JP2019214659A - 機能層形成用インク - Google Patents

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徹 鶴田
Toru Tsuruta
徹 鶴田
栄志 乙木
Eiji Otogi
栄志 乙木
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Abstract

【課題】 ピクセル間の乾燥ムラが著しく小さく、機能性材料自体が本来有する機能を存分に発揮できる、機能層形成用のインクを提供する。【解決手段】1)溶媒(B)及び(C)が、いずれも、ハンセン溶解度パラメータδP<10かつδH<9であり、2)第一の溶媒又は分散媒(B)が、芳香環を含有し、かつ常圧における沸点250〜310℃の溶媒であり、3)第二の溶媒(C)が、かつ常圧における沸点160℃〜上記1で用いた第一の溶媒(B)の沸点以下の溶媒であり、4)第一の溶媒(B)と第二の溶媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、第二の溶媒(C)を第一の溶媒又は分散媒(B)の使用量と同量を超える様に用いた、ことを特徴とする機能層形成用インクを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、機能層形成用インクに関する。
機能性材料を含む塗膜を得るに当たっては、左記の機能性材料を溶媒や分散媒と混合し、支持体等の被塗物に塗布して溶媒や分散媒を除去する等の手法が多用されている。この際の機能性材料としては、染料、顔料、半導体材料、有機EL、量子ドット、導電性材料及び絶縁性材料等が、目的の機能を得る目的で適宜選択して用いられる。最近では、ディスプレイ材料として、有機ELや量子ドット等を用いた発光素子が注目を浴びている。
例えば、各種発光素子は、通常、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および陰極を含む。当該発光素子に電界を印加すると、陽極から正孔輸送層に正孔が、陰極から電子輸送層に電子がそれぞれ注入され、次いで、正孔および電子は発光層に注入される。発光層では、注入された正孔および電子が再結合し、この際生じるエネルギーにより発光層中の発光材料が発光する。なお、発光素子は、場合により、正孔輸送層および/または電子輸送層を有しない場合がある。また、正孔注入層および電子注入層等の他の層を含む場合がある。
自発光素子は、視認性が高い、視野角依存性が少ない等の表示性能の他、ディスプレイを軽量化、薄層化できるという観点から好適であり、実用化されつつある。しかしながら、現在も消費電力の改善が求められているため、さらなる発光効率の向上に向けた研究が進められている。
この様な機能層形成用インクは、各種の溶媒が用いられるが、例えば、特許文献1〜3には、本発明で用いるのと類似する溶媒を用いて、インクを調製し機能層の形成を行っている。
特許文献1には、常圧における沸点180℃以上の有機溶媒として、ジフェニルエーテル誘導体やナフタレン誘導体を用いてインクを調製できることが記載されている。また、特許文献2には、少なくともジフェニルエーテル誘導体を有機溶媒して含有するインクにおいて、3−メチルジフエニルエーテル(3−フェノキシトルエン)を用いることができることが記載されている。
さらに特許文献3には、異なる有機溶媒を組み合わせて用いたインクとして、1−メチルナフタレンとシクロヘキシルベンゼンとを組み合わせてインクを調製できることが記載されている。
特開2017−193618公報 特開2006−241309公報 WO2013/046264A1公報
近年、高精細なパターニングが可能である、材料利用効率が高い等の観点から、有機発光素子を構成する各層を湿式成膜法、特にインクジェット法により形成することが検討されている。
この湿式成膜法ではインクを意図した位置(ピクセル)に配置するためバンク構造が施された基板が用いられている。基板の側端部に位置するピクセルに吐出されたインクは、基板の中央部に位置するピクセルに吐出されたインクよりも速く乾燥する傾向がある。これは、基板内において、中央部ではそれぞれのピクセルが互いに隣り合っているため蒸発するインク溶媒分子が多く存在するが、基板の周囲に位置するピクセルは蒸発するインク溶媒分子が少なくなり蒸発が中央部よりも速くなるからである。この様に基板内のピクセル位置によって、ピクセル内に満たされたインクの乾燥時間が異なると、基板内におけるピクセル間でインクに基づいて形成された発光層に膜厚ムラが生じてしまう。このような膜厚ムラがあると、発光層等に流れる電流に差異が生じて、発光層が発光したときの輝度ムラや発光色ムラ等の表示ムラの原因となる。
例えば、特許文献1および2の各インクにおいては、複数の溶媒を組み合わせて用いることを想定したそれらの混合比率に関する記載は無く、この混合比率の選択を誤ると、全面において機能性材料の有する性能を均一に発揮させようとしても、側端部と中央部とで乾燥状態が異なり、乾燥ムラが生じ、結果的に機能性材料の偏在が生じて機能ムラが発生することがあった。一方、特許文献3のインクにおいては、折角、1−メチルナフタレンとシクロヘキシルベンゼンとを組み合わせること示唆するものの、両者の沸点が近接しているため、側端部の乾燥がより速く進行することで、やはり乾燥ムラが生じ、結果的に機能性材料の偏在が生じて機能ムラが発生する。
そこで、本発明は、機能性材料を用いたインクとして、ピクセル間の乾燥ムラが著しく小さく、機能性材料自体が本来有する機能を存分に発揮できる、機能層形成用のインクを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、溶媒又は分散媒として、特定のハンセン溶解度パラメータを有する異種の二種以上の、溶媒又は分散媒を特定の割合で用いることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、機能性材料(A)と、少なくとも、第一の溶媒又は分散媒(B)と第二の溶媒又は分散媒(C)とを含有する機能層形成用インクにおいて、
1)溶媒又は分散媒(B)及び(C)が、いずれも、ハンセン溶解度パラメータδP<10かつδH<9であり、
1)第一の溶媒又は分散媒(B)が、芳香環を含有し、かつ常圧における沸点250〜310℃の溶媒又は分散媒であり、
2)第二の溶媒又は分散媒(C)が、かつ常圧における沸点160℃〜上記1で用いた第一の溶媒又は分散媒(B)の沸点以下の溶媒又は分散媒であり、
3)第一の溶媒又は分散媒(B)と第二の溶媒又は分散媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、第二の溶媒又は分散媒(C)を第一の溶媒又は分散媒(B)の使用量と同量を超える様に用いた、
ことを特徴とする機能層形成用インクを提供するものである。
本発明は、機能性材料を含有するインクで機能層を形成した際に、側端部と中央部との間での乾燥ムラが著しく小さく、面全体において、機能性材料自体が本来有する機能を存分に発揮する機能層形成用のインクを得ることができる。
