JP2019508436A - ビノレルビンモノタルトラートおよびその薬学的使用 - Google Patents

ビノレルビンモノタルトラートおよびその薬学的使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、結晶ビノレルビンモノタルトラート、ならびに癌、特に非小細胞肺癌または乳癌の予防および処置のためのその使用に関する。本発明はまた、結晶ビノレルビンモノタルトラートの製造のための対応する方法にも関する。

Description

発明の分野
本発明は、結晶ビノレルビンモノタルトラート(vinorelbine monotartrate)、ならびに癌、特に非小細胞肺癌または乳癌の予防および処置のためのその使用に関する。本発明はまた、結晶ビノレルビンモノタルトラートの製造のための対応する方法にも関する。
発明の背景
天然化合物のビンクリスチンおよびビンブラスチン、ならびに、ビンデシンおよびビノレルビンなどの半合成誘導体を含むビンカアルカロイドは、癌の再処置において広く使用されている有糸分裂阻害薬である。概して、ビンカアルカロイドは、有糸分裂および細胞増殖の阻害物質であることが公知である。特に、ビンカアルカロイド類の薬物の抗増殖活性は、チューブリンに結合するそれらの能力によることが示されている。
ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、ニチニチソウ(Catharanthus roseus G. Don)またはツルニチニチソウ(Vinca rosea L)の葉から最初に単離された。これらのアルカロイドは、2つのインドール単位:カタランチンおよびビンドリンからなる二量体である。ビンブラスチンおよびビンクリスチンは、それぞれ、VELBE(登録商標)およびONCOVIN(登録商標)のブランド名で、1963年および1964年にフランスで最初に市場で入手可能になった。
ビノレルビンは、元々、1980年代に、Pierre Potierおよび共同研究者によって合成された。その化合物は、細胞周期特異的であり、細胞の複製する能力を干渉する。ビノレルビンは、進行した非小細胞肺癌(単剤または併用療法の一部として)、ならびに、標準的な第一選択化学療法の失敗後またはアントラサイクリンベースのアジュバント療法の6か月以内の再発後の転移性乳癌、および侵襲性線維腫症の処置において一般的に使用される。
すべての公知の薬学的製剤において、ビノレルビンは、ビタルトラート塩の形態で使用される。ビノレルビンビタルトラート(vinorelbine bitartrate)は、白色から黄色または薄茶色の無定形粉末であって、特に、固体形態において不安定であり、湿度および光の両方に対して感受性である。したがって、しっかりと閉めた耐光性の容器に保持し、-15℃より下の冷凍庫において保存しなければならない。しかし、ビノレルビンビタルトラートの溶液は、3〜5℃の間の温度で保持することができる。これは、注射可能な調製物のための水ベースの溶液、ならびに、液体ポリエチレングリコール、グリセロール、エタノール、および水から構成される軟カプセル剤充填溶液の両方について事実である。
ビノレルビンの注射可能な製剤は、Navelbine(登録商標)のブランド名で、1989年にフランスで市場に出された。しかし、静脈内薬物送達経路に関連する問題を回避するために、静脈内製剤と類似した効力を有する経口ビノレルビン剤形について、継続した必要性があった。しかし、主としてビノレルビンの不安定性のために、そのような経口剤形を開発するのは困難であることが判明していた。
国際特許公報WO 2003/101383 A2(特許文献1)は、市場で入手可能な最初の経口製剤である、ポリエチレングリコール、グリセロール、エタノール、および水を含む賦形剤混合物に溶解されたビノレルビンビタルトラートを含む軟ゼラチンカプセル剤を記載している。この製剤は、Navelbine Oral(登録商標)のブランド名で公知である。液体ビノレルビン組成物を充填した軟ゼラチンカプセル剤は、商業的に成功しているが、活性成分がカプセル内部の溶液中に継続的に維持されることを必要とする、どちらかと言えば挑戦的なかつ高価な技術を提供する。このカプセル剤は、周囲条件下で低い安定性を有し、5℃の冷蔵庫において保存しなければならない。さらに、この温度での長期保存後には、不純物の総量が有意に増加することが示されている。
ビノレルビンビタルトラートをいかに安定化させるかの別のアプローチは、国際特許公報WO 2006/069938 A1(特許文献2)に記載されているような、ポリエチレングリコールを有する混合物における、好ましくは1:3〜1:6の質量比でのその分散であった。分散物は、硬ゼラチンカプセル剤において、分割されたペレット剤として、または錠剤の形態で圧縮賦形剤とともに配給することができる。しかし再び、この製剤の課題が、長期保存後の不純物の量において見られる場合があり、したがって、ビノレルビンの継続的な供給に関する複雑なロジスティックスが結果としてもたらされる。
国際特許公報WO 2009/007389 A1(特許文献3)は、製造を容易にするための、従来の賦形剤および水溶性ビノレルビン塩から作製された固体剤形を記載している。製造法は、湿式造粒法、または様々な構成要素の乾燥混合、およびその後の硬ゼラチンカプセル剤中へのそれらの充填、もしくはそれらのフィルムコーティング錠剤への圧縮を含み得る。WO 2009/007389 A1による経口剤形は、ビノレルビン塩に加えて、少なくとも1種類の希釈剤および少なくとも1種類の潤滑剤を含む。しかし、これらの固体剤形は依然として、通常条件下で低い安定性を有し、5℃で12か月の期間にわたってのみ安定である。
しかし、薬学的製剤に関するこれらの達成にもかかわらず、安定な経口剤形の生成のための活性薬剤成分としてのビノレルビンビタルトラートの臨床的応用性は、化合物の安定性、溶解性、および/または生物学的利用能の持続的な問題のために、依然として妨げられたままである。したがって、ビノレルビンビタルトラートに対する代替物、すなわち、固体形態において安定であり、よって、活性成分の溶解性および/または生物学的利用能を損なうことなく、比較的単純な、かつ費用対効果の高い様式で、薬学的組成物において直接製剤化することができる水溶性ビノレルビン塩について、進行中の必要性が依然としてある。
そのため、活性薬剤成分としてのその調製の最中、およびビノレルビンを含む薬学的組成物の調製においての両方で、良好な化学的および/もしくは物理的安定性、ならびに/または良好な加工可能性を有するビノレルビンモノタルトラートの薬学的に許容される形態を提供することが、本発明の目的である。
下記のような結晶ビノレルビンモノタルトラート形態は、特に安定性の論点に関して有益な特徴を提供し得、かつさらに、該ビノレルビンモノタルトラート結晶形態を含む経口剤形の性能を増強し得ることが見出された。
加えて、適している賦形剤と組み合わせると、結晶ビノレルビンは、経口薬学的製剤ならびに方法の開発のための良好な手段を提供し得る。
したがって、上記の限界を克服する安定なビノレルビン塩、およびその製造のための対応する方法を提供することが、本発明の目的である。
WO 2003/101383 A2 WO 2006/069938 A1 WO 2009/007389 A1
本発明は、様々な溶媒和物および水和物形態を含む結晶ビノレルビンモノタルトラート形態、それらの調製のための方法、ならびに該結晶形態を含む薬学的組成物および製剤に関する。
別の局面において、本発明は、好ましくは経口投与のための薬学的組成物に活性成分として含まれる、ビノレルビンの安定な結晶形態であって、溶媒和物または水和物として表されるモノタルトラートである、ビノレルビンの結晶形態に関する。
本発明の薬学的組成物は、1種類または複数種類の賦形剤の混合物を含んでもよい。
また別の局面において、薬学的組成物は、結晶ビノレルビンモノタルトラートおよび1種類の賦形剤からなり、特に、結晶ビノレルビンモノタルトラートおよび1種類の同時加工(co-processed)賦形剤からなる。
さらなる局面において、本発明は、癌、特に非小細胞肺癌および乳癌の予防および/または処置における使用のための、本明細書において定義されるような薬学的組成物に関する。
本発明のさらなる態様は、以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになる。
結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物の粉末X線回折解析の結果を図示する。 結晶ビノレルビンモノタルトラートジエチルケトン溶媒和物の粉末X線回折解析の結果を図示する。 結晶ビノレルビンモノタルトラート酢酸エチル溶媒和物の粉末X線回折解析の結果を図示する。 結晶ビノレルビンモノタルトラートイソプロパノール溶媒和物の粉末X線回折解析の結果を図示する。 結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の粉末X線回折解析の結果を図示する。 無定形ビノレルビンモノタルトラートの粉末X線回折解析の結果を図示する。 本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物についての代表的な熱重量分析(TGA)を図示する。 本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の代表的な示差走査熱量測定(DSC)解析(閉鎖されたCSCセル)を図示する。 3種類の異なる溶解媒質における、結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を含むHGカプセル剤の溶解試験の結果を図示する。 3種類の異なる溶解媒質における、結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を含むHGカプセル剤の溶解試験の結果を図示する。 本発明によるカプセル剤に充填されている結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物と賦形剤との混合物についての、代表的な粉末X線回折解析の結果を図示する。
