JP2019500250A - ドクタブレード - Google Patents
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Abstract
特に印刷胴から印刷インキを掻き取るためのドクタブレード(100)であって、作業エッジ(130)と、特に作動中、印刷胴に面している第1のドクタブレード面(122)と、特に作動中、印刷胴とは反対の側を向く第2のドクタブレード面(121)とを備えたドクタブレードボディ(110)を有している。ドクタブレードボディ(110)には、ポリマを含むコーティング部(150)が設けられており、コーティング部(150)は、少なくとも1つの部分領域に粒子(160)を含んでいる。粒子(160)は、硬質材料粒子(160)として形成されており、第1のドクタブレード面(122)におけるコーティング部(150)内の硬質材料粒子(160)の質量割合は、第2のドクタブレード面(121)におけるコーティング部(150)内の硬質材料粒子(160)の質量割合よりも高い。
Description
本発明は、作業エッジと、特に作動中、印刷胴に面している第1のドクタブレード面と、特に作動中、印刷胴とは反対の側に位置している第2のドクタブレード面とを備えたドクタブレードボディを有しており、ドクタブレードボディは、ポリマを含むコーティング部が設けられており、コーティング部が少なくとも1つの部分領域に粒子を含んでいるドクタブレードに関する。さらに本発明は、このようなドクタブレードを製造する方法に関する。
背景技術
ドクタブレードは、印刷工業においても、製紙においても用いられる。
ドクタブレードは、印刷工業においても、製紙においても用いられる。
印刷工業においてドクタブレードは、特に印刷胴もしくは印刷ローラの表面から余分な印刷インキを掻き取るために用いられる。特に凹版印刷およびフレキソ印刷では、ドクタブレードの品質が印刷結果に対して重大な影響を及ぼす。印刷胴に接触しているドクタブレードの作業エッジの凹凸または不規則性は、例えば印刷胴のウェブからの、印刷インキの不完全な掻取りにつながる。これにより、印刷担体に対する、印刷インキの制御されない転移が生じる恐れがある。
ドクタブレードの作業エッジは、掻取り中、印刷胴または印刷ローラの表面に押し当てられており、印刷胴または印刷ローラに対して相対的に動かされる。これにより作業エッジは、特に輪転印刷機の場合には、一方では相応の摩耗を伴う高い機械的な荷重に晒されることになり、他方では、可能な限り長い使用時間にわたって精密な掻取りが保証されているように、ドクタブレードの作業エッジには高い要求が課されることになる。よってドクタブレードは、基本的には周期的に交換する必要のある消耗品である。したがって特に、一貫して高い品質のドクタブレードにおいて、製造費を低く抑えると同時に、寿命を可能な限り長く保つことが重要である。
ドクタブレードは大抵、特別に加工成形された作業エッジを備えた、鋼またはプラスチックから成るドクタブレードボディを基礎としている。ドクタブレードの寿命を改善するために、ドクタブレードの作業エッジにはさらに、プラスチック、ラッカおよび/または金属から成るコーティングまたは被覆が施されてよい。この場合、コーティングの材質は、特にドクタブレードの機械的かつ摩擦学的特性に重大な影響を及ぼす。このようなドクタブレードは、従来技術から周知である。
上述のドクタブレードは、例えば欧州特許第0911157号明細書(EP 0 911157 B1)に記載されている。これは、印刷版の表面から余分な印刷インキを掻き取るためのドクタブレードに関する。ドクタブレードと接触している印刷版の表面の摩耗を可能な限り減少させるために、薄板と、薄板に続くドクタブレード後部領域とは、ドクタブレード全長にわたり、潤滑剤から成るかまたは少なくとも潤滑剤粒子を有するコーティングを施される。このコーティングは、潤滑剤粒子と耐摩耗性材料の粒子とが埋め込まれた担体材料を有していてよい。
しかしながら、このようにコーティングされたドクタブレードは、製造費および掻取りにおける精密さに関して、依然として完全には満足させることができていない。
製紙工業では、ドクタブレードは用途に応じて、特に掻取りブレード、掻取り刃またはスクレーパとも呼ばれる。掻取りブレードまたは掻取りドクタブレードにより、例えば余分な掻取りインキ(例えば顔料、バインダ、添加剤等)を、紙基材または紙ウェブから除去することができる。印刷工業の場合と同様に、掻取りブレード、掻取り刃またはスクレーパの寿命は、ドクタブレードの作業エッジにプラスチック、ラッカおよび/または金属から成るコーティング部または被覆部を設けることにより改善され得る。しかしながら、製紙工業または製紙用のドクタブレードの分野でも、周知のシステムは、完全に納得できるものではない。よって依然として、前記欠点を有さない、改良されたドクタブレードに対する需要が存在する。
発明の提示
本発明の課題は、冒頭で述べた技術分野に属し、印刷工業または製紙における用途に関して低い製造費で、可能な限り有利に使用可能なドクタブレードを提供することにある。特に当該ドクタブレードは、印刷工業における用途に使用可能であり、かつ可能な限り正確な、印刷インキの掻取りを可能にすることが望ましい。
本発明の課題は、冒頭で述べた技術分野に属し、印刷工業または製紙における用途に関して低い製造費で、可能な限り有利に使用可能なドクタブレードを提供することにある。特に当該ドクタブレードは、印刷工業における用途に使用可能であり、かつ可能な限り正確な、印刷インキの掻取りを可能にすることが望ましい。
この課題の解決手段は、請求項1記載の特徴により規定されている。本発明に基づき、粒子は硬質材料粒子として形成されており、第1のドクタブレード面におけるコーティング内の硬質材料粒子の質量割合は、第2のドクタブレード面におけるコーティング内の硬質材料粒子の質量割合よりも高くなっている。
第1のドクタブレード面、特に印刷胴に面した面には少なくとも、使用中の、例えば印刷インキの掻取り時のドクタブレードと印刷ローラまたは紙基材との間の接触領域が含まれる。さらに第2のドクタブレード面、特にドクタブレードの、印刷胴に面する面は、ドクタブレードとの接触領域において印刷ローラまたは紙基材に接する接線と90°未満の角度を成す、ドクタブレードの表面を有している。換言すると、ドクタブレードの、印刷ローラまたは紙基材に面した面は、印刷ローラまたは紙基材の延長された半径によりすぐに、すなわちドクタブレードを貫通することなしに到達可能なドクタブレードの表面である。扁平な紙基材の場合、半径は、紙基材の表面法線に相当する。
このようなドクタブレードを製造する1つの方法では、作業エッジを有するドクタブレードボディにおいて、特に作動中、印刷胴に面した第1のドクタブレード面と、特に作動中に印刷胴とは反対の側を向く第2のドクタブレード面とが、ポリマを含むコーティング部により被覆され、このコーティング部は、少なくとも1つの部分領域に粒子を含有している。この場合、粒子は硬質材料粒子として形成されており、第1のドクタブレード面におけるコーティング部内の硬質材料粒子の質量割合は、第2のドクタブレード面におけるコーティング部内の硬質材料粒子の質量割合よりも高くなっている。
「ドクタブレード」は、本発明では広義に理解されるものであり、印刷工業と製紙工業の両方において使用するためのドクタブレードが含まれる。特にドクタブレードは、印刷用ドクタブレード、掻取りブレード、掻取り刃および/またはスクレーパである。1つの特に好適な実施形態では、ドクタブレードは、特に印刷胴から印刷インキを掻き取るために設けられた印刷用ドクタブレードである。
ドクタブレードボディは、好適には細長い形状を有しており、かつ例えば帯材として設けられていてよく、この場合、作業エッジは帯材の長手方向に向けられている。ドクタブレードボディの強度、材料および寸法に応じて、ドクタブレードは例えば帯材ロールとして設けられていてよい。
ポリマを含むコーティングは、好適には50重量%(重量パーセント)を上回るポリマ、特に75重量%を上回るポリマ、特に好適には90重量%を上回るポリマを含有している。さらにポリマ含有量は、好適には99重量%未満、特に好適には95重量%未満である。つまり、好適にはポリマがコーティング部の主要成分である。コーティング部内のポリマの前記割合は、使用可能な状態のドクタブレードのコーティング部に関するものである。この場合、ポリマを含むコーティング部は、ポリマをベースとしたコーティング部と呼ばれることもある。
