JP2023057391A - 蛍光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な発光特性を示す新規赤色蛍光体を提供する。【解決手段】下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体。Rex(Sr1-yMAy)aMBbMCcNdOeXf[1](MAはCa、Ba、Na、K、Y、Gd、Laから選ばれる1種以上の元素。MBはLi、Mg、Znから選ばれる1種以上の元素。MCはAl、Si、Ga、In、Scから選ばれる1種以上の元素。XはF、Cl、Br、Iから選ばれる1種以上の元素。ReはEu、Ce、Pr、Tb、Dyから選ばれる1種以上の元素。a、b、c、d、e、f、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。0.8≦a≦1.2、1.4≦b≦2.6、1.4≦c≦2.6、1.1≦d≦2.9、1.1≦e≦2.9、0.0≦f≦0.1、0.0<x≦0.2、0.0<y≦0.7)【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体に関する。
近年、省エネルギーの流れを受け、LEDを用いた照明やバックライトの需要が増加している。ここで用いられるLEDは、青または近紫外波長の光を発するLEDチップ上に、蛍光体を配置した白色発光LEDである。
このようなタイプの白色発光LEDとしては、青色LEDチップ上に、青色LEDチップからの青色光を励起光として、赤色に発光する窒化物蛍光体と緑色に発光する蛍光体を用いたものが近年用いられている。LEDとしては、更なる発光効率が求められており、赤色蛍光体としても発光特性に優れた蛍光体が所望されている。
赤色蛍光体としては、例えば一般式K(Si,Ti)F:Mn、KSi1-xNaAl:Mn(0<x<1)で表されるKSF蛍光体、一般式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表されるCASN蛍光体及びSCASN蛍光体等が知られているが、KSF蛍光体についてはMn賦活の劇物であるため、より人体及び環境によい蛍光体が求められている。また、CASN蛍光体及びSCASN蛍光体については半値幅(FWHM)が80nm~90nm程度と比較的大きいものが多く、より半値幅の小さい新規赤色蛍光体が求められている。
また、近年の赤色蛍光体として、例えば、特許文献1には、実施例にSrLiAl:Euの組成式で表される蛍光体が記載されている。
特許第6335884号公報
しかしながら、特許文献1に記載された蛍光体は発光ピーク波長が650nm程度と長いため、赤色の視感度が低く、発光装置におけるルーメン当量(Lm/W)が低下するほか、照明やディスプレイに用いた際に演色性が低下しやすい、という課題を有する。
上記課題に鑑みて、本発明は、良好な発光色を示す新規の赤色蛍光体を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討したところ、特定組成で表される結晶相を含む蛍光体が上記課題を解決しうることを見出して本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下のものを含む。
〔1〕 下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体。
Re(Sr1-yMAMBMC [1]
(上記式[1]中、
MAはCa、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MCはAl、Si、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、f、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
0.8≦a≦1.2
1.4≦b≦2.6
1.4≦c≦2.6
1.1≦d≦2.9
1.1≦e≦2.9
0.0≦f≦0.1
0.0<x≦0.2
0.0<y≦0.7)
〔2〕 前記蛍光体の粉末X線回析スペクトルにおいて、2θ=10~12度の領域に現れる(110)のピーク強度をIx、2θ=37~39度の領域に現れる(121)のピーク強度をIyとしたとき、0<Ix/Iy<0.2であり、2θ=30度の領域に現れる不純物相のSrO相に由来する(111)のピーク強度をIzとしたとき、Iz/Iy<0.25となる、〔1〕に記載の蛍光体。
〔3〕 前記式[1]において、0.0≦y≦0.05である、〔1〕又は〔2〕に記載の蛍光体。
〔4〕 前記式[1]において、MAはCaである、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔5〕 前記式[1]において、MBの80モル%以上がLiである、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔6〕 前記式[1]において、MCの80モル%以上がAlである、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔7〕 前記式[1]において、Reの80モル%以上がEuである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔8〕 発光スペクトルにおいて620nm以上、645nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔9〕 発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が70nm以下である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の蛍光体。
本発明によれば、良好な発光色を示す新規の赤色蛍光体を提供することができる。
