JP2019213540A - 短時間作用性第vii因子ポリペプチド - Google Patents

短時間作用性第vii因子ポリペプチド Download PDF

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Abstract

【課題】短時間作用性第VII因子ペプチドの提供。【解決手段】短縮した半減期は、急性出血および類似の障害の治療に望ましい。第VII因子およびその変異体のシアリル化および/またはグリコシル化の修飾により、急性出血の状態の治療に有用なペプチドが産生された。ヒト凝固第VII因子変異体およびこのような変異体をコードするポリヌクレオチド、このような変異体を含みかつ発現するベクターおよび宿主細胞、このような変異体を得る方法、このような変異体を使用する方法、変異体の組成物、ならびにこれらに関連する追加の発明の特徴が提供される。【選択図】図3

Description

関連出願の相互参照
本出願は、これによりその全体が参照により組み込まれる、2012年12月24日出
願の米国特許出願第61/745674号および2013年3月15日出願の米国特許出
願第61/787026号の優先権を主張するものである。
ヒト凝固第VII因子変異体およびこのような変異体をコードするポリヌクレオチド、
このような変異体を含みかつ発現するベクターおよび宿主細胞、このような変異体を得る
方法、このような変異体を使用する方法、変異体の組成物、ならびにこれらに関連する追
加の発明の特徴が本明細書で提供される。
血液凝固は、最終的にフィブリン凝塊をもたらす種々の血液成分(または因子)の複雑
な相互作用からなる過程である。一般的に、凝固「カスケード」と呼ばれているものに参
加する血液成分は、活性化因子(それ自体活性化凝固因子である)の作用によってタンパ
ク質分解酵素に変換される酵素的に不活性なタンパク質(酵素前駆体または酵素原)であ
る。このような変換を受けた凝固因子は、一般的に「活性因子」と呼ばれ、凝固因子の名
称に文字「a」を付加することによって示される(例えば、第VIIa因子)。
止血過程の開始は、血管壁への損傷後の循環血に暴露した組織因子と、全第VII因子
タンパク質質量の約1%に相当する量で循環中に存在する第VIIa因子との間の複合体
の形成によって媒介される。この複合体は、組織因子保有細胞に固定され、細胞表面で第
IX因子および第X因子をその活性型である第IXa因子および第Xa因子に変換する。
第Xa因子は、組織因子保有細胞上でプロトロンビンをトロンビンに変換し、トロンビン
が第VIII因子、第V因子、第XI因子および第XIII因子を活性化する。さらに、
止血のこの初期ステップで形成される限られた量のトロンビンは血小板も活性化する。血
小板に対するトロンビンの作用の後、血小板は形状を変化させ、帯電リン脂質をその表面
上に露出する。この活性化血小板表面が、さらなる第X因子活性化および完全なトロンビ
ン産生のための鋳型を形成する。活性化血小板表面上でのさらなる第X因子活性化が、活
性化血小板の表面上に形成した第IXa因子および第VIIIa因子複合体を介して起こ
り、次いで、第Xa因子がまだ表面上にありながら、プロトロンビンをトロンビンに変換
する。次いで、トロンビンがフィリブリノーゲンをフィブリンに変換し、フィブリンは不
溶性であり、初期血小板血栓を安定化する。この過程は組織因子露出部位に局在し、それ
によって、凝固系の全身活性化のリスクを最小化する。近年、第VII因子および組織因
子が血液凝固の主な開始因子であることが分かった。
第VIIa因子はその前駆体である第VII因子から産生され、第VII因子は肝臓で
合成されて、血液中に分泌され、ここで単鎖糖タンパク質(分子量約50000Da)と
して循環する。本明細書で使用される野生型第VII因子は、図1および図2に開示され
るアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を有する。「第VII因子」という用語は、その
未切断型(酵素原型)の第VII因子ポリペプチドならびに第VIIa因子と呼ばれ得る
それぞれの生理活性型を産するようタンパク質分解的にまたは別の方法で処理されたもの
を包含するものとする。野生型第VII因子は、典型的には残基152と残基153との
間で切断されて第VIIa因子を産生する。
第VII因子はインビトロで第Xa因子、第XIIa因子、第IXa因子またはトロン
ビンによって二本鎖型の第VIIa因子に変換される。止血に関与するいくつかの他の血
漿タンパク質のように、第VII因子は、タンパク質のアミノ末端の近くにクラスター化
する複数のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化に必要とされるその活性についてビタ
ミンKに依存する。これらのγ−カルボキシル化グルタミン酸は、金属イオンによって誘
導される第VII因子とリン脂質の相互作用に必要とされる。組織因子、リン脂質および
カルシウムイオンの存在下で、二本鎖第VIIa因子は限られたタンパク質分解によって
第X因子または第IX因子を迅速に活性化する。第VIIa因子はタンパク質分解切断を
受けやすく、凝固活性を有さないいくつかの分解産物をもたらす。
1個または複数のアミノ酸の置換、欠失および/または挿入による野生型第VII因子
由来のアミノ酸配列を有する第VII因子変異体が公開されている。例えば、Dicki
nsonら(Proc.Natl.Acad.Sci USA(1996)93、143
79〜14384)は、Lys157、Val158、Glu296、Met298、A
sp334、Ser336またはLys227が個々にAlaによって置き換えられた第
VII因子変異体に関する。Iwanagaら(Thromb.Haemost.(19
99年8月補遺)、466、要約1474)は、残基316〜320が欠失しているまた
は残基311〜322がトリプシンから対応する残基で置き換えられている第VIIa因
子変異体に関する。Boltらの米国特許出願公開第2008/0058255号明細書
は、N145もしくはN322のいずれか、またはN145とN322の両方にグリコシ
ル化を破壊する置換を有する第VII因子変異体に関する。Tosoらは、天然の変異に
基づく一連の第VII因子の構造−機能研究を報告した。変異型組換え第VII因子タン
パク質はT324M、E385K、および第VII因子重鎖(N322Q)または第VI
I因子軽鎖(N145Q)のいずれかにおいてグリコシル化コア配列を欠く2つの変異型
第VII因子タンパク質を含んでいた。Tosoら、「Lack of Heavy C
hain Glycosylation in Patient with Facto
r VII Deficiency Not Responsible for Mut
ant FVIIa Activity」、Blood、第96巻、第11号、第2部(
2000年11月16日)、79b頁(第42回米国血液学会)。
ほとんどの天然ペプチドおよびタンパク質は、主要なペプチドまたはタンパク質鎖の長
さに沿った選ばれた数のアミノ酸への特異的な結合を介してペプチドまたはタンパク質に
結合した炭水化物部分を含有している。したがって、多くの天然ペプチドおよびタンパク
質をそれぞれ「糖ペプチド」または「糖タンパク質」と呼ぶ。任意の所与のペプチドまた
はタンパク質上のグリコシル化パターンの変異性が、そのペプチドまたはタンパク質の機
能に影響を及ぼし得る。例えば、ペプチドまたはタンパク質上のN結合型グリカンの構造
が、細胞または生物中のペプチドまたはタンパク質のプロテアーゼ感受性、細胞内輸送、
分泌、組織標的化、生物学的半減期および抗原性を含む、ペプチドまたはタンパク質の種
々の特性に影響を及ぼし得る。これらの特性の1つまたは複数の変化は、その自然環境で
のペプチドまたはタンパク質の有効性に影響を及ぼし、またペプチドまたはタンパク質が
その目的のために産生された状況において治療剤としてのペプチドまたはタンパク質の有
効性に影響を及ぼし得る。
ペプチドまたはタンパク質鎖に結合した炭水化物構造は「グリカン」分子として知られ
ている。ペプチドまたはタンパク質上に存在する特異的なグリカン構造は、ペプチドまた
はタンパク質の溶解度および凝集特性、主要ペプチドまたはタンパク質鎖の折り畳み、そ
れゆえ、その機能または酵素活性、タンパク質分解攻撃に対するペプチドまたはタンパク
質の抵抗性、およびペプチドまたはタンパク質の不活性型の活性型への変換をもたらすタ
ンパク質分解の制御に影響を及ぼす。例えば、グリカン分子上に存在する末端シアル酸残
基は、哺乳動物循環系中のペプチドまたはタンパク質の半減期の長さに影響を及ぼす。そ
のグリカンが末端シアル酸残基を含有しないペプチドおよびタンパク質は、一般的に肝臓
によって循環からより迅速に除去される。
天然糖ペプチドおよび糖タンパク質に見られるグリカン構造は、典型的にはN結合型お
よびO結合型グリカンの2つのクラスに分けられる。野生型第VIIa因子は、2つのN
結合型および2つのO結合型グリコシル化部位を含有する。N結合型グリコシル化が真核
生物において最も一般的な共有結合修飾である。N結合型グリコシル化はコンセンサス配
列Asn−X−Ser/Thrで起こり、グリカンがアスパラギンのアミノ基に結合し、
Xがプロリン以外の任意のアミノ酸を表す。N結合型グリカンは共通のコア五糖Man
(GlcNAc)に基づき、これはN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ノイ
ラミン酸、N−アセチルグルコサミン、フルクトース、マンノースおよびフコースなどの
単糖の付加によってさらに修飾され得る。末端シアル酸を含む種々の単糖を有するMan
(GlcNAc)は、N−アセチルグルコサミンを介してAsn−X−Ser/Th
rコンセンサス配列中のAsnに結合され得る。この化学的に複雑な同時翻訳修飾が多く
の目的に叶い、適切な折り畳み、官能基配向およびクリアランス速度を含む様々な方法で
タンパク質の生物学に影響を及ぼす。
DeFreesらの米国特許第8008252号明細書に記載されているものを含む、
ペプチドまたはタンパク質のグリコシル化パターンをカスタマイズするための種々の方法
が当技術分野で提案されてきた。
対象の凝固カスケードを刺激または改善することが通常は望ましい。凝固因子欠乏(例
えば、血友病AおよびB、または凝固第XI因子もしくは第VII因子の欠乏)または凝
固因子阻害因子によって引き起こされる出血性障害を制御するために第VIIa因子が使
用されてきた。商品名NovoSeven(登録商標)でNovo Nordiskによ
って製造および販売されている組換え第VIIa因子が、第VIII因子または第IX因
子に対する阻害因子による血友病AまたはB患者、および後天性血友病の患者の出血性エ
ピソードの治療;第VIII因子または第IX因子に対する阻害因子による血友病Aまた
はB患者、および後天性血友病の患者の外科的介入または侵襲的手技における出血の予防
;先天性第VII因子欠乏症の患者における出血性エピソードの治療、ならびに先天性第
VII因子欠乏症の患者の外科的介入または侵襲的手技における出血の予防のために承認
されている。Hednerの米国特許第5180583号明細書は、凝固因子欠損または
凝固因子阻害因子によって引き起こされていない状況における過度の出血を制御するため
に第VIIa因子を用いることを開示している。Hednerは、例えば、欠陥のある血
小板機能、血小板減少またはフォンウィルブランド病によって引き起こされる出血性障害
を治療すること、およびこれらの用途のための組成物を開示している。
先天性もしくは後天性凝固因子欠乏または凝固因子に対する阻害因子によって引き起こ
されていない障害からの出血を治療する必要性がある。いくつかの臨床試験によって、組
換え第VIIa因子が出血を制御する有効性が証明された。しかしながら、この分子の使
用から生じる望ましくない血栓塞栓性イベントの増加が懸念される。出血は、例えば、手
術、手術、茎および臓器移植後の合併症、頭蓋内出血、大動脈瘤、および外傷、または過
量の特定の抗凝固薬と関連する多くの障害における主要な課題である。
米国特許出願公開第2008/0058255号明細書 米国特許第8008252号明細書 米国特許第5180583号明細書
Dickinsonら(Proc.Natl.Acad.Sci USA(1996)93、14379〜14384) Iwanagaら(Thromb.Haemost.(1999年8月補遺)、466、要約1474) Tosoら、「Lack of Heavy Chain Glycosylation in Patient with Factor VII Deficiency Not Responsible for Mutant FVIIa Activity」、Blood、第96巻、第11号、第2部(2000年11月16日)、79b頁(第42回米国血液学会)
短時間作用性の第VII因子ポリペプチドにより出血性障害およびエピソードを治療す
ることが目的である。本研究の1つの目的は、短縮された半減期などの1つまたは複数の
薬物動態学的形質によって特徴付けられる、短時間作用性の第VII因子ポリペプチド(
野生型または変異体)の組成物を提供することである。標的部位および治療時間枠外での
血栓性イベントの機会が減少したこのような第VII因子分子を提供することが目的であ
る。変化したグリコシル化パターンによりクリアランスが増強した第VII因子ポリペプ
チド(野生型または変異体)を提供することが目的である。
本明細書では、配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも2つの配列変化を有す
るアミノ酸配列を含み、少なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換
したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基であ
り;かつ組成物中の抱合型シアル酸のモルとN結合型グリカンのモルの比が0.05未満
、0.1未満、1.0未満、2.0未満、3.0未満、4.0未満、5.0未満または6
.0未満である変異形第VII因子ポリペプチドの組成物が記載される。本明細書では、
配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも2つの配列変化を有するアミノ酸配列を
含み、少なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残
基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基であり;かつN結合型
グリカン1モル当たりの抱合型シアル酸のモルの比が(1)0〜5;(2)0〜4;(3
)0〜3;(4)0〜2;(5)0〜1および(6)0〜0.5からなる群から選択され
る範囲内にある変異形第VII因子ポリペプチドの組成物も記載される。
本明細書では、配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも2つの配列変化を有す
るアミノ酸配列を含み、少なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換
したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基であ
り、ポリペプチドが0.05未満、0.1未満、1.0未満、2.0未満、3.0未満、
4.0未満、5.0未満または6.0未満の抱合型シアル酸のモルとN結合型グリカンの
モルの比を有する単離変異形第VII因子ポリペプチドの組成物も記載される。本明細書
では、配列番号16(野生型第VII因子)のアミノ酸配列を含み、かつ組成物中の抱合
型シアル酸のモルとN結合型グリカンのモルの比が(1)1〜5;(2)1〜4;(3)
1〜3;(4)1〜2;および(5)0.5〜1からなる群から選択される範囲内にある
;または抱合型シアル酸が検出不可能である第VII因子ポリペプチドの組成物も記載さ
れる。
本明細書では、
(1)配列番号16の配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含む
ポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残
基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)145位のN
結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(2)配列番号16の配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含む
ポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残
基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)322位のN
結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(3)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3
)145位および322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなる
ポリペプチド;
(4)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基からなり、1
45位および322位がアスパラギンであり、かつ結合したN結合型グリコシル化を有す
るポリペプチド;
(5)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のア
ラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグル
タミン酸残基、および(5)145位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変
化からなるポリペプチド;
(6)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のア
ラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグル
タミン酸残基、および(5)322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変
化からなるポリペプチド;
(7)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のア
ラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグル
タミン酸残基、および(5)145位および322位のN結合型グリコシル化が破壊され
るような配列変化からなるポリペプチド;および
(8)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配
列を含むポリペプチドであって、配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグル
タミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のア
ラニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(4)36位のアルギニン残基に置換し
