JP7369409B1 - 蛍光体、発光装置、照明装置、画像表示装置及び車両用表示灯 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明は、演色性、色再現性、及び/又は変換効率が良好な発光装置、照明装置、画像表示装置及び/又は車両用表示灯を提供することを目的とする。
下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含み、かつ、
添加元素Zを含み、
前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素を含む、蛍光体である。
RexMAaMBbMCcDdXe [1]
(上記式[1]中、
MAはCa、Sr、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MCはAl、Si、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、xは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2)
下記式[2]で表される組成を有する結晶相を含み、かつ、
添加元素Zを含み、
前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素を含む、蛍光体である。
RexMAaMBb(Al1-yMC’y)cDdXe [2]
(上記式[2]中、
MAはCa、Sr、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MC’はSi、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2
0.0<y≦1.0)
前記添加元素Zを1.0質量ppm以上含む、蛍光体である。
前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、及びNiから成る群より選ばれる1以上の元素から成る、蛍光体である。
前記式[1]又は式[2]において、MAの80モル%以上がCa、Sr及びBaから成る群より選ばれる1種以上の元素である、蛍光体である。
前記式[1]又は式[2]において、MBの80モル%以上がLiである、蛍光体である。
前記式[1]において、MCの80モル%以上がAl及びGaから成る群より選ばれる1種以上の元素から成る、蛍光体である。
前記式[1]において、MCの80モル%以上がAlである、蛍光体である。
前記式[2]において、MC’の80モル%以上がGaである、蛍光体である。
前記式[1]又は式[2]において、Reの80モル%以上がEuである、蛍光体である。
前記式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相の空間群がP-1である、蛍光体である。
発光スペクトルにおいて620nm以上、660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、蛍光体である。
発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が70nm以下である、蛍光体である。
第1の発光体と、前記第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する1以上の蛍光体を含む第2の発光体とを備え、
前記第2の発光体が態様1~13のいずれか1つの蛍光体を含む、発光装置である。
前記第2の発光体が更に黄色蛍光体及び/又は緑色蛍光体を含む、発光装置である。
前記黄色蛍光体及び/又は緑色蛍光体は、ガーネット系蛍光体、シリケート系蛍光体、窒化物蛍光体、及び酸窒化物蛍光体のいずれか1種以上を含む、発光装置である。
態様14~16のいずれか1つの発光装置を光源として備える照明装置である。
態様14~16のいずれか1つの発光装置を光源として備える画像表示装置である。
態様14~16のいずれか1つの発光装置を光源として備える車両用表示灯である。
また、本発明により、演色性、色再現性、及び/又は変換効率が良好な発光装置、照明装置、画像表示装置及び/又は車両用表示灯を提供することができる。
本発明は一実施形態において、下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体であり、添加元素Zを含み、前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素を含む、蛍光体である(以下、「本実施形態の蛍光体[1]」と称する場合がある)。
RexMAaMBbMCcDdXe [1]
(上記式[1]中、
MAはCa、Sr、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MCはAl、Si、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、xは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2)
添加元素Zの含有量の上限は発明の効果を失わない限り制限されないが、通常10000質量ppm以下であり、5000質量ppm以下、2000質量ppm以下、1000質量ppm以下としてもよい。
好ましくは、前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、及びNiから成る群より選ばれる1以上の元素を含み、より好ましくはMoを含む。
また、特定の実施形態においては、前記添加元素Zは、Mo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素から成り、好ましくはMo、W、Nb、Ta、及びNiから成る群より選ばれる1以上の元素から成り、より好ましくはMoから成る。
前記明記した以外の成分としては、式[1]及び後述する式[2]を構成するいずれかの元素と元素番号が1つ~2つ異なる元素、意図的に加えた元素の同族元素、意図的に加えた希土類元素と別の希土類元素、及び原料にハロゲン化物を用いた際のハロゲン元素、その他各種原料に不純物として一般的に含まれ得る元素などが挙げられる。
