本発明は、その一部の実施形態では、付加製造(AM)に関し、特に限定されないが、その少なくとも一部分においてゴム状材料から作られた物体の付加製造に使用可能な配合物及び方法に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
上で述べたように、エラストマー材料の従来の製造法とは対照的に、3D(インクジェット)印刷のような付加製造プロセスでは、硬化されたポリマーは、好適な硬化可能なモノマーから一段階で製造され、かかるプロセスの挑戦において得られたゴム状材料の化学的及び機械的な特性の制御を可能にする。従って、付加製造のための現在の技術は、例えば従来のエラストマーと比較するとき、変形後の遅い戻り速度及び/又は低い引裂き抵抗(TR)値によって特徴づけられるゴム状材料をもたらすことが多く、それによって高い伸びを示すゴム状材料は、低いモジュラス、低い引裂き抵抗、及び/又は低いTg及び靭性によって特徴づけられることが多い。
本発明者は、ゴム状材料の付加製造(例えば3Dインクジェット印刷)において、例えば微細な親水性シリカ、疎水性シリカ、及び官能化(例えばアクリル被覆)シリカを含む様々なタイプのサブミクロン(例えばナノサイズ)シリカ粒子を使用することにより、改良された機械的特性を有するゴム状材料をもたらすことを発見した。本発明者は、かかる方法を使用して、改良された伸び、弾性モジュラス、及び引裂き抵抗を同時に具備するゴム状材料が得られることを示した。
後述の実施例の部分で示されるように、ゴム状材料の3Dインクジェット印刷において現在実践されている配合物にサブミクロンシリカ粒子を加えることは、現在実践されている配合物から作られた物体と比較して、少なくとも500N/m高い引裂き抵抗、及び少なくとも2倍高い弾性モジュラスを具備する印刷された物体をもたらし、妥協なしで数分間/数時間から数日間までの一定伸張下での引裂き抵抗を実質的に改良し、さらに伸び及び引張強度のような他の特性を改良する。かかる改良された機械的特性は、配合物の全重量の10重量%までの量でシリカ粒子を使用して証明された。
図を参照すると、図1A−5Dは、本発明の一部の実施形態による例示的なシステム、方法、及び構造の概略図を示す。図6A−Cは、一定の伸張下での引裂き抵抗の測定法を示す図及び写真を示す。図7及び8は、アクリル被覆シリカ粒子の増大した量の添加が得られたゴム状材料の弾性モジュラスの増加をもたらすことを示す。図9は、水管に使用した後の、本発明の一部の実施形態によるシリカ粒子を含有する配合物から作られたゴム状材料の改良された引裂き抵抗を示す写真を示す。後述の実施例の部分における表1−4は、シリカ粒子を含有する配合物の3Dインクジェット印刷で得られたゴム状材料の改良された機械的特性をさらに示す。
本明細書中において全体を通して、用語「ゴム」、「ゴム材料」、「エラストマー材料」及び「エラストマー」は、エラストマーの特性を具備する材料を記載するために交換可能に使用される。用語「ゴム状材料」は、熱可塑性ポリマーの硫化を伴なう従来プロセスよりむしろ付加製造(例えば3Dインクジェット印刷)によって作られたゴムの特性を具備する材料を記載するために使用される。
用語「ゴム状材料」はまた、本明細書では、「エラストマー材料」と交換可能に言及される。
エラストマー又はゴムは、低Tg(例えば室温より低い、好ましくは10℃より低い、さらに0℃より低い、さらに−10℃より低い)によって特徴づけられる可撓性材料である。
以下のことは、本明細書及び業界において使用されるゴム材料を特徴づける特性の一部を記載する。
ショア硬度として、又は単に硬度としても言及されるショアA硬度は、A型ジュロメータースケールによって規定される永久圧痕に対する材料の抵抗性を記載する。ショア硬度は、一般的にASTM D2240に従って決定される。
弾性モジュラスとして、又はヤング率として、又は引張弾性率として、又は「E」としても言及される弾性率は、力が付与されるときの弾性変形に対する材料の抵抗性、又は換言すれば、対向する力が軸に沿って付与されるときに軸に沿って変形しようとする物体の傾向として記載する。弾性率は、一般的に引張試験(例えばASTM D624に従う)によって測定され、弾性変形領域における応力−歪曲線の直線の傾きによって決定され、そこでは応力は、変形を起こす力を力が付与される面積によって割ったものであり、歪は、長さパラメーターの初期値に対する変形によって起こされる長さパラメーターの変化の比率である。応力は、材料に対する引張力に比例し、歪は、その長さに比例する。
引張強度は、引張に対する材料の抵抗性、又は換言すれば、伸ばそうとする負荷に耐える能力を記載し、その破断前のエラストマー複合物の延伸時に付与される最大応力(Mpa)として規定される。引張強度は、一般的に引張試験(例えばASTM D624に従う)によって測定され、本明細書及び業界で記載されるように応力−歪曲線の最高点として決定される。
伸びは、以下のように初期長さの百分率割合として表わされる、材料の均一断面の伸張である:
伸びは、一般的にASTM D412に従って決定される。
Z引張伸びは、Z方向に印刷するときの本明細書に記載されるように測定された伸びである。
「引裂き強度」として本明細書及び業界においても言及される引裂き抵抗(TR)は、N/mmで表わされる、材料を引裂くために要求される最大力を記載し、この最大力は、試料の主軸と実質的に平行に作用する。引裂き抵抗は、ASTM D412法によって測定されることができる。ASTM D624は、引裂きの形成(引裂き開始)に対する抵抗性、及び引裂きの拡大に対する抵抗性(引裂き伝幡性)を測定するために使用されることができる。一般的に、試料は、二つのホルダーの間に保持され、均一な引張力が変形が起こるまで付与される。引裂き抵抗は、次いで付与された力を材料の厚さによって割ることによって計算される。低い引裂き抵抗を有する材料は、摩耗に対する劣った抵抗性を持つ傾向がある。
一定の伸張下での引裂き抵抗は、一定の伸び(破断伸びより低い)を受けたときに標本が引裂かれるために要求される時間を記載する。この値は、例えば後述の実施例の部分及び図6A−Cに記載されるような「O−リング」試験で決定される。
本発明の実施形態は、ゴム状材料から作られた三次元(3D)物体又はその部品(部分)を付加製造するのに使用可能な配合物、それを使用する付加製造プロセス、及びこれらのプロセスに製作される物体に関する。
本明細書において全体を通して、用語「物体」は、付加製造の最終生成物を記載する。この用語は、支持材料が構築材料の一部として使用されたなら、支持材料の除去後に本明細書に記載されたような方法によって得られた生成物を示す。「物体」は、それゆえ硬化された造形用材料から本質的になる(少なくとも95重量%からなる)。
本明細書において全体を通して使用される用語「物体」は、物品全体又は物品の一部を示す。
本実施形態による物体は、少なくとも一部又はその部分がゴム状材料から作られるようなものであり、本明細書では「ゴム状材料から作られた物体」としても言及される。物体は、複数の部品又はその部分がゴム状材料から作られるようなものであるか、又はゴム状材料から完全に作られるようなものであることができる。ゴム状材料は、異なる部品又は部分で同じ又は異なることができ、ゴム状材料から作られた各部品、部分、又は物体全体に対して、ゴム状材料は、部分、部品又は物体内で同じ又は異なることができる。異なるゴム状材料が使用されるとき、それらは、以下にさらに説明されるように、それらの化学組成及び/又は機械特性において異なることができる。
本明細書において全体を通して、表現「構築材料配合物」、「未硬化構築材料」、「未硬化構築材料配合物」、「構築材料」、及び他の変形は、それゆえ集合して、本明細書に記載されるように、層を連続して形成するために吐出される材料を記載する。この表現は、物体、即ち一つ以上の未硬化造形用材料配合物を形成するように吐出された未硬化材料、及び支持体、即ち未硬化支持材料配合物を形成するように吐出された未硬化材料を包含する。
本明細書中において全体を通して、表現「硬化した造形用材料」および表現「固化した造形用材料」(これらは交換可能に使用される)は、吐出された構築材料を硬化にさらしたとき、本明細書中で定義されるように、物体を形成する構築材料の部分で、本明細書に記載されるように、硬化した支持体材料(もし存在するなら)を除いた後の構築材料の部分を表す。硬化した造形用材料は、本明細書中に記載されるように、当該方法で使用される造形用材料配合物に依存して、ただ1つの種類の硬化した材料、または、2種以上の硬化した材料の混合物であることが可能である。
表現「硬化(した)造形用材料」又は「硬化(した)造形用材料配合物」は、構築材料が(支持材料配合物ではなく)造形用材料配合物のみからなる硬化構築材料として見なすことができる。即ち、この表現は、構築材料の一部を示し、それは、最終物体を与えるために使用される。
本明細書において全体を通して、表現「造形用材料配合物」(それはまた、交換可能に、「造形用配合物」、「造形配合物」、「造形材料配合物」、又は単に「配合物」として示される)は、本明細書に記載されるように、物体を形成するように吐出される構築材料の一部又は全てを記載する。造形用材料配合物は、(特に他で示さない限り)未硬化の造形用配合物であり、それは、硬化エネルギーにさらすと物体又はその一部を形成する。
本発明の一部の実施形態では、造形用材料配合物は、三次元インクジェット印刷に使用するために配合され、それ自身で、即ちいかなる他の物質と混合したり又は組み合わせたりする必要なしで三次元物体を形成することができる。
未硬化の構築材料は、一つ又はそれより多い造形用配合物を含むことができ、硬化されると物体の異なる部分が異なる硬化された造形用配合物又はその異なる組み合わせから作られ、従って異なる硬化された造形用材料又は硬化された造形用材料の異なる混合物から作られるように吐出されることができる。
構築材料を形成する配合物(造形用材料配合物及び支持材料配合物)は、一種以上の硬化性材料を含み、それは、硬化エネルギーにさらされるとき、固化(硬化)材料を形成する。
本明細書中全体を通して、「硬化性材料」は、本明細書に記載されるように硬化エネルギーにさらされるとき、凝固又は固化して硬化材料を形成する化合物(一般的にはモノマー又はオリゴマー化合物、しかし任意選択的にポリマー化合物)である。硬化性材料は、一般的に重合可能な材料であり、それは、好適なエネルギー源にさらされるときに重合及び/又は架橋を受ける。
本実施形態による硬化性材料はまた、硬化エネルギーにさらすことなく、むしろ硬化条件(例えば、化学試薬にさらすと)、又は単に環境にさらすと、固化又は凝固(硬化)する材料を包含する。
本明細書で使用される用語「硬化性(硬化可能)」及び「凝固性(凝固可能)」は、交換可能に使用される。
重合は、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合、又はアニオン重合であることができ、各々は、本明細書に記載されるように、例えば放射線、熱などの硬化エネルギーにさらすと誘導されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、光重合可能な材料であり、それは、本明細書に記載されるように、放射線にさらすと重合するか、及び/又は架橋を受けるものであり、一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、それは、本明細書に記載されるように、UV放射線にさらすと重合するか、及び/又は架橋を受けるものである。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるような硬化性材料は、光誘導性フリーラジカル重合を介して重合する光重合可能な材料である。あるいは、硬化性材料は、光誘導されたカチオン重合によって重合する光重合可能な材料である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、モノマー、オリゴマー、又は短鎖ポリマーであることができ、各々は、本明細書に記載されるように重合可能及び/又は架橋可能である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料が硬化エネルギー(例えば放射線)にさらされるとき、それは、鎖延長及び架橋のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって固化(硬化)する。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化エネルギーにさらすとき、重合反応で重合材料を形成することができるモノマー又はモノマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書においてモノマー硬化性材料として言及される。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化エネルギーにさらすとき、重合反応で重合材料を形成することができるオリゴマー又はオリゴマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書においてオリゴマー硬化性材料として言及される。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、モノマーであるか又はオリゴマーであるかにかかわらず、単官能硬化性材料又は多官能硬化性材料であることができる。
本明細書では、単官能硬化性材料は、硬化エネルギー(例えば放射線)にさらすときに重合を受けることができる一つの官能基を含む。
多官能硬化性材料は、硬化エネルギーにさらすと重合を受けることができる、二つ又はそれより多い、例えば2つ、3つ、4つ又はそれより多い官能基を含む。多官能硬化性材料は、例えば二官能、三官能、又は四官能硬化性材料であることができ、それらは、それぞれ重合を受けることができる2つ、3つ又は4つの基を含む。多官能硬化性材料における二つ以上の官能基は、一般的に本明細書に規定されるように、結合部分によって互いに結合される。結合部分がオリゴマー又はポリマー部分であるとき、多官能基は、オリゴマー又はポリマー多官能硬化性材料である。多官能硬化性材料は、硬化エネルギーを受けるときに重合を受けることができ、及び/又は架橋剤として作用することができる。
本実施形態の方法は、本明細書に記載されるように、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって層状の態様で三次元物体を製造する。
最終的な三次元物体は、造形用材料、又は造形用材料の組み合わせ、又は造形用材料と支持材料又はそれらの変性物(例えば硬化後)の組み合わせから作られる。全てのこれらの操作は、固形自由形状製作の熟練者に良く知られている。
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に記載されるように、エラストマー(ゴム状)材料から作られた三次元物体の付加製造の方法が提供される。
前記方法は、一般的に、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を遂次形成することによって実施され、従って以下にさらに詳細に記載されるように、前記層の少なくとも2つもしくは3つの層の各々の形成又前記層の各々の形成は、一種以上の造形用材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出し、吐出された造形用材料を硬化エネルギーにさらし、それによって硬化された造形用材料を形成することを含む。
本発明の実施形態によれば、一種以上の造形用材料配合物は、エラストマー硬化性材料及びシリカ粒子を含む。エラストマー硬化性材料及びシリカ粒子は、同じ造形用材料配合物中にあることができ、又は二種以上の造形用材料配合物が使用されるとき、異なる造形用材料配合物中にあることができる。
本発明の一部の例示的な実施形態では、物体は、各々の造形用材料配合物がインクジェット印刷装置の異なる吐出ヘッドからのものである二種以上の異なる造形用材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出することによって製造される。造形用材料配合物は、任意選択的に及び好ましくは、印刷ヘッドの同じ通過中に層で堆積される。層内の造形用材料配合物及び/又は配合物の組み合わせは、以下にさらに詳細に記載されるように、物体の所望の特性に従って選択される。
本明細書及び業界で使用される表現「デジタル材料」は、特定の材料の印刷された領域が2,3個のボクセルのレベルで又は1個のボクセルのレベルであるように微視的なスケール又はボクセルレベルで二種以上の材料の組み合わせを記載する。かかるデジタル材料は、材料のタイプ及び/又は二種以上の材料の比率及び相対的な空間分布の選択によって影響される新しい特性を示すことができる。
例示的なデジタル材料では、硬化で得られた、各ボクセル又はボクセルブロックの造形用材料は、硬化で得られた、隣接ボクセル又はボクセルブロックの造形用材料から独立しており、従って各ボクセル又はボクセルブロックは、異なる造形用材料をもたらし、全体の部分の新しい特性は、複数の異なる造形用材料のボクセルレベルでの空間組み合わせの結果である。
