JPH08169858A - 分岐鎖アルデヒドの製造方法 - Google Patents

分岐鎖アルデヒドの製造方法

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JPH08169858A
JPH08169858A JP7250912A JP25091295A JPH08169858A JP H08169858 A JPH08169858 A JP H08169858A JP 7250912 A JP7250912 A JP 7250912A JP 25091295 A JP25091295 A JP 25091295A JP H08169858 A JPH08169858 A JP H08169858A
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branched
linear
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JP7250912A
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Akio Ueda
章夫 植田
Yuichi Fujita
裕一 藤田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/78Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C45/81Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change in the physical state, e.g. crystallisation
    • C07C45/82Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change in the physical state, e.g. crystallisation by distillation

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィンのヒドロホルミル化によって得ら
れる混合アルデヒド生成物等のアルデヒド混合物を分離
精製する工程において、アルデヒド混合物中の水分及び
軽沸アルデヒド等の軽質分の含有量が増加しても、高純
度の分岐鎖アルデヒドを安定的に、且つ経済的に得る方
法を提供する。 【解決手段】 直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
5.0wt%の水分とを含む出発アルデヒド混合物を、
単一の蒸留塔に供給し、塔頂より軽質分を、塔頂から理
論段数で5段から15段までの間でかつフィード段より
も上方の位置より、液状抜出し物として分岐鎖アルデヒ
ドを、また塔底より直鎖アルデヒドをそれぞれ抜き出す
ことにより、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとを同
時に得る分岐鎖アルデヒドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒド混合物
の分離精製による分岐鎖アルデヒドの製造方法に関す
る。詳しくは、炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと少
量の水分とを含むアルデヒド混合物を直鎖アルデヒドと
分岐鎖アルデヒドとに分離精製する工程における高純度
分岐鎖アルデヒドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オレフィンのヒドロホルミル化反応によ
りアルデヒドを製造する方法は公知である。例えば特公
昭51−1687号では、ロジウムを一酸化炭素及び三
価有機リン配位子との錯結合の状態で触媒として使用
し、溶媒として高沸点液体縮合物を用い、オレフィンと
一酸化炭素及び水素とを、約50℃ないし145℃の温
度範囲であり、一酸化炭素及び水素の合計圧力が450
psia以下であり、一酸化炭素の分圧を合計圧力の約
75%よりも多くない条件下で接触させることにより、
直鎖体に富むアルデヒドを生成物として得る方法が開示
されている。
【0003】この方法によると、生成物として、目的物
である直鎖アルデヒドおよび分岐鎖アルデヒドのほか、
副生物としてアルコール類、アルドール縮合脱水物、ア
ルデヒド二量体、三量体、四量体等の高沸点縮合生成物
などが得られる。これらの副生物は全て、生成アルデヒ
ドの高い反応性故に生ずるもので、アルコールは生成ア
ルデヒドが反応器内の水素により水素化したものであ
り、その他は、生成アルデヒド自体が触媒なしで、しか
も比較的低い温度にもかかわらず縮合反応した結果生成
したものであり、反応機構としてはまずアルドール縮合
が起こり、生成したアルドールの脱水反応でアクロレイ
ンが生成され、ティシュチェンコ反応、エステル交換反
応及びカニツァロ反応のようなデイスミューテーション
反応によって二量体、三量体及び四量体が生成する。こ
のような縮合脱水反応は、種々のヒドロホルミル化反応
条件、即ち、反応温度、反応圧力、用いられる溶媒、用
いられる触媒配位子、その他諸々の条件によって程度の
差はあるが、必ず起こるものである。したがって、この
ようなヒドロホルミル化反応においては縮合脱水反応の
産物である水分が必ず副生することとなる。
【0004】一般にヒドロホルミル化反応生成物には、
多少なりとも水分が含まれているが、前記のように縮合
脱水反応による副生水分のほか、原料である水素及び一
酸化炭素の混合ガス(通常、オキソガスと呼ぶ)に同伴
されてヒドロホルミル化反応領域に持ち込まれる水分も
無視できない。オキソガス中の同伴水分濃度は、オキソ
ガス製造プロセスの種類や操作条件により異なる。例え
ば、メタンやナフサを二酸化炭素、水蒸気等と共に、約
800℃の高温で水蒸気改質反応および水性ガス反応さ
せて、あるいは部分酸化反応させて、水素、一酸化炭
素、二酸化炭素、水蒸気等からなる分解ガスを得、次に
この分解ガスを吸収塔に導きアルカノールアミンや熱炭