前記明記した以外の成分が含まれる場合としては、例えば、新たな効果の発現を目的としてMA、MB、MC及びD、並びに、後述するMC’、X及びReのいずれかのサイトに、前記明記した以外の元素が含まれる場合や、原料の不純物由来、及び粉砕工程、合成工程等の製造プロセス等において、前記明記した以外の成分が不可避的に、又は意図せず導入される場合が考えられる。また、微量添加成分としては反応助剤、及び原料由来の成分などが挙げられる。
bの値は、通常0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、通常1.3以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
cの値は、通常2.4以上、好ましくは2.6以上、より好ましくは2.8以上であり、通常3.6以下、好ましくは3.4以下、より好ましくは3.2以下である。
dの値は、通常3.2以上、好ましくは3.4以上、より好ましくは3.6以上、更に好ましくは3.8以上であり、通常4.8以下、好ましくは4.6以下、より好ましくは4.4以下、更に好ましくは4.2以下である。
eの値は特に制限されないが、通常0.0以上であり、通常0.2以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.06以下、更に好ましくは0.04以下、より更に好ましくは0.02以下である。
xの値は、通常0.0より大きく、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上であり、通常0.2以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.12以下、更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくは0.08以下である。xの値が上記下限以上又は上記下限より大きい値であることで、良好な発光強度の蛍光体を得ることができ、xの値が上記上限以下であることで、Reが良好に結晶内に取り込まれ、発光中心として機能しやすい蛍光体を得ることができる。
b+cの値が上記範囲であることで、結晶構造が安定化する。
d+eの値が上記範囲であることで、結晶構造が安定化する。
RexMAaMBb(Al1-yMC’y)cDdXe [2]
(上記式[2]中、
MAはCa、Sr、Ba、Na、K、Y、Gd、及びLaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MBはLi、Mg、及びZnから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
MC’はSi、Ga、In、及びScから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEu、Ce、Pr、Tb、及びDyから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
a、b、c、d、e、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2
0.0<y≦1.0)
また、本実施形態の蛍光体[2]における添加元素Zの種類や含有量、添加元素Zを含む蛍光体の製造方法についても、前記本実施形態の蛍光体[1]と同様とすることができる。
更に好ましい特定の実施形態においては、式[2]中、MC’の80モル%以上はGaであってもよく、あるいは、MC’はGaから成ってもよい。
本実施形態の蛍光体の結晶相の粒径は、体積基準の中央粒径(体積メジアン粒径)で通常2μm以上35μm以下であり、下限値は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、また上限値は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
体積基準の中央粒径(体積メジアン粒径)が上記下限以上であると結晶相がLEDパッケージ内で示す発光特性を向上する観点から好ましく、上記上限以下であると結晶相がLEDパッケージの製造工程においてノズルの閉塞を回避できる点から好ましい。
蛍光体の結晶相の体積基準の中央粒径(体積メジアン粒径)は、当業者に周知の測定技術により測定できるが、好ましい実施形態においては、例えばレーザー粒度計により測定できる。本明細書における実施例において、体積基準の中央粒径(体積メジアン粒径、(d50))とは、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて、試料を測定し、粒度分布(累積分布)を求めたときの体積基準の相対粒子量が50%になる粒子径と定義される。
[空間群]
本実施形態の蛍光体において、式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相の結晶系(空間群)は、発明の効果が得られる限り制限されないが、一実施形態においては正方晶のP42/m、単斜晶のP-1等とすることができ、好ましくはP-1である。本実施形態の蛍光体における空間群は、粉末X線回折又は単結晶X線回折にて区別しうる範囲において統計的に考えた平均構造が上記の長さの繰り返し周期を示していれば特に限定されないが、「International Tables for Crystallography(Third,revised edition),Volume A SPACE-GROUP SYMMETRY」に基づく2番に属するものであることが好ましい。
上記の空間群であることで、発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が狭くなり、発光効率の良い蛍光体が得られる。
ここで、空間群は常法に従って求めることができ、例えば電子線回折や粉末又は単結晶を用いたX線回折構造解析及び中性子線回折構造解析等により求めることができる。
本実施形態の蛍光体は、適切な波長を有する光を照射することで励起し、発光スペクトルにおいて良好な発光ピーク波長及びスペクトル半値幅(FWHM)を示す赤色光を放出する。以下、上記発光スペクトル及び励起波長、発光ピーク波長及びスペクトル半値幅(FWHM)について記載する。