ポリマを含むコーティングは、ドクタブレードボディに被着される前に、溶剤または別の揮発性物質に基づき、ドクタブレードの使用可能状態でドクタブレードボディに被着されたコーティング部よりも低い、硬質材料粒子の質量割合を有していてよい。ドクタブレード製造中の乾燥ステップに基づき、上述の揮発性物質を除去することができる。
特にコーティング部内のポリマは、連続相および/またはコーティング部内の硬質材料粒子用の分散媒を形成する。この場合、硬質材料粒子は、特にポリマの連続相内に分散させられておりかつ/または埋め込まれている。
ポリマは、本発明では特に有機ポリマを含む、または有機ポリマから成っている。ポリマは、ホモポリマまたはコポリマであってよい。ホモポリマが、実質的に単一種のモノマから成っているのに対して、コポリマは、2つまたは3つ以上の化学的に異なる種類のモノマから成っている。ポリマは、いわゆるポリマブレンドの形態で存在しているか、または複数の異なるホモポリマおよび/またはコポリマから成る混合物として存在していることも可能である。
特に、ポリマは熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および/またはエラストマである。好適には、例えば熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、硬化すると3次元架橋を有することになり、その硬化後は一般に、最早変形され得ない。熱硬化性樹脂は、本発明では特に丈夫であると同時に、意外にも、滑り・掻取り特性に関して有利であるということが判った。
ポリマとしては、例えばエポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂(ノボラックおよびレゾール)、メラミンホルムアルデヒド樹脂ならびに飽和ポリエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂またはこれらの混合物が想定されていてよい。ポリマにはさらに、ゴム、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性樹脂またはこれらの混合物が含まれていてよい。熱可塑性樹脂には、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチロール、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物が含まれていてよい。当業者には、純形態でまたは混合物としてコーティング部の製造用に想定されていてよい別の可能なポリマも知られている。ポリマ混合物には、特に2つ以上の異なるポリマが含まれていてよい。
複数の変化態様において、コーティングは50重量%未満のポリマを含んでいてもよい。
コーティング中のポリマが、連続相および/または硬質材料粒子用の分散媒を形成している場合、ポリマにより形成された連続相および/またはポリマにより形成された分散媒は、有利には、50重量%未満、特に25重量%未満、好適には10重量%未満、特に5重量%未満、極めて特に好適には2重量%未満、または1重量%未満の金属を有している。極めて特に好適には、コーティング部中の硬質材料粒子用の連続相および/または分散媒は、実質的に金属を有していない。「金属」とは特に、金属結合された金属原子を意味する。特に個々の金属イオン、金属塩または共有結合された金属は、「金属」には含まれない。この場合の金属は、特にニッケル、クロム、すず、ニッケルとクロムの合金、ニッケルとすずの合金および/またはニッケルとリンの合金、特にニッケルおよび/またはニッケルとリンの合金である。
1つの好適な実施形態では、ポリマを含むコーティングは、特に全体として50重量%未満、有利には25重量%未満、好適には10重量%未満、特に5重量%未満、極めて特に好適には2重量%未満または1重量%未満の金属を有している。極めて特に好適には、ポリマを含むコーティング部は、実質的に金属を有していない。
特に、ドクタブレードのコーティング部は全体として、それぞれ50重量%未満、有利には25重量%未満、好適には10重量%未満、特に5重量%未満、極めて特に好適には2重量%未満または1重量%未満の金属量を有している。極めて特に好適には、ドクタブレードのコーティング部は全体として、実質的に金属を有していない。
金属量を削減することにより、もしくは金属を省くことにより、ドクタブレードの製造方法は簡略化され得る。この場合は意外にも、ポリマを含むコーティング部またはポリマをベースとしたコーティング部は、金属をベースとしたコーティング部に代えて、ドクタブレードの品質を大きく損なうことなく使用され得る、ということが判った。
ポリマを含むコーティング部は、有利には少なくとも作業エッジの領域、好適にはドクタブレードの全コーティング領域において、ドクタブレードの最も外側のコーティング部を形成している。よって如何なる場合でも、ドクタブレードのポリマを含むコーティング部は、使用時に、印刷版または紙基材と直接に接触することになり、このことは可能な限り最良の効果を生ぜしめる。
硬質材料粒子は、典型的にはドクタブレードの摩耗特性の改良に役立つが、別の効果をもたらすこともできる。このために硬質材料粒子は、好適には1つまたは複数のポリマも含まれているコーティング部内に分散させられている。
硬質材料粒子は、第1のドクタブレード面と第2のドクタブレード面とにおいて、それぞれ有利にはコーティング部内に一様に分散させられている。よってコーティング部は、分散させられた硬質材料粒子に基づき、異質構造を有している。コーティング部は、ドクタブレードボディに、例えばラッカとして吹き付けられるか、スプレーされるか、ローリングされるか、塗布されるか、または別の方法で被着することができる。
本発明では、ドクタブレードの両ドクタブレード面は、硬質材料粒子の質量割合がそれぞれ異なるコーティング部を有している。よって硬質材料粒子は、ドクタブレードにかかる荷重の増大を考慮せねばならない場所に、より高い濃度で発生してよい。つまり硬質材料粒子は経済的に使用され得る。それというのも、特に硬質材料粒子は、好適にはドクタブレードに最大荷重がかかる領域においてより多く見られ、ドクタブレードの、あまり荷重がかからない領域では、硬質材料粒子を節約することができるからである。これにより、ドクタブレードの品質は実質的に変わらずに、製造費を低く抑えることができる。同時に、他方のドクタブレード面は、削減された硬質材料粒子の質量割合に基づき、より高い均質性と、ドクタブレードボディに対する改良された付着性とを有している。これにより全体としては特に、ドクタブレードのコーティング部の、より一様な摩耗も達成することができる。
特に作動中、印刷胴または紙に面している第1のドクタブレード面には、好適には作動中、印刷胴または紙基材に載置される作業エッジの端面が含まれる。つまり、硬質材料粒子の質量割合がより高いコーティング部は、厳密にはドクタブレードに最大荷重がかかる場所に設けられていてよい。しかしまた、硬質材料粒子の質量割合がより高いコーティング部は、第1の側においてさらに延び、特に第1のドクタブレード面全体を被覆していてもよい。1つの好適な実施形態では、硬質材料粒子の質量割合がより高いコーティング部は、少なくとも作業エッジの端面ひいては第1のドクタブレード面の少なくとも1つの部分領域を被覆しており、好適には第1のドクタブレード面の表面の20%超、特に好適には50%超、さらに好適には70%超において被覆している。特に好適には、コーティング部は、少なくとも作業エッジ全体を被覆している。さらに好適には、コーティング部は、作業エッジに加えて、ドクタブレードの作業エッジ周辺の別の部分領域にも被覆している。
