JP2019210368A - 蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物、並びにこれらを用いた発光装置、照明装置及び画像表示装置 - Google Patents

蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物、並びにこれらを用いた発光装置、照明装置及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の蛍光体とは異なる結晶構造を有し、赤色に発光する新規な蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物等を提供する。【解決手段】M元素、Li、Mg、及びN(但し、M元素は、Eu、Ce、Pr、Sm、Tb、Dy及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の付活元素である。)を有する結晶相を含む蛍光体であって、前記結晶相は、立方晶系の空間群がF−43mに属する結晶構造を有し、且つ格子定数が下記範囲を満たすことを特徴とする、蛍光体。4.486〔Å〕≦格子定数a≦5.483〔Å〕【選択図】図1

Description

本発明は、新規な蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物、並びにこれらを用いた発光装置、照明装置及び画像表示装置等に関する。
近年、省エネルギーの流れを受け、画像表示装置や照明装置等の発光装置を用いる機器においては、LEDを用いた照明やバックライト等の需要が増加している。これらに用いられるLEDとしては、近紫外又は短波長可視域で発光するLEDチップと蛍光体とを併用することで白色発光させる白色発光LEDが一般化しつつある。特に、赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)は、画像表示装置や照明装置用の発光装置に使用されており、その発光特性は様々に改良されている。このうち効率と演色性の向上のために、特定の波長帯で半値幅が狭い蛍光体の開発が求められており、さらに近年では、赤色領域の見え方を表す特殊演色評価数R9の値が重要視されている。
特殊演色評価数R9を達成するためには、例えば、発光スペクトルの発光ピーク波長が590nm以上780nm未満であって、且つ、半値幅が1nm以上130nm以下である蛍光体を用いることが有効である。そのため従来から、このような発光特性を有する赤色蛍光体の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、KSiF:Mn4+(KSF)等のMn4+付活フッ化物錯体蛍光体が開示されている。また、特許文献2には、KSFを用いた発光装置が開示されている。また、特許文献3には、LS:Eu3+(LOS)などのEu3+付活酸硫化物蛍光体が開示されている。
米国特許第7497973号明細書 米国特許第3576756号明細書 特許第4433847号公報
上記したように、様々な赤色蛍光体が開発されているが、さらに発光特性を向上させた赤色蛍光体が切望されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、従来の蛍光体とは異なる結晶構造を有し、赤色に発光する新規な蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物等を提供することにある。また、本発明の別の目的は、該赤色蛍光体を用いた発光装置、並びに、該発光装置を含む照明装置及び画像表示装置等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく蛍光体の新規探索を鋭意検討した結果、従来の赤色蛍光体とは異なる結晶構造を有し、近紫外又は短波長可視領域の光により、赤色に発光する新規な蛍光体を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
<1>M元素、Li、Mg、及びN(但し、M元素は、Eu、Ce、Pr、Sm、Tb、Dy及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の付活元素である。)を有する結晶相を含む蛍光体であって、前記結晶相は、立方晶系の空間群がF−43mに属する結晶構造を有し、且つ格子定数が下記範囲を満たすことを特徴とする、蛍光体。
4.486〔Å〕≦格子定数a≦5.483〔Å〕
<2>前記結晶相は、Oをさらに有し、下記式[1]で表されることを特徴とする、<1>に記載の蛍光体。
Li2-xMgy-z [1]
(上記式[1]中、a、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
0≦a≦0.1
0<x≦1.25
0.67≦y≦1.1
0≦z≦0.1
0.67≦y−z≦1.1)
<3>前記結晶相は、O及びX元素(但し、X元素は、Ca、Sr、及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素並びに/又はFである。)をさらに有し、下記式[2]で表されることを特徴とする、<1>に記載の蛍光体。
