JP2019207055A - 蓄熱方法および蓄熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摂氏25度以下に冷却された後でも、電圧の印加により潜熱を放出可能な過冷却安定性を有する蓄熱装置を提供すること。【解決手段】蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、第1電極、第2電極、および第1電極および第2電極の間に電圧を印加するための電源、を具備し、ここで、蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1つから形成された表面を具備している、蓄熱装置。【選択図】図1
Description
本発明は蓄熱方法および蓄熱装置に関する。
特許文献1は、酢酸ナトリウム三水和物を蓄熱材として用いた蓄熱システムを開示している。
酢酸ナトリウム三水和物は、摂氏58℃の融点で融解する。しかし、酢酸ナトリウム三水和物は、融点以下の温度に冷却されても直ちに凝固しない。融点以下の温度に冷却されても液体が凝固していない状態は、過冷却状態と呼ばれる。
酢酸ナトリウム三水和物を含有する蓄熱材を加熱して融解した後、蓄熱材を過冷却状態になるまで冷却する。このようにして、潜熱が酢酸ナトリウム三水和物に蓄えられる。熱が必要とされたときに、酢酸ナトリウム三水和物を含有する蓄熱材の過冷却状態が解除される。酢酸ナトリウム三水和物の状態は液体状態から固体状態に変化し、この変化のために酢酸ナトリウム三水和物から熱が放出される。すなわち、潜熱が取り出される。このようにして、蓄熱効果が達成される。
特許文献2は、過冷却状態の蓄熱材に電圧を印加する銀電極を具備している蓄熱槽を開示している。当該銀電極は、過冷却状態の解除手段として機能する。
特許文献3は、酢酸ナトリウム3水塩を主材とする蓄熱装置を開示している。特許文献3に開示された蓄熱装置は、アルカリ金属、アルカリ土類金属および亜鉛のそれぞれの塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有してなる蓄熱材を用いて形成されている。特許文献3に開示された蓄熱装置は、少なくとも1対の電極を備えている。当該少なくとも一対の電極のうち、少なくとも1本は銀電極である。
特許文献4は、酢酸ナトリウム、水、および化学式LiFにより表されるフッ化リチウムを含有する蓄熱材を開示している。特許文献4に開示された蓄熱材は、フッ化リチウムのために、高い耐熱性を有する。特許文献4によると、フッ化リチウムは、過冷却防止剤としても機能する。
特許文献5は、酢酸ナトリウム三水和物および、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化コバルト、および塩化ニッケルからなる群から選択される金属塩を含有する蓄熱材を開示している。特許文献5によると、当該金属塩は、蓄熱材の融点を低下させる。
本発明の目的は、電圧印加により過冷却状態を解除して熱を放出し、繰り返し利用可能であり、かつ高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者を有する蓄熱装置を提供することにある。本発明の他の目的は、当該蓄熱装置に適した蓄熱方法を提供することにある。
本発明は、潜熱を放出する方法であって、
(a) 以下を具備する蓄熱装置を用意する工程、
蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、
第1電極、
第2電極、および
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加するための電源、
ここで、
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、
前記蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの前記蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ
前記第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1つから形成された表面を具備しており、
(b) 工程(a)の後に、前記蓄熱材を摂氏85度以上の温度に加熱する工程、
(c) 工程(b)の後に、前記蓄熱材を摂氏25度以下の温度に冷却する工程、かつ
(d) 工程(c)の後に、摂氏58度以下の温度下で、前記電源を用いて、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加し、前記蓄熱材から潜熱を放出させる工程
を具備する、方法を提供する。
(a) 以下を具備する蓄熱装置を用意する工程、
蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、
第1電極、
第2電極、および
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加するための電源、
ここで、
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、
前記蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの前記蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ
前記第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1つから形成された表面を具備しており、
(b) 工程(a)の後に、前記蓄熱材を摂氏85度以上の温度に加熱する工程、
(c) 工程(b)の後に、前記蓄熱材を摂氏25度以下の温度に冷却する工程、かつ
(d) 工程(c)の後に、摂氏58度以下の温度下で、前記電源を用いて、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加し、前記蓄熱材から潜熱を放出させる工程
を具備する、方法を提供する。
本発明は、電圧印加により過冷却状態を解除して熱を放出し、繰り返し利用可能であり、かつ高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者を有する蓄熱装置を提供する。本発明は、当該蓄熱装置に適した蓄熱方法も提供する。
以下、本発明の実施形態が、図面を参照しながら説明される。
(蓄熱装置10)
図1は、本実施形態による蓄熱装置10の概略図を示す。図1において、蓄熱装置10は、蓄熱材12を内部に含む蓄熱槽11、第1電極13a、第2電極13b、電源14、およびスイッチ15を具備している。電源14は、第1電極13aおよび第2電極13bの間に電圧を印加するために用いられる。電源14は直流電源または交流電源である。
図1は、本実施形態による蓄熱装置10の概略図を示す。図1において、蓄熱装置10は、蓄熱材12を内部に含む蓄熱槽11、第1電極13a、第2電極13b、電源14、およびスイッチ15を具備している。電源14は、第1電極13aおよび第2電極13bの間に電圧を印加するために用いられる。電源14は直流電源または交流電源である。
(蓄熱槽11)
蓄熱槽11は、断熱材により保温されている。断熱材の例は、グラスウールである。蓄熱槽11は、蓄熱材12を含有している。蓄熱材12は、蓄熱槽11の内部を満たしていてもよい。
蓄熱槽11は、断熱材により保温されている。断熱材の例は、グラスウールである。蓄熱槽11は、蓄熱材12を含有している。蓄熱材12は、蓄熱槽11の内部を満たしていてもよい。
(蓄熱材12)
本実施形態においては、蓄熱材12は、酢酸ナトリウムから形成される。言い換えれば、蓄熱材12は、酢酸ナトリウムを主成分として含有する。本明細書で用いられる用語「
酢酸ナトリウム」は、化学式CH3COONaにより表される酢酸ナトリウム無水物だけでなく、化学式CH3COONa・3H2Oにより表される酢酸ナトリウム三水和物を含む。従って、蓄熱材12は、水を含有する。蓄熱材12は、(I)酢酸ナトリウム三水和物を加熱して融解させること、(II)酢酸ナトリウム無水物および水の混合物を加熱すること、(III)酢酸ナトリウム三水和物および水の混合物を加熱すること、または(IV)酢酸ナトリウム無水物、酢酸ナトリウム三水和物、および水の混合物を加熱することにより調製され得る。
本実施形態においては、蓄熱材12は、酢酸ナトリウムから形成される。言い換えれば、蓄熱材12は、酢酸ナトリウムを主成分として含有する。本明細書で用いられる用語「
酢酸ナトリウム」は、化学式CH3COONaにより表される酢酸ナトリウム無水物だけでなく、化学式CH3COONa・3H2Oにより表される酢酸ナトリウム三水和物を含む。従って、蓄熱材12は、水を含有する。蓄熱材12は、(I)酢酸ナトリウム三水和物を加熱して融解させること、(II)酢酸ナトリウム無水物および水の混合物を加熱すること、(III)酢酸ナトリウム三水和物および水の混合物を加熱すること、または(IV)酢酸ナトリウム無水物、酢酸ナトリウム三水和物、および水の混合物を加熱することにより調製され得る。