実施例2の蛍光体のXRDスペクトルチャートである。 実施例2の蛍光体の発光スペクトルチャートである。 実施例において、シミュレーションした発光装置の発光特性を示すチャートである。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1-xSrAl:Eu」と、「Sr1-xBaAl:Eu」と、「Ca1-xBaAl:Eu」と、「Ca1-x-ySrBaAl:Eu」(但し、式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)とを全て包括的に示しているものとする。
<蛍光体>
本実施形態の蛍光体は、下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体である。
Re(Sr1-yMAMBMC [1]
(上記式[1]中、
MAはCa、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MCはAl、Si、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、f、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
0.8≦a≦1.2
1.4≦b≦2.6
1.4≦c≦2.6
1.1≦d≦2.9
1.1≦e≦2.9
0.0≦f≦0.1
0.0<x≦0.2
0.0<y≦0.7)
式[1]中、Reにはユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)等を用いることができるが、本発明においては、波高波長および発光量子効率の観点から、ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、好ましくはEuを含み、より好ましくはReの80モル%以上はEuであり、更に好ましくはReはEuである。
式[1]中、Srはストロンチウムを表す。
式[1]中、MAはカルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、及びランタニウム(La)から成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、好ましくはCaを含み、より好ましくはMAはCaである。
式[1]中、MBはリチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、及び亜鉛(Zn)から成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、好ましくはLiを含み、より好ましくはMBの80モル%以上はLiであり、更に好ましくはMBはLiである。
式[1]中、MCはアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びスカンジウム(Sc)から成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、好ましくはAl又はSiを含み、より好ましくはAlを含み、更に好ましくはMCの80モル%以上はAlであり、特に好ましくはMCはAlである。
式[1]中、Nは窒素元素、Oは酸素元素を表す。
式[1]中、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)から成る群から選ばれる1種以上の元素を含む。すなわち、特定の実施形態においては、結晶構造安定化及び蛍光体全体の電荷バランスを取る観点から、NやOは、その一部がXで表した上記ハロゲン元素で置換されていてもよい。
前記式[1]は、明記した以外の成分が、不可避的に、意図せず、又は微量添加成分等に由来して、微量に含まれる場合を含む。
明記した以外の成分としては、意図的に加えた元素と元素番号が1つ異なる元素、意図的に加えた元素の同族元素、意図的に加えた希土類元素と別の希土類元素、及びRe原料にハロゲン化物を用いた際のハロゲン元素、その他各種原料に不純物として含まれ得る元素などが挙げられる。
明記した以外の成分が不可避的に、または意図せず含まれる場合としては、例えば原料の不純物由来、及び粉砕工程、合成工程等の製造プロセスにおいて導入される場合が考えられる。また、微量添加成分としては反応助剤、及びRe原料などが挙げられる。
上記式[1]中、a、b、c、d、e、f、xはそれぞれ蛍光体に含まれるMA、MB、MC、N、O、X及びReのモル含有量を示す。また、yはSrとMAのモル総量を1とした時のMAのモル含有量を示す。
aの値は通常0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85以上、更に好ましくは0.9以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
b、cの値はそれぞれ独立に、通常1.4以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上であり、通常2.6以下、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下である。
d、eの値はそれぞれ独立に、通常1.1以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.7以上であり、通常2.9以下、好ましくは2.6以下、より好ましくは2.3以下である。
fの値は、通常0.0以上で、通常0.1以下、好ましくは0.06以下、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.02以下である。
xの値は0.0より大きく、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上であり、通常0.2以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.08以下である。
b、c、d、eが上記範囲にあることで、結晶構造が安定化する。また、d、e、fの値は蛍光体全体の電荷バランスを取る目的で適度に調節できる。
yの値は0.0より大きく、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、通常0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。