第2のドクタブレード面には、特に作動中、印刷胴または紙とは反対の側を向く面が含まれる。第1のドクタブレード面のコーティングと第2のドクタブレード面のコーティング部との間の移行部は溶融されていてよく、この場合は、例えば、両コーティング部が被着されてから、ドクタブレードは各コーティング部の融点を上回る温度で乾燥プロセスを受けることになる。しかしまた、第1および第2のドクタブレード面の両コーティング部は、オーバラップしていてもよく、この場合、オーバラップ領域は、好適には作動中、印刷胴とは反対の側に位置しているので、ドクタブレードの品質が作動中に損なわれることはない。しかしまた、オーバラップ部は場合によっては熱的な方法ステップにおいて平滑化されてもよい。さらに第1のステップにおいて両側が、硬質材料粒子の質量割合がより低い(または硬質材料粒子無しの)コーティング部により被覆されてもよく、その上で第1のドクタブレード面は、第2のステップにおいて硬質材料粒子の質量割合がより大きなコーティング部によって被覆される。当業者には、硬質材料粒子質量割合がそれぞれ異なる各ドクタブレード面を達成するためのさらに別の方法も周知である。
本発明に基づき被覆されたドクタブレードは、高度な耐摩耗性と、これに相応して長い寿命とを有している。さらに本発明によるドクタブレードの作業エッジは、良好に安定化される。これにより、ドクタブレードと印刷胴または印刷ローラとの間に鋭角に画定された接触ゾーンが得られ、このこともやはり、印刷インキの正確な掻取りを可能にする。この場合、接触ゾーンは、印刷プロセス全体にわたって十分に安定し続ける。また、印刷プロセスの慣らし段階中の条痕形成も少ない。全体として、印刷プロセスを損なう作用はほとんど生じない。したがって本発明に基づくドクタブレードにより、印刷プロセス全体にわたって実質的に一定の印刷品質を得ることが可能である。このドクタブレードを製紙工業において、例えば掻取りブレードとして使用する場合も、やはり有利である。
さらに本発明によるドクタブレードは、一般に用いられる印刷胴または印刷ローラに対する良好な滑り特性を有しているので、本発明によるドクタブレードの使用時には、印刷胴または印刷ローラの摩耗を減少させることもできる。このことは、紙に対する滑り特性に関しても当てはまる。
1つの特別な実施形態では、第1のドクタブレード面におけるコーティング部中にも、第2のドクタブレード面におけるコーティング部中にも、硬質材料粒子が存在している。この場合、第1のドクタブレード面におけるコーティング部中の硬質材料粒子の質量割合と、第2のドクタブレード面におけるコーティング部中の硬質材料粒子の質量割合とは、特にそれぞれ0.1重量%以上であり、特に1重量%以上である。
質量割合がより高い方のコーティング部または第1のドクタブレード面に施されたコーティング部に含まれる硬質材料粒子の質量割合は、例えば0.1〜60重量%の範囲、特に1〜45重量%の範囲、好適には5〜40重量%の範囲または10〜30重量%の範囲である。このことは、特に適している、ということが判った。
第1のドクタブレード面におけるコーティング部に含まれる硬質材料粒子の質量割合の、第2のドクタブレード面におけるコーティング部に含まれる硬質材料粒子の質量割合に対する比は、特に2を上回り、好適には10を上回り、特に好適には100を上回り、特に1000を上回っている。
1つの特別な実施形態では、第1のドクタブレード面におけるコーティング部に含まれる硬質材料粒子の質量割合の、第2のドクタブレード面におけるコーティング部に含まれる硬質材料粒子の質量割合に対する比は、例えば2:1〜1000:1の範囲、特に10:1〜100:1の範囲である。
特に好適には、第1のドクタブレード面のコーティング部には硬質材料粒子が含まれているのに対して、第2のドクタブレード面のコーティング部には、実質的に硬質材料粒子は含まれていない。「実質的に硬質材料粒子は含まれていない」とは、硬質材料粒子が存在していたとしても、これらの硬質材料粒子はドクタブレードの耐摩耗性に一切または大した影響を及ぼさないことを意味する。ただしそれにもかかわらず、製造に起因して、少量の硬質材料粒子が第2のドクタブレード面に、特に不純物の形態で導入されている場合がある、ということは、当業者には自明である。これは特に、第2のドクタブレード面のコーティング部の総重量に対して1%未満、好適には0.1%未満、特に好適には0.05%未満の質量割合を意味する。特に好適には、第2のドクタブレード面のコーティング部は、硬質材料粒子を全く有していない。
複数の変化態様では、第2のドクタブレード面は、ドクタブレードの耐摩耗性にポジティブな影響を及ぼす相当な量の硬質材料粒子を有していてもよい。ただし第2のドクタブレード面は、当該方法ではあまり荷重をかけられないため、本発明では第2のドクタブレード面のコーティング部は、第1のドクタブレード面よりも低い質量割合の硬質材料粒子を有している。
好適には、第2のドクタブレード面のコーティングには粒子が全く含まれていない。つまり第2のドクタブレード面は、好適には硬質材料粒子を全く含んでおらず、例えばドクタブレードの滑り摩擦または別の特性に影響を及ぼすことができる別の粒子も全く含んでいない。第2のドクタブレード面は、はるかに小さな機械的な荷重に晒されているため、第1のドクタブレード面のみが粒子を含んでいれば十分であってよい。ドクタブレードの耐摩耗性は通常、第2のドクタブレード面のコーティング部の種類とは無関係である、ということが判った。それにもかかわらず、例えば粒子無しのポリマラックによる第2のドクタブレード面のコーティング部は、例えばドクタブレード表面を腐食から防護するためまたは美的観点からも有意であってよい。
複数の変化態様では、第2のドクタブレード面のコーティング部は、粒子を備えていてよい。これらの粒子は、例えばドクタブレードの強度、滑り特性または別の特性に影響を及ぼすことができる。
好適には、硬質材料粒子の平均的な球体積相当径は、1000ナノメートル未満、好適には500ナノメートル未満、特に好適には250ナノメートル未満である。硬質材料粒子の粒径は、有利には硬質材料粒子の各材料に適合させられる。
球体積相当径は、観察される粒子または硬質材料粒子と同じ体積を有する球の直径を表すものである。粒子が多孔質である場合、1つの粒子の体積は、好適にはこの粒子の外殻の体積に相当する。この値の平均とは、好適には粒径分布の中央値を意味する。これに関連して、以下「粒径」と言うが、これは平均的な球体積相当径を意味するものである。
複数の変化態様では、中央値の代わりに球径の算術平均が利用されるか、または球体積相当径の代わりに球表面積相当径が求められてもよい。
このような粒径でもって、本発明によるドクタブレードの摩擦学的な特性が最適化され得る。前記オーダ内の硬質材料粒子を有するドクタブレードは、ドクタブレードと印刷胴または紙基材との間の最適な接触ゾーンに、極めて良好な摩耗特性を有していることが判った。
原則として、粒径は1000ナノメートルより大きく選択されてもよい。ただし層厚さが極度に小さい場合には、このことはドクタブレードと印刷胴もしくは紙基材との間の接触ゾーンの質にネガティブな作用を及ぼすことがある。
好適には、硬質材料粒子の平均的な球体積相当径は1nmよりも大きく、特に好適には25nmよりも大きく、さらに好適には50nmよりも大きい。これにより、ドクタブレードの最適な耐摩耗性が達成されることが判った。コーティング部の厚さに応じて、より小さな球径も考慮され得る。
硬質材料粒子の体積割合は、好適には5〜30%、特に好適には15〜20%である。このような量において、作業エッジの摩耗特性および安定性に関する大幅な改良が達成される。
より低い体積割合も確かにやはり可能ではあるが、一般にあまり満足のいく耐摩耗性の改良は見られない。添加物成分の極度に高い体積割合もやはり、ドクタブレードの特性に対してネガティブな作用を及ぼすことがある。ただし特別な用途については場合により、30%より高い体積割合も適している。
コーティング部内に好適には分散させられる硬質材料粒子は、特に金属、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金属ホウ化物、セラミックスおよび/または金属間相であってよい。
特に好適には、硬質材料粒子は次の物質、すなわち:金属酸化物、特に酸化アルミニウムおよび/または酸化クロム;ダイヤモンド、炭化ケイ素、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、炭化ホウ素、立方晶のBN、炭化タングステンのうちの少なくとも1つを含んでいる。これらの物質は、特にポリマを含むコーティング部に関連して、コーティング部の摩耗特性の改良に関して特に有効であるということが判った。この場合、コーティング部は1種類のみの硬質材料粒子を含んでいてもよい。