Li2-xMgy-z [2]
(上記式[2]中、a、b、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
0≦a≦0.1
0<x≦1.25
0.67≦y≦1.1
0≦z≦0.1
0≦b≦0.01
0.67≦y−z≦1.1)
<4>前記M元素が、Euを含むことを特徴とする、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の蛍光体。
<5>300nm以上480nm以下の波長を有する励起光を照射したときに610〜640nmの範囲内に発光ピーク波長を有し、前記発光ピーク波長の半値幅が1〜20nmであることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の蛍光体。
<6>前記式中、0<a≦0.01、0≦z≦0.09であることを特徴とする、<2>〜<5>のいずれか一項に記載の蛍光体。
<7>前記X元素の元素量換算の含有割合が、合計で1500ppm以下であることを特徴とする、<3>〜<6>のいずれか一項に記載の蛍光体。
<8><1>〜<7>のいずれか一項に記載の蛍光体を含み、前記蛍光体を総量に対して20質量%以上含有することを特徴とする、
蛍光体含有組成物。
<9>300nm以上480nm以下の波長を有する励起光を発する励起用光源、及び前記励起用光源が発する光の少なくとも一部を異なる発光スペクトルに変換する蛍光体を少なくとも備え、前記蛍光体が、<1>〜<7>のいずれか一項に記載の蛍光体、及び/又は<8>に記載の蛍光体含有組成物を少なくとも含むことを特徴とする、発光装置。
<10><9>に記載の発光装置を備えることを特徴とする、照明装置。
<11><9>に記載の発光装置を備えることを特徴とする、画像表示装置。
本発明によれば、従来の蛍光体とは異なる結晶構造を有し、赤色に発光する新規な蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物等を実現できる。この新規な蛍光体は、その発光特性(励起スペクトル、発光スペクトル、発光色、発光効率)により、白色発光LED用途等の発光材料として殊に有用なものである。そのため、本発明の新規な蛍光体や蛍光体含有組成物を含む発光装置、並びに、この発光装置を含む照明装置及び画像表示装置は、高効率で高品質なものとなる。
実施例1の蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示すグラフであり、図中の破線は励起スペクトルを表し、実線は発光スペクトルを表す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。例えば「1〜100」との数値範囲は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。他の数値範囲の表記も同様である。
また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表す。そして、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」(但し、これらの式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)とを包括的に示しているものとする。
<蛍光体>
本実施形態の蛍光体は、M元素、Li、Mg、及びNを有する結晶相を含む蛍光体であって、前記結晶相は、立方晶系の空間群がF−43mに属する結晶構造を有し、且つ格子定数が下記範囲を満たすことを特徴とするものである。
4.486〔Å〕≦格子定数a≦5.483〔Å〕
ここでM元素は、付活元素であり、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、及びイッテルビウム(Yb)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素を表す。M元素は、少なくともEuを含むことが好ましく、Euであることがより好ましい。なお、Euは、その全部又は一部がCe、Pr、Sm、Tb、Dy及びYbよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素で置換されていてもよい。すなわち、M元素として、Euと、Ce、Pr、Sm、Tb、Dy及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素とを含むことが好ましい。発光量子効率の観点からは、EuとCeがより好ましく、M元素は、Eu及び/又はCeであることがさらに好ましく、より好ましくはEuである。なお、M元素全体に対するEuの含有割合は、特に限定されないが、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。
