アスタリスクは、キラル中心を指す。
本発明の別の実施態様では、式Iで示される化合物は、異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられた1つ以上の原子を有することにより、同位体ラベルされる。このような同位体ラベル(即ち、放射性ラベル)化された式Iで示される化合物は、本発明の範囲内であると考えられる。式Iで示される化合物に包含させることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体(例えば、これらに限定されるものではないが、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125I)を含む。これらの同位体ラベル化された化合物は、例えば、イオンチャネルにおける作用の部位若しくは様式、又はイオンチャネルにおける作用の薬理学的に重要な部位(特に、TRPA1)に対する結合親和性を特徴付けることにより、化合物の有効性を決定し又は測定するのを助けるために有用であろう。ある同位体ラベル化された式Iで示される化合物(例えば、放射性同位体を包含するもの)は、薬物及び/又は基質の組織分布研究に有用である。放射性同位元素であるトリチウム(即ち、3H)及び炭素−14(即ち、14C)は、それらの包含の容易さ及び検出の容易な手段の観点から、この目的に特に有用である。例えば、式Iで示される化合物は、1、2、5、10、25、50、75、90、95又は99パーセントの所与の同位体で濃縮することができる。
より重い同位体(例えば、重水素、即ち、2H)による置換は、より大きな代謝安定性から生じるある治療的利点(例えば、in vivo半減期の延長又は必要投与量の減少)を与えることができる。
11C、18F、15O及び13N等の陽電子放出同位体による置換は、基質のレセプター占有性を調べるための陽電子放出トポグラフィー(PET)研究に有用であることができる。同位体ラベル化された式Iで示される化合物は、一般的には、当業者に公知の従来技術により、又は後述のとおり実施例に記載されたものに類似したプロセスにより、先に利用された非ラベル化試薬に代えて、適切な同位体ラベル化された試薬を使用して調製することができる。
別の実施態様では、本発明は、治療有効量の式Iによる化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体とを含む、医薬組成物を提供する。
塩の形態に加えて、本発明は、プロドラッグの形態にある化合物を提供する。本明細書中で使用する場合、「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、本発明の化合物を提供するような化合物を指す。更に、プロドラッグは、ex vivo環境において化学的又は生化学的方法により、本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬を有する経皮パッチリザーバ中に配置された場合、本発明の化合物にゆっくりと変換することができる。
本発明のプロドラッグは、アミノ酸残基又は2つ以上(例えば、2つ、3つ又は4つ)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド又はエステル結合を介して、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基に共有結合している化合物を含む。アミノ酸残基は、これらに限定されるものではないが、3文字記号により一般に指定される20種の天然に存在するアミノ酸を含み、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、ガンマ−カルボキシグルタマート、馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、3−メチルヒスチジン、ノバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、メチル−アラニン、パラ−ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、メチオニンスルホン及びtert−ブチルグリシンも含む。
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されたように、ヒドロキシ基を、これらに限定されるものではないが、ホスファートエステル、ヘミスクシナート、ジメチルアミノアセタート又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等の基に変換することにより、プロドラッグとして誘導体化することができる。ヒドロキシ基及びアミノ基のカルバマートプロドラッグは、ヒドロキシ基の炭酸プロドラッグ、スルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に、含まれる。(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化(ここで、アシル基は、これらに限定されるものではないが、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含む基で場合により置換されているアルキルエステルであることができるか、又はアシル基は、上記されたアミノ酸エステルである)も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、アルコール基の水素原子の、(C1−6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−6)アルカノイル、アルファ−アミノ(C1−4)アルカノイル、アリールアシル、及びアルファ−アミノアシル又はアルファ−アミノアシル−アルファ−アミノアシル(ここで、各アルファ−アミノアシル基は、独立して、天然に存在するL−アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O(C1−6)アルキル)2又はグリコシル(ヘミアセタール型の炭水化物のヒドロキシル基の除去により生じる基)から選択される)等の基による置き換えを含む。
プロドラッグ誘導体の更なる例については、例えば、a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985)及びMethods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Academic Press, 1985);b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 "Design and Application of Prodrugs," by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:1-38 (1992);d)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77:285 (1988);並びにe)N. Kakeya, et al., Chem. Pharm. Bull., 32:692 (1984)を参照されたく、これらの文献はそれぞれ、参照により本明細書中に具体的に援用される。
加えて、本発明は、本発明の化合物の代謝物を提供する。本明細書中で使用する場合、「代謝物」は、具体的な化合物又はその塩の、体内での代謝を通して産生される生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的開裂等により生じることができる。
代謝生成物は、典型的には、本発明の化合物の放射性ラベル(例えば、14C又は3H)同位体を調製し、それをラット、マウス、モルモット、サル等の動物に又はヒトに検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)で非経口的に投与し、代謝が起こるために十分な時間(典型的には、約30秒〜30時間)を与え、尿、血液又は他の生物学的サンプルからその変換生成物を単離することによって特定される。これらの生成物は、それらがラベル化されているために容易に単離される(他のものは、代謝物に残存するエピトープに結合可能な抗体の使用により単離される)。代謝物の構造は、従来の様式で、例えば、MS、LC/MS又はNMR分析により決定される。一般的には、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝研究と同じ方法で行われる。代謝生成物は、in vivoにおいてその他で見出されない限り、本発明の化合物の治療的投与のための診断アッセイにおいて有用である。
本発明のある化合物は、非溶媒和形態及び溶媒和形態(水和形態を含む)で存在することができる。一般的には、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明のある化合物は、複数の結晶又は非晶質形態で存在することができる。一般的には、全ての物理的形態は、本発明で企図される使用において等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
医薬組成物及び投与
上記で提供された1つ以上の化合物(立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、薬学的に許容し得る塩、又はそれらのプロドラッグを含む)に加えて、本発明は、式Iで示される化合物又は/及びその実施態様と、少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体とを含む、組成物及び医薬も提供する。本発明の組成物は、患者(例えば、ヒト)においてTRPA1を選択的に阻害するために使用することができる。
本明細書中で使用する場合、「組成物」という用語は、特定成分を特定量で含む製品、及び特定量での特定成分の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の製品を包含することが意図される。「薬学的に許容し得る」により、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合性でなければならず、そのレシピエントに有害でないことが意味される。
一実施態様において、本発明は、式Iで示される化合物(又はその実施態様(立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、薬学的に許容し得る塩、及びそれらのプロドラッグを含む))と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物又は医薬を提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明の化合物を含む組成物(又は医薬)の調製を提供する。別の実施態様では、本発明は、式Iで示される化合物又はその実施態様、及び式Iで示される化合物若しくはその実施態様を含む組成物を、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)に投与することを提供する。
組成物は、良好な医療実務(good medical practice)と適合する様式で製剤化され、調薬され、投与される。この文脈において考慮される要因は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与計画、及び医師に公知の他の要因を含む。投与される化合物の有効量は、このような考慮により左右され、望ましくない疾患又は障害(例えば、疼痛等)を予防又は処置するために必要とされるTRPA1活性を阻害するために必要な最少量である。例えば、このような量は、正常細胞、又は全体として哺乳類に対して毒性である量を下回ってもよい。
一例では、1用量あたりの非経口的に投与される本発明の化合物の治療有効量は、約0.01〜100mg/kgの範囲、代替的には、例えば、1日あたり約0.1〜20mg/kg(患者体重)の範囲であり、使用される化合物の典型的な初期範囲は、0.3〜15mg/kg/日であろう。ある実施態様では、1日用量が、1日1回用量として若しくは1日に2〜6回に分割した用量で、又は徐放形態で与えられる。70kgの成人の場合、1日の総用量は、一般的には、約7mg〜約1,400mgであろう。この投与レジメンは、最適な治療反応を与えるように調節してもよい。化合物は、1日あたり1〜4回、好ましくは、1日あたり1回又は2回のレジメンで投与してもよい。
本発明の化合物は、任意の都合の良い投与形態、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等で投与してもよい。このような組成物は、医薬調製物において従来的な成分、例えば、希釈剤、担体、pH改変剤、甘味料、増量剤、及び更なる活性剤を含有してもよい。
本発明の化合物は、任意の好適な手段(例えば、経口(例えば、頬)、局所、舌下、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外、並びに鼻腔内、並びに、局所処置について所望される場合、病変内投与)により投与してもよい。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、脳内、眼内、病変内又は皮下投与を含む。
式Iで示される化合物(又はその実施態様(立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、薬学的に許容し得る塩、及びそれらのプロドラッグを含む))を含む組成物は、通常、標準的な医薬実務に従って、医薬組成物として製剤化される。典型的な製剤は、本発明の化合物と、希釈剤、担体又は賦形剤とを混合することにより調製される。好適な希釈剤、担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。また、製剤は、薬物(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗練された体裁を提供するために、又は医薬製品(即ち、医薬)の製造を助けるために、1つ以上のバッファー、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、芳香剤、風味剤、希釈剤、及び他の公知の添加剤を含むこともできる。好適な担体、希釈剤及び賦形剤は、当業者に周知であり、バッファー(例えば、ホスファート、シトラート及び他の有機酸);抗酸化剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む);保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチル又はプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン);単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖類(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);並びに/又は非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG))を含む。また、本発明の活性医薬成分(例えば、式Iで示される化合物又はその実施態様)は、例えば、コアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリラート)マイクロカプセル)中に、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルジョン中に捕捉することもできる。このような技術は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy: Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philidelphia, PAに開示されている。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存するであろう。溶媒は、一般的には、哺乳類に投与されるのに安全(GRAS)として当業者により認識されている溶媒に基づいて選択される。一般的には、安全な溶媒は、水等の非毒性水性溶媒、及び水に可溶性若しくは混和性である他の非毒性溶媒である。好適な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)等、及びそれらの混合物を含む。許容し得る希釈剤、担体、賦形剤及び安定剤は、利用される投与量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、含む。