本実施形態の蛍光体は、通常270nm以上、好ましくは300nm以上、より好ましくは320nm以上、更に好ましくは350nm以上、特に好ましくは400nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の波長範囲に励起ピークを有する。即ち、近紫外から青色領域の光で励起される。
なお、発光スペクトルの形状、及び下記発光ピーク波長及びスペクトル半値幅の記載は励起波長によらず適用できるが、量子効率を向上させる観点からは、吸収及び励起の効率が良い上記範囲の波長を有する光を照射することが好ましい。
本実施形態の蛍光体は、発光スペクトルにおけるピーク波長が通常620nm以上、好ましくは625nm以上、より好ましくは630nm以上である。また、この発光スペクトルにおけるピーク波長は通常670nm以下、好ましくは660nm以下、より好ましくは655nm以下である。本実施形態の蛍光体は、例えば、発光スペクトルにおいて620nm以上、660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有することができる。
本実施形態の蛍光体は、発光スペクトルにおける半値幅が、通常80nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは60nm以下、更に好ましくは55nm以下、特に好ましくは50nm以下であり、また通常10nm以上である。
発光スペクトルにおける半値幅が上記範囲内である蛍光体を用いることで、液晶ディスプレイなどの画像表示装置において色純度を低下させずに色再現範囲を広くすることができる。
また、発光ピーク波長及びスペクトル半値幅が上記上限以下にあることで、発光波長領域の視感度が相対的に高い蛍光体を提供でき、このような蛍光体を発光装置に用いることで、変換効率の高い発光装置を提供することができる。
本実施形態の蛍光体は、蛍光体を構成する各元素の原料を、各元素の割合が前記式[1]又は式[2]を満たすように混合し、加熱することで合成することができる。
各元素(MA、MB、MC、MC’、Re)の供給源となる蛍光体原料は特に制限されないが、例えば各元素の単体、酸化物、窒化物、水酸化物、塩化物、フッ化物などハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、酢酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。その他、前記元素群が2種以上含まれる化合物を用いてもよい。また、各化合物は水和物などであってもよい。
なお、後述の実施例においては、各元素の窒化物を蛍光体原料として用いた。
各蛍光体原料の純度は特に制限されないが、元素比を厳密にする観点、及び不純物による異相の出現を避ける観点から、純度は高いほど好ましく、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、更に好ましくは99モル%以上であり、上限は特に制限されないが、通常100モル%以下であり、不可避的に混入する不純物が含まれていてもよい。
後述の実施例においては、いずれも純度95モル%以上の蛍光体原料を用いた。
蛍光体原料の混合方法は特に制限されず、常法を用いることができる。例えば、目的とする組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合し、蛍光体原料混合物を得る。上記混合方法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(a)及び(b)の方法が挙げられる。
(a)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(b)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
なお、後述の実施例においては、(a)の方法を採用した。
特定の実施形態においては、前記蛍光体の製造方法は、前記混合工程の後、得られた蛍光体原料混合物へ添加元素Z又はZの化合物を添加してもよい。
添加元素Zを添加する方法は、蛍光体原料混合物に添加元素Z又はZの化合物が分散し、あるいは付着すれば特に制限されず、常法を用いることができる。例えば気相法や、添加元素Z又はZの化合物と溶媒とを含む溶液を用いたゾル-ゲル法を用いてもよく、蛍光体原料混合物と添加元素Z又はZの化合物とを混合し、加熱処理してもよい。
加熱工程では、例えば、混合工程で得られた蛍光体原料混合物をるつぼに入れ、引き続き、それを500℃~1200℃の温度、好ましくは600℃~1100℃の温度で加熱する。
また、加熱工程の圧力は、目的の蛍光体が得られる限り常圧でも加圧状態でも構わないが、蛍光体原料に含まれる元素の揮発を防ぐために加圧することが好ましい。加圧する場合、圧力は通常0.1MPa以上200MPa以下であり、好ましくは100MPa以下である。圧力が上記範囲にあることで、蛍光体原料の良好な反応性を確保できる。
加圧の方法は制限されず、例えば密封した容器を加熱する方法、機械的に加圧する方法、又はガス圧を用いる方法などを用いることができる
なお、後述の実施例においては、窒化ホウ素製るつぼ、又は窒化ホウ素製るつぼを添加元素Zでコーティングしたものを用いた。
なお、後述の実施例においては、窒素雰囲気下で加熱を行った。
これにより、本実施形態の蛍光体が得られる。
以上の方法で概ね本実施形態の蛍光体を得られるが、反応容器中の微小な付着物、各試薬の不純物、各原料試薬のロット等、微細な差異によって、得られた蛍光体が本発明の要件の範囲からわずかに外れる粒子を一部に含む場合があるほか、粒子径の大きい物と小さい物、反射率等の異なる蛍光体等が混ざり合う場合がある。
このため、例えば、いくつか条件を変化させて蛍光体を製造し、得られた蛍光体を分級、洗浄等で選別し、反射率、XRDスペクトル等を分析し、本発明の要件を満たす蛍光体を選別することで、上記実施形態の蛍光体を確実に得ることができる。