後述される実施例1〜実施例3から明らかなように、蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上である。後述される比較例1から明らかなように、当該質量比が1.5未満である場合には、蓄熱材は摂氏90度での耐熱性を有しない。用語「耐熱性」は、後に詳細に説明される。当該質量比は1.86以下であることが望ましい。言い換えれば、酢酸ナトリウムおよび水の質量比は、60:40〜65:35であることが望ましい。
後述される実施例からも明らかなように、酢酸ナトリウム三水和物(または酢酸ナトリウム無水物および水の混合物)を、その融点(すなわち、摂氏58度)以上の温度に加熱した後には、酢酸ナトリウムは融解する。一例として、酢酸ナトリウム三水和物は、摂氏80度で加熱され、融解される。
さらに、蓄熱材12は、酢酸ナトリウムおよび水だけでなく、臭化カリウムをも含有する。本実施形態は、蓄熱材12が臭化カリウムを含有することにより特徴づけられる。この特徴に基づき、本実施形態による蓄熱材12は、以下の3つの効果(i)〜(iii)を有する。
・(i)蓄熱材12は、電圧印加により過冷却状態を解除して潜熱を放出する。
・(ii)蓄熱材12は、繰り返し利用可能である。
・(iii)蓄熱材12は、高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者を有する。
・用語「過冷却安定性」は、後に詳細に説明される。
・(i)蓄熱材12は、電圧印加により過冷却状態を解除して潜熱を放出する。
・(ii)蓄熱材12は、繰り返し利用可能である。
・(iii)蓄熱材12は、高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者を有する。
・用語「過冷却安定性」は、後に詳細に説明される。
特に、上記の3つの効果の中でも、臭化カリウムを含有する蓄熱材が高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者を有するという効果(iii)により、本実施形態は特徴づけられる。以下、本実施形態の特徴点(すなわち、臭化カリウムを採用することによって得られる高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者)が説明される。
後述される比較例2〜比較例3から明らかなように、蓄熱材12が臭化カリウムを含有しない場合、摂氏85度以上に蓄熱材が加熱された後には、摂氏25度以下の温度下で蓄熱材に電圧を印加しても蓄熱材から潜熱は放出されない。このように、臭化カリウムを含有しない蓄熱材の耐熱性は、著しく低い。
後述される比較例4〜比較例6から明らかなように、臭化カリウムに代えてフッ化物(例えば、フッ化リチウムまたはフッ化カルシウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)が用いられた場合、およそ摂氏50度の温度で蓄熱材は結晶化し、潜熱を放出する。このように、臭化カリウムではなくフッ化物または塩化物を含有する蓄熱材の過冷却安定性は、著しく低い。
後述される比較例7〜比較例8から明らかなように、臭化カリウム以外の臭化物(例えば、臭化ナトリウム)またはヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム)が用いられた場合、摂氏85度以上に蓄熱材が加熱された後には、摂氏25度以下の温度下で電圧を蓄熱材に印加しても蓄熱材から潜熱は放出されない。このように、臭化カリウム以外の臭化物またはヨウ化物を含有する蓄熱材の耐熱性は、著しく低い。
本実施形態の特徴点(すなわち、臭化カリウムを採用することによって得られる高い耐熱性および大きな過冷却安定性の両者)は、先行技術文献からの相違点を参照しながら、後にさらに詳細に説明される。
蓄熱材12は、添加剤を含み得る。添加剤の例は、粘度調整剤、整泡剤、酸化防止剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、シランカップリング剤、またはワックスである。本発明の目的が阻害されない限り、添加剤の種類及び量は制限されない。添加剤は蓄熱材12に添加される必要はない。
(電極、電源、およびスイッチ)
図1に示されるように、第1電極13aおよび第2電極13bは、配線およびスイッチ15を介して電源14に電気的に接続されている。
図1に示されるように、第1電極13aおよび第2電極13bは、配線およびスイッチ15を介して電源14に電気的に接続されている。
第1電極13aおよび第2電極13bは、いずれも、蓄熱材12に接触するように配置される。蓄熱材12に接触している部分の第1電極13aおよび第2電極13bの距離は、特に限定されない。当該距離の例は、1ミリメートル以上30ミリメートル以下である。
第1電極13aは、その表面に銀、銀合金、または銀化合物を有する。銀合金の例は、銀パラジウム合金または銀銅合金である。銀化合物の例は、ハロゲン化銀または酸化銀である。ハロゲン化銀の例は、臭化銀である。
このように、第1電極13aは、銀、銀合金、または銀化合物から形成された表面を具備している。以下、本明細書において、銀、銀合金、または銀化合物から形成される第1電極13aの表面は、「銀表面」と呼ばれる。銀表面の少なくとも一部は、蓄熱材12に接している。望ましくは、銀表面のすべてが、蓄熱材12に接している。より望ましくは、銀表面は、蓄熱材12の内部に浸漬されている。
第1電極13aとは異なり、第2電極13bは、その表面に銀、銀合金、または銀化合物を有する必要はない。言うまでもないが、第2電極13bもまた、その表面に銀、銀合金、または銀化合物を有し得る。
第1電極13aおよび第2電極13bの形状は、限定されない。第1電極13aおよび第2電極13bの形状は、例えば、板状または線状である。
本実施形態による蓄熱装置10は、複数の蓄熱槽11を具備し得る。各蓄熱槽11は、各蓄熱材12に接する第1電極13aおよび第2電極13bを具備し得る。複数の蓄熱槽11は、直流電源14に並列に電気的に接続され得る。
蓄熱槽11に蓄熱材12が投入された後に、蓄熱材12は結晶化され、次いで摂氏80度以下の温度で融解されることが望ましい。具体的には、蓄熱材12は、マイナス30度以下の温度に冷却されて結晶化される。これに代えて、過冷却状態の蓄熱材12に酢酸ナトリウム三水和物の結晶が添加され、結晶化される。次いで、蓄熱材12は融解される。このようにして結晶化および融解の両者を経験した蓄熱材12は、電圧の印加により容易に結晶化し、かつ加熱により容易に融解し得る。
(蓄熱装置10の使用方法)
以下、蓄熱装置10から潜熱を放出する方法が説明される。上記の蓄熱装置10が、蓄
熱装置10のユーザによって用意される。言い換えれば、当該ユーザは、蓄熱装置10を購入するか、あるいは組み立てる。
以下、蓄熱装置10から潜熱を放出する方法が説明される。上記の蓄熱装置10が、蓄
熱装置10のユーザによって用意される。言い換えれば、当該ユーザは、蓄熱装置10を購入するか、あるいは組み立てる。
図2は、加熱時における蓄熱材12の特性を示すグラフである。一例として、蓄熱材12を具備する蓄熱装置10は、エンジンおよびラジエターを具備する車に搭載される。以下、当該車をドライバーが運転する状況が説明される。
外気温(例えば、摂氏25度)下で静置された車のエンジンをドライバーは始動し、車を運転する。蓄熱装置10は、エンジンからラジエターに向かう流体により加熱される。
この流体により、蓄熱材12が摂氏85度以上の温度に加熱される。一例として、蓄熱材12は摂氏85度以上摂氏95度以下の温度に加熱される。エンジンおよびラジエターを具備する車において、エンジンからラジエターに流れる冷却液は、およそ摂氏85度以上摂氏95度以下の温度を有している。従って、本実施形態による蓄熱装置10は、エンジンおよびラジエターを具備する車に搭載されることが望ましい。このように、蓄熱材12は、エンジンからラジエターに流れる冷却液で摂氏85度以上の温度に加熱され得る。図2に含まれる区間Aおよび区間Bを参照せよ。
本明細書において、摂氏85度未満の温度に蓄熱材12が加熱されることは、摂氏85度以上の温度に蓄熱材12が加熱されることから区別される。摂氏85度未満の温度に蓄熱材12を加熱する目的は、単に酢酸ナトリウムを水に溶解させる(すなわち、酢酸ナトリウム水溶液を調製する)ためであって、本発明の特徴とは無関係である。一方、本発明の特徴は、摂氏85度以上の温度に蓄熱材12を加熱した後でも、第1電極13aおよび第2電極13bを用いて蓄熱材12に摂氏25度以下の温度下で電圧を印加して潜熱が蓄熱材12から放出されることである。このことは、後に「蓄熱材12の耐熱性」として再度説明される。
摂氏60度以上摂氏85度未満の温度に蓄熱材12を加熱した後、第1電極13aおよび第2電極13bを用いて摂氏25度以下の温度下で蓄熱材12に電圧を印加すると、潜熱が蓄熱材12から放出される。しかし、本実施形態では、蓄熱材12が摂氏85度以上摂氏95度以下の温度(例えば、摂氏90度)に加熱された後であっても、以下の2つの要件(i)および要件(ii)が充足されれば、摂氏25度以下の温度下で電圧の印加により潜熱が蓄熱材12から放出される。