発明の詳細な説明
本発明は、ビノレルビンモノタルトラートを結晶形態において容易に提供できること、ならびに、そのような結晶ビノレルビンモノタルトラートが、溶解性および/または生物学的利用能を損なうことなく、明白な熱安定性および光安定性を呈し、したがって長期保存を容易にする、癌、特に非小細胞肺癌または乳癌の処置のための優れた活性成分に相当する(一般的に使用されるビノレルビンビタルトラートと比較した際に)ことの、予想外の知見に基づく。さらに、結晶ビノレルビンモノタルトラートは、薬学的組成物において直接加工処理して製剤化することができ、ビノレルビン含有薬剤、好ましくは経口剤形を提供するための、単純な、かつ費用対効果の高い製造方法を結果としてもたらすことが見出されている。
本発明を、特定の態様に関して、およびある特定の図面に関連して以下において説明するが、本発明は、それに限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると理解されるべきである。記載されている図面は、模式化および代表するだけであり、非限定的と考えられるべきである。
「含む」という用語が、本説明および特許請求の範囲において使用される場合は、他の要素または工程を排除しない。本発明の目的で、「からなる」という用語は、「含む」という用語の好ましい態様であると考えられる。下文で、群が、少なくともある特定の数の態様を含むように定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの態様のみからなる群を開示するようにも理解されるべきである。
不定冠詞または定冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」が、単数名詞に言及する時に使用される場合、これは、具体的に別の方法で述べられない限り、その名詞の複数形を含む。
本発明の文脈において数値が示される場合には、当業者は、問題の特性の技術的効果が、±10%、および好ましくは±5%の所定の数値の偏差を典型的に包含する、精度の間隔内に保証されていることを理解するであろう。
さらに、本説明および添付の特許請求の範囲における第1、第2、第3、(a)、(b)、(c)などの用語は、類似した要素間を識別するために使用され、必ずしも逐次的または経時的順番を説明するためには使用されない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換的であること、および、本明細書に記載される本発明の態様は、本明細書に記載されるかまたは例証されるもの以外の順序での施行が可能であることが、理解されるべきである。
用語のさらなる定義が、その用語が使用される文脈において以下で与えられる。以下の用語または定義は、単に、本発明の理解を助けるために提供される。これらの定義は、当業者によって理解されるものよりも小さい範囲を有すると解釈されるべきではない。
別の方法で示されない限り、本明細書において使用される「溶媒和物」という用語は、結晶構造に溶媒を取り込んでいる結晶形態を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」と呼ばれる。溶媒和物中の溶媒は、化学量論的な量または非化学量論的な量のいずれかで存在し得る。
典型的には、結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、結晶構造に含まれる25%(w/w)未満、または20%(w/w)未満の残留溶媒(すなわち、結晶形態の総重量に基づく総残留溶媒の重量)、すなわち、結晶構造に組み込まれているか、またはそれと会合している溶媒分子を含む。
特定の態様において、結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、15%(w/w)未満または13%(w/w)未満または11%(w/w)未満の残留溶媒、例えば14.5%、14.0%、13.5%、13.0%、12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、または10.0%(各々w/w)を含む。好ましい態様において、結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、10%(w/w)未満または7%(w/w)未満または3%(w/w)未満の残留溶媒、例えば9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.0%、または0.5%(各々w/w)を含む。溶媒は、典型的には、水または有機溶媒、例えばアルコール、エステル、エーテル、もしくはケトン、またはそれらの混合物である。好ましい態様において、有機溶媒は、アセトン、ジエチルケトン、酢酸エチル、もしくはイソプロパノール、またはそれらの混合物からなる群より選択される。
具体的な態様において、ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、4:1〜1:6の範囲、または2:1〜1:5の範囲、および好ましくは1:1〜1:3の範囲の、ビノレルビンモノタルトラート対溶媒のモル比を含む。
本明細書において使用される「結晶」という用語は、常識で、すなわち、ビノレルビンモノタルトラートが、例えば、溶媒からの化合物の結晶化によって取得される結晶(すなわち、無定形ではない)形態で存在することが理解されるべきである。
本明細書において使用される「光安定性」という用語は、約14 mgの量の解析される生成物の試料を、10 mlライトガラスメスフラスコ中に置き、光チャンバー(photo chamber)においてキセノンランプ(波長300〜800 nm;フルエンス率250〜765 W/m2)に対して露光するように理解されるべきである。公知の光分解生成物3,6-エポキシビノレルビンの量を、特定量の時間の露光後に、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)によって測定する。記載した光安定性試験手順は、2時間の露光時間を用いた、European Pharmacopoeia 7.0に記載されている光安定性測定法に対応する。
本明細書において使用される「熱安定性」という用語は、解析される生成物の試料をある特定の温度でインキュベートするように理解されるべきである。分解不純物を、特定量の時間のインキュベーション後にHPLCによって測定する。
本明細書において使用される「分解不純物」という用語は、関連する生成物の試料をHPLC解析に供して、ビノレルビンにおける不純物の含量の算出をEuropean Pharmacopoeia 7.0に記載されている方法にしたがって行うように理解されるべきである。
固体状態におけるビノレルビンモノタルトラートの調製のための唯一の方法が、当技術分野(CN1437942A)において、すなわち、ビノレルビンモノタルトラートを含むアセトン溶液からのジエチルエーテルでの沈殿によって報告されている。CN 1437942Aに記載されている方法の再生成は、無定形固体を結果としてもたらす。有機溶媒におけるビノレルビンモノタルトラートの溶液に対する様々な逆溶剤の添加によりまた、無定形固体の形成がもたらされる。
無定形ビノレルビンモノタルトラートは、長期間にわたる上昇した温度および湿度に対する曝露時に、不安定であることが見出されており、そのため、無定形ビノレルビンモノタルトラートは、安定な経口投薬製剤の調製に使用することができない。
ビノレルビンビタルトラートとは対照的に、ビノレルビンモノタルトラートは、様々な結晶形態を形成できることが、予想外に見出されている。そのような結晶形態は、有機溶媒和物および水和物の形態を含む。ビノレルビンモノタルトラートの結晶形態は、活性成分の溶解性および/または生物学的利用能に影響を及ぼすことなく、明白な熱安定性および光安定性を有する薬学的組成物の製造のために、(有機溶媒和物の形態でまたは水和物の形態でのいずれかで)優秀な活性成分として使用することができる。
結晶ビノレルビンモノタルトラート有機溶媒和物(例えば、アセトン溶媒和物、ジエチルケトン溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、酢酸エチル溶媒和物)は、以下の工程を含む方法によって調製され得る:
(a)少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体における(例えば、塩化メチレンにおける)ビノレルビンモノタルトラートの溶液を提供する工程;
(b)乾燥残留物が取得されるまで、少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体におけるビノレルビンモノタルトラートの溶液を乾燥する工程;