インクジェット印刷法により塗膜を形成する工程を模式的に示す部分断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[機能層形成用インク]
本形態に係る機能層形成用インクは、機能性材料と、第一の溶媒又は分散媒(B)として、ハンセン溶解度パラメータδP(分散項)<10かつδH(水素結合項)<9であり、芳香環を含有し、かつ常圧における沸点250〜310℃の有機溶媒を用い、第二の溶媒又は分散媒(C)として、ハンセン溶解度パラメータδP(分散項)<10かつδH(水素結合項)<9であり、かつ常圧における沸点160℃〜上記で用いた第一の溶媒又は分散媒(B)の沸点以下の有機溶媒を含み、前者溶媒又は分散媒を特定の割合で含有することを最大の特徴としている。以下、第一の溶媒又は分散媒(B)は、溶媒(B)、一方、第二の溶媒又は分散媒(C)は、溶媒(C)と略記する場合がある。
機能性材料については、後に詳記するが、ディスプレイ表示の用途に、本発明の機能層形成用インクを適用する場合は、そこに含有させる上記機能性材料は、典型的には発光材料となる。機能性材料には、発光材料、その他、必要に応じて、添加物等をさらに含んでいてもよい。なお、本明細書において、「発光」には、蛍光による発光および燐光による発光を含むものとする。
本発明のインクにおいては、機能性材料(A)としては、公知慣用のもの一種又は二種以上をいずれも用いることができる。この様な機能性材料(A)としては、具体的には以下に示すようなものを挙げることができる。
<機能性材料>
機能性材料としては染料、顔料、半導体材料、有機EL、量子ドット、導電性材料及び絶縁性材料等が挙げられる。
[染料]
機能性材料としての染料は、4−ジシアンメチレン−2−メチル−6− (p−ジメチアミノスチリル(dimethyaminostyryl))−4H−ピラン(DCM)、クマリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
[量子ドット]
機能性材料としての量子ドットは、150Å未満の直径を有する。量子ドットの集団は、15Å〜125Åの範囲の平均直径を有する。量子ドットは、球形、棒状、円盤状、又は他の形状であってよい。量子ドットは、半導体物質のコアを含むことができる。量子ドットは、式MXを有するコアを含むことができ、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はそれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又はそれらの混合物である。
[有機EL]
機能性材料としての有機ELは、発光材料とホスト材料とからなる。
[有機EL 赤色発光材料]
赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、ペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)]、ポリ[{9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン}オルト- コ- {2,5−ビス(N,N’-ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]、ポリ[{2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)}−コ- {2,5−ビス(N,N’-ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]等を挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、赤色発光層中には、前述した赤色発光材料の他に、赤色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、ナフタセン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体のようなアセン誘導体(アセン系材料)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、カルバゾール誘導体、ビスカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[有機EL 青色発光材料]
青色発光材料としては、例えば、各種青色蛍光材料および青色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
また、青色発光層中には、前述した青色発光材料の他に、青色発光材料がゲスト材料
として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色発光層で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
また、このような青色発光層のホスト材料は、赤色発光層のホスト材料と同様に、アセン誘導体(アセン系材料)を用いるのが好ましい。これにより、青色発光層をより高輝度かつ高効率で赤色発光させることができる。
[有機EL 緑色発光材料]
緑色発光材料としては、特に限定されず、例えば、各種緑色蛍光材料および緑色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム等が挙げられる。
また、緑色発光層中には、前述した緑色発光材料の他に、緑色発光材料をゲスト材料とするホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色発光層で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
また、このような緑色発光層のホスト材料は、赤色発光層のホスト材料と同様に、アセン誘導体(アセン系材料)を用いるのが好ましい。これにより、緑色発光層をより高輝度かつ高効率で赤色発光させることができる。
さらに、この緑色発光層のホスト材料は、前述した青色発光層のホスト材料と同一であるのが好ましい。これにより、双方の発光層において、緑色の光と青色の光とをバランスよく発光させることができるようになる。
上記、発光材料の分子量は、5000g/mol以下であることが好ましく、2000g/mol以下であることがより好ましく、300〜2000g/molであることがさらに好ましい。ホスト材料の分子量が5000g/mol以下であると、溶媒中に発光材料を容易に溶解できることから好ましい。
機能性材料としての発光材料の含有率は、ホスト材料の質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。発光材料の含有率が0.1質量%以上であると、均一な膜を形成できることから好ましい。一方、発光材料の含有率が10質量%以下であると、発光材料の濃度消光による発光効率低下を抑制できることから好ましい。
[溶媒又は分散媒]
