JP2009059846A - 有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子および有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子および有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物において、インクジェットでの吐出安定性を有し、該有機層をベタ塗布で形成しても深刻な塗布欠陥を生じることがない組成物および歩留まりの高い製造方法を提供すること。
【解決手段】 2種類以上の有機溶媒を含有する、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物であって、該有機溶媒のうちの少なくとも2種は、その沸点が互いに20℃以上の差を有する有機溶媒であり、ガラス基材への接触角が5度以上10度以下であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物に関するものである。
有機電界発光素子は、通常、基板上に陽極、陰極および該陽極と該陰極の間に配置された発光層や電荷輸送層などの有機層を有するものである。この有機層の形成方法としては、真空蒸着法や湿式成膜法が使用される。
近年、湿式成膜法、特にインクジェット法による有機電界発光素子の製造方法が、製造コストを低減する観点から注目されている。その中でも、特に正孔注入層や正孔輸送層に関しては、発光層の形成を真空蒸着法とする場合においても、その下地層として好適な性能を有するため、湿式成膜法による形成が望ましいとされている。
ここで発光層については、RGB各色毎のバンク構造によって仕切られた画素の中に、材料の液滴をインクジェットで位置決めして打ち込む方法が一般的に考えられている。しかし、正孔注入層や正孔輸送層等のRGB共通の有機層に関しては、上記のような塗りわけは不要で、いわゆるベタ塗布で構わないため、湿式成膜法により生産性がより向上することが期待される。一般的には一枚のガラス基板上に複数の有機電界発光素子パネルを設けるため、ブロックパターンでの塗布をすることになる。
これらインクジェット法による製造においては、吐出の安定性が重要であり、インクに高沸溶媒成分を比較的多く添加することにより、ノズルの乾燥を防止することが一般的に知られている。ところが、そのようなインクによって実際にベタ塗布をする場合、深刻な塗布欠陥を生じることが判明している。この問題に対する改善策として、ブロックパターンの外側を囲うバンク構造を設けたり、基板の表面性を部分的に変化させたり、インクそのものに塗布性改善材を添加することも考えられるが、それらは生産コストを増大させたり、素子性能を低下させるため好ましくなかった。
有機電界発光素子の共通有機層のベタ塗布に関しては、極めて文献情報が乏しいが、例えば特許文献1ではスリットコート、ロールコート、その他フレキソ等の印刷によって液体材料を平面的に塗布する技術が述べられている。しかしながらインクジェット法に関しては液滴の着弾精度による膜厚不均一が生じ易いという懸念が示されているのみであり、その解決方法についてはなんら示唆されていない。
また、非特許文献1では液晶ディスプレイの配向膜をインクジェット法にて塗布製膜する技術が示されており、吐出安定性の向上については、塗布液材料の物性とヘッド駆動方法の合わせ込みが効果的であり、塗布膜均一性の向上については、基板の表面処理と乾燥プロセスの最適化によって達成されたことが記述されている。しかしながら塗布液材料の設計指針、特にその溶媒組成についてなんら具体的な手法は示されておらず、また本文献での知見が、溶質溶媒共に全く異なる有機電界発光素子の有機層塗布にも適用できるという確証は全くなかった。
特開2006−59772号公報 SID2006講演予稿集1583頁〜1586頁「Ink Jet Fabrication of Alignment Layers on High-Temperature Polysilicon Liquid Crystal Panels」
本発明は、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物において、インクジェットでの吐出安定性を有し、該有機層をベタ塗布で形成しても深刻な塗布欠陥を生じることがない組成物および歩留まりの高い製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らが、インクジェットでの吐出安定性とベタ膜塗布適性の両立に関して鋭意検討したところ、以下の組成物が上記課題を解決できることがわかり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、2種類以上の有機溶媒を含有する、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物であって、該有機溶媒のうちの少なくとも2種は、その沸点が互いに20℃以上の差を有する有機溶媒であり、ガラス基材への接触角が5度以上10度以下であることを特徴とする有機電界発光素子用組成物、該組成物により形成された有機層を有する有機電界発光素子、及びインクジェット法で有機層を形成する有機電界発光素子の製造方法において、該組成物をベタ塗布して有機層を形成することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法に存する。
本発明によれば、インクジェットでの吐出安定性が良好で、有機電界発光素子の有機層をベタ塗布で形成しても深刻な塗布欠陥を生じることがない組成物を提供することができる。また、歩留まりの高い有機電界発光素子の製造方法を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
1.有機電界発光素子用組成物
本発明は、2種類以上の有機溶媒を含有する、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物であって、該有機溶媒のうちの少なくとも2種は、その沸点が互いに20℃以上の差を有する有機溶媒であり、ガラス基材への接触角が5度以上10度以下であることを特徴とする有機電界発光素子用組成物に関する。
尚、有機電界発光素子の有機層とは、下記詳述するが、陽極と陰極との間に有する層であって、有機化合物を含有する層をいう。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などの有機層を指す。
<有機溶媒>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、2種類以上の有機溶媒を含有し、有機溶媒のうち少なくとも2種は、その沸点が互いに20℃以上の差を有することを特徴とする。少なくとも2種の有機溶媒は、好ましくは30℃以上の差を有することが好ましく、通常、40℃以上の差を有する。その沸点が互いに20℃以上の差を有することにより、ノズルの乾燥防止と塗布膜の均一乾燥を両立させる効果が得られる。尚、有機溶媒が3種類以上含有される場合は、少なくとも2種の沸点が互いに20℃以上の差であればよく、他の2種同士は20℃以上の差がなくてもよい。
有機溶媒は、2種以上含有されるが、好ましくは3種以下、さらに好ましくは2種である。
また、有機電界発光素子用組成物に含有される有機溶媒の含有比は、有機溶媒が2種類含まれる場合は、沸点が低い溶媒/沸点が高い溶媒=3/17〜17/3の範囲が好ましい。有機溶媒が3種類以上含まれる場合は、最も沸点が低い溶媒/最も沸点が高い溶媒の比率が上記範囲であることが好ましい。
ここで、本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される有機溶媒としては、以下の溶媒が挙げられる。
例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル; 1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2 , 3− ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、トリフルオロメトキシアニソール、ペンタフルオロメトキシベンゼン、3−( トリフルオロメチル) アニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル; 酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、エチル( ペンタフルオロベンゾエート)等の芳香族エステル;アセトフェノン等の芳香族ケトン;2,4−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、3−ヒドロキシトルエン等のフェノール類、等の溶媒が挙げられる。これらは、沸点が230℃未満の有機溶媒である。中でも、安息香酸エチル、アセトフェノンが好ましい。
また、例えば、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等の脂肪族エーテル;トリアセチン、ラウリン酸メチル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、γ−デカノラクトン等の脂肪族エステル;1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1-メチルナフタレン、ジフェニルメタン等の芳香族;p−アニスアルデヒド、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等の芳香族エーテル;安息香酸n−ブチル、安息香酸n−ペンチル、安息香酸プロピル、酢酸2−フェノキシエチル、安息香酸イソアミル、フタル酸ジエチル等の芳香族エステル;1’−アセトナフトン等の芳香族ケトン;4−プロピルフェノール等のフェノール類、等の溶媒が挙げられる。これらは、沸点が230℃以上の有機溶媒である。中でも、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタンが好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、安息香酸エチルとジフェニルエーテルが含まれていることが好ましく、特に溶媒としてこの2種のみが含まれていることが好ましい。
中でも、本発明の有機電界発光素子用組成物は、沸点230℃以上の有機溶媒を含有することが吐出安定性の確保のため好ましい。沸点は、240℃以上がより好ましく、さらに好ましくは250℃以上、通常300℃以下である。