本発明の化合物(例えば、式Iで示される化合物又はその実施態様)の徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の好適な例は、式Iで示される化合物又はその実施態様を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、同マトリックスは、成形物品(例えば、フィルム又はマイクロカプセル)の形態である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号明細書)、L−グルタミン酸とガンマ−エチル−L−グルタマートとのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers 22:547, 1983)、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167, 1981)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸リュープロリドから構成される注射可能なミクロスフェア))及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第0133988号明細書)を含む。また、持続放出組成物は、自体公知の方法により調製することができるリポソーム捕捉化合物(Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82:3688, 1985;Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:4030, 1980;米国特許第4485045号明細書及び同第4544545号明細書;並びに欧州特許出願公開第0102324号明細書)を含む。通常、リポソームは、小さな(約200〜800オングストローム)単層型のものであり、脂質含量は、約30mol%超 コレステロールであり、選択される割合は、最適な治療のために調整される。
一例では、式Iで示される化合物又はその実施態様は、周囲温度で適切なpHにおいて、所望の程度の純度で、生理学的に許容し得る担体(即ち、利用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒である担体)と混合することにより、ガレヌス投与形態に製剤化してもよい。製剤のpHは、主に、特定の用途及び化合物の濃度に依存するが、好ましくは、約3〜約8の範囲のどこかである。一例では、式Iで示される化合物(又はその実施態様)は、pH5の酢酸バッファー中で製剤化される。別の実施態様では、式Iで示される化合物又はその実施態様は無菌である。化合物は、例えば、固体又は非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として又は水溶液として保存してもよい。
経口投与に好適な本発明の化合物(例えば、式Iで示される化合物又はその実施態様)の製剤は、各々が所定量の本発明の化合物を含有する丸剤、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の別個の単位として調製することができる。
圧縮錠剤は、自由流動形態(例えば、粉末又は顆粒)の有効成分を好適な機械で圧縮し、場合によりバインダー、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤又は分散剤と混合することにより調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状の有効成分の混合物を好適な機械で成形することにより製造することができる。錠剤は、場合により、被覆し又は刻み目を付けることができ、場合により、そこからの有効成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化される。
錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤、硬又は軟カプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル剤)、シロップ剤又はエリキシル剤は、経口使用のために調製することができる。経口使用を意図した本発明の化合物(例えば、式Iで示される化合物又はその実施態様)の製剤は、医薬組成物を製造するために当技術分野に公知の任意の方法により調製することができ、このような組成物は、味の良い調製物を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤及び保存剤を含む1つ以上の剤を含有することができる。錠剤の製造に好適な無毒の薬学的に許容し得る賦形剤と混合した有効成分を含有する錠剤が許容される。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア);並びに滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)であることができる。錠剤は、被覆されていないか、又は公知の技術(消化管における崩壊及び吸収を遅延させることにより、長期間にわたる持続作用を提供するためのマイクロカプセル化を含む)により被覆することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を、単独で又はワックスと共に利用することができる。
好適な経口投与形態の例は、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約25mg、約30mg、約50mg、約80mg、約100mg、約150mg、約250mg、約300mg及び約500mgの本発明の化合物(又はその実施態様)と、約90〜30mgの無水ラクトース、約5〜40mgのクロスカルメロースナトリウム、約5〜30mgのポリビニルピロリドン(PVP)K30及び約1〜10mgのステアリン酸マグネシウムとを配合した錠剤である。粉末化成分が、まず一緒に混合され、次いで、PVPの溶液と混合される。得られた組成物を乾燥させ、顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、従来の装置を用いて錠剤形態に圧縮することができる。エアロゾル製剤の例は、本発明の化合物(例えば、5〜400mg)を好適なバッファー溶液(例えば、リン酸バッファー)中に溶解し、等張剤(tonicifier)(例えば、塩化ナトリウム等の塩)を必要に応じて加えることにより調製することができる。この溶液は、不純物及び混入物を除去するために、例えば、0.2ミクロンフィルターを使用して濾過してもよい。
眼又は他の外部組織(例えば、口及び皮膚)を処置するために、製剤は、好ましくは、有効成分を、例えば、0.075〜20%w/wの量で含有する局所軟膏剤又はクリーム剤として適用される。軟膏剤に製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系又は水混和性軟膏基剤のいずれかと共に利用することができる。或いは、有効成分は、水中油型クリーム基剤を有するクリーム剤に製剤化することができる。必要に応じて、クリーム基剤の水相は、多価アルコール(即ち、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール(例えば、プロピレングリコール、ブタン 1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)、並びにそれらの混合物))を含むことができる。局所製剤は、望ましくは、皮膚又は他の罹患領域を通した有効成分の吸収又は浸透を増強する化合物を含むことができる。このような皮膚浸透増強剤の例は、ジメチルスルホキシド及び関連類似物を含む。
局所製剤については、処置されようとする末梢ニューロンに隣接するターゲット領域(例えば、皮膚表面、粘膜等)に有効量の本発明による医薬組成物を投与するのが望ましい。この量は、一般的には、処置されようとする領域、使用が診断的、予防的又は治療的であるかどうか、症候の重症度、及び利用される局所媒体の性質に応じて、適用あたり約0.0001mg〜約1gの本発明の化合物(又はその実施態様)の範囲であろう。好ましい局所製剤は、軟膏剤であり、ここで、軟膏基剤1ccあたり約0.001〜約50mgの有効成分が使用される。医薬組成物は、経皮組成物又は経皮送達デバイス(「パッチ」)として製剤化することができる。このような組成物は、例えば、支持材、活性化合物の貯留部、コントロール膜、ライナー及び接触粘着材を含む。このような経皮パッチは、必要に応じて、本発明の化合物の継続的なパルス性の又はオンデマンドの送達を提供するために使用してもよい。
製剤は、単位用量又は複数用量の容器(例えば、密閉されたアンプル及びバイアル)に包装することができ、使用直前に注射用の滅菌液体担体(例えば、水)の添加のみを必要とする、凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。
用時調製用の注射用溶液及び懸濁液は、先に記載された種類の無菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製される。好ましい単位用量製剤は、有効成分の、本明細書中で上記された1日あたりの用量若しくは単位1日あたりのサブ用量、又は適切なその分割量を含有するものである。
結合ターゲットが脳に位置する場合、本発明のある実施態様は、血液脳関門を越える式Iで示される化合物(又はその実施態様)を提供する。ある神経変性疾患は、血液脳関門の透過性の増加に関連し、その結果、式Iで示される化合物(又はその実施態様)を脳に容易に導入することができる。血液脳関門がインタクトのままである場合、それを横切って分子を輸送するための幾つかの当技術分野で公知のアプローチ(これらに限定されるものではないが、物理的方法、脂質ベースの方法、並びにレセプター及びチャネルベースの方法を含む)が存在する。
血液脳関門を横切って式Iで示される化合物(又はその実施態様)を輸送する物理的方法は、これらに限定されるものではないが、血液脳関門を完全に迂回すること又は血液脳関門に開口部を形成することによることを含む。
迂回法は、これらに限定されるものではないが、脳内への直接注入(例えば、Papanastassiou et al., Gene Therapy 9:398-406, 2002を参照のこと)、間質注入/対流増強(convection-enhanced)送達(例えば、Bobo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91 :2076-2080, 1994を参照のこと)及び脳への送達デバイスの埋込み(例えば、Gill et al., Nature Med. 9:589-595, 2003; and Gliadel WafersTM, Guildfordを参照のこと)を含む。
医薬)。血液脳関門に開口部を形成する方法は、これらに限定されるものではないが、超音波(例えば、米国特許出願公開第2002/0038086号明細書を参照のこと)、浸透圧(例えば、高張マンニトールの投与による(Neuwelt, E. A., Implication of the Blood-Brain Barrier and its Manipulation, Volumes 1 and 2, Plenum Press, N.Y., 1989))、及び透過化(ブラジキニン又は透過化剤A−7による)(例えば、米国特許第5112596号明細書、同第5268164号明細書、同第5506206号明細書及び同第5686416号明細書を参照のこと)を含む。
血液脳関門を横切って式Iで示される化合物(又はその実施態様)を輸送する脂質ベースの方法は、これらに限定されるものではないが、式Iで示される化合物(又はその実施態様)を血液脳関門の血管内皮上のレセプターに結合する抗体結合断片に結合したリポソームに封入すること(例えば、米国特許出願公開第2002/0025313号明細書を参照のこと)、及び式Iで示される化合物(又はその実施態様)を低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許出願公開第2004/0204354号明細書を参照のこと)又はアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開2004/0131692号明細書を参照のこと)に被覆することを含む。
血液脳関門を横切って式Iで示される化合物(又はその実施態様)を輸送するレセプター及びチャネルベースの方法は、これらに限定されるものではないが、血液脳関門の透過性を増加させるグルココルチコイドブロッカーの使用(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号明細書、同第2003/0162695号明細書及び同第2005/0124533号明細書を参照のこと);カリウムチャネルの活性化(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号明細書を参照のこと);ABC薬物輸送体の阻害(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号明細書を参照のこと);式Iで示される化合物(又はその実施態様)をトランスフェリンで被覆し、1つ以上のトランスフェリンレセプターの活性をモデュレーションすること(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号明細書を参照のこと);及び抗体のカチオン化(例えば、米国特許第5004697号明細書を参照のこと)を含む。
脳内使用のために、特定の実施態様では、化合物は、CNSの流体貯留部への注入により継続的に投与することができるが、ボーラス注射が許容され得る。阻害剤は、脳室に投与することができ、又は、CNS若しくは脊髄液にその他で導入することができる。投与は、留置カテーテル及び継続的な投与手段(例えば、ポンプ)の使用により行うことができるか、又は、それは、埋込み(例えば、徐放性媒体の脳内埋込み)により投与することができる。より具体的には、阻害剤は、慢性的に埋め込まれたカニューレを通して注入することができるか、又は浸透圧ミニポンプの助けを借りて慢性的に注入することができる。皮下ポンプが利用可能であり、それは、タンパク質を小さなチューブを通して大脳室に送達する。高度に精巧なポンプは、皮膚を通して再充填することができ、それらの送達速度は、外科的介入なしに設定することができる。皮下ポンプデバイス又は完全に埋め込まれた薬物送達システムを介した継続脳室内注入を含む好適な投与プロトコール及び送達システムの例は、Harbaugh, J. Neural Transm. Suppl. 24:271, 1987;及びDeYebenes et al., Mov. Disord. 2: 143, 1987に記載されているように、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病の動物モデルへのドーパミン、ドーパミン作動薬及びコリン作動薬の投与に使用されるものである。