yの値が上記範囲にあることで、結晶構造が安定化し、また発光ピーク波長が良好な蛍光体となる。
また、aの値が上記範囲にあることで、結晶構造が安定化し、異相の少ない蛍光体が得られる。
b+cの値、並びにd+e+fの値は、それぞれ独立に、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.4以上、更に好ましくは3.7以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.6以下、更に好ましくは4.3以下である。
b+cの値、並びにd+e+fの値がそれぞれ上記範囲であることで、結晶構造が安定化する。
いずれの含有量も上記した範囲であると得られる蛍光体の発光ピーク波長及び発光スペクトルにおける半値幅が良好である点で好ましい。
なお、前記蛍光体の元素組成の特定方法は特に限定されず、常法で求めることができ、例えばGD-MS、ICP分光分析法、又はエネルギー分散型X線分析装置(EDX)等により特定できる。
[結晶相の粒径]
本実施形態の蛍光体の結晶相の粒径は、体積基準の平均粒径で通常2μm以上35μm以下であり、下限値は、好ましくは3μm、より好ましくは4μm、更に好ましくは5μmであり、また上限値は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm、特に好ましくは15μmである。体積基準の平均粒径が上記下限以上であると結晶相がLEDパッケージ内で示す発光特性の点から好ましく、上記上限以下であると結晶相がLEDパッケージの製造工程においてノイズづまりを回避できる点から好ましい。
蛍光体の結晶相の体積基準の平均粒径は、レーザー粒度計により測定できる。ここで体積基準の平均粒径とは、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて、試料を測定し、粒度分布(累積分布)を求めたときの体積基準の相対粒子量が50%になる粒子径(d50)と定義される。
{蛍光体の物性など}
[空間群]
本実施態様の蛍光体における結晶系(空間群)は、P42/mであることがより好ましい。前記蛍光体における空間群は、単結晶X線回折にて区別しうる範囲において統計的に考えた平均構造が上記の長さの繰り返し周期を示していれば特に限定されないが、「International Tables for Crystallography(Third,revised edition),Volume A SPACE-GROUP SYMMETRY」に基づく84番に属するものであることが好ましい。
上記の空間群であることで、発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が小さくなり、発光効率の良い蛍光体が得られる。
ここで、空間群は常法に従って求めることができ、例えば電子線回折や粉末又は単結晶を用いたX線回折構造解析及び中性子線回折構造解析等により求めることができる。
本実施形態の蛍光体の粉末X線回析スペクトルにおいて2θ=10~12度の領域に現れる(110)のピーク強度をIx、2θ=37~39度の領域に現れる(121)のピーク強度をIy、2θ=30度の領域に現れる不純物相のSrO相に由来する(111)のピーク強度をIzとしたとき、Iyを1としたときのIxの相対強度であるIx/Iyは通常0.3以下であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下であり、また通常0以上であるが、小さければ小さいほど良い。
また、Iyを1とした時のIzの相対強度であるIz/Iyは通常0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下であり、特に好ましくは0.2以下、とりわけ好ましくは0.15以下であり、また通常0以上であるが、小さければ小さいほど良い。
上記(121)のピークは結晶系(空間群)がP42/mである際に観察される特徴的なピークの1つであり、Iyが相対的に高いことで、よりP42/mの相純度が高い蛍光体を得られる。
Ix/Iy又はIz/Iyが上記上限以下であることで、相純度が高く、半値幅(FWHM)の小さい蛍光体であるため、発光装置の発光効率が向上する。
[発光スペクトルの特性]
本実施形態の蛍光体は、良好な発光色を示す赤色蛍光体である。すなわち、適切な波長を有する光を照射することで励起し、発光スペクトルにおいて良好な発光ピーク波長および半値幅(FWHM)を示す赤色光を放出する。以下、上記発光スペクトルに係る励起波長、発光ピーク波長および半値幅(FWHM)について記載する。
(励起波長)
本実施形態の蛍光体は、通常270nm以上、好ましくは300nm以上、より好ましくは320nm以上、更に好ましくは350nm以上、特に好ましくは400nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の波長範囲に励起ピークを有する。即ち、近紫外から青色領域の光で励起される。
なお、発光スペクトルの形状、及び下記発光ピーク波長および半値幅の記載は励起波長に寄らず適用できるが、量子効率を向上させる観点からは、吸収及び励起の効率が良い上記範囲の波長を有する光を照射することが好ましい。
(発光ピーク波長)
本実施形態の蛍光体は、発光スペクトルにおけるピーク波長が通常620nm以上、好ましくは625nm以上、より好ましくは630nm以上である。また、この発光スペクトルにおけるピーク波長は通常649nm以下、好ましくは645nm以下、より好ましくは640nm以下である。
蛍光体の発光スペクトルにおけるピーク波長が上記範囲であることで、発光色が良好な赤色となり、このような蛍光体を例えば発光装置に用いることで、演色性又は色再現性の良い発光装置を提供できる。また、蛍光体の発光スペクトルにおけるピーク波長が上記上限以下であることで、赤色の視感度が良好で、ルーメン当量lm/Wの良好な発光装置を提供できる。
(発光スペクトルの半値幅)