特に、本発明の有機電界発光素子用組成物において、沸点230℃以上の有機溶媒は、15〜85重量%含有することが吐出安定性の点で好ましい。ここで、複数の有機溶媒が沸点230℃以上である場合には、その合計量が15〜85重量%である。
さらに、沸点230℃以上の有機溶媒は、下記詳述する溶質を2重量%以上溶解することが好ましく、4重量%以上溶解することがさらに好ましい。溶質を2重量%以上溶解することで、乾燥時の溶媒組成変化での析出を防ぎ、ベタ塗布面の均一性を得ることができる。
尚、ここでいう溶解とは、温度23℃、湿度50%、1気圧において溶解する量を意味する。
<溶質>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、さらに溶質を含有することが好ましい。溶質は、有機電界発光素子の有機層を形成する化合物であって、従来公知の有機電界発光素子の有機層に用いられる化合物を使用できる。
本発明の有機電界発光素子用組成物において、溶質は0.5重量%以上、好ましくは2重量%以上含有していることが好ましい。
中でも、本発明の有機電界発光素子用組成物は、溶質として正孔注入材料または正孔輸送材料を含有することが好ましい。ここで、正孔注入材料および正孔輸送材料としては、下記正孔注入層や正孔輸送層に用いられる材料が挙げられる。
ここで、溶質としては、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマーが好ましい。
Figure 2009059846
(式(1)中、n:2〜1000)該ポリマーの重量平均分子量は、通常1000〜500000である。
上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマーは、本発明の有機電界発光素子用組成物において、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下含有される。
下記正孔注入層で詳細に説明するが、さらに溶質としては、以下のイオン化合物を含有することが好ましい。
Figure 2009059846
上記イオン化合物は、本発明の有機電界発光素子用組成物において、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下含有される。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマーと該イオン化合物を含有することが好ましく、特に該ポリマー/該イオン化合物=10/1〜1/1であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、上記の他にも種々の化合物が含まれていてよいが、上述の通り、通常、有機電界発光素子の有機層を形成する化合物が含まれる。
<接触角>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、ガラス基材に対して5〜10度の接触角を有することを特徴とする。好ましくは7度以上、8度以下である。溶媒を2種以上含み、かつ、接触角を該範囲にすることにより、ノズルの乾き防止による吐出安定性と、適度な基材への濡れ性によるベタ塗布面の均一性とを両立することが出来る。
ここで、本発明における接触角の測定方法を詳細に説明する。ディスプレイ用ガラス基板(例:旭ガラス社製「AN100」)の研磨面を洗浄剤(例:ライオン社製「サンウォッシュTL−100」)によって洗浄後、UVオゾン処理(例:低圧水銀灯にて1000mj/cm)することで光洗浄を施し、純水による接触角が0度、すなわち完全に濡れ拡がる清浄なガラス基板を準備する。次に市販の接触角測定装置(例:協和界面科学社製「CA−DT」)を使用し、25Gのテフロン(登録商標)被覆ステンレス針にて作成した300nlの液滴を上記基板上に着滴させた後、10秒経過時の接触角の値を、温度23℃湿度50%の環境にて測定する。
このように、有機電界発光素子用組成物の接触角を5〜10度とする方法は以下の通りである。接触角は液の物性値では一意的には決まらないが、通常は表面張力や粘度を高くすることで、接触角を高くすることが出来る。またガラス基材への親和性が高い溶媒の含有量を増やすと、接触角を低くすることが出来る。
<液滴径>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、さらに、インクジェット法で、20plの液滴サイズでガラス基材に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmであることが好ましく、さらに好ましくは150μm以上、300μm以下である。これにより、膜厚ムラやピンホールの発生を防止し、かつ端部の直線性を確保することができる。
具体的に、液滴径の測定方法としては、ディスプレイ用ガラス基板(例:旭ガラス社製「AN100」)の研磨面を洗浄剤(例:ライオン社製「サンウォッシュTL−100」)によって洗浄後、UVオゾン処理(例:低圧水銀灯にて1000mj/cm)することで光洗浄を施し、純水による接触角が0度、すなわち完全に濡れ拡がる清浄なガラス基板を準備する。次に市販のピエゾ方式のインクジェットプリンタヘッド(例:富士フィルムダイマティクス社製、商品名Spectra SE128)に充填した塗布液材料を、平均液滴サイズ20plにて基板上に500μm間隔で5mm×20mmのエリアに吐出し、温度23℃湿度50%の環境にて1分間静置した後の液滴を光学顕微鏡にて観察して液滴径を測定する。
インクジェット法による着滴径は濡れ拡がり性(接触角)と強い相関が見られるが、通常は粘度や表面張力を低くすることで、液滴径を大きくすることが出来る。またガラス基材への親和性が高い溶媒の含有量を増やすと、液滴径を大きくすることが出来る。
2.有機電界発光素子の製造方法
本発明は、また、インクジェット法で有機層を形成する有機電界発光素子の製造方法において、上記本発明の有機電界発光素子用組成物をベタ塗布して有機層を形成する有機電界発光素子の製造方法に関する。
ここでベタ塗布とは、繰り返しパターン(例えば有機電界発光素子の場合は画素)のある一定以上の集合(例えば有機電界発光素子の場合はパネル)に対して、一括して略均一の膜厚で隙間なく塗布製膜することと定義される。具体的には、ディップ塗布、スピン塗布、スロットダイ塗布等はベタ塗布に好適な塗布方法であるが、基板内の塗布不要部分(例えば有機電界発光素子の場合はパネル間の余白部分)については、事前のマスキングや事後の拭き取りなどの操作が必要である。
一方、インクジェット法で有機層を形成する方法としては、上記したマスキングや拭き取りなどの操作が不要であることが大きな利点である。
また、本発明の製造方法によれば、ベタ塗布して得られた塗布面の端部の直線性が、該端部長さ10mmに対する真直度で500μm以内とすることが好ましい。これにより、パネルの周辺部での発光特性のばらつきが低減し、高性能な有機電界発光素子が得られる。
ベタ塗布して得られた塗布面の端部の直線性が、該端部長さ10mmに対する真直度で500μm以内とする方法としては、例えば、本発明での塗布液材料を用い、着滴径に対して着滴ピッチを若干狭く調整することが挙げられる。
また、本発明の製造方法によれば、ベタ塗布面の端部の膜厚均一性が、該端部から1mmの部分の膜厚が、ベタ塗布面の平均膜厚の80%以上120%以下であり、かつ該端部から1mm以内のうち最も厚い部分の膜厚がベタ塗布面の平均膜厚の400%以下とすることが好ましい。
ベタ塗布面の端部の膜厚均一性が、該端部から1mmの部分の膜厚が、ベタ塗布面の平均膜厚の80%以上120%以下であり、かつ該端部から1mm以内のうち最も厚い部分の膜厚がベタ塗布面の平均膜厚の400%以下とする方法としては、例えば、本発明の塗布液材料を用い、塗布完了後に減圧乾燥等の方法によって速やかに塗膜を乾燥させること、が挙げられる。
3.有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、上記本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された有機層を有することを特徴とする。
ここで、本発明の有機電界発光素子(以下、有機EL素子と呼ぶ場合がある)は、通常、基板を備え、当該基板上に第1の電極が形成され、その上に上述の各層が積層された積層型の構成を有するものである。ここで、第1の電極及び第2の電極は、何れかが陽極であり、他方が陰極である。以下、第1の電極が陽極、第2の電極が陰極である場合について、基板側から積層される順に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す有機EL素子10aは、基板1の上に、陽極2、正孔注入層3、発光層4、電子輸送層5、及び陰極6を、この順に積層して構成される。本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層は、陽極2及び陰極6の間に有する有機層であればいずれの層にも適用できるが、特に、正孔注入層に適用することが好ましい。
<1.基板>
基板1は有機EL素子10aの支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板等、汎用材料からなる透明基板を用いることが好ましい。
基板1の材料の例としては、BK7、SF11、LaSFN9、BaK1、F2などの
各種ショットガラス、合成フェーズドシリカガラス、光学クラウンガラス、低膨張ボロシリケートガラス、サファイヤガラス、ソーダガラス、無アルカリガラスなどのガラス、TFTが形成されたガラス、高分子材料としては、ポリメチルメタクリレートや架橋アクリレートなどのアクリル樹脂、ピスフェノールAポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリシクロオレフィンなどの非晶性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレンなどのスチレン樹脂、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などの合成樹脂、等が挙げられる。また、これらのうち2種以上の積層体であってもよい。目的と用途に応じて、これらの基板の上に反射防止フィルム、円偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学フィルムを形成、若しくは張り合わせてもよい。
ただし、合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意することが好ましい。基板1のガスバリア性が小さすぎると、基板1を通過した外気により有機EL素子10aが劣化する可能性があるからである。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