一実施形態において、本発明の機能層形成用インクに適用される溶媒又は分散媒は、溶媒(B)と溶媒(C)の異種の溶媒である。本発明においては、ハンセン溶解度パラメータを一指標として、溶媒(B)及び溶媒(C)を定める。ハンセン溶解度パラメータとは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、δD、δP及びδHの3成分に分割し、3次元空間に表したものである。δDは無極性相互作用による効果を示し、δP(分散項)は双極子間力による効果を示し、δH(水素結合項)は水素結合力による効果を示す。各種のモノマーについてのハンセン溶解度パラメータ値は、例えば、Charles M. Hansenによる「Hansen Solubility Parameters:A Users Handbook」等に記載されており、記載のないモノマーについてのハンセン溶解度パラメータ値は、コンピュータソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いて推算することができる。
本発明では、これらのうちδP(分散項)と、δH(水素結合項)に着眼して溶媒を選択することを特徴としている。上記した通り、溶媒(B)としては、ハンセン溶解度パラメータδP(分散項)<10かつδH(水素結合項)<9であり、芳香環を含有し、かつ常圧における沸点250〜310℃の有機溶媒であり、一方、溶媒(C)としては、ハンセン溶解度パラメータδP(分散項)<10かつδH(水素結合項)<9であり、かつ常圧における沸点160℃〜上記で用いた第一の溶媒又は分散媒(B)の沸点以下の有機溶媒である。
これら、溶媒又は分散媒は、特に制限されないが、形成する層に含ませる機能性材料に応じて適宜公知のものから適宜選択して、溶媒(B)と溶媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、溶媒(C)を溶媒(B)の使用量と同量を超える様に使用される。
本発明の機能層形成用インクでは、溶媒(B)と溶媒(C)の使用割合において、溶媒(B)の使用量以上となる様に、溶媒(C)が使用される。なかでも、溶媒(B)と溶媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、溶媒(C)が、50部を超える様にすることが乾燥ムラの抑制の効果により優れ、特に、溶媒(B)/溶媒(C)=40/60〜15/85とすると、ピクセル間乾燥ムラの抑制の効果に最も優れるので好ましい。
本発明の機能層形成用インクの調製に当たっては、上記溶媒(B)及び(C)を併用したことによる技術的効果を損なわない範囲において、溶媒(B)及び(C)に該当しない他の有機溶媒を併用することができる。
なお、溶媒(B)や溶媒(C)は、それぞれ1種ずつを選択して併用しても、それぞれ2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。また、溶媒(B)や溶媒(C)は、上記した定義を満足する範囲において、それらいずれもが、より低い沸点を有することが、乾燥が容易になることから好ましい。
用いる機能性材料(A)によって、溶媒(B)や溶媒(C)は、そのどちらか一方又は両方が溶媒として機能する場合と、分散媒として機能する場合がある。しかしながら、溶媒(B)や溶媒(C)としては、それらいずれの溶媒も、機能性材料(A)を溶解するものを選択して用いることが、機能性材料の本来の機能を低下させてしまう可能性がある界面活性剤や分散安定剤等を用いることなくインクの安定性をより高められ、かつ、より微細領域における機能性材料を含む塗膜中における機能性材料の均一性を優れたものとできることから、より好ましい。
本発明における溶媒(B)としては、具体的には、ジフェニルエーテル(沸点258℃、δP=3.4、δH=4.0)、1−エチルナフタレン(沸点260℃、δP=2.8、δH=3.8)、2−イソプロピルナフタレン(沸点268℃、δP=2.2、δH=3.0)、1−メトキシナフタレン(沸点271℃、δP=4.6、δH=5.6)、3−フェノキシトルエン(沸点272℃、δP=3.5、δH=3.6)、2−メトキシビフェニル(沸点274℃、δP=4.2、δH=5.0)、2−エトキシナフタレン(沸点282℃、δP=4.3、δH=5.0)、1−エトキシナフタレン(沸点282℃、δP=4.3、δH=5.0)、3,3’−ジメチルビフェニル(沸点282℃、δP=1.9、δH=1.8)、3−エチルビフェニル(沸点284℃、δP=1.9、δH=2.3)及び4−イソプロピルビフェニル(沸点291℃、δP=1.9、δH=2.2)等を挙げることができる。
なかでも溶質の溶解性等の観点からすると、溶媒(B)としては、1−エチルナフタレン、2−イソプロピルナフタレン、1−メトキシナフタレン、2−メトキシビフェニル、2−エトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、3,3’−ジメチルビフェニル、3−エチルビフェニル及び4−イソプロピルビフェニルからなる群から選ばれる少なくとも一種の溶媒又は分散媒がより好ましい。
一方、本発明における溶媒(C)としては、具体的には、メシチレン(沸点164℃、δP=0.6、δH=0.6)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃、δP=4.6、δH=4.9)、インダン(沸点179℃、δP=3.3、δH=3.3)、安息香酸メチル(沸点200℃、δP=8.2、δH=4.7)、ペンタン酸アミル(沸点205℃、δP=3.3、δH=4.5)、レブリン酸エチル(沸点205℃、δP=7.8、δH=6.8)、テトラリン(沸点207℃、δP=2.0、δH=2.9)、オクタン酸エチル(沸点208℃、δP=3.8、δH=4.4)、ブチルフェニルエーテル(沸点210℃、δP=3.5、δH=4.1)、安息香酸エチル(沸点212℃、δP=6.2、δH=6.0)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃、δP=4.6、δH=5.1)、プロピルアニソール(沸点215℃、δP=4.0、δH=4.0)、安息香酸イソペンチル(沸点218℃、δP=5.5、δH=3.3)、ブチルベンジルエーテル(沸点220℃、δP=3.1、δH=3.6)、ヘキサン酸アミル(沸点226℃、δP=3.1、δH=4.4)、メチル‐p‐トルエート(沸点223℃、δP=6.5、δH=3.8)、メチルアセトフェノン(沸点226℃、δP=6.7、δH=4.0)、ヘキシルベンゼン(沸点226℃、δP=1.9、δH=4.0)、ヘキサン酸イソアミル(沸点226℃、δP=2.9、δH=4.0)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃、δP=3.0、δH=2.8)、メチル‐o‐アニセート(沸点228℃、δP=8.3、δH=5.3)、酢酸ノニル(沸点228℃、δP=3.2、δH=4.3)、デカン酸メチル(沸点229℃、δP=3.3、δH=4.4)、グルタル酸ジエチル(沸点230℃、δP=7.0、δH=7.8)、安息香酸プロピル(沸点230℃、δP=5.7、δH=3.6)、ヘプチルベンゼン(沸点235℃、δP=1.9、δH=2.5)、シクロヘキシルベンゼン(沸点236℃、δP=1.7、δH=2.6)、エチルアセトフェノン(沸点239℃、δP=6.3、δH=3.6)、メチルナフタレン(沸点241℃、δP=0.8、δH=4.7)、ヘキサン酸ヘキシル(沸点244℃、δP=3.0、δH=4.1)、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート(沸点247℃、δP=4.1、δH=8.2)、ジプロピルマロン酸ジエチル(沸点249℃、δP=3.0、δH=4.2)、安息香酸ブチル(沸点250℃、δP=5.6、δH=5.5)、ジエチレングリコールジアセテート(沸点250℃、δP=6.4、δH=8.4)、2−エチルナフタレン(沸点252℃、δP=2.8、δH=3.8)、ブチル