JP2019518004A - 方法 - Google Patents

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Abstract

直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを含むアルデヒド混合物の蒸留方法であって、アルデヒド混合物を含む供給材料を第一分離容器に供給する工程;分離が生じるような第一の温度及び第一の圧力で前記第一分離容器を操作する工程;直鎖アルデヒドを含む第一の流れを前記第一分離容器から回収し、前記第一の流れを第二分離容器に供給する工程;分離が生じるような第二の温度及び第二の圧力で前記第二分離容器を操作する工程;直鎖アルデヒドを含む生成物流と高沸点成分を含む第二の流れを、前記第二分離容器から回収し、前記第二の流れを第三分離容器に供給する工程;分離が生じるような第三の温度及び第三の圧力で前記第三分離容器を操作する工程;及びアルデヒド混合物を含む第三の流れを前記第三分離容器から回収し、前記第三の流れを第一分離容器に再投入する工程を含む方法が記載される。【選択図】なし

Description

本発明は、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを分離するための方法に関する。特に、本発明は、ブタナールとしても知られているn−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの分離方法に関する。より詳細には、本発明は、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドのようなアルデヒドを高収率かつ低コストで分離するための改良された方法に関する。この方法は、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの混合物から直鎖アルデヒドを分離するのに特に有用であり、直鎖アルデヒドの、少なくとも95%の純度、好ましくは少なくとも98%の純度、より好ましくは少なくとも99%の純度、又は直鎖アルデヒドに対する完全選択性を達成することを可能にしうる。
直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの混合物は、典型的には、ヒドロホルミル化プロセスの結果として形成される。例えば、ブチルアルデヒドは、ほぼ例外なくプロピレンのヒドロホルミル化によって製造される。伝統的には、プロピレンのヒドロホルミル化には、コバルトカルボニルが触媒として使用されていた。より最近では、ホスフィン又はホスファイト配位子と錯体を形成したロジウムが触媒として使用されている。ヒドロホルミル化反応により、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの混合物が生じ、これを後の工程で分離することができる。
ブチルアルデヒドの用途の一つはブタノールの製造にある。n−ブタノールの一つの用途は、n−ブタノールのアクリル酸によるエステル化によって得られるアクリル酸ブチルの製造にある。これは、溶媒、香味料、香料として、また皮膚軟化剤や可塑剤などの他の化学物質の製造のための化学中間体又は前駆体として広く使用されているため、重要な誘導体である。
n−ブタナールの最も商業的に重要な用途の一つは、2−エチルヘキサノールの製造にある。この反応では、純粋なn−ブチルアルデヒドが典型的にはアルドール縮合を受けて2−エチルヘキセナールを形成する。ついで、2−エチルヘキセナールが水素化されて中間体2−エチルヘキサノールを形成する。イソブチルアルデヒドがアルドール縮合反応の間に存在する場合、エチルメチルペンタノールのような好ましくない反応生成物が形成される。エチルメチルペンタノールの存在は問題となる場合がある。例えば、その存在は、より低品質の可塑剤の生成をもたらす。従って、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの混合物からn−ブチルアルデヒドを分離することにより、実質的に純粋なn−ブチルアルデヒドを製造する必要がある。
ブテンのヒドロホルミル化後のCアルデヒドの製造のような、ヒドロホルミル化反応から得ることができる他の直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの分離の際に同様の問題に遭遇する。例えば、1−ペンタナール又はn−バレルアルデヒドとして知られている線状Cアルデヒドは、2−プロピルヘプタノールの製造に使用され、後者が今度は可塑剤を製造するために使用され、n−ブチルアルデヒドに関連して検討したものと同様の欠点を有する。これらの欠点は、生成物中の2−プロピルヘプタノールの異性体、例えば2−プロピル,4−メチルヘキサノール及び2−プロピル,5−メチルヘキサノールの存在に起因する。
ヒドロホルミル化反応の選択性を変えて、温度、圧力及び触媒のようなプロセス変数を変更することにより、より高い濃度の所望のノルマル異性体生成物を得ることは可能である。しかしながら、ノルマルアルデヒド異性体に対して所望のレベルの選択性、望ましくは完全選択性を達成することは未だ可能になってはおらず、よって、ヒドロホルミル化プロセスから得られる生成物は、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの両方の混合物である。アルデヒド混合物に加えて、ヒドロホルミル化反応からの生成物には重質成分として知られる高沸点成分がまた含まれるであろう。これら高沸点成分は、成分間の反応によって生じ、二量体、三量体及び四量体を含みうる。幾つかの高沸点成分の生成は、縮合反応、例えばアルドール縮合反応、ティシチェンコ(Tischenko)型反応又はカニッツァーロ(Cannizaro)型反応によって起こると考えられる。これらの反応とそれらの機構の詳細についての検討は、例えば、米国特許第5841002号及び米国特許第6193872号に見出すことができる。
生成物流はまた軽質成分として知られる低沸点成分を含んでいる場合がある。存在しうる軽質成分には、未反応のアルケン、アルカン、及び溶存ガスのうちの一又は複数が含まれうる。溶存ガスには、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、メタン、窒素、アルゴン及び水のうちの一又は複数が含まれうる。生成物流にはまたヒドロホルミル化プロセス中にアルデヒドをアルコールに還元することによって生成される対応アルコール、水及びアルカンが含まれうる。
脂肪族アルデヒドは、熱及び不純物の作用によって容易に縮合され又は重合されるので、十分な純度の生成物を得るためには、ヒドロホルミル化プロセスから得られる粗アルデヒドを繰り返し分別蒸留することが歴史的に必要であった。