<2.陽極>
基板1上には、例えば陽極2が設けられる。陽極2は、発光層4側の層(正孔注入層3または発光層4等)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/またはスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。なお、陽極2の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陽極2の形成方法に制限は無いが、通常、スパッタリング法、蒸着法等により行われる。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダ樹脂溶液にそれらを分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
また、陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視

光の透過率を、通常60%以上、中でも80%以上とすることが好ましく、この場合、陽極2の厚みは、通常5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下が好ましい。一方、陽極2が不透明でよい場合、陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。さらに、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
また、陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的として、陽極2の表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることが好ましい。
さらに、正孔注入の効率を更に向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔注入層3と陽極2との間に公知の陽極バッファ層を挿入してもよい。
<3.正孔注入層>
正孔注入層3は、陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層である。以下、まず正孔注入
層3に含有される成分を説明し、次に正孔注入層3の形成方法について説明する。
〔3−1.正孔注入層の材料〕
正孔注入層の材料(正孔注入材料)は、正孔注入層3に含有されるものである。また、正孔注入層3を湿式成膜法で形成する場合は、正孔注入層用の塗布用組成物(本発明の有機電界発光素子用組成物)にも、正孔注入層の材料が含有される。この正孔注入層の材料は、正孔注入層3を形成しうるものであれば特に制限は無い。ただし、通常は、正孔注入層の材料として、高分子化合物(以下、適宜ポリマーともいう)及び電子受容性化合物を用いる。さらに、正孔注入層の材料として、それ以外の成分を用いてもよい。以下、これらの正孔注入層の材料について説明する。
(3−1−1.ポリマー)
正孔注入層の材料として用いられるポリマーの種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、その中でも、正孔輸送性を有するポリマー(高分子量の正孔輸送性化合物(以下適宜、「正孔輸送性ポリマー」という。)が好ましく、この観点から、4.5eV〜5.5eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物であることが好ましい。なお、イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、光電子分光法で直接測定されるか、電気化学的に測定した参加電位を基準電極に対して補正して求められる。後者の方法の場合は、例えば、飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、下記式で表される(“Molecular Semiconductors”, Springer−Verlag, 1985年, pp.98)。
イオン化ポテンシャル = 酸化電位(vs.SCE)+4.3eV
前記正孔輸送性ポリマーの例としては、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも、非晶質性、溶媒への溶解度、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。なお、ここでいう芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、100万以下の高分子化合物が更に好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表わされる繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2009059846
(式(I)中、Ar1及びAr2は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Ar3〜Ar5は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表わす。Xは、下記の連結基群X1の中から選ばれる連結
基を表わす。)
・連結基群X1:
Figure 2009059846
(式中、Ar11〜Ar28は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。R1及びR2は各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表わす。)
前記式(I)において、Ar1〜Ar5及びAr11〜Ar28としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の、1価又は2価の基が適用可能である。即ち、Ar1、A r2、Ar16、Ar21及びAr26は、それぞれ1価の基が適用可能であり、Ar3〜Ar5 、Ar11〜Ar15、Ar17〜Ar20、Ar22〜Ar25、Ar27及びAr28は、それぞれ2価の基が適用可能である。これらは各々同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。
前記の芳香族炭化水素環としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
前記の芳香族複素環としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などが挙げられる。
また、Ar3〜Ar5、Ar11〜Ar15、Ar17〜Ar20、Ar22〜Ar25、Ar27、Ar28としては、上に例示した1種類又は2種類以上の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の2価の基を2つ以上連結して用いることもできる。
さらに、Ar1〜Ar5及びAr11〜Ar28の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、下記の置換基群Wから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なお、置換基は、1個が単独で置換していてもよく、2個以上が任意の組
み合わせ及び比率で置換していてもよい。
[置換基群W]
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素環基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
上述したものの中でも、Ar1及びAr2としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が更に好ましい。
また、上述したものの中でも、Ar3〜Ar5としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレ

ン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましい。
前記式(I)において、R1及びR2としては、水素原子又は任意の置換基が適用可能である。これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の種類は、本発明の趣旨に反しない限り特に制限されないが、適用可能な置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられる。これらの具体例としては、先に置換基群Wにおいて例示した各基が挙げられる。
前記式(I)の中でも、上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマーが好ましい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性ポリマーの重量平均分子量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、また、通常50万以下、好ましくは20万以下、より好ま
しくは10万以下である。
正孔注入層3中のポリマーの割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正孔注入層3全体に対する重量比の値で、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、また、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下である。なお、2種以上のポリマーを併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにすることが好ましい。
(2−3−1−2.電子受容性化合物)
正孔注入層の材料として用いられる電子受容性化合物の種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩;塩化鉄(III)(特開平 11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素等が挙げられる。上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で、有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶媒に可溶である点で、有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。さらに、強い酸化力と高い溶解性とを両立する点から、有機基の置換したオニウム塩が最も好ましく、下記式(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物であることが特に好ましい。