適応症及び処置方法
代表的な本発明の化合物は、TRPA1活性をモデュレーションすることが示されている。したがって、本発明の化合物(又はその実施態様)は、TRPA1活性により媒介される疾患及び状態を処置するための医学治療として有用である。このような疾患及び状態は、疼痛(急性、慢性、炎症性又は神経障害性疼痛);痒み又は様々な炎症性障害;内耳障害;発熱又は他の体温調節障害;気管・気管支又は横隔膜の機能不全;消化管又は尿路障害;呼吸器障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患);失禁;及びCNSへの血流減少又はCNS低酸素症に関連する障害を含むが、これらに限定されない。
具体的な実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、中でも、疼痛(これらに限定されるものではないが、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)を処置するための医学療法として投与することができる。ある種類の疼痛は、疾患又は障害とみなされ得るが、他の種類は、様々な疾患又は障害の症候とみなされ得、疼痛は、様々な病因を含み得る。本発明によるTRPA1モデュレーション剤で処置可能な疼痛の例示的な種類としては、変形性膝関節症、回旋筋腱板障害、関節炎(例えば、関節リウマチ又は炎症性関節炎;Barton et al. Exp. Mol. Pathol. 2006, 81(2), 166-170を参照のこと)、線維筋痛、片頭痛及び頭痛(例えば、群発性頭痛、副鼻腔頭痛又は緊張頭痛; Goadsby Curr. Pain Headache Reports 2004, 8, 393を参照のこと)、副鼻腔炎、口腔粘膜炎、歯痛、歯の外傷、抜歯、歯科感染、火傷(Bolcskei et al., Pain 2005, 117(3), 368-376)、日焼け、皮膚炎、乾癬、湿疹、昆虫刺傷、筋骨障害、骨折、靭帯捻挫、足底筋膜炎、肋軟骨炎、腱炎、滑液包炎、テニス肘、ピッチャー肘、膝蓋腱炎、反復性ひずみ損傷、筋膜症候群、筋肉ひずみ、筋炎、顎関節障害、切断術(amputation)、腰痛、脊髄損傷、頸部痛、頸部捻挫(whiplash)、膀胱痙攣、G1管障害、膀胱炎、間質性膀胱炎、胆嚢炎、尿路感染症、尿道仙痛、腎仙痛、咽頭炎、口唇ヘルペス、口内炎、外耳炎、中耳炎(Chan et al., Lancet, 2003, 361, 385)、灼熱性口症候群、粘膜炎、食道痛、食道痙攣、腹部障害、胃食道逆流疾患、膵炎、腸炎、過敏性腸障害、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、結腸拡張、腹部収縮、憩室症、憩室炎、腸ガス、痔核、肛門裂傷、肛門直腸障害、前立腺炎、精巣上体炎、精巣痛、直腸炎、直腸痛、分娩、出産、子宮内膜症、月経痙攣、骨盤痛、外陰部痛、膣炎、口唇及び生殖器感染(例えば、単純ヘルペス)、胸膜炎、心膜炎、非心臓性胸痛、挫傷、擦過傷、皮膚切開(Honore, P. et al., J Pharmacal Exp Ther., 2005, 314, 410-21)、術後疼痛、末梢神経障害、中枢神経障害、糖尿病性神経障害、急性ヘルペス性神経痛、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛、非定型顔面痛、悪性度障害、HIV関連神経障害、身体神経損傷、灼熱痛、反射性交感神経性ジストロフィー、坐骨神経痛、頸部、胸部又は腰部神経根障害、上腕神経叢障害、腰神経叢障害、神経変性障害、後頭部神経痛、肋間神経痛、眼窩上神経痛、鼠径神経痛、麻痺性麻痺、性大腿神経痛、手根管症候群、モートン神経腫、乳房切除後症候群、開胸後症候群、ポリオ後症候群、ギラン−バレー症候群、レイノー症候群、冠動脈痙攣(プリンツメタル又は変異型狭心症)、内臓痛(Pomonis, J.D. et al. J. Pharmacal. Exp. Ther. 2003, 306, 387;Walker, K.M. et al., J. Pharmacal. Exp. Ther. 2003, 304(1), 56-62)、視床痛、ガン(例えば、骨溶解性肉腫を含むガンにより引き起こされる疼痛、放射線若しくは化学療法によるガンの処置により引き起こされる疼痛、又はガンに関連する神経若しくは骨の病変により引き起こされる疼痛(Menendez, L. et al., Neurosci. Lett. 2005, 393 (1), 70-73;Asai, H. et al., Pain 2005, 117, 19-29を参照のこと)若しくは骨破壊痛(Ghilardi, J.R. et al., J. Neurosci. 2005, 25, 3126-31を参照)、感染又は代謝疾患に関連する、それらに起因する又はこれらにより引き起こされる疼痛を含む。加えて、該化合物は、内臓痛、眼痛、熱痛、歯痛、カプサイシン誘発性疼痛(並びに咳、流涙及び気管支痙攣等のカプサイシンにより誘発される他の症候状態)等の疼痛適応症を処置するために使用してもよい。
別の具体的な実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、皮膚障害又は炎症性障害等の様々な原因から生じ得る痒みを処置するための医学療法として投与することができる。
別の具体的な実施態様において、本発明の化合物(又はその実施態様)は、炎症性障害(腎臓又は肝胆道系障害、免疫学的障害、投薬反応及び未知/特発性状態からなる群より選択される障害を含む)を処置するための医学療法として投与することができる。本発明の剤で処置可能な炎症性障害は、例えば、炎症性腸疾患(IBO)、クローン病及び潰瘍性大腸炎(Geppetti, P. et al., Br. J. Pharmacal. 2004, 141, 1313-20;Yiangou, Y. et al., Lancet2001, 357, 1338-39;Kimball, E.S. etal., Neurogastroenterol. Motif., 2004,16, 811)、変形性膝関節症(Szabo, A. et al., J. Pharmacal. Exp. Ther. 2005, 314, 111-119)、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、重症筋無力症、多発性硬化症、強皮症、糸球体腎炎、膵炎、炎症性肝炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー鼻炎、ブドウ膜炎、炎症の心血管兆候(アテローム動脈硬化症、心筋炎、心膜炎及び血管炎を含む)を含む。
別の具体的な実施態様において、本発明の化合物(又はその実施態様)は、内耳障害を処置するための医学療法として投与することができる。このような障害は、例えば、過敏症、耳鳴、前庭過敏症及び発作性めまいを含む。
例えば、本発明の化合物(又はその実施態様)は、気管・気管支及び横隔膜の機能障害(例えば、喘息及びアレルギー関連免疫応答を含む)(Agopyan, N. et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2004, 286, L563-72;Agopyan, N. et al., Toxicol. Appl. Pharmacal. 2003, 192, 21-35)、咳(例えば、急性若しくは慢性咳、又は胃食道逆流疾患による刺激により引き起こされる咳;Lalloo, U.G. et al., J. Appl. Physiol. 1995, 79(4), 1082-7を参照のこと)、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫及びしゃっくり(hiccups)(しゃっくり(hiccoughs)、しゃっくり(sigultus))を処置するための医学療法として投与することができる。
別の具体的な実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、胃腸及び尿路障害(例えば、膀胱過活動、炎症性痛覚過敏、膀胱の内臓反射亢進、出血性膀胱炎(Dinis, P. et al., J Neurosci., 2004, 24, 11253-11263)、間質性膀胱炎(Sculptoreanu, A. et al., Neurosci Lett., 2005, 381, 42-46)、炎症性前立腺疾患、前立腺炎(Sanchez, M. et al., Eur J Pharmacal., 2005, 515, 20-27)、吐き気、嘔吐、腸痙攣、腸膨満感、膀胱痙攣、尿失禁、便意切迫及び切迫性尿失禁)を処置するための医学療法として投与することができる。
別の具体的な実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、CNSへの血流の減少又はCNS低酸素症に関連する障害を処置するための医学療法として投与することができる。このような障害は、例えば、頭部外傷、脊髄損傷、血栓塞栓性又は出血性脳卒中、一過性虚血発作、脳血管痙攣、低血糖症、心停止、てんかん重積状態、周産期仮死、アルツハイマー病及びハンチントン病を含む。
他の実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、TRPA1活性を通して媒介される他の疾患、障害又は状態(例えば、不安;学習又は記憶障害;眼関連障害(例えば、緑内障、視力喪失、眼圧亢進及び結膜炎);脱毛(例えば、毛髪成長の刺激による);糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病、又はインスリン感受性若しくは分泌により媒介される糖尿病性状態を含む);肥満(例えば、食欲抑制を通した);消化不良;胆汁性仙痛;腎仙痛;疼痛性膀胱症候群;炎症性食道;上気道疾患;尿失禁;急性膀胱炎;及び中毒症(例えば、海洋、ヘビ又は昆虫による刺傷(クラゲ、クモ又はアカエイ中毒症を含む)))を処置するための医学療法として投与することができる。
1つの具体的な実施態様では、本発明の化合物(又はその実施態様)は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、関節炎、痒み、咳、喘息又は炎症性腸疾患を処置するための医学療法として投与される。
別の実施態様では、本発明は、神経障害性疼痛又は炎症性疼痛を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書中の他の箇所に記載された式Iによる化合物(又はその実施態様)をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性をモデュレーションするために使用するための、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物(又はその実施態様)を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、TRPA1活性をモデュレーションにおいて使用するための、式Iで示される化合物の薬学的に許容し得る塩を提供する。
別の実施態様では、本発明は、医学療法において使用するための、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)を提供する。
別の実施態様では、本発明は、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎及び気管支痙攣から選択される呼吸器障害を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書中の他の箇所に記載された式Iによる化合物(又はその実施態様)をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、呼吸器障害を処置又は予防するための、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)を提供する。
別の実施態様では、本発明は、呼吸器障害を処置又は予防するための医薬を調製するための、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)の使用を提供する。
別の実施態様では、本発明は、哺乳類(例えば、ヒト)における呼吸器障害を処置するための方法であって、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)を哺乳類に投与することを含む、方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性をモデュレーションするための方法であって、TRPA1を、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その塩)と接触させることを含む、方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性により媒介される疾患又は状態を処置又は予防するための、本明細書中の他の場所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)を提供する。この実施態様の局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害及び炎症性疼痛を含む)、痒み、炎症性障害、内耳障害、発熱若しくは体温調節の別の障害、気管・気管支若しくは横隔膜の機能障害、胃腸障害若しくは尿路障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNS低酸素症に関連する障害である。この実施態様のある局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、関節炎、痒み、咳、喘息、炎症性腸疾患又は内耳障害である。
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性により媒介される疾患又は状態を処置又は予防するための医薬を調製するための、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施形態(例えば、その薬学的に許容し得る塩)の使用を提供する。この実施態様の局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、痒み、炎症性障害、内耳障害、発熱若しくは体温調節の別の障害、気管・気管支若しくは横隔膜の機能障害、胃腸障害若しくは尿路障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNS低酸素症に関連する障害である。この実施態様の局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、関節炎、痒み、咳、喘息、炎症性腸疾患又は内耳障害である。
別の実施態様では、本発明は、哺乳類(例えば、ヒト)におけるTRPA1活性により媒介される疾患又は状態を処置するための方法であって、本明細書中の他の箇所に記載された式Iで示される化合物又はその実施態様(例えば、その薬学的に許容し得る塩)を哺乳類に投与することを含む、方法を提供する。この実施態様のある局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、痒み、炎症性障害、内耳障害、発熱若しくは体温調節の別の障害、気管・気管支若しくは横隔膜の機能障害、胃腸障害若しくは尿路障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNS低酸素症に関連する障害である。この実施態様のある局面において、疾患又は状態は、疼痛(これらに限定されるものではないが、急性、慢性、神経障害性及び炎症性疼痛を含む)、関節炎、痒み、咳、喘息、炎症性腸疾患又は内耳障害である。