工業的プロセスでは、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの分離などの直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの分離は、二塔の別個の蒸留塔を使用する二段蒸留プロセスで達成されうる。一例としてn−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの分離を挙げると、一つのそのようなプロセスが米国特許第5102505号の欄に記載されている。蒸留条件は、分岐鎖アルデヒドが蒸留塔の上部領域において液体形態で取り出され、直鎖アルデヒドが二つの別個の生成物流に分離されるように、選択される。直鎖アルデヒドの第一の生成物流は、本質的に純粋な直鎖アルデヒドからなり、蒸留塔の下方領域から蒸気で取り出される。直鎖アルデヒドの第二の生成物流は、高沸点成分の大部分を含み、蒸留塔の底部で塔底生成物として取り出される。しかし、粗生成物中に存在する直鎖アルデヒドの多くとも70重量%しか得ることができなかった。
第一蒸留塔がブチルアルデヒドの流れを高沸点成分から分離する別の構成が、米国特許第6511583号において検討されている。n−ブチルアルデヒドを含む流れは第一蒸留塔からのサイドドローとして取り出され、n−ブチルアルデヒドと高沸点成分の両方を含む流れはまた第一蒸留塔の塔底から取り出される。第一蒸留塔の塔底から取り出された流れは、第二蒸留塔において、高沸点成分を含むより濃縮された流れと、第一蒸留塔に戻される主にn−ブチルアルデヒドを含む流れとに分離される。
二段プロセスでは幾らかの分離が可能になるが、様々な不具合や欠点がありうる。例えば、分離されているものがブチルアルデヒドの混合物である場合、二塔プロセスの第二塔から得られるn−ブチルアルデヒドが、第一蒸留塔から取り出されるサイドドローよりも、より純粋で、高沸点成分をあまり含まず、イソブチルアルデヒドが少なくなる可能性がある。従って、第一蒸留塔と第二蒸留塔を直列に接続し、第一塔の塔底成分を第二塔において高沸点成分の流れと純粋なイソブチルアルデヒドを含まないn−ブチルアルデヒドの流れとに分離し、同じ高いn−ブチルアルデヒド収率を達成することが提案されている。
しかしながら、二段蒸留プロセスの使用には付随する重大な欠点がある。一つの欠点は、相当量の所望のアルデヒド生成物が、その高沸点成分への転換のために失われることである。これは、n−ブチルアルデヒドのような直鎖アルデヒドを回収するために必要とされる高温の直接的な結果である。例えば、高沸点成分へのその場での転換の結果としておよそ1〜2重量%又はそれ以上のn−ブチルアルデヒドが失われうることが推定されており、これはプロセスが商業的規模で使用される場合には相当な量である。更に、第一蒸留塔のサイドドローから取り出される直鎖アルデヒドは、塔に投入される高沸点成分の幾らかを典型的には含み、これが、塔への添加後に直鎖アルデヒドが得られるサイドドローを通過する。また、第一蒸留塔の分岐鎖アルデヒド含量が増加し、塔底から上方に向けて各棚板で急激に増加しうるので、所望の分岐鎖アルデヒド含量を達成するためにはリボイラーに更なる負荷必要量を加える必要があることが理解される。
加えて、直鎖アルデヒドを高収率で得るためには、高沸点成分の濃縮流を生成することが重要である。高沸点成分は、直鎖アルデヒドよりもかなり揮発性が低いので、塔底部において高温が必要である。高温では、アルデヒドの更なる縮合又は高沸点成分のクラッキングのような他の反応が重要になる。分岐鎖アルデヒドの複合体又はオリゴマーである高沸点成分のクラッキングは、分岐鎖アルデヒドを蒸留塔中に放出し戻す場合があり、これが最終的には直鎖アルデヒド流中に存在する可能性があり、分岐鎖アルデヒドを除去するために払われた努力を取り消してしまう。従って、第二塔の温度が比較的低いままで、好ましくは第一塔と同じ温度であることが最重要である。これを達成するために、第一塔の圧力を低下させることができ、又は高沸点成分の流れ中になお相当量の直鎖アルデヒドを残すことによって高沸点成分の濃度を制限することができる。
蒸留プロセスと、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドのような直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの分離を改善する試みは、蒸留を補助し、不純物の形成を最小限にするために様々な成分を添加することに焦点を当ててきた。例えば、混合ブチルアルデヒド供給材料に水を添加した方法が米国特許第5227544号に開示されている。ブチルアルデヒド供給材料に添加された水の量は、蒸留中にイソブチルアルデヒドオリゴマーを単量体形態に加水分解するのに十分であると言われており、これが、最終生成物中に存在するイソブチルアルデヒドの量を減少させ、2−エチルヘキサノールを製造する際に形成される不純物の数をまた減少させる。蒸留プロセスと、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの分離を改善する別の試みは、独国特許公開第3320648号に開示されており、該公報には、蒸留塔中の高沸点成分の生成を減少させることを目的とするモノカルボン酸、例えば酪酸の添加が記載されている。モノカルボン酸は、空気を塔中に供給することによって、その場で生成されると言われている。しかし、蒸留塔への他の成分の添加には、ブチルアルデヒドからその追加の成分を分離する必要性などの欠点が付随している。例えば、水は、液体を発泡させ棚板を無効にしたり、又は塔の処理量をその意図された処理量未満に制限したりする可能性があるため、好ましくない成分である可能性がある。
従って、従来技術に伴う欠点のない、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを分離することを含むアルデヒド混合物の新規で改良された精製方法がなお必要とされている。具体的には、所望のn−ブチルアルデヒドを、少なくとも95%を超える純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、好ましくは100%の純度で得ることを可能にする、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの混合物からn−ブチルアルデヒドを分離するための改良された方法に対する必要性が残っている。三段階の分離を含む本発明の方法は、高収率かつ高純度の両方で得られる直鎖アルデヒド、例えばn−ブチルアルデヒドを生じることが見出された。本発明の方法はまた、既存の二段蒸留法に付随する欠点である更なる高沸点成分の生成を回避する。
よって、本発明の第一の態様によれば、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを含むアルデヒド混合物の蒸留方法であって、
i)アルデヒド混合物を含む供給材料を第一分離容器に供給する工程;
ii)分離が生じるような第一の温度及び第一の圧力で前記第一分離容器を操作する工程;
iii)直鎖アルデヒドを含む第一の流れを前記第一分離容器から回収し、前記第一の流れを第二分離容器に供給する工程;
iv)分離が生じるような第二の温度及び第二の圧力で前記第二分離容器を操作する工程;
v)直鎖アルデヒドを含む生成物流と高沸点成分を含む第二の流れを、前記第二分離容器から回収し、前記第二の流れを第三分離容器に供給する工程;