本明細書において全体を通じて、表現「ボクセルレベルで」が異なる材料及び/又は特性の文脈において使用されるときはいつでも、ボクセルブロック間の差、並びに複数のボクセル又は2,3個のボクセルのグループの間の差を含むことが意味される。好ましい実施形態では、全体の部分の特性は、複数の異なる造形用材料のボクセルブロックレベルでの空間組み合わせの結果である。
造形用材料配合物及び配合系:
エラストマー硬化性材料:
本明細書に記載されるような方法に使用可能な一種以上の造形用材料配合物は、エラストマー硬化性材料を含む。
表現「エラストマー硬化性材料」は、硬化エネルギーにさらすと、エラストマー(ゴム、又はゴム状材料)の特性を具備する硬化された材料を与える、本明細書に規定されるような硬化性材料を記載する。
エラストマー硬化性材料は、一般的に、重合された及び/又は架橋された材料に弾性を与える部分に連絡された、好適な硬化エネルギーにさらすと重合を受ける一種以上の重合可能な(硬化可能な)基を含む。かかる部分は、一般的に本明細書に規定されるような、アルキル、アルキレン鎖、炭化水素、アルキレングリコール基又は鎖(例えばオリゴ又はポリ(アルキレングリコール))、本明細書に規定されるような、ウレタン、オリゴウレタン、又はポリウレタン部分、及び類似物、さらに前述のいずれかの組み合わせを含み、本明細書において「エラストマー部分」として言及される。
本発明の一部の実施形態によるエラストマー単官能硬化性材料は、式Iによって表わされるビニル含有化合物であることができる:
式中、R1及びR2の少なくとも一つは、本明細書に規定されるようなエラストマー部分であるか、及び/又はそれを含む。
式I中の=CH2基は、重合可能な基を表わし、一部の実施形態によれば、UV硬化性基であり、従ってエラストマー硬化性材料は、UV硬化性材料である。
例えば、R1は、本明細書に規定されるようなエラストマー部分であるか、又はそれを含み、R2は、例えば、それが硬化された材料のエラストマー特性と相互作用しない限り、水素、C(1−4)アルキル、C(1−4)アルコキシ、又はいずれかの他の置換基である。
一部の実施形態では、R1は、カルボキシレートであり、化合物は、単官能アクリレートモノマーである。これらの実施形態の一部では、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリレートモノマーである。R1がカルボキシレートでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリレート」として言及される。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基−C(=O)−ORaは、本明細書に記載されるようなエラストマー部分であるRaを含む。
一部の実施形態では、R1は、アミドであり、化合物は、単官能アクリルアミドモノマーである。これらの実施形態の一部では、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリルアミドモノマーである。R1がアミドでありかつR2が水素又はメチルである硬化性材料は、本明細書において集合的に「(メタ)アクリルアミド」として言及される。
(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドは、本明細書において集合的に(メタ)アクリル材料として言及される。
一部の実施形態では、R1は、環状アミドであり、一部の実施形態では、それは、ラクタムのような環状アミドであり、化合物は、ビニルラクタムである。一部の実施形態では、R1は、ラクトンのような環状カルボキシレートであり、化合物は、ビニルラクトンである。
R1及びR2の一方又は両方がポリマー又はオリゴマー部分を含むとき、式Iの単官能硬化性材料は、例示的なポリマー又はオリゴマー単官能硬化性材料である。そうでなければ、それは、例示的なモノマー単官能硬化性材料である。
多官能エラストマー材料では、二つ又はそれより多い重合可能な基は、本明細書に記載されるようなエラストマー部分によって互いに連結される。
一部の実施形態では、多官能エラストマー材料は、本明細書に記載されるような式Iによって表わされることができ、そこではR1は、本明細書に記載されるような重合可能な基によって終わるエラストマー材料を含む。
例えば、二官能エラストマー硬化性材料は、以下の式I*によって表わされることができる:
式中、Eは、本明細書に記載されるようなエラストマー結合部分であり、R’2は、R2に対して本明細書に規定されたようなものである。
別の例では、三官能エラストマー硬化性材料は、式IIによって表わされることができる:
式中、Eは、本明細書に記載されるようなエラストマー結合部分であり、R’2及びR”2は、各々独立して、R2に対して本明細書に規定されたようなものである。
一部の実施形態では、多官能(例えば二官能、三官能、又はそれより多い官能)エラストマー硬化性材料は、集合的に式IIIによって表わされることができる:
式中、R2及びR’2は、本明細書に規定されるようなものであり、
Bは、(X1の性質に依存して)本明細書に規定されるような二官能又は三官能枝分かれ単位であり、
X2及びX3は、各々独立して、存在しないか、本明細書に記載されるようなエラストマー部分であるか、又はアルキル、炭化水素、アルキレン鎖、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール、ウレタン部分、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択され、
X1は、存在しないか、又はアルキル、炭化水素、アルキレン鎖、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール、ウレタン部分、及びエラストマー部分(各々は、任意選択的にメタ(アクリレート)部分(O−C(=O)CR”2=CH2)によって置換(例えば終了)される)、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択され、又はX1は、以下のものである:
式中、曲線は、結合点を表わし、
B’は、枝分かれ単位であり、それは、Bと同じであるか又はBとは異なり、
X’2及びX’3は、各々独立して、X2及びX3に対して本明細書に規定されるようなものであり、
R”2及びR”’2は、R2及びR’2に対して本明細書に規定されるようなものであり、
但し、X1、X2、及びX3の少なくとも一つは、本明細書に記載されるようなエラストマー部分であるか、又はそれを含む。
本明細書に使用される用語「枝分かれ単位(ユニット)」は、複数のラジカル、好ましくは脂肪族又は脂環族基を記載する。「複数のラジカル」によって、結合部分が二つ以上の結合点を持ち、従ってそれが二つ以上の原子及び/又は基もしくは部分の間で結合することが意味される。
即ち、枝分かれ単位は、物質の単一の位置、基、又は原子に結合されるとき、この単一の位置、基、又は原子に結合される二つ以上の官能基を作り、従って単一の官能を二つ以上の官能に「枝分かれする」化学部分である。
一部の実施形態では、枝分かれ単位は、二つ、三つ、又はそれより多い官能基を持つ化学部分から誘導される。一部の実施形態では、枝分かれ単位は、本明細書に記載されるような枝分かれされたアルキル又は枝分かれした結合部分である。
4つ以上の重合可能な基を具備する多官能エラストマー硬化性材料もまた、考えられ、式IIIに与えられるものと同様の構造(但し、例えばより大きい枝分かれを有する枝分かれ単位Bを含むか、又は本明細書に規定されたような二つの(メタ)アクリレート部分を具備するX1部分を含む)、又は式IIに与えられたものと同様の構造(但し、例えばエラストマー部分に結合される別の(メタ)アクリレート部分を含む)を具備することができる。
一部の実施形態では、エラストマー部分(例えば、式I中のRa又は式I*、II及びIII中のEとして示される部分)は、アルキルであるか、又はそれを含み、それは、直線状であるか又は枝分かれされることができ、それは、好ましくは3つもしくはそれより多い又は4つもしくはそれより多い炭素原子;好ましくは3つもしくはそれより多い又は4つもしくはそれより多い長さの炭素原子のアルキレン鎖;本明細書に規定されるようなアルキレングリコール、オリゴ(アルキレングリコール)、又は好ましくは4つもしくはそれより多い原子の長さの本明細書に規定されるようなポリ(アルキレングリコール)、好ましくは4つもしくはそれより多い炭素原子の長さの本明細書に規定されるようなウレタン、オリゴウレタン、又はポリウレタン、及びそれらの組み合わせである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、本明細書に記載されるような(メタ)アクリル硬化性材料であり、一部の実施形態では、それは、アクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料は、式Iによって表わされ、式中、R1は、−C(=O)−ORaであり、Raは、本明細書に規定されるように、アルキレン鎖(例えば4つもしくはそれより多い、好ましくは6つもしくはそれより多い、好ましくは8つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)、又はポリ(アルキレングリコール)鎖である。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、多官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料は、式I*によって表わされ、式中、Eは、本明細書に規定されるように、アルキレン鎖(例えば4つもしくはそれより多い、又は6つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)、及び/又はポリ(アルキレングリコール)鎖である。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、多官能エラストマー硬化性材料であるか又はそれを含み、一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料は、式IIによって表わされ、式中、Eは、枝分かれしたアルキル(例えば3つもしくはそれより多い、又は4つもしくはそれより多い、又は5つもしくはそれより多い炭素原子の長さ)である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、例えば式I、I*、II又はIIIのエラストマーアクリレート又はメタクリレート(アクリル又はメタクリルエラストマーとしても言及される)であり、一部の実施形態では、アクリレート又はメタクリレートは、硬化されるとき、ポリマー材料が0℃より低い又は−10℃より低いTgを具備するように選択される。
例示的なエラストマーアクリレート及びメタクリレート硬化性材料は、2−プロパン酸、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルエステル(例示的なウレタンアクリレート)、及び商品名SR335(ラウリルアクリレート)及びSR395(イソデシルアクリレート)(Sartomerによる)の下で販売される化合物を含むが、それらに限定されない。他の例は、商品名SR350D(三官能トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA))、SR256(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート)、SR252(ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート)、SR561(アルコシキル化ヘキサンジオールジアクリレート)(Sartomerによる)の下で販売される化合物を含む。
例えば一つ以上のアクリレート又はメタクリレート基の代わりに一つ以上のアクリルアミド基を具備する他のアクリル材料もまた考えられることが注意されるべきである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、一種以上のエラストマー硬化性材料は、以下にさらに詳細に記載されるように、一種以上の造形用材料配合物に含まれる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、本明細書に記載されるような各実施形態のいずれかにおいて、一種以上の単官能エラストマー硬化性材料(例えば式Iで表わされるような単官能エラストマーアクリレート)及び一種以上の多官能(例えば二官能)エラストマー硬化性材料(例えば式I*、II、又はIIIで表わされるような二官能エラストマーアクリレート)を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料の全量は、造形用材料配合物又はそれを含む配合系の全量の少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%であり、最大70%、又はさらに最大80%であることができる。
一部の実施形態では、一種以上の造形用材料配合物は、一種の造形用材料配合物を含む。一部の実施形態では、一種以上の造形用材料配合物は、二種以上の配合物を含み、一種以上のエラストマー硬化性材料は、一種、二種又は全ての種類の配合物内に含まれる。
本明細書中全体を通して、一種以上の造形用材料配合物はまた、以下にさらに詳細に記載されるように、本明細書において配合系として言及される。
シリカ粒子:
一種以上の造形用配合物の各々は、少なくとも一種の硬化性材料を含み、造形用配合物の少なくとも一種は、シリカ粒子を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子は、1ミクロンより小さい平均粒子サイズを持ち、即ちシリカ粒子は、サブミクロン粒子である。一部の実施形態では、シリカ粒子は、0.1nm〜900nm、又は0.1nm〜700nm、又は1nm〜700nm、又は1nm〜500nm、又は1nm〜200nmの範囲の平均粒子サイズを持ち、それらの間のいずれの中間値及び下位範囲を含む。
一部の実施形態では、かかる粒子の少なくとも一部は、配合物に導入されると凝集することができる。これらの実施形態の一部では、凝集体は、3ミクロン以下、又は1.5ミクロン以下の平均サイズを持つ。
サブミクロンシリカ粒子のいずれかの商業的に入手可能な配合物は、本実施形態の文脈において使用可能であり、それらは、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、沈降シリカ、層状シリカ(例えばモンモリロナイト)、及びシリカ粒子のエアロゾル支援自己集合を含む。
シリカ粒子は、疎水性又は親水性表面を具備するようなものであることができる。粒子の表面の疎水性又は親水性は、粒子上の表面基の性質によって決定される。
シリカが処理されないとき、即ち実質的にSi及びO原子から構成されるとき、粒子は、一般的にシラノール(Si−OH)表面基を具備し、それゆえ親水性である。未処理(未被覆)コロイドシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及び層状シリカは、全て親水性表面を具備し、親水性シリカと考えられる。
層状シリカは、表面基として4級アンモニウム及び/又はアンモニウムによって終わる長鎖炭化水素を具備するように処理されることができ、その表面の性質は、炭化水素鎖の長さによって決定される。疎水性シリカは、疎水性基が粒子の表面に結合されるシリカの形であり、処理されたシリカ又は官能化シリカ(疎水性基で反応されたシリカ)としても言及される。
本明細書に規定されるように、アルキル、好ましくは2つもしくはそれより多い炭素原子の長さ、好ましくは4つもしくはそれより多い、又は6つもしくはそれより多い炭素原子の長さの中程度から大きな程度のアルキル、シクロアルキル、アリール、及び他の炭化水素、又は疎水性ポリマー(例えばポリジメチルシロキサン)のような限定されない疎水性表面基を具備するシリカ粒子は、疎水性シリカの粒子である。
本明細書に記載されるようなシリカ粒子は、それゆえ未処理(非官能)であることができ、従って親水性粒子である。
あるいは、本明細書に記載されるようなシリカ粒子は、それらの表面上の部分と結合を形成するように反応させることによって処理(官能化)されることができる。
前記部分が親水性部分であるとき、官能化シリカ粒子は、親水性である。
ヒドロキシ、アミン、アンモニウム、カルボキシ、シラノール、オキソ、及び類似物のような限定されない親水性表面基を具備するシリカ粒子は、親水性シリカの粒子である。
前記部分が本明細書に記載されるように疎水性部分であるとき、官能化シリカ粒子は、疎水性である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、親水性表面を具備する(即ち、例えばコロイドシリカのような未処理シリカの親水性表面粒子である)。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、疎水性表面を具備する(即ち、疎水性シリカ粒子である)。
