JP5594752B2 - 蓄熱装置 - Google Patents

蓄熱装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5594752B2
JP5594752B2 JP2007273713A JP2007273713A JP5594752B2 JP 5594752 B2 JP5594752 B2 JP 5594752B2 JP 2007273713 A JP2007273713 A JP 2007273713A JP 2007273713 A JP2007273713 A JP 2007273713A JP 5594752 B2 JP5594752 B2 JP 5594752B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat storage
storage material
phase change
heat
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007273713A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009103341A (ja
Inventor
平野  聡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2007273713A priority Critical patent/JP5594752B2/ja
Publication of JP2009103341A publication Critical patent/JP2009103341A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5594752B2 publication Critical patent/JP5594752B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/14Thermal energy storage

Landscapes

  • Central Heating Systems (AREA)

Description

本発明は、物質の相変化を利用して外部から与えられた熱を貯蔵する蓄熱装置に関するものである。
相変化の履歴を上手く利用すれば、潜熱を長時間効率的に貯蔵することができる。たとえば、多価アルコールの一つであるスレイトールの融液を冷却した場合、スレイトールの融点は87℃程度であるが、融点では凝固が始まらずに液体のままで過冷却され、融点よりも低温で凝固を開始するのが一般的である。過冷却後に一旦凝固が始まれば、スレイトールの温度は融点に回復し、凝固が完了するまで融点の熱を放出し続ける。このような性質を利用すれば、物質を過冷却状態のまま低温で保存し、必要時に凝固させて融点である高温の熱を得ることができる。
図3は特許第386717号明細書、特許第2981890号明細書等に記載されている従来の蓄熱装置を示す。図3において、31は蓄熱容器32に小分けされた過冷却可能な相変化蓄熱材、33は蓄熱槽、34は蓄熱槽の大部分を占める領域A(蓄熱部)と僅かな部分を占める領域B(発核部)とに蓄熱槽内を分断する断熱板、35は電熱器、36と37は蓄熱槽の僅かな部分を占める領域Bに外部から熱媒体を注入、抽出して、蓄熱材31と熱交換を行わせるための管路、38と39は蓄熱槽の大部分を占める領域Aに外部から熱媒体を注入、抽出して、蓄熱材31と熱交換を行わせるための管路である。
上述のように構成された蓄熱装置において、熱の注入過程では熱源から管路36、37および管路38、39を介して蓄熱槽33の蓄熱部(A)及び発核部(B)に高温の熱媒体を循環させ、相変化蓄熱材31を融解させる。熱の保存過程では、蓄熱槽33から周囲環境への自然放熱によって蓄熱材31の温度が徐々に低下し、やがて融点を下回って過冷却状態になり、相変化蓄熱材31が過冷却状態で保持し続けられる。熱の抽出過程では、相変化蓄熱材31の過冷却状態を解除するために自発的凝固開始温度よりも低い温度の熱媒体を熱源から管路36、37を介して蓄熱槽33の発核部(B)に循環させ、発核部(B)に位置する相変化蓄熱材31を冷却する。この操作により、相変化蓄熱材31の下部から発核が起こり、相変化蓄熱材31の再結晶化が始まる。ひとたび再結晶化が始まれば、結晶は急速に上方へ成長していく。そこで、管路38、39を介して熱媒体を蓄熱槽33の蓄熱部(A)に循環させれば、相変化蓄熱材31から放出される凝固熱を回収し、蓄熱装置に接続された熱利用設備で利用することができる。
特許第386717号明細書 特許第2981890明細書