(c)混合物を取得するために、少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体に乾燥残留物を溶解する工程;
(d)固体沈殿物を取得するために、加熱および撹拌下で混合物を維持する工程;
(e)固体沈殿物を単離する工程;
(f)固体沈殿物を乾燥する工程。
取得された結晶溶媒和物は、化学量論的な量または非化学量論的な量のいずれかで有機溶媒を含み、真空下、60℃で乾燥する最中に脱溶媒和しない。
結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、平均回折角(2Θ)でピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする。いくつかの結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物のXRDパターンを、表1に提示する。
(表1)いくつかの結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物のXRDパターン
Figure 2019508436
取得された結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は高い安定性を有することが、驚くべきことに見出されている。
さらに好ましい態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、その安定性を特徴とし、すなわち、化合物を、典型的な保存条件下で、少なくとも3か月間または少なくとも6か月間、認識可能な分解(特に、熱分解および/または光分解)を伴わずに保存することができる。具体的な態様において、化合物を、少なくとも24か月間、認識可能な分解を伴わずに保存することができる。
特定の態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物は、5℃±3℃で6か月後に、0.10%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
本明細書において使用される「分解」という用語は、特定のインキュベーション期間後に試料において形成する、同定された分解生成物(例えば、3,6-エポキシビノレルビン、4-O-デアセチルビノレルビン、およびビノレルビンN-オキシド)ならびに同定されていない分解生成物の総量に関するように理解されるべきである。
典型的には、5℃±3℃で3か月後の分解は、0.02%未満または0.01%未満である。好ましくは、5℃±3℃で6か月後の分解は、0.10%未満または0.05%未満である。
好ましい態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物は、さらに、25℃±2℃で6か月後に、0.10%未満の分解の熱安定性を特徴とする。特に好ましくは、結晶ビノレルビンモノタルトラートは、さらに、40℃±2℃で2か月後に、0.20%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
特に好ましくは、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラートは、さらに、25℃±2℃で6か月後に、0.10%未満または0.05%未満の分解の熱安定性を特徴とする。典型的には、25℃±2℃で6か月後の分解は、0.05%未満または0.02%未満である。
さらに好ましい態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラートは、さらに、40℃±2℃で2か月に、0.20%未満または0.15%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
種々のタイプのビノレルビンモノタルトラート溶媒和物は、60℃でストレスを与える条件下でさえも安定のままである。アセトン溶媒和物およびイソプロパノール溶媒和物の60℃で1週間の保存後に、それらは、ビノレルビンビタルトラートとは対照的に、いかなる化学的分解も示さなかった。
しかし、有機溶媒は、薬剤においてめったに使用されない。なぜなら、薬学的に許容される溶媒の数が非常に少なく、かつ、溶媒は揮発性であり、よってそれが溶媒を結晶において維持することを困難にするためである。
結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を、ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物のいずれかから、溶媒和物形態を様々な相対湿度レベルおよび温度を有する空気に曝露することによって取得できることが、驚くべきことに見出された。様々な相対湿度レベルおよび温度を有する空気または不活性ガスは、「水蒸気」とも呼ばれる。
本発明は、溶媒和物形態を水蒸気に曝露することによる、ビノレルビンモノタルトラート水和物の調製のための方法を提供する。様々な溶媒和物から調製された水和物形態は、同じ結晶構造を有し、残留溶媒の含量は、ICH限界以内であることが見出された。
溶媒和物の水和物への転換は、様々な制御された条件において行われる。転換の最中の温度は、20〜70℃、好ましくは40〜60℃の間隔にあり、相対湿度は、30%RH〜75%RH、好ましくは40〜60%RHである、転換時間は、8〜48時間の間、好ましくは16〜32時間の間である。
ビノレルビンモノタルトラート水和物は、有機溶媒の水での置換の結果として取得される。そのような置換後の水含量は、0.5〜10 w/w %の間、好ましくは3〜7 w/w %の間である。
本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物は、7.9°、9.5°、10.3°、10.8°、および13.4°、13.6°、14.5°、および(各々±0.2°)の平均回折角(2Θ)で有意なピークを含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
具体的な態様において、結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物は、表2および図5に例証されるような粉末X線回折パターンを特徴とする。
(表2)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
本発明の結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物はまた、179.4℃で鋭い吸熱シグナルを有する、図8に図示されるようなその示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムも特徴とする。本発明の結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物は、図7に図示されるような熱重量分析(TGA)サーモグラムを特徴とする。
安定性試験は、驚くべきことに、結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の非常に高い安定性を支持した。
本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物は、その安定性を特徴とし、すなわち、化合物を、典型的な保存条件下で、少なくとも3か月間または少なくとも6か月間、認識可能な分解(特に、熱分解および/または光分解)を伴わずに保存することができる。具体的な態様において、化合物を、少なくとも24か月間、認識可能な分解を伴わずに保存することができる。
特定の態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物は、25℃で6か月後に、0.05%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
本明細書において使用される「分解」という用語は、特定のインキュベーション期間後に試料において形成する、同定された分解生成物(例えば、3,6-エポキシビノレルビン、4-O-デアセチルビノレルビン、およびビノレルビンN-オキシド)ならびに同定されていない分解生成物の総量に関するように理解されるべきである。
典型的には、25℃で3か月後の分解は、0.10%未満または0.05%未満である。好ましくは、25℃で6か月後の分解は、0.05%未満または0.02%未満である。
好ましい態様において、結晶ビノレルビンモノタルトラートは、さらに、40℃±2℃で2か月後に、0.15%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
種々のタイプのビノレルビンモノタルトラート溶媒和物および水和物は、60℃でストレスを与える条件下でさえも安定のままである。60℃で1週間の保存後に、ビノレルビンモノタルトラート水和物は、0.10%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
さらなる特定の態様において、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物または水和物は、さらに、表11に示されるような、ビノレルビンビタルトラートとは対照的な、試料の30分の照明後の0.3%未満もしくは0.2%未満の分解、または、試料の120分の照明後の0.7%未満もしくは0.5%未満の分解の光安定性(生成された3,6-エポキシビノレルビンの量によって測定される)を特徴とする。