一部の実施形態では、疎水性シリカ粒子は、官能化シリカ粒子、即ち一つ以上の疎水性部分で処理されたシリカの粒子である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の少なくとも一部又は全ては、硬化性官能基によって官能化された疎水性シリカ粒子(表面上に硬化性基を具備する粒子)である。
硬化性官能基は、本明細書に記載されるようないずれかの重合可能な基であることができる。一部の実施形態では、硬化性官能基は、配合物中の硬化性モノマーと同じ重合反応によって及び/又は硬化性モノマーと同じ硬化条件にさらすとき、重合可能である。一部の実施形態では、硬化性基は、本明細書に規定されるように、(メタ)アクリル(アクリル又はメタクリル)基である。
本明細書に記載されるような親水性及び疎水性、官能化及び未処理のシリカ粒子は、商業的に入手可能な材料であることができ、又は業界で良く知られた方法を使用して製造されることができる。
これらの実施形態の文脈で使用される「少なくとも一部」は、粒子の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%を意味する。
シリカ粒子はまた、二種以上のタイプのシリカ粒子の混合物、例えば本明細書に記載されるシリカ粒子のいずれかの二種以上のタイプの混合物であることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、造形用材料配合物中のシリカ粒子の量は、造形用材料配合物の全重量の約1重量%〜約20重量%、又は約1重量%〜約15重量%、又は約1重量%〜約10重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載されるような配合系中のシリカ粒子の量は、配合系の全重量の約1重量%〜約20重量%、又は約1重量%〜約15重量%、又は約1重量%〜約10重量%の範囲である。
一部の実施形態では、配合系は、一種の配合物を含む。一部の実施形態では、配合系は、二種以上の配合物を含み、シリカ粒子は、一種、二種、又は全ての配合物内に含まれる。
シリカ粒子の量は、硬化された造形用材料及び/又はそれを含むその中の物体又は部分の機械的特性を制御するように希望の通りに操作されることができる。例えば、シリカ粒子の量を高めると、硬化された造形用材料及び/又はそれを含むその中の物体もしくは部分の弾性率を高めることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子の量は、一種以上の造形用材料配合物中のエラストマー硬化性材料とシリカ粒子の重量比が約50:1〜約4:1、又は約30:1〜約4:1、又は約20:1〜約2:1の範囲(それらの間のいずれの中間値及び下位範囲も含む)であるようなものである。
追加成分:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、一種以上の造形用材料配合物は、一種以上の追加の硬化性材料をさらに含む。
追加の硬化性材料は、単官能硬化性材料、多官能硬化性材料、又はそれらの混合物であることができ、各材料は、モノマー、オリゴマー、もしくはポリマー、又はそれらの組み合わせであることができる。
好ましくは、必須ではないが、追加の硬化性材料は、例えば光照射(例えばUV照射)にさらすと硬化性エラストマー材料が重合可能である同じ硬化エネルギーにさらすときに重合可能である。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、硬化されるとき、重合された材料がエラストマー材料のTgより高いTgを具備し、例えば0℃より高いTg、又は5℃より高いTg、又は10℃より高いTgを具備するようなものである。
本明細書において全体を通して、「Tg」は、E”曲線の極大値の位置として規定されるガラス転移温度を示し、E”は、温度の関数としての材料の損失弾性率である。
大まかに言うと、温度がTg温度を含む温度範囲内で上昇すると、材料、好ましくはポリマー材料の状態は、徐々にガラス状態からゴム状態に変化する。
本明細書において「Tg範囲」は、E”値が上で規定されたようなTg温度でその値の少なくとも半分である(例えばその値以下であることができる)温度範囲である。
いかなる特定の理論にも拘束されたくないが、ポリマー材料の状態は、上で規定されたようなTg範囲内でガラス状態からゴム状態に徐々に変化することが想定される。本明細書において、用語「Tg」は、本明細書に規定されたようなTg範囲内のいかなる温度も示す。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、例えば硬化されるとき、エラストマー材料を表わすものとは異なるTg及び/又は弾性率を具備する非エラストマー硬化性材料である。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、単官能アクリレート又はメタクリレート((メタ)アクリレート)である。限定されない例としては、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート、アクリロイルモルフォリン(ACMO)、商品名SR−339の下でSartomer Company(米国)によって販売されるフェノキシエチルアクリレート、商品名CN131Bの下で販売されるようなウレタンアクリレートオリゴマー、及びAM方法論で使用可能ないずれかの他のアクリレート及びメタクリレートを含む。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、多官能アクリレート又はメタクリレート((メタ)アクリレート)である。多官能(メタ)アクリレートの限定されない例としては、商品名SR−9003の下でSartomer Company(米国)によって販売される、プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DiTMPTTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(TETTA)、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DiPEP)、及び例えばEbecryl 230によって販売されるような脂肪族ウレタンジアクリレートを含む。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの限定されない例は、エトキシル化又はメトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリエチレングリコールウレタンジアクリレート、部分的にアクリル化されたポリオールオリゴマー、CNN91として販売されるようなポリエステルベースのウレタンジアクリレートを含む。
本明細書に規定されるようなTgを具備するいずれかの他の硬化性材料、好ましくは硬化性材料は、追加の硬化性材料として考えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、一種以上の造形用材料配合物は、硬化性材料の重合を開始するための開始剤をさらに含む。
全ての硬化性材料(エラストマー及び追加のもの(もし存在するなら))が重合可能であるとき、光開始剤がこれらの実施形態において使用可能である。
好適な光開始剤の限定されない例は、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーケトン、及びキサントンのようなベンゾフェノン類(芳香族ケトン);2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TMPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド(TEPO)、及びビスアシルホスフィンオキサイド(BAPO)のようなアシルホスフィンオキサイドタイプの光開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテルのようなベンゾイン類及びベンゾインアルキルエーテル類などを含む。光開始剤の例は、アルファアミノケトン、ビスアシルホスフィンオキサイド(BAPO)、及びIrgacure(登録商標)の下で販売されるものである。
光開始剤は、単独で、又は共開始剤と組み合わせて使用されることができる。ベンゾフェノンは、フリーラジカルを生成するためにアミンのような第二分子を要求する光開始剤の一例である。放射線を吸収した後、ベンゾフェノンは、アクリレートの重合を開始するアルファアミノラジカルを生成するために水素引き抜きによって第三アミンと反応する。共開始剤の種類の限定されない例は、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンである。
光開始剤の濃度は、それを含有する配合物において約0.1重量%〜約0.5重量%、又は約1重量%〜約5重量%の範囲であることができ、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、一種以上の造形用材料配合物は、一種以上の追加の非硬化性材料、例えば一種以上の着色剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、及び抑制剤をさらに含む。
抑制剤は、硬化条件にさらす前に重合及び/又は硬化を防止するか又は遅くするために配合物中に含まれる。ラジカル開始剤のような一般的に使用される抑制剤が考えられる。
一般的に使用される界面活性剤、分散剤、着色剤、及び安定剤が考えられる。各成分(もし存在するなら)の例示的な濃度は、それを含む配合物の全重量の約0.01重量%〜約1重量%、又は約0.01重量%〜約0.5重量%、又は約0.01重量%〜約0.1重量%の範囲である。
例示的な配合物
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、エラストマー硬化性材料は、UV硬化性材料であり、一部の実施形態では、それは、エラストマー(メタ)アクリレート、例えばエラストマーアクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、追加の硬化性成分は、造形用材料配合物に含められ、一部の実施形態では、この成分は、UV硬化性アクリレート又はメタクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、シリカ粒子は、(メタ)アクリレート官能化シリカ粒子である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、一種以上の造形用材料配合物は、一種以上の単官能エラストマーアクリレート、一種以上の多官能エラストマーアクリレート、一種以上の単官能アクリレート又はメタクリレート、及び一種以上の多官能アクリレート又はメタクリレートを含む。
これらの実施形態の一部では、一種以上の造形用材料配合物は、例えばIrgacure(登録商標)ファミリーの一種以上の光開始剤をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、全ての硬化性材料及びシリカ粒子は、単一の造形用材料配合物に含められる。これらの実施形態では、造形用材料配合物は、一種の造形用材料配合物からなる配合系を形成する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、(未硬化)構築材料は、二種以上の造形用材料配合物を含む。これらの実施形態では、造形用材料配合物は、二種以上の造形用材料配合物を含む配合系を形成する。
これらの実施形態の一部では、一種の造形用材料配合物(例えば第一配合物又は部分A)は、エラストマー硬化性材料(例えばエラストマーアクリレート)を含み、別の種類の造形用材料配合物(例えば第二配合物又は部分B)は、追加の硬化性材料を含む。
代替的には、二種の造形用材料配合物は、エラストマー硬化性材料を含み、配合物の一種は、追加の硬化性材料をさらに含む。
さらに代替的には、二種の造形用材料配合物の各々は、エラストマー硬化性であるが、エラストマー材料は、各配合物において異なる。例えば一種の配合物は、単官能エラストマー硬化性材料を含み、別の種類の配合物は、多官能エラストマー材料を含む。代替的には、一種の配合物は、単官能と多官能エラストマー硬化性材料の比率Wの混合物を含み、別の種類の配合物は、単官能と多官能エラストマー硬化性材料の比率Qの混合物を含み、但し、WとQは異なる。
造形用材料配合物の各々が、本明細書に記載されるエラストマー材料を含むときはいつでも、一種以上の造形用材料配合物は、追加の硬化性材料をさらに含むことができる。例示的な実施形態では、一種の配合物は、単官能の追加の材料を含み、別の種類の配合物は、多官能の追加の材料を含む。さらなる例示的な実施形態では、一種の配合物は、オリゴマー硬化性材料を含み、別の種類の配合物は、モノマー硬化性材料を含む。
本明細書に記載されるようなエラストマー硬化性材料及び追加の硬化性材料のいかなる組み合わせも二種以上の造形用材料配合物への含有のために考えられる。造形用材料配合物の組成及び印刷モードの選択は、以下にさらに詳細に記載されるように、制御された方法で様々な特性を具備する物体の製作を可能にする。
一部の実施形態では、一種以上の造形用材料配合物は、エラストマー硬化性材料と追加の硬化性材料の比率が一定のショアA硬度を具備するゴム状材料を与えるように選択される。
一部の実施形態では、一連の造形用材料配合物又は造形用材料配合系(例えば二種以上の造形用材料配合物からなる)は、一連のショアA硬度値を具備する一連のゴム状材料を与える。
一部の実施形態では、シリカ粒子、一種以上の光開始剤、及び任意選択的に他の成分は、一つ又は両方の造形用材料配合物に含められる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、全ての硬化性材料は、(メタ)アクリレートである。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、光開始剤の濃度は、それを含む配合物又は配合系の全重量の約1重量%〜約5重量%、又は約2重量%〜約5重量%、又は約3重量%〜約5重量%、又は約3重量%〜約4重量%(例えば、3,3.1,3.2,3.25,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.85,3.9重量%であり、それらの間のいかなる中間値も含む)の範囲である。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、抑制剤の濃度は、それを含む配合物又は配合系の全重量%の0重量%〜約2重量%、又は0重量%〜約1重量%であり、例えば0,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9又は約1重量%であり、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、界面活性剤の濃度は、それを含む配合物又は配合系の全重量%の0重量%〜約1重量%であり、例えば0,0.01,0.05,0.1,0.5又は約1重量%であり、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物のいずれかでは、分散剤の濃度は、それを含む配合物又は配合系の全重量%の0重量%〜約2重量%であり、例えば0,0.1,0.5,0.7,1,1.2,1.3,1.35,1.4,1.5,1.7,1.8又は約2重量%であり、それらの間のいかなる中間値も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%〜約90重量%、又は約40重量%〜約90重量%、又は約40重量%〜約85重量%の範囲である。
「全濃度」は、本明細書中全体を通して、本明細書に記載されるような(一種以上の)造形用材料配合物の全てにおいて又は配合系においての全重量を意味する。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料及び多官能エラストマー硬化性材料を含む。
一部の実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約20重量%〜約70重量%、又は約30重量%〜約50重量%の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約50重量%〜約70重量%、又は約55重量%〜約65重量%、又は約55重量%〜約60重量%(例えば58重量%)の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%〜約50重量%、又は約35重量%〜約50重量%、又は約40重量%〜約45重量%(例えば42重量%)の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