本実施形態の蛍光体は発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が、通常80nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは60nm以下、更に好ましくは55nm以下、特に好ましくは50nm以下であり、また通常10nm以上である。
発光ピークの半値幅が上記範囲内であることで、液晶ディスプレイなどの画像表示装置に使用する場合には色純度を低下させずに画像表示装置の色再現範囲を広くすることができる。
また、発光ピーク波長および半値幅が上記上限以下にあることで、発光波長領域の視感度が相対的に高い蛍光体を提供でき、このような蛍光体を発光装置に用いることで、変換効率の高い発光装置を提供することができる。
なお、本実施形態の蛍光体を波長450nmの光で励起するには、例えば、GaN系LEDを用いることができる。また、前記蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅の算出は、例えば、市販のキセノンランプ等300~400nmの発光波長を有する光源と、一般的な光検出器を備える傾向測定装置など、市販のスペクトル測定装置を用いて行うことができる。
<蛍光体の製造方法>
本実施形態の蛍光体は、蛍光体を構成する各元素の原料を、各元素の割合が前記式[1]を満たすように混合し、加熱することで合成することができる。
[原料]
各元素(Sr,MA、MB、MC、Re)の原料は特に制限されないが、例えば各元素の単体、酸化物、窒化物、水酸化物、塩化物、フッ化物などハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、酢酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。その他、前記元素群が2種以上含まれる化合物を用いてもよい。また、各化合物は水和物などであってもよい。
なお、後述の実施例においては、Sr、Ca、LiN、AlN、Al、及びEuF或いはEuを出発原料として用いた。
各原料の入手方法は特に制限されず、市販のものを購入して用いることができる。
各原料の純度は特に制限されないが、元素比を厳密にする観点、及び不純物による異相の出現を避ける観点から、純度は高いほど好ましく、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、更に好ましくは99モル%以上であり、上限は特に制限されないが、通常100モル%以下であり、不可避的に混入する不純物が含まれていてもよい。
後述の実施例においては、いずれも純度95モル%以上の原料を用いた。
酸素元素(O)、窒素元素(N)、ハロゲン元素(X)については、前記各元素の原料に酸化物、窒化物、及びハロゲン化物等を用いることで供給できるほか、合成反応の際に酸素又は窒素含有雰囲気とすることで適宜含ませることができる。
[混合工程]
原料の混合方法は特に制限されず、常法を用いることができる。例えば、目的組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合し、蛍光体原料混合物を得る。上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(a)及び(b)の手法が挙げられる。
(a)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(b)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、上記乾式混合法又は湿式混合法のいずれでもよいが、水分による蛍光体原料の汚染を避けるために、乾式混合法や非水溶性溶媒を使った湿式混合法が好ましい。
なお、後述の実施例においては、(a)の方法を採用した。
[加熱工程]
加熱工程では、例えば、混合工程で得られた蛍光体原料混合物をるつぼに入れ、引き続き、それを700℃~1200℃の温度、好ましくは750℃~1000℃の温度で加熱する。
るつぼの材質は蛍光体原料又は反応物と反応しないものが好ましくアルミナ、石英、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミック、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、それらを主成分とする合金等が挙げられる。後述の実施例においては、ニッケル製るつぼを用いた。
加熱は不活性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、アルゴン、ヘリウム等が主成分のガスを用いることができる。
加熱工程では、上記の温度帯において、通常1時間~400時間、好ましくは5時間~150時間、好ましくは10~120時間にわたって加熱を行う。また、本加熱工程は1回で行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けて行う態様としては、欠陥を修復するために加圧下で加熱するアニールを行う態様、一次粒子又は中間物を得る一次加熱の後に、二次粒子又は最終生成物を得る二次加熱を行う態様などが挙げられる。
これにより、本実施形態の蛍光体が得られる。
<発光装置>
本発明は別の実施態様において、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを含む発光装置であって、該第2の発光体として、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を含む発光装置を提供する。ここで、第2の発光体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