Figure 2009059846
(上記式(II−1)〜(II−3)中、R11、R21及びR31は、各々独立に、A1〜A3と炭素原子で結合する有機基を表わす。R12、R22、R23及びR32〜R34は、各々独立に、任意の基を表わす。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに結合して環を形成していてもよい。A1〜A3は何れも長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第3周期以降の元素であって、A1は周期表の第17族に属する元素を表わし、A2は周期表の第16族に属する元素を表わし、A3は周期表の第15族に属する元素を表わす。Z1 n1-〜Z3 n3-は、各々独立に、 対アニオンを表わす。n1〜n3は、各々独立に、対アニオンのイオン価を表わす。)
上記式(II−1)〜(II−3)中、R11、R21及びR31は、各々独立に、A1〜A3と炭素原子で結合する有機基を表わす。したがって、R11、R21及びR31としては、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基であれば、本発明の趣旨に反しない限り、その種類は特に制限されない。
11、R21及びR31の分子量は、それぞれ、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。
11、R21及びR31の好ましい例としては、正電荷を非局在化させる点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられる。中でも、正電荷を非局在化させるとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
アルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。

芳香族炭化水素基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオレン環等の由来の一価の基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の由来の一価の基が挙げられる。
上記式(II−1)〜(II−3)中、R12、R22、R23及びR32〜R34は、各々独立に、任意の置換基を表わす。したがって、R12、R22、R23及びR32〜R34の種類は、本発明の趣旨に反しない限り特に制限されない。
12、R22、R23及びR32〜R34の分子量は、それぞれ、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。
12、R22、R23及びR32〜R34の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、シアノ基、水酸基、チオール基、シリル基等が挙げられる。中でも、R11、R21及びR31と同様、電子受容性が大きい点から、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基が好ましく、例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。特に、電子受容性が大きいとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基としては、R11、R21及びR31について先に説明したものと同様のものが挙げられる。
以上、R11、R21、R31、R12、R22、R23、及びR32〜R34として例示した基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に他の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、上記R11、R21、R31、R12、R22、R23、及びR32〜R34としてそれぞれ例示した基の他、ハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基等が挙げられる。中でも、耐熱性及び電子受容性の妨げにならない観点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。なお、前記の更に置換する置換基は、1個のみで置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、上記式(II−1)〜(II−3)中、R11〜R34のうち隣接する2以上の基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(II−1)〜(II−3)中、A1〜A3は、何れも周期表第3周期以降(第3〜第6周期)の元素であって、A1は、長周期型周期表の第17族に属する元素を表わし、A2は、第16族に属する元素を表わし、A3は、第15族に属する元素を表わす。
中でも、電子受容性及び入手容易性の観点から、周期表の第5周期以前(第3〜第5周期)の元素が好ましい。即ち、A1としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子のうち何れ かが好ましく、A2としてはテルル原子、セレン原子、硫黄原子のうち何れかが好ましく 、A3としてはアンチモン原子、ヒ素原子、リン原子のうち何れかが好ましい。
特に、電子受容性、化合物の安定性の面から、式(II−1)におけるA1が臭素原子又 はヨウ素原子である化合物、又は、式(II−2)におけるA2がセレン原子又は硫黄原子 である化合物が好ましく、中でも、式(II−1)におけるA1がヨウ素原子である化合物 が特に好ましい。
式(II−1)〜(II−3)中、Z1 n1-〜Z3 n3-は、各々独立に、対アニオンを表わす。対アニオンの種類は特に制限されず、単原子イオンであっても錯イオンであってもよい。但し、対アニオンのサイズが大きいほど負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、単原子イオンよりも錯イオンの方が好ましい。
式(II−1)〜(II−3)中、n1〜n3は、各々独立に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-のイオン価に相当する任意の正の整数である。n1〜n3の値は特に制限されないが、何れも1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
1 n1-〜Z3 n3-の具体例としては、水酸化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イ
オン、亜硫酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ホウ酸イオン、イソシアン酸イオン、水硫化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン;メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;メトキシイオン、t−ブトキシイオン等のアルコキシイオンなどが挙げられる。
特に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-としては、化合物の安定性、溶媒への溶解性の点で、下記式(II−4)〜(II−6)で表わされる錯イオンが好ましく、サイズが大きいという点で、負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、下記式(II−6)で表わされる錯イオンが更に好ましい。
Figure 2009059846
式(II−4)及び(II−6)中、E1及びE3は、各々独立に、長周期型周期表の第13族に属する元素を表わす。中でもホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点から、ホウ素原子が好ましい。
式(II−5)中、E2は、長周期型周期表の第15族に属する元素を表わす。中でもリ ン原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さ、毒性の点から、リン原子が好ましい。
式(II−4)及び(II−5)中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表わし、化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点からフッ素原子、塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。
式(II−6)中、Ar61〜Ar64は、各々独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例示としては、R11、R21及びR31について先に例示したものと同様の、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環由来の1価の基が好ましい。
Ar61〜Ar64として例示した芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されず、任意の置換基が適用可能であるが、電子吸引性の基であることが好まし
い。
Ar61〜Ar64が有してもよい置換基として好ましい電子吸引性の基を例示するならば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;チオシアノ基;ニトロ基;メシル基等のアルキルスルホニル基;トシル基等のアリールスルホニル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常1以上、通常12以下、好ましくは6以下のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基;アミノカルボニル基;アミノスルホニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル基、などが挙げられる。
