JP2019503192A - アセトバクタ―・ロバニエンシスを用いて3−ヒドロキシプロピオンアミドを製造するための方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、特定の増殖条件下でのアセトバクター(Acetobacter)微生物の培養を介して、ポリマー3−ヒドロキシプロピオンアミド(3HPアミド)を製造するための方法に関する。ポリマー3HPアミドは3HPアミドに変換することができる。この生物は、大気中の二酸化炭素と窒素の同化を介して、このプラットフォーム分子(platform molecule)を産生する。3HPアミドは商業的な量で容易に製造することができる。所望であれば、3HPアミドは、様々な他の商業的に有用な製品、例えばアクリルアミド及びアクリロニトリルに変換することができる。
多くの微生物が3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)を産生することが示されている(Andreeken, B. 及びSteinbuchel, A.、Applied and Environmental Microbiology(2010)、76、4919-4925)。3HP並びに他の関連するヒドロキシル化カルボン酸及びポリアルカノアート(polyalkanoates)の合成は一般に、増殖制限培養条件下で起こる(Brigham C. J. ら、S3 Microbiol and Biochemical Technology(2011))。ヒドロキシルカルボン酸及びそれらのポリマー形態、特に3HPの製造は、商業的に重要である。3HP(CAS No.503-66-2)は脱水時にアクリル酸(CAS No.79-10-7)へと変換することができ、有用なプラットフォーム分子である。
驚くべきことに、国際公開第2013/011292号及び国際公開第2015/118341号に記載されたアセトバクタ―・ロバニエンシス株が、ポリマー3HPアミドを産生し得ることが見出された。これまでは、この微生物がこの生成物を産生することができることは知られていなかった。これは、3HPアミドの(ポリマー3HPアミドの形態での)デノボ合成を表す。さらに、この微生物は、商業的に実行可能な収率で3HPアミドを(ポリマー3HPアミドの形態で)産生することができる。次にこれは、アクリルアミド及びアクリロニトリルへと変換され得る。
1〜3g/リットルのレベルでのホスフェート及び0.5〜1g/リットルのレベルでのアンモニウムを含有する増殖培地中で、受託番号NCIMB 41808を有するアセトバクタ―・ロバニエンシスFJ1株を培養すること、を含み、ここで、ここで、細菌の培養によりポリマー3HPアミドが製造される、方法が提供される。
ホスフェート及びアンモニウムを含有する増殖培地中で、アセトバクタ―・ロバニエンシス細菌を培養し、ここで、細菌の培養によりポリマー3HPアミドが製造され;並びに
ポリマー3HPアミドを加水分解して、3HPアミドを製造すること、
を含む、方法が提供される。
本発明をこれより、以下の図面を参照して単なる実施例によって詳細に説明することになる:
低下したレベルのホスフェートと低レベルの添加窒素との存在下で、アセトバクタ―・ロバニエンシスFJ1は、3HPアミドを短鎖ポリマー材料として産生する。
アセトバクタ―・ロバニエンシスFJ1を、窒素源、具体的にはアンモニウム塩としての窒素源が含まれ、かつ窒素とリンとの比が重量で約1:1である、最小塩培地で増殖させる。培地の組成を以下の表に示す:
実施例1:添加アンモニウム塩の存在下での生物の増殖
固定床上で増殖させた場合、ポリ3HPアミドは、24時間間隔で取り出されるバッチでサンプから収集することができる。1m3の体積を有する試験床、200リットルのサンプ体積、30℃の温度、pH5.5の出発培地を用いて、生物は30〜50g/lの製造のレベルを達成する。HPLCを使用すると、標準は9.308分で保持され、試料はポリマー3HPアミド材料の加水分解後に9.294分で保持される。4.95%又は49.5g/lの収率が達成されたが、これは約2g/l/hに相当する。3HP標準は8.973分で保持され、加水分解された材料のものとは一致しなかった。
使用済み細菌培地を、上記に詳述した方法のいずれかによって回収及び濃縮し、あるいはカルシウム沈殿物として収集する。次いで、濃縮培地又はカルシウム沈殿物を、濃塩酸又は濃硫酸を用いて2.0のpHに酸性化することによって加水分解する。次いで、好適な触媒を使用して、存在するポリマー3HPアミド材料をモノマー単位に戻るよう加水分解する。生成した材料をさらに濃縮及び脱水する。脱水はアクリルアミドの生成をもたらす。生成したアクリルアミドはさらに、好適な触媒系を用いてアミンへと還元することができる。例えば、1,1,3,1,テトラメチルシロキサン及び1,2−bビス(ジメチルシリル)ベンゼンは白金触媒に効果的な還元剤である(S. Hanada、E. Tsutsumi、Y. Motoyama、H. Nagashima、J.Am.Chem. Soc 2009、131、15032-15040)。Tf2Oによる活性化、室温でのTHF中の水素化ホウ素ナトリウムによる還元に続く(S.-H. Xiang、J. Xu、H.-Q. Yuan、P.-Q. Huang Synlett. 2010、1829-1832)。
3HPアミドは、N,N−ジヒドロ−C−オキソ−ビ(N,N-dihydro-C-oxo-bi)除去を用いてニトリルに脱水することができる(アクリルアミド/ポリアクリルアミド:Overview of the Chemistry(1988)pp 9、C.G. Daughton)。五酸化リンを脱水剤として使用することができるが、酸ハロゲン化物又は無水物も使用することができる。