一部の実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%〜約30重量%の範囲である。例示的な実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%〜約20重量%、又は約10重量%〜約15重量%(例えば12重量%)の範囲である。例示的な実施形態では、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%〜約30重量%、又は約10重量%〜約20重量%、又は約15重量%〜約20重量%(例えば16重量%)の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物では、追加の硬化性材料の全濃度は、約10重量%〜約40重量%、又は約15重量%〜約35重量%の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
一部の実施形態では、追加の硬化性材料は、単官能硬化性材料を含む。
一部の実施形態では、単官能硬化性材料の全濃度は、約15重量%〜約25重量%、又は約20重量%〜約25重量%(例えば21重量%)の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。例示的な実施形態では、単官能エラストマー硬化性材料の濃度は、約20重量%〜約30重量%、又は約25重量%〜約30重量%(例えば28重量%)の範囲であり、それらの間のいかなる中間値及び下位範囲も含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部による例示的な造形用材料配合物又は配合系では、エラストマー硬化性材料は、単官能エラストマー硬化性材料及び多官能エラストマー硬化性材料を含み、単官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約30重量%〜約50重量%(例えば約40重量%〜約45重量%)、又は約50重量%〜約70重量%(例えば約55重量%〜約60重量%)の範囲であり、多官能エラストマー硬化性材料の全濃度は、約10重量%〜約20重量%の範囲であり、一種以上の配合物は、約20重量%〜約30重量%の範囲の全濃度で追加の単官能硬化性材料をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、一種以上の造形用配合物は、少なくとも一種のエラストマー単官能硬化性材料、少なくとも一種のエラストマー多官能硬化性材料、及び少なくとも一種の追加の単官能硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の50重量%〜70重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用配合物の全重量の10重量%〜20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の10重量%〜30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の50重量%〜70重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の10重量%〜20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の20重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の30重量%〜50重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性単官能材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の20重量%〜30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の30重量%〜50重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、一種以上の造形用材料配合物の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された例示的な造形用材料配合物では、各成分の濃度は、一種の造形用材料配合物が使用されるときにその濃度として、又は二種以上の造形用材料配合物が使用されるときにその全濃度として与えられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたとき、少なくとも4000N/m、又は少なくとも4500N/m、又は少なくとも5000N/mの引裂き抵抗によって特徴づけられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたとき、前記シリカ粒子のない硬化された同じ造形用材料配合物の引裂き抵抗より少なくとも500N/m、又は少なくとも700N/m、又は少なくとも800N/mの分だけ高い引裂き抵抗によって特徴づけられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化されたときに、少なくとも2MPaの引張強度によって特徴づけられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されたような造形用材料配合物(又は二種以上の造形用材料配合物)は、硬化された造形用材料からなりかつ二つのOリングとそれらのリングを接続する管を具備する物体が少なくとも一時間又は少なくとも一日の一定の伸張下での引裂き抵抗によって特徴づけられるようなものである。これらの実施形態の一部では、物体は、図6A−Cに描かれるようなものである。
配合系及びキット:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたようなエラストマー硬化性材料、及びそれぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたようなシリカ粒子を含む配合系が提供される。
配合系は、一種の配合系、又は二種以上の配合系を含むことができる。
一部の実施形態では、配合系は、例えば造形用材料配合系としてそれぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されたような付加製造において使用可能であるか、又は使用するためである。
本実施形態の配合系を構成する一種以上の配合物は、それぞれの実施形態のいずれかにおいてそのいずれかの組み合わせとして、一種以上の造形用材料配合物に対して本明細書に記載されたような各々である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系中のシリカ粒子の量は、配合系の全重量の1重量%〜20重量%、又は1重量%〜15重量%、又は1重量%〜10重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系中のエラストマー硬化性材料の全重量及びシリカ粒子の全重量の重量比は、30:1〜4:1の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系中のエラストマー硬化性材料の量は、配合系の全重量の少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいてエラストマー硬化性材料のために本明細書に記載されるように、単官能エラストマー硬化性モノマー、単官能エラストマー硬化性オリゴマー、多官能エラストマー硬化性モノマー、多官能エラストマー硬化性オリゴマー、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される。
一部の実施形態では、エラストマー硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて本明細書に記載されるように、式I,I*,II及びIIIによって表わされる材料から選択される一種以上の材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料及びシリカ粒子は、同じ配合物中にある。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系は、少なくとも一種の追加の硬化性材料をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、追加の硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて追加の硬化性材料のために本明細書に記載されるように、単官能硬化性モノマー、単官能硬化性オリゴマー、多官能硬化性モノマー、多官能硬化性オリゴマー、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料、シリカ粒子、及び追加の硬化性材料は、同じ配合物中にある。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、一種の配合物からなり、一部の実施形態によれば、この配合物は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、エラストマー硬化性材料、シリカ粒子、及び追加の硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系は、二種以上の配合物を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系は、二種以上の配合物を含み、一種の配合物は、エラストマー硬化性材料を含み、別の種類の配合物は、追加の硬化性材料を含む。任意選択的に、二種以上の配合物は、エラストマー硬化性材料、シリカ粒子、及び任意選択的に追加の硬化性材料を含み、それらは、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて二種以上の造形用材料配合物のために本明細書に記載されるようなものである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系は、少なくとも一種の追加の非硬化性材料をさらに含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、非硬化性材料は、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて一種以上の造形用材料配合物のために本明細書に記載されるように、着色剤、開始剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、抑制剤、及びそれらのいずれかの組み合わせから選択される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合系は、少なくとも一種のエラストマー単官能硬化性材料、少なくとも一種のエラストマー多官能硬化性材料、及び少なくとも追加の単官能硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の50重量%〜70重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の50重量%〜70重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜20重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の20重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の30重量%〜50重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の20重量%〜30重量%の範囲であり、エラストマー単官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の30重量%〜50重量%の範囲であり、エラストマー多官能硬化性材料の全濃度は、配合系の全重量の10重量%〜30重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、UV硬化性エラストマー材料である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、エラストマー硬化性材料は、アクリルエラストマーである。
一部の実施形態では、配合系は、硬化されたとき、それぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにおいて一種以上の造形用材料配合物のために本明細書に記載されるような特性によって特徴づけられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、それぞれの実施形態のいずれか及びそれらのいずれかの組み合わせにおいて本明細書に記載されるように、造形用材料配合物又は配合系を含むキットが提供される。
一部の実施形態では、キットが二種以上の造形用材料配合物、又は二種以上の配合物を含む配合系を含むとき、各配合物は、キット内に個々に包装される。
例示的な実施形態では、配合物は、好適な包装材料中に、好ましくは不透過性材料(例えば水及び気体に対して不透過性の材料)、さらに好ましくは不透明材料の中にキット内に包装される。一部の実施形態では、キットは、付加製造プロセスにおいて、好ましくは本明細書に記載されるような3Dインクジェット印刷プロセスにおいて配合物を使用するための指示をさらに含む。キットは、本明細書に記載されるような方法に従ったプロセスにおいて配合物を使用するための指示をさらに含むことができる。
一部の実施形態では、キットは、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、一連の配合系を含み、そこでは各配合系は、硬化されたとき、一連の配合系が特定の特性の値の範囲を具備する一連のエラストマー材料(例えば一連のショアA硬度、又は一連の引張強度、又は一連の引裂き抵抗を与える一連の配合系)を与えるように、特定の特性を具備するエラストマー材料を与える。上で記載されたように、一連の配合系は、シリカ粒子の量及び/又はタイプによって互いに異なりうる。一部の実施形態では、各配合系は、キット内に個々に包装される。
システム:
本発明の一部の実施形態による物体112のAMのために好適なシステム110の代表的な限定されない例が、図1Aに示されている。システム110は、複数の吐出ヘッドを含む吐出ユニット16を有する付加製造装置114を含む。各ヘッドは、以下に記載される図2A−Cに示されるように、一つ以上のノズルのアレイ122を含むことが好ましく、それを通って液体構築材料124が吐出される。
好ましくは、しかし必須ではないが、装置114は、三次インクジェット印刷装置であり、その場合において、吐出ヘッドは、インクジェット印刷ヘッドであり、(未硬化の)構築材料は、インクジェット技術によって吐出される。これは、ある用途に対しては必ずしも当てはまらず、三次元印刷技術を使用することは、付加製造装置のために必要でないかもしれない。本発明の様々な例示的実施形態に従って考えられる付加製造装置の代表例は、限定されないが、溶融堆積造形装置及び溶融材料堆積装置を含む。
各吐出ヘッドは、任意選択的にかつ好ましくは、構築材料リザーバを介して供給され、構築材料リザーバは、温度制御ユニット(例えば温度センサー及び/又は加熱装置)、及び材料レベルセンサーを任意選択的に含むことができる。構築材料を吐出するために、電圧信号は、吐出ヘッドに付与され、例えばピエゾ電子インクジェット印刷技術のように吐出ヘッドノズルを介して材料の液滴を選択的に堆積する。各ヘッドの吐出速度は、ノズルの数、ノズルのタイプ、及び付与される電圧信号レート(周波数)に依存する。かかる吐出ヘッドは、固体自由形状製作の分野の熟練者に知られている。
好ましくは、しかし必須ではないが、吐出ノズル又はノズルアレイの全体の数は、吐出ノズルの半分が支持材料配合物を吐出することが任され、吐出ノズルの半分が造形用材料配合物を吐出することが任されるように選択される。即ち、造形用材料配合物を噴射するノズルの数は、支持材料配合物を噴射するノズルの数と同じである。図1Aの代表例では、四つの吐出ヘッド16a,16b,16c、及び16dが示されている。ヘッド16a,16b,16c、及び16dの各々は、ノズルアレイを持つ。この例では、ヘッド16a及び16bは、造形用材料配合物のために設計されることができ、ヘッド16c及び16dは、支持材料配合物のために設計されることができる。従って、ヘッド16aは、第一造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16bは、第二造形用材料配合物を吐出することができ、ヘッド16c及び16dはともに、支持材料配合物を吐出することができる。代替的な実施形態では、ヘッド16c及び16dは、例えば支持材料配合物を吐出するための二つのノズルアレイを有する単一ヘッドで組み合わされることができる。
しかし、本発明の範囲を限定することを意図しないこと、そして造形用材料吐出ヘッド(造形ヘッド)の数と支持材料吐出ヘッド(支持ヘッド)の数は異なりうることが理解されるべきである。一般に、造形ヘッドの数、支持ヘッドの数、及びそれぞれのヘッド又はヘッドアレイ中のノズルの数は、支持材料配合物の最大吐出速度と造形用材料配合物の最大吐出速度の間の予め決められた比率aを与えるように選択される。予め決められた比率aの値は、それぞれの形成された層において、造形用材料の高さが支持材料の高さに等しいことを確実にするように選択されることが好ましい。aについての一般値は、約0.6〜約1.5である。