酸カリウム水溶液により二酸化炭素の吸収除去(これを
脱炭酸工程と呼ぶ)を行うことにより精製されたオキソ
ガスを得る場合には、得られる精製オキソガスは脱炭酸
工程における吸収塔操作圧力、温度条件下での飽和水蒸
気を含むので、後工程で圧縮・冷却凝縮にて水分を大部
分除去したとしても、通常、0.2〜0.7vol%の
水分を水蒸気として含む。この水分は、そのままヒドロ
ホルミル化反応領域に持ち込まれる。以上のように、従
来のヒドロホルミル化反応領域内には必ず水分が存在
し、生成するアルデヒドを後工程で水添する場合には、
水添触媒の劣化原因等となっていた。
【0005】ヒドロホルミル化反応の原料であるオレフ
ィンに含まれる不純物について言えば、例えばプロピレ
ンの場合、通常、市場には2つの製品純度レベルがあ
る。一般にポリマーグレード、ケミカルグレードと呼ば
れているものがそれで、ポリプロピレン等を用途とする
ポリマーグレードのプロピレンは純度約99wt%以上
であり非常に高純度である。一方、ケミカルグレードの
プロピレンは純度約95wt%程度であり、ヒドロホル
ミル化反応の原料としては、両方用いられる。いずれの
グレードのプロピレンについても、不純物の大部分はプ
ロパンであるが、その他として、極少量の炭素数1から
5の炭化水素等を含む。
【0006】一般に、プロピレンの品質規格としてのエ
チレン含有濃度は最小で10ppmというものから、最
大で1000ppmというものまで様々であるが、通常
数10〜100ppm程度のエチレンが含まれている。
この原料プロピレン中に含有された微量のエチレンは、
ヒドロホルミル化反応領域において、プロピオンアルデ
ヒドに転化する。ここでエチレンはプロピレンよりも反
応速度が大きいので、ヒドロホルミル化反応領域に導入
されたエチレンは、反応領域からのパージイナートガス
に同伴されることなくほぼ全量プロピオンアルデヒドに
転化する。したがって、ヒドロホルミル化反応生成物中
には、主生成物であるブチルアルデヒドのほかにプロピ
オンアルデヒドを含むこととなる。原料プロピレン中の
エチレン濃度を100ppmとすると、生成ブチルアル
デヒド100に対し重量比で約0.008のプロピオン
アルデヒド含有率となる。
【0007】同様に、原料がブテンの場合も様々な不純
物の1つとして炭素数の1つ少ないオレフィンであるプ
ロピレンを含むので、ヒドロホルミル化反応領域におい
て、ブチルアルデヒドに転化し、したがって、原料がブ
テンのヒドロホルミル化反応生成物中には、主生成物で
あるバレルアルデヒドのほかにブチルアルデヒドを含む
こととなる。
【0008】すなわち、原料がプロピレンまたはブテン
であるヒドロホルミル化反応生成物中には、通常、目的
物であるアルデヒドのほかに、原料オレフィン中の不純
物である炭素数の1つ少ないオレフィンがほぼ全量転化
した結果生じる目的物アルデヒドより炭素数の1つ少な
いアルデヒド(目的物アルデヒドより低沸点物であり、
以下、軽沸アルデヒドと呼ぶ)を必ず含むこととなる。
【0009】ヒドロホルミル化反応領域から、アルデヒ
ドを主成分とするヒドロホルミル化反応生成物を分離す
る操作に関しては、従来から様々な方法が採られてき
た。例えば特開昭52−125103号では、オキソガ
ス及びオレフィンからなるガス状の再循環流れを、ヒド
ロホルミル化反応領域の、オレフィン、生成アルデヒ
ド、溶媒である高沸点アルデヒド縮合生成物、一酸化炭
素およびトリアリールホスフィンと錯結合した可溶性ロ
ジウム触媒、遊離トリアリールホスフィンからなる液状
体に供給し、その液状体からオレフィン、オキソガス、
蒸発した生成アルデヒド、及び副反応生成速度見合いの
蒸発した高沸点アルデヒド縮合生成物よりなる蒸気状混
合物を除去し、その蒸気状混合物から生成アルデヒドお
よびアルデヒド縮合生成物を回収して前記ガス状の再循
環流れを形成させる方法が開示されている。また特開昭
54−89974号では、ヒドロホルミル化反応領域か
ら生成アルデヒドを分離する方法として、溶媒である高
沸点アルデヒド縮合生成物、一酸化炭素およびトリアリ
ールホスフィンと錯結合した可溶性ロジウム触媒、遊離
トリアリールホスフィン、及び生成ブチルアルデヒドか
らなる液体生成物を降下膜式蒸発器に導入し、その一部
を蒸発させて得られた気液混合物を蒸留塔に導入し、生
成アルデヒドを缶出物として得ることが開示されてい
る。
【0010】以上のようにヒドロホルミル化反応領域か
ら大部分の未反応オレフィン、溶媒及び副生高沸点生成
物を含む触媒液を分離した後に残る生成物流を、以下混
合アルデヒド生成物と呼ぶが、この中に含有される成分
としては、主成分のアルデヒドの他は、ごく微量の溶解
ガス(水素・一酸化炭素・メタン・二酸化炭素など)、
アルデヒドよりも軽質分である少量の未反応オレフィ
ン、パラフィン類及び水分、主成分のアルデヒドより1
つ炭素数の少ないアルデヒド、アルデヒドよりも高沸分
である少量の溶媒及び副生高沸点生成物等である。
【0011】上記混合アルデヒド生成物は、主として直
鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを含むが、この混合
物のまま後工程の反応原料として用いられることは希
で、商業上一般的には、直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデ
ヒドとに分離精製される。これは、米国特許52275
44号に開示されているように、例えば直鎖ブチルアル
デヒドを、縮合、水添して2−エチルヘキサノールを製
造する場合、不純物として含有される分岐鎖ブチルアル
デヒドが最終的に分岐鎖オクタノールに変化して、製品
となる2−エチルヘキサノールの品質を著しく低下させ
ることを防ぐためである。また一方、分岐鎖アルデヒド
については、例えば分岐鎖ブチルアルデヒドを、水添し
て分岐鎖ブタノールを製造する場合、不純物として含有
される直鎖ブチルアルデヒドが製品となる分岐鎖ブタノ
ールの品質を著しく低下させたり、品質を維持するため
の蒸留精製コストを著しく増加させたりすることを避け
るためである。
【0012】前記した混合アルデヒド生成物の分離精製