Liはリチウムを表す。Liは、その他の1価の元素、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等で一部置換されていてもよい。これらの含有量は、本実施形態の効果を損なわない限り、特に限定されないが、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
Mgは、マグネシウムを表す。Mgは、アルカリ土類金属元素以外の他の2価金属元素、例えば亜鉛(Zn)等で一部置換されていてもよい。これらの含有量は、本実施形態の効果を損なわない限り、特に限定されないが、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。
Nは、窒素(元素)を表す。窒素は、一部がその他の元素、例えば、酸素(O)、ハロゲン原子(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I))等で置換されていてもよい。また、結晶中で欠損して、結晶構造中に格子欠陥を生じさせていてもよい。これらの含有量は、本実施形態の効果を損なわない限り、特に限定されないが、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の蛍光体は、上記した最小構成元素以外に、他の元素を含んでいてもよい。他の元素としては、酸素(O);フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)等のハロゲン原子;カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属等が挙げられるが、これらに特に限定されない。酸素は、原料金属中の不純物として混入するのみならず、粉砕工程或いは窒化工程等の製造プロセス時に導入され得るものであり、本実施形態の蛍光体においては不可避的に混入するものである。又はハロゲン原子は、原料金属中の不純物として混入するのみならず、粉砕工程或いは窒化工程等の製造プロセス時に導入され得るものであり、特に、フラックスとしてハロゲン化物を用いる場合には、蛍光体中にハロゲン原子が高確率で含まれてしまう傾向にある。
本実施形態の蛍光体は、結晶構造において、立方晶系の結晶構造を有し、F−43m空間群に属する。また、その結晶構造においては、LiとMgが同一の結晶サイトに存在していてもよく、LiとMgの占有率が異なるLi/Mgサイトが2種類以上存在していてもよい。そして、Nは、電気的中性条件を調整している。
本実施様態の蛍光体の格子定数aは、通常4.486Å以上、好ましくは4.736Å以上、より好ましくは4.835Å以上であり、また通常5.483Å以下、好ましくは5.234Å以下、より好ましくは5.134Å以下である。なお、格子定数b及びcについても同様であり、α=β=γ=90°である。
本実施形態の蛍光体は、下記式[1]又は[2]で表される組成を有する結晶相を含むものが好ましい。
Li2-xMgy-z [1]
(上記式[1]中、a、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
0≦a≦0.1
0<x≦1.25
0.67≦y≦1.1
0≦z≦0.1
0.67≦y−z≦1.1)
Li2-xMgy-z [2]
(上記式[2]中、a、b、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
0≦a≦0.1
0<x≦1.25
0.67≦y≦1.1
0≦z≦0.1
0≦b≦0.01
0.67≦y−z≦1.1)
上記式[2]中、X元素は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素、並びに/又はフッ素(F、元素)である。X元素は、Sr又はFを含むことが好ましく、Srであることがより好ましい。なお、X元素は、アルカリ土類金属元素以外の他の2価金属元素、例えば亜鉛(Zn)等で一部置換されていてもよい。
上記式[1]及び[2]中、aはM元素の含有量を表し、その範囲は、通常0≦a≦0.1であり、下限値は、好ましくは0.0001、より好ましくは0.001であり、またその上限値は、好ましくは0.05、さらに好ましくは0.01である。
上記式[1]及び[2]中、xは、Mgの含有量(若しくはLiとMgの置換量)を表し、その範囲は、通常0<x≦1.25であり、下限値は、好ましくは0.5、より好ましくは0.75、特に好ましくは0.875であり、また、その上限値は、好ましくは1.125、より好ましくは1.05である。
上記式[1]及び[2]中、zは、Oの含有量(NへのOの置換量)を表し、その範囲は、通常0≦z≦0.1であり、上限値は、好ましくは0.09、より好ましくは0.0625、なお好ましくは0.05である。
上記式[1]及び[2]中、y−zは、窒素の含有量を表し、結晶構造中の電気中性条件を満たす値をとる。その範囲は、通常0.67≦y≦1.1であり、下限値は、好ましくは0.83、より好ましくは0.92であり、また、その上限値は、好ましくは1.04、より好ましくは1.02である。
上記式[2]中、bは、X元素の含有量を表し、その範囲は、通常0≦b≦0.01であり、下限値は、好ましくは0.0001、より好ましくは0.001であり、またその上限値は、好ましくは0.08、さらに好ましくは0.05である。
