JP2019214656A - アクリル樹脂組成物及び樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

アクリル樹脂組成物及び樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂そのものの強靭性を改善することができるだけでなく、低コストで良好な成形性とプロセス適合性を有するアクリル樹脂組成物及び該アクリル樹脂組成物を構成するモノマ組成物を用いて製造する樹脂成形体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のアクリル樹脂組成物は、(1)アクリル酸、(2)アクリル酸エステル及び(3)ラジカル重合開始剤、を含むモノマ組成物を光または熱によって重合して得られ、ガラス転移温度が40℃〜70℃で、数平均分子量が100,000以上であり、かつ、前記(1)のアクリル酸の配合量が前記モノマ組成物の全質量に対して30質量%〜60質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度と伸びに優れたアクリル樹脂組成物及び該アクリル樹脂組成物による樹脂成形体の製造方法に関する。
アクリル樹脂は透明性が高く、ラジカル重合によって高分子量の重合物を容易に得ることが可能である。直鎖状の未架橋高分子では加熱や溶媒によって容易に液状化することが可能で、射出成形や塗工プロセスによって様々な形態に成形可能である。また、光または熱によるラジカル架橋反応によって速硬化が可能で接着剤組成物などにも用いられている。そのため、アクリル樹脂は様々な成形体や構造で使用されるため、樹脂の強靭性の向上があらゆる用途で常に求められている。
アクリル樹脂の強靭性を向上するためには一般的には機械的強度に優れた繊維やフィラと樹脂を複合化させる方法や、ポリマブレンドによって低弾性成分を積極的に相分離させることで応力集中を緩和して樹脂全体の強度を向上する方法が知られている。
一方で樹脂単独の強度を向上するためには、ポリマ鎖を多官能モノマ等で架橋したネットワーク構造を構築することで硬さ(剛性)を向上する方法が一般的に知られている。しかしながら、通常の架橋反応では、架橋によって硬さが向上する一方で伸びが低下して脆くなる傾向がある。この問題を解決するため、ポリマ鎖の架橋点の応力集中を緩和する方法が提唱されている。例えば、架橋構造中にロタキサン構造を導入することで滑車効果を利用したり、金属イオンとのイオン対架橋を利用したりして可逆的に結合の切断と再生が可能な構造を形成する方法が提唱されている。
特許第3475252号 特許第5007058号 特許第5147372号
しかしながら上述のロタキサンや金属イオン対架橋を利用した架橋構造の場合、合成方法が煩雑でコストがかかることに加えて、相溶性や溶解性に課題があり、プロセス上の制約となる場合がある。
そこで、より簡便で低コストな手段が求められており、例えば、水素結合のような弱い分子間相互作用を利用して可逆的な架橋構造を形成することで架橋点の応力集中を緩和することができる。特にアクリル樹脂ではアクリル酸の重合物に含まれるカルボキシル基の導入を非常に簡単に行うことができ、かつ、それによって非常に強い水素結合を形成することが知られている。本発明は、樹脂の強靭性を向上させる方法として、このカルボキシル基の水素結合を適切に利用することが可能な樹脂組成を設計することで水素結合を利用した擬似架橋構造を構築することができるアクリル樹脂組成物及び該アクリル樹脂組成物による樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の構成は以下のとおりである。
本発明は、(1)アクリル酸、(2)アクリル酸エステル及び(3)ラジカル重合開始剤、を含むモノマ組成物を光または熱によって重合して得られ、ガラス転移温度が40℃〜70℃で、数平均分子量が100,000以上であり、かつ、前記(1)のアクリル酸の配合量が前記モノマ組成物の全質量に対して30質量%〜60質量%であることを特徴とするアクリル樹脂組成物を提供する。
また、本発明のアクリル樹脂組成物は、前記(2)アクリル酸エステルが、単独で重合させたときの樹脂成形体のガラス転移温度として−80℃〜−0℃であることが好ましい。
また、本発明のアクリル樹脂組成物は、前記(2)アクリル酸エステルが、2−エチルヘキシルアクリレートであることが好ましい。