方法については、従来、以下のような方法が知られてい
る。 (1)最も古典的な方法として、前記混合アルデヒド生
成物を1つの蒸留塔にフィードして留出液として軽質分
を含む分岐鎖アルデヒドを得、缶出液として重質分を含
む直鎖アルデヒドを得る方法。 (2)精製に2つの蒸留塔を用い、第1塔目の蒸留塔か
ら留出液として軽質分を含む分岐鎖アルデヒドを得、そ
の缶出液を第2塔目の蒸留塔にフィードして、留出液と
して直鎖アルデヒドを得、缶出液としてはヒドロホルミ
ル化反応溶媒である重質分を得る方法。 (3)混合アルデヒド生成物を1つの蒸留塔にフィード
して、塔頂から理論段数で2段下方の側流から軽質分の
少ない分岐アルデヒドを得る方法。(特開平4−273
841号)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)及び(2)のような従来法では、フィードする混
合アルデヒド生成物中の水分、オレフィン、パラフィン
類及び、目的物のアルデヒドより1つ炭素数の少ない軽
沸アルデヒド等の軽質分(水分は沸点としてはアルデヒ
ドより高いが、アルデヒドと共沸するので挙動としては
他の軽質分と同様である、したがって以後、水分も軽質
分に含める)は、ほぼ全量が塔頂から分岐鎖アルデヒド
とともに留出するので、得られる分岐鎖アルデヒド液中
の軽質分の絶対量は、フィードされる混合アルデヒド生
成物中の軽質分の絶対量のうち未凝縮ガスとして塔頂か
ら外部パージされた残りに等しい。また一般に混合アル
デヒド生成物の組成については、商業的需要に起因する
理由により分岐鎖体の方が直鎖体より圧倒的に比率が低
いので、蒸留塔の留出液量は缶出液量に比べ圧倒的に少
ない。したがって蒸留塔にフィードされた軽質分は留出
液中に濃縮されることとなり結果として得られる分岐鎖
アルデヒドの純度は必然的に著しく低くなる。
【0014】例えば、直鎖アルデヒド対分岐鎖アルデヒ
ドの重量比率が9対1である混合アルデヒド生成物中に
0.2wt%の水分が含有されている場合、塔頂から分
岐鎖アルデヒドを留出液として得ると、若干の未凝縮分
を無視すれば、留出液中には約0.2×(9+1)=
2.0wt%の水分が含有されることとなる。したがっ
て、例えば純度99.9wt%という高純度の分岐鎖ア
ルデヒドを得ようとすると、混合アルデヒド生成物中の
水分を例えば0.01wt%未満というように極端に低
くしておく必要があり、これはすなわち、前述したよう
に、水分の発生源であるヒドロホルミル化反応での望ま
しくない副反応である縮合脱水反応をいかに抑えるかと
いうことであるため、技術改良が容易ではない。また、
通常、原料であるオキソガスは、ヒドロホルミル化反応
を実施する当事者以外から供給を受けることが多いた
め、オキソガス中の同伴飽和水蒸気量を少なくするため
には、脱水乾燥器などの設備を新たに設置しなければな
らず、このような設備対応は経済的に不利となるため従
来は実施されていなかった。また、混合アルデヒド生成
物中に0.08wt%の、目的物アルデヒドより炭素数
の1つ少ない軽沸アルデヒドが含有されている場合も同
様に、塔頂から分岐鎖アルデヒドを留出液として得る
と、留出液中には約0.08×(9+1)=0.8wt
%の軽沸アルデヒドが含有されることとなる。混合アル
デヒド生成物中の軽沸アルデヒド濃度を低下させるため
には、原料オレフィン中の不純物である、炭素数の1つ
少ないオレフィン濃度を低下させねばならず、原料オレ
フィンの精製に多大なコストが必要となるため、従来は
実施されていなかった。したがって、上記(1)及び
(2)のような方法では高純度の分岐鎖アルデヒドの製
造は工業的に実施不可能であった。
【0015】一方、上記(3)の方法では、前述した
(1)及び(2)の方法よりは、若干軽質分の少ない分
岐鎖アルデヒドを得ることができるものの、分岐鎖アル
デヒドをフィード段よりも上の段で抜出すことに変わり
なく、それゆえフィードされる混合アルデヒド生成物中
の水分量が増加するに従いフィード段より上部の塔内水
分濃度が上昇し、どうしても抜出し分岐鎖アルデヒド中
に水分が同伴しやすくなる。また同様に、原料プロピレ
ン中のエチレン又は原料ブテン中のプロピレンの濃度が
増加するに従い、フィード段より上部の塔内の主成分ア
ルデヒドより炭素数の1つ少ない軽沸アルデヒドの濃度
が上昇し、どうしても抜出し分岐鎖アルデヒド中に不純
物として含有されやすくなる。これらの対策としての還
流量アップや蒸留塔の充填高さアップ、高段数化は経済
的に著しく不利になるので、工業的に高純度の分岐鎖ア
ルデヒドを製造することとは困難であった。
【0016】したがって、混合アルデヒド生成物を分離
精製する工程において、混合アルデヒド生成物中の水分
及び軽沸アルデヒド等軽質分の含有量が増加しても、高
純度の分岐鎖アルデヒドを安定的に、且つ経済的に得る
方法が望まれていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
つき鋭意検討した結果、混合アルデヒド生成物中の水分
及び軽沸アルデヒド等軽質分の含有量がいかなる場合に
おいても、安定的に高純度の分岐鎖アルデヒドを得るた
めには、単一の蒸留塔において、塔頂部の十分な領域
を、水分及び軽沸アルデヒド等の軽質分の分離ゾーンと
して与え、その分離ゾーンのすぐ下方の位置から分岐鎖
アルデヒドを液として抜出せばよいことを見出し、本発
明に到達した。
【0018】即ち、本発明の第1の要旨は、直鎖アルデ
ヒド及び分岐鎖アルデヒドを含む炭素数4又は5の脂肪
族アルデヒドと0.01〜5.0wt%の水分とを含む
出発アルデヒド混合物を直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデ
ヒドとに分離精製する分岐鎖アルデヒドの製造方法にお
いて、分離精製工程が単一の蒸留塔を使用する一段階の
蒸留工程から成り、出発アルデヒド混合物を蒸留塔に供
給し、塔頂より軽質分を、塔頂から理論段数で5段から
15段までの間でかつフィード段よりも上方の位置より
液状抜出し物として分岐鎖アルデヒドを、また塔底より
直鎖アルデヒドをそれぞれ抜き出すことを特徴とする分
岐鎖アルデヒドの製造方法、に存する。