さらなる局面において、本発明は、癌の予防および/または処置における使用のための、本発明の結晶ビノレルビンモノタルトラートに関する。好ましい態様において、本発明の結晶ビノレルビンモノタルトラートは、非小細胞肺癌または乳癌の予防および/または処置における使用のためのものである。
また別の局面において、本発明は、本発明の結晶ビノレルビンモノタルトラートを含む薬学的組成物に関する。
薬学的組成物は、所望の投与の様式に適切なタイプの、従来の固体または液体のビヒクルまたは希釈剤および薬学的添加物を使用して、製剤化することができる。
ビノレルビンモノタルトラートの結晶性のために、薬学的組成物は、典型的には、活性薬剤成分のビノレルビンモノタルトラートが結晶形態において提供されている固体組成物である(図11)。薬学的組成物は、非経口、局所、および経口などの限局性または全身性の、投与の任意の経路を介して投与されてもよく、経口投与が特に好ましい。他の好ましい態様において、薬学的組成物は、剤形として、すなわち、すぐに使用できる製剤として提供される。
特に好ましくは、本発明にしたがう薬学的組成物は、固体経口剤形であり、すなわち、経口投与のためにすぐに使用できる製剤である。好ましい態様において、固体経口剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、ペレット剤、および粉末剤からなる群より選択され、カプセル剤および錠剤が最も好ましい。高度に好ましい態様において、カプセル剤は、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはプルランのカプセル剤であり、硬ゼラチンカプセル剤が特に好ましい。他の高度に好ましい態様において、錠剤は、直接圧縮または乾燥圧密化によって取得される。
カプセル剤および錠剤は両方とも、コーティングされていなくてもよく、または、錠剤コアおよび錠剤コア上にコーティングされた内部密封コーティング層を含んでコーティングされていてもよい。
これらの経口剤形のすべては、当技術分野において十分に確立されている(例えば、Gennaro, A.L. and Gennaro, A.R. (2000), Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA;Crowder, T.M. et al. (2003) A Guide to Pharmaceutical Particulate Science. Interpharm/CRC, Boca Raton, FL;Niazi, S. K. (2004) Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations, CRC Press, Boca Raton, FL;Podczeck, F. and Jones, B.E. (2004) Pharmaceutical Capsules, 2nd Ed., Pharmaceutical Press, Londonを参照されたい)。
薬学的組成物中に存在する結晶ビノレルビンモノタルトラートの量は、典型的には、5〜250 mgビノレルビン塩基、または10〜200 mgビノレルビン塩基の当量、および好ましくは、15〜150 mgビノレルビン塩基の当量に対応する。特定の態様において、薬学的組成物中に存在する活性成分の量は、20 mg、25 mg、30 mg、35 mg、40 mg、45 mg、50 mg、55 mg、60 mg、65 mg、70 mg、75 mg、80 mg、85 mg、90 mg、95 mg、または100 mgビノレルビン塩基の当量に対応する量などの、20〜100 mgビノレルビン塩基の当量に対応する。ビノレルビン塩基の分子量は778.93であり、他方、ビノレルビンモノタルトラートの分子量は929.03である。
本発明によると、活性成分は、患者に投与された時に、所望の薬理学的効果を達成するため、例えば、腫瘍進行を停止するため、または腫瘍細胞においてアポトーシス効果を誘導するために有効である任意の量で薬学的組成物中に存在することが、理解されるべきである。有効量は、概して、多数の要因、例えば、患者の年齢、大きさ、および全身状態、ならびに、処置される医学的状態にしたがって選択され、様々な手段、例えば、当業者に周知であり、彼らにより容易に実施される用量範囲試験によって決定される。対象に投与されるべき結晶ビノレルビンモノタルトラートの一日投薬量は、典型的には、5〜1000 mgビノレルビン塩基、または10〜500 mgビノレルビン塩基、または10〜200 mgビノレルビン塩基の当量、および好ましくは、20〜100 mgビノレルビン塩基の当量に対応する。
また他の好ましい態様において、固体経口剤形などの本発明の薬学的組成物は、25℃±2℃で2か月後に、0.15%未満または0.10%未満または0.05%未満の分解の熱安定性を特徴とする。特に、6か月後の分解は、0.2%未満または0.15%未満または0.10%未満であり、特に好ましくは、6か月後の分解は、0.15%未満または0.10%未満である。
さらなる特に好ましい態様において、固体経口剤形などの本発明の薬学的組成物は、40℃±2℃で3か月後に、0.2%未満または0.15%未満または0.10%未満の分解の熱安定性を特徴とする。
本発明の薬学的組成物は、少なくとも1種類の賦形剤、特に少なくとも1種類の同時加工賦形剤を含んでもよい。典型的には、本発明の薬学的組成物は、単一の賦形剤を含むが、例えば、同時加工賦形剤の形態において、2種類以上の賦形剤の混合物をまた含んでもよい。好ましい態様において、薬学的組成物には、ポリエチレングリコールが欠けている。
本明細書において使用される「賦形剤」という用語は、薬学的組成物における活性成分以外の任意の物質を指し、それは、安全性について適切に評定されており、かつ、加工処理を助けるため、または、製造を助ける、安定性、生物学的利用能、もしくは患者の許容性を保護する、支持する、増強する、生成物同定を援助する、または保存もしくは使用の最中の薬物送達システムの全体的な安全性および有効性の任意の他の属性を増強するためのいずれかで、薬物送達システムに含まれる。
本明細書において使用される「同時加工賦形剤」という用語は、2種類以上の確立された賦形剤を組み合わせることとして、定義することができる。賦形剤の同時加工処理は、例えば、より良好な流動性、改善された圧縮性、より良好な希釈可能性、リワーク性、安定性、より少ない充填重量変動、および制御された粒子サイズに関して、それらの構成要素の単純な物理的混合物と比較して優れた特徴を有する賦形剤の形成をもたらすことができる。同時加工処理の目的は、その機能性/価格の比と関連した付加価値を有する生成物を取得することである。
同時加工賦形剤の開発は、組み合わされる賦形剤の選択、それらの標的とされる割合、所望の物理化学的パラメータを有する最適化された生成物を得るための調製法の選択で始まり、バッチ間の変動での回避の最小化で終わる。構成要素の単純な混合物よりも優れた機能性を有する、統合された生成物を取得するために、手ごろな価格の賦形剤が、最適な量の機能性物質と組み合わされなければならない。生成物が、化学構造を変更することなく特別なやり方で物理的に改変されるため、同時加工処理は興味深い。構成要素についての固定された均質の分布が、それらをミニ顆粒内に包埋することによって達成される。活性物の多孔性粒子上への接着によって分離が減少し、それが、プロセス検証およびインプロセス制御を容易にかつ信頼可能にする(とりわけ、Gohel, M.C. and Jogani, P.D. (2005) J. Pharm. Pharmaceut. Sci. 8, 76-93において概説される)。
本発明の薬学的組成物において使用される「同時加工賦形剤」の市販されている例は、とりわけ、フルクトース/デンプン(Advantose FS-95; SPI Polyols, France)、微結晶性セルロース/グアーガム(Avicel CE-15; FMC, USA)、微結晶性セルロース/ラクトース(Cellactose; Meggle, Germany)、スクロース/デキストリン(DI-PAC; American Sugar, USA)、ラクトース/PVP/クロスポビドン(Ludipress; BASF, Ludwigshafen)、顆粒状マンニトール(Pearlitol SD; Roquette, France)、無水ラクトース/ラクチトール(Pharmatose DCL40; DMV, Netherlands)、酢酸ビニル/ビニルピロリドン(Plasdone S-630; ISP, USA)、微結晶性セルロース/コロイド状シリカ(Prosolv, Pen West, USA)、およびラクトース/トウモロコシデンプン(Starlac; Roqette, France)を含む。それぞれのブランド名および例示的な製造業者が、経口剤形の生成に具体的に適合している「同時加工賦形剤」の例において与えられ、とりわけ、マンニトール/セルロース(例えば、50:50(w/w);60:40(w/w)、または70:30(w/w))、リン酸二カルシウム/デンプン(例えば、25:75(w/w))、ラクトース/マンニトール(例えば、1:1、1:2、2:1、1:3、または3:1)、マンニトール/微結晶性セルロース/エアロゾル(例えば、70:29:1または30:69:1)、クロスポビドン/デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、1:1、1:2、または1:3)、およびキトサン/エアロゾル(例えば、1:1)を含む。