一態様において、本発明の化合物は、他の類似物と比較して、より高い効力を示す。このような代表的な化合物は、本発明の範囲に相応して、以下の表1に示され、ここで、「IC50」は、マイクロモーラー単位でのhTRPA1 CHO Ca2+ AUC EVO(IC50)を指し、ここで、アスタリスクは、キラル中心を指す:
併用療法
本発明の化合物(又はその実施態様)は、イオンチャネル媒介性疾患及び状態の処置において、本発明の1つ以上の他の化合物若しくは1つ以上の他の治療剤、又はそれらの任意の組み合わせとして、有用に組み合わせてもよい。例えば、本発明の化合物は、1つ以上の共治療剤(co-therapeutic agent)の組み合わせにおいて、同時に、逐次的に又は別々に投与してもよい。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、オピアート鎮痛薬である。オピアート鎮痛剤の例は、モルヒネ、ヘロイン、コカイン、オキシモルヒネ、レボルファノール、レバロルファン、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、ナルメフェン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メリピジン、メタドン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、非オピエート鎮痛薬、例えば、アセトメニフェン及び/又はサリチラート(例えば、アスピリン)である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である。NSAIDの例は、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルシナール、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗痙攣薬である。抗痙攣薬の例は、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、バルプロアート、トピラマート、ガバペンチン、プレガバリン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗うつ薬である。抗うつ薬の例は、アミトリプチリン、クロミプラミン、デスプラミン、イミプラミン、ノルトリプチリン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、COX−2選択的阻害剤である。COX−2阻害剤の例は、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、アルファ−アドレナリン作動薬である。アルファ−アドレナリン作動薬の例は、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン、モダフィニル、4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、バルビツラート鎮静薬である。バルビツラート鎮静薬の例は、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール、チオペンタール、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、タキキニン(NK)アンタゴニストである。タキキニンアンタゴニストの例は、NK−3、NK−2又はNK−1アンタゴニスト、例えば、(7R,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[2R,3S]−2−[(1R)−1−[(3,5−ビス(トリフルオロメチルフェニル)エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント、3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、コールタール鎮痛薬、例えば、パラセタモールである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、セロトニン再取込み阻害剤(SRI)である。SRIの例は、パロキセチン、セルトラリン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝物)、代謝物であるデメチルセルトラリン、’3フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラムの代謝物であるデスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン、トラゾドン、フルオキセチン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取込み阻害剤である。ノルアドレナリン再取込み阻害剤の例は、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオンの代謝物であるヒドロキシブプロピオン、ノイフェンシン及びビロキサジン(Vivalan(登録商標))、特に、選択的ノルアドレナリン再取込み阻害剤、例えば、レボキセチン(特に、(S,S)−レボキセチン)、ベンラファキシン・デュロキセチン神経遮断薬 鎮静薬/抗不安薬、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、二重セロトニン−ノルアドレナリン再取込み阻害剤である。このような二重阻害剤の例は、ベンラファキシンの代謝物であるO−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミンの代謝物であるデスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、イミプラミン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジルである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、5−HT3アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロンである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、代謝型グルタミン酸レセプター(mGluR)アンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、局所麻酔薬である。局所麻酔薬の例は、メキシレチン及びリドカインを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗不整脈薬である。抗不整脈薬の例は、メキシレチン及びフェニトインを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、ムスカリンアンタゴニストである。ムスカリンアンタゴニストの例は、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロスピウム(tropsium t chloride)、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、イプラトロピウム、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、カンナビノイドである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、バニロイドレセプターアゴニスト(例えば、レジンフェラトキシン)又はバニロイドレセプターアンタゴニスト(例えば、カプサゼピン)である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、鎮静薬である。鎮静薬の例は、グルテチミド、メプロバマート、メタクアロン、ジクロラルフェナゾン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗不安薬、例えば、ベンゾジアゼピンである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗うつ薬、例えば、ミルタザピンである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、局所薬である。局所薬の例は、リドカイン、カプサシン、レジニフェロトキシン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、筋弛緩薬である。筋弛緩薬の例は、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、オルフレナジン、及びそれらの組み合わせを含む。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、抗ヒスタミン薬又はH1アンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、NMDAレセプターアンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、5−HTレセプターアゴニスト/アンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、PDEV阻害剤である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、トラマドール(登録商標)である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、コリン作動性(ニコチン作動性)鎮痛薬である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、アルファ−2−デルタリガンドである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、プロスタグランジンE2サブタイプアンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、ロイコトリエンB4アンタゴニストである。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、5−リポキシゲナーゼ阻害剤である。
幾つかの実施態様では、共治療剤は、5−HT3アンタゴニストである。
本明細書中で使用する場合、「組み合わせ」は、本発明の1つ以上の化合物(又はその実施態様)と、本発明の1つ以上の他の化合物又は1つ以上の更なる治療剤との任意の混合物又は並び換えを指す。文脈から明らかでない限り、「組み合わせ」は、本発明の化合物と1つ以上の治療剤との同時又は逐次的な送達を含んでもよい。文脈から明らかでない限り、「組み合わせ」は、本発明の化合物と別の治療剤との投与形態を含んでもよい。文脈から明らかでない限り、「組み合わせ」は、本発明の化合物と別の治療剤との投与経路を含んでもよい。文脈から明らかでない限り、「組み合わせ」は、本発明の化合物と別の治療剤との製剤を含んでもよい。投与形態、投与経路及び医薬組成物は、これらに限定されるものではないが、本明細書中に記載されたものを含む。
別の実施態様では、本明細書中に上述された発明が提供される。
式Iで示される化合物の一般的な調製
これらの化合物を調製するために使用される出発材料及び試薬は、一般には、商業的な供給元(例えば、Aldrich Chemical Co.)から入手可能であるか、又は参考文献(例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5及びSupplementals; and Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40)に記載された手順に従って、当業者に公知の方法により調製されるかのいずれかである。
以下の合成反応スキームは、本発明の化合物(又はその実施態様)を合成することができる幾つかの方法の単なる説明であり、これらの合成反応スキームに対する様々な改変が、行われ得るし、本出願に含まれる開示を参照した当業者に示唆されるであろう。
合成反応スキームの出発材料及び中間体は、所望により、従来の技術(これらに限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含む)を使用して、単離し、精製することができる。このような材料は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けることができる。
そうではないと具体化されない限り、本明細書中に記載された反応は、好ましくは、大気圧での不活性雰囲気下、約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃、そして、最も好ましくかつ都合よく、約室温(又は周囲温度)(例えば、約20℃)の範囲の反応温度で行われる。
実施例
ある例示的な実施形態が本明細書中において示され、記載されているが、本発明の化合物(又はそれらの実施形態)は、本明細書中に一般的に記載された方法により、及び/又は当業者に利用可能な方法により、適切な開始材料を使用して調製することができる。
中間体及び最終化合物をフラッシュクロマトグラフィー及び/又は逆相分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、及び/又は超臨界流体クロマトグラフィーのいずれかにより精製した。特に断りのない限り、フラッシュクロマトグラフィーを、ISCO CombiFlash(登録商標)クロマトグラフィー装置(Teledyne Isco, Inc.製)上の、予め充填されたシリカゲルカートリッジ(ISCO製又はSiliCycle製のいずれか)を使用して行った。逆相分取HPLCを、(1)Polaris C-18 5μMカラム(50×21mm)又は(2)XBridge Prep C-18 OBD 5μMカラム(19×150mm)を使用して行った。超臨界流体クロマトグラフィーを、(1)4.6cm×5cm、3μM、(2)4.6cm×5cm、5μM又は(3)15cm×21.2mm、5μM等のカラム寸法を有する、Chiral Technologiesによる充填カラムであるChiralpak AD、Chiralpak AS、Chiralpak IA、Chiralpak IB、Chiralpak IC、Chiralcel OD又はChiralcel OJを使用して行った。
質量分析法(MS)を、(1)ES+モードのSciex 15質量分析計又は(2)ESI+モードのShimadzu液体クロマトグラフィー−質量分析計(LCMS)2020質量分析計を使用して行った。特に断りのない限り、質量スペクトルデータは、一般的には、親イオンのみを示す。MS又はHRMSデータは、指示された場合、特定の中間体又は化合物について提供される。
核磁気共鳴分光法(NMR)を、(1)Bruker AV III 300 NMR分光計、(2)Bruker AV III 400 NMR分光計又は(3)Bruker AV III 500 NMR分光計を使用し、テトラメチルシランを参照して行った。NMRデータは、指示された場合、特定の中間体又は化合物について提供される。
空気感受性試薬が関与する全ての反応は、不活性雰囲気下で行った。特に断りのない限り、試薬を、商業的供給元から受け取ったまま使用した。
実施例1:(1S,2R)−N−((3−(ジフルオロメチル)−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブタンカルボキサミドの調製