たグルタミン酸残基からなり、145位および322位がアスパラギンであり、かつ結合
したN結合型グリコシル化を有するポリペプチド
からなる群から選択される単離変異形第VII因子ポリペプチドも記載される。
本明細書では、シアル酸と第VII因子ポリペプチドの抱合が減少した第VII因子ポ
リペプチドも記載される。特定の例では、第VII因子ポリペプチドが変化したグリコシ
ル化パターンをもたらす変異形ポリペプチドである。他の例では、第VII因子ポリペプ
チドがシアル酸の抱合が減少した野生型第VII因子ポリペプチドである。特定の実施形
態では、減少したシリカ酸抱合が、シアリダーゼ酵素によるポリペプチドの処理によって
果たされ得る。他の実施形態では、減少したシアル酸抱合が、ペプチドのシアリル化が部
分的または完全に欠乏した細胞系で組換え第VII因子ポリペプチドを産生することによ
って果たされ得る。さらなる実施形態では、減少したシアル酸結合が、細胞系で組換え第
VII因子ポリペプチドと、組換えまたは外因性シアリダーゼ酵素を同時発現することに
よって果たされ得る。
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量
のシアル酸抱合が減少した第VII因子ポリペプチドをそれを必要とする哺乳動物に投与
するステップを含む方法も記載される。特定の実施形態では、抱合型シアル酸のモルとN
結合型グリカンのモルの比が0.05未満である。他の実施形態では、第VII因子ポリ
ペプチドが配列番号16のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、第VII因子ポ
リペプチドが野生型第VII因子を含む。追加の実施形態では、治療されている疾患また
は障害が、出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている
哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗
凝固薬の過剰投与からなる群から選択される。
さらなる変異体、組成物、方法ならびに関連する産物およびプロセスを以下で詳細に開
示する。
本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのヌクレオチド配列を示す図である。「V1」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して4個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。「V2」は配列番号16の野生型ヒトアミノ酸配列に関して6個のアミノ酸変異:(P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253N)を有するヒト第VII因子の変異体である。図1はまた、実施例で使用される種々の構築物についてのヌクレオチド配列も示している。 本出願で使用される3個の第VII因子分子についてのアミノ酸配列を示す図である。本明細書で使用される野生型ヒト第VII因子は配列番号16のアミノ酸配列を有する。V1は配列番号17のアミノ酸配列を有する。V2は配列番号18のアミノ酸配列を有する。V1およびV2において、配列番号16の野生型第VII因子からの変化を太字で示す。 本出願の実施例で使用される3個の第VII因子分子を示す模式図である。N−グリコシル化部位におけるグリカンの結合を示している。グリカンを描写するために、実線の箱はN−アセチルグルコサミンを表し、斜線のついた楕円形はマンノースを表し、あいた楕円形はガラクトースを表し、濃い菱形はシアル酸(N−アセチルノイラミン酸としても知られている)を表し、閉じた三角形はフコースを表す。グリカン構造はグリカンの1つの可能な変異体を用いた描写であるが、実際に測定されるグリカンを表していない。 Asn−X−Ser/Thrコンセンサス配列中のAsnにおける結合を示すN結合型グリカンを示す概略図である。末端シアル酸を含む種々の単糖を有するMan(GlcNAc)コアを示している。 V2に関して例示される、第VII因子変異体の半減期を減少させるために本開示で使用される2つのアプローチを示す概略図である。 ヒポグリコシル化(hypoglycosylated)第VII因子分子の表である。 実験の条件による脱シアリル化後のV2の重鎖上に残っているシアル酸を同定するためのLC−MS法の結果を示す図である。 シアル酸含量についての脱シアリル化V2の分析を示す図である。 リン脂質FX活性化アッセイの結果を示す図である。 脱シアリル化タンパク質に対するPL−TGAアッセイの結果を示す図である。 ヒポグリコシル化第VII因子変異体の発現を示す図である。 トランスフェクション上清を用いたヒポグリコシル化FVII変異体の「特異的活性」の測定を示す表である。 精製したヒポグリコシル化変異体pMB121に対するPL−TGAアッセイの結果を示す図である。 野生型第VII因子と比較した脱シアリル化V2のインビトロ肝細胞クリアランスを示す図である。 第VII因子変異体によるインビトロ肝細胞クリアランスの結果を示す図である。ヒポグリコシル化変異体は、このモデルでクリアランスの増加を示さなかった。この結果は、これらの分子についての脱シアリル化V2によって利用されるクリアランス機構とは異なるクリアランス機構を示唆している。 ラットにおける薬物動態試験結果を示す図である。脱シアリル化V2およびV1の半減期は、第VII因子ELISAによって測定されるようにスプラーグドーリーラットにおいてその未修飾親分子よりも有意に短かった。 HemAマウスにおける薬物動態試験結果を示す図である。 HemAマウスにおける脱シアリル化V2有効性試験を示す図である。 TVT HemAモデルにおける脱シアリル化V2有効性試験を示す図である。 第VII因子と比較した脱シアリル化V2を有するHemAマウスにおけるトロンビン−抗トロンビン(「TAT」)産生の結果を示す図である。 凝固能力のあるマウスにおける脱シアリル化V2有効性試験を示す図である。 シアル酸の正常な抱合を有する野生型第VII因子と比較した脱シアリル化野生型第VII因子(dWT VIIa)のインビトロ肝細胞クリアランスを示す図である。 野生型第VII因子と比較したdWT VIIaについてのヒト組織因子ノックイン(TFKI)マウスの尾切断試験結果を示す図である。脱シアリル化第VII因子は、野生型第VII因子よりも有意に効果的であることが分かった。 dWT VIIaまたは野生型第VII因子のいずれかの投与後のトロンビン抗トロンビン(TAT)複合体のELISA分析の結果を示す図である。 FeCl血栓症モデルにおける血栓形成の分析の結果を示す図である。所与の用量のdWT VIIaは、野生型第VII因子と比較して大いに減少した血栓形成をもたらした。 蛍光原基質によって測定される可溶性組織因子に対するdWT VIIaおよび野生型第VII因子の見かけの結合親和性を示す図である。 可溶性組織因子と、dWT VIIaまたは野生型第VII因子のいずれかの複合体による第X因子の第Xa因子への変換を示す図である。
急性出血の治療において血栓性合併症を制限するために組換え第VII因子ポリペプチ
ド(野生型または変異体)の薬物動態を調節する方法が本明細書で記載される。シアル酸
抱合が減少した第VII因子ポリペプチドも記載される。血液からのクリアランスが増強
し、有効性の持続期間が減少した組換え第VII因子の変異体がさらに記載される。この
ような変異体は、変化したグリコシル化パターンにより、組換え野生型第VII因子より
も短いインビボでの半減期を有する。このような短時間作用性第VII因子ポリペプチド
を製造および使用する方法も記載される。
第VII因子およびグリコシル化を説明するために、図3および図4を提供する。図3
は、そのドメインを有する第VII因子分子の3つの例を模式的に示している。第VII
因子は、Gla、EGFおよび触媒ドメインからなり、かつ2個のN結合型グリカン(N
145およびN322)を含有するタンパク質である。V1は4個の変異(P10Q、K
32E、T106N、V253N)を有する第VII因子変異体である。V2は6個の変
異(P10Q、K32E、A343、R36E、T106N、V253N)を有する第V
II因子変異体である。V1およびV2は共に活性化血小板に対する増加した親和性を有
し、野生型第VII因子と比べて長い半減期をもたらすさらに2個のN−グリコシル化部
位を含有する。V2にのみ見られる2個の突然変異(A34E、R36E)は、その組織
因子非依存性を説明すると考えられている。
図4は、Asn−X−Ser/Thrコンセンサス配列中のAsnにおける結合を示す
N結合型グリカンの例を模式的に示している。末端シアル酸を含む種々の単糖を有するM
an(GlcNac)コアを示している。
所望の短い半減期を有する第VII因子ポリペプチドを調製する方法が本明細書で提供
される。短時間作用性第VII因子ポリペプチドを製造するための2つの一般的な方法が
提供され、これらの方法を別々にまたは組み合わせて用いることができる。第VII因子
変異体の一例を用いて図5に模式的に示されるように、グリコシル化第VII因子変異体
を、脱シアリル化または脱グリコシル化によって処理して変異体のグリコシル化パターン
を変化させ、それによって、その半減期を変化、好ましくは短縮することができる。この
方法を用いて野生型第VII因子ポリペプチドを脱シアリル化することもできるだろう。
脱シアリル化は、当技術分野で既知の任意の方法によって起こり得る。適切な方法の例
としては、それだけに限らないが、ノイラミニダーゼ−アガロースビーズ(Sigma
N5254)を含むシアリダーゼ、ならびにGI:40479およびFEBS Lett
.238(1)、31〜34(1988)で同定されたウェルシュ菌(Clostrid
ium perfringens)のノイラミニダーゼを含む脱シアリル化するよう機能
する任意の既知の酵素と接触させることによる酵素的脱シアリル化が挙げられる。このよ
うな脱シアリル化は、部分的に精製した組換え第VII因子ポリペプチドを適切な条件下
インビトロでシアリダーゼと接触させること、または組換え第VII因子ポリペプチドを
発現している宿主細胞中でのシアリダーゼの同時発現によって達成され得る。インビトロ
での接触は、部分的脱シアリル化のみが起こるような持続時間となり得る。例えば、所望
の半減期を第VII因子ポリペプチドの組成物中0.5〜1モルの抱合型シアル酸と一定
モルのN結合型グリカンの比を有する分子から得ることができる場合、完全な脱シアリル
化が起こる前の限られた期間シアリダーゼと接触させることが推奨される。部分的脱シア
リル化は、修飾シアリダーゼを使用すること、第VII因子ポリペプチドをシアリダーゼ
の完全な機能を遅くするもしくは損なう条件下でシアリダーゼと接触させること、または
部分的脱シアリル化ポリペプチドのみ産生する当業者に明らかな他の方法によっても得ら
れ得る。部分的脱シアリル化は、完全に脱シアリル化された基準調製物中の抱合型シアル
酸とグリカンの比との比較によって測定され得る。
脱シアリル化はまた、シアル酸付加に必要とされる1種または複数の細胞成分を欠くま
たは欠乏している細胞系での第VII因子ポリペプチド(野生型または変異体)の発現を
通しても達成され得る。特定の細胞系はシアリル化を減少させるまたは除去するよう修飾
されているまたはされ得る。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)起源の
Lec2細胞は、野生型細胞よりおよそ10倍少ないシアル酸を含む糖タンパク質を産生
する。グリカンの脱シアリル化は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)を含む肝
臓受容体によって活発に排除され得る分子をもたらし、この理由のために、半減期が短縮
すると考えられる。
第2のアプローチは、第VII因子変異体を脱グリコシル化し、それによって半減期が
短縮した分子を得るというものである。グリコシル化の減少によって、腎クリアランス(
50〜60Kdカットオフ、Caliceti PおよびVeronese FM、「P
harmacokinetic and biodistribution prope
rties of poly(ethylene glycol)−protein c
onjugates」、Adv Drug Deliv Rev.2003;55(10
):1261〜77、Weinstein T ら、「Distribution of
glycosaminoglycans in rat renal tubular
epithelium」、J Am Soc Nephrol.1997;8(4):
586〜95、Choi HSら、「Renal clearance of quan
tum dots」、Nat Biotechnol.2007;25(10):116
5〜70に概説)、表面電荷および等電点(pI)電荷(糖タンパク質循環の増加と関連
していた、Byrne B.ら、「Sialic acids:carbohydrat
e moieties that influence the biological
and physical properties of biopharmaceu
tical proteins and living cells」、Drug Di
scovery Today 2007;12(7〜8):319の概説参照)、および
任意の数の血漿プロテアーゼからの少ない糖タンパク質媒介保護(Ton G.ら、20
05、Nie Yら、2006)を通して第VII因子のクリアランスが増強される。
本明細書で使用される脱グリコシル化は、限定されないが、基準第VII因子ポリペプ
チドと比較して変化したアミノ酸配列をもたらす第VII因子ポリペプチドの遺伝子改変
を含み、この変化によりN結合型グリコシル化部位が除去される。例えば、第VII因子
変異体は、N結合型グリカンコンセンサス配列、すなわち、Asn−X−Ser/Thr
(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸を表す)に必要とされる1個または複数のアミノ酸
残基でのグリコシル化を破壊する変化により作成され得る。本明細書で使用する場合、第
VII因子アミノ酸配列の「グリコシル化を破壊する変化」とは、1個または複数のアミ
ノ酸残基の置換、付加または欠失をもたらし、かつN結合型グリコシル化のための1つま
たは複数の部位の喪失をもたらす野生型第VII因子に関する変化を指す。例えば、N結
合型グリコシル化部位は、共に野生型第VII因子中に存在するN145および/または
N322を、任意のアミノ酸(天然または非天然)で置き換えることによって除去され得
る。グリコシル化部位は、グリコシル化を破壊するよう変化させた場合に活性に及ぼす影
響が最小であることが確認されるべきである。別の例では、脱グリコシル化が、グリコシ
ル化のための機構を欠く細胞系での第VII因子ポリペプチド(野生型または変異体)の
発現によって起こり得る。例えば、細菌細胞はグリコシル化のための細胞機構を欠くので
、細菌細胞で産生される第VII因子は、完全に非グリコシル化されていると予想される
。別の実施形態では、第VII因子ポリペプチドが、末端グリコシル化酵素を欠く、また
はこのような酵素を有しているが、1個または複数が野生型細胞系で見られるものより小
さい活性を有する細胞系で産生される。例えば、Appa R.ら、201、Narit
a Mら、1998、Seestedら、2010を参照されたい。別の実施形態では、
第VII因子ポリペプチドが、グリカンの合成もしくは第VII因子への結合に関与する
酵素の欠損、またはCMP−シアル酸トランスポーターの合成に関与する酵素の欠損を持
つ細胞系で産生される。別の実施形態では、第VII因子ポリペプチドをデグリコシラー
ゼ(deglycosylase)または脱グリコシル化する化学物質で処理する。
シアリダーゼ、デグリコシラーゼまたは第VII因子ポリペプチドからグリカンを減少
させるもしくは除去する化学物質による処理は、発現、精製または精製後に起こり得る。
一実施形態では、第VII因子変異体V1(N322、N145)または第VII因子
変異体V2(N322、N145、N106、N253)中のN結合型グリコシル化部位
の少なくとも1つを、活性に対する最小限の影響で選択的に除去した。N−グリカン部位
を、N−グリカンコンセンサス配列を破壊することによって、DNAレベルで消した。N
(アスパラギン)コドンの除去およびQ(グルタミン)コドンによる置換によってこれを
行った。図6は、ヒポグリコシル化変異体の例を示す表である。グリコシル化変異体を、
野生型第VII因子(本明細書では「F7」と呼ぶ)、V1およびV2骨格で作成した。
V1およびV2中の操作したN−グリカン部位(N106、N253)をその野生型配列
(T106、V253)に戻した。変異体pMB113、pMB117およびpMB12
1はそれぞれ2個の内因性N−グリコシル化部位(N145、N322)を含有する野生
型第VII因子、V1およびV2構築物である。図6の他の全ての変異体は、NからQへ
の変異(N145Q、N322Q)を導入することによって除去された内因性N−グリカ
ン部位の一方または両方を有していた。この脱グリコシル化アプローチによりより速いク
リアランスがもたらされる。
本開示の一態様では、脱グリコシル化および脱シアリル化を組み合わせて、所望の短縮
した半減期を有する第VII因子ポリペプチドを得る。例えば、第VII因子分子を遺伝
子組換えして、野生型第VII因子中に存在する2つを超える追加のN結合型グリコシル
化部位を含めることができる。次いで、本明細書に記載される方法の1つを用いて、この
変異体を脱シアリル化することができる。次いで、得られた分子は、末端シアル酸を含ま
ない各N結合型グリコシル化部位でグリカン構造を保持し得る。本明細書で報告される実
験で、出願人らは、有するN結合型グリコシル化部位が少ない類似の脱シアリル化第VI
I因子変異体よりも速い排除時間を有する変異体を報告する。同様に、野生型第VII因
子に見られる2つのN結合型グリコシル化部位のみを有する第VII因子ポリペプチドを
、これらの部位の1つで脱グリコシル化し、次いで、脱シアリル化に供することができる
。シアル酸を欠く1個のN結合型グリカンを有する得られた第VII因子変異体は、本明
細書で報告される実験証拠に基づいて、第2のN結合型グリコシル化部位を欠いていない
類似の第VII因子ポリペプチドとは異なる薬物動態を有する。
定義および実施形態
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、一般的
に本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般
的に、本明細書で使用される命名法ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学、および核
酸化学およびハイブリダイゼーションの実験室手順は、当技術分野で周知でありかつ一般
的に使用されているものである。核酸およびポリペプチド合成のために標準的な技術を使
用する。本明細書で使用される命名法ならびに下記の分析化学および有機合成の実験室手
順は、当技術分野で周知でありかつ一般的に使用されているものである。化学合成および
化学分析のために標準的な技術またはその修正を使用する。遺伝子操作に使用される手順
は周知であり、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A
Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、N.