【0019】また、本発明の第2の要旨は、直鎖アルデ
ヒド及び分岐鎖アルデヒドを含む炭素数4又は5の脂肪
族アルデヒドと0.01〜5.0wt%の水分とを含む
出発アルデヒド混合物を直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデ
ヒドとに分離精製する分岐鎖アルデヒドの製造方法にお
いて、分離精製工程が単一のトレイ塔を使用する一段階
の蒸留工程から成り、出発アルデヒド混合物をトレイ塔
に供給し、塔頂より軽質分を、塔頂から実段数で5段か
ら22段までの間でかつフィード段よりも上方の位置よ
り液状抜出し物として分岐鎖アルデヒドを、また塔底よ
り直鎖アルデヒドをそれぞれ抜き出すことを特徴とする
分岐鎖アルデヒドの製造方法、に存する。
【0020】また、本発明の第3の要旨は、直鎖アルデ
ヒド及び分岐鎖アルデヒドを含む炭素数4又は5の脂肪
族アルデヒドと0.01〜5.0wt%の水分とを含む
出発アルデヒド混合物を直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデ
ヒドとに分離精製する分岐鎖アルデヒドの製造方法にお
いて、分離精製工程が単一の充填塔を使用する一段階の
蒸留工程から成り、出発アルデヒド混合物を充填塔に供
給し、塔頂より軽質分を、塔頂から充填物の全高さで
1.5mから15mの間でかつフィード位置よりも上方
の位置より液状抜出し物として分岐鎖アルデヒドを、ま
た塔底より直鎖アルデヒドをそれぞれ抜き出すことを特
徴とする分岐鎖アルデヒドの製造方法、に存する。
【0021】また、本発明の第4の要旨は、直鎖アルデ
ヒド及び分岐鎖アルデヒドを含む炭素数4又は5の脂肪
族アルデヒドと0.01〜5.0wt%の水分とを含む
出発アルデヒド混合物を直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデ
ヒドとに分離精製する分岐鎖アルデヒドの製造方法にお
いて、分離精製工程がトレイ及び充填物の両方を備えた
単一の蒸留塔を使用する一段階の蒸留工程から成り、出
発アルデヒド混合物を蒸留塔に供給し、塔頂より軽質分
を、次式(1)で定義される塔頂からの見なし高さH
(m)が1.5mから15mの間でかつフィード位置よ
りも上方の位置より液状抜出し物として分岐鎖アルデヒ
ドを、また塔底より直鎖アルデヒドをそれぞれ抜き出す
ことを特徴とする分岐鎖アルデヒドの製造方法、に存す
る。
【0022】
【数2】 H=0.3×N+HP …(1) N:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの間
のトレイ段数(段) HP:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの
間の充填物の合計高さ(m)
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。本発明において分離精製を行う出発アルデヒド混合
物は、主として直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
5.0wt%の水分とを含むアルデヒド混合物である。
出発アルデヒド混合物としては、特に限定されないが、
例えばプロピレンやブテンのヒドロホルミル化反応によ
り得られた前記混合アルデヒド生成物を用いることがで
きる。
【0024】ヒドロホルミル化反応の原料のプロピレ
ン、ブテンは特に臨界的な制限はなく、ブテンについて
は、混合オレフィンでも用いることができる。また、パ
ラフィン類等のオレフィン以外の炭化水素を含むような
オレフィンの純度の低い原料も好適に使用できる。原料
オレフィンは通常特別な前処理などをすることなく用い
られるが、触媒毒として知られる硫黄分やハロゲン分又
はジエン、トリエン類、更には過酸化物類等を従来公知
の吸着、抽出、蒸留、熱処理、膜分離等の方法により除
去したものを用いることもできる。
【0025】触媒には3価リンを有する有機リン化合物
を配位子とするロジウム触媒が用いられるが、有機リン
化合物としては、トリブチルホスフィン、トリオクチル
ホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリフェニル
ホスフィン、トリトリルホスフィン、フェニル基の水素
がスルホ基やハロゲン等で置換されたトリフェニルホス
フィン等のトリアリールホスフィン、トリシクロヘキシ
ルホスフィン等のトリシクロアルキルホスフィン、モノ
ブチルジフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホス
フィン等のアルキルアリールホスフィン、シクロアルキ
ルアリールホスフィン、アルキルシクロアルキルホスフ
ィン等が挙げられる。
【0026】また、トリアルキルホスファイト、置換基
を有していてもよいトリフェニルホスファイト、トリナ
フチルホスファイト等のトリアリールホスファイト及び
アルキルアリールホスファイト等も用いられ、具体的に
はUSP3415906、USP4599206、US
P4351759、USP4748261、USP45
67306、USP5235113及びUSP5227
532等に開示されている化合物等が挙げられる。
【0027】これらの有機リン化合物のうち2種以上を
混合配位子として用いることもできる。また、上記3価
リンを有する有機リン化合物とトリフェニルホスフィン
オキシド等の5価リンを有する有機リン化合物とを混合
して用いることもできる。ロジウム源としては、ヒドリ
ドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウ
ム、アセトキシビス(トリフェニルホスフィン)ロジウ
ム等のロジウム錯体の他にロジウムアセチルアセトネー
ト、酢酸ロジウム等の有機塩、硝酸ロジウム等の無機
塩、酸化ロジウム等の酸化物等も用いられる。ロジウム
源は直接ヒドロホルミル化反応器にフィードしてもよい
が、反応器外で有機リン化合物配位子と共に溶媒中で高
い温度・圧力のもとで一酸化炭素と水素とで処理し、あ
らかじめ触媒液を調製しておくこともできる。この触媒