この実施態様における発光装置は、該第2の発光体として、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を含むほか、更に、励起光源からの光の照射下において、黄色、緑色、ないし赤色領域(橙色ないし赤色)の蛍光を発する蛍光体を使用することができる。具体的には、発光装置を構成する場合、黄色蛍光体としては、550nm以上、600nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、緑色蛍光体としては、500nm以上、560nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。また、橙色ないし赤色蛍光体は、通常615nm以上、好ましくは620nm以上、より好ましくは625nm以上、更に好ましくは630nm以上で、通常660nm以下、好ましくは650nm以下、より好ましくは645nm以下、更に好ましくは640nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものである。
上記の波長帯の蛍光体を適切に組み合わせることで、優れた色再現性を示す発光装置を提供できる。尚、励起源については、420nm未満の波長範囲に発光ピークを有するものを用いてもよい。
以下、赤色蛍光体として、620nm以上、645nm以下の波長範囲に発光ピークを有する、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用い、且つ第1の発光体が300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用いる場合の、発光装置の態様について記載するが、本実施態様はこれらに限定されるものではない。
上記の場合、本実施態様の発光装置は、例えば、次の(A)、(B)又は(C)の態様とすることができる。
(A)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、550nm以上600nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、及び前記[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
(B)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、500nm以上560nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び前記[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
(C)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、550nm以上600nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、500nm以上560nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び前記[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
上記の態様における緑色又は黄色の蛍光体としては市販のものを用いることができ、例えば、ガーネット系蛍光体、シリケート系蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体などを用いることができる。
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体に用いることができるガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)(Al,Ga)12:(Ce,Eu,Nd)、 シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:(Eu,Ce)、窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Ca,Mg)Si:Eu(SION系蛍光体)、(Li,Ca)(Si,Al)12(O,N)16:(Ce,Eu)(α-サイアロン蛍光体)、(Ca,Sr)AlSi(O,N):(Ce,Eu)(1147蛍光体)、(La,Ca,Y、Gd)(Al,Si)11:(Ce、Eu)(LSN蛍光体)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
黄色蛍光体としては、上記蛍光体においてガーネット系蛍光体が好ましく、中でも、YAl12:Ceで表されるYAG系蛍光体が最も好ましい。
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体に用いることができるガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)(Al,Ga)12:(Ce,Eu,Nd)、Ca(Sc,Mg)Si12:(Ce,Eu)(CSMS蛍光体)、シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO10:(Eu,Ce)、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:(Ce,Eu)(BSS蛍光体)、 酸化物蛍光体としては、例えば、(Ca,Sr,Ba,Mg)(Sc,Zn):(Ce,Eu)(CASO蛍光体)、窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Si:(Eu,Ce)、Si6-zAl8-z:(Eu,Ce)(β-サイアロン蛍光体)(0<z≦1)、(Ba,Sr,Ca,Mg,La)(Si,Al)12:(Eu,Ce)(BSON蛍光体)、アルミネート蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Al1017:(Eu,Mn)(GBAM系蛍光体)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体としては、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いるが、本実施形態の蛍光体に加えて、例えばMn付活フッ化物蛍光体、ガーネット系蛍光体、硫化物蛍光体、ナノ粒子蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体などの他の橙色ないし赤色蛍光体を用いることができる。他の橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば下記の蛍光体を用いることができる。