いずれの含有量も、上述した範囲内であると、発光特性に優れる蛍光体が得られ易い。
<蛍光体の諸物性>
[発光色]
本実施形態の蛍光体の発光色は、波長300nm以上480nm以下の近紫外領域〜短波長可視領域の光で励起することができ、化学組成等を調整することにより、緑色、黄緑色、黄色、赤色等、所望の発光色を発光することができる。
[発光スペクトル]
本実施形態の蛍光体は、波長300nm以上480nm以下の光で励起した場合における発光スペクトルを測定した際に、以下の特性を有することが好ましい。すなわち、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長(発光極大波長)は、610〜640nmの範囲内が好ましく、より好ましくは615〜635nmの範囲内である。発光スペクトルが上記範囲内であると、得られる蛍光体を用いた発光装置において、特殊演色評価数R9の良好な赤色を呈するため、好ましい。
[発光スペクトルの半値幅]
本実施形態の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が、1〜20nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜15nmである。上記範囲内の狭帯域赤色発光であると、液晶表示装置等の発光装置に使用する場合、特殊演色評価数R9の良好な赤色が得られ易く、色再現範囲が広くなる傾向にあるため好ましい。
なお、本実施形態の蛍光体を励起するための励起用光源としては、特に限定されないが、例えばキセノンランプやGaN系LED等を用いることができる。また、励起用光源として、例えば300nm以上480nm以下の近紫外又は短波長可視領域の波長の光を発するLED発光素子を用いることができる。LED発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものが知られており、組成を調整することにより、所定の波長の光を発する励起用光源となり得る。なお、本実施形態の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅等の算出は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて行うことができる。また、例えばLED発光装置としては、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609、特開平7−99345、特許公報第2927279号等に記載されているような公知の方法により製造することができる。
[励起波長]
本実施形態の蛍光体は、通常300nm以上、好ましくは315nm以上、より好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは470nm以下、より好ましくは450nm以下、さらに好ましくは420nm以下の波長範囲に励起ピーク(吸収極大波長)を有する。すなわち、本実施形態の蛍光体は、通常、近紫外又は短波長可視領域の光で励起可能である。
[結晶系と空間群]
本実施形態の蛍光体における結晶系は、立方晶系(Cubic)である。また、本実施形態の蛍光体における空間群は、「International Tables for Crystallography(Third,revised edition),Volume A SPACE−GROUP SYMMETRY」に基づく216番(F−43m)に属するものであることが好ましい。ここで、蛍光体の格子定数及び空間群は、常法にしたがって求めることできる。具体的には、格子定数は、X線回折及び中性子線回折の結果をリートベルト(Rietveld)解析することにより求めることができ、空間群は、電子線回折や単結晶を用いたX線回折構造解析及び中性子線回折構造解析により求めることができる。
<蛍光体の製造方法>
本実施形態の蛍光体の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、付活元素であるM元素の原料(以下、適宜「M源」と称する場合がある。)、Liの原料(以下、適宜「Li源」と称する場合がある。)、及びMgの原料(以下、適宜「Mg源」と称する場合がある。)、並びに、必要に応じて配合されるX元素の原料(以下、適宜「X源」と称する場合がある。)等の蛍光体原料を混合する工程(混合工程)と、得られた混合物を焼成する工程(焼成工程)とを少なくとも備える方法が好ましく用いられる。なお、以下では例えば、元素Euの原料を「Eu源」、元素Srの原料を「Sr源」等と称することがあり、他の元素についても同様とする。一方、N及びOは、M源、Li源、Mg源、X源等の窒化物や酸化物として供給可能であり、さらには、各原料に含まれる不純物或いは製造プロセス時の不純物としても供給可能である。
[蛍光体原料]