調製のための溶媒は通常後述する反応溶媒の中から選ば
れるが、反応溶媒と同一のものでなくてもよい。触媒の
調製条件としては、通常ロジウム濃度が数ppm〜数重
量%、有機リン化合物配位子とロジウムとの比率はモル
比でP/Rh=1〜10000、温度は60〜200
℃、圧力は常圧〜200kg/cm2 G、処理時間は数
分〜十数時間の範囲で行われる。上記処理は回分式でも
連続式でもよい。
【0028】ヒドロホルミル化の反応溶媒としては、オ
レフィン自身を溶媒にしてもよいし、生成アルデヒドや
副生する高沸点物を使用することもできる。その他ヘキ
サン、オクタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素、ブタノール、オクタノール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類、ト
リグライム、テトラグライム等のエーテル類、ジオクチ
ルフタレート等のエステル類、又は水等の触媒を溶解し
反応に悪影響を与えぬものが使用される。ヒドロホルミ
ル化反応の条件としては、通常水素分圧0.1〜200
kg/cm2 、一酸化炭素分圧0.1〜200kg/c
2 、全圧数kg/cm2 G〜300kg/cm2 G、
水素分圧/一酸化炭素分圧=0.1〜10、温度60〜
200℃、ロジウム濃度は数重量ppm〜数重量%、有
機リン化合物配位子中のP/Rh=1〜10000(モ
ル比)、反応時間数分〜十数時間の範囲で行われる。
【0029】上述のごとく実施されるヒドロホルミル化
反応領域から該混合アルデヒド生成物を取得する方法と
しては、例えば前述した特開昭52−125103号に
記載されているようなガスストリッピングによる方法、
また特開昭54−89974号に記載されているような
蒸留による方法等、特に制約はない。どの手段をとるに
しても結果として、大部分の未反応オレフィン、溶媒及
び副生高沸点生成物を含む触媒液が除去されているの
で、混合アルデヒド生成物中に含有される成分は、主成
分の混合アルデヒドの他は、ごく微量の溶解ガス(水素
・一酸化炭素・メタン・二酸化炭素など)、少量の未反
応オレフィン、パラフィン類、水分及び目的物アルデヒ
ドより炭素数の1つ少ない軽沸アルデヒド等のアルデヒ
ドよりも軽質の留分、更にはアルデヒドよりも高沸分で
ある少量の溶媒及び副生高沸点生成物などである。上記
混合アルデヒド生成物に主成分として含まれる脂肪族ア
ルデヒドより炭素数の1つ少ないアルデヒドの、混合ア
ルデヒド生成物中の濃度は、通常、約8ppm〜約80
0ppmである。
【0030】上記混合アルデヒド生成物は、ヒドロホル
ミル化反応の原料オレフィンがプロピレンの場合には、
n−ブチルアルデヒド及びイソブチルアルデヒドを含
み、原料オレフィンがブテン、即ち1−ブテン又は2−
ブテンの場合には、n−バレルアルデヒド及びイソバレ
ルアルデヒドを含む。ここで、イソバレルアルデヒドと
は、2−メチルブチルアルデヒド、3−メチルブチルア
ルデヒド及びピバルアルデヒドを指す。
【0031】この混合アルデヒド生成物を、本発明方法
に従い、単一の蒸留塔を使用する一段階の蒸留工程によ
り分離精製して直鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとを
同時に得る工程を図1を用いて以下に説明する。まず、
混合アルデヒド生成物を管路1より蒸留塔10にフィー
ドする。このフィード段階では、より高温の他のプロセ
ス流体との熱交換により約70℃以上に昇温されていて
もよい。フィードされた混合アルデヒド生成物のうち、
水分及び軽沸アルデヒド等の軽質分及びアルデヒドが塔
頂から管路2により気体として抜出され、コンデンサ1
1において、溶解ガス(水素・一酸化炭素・メタン・二
酸化炭素など)、未反応オレフィン及びパラフィン類の
大部分は未凝縮ガスのままパージされ、凝縮液はデカン
タ12にて油水分離される。分離した油層は約2〜4w
t%の飽和水分を含む混合アルデヒド液であり、管路6
により全量還流として蒸留塔に戻される。一方水層は約
3〜6wt%の溶解アルデヒドを含む排水であり、管路
5によりそのまま排水処理設備へ送られるか、または、
後工程のアルデヒド回収設備へ送られる。ここで油水分
離における各層での溶解度は、液温度及びフィードされ
る混合アルデヒド生成物の組成により決まる。一方、管
路7からの液状抜出し物として純度約99.5wt%以
上の分岐鎖アルデヒドを、また、塔底から管路8により
純度約99.5wt%以上の直鎖アルデヒドを同時に得
ることができる。この純度は理論段数、還流比及び留出
比により操作することができるが、本発明方法において
は、水分等の軽質分の分離ゾーンとして十分な領域を確
保しているので、場合によっては99.90wt%以上
もの極めて高純度の分岐鎖アルデヒドを得ることができ
る。
【0032】蒸留塔としては、約40段から約200段
の理論段数を有するものを使用するのが好ましく、分岐
鎖アルデヒドを、塔頂から理論段数で5段から15段ま
で、好ましくは5段から10段までの間でかつフィード
位置よりも上方の位置より、液状抜出し物として抜き出
すことにより、純度の高い分岐鎖アルデヒドを得ること
ができる。また、蒸留塔がトレイ塔の場合には、実段数
で50段から200段のトレイを有するものを使用する
のが好ましく、分岐鎖アルデヒドを、塔頂から実段数で
5段から22段まで、好ましくは5段から15段までの
間でかつフィード位置よりも上方の位置より、液状抜出
し物として抜き出すことにより、純度の高い分岐鎖アル
デヒドを得ることができる。上記分岐鎖アルデヒドの抜
き出し位置は、混合アルデヒド生成物中の水分等の軽質
分濃度あるいは経済的な考慮により決定される。すなわ
ち、求められる分岐鎖アルデヒドの純度がそれほど高く
ないか、フィードされる混合アルデヒド生成物中の水分
等の軽質分濃度が低いか、加熱用水蒸気コストが安い場
合は、塔頂から抜き出し位置までの理論段数又は実段数
は5段で十分であり、逆の場合、すなわち、求められる
精製分岐鎖アルデヒドの純度が高いか、フィードされる
混合アルデヒド生成物中の水分濃度が高いか、加熱用水