・要件(i):蓄熱材12が臭化カリウムを含有すること(実施例1〜実施例3を比較例2〜比較例8と比較せよ)
・要件(ii):蓄熱材12に含有される酢酸ナトリウムの蓄熱材12に含有される水に対する質量比が、1.5以上であること実施例1〜実施例3を比較例1と比較せよ)。
・要件(i):蓄熱材12が臭化カリウムを含有すること(実施例1〜実施例3を比較例2〜比較例8と比較せよ)
・要件(ii):蓄熱材12に含有される酢酸ナトリウムの蓄熱材12に含有される水に対する質量比が、1.5以上であること実施例1〜実施例3を比較例1と比較せよ)。
ドライバーは車を停止させ、次いでエンジンを切る。車のエンジンは外気温(例えば、摂氏25度)に等しくなるように冷却される。このため、蓄熱材12もまた、外気温(例えば、摂氏25度)に等しくなるように冷却される。図2に含まれる区間Cを参照せよ。区間Cの最初において、蓄熱材12は液体状態である。しかし、蓄熱材12が冷却され、蓄熱材12の温度が融点以下の温度になっても、蓄熱材12は固化せず、過冷却状態になる。
上記の要件(i)および要件(ii)を充足する蓄熱材12は、摂氏85度以上の温度での耐熱性を有する。本明細書において、「耐熱性」とは、摂氏85度以上の温度に蓄熱材12が加熱された後に、摂氏25度以下(一例として、摂氏0度以下)の温度下で過冷却状態にある蓄熱材12が結晶化して潜熱を放出することを意味する。本明細書において、用語「耐熱温度」とは、図2に示されるΔTAにより定義される。耐熱温度ΔTAは、
蓄熱材12が加熱される温度および酢酸ナトリウムの融点(すなわち、摂氏58度)の間の温度差を表す。耐熱温度ΔTAは大きいことが望ましい。本実施形態による蓄熱材12は、27ケルビン(=摂氏85度−摂氏58度)以上の耐熱温度ΔTAを有する。一例として、本実施形態による蓄熱材12は、37ケルビン以下(=摂氏95度−摂氏58度)の耐熱温度ΔTAを有する。
蓄熱材12が加熱される温度および酢酸ナトリウムの融点(すなわち、摂氏58度)の間の温度差を表す。耐熱温度ΔTAは大きいことが望ましい。本実施形態による蓄熱材12は、27ケルビン(=摂氏85度−摂氏58度)以上の耐熱温度ΔTAを有する。一例として、本実施形態による蓄熱材12は、37ケルビン以下(=摂氏95度−摂氏58度)の耐熱温度ΔTAを有する。
耐熱性を有する蓄熱材12は、摂氏85度以上の温度に加熱された後であっても、摂氏25度以下の温度で銀表面を介した電圧の印加によって結晶化して潜熱を放出する。一方、耐熱性を有さない蓄熱材は、摂氏85度以上の温度に加熱された後には、摂氏25度以下の温度下で銀表面を介して電圧が印加されても、蓄熱材は結晶化しない。その結果、耐熱性を有さない蓄熱材から潜熱は放出されない。このように、本発明の目的は、摂氏85度以上に加熱された後でも、摂氏25度以下の温度下で電圧の印加により潜熱を放出可能な耐熱性を有する蓄熱装置を提供することである。
図3は、冷却時における蓄熱材12の特性を示すグラフである。一例として、冬季の夜間における外気温の低下(たとえば、摂氏0度への低下)により、蓄熱材12もまた、外気温(例えば、摂氏0度)に等しくなるように冷却される。図3に含まれる区間Dおよび区間Eを参照せよ。厳しい冬の夜間では、外気温は摂氏マイナス20度以下に低下し得る。そのため、蓄熱材12は過冷却状態を維持したまま、蓄熱材12もまた、摂氏マイナス20度以下の低温に冷却され得る。
時点Fにおいて、ドライバーがエンジンを始動させる。しかし、よく知られているように、エンジンがあまりにも低い温度に冷却されていると、ドライバーはエンジンの始動に失敗することがある。この失敗の問題を解決するために、ドライバーは、第1電極13aおよび第2電極13bの間に電圧を印加し、蓄熱材12の潜熱を開放する。蓄熱材12の潜熱の開放により、蓄熱材12は加温される。図3に含まれる区間Gを参照せよ。このようにして、エンジンが蓄熱材12の潜熱により加温される。その結果、ドライバーがエンジンの始動に成功する。その後、蓄熱材12は、外気温に等しくなるように、冷却される。図3に含まれる区間Hを参照せよ。
一方、一般的に、摂氏25度の温度下では、低温を原因としてドライバーがエンジンの始動に失敗することはほとんどない。しかし、エンジンの始動の成功または失敗に拘わらず、摂氏25度以下の温度下での電圧の印加による潜熱の放出により、エンジンの始動および加温のために必要なガソリンの量を減らすことができる。燃費向上の観点からも、摂氏25度以下の温度下で電圧の印加により本実施形態の蓄熱装置10から潜熱が放出されることが望ましい。
図3から理解されるように、区間Dおよび区間Eにおいて、蓄熱材12は過冷却状態である。区間Gおよび区間Hにおいて、蓄熱材12の少なくとも一部は結晶化されている。言い換えれば、区間Gおよび区間Hにおいて、蓄熱材12の少なくとも一部は固体状態にある。
上記の要件(i)および要件(ii)を充足する蓄熱材12は、摂氏25度以下の温度での過冷却安定性を有する。本明細書において、用語「過冷却安定性」とは、摂氏25度以下の温度で過冷却状態が維持され、かつ摂氏25度以下の温度下で銀表面を介した電圧の印加により蓄熱材12が結晶化して潜熱を放出することを意味する。本明細書において、用語「過冷却度」とは、図3に示されるΔTBにより定義される。過冷却度ΔTBは大きいことが望ましい。過冷却度ΔTBは、酢酸ナトリウムの融点(すなわち、摂氏58度)および蓄熱材12が冷却により結晶化される温度の差を表す。本実施形態による蓄熱材12は、33ケルビン(=摂氏58度−摂氏25度)以上の過冷却度ΔTBを有する。望
ましくは、本実施形態による蓄熱材12は、58ケルビン(=摂氏58度−摂氏0度)以上の過冷却度ΔTBを有する。一例として、本実施形態による蓄熱材12は、81ケルビン(=摂氏58度−摂氏マイナス23度)以上の過冷却度ΔTBを有する。過冷却安定性を有する蓄熱材12は、摂氏85度以上の温度に加熱された後であっても、摂氏25度以下の温度で銀表面を介した電圧の印加によって結晶化して潜熱を放出する。一方、過冷却安定性を有さない蓄熱材は、摂氏85度以上の温度に加熱された後には、摂氏25度以下の温度で銀表面を介して電圧が印加されても、蓄熱材は結晶化しない。その結果、蓄熱材から潜熱は放出されない。このように、本発明の目的は、摂氏25度以下に冷却された後でも、電圧の印加により潜熱を放出可能な過冷却安定性を有する蓄熱装置を提供することである。
ましくは、本実施形態による蓄熱材12は、58ケルビン(=摂氏58度−摂氏0度)以上の過冷却度ΔTBを有する。一例として、本実施形態による蓄熱材12は、81ケルビン(=摂氏58度−摂氏マイナス23度)以上の過冷却度ΔTBを有する。過冷却安定性を有する蓄熱材12は、摂氏85度以上の温度に加熱された後であっても、摂氏25度以下の温度で銀表面を介した電圧の印加によって結晶化して潜熱を放出する。一方、過冷却安定性を有さない蓄熱材は、摂氏85度以上の温度に加熱された後には、摂氏25度以下の温度で銀表面を介して電圧が印加されても、蓄熱材は結晶化しない。その結果、蓄熱材から潜熱は放出されない。このように、本発明の目的は、摂氏25度以下に冷却された後でも、電圧の印加により潜熱を放出可能な過冷却安定性を有する蓄熱装置を提供することである。
特許文献2は、酢酸ナトリウム三水和物から形成される蓄熱材をヒーターで加熱した後、一対の電極を用いて当該蓄熱材に電圧を印加して、熱を蓄熱材から放出することを開示している。さらに、酢酸ナトリウムを水に溶解させるために(または酢酸ナトリウム三水和物を融解させるために)、摂氏60度以上の温度に酢酸ナトリウムを加熱することもよく知られている。従って、特許文献2を読んだ当業者にとって、酢酸ナトリウム三水和物から形成される蓄熱材をヒーターで摂氏60度以上の温度に加熱した後、一対の電極を用いて当該蓄熱材に電圧を印加して、熱を蓄熱材12から放出することは自明であろう。
しかし、特許文献2には、蓄熱材が摂氏85度以上摂氏95度以下の温度に加熱された後に、一対の電極を用いて摂氏25度以下の温度下で当該蓄熱材に電圧を印加しても、熱が蓄熱材12から放出されないという課題を開示していない(後述される比較例1を参照せよ)。このように、特許文献2においては、蓄熱材を摂氏85度以上摂氏95度以下の温度に加熱した後に、一対の電極を用いて摂氏25度以下の温度下で当該蓄熱材に電圧を印加しても、潜熱が蓄熱材から放出されない。
従って、特許文献2を読んだ当業者であっても、当該課題を見いだせないであろう。そのため、当該課題を解決するために、すなわち、蓄熱材12が摂氏85度以上摂氏95度以下の温度に加熱された後に蓄熱材に摂氏25度以下の温度下で電圧を印加して潜熱を蓄熱材12から放出させるために、上記の要件(i)および要件(ii)が必要とされることは、特許文献2を読んだ当業者にとって自明ではないであろう。
特許文献3は、酢酸ナトリウム3水塩を主材とし、アルカリ金属、アルカリ土類金属および亜鉛のそれぞれの塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有してなる蓄熱材を用いてなり、少なくとも1対の電極を備え、そのうち少なくとも1本は銀電極である蓄熱装置を開示している。特許文献2に関する上記の議論から明らかなように、特許文献3もまた、上記の課題を開示していない。従って、蓄熱材12が摂氏85度以上摂氏95度以下の温度に加熱された後に摂氏25度以下の温度下で蓄熱材12に電圧を印加して潜熱を蓄熱材12から放出させるために、上記の要件(i)および要件(ii)が必要とされることは、特許文献2だけでなく特許文献3をも読んだ当業者にとって自明ではないであろう。