vi)分離が生じるような第三の温度及び第三の圧力で前記第三分離容器を操作する工程;及び
vii)アルデヒド混合物を含む第三の流れを前記第三分離容器から回収し、前記第三の流れを第一分離容器に再投入する工程
を含む方法が提供される。
本発明の方法において使用されるアルデヒド混合物は、ヒドロホルミル化プロセスから得られる生成物でありうる。ヒドロホルミル化プロセスの例は、米国特許第4148830号、米国特許第4247486号、米国特許第4593127号及び米国特許第6100432号に記載されている。しかしながら、本発明の蒸留プロセスを、他のヒドロホルミル化プロセスによって又は他のプロセスによって製造されたアルデヒド混合物を分離するために使用してもよい。
一構成では、ヒドロホルミル化反応のための出発材料はオレフィン又はオレフィン混合物でありうる。好適なオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン(シス又はトランス)及びイソブチレンが挙げられる。ヒドロホルミル化プロセスから得られるアルデヒドは、オレフィン出発材料のものより1個多い炭素原子を有するであろう。
ヒドロホルミル化反応においては触媒が典型的には使用される。任意の適切な触媒が使用されうる。ヒドロホルミル化反応において使用されうる適切な触媒の例は、米国特許第5102505号に記載されている。一構成では、触媒は、場合によっては一又は複数の配位子と組み合わせて使用されうるロジウム触媒でありうる。一又は複数の配位子は、ホスフィン又はホスファイトでありうる。一構成では、一又は複数の配位子はトリフェニルホスフィンでありうる。
供給材料中に存在する直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドの比は、一般に、アルデヒドの製造に使用される方法に依存する。
アルデヒドに加えて、供給材料は、軽質沸点成分、重質沸点成分、又は軽質及び重質沸点成分両方を更に含む場合がある。供給材料中の他の成分の量は、約0.1〜約5重量%、約0.2〜約4重量%、又は約0.2〜約3重量%でありうる。
本発明の方法は、既存の分離方法よりも低コストかつより穏やかな条件下で実施することができるという利点を有する。更に、該方法は、約98%〜約99.98%の直鎖アルデヒド含量を可能にしうる。約99%、又は約99.9%の純度又は100%の純度でさえ達成されうる。
直鎖アルデヒド生成物の流れは、約0.5重量%未満の高沸点成分を含みうる。あるいは、約0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、又は0.1重量%、0.05重量%、0.02重量%又は0.01重量%未満の高沸点成分を含みうる。
供給材料の組成がどうであれ、それは第一分離容器に供給される。一構成では、供給材料は、直鎖及び分岐鎖のC3−5アルデヒドを含む。従って、供給材料は、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒド、又はn−バレルアルデヒドとイソバレルアルデヒドを含みうる。一構成では、供給材料は、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの混合物を含みうる。
第一分離容器は、任意の適切な分離容器でありうる。一構成では、第一分離容器は、棚段塔又は充填塔などの蒸留塔でありうる。第一分離容器が棚段塔である場合、任意の適切な数の棚板(トレイ)が使用されうる。一構成では、棚板の数は、約40〜約160、約50〜約150、約60〜約140、約70〜約130、又は約80〜約120でありうる。
供給材料は、第一分離容器の任意の部分に供給されうる。一構成では、供給材料は、例えばおよそ棚板5〜100、又はおよそ棚板10〜90の位置などの第一分離容器の中央部に供給されうる。これに関連して、棚板は、塔頂から番号が付される。
第一分離容器は、リボイラー、凝縮器(コンデンサー)、又はリボイラーと凝縮器を更に備えていてもよく、場合によっては、第一分離容器は、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプを更に備えていてもよい。
分離を容易にするために、第一分離容器は、任意の適切な温度及び圧力で操作される。温度及び圧力は、分離される組成物と第一分離容器の形態に依存する。一構成では、第一分離容器の下方部の温度は、約200℃〜約65℃、約125℃〜約85℃、約120℃〜約90℃、約115℃〜約95℃、又は約110℃〜約100℃でありうる。一構成では、第一分離容器の圧力は、約1.0〜約2.4bara、約1.2〜約2.2bara、又は約1.4〜約2.0baraでありうる。しかしながら、反応器の底部が塔頂より温かく、増加した圧力を有する温度及び圧力プロファイルが一般に存在することが理解されるであろう。従って、例えば一構成では、第一分離容器は、約1.5bara及び約2.3baraの頂部圧力と約104℃の底部温度と約73℃の域の頂部温度を有しうる。
第一分離容器は、直鎖アルデヒドが第一分離容器の底部から高沸点成分と共に回収されうるように、操作されることは理解されるであろう。イソブチルアルデヒドを含むより軽質の沸点成分は、第一分離容器の頂部又はその近くから回収されうる。
直鎖アルデヒドと高沸点成分を含む第一の流れが第二分離容器に通される。一構成では、第一の流れは第一分離容器の底部から回収されうる。
第二分離容器は任意の適切な分離容器であり得、第一分離容器と同じでも異なっていてもよい。一構成では、第二分離容器は、棚段塔又は充填塔のような蒸留塔でありうる。第二分離容器が棚段塔である場合、任意の適切な数の棚板が使用されうる。一構成では、棚段塔内の棚板の数は、約2〜約100、約2〜約50、約3〜約25、約4〜約20、約4〜約15、約4〜約10、又は6〜8の棚板でありうる。一構成では、第二分離容器内の棚板の数は、第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない場合がある。
第一の流れは、第二分離容器の任意の部分に供給されうる。一構成では、第一の流れは任意の適切な位置に供給されうる。一構成では、それは、棚板の数が2〜100の場合はおよそ棚板45〜55の位置、棚板の数が約2〜50の場合はおよそ棚板20〜30の位置、棚板の数が約4〜約15の場合はおよそ棚板8〜12の位置、棚板の数が約4〜約10の場合はおよそ6〜8の位置のように、第二分離容器の中央部に提供されうる。これに関連して、棚板は塔頂から番号が付される。代替的な一構成では、第一の流れは、第二分離容器の塔底より1〜10上、塔底より約2〜9上、塔底より約3〜7上の棚板に供給される。
第二分離容器は、リボイラー、凝縮器、又はリボイラーと凝縮器を含み得、場合によっては第二分離容器は、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプを更に含みうる。第二分離容器が棚段塔であり、リボイラーと凝縮器を含む構成では、棚板の数は、2〜100、約2〜約50、約3〜約25、約4〜約20、約4〜約15、約4〜約10、又は6〜8の棚板でありうる。