Y.に見出され得る。
「シアル酸」または「シアリル」という用語は、九炭素カルボキシル化糖のファミリー
のいずれかのメンバーを指す。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーは、N−アセ
チル−ノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ
−D−ガラクトノヌロピラノース(galactononulopyranos)−1−
オン酸(通常Neu5Ac、NeuAcまたはNANAと略される))である。
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用され、
モノマーがアミノ酸であり、かつアミド結合を通して結合されているポリマーを指す。さ
らに、非天然アミノ酸、例えば、β−アラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニン
も含まれる。遺伝子コードされていないアミノ酸も本明細書で開示される技術で使用する
ことができる。さらに、反応性基、グリコシル化部位、ポリマー、治療部分、生体分子な
どを含むよう修飾されたアミノ酸も使用することができる。本明細書で使用されるアミノ
酸の全てはD−またはL−異性体のいずれであってもよい。L−異性体が一般的に好まし
い。本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、グリコシル化
と非グリコシル化両方のポリペプチドおよびタンパク質をそれぞれ指す。
「アミノ酸」という用語は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に
機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝暗号によっ
てコードされているもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリ
ン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリンである。「アミノ酸類似体」は
、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ酸および
R基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン
スルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(
例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化
学構造を保持している。「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なるが
、天然アミノ酸と同様に機能する構造を有する化学化合物を指す。
ポリペプチドまたはタンパク質薬物を患者に投与する文脈において本明細書で使用され
る「半減期」または「t1/2」という用語は、患者における薬物の血漿中濃度が2分の
1低下するのに要する時間として定義される。
半減期は、例えば、約25〜250μg/kgの用量の製剤を投与し:投与後の所定の
時間に血漿試料を得て;凝固アッセイ(もしくは任意の生物検定)、免疫測定法または同
等の方法の1つまたは複数を用いて試料中の第VII因子ポリペプチドの含量を測定する
ことによって、試験動物で測定することができる。データを図表で表示し、次いで、生物
学的利用能を曲線下の面積として決定する。特定の例では、ラットまたはマウスモデルを
半減期測定に使用する。第VII因子ポリペプチドまたはその組成物の相対的生物学的利
用能は、短時間作用性第VII因子ポリペプチドの曲線下の面積と野生型第VII因子ま
たは別の適切なコンパレータポリペプチド(comparator polypepti
de)もしくはタンパク質の曲線下の面積の比を指す。第VII因子の血液凝固活性を有
するいずれの第VII因子変異体も本明細書に記載される目的および方法に有用である。
本明細書で使用される第VII因子変異体はポリペプチドである。「変異形第VII因子
ポリペプチド」および「第VII因子変異体」という用語は本明細書で互換的に使用され
る。一実施形態では、第VII因子変異体が、1個または複数のアミノ酸の置換、欠失お
よび/または挿入による野生型第VII因子(配列番号16)由来のアミノ酸配列を有す
る。アミノ酸置換の命名において、第1の文字はある位置で野生型ヒト第VII因子中に
存在するアミノ酸を表す。次の数字はヒト野生型第VII因子中の位置を表す。第2の文
字は野生型に見られるアミノ酸に置き換わるアミノ酸を表す。例えば、「P10Q」は、
アミノ酸10位におけるプロリン(P)のグルタミン(Q)による置換を表す。
特定の例では、第VII因子変異体がP10Q、K32E、R36E、A34E、T1
06NおよびV253Nからなる群から選択される1個または複数のアミノ酸置換を含む
。他の例では、第VII因子変異体がこれらの置換の少なくとも2、3、4、5または6
個を含む。さらなる例では、第VII因子変異体が配列番号16のアミノ酸配列(野生型
ヒト第VII因子)に関して少なくとも2つの配列変化を有するアミノ酸配列を含み、少
なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、およ
び(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基である。別の例では、第VII
因子変異体が配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも3つの配列変化を有するア
ミノ酸配列を含み、少なくとも3つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換した
グルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)
36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基である。さらなる例では、第VII
因子変異体が配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも4つの配列変化を有するア
ミノ酸配列を含み、少なくとも4つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換した
グルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)36位
のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(4)34位のアラニン残基に置
換したグルタミン酸残基である。1つの特定の例では、第VII因子変異体が配列番号1
6のアミノ酸配列に関して少なくとも6つの配列変化を有するアミノ酸配列を含み、少な
くとも6つまたは6つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残
基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)36位のアルギニン
残基に置換したグルタミン酸残基、(4)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸
残基、(5)106位のトレオニン残基に置換したアスパラギン残基、および(6)25
3位のバリン残基に置換したアスパラギン残基である。別の特定の例では、第VII因子
変異体がこれらの6つの変化のみを含む。これらの変異体についてのさらなる詳細は、共
に全体が参照により本明細書に組み込まれている、Maxygenの国際公開第2001
58935号パンフレットおよびPedersenらの米国特許第7371543号明細
書に見出される。
本明細書に記載される第VII因子変異体は、出発ポリペプチドとして任意の機能的第
VII因子ポリペプチドを用いて設計することができる。特定の実施形態では、第VII
因子ポリペプチドがヒト第VII因子ポリペプチドである。さらなる実施形態では、第V
II因子ポリペプチドが配列番号16のヒト第VII因子ポリペプチド、またはその修飾
型もしくは対立遺伝子変異体である。有用な出発ポリペプチドには、第VII因子活性も
有する、野生型ヒト第VII因子の配列(配列番号16)と少なくとも99%、98%、
97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、
87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、
77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、
67%または66%同一のアミノ酸配列を含む修飾または変異形第VII因子ポリペプチ
ドも含まれる。さらに、特定の例では、本開示の変異形第VII因子ポリペプチドには、
第VII因子機能性を有し、かつ配列番号16に関して本明細書で論じられるアミノ酸変
化の1つまたは複数も含有する、配列番号16の配列と少なくとも約99%、98%、9
7%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、8
7%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、7
7%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、6
7%または66%の同一性を有する任意のポリペプチドが含まれる。別の実施形態では、
第VII因子ポリペプチドが、配列番号16との99%、98%、97%、96%、95
%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85
%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75
%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%超
の相同性および第VII因子活性を有し、かつ本明細書で言及されるアミノ酸変化の1つ
または複数も有するアミノ酸配列を含む。
本明細書で使用される第VII因子変異体には、野生型第VII因子のグリコシル化変
異体も含まれる。例えば、部分的脱シアリル化野生型第VII因子変異体およびその組成
物は野生型第VII因子よりも短い半減期を有するので有用となり得る。部分的または完
全脱シアリル化野生型第VII因子の医薬製剤ならびに第VII因子活性を有する短時間
作用性ポリペプチドから利益を得る本明細書に列挙される疾患の治療へのこのようなポリ
ペプチドおよび製剤の使用も本明細書で有用である。部分的または完全脱シアリル化は、
本明細書に記載されるように第VII因子ポリペプチドの組成物中の抱合型シアル酸のモ
ルとN結合型グリカンのモルの比によって測定することができる。
本明細書中の第VII因子変異体をコードするヌクレオチド配列も有用である。一実施
形態では、第VII因子ポリペプチドが、野生型第VII因子のヌクレオチド配列(配列
番号1)と全長にわたって少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%
、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%
、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%
、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%または66%の同一性を有
し、かつ機能的第VII因子ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコード
されている。特定の例では、ヌクレオチド配列が配列番号16に関して本明細書で論じら
れるアミノ酸変化の1つまたは複数を含有するポリペプチドもコードする。別の実施形態
では、第VII因子ポリペプチドが、野生型第VII因子のヌクレオチド配列(配列番号
1)との99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、
90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、
80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、
70%、69%、68%、67%または66%超の相同性を有し、かつ機能的第VII因
子ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされている。特定の例では
、ヌクレオチド配列が配列番号16に関して本明細書で論じられるアミノ酸変化の1つま
たは複数を含有するポリペプチドもコードする。
同一性%値は、アミノ酸または核酸配列領域全体にわたって計算される。異なる配列を
比較するために、種々のアルゴリズムに基づく一連のプログラムが当業者に利用可能であ
る。少なくとも一実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性%が、EMBOSSソフ
トウェアパッケージ(EMBOSS:The European Molecular
Biology Open Software Suite、Rice,P.、Long
den,I.、およびBleasby,A、Trends in Genetics 1
6(6)、276〜277、2000)のneedleプログラムに組み込まれたNee
dlemanおよびWunschアルゴリズム(Needleman 1970、J.M
ol.Biol.(48):444〜453)を用いて、遠縁のタンパク質についてのB
LOSUM 45もしくはPAM250スコアリングマトリクスのいずれか、または近縁
のタンパク質についてのBLOSUM 62もしくはPAM160スコアリングマトリク
スのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6または4のギャップ開始ペナル
ティおよび0.5、1、2、3、4、5または6のギャップ伸長ペナルティを用いて決定
される。EMBOSSパッケージのローカルインストールのためのガイドならびにウェブ
サービスへのリンクは、emboss.sourceforge.netに見出され得る
。needleプログラムを用いて2つのアミノ酸配列を整列させるために使用されるパ
ラメータの非限定的例には、EBLOSUM62スコアリングマトリクス、10のギャッ
プ開始ペナルティおよび0.5のギャップ伸長ペナルティを含むデフォルトパラメータが
ある。さらに別の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性%が、EMBOSS
ソフトウェアパッケージ(EMBOSS:The European Molecula
r Biology Open Software Suite、Rice,P.、Lo
ngden,I.、およびBleasby,A、Trends in Genetics
16(6)、276〜277、2000)のneedleプログラムを用いて、16、
14、12、10、8、6または4のギャップ開始ペナルティおよび0.5、1、2、3
、4、5または6のギャップ伸長ペナルティと共にEDNAFULLスコアリングマトリ
クスを用いて決定される。needleプログラムを用いて2つのアミノ酸配列を整列さ
せるために使用されるパラメータの非限定的例には、EDNAFULLスコアリングマト
リクス、10のギャップ開始ペナルティおよび0.5のギャップ伸長ペナルティを含むデ
フォルトパラメータがある。核酸およびタンパク質配列を「クエリ配列」としてさらに使
用して公共データベースに対して検索を行って、例えば、他のファミリーメンバーまたは
関連配列を同定することができる。このような検索は、Altschulら(Altsc
hul 1990、J.Mol.Biol.215:403〜10)のBLASTシリー
ズのプログラム(バージョン2.2)を用いて行うことができる。クエリ配列として本開
示の核酸配列を用いるBLASTを、デフォルトパラメータを用いるBLASTn、BL
ASTxまたはtBLASTxプログラムで行って、本開示の核酸配列によってコードさ
れる配列と相同なヌクレオチド配列(BLASTn、tBLASTx)またはアミノ酸配
列(BLASTx)のいずれかを得ることができる。クエリ配列として本開示の核酸配列
によってコードされるタンパク質配列を用いるBLASTを、デフォルトパラメータを用
いるBLASTpまたはtBLASTnプログラムで行って、本開示の配列と相同なアミ
ノ酸配列(BLASTp)または核酸配列(tBLASTn)のいずれかを得ることがで
きる。比較目的のためのギャップ化アラインメントを得るために、ALtschulら、
1997、Nucleic Acids Res.25(17):3389〜3402に
記載されているように、デフォルトパラメータを用いるGapped BLASTを利用
することができる。
本開示のポリヌクレオチドは上記ヌクレオチド配列から本質的になるまたは上記ヌクレ
オチド配列を含む。したがって、これらはさらなるヌクレオチド配列も含有することがで
きる。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドが、オープンリーディングフレームに加え
て、コード遺伝子領域の3’および/または5’末端にさらなる未翻訳配列、例えば、コ
ード領域の5’末端の上流の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、8
0、90、100、200、300、400、500もしくはそれ以上のヌクレオチドの
配列および/またはコード遺伝子領域の3’末端の下流の少なくとも10、20、30、
40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500もしく
はそれ以上のヌクレオチドの配列を含むことができる。さらに、ポリヌクレオチドは、融
合タンパク質の一方のパートナーが上に列挙されるヌクレオチド配列によってコードされ
ているポリペプチドである融合タンパク質をコードすることができる。このような融合タ
ンパク質は、精製目的のための検出可能なマーカーまたは補助尺度として働き得るいわゆ
る「タグ」を含むことができる。異なる目的のためのタグは当技術分野で周知であり、F
LAGタグ、6−ヒスチジンタグ、MYCタグなどを含む。一実施形態では、ポリヌクレ
オチドが、ヌクレオチド配列と作動可能に連結した発現制御配列をさらに含む。
特定の実施形態では、第VII因子ポリペプチドをコードする核酸配列を適切なベクタ
ーに挿入する。種々の目的に有用な多数のベクターが当技術分野で周知であり、当業者で
あれば所望の用途に適したベクターを容易に選択することができるだろう。特定の例では
、ベクターがクローニングベクターまたは発現ベクターであり得る。他の例では、ベクタ
ーがプラスミド、ウイルスベクター、コスミドまたは人工染色体であり得る。特定の例で
は、第VII因子ポリペプチドをコードする核酸が、適切なプロモーターに隣接しておよ
び/またはその制御下に配置され得る。種々の目的に有用な多数のプロモーターが当技術
分野で周知であり、当業者であれば所望の用途に適したプロモーターを容易に選択するこ
とができるだろう。特定の例では、プロモーターが構成型プロモーター、誘導性プロモー
ターまたは組織特異的プロモーターであり得る。
特定の実施形態では、第VII因子ポリペプチドが細胞、組織または生物中で組換え産