1つの有利な変化態様では、硬質材料粒子は、少なくとも2つの異なる物質から成る、種々様々な粒子を含んでいる。判明したように、これによりドクタブレードの耐摩耗性および品質を予想よりもはるかに大幅に改良する相乗効果が惹起され得る。さらに、硬質材料粒子が少なくとも2つのそれぞれ異なる平均粒径を有する、それぞれ異なる粒子を含んでいると、有利であってよい。
さらに適しているのは、とりわけWSi2,Fe2O3,TiO2,ZrO2,ThO2,SiO2,CeO2,BeO2,MgO,CdO,UO2,TiC,VC,ZrC,TaC,Cr3C2,ZrB2,TiN,Si3N4,ZrB2,TiB2の列を代表するものである。しかしまた別の例えば金属有機粒子も、ドクタブレードの摩耗特性を改良するための添加物成分として可能である。さらに硬質材料粒子として、別の金属窒化物、金属炭窒化物、金属ホウ化物、セラミックスおよび/または金属間相が想定されていてもよい。さらに、硬質材料粒子は金属粒子を含んでいてもよい。例えばW,Ti,Zr,Moおよび/または鋼から成る金属粒子が適している。当業者には、硬質材料粒子に加工可能な別の金属も知られている。この場合、金属粒子は単独で、他の金属粒子と組み合わされて、かつ/または別の硬質材料粒子と組み合わされて使用され得る。さらに、複数の金属合金から成る硬質材料粒子も使用され得る。
特に適しているのは、金属のモリブデンから成る金属粒子であることが判った。ポリマをベースとし、内部にモリブデンから成る金属粒子が分散させられたコーティング部を備えたドクタブレードは、極めて高度な耐摩耗性と、これに相応して長い寿命をも有している。この場合、このようなドクタブレードの作業エッジは、ドクタブレードと印刷胴もしくは印刷ローラとの間に鋭角に画定された接触ゾーンを有しており、このことは、印刷インキのより正確な掻取りを可能にする。1つのさらに好適な変化態様では、金属粒子は、0.01〜0.9μmの平均的な球体積相当径と、5〜30%の、特に好適には15〜20%の体積割合とを有している。
ポリマをベースとし、内部に金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金属ホウ化物、セラミックスおよび/または金属間相が分散させられたコーティング部を備えたドクタブレードは、特にポリマを含むまたはポリマをベースとしたコーティング部に関連して、高度な耐摩耗性と、これに相応して長い寿命をも有している。この場合、このような硬質材料粒子はとりわけコーティング部内に安定的に埋め込むことができ、かつドクタブレードボディと共に耐摩耗性の複合体を形成する。これにより、コーティング部の強度を全体的に改良することができると同時に、このようなドクタブレードの作業エッジは、ドクタブレードと印刷胴もしくは印刷ローラとの間に鋭角に画定された接触ゾーンを示し、このこともやはり、印刷インキのより正確な掻取りを可能にする。同じことは、製紙における使用にも当てはまる。
特に次の金属炭化物および/または金属窒化物、すなわちB4C、立方晶のBN、TiC、WCおよび/またはSiCが特に適しているということが判った。金属酸化物の場合は、特にAl2O3が有利である。
ただし硬質材料粒子は、必ずしも金属粒子、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金属ホウ化物、セラミックスおよび/または金属間相の形態で存在していなくてもよい。基本的に、硬質材料粒子としては別の物質から成る粒子も考慮される。
1つの有利な変化態様では、硬質材料粒子はダイヤモンドを含んでいる。この場合、好適には、単結晶構造および/または多結晶構造を有するダイヤモンドが使用される。ダイヤモンドから成る硬質材料粒子は、本発明によるドクタブレードにおいて特に有利であることが判っており、特にドクタブレードの作業エッジの耐摩耗性および安定化のさらなる改良をもたらす。このことは、とりわけダイヤモンドの高い硬度ならびに化学的かつ機械的な安定性に起因するものと見なしてよい。
しかし明らかになったように、原則としては、単結晶構造および/または多結晶構造を有するダイヤモンドから成る硬質材料粒子に代えてまたは加えて、非晶質ダイヤモンド状炭素(”diamond-like carbon”;”DLC”)から成る粒子を使用することも可能である。有利には、非晶質ダイヤモンド状炭素は高いsp3混成成分を有しており、これにより十分な硬度が与えられている。それどころかドクタブレードの用途に応じて、非晶質ダイヤモンド状炭素は複数の利点すら有していてよい。一般に、非晶質ダイヤモンド状炭素はさらに、ダイヤモンドよりも廉価である。
特に好適には、硬質材料粒子にはSiCとダイヤモンドの両方が含まれ、この場合、さらに好適には、SiCの粒径は、ダイヤモンドの粒径よりも大きくなっている。この場合、特に硬質材料粒子には0.7〜0.9μmの粒径を有するSiCおよび5nm〜0.9μm、好適には200〜300nmの粒径を有するダイヤモンドが含まれる。
しかしまた、SiCおよびダイヤモンドの粒径を、例えばダイヤモンドの粒径がSiCの粒径と同じであるか、またはより大きくなるように、異なって選択することも可能である。さらに、硬質材料粒子の別の組み合わせも可能であり、この場合は2よりも多くの、例えば3または4以上の種々様々な硬質材料粒子が互いに組み合わされてもよい。
本発明の1つの別の好適な変化態様では、硬質材料粒子には、例えばSiCと立方晶のBNの両方が含まれており、この場合好適には、BNの粒径はほぼ、SiCの粒径に相当する。この場合、特に好適には、SiCおよび立方晶のBNの粒径は、約0.1〜0.9μmである。
さらに、特定の用途に関しては耐摩耗性を改良するために、コーティング部に潤滑剤、特に潤滑粒子が含まれていると有利である、ということが判った。これにより追加的に、掻取り時に摩耗を減少させる潤滑作用が得られる。潤滑剤または潤滑粒子としては、基本的にドクタブレードと印刷胴との間の滑り摩擦を減少させ、この場合は特に十分に安定的な物質が考慮されるので、印刷胴の損傷または汚染が生じることは一切ない。
考慮されるのは、例えばポリマの熱可塑性樹脂、例えばペルフルオロアルコキシアルカンおよび/またはポリテトラフルオロエチレン、ならびにグラファイト、二硫化モリブデンおよび/または例えばアルミニウム、胴および/または鉛等の軟金属である。
良好に適した潤滑剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。ポリテトラフルオロエチレンは、好適には潤滑粒子の形態で使用される。
特にポリマの熱可塑性樹脂の使用には、また別のポリマの場合でも、これらの潤滑剤は特に良好にコーティング部のマトリックス中に組み込まれる、という利点がある。それというのも、特に本発明によるコーティング部はポリマをベースとしているからである。
しかしまた、六方晶のBNも潤滑剤として特に有利であるということが判った。これは特に粒子形態である。明らかになったように、潤滑剤、特に六方晶のBNから成る潤滑粒子でもって、種々様々な印刷胴と共に複数回使用した場合にドクタブレードの耐摩耗性を改良することができた。このことは特に、掻取り時の方法パラメータとはほぼ無関係である。換言すると、六方晶のBNは、とりわけ他方面において使用可能な効果的な潤滑剤である、ということが判った。
潤滑粒子、特に六方晶のBNから成る潤滑粒子は、有利には50nm〜0.9μm、好適には80〜300nm、さらに好適には90〜110nmの粒径を有している。これにより、複数回の使用に関して最適な効果が達成されることになる。ただし原則として、特定の用途に関しては別の粒径が適していてもよい。
1つの特に好適な実施形態では、コーティング部中に耐摩耗性改良用の添加剤として、潤滑剤、特に潤滑粒子と、硬質材料粒子の両方が存在している。この場合、理想的には、六方晶のBNから成る潤滑粒子が、SiCから成る硬質材料粒子と共に用いられる。