O‐ブチリルラクテート(沸点252℃、δP=4.0、δH=5.6)、アジピン酸ジイソプロピル(沸点253℃、δP=3.8、δH=4.7)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点255℃、δP=4.7、δH=4.4)、エチル p‐アニセート(沸点257℃、δP=7.2、δH=5.1)、安息香酸イソペンチル(沸点262℃、δP=4.8、δH=3.2)、ジヘプチルエーテル(沸点262℃、δP=2.7、δH=2.6)、オクチルベンゼン(沸点264℃、δP=1.5、δH=2.2)、安息香酸ヘキシル(沸点272℃、δP=5.0、δH=3.4)、アジピン酸ジプロピル(沸点274℃、δP=4.0、δH=5.2)、ノニルベンゼン(沸点282℃、δP=1.4、δH=2.2)及びドデシルベンゼン(沸点288℃、δP=1.1、δH=1.8)等を挙げることができる。これら溶媒(C)は、単独使用でも二種以上を併用しても良い。
溶媒(B)及び溶媒(C)が、δPとδHにおいていずれも上記した範囲以上であると、沸点の高低に関わらず、残留溶媒が生じるため、例えば、機能性材料(A)として発光材料を用いた機能層形成用インクを調製した場合は、それから得られる発光素子における発光効率が不充分になることがあるため好ましくない。
また、溶媒(B)及び溶媒(C)が、沸点において上記した範囲未満であると、機能層を面状に形成するに当たって、中央部よりも側端部での揮発性が高くなり乾燥ムラが発生しやすく、適用した機能層形成用インクを、中央部と側端部を含む面全体を均一に乾燥させることが難しくなる。また、急激な乾燥は機能性材料(A)が結晶化しやすい物質である場合にはそれの析出を招くことになり、特に機能性材料(A)が発光材料である場合は、左記結晶化が起こりやすくこの析出物が電子の流れを阻害することで、面状の発光層において中央部と側端部の様な部位により発光時における輝度差ができたり、表示素子における発光効率が不充分になることがあるため好ましくない。
上記した様に、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δP及び水素結合項δHが特定範囲かつ特定沸点の溶媒(B)及び(C)とを選択して組み合わせることにより、溶媒の残留を低減しつつも、適用したインクの面全体を均一に乾燥させることが可能になる。特に、発光材料を用いた本発明のインクでは、上記した条件を外れると、残留溶媒による発光層における発光効率の低減や、発光層における面内不均一乾燥による輝度ムラが生じる場合があるので好ましくない。
本発明の機能層形成用インクは、公知慣用の印刷方法や塗装方法に適用しうる。具体的には、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、反転印刷法、ディペンサ印刷法、インクジェット印刷法、マイクロコンタクト印刷法等が挙げられる。なかでも、微細領域に必要量のみインクを適用できインク無駄が無い点から、インクジェット印刷法に適用することが好ましい。
溶媒(B)と溶媒(C)とを含むインク溶媒の粘度は、特に制限されるものではないが、0〜6.0mPa・sであることが好ましく、1.2〜5.0mPa・sであることがさらに好ましく、1.5〜4.5mPa・sであることが特に好ましい。溶媒の粘度が1.0mPa・s以上であると、本発明のインクをインクジェット方式で吐出させて、インク液滴で塗膜を形成する場合に、インクジェットヘッドのノズルの詰まりが起こりにくくなることから好ましい。一方、溶媒の粘度が6.0mPa・s以下であると、得られるインクの粘度が過度に高くならないため、インクの微小液滴をインクジェットヘッドから吐出しやすくなることから好ましい。
上記溶媒の表面張力は、20〜45mN/mであることが好ましく、25〜43mN/mであることがさらに好ましく、28〜40mN/mであることが特に好ましい。インクの表面張力が20mN/m以上であると、本発明のインクをインクジェット方式で吐出させた際に、インクのノズル表面上における濡れ性が過度に高くならず、インクのノズルの周囲の付着による液滴の飛翔方向の曲がりが起こりにくくなることから好ましい。一方、インクの表面張力が45mN/m以下であると、ノズル先端におけるメニスカスの形状が安定しやすくなり、インクの吐出量や吐出タイミングの制御が容易になりうることから好ましい。
[添加剤]
本発明の機能層形成用インクには、必要に応じて公知慣用の添加剤を含有させることができる。有機発光素子用インク組成物を調製する場合は、インクジェット吐出性を改善させる目的、又はインクジェット吐出物乾燥時の平滑性を改善させる目的で、必要に応じてレベリング剤、粘度調整剤等の添加剤が含有されていてもよい。
[レベリング剤]
レベリング剤としては、特に制限されないが、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、シロキサン系化合物、非イオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、チタネートカップリング剤などを用いることができる。これらのうち、シリコーン系化合物、フッ素系化合物が好ましい。
前記シリコーン系化合物としては、特に制限されないが、ジメチルシリコーン、メチルシリコーン、フェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。これらのうち、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンが好ましい。
前記フッ素系化合物としては、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、フルオロアルキルメタクリレート、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキシドなどが挙げられる。これらのうち、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
前記シロキサン系化合物としては、特に制限されないが、ジメチルシロキサン化合物(商品名:KF96L−1、KF96L−5、KF96L−10、KF96L−100、信越シリコーン株式会社製)が挙げられる。
上述のレベリング剤のうち、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、シロキサン系化合物を用いることが好ましく、シロキサン系化合物を用いることがより好ましい。