特許文献4は、酢酸ナトリウム、水、および化学式LiFにより表されるフッ化リチウムを含有する蓄熱材を開示している。特許文献4に開示された蓄熱材は、フッ化リチウムのために、高い耐熱性を有する。
しかし、特許文献4は、過冷却安定性に言及していない。後述される比較例4〜比較例5から明らかなように、酢酸ナトリウム、水、およびフッ化物を含有する蓄熱材は、高い耐熱温度ΔTAを有するが、極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。一例として、酢酸ナトリウム、水、およびフッ化物を含有する蓄熱材は、8ケルビン未満の極めて小さい過冷
却度ΔTBを有する。従って、酢酸ナトリウム、水、およびフッ化物を含有する蓄熱材を具備する蓄熱装置が車のエンジンのために用いられた場合、夏季であっても、おそらくエンジンを切った直後に潜熱が開放される。これには意味がない。従って、この場合には、摂氏25度以下に蓄熱材が冷却された後に、図3に含まれる時点Fにおいて蓄熱材への電圧の印加により蓄熱材から潜熱が取り出せられないことは明らかであろう。
却度ΔTBを有する。従って、酢酸ナトリウム、水、およびフッ化物を含有する蓄熱材を具備する蓄熱装置が車のエンジンのために用いられた場合、夏季であっても、おそらくエンジンを切った直後に潜熱が開放される。これには意味がない。従って、この場合には、摂氏25度以下に蓄熱材が冷却された後に、図3に含まれる時点Fにおいて蓄熱材への電圧の印加により蓄熱材から潜熱が取り出せられないことは明らかであろう。
特許文献5は、酢酸ナトリウム三水和物および、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化コバルト、および塩化ニッケルからなる群から選択される金属塩を含有する蓄熱材を開示している。特許文献5によると、当該金属塩は、蓄熱材の融点を低下させる。
しかし、特許文献5は、臭化カリウムの選択的特異性を開示していない。後述される比較例6から明らかなように、塩化カリウムのような塩化物を含有する蓄熱材は、極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。後述される比較例7から明らかなように、ヨウ化カリウムのようなヨウ化物を含有する蓄熱材は、高い過冷却安定性を有するが、摂氏85度以上の温度への加熱に対する耐熱性を有しない。後述される比較例8から明らかなように、カリウム塩に代えてナトリウム塩を含有する蓄熱材もまた、高い過冷却安定性を有するが、摂氏85度以上の温度への加熱に対する耐熱性を有しない。言い換えれば、臭化カリウム以外の金属塩を含有する蓄熱材が摂氏85度以上の温度に加熱された後、摂氏25度以下の温度下で銀表面を有する電極を用いて当該蓄熱材に電圧を印加しても、潜熱が蓄熱材から放出されない。
一方、臭化カリウムを含有する蓄熱材12は、高い耐熱性を有する。その結果、臭化カリウムを含有する蓄熱材12が摂氏85度以上の温度に加熱された後であっても、摂氏25度以下の温度下で銀表面を有する電極を用いて当該蓄熱材に電圧が印加されると、熱が蓄熱材12から放出される。しかし、特許文献5は、臭化カリウムが用いられた場合のみ潜熱が放出されるという選択的特異性を開示していない。
混同を予防するために、本明細書において、耐熱温度ΔTAおよび過冷却度ΔTBのためには「ケルビン」が用いられる。例えば、本発明者は、「耐熱温度ΔTAがnaケルビン以上である」および「過冷却度ΔTBがnbケルビン以下である」と表記する。言うまでもないが、naおよびnbは、それぞれ独立して、実数である。「過冷却度ΔTB≧60ケルビン」という説明は、酢酸ナトリウムの融点(すなわち、摂氏58度)および蓄熱材12が冷却により結晶化される温度の温度差が60ケルビン以上ということを意味する。一方、本明細書において、温度のためには、「摂氏」が用いられる。例えば、「酢酸ナトリウムの融点は摂氏58度」(すなわち、58℃)である」と本発明者は表記する。
特許文献3に開示されているように、第1電極13aおよび第2電極13bの間に印加される電圧は、1.5ボルト以上2.5ボルト以下であることが望ましい。
次に、蓄熱材12は摂氏58度以下の温度に冷却され、過冷却状態になる。例えば、本実施形態の蓄熱装置10を具備する車のエンジンが停止され、蓄熱材12は冷却される。その結果、蓄熱材12の温度は外気温に等しくなる。このようにして、潜熱が蓄熱材12を構成する酢酸ナトリウム三水和物に蓄えられる。よく知られているように、酢酸ナトリウム三水和物は、摂氏58度の融点を有する。
潜熱が必要とされる際に、第1電極13aおよび第2電極13bの間に電圧が印加され、蓄熱材12の過冷却状態が解除される。電圧の印加による蓄熱材12の過冷却状態の解除により、蓄熱材12は結晶化する。その結果、蓄熱材12から熱が放出される。すなわち、潜熱が取り出される。例えば、寒冷地でのエンジンの始動のために、潜熱が必要とさ
れる。
れる。
(蓄熱材12の再利用)
蓄熱材12から熱が放出された後、蓄熱材12は、繰り返し利用のために、加熱される。望ましくは、蓄熱材12は、摂氏58度以上摂氏95度以下の温度で繰り返し利用のために加熱される。このようにして、蓄熱材12に含有される酢酸ナトリウム三水和物が融解する。言い換えれば、結晶化された酢酸ナトリウム三水和物(すなわち、固体状態の酢酸ナトリウム三水和物)は加熱により融解する。このようにして、蓄熱材12は再利用される。
蓄熱材12から熱が放出された後、蓄熱材12は、繰り返し利用のために、加熱される。望ましくは、蓄熱材12は、摂氏58度以上摂氏95度以下の温度で繰り返し利用のために加熱される。このようにして、蓄熱材12に含有される酢酸ナトリウム三水和物が融解する。言い換えれば、結晶化された酢酸ナトリウム三水和物(すなわち、固体状態の酢酸ナトリウム三水和物)は加熱により融解する。このようにして、蓄熱材12は再利用される。
蓄熱材12は、過冷却防止剤を含有しないことが望ましい。なぜなら、過冷却防止剤は過冷却度ΔTBを極めて小さくするからである。蓄熱材12に添加されることが望まれない過冷却防止剤の例は、リン酸二水素カリウム(すなわち、KH2PO4)、炭酸ナトリウム(すなわち、Na2CO3)、二リン酸ナトリウム十水和物(すなわち、Na4P2O7・10H2O)、またはタングステン酸ナトリウム(すなわち、Na2WO4)である。過冷却防止剤は、「発核剤」または「核生成剤」とも呼ばれる。
(実施例)
本発明が以下の実施例を参照しながらより詳細に説明される。
本発明が以下の実施例を参照しながらより詳細に説明される。
(実施例1)
実施例1は、実施例1Aおよび実施例1Bから構成される。実施例1Aおよび実施例1Bでは、それぞれ、耐熱温度ΔTAおよび過冷却度ΔTBが調査された。
実施例1は、実施例1Aおよび実施例1Bから構成される。実施例1Aおよび実施例1Bでは、それぞれ、耐熱温度ΔTAおよび過冷却度ΔTBが調査された。
(実施例1A)
(蓄熱装置10の作製)
蓄熱槽11に、酢酸ナトリウム無水物(25.9グラム)および水(20.9グラム)が添加された。蓄熱槽11は、60ミリリットルの容量を有するガラス製のサンプル瓶であった。
(蓄熱装置10の作製)
蓄熱槽11に、酢酸ナトリウム無水物(25.9グラム)および水(20.9グラム)が添加された。蓄熱槽11は、60ミリリットルの容量を有するガラス製のサンプル瓶であった。
次いで、蓄熱槽11は摂氏80度に加熱され、酢酸ナトリウムを水に溶解させた。蓄熱槽11に、臭化カリウム(0.455グラム)が添加された。再度、蓄熱槽11は摂氏80度に加熱され、臭化カリウムを溶解した。蓄熱槽11に、さらに酢酸ナトリウム無水物(5.8グラム)が添加された。再度、蓄熱槽11は摂氏80度に加熱された。このようにして、実施例1Aによる蓄熱材12が蓄熱槽11の内部で調製された。その後、蓄熱槽11は室温まで冷却された。蓄熱槽11に酢酸ナトリウム三水和物の種結晶が添加され、蓄熱材12を結晶化した。実施例1Aによる蓄熱材12において、臭化カリウムの酢酸ナトリウム無水物に対するモル濃度は1.0%であった。実施例1Aによる蓄熱材12において、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.50であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は60:40であった。
(融点および潜熱量の測定)
示差走査熱量計を用いて、実施例1Aによる蓄熱材12の融点および潜熱量が以下のようにして測定された。まず、実施例1Aによる蓄熱材12(5ミリグラム)が、アルミニウム製の容器に投入された。次いで、容器は蓋を用いて密封された。
示差走査熱量計を用いて、実施例1Aによる蓄熱材12の融点および潜熱量が以下のようにして測定された。まず、実施例1Aによる蓄熱材12(5ミリグラム)が、アルミニウム製の容器に投入された。次いで、容器は蓋を用いて密封された。