また、本発明のアクリル樹脂組成物は、前記モノマ組成物が、さらにアクリレート基を分子内に2つ以上含むアクリル酸エステルを有し、該アクリレート基を分子内に2つ以上含むアクリル酸エステルの配合量が、前記モノマ組成物の全質量に対して0.01質量%〜2.0質量%であることが好ましい。
また、本発明のアクリル樹脂組成物は、前記(3)ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記アクリル樹脂組成物を構成するモノマ組成物を用いて、塊状重合によって樹脂成形体を製造する樹脂成形体の製造方法を提供する。
本発明は、アクリル樹脂そのものの強靭性を改善できる樹脂組成物を提供できるだけでなく、低コストで良好な成形性とプロセス適合性を有する。さらに、本発明の樹脂組成物によって、ポリマブレンドや複合化等の他の強靭化技術とも容易に併用できる技術を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明は、アクリル樹脂の主鎖を水素結合による弱い相互作用を利用して擬似的な架橋構造を形成することで、強靭性を発現する樹脂組成物を提供することができる。水素結合の種類は、アクリル酸と共重合することで容易に導入することができ、かつ比較的強い水素結合が得られることからカルボン酸が好ましい。
他の水素結合可能な官能基としては、カルボン酸による結合以外にもアミド結合やウレタン結合等もあるが、合成や入手が煩雑である、モノマや重合物の相溶性が悪い、モノマおよびモノマの合成中間体が有害性である、長期使用環境下で着色する等の問題があるといった観点からも、カルボン酸が特に好ましい。
水素結合は一般的な多官能モノマ等の化学的な架橋と比較すると結合力が非常に弱いため、樹脂組成物中に十分な量を導入し相互作用部位を増やすことで、重合して得られる樹脂全体としての架橋の強さを確保することができる。一方で個々の水素結合の強さは弱いため、擬似架橋の組み換えが容易であり、この組み換えによって樹脂への応力集中を回避することが可能である。
一方で、樹脂の硬さや伸びといった機械的特性は、樹脂組成物の組成だけでなく、樹脂のガラス転移温度にも大きく依存する。一般的に水素結合可能な官能基を多く導入するとガラス転移温度が高くなる傾向にあり、通常ではもろくなってしまうため、これまで水素結合部位の効果的な導入量の確保とガラス転移温度とを両立できる組成を見出すことが難しかった。
本発明では、アクリル樹脂組成物の強靭性の観点から詳細な検討を行った結果、アクリル酸の配合量と樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が重要な支配因子であることを見出した。さらに、前記樹脂組成物を構成するモノマ組成物に含まれるアクリル酸の配合量とアクリル酸エステルの種類を適切に設定することで強靭な樹脂成形体を提供できるアクリル樹脂組成物を得ることが可能であることが分かった。
検討の結果、アクリル酸の配合量は樹脂組成物を構成するモノマ組成物の全体に対して30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましい。アクリル酸の配合量が30質量%未満であると水素結合が弱くなるため、樹脂組成物の破断応力の低下が顕著になる。そのため、アクリル酸の配合量としては30質量%以上に規定することが必要であり、さらに35質量%以上で樹脂組成物が良好な破断強度を示す。また、60質量%を超えると樹脂組成物のガラス転移温度の制御が困難になり、割れたり切れたりしやすくなる。そのため、アクリル酸の配合量としては60質量%以下に規定することが必要であり、さらに50質量%以下で良好な破断強度を示す。
一方で、本発明の樹脂組成物のTgは、強靭性の観点から40℃〜70℃が好ましく、45℃〜65℃がより好ましく、50℃〜60℃がさらに好ましい。Tgが40℃未満であると樹脂組成物が固体を維持できず液状になり、45℃未満であると樹脂組成物が固形の状態であっても弾性率および破断強度が著しく低下する傾向がある。また、Tgが70℃を超えると脆くなり曲げることが難しくなり、65℃を超えると伸びが低下し強靭性が悪くなる傾向がある。
樹脂ガラス転移温度は樹脂組成物を構成するモノマ組成物に含まれるアクリル酸の配合量に依存するため、アクリル酸の配合量と、重合して得られる樹脂組成物のガラス転移温度とをそれぞれ独立して制御する必要がある。そのためにはアクリル酸エステルの構造を変えることで制御する。樹脂の共重合体のガラス転移温度は使用するモノマの単独重合物のガラス転移温度と配合割合から下記式(1)のFOXの式によって予測することができる。