なお、上述のレベリング剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レベリング剤の添加率は、所望とする性能によっても異なるが、有機発光素子用インク組成物の全質量に対して、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることがより好ましい。レベリング剤の添加率が0.001質量%以上であると、塗膜の平滑性を改善できることから好ましい。一方、レベリング剤の添加率が5質量%以下であると、発光効率を向上できることから好ましい。
[粘度調整剤]
粘度調整剤としては、特に制限されないが、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、メタクリル・スチレン共重合体、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらのうち、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
上述の粘度調整剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘度調整剤の添加率は、所望とする性能によっても異なるが、発光素子用インク組成物の全質量に対して、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。粘度調整剤の添加率が0.001質量%以上であると、発光ホスト材料の凝集を抑制し、発光効率を向上できることから好ましい。一方、粘度調整剤の添加率が5質量%以下であると、インクジェット液滴の飛翔形状を改善できることから好ましい。
本発明の機能層形成用インクとして、機能性材料(A)が酸素や水等により失活して、長期に亘って安定的に機能しない可能性があるときは、当該インクの調製に当たり、溶存気体や水分を出来るだけ除去した溶媒(B)及び(C)を用いたり、インクを調製した後に、インクに対して、脱気や不活性ガスを飽和または過飽和させたり、加熱したり乾燥剤を通して脱水させる等、溶存酸素や水分を出来るだけ除去することが好ましい。
また、金属イオンやハロゲンイオン等は洗浄を繰り返したりイオン交換樹脂を通して除去したり、粒子径が大きい異物は濾過を行う等をすることは、例えば、本発明の機能層形成インキをインクジェット印刷法に用いる場合は、ノズル目詰まりや長期連続印刷性の観点からも、より高い信頼性を確保できるので好ましい。
[有機発光素子]
本発明の機能層形成用インクの一実施形態として有機発光素子用インク組成物を調製する場合は、それに基づき有機発光素子を提供することができる。この際、前記有機発光素子は、少なくとも陽極、発光層、および陰極を含む。なお、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層等の他の層を1以上含んでいてもよい。また、封止部材等の公知のものを含んでいてもよい。
以下、発光素子の各構成について詳細に説明する。
[陽極]
陽極としては、特に制限されないが、金(Au)等の金属、ヨウ化銅(CuI)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等が用いられうる。これらの材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陽極の膜厚としては、特に制限されないが、10〜1000nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。
陽極は、蒸着やスパッタリング等の方法により形成されうる。この際、フォトリソグラフィー法やマスクを用いた方法によりパターン形成を行ってもよい。
[正孔注入層]
正孔注入層は、発光素子において任意の構成要素であり、陽極から正孔を取り入れる機能を有する。通常、陽極から取り入れた正孔は、正孔輸送層または発光層に輸送される。
正孔注入材料としては、特に制限されないが、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;4,4’,4”-トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン等のトリフェニルアミン誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン等のシアノ化合物;酸化バナジウム、酸化モリブデン等の酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン(エメラルディン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)、ポリピロール等の導電性高分子が挙げられる。これらのうち、正孔注入材料は、導電性高分子であることが好ましく、PEDOT−PSSであることがより好ましい。
正孔注入層の膜厚としては、特に制限されないが、0.1nm〜5μmであることが好ましい。
正孔注入層は、単層であっても、2以上が積層されたものであってもよい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、発光素子において任意の構成要素であり、正孔を効率的に輸送する機能を有する。また、正孔輸送層は、正孔の輸送を防止する機能を有しうる。正孔輸送層は、通常、陽極または正孔注入層から正孔を取り入れ、発光層に正孔を輸送する。
正孔輸送層に用いられうる正孔輸送材料としては、特に制限されないが、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等の低分子トリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール、トリアリールアミン誘導体に置換基を導入して重合したジアミンポリマー等の高分子化合物が挙げられる。これらのうち、正孔輸送材料は、トリフェニルアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体に置換基を導入して重合した高分子化合物であることが好ましく、フルオレン骨格を有するジアミンポリマーであることがより好ましい。
正孔輸送層の膜厚としては、特に制限されないが、1nm〜5μmであることが好ましく、5nm〜1μmであることがより好ましく、10〜500nmであることがさらに好ましい。
[発光層]
発光層は、発光層に注入された正孔および電子の再結合により生じるエネルギーを利用して発光を生じさせる機能を有する。
この際、発光層は、機能性材料(A)として、上記発光材料、ホスト材料等の公知慣用の材料を含む。
発光層の膜厚としては、特に制限されないが、2nm〜30μmであることが好ましく、10nm〜20μmであることがより好ましく、15nm〜15μmであることがさらに好ましく、15〜200nmであることが特に好ましい。上記範囲であると、高精度に膜厚を制御しうることから好ましい。
[電子輸送層]
電子輸送層は、有機発光素子において任意の構成要素であり、電子を効率的に輸送する機能を有する。また、電子輸送層は、電子の輸送を防止する機能を有しうる。電子輸送層は、通常、陰極または電子注入層から電子を取り入れ、発光層に電子を輸送する。