M源、Li源、Mg源、X源等の蛍光体原料としては、これらのケイ化物、酸化物、炭酸塩、窒化物、酸窒化物、ハロゲン化物(塩化物、フッ化物)、酸フッ化物、水酸化物、シュウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機金属化合物或いはこれらの前駆体化合物等を用いることができ、その種類は特に限定されない。蛍光体原料としては、1種を単独で用いることができ、また、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。これらの中でも、酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭酸塩、ケイ化物が好ましく、より好ましくは酸化物、窒化物、ハロゲン化物である。
なお、必要に応じて、本実施形態の蛍光体を予め合成し、これを種結晶(シード結晶)として原料混合物に混合してもよい。このように種結晶を用いることで、結晶化及び低温合成が促進され、より高い結晶度を有する蛍光体が得られ易い傾向にある。なお、種結晶の配合割合は、特に限定されないが、蛍光体原料100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲が好ましい。
(M源)
付活元素であるM源のうち、Eu源の具体例としては、Eu、Eu(SO、Eu(C・10HO、EuF、EuCl、EuCl、Eu(NO・6HO、EuN、EuNH等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、Eu、EuF、EuN等が好ましく、より好ましくはEuF又はEuNである。一方、Sm源、Tm源、Yb源等のその他の付活元素の原料の具体例としては、Eu源の具体例として挙げた各化合物において、EuをそれぞれSm、Tm、Yb等に置き換えた化合物が挙げられる。
(Li源)
Li源の具体例としては、LiO、LiOH、LiCO、LiNO、LiSO、LiF、LiCl、LiN、LiNH及びこれらの化合物の水和物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、LiO、LiCO、LiNが好ましく、より好ましくはLiNである。また、発光効率の点からは、純度の高いものが好ましい。一方、Liがその他の1価の元素によって一部置換される場合において、その他の1価の元素の原料の具体例としては、上記Li源の具体例として挙げた各化合物において、LiをNa、K、Rb、Cs等に置き換えた化合物が挙げられる。なお、Li源は、単体のLiを用いてもよい。
(Mg源)
Mg源の具体例としては、MgO、Mg(OH)、MgCO、Mg(NO、MgSO、Mg(C)・HO、Mg(OCOCH・0.5HO、MgF、MgCl及びその水和物、MgN、Mg、MgNH等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、MgO、MgCO、Mgが好ましく、より好ましくはMgである。また、反応性の点からは、粒径が小さく、発光効率の点から純度の高いものが好ましい。
(X源)
X源のうち、Sr源の具体例としては、SrO、Sr(OH)・8HO、SrCO、Sr(NO、SrSO、Sr(C)・HO、Sr(OCOCH・0.5HO、SrF、SrCl、SrN、Sr、SrNH等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、SrO、SrCO、SrN、Srが好ましく、より好ましくはSrである。また、反応性の点からは、粒径が小さく、発光効率の点から純度の高いものが好ましい。一方、Ca源、Ba源等のその他のアルカリ土類金属元素の原料の具体例としては、上記Sr源の具体例として挙げた各化合物において、SrをCa、Ba等に置き換えた化合物が挙げられる。
なお、上述したM源、Li源、Mg源及びX源は、それぞれ、一種のみを用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。一般的には、所望する組成の蛍光体が得られるように上述した蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合した後、ルツボに充填し、所定温度及び雰囲気下で焼成し、得られた焼成物を粉砕及び洗浄することにより、所望組成を有する本実施形態の蛍光体を得ることができる。
[混合工程]
蛍光体原料の混合方法は、乾式混合法や湿式混合法等の公知の手法により行えばよく、特に限定されない。乾式混合法としては、例えば、ボールミル等を用いた混合法が挙げられる。また、湿式混合法としては、例えば、前述の蛍光体原料にヘキサン等の溶媒又は分散媒を加えて、ボールミルや、乳鉢及び乳棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥又は自然乾燥等により乾燥させる方法である。なお、溶媒又は分散媒としては、水、有機溶媒、及びこれらの混合溶媒等が挙げられるが、これらに特に限定されない。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;或いはこれらの混合溶剤;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、アルコール系溶剤、化水素系溶剤が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[焼成工程]