蒸気コストが高い場合は、塔頂から抜き出し位置までに
より多くの理論段数又は実段数が必要となる。
【0033】また蒸留塔が充填塔の場合には、充填物の
全高さで15mから100mの充填物を有することが好
ましく、分岐鎖アルデヒドを、塔頂から充填物の全高さ
で1.5mから15m、好ましくは1.5mから10m
の間でかつフィード位置よりも上方の位置より、液状抜
出し物として抜き出すことにより、純度の高い分岐鎖ア
ルデヒドを得ることができる。充填塔の場合、その充填
物固有の分離性能差が大きく、充填物単位容積あたりの
気液接触面積が大きいほど高性能となり、塔頂から抜き
出し位置までの充填高さが1.5mと低くても十分であ
り、また安価な低性能の充填物を使えば塔頂から抜き出
し位置までにより高い充填高さが必要となる。トレイ塔
でも充填塔でも、上記範囲を越えると多大な加熱用水蒸
気コストや不必要な設備コストを生じるので実用には不
利である。
【0034】また、蒸留塔がトレイ及び充填物の両方を
備えている場合には、塔全体が上記の40段から200
段の理論段数を満足しているならば十分同様な分離精製
能力を有し、分岐鎖アルデヒドを、次式(1)で定義さ
れる塔頂からの見なし高さH(m)が1.5mから15
m、好ましくは1.5mから10mの間でかつフィード
位置よりも上方の位置より、液状抜出し物として抜き出
すことにより、純度の高い分岐鎖アルデヒドを得ること
ができる。
【0035】
【数3】 H=0.3×N+HP …(1) N:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの間
のトレイ段数(段) HP:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの
間の充填物の合計高さ(m)
【0036】蒸留塔の塔頂圧力には特に制限はないが、
真空圧力にすると約20〜30℃の冷却水を使う塔頂コ
ンデンサにおいて未凝縮によるアルデヒド損失が生じて
しまうので、大気圧以上が望ましい。この場合、分岐鎖
アルデヒドと直鎖アルデヒドとの分離においては、低圧
ほど比揮発度が大きくなり必要な理論段数は少なくてす
むので大気圧が最も望ましい。但し設備コストを考慮す
ると、加圧することによって塔頂温度を上げ、その結果
冷却水との温度差を大きくとることによる塔頂コンデン
サの伝熱面積削減が図れるので、1.0kg/cm2
程度の加圧なら分離悪化に伴う若干の必要理論段数の増
加はあるものの設備コストとしてはさほど増加せず、経
済的に成り立つ。したがって、塔頂圧力としては、0.
001〜1.0kg/cm2 Gがよい。また、蒸留塔の
塔内温度としては、脂肪族アルデヒドの炭素数、塔頂圧
力、及び蒸留塔の種類等により決まる塔底圧力により変
化するが、塔頂部で約62℃〜約115℃、塔底部で約
76℃〜約145℃である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例
により限定されるものではない。 実施例1 図1の装置を用いてプロピレンのヒドロホルミル化反応
により得られた混合アルデヒド生成物の分離精製を行な
った。ヒドロホルミル化反応の条件としては、触媒とし
て、トリフェニルホスフィンを配位子とするロジウム触
媒を、溶媒としてトルエンを用いて、圧力16kg/c
2 G、温度100℃の条件下で実施した。生成アルデ
ヒドは触媒液と共に反応器から液として抜き出し、脱圧
して溶解ガスを除去した後、減圧下で蒸留し、溶媒、高
沸点物及び触媒などの重質分と分離した後、ノルマル体
とイソ体の比が約8である混合アルデヒド生成物を得
た。この混合アルデヒド生成物を管路1に導いた。管路
1のフィード液組成は、直鎖ブチルアルデヒド88.0
6wt%、分岐鎖ブチルアルデヒド11.02wt%、
水分0.89wt%、プロピオンアルデヒド0.008
wt%、その他微量のプロピレン、プロパン、一酸化炭
素、二酸化炭素等の溶解イナートガス及び微量の高沸分
から成り、これを理論段数で81段相当(実段数で11
5段)のトレイ塔10の塔頂から理論段数で48段相当
位置(実段数で68段目)に導いた。トレイ塔10の塔
頂圧力は約0.1kg/cm2 Gに保たれ、トレイ塔1
0の塔底はリボイラ13により加熱された。管路2の塔
頂ガスはコンデンサ11で大部分凝縮され、管路4を経
てデカンタ12に導かれ、イナートガス及び一部の未凝
縮ガスは管路3を経てパージされた。デカンタ12は分
離堰を内蔵しており、その油層は主にブチルアルデヒド
であり、全量を還流として管路6を経てトレイ塔10に
戻された。一方水層は、水層の界面を一定に保つように
管路5を経てパージされた。塔頂から理論段数で5段相
当位置(実段数で7段目)の側流から、管路7として分
岐鎖ブチルアルデヒドを液として抜出した。また塔底か
らは、管路8より直鎖ブチルアルデヒドが得られた。結
果を表−1に示す。
【0038】比較例1 図2の装置を用いてプロピレンのヒドロホルミル化反応
により得られた混合アルデヒド生成物の分離精製を行な
った。管路1のフィード液組成は実施例1と同じであ
り、これを理論段数で81段相当(実段数で115段)
のトレイ塔14の塔頂から理論段数で48段相当位置
(実段数で68段目)に導いた。トレイ塔14の塔頂圧
力は約0.1kg/cm2 Gに保たれ、トレイ塔14の
塔底はリボイラ17により加熱された。還流量とリボイ
ラ総熱量は実施例1と同じ条件を使用した。管路2の塔
頂ガスはコンデンサ15で大部分凝縮され、管路4を経
てデカンタ16に導かれ、イナートガス及び一部の未凝
縮ガスは管路3を経てパージされた。デカンタ16は分
離堰を内蔵しており、その油層は、主に分岐鎖ブチルア
ルデヒドであり、その大部分が還流として管路6を経て
トレイ塔14に戻され、一部は分岐鎖ブチルアルデヒド
として管路7により抜出された。一方水層は、水層の界
面を一定に保つように管路5を経てパージされた。また
塔底からは、管路8より直鎖ブチルアルデヒドが得られ
た。結果を表−1に示す。
【0039】実施例2、実施例3、比較例2〜4 分岐鎖ブチルアルデヒドの抜き出し位置を表−1に示し
たようにしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
結果を表−1に示す。 実施例4 直鎖ブチルアルデヒド84.49wt%、分岐鎖ブチル
アルデヒド10.57wt%、水分4.91wt%、プ
ロピオンアルデヒド0.008wt%、その他微量のプ
ロピレン、プロパン、一酸化炭素、二酸化炭素等の溶解
イナートガス及び微量の高沸分から成る混合アルデヒド
生成物を、管路1のフィード液としたこと以外は、実施
例1とほぼ同様に実施した。結果を表−2に示す。
【0040】実施例5、実施例6、比較例5〜7 分岐鎖ブチルアルデヒドの抜き出し位置を表−2に示し
たようにしたこと以外は、実施例4と同様に実施した。
結果を表−2に示す。 実施例7 直鎖ブチルアルデヒド84.44wt%、分岐鎖ブチル
アルデヒド10.56wt%、水分4.90wt%、プ
ロピオンアルデヒド0.08wt%、その他微量のプロ
ピレン、プロパン、一酸化炭素、二酸化炭素等の溶解イ
ナートガス及び微量の高沸分から成る混合アルデヒド生
成物を、管路1のフィード液としたこと以外は、実施例
1とほぼ同様に実施した。結果を表−3に示す。
【0041】実施例8、実施例9、比較例8〜10 分岐鎖ブチルアルデヒドの抜き出し位置を表−3に示し
たようにしたこと以外は、実施例7と同様に実施した。
結果を表−3に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】注記:表−1、表−2、及び表−3におい
て略号は以下の通りである。 IBD:分岐鎖ブチルアルデヒド NBD:直鎖ブチルアルデヒド H2 O:水 PAL:プロピオンアルデヒド
【0046】表−1において、全ての実施例及び比較例
は、リボイラの加熱蒸気量が同じであり、かつ精製直鎖
ブチルアルデヒドの純度が同じである。精製直鎖ブチル
アルデヒドの品質を変えない同じ運転コストで得られる
精製分岐鎖ブチルアルデヒドの純度はどうなるか、とい
う観点からこれらを比較してみる。まず、実施例1と比
較例1との比較より、比較例1は精製分岐鎖ブチルアル
デヒド中に飽和溶解度の水分が含まれるので明らかに実
施例1より純度が悪い。このことより、塔頂より精製分
岐鎖ブチルアルデヒドを得ることがいかに不利益である
かがわかる。次に、塔頂より下方の側流から液として精
製分岐鎖ブチルアルデヒドを抜出した実施例1〜3と比
較例2〜4とを比較してみる。比較例2のように、抜出
し位置が塔頂部に近いと、水分やプロピオンアルデヒド
等の軽沸分が十分分離できず、精製分岐鎖ブチルアルデ
ヒド中に含有されてしまうため、実施例1〜3のように
精製分岐鎖ブチルアルデヒド純度を高められない。また
比較例3及び4のように、あまり下方の位置で抜出す
と、当然、軽沸分は十分分離されるものの、直鎖ブチル
アルデヒドと分岐鎖ブチルアルデヒドの分離のための段
数が減ってしまうので、精製分岐鎖ブチルアルデヒド中
の直鎖ブチルアルデヒドが増加してしまう。実施例1と
比較例3及び4を比較すると精製分岐鎖ブチルアルデヒ
ド純度は比較例3及び4の方が高いが、本工程で最も分
離すべき直鎖ブチルアルデヒド含有量が高い比較例3及
び4は、後工程での精製コストまで含めて考慮すると工
業実施上の価値は極めて低い。したがって、実施例1〜
3の範囲の操作条件、即ち、精製分岐鎖ブチルアルデヒ
ドを、塔頂から理論段数で5段から15段(トレイ性能
で若干変わるが実段数では5段から22段相当)の間か
ら抜き出すことにより、最も効率よく高純度分岐鎖ブチ
ルアルデヒドを得ることができる。
【0047】また、フィードされる混合ブチルアルデヒ
ド生成物中の水分濃度が増加した場合について表−2か
ら、フィードされる混合アルデヒド生成物中のプロピオ
ンアルデヒド濃度が増加した場合について表−3からそ
れぞれ考察してみると、やはり、表−1の結果と同様
に、精製分岐鎖ブチルアルデヒドの抜出し位置として
は、塔頂から理論段数で5段から15段(実段数で5段
から22段)の間にすることがよいことがわかる。
【0048】以上の結果より、本発明は、工業的に高純
度の分岐鎖ブチルアルデヒドを製造するのに適している
と言える。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、出発アルデヒド混合物
中の含有水分濃度が、例えばアルデヒドに対する飽和溶
解度というような高濃度(例えば5wt%)であって
も、精製分岐鎖アルデヒド中への含有水分量を十分少な
くすることができる。また、出発アルデヒド混合物がオ
レフィンのヒドロホルミル化反応の生成物である場合、
原料オレフィンの不純物に起因して含有される、目的物
アルデヒドよりも炭素数の1つ少ない軽沸アルデヒド
の、出発アルデヒド混合物中の含有濃度が高濃度であっ
ても、精製分岐鎖アルデヒド中の軽沸アルデヒド量を十
分少なくすることができるので、フィードする出発アル
デヒド混合物の組成にかかわらず、常に安定して、しか
も経済的に、高純度の精製分岐鎖アルデヒドを製造する
ことができる。また、精製分岐鎖アルデヒドの純度を高
めるあまり、精製直鎖アルデヒドの純度を低下させるよ
うなこともないので、高純度の精製分岐鎖アルデヒドと
高純度の精製直鎖アルデヒドとを同時に得ることができ
るため、工業的な利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法及び比較例2〜10における分離精
製工程を示す模式図である。
【図2】比較例1における分離精製工程を示す模式図で
ある。
【図3】表−1に示された各例における、サイドカット
段(精製IBD抜出段)の位置と精製IBD中の不純物
濃度との関係を示す図である。(但し、比較例1は除
く)
【図4】表−2に示された各例におけるサイドカット段
の位置と精製IBD中の不純物濃度との関係を示す図で
ある。
【図5】表−3に示された各例におけるサイドカット段
の位置と精製IBD中の不純物濃度との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
10,14 蒸留塔 11,15 コンデンサ 12,16 デカンタ 13,17 リボイラ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