上述のように構成された蓄熱装置においては、蓄熱槽33から周囲環境への自然放熱によって蓄熱材31の温度が徐々に低下し、環境温度に近づくが、蓄熱材31の自発的な凝固開始温度が環境温度よりも高ければ、蓄熱材31の温度が自発的凝固開始温度に達したときに、意に反して凝固を開始してしまう場合が起きえる。これを防止するためには、蓄熱材の温度保持のために、貯蔵期間中に管路36、37および管路38、39を介して熱源から蓄熱槽33の蓄熱部(A)及び発核部(B)に高温の熱媒体を循環させ、蓄熱材31を加熱するか、電熱器35に通電して蓄熱材31を加熱する操作が必要になる。しかし、太陽熱のように熱の得られる時期が完全に限定されたり、貯蔵期間中は熱源機器が停止する場合などは、僅かではあっても過冷却状態を保持するための熱が得られず、追加の熱源機器が必要になる。
また、温度保持のための加熱を行わない場合には、主として蓄熱槽の外壁近傍にある蓄熱材、あるいは蓄熱カプセル中の蓄熱材から順次凝固を開始し、その凝固熱が熱源となって、蓄熱槽内の温度が保持されることになるが、その場合には融点よりも低い温度の保持に融点の温度の潜熱が利用されることになるので、貯蔵された有効エネルギーを大幅に低下させてしまうことになる。
本発明は、上述のような問題点を解消するためになされたもので、貯蔵中に追加の熱が無くとも貯蔵された有効エネルギーを効率的に利用することで、蓄熱材の過冷却状態の長期的な保持が可能な蓄熱装置を提供することを目的とする。
本発明による蓄熱装置は、内部に熱媒体が循環する蓄熱槽(蓄熱槽4)の内部に配置され、該熱媒体から与えられた熱を内部に充填された過冷却可能な相変化蓄熱材を過冷却状態にして貯蔵する蓄熱容器であって、n種類(nは2以上の自然数)の過冷却可能な相変化蓄熱材がそれぞれ別々に充填されたn種類の蓄熱容器と、該蓄熱容器に充填された前記相変化蓄熱材を局所的に冷却して過冷却状態を解除する手段とからなり、前記n種類の相変化蓄熱材において、第i番目(1≦i≦n−1)の相変化蓄熱材の融点は、第(i+1)番目の相変化蓄熱材の融点よりも高く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度は前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度よりも低いことを特徴とする。
また、前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の充填された蓄熱容器は、前記第i番目の相変化蓄熱材の充填された蓄熱容器よりも前記蓄熱槽の外壁に近い位置にあることを特徴とする。
また、本発明による蓄熱装置は、内部に熱媒体が循環する蓄熱槽であって、過冷却可能なn種類(nは2以上の自然数)の相変化蓄熱材がそれぞれ別々に充填され、前記熱媒体から与えられた熱を各相変化蓄熱材を過冷却状態にして貯蔵するn種類の蓄熱槽と、該蓄熱槽に充填された相変化蓄熱材を局所的に冷却して過冷却状態を解除する手段からなり、前記n種類の相変化蓄熱材において、第i番目(1≦i≦n−1)の相変化蓄熱材の融点は、第(i+1)番目の相変化蓄熱材の融点よりも高く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度は前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度よりも低く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材を貯蔵する蓄熱槽は、少なくともその側面が前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材を貯蔵する蓄熱槽に部分的に包囲されるように配置されていることを特徴とする。
また、前記第i番目の相変化蓄熱材は多価アルコールを主成分とし、前記第j番目(j>i)の相変化蓄熱材はポリエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする。
また、前記第i番目の相変化蓄熱材は多価アルコールを主成分とし、前記第j番目(j>i)の相変化蓄熱材はパラフィンを主成分とすることを特徴とする。
本発明の蓄熱装置は蓄熱装置内に融点の異なる相変化蓄熱材が別々に充填されており、融点の高い相変化蓄熱材の自発的な凝固開始温度は、融点の低い相変化蓄熱材の自発的な凝固開始温度よりも低くなるように構成されている。このため、貯蔵後の環境中への熱損失で相変化蓄熱材の温度が低下し、融点の高い相変化蓄熱材の温度がその凝固開始温度に近づいても、融点の低い相変化蓄熱材の方が先に自発的に凝固を開始して凝固熱を放出し、蓄熱装置内を加熱する。すなわち、融点の低い相変化蓄熱材が完全に凝固して潜熱の放熱を停止するまでは、融点の高い方の相変化蓄熱材の温度は、融点の低い方の相変化蓄熱材からの放熱で、自発的な凝固開始温度よりも高温に保持され、過冷却状態も保持させることができる。この動作において、融点の高い方の相変化蓄熱材の過冷却状態を保持するための熱は、該蓄熱材が保持する高温の潜熱ではなく、融点の低い方の蓄熱材が保持する低温の潜熱が利用されるので、有効エネルギーを効率的に利用することになる。