電子輸送層に用いられうる電子輸送材料としては、特に制限されないが、トリス(8−キノリラート)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム(Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム(BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(Znq)、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)等のキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体;ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラート]亜鉛(Zn(BOX)2)等のベンズオキサゾリン骨格を有する金属錯体;ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラート]亜鉛(Zn(BTZ)2)ベンゾチアゾリン骨格を有する金属錯体;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]カルバゾール(CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(mDBTBIm−II)等のポリアゾール誘導体;ベンゾイミダゾール誘導体;キノリン誘導体;ペリレン誘導体;ピリジン誘導体;ピリミジン誘導体;トリアジン誘導体;キノキサリン誘導体;ジフェニルキノン誘導体;ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられる。これらのうち、電子輸送材料は、ベンゾイミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、フェナントロリン誘導体であることが好ましい。
上述の電子輸送材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子輸送層の膜厚としては、特に制限されないが、5nm〜5μmであることが好ましく、5〜200nmであることがより好ましい。
電子輸送層は、単層であっても、2以上が積層されたものであってもよい。
[電子注入層]
電子注入層は、有機発光素子において任意の構成要素であり、陰極から電子を取り入れる機能を有する。通常、陰極から取り入れた電子は、電子輸送層または発光層に輸送される。
電子注入層に用いられうる電子注入材料としては、特に制限されないが、リチウム、カルシウム等のアルカリ金属;ストロンチウム、アルミニウム等の金属;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属塩;8−ヒドロキシキノリラートリチウム等のアルカリ金属化合物;フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;酸化アルミニウム等の酸化物等が挙げられる。これらのうち、電子注入材料は、アルカリ金属、アルカリ金属塩、アルカリ金属化合物であることが好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ金属化合物であることがより好ましい。
上述の電子注入材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子注入層の膜厚としては、特に制限されないが、0.1nm〜5μmであることが好ましい。
電子注入層は、単層であっても、2以上が積層されたものであってもよい。
[陰極]
陰極としては、特に制限されないが、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陰極は、通常、蒸着やスパッタリング等の方法により形成されうる。
陰極の膜厚としては、特に制限されないが、10〜1000nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。
<有機発光素子の製造方法>
本発明の一実施形態によれば、有機発光素子の製造方法が提供される。前記有機発光素子の製造方法は、機能性材料として発光材料を用いて、上記したインクジェット印刷法に好適な粘度や表面張力になる様に調製した機能層形成用インクを、有機発光素子用インク組成物として用い、それを、支持体上にインクジェット印刷法により塗布して発光層を形成する工程(以下、「発光層形成工程」とも称する)を含む。
[発光層形成工程]
発光層形成工程は、有機発光素子用インク組成物を、支持体上にインクジェット法により塗布して発光層を形成する工程である。
以下、図面を参照しながら、一実施形態における発光層形成工程について説明する。
より詳細には、図1は、インクジェット法により塗布膜を形成する工程を模式的に示す部分断面図である。図1には、基板1と、前記基板上に配置された陽極2と、前記陽極上に配置された正孔輸送層4とを有する。この際、基板上に複数有する前記陽極2および正孔輸送層3の積層体は、バンク3により離隔されている。有機発光素子用インク組成物をインクジェットヘッド7のノズル6から吐出すると、前記正孔輸送層3上に有機発光素子用インク組成物の塗膜5が形成される。得られた塗膜を乾燥することで、発光層を形成することができる。
<有機発光素子用インク組成物>
有機発光素子用インク組成物としては、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
[支持体]
支持体としては、発光層と隣接する有機発光素子の構成層であり、製造しようとする有機発光素子によって異なる。例えば、陽極、発光層、および陰極からなる有機発光素子を製造する場合には、支持体は陽極または陰極である。また、陽極、正孔注入層、発光層、電子注入層、陰極からなる有機発光素子を製造する場合には、支持体は正孔注入層または電子輸送層である。このように、支持体としては、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、または陰極であり、好ましくは陽極、正孔注入層、正孔輸送層であり、より好ましくは正孔注入層または正孔輸送層であり、さらに好ましくは正孔輸送層である。
なお、支持体には、バンクが形成されていてもよい。バンクを有することにより、所望の箇所にのみ発光層を形成することができる。
前記バンクの高さは、0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがより好ましく、0.2〜2.0μmであることがさらに好ましい。
また、前記バンク開口部の幅は、10〜200μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましく、50〜100μmであることがさらに好ましい。
さらに、前記バンク開口部の長さは、10〜400μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
また、前記バンクのテーパ角度は10〜100度であることが好ましく、10〜90度であることがより好ましく、10〜80度であることがさらに好ましい。
[塗布]
塗布は、例えばインクジェット印刷法により行われる。より詳細には、有機発光素子用インク組成物をインクジェットヘッドのノズルから支持体に対して吐出する。