実施例1全体の反応スキームは、以下のとおりである。
実施例1、工程1:1−ブロモシクロブタンカルボン酸エチルの調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した20Lの四頸丸底フラスコに、THF(1M)中のLDA溶液(2295mL、1.10当量)を入れ、続けて、−78℃で攪拌しながら、シクロブタンカルボン酸エチル(500g、3.90mol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(2.5L)中溶液を滴加した。この混合物を−60℃で1時間攪拌した。これに、テトラブロモメタンのテトラヒドロフラン(1250mL)中溶液(1250g、3.77mol、1.00当量)を撹拌しながら滴加した。得られた溶液を−70℃から室温まで一晩撹拌し、−10℃で飽和NH4Cl水溶液(600mL)を加えることによりクエンチし、酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:50)で溶離するシリカゲルカラムに適用し、1−ブロモシクロブタン−1−カルボン酸エチル(620g(77%))を淡黄色の油状物として得た。
実施例1、工程2:シクロブタ−1−エンカルボン酸の調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した5000mLの四頸丸底フラスコに、トルエン(2.5L)、水酸化カリウム(240g、4.28mol、5.50当量)及び1−ブロモシクロブタン−1−カルボン酸エチル(150g、724.41mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を油浴中で2時間加熱還流した。この反応を2回繰り返した。反応混合物を水/氷浴で25℃まで冷却し、水/氷(500mL)を加えることによりクエンチし、エーテル(500mL)で抽出した。水層を合わせた。溶液のpH値を、塩化水素水溶液(6N)で2に調整した。得られた溶液をエーテル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:50〜1:20)で溶離するシリカゲルカラムに適用し、シクロブタ−1−エン−1−カルボン酸(230g(粗製物))を白色の固体として得た。
実施例1、工程3:2−((4−フルオロフェニル)チオ)シクロブタンカルボン酸の調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した5000mLの三頸丸底フラスコに、シクロブタ−1−エン−1−カルボン酸(220g、2.24mol、1.00当量)、4−フルオロベンゼン−1−チオール(420g、3.28mol、1.50当量)及びテトラヒドロフラン(2500mL)を入れ、続けて、氷/水浴中で撹拌しながら、TBAF(900mL)を滴加した。得られた溶液を室温で5時間撹拌し、減圧下で濃縮し、水/氷(1200mL)を加えることによりクエンチし、酢酸エチル(3×1300mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(2×600mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:50〜1:20)で溶離するシリカゲルカラムに適用し、2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−カルボン酸(246g(48%))を白色の固体として得た。
LC−MS:(ES,m/z):[M−H]+=225;1H-NMR: (300MHz, CDCl3, ppm): [] 1.901-2.181 (m, 1.5H), 2.281-2.440 (m, 2.5H), 3.048-3.078 (m, 0.28H), 3.510-3.544 (m, 0.75H), 3.944-4.142 (m, 1H), 6.931-7.037 (m, 2H), 7.259-7.427 (m, 2H), 10.50 (s, 1H)。
実施例1、工程4:3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの調製
3−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(1.23g、6.47mmol、1.00当量)、1−ヨード−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(2.51g、9.21mmol、1.42当量)、CuI(123mg、0.65mmol、0.10当量)、L−プロリン(149mg、1.29mmol、0.20当量)、Cs2CO3(5.276g、16.19mmol、2.50当量)及びN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物を、窒素下90℃で12時間攪拌した。得られた溶液をブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン(1/50)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1.322g、61%)を淡黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=335.1。
実施例1、工程5:[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタノールの調製
DIBAL(12mL、ヘキサン中 1M、3.00当量)を3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(1.322g、3.96mmol、1.00当量)のジクロロメタン(100mL)中溶液に、窒素下、−70℃で滴加した。得られた溶液を−70℃で1時間撹拌し、次いで、メタノールを加えることによりクエンチし、室温まで温め、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン(1/5)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1g、87%)を淡黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=293.1。
実施例1、工程6:工程6:2−[[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオンの調製
DIAD(1.383g、6.84mmol、2.00当量)を[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタノール(1g、3.42mmol、1.00当量)、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(1g、6.80mmol、2.00当量)及びPPh3(1.79g、6.84mmol、2.00当量)のテトラヒドロフラン(200mL)中溶液に、窒素下、0℃で滴加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。次いで、この反応にブラインを加えることによりクエンチし、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン(1/10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(2.3g)を白色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=422.1。
実施例1、工程7:[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタンアミンの調製
2−[[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(2.3g、5.46mmol、1.00当量)、メタノール(200mL)及びNH2NH2.H2O(2.732g、80%)の混合物を60℃で12時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(300mL)に溶解させた。固体を濾別した。濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物(1.58g)を黄色の油状物として得、これを何ら更に精製することなく次の工程に使用した。LC−MS(ESI):[M+H]+=292.1。
実施例1、工程8:N−[[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]−2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−カルボキサミドの調製
2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−カルボン酸(730mg、3.23mmol、1.00当量)、HATU(833mg、2.19mmol、0.68当量)、DIEA(1.473g、11.40mmol、3.53当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)及び[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタンアミン(940mg、3.23mmol、1.00当量)の混合物を室温で12時間撹拌した。得られた溶液をブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン(1/50)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(2.1g)を黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=500.1。
実施例1、工程9:(1S)−N−[[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]−2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]シクロブタン−1−カルボキサミドの調製
m−CPBA(1.476g、8.55mmol、2.14当量)の酢酸(10mL)中溶液をN−[[3−(ジフルオロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]−2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−カルボキサミド(2g、4.00mmol、1.00当量)のジクロロメタン(200mL)中溶液に0℃で滴加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。
粗生成物をキラル分取HPLCにより精製して、(1S,2S)−N−((3−(ジフルオロメチル)−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブタンカルボキサミド(118.8mg、6%)を白色の固体として得た。tR=3.01分(CHIRALPAK IC-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=532.1;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.12 (s, 1H), 7.9 - 7.83 (m, 4H), 7.76 - 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.24 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.98 - 6.71 (m, 2H), 4.58 (dd, J = 15.0, 6.0 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 15.0, 5.6 Hz, 1H), 4.00 - 3.95 (m, 1H), 3.64 - 3.57 (m, 1H), 2.45 - 2.3 (m, 2H), 2.23 - 2.16 (m, 1H), 2.01 - 1.97 (m, 1H)。
更に3つの立体異性体もキラル分取HPLC分離から単離した。
異性体1:白色の固体として(92.5mg、4%)。tR=1.56分(Lux 3u Cellouse-2、4.6×100mm、3μm、MeOH(0.1% DEA)、2.0分で10%〜40%、40%で1.0分保持、4.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=532.1;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.42 (s,1H), 7.91 - 7.84 (m, 4H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.97 - 6.70 (t, J = 54.4 Hz, 1H), 6.60 (s,1H), 4.73 (dd, J = 16, 6 .8 Hz, 1H), 4.55 (dd, J1 = 15.6, 5.2 Hz, 1H), 4.11 - 4.05 (m, 1H), 3.61 - 3.55 (m, 1H), 2.74 - 2.51 (m, 2H), 2.2 - 2.1. (m, 2H)。
異性体2:白色の固体として(136.2mg、6%)。tR=1.75分(Lux 3u Cellouse-2、4.6×100mm、3μm、MeOH(0.1% DEA)、2.0分で10%〜40%、40%で1.0分保持、4.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=532.1;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.42 (s, 1H), 7.91 - 7.84 (m, 4H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 6.97 - 6.7 (t, J = 54 Hz, 1H), 6.59 (t, J = 5.6 Hz,1H), 4.74 (dd , J = 15.6, 6 .4Hz, 1H), 4.55 (dd, J1 = 15.6, 5.2 Hz, 1H), 4.11 - 4.05 (m, 1H), 3.59 - 3.55 (m, 1H), 2.73 - 2.52 (m, 2H), 2.19 - 2.12 (m, 2H)。
異性体3:白色の固体として(95.1mg、4%)。tR=2.47分(CHIRALPAK IC-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=532.1;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.12 (s, 1H), 7.90 - 7.83 (m, 4H), 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.24 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.98 - 6.71 (m, 2H), 4.58 (dd, J = 15.0, 6.0 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 15.0, 5.6 Hz, 1H), 4.00 - 3.94 (m, 1H), 3.64 - 3.57 (m, 1H), 2.47 - 2.3 (m, 2H), 2.23 - 2.16 (m, 1H), 2.04 - 1.97 (m, 1H)。