1つの別の有利な実施形態では、ポリマを含むコーティング部は、有利には50重量%未満、特に25重量%未満、好適には10重量%未満、特に5重量%未満、極めて特に好適には2重量%未満、極めて特に1重量%未満または0.1重量%未満の粒子状の潤滑剤を有している。この場合は特に、粒子状の有機潤滑剤、極めて特に粒子状のポリマをベースとした潤滑剤、例えば粒子状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
1つの特別な実施形態では、コーティング部は全体的に、有利には50重量%未満、特に25重量%未満、好適には10重量%未満、特に5重量%未満、極めて特に好適には2重量%未満、極めて特に1重量%未満または0.1重量%未満の粒子状の潤滑剤を有している。特にドクタブレードのコーティング部は全体として、粒子状の潤滑剤を実質的に有していない。
ポリマを含むコーティング部またはポリマをベースとしたコーティング部に基づき、ドクタブレードの滑り特性および掻取り特性が著しく悪化されること無く、必要であれば潤滑剤を省くことができる。このことは、製造を大幅に簡略化する。ポリマを含むコーティング部は、大抵の用途において既に極めて良好な滑り特性および掻取り特性を示しており、これらの特性は、部分的には従来のドクタブレードにおけるよりも良好ですらあり、場合によっては非粒子状の潤滑剤により簡単に、さらに向上され得る。
1つの別の実施形態では、コーティング部は硬質材料粒子に加えて、コーティング部補強用の繊維を含んでいる。繊維には、例えば炭素繊維またはプラスチック繊維等が含まれていてよい。
コーティング部の層厚さは、好適には1〜30μm(マイクロメートル)である。さらに好適には、層厚さは5〜20μm、特に好適には5〜10μmである。このような層厚さは、ドクタブレードの作業エッジの最適な防護手段を提供する。さらにこのように設定された層厚さは、高い自己安定性を有しており、このことは例えば印刷胴から印刷インキを掻き取る間に第1のコーティング部が部分的にまたは完全に剥離することを効果的に減少させる。
1μm未満の厚さも確かに可能ではあるが、この場合は作業エッジもしくはドクタブレードの耐摩耗性が急速に低下する。30μmを上回る厚さも実現可能である。ただし一般に、この厚さはあまり経済的でなく、場合によっては作業エッジの品質にネガティブな影響を及ぼす恐れがある。ただしドクタブレードの特別な使用分野に関しては、1μm未満または30μmを上回る厚さが完全に有利であってもよい。
1つの特に好適な実施形態では、ドクタブレードは、ポリマを含むコーティング部と共に、最高3つ、特に最高2つ、好適には最高1つの別のコーティング部を有しており、特に別のコーティング部を全く有していない。極めて特に好適には、ドクタブレードのコーティング部は唯一、ポリマを含むコーティング部から成っており、任意に接着コーティング部からも成っている。このことは、一方では製造を簡略化し、他方では追加的なコーティング部を少数有するまたは全く有さないコーティング部は、特に信頼性がありかつ丈夫である、ということが判った。このようにして、それぞれ異なるコーティング部間の不適合性を減少させる、または完全に回避することができる。
しかしまた、特別な用途に関しては、別のコーティング部の構成が有利であってもよい。
好適には、ドクタブレードボディは、金属または金属合金から形成されている。特に有利には、ドクタブレードボディは、丈夫で耐食性の金属から成っている。特にこれらの理由から、アルミニウムから成るドクタブレードボディが特に有利である。しかしまた、ドクタブレードボディはさらに別の金属、例えば鉄等から製造されていてもよい。しかしまた、ドクタブレードは金属合金から製造されていてもよく、これにより、ドクタブレードの所望の特性を最適に制御することができる。ドクタブレードボディの材料選択は、好適にはコーティング部に合わせられており、これにより、ドクタブレードの最適な耐摩耗性ひいては最大限の寿命が達成され、かつ精密な掻取りが可能になる。
複数の変化態様では、ドクタブレードボディの製造に別の材料が使用されてもよい。
1つの特に好適な実施形態では、ドクタブレードボディは鋼から成っている。鋼は、機械的な観点において、本発明によるドクタブレードにとって特に丈夫で適した材料である、ということが判った。これにより、長い寿命を有する精密なドクタブレードを廉価に製造することができる。
しかしながら鋼の代わりに、例えば別の金属または金属合金が基体として使用されてもよい。
この場合、好適には基体の長手方向に存在する少なくとも1つの周面領域は、完全に周囲をコーティング部により覆われている。これにより少なくとも、基体の作業エッジ、上面、下面および作業エッジとは反対の側を向く後部端面が、コーティング部により覆われていることになる。基体の長手方向に対して垂直に存在する側面は、被覆されていなくてもよい。しかしまた本発明の枠内では、第2のコーティング部が基体の全側面を完全に覆っている、つまり基体の長手方向に対して垂直に存在する側面も、複数のコーティング部のうちの1つにより覆われている。この場合、少なくとも1つのコーティング部は、基体を完全に包囲している。
少なくとも基体の長手方向に存在する周面領域が完全に周囲をコーティング部により覆われていることで、作業エッジに属さない基体の主要領域にもコーティング部が施されていることになる。このことは、水をベースとしたまたはやや酸性の印刷インキおよび/またはドクタブレードと接触する別の液体から気体を防護するために、特に有利である。特に鋼から成る基体の場合には、ドクタブレードにとって最適な防錆手段が達成されることになる。これにより、印刷プロセス中の印刷品質の不変性が大幅に改良される。それというのも、印刷プロセス中にドクタブレードと接触する印刷胴もしくは印刷ローラが、例えば錆粒子によって汚染されることはないからである。さらに基体は、周面領域に被着されたコーティング部により、錆形成に対して保管中および/または搬送中も可能な限り良好に防護されている。
しかし本発明の1つの別の態様では、ドクタブレードは機械的な最大荷重が生じる場所、特に作業エッジとその周辺領域だけを被覆されている。これにより、コーティング部を廉価に抑えることができる。この変化態様は、特にドクタブレードの使用領域に対して実質的に化学的に不活性のドクタブレードボディにおいて、特に有利である。つまり例えば、ステンレス鋼またはアルミニウムから成るドクタブレードボディは、場合により作業エッジの領域のみ被覆されているか、または作動中、印刷胴とは反対の側を向く面は被覆されていなくてもよい。これにより、製造時の材料費を削減することができる。
1つの別の好適な実施形態では、ドクタブレードボディは、プラスチックまたはプラスチック材料から形成されている。特別な用途に関しては、鋼から成る基体に比べてプラスチックから成る基体の方が、その種々様々な機械的および化学的特性に基づき、部分的により有利である、ということが判った。例えば考慮されるプラスチックのうちのいくつかは、典型的な水をベースとしたやや酸性の印刷インキに対して、十分な化学的な安定性または不活性度を有しているので、鋼から成る基体の場合のように、基体を特別に防護する必要はない。さらに、プラスチックは仕入れが廉価であると共に、加工も容易である。さらに、プラスチックの方がより軽く、ひいては使用においても、特に印刷機の保守整備の際の取扱い等においても好まれる。プラスチックから成るドクタブレードボディはさらに、ポリマをベースとしたコーティング部によって被覆した場合、良好な特性を有している。つまりこのドクタブレードボディは、金属から成るドクタブレードボディの場合のように純粋に接着性を有しているだけでなく、場合によっては化学的にもコーティング部と結合され得るか、またはコーティング部と共に相境界において熱的にも溶融され得る。
プラスチック材料としては、例えば複数のポリマ材料が考慮される。これらはとりわけ、熱可塑性のポリマ材料、熱硬化性のポリマ材料および/またはエラストマのポリマ材料であってよい。適当なプラスチックは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、非晶ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンおよび/またはポリウレタンである。また、ポリママトリックス補強用繊維を有する複合構造体も可能である。
ただし基本的には、例えば金属、特に鋼とプラスチックの両方から成る基体も使用され得る。また、特別な用途に関しては別の材料、例えばセラミックおよび/または複合材料を有する基体も、場合により適していてよい。