この際、有機発光素子用インク組成物の吐出量は、1〜50pL/回であることが好ましく、1〜30pL/回であることがより好ましく、1〜20pL/回であることがさらに好ましい。
インクジェットヘッドの開口径は、ノズルの詰まりや吐出精度の観点から、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
塗膜を形成する際の温度は特に限定されないが、有機発光素子用インク組成物に含まれる発光材料(ホスト材料および/または発光材料)の結晶化を抑制する等の観点から、10〜50℃であることが好ましく、15〜40℃であることがよりに好ましく、15〜30℃であることがさらに好ましい。
塗膜を形成する際の相対湿度は特に限定されないが、0.01ppm〜80%であることが好ましく、0.05ppm〜60%であることがより好ましく、0.1ppm〜15%であることがさらに好ましく、1ppm〜1%であることが特に好ましく、5〜100ppmであることが最も好ましい。相対湿度が0.01ppm以上であると、塗膜を形成する条件の制御が容易となることから好ましい。一方、相対湿度が80%以下であると、得られる発光層に影響を及ぼし得る塗膜吸着水分量が低減できることから好ましい。
[乾燥]
得られた塗膜を乾燥することにより、発光層が形成されうる。
乾燥温度は特に限定されないが、室温(25℃)で放置して行っても、加熱して行ってもよい。加熱して行う場合には、40〜130℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。
また、乾燥時の圧力は減圧下で行うことが好ましく、0.001〜100Paの減圧下で行うことがより好ましい。
さらに、乾燥時間は、1〜90分であることが好ましく、1〜30分であることがより好ましい。
[その他の層の形成工程]
有機発光素子を構成するその他の層、具体的には、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、および陰極については、適宜公知の方法により形成することができる。
例えば、陽極および陰極は、蒸着やスパッタリング等の方法により形成することができる。
また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等により形成することができる。
本発明の機能層形成用インクを用いた場合は、溶媒(B)としてより好適なものを選択して用いることにより、基板位置に依らず、いずれのピクセルも等しく乾燥し、かつピクセル内の塗膜が平坦になるという、際立って優れた技術的効果が得られる。ピクセル間の乾燥ムラが解決されても、ピクセル内の塗膜平滑性が低いことが見られることがあるが、本発明の前記最適なインクでは、その様な欠点は解消される。
特に有機発光素子の発光層の様な機能層を形成する場合、基板の側端部に位置するピクセルに吐出されたインクは、基板の中央部に位置するピクセルに吐出されたインクよりも速く乾燥する傾向がある。これは、基板内において、中央部ではそれぞれのピクセルが互いに隣り合っているため蒸発するインク溶媒分子が多く存在するが、吐出基板の側端部周囲に位置するピクセルは蒸発するインク溶媒分子が少なくなり蒸発が中央部よりも速くなるからである。この様に基板内のピクセル位置によって乾燥時間が異なると、基板内におけるピクセル間で発光層の膜厚ムラが生じてしまう。このような膜厚ムラがあると、発光層等に流れる電流に差異が生じて、発光層が発光したときの輝度ムラや発光色ムラ等の表示ムラの原因となる。
そこで、吐出基板に位置するピクセルと略同一の面積を有し表示に寄与しないダミー画素を表示領域の周囲に配置し、吐出基板に位置するピクセルに形成する発光層の構成材料を含むインクをこのダミー画素に配置することで、吐出基板の中央部と側端部とにおいて発光層等の膜厚ムラが生じることを防止あるいは抑制する構成が提案されている。
また、ダミー画素を配置することによる発光層の膜厚ムラの防止・抑制効果を高めるために、ダミー画素に吐出する単位面積あたりの溶媒の量を表示領域の画素に吐出する単位面積あたりの溶媒の量よりも多くしたり、ダミー画素に吐出する単位面積あたりのインクの量を吐出基板のピクセルに吐出する単位面積あたりのインクの量以上とすることが提案されている。
一方、乾燥装置による乾燥方法の工夫で発光層等の膜厚ムラを防止する方法として、基板上のインクが配置された領域を複数に区分けし、区分けされた領域毎の排気量をそれぞれ独立して制御可能な部材を備えた乾燥装置の提案や、整流板やヒータを用いて基板の温度分布を均一にして乾燥させる乾燥装置の提案もある。
この様な有機発光素子の発光層を形成する目的で、本発明の機能層形成用インクを用いた場合には、上記した様な、ダミー画素をわざわざ形成させたり、インク量や乾燥条件を領域毎に変化させたりする、といった特殊な条件・装置を用いずに、或いは調整の手間をかけずに、表示パネルのピクセル外部もピクセル内部も、表示領域全面に亘って均一な、乾燥された膜厚にムラの極めて少ない発光層が得ることが可能となるため、表示ムラが無い、信頼性に優れた表示装置を簡便に得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。
[基板]
縦300μm、横100μmのピクセルを付帯する縦4cm×横7cmの基板に対して、インクジェット印刷方法により、インクの吐出を行った。この基板において右下に位置するピクセルを側端部ピクセルとし、基板中央位置にあるピクセルを中央部ピクセルとした。
[機能層形成インクの調製]
まず、発光材料として、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(Ir(mppy))(Lumtec社製)、9,9’−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3−ビスカルバゾール H−1(DIC株式会社製)をそれぞれ用意し、これらの含有量がそれぞれ1.5質量%となるように、溶媒に溶解することで、各実施例の有機発光素子の発光層形成用インク組成物とした(実施例1〜16、比較例1〜5)。表1及び表2を参照のこと。
なお、これらインクを調製する際に、溶媒(B)として、ジフェニルエーテル、3−フェノシキトルエン、1−メトキシナフタレン及び2−メトキシビフェニルをそれぞれ用意した。一方、溶媒(C)として、シクロヘキシルべンゼンを用意した。これら用いた各種溶媒の沸点、δP及びδHの各値は、表1〜2に示した。尚、1−メチルナフタレンは、沸点が本発明の溶媒(B)の範囲外ではあるが、便宜上、表2においては、溶媒(B)の欄に示した。これらを、表1〜2に示すような、質量割合となる様に組み合わせて溶媒又は分散媒として用いた。
<発光素子製作>
下記に従って、有機発光素子を作製した。インクジェット印刷法を採用するに当たっては、プリンターDMP2831、カートリッジボックスDMC−11610(富士フイルム株式会社製)を用いて、吐出量plオーダー、運転温度25℃、相対湿度50%の条件下でインク吐出するようにした。
1)バンク構造を持つITO(インジウム錫オキサイド)基板を、アセトン、プロパノールを用いて、この順で洗浄した後、UV/Oを照射した。