また、融点の低い相変化蓄熱材は、融点の高い相変化蓄熱材よりも低温の熱源で融解できるので、より多様な熱源を適用することも可能になる。
さらに、融点の高い方の相変化蓄熱材は融点の低い方の相変化蓄熱材に取り囲まれるように配置されるので、蓄熱装置から周囲環境への熱損失で低温度になりやすい蓄熱装置外壁近傍の温度は、融点の低い方の相変化蓄熱材からの放熱で徐々に温度降下させることができ、融点の高い方の相変化蓄熱材の温度低下を抑制させることもできる。
本発明の蓄熱装置は、融点が高く自発的凝固開始温度の低い蓄熱材が、それよりも融点が低く自発的凝固開始温度の高い別の蓄熱材と併用され、とくに融点の低い蓄熱材が高い蓄熱材を包囲する場所に配せられていることを特徴とする。
図1は本発明の蓄熱装置の断面構造図である。図1において、1と2はそれぞれ過冷却可能な相変化蓄熱材であり、蓄熱材1は蓄熱材2よりも融点が高く、かつ自発的な凝固開始温度が低い材料を用いる。たとえば、蓄熱材1にスレイトール、蓄熱材2に60℃程度に融点を示す分子量のポリエチレングリコールを適用すれば、蓄熱材1の融点は87℃、自発的凝固開始温度は40℃程度、蓄熱材2の融点は60℃、自発的凝固開始温度は50℃程度となるので、[蓄熱材2の融点]<[蓄熱材1の融点]及び[蓄熱材1の自発的凝固開始温度]<[蓄熱材2の自発的凝固開始温度]の関係を満たす。
蓄熱材1と蓄熱材2には、上記温度関係を満たす物質であれば上記例に限定されず、種々の物質の組み合わせを適用できる。たとえば、蓄熱材1にはエリスリトール(融点119℃)、マンニトール(融点167℃)、ズルシトール(融点187℃)、ペンタエリスリトール(融点187℃)、イノシトール(融点224℃)等の多価アルコール、塩化カルシウム六水和物(融点29℃)、硫酸ナトリウム十水和物(融点32℃)、燐酸水素二ナトリウム十二水和物(融点36℃)、チオ硫酸ナトリウム五水和物(融点48℃)、酢酸ナトリウム三水和物(融点58℃)、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物(融点91℃)、硫酸アンモニウムアルミニウム十二水和物(融点94℃)、塩化マグネシウム六水和物(融点115℃)等の水和物を主成分とする物質等が適用できる。また、蓄熱材2にはポリエチレングリコール(融点8〜70℃)、パラフィン(融点−10〜120℃)等を主成分とする物質、あるいは蓄熱材1の候補物質に発核材を添加した物質等が適用できる。これら多価アルコールや水和物の融点と自発的凝固開始温度との差は数十℃以上あるのに対して、ポリエチレングリコールやパラフィン、発核材を添加した多価アルコールや水和物の融点と自発的凝固開始温度との差は、高々十℃程度である。
図1において3はポリプロピレン製の蓄熱容器であり、蓄熱材1、蓄熱材2などに対して耐熱、耐圧、耐食性等で材料適合性があれば種々の材料の組み合わせが考えられ、本実施例に限定されない。たとえば、容器1の材料には他のポリオレフィン樹脂やその架橋体、フッ素樹脂、銅、ステンレス鋼、酸化アルミニウムなども耐食性が高く、種々の蓄熱材1及び2に適用できる。4は蓄熱槽、5は蓄熱槽の大部分を占める領域A(蓄熱部)と僅かな部分を占める領域B(発核部)とに蓄熱槽内を分断する断熱板であり、蓄熱容器3は断熱板5を貫通して領域Aと領域Bの両方に存在する。6と7は蓄熱槽の僅かな部分を占める領域Bに外部から熱媒体を注入、抽出して、蓄熱材1及び蓄熱材2と熱交換を行わせるための管路、8と9は蓄熱槽の大部分を占める領域Aに外部から熱媒体を注入、抽出して、蓄熱材1及び蓄熱材2と熱交換を行わせるための管路である。10は蓄熱槽4を保温するための断熱材である。
次に上述のように構成された蓄熱装置の動作について説明する。まず、熱の注入時には、外部の高温熱源から蓄熱槽4の蓄熱部Aと発核部Bに管路6→管路7、管路8→管路9の順にそれぞれ高温の熱媒体を循環させ、容器3を介して蓄熱材1と蓄熱材2を加熱し、融解させる。蓄熱が完了すると、熱媒体の循環を停止させ、蓄熱槽4を放置する。