好適には、ドクタブレードボディは被覆前に加熱される。これにより一方では、ドクタブレードボディは被覆のために乾燥していることが保証される。このようにして、コーティング部が後に、例えばコーティング部の下のドクタブレードボディの腐食により、ドクタブレードボディから剥離することを防ぐことができる。さらにこれにより、コーティング部が最適にドクタブレードボディに付着するまたはドクタブレードボディと結合することが達成される。よってポリマをベースとしたコーティング部は、ドクタブレード上では比較的低い粘度を有しており、これにより条痕または液滴を形成すること無く、コーティング部を一様に分散させることができるようになっている。被着されるべきコーティング材料が溶剤を含む場合には、これにより乾燥過程がさらに支援され得る。
複数の変化態様では、被覆前のドクタブレードボディの加熱は省かれてもよい。
さらに、ドクタブレードボディが被覆前に粗面化されると、特に機械的に粗面化されると有利であってよい。これにより、ドクタブレードボディとコーティング部との間の付着をさらに大幅に改良することができる。ただしこのことは必須ではない。
特に、ポリマを含むコーティング部によりドクタブレードボディを被覆する前に、接着コーティング部が被着されてよい。このことは、粗面化に加えてまたは粗面化の代わりに行うことができ、同様に、ドクタブレードボディまたは場合によっては既に被着された層と、本発明に基づくコーティング部との間の接着の改良を可能にする。
接着コーティングを被着した後で、ポリマを含むコーティング部によりドクタブレードボディを被覆する前には、さらに中間乾燥ステップが任意に行われてもよい。このことは、接着コーティング部次第であり有利であってよい。
好適には、ドクタブレードボディは被覆前に、機械的かつ/または電気分解的に脱脂される。好適には、電解脱脂である。これによりやはり、コーティング部とドクタブレードボディとの間の最適な結合が達成される。ドクタブレード上に存在する不純物、特に油脂を含む不純物は、コーティング部とドクタブレードボディとの間の付着を妨害して傷つきやすくする恐れがある。
複数の変化態様では、電解脱脂が省かれてもよい。この場合には別の浄化ステップ、例えば洗浄溶液、例えば有機溶剤または石鹸水等による浄化ステップが用いられてよい。
好適には、ドクタブレードは陽極として接続されて電解脱脂され、これにより油脂が陽イオンによりドクタブレードボディから除去される。いわゆる陽極脱脂の場合には、油脂層の下のドクタブレードボディに酸素が形成され、この酸素が油脂層を剥離させる。陽極脱脂は、特に陰極脱脂に比べると、水素脆性が回避され得る、という利点を有している。したがって、特に鋼から成るドクタブレードの場合には、ドクタブレードボディを傷めないようにするために、陰極脱脂に比べて高い所要電流が意図的に甘受される。
脱脂は、択一的には電極を交換して陰極脱脂として実施されてもよい。このことは、油脂層の下に水素が形成されることにより、同じ電流量でも2倍のガス体積が得られる、という利点を有している。ただしこの場合、場合によっては水素脆性を甘受せざるを得ない。しかしながら、水素脆性の影響を受けないドクタブレードボディの場合には、より少ない消費電力において、より効率的な脱脂を得るために、陰極脱脂を難なく選択することができる。さらに、両方の技術を順次適用してもよい。
好適には、ドクタブレードボディの被覆後に乾燥ステップが行われ、この場合特に、乾燥ステップの後に硬化ステップが続く。乾燥ステップでは、場合により被覆中に存在する溶剤が慎重に除去されてよい一方で、硬化ステップではさらに、微小量の残りの溶剤も除去されて、コーティング部の構造が硬化させられる。この場合、硬化ステップは純粋に熱的なものであってよい、すなわち、例えばコーティング部はドクタブレードボディと共に、またはドクタブレードボディ上で結合されてよい。他方では、硬化ステップにより化学的なプロセスが進行させられてもよい。これには例えば、UV光線により進行させられる重合が含まれていてよい。当業者には、ポリマをベースとしたコーティング部に続くことができる別のステップも周知である。
複数の変化態様では、乾燥ステップおよび/または硬化ステップを省いてもよい。
好適には、硬化ステップは150℃〜350℃、好適には200℃〜300℃、特に230℃〜270℃の温度で行われる。特にこれらの温度は、0.5〜15時間、好適には0.5〜8時間の保持時間の間、保たれる。このような温度および保持時間は、コーティング部の十分な硬度を得るために最適である、ということが判った。
100℃未満の温度も同様に可能である。ただしこの場合には、極めて長い、大抵は不経済な保持時間が必要とされている。350℃より高い温度も、基体およびコーティング部の材料に応じて、原則として実現可能であるが、注目すべきなのは、特にポリマを含むコーティング部は、硬化ステップにより損傷されない点である。
好適には、硬化ステップにおける完全な硬化後に、コーティング部は後処理される。この場合、特に好適には機械的な後処理および/または洗浄である。例えばコーティング部の研削、ラップ仕上げまたは研磨等の機械的な加工、あるいはカッタまたはフライス等の適当な工具を使用した処理が行われてよい。
複数の変化態様では、後処理を省いてもよい。
以下の詳細な説明および全ての特許請求項から、本発明の別の有利な実施形態および特徴の組み合わせが明らかになる。
実施例の説明に用いられる図面は:
本発明による第1の薄板ドクタブレードの横断面図であって、薄板ドクタブレードの作業エッジは、ポリマをベースとしたコーティング部と、その内部に分散させられた硬質材料粒子とで被覆されている。
本発明による第2の薄板ドクタブレードの横断面図であって、薄板ドクタブレードの作業エッジは、ポリマをベースとしたコーティング部と、その内部に分散させられた硬質材料粒子とで被覆されている。
本発明による第3の薄板ドクタブレードの横断面図であって、薄板ドクタブレードは全体が、ポリマをベースとしたコーティング部と、その内部に分散させられた硬質材料粒子とで被覆されている。
ドクタブレードを製造する、本発明による方法を示す概略図である。
基本的に各図面において、同じ構成部材には同じ符号を付してある。
発明を実施する方法
図1には、印刷ローラ170に接触している、本発明による薄板ドクタブレード100が横断面図で示されている。薄板ドクタブレード100は、鋼から成る基体110を有しており、基体110は、図1の左側に、実質的に矩形横断面を備えた後部領域120を有している。この場合、後部領域120は、薄板ドクタブレードを例えば印刷機の相応の支持装置に保持するために、取付け領域として設けられている。後部領域の上面121から下面122までを測定したドクタブレード厚さは、約0.2mmである。図平面に対して垂直に測定した、基体110もしくは薄板ドクタブレード100の長さは、例えば1000mmである。印刷ローラ170は、時計回りまたは反時計回りの回転方向171を有していてよい。フレキソ印刷において使用する場合には、両回転方向が可能である。グラビア印刷では、印刷ローラは本配置形式において時計回りに回転させられる。
図1には、印刷ローラ170に接触している、本発明による薄板ドクタブレード100が横断面図で示されている。薄板ドクタブレード100は、鋼から成る基体110を有しており、基体110は、図1の左側に、実質的に矩形横断面を備えた後部領域120を有している。この場合、後部領域120は、薄板ドクタブレードを例えば印刷機の相応の支持装置に保持するために、取付け領域として設けられている。後部領域の上面121から下面122までを測定したドクタブレード厚さは、約0.2mmである。図平面に対して垂直に測定した、基体110もしくは薄板ドクタブレード100の長さは、例えば1000mmである。印刷ローラ170は、時計回りまたは反時計回りの回転方向171を有していてよい。フレキソ印刷において使用する場合には、両回転方向が可能である。グラビア印刷では、印刷ローラは本配置形式において時計回りに回転させられる。