中でも、Ar61〜Ar64のうち少なくとも1つの基が、フッ素原子又は塩素原子を置換基として1つ又は2つ以上有することがより好ましい。特に、負電荷を効率よく非局在化する点、及び、適度な昇華性を有する点から、Ar61〜Ar64の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基であることが特に好ましい。パーフルオロアリール基の具体例としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ−2−ナフチル基、テトラフルオロ−4−ピリジル基等が挙げられる。
なお、前記の置換基は、1個のみが置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
式(II−4)〜(II−6)で表わされる錯イオンの式量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常100以上、好ましくは300以上、更に好ましくは400以上、また、通常5000以下、好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下の範囲である。該錯イオンの式量が小さ過ぎると、正電荷及び負電荷の非局在化が不十分なため、電子受容能が低下する場合があり、また、該錯イオンの式量が大き過ぎると、該化合物自体が電荷輸送の妨げとなる場合がある。
正孔注入層の材料としては、上に説明した各種の電子受容性化合物のうち、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。2種以上の電子受容性化合物を用いる場合には、上記式(II−1)〜(II−3)のうち何れか1つの式に該当する電子受容性化合物を2種以上組み合わせてもよく、それぞれ異なる式に該当する2種以上の電子受容性化合物を組み合わせてもよい。
正孔注入層3及び正孔注入層用組成物中における電子受容性化合物の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、ポリマー及び後述の正孔輸送性化合物に対する値で、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常100重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。電子受容性化合物の量は多い方が不溶化しやすいため好ましく、加熱時間が短時間で不溶化することができる。なお、2種以上の電子受容性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
なお、正孔注入層3の形成時或いは形成後に、上記の正孔輸送性を有するポリマー或いは下記の正孔輸送性化合物が、この電子受容性化合物と反応することにより、形成後の正孔注入層3中では、正孔輸送性ポリマー或いは正孔輸送性化合物のカチオンラジカル及びイオン化合物が生成している場合がある。
(3−1−3.低分子量の正孔輸送性化合物)
正孔注入層の材料としては、必要に応じて低分子量の正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。
低分子量の正孔輸送性化合物は、従来、有機EL素子における正孔注入・輸送性の薄膜精製材料として利用されてきた各種の化合物の中から、適宜選択することが可能である。中でも、溶媒溶解性の高いものが好ましい。
低分子量の正孔輸送性化合物の好ましい例としては、芳香族アミン化合物が挙げられる。中でも、芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。
なお、低分子量の正孔輸送性化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常200以上、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、また、通常5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1700以下、特に好ましくは1400以下の範囲である。分子量が小さ過ぎると耐熱性が低くなる傾向がある一方で、低分子量の正孔輸送性化合物の分子量が大き過ぎると合成及び精製が困難となる傾向がある。
なお、低分子量の正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(3−1−4.その他の成分)
正孔注入層に含まれる材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述したポリマー、電子受容性化合物及び正孔輸送性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させても良い。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダ樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔3−2.正孔注入層の形成〕
正孔注入層の形成方法は特に限定されるものではなく、上述の材料に応じて適宜選択することができる。例えば湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合は、上述の材料を

適切な溶媒に溶解させて塗布用組成物(本発明の有機電界発光素子用組成物)を調製し、それを塗布及び乾燥することにより形成することができる。
本発明においては、特に本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成されることが好ましく、特に上記本発明の有機電界発光素子の製造方法として記載の方法により製造されることが好ましい。
塗布用組成物に含有させる正孔注入層用溶媒としては、正孔注入層3の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。特に、本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる溶媒として記載のものが好ましい。
塗布用組成物の塗布・成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶媒を除去することにより、正孔注入層が形成される。成膜の方式は、パターニングが可能な方法であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、等が挙げられる。
これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。塗布用組成物に特有の液性に合うためである。
なお、乾燥の手法は例えば、プレート(ホットプレート)上に基材を搭載しそのプレートを介して塗布膜を加熱させるホットプレート方式、前記基材の上面側及び/又は下面側にヒーターを配置し、ヒーターから電磁波(例えば赤外線)を照射して、薄膜を加熱する
方式、等を用いることができる。加熱手段は1つでもよく、また2つ以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
なお、正孔注入層3の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<4.発光層>
正孔注入層3の上には本発明に係る有機層として発光層4が設けられる。発光層4は、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子輸送層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
〔4−1.発光層の材料〕
発光層4は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光物質については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。また、電荷輸送性化合物を2成分以上含有していることが好ましい。更に、発光層4は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、本発明においては、何れも低分子化合物を使用することが好ましい。なお、低分子化合物とは、重量平均分子量が、通常6000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは1500以下の化合物をいう。
(4−1−1.発光材料)
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光色素の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光色素(青色蛍光色素)としては、例えば、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光色素(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光色素(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光色素(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
次に、発光材料のうち、燐光発光材料について説明する。燐光発光材料としては、例えば、周期表第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
燐光性有機金属錯体に含まれる、周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましいもの例を挙げると、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記式
(V)又は式(VI)で表わされる化合物が挙げられる。
ML(q-j)L′j (V)
{式(V)中、Mは金属を表わし、qは上記金属の価数を表わす。また、L及びL’は二座配位子を表わす。jは0、1又は2の数を表わす。}
Figure 2009059846
{式(VI)中、M7は金属を表わし、Tは炭素原子又は窒素原子を表わす。R92〜R95は 、それぞれ独立に置換基を表わす。但し、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。}
以下、まず、式(V)で表わされる化合物について説明する。
式(V)中、Mは任意の金属を表わし、好ましいものの具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、式(V)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2009059846