生される。特定の実施形態では、このような組換え産生が、変異ポリペプチドをコードす
る核酸分子またはこのような核酸を含有するベクターで宿主細胞を形質転換またはトラン
スフェクトすることによって達成される。多数の形質転換およびトランスフェクション法
が当技術分野で周知であり、当業者であれば所望の用途に適した方法を容易に選択するこ
とができるだろう。
このような組換え産生を、任意の適切な宿主細胞、組織または生物を用いて達成するこ
ともできる。適切な細胞、組織および生物が当技術分野で周知であり、当業者であれば所
望の用途に適した宿主を容易に選択することができるだろう。いくつかの実施形態では、
宿主細胞が哺乳動物である。適切な哺乳動物細胞系の例には、COS−1(ATCC C
RL 1650)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、HEK293(ATCC CRL
1573;Grahamら、J.Gen.Virol.36:59〜72、1977)
、HEK293T(ATCC CRL 11268;DSM ACC 2494)および
HEK293F(Invitrogen R79007)細胞系がある。有用なBHK細
胞系は以下でBHK570細胞と呼ぶ、tk31ts13 BHK細胞系(参照により本
明細書に組み込まれている、WaechterおよびBaserga、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 79:1106〜1110、1982)である。BHK
570細胞系は、ATCC寄託番号CRL10314で、米国培養細胞系統保存機関、1
2301 Parklawn Dr.,Rockville,Md.20852により寄
託された。tkts13 BHK細胞系も寄託番号CRL1632で、ATCCから入
手可能である。さらに、Rat Hep I(ラット肝細胞癌;ATCC CRL160
0)、Rat Hep II(ラット肝細胞癌;ATCC CRL1548)、TCMK
(ATCC CCL139)、ヒト肺(ATCC HB8065)、NCTC1469(
ATCC CCL9.1)、CHO(ATCC CCL61)、CHO K1(ATCC
CCI61)、DUKX細胞(UrlaubおよびChasin、Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 77:4216〜4220、1980)およびCHO−D
G44細胞(Urlaubら Cell 33:405〜412、1983)を含む、い
くつかの他の細胞系を本開示中で使用することができる。
本明細書に定義され、組成物中のN結合型グリカン1モル当たりの抱合型シアル酸のモ
ルの比が0.05未満、0.1未満、1.0未満、2.0未満、3.0未満、4.0未満
、5.0未満または6.0未満である第VII因子ポリペプチドの組成物、あるいはN結
合型グリカン1モル当たりの抱合型シアル酸のモルの比が(1)0〜8;(2)0〜7;
(3)0〜6;(4)0〜5;(5)0〜4;(6)0〜3;(7)0〜2;(8)0〜
1および(9)0〜0.5からなる群から選択される範囲内、または1〜8、1〜7、1
〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4、2
〜3、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5、3〜4、4〜8、4〜7、4〜6、4〜5およ
び0.1〜1の比である組成物が有用である。比は、糖タンパク質上のグリカンの数に対
する糖タンパク質に結合したシアル酸のモルの測定値である。グリカンの数とは、糖タン
パク質中のN結合型グリカンに結合した糖部分の数を指し、1つのN結合型グリコシル化
部位はこの比の目的のために本明細書で定義されるただ1つのグリカンを支持し得る。比
は、Takara Bio Inc.(カタログ番号4400)によって販売されている
ようなシアル酸蛍光標識キットを用いて決定される。このようなシアル酸蛍光標識キット
は、部分的酸加水分解またはアルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthroba
cter ureafaciens)シアリダーゼなどのシアリダーゼの使用などによっ
て、結合糖タンパク質からシアル酸を放出するステップを含む。次いで、遊離シアル酸を
1,2−ジアミノ−4,5−メチレンオキシベンゼン(「DMB」)などの発蛍光団で標
識する。次いで、標識シアル酸を、HPLCを用いておよびピーク高さを較正曲線と比較
して、定量的に測定する。したがって、測定される比は、組成物の全第VII因子ポリペ
プチドから放出されるグリカン1モル当たりのシアル酸のモルの比である。
一連の実施形態では、第VII因子ポリペプチドの組成物または単離ポリペプチド自体
が、ヒトまたは哺乳動物血漿、例えば、マウスまたはラット血漿中で測定された場合、2
時間未満、1.5時間未満、1時間未満、.75時間未満、.5時間未満、.25時間未
満、0.1時間未満の半減期、あるいは合理的に測定することができないほど短い半減期
を有する。
本明細書で使用する場合、第VII因子活性は、当技術分野で周知のように、第VII
因子欠乏血漿およびトロンボプラスチンを用いて、製剤が血液凝固を促進する能力を測定
することによって定量化され得る生物活性である。特定の例では、第VII因子活性を有
する第VII因子ポリペプチドが、同じ条件下で測定される場合、野生型第VII因子の
活性の少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少
なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を示す。
第VII因子ポリペプチドおよび第VII因子ポリペプチドを含むその組成物と、薬学
的に許容される賦形剤または担体との医薬製剤も有用である。特定の例では、医薬製剤が
、例えば、静脈内、皮下または筋肉内投与などによる非経口投与用であり、投薬が単一ボ
ーラス用量、間欠投薬または連続静脈内注射としてのものとなり得る。局所投与も有用で
ある。一実施形態は、使用時に再構成される凍結乾燥製剤中に本明細書に記載される単離
第VII因子ポリペプチドまたは本明細書に記載される第VII因子ポリペプチドの組成
物を含む医薬製剤を含む。あるいは、医薬製剤は、再構成を要さない安定な液体の即時使
用可能な製剤であり得る。医薬製剤は、第VII因子ポリペプチド1、2、5または8m
gの単回使用バイアル中の凍結乾燥粉末であり得る。ヒスチジンを含有する滅菌水などの
、指定量の液体による再構成後、最終溶液は、治療効果をもたらす任意の適切な量の第V
II因子ポリペプチド、例えば、限定されないが、1mg/mL(1000μg/mL)
、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、1〜2mg/mL、1〜
3mg/mL、1〜5mg/mL、1〜10mg/mL、0.5〜1mg/mLまたは0
.5〜2mg/mLの第VII因子ポリペプチドを含有することができる。患者への適切
な投与量は、例えば、患者の体重、治療している出血性障害またはエピソードの種類、お
よび使用している特定の第VII因子ポリペプチドの活性に基づいて当業者によって容易
に決定され得る。特定の例では、投薬が70〜110μg/kg、70〜90μg/kg
または80〜100μg/kgの範囲にあり、90μg/kgであり得る。凍結乾燥粉末
は、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等などの水性担体を用いて再構
成され得る。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は当業者に知られ
ているまたは明らかであり、例えば、Remington’s Pharmaceuti
cal Sciences、第18版、Mack Publishing Compan
y、Easton、PA.(1990)により詳細に記載されている。外傷の場合に賢明
となり得るような局所適用は、スプレー、灌流、カテーテル、ステント、血管移植もしく
はステント、軟膏、または当技術分野で知られている他の製剤によって行うことができる
。特定の例では、局所投与が、第VII因子変異体を含む組成物で処理された、これを注
入された、これでコーティングされた、またはこれに浸漬された外科スポンジまたはコラ
ーゲンマトリクスなどの固体または半固体マトリクスを通してもよい。このようなマトリ
クスを調製する方法は当技術分野で周知であり(例えば、Thrombosis/Hem
ostasis 12:445、2006参照)、当業者であれば適切な用量および組成
物を所与のマトリクスに適用する方法を容易に決定することができるだろう。
一実施形態では、本開示は第VII因子ポリペプチドを含むキットに関する。特定の例
では、キットが適切な医薬組成物中に第VII因子ポリペプチドを含有する即時使用可能
な液体を含有するバイアルを含有する。他の例では、キットが凍結乾燥第VII因子ポリ
ペプチドまたはポリペプチドを含む凍結乾燥製剤と、再構成用の希釈剤とも含有するバイ
アルを含有する。他の例では、キットが、第VII因子ポリペプチドの局所製剤、例えば
、軟膏、スプレー、または液体、および局所製剤を患者への投与前に適用することができ
るスポンジまたは他の医療用マトリクスなどのマトリクスを含有する。
本明細書に記載される第VII因子ポリペプチドの組成物も有用である。第VII因子
はその天然分解産物との混合で存在する。したがって、第VII因子ポリペプチドの組成
物は、本明細書で列挙される完全アミノ酸配列の1つを有するポリペプチドと、本明細書
に記載されるものの部分的アミノ酸配列を有する分解産物とを含む。さらに、第VII因
子は糖タンパク質であるので、第VII因子の組成物は、組成物中の各糖タンパク質が他
のものと正確に同じグリコシル化を有するわけではない第VII因子ポリペプチドの不均
一な混合物を含有すると予想され得る。第VII因子ポリペプチドの組成物または単離第
VII因子ポリペプチドへの言及は、個々のポリペプチドが異なるグリコシル化を有する
このようなポリペプチドの混合物を包含するものとし、したがって、「組成物」または「
単離第VII因子ポリペプチド」という用語は、ポリペプチド中にグリコシル化パターン
の不均一性を包含する。
本明細書に記載される第VII因子ポリペプチドおよび組成物は、血液凝固障害、およ
び血液凝固から利益を得る障害の治療、特に、野生型第VII因子よりも短い半減期を有
する薬物を用いた凝固に有用である。したがって、本明細書の第VII因子ポリペプチド
および組成物は、穿通性外傷性損傷;鈍的外傷性損傷;待機手術における出血;心臓手術
における出血;脊髄手術における出血;整形外科手術;神経外科手術;腫瘍学手術;分娩
後手術;月経過多;幹細胞移植における出血;肝移植における出血;消化管出血;肝硬変
の活発な静脈瘤出血;肝硬変の非静脈瘤出血;びまん性肺胞出血;大動脈瘤;脳内出血;
外傷性脳損傷;脳挫傷;ワルファリンの逆転;ヘパリンの逆転;抗凝固薬の逆転;抗血栓
薬の逆転;第VII因子欠乏症;火傷;阻害因子による血友病患者の予防;非肝硬変およ
び肝硬変患者のための部分肝切除;後天性血友病;特発性血小板減少性紫斑病;グランツ
マン血小板無力症;血小板輸血に対して難治性のグランツマン血小板無力症およびベルナ
ール−スリエ症候群に有用である。
本明細書では、第VII因子などの凝固因子の半減期を測定するのに有用なアッセイも
開示される。生存ラット肝細胞を血液凝固因子と共にインキュベートするステップと、試
験時点1で試料を取り出すステップと、試料中の細胞から上清を分離するステップと、試
料中の上清中の血液凝固因子の活性または量を定量化するステップとを含む、凝固因子の
半減期を測定する方法であって、血液凝固因子の活性または量が二抗体サンドイッチEL
ISAアッセイを用いて測定される方法が存在する。本方法を異なる時点で繰り返して、
経時的な血液凝固因子の活性または量のプロットを作成してもよい。
[実施例]
脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを得る方法
ポリペプチドの酵素的脱シアリル化、シアリル化欠乏細胞系での第VII因子ポリペプ
チドの産生、および組換え細胞での第VII因子とシアリダーゼの同時発現を含む、多数
の方法を使用して脱シアリル化第VII因子ポリペプチド(野生型と変異体の両方)を産
生した。
シアル酸欠乏細胞系の作成
内因性シアル酸を、32種の酵素からなる複雑な経路を含む哺乳動物細胞で合成する(
WickramasingheおよびMedrano 2011)。シアル酸の生合成は
、サイトゾル中で始まり、UDP−N−アセチルグルコサミン−2−エピメラーゼ/Nア
セチルマンノサミンキナーゼ(GNE)、シアル酸9−リン酸シンターゼ(NANS)お
よびシアル酸9−リン酸ホスファターゼ(NANP)などのいくつかの酵素を伴い、UD
P−N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNac)をNeu5Acに変換する。サ
イトゾル中のNeu5Acは、核膜孔を通して核内に輸入され、CMP−Siaシンター
ゼ(CMAS)と呼ばれる酵素によってCMP−Neu5Acに変換される。合成された
CMP−Neu5Acは、さらなる修飾およびゴルジ装置への抱合のために、核膜孔を介
してサイトゾル内に再度輸送される。サイトゾル中でのNeu5AcのNeu5Gcへの
変換は、酵素CMP−NeuAcヒドロキシラーゼ(CMAH)によって触媒される。次
いで、CMP−Neu5AcおよびCMP−Neu5Gcが中央トランスゴルジの膜に位
置する疎水性3型膜輸送体、CMP−シアル酸輸送体(SLC35A1)を介してゴルジ
コンパートメントに輸送される。CMP−シアル酸輸送体は、細胞シアリル化経路の重要
な要素である(Hirschbergら 1998)。この遺伝子のホモ接合性変異は、
マウスにおいて生後致死を引き起こす(MGI 4.32、Homologene)。ヒ
トでは、SLC35A1の変異がシアリル抱合体の減少または完全な喪失に関連している
。SLC35A1におけるいくつかの挿入および欠失変異は、ヒトのグリコシル化の先天
性障害に関連し、神経系発達、凝固の欠陥、および免疫不全をもたらす(Martine
z−Dunckerら、2005)。いったんCMP−Neu5Ac/CMP−Neu5
Gcがゴルジ装置に輸送されると、これらは20のメンバーを含むシアリルトランスフェ
ラーゼ(ST)ファミリー内の酵素によって炭水化物、糖タンパク質および糖脂質と抱合
する。
CMP−シアル酸輸送体(SLC35A1)はゴルジ装置でのシアル酸抱合を支持する
主要な分子であり、この輸送体タンパク質の変異は適切なシアリル化を欠くタンパク質の
合成につながる。脱シアリル化第VII因子を産生するために、CMP−シアル酸輸送体
遺伝子ノックアウトを有する第VII因子産生細胞系を作成する。あるいは、治療分子上
のシアリル化が極めて低レベルまたは全くないタンパク質治療剤を産生する細胞系での第
VII因子変異体の発現によって、脱シアリル化を達成することができるだろう。この技
術を用いて患者においてT1/2が短い治療タンパク質を産生することができるだろう。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)起源を有するLec2細胞を、それぞれの野生
型細胞よりもおよそ10倍少ない糖タンパク質および糖脂質中のシアル酸を産生するとい
う特性により同定した(StanleyおよびSiminovitch、1977、St
anley、1980および1983)。後の研究により、Lec2変異体がインビトロ
アッセイにおいてCMP−シアル酸をゴルジ小胞の膜を横切って転位置させることができ
ない一方で、他のヌクレオチド誘導体の転位置は変異細胞において比較的正常であること
が示された(Deutscherら、1984)。発現クローニングを用いることにより
、Lec2細胞からCMP−シアル酸輸送体をコードする遺伝子が報告された(Eckh
ardtら、1996)。さらなる調査により、CMP−シアル酸輸送体遺伝子中のヌク
レオチド575〜751の欠失がLec2表現型の原因であることが示された(Eckh
ardtら、1998)。例えば、例えば、1E3、6B2、8G8および9D3細胞の
場合のCMP−シアル酸輸送体遺伝子中の他の変異もLec2表現型をもたらす(Eck
hardtら、1998)。
実験1
この実験を、例えば、Lec2細胞の場合のCMP−シアル酸輸送体の遺伝子中の変異
が、正常なCHO細胞から発現される同じタンパク質と比較してシアリル化の欠乏した発
現組換えタンパク質(例えば、第VII因子)をもたらすかどうかを決定するよう設計す
る。
(1)Lec2細胞からの第VII因子などの組換えタンパク質の発現の試験 第VI
I因子変異遺伝子を含有する発現ベクター(例えば、pMB117およびpMB121)
を正常なトランスフェクション条件下でLec2細胞および正常なCHO細胞にトランス
フェクトする。これらの細胞の細胞培養からの第VII因子の発現レベルを、第VII因
子活性アッセイによって監視する。トランスフェクト細胞の培養をスケールアップし、培
養条件培地を第VII因子の精製のために回収する。
(2)正常なCHO細胞から発現した同じタンパク質と比較したLec2細胞から発現
した精製第VII因子のシアル酸含量の試験 これらの条件培地からの第VII因子の精
製を、通常の第VII因子精製法にしたがって行う。Lec2細胞または正常なCHO細
胞のいずれかからの精製第VII因子を、精製第VII因子のシアル酸含量について分析
する。生物活性および薬物動態(PK)パラメータを本明細書に記載されるように分析す
る。
実験2
発現組換えタンパク質上にシアル酸を含まない第VII因子変異体を発現する製造細胞
系を作成するために、CMP−シアル酸輸送体遺伝子を標的化して第VII因子を発現す
る細胞系(例えば、CHO細胞系)を修飾する遺伝子欠失法を使用する。細胞でのシアリ
ル化を完全に阻害するために、序論で上に列挙されるUDP−N−アセチルグルコサミン
−2−エピメラーゼ/Nアセチルマンノサミンキナーゼ(GNE)、シアル酸9−リン酸
シンターゼ(NANS)、シアル酸9−リン酸ホスファターゼ(NANP)およびCMP
−Siaシンターゼ(CMAS)などの他の標的を欠失させて、CMP−シアル酸輸送体
のための基質を提供するCMP−Neu5Ac生合成の阻害を増強してもよい。
2つの遺伝子欠失技術、Life Technologies製のTALEヌクレアー
ゼ(TALEN)およびSangamo BioSciences/Sigma−Ald
rich製のZFPヌクレアーゼ(ZFN)を、CMP−シアル酸輸送体遺伝子のノック
アウトまたはシアル酸合成経路の複数の遺伝子のノックアウトを行うために使用すること
ができる。
CMP−シアル酸輸送体遺伝子ノックアウトを有する第VII因子発現細胞系を評価し
てCMP−シアル酸輸送体遺伝子の欠失を確認する。確認した細胞系を培養して第VII
因子を産生する。CMP−シアル酸輸送体遺伝子欠失細胞系からの第VII因子を本明細
書に記載されているように精製および評価し、分子上のシアル酸含量について親第VII
因子発現細胞系からの第VII因子と比較する。
第VII因子と細菌シアリダーゼの同時発現による脱シアリアル化第VII因子の産生
FVIIの脱シアリル化型を作成するために、本発明者らは、アルスロバクター・ウレ
アファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)シアリダーゼ(
AUシアリダーゼ)(N−アセチルノイラミネートグリコヒドロラーゼ、EC3.2.1
.18)由来の細菌シアリダーゼ変異体と共にFVIIを同時発現させた。CHO細胞安