さらなる好ましい態様において、同時加工賦形剤は、コーンスターチとアルファ化デンプンとの混合物である。コーンスターチとアルファ化デンプンは、(最終混合物の総重量に基づいて)任意の比で混合されてもよい。しかし、好ましくは、コーンスターチの部分は、50%(w/w)よりも多く、例えば、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、または95%(w/w)である。特に好ましくは、同時加工賦形剤は、85〜95%(w/w)コーンスターチと5〜15%(w/w)アルファ化デンプンとの混合物に相当する。例えば、そのような混合物は、同時噴霧乾燥によって調製することができる。後者の混合物は、種々の供給業者から市販されており、例えば、Colorcon, West Point, PA, USAから、StarCap 1500のブランド名で販売されている。具体的な態様において、結晶ビノレルビンモノタルトラートとStarCap 1500との間の重量比は、1:1(w/w)〜1:10(w/w)の間、および好ましくは1:1(w/w)〜1:5(w/w)の間の範囲にある。
さらなる局面において、本発明は、癌の予防および/または処置における使用のための、本発明の薬学的組成物、および特に固体経口剤形に関する。好ましい態様において、本発明の薬学的組成物、および特に固体経口剤形は、非小細胞肺癌または乳癌の予防および/または処置における使用のためのものである。
また別の局面において、本発明は、
(a)結晶ビノレルビンモノタルトラートを提供する工程;および
(b)結晶ビノレルビンモノタルトラートを固体経口剤形において製剤化する工程
を含む、本明細書において定義されるような、薬学的組成物、および特に固体経口剤形の製造のための方法に関する。
特に好ましくは、結晶ビノレルビンモノタルトラートは、微粉砕された形態で、カプセル剤、特に硬ゼラチンカプセル剤において製剤化される。あるいは、結晶ビノレルビンモノタルトラートは、直接圧縮または乾燥圧密化によって錠剤において製剤化される。これらの技法はすべて、当技術分野において十分に確立されている。
本発明を、単に本発明の具体的な態様を例証する目的であり、特許請求される主題を限定するようには決して解釈されるべきではない図面および以下の実施例によって、さらに説明する。
材料および方法
粉末X線回折解析を、以下の設定でSTOE-STADI P透過型回折計を用いて行った:nCu-Kα1放射線(λ=1.54056Å);U=40 kV;I=35 mA;一次ビームモノクロメーター(湾曲Ge(111));線形位置感受性検出器;スリット:1 mm;d=8 mm;角度領域:2Θ=2〜38;ステップ幅Δ2Θ=0.02°;25 s/0.2°ステップ。粉末は、元々2つのMylar箔の間に、次いでd=8 mmマスクを有する試料ホルダー中に充填される。
熱重量分析(TGA;残留溶媒の含量を測定するため)を、較正された超微量天秤を用いることによる、アルミナるつぼ(100μl、レーザーで開けた50μmの穴を有するアルミナの蓋で密封されている)中への正確な試料秤量によって行った。測定:Mettler TGA/DSC1、大型オーブン;ガス制御ボックス(パージガス:N2、80 ml/分、質量流量制御)。
示差走査熱量測定(DSC;融点を測定するため)を、較正された超微量天秤を用いることによる、アルミナるつぼ(70μl、アルミナの蓋で密閉されている)中への正確な試料秤量によって行った。測定:DSC 30モジュールまたはMettler DSC 25を銀オーブンおよびセラミックセンサー結晶とともに有するMettler TC11-TA-Processor、ならびにMettler TC15A-TA-Controller(25℃〜250℃、10℃/分)。パージガス:N2、80 ml/分、質量流量制御。較正:参照物質としての超高純度インジウム(In)で、試料測定の直前に実施(温度スケール、熱流量スケール)。
ビノレルビンにおける不純物の含量のHPLC解析および算出を、European Pharmacopoeia 7.0に記載されている方法にしたがって行った。
実施例1:ビノレルビンビタルトラートからの結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物の調製
ビノレルビンビタルトラート(1000 g)を水(10 L)に溶解し、pHをNaOHで6.0に調整した。混合物を、CH2Cl2(10 L)で処理し、撹拌をさらに10分間継続した。有機相を分離して、水(3 L)で処理した。撹拌をさらに10分間継続して、有機相(8〜12 L)を分離した。溶媒を蒸発させた(40℃、380〜400 torr、次いで25 torr以下に低下)。残留物をアセトン(7 L)に溶解した。ビノレルビンモノタルトラートの調製のために必要とされる、(滴定結果にしたがって)算出された量のL(+)-酒石酸を添加した。取得されたビノレルビンモノタルトラート溶液を加熱還流して、撹拌を約1時間継続した。混合物を、真空において濃縮した(70〜100 torr;約1 Lのアセトンを蒸発させた)。結果として生じた混合物を濾過し、沈殿物をアセトン(1 L)で洗浄して、真空において乾燥した(40〜50℃、25 torr、2〜4時間)。収量‐905 g、HPLC純度‐99.9%、アセトン含量‐9.5%(GC(ガスクロマトグラフィー))。
取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定し、表3に列挙されるようなピークを有する、図1に図示されるようなPXRDパターンを取得した。
(表3)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
実施例2:結晶ビノレルビンモノタルトラートジエチルケトン溶媒和物の調製
実施例1において調製された1.5 gのビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を、20 mLのジクロロメタンに溶解した。結果として生じた溶液を、減圧下、40℃で蒸発させて乾燥状態にした。残留物を、17 mLのジエチルケトンに、撹拌下、40℃で溶解した。結果として生じた混合物を、結晶化が完了するまで、50〜55℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、結晶を濾過し、ジエチルケトンで洗浄して、約55℃で2時間、真空下で乾燥した。HPLC純度‐99.9%およびジエチルケトン含量‐9.4%(GC)を有する、1.4 gのビノレルビンモノタルトラートジエチルケトン溶媒和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定し、表4に列挙されるようなピークを有する、図2に図示されるようなPXRDパターンを取得した。
(表4)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
実施例3:結晶ビノレルビンモノタルトラート酢酸エチル溶媒和物の調製
実施例1において調製された1.5 gのビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を、20 mLのジクロロメタンに溶解した。結果として生じた溶液を、減圧下、40℃で蒸発させて乾燥状態にした。残留物を、40 mLの酢酸エチルに、撹拌下、40℃で溶解した。結果として生じた混合物を、結晶化が完了するまで、50〜55℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄して、約55℃で2時間、真空下で乾燥した。HPLC純度‐99.9%および酢酸エチル含量‐14.2%(GC)を有する、1.2 gのビノレルビンモノタルトラート酢酸エチル溶媒和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定し、表5に列挙されるようなピークを有する、図3に図示されるようなPXRDパターンを取得した。
(表5)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
実施例4:結晶ビノレルビンモノタルトラートイソプロパノール溶媒和物の調製
実施例1において調製された1.5 gのビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を、20 mLのジクロロメタンに溶解した。結果として生じた溶液を、減圧下、40℃で蒸発させて乾燥状態にした。残留物を、40 mLのイソプロパノールに、撹拌下、45〜50℃で溶解した。混合物を、減圧下、45〜50℃で、最初の体積の50%までゆっくり蒸発させた。結果として生じた混合物を、結晶化が完了するまで、50〜55℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、結晶を濾過し、イソプロパノールで洗浄して、約55℃で2時間、真空下で乾燥した。HPLC純度‐99.9%およびイソプロパノール含量‐8.4%(GC)を有する、1.3 gのビノレルビンモノタルトラートイソプロパノール溶媒和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定し、表6に列挙されるようなピークを有する、図4に図示されるようなPXRDパターンを取得した。