例えば、a=1について、支持材料配合物の全体の吐出速度は、全ての造形ヘッド及び支持ヘッドが操作されるとき、造形用材料配合物の全体の吐出速度と略同じである。
好ましい実施形態では、各々がp個のノズルのm個のアレイを持つM個の造形ヘッド、及び各々がq個のノズルのs個のアレイを持つS個の支持ヘッドがあり、M×m×p=S×s×qである。M×m個の造形アレイ及びS×s個の支持アレイの各々は、別個の物理ユニットとして製造され、それらは、アレイの群から組み立てられかつ分解されることができる。この実施形態では、それぞれのかかるアレイは、任意選択的にかつ好ましくは、それ自身の温度制御ユニット及び材料レベルセンサーを含み、その操作のために個々に制御された電圧を受ける。
装置114は、硬化(固化)装置324をさらに含むことができ、それは、堆積された材料を硬化(固化)させることができる光、熱などを放出するように構成されたいずれかの装置を含むことができる。例えば、硬化装置324は、一つ以上の放射線源を含むことができ、それらは、例えば、使用される造形用材料に依存して、紫外もしくは可視もしくは赤外ランプ、又は他の電磁放射線源又は電子線源であることができる。本発明の一部の実施形態では、硬化装置324は、造形用材料を硬化又は凝固するために役立つ。
吐出ヘッド及び放射線源は、作用表面として役立つ、トレイ360上で往復運動するように操作することが好ましいフレーム128に装着されることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、放射線源は、吐出ヘッドによって堆積されたばかりの材料を少なくとも部分的に硬化又は凝固するために吐出ヘッドの後を追うようにフレーム上に装着される。トレイ360は、水平に位置される。一般的な慣習によれば、X−Y−Zデカルト座標系は、X−Y面がトレイ360に平行であるように選択される。トレイ360は、鉛直方向に(Z方向に沿って)、一般的には下方に移動するように構成されることが好ましい。本発明の様々な例示的実施形態では、装置114は、一つ以上のレベリング装置、例えばローラー326をさらに含む。レベリング装置326は、連続層を上に形成する前に新しく形成された層の厚さを整え、同じレベルにし、かつ/又は確立するのに役立つ。レベリング装置326は、レベリング時に発生した過剰な材料を収集するための廃棄物収集装置136を含むことが好ましい。廃棄物収集装置136は、材料を廃棄物タンク又は廃棄物カートリッジに送り出すいずれかの機構を含むことができる。
使用において、ユニット16の吐出ヘッドは、本明細書においてX方向として言及される走査方向に移動し、トレイ360上で移動する過程において予め決められた構成で未硬化の構築材料を選択的に吐出する。構築材料は、一般的に一つ以上のタイプの支持材料及び一種以上の造形用材料配合物を含む。ユニット16の吐出ヘッドの移動後、放射線源126によって吐出された造形用材料配合物を硬化する。堆積されたばかりの層のための開始点に戻るヘッドの逆の移動では、(未硬化の)構築材料の追加の吐出は、予め決められた構成に従って実施されることができる。吐出ヘッドの順方向及び/又は逆方向の移動では、かくして形成された層は、レベリング装置326によってまっすぐにされることができ、それは、それらの順方向及び/又は逆方向の移動で吐出ヘッドの進路に従うことが好ましい。いったん吐出ヘッドがX方向に沿ってそれらの開始点に戻ると、それらは、本明細書においてY方向として言及される指標方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿って往復運動によって同じ層を構築しつづけることができる。代替的に、吐出ヘッドは、順方向と逆方向の移動の間で、又は一回より多い順方向逆方向の移動の後でY方向に移動することができる。単一層を完成するために吐出ヘッドによって実施される一連の走査は、本明細書では単一走査サイクルとして言及される。
いったん層が完成すると、トレイ360は、続いて印刷される層の希望の厚さに従って、Z方向に予め決められたZレベルまで低下される。三次元物体112を層状に形成するために手順は繰り返される。
別の実施形態では、トレイ360は、層内でユニット16の吐出ヘッドの順方向と逆方向の移動の間でZ方向に変位されることができる。かかるZ変位は、一方向で表面とレベリング装置の接触を起こし、他の方向での接触を防止するために実施されることができる。
システム110は、任意選択的にかつ好ましくは構築材料供給装置330を含み、それは、構築材料容器又はカートリッジを含み、複数の構築材料を製作装置114に供給する。
制御ユニット152は、製作装置114及び任意選択的にかつ好ましくは供給装置330を制御する。制御ユニット152は、一般的には制御操作を実施するように構成された電子回路を含む。制御ユニット152は、好ましくはデータ処理装置154と通信し、それは、例えばStandard Tessellation Language(STL)フォーマット,StereoLithography Contour(SLC)フォーマット,Virtual Reality Modeling Language(VRML),Additive Manufacturing File(AMF)フォーマット,Drawing Exchange Format(DXF),Polygon File Format(PLY)、又はコンピューター支援設計(CAD)のために好適ないずれかの他のフォーマットの形でコンピューター可読媒体に表わされるCAD構成のようなコンピューター物体データに基づいて製作指示に関するデジタルデータを送信する。一般的には、制御ユニット152は、各吐出ヘッド又はノズルアレイに付与される電圧、及び各印刷ヘッド中の材料の温度を制御する。
いったん製造データが制御ユニット152にロードされると、それは、ユーザー介入なしで操作することができる。一部の実施形態では、制御ユニット152は、例えばデータ処理装置154を使用して又は制御ユニット152と通信するユーザーインターフェース116を使用して、オペレーターから追加の入力を受けることができる。ユーザーインターフェース116は、キーボード、タッチスクリーンなどの限定されないいずれかのタイプの業界で公知のものであることができる。例えば、制御ユニット152は、追加の入力として、色、特性歪及び/又は遷移温度、粘度、電気特性、磁気特性のような限定されない一つ以上の構築材料タイプ及び/又は属性を受けることができる。他の属性及び属性群もまた、考えられる。
本発明の一部の実施形態による物体のAMのために好適なシステム10の別の代表的かつ限定されない例が図1B−Dに示されている。図1B−Dは、システム10の平面図(図1B)、側面図(図1C)、及び等角図(図1D)を示す。
本実施形態では、システム10は、トレイ12、及び各々が複数の分離したノズルを持つ複数のインクジェット印刷ヘッド16を含む。トレイ12は、円板の形状を持つことができ、又はそれは、環状であることができる。丸くない形状も、それらが鉛直軸のまわりに回転できるなら考えられる。
トレイ12及びヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12とヘッド16の間の相対的な回転移動を可能にするように装着される。これは、(i)ヘッド16に対して鉛直軸14のまわりに回転するようにトレイ12を構成すること、(ii)トレイ12に対して鉛直軸14のまわりに回転するようにヘッド16を構成すること、又は(iii)鉛直軸14のまわりであるが異なる回転速度で(例えば反対方向の回転)回転するようにトレイ12及びヘッド16の両方を構成することによって達成されることができる。以下の実施例は、トレイがヘッド16に対して鉛直軸14のまわりに回転するように構成される回転トレイである構成(i)に対して特に強調して記載されているが、本願は、構成(ii)及び(iii)も考えられることが理解されるべきである。本明細書に記載された実施形態のいずれか一つは、(ii)及び(iii)の構成のいずれかに適用可能であるように調整されることができ、当業者は、本明細書に記載された詳細を与えられるなら、かかる調整を実施する方法がわかるだろう。
以下の記載において、トレイ12に平行でありかつ軸14から外側に向く方向は、半径方向rとして言及され、トレイ12に平行でありかつ半径方向rに垂直な方向は、本明細書では方位方向φとして言及され、トレイ12に垂直な方向は、本明細書では鉛直方向Zとして言及される。
本明細書に使用される用語「半径方向位置」は、軸14から特定の距離でトレイ12の上又は上空の位置を示す。用語が印刷ヘッドに関連して使用されるとき、用語は、軸14から特定の距離にあるヘッドの位置を示す。用語がトレイ12の上の点に関連して使用されるとき、用語は、半径が軸14から特定の距離にありかつ中心が軸14である円の点の場所に属するいずれかの点に相当する。
本明細書に使用される用語「方位位置」は、予め決められた参照点に対して特定の方位角度でトレイ12の上又は上空の位置を示す。従って、半径方向位置は、参照点に対して特定の方位角度を形成する直線である点の場所に属するいずれかの点を示す。
本明細書に使用される用語「鉛直方向位置」は、特定の点で鉛直軸14と交差する平面の上の位置を示す。
トレイ12は、三次元印刷のための支持構造として作用する。物体が印刷される作業領域は、一般的にはトレイ12の全領域より小さいが、必須ではない。本発明の一部の実施形態では、作業領域は、環状である。作業領域は、26で示される。本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、物体の形成全体を通して同じ方向に連続的に回転し、本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、物体の形成時に少なくとも一回(例えば振動する態様で)回転方向を反転する。トレイ12は、任意選択的にかつ好ましくは除去可能である。トレイ12の除去は、システム10のメンテナンスのため、又は望むなら、新しい物体を印刷する前にトレイを交換するためであることができる。本発明の一部の実施形態では、システム10は、一つ以上の異なる交換トレイ(例えば交換トレイのキット)を与えられ、そこでは2つ以上のトレイは、異なるタイプの物体(例えば異なる重量)、異なる操作モード(例えば異なる回転スピード)などのために指定される。トレイ12の交換は、希望により手動又は自動であることができる。自動交換が使用されるとき、システム10は、トレイ12をヘッド16の下の位置から除去し、それを交換トレイ(図示せず)によって置き換えるために構成されたトレイ交換装置36を含む。図1Bの代表図では、トレイ交換装置36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を有する駆動装置38として示されているが、他のタイプのトレイ交換装置もまた、考えられる。
印刷ヘッド16のための例示的な実施形態は、図2A−2Cに示されている。これらの実施形態は、システム110及びシステム10(これらに限定されない)を含む、上記のAMシステムのいずれかのために使用されることができる。
図2A−Bは、一つ(図2A)及び二つ(図2B)のノズルアレイ22を有する印刷ヘッド16を示す。アレイ中のノズルは、直線に沿って、線状に整列されることが好ましい。個々の印刷ヘッドが二つ以上の線状ノズルアレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、任意選択的にかつ好ましくは、互いに平行であることができる。
システム110と同様のシステムが使用されるとき、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、互いにオフセットである走査方向に沿った位置で指標方向に沿って向けられる。
システム10と同様のシステムが使用されるとき、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、互いにオフセットである方位位置で半径方向に(半径方向に平行に)向けられる。従って、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは、互いに平行でなく、むしろ互いに角度をなしている。その角度は、それぞれのヘッドの間の方位角オフセットにほぼ等しい。例えば、一つのヘッドは、半径方向に向けられ、方位位置φ1に位置されることができ、別のヘッドは、半径方向に向けられ、方位位置φ2に位置されることができる。この例では、二つのヘッド間の方位角オフセットは、φ1−φ2であり、二つのヘッドの線状ノズルアレイ間の角度はまた、φ1−φ2である。
一部の実施形態では、二つ以上の印刷ヘッドは、印刷ヘッドのブロックに組み立てられることができ、その場合においてブロックの印刷ヘッドは、一般的に互いに平行である。複数のインクジェット印刷ヘッド16a,16b,16cを含むブロックは、図2Cに示されている。
一部の実施形態では、システム10は、トレイ12が支持構造30とヘッド16の間にあるようにヘッド16の下に配置された支持構造30を含む。支持構造30は、インクジェット印刷ヘッド16の作動時に起こりうるトレイ12の振動を防止又は減少するために役立ちうる。印刷ヘッド16が軸14のまわりに回転する構成では、支持構造30はまた、支持構造30が常にヘッド16の直接下であるように(ヘッド16の間のトレイ12、及びトレイ12を伴なって)回転することが好ましい。
トレイ12及び/又は印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12と印刷ヘッド16の間の鉛直方向の距離を変化するように鉛直軸14と平行な鉛直方向Zに沿って移動するように構成される。鉛直方向距離が鉛直方向に沿ってトレイ12を移動することによって変化される構成では、支持構造30は、トレイ12とともに鉛直方向に移動することが好ましい。鉛直方向距離が、固定されたトレイ12の鉛直方向位置を維持しながら、鉛直方向に沿ってヘッド16によって変化される構成では、支持構造30はまた、固定された鉛直方向位置で維持される。
鉛直方向の移動は、鉛直方向駆動装置28によって確立されることができる。いったん層が完成すると、トレイ12とヘッド16の間の鉛直方向距離は、続いて印刷される層の希望の厚さに従って、予め決められた鉛直方向ステップによって増加されることができる(例えばトレイ12は、ヘッド16に対して低下される)。前記手順は、層状の方法で三次元物体を形成するために繰り返される。
インクジェット印刷ヘッド16の、及び任意選択的にかつ好ましくはシステム10の一つ以上の他の構成要素の操作(例えばトレイ12の移動)は、制御装置20によって制御される。制御装置は、電子回路、及びその回路によって読み取り可能な不揮発性記憶媒体を持つことができ、記憶媒体は、回路によって読まれるとき、回路に以下にさらに詳述されるような制御操作を実施させるプログラム指示を記憶する。
制御装置20はまた、ホストコンピューター24と通信することができ、ホストコンピューター24は、例えばSTL,SLCフォーマット、VRML,AMFフォーマット、DXF,PLY、又はCADのために好適ないずれかの他のフォーマットの形で、コンピューター物体データに基づいて製作指示に関するデジタルデータを送信する。物体データフォーマットは、一般的にデカルト座標系に従って構築される。これらの場合において、コンピューター24は、コンピューター物体データ中の各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変化するための手順を実施する。コンピューター24は、任意選択的にかつ好ましくは、変換された座標系に関する製作指示を送信する。あるいは、コンピューター24は、コンピューター物体データによって与えられる元の座標系に関する製作指示を送信し、その場合において座標の変換は、制御装置20の回路によって実施される。
座標の変換は、回転トレイ上の三次元印刷を可能にする。従来の三次元印刷では、印刷ヘッドは、直線に沿って静止トレイの上で往復運動する。かかる従来のシステムでは、印刷解像度は、ヘッドの吐出速度が均一であることを条件として、トレイの上のいかなる点でも同じである。従来の三次元印刷と違って、ヘッド点の全てのノズルが同時にトレイ12の上で同じ距離をカバーするとは限らない。座標の変換は、任意選択的にかつ好ましくは、異なる半径方向位置で過剰材料の等しい量を確保するように実施される。
一般的には、制御装置152又は20は、製作指示に基づいて、及び以下に記載されるような記憶されたプログラム指示に基づいてシステム10のそれぞれの構成要素に付与された電圧を制御する。
一般的には、制御装置152又は20は、トレイ360又は12の回転時に構築材料の液滴を層で吐出するように、例えばトレイ360又は12の上に三次元物体を印刷するように印刷ヘッド16を制御する。