    含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
    5.0wt%の水分とを含む出発アルデヒド混合物を直
    鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとに分離精製する分岐
    鎖アルデヒドの製造方法において、分離精製工程が単一
    の蒸留塔を使用する一段階の蒸留工程から成り、出発ア
    ルデヒド混合物を蒸留塔に供給し、塔頂より軽質分を、
    塔頂から理論段数で5段から15段までの間でかつフィ
    ード段よりも上方の位置より液状抜出し物として分岐鎖
    アルデヒドを、また塔底より直鎖アルデヒドをそれぞれ
    抜き出すことを特徴とする分岐鎖アルデヒドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 蒸留塔が40段から200段の理論段数
    を有する請求項1に記載の分岐鎖アルデヒドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
    含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
    5.0wt%の水分とを含む出発アルデヒド混合物を直
    鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとに分離精製する分岐
    鎖アルデヒドの製造方法において、分離精製工程が単一
    のトレイ塔を使用する1段階の蒸留工程から成り、出発
    アルデヒド混合物をトレイ塔に供給し、塔頂より軽質分
    を、塔頂から実段数で5段から22段までの間でかつフ
    ィード段よりも上方の位置より液状抜出し物として分岐
    鎖アルデヒドを、また塔底より直鎖アルデヒドをそれぞ
    れ抜き出すことを特徴とする分岐鎖アルデヒドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 トレイ塔が実段数で50段から200段
    のトレイを有する請求項3に記載の分岐鎖アルデヒドの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
    含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
    5.0wt%の水分とを含む出発アルデヒド混合物を直
    鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとに分離精製する分岐
    鎖アルデヒドの製造方法において、分離精製工程が単一
    の充填塔を使用する1段階の蒸留工程から成り、出発ア
    ルデヒド混合物を充填塔に供給し、塔頂より軽質分を、
    塔頂から充填物の全高さで1.5mから15mの間でか
    つフィード位置よりも上方の位置より液状抜出し物とし
    て分岐鎖アルデヒドを、また塔底より直鎖アルデヒドを
    それぞれ抜き出すことを特徴とする分岐鎖アルデヒドの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 充填塔が充填物の全高さで15mから1
    00mの充填物を有する請求項5に記載の分岐鎖アルデ
    ヒドの製造方法。
  7. 【請求項7】 直鎖アルデヒド及び分岐鎖アルデヒドを
    含む炭素数4又は5の脂肪族アルデヒドと0.01〜
    5.0wt%の水分とを含む出発アルデヒド混合物を直
    鎖アルデヒドと分岐鎖アルデヒドとに分離精製する分岐
    鎖アルデヒドの製造方法において、分離精製工程がトレ
    イ及び充填物の両方を備えた単一の蒸留塔を使用する一
    段階の蒸留工程から成り、出発アルデヒド混合物を蒸留
    塔に供給し、塔頂より軽質分を、次式(1)で定義され
    る塔頂からの見なし高さH(m)が1.5mから15m
    の間でかつフィード位置よりも上方の位置より液状抜出
    し物として分岐鎖アルデヒドを、また塔底より直鎖アル
    デヒドをそれぞれ抜き出すことを特徴とする分岐鎖アル
    デヒドの製造方法。 【数1】 H=0.3×N+HP …(1) N:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの間
    のトレイ段数(段) HP:塔頂から分岐鎖アルデヒドの抜き出し位置までの
    間の充填物の合計高さ(m)
  8. 【請求項8】 出発アルデヒド混合物がプロピレンのヒ
    ドロホルミル化反応により得られたものである請求項1
    〜7の何れか1つに記載の分岐鎖アルデヒドの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 蒸留塔の塔頂圧力が0.001〜1.0
    kg/cm2 Gである請求項1〜8の何れか1つに記載
    の分岐鎖アルデヒドの製造方法。
  10. 【請求項10】 出発アルデヒド混合物に主成分として
    含まれる脂肪族アルデヒドよりも炭素数の1つ少ないア
    ルデヒドの、出発アルデヒド混合物中の濃度が、8〜8
    00ppmである請求項1〜9の何れか1つに記載の分
    岐鎖アルデヒドの製造方法。
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JP2009519319A (ja) * 2005-12-14 2009-05-14 サソル テクノロジー (ピーティーワイ)リミテッド 精製メチルイソブチルケトンの製造方法および装置
JP2009519320A (ja) * 2005-12-14 2009-05-14 サソル テクノロジー (ピーティーワイ)リミテッド 精製メチルイソブチルケトンを製造するための方法および装置

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