(表6)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
実施例5:結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の調製
実施例1に記載されているように取得された150 gのビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を、60℃、および約40%の相対湿度で、16時間インキュベートした。最終的に、HPLC純度‐99.9%および残留アセトン含量‐0.16%(GC)を有する、140 gの結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定し、表7に列挙されるようなピークを有する、図5に図示されるようなPXRDパターンを取得した。
(表7)
Figure 2019508436
Figure 2019508436
Figure 2019508436
実施例6:酢酸エチル溶媒和物からの結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の調製
実施例3に記載されているように取得された1.0 gのビノレルビンモノタルトラート酢酸エチル溶媒和物を、30℃、および約60%の相対湿度で、120時間インキュベートした。最終的に、HPLC純度‐99.9%および残留酢酸エチル含量‐0.05%(GC)を有する、0.9 gの結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定して、PXRDパターンは、図5に図示されるアセトン溶媒和物から取得されたビノレルビンモノタルトラート水和物についてと同じである。
実施例7:湿性エタノールからの結晶化による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の調製
実施例1において調製された1.5 gのビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物を、20 mLのジクロロメタンに溶解した。結果として生じた溶液を、減圧下、40℃で蒸発させて乾燥状態にした。残留物を、30 mLの無水エタノールに、撹拌下、40℃で溶解した。取得された溶液を、10 mLまで真空蒸発させて、0.2 mLの水を添加した。その後、20 mgの結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の種を添加し、結果として生じた混合物を、室温で2時間撹拌した。形成された沈殿物を濾過し、無水エタノールで洗浄して、約55℃で1時間、真空下で乾燥した。最終的に、HPLC純度‐99.9%を有する、0.8 gの結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を取得した。取得された試料を、粉末X線回折によって特徴決定して、PXRDパターンは、図5に図示される、実施例5にしたがって取得されたビノレルビンモノタルトラート水和物についてと同じである。
実施例8:結晶ビノレルビンモノタルトラート有機溶媒和物の安定性
実施例1にしたがって生成された結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物の3種類のさらなる代表的なバッチを、安定性について解析した(すなわち、バッチ番号011213、番号021213、および番号010414)。試料を、それぞれ、5℃および25℃の温度に3か月間および6か月間曝露した。バッチ番号010414はまた、それぞれ、40℃の温度に(60%±2%相対湿度で)15日間、1か月間、および2か月間曝露した。
例示的な結果を、以下の表8に要約する。
(表8)5℃、25℃、および40℃での結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物の安定性データ
Figure 2019508436
Figure 2019508436
試験された結晶ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物の3種類のバッチはすべて、5℃±3℃および25℃±2℃の両方で、6か月の保存後にほとんど分解を呈さず、40℃で2か月の保存後に、最小の分解のみを呈した。
したがって、結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物の安定性は、表9に示されるように、ビノレルビンビタルトラートと比較した際に有意に改善されている。
(表9)60℃でのビノレルビンモノタルトラート有機溶媒和物およびビノレルビンビタルトラートの比較可能なストレス付与安定性試験
Figure 2019508436
実施例9:結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の安定性
実施例5にしたがって生成された結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物を、安定性について解析した。試料を、それぞれ、25℃および40℃の温度に3か月間および6か月間曝露した。
結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物についての分解不純物の全体的な蓄積は、6か月後に40℃で0.15%を超えず、25℃で0.02%を超えない(表10)。
(表10)25℃および40℃での結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の安定性データ
Figure 2019508436
さらに、本発明による結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物およびビノレルビンビタルトラートの比較光分解解析を行った。
試料(各々約14 mg)を、10 mlライトガラスメスフラスコ中に置き、光チャンバーにおいてキセノンランプ(波長300〜800 nm;フルエンス率250〜765 W/m2)に対して露光した。公知の光分解生成物3,6-エポキシビノレルビンの量を、種々の時点でHPLCによって測定した。
取得された結果を、表11に示す。公知の光分解生成物(3,6-エポキシビノレルビン)によるピークが、照明下での試料の溶液のすべてで取得されたクロマトグラムにおいて検出された。観察された3,6-エポキシビノレルビンの蓄積は、ビノレルビンビタルトラートにおいて有意により激しかった。
(表11)ビノレルビンビタルトラートおよび結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物の試料の照明下での光分解生成物の蓄積
Figure 2019508436
実施例10:無定形ビノレルビンモノタルトラートの調製
比較実施例として、無定形ビノレルビンモノタルトラートを、以下の手順にしたがって調製した:2.0 gのビノレルビンモノタルトラートを、5 mlのジクロロメタン(DCM)に溶解し、真空において40℃で30分間蒸発させて乾燥状態にした。次いで、残留物を、5 mlのDCMに溶解した。溶液を、50 mlのヘプタンに添加して、約5分間撹拌した。沈殿物を濾過し、ヘプタンで洗浄して、40℃で真空において20分間乾燥した。最終的に、試料をHPLCによって解析した。図6は、無定形ビノレルビンモノタルトラートの代表的なバッチについての例示的な粉末X線回折解析の結果を図示する。いかなるピークも検出できない。
化合物の熱安定性および光安定性を評定するために、試料を、40℃の温度に2週間曝露して、HPLCによって解析した。結果を、表12に要約する。
(表12)40℃での無定形ビノレルビンモノタルトラートの安定性データ
Figure 2019508436
データから、無定形ビノレルビンモノタルトラートは、(本発明の結晶形態とは対照的に)40℃で2週間のインキュベーション後に既に、有意な分解を示すことが明らかである。したがって、上記に示される改善された熱安定性および光安定性のデータは、本発明によるビノレルビンモノタルトラートの結晶形態に、特異的に対応付けることができる。
実施例11.ビノレルビンモノタルトラートアセトン溶媒和物/StarCap 40 mg HGC(硬ゼラチンカプセル剤)の調製。カプセル製剤
ビノレルビンモノタルトラートを、調剤したStarCap 1500のおよそ半分とあらかじめ混合し、スクリーンを通過させて、中間バルク容器に収集した。スクリーンに残りのStarCap 1500を流して洗い、収集した。中間バルク容器の内容物を、内容物が均一になるまで混ぜ合わせた。硬ゼラチンサイズ2に、ビノレルビンモノタルトラート、およびコーンスターチとアルファ化デンプンとの同時加工混合物を充填した。カプセル剤は、およそ48 mgのビノレルビンモノタルトラート(40.00 mgのビノレルビンに対応)およびおよそ72.00 mgのStarCap 1500を含有していた。バルク特性は、以下のようであった:応答の角度24、かさ密度0.581 g/ml、タップ密度0.714 g/ml、Hausner比1.229、LoD測定3.79%。バルク粒子分布データは、粒子の約60%が0.08 mmのサイズであり、18%がサイズ0.125 mmであることを示した。