同様に、そのような構成では、第一の流れは、任意の適切な位置に供給されうる。一構成では、それは、棚板の数が2〜100の場合はおよそ棚板40〜55の位置、又は棚板の数が約2〜100の場合はおよそ棚板42〜50の位置、又はおよそ棚板45〜48の位置、例えばおよそ棚板45〜55の位置、棚板の数が約2〜約50の場合はおよそ棚板20〜30の位置、棚板の数が約4〜約15の場合はおよそ8〜12の位置、又は棚板の数が約4〜約10の場合はおよそ6〜8の位置のように、第二分離容器の中央部に供給されうる。これに関連して、棚板は塔頂から番号が付される。
分離を容易にするために、第二分離容器は、任意の適切な温度及び圧力で操作される。温度及び圧力は、分離される組成物と第二分離容器の形態に依存する。一構成では、第二分離容器の下方部の温度は、約200℃〜約65℃、約125℃〜約85℃、約120℃〜約90℃、約115℃〜約95℃、又は約110℃〜約100℃でありうる。第二分離容器の上方部の温度は、高沸点成分の生成及び/又は直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを生成する高沸点成分のクラッキングが最小限に抑えられるように第一分離容器の温度よりも低くてもよい。一構成では、第一分離容器の圧力は、約1.0〜約2.4bara、約1.2〜約2.2bara、又は約1.4〜約2.0baraでありうる。しかしながら、反応器の底部がより温かく、分離容器の底部で増加した圧力を有する温度及び圧力プロファイルが一般に存在することが理解されるであろう。従って、例えば一構成では、第二分離容器は、約1.5bara及び約2.3baraの頂部圧力と約104℃の底部温度と約70℃〜約100℃の域の頂部温度を有しうる。
第二分離容器は、直鎖アルデヒドが高沸点成分から分離されうるように、操作されることは理解されるであろう。直鎖アルデヒドは、生成物流として第二分離容器の頂部から回収されうる。高沸点成分は、第二分離容器の底部から回収されうる。
第二分離容器から得られた高沸点成分を含む第二の流れは、第三分離容器に通される。一構成では、第二の流れは、第二分離容器の底部から取り出されうる。
第三分離容器は任意の適切な分離容器であり得、第一分離容器及び/又は第二分離容器と同じでも異なっていてもよい。一構成では、第三分離容器は、棚段塔又は充填塔のような蒸留塔でありうる。分離容器が棚段塔である場合、任意の適切な数の棚板が使用されうる。一構成では、棚段塔内の棚板の数は、約2〜約100、約2〜約50、約3〜約25、約4〜約20、約4〜約15、又は約4〜約10でありうる。一構成では、第三分離容器の棚段塔内の棚板の数は、第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない場合がある。第一、第二及び第三分離容器が棚段塔である一構成では、第二及び第三分離容器内の棚板の数は、第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない場合がある。
第二の流れは、第三分離容器の任意の部分に供給されうる。一構成では、第二の流れは、棚板の数が約2〜約100の場合はおよそ棚板45〜55の位置、棚板の数が約2〜約50の場合はおよそ棚板20〜30の位置、棚板の数が約3〜約25又は棚板の数が約4〜約20の場合はおよそ棚板10〜15の位置、又は棚板の数が約4〜約15の場合はおよそ棚板8〜12の位置、又は棚板の数が約4〜約10の場合はおよそ6〜8の位置のように、第三分離容器の中央部に供給されうる。これに関連して、棚板は塔頂から番号が付される。
第三分離容器は、リボイラー、凝縮器、又はリボイラーと凝縮器を含み得、場合によっては第三分離容器は、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプを更に含みうる。第三分離容器が棚段塔であり、リボイラーと凝縮器を含む構成では、棚板の数は、約1〜約100、約2〜約50、約2〜約25、約2〜約20、約4〜約15、又は約5〜約10でありうる。第二の流れは、任意の適切な位置に供給されうる。一構成では、それは、棚板の数が約2〜約20の場合はおよそ棚板7〜13の位置、又は棚板の数が約4〜約15の場合はおよそ棚板8〜10の位置、又は棚板の数が約5〜約10の場合はおよそ棚板6〜8の位置のように、第三分離容器の中央部に供給されうる。これに関連して、棚板は塔頂から番号が付される。代替的な一構成では、第二の流れは、第二分離容器の塔底より1〜10上、塔底より約2〜9上、塔底より約3〜7上の棚板に供給される。
一構成では、第三分離容器は、分離容器が如何なる棚板も含まず、凝縮器を含まないような部分蒸発器でありうる。部分蒸発器は、単一ケトル型リボイラー又は蒸発器、又は外部リボイラーを備えた容器でありうる。
分離を容易にするために、第三分離容器は、任意の適切な温度及び圧力で操作される。温度及び圧力は、分離される組成物と第三分離容器の形態に依存する。一構成では、第三分離容器の下方部の温度は、約200℃〜約65℃、約125℃〜約85℃、又は約120℃〜約90℃、又は約115℃〜約95℃、約110℃〜約100℃でありうる。一構成では、第三分離容器の圧力は、約1.0〜約2.4bara、約1.2〜約2.2bara、又は約1.4〜約2.0baraでありうる。しかしながら、反応器の底部がより温かく、分離容器の底部で増加した圧力を有する温度及び圧力プロファイルが一般に存在することが理解されるであろう。従って、例えば一構成では、第三分離容器は、約1.5bara及び約2.3baraの頂部圧力と約130〜131℃の底部温度と約70℃〜約100℃の域の頂部温度を有しうる。
また、第三分離容器は、分離条件が高沸点成分の分解と第三の流れとして回収されうる直鎖及び/又は分岐鎖アルデヒドへのその逆戻りを可能にしうるように操作され、該第三の流れが第三反応容器の頂部から回収されうることが理解されよう。あらゆる残りの高沸点成分は、第三分離容器の底部から除去される。
本発明の三段プロセスは、既存の従来のプロセスよりも操作条件に対して敏感ではないので、第三分離容器は、従来のプロセスで使用可能であったより高温及び/又は高圧などのより厳しい条件で操作されうる。
第三分離容器から回収された直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを含む流れは、第一分離容器にリサイクルされうる。一構成では、第三の流れは第三分離容器の頂部生成物として取り出されうる。第三の流れがリサイクルされて第一分離容器に供給されうる棚板は、使用される条件に応じて最適化されうることは容易に明らかであろう。第三分離容器の操作は、米国特許第5227544号に記載されているものと同様のプロセスにおける第三塔への水の投入を含みうる。