システム10又は110は、任意選択的にかつ好ましくは、一つ以上の放射線源18を含み、それは、硬化エネルギーを与え、それは、使用される造形用材料配合物に依存して、例えば紫外もしくは可視もしくは赤外ランプ、又は他の電磁放射線源、又は電子線源であることができる。放射線源は、発光ダイオード(LED)、デジタルライトプロセッシング(DLP)システム、抵抗ランプ(それらに限定されない)などを含む、いずれかのタイプの放射線放出装置を含むことができる。放射線源18は、造形用材料を硬化又は凝固するために役立つ。本発明の様々な実施形態では、放射線源18の操作は、制御装置20によって制御され、制御装置20は、放射線源18を活性化及び不活性化することができ、任意選択的に放射線源18によって発生される放射線の量を制御することもできる。
本発明の一部の実施形態では、システム10は、ローラー又はブレードとして製造されることができる一つ以上のレベリング装置32をさらに含む。レベリング装置32は、上に連続層を形成する前に新しく形成された層を強化するのに役立つ。一部の実施形態では、レベリング装置32は、その対称軸34がトレイ12の表面に対して傾斜され、その表面がトレイの表面に平行であるように位置される円錐ローラーの形状を持つ。この実施形態は、システム10の側面図(図1C)で示される。
円錐ローラーは、円錐又は円錐切頭体の形状を持つことができる。
円錐ローラーの開口角度は、その軸34に沿ったいずれかの位置での円錐の半径と、その位置と軸14の間の距離との間が一定の比率であるように選択されることが好ましい。この実施形態は、ローラー32が層を効率的に平らにすることを可能にする。なぜならローラーが回転している間、ローラーの表面上のいずれの点Pも、点Pの鉛直方向に真下の点でのトレイの線速度に比例する(同じである)線速度を有するからである。一部の実施形態では、ローラーは、高さh、軸14から最も近い距離の半径R1、及び軸14から最も遠い距離の半径R2を有する円錐切頭体の形状を持ち、そこでは、パラメーターh,R1及びR2は、R1/R2=(R−h)/hの関係を満足し、Rは、軸14からのローラーの最も遠い距離である(例えば、Rは、トレイ12の半径であることができる)。
レベリング装置32の操作は、任意選択的にかつ好ましくは、制御装置20によって制御され、制御装置は、レベリング装置32を活性化及び不活性化することができ、任意選択的に鉛直方向(軸14に平行に)及び/又は半径方向(トレイ12に平行に)に沿ってその位置を制御し、そして軸14の方を指すか又は軸14から離れる方を指すように制御することができる。
本発明の一部の実施形態では、システム10の印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12の上の作用領域26の半径方向に沿った幅より短い時に有用である。半径方向に沿ったヘッド16の動きは、任意選択的にかつ好ましくは制御装置20によって制御される。
本実施形態のために好適なAMシステムの原理及び操作についてのさらなる詳細は、米国公開出願No.20100191360で見出され、その内容は、参考としてここに組み入れられる。
方法:
図3は、本発明の一部の実施形態による例示的な方法を記載するフローチャートを与える。
他に規定されない限り、以下に記載される操作は、多くの実施の組み合わせ又は順序で同時に又は連続して実施されることができることが理解されるべきである。特に、フローチャート図の順序は、限定として考えられるべきではない。例えば、特定の順序でフローチャート図に又は以下の記載に現われる二つ以上の操作は、異なる順序で(例えば逆の順序で)又は実質的に同時に実施されることができる。さらに、以下に記載される複数の操作は、任意であり、実施されなくてもよい。
本実施形態の方法を実施するコンピュータープログラムは、一般にフロッピーディスク、CD−ROM、フラッシュメモリー装置、及び携帯可能なハードドライブのような限定されない配布媒体でユーザーに配布されることができる。配布媒体から、コンピュータープログラムは、ハードディスク又は同様の中間記憶媒体にコピーされることができる。コンピュータープログラムは、コンピューター指示をそれらの配布媒体又はそれらの中間記憶媒体から本発明の方法に従ってコンピューターを作動するように構成するコンピューターの実施記憶装置にロードすることによって実行されることができる。全てのこれらの操作は、コンピューターシステムの分野の熟練者に周知である。
本実施形態のコンピューター実施される方法は、多くの形態で実現されることができる。例えば、それは、方法操作を実施するためのコンピューターのような有形的表現媒体で実現されることができる。それは、方法操作を実施するためのコンピューター可読指示を含む、コンピューター可読媒体で実現されることができる。それは、コンピュータープログラムを有形的表現媒体に実行させたり、又は指示をコンピューター可読媒体に実施させたりするように配置されたデジタルコンピューター能力を有する電子装置で実現されることもできる。
方法は、200で開始し、任意選択的にかつ好ましくは201に続き、そこで物体の形状に相当するコンピューター物体データ(例えば3D印刷データ)を受けとる。データは、例えばホストコンピューターから受けとられることができ、それは、例えばコンピューター物体データ、例えばSTL,SLCフォーマット、VRML,AMFフォーマット、DXF,PLY、又はいずれかの他のCADのために好適なフォーマットの形のものに基づいて製作指示に関するデジタルデータを送信する。
方法は、202に続き、そこで本明細書に記載されるような未硬化の構築材料(例えば本明細書に記載されるような一種以上の造形用材料配合物、及び任意選択的に支持材料配合物)の液滴は、コンピューター物体データ(例えば印刷データ)に従って、かつ本明細書に記載されるように、システム110又はシステム10(これらに限定されない)のようなAMシステムを任意選択的にかつ好ましくは使用して、受容媒体上に層状に吐出される。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、吐出202は、少なくとも二つの異なるマルチノズルインクジェット印刷ヘッドによって行なわれる。受容媒体は、本明細書に記載されるようにAMシステムのトレイ(例えばトレイ360又は12)、又は前に堆積された層であることができる。
本発明の一部の実施形態では、吐出202は、周囲環境下で実施される。
任意選択的に、未硬化の構築材料、又はその一部(例えば構築材料の一種以上の配合物)は、吐出される前に加熱される。これらの実施形態は、3Dインクジェット印刷システムの作業室の操作温度で相対的に高い粘度を有する未硬化の構築材料配合物のために特に有用である。配合物の加熱は、3Dインクジェット印刷システムの印刷ヘッドのノズルを通してそれぞれの配合物を噴射することを可能にする温度にすることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、加熱は、それぞれの配合物がXセンチポアズ以下の粘度を示す温度にする。ここでXは、約30センチポアズ、好ましくは約25センチポアズ、より好ましくは約20センチポアズ、又は18センチポアズ、又は16センチポアズ、又は14センチポアズ、又は12センチポアズ、又は10センチポアズ、又はさらにそれより低い。
加熱は、AM(例えば3Dインクジェット印刷)システムの印刷ヘッドへのそれぞれの配合物の充填前、又は配合物が印刷ヘッド中にある間、又は組成物が印刷ヘッドのノズルを通過する間に実施されることができる。
一部の実施形態では、加熱は、配合物の粘度が高すぎる場合に配合物による吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドの詰まりを避けるように、吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッド中へのそれぞれの配合物の充填前に実施される。
一部の実施形態では、加熱は、少なくとも吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドのノズルを造形用材料配合物が通過する間、吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドを加熱することによって実施される。
いったん未硬化の構築材料がコンピューター物体データ(例えば印刷データ)に従って受容媒体上に吐出されたら、方法は、任意選択的にかつ好ましくは203に続き、そこで硬化エネルギーが、例えば本明細書に記載されるような放射線源によって堆積された層に付与される。好ましくは、硬化は、層の堆積後及び前の層の堆積前に各個々の層に付与される。
一部の実施形態では、硬化エネルギーの付与は、本明細書に記載されるように、ほぼ乾燥した不活性環境下で実施される。方法は、204で終了する。
一部の実施形態では、方法は、それぞれの実施形態のいずれか及びそのいずれかの組み合わせにおいて本明細書に記載されるような例示的なシステムを使用して実施される。
造形用材料配合物は、固体自由形状製作装置の特定の容器もしくはカートリッジ、又は装置の異なる容器から堆積された造形用材料配合物の組み合わせに含まれることができる。
一部の実施形態では、少なくとも一つ、又は少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、またはそれより多く)、又は全ての層は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、単一の造形用材料配合物の202におけるような液滴の吐出によって形成される。
一部の実施形態では、少なくとも一つ、又は少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも80、またはそれより多く)、又は全ての層は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、二種以上の造形用材料配合物(各々が異なる吐出(例えばインクジェット印刷)ヘッドからのもの)の202におけるような液滴の吐出によって形成される。
これらの実施形態は、特に所定数の材料から材料を選択し、選択された材料の希望の組み合わせ及びそれらの特性を規定する能力を与える。本実施形態によれば、層での各材料の堆積の空間位置は、異なる材料による異なる三次元空間位置の占有を実施するか、又は二種以上の異なる材料による実質的に同じ三次元位置又は隣接三次元位置の占有を実施し、層内で材料の後で堆積空間組み合わせを可能とし、それによってそれぞれの位置で複合材料を形成するために規定される。
造形用材料のいかなる後での堆積組み合わせ又は混合も考えられる。例えば、いったんある材料が吐出されると、それは、その元の特性を保持することができる。しかしながら、それが同じ又は隣接位置で吐出される別の造形用材料又は他の吐出された材料と同時に吐出されるとき、吐出された材料とは異なる特性を持つ複合材料が形成される。
実施形態の一部は、幅広い範囲の材料組み合わせの吐出、及び複数の異なる材料組み合わせからなりうる物体の製作を、物体の異なる部分において、物体のそれぞれの部分を特徴づけるために望ましい特性に従って可能にする。
これらの実施形態の一部では、二種以上の造形用材料配合物は、ボクセル方式で吐出され、前記造形用材料配合物のうちの一種のボクセルは、少なくとも一つの別の種類の造形用材料配合物のボクセルとインターレースされる。
一部の実施形態は、三次元物体の層状製作の方法を提供し、そこでは少なくとも二つもしくは三つ(例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも80)の層又は全ての層の各々に対して、二種以上の造形用材料配合物が、任意選択的にかつ好ましくはシステム10又はシステム110を使用して吐出される。各造形用材料配合物は、印刷ヘッド(例えばヘッド16)の複数のノズルからそれを噴射することによって吐出されることが好ましい。吐出は、ボクセル方式で吐出され、前記造形用材料配合物のうちの一種のボクセルは、予め決められたボクセル比に従って、少なくとも一つの別の種類の造形用材料配合物のボクセルとインターレースされる。
予め決められたボクセル比での二種の造形用材料配合物のかかる組み合わせは、デジタル材料(DM)として言及される。デジタル材料の代表例は、図4に示され、それは、ボクセル方式で層の領域の上にインターレースされる材料A及びBを示す。
一部の実施形態では、予め決められたボクセル比での二種の造形用材料配合物の吐出は、希望の機械的特性を具備するゴム状材料を得ることを可能にする。例えば、ボクセル比を操作することによって、様々なショアA硬度値を具備する一連のゴム状デジタル材料が制御可能なデジタル方式で得られることができる。
材料のいかなる予め決められた比に対しても、デジタル材料は、例えば秩序だった又は無秩序のインターレーシングによって形成されることができる。インターレーシングが半無秩序(例えば、各サブ領域が無秩序インターレーシングを含むサブ領域の繰り返しパターン)である実施形態も考えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、二種以上の造形用材料配合物の液滴が本明細書に記載されるような少なくとも二つ又は三つの層の各々において吐出されるとき、吐出は、芯領域と、前記芯領域を少なくとも部分的に包囲する一つ以上の外被領域とを形成するようなものである。かかる吐出は、複数の層と芯領域を構成する層状の芯と外被領域を構成する層状の鞘とから構成される物体の製作をもたらす。
これらの実施形態の一部による構造は、二種以上の硬化性材料から作られた鞘状構造である。この構造は、一般的に、芯の少なくとも一つの層が鞘の少なくとも一つの層と同じ平面で係合するように一つ以上の層状鞘によって少なくとも部分的に被覆される層状芯を含む。構造の表面に垂直方向に測定した各鞘の厚さは、一般的に少なくとも10μmである。様々な例示的な実施形態では、芯及び鞘は、それらの熱機械特性において互いに異なる。これは、異なる造形用材料配合物又は異なる造形用材料配合物の組み合わせから芯及び鞘を製作することによって容易に達成される。芯及び鞘の熱機械特性はそれぞれ、本明細書では、「芯熱機械特性」及び「鞘熱機械特性」として言及される。
本発明の一部の実施形態による構造の代表的な限定されない例は、図5A−Dに示されている。
図5Aは、構造60の透視図の概略図であり、図5Bは、図5Aの線A−Aに沿った構造60の横断面図である。提示説明の明確化のため、デカルト座標系も示される。
構造60は、Z方向に沿って積み重ねられた複数の層62を含む。構造60は、一般的にはAM技術によって、例えばシステム10又はシステム110を使用して製作され、それによって層は、連続的な方法で形成される。従って、Z方向はまた、構造の「構築方向」として本明細書において言及される。それゆえ、層62は、構築方向に対して垂直である。構造60は円柱形として示されているが、これは、必ずしもその通りである必要はない。なぜなら、本実施形態の構造はいかなる形状も持つことができるからである。
構造60の鞘及び芯はそれぞれ、64及び66で示される。示されるように、芯66の層及び鞘64の層は、同一平面である。AM技術は、鞘64及び芯66の同時製作を可能にし、それによって特定の形成された層に対して、層の内側部分は、芯の層を構成し、層の周囲又はその一部は、鞘の層を構成する。
鞘64に寄与する層の周囲区域は、層の「外被領域」として本明細書では言及される。図5A及び5Bの限定されない例では、層62の各々は、外被領域を持つ。即ち、図5A及び5B中の各層は、芯及び鞘の両方に寄与する。しかしながら、これは、必ずしもその通りである必要はない。なぜなら一部の用途に対しては、芯が一部の領域において環境にさらされていることが望ましいかもしれないからである。これらの用途では、層の少なくとも一部は、外被領域を含まない。かかる構成の代表例は、図5Cの横断面図に示され、それは、一部の層68が鞘ではなく芯に寄与し、一部の層70が芯及び鞘の両方に寄与することが示されている。一部の実施形態では、一つ以上の層は、芯熱機械特性を有する領域を含まず、鞘熱機械特性を有する領域のみを含む。これらの実施形態は、構造が一つ又はそれより多い薄い部分を持つときに特に有用であり、そこでは、構造のそれらの部分を形成する層は、芯領域が欠けていることが好ましい。一つ以上の層が鞘熱機械特性を有する領域を含まず、芯熱機械特性を有する領域のみを含む実施形態も考えられる。
鞘は、任意選択的にかつ好ましくは、Z方向に対して上及び/又は下から構造60をカバーすることもできる。これらの実施形態では、構造60の最上及び/又は最下部分にある一部の層は、芯66とは異なる材料特性を少なくとも一つ持つ。本発明の様々な例示的実施形態は、構造60の最上及び/又は最下部分は、鞘64と同じ材料特性を持つ。この実施形態の代表例は、図5Dに示される。構造60の上/下の鞘は、側部の鞘より薄くてもよい(例えば2倍薄い)。例えば上又は下の鞘が構造の上又は下の層を含み、それゆえ物体を形成する層のために要求されるのと同じ厚さを持つとき、そうなってもよい。
本発明の一部の実施形態では、芯及び鞘の両方は、ゴム状材料である。
本発明の一部の実施形態では、芯及び鞘の両方は、DM材料である。
芯及び鞘の両方が同じ造形用材料配合物から構成されたDMから作られるとき、芯中の造形用材料のいずれかの相対表面密度は、鞘又は外被領域中のその材料の相対表面密度とは異なる。しかしながら、一部の実施形態では、芯は、DMから形成され、鞘は、単一種類の造形用材料配合物から形成されるか、またはその逆もある。