ビノレルビンモノタルトラートHGCの溶解を、900 ml 0.1 N HClにおいて75 rpm、37℃で試験し、Navelbine Oral 30 mg SGC(軟ゼラチンカプセル剤)の市販されているバッチと比較した。溶解プロファイルは、ビノレルビンモノタルトラートHGCは45分後に約98%の放出を達成し、他方、ビノレルビンSGCは45分後に97%の放出を達成したことを示す(表13)。
(表13)Navelbine Oralおよび本発明による硬ゼラチンカプセル剤の溶解速度論の比較
Figure 2019508436
3種類の異なる溶解媒質における30 mg HGCの溶解プロファイルを比較した場合には、いかなる有意な差も特定されていない。3種類の媒質のすべてにおいて、HGCの溶解は、一般要求事項であるNMT(not more than)15分(15分以下)でNLT(not less than)85%(85%以上)に準拠している(図9)。
実施例12.ビノレルビンモノタルトラート水和物/StarCap 30 mg HGCの調製。カプセル製剤
ビノレルビンモノタルトラート水和物を、調剤したStarCap 1500のおよそ半分とあらかじめ混合し、スクリーンを通過させて、中間バルク容器に収集した。スクリーンに残りのStarCap 1500を流して洗い、収集した。中間バルク容器の内容物を、内容物が均一になるまで混ぜ合わせた。硬ゼラチンサイズ3に、ビノレルビンモノタルトラート、およびコーンスターチとアルファ化デンプンとの同時加工混合物を充填した。カプセル剤は、およそ36.00 mgのビノレルビンモノタルトラート(30.00 mgのビノレルビン塩基に対応)およびおよそ114.00 mgのStarCap 1500を含有していた。バルク特性は、以下のようであった:流動性1.2〜2秒/100g、応答の角度26、かさ密度0.51 g/ml、タップ密度0.66 g/ml、Hausner比1.29、LoD測定1.0%。バルク粒子分布データは、粒子の約20%が0.2 mmのサイズであり、18%がサイズ0.31 mmであり、50%よりも多くが0.5 mmのサイズであることを示した。
ビノレルビンモノタルトラートHGCの溶解を、900 ml 0.1 N HClにおいて75 rpm、37℃で試験し、Navelbine Oral 30 mg SGCの市販されているバッチと比較した。溶解プロファイルは、ビノレルビンモノタルトラートHGCは45分後に約97%の放出を達成し、他方、ビノレルビンSGCは45分後に98%の放出を達成したことを示す(表13)。
3種類の異なる溶解媒質における30 mg HGCの溶解プロファイルを比較した場合には、いかなる有意な差も特定されていない。3種類の媒質のすべてにおいて、HGCの溶解は、一般要求事項であるNMT15分でNLT85%に準拠している(図10)。
表14および表15から明白であるように、解析データは、製剤が、含量均一性、アッセイ/純度、水崩壊性を含むすべての試験された要求事項に準拠していたことを示した。
(表14)含量均一性(限界142.5〜157.5 mg)
Figure 2019508436
(表15)水における崩壊性
Figure 2019508436
実施例11および12の結果は、結晶ビノレルビンモノタルトラートを、同時加工デンプンとともに製剤化して、他の賦形剤を含まず、すぐにスケールアップできる、単純なかつ堅牢な製剤を提供できることを示した。
実施例13:結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物含有カプセル製剤の安定性
ビノレルビンモノタルトラート水和物含有カプセル製剤の安定性を、それぞれ、25℃および40℃の温度で測定した。取得された結果を、表16に要約する。表から明白であるように、生成物は、25℃で6か月の間、および40℃で3か月の間安定のままであった。
(表16)25℃および40℃でのカプセル製剤の安定性
Figure 2019508436
表17は、Navelbine Oral軟ゼラチンカプセル剤および本発明の硬ゼラチンカプセル剤の安定性の比較の結果を示す。インキュベーションを、上記のように、25℃±2℃および60%±2%相対湿度で6か月間行った。
(表17)Navelbine Oral軟ゼラチンカプセル剤および本発明による硬ゼラチンカプセル剤の25℃での長期安定性の比較
Figure 2019508436
取得された結果は再び、硬ゼラチンカプセル製剤について分解が事実上無いことを明らかにし、他方、実質的な分解が、確立された軟ゼラチンカプセル剤について観察された。
実施例14:錠剤製剤
14.1 直接圧縮
活性成分としてビノレルビンモノタルトラートを使用する錠剤を、直接圧縮によって生成した。およそ36 mgの結晶ビノレルビンモノタルトラート(30 mgビノレルビン塩基に対応)、85 mg微結晶性セルロース(Avicel PH 102; Sigma-Aldrich, Munich, Germany)、10 mg StarCap 1500(Colorcon, West Point, PA, USA)、0.5 mgコロイド状二酸化ケイ素、および1 mgステアリン酸マグネシウムを含む錠剤コアを調製した。錠剤の崩壊時間はおよそ2分であり、15分で85%よりも多くが溶解すると測定された。さらに、フィルムコーティング錠剤を、Opadry Film Coating System(Colorcon, West Point, PA, USA)を用いて調製した。
14.2 ローラー圧密化
ローラー圧密化乾式造粒法を使用して、ビノレルビン錠剤を調製した。36 mgの結晶ビノレルビンモノタルトラート(30 mgビノレルビン塩基に対応)、85 mg微結晶性セルロース(Avicel PH 102; Sigma-Aldrich, Munich, Germany)、および10 mg StarCap 1500(Colorcon, West Point, PA, USA)を、10分間混合した。顆粒内ステアリン酸マグネシウムを、250μmふるいを通して精製し、混合物に添加して、さらに5分間混合した。結果として生じた混合物を、ローラーコンパクター上で圧密化した。コロイド状二酸化ケイ素および数グラムの顆粒を、それらを30メッシュスクリーンに通過させることによって塊を壊した。混合物を顆粒に添加して、さらに5分間混ぜ合わせた。顆粒外ステアリン酸マグネシウムもまた、上記のように精製し、添加して、圧縮の前にさらに5分間混合した。錠剤の崩壊時間は3分未満であり、15分で85%よりも多くが溶解すると測定された。
本明細書に例証として記載される本発明は、本明細書において具体的に開示されていない、任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の限定の非存在下で、適しているように実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的にかつ非限定的に読まれることになる。加えて、本明細書において使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用に、示されるおよび記載される特徴の任意の等価物またはそれらの一部分を排除する意図はないが、種々の改変が、特許請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明が、態様および任意の特徴によって具体的に開示されているが、その中で具体化されている本発明の改変および変動が、当業者によって行使され得ること、ならびにそのような改変および変動が、本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
本発明は、本明細書において広くかつ一般的に説明されている。一般的開示内に入る、より狭い種および亜属グループ分けの各々もまた、本発明の一部を形成する。これは、切り取られた物質が本明細書において具体的に列挙されているか否かにかかわらず、任意の主題を属から除去する但し書きまたは否定的限定を有する、本発明の一般的説明を含む。

Claims (27)