本発明は一実施形態において、第1の発光体(励起光源)と、前記第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する1以上の蛍光体を含む第2の発光体とを備え、前記第2の発光体が本実施形態の蛍光体[1]又は本実施形態の蛍光体[2]を含む発光装置である。ここで、第2の発光体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、特定の実施形態において、本発明に係る発光装置は、前記第2の発光体が、前記式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む蛍光体を含み、更に黄色蛍光体及び/又は緑色蛍光体を含む、発光装置である。
具体的には、発光装置を構成する場合、黄色蛍光体としては、550nm以上、600nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、緑色蛍光体としては、500nm以上、560nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。また、橙色ないし赤色蛍光体は、通常615nm以上、好ましくは620nm以上、より好ましくは625nm以上、更に好ましくは630nm以上で、通常660nm以下、好ましくは650nm以下、より好ましくは645nm以下、更に好ましくは640nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものである。
上記の波長領域の蛍光体を適切に組み合わせることで、優れた色再現性を示す発光装置を提供できる。尚、励起光源については、420nm未満の波長範囲に発光ピークを有するものを用いてもよい。
(A)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、550nm以上600nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、及び前記[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
(B)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、500nm以上560nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び前記[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
(C)第1の発光体として、300nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体として、550nm以上600nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、500nm以上560nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び前記[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いる態様。
黄色蛍光体に用いることができるガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)3(Al,Ga)5O12:(Ce,Eu,Nd);シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:(Eu,Ce);窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Ca,Mg)Si2O2N2:Eu(SION系蛍光体)、(Li,Ca)2(Si,Al)12(O,N)16:(Ce,Eu)(α-サイアロン蛍光体)、(Ca,Sr)AlSi4(O,N)7:(Ce,Eu)(1147蛍光体)、(La,Ca,Y、Gd)3(Al,Si)6N11:(Ce、Eu)(LSN蛍光体)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
黄色蛍光体としては、上記蛍光体においてガーネット系蛍光体が好ましく、中でも、Y3Al5O12:Ceで表されるYAG系蛍光体が最も好ましい。
緑色蛍光体に用いることができるガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)3(Al,Ga)5O12:(Ce,Eu,Nd)、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:(Ce,Eu)(CSMS蛍光体);シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)3SiO10:(Eu,Ce)、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:(Ce,Eu)(BSS蛍光体);酸化物蛍光体としては、例えば、(Ca,Sr,Ba,Mg)(Sc,Zn)2O4:(Ce,Eu)(CASO蛍光体);窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Si2O2N2:(Eu,Ce)、Si6-zAlzOzN8-z:(Eu,Ce)(β-サイアロン蛍光体)(0<z≦1)、(Ba,Sr,Ca,Mg,La)3(Si,Al)6O12N2:(Eu,Ce)(BSON蛍光体);アルミネート蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2Al10O17:(Eu,Mn)(GBAM系蛍光体)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
赤色蛍光体としては、前記式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を用いるが、本実施形態の蛍光体に加えて、例えばMn賦活フッ化物蛍光体、ガーネット系蛍光体、硫化物蛍光体、ナノ粒子蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体などの他の橙色ないし赤色蛍光体を用いることができる。他の橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば下記の蛍光体を用いることができる。