上に示した温度と圧力は単なる指標に過ぎないことが理解されよう。各分離容器は異なるタスクと負荷を有し、操作条件は適切に選択される。要約すると、第一分離容器の役割は、アルデヒド供給材料流から分岐鎖アルデヒドと軽質成分を除去することである。分岐鎖アルデヒド含量が減少したこの分離容器の底部からの流れは、第二分離容器内で処理される。この供給材料の一部は、第二分離容器からのオーバーヘッドとして第二分離カラムから除去され、重質の高沸点成分及び直鎖アルデヒドの混合物を残す。これらの成分は第三分離容器で分離される。この第三分離容器は、第二分離容器で使用されるものよりも高い温度で操作され得、これにより望ましくない重質成分の幾らかを分岐鎖アルデヒド及び/又は直鎖アルデヒドに戻すことができ、これをついで第一分離容器にリサイクルして更なる分離を行うことができる。
第一、第二及び第三分離容器は、棚段塔又は充填塔などの任意の適切な分離容器でありうる。一構成では、第一、第二及び第三分離容器は同一でも異なっていてもよく、分離容器が異なる場合、分離容器の任意の組み合わせが許容されることが理解される。例えば、第一、第二及び第三の分離容器は棚段塔であってもよく、又は第一及び第二分離容器が棚段塔で、第三容器は充填塔であってもよく、又は第一及び第三容器が棚段塔で第二容器が充填塔であってもよい。
使用される分離容器のタイプと分離されるアルデヒドが、使用される分離条件に影響を及ぼしうる。従って、上に記載された、温度と圧力のような分離条件と、棚段塔、棚板の数及び流れが棚段塔に導入される容器の部分などの分離容器の形態の組み合わせがまた想定されることが理解されるであろう。例えば、n−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドの混合物が三基の分離容器によって分離され得、各分離容器が棚段塔であり、第一分離容器が約40〜約160の棚板を含み、供給材料が第一分離容器のおよそ棚板90〜110の中段部分に供給され、第一分離容器の温度と圧力が約115℃〜約95℃と約1.2〜約2.4baraであり、第二分離容器は約2〜約50の棚板を含み、第一分離容器からの第一の流れが、第二分離容器のおよそ棚板20〜30の中段部分に供給され、第二分離容器の温度と圧力が約110℃〜約100℃と約1.4〜約2.2baraであり、第三分離容器は約3〜約25の棚板を含み、第二分離容器からの第二の流れが、第三分離容器のおよそ10〜15の中段部分に供給され、第二分離容器の温度と圧力が約120℃〜約90℃と約1.0〜約2.2baraであることが理解される。温度と圧力のような分離条件と、棚段塔、棚板の数及び流れが棚段塔に導入される容器の部分などの分離容器の形態の他の同様の組み合わせがまた想定されることが理解されるであろう。これに関連して、棚板は塔頂から番号が付される。
第一、第二及び/又は第三分離容器が塔である一構成では、任意の適切なサイズの塔を使用することができる。第一、第二及び第三分離容器が塔である構成では、第一塔の直径は第二塔の直径よりも大きくてもよく、第二塔の直径は第三塔の直径より大きくてもよい。選択された各塔の直径は、供給材料流中のイソアルデヒドに対するn−アルデヒドの比と、第一分離容器の頂部から除去される流れ中のイソアルデヒドに対するn−アルデヒドの所望の比と、第三の流れのサイズと第三の流れのイソアルデヒド含量に依存しうることが理解されるであろう。
以下、添付の図面を参照して、本発明を実施例により説明する。
本発明の第一の態様のプロセスの概略図である。 単一の分離容器を含む比較プロセスの概略図である。 二基の分離容器を含む比較プロセスの概略図である。 二基の分離容器と第二分離容器からのリサイクル流を含む比較プロセスの概略図である。
疑義を避けるために、これらの図は、本発明の理解を助けるものとしてのみ意図されており、図示された構成要素の正確な配置又はその位置付け、容器の形状又は付随的な特徴の何れかに関して本発明の範囲を限定するものと解釈されることを意図するものではない。図面は模式的であり、供給原料ドラム、ポンプ、真空ポンプ、圧縮機、ガスリサイクル圧縮機、温度センサ、圧力センサ、圧力逃し弁、制御弁、フローコントローラ、レベルコントローラ、収容タンク、貯蔵タンク等の更なる装置品目が商業プラントで必要とされることがあることは当業者には理解されるであろう。このような付帯設備の提供は、本発明の一部を構成せず、一般的な化学工学の実務に従う。
図1に示されるように、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及び高沸点成分を含む供給材料流は、ライン11を通して第一分離ゾーン1に供給され、そこで、イソブチルアルデヒドが高温及び高圧でn−ブチルアルデヒド及び高沸点成分から分離される。第一分離ゾーンは、棚段塔と、場合によってはリボイラー、凝縮器、又はリボイラーと凝縮器、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプ(図示せず)を含みうる。少量のn−ブチルアルデヒドを含みうるイソブチルアルデヒドは、ライン12によって回収される。
n−ブチルアルデヒドと高沸点成分の混合物を含む第一の流れは、ライン13において第一分離ゾーン2から回収される。第一の流れは第二分離ゾーン2に通され、そこで、n−ブチルアルデヒドが、高温及び高圧で高沸点成分から分離される。第二分離ゾーンは、棚段塔と、場合によってはリボイラー、凝縮器、又はリボイラーと凝縮器、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプ(図示せず)を含みうる。n−ブチルアルデヒドはライン14により回収される。
低濃度の高沸点成分を含む第二の流れがライン15によって第二分離ゾーンから回収される。第二の流れは第三分離ゾーン域3に通され、そこで、高沸点成分が高温高圧下で濃縮される。第三分離ゾーンは、棚段塔と、場合によってはリボイラー、凝縮器、又はリボイラーと凝縮器、還流ドラム、還流ポンプ又は還流ドラムと還流ポンプ(図示せず)を含みうる。第三分離ゾーンの高温及び高圧により、一部のn−ブチルアルデヒド及び/又はイソブチルアルデヒドが高沸点成分の分解によって形成される。高沸点成分は濃縮され、ライン17の第三分離ゾーンから回収される。
第三分離ゾーンにおいて生成されたアルデヒド混合物はライン16で回収され、第一分離ゾーンに再導入される。
単一塔での分離の例が図2に示されており、そこでは、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及び高沸点成分を含む供給材料流がライン11を通して第一分離ゾーン1に供給される。供給流は高温高圧でn−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドに分離される。イソブチルアルデヒドはライン12で回収され、n−ブチルアルデヒドはライン14で回収される。分解しない供給材料中の重質成分及び/又は分離塔において生成されたあらゆる重質成分は、n−ブチルアルデヒドと共に塔を流出する。
二段分離プロセスの一例が図3に示されており、そこでは、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及び高沸点成分を含む供給材料流がライン11を通して第一分離ゾーン1に供給される。第一分離ゾーン1及び第二分離ゾーン2は、ライン13で直列に接続されている。