容器は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社より入手、商品名:DSC−8500)に組み込まれた。容器に投入された蓄熱材は、摂氏25度から摂氏90度まで摂氏1度/分の速度で加熱された。
示差走査熱量計から出力された吸熱ピークに基づいて、実施例1Aによる蓄熱材の融解熱が計算された。その結果、実施例1Aによる蓄熱材の融解熱は、259ジュール/グラムであった。
次に、図1に示されるように、線状の銀から構成される第1電極13aおよび第2電極13bが、蓄熱槽11の蓋を貫通するように設けられた。第1電極13aおよび第2電極13bは、1.5ミリメートルの直径を有していた。蓄熱材12の内部に位置する第1電極13aおよび第2電極13bの部分の長さは、おおよそ5ミリメートルであった。このようにして、実施例1Aによる蓄熱装置10が得られた。
(摂氏70度での結晶化試験)
蓄熱槽11は、温度が摂氏25度に維持された恒温槽(図示せず)の内部に設置された。本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏55度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏55度で30分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏70度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏70度で60分間維持された。蓄熱槽11が恒温槽から取り出され、室温(およそ摂氏25度)に冷却された。次いで、第1電極13aおよび第2電極13bの間に2.0ボルトの電圧が2分間印加された。その結果、実施例1Aによる蓄熱材12は結晶化し、潜熱を放出した。潜熱の放出により、実施例1Aによる蓄熱材12の温度は上昇した。摂氏70度でのこの結晶化試験の成功は、実施例1Aによる蓄熱材12は、摂氏70度での加熱に対する耐熱性を有することを意味している。
蓄熱槽11は、温度が摂氏25度に維持された恒温槽(図示せず)の内部に設置された。本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏55度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏55度で30分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏70度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏70度で60分間維持された。蓄熱槽11が恒温槽から取り出され、室温(およそ摂氏25度)に冷却された。次いで、第1電極13aおよび第2電極13bの間に2.0ボルトの電圧が2分間印加された。その結果、実施例1Aによる蓄熱材12は結晶化し、潜熱を放出した。潜熱の放出により、実施例1Aによる蓄熱材12の温度は上昇した。摂氏70度でのこの結晶化試験の成功は、実施例1Aによる蓄熱材12は、摂氏70度での加熱に対する耐熱性を有することを意味している。
(摂氏90度での結晶化試験)
蓄熱槽11は、温度が摂氏25度に維持された恒温槽の内部に設置された。本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏55度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏55度で30分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏70度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏70度で60分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏1度/分の速度で摂氏90度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏90度で60分間維持された。蓄熱槽11が恒温槽から取り出され、室温(およそ摂氏25度)に冷却された。次いで、第1電極13aおよび第2電極13bの間に2.0ボルトの電圧が2分間印加された。その結果、実施例1Aによる蓄熱材12は結晶化し、潜熱を放出した。潜熱の放出により、実施例1Aによる蓄熱材12の温度は上昇した。摂氏90度でのこの結晶化試験の成功は、実施例1による蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有することを意味している。これらの結晶化試験の結果から明らかなように、実施例1Aによる蓄熱材12は、32ケルビン(=摂氏90度−摂氏58度)の耐熱温度ΔTAを有する。
蓄熱槽11は、温度が摂氏25度に維持された恒温槽の内部に設置された。本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏55度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏55度で30分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏0.5度/分の速度で摂氏70度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏70度で60分間維持された。さらに、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏1度/分の速度で摂氏90度になるまで上昇させた。次いで、恒温槽の温度は摂氏90度で60分間維持された。蓄熱槽11が恒温槽から取り出され、室温(およそ摂氏25度)に冷却された。次いで、第1電極13aおよび第2電極13bの間に2.0ボルトの電圧が2分間印加された。その結果、実施例1Aによる蓄熱材12は結晶化し、潜熱を放出した。潜熱の放出により、実施例1Aによる蓄熱材12の温度は上昇した。摂氏90度でのこの結晶化試験の成功は、実施例1による蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有することを意味している。これらの結晶化試験の結果から明らかなように、実施例1Aによる蓄熱材12は、32ケルビン(=摂氏90度−摂氏58度)の耐熱温度ΔTAを有する。
(実施例1B)
(蓄熱装置10の作製)
蓄熱槽11に、酢酸ナトリウム無水物(1.95グラム)および水(1.05グラム)が添加された。蓄熱槽11は、60ミリリットルの容量を有するガラス製のサンプル瓶であった。本発明者らは、蓄熱槽11の底面外側に電熱対を取り付け、蓄熱槽11の内部の温度を測定した。
(蓄熱装置10の作製)
蓄熱槽11に、酢酸ナトリウム無水物(1.95グラム)および水(1.05グラム)が添加された。蓄熱槽11は、60ミリリットルの容量を有するガラス製のサンプル瓶であった。本発明者らは、蓄熱槽11の底面外側に電熱対を取り付け、蓄熱槽11の内部の温度を測定した。
次いで、蓄熱槽11は摂氏80度に加熱され、酢酸ナトリウムを水に溶解させた。蓄熱槽11に、臭化カリウム(0.028グラム)が添加された。再度、蓄熱槽11は摂氏80度に加熱され、臭化カリウムを溶解した。このようにして、実施例1Bによる蓄熱材12が蓄熱槽11の内部に調製された。
蓄熱槽11は、温度が摂氏25度に維持された恒温槽(図示せず)の内部に設置された。本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏1度/分の速度で摂氏70度になるまで上昇させた。恒温槽の温度は摂氏70度で30分間維持された。次に、本発明者らは、恒温槽の温度を摂氏1度/分の速度で摂氏マイナス40度になるまで低下させた。恒温槽の温度の低下中に電熱対を用いて測定された蓄熱槽11の内部の温度が上昇した時点で、蓄熱材12の過冷却が解除されたと本発明者らは判定した。
実施例1Bは10回繰り返された。その結果、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏マイナス23.0度であった。従って、実施例1Bによる蓄熱材12は、81ケルビン(=摂氏58度−摂氏マイナス23度)の過冷却度ΔTBを有する。
(実施例2)
実施例2は、実施例2Aから構成される。
・実施例2Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、24.0グラムおよび19.6グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.475グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、8.7グラムであったこと。このように、実施例2Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.67であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は62.5:37.5であった。