本発明の様々な例示的実施形態では、X−Y平面(構築方向Zに対して垂直)で測定される鞘の厚さは、構築方向を横切ると不均一である。換言すれば、構造の異なる層は、異なる幅の外被領域を持つことができる。例えば、X−Y平面に対して平行な方向に沿った鞘の厚さは、その方向に沿ったそれぞれの層の直径の百分率として計算されることができ、従って層のサイズに厚さを依存させる。本発明の様々な例示的実施形態では、鞘の厚さは、鞘の外表面に正接でありかつ構築方向に垂直である方向を横切ると不均一である。構造の層に関して、これらの実施形態は、それぞれの層の周囲に沿って不均一である幅を持つ外被領域に相当する。
本発明の一部の実施形態では、構造の鞘、又はその一部は、単独で外被領域とそれ以外のものを含む「鞘付き」構造である。特にこれらの実施形態では、構造は、少なくとも一つの中間外被領域によって少なくとも部分的に包囲された内部芯を含み、中間外被は、外側の外被領域によって包囲される。構築方向に垂直に測定すると、中間外被領域の厚さは、任意選択的にかつ好ましくは最も外側の外被領域の厚さより大きい(例えば10倍以上大きい)。これらの実施形態では、中間外被領域は、構造の鞘として役立ち、それゆえ上でさらに詳述したように鞘の特性を持つ。最も外側の外被鞘はまた、荷重下で破壊から中間外被を保護するために役立ちうる。
本実施形態の構造は、述べたように、例えば上記のシステム10又は100を使用して、層状の方法で形成されることができる。本発明の様々な例示的実施形態では、コンピューター実施法は、構造の特定の要素への鞘の動的な適応を自動的に実施する。方法は、任意選択的にかつ好ましくは、ユーザー入力を使用して構造の各領域のために鞘を計算し、外表面のボクセルをそれぞれの造形用材料又は造形用材料の組み合わせに割り当てることができる。コンピューター実施法は、データ処理装置(例えばデータ処理装置154又は24)によって固体自由形状製作装置を制御する制御ユニット(例えば制御ユニット152又は20、図1A及び1B参照)によって実施されることができる。
本発明の一部の実施形態では、構造の最上及び/又は最下部分でも鞘を形成するように一つ以上の追加の鞘層が吐出される。これらの層は、芯領域を欠いていることが好ましい。なぜならそれらは、上から又は下から芯を取り出すために役立つからである。上から芯を取り出すことが望ましいとき、追加の鞘層が全ての他の層の上に吐出され、下から芯を取り出すことが望ましいとき、追加の層が作業面(例えばトレイ360又は12、図1A及び1B参照)の上に吐出され、一方全ての他の層がその後吐出される。
外被領域のいずれも任意選択的に少なくとも10μmの幅を有する。好ましくは、全ての外被領域は、少なくとも10μmの幅を有する。
芯及び外被領域のいずれか、及び任意選択的に最上及び/又は最下の追加層は、本明細書に記載されるような造形用材料配合物又は造形用材料配合物の組み合わせ(例えばデジタル材料)を使用して製作されることができる。
本発明の一部の実施形態では、鞘は、他の領域の機械的特性に影響せずに選択された領域面積にのみ機械的特性を変化するように構造の異なる領域において選択的に製作される。
本発明の実施形態のいずれかの一部では、いったん層が本明細書に記載されるように吐出されると、本明細書に記載されるような硬化エネルギーへの露出が実施される。一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、硬化エネルギーは、放射線源がUV放射線を放出するようなものである。
一部の実施形態では、構築材料が支持材料配合物も含む場合、方法は、支持材料配合物を除去することが行なわれる。これは、当業者によって認識されているように、機械的及び/又は化学的手段によって実施されることができる。
物体:
本発明の実施形態は、少なくとも一部にエラストマー材料を含む三次元物体を提供する。
物体が本明細書に記載されるように、単一の造形用材料配合物から作られるとき、それは、硬化(固化)されるとき、造形用材料配合物のために本明細書に記載されるような機械的特性を具備する。
一部の実施形態では、物体は、二種以上の造形用材料配合物から作られ、これらの実施形態の一部では、物体の少なくとも一部は、本明細書に記載されるように、デジタル材料から作られる。一部の実施形態では、物体は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように芯鞘構造を含み、選択された材料及び構造に従った特性を具備する。
一部の実施形態では、物体は、異なる部分(例えば二つ以上の部分)で異なるエラストマー材料から作られ、これらの部分の各々は、望むように、異なる特性(例えば異なるショアA硬度、異なるモジュラスなど)を具備する。
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するエラストマー硬化性材料、他の硬化性材料、及びシリカ粒子が開発されることが予想され、「エラストマー硬化性材料」、「硬化性材料」、及び「シリカ粒子」の用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%又は±5%を示す。
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
本明細書中全体を通して、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリル化合物を包含する。
本明細書中全体を通して、表現「連結部分」又は「連結基」は、化合物中の二つ以上の部分又は基を接続する基を記載する。連結部分は、一般的に二又は三官能化合物から誘導され、二つ又は三つのラジカル部分として見なされることができ、二つ又は三つのラジカルは、それぞれ、その二つ又は三つの原子を介して二つ又は三つの他の部分に接続される。
例示的な連結部分は、本明細書に記載されるように、一つ以上のヘテロ原子によって任意選択的に中断される、炭化水素部分又は鎖、及び/又は連結基として規定されるとき、以下に挙げられる化学基のいずれかを含む。
化学基が本明細書において「末端基」として言及されるとき、それは、置換基として中断され、置換基は、その一つの原子によって別の基に接続される。
本明細書中全体を通して、用語「炭化水素」は、主として炭素及び水素原子から構成される化学基を集合的に記載する。炭化水素は、アルキル、アルケン、アルキン、アリール、及び/又はシクロアルキルからなることができ、各々は、置換されても置換されなくてもよく、一つ以上のヘテロ原子によって中断されてもよい。炭素原子の数は、2〜20の範囲であり、好ましくはそれより低く、例えば1〜10、又は1〜6、又は1〜4の範囲であることができる。炭化水素は、連結基又は末端基であることができる。
ビスフェノールAは、2つのアリール基及び1つのアルキル基から構成される炭化水素の一例である。
本明細書で使用される用語「アミン」は、−NR’R”基および−NR’−基の両方を記載し、ここでR’およびR”はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
従って、アミン基は、第一級アミン(ここでR’およびR”の両方は水素である)、第二級アミン(ここでR’は水素でありかつR”はアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールである)、または第三級アミン(ここでR’およびR”はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキルもしくはアリールである)であることができる。
代替的に、R’およびR”は、それぞれ独立してヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
用語「アミン」は、アミンが末端基である場合には、本明細書中下記で定義されるように、−NR’R”基を表すために本明細書中では使用され、また、アミンが連結基または連結部分の一部である場合には−NR’−基を表すために本明細書中では使用される。
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個〜3個又は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
アルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。アルキルが連結基であるとき、それはまた、「アルキレン」または「アルキレン鎖」として本明細書中に言及される。
本明細書において、本明細書に規定されるように、親水性基によって置換されるC(1−4)アルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
本明細書中で使用されるアルケンおよびアルキンは、一つ以上の二重結合または三重結合をそれぞれ含む、本明細書中で定義されるアルキルである。
用語「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。例示は、限定されないが、シクロヘキサン、アダマチン、ノルボルニル、イソボルニル、及びその類似物を含む。シクロアルキル基は、置換または非置換であることができる。置換されたシクロアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
本明細書に規定されるように、二つ以上の親水性基によって置換される、1〜6個の炭素原子のシクロアルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を記載する。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は、完全共役のπ電子系を有しない。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノおよびその類似物である。
複素脂環基は、置換または非置換であることができる。置換された複素脂環は一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。複素脂環基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
窒素又は酸素のような一つ以上の電子供与原子を含み、かつ炭素原子対複素原子の数値比が5:1又はそれより低い複素脂環基は、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。アリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたヘテロアリールは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C−カルボキシレート、O−カルボキシレート、N−チオカーバメート、O−チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N−カーバメート、O−カーバメート、C−アミド、N−アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。代表的な例はピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンおよびその類似物である。
用語「ハリド(ハライド)」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素を記載する。
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハリドによってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
用語「スルファート」は、−O−S(=O)2−OR’末端基または−O−S(=O)2−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファート」は、−O−S(=S)(=O)−OR’末端基または−O−S(=S)(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルファイト」は、−O−S(=O)−O−R’末端基または−O−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファイト」は、−O−S(=S)−O−R’末端基または−O−S(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルフィナート」は、−S(=O)−OR’末端基または−S(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、−S(=O)R’末端基または−S(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホネート」は、−S(=O)2−R’末端基または−S(=O)2−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「S−スルホンアミド」は、−S(=O)2−NR’R”末端基または−S(=O)2−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N−スルホンアミド」は、R’S(=O)2−NR”末端基または−S(=O)2−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ジスルフィド」は、−S−SR’末端基またはS−S−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する−P(=O)(OR’)(OR”)末端基または−P(=O)(OR’)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する−P(=S)(OR’)(OR”)末端基または−P(=S)(OR’)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィニル」は、本明細書中上記で定義されるようなR’およびR”を有する−PR’R”末端基または−PR’−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンオキシド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する−P(=O)(R’)(R”)末端基または−P(=O)(R’)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンスルフィド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する−P(=S)(R’)(R”)末端基または−P(=S)(R’)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスファイト」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する−O−PR’(=O)(OR”)末端基または−O−PH(=O)(O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「カルボニル」または用語「カルボネート」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する−C(=O)−R’末端基または−C(=O)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオカルボニル」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する−C(=S)−R’末端基または−C(=S)−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「オキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=O)基を表し、この場合、酸素原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「チオオキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=S)基を表し、この場合、イオウ原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「オキシム」は、=N−OH末端基または=N−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドロキシル」は、−OH基を記載する。
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を記載する。
用語「チオヒドロキシ」は、−SH基を記載する。
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を記載する。
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中で「アルコール」としても言及され、ヒドロキシ基によって置換される、本明細書中で定義されるアルキルを記載する。
用語「シアノ」は、−C≡N基を記載する。
用語「イソシアネート」は、−N=C=O基を記載する。