得られた混合物を、各蛍光体原料と反応性の低い材料からなるルツボ又はトレイ等の耐熱容器中に充填する。このような焼成時に用いる耐熱容器の材質としては、本実施形態の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、窒化ホウ素等の坩堝や、モリブデンやタングステンで作製した容器等が挙げられる。
焼成工程時の焼成温度は、圧力や外部雰囲気等によっても異なるが、通常500℃以上、2000℃以下の温度範囲である。この焼成工程における最高到達温度としては、通常600℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃以上、また、通常2000℃以下、好ましくは1800℃以下である。焼成温度が高すぎると、母体中に含まれる元素が一部脱離し、結晶中に欠陥が多く生成し、得られる結晶が着色する傾向にあり、低すぎると固相反応の進行が遅くなる傾向にあり、目的相を主相として有する蛍光体が得られ難くなる場合がある。また、ごくわずかに目的の結晶相が得られたとしても、焼成温度が低すぎると、結晶内では発光中心となる元素、例えばEu元素の拡散がされず量子効率を低下させる場合がある。また、焼成温度が高すぎると目的の蛍光体結晶を構成する元素が揮発し易くなり、格子欠陥が形成され易くなり、或いは結晶相が分解して別の相が不純物として生じてしまう場合がある。
焼成工程時の圧力は、焼成温度や外部雰囲気等によっても異なるが、通常0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上であり、また、通常200MPa以下、好ましくは190MPa以下である。
焼成工程における焼成雰囲気は、本実施形態の蛍光体が得られる限り任意であるが、不活性ガス(窒素、アルゴン等)含有雰囲気とすることが好ましい。具体的には、窒素ガス雰囲気、水素含有窒素雰囲気等が好ましく、より好ましくは窒素ガス雰囲気である。なお、焼成雰囲気の酸素含有量は、特に限定されないが、50ppm以下が好ましく、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
焼成工程における焼成時間は、焼成時の温度や圧力、外部雰囲気等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは30分間以上、また、通常72時間以下、好ましくは24時間以下である。焼成時間が短すぎると粒生成と粒成長を促すことができないため、特性のよい蛍光体を得られ難くなる傾向にあり、また、焼成時間が長すぎると構成している元素の揮発が促されるため、原子欠損により結晶構造内に欠陥が誘発され特性のよい蛍光体を得られ難くなる傾向にある。
[後処理工程]
得られた焼成物(蛍光体)は、通常は粒状又は塊状となる。これを解砕、粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて、所望するサイズの粉末にすることができる。具体的には、得られた焼成物をボールミルや振動ミル、ジェットミル等の粉砕機等を用いて粉砕する方法、得られた焼成物を篩分級処理する方法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、必要に応じて、得られた焼成物を洗浄する工程を設けてもよい。洗浄工程後は、付着或いは吸着している水分がなくなるまで蛍光体を乾燥させることが好ましい。さらに、必要に応じて、凝集を解くために分散・分級処理を行ってもよい。なお、本実施態様の蛍光体は、予め構成金属元素を合金化して、それを窒化して形成する、所謂、合金法で形成してもよい。
かくして得られる蛍光体は、発光特性の向上の観点から、不純物の含有量が少ないことが好ましい。とりわけ、上述したX元素(Ca、Sr、Ba、F)が多く含まれると発光が阻害され易くなる傾向にあるため、X元素の含有割合は合計で1500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1200ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下である。
<蛍光体含有組成物>
本実施形態の蛍光体は、そのまま単独で発光材料として用いることができるが、他の材料と混合して蛍光体含有組成物として用いることもできる。すなわち、蛍光体含有組成物は、本実施形態の蛍光体とは異なる物質を含んでいてもよい。例えば、本実施形態の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体やバインダー樹脂や封止樹脂中に分散させた形態で用いることができる。蛍光体含有組成物として用いる場合、本実施形態の蛍光体の含有割合は、組成物総量に対して、20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。このとき、本実施形態の蛍光体とは異なる物質としては、任意の無機系材料及び/又は有機系材料を使用することができ、例えば、本実施形態の蛍光体とは異なる蛍光体;付加反応型シリコーン又は縮合反応型のシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等のバインダー樹脂や封止樹脂;ガラス;拡散剤;増粘剤;増量剤;干渉剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