・実施例2では、実施例1Bに対応する実施例2Bは実施されなかった。
実施例2は、実施例2Aから構成される。
・実施例2Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、24.0グラムおよび19.6グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.475グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、8.7グラムであったこと。このように、実施例2Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.67であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は62.5:37.5であった。
・実施例2では、実施例1Bに対応する実施例2Bは実施されなかった。
実施例2Aでは、摂氏70度および摂氏90度での結晶化試験は両者とも成功した。これは、実施例2Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有することを意味する。
(実施例3)
実施例3は、実施例3Aから構成される。
・実施例3Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、22.4グラムおよび18.3グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.495グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、11.6グラムであったこと。このように、実施例3Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.86であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は65:35であった。
・実施例3では、実施例1Bに対応する実施例3Bは実施されなかった。
実施例3は、実施例3Aから構成される。
・実施例3Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、22.4グラムおよび18.3グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.495グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、11.6グラムであったこと。このように、実施例3Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.86であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は65:35であった。
・実施例3では、実施例1Bに対応する実施例3Bは実施されなかった。
実施例3Aでは、摂氏70度および摂氏90度での結晶化試験は成功した。これは、実施例3Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有することを意味する。
(比較例1)
比較例1は、比較例1Aから構成される。
・比較例1Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、28.2グラムおよび23.1グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.425グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、1.0グラムであったこと。このように、比較例1Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.26であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は56:44であった。
・比較例1では、実施例1Bに対応する比較例1Bは実施されなかった。
比較例1は、比較例1Aから構成される。
・比較例1Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、28.2グラムおよび23.1グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムの質量が、0.425グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、1.0グラムであったこと。このように、比較例1Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.26であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は56:44であった。
・比較例1では、実施例1Bに対応する比較例1Bは実施されなかった。
比較例1Aでは、摂氏70度での結晶化試験は成功したが、摂氏90度での結晶化試験は失敗した。これは、比較例1Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有しないことを意味する。
(比較例2)
比較例2は、比較例2Aから構成される。
・比較例2Aでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムが添加されなかったこと。すなわち、臭化カリウムの質量が、0グラムであったこと。
・比較例2では、実施例1Bに対応する比較例2Bは実施されなかった。
比較例2は、比較例2Aから構成される。
・比較例2Aでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムが添加されなかったこと。すなわち、臭化カリウムの質量が、0グラムであったこと。
・比較例2では、実施例1Bに対応する比較例2Bは実施されなかった。
比較例2Aでは、摂氏70度での結晶化試験は成功したが、摂氏90度での結晶化試験は失敗した。これは、比較例2Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有しないことを意味する。
(比較例3)
比較例3は、比較例3Aから構成される。
・比較例3Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、22.4グラムおよび18.3グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムが添加されなかったこと。すなわち、臭化カリウムの質量が、0グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、11.6グラムであったこと。このように、比較例3Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.86であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は65:35であった。
・比較例3では、実施例1Bに対応する比較例3Bは実施されなかった。
比較例3は、比較例3Aから構成される。
・比較例3Aでは、以下の3つの事項(i)〜事項(iii)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 実験の最初に蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物および水の質量が、それぞれ、22.4グラムおよび18.3グラムであったこと。
・(ii) 臭化カリウムが添加されなかったこと。すなわち、臭化カリウムの質量が、0グラムであったこと。
・(iii) 臭化カリウムが添加された後にさらに蓄熱槽11に添加された酢酸ナトリウム無水物の質量が、11.6グラムであったこと。このように、比較例3Aよる蓄熱材12においては、酢酸ナトリウム無水物の水に対する質量比は、1.86であった。言い換えれば、酢酸ナトリウム無水物:水の質量比は65:35であった。
・比較例3では、実施例1Bに対応する比較例3Bは実施されなかった。
比較例3Aでは、摂氏90度での結晶化試験は失敗した。これは、比較例3Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有しないことを意味する。
(比較例4)
比較例4は、比較例4Bから構成される。
・比較例4Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、フッ化リチウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例4では、実施例1Aに対応する比較例4Aは実施されなかった。
比較例4は、比較例4Bから構成される。
・比較例4Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、フッ化リチウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例4では、実施例1Aに対応する比較例4Aは実施されなかった。