用語「イソチオシアネート」は、−N=C=S基を記載する。
用語「ニトロ」は、−NO2基を記載する。
用語「アシルハリド」は、−(C=O)R””基(式中、R””は本明細書中上記で定義される通りハリドである)を記載する。
用語「アゾ」または「ジアゾ」は、−N=NR’末端基または−N=N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「パーオキソ」は、−O−OR’末端基または−O−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「カルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C−カルボキシレートおよびO−カルボキシレートを包含する。
用語「C−カルボキシレート」は、−C(=O)−OR’末端基または−C(=O)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O−カルボキシレート」は、−OC(=O)R’末端基または−OC(=O)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C−カルボキシレートで環を形成し、この基はまた、ラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O−カルボキシレートで環を形成する。環状カルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「チオカルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C−チオカルボキシレートおよびO−チオカルボキシレートを包含する。
用語「C−チオカルボキシレート」は、−C(=S)OR’末端基または−C(=S)−O−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O−チオカルボキシレート」は、−OC(=S)R’末端基または−OC(=S)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C−チオカルボキシレートで環を形成し、この基はまた、チオラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O−チオカルボキシレートで環を形成する。環状チオカルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−カーバメートおよびO−カーバメートを包含する。
用語「N−カーバメート」は、R”OC(=O)−NR’−末端基または−OC(=O)−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O−カーバメート」は、−OC(=O)−NR’R”末端基または−OC(=O)−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カーバメートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、O−カーバメートで環を形成する。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、N−カーバメートで環を形成する。環状カーバメートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−カーバメートおよびO−カーバメートを包含する。
用語「チオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N−チオカーバメートおよびO−チオカーバメートを包含する。
用語「O−チオカーバメート」は、−OC(=S)−NR’R”末端基または−OC(=S)−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N−チオカーバメート」は、R”OC(=S)NR’−末端基または−OC(=S)NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカーバメートは、カーバメートについて本明細書中に記載したように、直鎖または環状であることが可能である。
用語「ジチオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、S−ジチオカーバメートおよびO−チオジチオカーバメートを包含する。
用語「S−ジチオカーバメート」は、−SC(=S)−NR’R”末端基または−SC(=S)NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N−ジチオカーバメート」は、R”SC(=S)NR’−末端基または−SC(=S)NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「尿素」(「ウレイド」とも称される)は、−NR’C(=O)−NR”R”’末端基または−NR’C(=O)−NR”−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りであり、R”’はR’およびR”について本明細書中で定義される通りである)を記載する。
用語「チオ尿素」(「チオウレイド」とも称される)は、−NR’C(=S)−NR”R”’末端基または−NR’−C(=S)−NR”−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「アミド」は、本明細書中で使用される場合、C−アミドおよびN−アミドを包含する。
用語「C−アミド」は、−C(=O)−NR’R”末端基または−C(=O)−NR’−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N−アミド」は、R’C(=O)−NR”−末端基またはR’C(=O)−N−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
アミドは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C−アミドで環を形成し、この基はまた、ラクタムとして示される。環状アミドは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「グアニル」は、R’R”NC(=N)−末端基または−R’NC(=N)−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「グアニジン」は、−R’NC(=N)−NR”R”’末端基または−R’NC(=N)−NR”−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドラジン」は、−NR’−NR”R”’末端基または−NR’−NR”−連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである−C(=O)−NR’−NR”R”’末端基または−C(=O)−NR’−NR”−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「チオヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである−C(=S)−NR’−NR”R”’末端基または−C(=S)−NR’−NR”−連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレングリコール」は−O−[(CR’R”)z−O]y−R”’末端基または−O−[(CR’R”)z−O]y−連結基を表し、ただし、式中、R’、R”およびR”’は本明細書中で定義される通りであり、zは1〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数であり、より好ましくは2または3の整数であり、yは1またはそれ以上の整数である。好ましくは、R’およびR”はともに水素である。zが2であり、かつ、yが1であるとき、この基はエチレングリコールである。zが3であり、かつ、yが1であるとき、この基はプロピレングリコールである。yが2〜4であるとき、アルキレングリコールは、本明細書ではオリゴ(アルキレングリコール)として言及される。
yが4よりも大きいとき、このアルキレングリコールは本明細書中ではポリ(アルキレングリコール)として示される。本発明の一部の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)基またはポリ(アルキレングリコール)部分は、zが1〜200であるように、好ましくは1〜100であるように、より好ましくは10〜50であるように、1個〜20個の繰り返しアルキレングリコールユニットを有することができる。
用語「シラノール」は、−Si(OH)R’R”基又は−Si(OH)2R’基又は−Si(OH)3基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りである。
用語「シリル」は、−SiR’R”R”’基を記載し、R’,R”及びR”’は本明細書中で定義される通りである。
本明細書で使用される場合、用語「ウレタン」又は「ウレタン部分」又は「ウレタン基」は、RX−O−C(=O)−NR’R”末端基又は−RX−O−C(=O)NR’連結基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りであり、RXはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール又はそれらのいずれかの組み合わせである。好ましくは、R’及びR”は両方とも水素である。
用語「ポリウレタン」又は「オリゴウレタン」は、繰り返し骨格ユニット中に本明細書に記載されるようなウレタン基を少なくとも一つ含むか、又は繰り返し骨格ユニット中にウレタン結合−O−C(=O)NR’−を少なくとも一つ含む部分を記載する。
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
実験方法
ショアA硬度は、ASTM D2240に従って決定された。
弾性率(弾性モジュラス)は、ASTM D412に従って、強度−歪曲線から決定された。
引張強度は、ASTM D412に従って決定された。
Z引張強度は、Z方向で印刷するときにASTM D412に従って決定された。
伸びは、ASTM D412に従って決定された。
Z伸びは、Z方向で印刷するときにASTM D412に従って決定された。
引裂き抵抗(TR)は、ASTM D624に従って決定された。
O−リング引裂き試験は、図6A−Cに描かれているように実施され、試験された物体が破壊されるまでの時間を測定した。
特に、図6Aに描かれているように、管によって接続された二つのO−リングを具備し、かつ首長さ:50mm;X長さ:110mm;Y長さ:30mm;Z長さ:10mmの寸法を有する物体が、図6Cに描かれているように、図6Bに描かれた延伸装置を使用して延伸される。造形物が破壊されるまでに延伸される時間が測定され、「静的」引裂き抵抗、即ち伸ばされた状態での静的な引張に対する抵抗(破壊時の伸びより低い)を表わす。
測定が実施される前、印刷された物体(一般的にはHS(高速)モードで印刷されたマット)が噴射ステーションを使用して水で洗浄され、実験室条件で24時間、状態調整及び乾燥を受ける。
3Dインクジェット印刷は、他に示さない限り、HSモードで操作されるTriplex/C500 3Dインクジェット印刷システムを使用して実施された。
型調製物は、ASTM412に従って得られた。簡単に言うと、ASTM412に従った寸法を具備するシリコーン型が使用された。試験された配合物が型中に注がれ、シリコン膜が型をカバーするために使用された。配合物は、室温でUV室中3時間硬化され、試験がその後、型から優しく除去された。24時間後、試験がASTM D412に従って測定された。
配合物は、他に示さない限り、室温で全ての成分を混合することによって調製された。光開始剤のような粉末成分が85度で30分間、溶解された。
「練り顔料(Mill base)」配合物は、硬化性モノマーの一つに高濃度で(例えば約20重量%又は約25重量%の濃度で)シリカを粉砕/分散し、それによって「練り顔料」を得、その後、練り顔料を配合物に添加し、示されたような最終濃度を達成することによって調製された。
結果
以下の表1は、3Dインクジェット印刷によって約27のショアA硬度によって特徴づけられる柔らかいゴム材料を与えるために使用される、参照Aとしても本明細書において言及される参照配合物、エラストマーAとして本明細書において言及される、本発明の例示的な実施形態に従う柔らかいゴム材料の成分、及びそれぞれの配合物を使用して、HSモードで操作される、Triplex/C500 3Dインクジェット印刷システムで印刷される物体の機械的特性を与える。
表2は、3Dインクジェット印刷によって約60のショアA硬度によって特徴づけられる硬いゴム材料を与えるために使用される、参照Bとしても本明細書において言及される参照配合物、エラストマーBとして本明細書において言及される、本発明の例示的な実施形態に従う硬いゴム材料の成分、及びそれぞれの配合物を使用して、HSモードで操作される、Triplex/C500 3Dインクジェット印刷システムで印刷される物体の機械的特性を与える。
同様の成分、及び様々なタイプのシリカを様々な濃度で含有する追加の配合物が調製され、試験された。
全ての配合物は、エラストマーA、表1のために本明細書に記載されるように反応性及び非反応性成分(シリカR7200を除く)を含み、以下のシリカナノ粒子が使用された:
シリカR7200(それはまた、AEROSIL(登録商標)R7200として業界で言及される)は、メタクリレート官能化ヒュームドシリカである。シリカR7200は、本実施形態による例示的な疎水性反応性シリカである。
コロイドシリカ及びシリカナノ粉末は、例示的な親水性シリカである。本明細書で使用されるコロイドシリカは、単官能硬化性材料中に分散されたシリカ粒子として得られた。
シリカナノ粒子(10〜20nm粒子サイズ)は、Sigma(Cat No.637238)から得られた。
シリカR8200(それはまた、AEROSIL(登録商標)R8200として業界で言及される)は、本実施形態による例示的な疎水性シリカである。
以下の表3は、試験された配合物から型中で作られた物体、及び上記のようなそれぞれの配合物から作られた印刷された物体について得られたデータを与える。
以下の表4は、参照A(表1を見よ)として示される配合物、及び4%〜10%(重量)のコロイドシリカが加えられた同じ配合物から作られた印刷された物体の比較による機械的特性を与える。
図7は、参照Aとして与えられるゴム状材料配合物に加えられたときの疎水性、アクリル被覆ヒュームドシリカ、シリカR7200の様々な濃度の、それぞれの配合物から作られた3Dインクジェット印刷物体の応力−歪曲線についての効果を与える。
図8は、「T」として示されかつ参照Aとして与えられるゴム状材料配合物に加えられたときの疎水性、アクリル被覆ヒュームドシリカ、シリカR7200の、及び10%(親水性)コロイドシリカの様々な濃度の、それぞれの配合物から作られた3Dインクジェット印刷物体の応力−歪曲線についての効果を与える。
図9は、水管に10時間嵌合させた後の、本発明の一部の実施形態による例示的な配合物を使用して印刷された水管コネクター(左側の管)、及びシリカを含有しない配合物を使用して印刷された水管コネクター(右側の管)を与える。示されたように、シリカを有さないエラストマー部分は、10時間後に引き裂かれ、シリカを含む部分は、無傷のままであり、数週間保持された(データ示さず)。
ここで与えられたデータは、3D印刷によってエラストマーを生成するために使用されるUV硬化性配合物において15重量%までの量で、(アクリル官能化)ヒュームドシリカ又はコロイドシリカのようなサブミクロンシリカを使用することにより、印刷された部分の機械的特性を改良することを示す。
特に有意な改良は、印刷されたゴム状物体の引裂き抵抗に示されている。
印刷されたアクリルエラストマーは、一般的に引裂きに対して極めて敏感である。例えば、Polyjet(商品名)印刷では、アクリルエラストマーから作られた印刷された微細な部分は、水噴射による支持体除去時に引き裂かれることが多い。利用されるときに一定の伸びを受ける部分はまた、数分から数時間の時間の後に引き裂かれることが多い。
微細なシリカ粒子が配合物に加えられるとき、一定の伸び下での引裂き抵抗は、伸びを損なわずに数分から数日まで増加される。例えば、表1−4参照。
印刷された物品の引裂き抵抗の改良に加えて、シリカ粒子の添加は、印刷された物体の伸びに影響しないか又は伸びを増加さえし;例えば2倍、さらには3倍の弾性率の改良をもたらし;及び/又は実質的に他の機械的特性を損なわずに印刷された物体の表面粘着性の低下をもたらす。
疎水性及び親水性の両方のシリカは、同様の効果を有し、より実質的な改良は、疎水性シリカに対して示され、特にアクリル官能化シリカでそうである。それは、おそらく配合物中のアクリルモノマーとの相互作用の結果としてもたらされる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。