定に発現FVII(例えば、P10Q、K32E、A34EおよびR36E変異を有する
配列番号16)を、pJ608発現ベクターを用いてAUシアリダーゼでさらにトランス
フェクトした。発現したタンパク質は、タンパク質の分泌を促進する、N末端の成長ホル
モンシグナル配列を有する。培地中のシアリダーゼについての発色性アッセイによって検
出されるAUシアリダーゼを産生する安定なクローンを選択した。本発明者らはまた、細
胞が高レベルのFVIIタンパク質を発現し続けることを示した(これは、プローブとし
てFVII特異的抗体を用いる、ELISAアッセイ、SDS PAGEおよびウエスタ
ンブロット法によって検出した)。レクチンブロッティングアッセイを用いて、本発明者
らは、精製FVIIを用いて条件培地中のFVIIタンパク質上のシアル酸を検出するこ
とができなかった。対照的に、シアリダーゼでトランスフェクトしていない細胞由来の同
様のレベルの精製FVIIは、強力なレクチン結合シグナルを示した。まとめると、本発
明者らのデータは、AUシアリダーゼが、細胞によって同時発現したFVIIを効率的に
脱シアリル化するのに十分なレベルでCHO細胞培地中で発現したことを示している。
可溶性シアリダーゼ処理を用いた脱シアリル化第VII因子の酵素調製
以下の出発材料をこの実験に利用した:
第VII因子:20mg野生型第VIIa因子、濃度約1mg/ml
シアリダーゼ:20μg、0.25mg/ml、50000U/ml、P0720L、
New England BioLabsから購入
緩衝液A:25mMヒスチジン、50mM NaCl、pH6.4
緩衝液B:25mMヒスチジン、1M NaCl、pH6.4
FVIIa製剤緩衝液:2.3mg/ml塩化ナトリウム、1.5mg/ml塩化カル
シウム脱水物、1.3mg/mlグリシルグリシン、0.1mg/mlポリソルベート8
0、25mg/mlマンニトール、10mg/mlスクロース、0.5mg/mlメチオ
ニン、1.6mg/mlヒスチジン、pH6.0
精製カラム:5ml HiTrap Q Sepharose HPカラム
これらの材料を用いて、以下の手順を行った:
1.FVIIa20mg(約1mg/ml)に、シアリダーゼのシアリダーゼ20μg
(0.25mg/ml、1:1000質量比)を添加する。
2.下記のように脱シアリル化FVIIaをクロマトグラフィによって精製する前に、
反応物を室温で一晩(約19時間)インキュベートする。
3.以下の通り、5ml HiTrapQ Sepharose HPカラムで脱シア
リル化FVIIaを精製する。
a)緩衝液A(25mMヒスチジン、50mM NaCl、pH6.4)5CVを用い
てQ−Sepharoseカラムを平衡化する。
b)カラムに適用する前に、FVIIaおよびシアリダーゼ反応物を緩衝液A200m
lで希釈し、pHを6.4に調整する。
c)A280を監視しながら、AKTA Explorerシステムを用いて2.5m
l/分の流量で充填する。分画を通して流れを回収する。
d)充填が完了した後、カラムを緩衝液A 10CVで洗浄する。
e)カラムを0〜50%緩衝液B(25mMヒスチジン、1M NaCl、pH6.4
)20CVにより40分間溶出する。ピーク分画を回収する(脱シアリル化NovoSe
ven)。
f)ピーク分画対FVIIa製剤緩衝液を4℃で一晩透析する。
g)試料を−80℃においてアリコートで凍結させる。
生成物はSDS−PAGE、aSECによって高度に純粋であること、およびFVII
aについての生物アッセイで活性であることが示された。シアル酸含量についてのアッセ
イにより残留シアル酸はないことが示され、重鎖のLC−MS分析によりシアル酸の除去
以外のグリカン構造の有意な変化はないことが示された。
ノイラミニダーゼ−アガロースビーズを用いた脱シアリル化第VII因子の酵素調製
本明細書で使用される組換え野生型第VII因子は、Novo Nordiskから得
たNovoSeven(登録商標)であり、本明細書では「F7」と呼ぶ。他の出発材料
は上記のV1およびV2である。
凍結出発材料を37℃水浴で急速解凍し、プールした。タンパク質を遠心分離によって
2.5倍濃縮し、濃縮物をピペット操作によって穏やかに混合してタンパク質−フィルタ
界面での超濃縮(super−concentration)(凝集)を最小化した。
V2を、V2製剤緩衝液(ヒスチジン、CaCl、トレハロース、メチオニンおよび
微量レベルのTween(登録商標)−20、pH6.4〜6.6を含有)からMES緩
衝液(10mM MES、10mM CaCl、50mM NaCl、pH6.0、滅
菌濾過を含有)に緩衝液交換した。これを3つの方法の1つで達成した。第1の選択肢で
は、V2を、それぞれ3カラム体積のMES緩衝液で3〜5回予洗したNAP−10重力
流動カラム(GE、17−0854−01)を用いて緩衝液交換した。次いで、V2をカ
ラムに充填し、充填体積の1.5倍のMES緩衝液で希釈した。第2の選択肢では、V2
を、MES緩衝液中での一晩の透析によって緩衝液交換した。透析カセットをMES緩衝
液に予浸し、V2をシリンジによって3.500MWCO slide−a−lyzer
カセット(Thermo Scientific、66130)に、滅菌濾過MES緩衝
液を含む10Lピッチャー中4℃で一晩充填した。第3の選択肢では、V2を、Seph
adex G−25(Sigma、G−25−80)ゲル濾過カラムを通してMES緩衝
液に緩衝液交換し、MES緩衝液を用いて平衡化した。
緩衝液交換V2を、ノイラミニダーゼ−アガロース(Sigma N5254)を用い
て脱シアリル化した。アガロースビーズ産物を50%スラリー混合物に供給し、硫酸アン
モニウム緩衝液中に保存し;ビーズをMES緩衝液中3〜5回予洗し;ビーズ/緩衝液混
合物を4℃で3分間1000rcfでの遠心分離によって分離し、上清液をピペットによ
って取り出して、捨てた。洗浄したビーズに、緩衝液交換V2を添加し、室温で16〜2
2時間回転によって穏やかに混合した。タンパク質1mg当たり2.08mLの充填ビー
ズを脱シアリル化に使用し;より大規模の調製のために、これをタンパク質1mg当たり
0.208mLのビーズまで1:10減少させた。その後、脱シアリル化V2を遠心分離
によって回収し、ピペットで取り出した。ビーズを1回、1:1体積の新鮮なMES緩衝
液中で回転によって5分間穏やかに洗浄し;洗浄混合物を前の通りに遠心分離し、上清を
V2と共にプールした。ビーズを、最終的に0.2ミクロンシリンジフィルタを通した滅
菌濾過によってまたは0.45ミクロンフィルタを通した真空濾過によって除去した。
EndoTrap HD樹脂(Hyglos)を用いて数ラウンドのエンドトキシン除
去を行った。樹脂をMES緩衝液中3〜5回洗浄し、洗浄緩衝液を捨てた。2つのバッチ
で、洗浄樹脂1〜3mLを、室温で一晩脱シアリル化V2と穏やかに混合した。樹脂を遠
心分離によって除去し、次いで、シリンジまたは真空フィルタを通して濾過した。
脱シアリル化V2を10分サイクル間、Ultracels中での遠心分離によって2
.1mg/mLまで4.75倍濃縮し;濃縮物をピペット操作によって穏やかに混合して
、タンパク質−フィルタ界面での凝集を減少させた。
脱シアリル化V2を、HiLoad 26/60 Superdex 200サイズ排
除カラムを用いて高分子量種(および凝集したエンドトキシン)からさらに分離した。カ
ラムおよびAKTA精製装置システムを0.1N NaOH+20%EtOHを用いて予
衛生化した。システムをpH中和し、水ですすぎ、再構成しプールしたV2製剤緩衝液を
用いて平衡化した。数バッチの濃縮物を12mL試料ループに手動で注入し、3mL/分
の流量でサイズ排除カラムに充填し;溶離液を回収し、Frac−900を用いてポリス
チレンチューブ(17×100mm、Fisherbrand、14−956−6D)に
分画した。初期に、高分子量ピークが排除され、所望のV2分画をプールし、Charl
es River EndoSafe PTSおよびNanoDrop ND−1000
を用いてエンドトキシンレベルおよび濃度について試験した。V2緩衝液を用いて脱シア
リル化V2を溶出した。
5バッチのサイズ排除を行い、回収した溶離液を1バッチにプールし、これをUltr
acels中1.0mg/mLに濃縮した。最終調製物を、0.2ミクロンシリンジフィ
ルタを通して滅菌濾過し、エンドトキシンおよび濃度について試験した。1mLアリコー
トを標識2mLチューブ(Sarstedt、72.694.006)にピペットで入れ
、エタノール/ドライアイスバッチ中で急速凍結し、使用するまで−80℃で標識ボック
スに保存した。
特性評価−タンパク質分析学およびインビトロアッセイ
最終調製材料ならびに未処理出発材料を、MES泳動緩衝液中4〜12%ビス−トリス
NuPAGE(Novex NP0335BOX)を用いたタンパク質ゲル分析および分
析的サイズ排除(TSK3000カラム;泳動緩衝液:200mM KH2PO4、15
0mM KCl、pH6.8、流量:0.15ml/分、蛍光検出)によって特性評価し
た。少量の試験試料を、第VII因子重鎖上のシアル酸含量についてLC−MSにより、
ならびに総タンパク質のDMB−標識シアル酸定量化について本明細書に論じられている
Takara Bio Inc.キットを用いて分析した。活性を、リン脂質依存性第X
因子活性化およびトロンビン産生アッセイによって試験した。
シアル酸含量分析
LC−MS法を用いて、未処理対照および脱シアリル化第VII因子について第VII
因子の重鎖のN−グリカン上のシアル酸を同定した。タンパク質10μgを37℃で30
分間10mM DTT混合物を用いて還元し、次いで、Agilent 1200 Ca
pillary LC System:カラム:PLRP−S 8μm 4000A、0
.3×150mm、75℃で分析した。緩衝系:A:0.2%ギ酸+0.01%TFAを
含む水;B:0.2%ギ酸+0.01%TFAを含むACN。勾配:50μL/分、2分
で10%B、25分で90%Bまで、90%B洗浄5分、10%B平衡化5分。
Agilent 6520Q−TOFシステム:DualEsi源、ガス温度:350
℃、乾燥ガス:7psi、ネブライザ:10psi、スキャン範囲:500〜3000a
mu、1スペクトル/秒。基準イオン:1221.990637および2421.913
99amu、50ppm窓、分1000カウント。
結果を図7に報告する。
DMB標識キットを用いたシアル酸定量化
シアル酸蛍光標識キット(Takara Bio Inc.、カタログ番号4400)
は、シアロ糖抱合体の定量的および高感度分析のためのものである。1,2−ジアミノ−
4,5−メチレンオキシベンゼン(DMB)を用いたこのHPLCに基づくシアル酸蛍光
標識技術は、単純かつ高感度定量法である。この方法では、遊離シアル酸を、DMBによ
る標識後に逆相HPLC(GlycosepR、Glyko製、番号1−4727)によ
って分析する。
結論
V2重鎖は2つのN−グリコシル化部位を有する。N−グリカンはフコシル化された、
高度にシアリル化された、二、三および四構造である。脱シアリル化試料上に末端シアル
酸は見られず、このことは試料が十分に脱シアリル化されていること、および第VII因
子N−グリカン上のシアル酸の99.9%超が除去されたことを示唆している。
ラット肝細胞を用いた半減期アッセイ
肝細胞の調製
凍結保存された初代培養ラット肝細胞をCellzDirect(Invitroge
n)から得た。およそ500万個の細胞を含有する各バイアルを解凍し、細胞を解凍培地
10mlに添加し、引き続いて60gで3分間遠心分離した。細胞をインキュベーション
培地+0.25%BSA(約4ml)に再懸濁し、血球計数器を用いて細胞をカウントし
た。トリパンブルーによって染色して死細胞を同定した後、生細胞をカウントした。細胞
生存率は80〜82%であった。細胞を、カウント直後にクリアランスアッセイに使用し
た。
解凍培地:500mlウィリアムスE培地に添加したInvitrogen CM30
00 Thawing/Plating Supplement Pack。インキュベ
ーション培地:500mlウィリアムスE培地に添加したInvitrogen CM4
000 Cell Maintenance Supplement Pack。
インビトロ肝細胞クリアランスアッセイ
初代培養ラット肝細胞、100万個生細胞/mlを、エッペンドルフチューブ中で、C
ellzDirectインキュベーション培地+0.25%BSA中25ng/mlの種
々の第VII因子変異体と共にインキュベートし、1.2mlの出発体積中、37℃で穏
やかにくるくると回転して混合した。示される時点の各々で、混合物0.25mlを取り
出して、直ちに遠心分離して細胞をペレット化した(1000rpm、エッペンドルフ遠
心分離で3分)。清澄化上清0.18mlを取り出し、急速凍結し、−80℃で一晩保管
した。翌日、上清中の第VII因子を、対応する精製変異タンパク質を標準として使用す
るELISAアッセイを用いて定量化した。第VII因子変異体を培地中単独で37℃で
2時間インキュベートした無細胞対照上清を0時点値として使用した。各インキュベーシ
ョンを3連で行った。固有クリアランス値を、インキュベーション体積および細胞数に関
して正規化した式CLint=0.693/インビトロT1/2を用いて、Luら(Lu
ref.)の方法に基づいて計算した。プログラムWinNonLin(Pharsi
ght Corporation、Sunnyvale、CA)を用いて、インビトロ半
減期(T1/2)を計算した。肝細胞インキュベーションからの上清を、二抗体サンドイ
ッチELISAフォーマットを用いてアッセイした。0.1ml/ウェルの抗第VII因
子モノクローナル抗体(1.0μg/ml、PBS中)をGreiner Microl
on 655061 96ウェルプレートに添加した。4℃で一晩のインキュベーション
後、プレートを0.2ml/ウェルの1%カゼインブロッキング緩衝液(50mMトリス
HCl、100mM NaCl、0.05%Tween 20 pH7.2)を用いて3
7℃で1.5時間ブロッキングした。プレートを0.3ml/ウェルのPBS+0.05
%Tween 20で(BioTek ELx405プレート洗浄機を用いて)4回洗浄
し、次いで、関連第VII因子標準および未知試料をプレートに添加した。各肝細胞上清
0.18mlを、希釈緩衝液(50mMトリスHCl、100mM NaCl、0.1%
カゼイン、0.05%Tween 20 pH7.2)0.18mlを添加することによ
って2倍希釈した。各希釈上清0.10mlを3連でELISAプレートに添加した。希
釈緩衝液に希釈した対応する精製第VII因子変異体から標準を作成した。標準の2倍連
続希釈を希釈緩衝液に製造して、50〜0.8ng/ml最終濃度範囲の希釈液を得た。
第VII因子標準および試料(0.1ml/ウェル)を室温(21℃)で2時間インキュ
ベートした。プレートを上記のように4回洗浄し、次いで、ビオチン化検出抗体、希釈緩
衝液(50mMトリスHCl、100mM NaCl、0.1%カゼイン、0.05%T
ween 20 pH7.2)中1μg/mlを添加し(0.1ml/ウェル)、引き続
いて室温で1.5時間インキュベートした。プレートを上記のように4回洗浄し、次いで
、希釈緩衝液に1/1000希釈したストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ
を添加し(0.1ml/ウェル)、引き続いて室温で1時間インキュベートした。プレー
トを再度洗浄し、Ultra−TMBを0.1ml/ウェル添加した。室温で10〜15
分間のインキュベーション後、0.05ml/ウェルの2M HSOを添加して反応
を停止した。Molecular Devices Spectramax M2プレー
トリーダーを用いて、450nmで吸光度を読み取った。Softmax Pro5.4
(Molecular Devices)を用いてデータ分析を行った。
凍結保存ラット肝細胞、解凍培地およびインキュベーション培地(CellzDire
ct)はInvitrogen/Life Technologies(Grand I
sland、NY)製とした。1−Step Ultra−TMB(One Step)
基質、カタログ番号34028はThermo Scientific(Rockfor
d、IL)製とした。ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP
)、カタログ番号DY998はR&D Systems、Minneapolis、MN
製とした。リン酸緩衝生理食塩水、pH7.2はInvitrogen(Carlsba
d、CA)製とした。スプラーグ−ドーリーラット血漿(5%クエン酸ナトリウム抗凝固
薬)はBioreclamation(Westbury、NY)製とした。Grein
er Microlonプレート(カタログ番号655061)はFisher Sci
entific(Pittsburgh、PA)を通して得た。
脱グリコシル化変異体:分子変異体を得る方法
野生型第VIIa因子は2個のN−グリカン(N322およびN145)を有し、V1
およびV2はそれぞれ4個のN−グリカン(N106、N145、N253、N322)
を有する。V1およびV2に見られるさらに2個のN−グリカン(N106、N253)
を、半減期を増加させるよう最初に設計した。本研究のために、これらの部位を野生型第
VII因子の内因性アミノ酸配列(T106、V253)に戻すことによって、除去する
。次いで、残りの2個の内因性N−グリカン部位(N145およびN322)を、これら
の部位でのN→Q変異における操作によってDNAレベルで除去した。(図6)
野生型第VII因子をpmCMVにクローニングしてpMB113を作成した。aa1
45または322位における単一のNからQへの変異を含有する挿入物ならびに二重変異
体(aa145および322)を合成し、XbaIおよびPmlI部位を用いてpMB1
13にクローニングしてクローンpMB114〜116を得た。次いで、V1およびV2
のGlaドメインをコードする挿入物を、AscIおよびAfeIを用いてpMB113
〜116にクローニングして、構築物pMB117〜120(V1系変異体)およびpM
B121〜124(V2系変異体)を得た。全ての構築物を配列確認した(McLab)
。哺乳動物細胞(CHO由来細胞系)を、6ウェルフォーマットで、電気穿孔を介して各
構築物で一過的にトランスフェクトした。トランスフェクション4日後、上清を回収し、
発現についてウエスタンブロット法によって、引き続いて、hFVII ELISA(A
ssayPro)およびFVII活性アッセイによってアッセイした。次いで、変異体の
サブセットを単細胞クローニングした。pMB121と呼ぶV2 2−Nグリカン変異体
を精製し、さらなる分析のために活性化した。
10L WAVE発現からのFVIIaの精製/活性化の方法
方法の概要
数日にわたって行われる多段階プロセスを用いて、透析濾過した濃縮条件培地からのF
VIIの精製および活性化を達成した。最初に、培地を解凍し、遠心分離して、凍結/解
凍中に形成したかもしれない凝集体を除去する。CaClで溶出する陰イオン交換カラ
ム(Q−Sepharose)を使用した擬似アフィニティ(psuedoaffini
ty)捕捉ステップを用いてFVIIタンパク質をさらに濃縮し、緩衝液を交換する。次
に、ヒドロキシアパタイトカラムを用いてFVIIタンパク質をさらに精製する。次いで
、より小型のQ−Sepharoseカラムを用いて、FVIIをpH7.8〜8.2で
溶液中24時間活性化する前にさらに精製する。pHを4.0に低下させることによって
、活性化反応を停止する。最後に、FVIIaを製剤緩衝液(pH6.5)に透析し、凍
結保存する。
最終的な精製タンパク質を、SDS−PAGE、aSEC、ELISA、糖分析(gl