  1. 結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  2. 溶媒和物として存在する、請求項1に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  3. 結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物が、有機溶媒および/または水を含む、請求項2に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  4. 有機溶媒が、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、またはそれらの混合物である、請求項3に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  5. 有機溶媒が、アセトン、ジエチルケトン、酢酸エチル、イソプロパノール、またはそれらの混合物である、請求項4に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  6. 結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物が、結晶ビノレルビンモノタルトラートの結晶構造において、25%(w/w)未満、好ましくは20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、より好ましくは10%(w/w)未満、より好ましくは5%(w/w)未満、より好ましくは2.5%(w/w)未満、および最も好ましくは1.5%(w/w)未満の有機溶媒を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  7. 有機溶媒が、アセトン、イソプロパノール、またはそれらの混合物である、請求項5または6に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  8. 結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物が水和物である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  9. 結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物が、結晶ビノレルビンモノタルトラートの結晶構造において、0.5〜10%(w/w)、好ましくは3〜7%(w/w)の水、ならびに2.5%(w/w)未満、より好ましくは1.5%(w/w)未満、および最も好ましくは0.75%(w/w)未満の有機溶媒を含む、請求項8に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  10. 結晶ビノレルビンモノタルトラート水和物が、7.9°、9.5°、10.3°、10.8°、および13.4°、13.6°、および14.5°(各々±0.2°)の平均回折角(2Θ)でピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項8または9に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  11. 25℃±2℃で2週間後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、好ましくは25℃±2℃で1か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは25℃±2℃で3か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは25℃±2℃で6か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、
    より好ましくは40℃±2℃で2週間後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは40℃±2℃で1か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは40℃±2℃で3か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、および最も好ましくは40℃±2℃で6か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物
    を生成する熱安定性を示すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  12. 60℃±2℃で1週間後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、および/または60℃±2℃で8週間後に0.3%未満のビノレルビンの分解不純物
    を生成する熱安定性を示すことを特徴とする、請求項7に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  13. 15分の露光後に0.1%未満の3,6-エポキシビノレルビン、30分の露光後に0.2%未満の3,6-エポキシビノレルビン、60分の露光後に0.3%未満の3,6-エポキシビノレルビン、および/または120分の露光後に0.5%未満の3,6-エポキシビノレルビン
    を生成する光安定性を示すことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート。
  14. 以下の工程を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラートを製造するための方法:
    (a)少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体におけるビノレルビンモノタルトラートの溶液を提供する工程;
    (b)乾燥残留物が取得されるまで、少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体におけるビノレルビンモノタルトラートの溶液を乾燥する工程;
    (c)混合物を取得するために、少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体に乾燥残留物を溶解する工程;
    (d)固体沈殿物を取得するために、加熱および撹拌下で混合物を維持する工程;
    (e)固体沈殿物を単離する工程;
    (f)固体沈殿物を乾燥する工程。
  15. (g)乾燥固体沈殿物を水蒸気に曝露する工程
    をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 工程(a)および(b)における少なくとも1種類の有機溶媒を含む液体が、塩化メチレンである、請求項14または15に記載の方法。
  17. 工程(c)における液体が、水混和性有機溶媒と水との混合物である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 結晶ビノレルビンモノタルトラート溶媒和物が、出発物質として使用される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラートを含む、薬学的組成物。
  20. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラート、および少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤を含み、好ましくは、該少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤が、同時加工(co-processed)賦形剤である、請求項19に記載の薬学的組成物。
  21. 薬学的調製物が経口剤形である、請求項19または20に記載の薬学的組成物。
  22. 経口剤形が固体剤形であり、好ましくはカプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、顆粒剤、ペレット剤、および粉末剤からなる群より選択される、請求項21に記載の薬学的組成物。
  23. 前記薬学的組成物における結晶ビノレルビンモノタルトラートが、
    25℃±2℃で2週間後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、好ましくは25℃±2℃で1か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは25℃±2℃で2か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは25℃±2℃で6か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、
    より好ましくは40℃±2℃で2週間後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは40℃±2℃で1か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、より好ましくは40℃±2℃で2か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物、および最も好ましくは40℃±2℃で3か月後に0.1%未満のビノレルビンの分解不純物
    を生成する熱安定性を示すことを特徴とする、請求項19〜22のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  24. 癌の予防および/または処置における使用のための、請求項19〜23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  25. 癌が非小細胞肺癌および/または乳癌である、癌の予防および/または処置における使用のための、請求項19〜24のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  26. 薬学的組成物の調製のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラートの使用。
  27. 前記薬学的組成物が、請求項19〜25のいずれか一項に記載の薬学的組成物である、請求項26に記載の結晶ビノレルビンモノタルトラートの使用。
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