実施例2:N−((1R,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルフィニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミド
実施例2全体の反応スキームは、以下のとおりである。
実施例2、工程1:2−ブロモシクロブタノンの調製
Br2(3.5g、14.11mmol、1.0当量)のクロロホルム(20mL)中溶液をシクロブタノン(1g、14.26mmol、1.0当量)のクロロホルム(50mL)中溶液に、0℃で撹拌しながら滴加した。得られた溶液を室温で一晩攪拌し、クロロホルム(50mL)で希釈し、H2O(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これが、黄色の液体として2−ブロモシクロブタン−1−オン(1.2g(56%))をもたらした。
実施例2、工程2:2−(4−フルオロフェニルチオ)シクロブタノンの調製
t−BuOH/THF(1M)(8mL、71.29mmol、8.9当量)を4−フルオロベンゼン−1−チオール(900mg、7.02mmol、0.8当量)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中溶液に0℃で滴加し、窒素下で20分間撹拌した。上記に2−ブロモシクロブタン−1−オン(1.2g、8.05mmol、1.0当量)のDMF(5mL)中溶液を滴加し、この混合物を室温で更に1時間撹拌した。次いで、反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1g、61%)を黄色の油状物として得た。
実施例2、工程3:2−(4−フルオロフェニルチオ)シクロブタノールの調製
2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−オン(900mg、4.58mmol、1.0当量)のジクロロメタン(5mL)中溶液を、NaBH4(262mg、6.92mmol、1.5当量)、DCM(20mL)、メタノール(10mL)の混合物に0℃で滴加し、1時間撹拌した。次いで、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(800mg、88%)を無色の油状物として得た。
実施例2、工程4:2−(2−(4−フルオロフェニルチオ)シクロブチル)イソインドリン−1,3−ジオンの調製
DIAD(1.5g、7.41mmol、2.0当量)を2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−オール(750mg、3.78mmol、2.0当量)、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(1.1g、7.47mmol、1.0当量)及びPPh3(2g、7.62mmol、2.0当量)のTHF(30mL)中溶液に滴加し、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:5)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(850mg、35%)を白色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=328.1。
実施例2、工程5:2−(4−フルオロフェニルチオ)シクロブタンアミンの調製
2−[2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブチル]−オクタヒドロ−1H−イソインドール−1,3−ジオン(850mg、2.54mmol、1.0当量)及びNH2NH2・H2O(20mL、80%)のメタノール(20mL)中溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル中に溶解させた。固体を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。これにより、標題化合物(170mg、34%)を黄色の油状物として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=198.1。
実施例2、工程6:N−(2−(4−フルオロフェニルチオ)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミドの調製
2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−アミン(400mg、2.02mmol、1.0当量)、2−[3−(トリフルオロメチル)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸(690mg、2.02mmol、1.0当量)、DIEA(524mg、4.05mmol、2.0当量)、HATU(926mg、2.43mmol、1.2当量)のDMF(10mL)中溶液を室温で2時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、H2Oで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(750mg、71%)を黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=520.1。
実施例2、工程7:N−((1R,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルフィニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミドの調製
mCPBA(298mg、1.72mmol、1.2当量)をN−[2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]アセトアミド(750mg、1.44mmol、1.0当量)のDCM(20mL)中溶液に少量ずつ加え、室温で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(2:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。粗生成物をキラル分取HPLCにより精製して、N−((1R,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルフィニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミド(13.3mg、1.7%)を白色の固体として得た。tR=1.09分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=80:20、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.36 (s, 2H), 8.45 (s, 1H), 7.54 - 7.51 (m, 2H), 7.28 - 7.23 (m, 2H), 6.87 - 6.85 (m, 1H), 5.16 - 5.07 (m, 1H), 3.79 - 3.68 (m, 2H), 3.58 - 3.53 (m, 1H), 2.51 - 2.40 (m, 2H), 2.18 - 2.08 (m, 1H), 1.85 - 1.81 (m, 1H)。
7つの更なる立体異性体をキラル分取HPLC分離から単離した。
異性体1:白色の固体として(13.0mg、1.6%)。tR=1.43分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=80:20、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.36 (s, 2H), 8.45 (s, 1H), 7.54 - 7.51 (m, 2H), 7.28 - 7.23 (m, 2H), 6.87 - 6.85 (m, 1H), 5.16 - 5.07 (m, 1H), 3.79 - 3.68 (m, 2H), 3.58 - 3.53 (m, 1H), 2.51 - 2.40 (m, 2H), 2.18 - 2.08 (m, 1H), 1.85 - 1.81 (m, 1H)。
異性体2:白色の固体として(15.7mg、2%)。tR=4.19分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=80:20、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.32 (s, 2H), 8.34 (s, 1H), 7.64 - 7.58 (m, 2H), 7.54 - 7.48 (m, 1H), 7.28 - 7.16 (m, 2H), 5.01 - 4.94 (m, 1H), 3.75 - 3.67 (m, 2H), 3.55 - 3.38 (m, 2H), 2.53 (m, 1H), 2.46 - 2.29 (m, 3H)。
異性体3:白色の固体として(27.2mg、3.5%)。tR=5.10分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=90:10、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.32 (s, 2H), 8.34 (s, 1H), 7.64 - 7.58 (m, 2H), 7.54 - 7.48 (m, 1H), 7.28 - 7.16 (m, 2H), 5.01 - 4.94 (m, 1H), 3.75 - 3.67 (m, 2H), 3.55 - 3.38 (m, 2H), 2.53 (m, 1H), 2.46 - 2.29 (m, 3H)。
異性体4:白色の固体として(67.9mg、8.7%)。tR=3.98分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):IPA=70:30、1.5mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.38 (s, 2H), 8.39 (s, 1H), 7.63 - 7.59 (m, 2H), 7.18 - 7.13 (m, 2H), 5.73 - 5.71 (m, 1H), 4.72 - 4.68 (m, 1H), 3.76 - 3.73 (m, 1H), 3.34 - 3.24 (m, 2H), 2.40 - 2.34(m, 1H), 2.20 - 1.98 (m, 3H)。
異性体5:白色の固体として(69.7mg、9.0%)。tR=4.81分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):IPA=70:30、1.5mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.38 (s, 2H), 8.39 (s, 1H), 7.63 - 7.59 (m, 2H), 7.18 - 7.13 (m, 2H), 5.73 - 5.71 (m, 1H), 4.72 - 4.68 (m, 1H), 3.76 - 3.73 (m, 1H), 3.34 - 3.24 (m, 2H), 2.40 - 2.34(m, 1H), 2.20 - 1.98 (m, 3H)。
異性体6:白色の固体として(31.4mg、4.1%)。tR=3.35分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=80:20、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.35 (s, 2H), 8.54 (s, 1H), 7.57 - 7.54 (m, 2H), 7.22 - 7.18 (m, 2H), 6.21 - 6.09 (m, 1H), 4.60 - 4.51 (m, 1H), 3.72 - 3.55 (m, 3H), 2.29 - 2.35 (m, 1H), 2.17 - 1.99 (m, 2H), 1.63 - 1.55 (m, 1H)。
異性体7:白色の固体として(24.7mg、3.2%)。tR=4.03分(Chiralpak IB、4.6×250mm、5um HPLC Chiral-A(IB)001IB00CE-LA026、Hex(0.1% DEA):EtOH=80:20、1mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=536.1;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.35 (s, 2H), 8.54 (s, 1H), 7.57 - 7.54 (m, 2H), 7.22 - 7.18 (m, 2H), 6.21 - 6.09 (m, 1H), 4.60 - 4.51 (m, 1H), 3.72 - 3.55 (m, 3H), 2.29 - 2.35 (m, 1H), 2.17 - 1.99 (m, 2H), 1.63 - 1.55 (m, 1H)。
実施例3:N−((1S,2R)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミド
実施例3全体の反応スキームは、以下のとおりである。
実施例3、工程1:2−((4−フルオロフェニル)チオ)シクロブタンカルボン酸の調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した3000mLの四頸丸底フラスコに、2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブタン−1−カルボン酸(220g、972.30mmol、1.00当量)及び2−メチルプロパン−2−オール(2.4L)並びにTEA(171g、1.69mol、1.60当量)を入れ、続けて、60℃で攪拌しながらDPPA(350g、1.27mol、1.20当量)を滴加した。得られた溶液を80℃で3時間撹拌し、水/氷浴で25℃まで冷却し、減圧下で濃縮した。次いで、残留物を水/氷 600mLの添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×800mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(1×500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:50)で溶離するシリカゲルカラムに適用し、N−[2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブチル]カルバミン酸tert−ブチル(130g(45%))を白色の固体として得た。
実施例3、工程2:(2−((4−フルオロフェニル)スルホニル)シクロブチル)カルバミン酸tert−ブチルの調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した2000mLの四頚丸底フラスコに、N−[2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロブチル]カルバミン酸tert−ブチル(120g、403.51mmol、1.00当量)及びジクロロメタン(1.5L)を入れ、続けて、m−CPBA(205g、1.19mol、3.00当量)を氷/水浴中で撹拌しながら少しずつ加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、水/氷浴で冷却し、炭酸ナトリウム氷水溶液(50mL)の添加によりクエンチした。この溶液のpH値を、炭酸ナトリウム水溶液で9に調整した。得られた溶液をジクロロメタン(2×800mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(1×500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムに適用し、酢酸エチル/石油エーテル(1:15〜1:10〜1:5)で溶離して、N−[2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−シクロブチル]カルバミン酸tert−ブチル(92g(A 24g、B 64g、C 4g))を白色の固体として得た。