イソブチルアルデヒドは、第一分離ゾーンにおいてn−ブチルアルデヒドと高沸点成分から分離され、ライン12によって回収される。n−ブチルアルデヒドと高沸点成分は第一分離ゾーンから回収され、ライン13によって第二分離ゾーン2に供給され、そこで、n−ブチルアルデヒドが高沸点成分から分離される。n−ブチルアルデヒドはライン14により回収され、高沸点成分はライン15により回収される。
二段分離プロセスの更なる例が図4に示されており、そこでは、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及び高沸点成分を含む供給材料流がライン11を通って第一分離ゾーン1に供給される。第一分離ゾーン1と第二分離ゾーン2はライン13によって直列に接続されている。n−ブチルアルデヒドのサイドドローはライン14で第一分離ゾーン1から得られる。
イソブチルアルデヒドは、第一分離ゾーンにおいてn−ブチルアルデヒドと高沸点成分から分離され、ライン12によって回収される。第一分離ゾーンから回収されたn−ブチルアルデヒドと高沸点成分は、ライン13によって第二分離ゾーン2に供給され、そこで、n−ブチルアルデヒドが高沸点成分から分離される。高沸点成分はライン15により回収され、n−ブチルアルデヒドは、ライン16により回収され、第一分離ゾーンにリサイクルされる。第二分離ゾーン2から得られたn−ブチルアルデヒドは、ライン16によって第一分離ゾーンに直接回収されてもよく、あるいは第一分離ゾーンに回収される前に供給材料流11に導入されうる(図示せず)。
塔底棚板中のイソブチルアルデヒド濃度がサンプ上の棚板毎に急激に増加するので、n−ブチルアルデヒドサイドドロー中の所望のイソブチルアルデヒド濃度を達成するためには、塔底のイソブチルアルデヒド濃度が、所望される濃度のおよそ半分である必要がある。このような低いイソブチルアルデヒド濃度を達成するために、同じ数の棚板を有する塔においては、追加のリボイラー及び凝縮器の負荷が典型的には必要とされる。
既知の又は容易に決定される物理的特性を使用しSchneider Electric Softwareから入手可能なSimulation Sciences Inc Pro/II 8.2モデリングソフトウェアを使用して作成された添付の実施例及び比較例を参照して、本発明を実施例により以下に説明する。
次の実施例における高沸点成分の生成及び逆反応の存在は、実際の反応を表すことを意図するものではない。これらは重質成分のクラッキングをシミュレーションするために存在する。高沸点成分は一般に縮合反応、例えば、様々な数の酸素原子を有するCの倍数物、例えば、C、C12及びC16分子を生じるアルドール縮合反応、ティシチェンコ(Tischenko)型反応又はカニッツァーロ(Cannizaro)型反応の生成物であると考えられる。これらの反応は、米国特許第5841002号及び米国特許第6193872号に記載されている。
逆反応は、高温で起こると想定される。比較例5及び6並びに実施例7では、逆反応が、塔底温度131℃で操作される塔において起こる。第一塔、又はブチルアルデヒド異性体塔は、最大のリボイラー負荷を必要とする。高沸点成分の生成はこの塔で起こると仮定されるが、この塔がイソブチルアルデヒドの最大のインベントリーを有するからである。しかし、高沸点成分はまた第二及び第三塔においても生成されうるが、これは、n−ブチルアルデヒド収率に影響を及ぼすとしても、n−ブチルアルデヒドからのイソブチルアルデヒド除去の効率に影響しないので、実施例の目的では無視した。
比較例3及び6は、有意に高濃度のC高沸点成分(ノルマルブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドのティシチェンコ生成物)とエチル−イソペンテナール(ノルマルブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドのアルドール縮合生成物)がn−ブチルアルデヒド生成物流中に存在することを示す。これは、主に、全ての高沸点成分が典型的にはサイドドローよりも上で第一塔に供給され、n−ブチルアルデヒド生成物流から分離するためにそれらがサイドドローを通過することが必要であるという事実による。従って、幾つかの高沸点成分が、n−ブチルアルデヒドサイドドローが取出される棚板上に存在することは避けられない。
[比較例1]
図2に示されるような単一塔分離容器を使用して、3.22mol%のイソブチルアルデヒド、96.77mol%のn−ブチルアルデヒド、101ppm molの三量体及び28ppm molの2−エチルヘキセナールを含む27764kg/hの供給材料流を分離する。ブチルアルデヒド異性体塔中の様々な高沸点成分の生成をシミュレーションするために、0.5%のn−ブチルアルデヒドを三量体に転換させ、0.5%のn−ブチルアルデヒドをイソブチルアルデヒドと反応させて(ティシチェンコ反応により)酪酸イソブチルを生成させ、塔に入る前に、0.5%のn−ブチルアルデヒドをイソブチルアルデヒドと反応させて(アルドール縮合反応により)エチル−イソペンテナールを生成させる。供給材料流は、塔頂から数えたときに、ブチルアルデヒド異性体塔の棚板40に供給される。塔は、80段の理論棚段、リボイラー及び凝縮器を使用してシミュレーションされる。塔は、塔頂が1.5bara、塔底が2.3baraで操作される。塔頂凝縮器で得られた凝縮液をデカントして水を除去した後、還流として塔に戻す。ブチルアルデヒド異性体塔は、オーバーヘッドにより得られるイソブチルアルデヒドが0.06mol%のn−ブチルアルデヒドを含み、塔底生成物のn−ブチルアルデヒドが0.07mol%のイソブチルアルデヒドを含むように操作される。凝縮器の前の塔頂の温度は約73℃であり、塔底の温度は約103.5℃である。
比較例1は低リボイラー負荷を必要とするが、このようにブチルアルデヒド異性体塔内で生成された高沸点成分は、n−ブチルアルデヒド生成物流から分離されない。
[比較例2]
図3に示されるように、リサイクルなしで直列に接続された二基の塔を含む2段分離プロセスが、(三量体、酪酸ブチル及びエチル−イソペンテナールを含む)比較例1において使用されたものと同じ供給材料を精製するために使用される。ブチルアルデヒド異性体塔は、比較例1の塔と同一であり、塔頂及び塔底ドローにおいて同じイソブチルアルデヒド及びn−ブチルアルデヒド仕様を達成するように操作される。塔底ドローは第二塔に送られる。第二塔は、8段の理論棚段、0.25mol/molに設定された還流比、及びリボイラーを含む。加えて、それは気泡温度まで冷却する凝縮器を含む。熱力学では、泡立ち点は、二種以上の成分からなる液体を加熱するときに蒸気の最初の気泡が形成される所定の圧力での温度である。蒸気がおそらくは液体とは異なる組成を有することを考慮すると、異なる組成物での泡立ち点は、露点と共に、蒸留システムを設計する際に有用なデータである。圧力は、塔頂で1.5baraに設定し、圧力勾配により塔底で2.3baraの圧力にした。塔頂で1.5baraで操作され、圧力勾配が無視できる第二塔では、塔底温度が131℃になるように高沸点成分の流れが濃縮される。純粋なn−ブチルアルデヒド生成物が、第二塔の塔頂から液体として得られ、高沸点成分の濃縮流が塔底から得られる。