上記Lの部分構造において、環A1”は、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。
環A1”を構成する芳香族炭化水素基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環由来の1価の基などが挙げられる。
環A1”を構成する芳香族複素環基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環由来の1価の基などが挙げられる。
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素芳香族複素環基を表わす。
環A2を構成する含窒素芳香族複素環基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。その具体例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環由来の1価の基などが挙げられる。
環A1”又は環A2がそれぞれ有していてもよい置換基の例としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等
のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
なお、前記置換基は、1個のみが置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、式(V)中、二座配位子L’は、以下の部分構造のうちの少なくともいずれかを有する配位子を示す。但し、以下の式において、「Ph」はフェニル基を表わす。
Figure 2009059846
中でも、L’としては、錯体の安定性の観点から、以下に挙げる配位子が好ましい。
Figure 2009059846
式(V)で表わされる化合物として、更に好ましくは、下記式(Va)、(Vb)及び(Vc)の少なくともいずれかで表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2009059846
{式(Va)中、M4は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、環 A1”は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表わし、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。}
Figure 2009059846
{式(Vb)中、M5は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、環 A1”は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わし、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。}
Figure 2009059846
{式(Vc)中、M6は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、j は、0、1又は2を表わし、環A1”及び環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わし、環A2及び環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。}
上記式(Va)、(Vb)及び(Vc)において、環A1”及び環A1’の好ましい例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
上記式(Va)、(Vb)及び(Vc)において、環A2及び環A2’の好ましい例と

しては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
上記式(Va)、(Vb)及び(Vc)のいずれかで表わされる化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
また、前記置換基の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、置換基がアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアルケニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシ基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアリールオキシ基である場合は、その炭素数は通常6以上14以下である。また、置換基がジアルキルアミノ基である場合は、その炭素数は通常2以上24以下である。また、置換基がジアリールアミノ基である場合、その炭素数は通常12以上28以下である。また、置換基がアシル基である場合は、その炭素数は通常1以上14以下である。また、置換基がハロアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上12以下である。
なお、前記の置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1”が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1’が有する置換基
と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環としては、例えば7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
上述した置換基の中でも、環A1”、環A1’、環A2及び環A2’の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。なお、環A1”、環A1’、環A2及び環A2’の置換基は、1個のみが置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、式(Va)、(Vb)及び(Vc)におけるM4〜M6の好ましい例としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられる。
上記式(V)、(Va)、(Vb)及び(Vc)のいずれかで示される有機金属錯体の具体例を以下に示す。但し、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2009059846
Figure 2009059846
さらに、上記式(V)で表わされる有機金属錯体の中でも、特に、配位子L及び/又はL’として2−アリールピリジン系配位子(即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、及び、これに任意の基が縮合してなるもの)を有する化合物が好ましい。
また、国際特許公開第2005/019373号明細書に記載の化合物も、発光材料として使用することが可能である。
次に、式(VI)で表わされる化合物について説明する。
式(VI)中、M7は金属を表わす。具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる 金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましく

は、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、式(VI)において、R92及びR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表わす。なお、各R92及びR93はそれぞれ同じでもよく異なっていても良い。
更に、式(VI)においてTが炭素原子である場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93と同様の例示物で表わされる置換基を表わす。また、式(VI)においてTが窒素原子である場合は、R94及びR95は無い。なお、各Tは同じでもよく異なっていても良い。
また、式(VI)においてR92〜R95は、更に置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、その種類に特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。また、その置換基は、1個のみが置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
さらに、式(VI)においてR92〜R95のうち任意の2つ以上の基が互いに連結して環を形成してもよい。
式(VI)で表わされる有機金属錯体の具体例(T−1〜T−7)を以下に示す。但し、下記の例示物に限定されるものではない。また、以下の化学式において、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。
Figure 2009059846
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、層を形成した際の層の質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機EL素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶媒に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み

合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層4における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、通常35重量%以下、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(4−1−2.正孔輸送性化合物)
また、発光層4には、構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の〔2−3−1−3.低分子量の正孔輸送性化合物〕の欄で例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91,pp.209)等が挙げられる。なお、発光層4において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層4における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、通常65重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(4−1−3.電子輸送性化合物)