実施例3、工程3:2−((4−フルオロフェニル)スルホニル)シクロブタンアミン塩酸塩の調製
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した500mLの三頸丸底フラスコに、N−[2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]シクロブチル]カルバミン酸tert−ブチル(3バッチで24/35/4g、72.86mmol、1.00当量)及びジクロロメタン(240/350/40mL)を入れ、続けて、塩化水素(ガス)を導入した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮し、エーテル(2×30mL)で洗浄して、2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]シクロブタン−1−アミン塩酸塩(17(A)/23(B)/2.4(C)g(88%))を白色の固体として得た。LC−MS:(ES,m/z):(ES+[M+H]+=230;1H-NMR: (300MHz, D2O, ppm): δ2.143-2.209 (m, 1H), 2.355-2.480 (m, 3H), 4.291-4.400 (m, 2H), 7.331-7.390 (m, 2H), 7.926-7.972 (m, 2H)。
実施例3、工程4:N−((1R,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミドの調製
2−[3−(トリフルオロメチル)−1−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸(6.2g、18.22mmol、1.0当量)、2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]シクロブタン−1−アミン(3.7g、16.13mmol、0.8当量)、HATU(10.3g、27.08mmol、1.4当量)及びDIEA(7.04g、54.47mmol、2.9当量)のDMF(50mL)中溶液を室温で12時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取SFCにより精製して、N−((1R,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミド(1.1g、11%)を白色の固体として得た。tR=1.51分(CHIRALCEL OD-3(SFC2) 4.6×100mm、3um UPC Kiral-A(OD-H)005OD30CS-MH018;MeOH(0.1% DEA)=10%、4mL/分。LC−MS(ESI):[M+H]+=552.1;1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.35 (s, 2H), 8.52 (s, 1H), 7.91 - 7.88 (m, 2H), 7.29 - 7.25 (m, 2H), 6.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.22 - 5.13 (m, 1H), 4.06 - 4.04 (m, 1H), 3.71 - 3.62 (m, 2H), 2.61 - 2.48 (m, 2H), 2.11 - 207 (m, 2H)。また、粗生成物は、N−((1S,2R)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)シクロブチル)−2−(3−(トリフルオロメチル)−1−(2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アセトアミド(1.2g、12%)を白色の固体として得た。tR=2.14分(CHIRALCEL OD-3(SFC2) 4.6×100mm、3um UPC Kiral-A(OD-H)005OD30CS-MH018;MeOH(0.1% DEA)=10%、4mL/分)、LC−MS(ESI):[M+H]+=552.1;1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.35 (s, 2H), 8.52 (s, 1H), 7.91 - 7.88 (m, 2H), 7.29 - 7.25 (m, 2H), 6.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.22 - 5.13 (m, 1H), 4.06 - 4.04 (m, 1H), 3.71 - 3.62 (m, 2H), 2.61 - 2.48 (m, 2H), 2.11 - 207 (m, 2H)。
実施例4:(1S,2S)−2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]シクロペンタン−1−カルボキサミドの調製
実施例4全体の反応スキームは、以下のとおりである。
実施例4、工程1:3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルの調製
N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)中の3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(2.022g、9.71mmol、1.00当量)、5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(2.25g、9.96mmol、1.00当量)、炭酸カリウム(4.14g、29.96mmol、3.10当量)、L−プロリン(230mg、2.00mmol、0.20当量)及びCuI(190mg、1.00mmol、0.10当量)の混合物を窒素下、油浴中の100℃で一晩撹拌した。固体を濾別した。得られた溶液をブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(5:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1.47g、43%)を白色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=354.1。
実施例4:工程2:[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタノールの調製
LiAlH4(190mg、5.01mmol、1.20当量)を幾つかのバッチにおいて、3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチル(1.47g、4.16mmol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(30mL)中溶液に、窒素下、0℃で添加した。得られた溶液を氷/塩浴中での0℃で30分間撹拌した。次いで、反応物をNaOH(1mol/L)(10mL)の添加によりクエンチした。得られた混合物を濾過した。この溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これにが、黄色の固体として標題化合物(1.257g、97%)をもたらした。LC−MS(ESI):[M+H]+=312.0。
実施例4、工程3:3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒドの調製。
ジクロロメタン(40mL)中の[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタノール(1.257g、4.04mmol、1.00当量)及びDMP(2.06g、4.86mmol、1.20当量)の混合物を室温で3時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(7:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、淡黄色の固体として標題化合物(1.13g、90%)をもたらした。LC−MS(ESI):[M+H]+=310.0。
実施例4、工程4:[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタンアミンの調製
エタノール(40mL)中の3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(500mg、1.62mmol、1.00当量)、NH2OH・HCl(230mg、3.31mmol、2.00当量)及び水(5mL)の混合物を室温で2時間撹拌した。濃塩化水素(2mL)、Pd/C(100mg、10%)をこの混合物に加えた。得られた混合物を水素下、室温で1時間撹拌した。固体を濾別した。得られた溶液を水で希釈した。この溶液のpH値を、炭酸ナトリウムで9に調整した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これが、黄色の固体として標題化合物(800mg、粗生成物)をもたらし、これを何ら更に精製することなく次の工程に使用した。LC−MS(ESI):[M+H]+=311.1。
実施例4、工程5:N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]シクロペンタ−1−エン−1−カルボキサミドの調製
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタンアミン(1.84g、5.93mmol、1.00当量)、シクロペンタ−1−エン−1−カルボン酸(1.008g、8.99mmol、1.50当量)、DIEA(7.74g、59.89mmol、10.10当量)、HATU(3.04g、8.00mmol、1.30当量)の混合物を室温で一晩撹拌した。この反応物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(10:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1.13g、47%)を淡黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=405.1。
実施例4、工程6:N−[(シクロペンタ−1−エン−1−イル)カルボニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]カルバミン酸tert−ブチルの調製
ジクロロメタン(40mL)中のN−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]シクロペンタ−1−エン−1−カルボキサミド(1.4g、3.46mmol、1.00当量)、TEA(1.05g、10.38mmol、3.00当量)及びBoc2O(7.6g、34.82mmol、10.10当量)の混合物を室温で一晩撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(7:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1.28g、73%)を淡黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=505.2。
実施例4、工程7:N−([2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロペンチル]カルボニル)−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]カルバミン酸tert−ブチルの調製
テトラヒドロフラン(20mL)中のN−[(シクロペンタ−1−エン−1−イル)カルボニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]カルバミン酸tert−ブチル(1.48g、2.93mmol、1.00当量)、TBAF(261mg、1.00mmol、0.30当量)及び4−フルオロベンゼン−1−チオール(3g、23.41mmol、8.00当量)の溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、反応物を水の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(8:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(1.6g、86%)を無色の油状物として得た。LC−MS(ESI):[M+H]+=633.2。
実施例4、工程8:N−([2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]シクロペンチル]カルボニル)−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]カルバミン酸tert−ブチルの調製
m−CPBA(42mg、0.24mmol、2.20当量)の酢酸エチル(1mL)中溶液を、撹拌しながら、N−([2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]シクロペンチル]カルボニル)−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イルメチル]カルバミン酸tert−ブチル(70mg、0.11mmol、1.00当量)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、窒素下、0℃で滴加した。得られた溶液を氷/塩浴中での0℃で30分間撹拌した。次いで、反応物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液の添加によりクエンチし、酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これが、無色の油状物として標題化合物(60mg、82%)をもたらした。LC−MS(ESI):[M+H]+=665.2。
実施例4、工程9:(1S,2S)−2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]シクロペンタン−1−カルボキサミドの調製