Mn付活フッ化物蛍光体としては、例えば、K(Si,Ti)F:Mn、KSi1-xNaAl:Mn(0<x<1)(まとめてKSF蛍光体)、 硫化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)S:Eu(CAS蛍光体)、LaS:Eu(LOS蛍光体)、 ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Lu,Gd,Tb)MgAlSi12:Ce、ナノ粒子としては、例えば、CdSe、窒化物または酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu(S/CASN蛍光体)、(CaAlSiN1-x・(SiO:Eu(CASON蛍光体)、(La,Ca)(Al,Si)11:Eu(LSN蛍光体)、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu(258蛍光体)、(Sr,Ca)Al1+xSi4-x7-x:Eu(1147蛍光体)、M(Si,Al)12(O,N)16:Eu(Mは、Ca,Srなど)(αサイアロン蛍光体)、Li(Sr,Ba)Al:Eu(上記のxは、いずれも0<x<1)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[発光装置の構成]
本発明の一実施態様に係る発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を使用することができ、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。
装置構成及び発光装置の実施形態としては、例えば、特開2007-291352号公報に記載のものが挙げられる。その他、発光装置の形態としては、砲弾型、カップ型、チップオンボード、リモートフォスファー等が挙げられる。
{発光装置の用途}
発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、演色性が高い点から、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いることができる。
また、発光波長が良好な赤色の蛍光体を備える点から、赤色の車両用表示灯、又は該赤色を含む白色光の車両用表示灯に用いることもできる。
[照明装置]
本発明の一実施態様において、前記発光装置を光源として備える照明装置とすることができる。
前記発光装置を照明装置に適用する場合、その照明装置の具体的構成に制限はなく、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、保持ケースの底面に多数の発光装置を並べた面発光照明装置等を挙げることができる。
[画像表示装置]
本発明の一実施態様において、前記発光装置を光源として備える画像表示装置とすることができる。
前記発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合、その画像表示装置の具体的構成に制限はないが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、前記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
[車両用表示灯]
本発明の一実施形態において、前記発光装置を備える車両用表示灯とすることができる。
車両用表示灯に用いる発光装置は、特定の実施形態においては、白色光を放射する発光装置であることが好ましい。白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの偏差duvが-0.0200~0.0200であり、かつ色温度が5000K以上、30000K以下であることが好ましい。
車両用表示灯に用いる発光装置は、特定の実施形態においては、赤色光を放射する発光装置であることが好ましい。該実施形態においては、例えば、発光装置が青色LEDチップから照射される青色光を吸収して赤色に発光することで、赤色光の車両用表示灯としてもよい。
車両用表示灯は、車両のヘッドランプ、サイドランプ、バックランプ、ウインカー、ブレーキランプ、フォグランプなど、他の車両や人等に対して何らかの表示を行う目的で車両に備えられた照明を含む。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
[粉末X線回折測定]
粉末X線回折(XRD)は、粉末X線回折装置SmartLab 3(Rigaku社製)にて精密測定した。
測定条件は以下の通りである。
CuKα管球使用
X線出力=40kV、200mA
発散スリット=自動
検出器=高速1次元X線検出器(D/teX Ultra 250)
捜査範囲 2θ=5~80度
読み込み幅=0.02度
[発光スペクトルの測定]
キセノンランプを用い、波長365nmの光を蛍光体に照射し、分光蛍光光度計を用いて450~800nmの波長領域の発光スペクトルを測定した。
[実施例1~5、比較例1、参考例1]
実施例1~5では、前述の本実施形態の蛍光体の製造方法に従って、下記表1に示す組成の赤色蛍光体(サンプル1~5)を製造した。
また、比較例1として、Caの含有量が0であることで前記式[1]を満たさないサンプル6の赤色蛍光体を製造した。
各蛍光体の組成、空間群、発光ピーク波長、半値幅を表1に示す。また、参考例1として、SrLiAlの文献値を表1に併記した。
また、代表例として実施例2の蛍光体のXRDスペクトルチャート及び発光スペクトルチャートをそれぞれ図1及び図2に示す。実施例2の蛍光体の半値幅は65nm、XRDにおけるIx/Iy及びIz/Iyはそれぞれ0.194、0.216であった。