ycoanalysis)、エンドトキシンおよびFVIIa活性アッセイによって特性
評価する。
FVII ELISA
Zymutest FVII酵素結合免疫測定法(Aniara、West Ches
ter、Ohio)。ELISAは、96ウェルマイクロプレートのウェルに結合したウ
サギ抗FVIIポリクローナル抗体を用いた2部位免疫測定法である。試料を導入し、引
き続いて西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)に結合したウサギ抗FVIIポリクロー
ナル抗体を導入する。アッセイは製造業者の指示にしたがって行った。手短に言えば、試
料および較正物質を、96ウェル丸底ポリプロピレン希釈プレート中アッセイ緩衝液に希
釈した。50μLアリコートの希釈試料を用意したウサギ抗FVIIコーティングプレー
トに移し、室温で15分間インキュベートした。200μLのHRP結合ウサギ抗FVI
Iを添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを用意した洗浄緩衝液300μ
Lで5回洗浄した。TMBを200μL/ウェルで添加し、室温でおよそ5分間インキュ
ベートした。0.45M硫酸50μLを導入することによって、反応を停止した。450
nmで吸光度を読み取った。試料値を4パラメータ曲線当てはめを用いて作成したV2較
正曲線と比較することによって、第VII因子レベルを得た。
第VII因子発色アッセイ
Biophen FVII発色アッセイ(Aniara、West Chester、
Ohio)を使用した。発色アッセイ原理は、試料の第VII因子および製造業者によっ
て供給されたウサギトロンボプラスチン(組織因子)からなる酵素複合体の形成を伴う。
過剰に添加したFXをFXaに活性化し、今度はこれがFXa特異的発色基質(SXa−
11)を切断してpNAを産生する。放出されたpNAの量はFXa活性に正比例する。
アッセイは製造業者の指示にしたがって行った。手短に言えば、試料および較正物質を、
96ウェル丸底ポリプロピレン希釈プレート(Fisher Scientific)中
トリスBSAアッセイ緩衝液に希釈した。キット試薬、R1、R2およびR3ならびに9
6ウェル平底ポリスチレンアッセイプレート(Costar)を使用前に37℃に加温し
た。試料および較正物質30μLを希釈プレートからアッセイプレートに移し、引き続い
て、試薬R2 30μL、次いで試薬R1 60μLを移した。アッセイプレートを混合
し、ジルバプレート振盪装置(Boekel Scientific)中37℃で7分間
インキュベートした。R3 60μLを添加し、吸光度の変化率(405nm/分におけ
るODの変化)を、SpectraMax Plusマイクロプレートリーダー(Mol
ecular Devices)を用いて37℃で測定した。試料値を4パラメータ曲線
当てはめを用いて作成したV2較正曲線と比較することによって、第VII因子レベルを
得た。
リン脂質依存性トロンビン産生アッセイ
野生型FVIIaと比較して、Glaドメインの修飾(P10Q/K32E)により、
さらなるγ−カルボキシル化の結果としてFX活性化、トロンビン産生、および陰イオン
性リン脂質または活性化血小板の存在下での全血凝固の効力が増加する。PL依存性TG
Aを、陰イオン性リン脂質の存在下でのrFVIIa活性を測定するよう設計し、Thr
ombinoscope、BV製のトロンビン較正物質および基質試薬、FLuCaキッ
トを用いて行った。20%ホスファチジルセリン(PS)、40%ホスファチジルエタノ
ールアミン(PE)および40%ホスファチジルコリン(PC)で構成されるリン脂質(
PL)小胞は、Avanti Polar Lipids製とし、100mM NaCl
、50mMトリスHCl(pH7.2)中10分間の超音波処理によって調製した。
PL小胞(500μM)またはトロンビン較正物質20μLを96ウェルプレートに分
配した。異なる濃度のrFVIIaをヒトHemA血漿に希釈し、3連でPL混合物に添
加し、37℃に10分間平衡化した。FluCa溶液を添加することによって、トロンビ
ン産生反応を開始し、反応をThrombinoscopeBVによって概説される較正
自動トロンボグラフィ(Calibrated Automated Thrombog
raphy)(CAT)法にしたがって60分間連続的に監視した。トロンビン較正物質
を用いてα−マクログロブリン活性について補正するThrombinoscope
(3.4.0)ソフトウェアを用いて、データを取得および分析した。分析パラメータ
「ピーク高さ」は産生したトロンビンの最高レベルを表し、「内因性トロンビンポテンシ
ャル」(ETP)は産生したトロンビンの総量に相当していた。Prism4.0(Gr
aphPad Inc)を用いた4パラメータ非線形曲線当てはめ法によってトロンビン
産生パラメータを分析した。
リン脂質依存性FX活性化アッセイ
PL依存性FX活性化アッセイを用いて、FVIIaが組織因子を含まないリン脂質小
胞の存在下でFXを活性化する能力を測定した。第VIIa因子またはFVIIa変異体
を、リン脂質小胞の存在下でFXと共にインキュベートする。S−2765、FXaにつ
いての発色基質を添加することによって、FXの活性化を測定する。手短に言えば、較正
物質および試料をポリプロピレン丸底プレート中トリスHCl緩衝液に希釈する。4μg
/mL FX(Haematologic Technologies Inc.)30
μLを96ウェル平底ポリスチレンプレートの全ウェルに添加し、引き続いて20:40
:40の重量%比のホスファチジルセリン、ホスファチジルコリンおよびホスファチジル
エタノールアミンからなるリン脂質小胞30μLを添加した。希釈試料および較正物質3
0μLをFX/リン脂質混合物に移した。プレートを密閉し、穏やかに混合し、37℃で
20〜23時間インキュベートした。S−2765(DiaPharma)の5mM溶液
40μLを全ウェルに添加した。プレートを密閉し、37℃で6時間インキュベートした
。マイクロプレートリーダーにより405nmで吸光度を読み取った。試料のFX活性化
レベルをF7較正曲線と比較することによって、試料の活性を測定した。
ラットPK試験動物、試験プロトコル(調製物の注入、血液および調製物のサンプリン
グ、ELISA、データ分析、動物の屠殺)。
タンパク質(F7、V2、V1、dV2およびdV1)を0.1mg/kgでスプラー
グドーリーラットに静脈内投与した。血漿試料を、投与1分後に始めて採取し、FVII
ELISAによって分析した。
HemA−PK試験
タンパク質(F7、dV1)を1.0mg/KgでHemAマウスに静脈内投与した。
血漿試料を、投与5分後に始めて採取し、FVII ELISAおよびsTF−PTアッ
セイによって分析した。
血漿試料に対するFVII ELISA
材料
FVIIaに対するモノクローナル抗体を使用した。1つのモノクローナル抗体をさら
にビオチン化した。精製FVIIa変異体(野生型または脱シアリル化)をアッセイ較正
物質およびアッセイ対照として使用する。ブロッキング緩衝液は30mMトリスpH7.
2、60mM NaCl、0.03%Tween 20中1%(w/V)カゼインである
。アッセイ希釈緩衝液(ADB)は、0.1%(w/v)カゼイン、50mMトリスpH
7.2、0.1M NaCl、0.05%Tween−20である。アッセイ洗浄緩衝液
はPBS+0.05%Tween−20である。免疫測定プレートはGreiner M
icrolon高結合プレート(番号655061)である。ストレプトアビジン−西洋
わさびペルオキシダーゼ(SA−HRP)はR&D Systems製である。HRP基
質Ultra−TMBはThermoFisher Pierce製である。ブランクマ
ウス血漿は商業的に(Bioreclamation)または社内供給源を通してCD1
またはHemAマウスから得た。他の全ての材料(カゼイン、トリス、NaCl、Twe
en−20、PBS、硫酸)は試薬等級の品質のものである。
FVIIaサンドイッチ免疫測定の方法
96ウェルアッセイプレートを、4℃で一晩、PBS中1μg/mlの、FVIIaに
対する抗体0.1ml/ウェルでコーティングする。プレートを吸引し、回転させながら
(150rpm)室温で少なくとも2時間0.2ml/ウェルのブロッキング緩衝液でブ
ロッキングする。ブロッキング後、ウェルを4×0.3ml/ウェルの洗浄緩衝液で洗浄
する。FVIIa試料または標準をADB中5%血漿の最終濃度に1:20希釈し、回転
させながら室温で少なくとも1.5時間0.1ml/ウェルでインキュベートする。全て
の標準、対照および試料を3連ウェルで測定する。前記の通りプレートを洗浄した後、F
VIIaに対するビオチン化抗体をADB中42ng/ml、0.1ml/ウェルで添加
し、プレートを回転させながら室温で少なくとも1時間インキュベートする。プレートを
洗浄し、引き続いてストレプトアビジン−HRP、ADB中1:1000と共にインキュ
ベートし、回転させながら室温で少なくとも1時間インキュベートする。最終的なプレー
ト洗浄後、ウェルを0.1ml/ウェルのUltra−TMBで展開し、0.05ml/
ウェルの2M硫酸を用いて反応を停止する。停止した反応物をOD−450nmで読み取
り、データを分析および較正する。アッセイについての定量下限値(LLOQ)は、典型
的には100%血漿中15〜30ng/mlのFVIIaである。
rFVIIa活性を測定するための可溶性組織因子(sTF)に基づく修正PTアッセ

プロトロンビン時間(PT)アッセイを行って、HemAマウスエキソビボ血漿試料中
のヒトrFVIIaの活性を測定した。
手短に言えば、aPTT緩衝液(0.15M NaCl、0.05MトリスpH7.5
、0.1%BSA)中10%のHemAマウス血漿および50%のヒトFVII欠乏血漿
(George King Inc)を含有する試料50μLをsTF−PT試薬50μ
Lと混合し、37℃で30秒間インキュベートした。sTF−PT試薬は1体積の2μM
組換えヒト可溶性TF(sTF1−221)および1体積の8μMリン脂質小胞(PS
:PC40:PE40)で構成されていた。25mMのCaCl 50μLを添加す
ることによって凝固を開始し、凝固時間をSTA Coagulation Analy
zer(Diagnostica Stago Inc)で記録した。標準は、200か
ら0.78ng/mLまで2倍連続希釈したrFVIIa(wt−rFVIIまたは修飾
rFVIIa変異体)からなっていた。
血友病A(HemA)マウスにおける脱シアリル化V2の有効性
急性尾切断有効性試験
失血量を測定するために、マウスをイソフルランで麻酔し、尾を15mlプラスチック
チューブ中37〜38℃に加温した0.9%生理食塩水に10分間入れた。尾をメスによ
って先端から4mmで切断し、直ちに生理食塩水10mlを含有する別の予め加温した1
5mlプラスチックチューブに戻し入れた。マウスを40分にわたって自由に出血させた
。脱シアリル化V2およびF7を、尾切断損傷の5分後または15分および30分前に静
脈内投与した。血液回収前後のチューブを秤量することによって重量測定で失血量を定量
化した。
尾静脈切断有効性(TVT)試験
HemAマウスに、尾静脈切断損傷の1時間前または5分後に尾静脈注射によって脱シ
アリル化V2またはF7を投与した。適切な麻酔を使用した。尾静脈を11番メスの直線
刃を用いて切断し、タイマーを開始した。次いで、マウスを4×8インチ加熱パッドの上
部に置かれた白色紙寝具(Versi−Dri(商標))を含む個々の清潔なケージに戻
した。動物の活動状態を次の9時間にわたって1時間毎におよび24時間の時点で監視し
た。活動レベル低下の兆候を示したマウスを監視フォームに書き留め、過剰な失血の兆候
を示したマウスを直ちに安楽死させた。
HemAマウス血漿におけるトロンビン−抗トロンビン(TAT)アッセイ
試薬:
(1)捕捉抗体:Enzyme Research Labs、カタログ番号TAT−
EIA−Cの抗トロンビンポリクローナル抗体;(2)検出抗体:Enzyme Res
earch Labs、カタログ番号TAT−EIA−DのHRP抱合抗AT−IIIポ
リクローナル抗体、(3)アッセイ希釈液:Enzyme Research Labs
、カタログ番号TAT−EIA−D、(4)HRP基質:Amplex Red、Inv
itrogen、カタログ番号A12216、(5)α−トロンビン:Enzyme R
esearch Labs、カタログ番号HT−1002a、−80℃で保管、(6)A
T−III:Enzyme Research Labs、カタログ番号HAT、−80
℃で保管、(7)BSA:Sigma、カタログ番号A−7030;(8)AT−III
欠乏血漿:Enzyme Research Labsから購入、カタログ:AT−DP
、−80℃で保管。
緩衝液
(1)TAT標準緩衝液:20mMトリスHCl、pH7.4、0.15M NaCl
、1mM EDTA、0.05U/mlヘパリン;(2)コーティング緩衝液:1錠剤の
重炭酸塩+100ml dH20、4℃で保管;(3)ブロッキング緩衝液:2%BSA
−PBS;(4)試料希釈緩衝液:0.1M HEPES、pH7.4、0.15M N
aCl、1%BSA、0.05%Tween20を添加、濾過および分割し、−20℃で
保管;(5)基質緩衝液:5mg/mL Amplex Red50μL、3%H2O2
20μlをPBS緩衝液に添加する。混合し、プレートに添加する前に新たに調製する
;(6)1μM TAT標準ストックの調製:1.36mg/mlのヒトAT−III
100μLおよび3.28mg/mLのヒトトロンビン5.93μLをTAT緩衝液41
9μLに添加し、混合し、37℃で10〜20分間インキュベートする;(7)60nM
TAT標準ストックの調製:1μM TAT複合体50μLをAT−III欠乏血漿7
83μLに添加し、混合する。50μL/バイアルに分割し、−80℃で保管する。
アッセイ手順
1.抗トロンビンpAb(捕捉抗体)を重炭酸塩緩衝液に希釈する(1:100希釈:
1つの96ウェルプレートについて、抗体110μLを重炭酸塩緩衝液11mLに添加す
る)。
2.希釈コーティング抗体100μLを2HB Immulon 96ウェルプレート
上の各ウェルに添加する。プレートを穏やかに叩いて確実に全ての液体がプレートの底を
覆うようにする。プレートを密閉し、4℃で一晩インキュベートする。
3.自動プレート洗浄機において300μL洗浄緩衝液で4回洗浄する。最後の洗浄後
、プレートを反転させ、清潔なペーパータオルに軽く叩きつける。
4.ブロッキング緩衝液(2%BSA−PBS)150μLを各ウェルに添加する。プ
レートを密閉し、室温で1.5時間インキュベートする。
5.自動プレート洗浄機を用いて300μL洗浄緩衝液で4回洗浄する。最後の洗浄後
、プレートを反転させ、清潔なペーパータオルに軽く叩きつける。
6.標準、試料およびQC100μLを各ウェルに3連で添加し、プレートを室温で2
時間室温でインキュベートする。
7.自動プレート洗浄機を用いて300μL洗浄緩衝液で4回洗浄する。最後の洗浄後
、プレートを反転させ、清潔なペーパータオルに軽く叩きつける。
8.HRP−検出抗体100μL(1/100、抗体110μLを抱合体希釈液11m
Lに添加する)を各ウェルに添加する。プレートを密閉し、室温で1時間インキュベート
する。
9.自動プレート洗浄機を用いて300μL洗浄緩衝液で4回洗浄する。最後の洗浄後
、プレートを反転させ、清潔なペーパータオルに軽く叩きつける。
10.Amplex Rd基質70μL(新たに調製)を各ウェルに添加する。
11.プレートを室温で暗所に置き、15〜30分間インキュベートする。
12.OD485nm/595nmでプレートを読み取る。
13.標準を4パラメータ曲線当てはめでプロットする;対照および各試料の濃度を各
ELISAプレートの標準から計算した。
凝固能力のあるマウスにおける脱シアリル化V2の有効性
急性尾切断試験を行って凝固能力のあるマウスにおけるdV2の有効性を測定した。凝
固能力のあるマウスをイソフルランで麻酔し、尾を15mlプラスチックチューブ中37
〜38℃に加温した0.9%生理食塩水に10分間入れた。5mg/kg組織プラスミノ
ーゲン活性化因子(tPA)の静脈内投与後、尾をメスによって先端から50mmで切断
し、生理食塩水10mlを含有する別の予め加温した15mlプラスチックチューブに戻
し入れた。脱シアリル化V2およびF7を尾切断損傷直後に静脈内投与した。マウスを4
5分にわたって自由に出血させた。血液回収前後のチューブを秤量することによって重量
測定で失血量を定量化した。
結果
脱シアリル化または脱グリコシル化タンパク質のインビトロ特性評価
dV2の重鎖をLC−TOF MSによって分析した。分析により、重鎖上のN−グリ
カンがシアリダーゼ処理後にシアル酸を含有していないことが示された。軽鎖に対するこ
のような分析は、Glaドメインの存在によって困難にされた。処理分子のシアル酸含量
の全般的な状況を得るために、シアル酸蛍光標識を行った。この方法により、シアル酸の
99.9%超が脱シアリル化プロセス中にV2上で除去されることが示された。図7は、
シアル酸含量についての脱シアリル化V2の分析を示している。LC−TOF MS分析
およびシアル酸蛍光標識を利用した。シアル酸含量分析をdV1に対しても同様に行うと
同様の結果が得られた(データ不掲載)。脱シアリル化分子を、リン脂質依存性Xa活性
化とリン脂質依存性TGAアッセイの両方によって活性について試験した。PL−Xaお
よびPL−TGAアッセイにより、脱シアリル化後のタンパク質の活性が低下しないこと
が証明された(図9および図10参照)。図9は、脱シアリル化タンパク質に対するPL
−FXa活性化アッセイを示している。脱シアリル化V1およびV2(dV1、dV2)
を、リン脂質FXa活性化アッセイを用いて活性について試験した。両脱シアリル化タン
パク質が、このアッセイでその未修飾親分子と比較してわずかに高い活性を有した。図1
0は、脱シアリル化タンパク質に対するPL−TGAアッセイを示している。PL−TG
Aによって、dV2およびdV1は、その未修飾親分子に対してわずかに増加した活性を
示した。結果をF7に正規化した。
PL−Xaアッセイにより、その未修飾親分子に対するdV2およびdV1の活性の測
定可能な増加が一貫して示された。ヒポグリコシル化wtFVIIa、V2およびV1分
子を発現させ(図11)、発現と活性の両方について粗製発現抽出物として試験した。図
11は、ヒポグリコシル化FVII変異体の発現を示している。電気穿孔4日後の培地試
料をFVII発現について分析した。抗Glaドメイン抗体を用いたウエスタンブロット
解析は、変異体の発現を示している。N−グリカン部位の除去は、発現レベルについて正
規化すると活性に影響を及ぼすように見えなかった。図12は、トランスフェクション上
清を用いたヒポグリコシル化FVII変異体の「特異的活性」の測定を示している。ヒポ
グリコシル化変異体の2つの一過性トランスフェクションからの粗製発現上清の活性をX
a活性化アッセイによって分析した。ELISAによって測定される発現について正規化
すると、N−グリカン除去の結果としての活性の低下は認められなかった。このアッセイ
で予想されるように、V1およびF7タンパク質は類似の活性を有する一方で、V2分子
はそのTF非依存性の結果である低い活性を有していた。このことは、pMB121と呼
ばれる2個のN−グリカン(N322およびN145)のみを有する精製ヒポグリコシル
化V2に対して行ったPL−TGA活性アッセイによってさらに証明された。図13は、
精製したヒポグリコシル化変異体pMB121に対するPL−TGAアッセイを示してい
る。PL−TGAアッセイによって、pMB1212は未修飾V2と同様にF7に対して