図1の右側において、基体110は作業エッジ130を形成するように、後部領域120の上面121から段状に先細になっている。作業エッジ130の上面131は、後部領域120の上面121の平面の下側の平面上に位置しており、後部領域120の上面121に対して実質的に平行にもしくは平行平面的に形成されている。後部領域120と作業エッジ130との間には、凹面状に加工成形された移行領域125が存在している。後部領域120の下面122と作業エッジ130の下面132とは、後部領域120の上面121に対して平行平面的にかつ作業エッジ130の上面131に対して平行平面的に形成された、1つの共通の平面内に位置している。後部領域の端部から作業エッジ130の端面140までを測定した基体110の幅は、例えば40mmである。作業領域の上面131から下面132までを測定した作業領域130の厚さは、例えば0.060〜0.150mmであり、これはおよそ、後部領域120におけるドクタブレード厚さの1/2に相当する。作業領域130の上面131において端面140から移行領域125までを測定した作業領域130の幅は、例えば0.8〜5mmである。
作業エッジ130の自由端部の自由端面140は、作業エッジ130の上面131から斜め下の作業エッジ130の下面132に向かって延びている。端面140は作業エッジ130の上面131もしくは作業エッジ130の下面132に対して、約45°もしくは135°の角度を有している。作業エッジ130の上面131と端面140との間の上部移行領域は、丸く面取りされている。同様に、作業エッジ130の端面140と下面132との間の下部移行領域も、丸く面取りされている。
薄板ドクタブレード100の作業エッジ130は、さらにコーティング部150により包囲されている。コーティング部150は、作業エッジ130の上面131と、移行領域125と、移行領域125に続く、基体110の後部領域120の上面121の部分領域とを完全に被覆している。同様にコーティング部150は、端面140と、作業エッジ130の下面132と、作業エッジ130の下面に続く、基体110の後部領域120の下面122の部分領域をも被覆している。
コーティング部150は、ポリマをベースとしたコーティング部であり、このコーティング部は例えばエポキシ樹脂を含んでおり、この場合、使用可能な状態のコーティング部中のエポキシ樹脂量は、ドクタブレードの各面に応じて、例えば約70重量%または80重量%である(下記参照)。その内部には、例えば炭化ケイ素(SiC)から成る硬質材料粒子160が分散させられている。硬質材料粒子160の平均粒径は、約0.8μmである。第1のコーティング部150の層厚さは、作業エッジ130の領域では例えば15μmである。後部領域120の上面121および下面122の領域では、第1のコーティング部150の層厚さは連続的に減少しており、第1のコーティング部150は、作業エッジ130から離反する方向に楔状に延びている。
硬質材料粒子160の質量割合は、ドクタブレード100の、印刷ローラに面した第1の面のコーティング部内の方が、ドクタブレードの、印刷ローラとは反対の側を向く第2の側のコーティング部内よりも高くなっている。第1の側には、端面140ならびに作業エッジ130の下面132が含まれる。第2の側には、作業エッジ130の上面131が含まれる。硬質材料粒子160の質量割合は、第1の側のコーティング部内で例えば20重量%であり、エポキシ樹脂の質量割合は、同じ側のコーティング部内で例えば70重量%である。硬質材料粒子160の質量割合は、第2の側のコーティング部内では例えば10重量%であり、エポキシ樹脂の質量割合は、同じ側のコーティング部内で例えば80重量%である。つまり、ドクタブレード100の第2の側は、ドクタブレード100の第1の側よりも少ない含有量の硬質材料粒子160を有している。
よって第1の面、すなわち印刷ローラ170に面した面には、ドクタブレード100と印刷ローラ170との間の接触領域、とりわけ端面140が含まれる。さらに第1の面には、ドクタブレードの接触領域における接線と90°未満の角度を成しているドクタブレードの表面122も含まれる。同じ解釈は、後続の図2および図3にも当てはまる。
図2には、本発明による第2の薄板ドクタブレード200が横断面図で示されている。第2の薄板ドクタブレード200は、後部領域220と作業エッジ領域230とを備えた基体210を有しており、図1に示した第1の薄板ドクタブレード100と実質的に同じ構成である。第2の薄板ドクタブレード200の場合も同様に、作業エッジ230の上面231と、移行領域225と、これに続く基体210の後部領域220の上面221の部分領域、ならびに端面240と、作業エッジ230の下面232と、作業エッジ230の下面232に続く、基体210の後部領域220の下面222の部分領域とは、コーティング部250により被覆されている。
コーティング部250もやはり、ポリマをベースとしたコーティング部、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂から成っている。ドクタブレード200の、印刷ローラに面した第1の面のコーティング部は硬質材料粒子260を含んでいるのに対して、ドクタブレードの、印刷ローラとは反対の側を向く第2の面のコーティング部は、硬質材料粒子を全くまたはほぼ全く含んでいない。この場合もやはり、第1の側には端面240と、作業エッジ230の下面232とが含まれる。第2の側には、作業エッジ230の上面231が含まれる。硬質材料粒子は、例えば立方晶のB4Cである。
ドクタブレード200の第1の側において、使用可能な状態のコーティング部は、例えば80重量%の、フェノールホルムアルデヒド樹脂の含有量を有している。さらに第1の側のコーティング部は、15重量%の、立方晶のB4Cの含有量を有している。ドクタブレード200の第2の側は、例えば95重量%の、フェノールホルムアルデヒド樹脂の含有量を有している。ドクタブレード200の第2の側は、実質的に粒子を有していない。
硬質材料粒子260の平均粒径は、約0.6μmである。第1のコーティング部250の層厚さは、作業エッジ230の領域では例えば17μmである。
図3には、本発明による第3の薄板ドクタブレード300が横断面図で示されている。第3のドクタブレード300は、作業エッジ330の領域において図1に示した第1のドクタブレードと同様にコーティング部350により被覆された基体310を有している。これに相応して、作業エッジ330の上面331と、移行領域325と、これに続く、基体310の後部領域320の上面321の部分領域、ならびに端面340と、作業エッジ330の下面332と、作業エッジ330の下面332に続く、基体310の後部領域320の下面322の部分領域とが、コーティング部350により被覆されている。
第3の薄板ドクタブレードに設けられたコーティング部350は、薄板ドクタブレード300を完全に包囲している。換言すると、コーティング部350は、基体310の後部領域320の上面321と下面322の両方共を完全に被覆している。
コーティング部350もやはり、ポリマをベースとしたコーティング部、例えばポリアミドから成っている。ドクタブレード300の、印刷ローラに面した第1の面のコーティング部は硬質材料粒子360を含んでいるのに対して、ドクタブレードの、印刷ローラとは反対の側に位置する第2の面のコーティング部は、硬質材料粒子を全くまたはほぼ全く含んでいない。この場合、第1の面にはやはり、端面340と、作業エッジ330の下面332とが含まれる。第2の側には、作業エッジ330の上面331が含まれる。硬質材料粒子は、例えばタングステン粒子である。
ドクタブレード300の第1の面において、使用可能な状態のコーティング部は、例えば85重量%の、ポリアミドの含有量を有している。さらに第1の面のコーティング部は、8重量%の、タングステン粒子の含有量を有している。ドクタブレード300の第2の面は、例えば93重量%の、フェノールホルムアルデヒド樹脂の含有量を有している。ドクタブレード200の第2の面も、やはり実質的には粒子を有していない。
硬質材料粒子360の平均粒径は、約0.3μmである。第1のコーティング部350の層厚さは、作業エッジ330の領域では例えば12μmである。
上述の、図1〜図3に示した薄板ドクタブレードは単に、多数の実現可能な実施の形態の説明的な例であるに過ぎない、と理解される。