Figure 2023057391000002
本実施例に係るサンプル1~5の蛍光体は、いずれも空間群P42/mを示し、かつ発光ピーク波長は白色LEDに用いた際の演色性又は色再現性が理想的となる620nm以上640nm以下の範囲であった。
次に、実施例に係る蛍光体を備える発光装置の特性に係るシミュレーションの結果を記載する。
赤色蛍光体として実施例2に係る蛍光体、又は発光ピーク波長628nmのSCASN蛍光体(三菱ケミカル社製、BR-102C)と、緑色蛍光体としてLuAG蛍光体(三菱ケミカル社製、BG-801/A4)とを備える白色LEDの発光スペクトルを前記手法にて導出した。全てのシミュレーションは、449nmの光を放出する青色LEDチップを仮定して実施した。また、色度座標がプランク曲線上の3000K~8000Kの白色光の座標と一致する様に緑色蛍光体及び赤色蛍光体の量を調整し、各色温度における特性を比較した。結果を図3(a)~(f)に示す。また、各スペクトルから演色性評価数Ra、赤色の演色性評価数R9、並びに変換効率(LER)を求めた結果を表2に示す。
なお、表2における“蛍光体質量 相対値“とは赤色蛍光体+緑色蛍光体の合計質量を100%とした際の、各色蛍光体の質量割合である。
Figure 2023057391000003
表2に示す通り、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体を備える発光装置は、従来の赤色蛍光体を用いた場合と比べ、幅広い色温度領域において変換効率、演色性に優れることが分かる。
また、同じくシミュレーションにて前記白色LEDをバックライトとした画像表示装置の特性を評価した。赤色蛍光体として実施例2に係る蛍光体、又は発光ピーク波長628nmのSCASN蛍光体(三菱ケミカル社製、BR-102C)と、緑色蛍光体としてβ-SiAlON蛍光体(三菱ケミカル社製、BG-601/K)とを使用し、前記白色LEDの光を一般的な画像表示装置(ディスプレイ等)において用いられるカラーフィルターに通した後の色度座標(x、y)が(0.3101、0.3162)となる様に調節した場合の変換効率、及び該LED装置が表示できる色域がNTSCの色域の何%をカバーしているか(以下、カバー率と記載する場合もある)を算出した結果を表3に示す。
Figure 2023057391000004
表3に示す通り、実施例に係る蛍光体を備える発光装置及び画像表示装置などは、従来の赤色蛍光体を用いる場合と比べ、変換効率と色域カバー率が共に優れることが分かる。
以上示す通り、前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体は赤色として好ましい波長、及び優れた半値幅を有し、この様な蛍光体を備える発光装置を用いることで、演色性その他の特性に優れる発光装置、照明装置、画像表示装置及び車両用表示灯などを提供できる。

Claims (9)

  1. 下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体。
    Re(Sr1-yMAMBMC [1]
    (上記式[1]中、
    MAはCa、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
    MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
    MCはAl、Si、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
    XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
    ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
    a、b、c、d、e、f、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
    0.8≦a≦1.2
    1.4≦b≦2.6
    1.4≦c≦2.6
    1.1≦d≦2.9
    1.1≦e≦2.9
    0.0≦f≦0.1
    0.0<x≦0.2
    0.0<y≦0.7)
  2. 前記蛍光体の粉末X線回析スペクトルにおいて、2θ=10~12度の領域に現れる(110)のピーク強度をIx、2θ=37~39度の領域に現れる(121)のピーク強度をIyとしたとき、0<Ix/Iy<0.2であり、2θ=30度の領域に現れる不純物相のSrO相に由来する(111)のピーク強度をIzとしたとき、Iz/Iy<0.25となる、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記式[1]において、0.0≦y≦0.05である、請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 前記式[1]において、MAはCaである、請求項1~3のいずれか1項に記載の蛍光体。
  5. 前記式[1]において、MBの80モル%以上がLiである、請求項1~4のいずれか1項に記載の蛍光体。
  6. 前記式[1]において、MCの80モル%以上がAlである、請求項1~5のいずれか1項に記載の蛍光体。
  7. 前記式[1]において、Reの80モル%以上がEuである、請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光体。
  8. 発光スペクトルにおいて620nm以上、645nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の蛍光体。
  9. 発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が70nm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の蛍光体。
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