Figure 2019214656
Tg :モノマ1と2の共重合体の予測Tg(K)
:モノマ1の重量分率(0〜1)
Tg :モノマ1の単独重合物のTg(K)
:モノマ2の重量分率(0〜1)
Tg :モノマ2の単独重合物のTg(K)
樹脂組成物の強靭化に必要なガラス転移温度は、アクリル酸単独重合物のガラス転移温度よりも低いためガラス転移温度を下げる必要がある。ガラス転移温度を下げる目的でアクリル酸エステルを併用する。使用するアクリル酸エステルは一般的に知られている公知のものを使用することができる。
具体的なアクリル酸エステルとしては、例えば、エチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びグリシジルメタクリレート等が挙げられる。
FOXの式によると、併用するアクリル酸エステルのガラス転移温度は低いほど少量の添加でガラス転移温度を調節できるため好ましい。上記のアクリル酸エステルの中でアクリル酸−2−エチルヘキシル(EHA)は、単独重合物のガラス転移温度が−70℃と低温であるため最も好ましい。このとき、ガラス転移温度とアクリル酸の導入量を独立して調整する目的で他のアクリル酸エステルを複数併用しても良い。
強靭性構造の観点から、アクリル酸およびアクリル酸エステルを併用して共重合した重合物にはミクロ相分離構造を形成することが更に好ましい。ミクロ相分離構造を形成することで硬いハードセグメントと柔軟なソフトセグメントによって硬さと伸びが両立できる。ミクロ相分離構造を形成するためには、併用するそれぞれのアクリルモノマの重合速度に差があること、更に得られる共重合物とアクリルモノマの相溶性が悪いことが有効であり、重合中に残ったアクリルモノマが析出してミクロ相分離構造を形成できると考えられる。さらに、得られたミクロ相分離構造がソフトセグメントとハードセグメントを形成するためには併用するアクリルモノマのそれぞれの単独重合物のTgに差があることが好ましい。
以上の観点から、アクリル酸とアクリル酸エステルの共重合による樹脂組成物は、ミクロ相分離構造を形成しやすい好適な組成物であると考えられる。
得られた樹脂組成物がミクロ相分離構造を形成していることは透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)による観察で容易に確認できる。
さらに、動的粘弾性(DMA)測定によってもミクロ相分離構造を形成している場合、損失正接(tanδ)の形状がソフトセグメントとハードセグメントそれぞれのガラス転移温度に由来するピークが独立して現れることからも確認できる。また、ミクロ相分離構造を形成することで得られた樹脂組成物のTgが上述のFOXから得られるTgの予測値とずれることからも確認できる場合がある。
前記アクリル酸エステルの成分に、硬さの向上及び耐溶剤性の付与等を目的に、アクリレート基を分子内に2つ以上含む多官能アクリレートを添加してもよい。具体的には1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンメタノールジアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、及びウレタンアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリレート基を分子内に2つ以上含むアクリル酸エステル(多官能アクリレート)の配合量は、樹脂組成物の硬さ、耐溶剤性及び耐衝撃性の観点から、前記樹脂組成物を構成するモノマ組成物の全質量に対して0.01質量%〜2.0質量%であることが好ましい。多官能アクリレートの配合量が0.01質量%未満では硬さ及び耐溶剤の付与が十分でなく、また、2.0質量%を超えると重合物の破断伸びが小さくなり、耐衝撃性の低下が顕著になる。
アクリル樹脂組成物の分子量は、高分子量であるほど好ましく、数平均分子量で100,000以上であることが好ましい。これよりも分子量が低いと、高分子鎖の絡みあいの効果が低下するため破断伸びや破断応力が低くなる。一方で分子量が高い場合、機械的強度への悪影響は見られないが、溶媒への溶解性や溶融成形を行う際の溶融粘度やその他取扱い性が悪化する場合があるのでその際は用途に応じて適切な分子量に調整する。