比較例4Bでは、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏53.1度であった。従って、比較例4Bによる蓄熱材12は、4.9ケルビン(=摂氏58
度−摂氏53.1度)という極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。
度−摂氏53.1度)という極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。
(比較例5)
比較例5は、比較例5Bから構成される。
・比較例5Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、フッ化カルシウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例5では、実施例1Aに対応する比較例5Aは実施されなかった。
比較例5は、比較例5Bから構成される。
・比較例5Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、フッ化カルシウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例5では、実施例1Aに対応する比較例5Aは実施されなかった。
比較例5Bでは、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏50.8度であった。従って、比較例5Bによる蓄熱材12は、7.2ケルビン(=摂氏58度−摂氏50.8度)という極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。
(比較例6)
比較例6は、比較例6Bから構成される。
・比較例6Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、塩化カリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例6では、実施例1Aに対応する比較例6Aは実施されなかった。
比較例6は、比較例6Bから構成される。
・比較例6Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、塩化カリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
・比較例6では、実施例1Aに対応する比較例6Aは実施されなかった。
比較例6Bでは、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏49.3度であった。従って、比較例6Bによる蓄熱材12は、8.7ケルビン(=摂氏58度−摂氏49.3度)という極めて小さい過冷却度ΔTBを有する。
(比較例7)
比較例7は、比較例7Aおよび比較例7Bから構成される。
・比較例7Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、ヨウ化カリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
比較例7は、比較例7Aおよび比較例7Bから構成される。
・比較例7Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、ヨウ化カリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
比較例7Bでは、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏マイナス31.3度であった。従って、比較例7Bによる蓄熱材12は、89.3ケルビン(=摂氏58度−摂氏マイナス31.3度)という高い過冷却度ΔTBを有する。
比較例7Aでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、ヨウ化カリウム(0.455グラム)が用いられたこと。
・(i) 臭化カリウムに代えて、ヨウ化カリウム(0.455グラム)が用いられたこと。
比較例7Aでは、摂氏90度での結晶化試験は失敗した。これは、比較例7Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有しないことを意味する。
(比較例8)
比較例8は、比較例8Aおよび比較例8Bから構成される。
・比較例8Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、臭化ナトリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
比較例8は、比較例8Aおよび比較例8Bから構成される。
・比較例8Bでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Bと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、臭化ナトリウム(0.028グラム)が用いられたこと。
比較例8Bでは、蓄熱材12の過冷却が解除された時点での温度の平均値は、摂氏マイナス35.9度であった。従って、比較例8Bによる蓄熱材12は、93.3ケルビン(=摂氏58度−摂氏35.9度)という高い過冷却度ΔTBを有する。
比較例8Aでは、以下の事項(i)を除き、実施例1Aと同一の実験が行われた。
・(i) 臭化カリウムに代えて、臭化ナトリウム(0.455グラム)が用いられたこと。
・(i) 臭化カリウムに代えて、臭化ナトリウム(0.455グラム)が用いられたこと。
比較例8Aでは、摂氏90度での結晶化試験は失敗した。これは、比較例8Aによる蓄熱材12は、摂氏90度での加熱に対する耐熱性を有しないことを意味する。
以下の表1は、実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例8の結果をまとめて示す。
表1から明らかなように、以下の条件(i)および(ii)が充足される場合にのみ、蓄熱材12が摂氏90度に加熱された後であっても、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介した電圧の印加により蓄熱材12から潜熱が放出される。
・条件(i) 臭化カリウムが添加されること(実施例1〜実施例3を比較例2〜比較例8と比較せよ)
・条件(ii) 酢酸ナトリウム無水物の水に対する重量比が1.5以上であること(実施例1〜実施例3を比較例1と比較せよ)。
・条件(i) 臭化カリウムが添加されること(実施例1〜実施例3を比較例2〜比較例8と比較せよ)
・条件(ii) 酢酸ナトリウム無水物の水に対する重量比が1.5以上であること(実施例1〜実施例3を比較例1と比較せよ)。
比較例2および比較例3から明らかなように、臭化カリウムが用いられない場合には、摂氏90度への加熱に対する耐熱性が得られない。言い換えれば、蓄熱材12が摂氏90度に加熱された後に、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介して電圧を蓄熱材12に印加しても、蓄熱材12から潜熱が放出されない。
臭化カリウム以外のハロゲン化金属塩が用いられた場合には、蓄熱材12が摂氏90度に加熱された後には、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介して電圧を印加しても、蓄熱
材12から潜熱が放出されない。実施例1〜実施例3を比較例4〜比較例8と比較せよ。
材12から潜熱が放出されない。実施例1〜実施例3を比較例4〜比較例8と比較せよ。
より詳細には、比較例4〜比較例6において実証されているように、臭化カリウムに代えてフッ化リチウム、フッ化カルシウム、または塩化カルシウムが用いられた場合には、過冷却安定性は極めて貧弱である。言い換えれば、蓄熱材12が摂氏25度以下の温度に冷却される前に、およそ摂氏50度の温度で蓄熱材12から潜熱が自ずと放出される。その結果、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介して電圧を印加しても、蓄熱材12から潜熱が放出されない。なぜなら、蓄熱材12の冷却により蓄熱材12の温度がおよそ摂氏50度に到達した時点で、潜熱は既に放出されてしまっているからである。
比較例7〜比較例8において実証されているように、臭化カリウムに代えてヨウ化カリウムまたは臭化ナトリウムが用いられた場合には、摂氏90度への加熱に対する耐熱性が得られない。言い換えれば、蓄熱材12が摂氏90度に加熱された後に、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介して電圧を蓄熱材12に印加しても、蓄熱材12から潜熱が放出されない。
比較例1から明らかなように、酢酸ナトリウム無水物の水に対する重量比が1.26以下である場合には、蓄熱材12が摂氏90度に加熱された後には、摂氏25度以下の温度下で銀電極を介して電圧を印加しても、蓄熱材12から潜熱が放出されない。