実施例1と比較すると、表1に示されるように、第二塔から得られたn−ブチルアルデヒド中の高沸点成分の数の観察可能な減少が存在する。
[比較例3]
図4に示されるように、リサイクルを伴い直列に接続された二基の塔を含む2段分離プロセスを使用して、(三量体、酪酸ブチル及びエチル−イソペンテナールを含む)比較例1において使用されたものと同じ供給材料を精製する。ブチルアルデヒド異性体塔は、オーバーヘッドで得られたイソブチルアルデヒドが0.06mol%のn−ブチルアルデヒドを含むように操作され、n−ブチルアルデヒドに富む蒸気流が、0.07mol%のイソブチルアルデヒドを含むサイドドローとして棚板79(サンプの一つ上の棚板)において取り出される。殆どの高沸点成分を含む塔底ドローが得られ、第二塔に送られる。第二塔は、8段の理論棚段、リボイラー、気泡温度まで冷却する凝縮器及び0.25mol/molに設定された還流比を含む。圧力は1.5baraに設定された。第二塔では、高沸点成分の流れが、塔底温度が131℃になるように濃縮される。主にn−ブチルアルデヒドを含む第二塔のオーバーヘッドは液体として第一塔に戻され、塔頂から数えて棚板70に挿入される。
比較例3はリボイラー負荷の増加を示す。これは主に、n−ブチルアルデヒドがサンプ上でサイドドローとして取り出されるためである。
[実施例4]
本発明に係る三段分離プロセスは、図1に示されるように、第二塔が104℃の塔底温度を生じるように操作されることを除いて、比較例2のものと同じ設定を利用し、第二塔の塔底から得られた高沸点成分の濃縮流が第三塔に送られて、比較例1において使用されたものと同じ供給材料を精製するために使用される。第三塔は、気泡温度まで冷却する凝縮器、0.25mol/molに設定された還流比、リボイラーと共に8段の理論棚段を含む。圧力は塔全体にわたって1.5baraに設定された。第三塔では、高沸点成分の流れは、塔底温度が131℃になるように分離される。主にブチルアルデヒドを含む第三塔から得られたオーバーヘッドは、液体として第一塔に戻され、塔頂から数えて棚板70に挿入される。
[比較例5]
第二塔への供給材料中に存在する酪酸ブチルの50%の逆分解を含み、第二塔に入る前に、イソブチルアルデヒドとn−ブチルアルデヒドを生成する二段分離プロセスを使用して、比較例1において使用されたものと同じ供給材料を精製する。これは第二塔内の温度上昇によるイソブチルアルデヒドの生成をシミュレーションするためである。第一塔は、比較例2と同じように、すなわち、n−ブチルアルデヒド流中の同じイソブチルアルデヒド濃度を目的として、操作される。
逆反応によって生成されるイソブチルアルデヒドの全てが、比較例2とは対照的に、n−ブチルアルデヒド生成物流と共に流出する(表1参照)。
[比較例6]
2段分離プロセスは、比較例3のものと同じ設定を有し、図4に示されるように、比較例1で使用されたものと同じ供給材料を精製するために使用される。逆反応は、比較例5に記載されたものと同じであり、すなわち、酪酸ブチルの50%が、第二塔への供給材料中でノルマル−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドに転換される。第一塔は今度は比較例3と同じように、すなわち、塔底流中の同じイソブチルアルデヒド濃度を目標として操作される。
[実施例7]
実施例4のものと同じように設定され、図1に示される逆反応を含む三段分離プロセスを使用して、比較例1において使用されたものと同じ供給材料を精製する。逆反応は、酪酸ブチルの50%が第二塔ではなく第三塔への供給材料中においてノルマル−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドに転換されることを除いて、比較例5に示されたものと同じである。第一塔は、比較例4と同様に、すなわち、塔底流中の同じイソブチルアルデヒド濃度を目標として操作される。主にブチルアルデヒドを含む第三塔から得られたオーバーヘッドは、液体として第一塔に戻され、棚板35に挿入され、そこでリサイクルは実施例4より多くのイソブチルアルデヒドを含み、従って塔内のより高い位置にリサイクルされる。
実施例は、本発明に係る三段分離プロセスが、逆反応の存在下でさえも、既存のプロセスと比較した場合、最低濃度のイソブチルアルデヒドと酪酸イソブチルとエチル−イソペンテナールを含むn−ブチルアルデヒドを生じることを示している。実施例は、三段分離プロセスの使用が、有利には、従来技術のプロセス及び既存の二段プロセスで必要とされるよりも少ないリボイラー負荷を必要とすることをまた示している。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 2019518004
流れ14は、精製されたノルマルブチルアルデヒドを含む生成物流であることが理解されるであろう。
[比較例8(比較例5に類似のC5実施例)]
二段分離プロセスが2−メチルブチルアルデヒドとバレルアルデヒドの分離のために使用され、従って、実施例5のC5類似例である。49.55重量%の2−メチルブチルアルデヒド、49.55重量%のバレルアルデヒド、0.17重量%のバレル酸イソペンチル、0.12重量%のC5三量体、及び少量のC5パラフィンを含む9121.5kg/hの供給材料が異性体塔に供給される。異性体塔中の様々な高沸点成分の生成をシミュレーションするために、塔に流入する前に、0.5重量%のn−バレルアルデヒドを2−メチルブチルアルデヒドと反応させてC5三量体を生成させ、0.5重量%のバレルアルデヒドを2−メチルブチルアルデヒドと反応させてC10アクロレインを生成させ、更に0.5重量%のバレルアルデヒドを2−メチルブチルアルデヒドと反応させてバレル酸イソペンチルを生成させる。塔は、塔頂から37段目の棚板に供給材料が入る80段の理論棚段を使用してシミュレーションされる。塔は、オーバーヘッド生成物が0.2重量%のバレルアルデヒドを含むように操作される。塔は、塔頂が1.2bara、塔底が2.0baraで、塔底生成物中の2−メチルブチルアルデヒドが1000ppmwで操作される。塔頂の温度はおよそ96℃、塔底は約127℃である。塔底生成物が第二塔に供給されて、バレルアルデヒド生成物から重質成分が除去される。塔は、塔頂から4段目の棚板に供給材料が入る5段の理論棚段を使用してシミュレーションされる。塔頂の圧力は1.1baraである。塔は、塔底生成物中に10重量%のバレルアルデヒド濃度を生じるように操作される。1.0の還流比が使用される。塔頂生成物は液体として抜き出される。これらの条件では、塔頂の温度は106℃で、塔底は170℃である。塔底の高温は塔底で分解反応を生じさせる場合がある。塔底での重質成分の分解をシミュレーションするために、50%のバレル酸イソペンチルを、塔に入る前に2−メチルブチルアルデヒドとバレルアルデヒドに転換させる。
[比較例9(比較例6と類似のC5実施例)]