アクリル樹脂組成物を構成するモノマ組成物の溶液から樹脂成形体を作製する方法は、熱または光ラジカル開始剤によって行う。これらのラジカル開始剤は一般的に知られている熱ラジカル重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤等の公知のものを使用することができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2´−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリック酸等のアゾ化合物、ナトリウムエトキシド、tert−ブチルリチウム等のアルキル金属、1−メトキシ−1−(トリメチルシロキシ)−2−メチル−1−プロペン等のケイ素化合物等を挙げることができる。
また、光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンや2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、通常の範囲で適宜調整されるが、例えば、樹脂組成物の質量を基準として0.01質量〜5質量%であってもよい。
また、熱ラジカル重合開始剤は、硬化促進剤として機能する触媒と組み合わせてもよい。この触媒としては、金属塩、及び、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミン化合物のような還元性を有する化合物が挙げられる。
重合反応の温度は、特に制限されないが、使用するモノマの沸点以下であることが好ましい。重合反応は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。これにより、酸素による重合阻害が抑制され、良好な品質の樹脂成形物を安定して得ることができる。
本発明においてアクリル樹脂組成物を構成するモノマ組成物の重合によって樹脂成形体を製造するときは塊状重合の方法で行うのが特に好ましい。塊状重合は無溶剤での重合反応プロセス全般を指し、無溶剤プロセスでフィルムやファイバ状の成形物、もしくは3Dプリンタ等を用いた3次元造形物も含む。溶媒を用いないで重合することで後工程での溶媒の除去が不要であるばかりでなく、重合時に効果的にカルボン酸同士の水素結合の形成を促進できるため機械特性向上の点でも好ましい。また、前記成形物又は造形物の作製を容易にできることから、塊状重合のとき使用するラジカル重合開始剤としては光ラジカル開始剤が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.樹脂組成物の調製
ジシクロペンタニルアクリレート(FA−513AS、日立化成株式会社製)、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA、富士フイルム和光純薬株式会社製)、エチルアクリレート(EA、富士フイルム和光純薬株式会社製)、アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IC127、BASF社製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(1,9−NDA、富士フイルム和光純薬株式会社製)を表1に示す質量比で混合した混合液(樹脂組成物を構成するモノマ組成物の溶液)を得た。ここで、エチルアクリレート(EA)は、単独重合物のガラス転移温度が−20℃である。
Figure 2019214656
2.樹脂硬化物の作製
得られた樹脂組成物溶液を、40mm×50mm×0.2mmのガラス製の型に入れ上下をガラス板ではさみ、室温でUV露光機(ウシオ電機株式会社製、UV−XeFL)を用いて365nmでの200mJ/cmの積算光量で露光して樹脂硬化物を得た。
3.引張試験
樹脂硬化物を5mm×50mmに打ち抜き、引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ−TEST)を用いて測定温度25℃、引張速度50mm/min、チャック間距離を20mmとして引張試験を行った。初期立ち上がりの最大傾きから弾性率、破断時の応力を破断応力、破断時の伸び量から破断伸びを算出した。測定はN=3で行い平均値とした。
4.溶解性試験
10mm角に切り出したシートサンプルを10mlのガラス製サンプル管に入れTHFを2ml加え25℃で2時間放置した後、目視にて溶解したかどうかで判断した。
5.動的粘弾性試験