増強した活性を示す。これらの分子のインビトロクリアランスを肝細胞クリアランスモデ
ルで試験した。dV2はこのモデルで未修飾V2に対して有意なクリアランスを証明した
(図14)一方で、ヒポグリコシル化変異体についてはクリアランスの増加がほとんどま
たは全く見られなかった(図15)。
ラットPKおよびHemA PK
スプラーグドーリーラットにおける薬物動態試験により、脱シアリル化およびヒポグリ
コシル化タンパク質がFVII ELISAによって測定されるようにその未修飾対応物
よりも有意に速く排除された。図16は、ラット薬物動態結果を示している。脱シアリル
化V2およびV1の半減期は、FVII ELISAによって測定されるようにスプラー
グドーリーラットにおいてその未修飾親分子よりも有意に短かった。これは、脱シアリル
化V2、脱シアリル化V1およびpMB121(ヒポグリコシル化V2)も同様であった
。両脱シアリル化分子についてのt1/2は1分未満であった一方で、その親タンパク質
のt1/2はおよそ2.5時間であった。ヒポグリコシル化V2分子pMB121のクリ
アランスは、1.6時間のt1/2を有するF7のクリアランスと同等であった。Hem
AマウスにおけるPK試験は、それぞれおよそ3分および2.6時間の半減期を有するd
V2およびF7と同様の結果を有した(図17(A))。sTF−PTT凝固アッセイに
よって短い半減期が確認された(図17(B))。図17は、HemA PK結果を示し
ている。脱シアリル化V2の半減期は、HemAマウスにおいて、A)FVII ELI
SAおよびB)sTF−PTアッセイによって測定されるように、その未修飾親分子より
も有意に短かった。
HemA有効性モデル
dV2を有効性についてHemAマウスで試験した。HemA尾切断モデルを用いると
、dV2は1mg/kgの用量で(ボーラス、静脈内)効果的であることが示された。比
較して、このモデルでは、F7の効果的な用量は2.5mg/kg(ボーラス、静脈内)
であった。これらの結果により、dV2がF7よりも効果的であることが証明される(図
18(A))。このモデルを利用してdV2の有効性がF7の有効性よりも速く消滅する
ことも示された(図18(B))。図18は、HemAマウスにおける脱シアリル化V2
有効性試験の結果を示している。dV2を用いた試験により、この分子が、HemA尾切
断モデルにおいて、F7よりもA)効果的でありかつB)速い有効性クリアランスを有す
ることが示される。
より感受性のTVTモデルを用いると、F7に対するdV2のより速い有効性クリアラ
ンスも証明され、効果的な用量が確認された。図19は、TVT HemAモデルにおけ
るdV2有効性試験を示している。より高い感受性を有する有効性モデル(TVT)を用
いたTVT試験により、dV2がF7よりも速い有効性クリアランスを有することが確認
された。HemAマウスへの投与30分後および60分後に行った血栓形成性のマーカー
としてのトロンビン抗トロンビン(TAT)測定により、dV2について有意に低いレベ
ルが示された。図20はTAT測定を示している。HemAマウスでは、効果的な用量(
1mg/kg)で投与したdV2が、効果的な用量のF7(2.5mg/kg)よりも少
ないトロンビン抗トロンビン(TAT)を産生した。このデータは、有効性データと合わ
せて、dV2がF7よりも好都合な治療指数を有することを示唆しているだろう。
凝固能力のあるマウスにおける有効性
dV2を、有効性について、tPA処理した凝固能力のあるマウスで試験した。尾切断
モデルを用いると、dV2は0.3〜1mg/kgの用量で(ボーラス、静脈内)効果的
であることが示された。比較して、このモデルでは、F7の効果的な用量は5mg/kg
(ボーラス、静脈内)であった。これらの結果により、dV2がF7よりも効果的である
ことが証明される(図21)。図21は、tPA処理した凝固能力のあるマウスにおける
脱シアリル化V2有効性試験の結果を示している。
脱シアリル化野生型第VII因子(dWT VIIa)のクリアランスおよび有効性
脱シアリル化野生型第VII因子(dWT VIIa)を、出発第VII因子材料とし
てNovo Nordiskから得たNovoSeven(登録商標)を用いて、かつ上
記のように可溶性シアリダーゼ酵素を用いて出発ポリペプチドを脱シアリル化することに
よって上記のように産生した。dWT VIIaは、99%超の純度、低いエンドトキシ
ンを有し、検出可能なシアル酸を有さないことが分かった。さらに、質量分析により、シ
アル酸の選択的除去が示された。
このdWT VIIa材料の活性を、上記のBiophen FVII発色アッセイお
よび修正PTアッセイを用いて分析し、野生型第VII因子と比較した。これらの分析の
各々により、dWT VIIaが野生型第VII因子ポリペプチドとほぼ同一の活性を有
することが示された。
dWT VIIaおよび野生型第VII因子(1mg/kg)のクリアランスも、ヒト
組織因子ノックイン(TFKI)マウスのマウスモデルを用いて分析および比較した。図
22に示されるように、dWT VIIaの半減期は野生型第VII因子よりも有意に短
く、クリアランス(ml/時間/kg)は40倍速かった。
上記のTFKIマウスおよび尾切断法を用いて、野生型第VII因子と比較したdWT
VIIaの有効性を調査した。手短に言えば、5mg/kgのtPAをマウスに静脈内
注射し、引き続いて尾の先端から50mmを切り落とした。次いで、野生型第VII因子
(Novoseven(登録商標))またはdWT VIIaを1〜6mg/kgに及ぶ
投与量で静脈内注射した。次いで、血液を45分間尾から採取し、不安定な血餅を採取期
間全体にわたって6分毎に破壊した。図23に示されるように、驚くべきことにdWT
VIIaは、野生型第VII因子よりも有意に効果的であることが分かった。より具体的
には、6mg/kg用量の野生型第VII因子と比較して、3mg/kg用量のdWT
VIIaにより失血減少が引き起こされた。この分析の結果を仮定すると、2mg/kg
のdWT VIIaが6mg/kgの野生型第VII因子と生物学的同等用量であると決
定された。
dWT VIIaおよび野生型第VII因子(NovoSeven(登録商標))が全
身性凝固を引き起こす能力も上記トロンビン抗トロンビン(TAT)法によって調査した
。マウスを生物学的同等用量のdWT VIIa(2mg/kg)および野生型第VII
因子(6mg/kg)で処理し、次いで、TAT複合体の形成をELISAによって測定
した。図24に示されるように、野生型NovoSeven(登録商標)第VII因子は
、dWT VIIaよりも有意に高いレベルのTATを産生した。dWT VIIaがベ
ースラインTATレベルのみを産生したという事実を仮定すると、この実験は、ポリペプ
チドが野生型第VII因子と同じくらい効果的であるという事実にもかかわらず、この用
量のdWT VIIaが観察可能な全身性凝固をもたらさないことを示唆している。
さらに、dWT VIIaおよび野生型第VII因子(NovoSeven(登録商標
))が血栓形成を引き起こす能力もFeCl血栓症モデルで調査した。マウスを血栓症
試験の開始15分前に生物学的同等用量のdWT VIIa(2mg/kg)および野生
型第VII因子(6mg/kg)で処理した。次いで、3.25%FeCl溶液の投与
によって血栓症を開始し、次いで、血栓形成をドップラーによって30分間測定した。得
られた血流データを血流対時間のグラフにプロットし、次いで、対照試料についての曲線
下の面積の百分率を計算して、第VII因子処理群の各々について血栓形成によって引き
起こされた血流の低下を決定した。図25に示されるように、野生型NovoSeven
(登録商標)第VII因子は、血流の有意な減少(平均ほぼ40%)をもたらした一方で
、dWT VIIaは血流の低下をほぼ示さなかった(平均>90%)。この実験により
、所与の用量のdWT VIIaは、野生型第VII因子と比較して大いに減少した血栓
形成をもたらすことが証明された。
野生型第VII因子と比較したdWT VIIaの活性および有効性を、SN−17c
トリペプチド蛍光原基質(HTI)を用いて、これらのペプチドの可溶性組織因子(sT
F)に対する見かけの結合親和性を調べることによってさらに調査した。図26に示され
るように、この分析により、dWT VIIa(dF7)および野生型第VII因子(F
7)が同等のsTFに対する見かけの結合親和性を有することが証明された。しかしなが
ら、図27に示されるように、sTF−第VII因子複合体(0.5mM 第VII因子
[dWT VIIaまたは野生型]、125nM sTF)の存在下で第X因子濃度を滴
定することによって、これらのペプチドが第X因子を活性化する能力を調べる実験モデル
では、dWT VIIaおよび野生型第VII因子についてのミカエリスメンテン型反応
速度論により、dWT VIIa(dF7)が野生型第VII因子(F7)よりも有効に
(およそ2倍)第X因子を活性化することができることが証明される。このデータは、d
WT VIIaがその野生型対応物よりも1つの第VII因子活性部位当たり多くの第X
因子を第Xa因子に変換することができることを示唆している。
考察
急性出血の治療に効果的であるが、血栓形成性が低下した治療薬を開発する未だ対処さ
れていない医学的必要性が存在する。半減期が短い効果的な第VII因子ポリペプチドは
、急性出血に使用するのに適したより大きな治療窓を有する分子を潜在的にもたらすだろ
う。
V2およびV1は2つの第VIIa因子変異体である(図1〜図3)。これらの変異体
は、活性化血小板に対する親和性を増加させ、V2の場合には、組織因子非依存性をもた
らすGlaドメインの変異を含有する。両変異体はさらに2個のN−グリコシル化部位も
有し、これにより野生型第VIIa因子と比較して延長した半減期、血友病の治療に有利
な形質がもたらされる。しかしながら、急性出血のための治療剤としてのその使用は、半
減期の減少から利益を得るだろう。この修正により、オフターゲットの効果のリスクが低
下し、結果として、その治療指数が増加するだろう。本発明者らは、ここで、V2および
V1の炭水化物鎖上に存在するシアル酸の除去により、インビトロ肝細胞クリアランスモ
デルにおいて分子の有意に速いクリアランスがもたらされることを示した。ヒポグリコシ
ル化変異体はインビトロモデルではこれで速く排除されなかったが、このことは脱シアリ
ル化分子とヒポグリコシル化分子との間のクリアランスの機構が異なることを示唆してい
る。スプラーグドーリーラットで行ったインビボ試験により、脱シアリル化分子(dV2
およびdV1)ならびにヒポグリコシル化変異体pMB121が有意に減少した半減期を
有することが証明された。興味深いことに、脱シアリル化V2とV1の両方が、脱シアリ
ル化野生型FVIIaについて報告されている速度と比較して増加したクリアランス速度
(Appaら、Thrombosis and Haemostasis 104.2/
2010)、そのさらに2個のN−グリカンにより得る特徴を有していた。この活性につ
いての1つの可能な理論は、本明細書で主張されるものに限定されないが、これらの余分
なN−グリカンが、脱シアリル化されて、ASGPRまたは類似の受容体のための追加の
リガンドとなり、より速いクリアランスを媒介するというものである。これらの分子の活
性は、インビトロ活性アッセイによって測定されるように、その親分子と比較して保持さ
れたまたは増加した。dV2のより速いクリアランスは、HemAマウスPK試験におい
てインビボでさらに検証され、HemA尾切り落としおよびTVT試験において効果的で
あることが示された。
さらに、野生型第VII因子の脱シアリル化によって、野生型よりもずっと急速に消滅
する第VII因子ポリペプチドが産生された一方で、多数の実験モデルにおいて示される
ように有効性が増加するという驚くべき結果も提供された。
第VIIa因子または第VIIa因子変異体のN−グリカンの除去またはN−グリカン
の単糖組成の修正により、より速く消滅する分子が得られる。これらの分子はインビボで
活性を保持し効果的である。これらの速く消滅する第VII a因子分子の開発は、急性
出血性適応症の治療に有益であるのみならず、潜在的に市場の種々の抗凝固薬の解毒薬と
なるだろう。
本発明は以下のものを含む。
(項1)
配列番号16のアミノ酸に関して少なくとも2つの配列変化を有するアミノ酸配列を含み、前記少なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基であり;N結合型グリカン1モル当たりの抱合型シアル酸のモルの比が(1)0〜5;(2)0〜4;(3)0〜3;(4)0〜2;(5)0〜1および(6)0〜0.5からなる群から選択される範囲内にある変異形第VII因子ポリペプチドの組成物。
(項2)
前記変異形第VII因子ポリペプチドが配列番号16のアミノ酸配列に関して少なくとも4つの配列変化を含み、前記少なくとも4つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(4)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基である、項1に記載の組成物。
(項3)
配列番号16のアミノ酸に関して少なくとも2つの配列変化を有するアミノ酸配列を含み、前記少なくとも2つの配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基であり;0〜5.0の間の抱合型シアル酸のモルとN−結合型グリカンのモルの比を有する、単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項4)
a)配列番号16に関して36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、b)配列番号16に関して34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、c)配列番号16に関して106位のトレオニン残基に置換したアスパラギン残基、およびd)配列番号16に関して253位のバリン残基に置換したアスパラギン残基からなる群から選択される1つまたは複数の配列変化さらに含む、項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項5)
a)配列番号16に関して36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、b)配列番号16に関して34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、c)配列番号16に関して106位のトレオニン残基に置換したアスパラギン残基、およびd)配列番号16に関して253位のバリン残基に置換したアスパラギン残基からなる群から選択される2つ以上の配列変化さらに含む、項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項6)
a)配列番号16に関して36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、b)配列番号16に関して34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、c)配列番号16に関して106位のトレオニン残基に置換したアスパラギン残基、およびd)配列番号16に関して253位のバリン残基に置換したアスパラギン残基からなる群から選択される3つ以上の配列変化さらに含む、項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項7)
a)配列番号16に関して36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、b)配列番号16に関して34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、c)配列番号16に関して106位のトレオニン残基に置換したアスパラギン残基、およびd)配列番号16に関して253位のバリン残基に置換したアスパラギン残基からなる群から選択される4つ以上の配列変化さらに含む、項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項8)
配列番号16のアミノ酸配列を含み、かつ組成物中の抱合型シアル酸のモルとN結合型グリカンのモルの比が(a)1〜5;(b)1〜4;(c)1〜3;(d)1〜2;および(e)0.5〜1からなる群から選択される範囲内にある第VII因子ポリペプチドの組成物。
(項9)
単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、
(1)シアリル化第VII因子ポリペプチドを得るステップと;
(2)前記シアリル化第VII因子ポリペプチドを、十分な量の共有結合シアル酸残基が前記シアリル化第VII因子ポリペプチドから除去されて、a)0.05未満、b)0.1未満、c)1.0未満、d)2.0未満、e)3.0未満、f)4.0未満、g)5.0未満;およびh)6.0未満からなる群から選択される抱合型シアル酸のモルとN−結合型グリカンのモルの比を有する脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを産生するような条件下でシアリダーゼと接触させるステップと;
(3)それによって産生された前記脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを単離するステップと
を含む方法。
(項10)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16の野生型第VII因子配列を含む、項9に記載の方法。
(項11)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して2つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項9に記載の方法。
(項12)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して4つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項9に記載の方法。
(項13)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して6つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項9に記載の方法。
(項14)
単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、(1)a)0.05未満、b)0.1未満、c)1.0未満、d)2.0未満、e)3.0未満、f)4.0未満、g)5.0未満;およびh)6.0未満からなる群から選択される抱合型シアル酸のモルとN−結合型グリカンのモルの比を有する脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを産生するように、ペプチドをシアル化する能力が欠乏した組換え細胞系で第VII因子ポリペプチドを産生するステップと;(2)それによって産生された前記脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを単離するステップとを含む方法。
(項15)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16の野生型第VII因子配列を含む、項14に記載の方法。
(項16)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して2つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項14に記載の方法。