<発光装置等>
上述した本実施形態の蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物は、照明装置や画像表示装置等の発光装置の発光材料として好適に用いられる。この種の発光装置は、300nm以上480nm以下の近紫外又は短波長可視域の光を発する励起用光源、及びこの励起用光源が発する光の少なくとも一部を異なる発光スペクトルに変換する蛍光体を少なくとも備えるものであり、かかる蛍光体として、上述した本実施形態の蛍光体及びこれを用いた蛍光体含有組成物を用いればよい。照明装置や画像表示装置等の発光装置としては、LED照明装置やLED画像表示装置等のLEDデバイス、EL照明装置やEL画像表示装置等のELデバイス、蛍光ランプ等が知られている。より具体的には、白色発光ダイオード、複数の白色発光ダイオードを含む照明器具、液晶パネル用バックライト等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、画像表示装置としては、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。装置構成及び発光装置の実施形態としては、種々のものが知られており、それらの構成は何ら制限されず、公知の装置構成を任意に採用することが可能である。例えば、特開2007−291352号公報に記載のものが挙げられる。また、発光装置の形態としては、砲弾型、カップ型、チップオンボード、リモートフォスファー等が挙げられる。画像表示装置としては、具体的構成に制限はないが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置を構成する場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
励起用光源としては、本実施形態の蛍光体の励起ピーク(吸収極大波長)に一致した波長300nm以上480nm以下の近紫外又は短波長可視領域に発光ピークを有する光を発する光源が好ましく用いられる。このような光源としては、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、半導体レーザ、又は、有機EL発光体(OLED)等が挙げられる。これにより、蛍光体から緑色、黄緑色、黄色、赤色等、所望の発光色を効率よく発光させることができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<測定方法>
[発光特性]
発光粒子をガラスキャピラリ中に封入し、Xe分光励起装置QE1100(大塚電子社製)及び発光検出器MCPD−7700(大塚電子社製)を用いて励起発光スペクトルと発光スペクトルを測定した。励起スペクトルは、627nmの発光をモニターし、発光スペクトルは358nmで励起したときの測定結果である。また、発光ピーク波長と発光ピークの半値幅は、得られた発光スペクトルから読み取った。
[元素分析]
走査型電子顕微鏡(SEM)による観察にて結晶を選び出したのち、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて各元素の分析を実施した。
[結晶構造解析]
単結晶粒子のX線回折データをイメージングプレートとグラファイトモノクロメータを備えMoKαをX線源とする単結晶X線回折装置(Bruker AXS,D8 QUEST)で測定した。データの収集と格子定数の精密化にはAPEX2を、X線形状吸収補正にはSADABSを使用した。FのデータについてSHELXL−97を用いて結晶構造パラメータの精密化を行った。また、結晶構造の描画にはVESTAを用いた。
(実施例1)
蛍光体原料粉末としてLiN、Mg、Sr、EuFを用い、フラックスとしてSrF粉末を用いた。これら原料を、LiN 1.6684g、Mg 2.4647g、Sr 0.7784g、EuF 0.0883g、SrF 0.2500gとなるようそれぞれ秤量した後、乳鉢に入れ、均一になるまで混合し、実施例1の原料混合粉末を得た。得られた原料混合粉末から0.50gを分取し、モリブデンで作製した容器に充填した。なお、これらの操作は、高純度窒素ガスで満たしたグローブボックス中ですべて行った。
次いで、上記容器を管状炉に設置し、高純度窒素ガスを流通させ、その後、室温から1000℃で12時間焼成した。焼成後の容器を高純度窒素ガスで満たしたグローブボックス中へ導入し、得られた生成物を乳鉢にて解砕して、実施例1の焼成粉末を得た。
得られた焼成粉末から赤色粒子状の蛍光体を採取し、これをガラスキャピラリに封入し、単結晶X線回折測定による結晶構造解析を実施したところ、新規の結晶構造を有する蛍光体であることが確認された。この蛍光体は、立方晶系に属し、F−43m空間群に属し、表1に示す結晶パラメータ及び原子座標を占めるものであった。また、Euを含まない場合の結晶組成はLiMgであった。なお、表1中の席占有率は例示であり、記載どおりの比率に限定されるものではない。