シートサンプルを5mm×50mmに打ち抜き、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ社製、RSA−G2)を用いて下記の条件で測定した。得られた粘弾性曲線のtanδピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。
測定モード :引っ張り
周波数 :1Hz
昇温速度 :5℃/min
測定温度範囲 :0℃〜150℃
チャック間距離:10mm
6.分子量測定
シートサンプルの0.1質量%のTHF溶液を調製しPTFE製フィルタ(孔径:450nm)で不溶分を除去し、下記条件でGPC測定を行った。未反応モノマを除外した領域でのポリスチレン換算の分子量を算出した。
装置:東ソー株式会社製HLC−8320GPC(「HLC」は登録商標)
カラム:東ソー株式会社製TSKgel SuperMultipore HZ−M(3本直列、「TSKgel」は登録商標)
分析温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.35ml/min
検出器:RI検出器
評価結果の一覧を表2に示す。
Figure 2019214656

(*)実施例9〜11に示す分子量は、1,9−NDAを含まないときの樹脂組成物について測定した分子量である。
表2に示すように、アクリル酸と2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)からなる樹脂組成物の場合(実施例1〜6)は、樹脂硬化物が良好な破断強度と破断伸びを有し、両者の特性が両立した強靭性のある樹脂硬化物が得られたことが分かる。EHAの代わりにエチルアクリレート(EA)を用いた場合(実施例7、8)でも良好な破断強度と破断伸びを示す樹脂硬化物が得られた。また、多官能アクリレートであるNDAを添加した場合(実施例9〜11)は、樹脂硬化物が溶媒に溶けず、良好な耐溶剤性を示したが、その中で、実施例11は樹脂硬化物の破断伸びの低下が大きくなる傾向にあった。したがって、本発明において多官能アクリレートの配合量は、表1に示すモノマ組成物の全質量に対して樹脂硬化物の硬さと耐溶剤性の点から0.01質量%以上であり、樹脂硬化物の強靭性の点から2.0質量%以下であることが好ましい。
一方でアクリル酸を添加しない比較例1〜3は、樹脂硬化物の破断強度と破断伸びが大きく低下した。また、アクリル酸を添加していても樹脂硬化物のTgが低い場合(比較例4、5)は、破断伸びが高いものの、破断強度の低下が見られた。一方でアクリル酸の添加量が多すぎる場合(比較例6)は、破断強度が高いものの、破断伸びが低下して脆くなった。分子量が低い場合(比較例7)は、樹脂硬化物の破断強度(破断応力)が著しく低くなった。
以上のように、本発明は、アクリル樹脂そのものの強靭性を改善できる樹脂組成物を提供できる。したがって、本発明の該樹脂組成物による樹脂成形体は、樹脂の柔軟性及び強靭性が求められる様々な用途への適用が可能である。

Claims (6)

  1. (1)アクリル酸、(2)アクリル酸エステル及び(3)ラジカル重合開始剤、を含むモノマ組成物を光または熱によって重合して得られ、ガラス転移温度が40℃〜70℃で、数平均分子量が100,000以上であり、かつ、前記(1)のアクリル酸の配合量が前記モノマ組成物の全質量に対して30質量%〜60質量%であることを特徴とするアクリル樹脂組成物。
  2. 前記(2)アクリル酸エステルは、単独で重合させたときの樹脂成形体のガラス転移温度が−80℃〜−0℃である請求項1に記載のアクリル樹脂組成物。
  3. 前記(2)アクリル酸エステルが、2−エチルヘキシルアクリレートである請求項1又は2に記載のアクリル樹脂組成物。
  4. 前記モノマ組成物は、さらにアクリレート基を分子内に2つ以上含むアクリル酸エステルを有し、該アクリレート基を分子内に2つ以上含むアクリル酸エステルの配合量が、前記モノマ組成物の全質量に対して0.01質量%〜2.0質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物。
  5. 前記(3)ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤である請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のアクリル樹脂組成物を構成するモノマ組成物を用いて、塊状重合によって樹脂成形体を製造する樹脂成形体の製造方法。
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