図4には、例えば図1に図示したような薄板ドクタブレードを製造する方法400が示されている。この場合は第1のステップ401において、ドクタブレードは電解脱脂される。このときドクタブレード100は、電解脱脂用に陽極として接続され、これにより、ドクタブレードボディ110から油脂が除去される。陽極を用いた電解脱脂により、水素脆性が回避される。次いでドクタブレードボディ110は加熱される。第2のステップ402において、ポリマをベースとした被覆材料による被覆が行われ、この被覆材料中には硬質材料粒子および場合により別の粒子が分散させられており、かつ/または別の補助材料が添加されている。最後のステップ403では、乾燥・硬化ステップが行われる。
ただし、上述した実施の形態および製造方法は単に、本発明の枠内で任意に変更され得る説明的な例であるに過ぎない、と理解される。
つまり、図1〜図3に示したドクタブレードの基体110,210,310は、例えばステンレス鋼または炭素鋼等の別の材料から製造されていてもよい。しかしまた基本的に、図1〜図3に示したドクタブレードの基体は、例えばプラスチック等の非金属材料から成っていてもよい。このことは特に、フレキソ印刷での使用に関して有利であってよい。
図1〜図3に示した基体の代わりに、それぞれ別の形状を有する基体を用いることも可能である。特に基体は、楔形の作業エッジまたは丸く面取りされた作業エッジを備える非先細の横断面を有していてもよい。作業エッジ130,230,330の自由端面140,240,340は、例えば完全に丸く面取りされて加工成形されていてもよい。
さらに、図1〜図3に示した本発明によるドクタブレードの寸法設定は、異なっていてもよい。つまり例えば、作業領域130,230,330の、各上面131,231,331から各下面132,232,332までを測定した厚さは、例えば0.040〜0.200mmの範囲で可変である。
同様に、図1〜図3に示したドクタブレードのコーティング部も、別のコーティング成分および/または付加的な物質、例えば金属原子、非金属原子、無機化合物および/または有機化合物等を含有していてよい。特に、種々様々な潤滑剤またはコーティング部の硬さに影響を及ぼす物質が想定されていてよい。この場合、付加的な物質は粒子状であってもよい。
図1〜図3に示した全てのドクタブレードは、例えば1つまたは複数の別のコーティング部により被覆されてもよい。別のコーティング部は、作業エッジおよび/または後部領域の範囲に設けられていてよく、例えば作業エッジの耐摩耗性を改良しかつ/または後部領域を、腐食性の化学物質による影響から防護することができる。可能な別のコーティング部も、好適にはやはりポリマをベースとしている。しかしまた、複数の変化態様においては別のタイプのコーティング部が使用されてもよい。
まとめると、良好な耐摩耗性の点において優れており、かつ寿命全体にわたり、印刷インキの一様で条痕の無い掻取りを可能にし、さらに製造が廉価な新規のドクタブレードが達成された、ということが確認される。さらに、本発明によるドクタブレードは種々様々な実施形態において実現され得るので、特定の用途に的確に適合させることができる。
Claims (17)
- 作業エッジ(130)と、特に作動中、印刷胴に面している第1のドクタブレード面(122)と、特に作動中、前記印刷胴とは反対の側を向く第2のドクタブレード面(121)とを備えたドクタブレードボディ(110)を有しており、該ドクタブレードボディ(110)には、ポリマを含むコーティング部(150)が設けられており、該コーティング部(150)は、少なくとも1つの部分領域に粒子(160)を含んでいる、特に印刷胴から印刷インキを掻き取るためのドクタブレード(100)であって、
前記粒子(160)は、硬質材料粒子(160)として形成されており、前記第1のドクタブレード面(122)における前記コーティング部(150)内の前記硬質材料粒子(160)の質量割合は、前記第2のドクタブレード面(121)における前記コーティング部(150)内の前記硬質材料粒子(160)の質量割合よりも高いことを特徴とする、ドクタブレード(100)。 - 前記第1のドクタブレード面(122)の前記コーティング部(150)は、前記硬質材料粒子(160)を含み、前記第2のドクタブレード面(121)の前記コーティング部(150)は、実質的に前記硬質材料粒子(160)を含んでいない、請求項1記載のドクタブレード(100)。
- 前記第2のドクタブレード面(121)の前記コーティング部(150)は、粒子を一切含んでいない、請求項2記載のドクタブレード(100)。
- 前記硬質材料粒子(160)の平均的な球体積相当径は、1000ナノメートル未満、好適には500ナノメートル未満、特に好適には250ナノメートル未満である、請求項1から3までのいずれか1項記載のドクタブレード(100)。
- 前記硬質材料粒子(160)は、次の物質、すなわち:
a)金属酸化物、特に酸化アルミニウムおよび/または酸化クロム;
b)ダイヤモンド;
c)炭化ケイ素;
d)金属炭化物;
e)金属窒化物;
f)金属炭窒化物;
g)炭化ホウ素;
h)立方晶窒化ホウ素;
i)炭化タングステン
のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1から4までのいずれか1項記載のドクタブレード(100)。 - 前記ドクタブレードボディ(110)は、金属または金属合金から形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のドクタブレード(100)。
- 前記ドクタブレードボディ(110)は、鋼から成っている、請求項6記載のドクタブレード(100)。
- 前記ドクタブレードボディ(110)は、プラスチックから形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のドクタブレード(100)。
- ドクタブレード(100)、特に請求項1から8までのいずれか1項記載のドクタブレード(100)を製造する方法であって、作業エッジ(130)を備えたドクタブレードボディ(110)において、特に作動中、印刷胴に面している第1のドクタブレード面(122)、および、特に作動中、印刷胴とは反対の側を向いている第2のドクタブレード面(121)に、ポリマを含み、少なくとも1つの部分領域に粒子(160)を有するコーティング部(150)を被覆する方法において、
前記粒子(160)は、硬質材料粒子(160)として形成されており、前記第1のドクタブレード面における前記コーティング部(150)内の前記硬質材料粒子(160)の質量割合は、前記第2のドクタブレード面における前記コーティング部(150)内の前記硬質材料粒子(160)の質量割合よりも高いことを特徴とする、ドクタブレード(100)を製造する方法。 - 前記ドクタブレードボディ(110)を被覆前に加熱する、請求項9記載の方法。
- 前記ドクタブレードボディ(110)を被覆前に粗面化する、請求項9または10記載の方法。
- 前記ドクタブレードボディ(110)を被覆前に機械的かつ/または電気分解的に脱脂する、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
- 油脂を陽イオンにより前記ドクタブレードボディ(110)から除去するように、前記ドクタブレード(100)を陽極として接続して電解脱脂する、請求項11記載の方法。
- ポリマを含む前記コーティング部(150)による前記ドクタブレードボディ(110)の被覆前に、接着コーティング部を被着する、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
- 前記接着コーティング部を被着した後、ポリマを含む前記コーティング部(150)により前記ドクタブレードボディ(110)を被覆する前に、中間乾燥ステップを実施する、請求項14記載の方法。
- 前記ドクタブレードボディ(110)のコーティング後に乾燥ステップを実施し、特に前記乾燥ステップに硬化ステップが続く、請求項9から15までのいずれか1項記載の方法。
- 前記硬化ステップを、150℃〜350℃、好適には200℃〜300℃、特に230℃〜270℃の温度において実施する、請求項16記載の方法。
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