N−[[2−(ベンゼンスルホニル)シクロペンチル]カルボニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]カルバミン酸tert−ブチル(1.2g、1.86mmol、1.00当量)及び4N HClのジオキサン(50mL)中混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(30:100)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。粗生成物(1.2g)を以下の条件でのキラル分取HPLCにより精製した(Prep-HPLC-009):カラム、Chiralpak IA、2×25cm、5um;移動相、Hex及びエタノール(18分で30.0%エタノールを保持);検出器、UV254/220nm。これが、白色の固体として(1S,2S)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)−N−((3−(トリフルオロメチル)−1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)シクロペンタンカルボキサミド(209.9mg、20%)をもたらした。tR=8.02分(CHIRALPAK IA-3、0.46×15cm、3μm、Hex:EtOH=70:30、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=565.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.24 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.52 - 8.42 (m, 2H), 8.14 - 8.11 (m, 1H), 7.94 - 7.90 (m, 2H), 7.50 - 7.45 (m, 2H), 4.27 - 3.97 (m, 3H), 3.08 - 3.02 (m, 1H), 2.28 - 2.22 (m, 1H), 1.93 - 1.77 (m, 4H), 1.64 - 1.50 (m, 1H)。
3つの更なる立体異性体も、キラル分取HPLC分離から単離した。
異性体1:白色の固体として(179.9mg、17%)。tR=4.95分(CHIRALPAK IA-3、0.46×15cm、3μm、Hex:EtOH=70:30、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=565.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.28 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.54 - 8.49 (m, 2H), 8.15 - 8.12 (m, 1H), 7.96 - 7.91 (m, 2H), 7.44 - 7.38 (m, 2H), 4.22 - 4.02 (m, 3H), 3.14 -3.06 (m, 1H), 2.09 -1.92 (m, 3H), 1.71 - 1.55 (m,3H)。
異性体2:白色の固体として(235.6mg、22%)。tR=6.01分(CHIRALPAK IA-3、0.46×15cm、3μm、Hex:EtOH=70:30、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=565.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.24 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.52 - 8.42 (m, 2H), 8.14 - 8.11 (m, 1H), 7.94 - 7.90 (m, 2H), 7.50 - 7.45 (m, 2H), 4.27 - 4.00 (m, 3H), 3.08 - 3.04 (m, 1H), 2.28 - 2.22 (m, 1H), 1.93 - 1.77 (m, 4H), 1.70 - 1.50 (m, 1H)。
異性体3:白色の固体として(155.7mg、15%)。tR=10.30分(CHIRALPAK IA-3、0.46×15cm、3μm、Hex:EtOH=70:30、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=565.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.28 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.54 - 8.49 (m, 2H), 8.15 - 8.12 (m, 1H), 7.96 - 7.92 (m, 2H), 7.44 - 7.37 (m, 2H), 4.20 - 4.01 (m, 3H), 3.14 - 3.06 (m, 1H), 2.05 - 1.92 (m, 3H), 1.73 -1.55 (m, 3H)。
実施例5:(1R,2R)−2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−N−[[3−(トリフルオロメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]メチル]シクロペンタン−1−カルボキサミドの調製
実施例5全体の反応スキームは、以下のとおりである。
実施例5、工程1:1−メチル−2−オキソシクロペンタン−1−カルボン酸メチルの調製
2−オキソシクロペンタン−1−カルボン酸メチル(10g、70.35mmol、1.00当量)及びK2CO3(11.7g、84.04mmol、1.20当量)のアセトン(100mL)中混合物を室温で0.5時間撹拌した。これに続けて、ヨードメタン(12g、84.54mmol、1.20当量)を撹拌しながら滴加した。得られた溶液を2時間、還流まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。固体を濾別した。濾液を濃縮して、標題化合物(12g、粗製物)を淡黄色の油状物として得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
実施例5、工程2:2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−1−メチルシクロペンタ−2−エン−1−カルボン酸メチルの調製
1−メチル−2−オキソシクロペンタン−1−カルボン酸メチル(3.12g、19.98mmol、1.00当量)、4−フルオロベンゼン−1−チオール(2.56g、19.97mmol、1.00当量)、五酸化リン(5.68g、40.02mmol、2.00当量)及びジクロロメタン(30mL)の混合物を室温で18時間撹拌した。得られた混合物をジクロロメタンで希釈し、水酸化ナトリウム(10%)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これが、淡黄色の油状物として標題化合物(5.1g、96%)をもたらし、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
実施例5、工程3:2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタ−2−エン−1−カルボン酸メチルの調製
m−CPBA(8.93g、51.75mmol、3.00当量)を、2−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−1−メチルシクロペンタ−2−エン−1−カルボン酸メチル(4.6g、17.27mmol、1.00当量)のジクロロメタン(150mL)中混合物に少しずつ添加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を重炭酸ナトリウムの飽和溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1:2)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標題化合物(2.8g、54%)を白色の固体として得た。
実施例5、工程4:2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタン−1−カルボン酸メチルの調製
2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタ−2−エン−1−カルボン酸メチル(950mg、3.18mmol、1.00当量)、酢酸エチル(50mL)及びPd/C(2g、10%)の混合物を水素下、室温で2時間撹拌した。固体を濾別した。得られた混合物を減圧下で濃縮して、標題化合物(880mg、粗製物)を無色の油状物として得た。
実施例5、工程5:2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタン−1−カルボン酸の調製
2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタン−1−カルボン酸メチル(300mg、1.00mmol、1.00当量)、ジオキサン(4mL)及び濃塩化水素(6mL)の混合物を油浴中での60℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した。得られた溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。これが、褐色の油状物として標題化合物(250mg、87%)をもたらした。LC−MS(ESI):[M−H]+=285.1。
実施例5、工程6:(1R,2R)−N−((3−クロロ−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−メチルシクロペンタンカルボキサミドの調製
[3−クロロ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]メタンアミン(520mg、1.886mmol、1.000当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)、DIEA(703mg、5.439mmol、2.883当量)、HATU(691mg、1.817mmol、0.963当量)及び2−[(4−フルオロベンゼン)スルホニル]−1−メチルシクロペンタン−1−カルボン酸(1.0g、3.493mmol、1.851当量)の混合物を室温で12時間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をPE:EA(5:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。粗生成物を以下の条件でのキラル分取HPLCにより精製した(Prep-HPLC-009):カラム、Chiralpak IA、2×25cm、5um;移動相、Hex及びエタノール(18分で30.0%エタノールを保持);検出器、UV254/220nm。これが、白色の固体として(1S,2R)−N−((3−クロロ−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−2−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−メチルシクロペンタンカルボキサミド(10.6mg、1%)をもたらした。tR=2.14分(CHIRALPAK IB-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=544.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.54 (s, 1H), 8.21 (m, 1H), 8.00 - 7.97 (m, 2H), 7.88 - 7.86 (m, 2H), 7.50 - 7.45 (m, 2H), 4.33 - 4.27 (m, 1H), 4.12 - 4.07 (m, 2H), 2.13 - 1.56 (m, 6H), 1.46 (s, 3H)。
3つの更なる立体異性体もキラル分取HPLC分離から単離した。
異性体1:白色の固体として(12.7mg、1%)。tR=4.08分(CHIRALPAK IB-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=544.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.54 (s, 1H), 8.21 (m, 1H), 8.00 - 7.97 (m, 2H), 7.88 - 7.86 (m, 2H), 7.50 - 7.44 (m, 2H), 4.33 - 4.27 (m, 1H), 4.12 - 4.05 (m, 2H), 2.14 - 1.52 (m, 6H), 1.46 (s, 3H)。
異性体2:白色の固体として(86.8mg、8%)。tR=3.47分(CHIRALPAK IB-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=544.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.57 (s, 1H), 8.06 - 7.86 (m, 7H), 7.49 - 7.44 (m, 2H), 4.19 - 3.99 (m, 2H), 3.73 - 3.70 (m, 1H), 2.22 - 2.14 (m, 2H), 1.99 - 1.52 (m, 4H), 1.39 (s, 3H)。
異性体3:白色の固体として(80.8mg、8%)。tR=4.84分(CHIRALPAK IB-3、0.46×5cm、3μm、Hex:EtOH=90:10、1.0mL/分)。LC−MS(ESI):[M+H]+=544.1;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.57 (s, 1H), 8.00 - 7.86 (m, 7H), 7.50 - 7.44 (m, 2H), 4.19 - 4.00 (m, 2H), 3.73 - 3.68 (m, 1H), 2.22 - 2.14 (m, 2H), 1.99 - 1.52 (m, 4H), 1.38 (s, 3H)。
例示化合物のIC
50
決定
ヒト及びラットTRPA1チャネルについての化合物のIC50値(有効濃度)を、FLIPR Tetra装置を使用して決定した。TRPA1を発現するCHO細胞を384ウェルプレートに播種し、37℃で一晩インキュベーションし、37oCで1時間、続けて、室温で15分間、BDカルシウムインジケーターダイをロードした。アッセイバッファーは、0.02%BSAと共に20mM HEPES(pH7.4に再調整)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)とした。
ダイのロード及びプレート冷却に続けて、FLIPR Tetraを使用して細胞に化合物を加えた。次いで、アゴニストを加える前に、プレートを化合物と共に室温で20分間インキュベーションした。このインキュベーションに続けて、〜EC80濃度のシンナムアルデヒド(ヒトTRPA1については75uM、そして、ラットTRPA1については45uM)を加えて、チャネルを活性化させ、シンナムアルデヒド誘導性のカルシウム流入のブロックを測定した。
IC50値を、Hill係数(n)を1.5に固定したまま、標準的なHill関数でフィットさせた。Hill係数を固定することにより、一般的には、IC50決定の変動性が低減されるであろう。IC50値を個々に調べ、結果の検証前に、MIN点及びMAX点が正しく設定されていることを確認した。
実施例1〜6の上記化合物を、上記手順を使用して製造されたか又は商業的供給元を介して購入した追加の化合物と共に、以下の表2に示し、ここで、「Ex」は、実施例番号を示し、「LCMS」は、測定された分子量を示し、アスタリスク(aserisks)は、キラル中心を示す。
表2に詳述された化合物についてのIC50及びプロトン1HNMRの結果を以下の表3に報告し、ここで、「IC50」は、マイクロモーラー単位でのhTRPA1 CHO Ca2+ AUC EVO(IC50)を示し、アスタリスクは、キラル中心を示す。
本発明は、上記された本発明の特定の実施形態に限定されるものではなく、このため、特定の実施形態の変形がなされてもよく、かつそれでも添付の特許請求の範囲内に入ると理解されたい。本明細書中で引用され又は依拠された全ての文献は、参照により明示的に援用される。