(項17)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して4つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項14に記載の方法。
(項18)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して6つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項14に記載の方法。
(項19)
単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、
(1)組換え第VII因子ポリペプチドと組換えシアリダーゼ酵素を同時発現する組換え細胞系を作成するステップと;
(2)前記組換え細胞系を培養して前記組換え第VII因子ポリペプチドと前記組換えシアリダーゼ酵素の両方の発現を可能にし、前記組換えシアリダーゼ酵素が十分な量の共有結合シアル酸残基を除去して、a)0.05未満、b)0.1未満、c)1.0未満、d)2.0未満、e)3.0未満、f)4.0未満、g)5.0未満;およびh)6.0未満からなる群から選択される抱合型シアル酸のモルとN−結合型グリカンのモルの比を有する脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを産生するステップと;
(3)それによって産生された前記脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを単離するステップと
を含む方法。
(項20)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16の野生型第VII因子配列を含む、項19に記載の方法。
(項21)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して2つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項19に記載の方法。
(項22)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して4つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項19に記載の方法。
(項23)
前記第VII因子ポリペプチドが配列番号16に関して6つ以上の配列変化を含む変異配列を含む、項19に記載の方法。
(項24)
(1)配列番号16の配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)145位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(2)配列番号16の配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(3)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、および(3)145位および322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(4)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、および(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基からなり、145位および322位がアスパラギンであり、かつ結合したN結合型グリコシル化を有するポリペプチド;
(5)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(5)145位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(6)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(5)322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;
(7)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、(4)36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(5)145位および322位のN結合型グリコシル化が破壊されるような配列変化からなるポリペプチド;および
(8)配列番号16のアミノ酸配列に関して配列変化を有する第VII因子アミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記配列変化が(1)10位のプロリン残基に置換したグルタミン残基、(2)32位のリジン残基に置換したグルタミン酸残基、(3)34位のアラニン残基に置換したグルタミン酸残基、および(4)36位のアルギニン残基に置換したグルタミン酸残基からなり、145位および322位がアスパラギンであり、かつ結合したN結合型グリコシル化を有するポリペプチド からなる群から選択される単離変異形第VII因子ポリペプチド。
(項25)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項1に記載の変異形第VII因子ポリペプチドの組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項26)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチドをそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項27)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項8に記載の第VII因子ポリペプチドの組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項28)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項9に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項29)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項14に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項30)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、有効量の項19に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項31)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項1に記載の変異形第VII因子ポリペプチドの組成物の使用。
(項32)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチドの使用。
(項33)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項8に記載の第VII因子ポリペプチドの組成物の使用。
(項34)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項9に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項35)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項14に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項36)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害の治療への項19に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項37)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項1に記載の変異形第VII因子ポリペプチドの組成物の使用。
(項38)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチドの使用。
(項39)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項8に記載の第VII因子ポリペプチドの組成物の使用。
(項40)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項9に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項41)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項14に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項42)
出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される疾患または障害を治療するための医薬品の調製への項19に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを含む組成物の使用。
(項43)
項1に記載の変異形第VII因子ポリペプチドの組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項44)
項3に記載の単離変異形第VII因子ポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項45)
項8に記載の第VII因子ポリペプチドの組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項46)
項9に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項47)
項14に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項48)
項19に記載の方法によって調製された単離脱シアリル化第VII因子ポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
(項49)
血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物を治療する方法であって、抱合型シアル酸のモルとN結合型グリカンのモルの比が0.05未満である配列番号16のアミノ酸配列を含む有効量の第VII因子ポリペプチドをそれを必要とする哺乳動物に投与するステップを含み、前記疾患または障害が出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される方法。
(項50)
前記第VII因子ポリペプチドが検出可能な量の抱合型シアル酸を含有しない、項29に記載の方法。

Claims (18)

  1. 配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離された変異形第VII因子ポリペプチドであって、該変異形が、配列番号16に関して145と322位のアミノ酸残基において野生型ヒト第VII因子のN結合型グリコシル化部位を含み、更に、配列番号16の野生型第VII因子中に存在する2つを超える追加のN結合型グリコシル化部位を含み、ここで、該ポリペプチドにおけるN結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から2.0であることを特徴とする前記変異形第VII因子ポリペプチド。
  2. アミノ酸置換V253Nを含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  3. アミノ酸置換T106Nを含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  4. P10Q、K32E、R36E、A34E、T106N及びV253Nからなる群から選択される1または複数のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  5. P10Q、K32E、R36E、A34E、T106N及びV253Nからなる群から選択される2以上のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  6. P10Q、K32E、R36E、A34E、T106N及びV253Nからなる群から選択される3以上のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  7. 配列変化P10Q、K32E、T106N及びV253Nを含む、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  8. 同じ条件下で測定される場合に、野生型第VII因子に比較して少なくとも50%の血液凝固を促進する活性を有することを特徴とする、請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  9. N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から1.0である、請求項1から8のいずれか1項に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  10. N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から0.5である、請求項1から8のいずれか1項に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチド。
  11. 請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、
    (1)配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16に関して145と322位のアミノ酸残基において野生型ヒト第VII因子のN結合型グリコシル化部位を含み、更に、配列番号16の野生型第VII因子中に存在する2つを超える追加のN結合型グリコシル化部位を含むシアリル化第VII因子ポリペプチドを得るステップ、
    (2)十分な量の共有結合したシアル酸残基が該シアリル化第VII因子ポリペプチドから除去されて、N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から2.0である脱シアリル化第VII因子ポリペプチドが産生される条件下で、シアリル化第VII因子ポリペプチドをシアリダーゼと接触させるステップ、及び
    (3)産生された変異形第VII因子ポリペプチドを単離するステップを含む、前記方法。
  12. 請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、
    (1)ペプチドをシアリル化する能力を欠乏し、その結果、N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から2.0である脱シアリル化第VII因子ポリペプチドを産生する組換え細胞株において、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16に関して145と322位のアミノ酸残基において野生型ヒト第VII因子のN結合型グリコシル化部位を含み、更に、配列番号16の野生型第VII因子中に存在する2つを超える追加のN結合型グリコシル化部位を含む第VII因子ポリペプチドを産生するステップ、および
    (2)産生された変異形第VII因子ポリペプチドを単離するステップを含む、前記方法。
  13. 請求項1に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチドを調製する方法であって、
    (1)(a)配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16に関して145と322位のアミノ酸残基において野生型ヒト第VII因子のN結合型グリコシル化部位を含み、更に、配列番号16の野生型第VII因子中に存在する2つを超える追加のN結合型グリコシル化部位を含む組換え第VII因子ポリペプチドと(b)組換えシアリダーゼ酵素を共発現する組換え細胞株を得るステップ、
    (2)該組換え細胞株を培養して組換え第VII因子ポリペプチドと組換えシアリダーゼ酵素の両方を発現させるステップであって、ここで、該組換えシアリダーゼ酵素が十分な量の共有結合したシアル酸残基を除去して、N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から2.0である脱シアリル化第VII因子を産生するステップ、および
    (3)産生された変異形第VII因子ポリペプチドを単離するステップを含む、前記方法。
  14. 変異形第VII因子ポリペプチドが、1つがV253Nでありその他がP10Q、K32E、R36E、A34EおよびT106Nからなる群から選択される4以上の配列変化を含む変異形配列を含む、請求項11、12又は13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 請求項1から8のいずれか1項に記載の単離された変異形第VII因子ポリペプチドと医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  16. 血餅形成が望ましい疾患または障害を治療するための医薬の製造における請求項1から8のいずれか1項に記載の単離された変異形VII因子ポリペプチドの使用であって、該疾患または障害が、出血、胃腸出血、制御されない出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物の出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、凝固薬の過剰投与、穿通性外傷性損傷、鈍的外傷性損傷、待機手術における出血、心臓手術における出血、脊髄手術における出血、整形外科手術、神経外科手術、腫瘍学手術、分娩後手術、月経過多、幹細胞移植における出血、肝移植における出血、消化管出血、肝硬変の活発な静脈瘤出血、肝硬変の非静脈瘤出血、びまん性肺胞出血、大動脈瘤、脳内出血、外傷性脳損傷、脳挫傷、ワルファリンの逆転、ヘパリンの逆転、抗凝固薬の逆転、抗血栓薬の逆転、第VII因子欠乏症、火傷、阻害因子による血友病患者の予防、非肝硬変および肝硬変患者のための部分肝切除、後天性血友病、特発性血小板減少性紫斑病、グランツマン血小板無力症、血小板輸血に対して難治性のグランツマン血小板無力症およびベルナール−スリエ症候群からなる群から選択される、前記使用。
  17. 疾患または障害が出血である請求項16に記載の方法。
  18. 配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列変化P10QおよびK32Eを含む単離された変異形第VII因子ポリペプチドであって、N結合型グリカンのモルに対する抱合型シアル酸のモルの比が0から1.0である前記変異形第VII因子ポリペプチド。
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