さらに、実施例1の蛍光体について、元素分析(EDX測定)を行った。EDX測定結果を表2に示す。測定結果より、赤色粒子は主成分としてMg及びNを含有することが確認された。なお、Liは、EDX測定によっては検出されない。そして、微量成分として検出されたSr、O、及びFは、結晶内へ固溶成分か、若しくは表面近傍の不純物であると考えられる。
EDX測定によりカチオンとアニオンの元素比率を正確に評価することは困難だが、MgとNの比率が概ね1:1と解釈した場合、電気的中性条件からLiとMgとNの比率は概ね1:1:1であり、構造解析結果と矛盾しない。
次いで、実施例1の蛍光体について、発光・励起スペクトルを測定した結果を図1に示す。実施例1の蛍光体は、Eu3+によるものと推察される発光ピーク波長627nm、半値幅4nmの狭帯域赤色発光を示した。なお、実施例1の蛍光体の励起帯は、ピーク358nmであり、480nm付近まで伸びており(358nmで規格化した場合、400nmでの相対強度は0.82であり、450nmでの相対強度は0.17である。)、近紫外又は短波長可視領域の光での励起に好適なものであることがわかる。
本発明の蛍光体は、従来の蛍光体とは異なる結晶構造及び発光特性を有し、近紫外又は短波長可視域の光により、赤色に発光するものであるため、発光装置、照明装置及び画像表示装置等の各種用途において使用される蛍光材料として広く且つ有効に利用可能である。

Claims (11)

  1. M元素、Li、Mg、及びN(但し、M元素は、Eu、Ce、Pr、Sm、Tb、Dy及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の付活元素である。)を有する結晶相を含む蛍光体であって、
    前記結晶相は、立方晶系の空間群がF−43mに属する結晶構造を有し、且つ格子定数が下記範囲を満たすことを特徴とする、蛍光体。
    4.486〔Å〕≦格子定数a≦5.483〔Å〕
  2. 前記結晶相は、Oをさらに有し、下記式[1]で表されることを特徴とする、
    請求項1に記載の蛍光体。
    Li2-xMgy-z [1]
    (上記式[1]中、a、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
    0≦a≦0.1
    0<x≦1.25
    0.67≦y≦1.1
    0≦z≦0.1
    0.67≦y−z≦1.1)
  3. 前記結晶相は、O及びX元素(但し、X元素は、Ca、Sr、及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素並びに/又はFである。)をさらに有し、下記式[2]で表されることを特徴とする、
    請求項1に記載の蛍光体。
    Li2-xMgy-z [2]
    (上記式[2]中、a、b、x、y、及びzは、各々独立に、下記式を満たす値である。
    0≦a≦0.1
    0<x≦1.25
    0.67≦y≦1.1
    0≦z≦0.1
    0≦b≦0.01
    0.67≦y−z≦1.1)
  4. 前記M元素が、Euを含むことを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体。
  5. 300nm以上480nm以下の波長を有する励起光を照射したときに610〜640nmの範囲内に発光ピーク波長を有し、前記発光ピーク波長の半値幅が1〜20nmであることを特徴とする、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体。
  6. 前記式中、0<a≦0.01、0≦z≦0.09であることを特徴とする、
    請求項2〜5のいずれか一項に記載の蛍光体。
  7. 前記X元素の元素量換算の含有割合が、合計で1500ppm以下であることを特徴とする、
    請求項3〜6のいずれか一項に記載の蛍光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の蛍光体を含み、前記蛍光体を総量に対して20質量%以上含有することを特徴とする、
    蛍光体含有組成物。
  9. 300nm以上480nm以下の波長を有する励起光を発する励起用光源、及び前記励起用光源が発する光の少なくとも一部を異なる発光スペクトルに変換する蛍光体を少なくとも備え、
    前記蛍光体が、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蛍光体、及び/又は請求項8に記載の蛍光体含有組成物を少なくとも含むことを特徴とする、
    発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置を備えることを特徴とする、
    照明装置。
  11. 請求項9に記載の発光装置を備えることを特徴とする、
    画像表示装置。
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