Mn賦活フッ化物蛍光体としては、例えば、K2(Si,Ti)F6:Mn、K2Si1-xNaxAlxF6:Mn(0<x<1)(まとめてKSF蛍光体);硫化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)S:Eu(CAS蛍光体)、La2O2S:Eu(LOS蛍光体);ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Lu,Gd,Tb)3Mg2AlSi2O12:Ce;ナノ粒子としては、例えば、CdSe;窒化物又は酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu(S/CASN蛍光体)、(CaAlSiN3)1-x・(SiO2N2)x:Eu(CASON蛍光体)、(La,Ca)3(Al,Si)6N11:Eu(LSN蛍光体)、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu(258蛍光体)、(Sr,Ca)Al1+xSi4-xOxN7-x:Eu(1147蛍光体)、Mx(Si,Al)12(O,N)16:Eu(Mは、Ca,Srなど)(αサイアロン蛍光体)、Li(Sr,Ba)Al3N4:Eu(上記のxは、いずれも0<x<1)などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも前記式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相を含む本実施形態の蛍光体を使用することができ、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。
装置構成及び発光装置の実施形態としては、例えば、特開2007-291352号公報に記載のものが挙げられる。その他、発光装置の形態としては、砲弾型、カップ型、チップオンボード、リモートフォスファー等が挙げられる。
発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、演色性が高い発光装置は、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いることができる。
また、発光波長が良好な赤色の蛍光体を備える発光装置は、赤色の車両用表示灯、又は該赤色を含む白色光の車両用表示灯に用いることもできる。
本発明は一実施形態において、前記発光装置を光源として備える照明装置とすることができる。
前記発光装置を照明装置に適用する場合、その照明装置の具体的構成に制限はなく、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、保持ケースの底面に多数の発光装置を並べた面発光照明装置等を挙げることができる。
本発明は一実施形態において、前記発光装置を光源として備える画像表示装置とすることができる。
前記発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合、その画像表示装置の具体的構成に制限はないが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、前記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
本発明は一実施形態において、前記発光装置を光源として備える車両用表示灯とすることができる。
車両用表示灯に用いる発光装置は、特定の実施形態においては、白色光を放射する発光装置であることが好ましい。白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの偏差duv(Δuvとも言う)が-0.0200~0.0200であり、かつ色温度が5000K以上、30000K以下であることが好ましい。
車両用表示灯に用いる発光装置は、特定の実施形態においては、赤色光を放射する発光装置であることが好ましい。該実施形態においては、例えば、発光装置が青色LEDチップから照射される青色光を吸収して赤色に発光することで、赤色光の車両用表示灯としてもよい。
車両用表示灯は、車両のヘッドランプ、サイドランプ、バックランプ、ウインカー、ブレーキランプ、フォグランプなど、他の車両や人等に対して何らかの表示を行う目的で車両に備えられた照明を含む。
[蛍光体組成の測定]
蛍光体サンプルにおけるSr,Al,Ga,Eu,Li,Moの含有量は、JIS K0116:2014に基づき、サンプルを塩酸溶液中で加圧酸分解したうえで適切な濃度に希釈し、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)の手法により測定した。なお、Sr,Al,Ga,Euの含有量はCo標準溶液を内部標準として用いた発光強度比法を用い、Li及びMoの含有量は各元素の検量線を作成して発光強度法によって決定した。
蛍光体サンプルにおけるNの含有量は、JIS R1603:2007の14.1(a、JIS R2015:2007の8.2等を参考に、加圧酸分解―水蒸気蒸留分離―中和滴定法にて測定した。なお、加圧酸分解には硫酸およびフッ化水素を含む溶液を用いた。
発光スペクトルは、分光蛍光光度計F-4500(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて以下の測定条件のとおり測定した。
・光源:キセノンランプ
・励起波長:455nm
・測定波長範囲:200~900nm
・測定間隔:0.2nm
色度座標の値は、480nm~800nmの発光スペクトルデータから、CIE1931 XYZ等式関数を用いて算出した。
量子効率は、量子効率測定システムQE-2100(大塚電子株式会社製)にて以下の測定条件のとおり測定した発光スペクトルに基づいて算出した。
・光源:キセノンランプ
・励起波長:455nm
・測定波長範囲:200~850nm
・測定間隔:1.2~1.5nm