発光層4には、構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層4において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層4における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、通常65重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
〔4−2.発光層の形成〕
上記発光層は湿式成膜法により形成される。以下発光層の形成方法について説明する。発光層を製造するための塗布用組成物に含有させる発光層用溶媒としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。ただし、前述の発光材料、正孔輸送性化合物、及び、電子輸送性化合物を溶解することが可能なものが好ましい。具体的な溶解性としては、常温・常圧下で、発光材料、正孔輸送性化合物、あるいは電子輸送性化合物を、通常0.01重量%以上、中でも0.05重量%以上、特には0.1重量%以上溶解することが好ましい。発光層用溶媒の好適な例は、上述した〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した溶媒と同様である。
発光層を製造するための塗布用組成物に対する発光層用溶媒の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下の範囲である。なお、発光層用溶媒として2種以上の溶媒を混合して用いる場合には、これらの溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
発光層を製造するための塗布用組成物の塗布・成膜後、得られた塗膜を乾燥し、発光層用溶媒を除去することにより、発光層が形成される。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、例えば上記〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した、いかなる方式も用いることができる。
なお、乾燥の手法についても、〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した手法と同様とすることができ、他に制限はない。
発光層4の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層4の膜厚が、薄すぎると発光層に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると有機EL素子の駆動電圧が上昇する可能性がある。
<5.電子輸送層>
電子輸送層5は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層5に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極6又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。なお、電子輸送層5の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層5の形成方法に制限はなく、例えば湿式成膜法により形成してもよいが、真空蒸着法により形成することが特に好ましい。
電子輸送層5の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
<6.陰極>
陰極6は、発光層4側の層(電子輸送層5又は発光層4など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極6の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。なお、陰極6の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極6の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極6を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<7.その他の層>
以上、図1に示す層構成の有機EL素子を中心に説明してきたが、本発明に係る有機EL素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、上記図1においては正孔注入層3及び正孔注入層5が有機層として用いられているが、有機層の種類に制限はなく、後述するいずれの層を有機層として用いてもよい。またさらにその性能を損なわない限り、陽極2と陰極6との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
〔2−7−1.正孔輸送層〕
正孔注入層3と発光層4との間に正孔輸送層7を有していてもよい。
正孔輸送層7を形成する材料としては、上記正孔注入層3に混合して用いてもよい正孔輸送化合物として例示した化合物と同様なものが挙げられる。また、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン等の高分子材料も用いることができる。なお、正孔輸送層7の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿式成膜法により正孔輸送層7を形成する場合は、上述の材料を適切な溶媒に溶解させて塗布用組成物を調製し、それを用いて成膜工程、乾燥工程を経ることにより形成する。これらの詳細は、先の〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した内容と同様であ
る。以下、特に湿式成膜法について説明する。
正孔輸送層を製造するための塗布用組成物に含有させる正孔輸送層用溶媒としては、正孔注入層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。ただし、前述の正孔輸送性化合物や高分子材料を溶解することが可能なものが好ましい。
また、正孔輸送層用溶媒としては、ポリマー、電子受容性化合物、正孔輸送性化合物及びそれらの混合から生じるフリーキャリア(カチオンラジカル)を失活させる可能性のある失活物質又は失活物質を発生させるものを含まない溶媒が好ましい。
正孔輸送層を製造するための塗布用組成物の塗布・成膜後、得られた塗膜を乾燥し、正孔輸送層用溶媒を除去することにより、正孔輸送層が形成される。湿式成膜の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した、いかなる方式も用いることができる。
なお、乾燥の手法は、〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した手法と同様であれば、他に制限はない。
なお、正孔輸送層7の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
〔7−2.電子阻止層〕
正孔注入層3と発光層4との間に電子阻止層8を有していてもよい。
電子阻止層8は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔と電子との再結合確率を上げ、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は効果的である。
電子阻止層8に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明において、発光層4を湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層8にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層8に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号公報記載)等が挙げられる。なお、電子阻止層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子阻止層8の形成方法に制限はない。従って、上述の材料を上述の〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した方法や、その他の方法で正孔注入層3上に積層することにより形成することができる。
〔7−3.電子注入層>
電子輸送層5上に電子注入層9aおよび後述する正孔阻止層9bを有していてもよい。電子注入層9aは、陰極6から注入された電子を効率良く発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層9aを形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、上述の材料を上述の〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した湿式成膜法や、その他の方法で発光層4上に積層することにより形成することができる。
〔7−4.正孔阻止層〕
また、例えば、発光層4と電子輸送層5との間に、正孔阻止層9bを設けてもよい。正孔阻止層9bは、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層される層である。この正孔阻止層9bは、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層9bを構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層9bの材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層9bの材料として好ましい。なお、正孔阻止層9bの材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層9bの形成方法に制限はない。従って、上述の材料を上述の〔3−2.正孔注入層の形成〕の欄で説明した湿式成膜法や真空蒸着法等で形成できるが、真空蒸着法で形成することが好ましい。
正孔阻止層9bの膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
〔8.その他〕