2段分離プロセスは、比較例6のものと同じであり、図4に示される設定を有する。実施例8におけるように、異性体塔は塔頂生成物中に0.2重量%のバレルアルデヒドをもたらすように操作される。n−バレルアルデヒドの蒸気サイドドローが異性体塔の塔頂から78段目の棚板から取り出される。異性体塔は、サイドドローに約1000ppmwの2−メチルブチルアルデヒドを生じるように操作される。塔底から取り出される流量は2831kg/hである。第二塔は、実施例8と同じ方法で操作される。第二塔のオーバーヘッド生成物は、異性体塔の塔頂から60段目の棚板に戻される。逆反応は、比較例8に示されたものと同じであり、すなわちバレル酸イソペンチルの50%が第二塔への供給材料中で2−メチルブチルアルデヒドとn−バレルアルデヒドに転換される。
[実施例10(実施例7と類似のC5実施例)]
三段分離プロセスは、実施例4の設定と同じであり、図1に示される逆反応を含む。逆反応は、バレル酸イソペンチルの50%が第三塔への供給材料中において2−メチルブチルアルデヒドとバレルアルデヒドに転換されることを除いて、比較例8及び9に示されたものと同じである。第一塔は、塔頂生成物中に0.2重量%のバレルアルデヒドを、塔底生成物中に約970ppm wtを生じるように、すなわち第二塔の塔頂から得られる生成物n−バレルアルデヒド中1000ppm wtの2−メチルブチルアルデヒドを目標として操作される。主にアルデヒドを含む第三塔から得られたオーバーヘッドは、液体として第一塔に戻され、棚板46に挿入され、そこでリサイクルは実施例9より多くの2−メチルブチルアルデヒドを含み、従って塔内のより高い位置にリサイクルされる。
実施例は、本発明に係る三段分離プロセスが、逆反応の存在下でさえも、既存のプロセスと比較した場合、最低濃度のイソブチルアルデヒドと酪酸イソブチルとエチル−イソペンテナールを含むn−ブチルアルデヒドを生じることを示している。実施例は、三段分離プロセスの使用が、有利には、従来技術のプロセス及び既存の二段プロセスで必要とされるよりも少ないリボイラー負荷を必要とすることをまた示している。
実施例10と比較例8及び9の結果を表2に示す。
Figure 2019518004

Claims (16)

  1. 直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドを含むアルデヒド混合物の蒸留方法であって、
    i)アルデヒド混合物を含む供給材料を第一分離容器に供給する工程;
    ii)分離が生じるような第一の温度及び第一の圧力で前記第一分離容器を操作する工程;
    iii)直鎖アルデヒドを含む第一の流れを前記第一分離容器から回収し、前記第一の流れを第二分離容器に供給する工程;
    iv)分離が生じるような第二の温度及び第二の圧力で前記第二分離容器を操作する工程;
    v)直鎖アルデヒドを含む生成物流と高沸点成分を含む第二の流れを、前記第二分離容器から回収し、前記第二の流れを第三分離容器に供給する工程;
    vi)分離が生じるような第三の温度及び第三の圧力で前記第三分離容器を操作する工程;及び
    vii)アルデヒド混合物を含む第三の流れを前記第三分離容器から回収し、前記第三の流れを第一分離容器に再投入する工程
    を含む方法。
  2. 供給材料が、直鎖及び分岐鎖Cアルデヒド;又は直鎖及び分岐鎖Cアルデヒドを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 第一分離容器、第二分離容器又は第三分離容器が、それぞれ個々に蒸留塔、例えば棚段塔又は充填塔である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第一、第二又は第三分離容器の何れか一つの下方部の温度が、約200℃〜約65℃、約125℃〜約85℃、約120℃〜約90℃、約115℃〜約95℃;又は約110℃〜約100℃である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 第一、第二又は第三分離容器の何れか一つの圧力が、約1.0〜約2.4bara、約1.2〜約2.2bara、又は約1.4〜約2.0baraから選択される、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  6. 第一分離容器が棚段塔であり、場合によっては、棚段塔内の棚板数が約40〜約160;又は約50〜約150;又は約60〜約140;又は約70〜約130;又は約80〜約120である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 供給材料が、塔頂部から数えて、約5〜100段の棚板、又は約10〜90段の棚板において第一分離容器に供給される、請求項6に記載の方法。
  8. 第二分離容器が棚段塔であり、場合によっては、棚段塔内の棚板数が、約2〜約100、約2〜約50、約3〜約25、約4〜約20、約4〜約15、又は約4〜約10である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 第一の流れが、第二分離容器の塔底部より1〜10段上、塔底部より約2〜9段上、塔底部より約3〜7段上の棚板に供給される、請求項8に記載の方法。
  10. 第三分離容器が棚段塔であり、場合によっては、棚段塔内の棚板数が、約2〜約100、約2〜約50、約3〜約25、約4〜約20、約4〜約15、又は約4〜約10である、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 第二の流れが、第二分離容器の塔底部より1〜10段上、塔底部より約2〜9段上、塔底部より約3〜7段上の棚板に供給される、請求項10に記載の方法。
  12. 第一、第二又は第三分離容器が、それぞれ個々に、リボイラー、凝縮器、リボイラーと凝縮器、還流ドラム、還流ポンプ、又は還流ドラムと還流ポンプの何れか一つを更に備えている、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
  13. 第一及び第二分離容器が棚段塔であり、第二分離容器内の棚板の数が第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
  14. 第一及び第三分離容器が棚段塔であり、第三分離容器内の棚板の数が第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  15. 第一、第二及び第三分離容器が棚段塔であり、第二及び第三分離容器内の棚板の数が第一分離容器内に存在する棚板の数より少ない、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
  16. 第三分離容器が部分蒸発器であり、前記容器が棚板を含まず、凝縮器を含まず、場合によっては、部分蒸発器は、単一ケトル型リボイラー又は蒸発器、又は外部リボイラーを備えた容器から選択される、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
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