このように、表1から、銀電極を介した電圧の印加により潜熱を放出する蓄熱装置10において、臭化カリウムを蓄熱材12に添加することが、摂氏90度での加熱に対する耐熱性および良好な過冷却安定性の両者を実現させることは明らかであろう。言い換えれば、表1から、臭化カリウムのみがこのような選択的特異性を有することは明らかであろう。
本発明による蓄熱装置においては、蓄熱材12が摂氏85度以上(一例として摂氏95度以下)の高温で保持された後であっても、摂氏25度以下の温度下での蓄熱材12への電圧の印加により潜熱を取り出すことが出来る。
一例として、本発明による蓄熱装置は、車輪を駆動させるエンジンを備える車両に取り付けられる。蓄熱材12から放出された熱は、車両に備えられたエンジンのような内燃機関の暖機運転のために用いられる。本発明による蓄熱装置は、ボイラー、空調機または給湯器にも取り付けられる。
10 蓄熱装置
11 蓄熱槽
12 蓄熱材
13a 第1電極
13b 第2電極
14 電源
15 スイッチ
11 蓄熱槽
12 蓄熱材
13a 第1電極
13b 第2電極
14 電源
15 スイッチ
Claims (19)
- 潜熱を放出する方法であって、
(a) 以下を具備する蓄熱装置を用意する工程、
蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、
第1電極、
第2電極、および
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加するための電源、
ここで、
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、
前記蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの前記蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ
前記第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1つから形成された表面を具備しており、
(b) 工程(a)の後に、前記蓄熱材を摂氏85度以上の温度に加熱する工程、
(c) 工程(b)の後に、前記蓄熱材を摂氏25度以下の温度に冷却する工程、かつ
(d) 工程(c)の後に、摂氏58度以下の温度下で、前記電源を用いて、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加し、前記蓄熱材から潜熱を放出させる工程
を具備する、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
工程(b)において、前記蓄熱材は摂氏95度以下の温度に加熱される、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
工程(c)において、前記蓄熱材は摂氏0度以下の温度に冷却される、
方法。 - 請求項3に記載の方法であって、
工程(c)において、前記蓄熱材は摂氏マイナス20度以下の温度に冷却される、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記蓄熱材は、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム十水和物、またはタングステン酸ナトリウムを含有しない、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、さらに以下の工程
(e) 工程(d)の後に、前記蓄熱材を摂氏58度以上かつ摂氏95度以下の温度に加熱し、前記酢酸ナトリウムを融解する工程、
を具備する、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、さらに以下の工程
(pa1) 工程(a)の前に、前記蓄熱材を結晶化する工程、および
(pa2) 工程(pa1)および工程(a)の間に、前記蓄熱材を摂氏80度以下の温度で融解する工程、
を具備する、方法。 - 請求項7に記載の方法であって、
前記工程(pa1)は、
(pa11) 前記蓄熱材を摂氏マイナス30度以下の温度に冷却する工程
を具備する、方法。 - 請求項7に記載の方法であって、
前記工程(pa1)は、
(pa12) 過冷却状態の前記蓄熱材に酢酸ナトリウム三水和物の結晶を添加する工程
を具備する、方法。 - 蓄熱装置であって、
蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、
第1電極、
第2電極、および
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加するための電源、
を具備し、
ここで、
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、
前記蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの前記蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ
前記第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1つから形成された表面を具備している、
蓄熱装置。 - 請求項10に記載の蓄熱装置であって、
前記蓄熱材は、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム十水和物、またはタングステン酸ナトリウムを含有しない、
蓄熱装置。 - 車両であって、
車輪、
前記車輪を駆動するためのエンジン、および
前記エンジンに潜熱を供給する蓄熱装置
を具備し、
前記蓄熱装置は、請求項1に記載の蓄熱装置である、
車両。 - 車両に含まれたエンジンに熱を付与する方法であって、
(a)蓄熱材を摂氏85度以上の温度に加熱する工程、
ここで、
前記車両は蓄熱装置を具備しており、
前記蓄熱装置は、
前記蓄熱材を内部に含む蓄熱槽、
第1電極、
第2電極、および
前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加するための電源、
を具備しており、
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウム、水、および臭化カリウムを含有し、
前記蓄熱材に含有される酢酸ナトリウムの前記蓄熱材に含有される水に対する質量比は、1.5以上であり、かつ
前記第1電極は、銀、銀合金、および銀化合物からなる群から選択される少なくとも1
つから形成された表面を具備しており、かつ
(b) 工程(a)の後に、摂氏25度以下の温度下で、前記電源を用いて、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧を印加し、前記蓄熱材からの前記熱の放出により前記エンジンに前記熱を付与する工程、
を具備する、方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
工程(a)において、前記蓄熱材は摂氏95度以下の温度に加熱される、
方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
工程(b)において、前記電圧は摂氏0度以下の温度で印加される、
方法。 - 請求項15に記載の方法であって、
工程(b)において、前記電圧は摂氏マイナス20度以下の温度で印加される、
方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
前記蓄熱材は、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム十水和物、またはタングステン酸ナトリウムを含有しない、
方法。 - 請求項13に記載の方法であって、さらに以下の工程
(c) 工程(b)の後に、前記蓄熱材を摂氏58度以上かつ摂氏95度以下の温度に加熱し、前記酢酸ナトリウムを融解する工程、
を具備する、方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
前記車両はラジエターを具備し、かつ
前記工程(a)において、前記蓄熱材は、前記エンジンから前記ラジエターに流れる流体で摂氏85度以上の温度に加熱される、
方法。
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---|---|---|---|
JP2018102064A JP2019207055A (ja) | 2018-05-29 | 2018-05-29 | 蓄熱方法および蓄熱装置 |
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JP7425819B2 (ja) | 2022-03-30 | 2024-01-31 | 本田技研工業株式会社 | 蓄熱材 |
-
2018
- 2018-05-29 JP JP2018102064A patent/JP2019207055A/ja active Pending
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