陰極6と発光層4又は電子輸送層5との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図1の層構成であれば、基板1上に陰極6、電子輸送層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に設けることになる。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明の有機EL素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明の有機EL素子は、単一の有機EL素子として構成してもよく、複数の有機EL素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(ベタ塗布膜の作製法および均一性評価方法)
ディスプレイ用ガラス基板(旭ガラス社製「AN100」)の研磨面を洗浄剤(ライオン社製「サンウォッシュTL−100」)によって洗浄後、UVオゾン処理(低圧水銀灯にて1000mj/cm)することで光洗浄を施したガラス基板上に、ピエゾ方式のインクジェットプリンタヘッド(富士フィルムダイマティクス社製、商品名Spectra
SE128)に充填した塗布液材料(有機電界発光素子用組成物)を、平均液滴サイズ20plにて100μm間隔で5mm×20mmのエリアに吐出した後に温度23℃湿度50%の環境にて10分間乾燥させ、さらに230℃のオーブン中で10分間のベーク処理を行った。以上の様にして形成されたベタ膜端部の直線性を顕微鏡にて観察し、また膜厚の測定を触針式段差計(テンコール社製P−16+)にて実施した。
(着滴径の評価)
液滴の吐出間隔を1mmとした以外は、上記(ベタ塗布膜の作製法および均一性評価方法)と同様の方法で塗布液材料(有機電界発光素子用組成物)をガラス基板上に吐出した後に、温度23℃、湿度50%の環境にて一分間放置した後の液滴を光学顕微鏡にて観察し、液滴径の測定を行った。
(吐出安定性の評価方法)
上記ディスプレイ用ガラス基板に、撥液処理剤(例:(株)フロロテクノロジー社製 商品名FG5010S135−0.1)をスピンコーター(例:ミカサ(株)製 商品名1H−D7)にて毎分500回転にて5秒間、引き続き毎分1500回転にて20秒間スピンコートした後に、80℃のホットプレート上で10分間乾燥することで、吐出安定性評価用の基板とした。ピエゾ方式のインクジェットプリンタヘッド(富士フィルムダイマティクス社製、商品名Spectra SE128)に充填した塗布液材料(有機電界発光素子用組成物)を、平均液滴サイズ20plにて各ノズルから2500発吐出させた後、温度23℃湿度50%の環境で10分間放置し、再び吐出を開始した際の不吐出および飛翔曲がりの状況を、ノズル50本に対する発生頻度で評価した。
○:発生頻度10%未満
△:発生頻度10〜30%未満
×:発生頻度30%以上
(参考例1)
300mlの三角フラスコに、溶媒として安息香酸エチル(沸点:213℃)100重量%に対して、下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマー(以下、式(1)で表されるポリマーという場合がある)5重量%を入れ、マグネチックスターラーにて1時間攪拌を行った。攪拌後の溶液を目視にて観察したところ不溶物は確認されなかった。
(参考例2)
溶媒をジフェニルエーテル(沸点:259℃)に変更した以外は、参考例1と同様にして行ったところ、不溶物は確認されなかった。
(参考例3)
溶媒をジフェニルメタン(沸点:265℃)に変更した以外は、参考例1と同様にして行ったところ、不溶物は確認されなかった。
(参考例4)
溶媒を酢酸2−フェノキシエチル(沸点:260℃)に変更した以外は、参考例1と同様にして行い、攪拌後の溶液を目視にて観察したところ、液中および三角フラスコ内壁に不溶物が観察された。
(参考例5)
溶媒を安息香酸エチル75重量%と酢酸2−フェノキシエチル25重量%との混合溶媒に変更した以外は、参考例1と同様にして行ったところ、不溶物は確認されなかった。
Figure 2009059846
(式(1)中、n:2〜1000、重量平均分子量:1000〜500000)
(実施例1)
溶質として、上記式(1)で表されるポリマー5重量%および下記式(2)で表されるイオン化合物1重量%を、溶媒として安息香酸エチル50重量%とジフェニルエーテル50重量%の混合溶媒に溶解して有機電界発光素子用組成物とした。この組成物の接触角を測定した結果を表2に示す。接触角の測定は、市販の接触角測定装置(例:協和界面科学社製「CA−DT」)を使用し、温度23℃湿度50%の環境にて25Gのテフロン(登録商標)被覆ステンレス針にて作成した300nlの液滴を上記光洗浄を施したガラス基材上に着滴させた後、10秒経過時の接触角を測定した。
この組成物を、上述の光洗浄済みガラス基板上に上述の手法を用いて100μm間隔で吐出し、ベタ膜を得た。このベタ膜端部の直線性の観察および膜厚の測定を実施した。結果を表2に示す。また、この組成物を上述の光洗浄済みガラス基板上に、上述の手法を用いて1mm間隔で吐出して得られた液滴の着滴径を測定した。また、この組成物を、上述の撥液処理を施したガラス基板上に上述の手法を用いて吐出し、吐出安定性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009059846
(実施例2)
組成物中の溶媒を、安息香酸エチル50重量%とジフェニルメタン50重量%とした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子用組成物を調製し、接触角の測定、ベタ膜端部の直線性の観察、膜厚の測定、着滴径の測定および吐出安定性の評価を実施した。結果を表2に示す。
(実施例3)
組成物中の溶媒を、安息香酸エチル75重量%とジフェニルエーテル25重量%とした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子用組成物を調製し、接触角の測定、ベタ膜端部の直線性の観察、膜厚の測定、着滴径の測定および吐出安定性の評価を実施した。結果を表2に示す。
(比較例1)
組成物中の溶媒を、安息香酸エチルのみの単独溶媒とした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子用組成物を調製し、接触角の測定、ベタ膜端部の直線性の観察、膜厚の測定、着滴径の測定および吐出安定性の評価を実施した。結果を表2に示す。
(比較例2)
組成物中の溶質を上記式(1)で表されるポリマー4重量%および上記式(2)で表されるイオン化合物0.8重量%とし、溶媒をジフェニルエーテルのみの単独溶媒とした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子用組成物を調製し、接触角の測定、ベタ膜端部の直線性の観察、膜厚の測定、着滴径の測定および吐出安定性の評価を実施した。結果を表2に示す。
(比較例3)
組成物中の溶媒を、安息香酸エチル75重量%と酢酸2−フェノキシエチル25重量%とした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子用組成物を調製し、接触角の測定、ベタ膜端部の直線性の観察、膜厚の測定、着滴径の測定および吐出安定性の評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2009059846
Figure 2009059846
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極
10a 有機電界発光素子

Claims (11)

  1. 2種類以上の有機溶媒を含有する、有機電界発光素子の有機層を形成するための組成物であって、該有機溶媒のうちの少なくとも2種は、その沸点が互いに20℃以上の差を有する有機溶媒であり、
    ガラス基材への接触角が5度以上10度以下であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
  2. 沸点230℃以上の有機溶媒を15〜85重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子用組成物。
  3. 沸点230℃以上の有機溶媒と溶質とを含有し、該沸点230℃以上の有機溶媒が、該溶質を2重量%以上溶解することを特徴とする、
    請求項1または2に記載の有機電界発光素子用組成物。
  4. インクジェット法で、20plの液滴サイズでガラス基材に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmであることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
  5. 有機溶媒として、安息香酸エチル及びジフェニルエーテルを含有することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
  6. 溶質を含有し、該溶質が正孔注入材料または正孔輸送材料であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
  7. 溶質を含有し、該溶質が下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
    Figure 2009059846
    (式(1)中、nは2〜1000である。)
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された有機層を有する、有機電界発光素子。
  9. インクジェット法で有機層を形成する有機電界発光素子の製造方法において、請求項1乃至7の何れか一項に記載の有機電界発光素子用組成物をベタ塗布して有機層を形成する
    ことを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。
  10. ベタ塗布面の端部の直線性が、該端部長さ10mmに対する真直度で500μm以内であることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  11. ベタ塗布面の端部の膜厚均一性が、該端部から1mmの部分の膜厚が、ベタ塗布面の平均膜厚の80%以上120%以下であり、かつ該端部から1mm以内のうち最も厚い部分の膜厚がベタ塗布面の平均膜厚の400%以下であることを特徴とする、請求項9または10に記載の有機電界発光素子の製造方法。
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