2)インクジェットプリンターでインク吐出により、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT-PSS樹脂。CLEVIOS P JET NV2、Heraeus社)を45nmとなるように成膜し、大気中で180℃、15分間加熱し、正孔注入層を形成した。
3)次いで、下記式で表されるHT−2(American Dye Source社)の1重量%テトラリン溶液を、正孔注入層上にインクジェットプリンターで吐出させ、30nmとなるように成膜し、窒素雰囲気下にて200℃で30分間乾燥させることで、正孔輸送層を形成した。
4)上記にて調製された実施例及び比較例の、それぞれの有機発光素子の発光層形成用インクを、正孔輸送層上にインクジェットプリンターで吐出させ、30nmとなるように成膜し、窒素雰囲気下、25℃、0.003Paの真空条件下で40分間乾燥させることで、発光層を形成した。
5)0.005Paの真空条件下で、電子輸送層として下記式で表されるET−1を45nm、電子注入層としてフッ化リチウムを0.5nm、陰極としてアルミニウムを100nmとなるように、順次成膜した。
6)最後に、グローブボックスに基板を搬送し、ガラス基板にて封止することで有機発光素子を作製した。
Figure 2019214659
<ピクセル間の輝度差評価>
得られた発光素子に対して、10mA/cm2の電流を印加して発光させた。この際のパネル側端部にある10個のピクセルとパネル中央部にある10個のピクセルの輝度を輝度計((株)トプコン BM−9)を用いて測定した。側端部、中央部の輝度の平均を取り、以下の基準で評価した。
輝度差指数=(側端部ピクセル平均輝度/中央部ピクセル平均輝度)×100
4:輝度差指数が80以上
3:輝度差指数が70以上80未満
2:輝度差指数が60以上70未満
1:輝度差指数が60未満
<発光効率評価>
得られた発光素子に対して、10mA/cm2の電流を印加して発光させた。この際のパネル中央部にある20個のピクセルの発光効率を輝度計((株)トプコン BM−9)にて測定し、発光効率を以下の基準で評価した。
比較例5で得られた素子の発光効率を1.0とし、比較例5以外で得られた発光素子における発光効率を相対値として求め、これを発光効率の尺度とした。数値が大きいほど発光効率が高いことを示す。
3:相対発光効率が1.2未満
2:相対発光効率が1.1以上1.2未満
1:相対発光効率が1.1未満
上記した評価により得られた結果を下記表1〜2に示した。表中、沸点は溶媒の大気圧下における沸点を、δP及びδHは溶媒の各ハンセン溶解度パラメータの値を、割合は二つの異なる溶媒の合計を質量換算で100部とした際の、一方の溶媒の質量割合をそれぞれ示す。
Figure 2019214659
Figure 2019214659
表1の、実施例1〜4と比較例1との対比、及び実施例5〜8と比較例2との対比からわかる通り、同種溶媒を組み合わせて用いて得たインクであっても、その混合割合が異なるだけで、輝度差や輝度が大きく変化し、特定の混合割合の時にのみ、本発明の技術的効果が奏されることが明らかである。比較例2は上記先行技術文献として挙げた特許文献2に相当する実験例であり、実施例8と比較例2との対比から、溶媒(B)や溶媒(C)を用いても、その併用割合によって、本発明の技術的効果が発現しない併用割合の範囲が存在することがわかる。また、この技術的効果の程度も、その併用割合が異なると相違したものとなることが、実施例1と2との対比、又は実施例5と6との対比等からも明らかである。特に、この相違は発光効率よりも輝度差においてより顕著である。
また、実施例1〜8と実施例9〜12、実施例13〜16を比較すると、ジフェニルエーテル骨格の化合物よりも、ナフタレン骨格あるいはビフェニル骨格の化合物の方が、輝度差でも発光効率でも技術的効果により優れる併用割合の範囲がより広いことが分かる。これは、フェニルエーテル骨格化合物よりも、ナフタレン骨格あるいはビフェニル骨格化合物の方が、機能性材料の溶解性が高いためであると考えられる。溶媒の溶解性が高いと、乾燥時、溶媒が極少量になった際も、溶質を安定的に溶解し、結晶として析出するのを防ぐ効果が確認できた。
比較例5は上記先行技術文献として挙げた特許文献1に相当する実験例であり、実施例15とこの比較例5との対比からわかる通り、溶媒の混合割合同一かつ溶媒(B)の化学構造が類似している(ともにナフタレン骨格である)にもかかわらず、輝度差や発光効率に与える効果は大きく異なっている。これは、用いる溶媒の化学構造から発明の技術的効果を類推する当業者の常識からは予想できないものである。これは、比較例5の1−メチルナフタレンの沸点が低すぎるため、パネル側端部の乾燥が著しく速く、乾燥ムラが生じているものと推察される。また、急激な乾燥により、溶質が結晶として析出しやすく、発光効率が低下しているものと推察される。
1:基板
2:陽極
3:バンク
4:正孔輸送層
5:塗膜
6:ノズル
7:インクジェットヘッド。

Claims (5)

  1. 機能性材料(A)と、少なくとも、第一の溶媒又は分散媒(B)と第二の溶媒又は分散媒(C)とを含有する機能層形成用インクにおいて、
    1)溶媒又は分散媒(B)及び(C)が、いずれも、ハンセン溶解度パラメータδP<10かつδH<9であり、
    2)第一の溶媒又は分散媒(B)が、芳香環を含有し、かつ常圧における沸点250〜310℃の溶媒又は分散媒であり、
    3)第二の溶媒又は分散媒(C)が、かつ常圧における沸点160℃〜上記1で用いた第一の溶媒又は分散媒(B)の沸点以下の溶媒又は分散媒であり、
    4)第一の溶媒又は分散媒(B)と第二の溶媒又は分散媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、第二の溶媒又は分散媒(C)を第一の溶媒又は分散媒(B)の使用量と同量を超える様に用いた、
    ことを特徴とする機能層形成用インク。
  2. 第一の溶媒又は分散媒(B)が、ジフェニルエーテル、1−エチルナフタレン、2−イソプロピルナフタレン、1−メトキシナフタレン、3−フェノキシトルエン、2−メトキシビフェニル、2−エトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、3,3’−ジメチルビフェニル、3−エチルビフェニル及び4−イソプロピルビフェニルからなる群から選ばれる少なくとも一種の溶媒又は分散媒である請求項1記載の機能層形成用インク。
  3. 第二の溶媒又は分散媒(C)が、安息香酸エチル及びシクロヘキシルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一種の溶媒又は分散媒である請求項1または2記載の機能層形成用インク。
  4. 第一の溶媒又は分散媒(B)と第二の溶媒又は分散媒(C)の合計使用量を質量換算で100部とした際に、第二の溶媒又は分散媒(C)が、50部を超える請求項1〜3のいずれか一項記載の機能層形成用インク。
  5. 機能性材料(A)が、発光材料である請求項1〜4のいずれか一項記載の機能層形成用インク。
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