アミド形態は、金属水素化物、例えばLiAlH4又はBH3を用いてアミンに還元することができる。ニトリルは、非置換アミドの還元における中間体である。ジグリコールメチルエーテル中で、第一級アミドは定量的に還元され、ニトリルで止めることができる。同じ効果に使用することができる他の還元剤はビトリド(Vitride)((NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2)、ボランテトラヒドロフラン(BH3.THF)、ボランメチルスルフィド(borane methyl sulphide)((CH3)2S:BH3))である。
3HPアミドは、水酸化ナトリウムの希釈溶液の存在下で加熱して、アンモニアを放出することによって、3HPの酸形態に変換することができる。
アクリル酸は、先の特許、例えば国際公開第2013/192451号又は米国特許第8,846,353号明細書に詳述された技法の1つを用いて、脱水によって3HPから生成することができる。
3HPエステル、例えばメチル 3−ヒドロキシプロピオン酸は、カルシウム沈殿したポリマー又は濃縮ポリマーの直接メチル化によって生成することができる。沈殿物又は濃縮物を、触媒としての硫酸の存在下でメタノールと反応させる。反応混合物を60℃に60分間加熱し、メチル化エステルを蒸留により収集する。
Claims (20)
- ポリマー3−ヒドロキシプロピオンアミドを製造するための方法であって、以下:
ホスフェート及びアンモニウムを含有する増殖培地中で、アセトバクタ―・ロバニエンシス(Acetobacter lovaniensis)細菌を培養すること、
を含み、ここで、
前記細菌の培養によりポリマー3HPアミドが製造される、方法。 - 前記増殖培地が、0.1g/リットル超でのアンモニウムを含有する、請求項1に記載の方法。
- 前記増殖培地が、0.5g/リットル超でのアンモニウムを含有する、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が、0.5〜1g/リットルでのアンモニウムを含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が、1g/リットル超でのホスフェートを含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が、1.5g/リットル超でのホスフェートを含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が、1〜3g/リットルでのホスフェートを含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が、1〜3g/リットルでのホスフェート及び0.5〜1g/リットルでのアンモニウムを含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地中の窒素とリンとの比が、重量で約2:1〜約1:2である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が外来性の炭素源を含有しない、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増殖培地が5〜7のpHを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細菌が、10℃〜40℃の温度で培養される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細菌が、受託番号NCIMB 41808を有するFJ1株である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法がさらに、前記ポリマー3HPアミドを前記増殖培地から分離するステップを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法がさらに、前記ポリマー3HPアミドを加水分解して、モノマー3HPアミドを形成するステップを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法がさらに、前記モノマー3HPアミドを分離するステップを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記方法がさらに、ポリマー又はモノマー3HPアミドを他の化合物に変換することを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法がさらに、ポリマー又はモノマー3HPアミドを、3HP酸、3HPエステル、3−ヒドロキシプロピオンアミン(hydroxypropionamine)、3−ヒドロキシプロピオニトリル、アクリルアミド、アクリルアミン、アクリル酸、アリルアミン、アクリロニトリル、ポリアミンポリマー、ポリニトリルポリマー又は他のヘテロポリマー、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)に変換することを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、以下:
1〜3g/リットルのレベルでのホスフェート及び0.5〜1g/リットルのレベルでのアンモニウムを含有する増殖培地中で、受託番号NCIMB 41808を有するアセトバクタ―・ロバニエンシスFJ1株を培養すること、
を含み、ここで、
前記細菌の培養によりポリマー3HPアミドが製造される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。 - 3HPアミドを製造するための方法であって、以下:
ホスフェート及びアンモニウムを含有する増殖培地中で、アセトバクタ―・ロバニエンシス細菌を培養し、ここで、前記細菌の培養によりポリマー3HPアミドが製造され;並びに
前記ポリマー3HPアミドを加水分解して、3HPアミドを製造すること、
を含む、方法。
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