各元素の窒化物原料をSr:Li:Al:Ga:Eu=0.99:1:2.3:0.7:0.01となるように混合して得られた蛍光体原料混合物を、窒化ホウ素製るつぼの表面にMoをコーティングした反応容器に入れた。反応容器を密封した上で、窒素ガス雰囲気下最高温度845℃で5時間焼成し、複数回の実験を行った結果、Mo含有量の異なる蛍光体が得られたため、それぞれを実施例1~2に係る蛍光体を得た。
表面にMoがコーティングされていない窒化ホウ素製るつぼを用いたほかは実施例1と同様にして、比較例1に係る蛍光体を得た。
また、組成及び発光特性を上述の方法で測定した結果を表1に示す。
この結果は、ホウ素が混入することで発光特性に劣る相が生成する可能性があり、これを防ぐことで発現したと考えられる。式[1]又は式[2]で表される蛍光体において同様の効果が期待できる。
Claims (19)
- 下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含み、かつ、
添加元素Zを含み、
前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素を含み、
前記添加元素Zの含有量が1000質量ppm以下である、蛍光体。
RexMAaMBbMCcDdXe [1]
(上記式[1]中、
MAはSrを含み、
MBはLiを含み、
MCはAl及びGaから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、かつ、N(窒素)を含み、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEuを含み、
a、b、c、d、e、xは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2) - 下記式[2]で表される組成を有する結晶相を含み、かつ、
添加元素Zを含み、
前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、Ni、Pt、及びIrから成る群より選ばれる1以上の元素を含み、
前記添加元素Zの含有量が1000質量ppm以下である、蛍光体。
RexMAaMBb(Al1-yMC’y)cDdXe [2]
(上記式[2]中、
MAはSrを含み、
MBはLiを含み、
MC’はGaを含み、
DはN(窒素)及びO(酸素)から成る群から選ばれる1種以上の元素であり、かつ、N(窒素)を含み、
XはF、Cl、Br、及びIから成る群から選ばれる1種以上の元素を含み、
ReはEuを含み、
a、b、c、d、e、x、yは、それぞれ、下記式を満たす。
0.7≦a≦1.3
0.7≦b≦1.3
2.4≦c≦3.6
3.2≦d≦4.8
0.0≦e≦0.2
0.0<x≦0.2
0.0<y≦1.0) - 前記添加元素Zを1.0質量ppm以上含む、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記添加元素ZはMo、W、Nb、Ta、及びNiから成る群より選ばれる1以上の元素から成る、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記式[1]又は式[2]において、MAの80モル%以上がSrである、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記式[1]又は式[2]において、MBの80モル%以上がLiである、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記式[1]において、MCの80モル%以上がAl及びGaから成る群より選ばれる1種以上の元素から成る、請求項1に記載の蛍光体。
- 前記式[1]において、MCの80モル%以上がAlである、請求項1に記載の蛍光体。
- 前記式[2]において、MC’の80モル%以上がGaである、請求項2に記載の蛍光体。
- 前記式[1]又は式[2]において、Reの80モル%以上がEuである、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記式[1]又は式[2]で表される組成を有する結晶相の空間群がP-1である、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 発光スペクトルにおいて620nm以上、660nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 発光スペクトルにおける半値幅(FWHM)が70nm以下である、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 第1の発光体と、前記第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する1以上の蛍光体を含む第2の発光体とを備え、
前記第2の発光体が請求項1又は2に記載の蛍光体を含む、発光装置。 - 前記第2の発光体が更に黄色蛍光体及び/又は緑色蛍光体を含む、請求項14に記載の発光装置。
- 前記黄色蛍光体及び/又は緑色蛍光体は、ガーネット系蛍光体、シリケート系蛍光体、窒化物蛍光体、及び酸窒化物蛍光体のいずれか1種以上を含む、請求項15に記載の発光装置。
- 請求項14に記載の発光装置を光源として備える照明装置。
- 請求項14に記載の発光装置を光源として備える画像表示装置。
- 請求項14に記載の発光装置を光源として備える車両用表示灯。
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Title |
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Dianpeng Cui et al.,Journal of Luminescence,2018年,199,271-277,DIO: 10.1016/j.jlumin.2018.03.035 |
Xuejie Zhang et al.,ACS Applied Materials & Interfaces,2016年,8,19612-19617,10.1021/acsami.6b05485 |
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