熱の保存期間においては、蓄熱槽4から蓄熱槽周囲環境への熱損失のために、蓄熱材1と蓄熱材2の温度は徐々に低下する。蓄熱槽4内の温度が蓄熱材1の融点を下回ると、それ以降は蓄熱材1が過冷却状態になる。さらに温度が低下して蓄熱槽4内の温度が蓄熱材2の融点をも下回ると、それ以降は蓄熱材2も過冷却状態になる。さらに温度が低下し、蓄熱槽4内の温度が蓄熱材2の自発的凝固開始温度に達すると、蓄熱材2は凝固を開始し、凝固熱を放出する。放出された蓄熱材2の凝固熱は、蓄熱槽4内の温度を蓄熱材2の融点近傍に維持する。これにより、蓄熱材2が完全に凝固するまでは蓄熱材1の温度は蓄熱材2の融点近傍、すなわち自発的凝固開始温度よりも高温に保持され、蓄熱材1が自発的凝固温度に達する時間を引き延ばすことができる。
熱の抽出時には、外部の低温熱源から蓄熱材1の自発的凝固開始温度よりも低温の熱媒体を管路6、7を介して発核部Bに循環させ、蓄熱材1及び蓄熱材2のうち未発核のものを局所的に各自発的凝固開始温度よりも低温度に冷却することで発核を起こさせる。一度発核が起こると結晶は上方に成長し、蓄熱部Aに潜熱を放出しながら凝固が進展する。発核が完了すれば、管路6から管路7への冷却水の循環を停止させる。次に、蓄熱体から放出される凝固熱を抽出するために管路8から管路9を介して蓄熱部Aに熱媒体を循環させ、蓄熱材1及び蓄熱材2から熱媒体に熱を移動させる。蓄熱材1及び未発核であった蓄熱材2の凝固熱で加熱されて管路9から流出する高温の熱媒体は、外部の熱利用設備で利用された後に、管路8から蓄熱槽4に帰還する。
各経路に熱媒体を流す方向は自由であり、例えば加熱時は管路7→管路6→管路8→管路9の順やその逆の管路9→管路8→管路6→管路7の順に、蓄熱部Aと発核部Bを直列接続となるように熱媒体を循環させてもよい。また、冷却時は経路7→経路6で、熱回収時は経路9→経路8で熱媒体を循環させてもよい。
蓄熱材2の量は、必要とされる時間までは蓄熱槽4内の温度が蓄熱材1の自発的凝固開始温度を下回らないように設定すればよい。蓄熱材1と蓄熱材2は蓄熱槽4の内部で混在して構わないが、蓄熱槽4の壁近傍の温度は蓄熱槽中心に比して僅かだが低温になりやすいので、蓄熱材1の不必要な自発的凝固を回避するために蓄熱材2は蓄熱材1を取り囲むように配置すると、より効果的である。また、蓄熱容器3や蓄熱槽4は、上述の作用が得られれば、図1の形状に限らず種々の形状が選択できる。
また、本実施例は2種類の蓄熱材による構成例を示しているが、3種類以上の蓄熱材による場合も物質の必要条件と役割は同様である。たとえば、3種類の場合には[第3の蓄熱材の融点]<[第2の蓄熱材の融点]<[第1の蓄熱材の融点]、および[第1の蓄熱材の自発的凝固開始温度]<[第2の蓄熱材の自発的凝固開始温度]<[第3の蓄熱材の自発的凝固開始温度]の関係を満たせばよい。この場合、最も融点の低い第3の蓄熱材が最初に自発的に凝固して蓄熱槽内の温度を第3の蓄熱材の融点近傍に保持し、融点の低い第2の蓄熱材が次に自発的に凝固して蓄熱槽内の温度を第2の蓄熱材の融点近傍に保持するので、第2の蓄熱材及び第3の蓄熱材が凝固熱を放出する間は、第1の蓄熱材の自発的凝固開始を後らせて、最も高温の融解潜熱を過冷却状態で貯蔵し続けることができる。
本発明の他の蓄熱装置の断面構造図を図2に示す。図2において、11は蓄熱槽12に充填された相変化蓄熱材、13は蓄熱槽14に充填された相変化蓄熱材であり、それぞれ実施例1の図1の蓄熱材1と蓄熱材2の役割に相当する。たとえば、蓄熱材11にエリスリトール、蓄熱材13に75℃程度に融点を示す分子量のパラフィンワックスを適用すれば、蓄熱材11の融点は119℃、自発的凝固開始温度は50℃程度、蓄熱材2の融点は75℃、自発的凝固開始温度は70℃程度となるので、[蓄熱材2の融点]<[蓄熱材1の融点]及び[蓄熱材1の自発的凝固開始温度]<[蓄熱材2の自発的凝固開始温度]の関係を満たす。蓄熱材11と蓄熱材13には、上記温度関係を満たす物質であれば上記例に限定されず、実施例1と同様に種々の物質の組み合わせを適用できる。
蓄熱槽12は蓄熱槽14に完全に包囲されるように配置されれば最も効果的であるが、たとえば蓄熱槽12の側面のみが部分的に蓄熱槽14に包囲されるような位置関係にあっても一定の効果を得ることはできる。また、蓄熱槽12と蓄熱槽14は球状や円筒状、直方体状など種々の形状を採ることもできる。さらに、蓄熱槽12や蓄熱槽14が複数の槽で構成されても、蓄熱槽12の一群が蓄熱槽14の一群に包囲されていれば、単一槽の時と同様の効果が期待できる。図2において15と16は、それぞれ蓄熱材11と蓄熱槽12、蓄熱材13と蓄熱槽14との隙間に螺旋状に設けられた熱交換管である。17と18は必要時に蓄熱材11と蓄熱材13を局所的に冷却するための熱電素子であり、19と20、21と22は蓄熱槽12と蓄熱槽14の外部にある熱源及び熱利用施設とを接続する管路である。
上述のように構成された蓄熱装置においても、蓄熱過程は実施例1と同様である。すなわち熱の注入時には、外部の高温熱源から管路19→管路20、管路21→管路22の順にそれぞれ高温の熱媒体を循環させ、熱交換管15及び熱交換管16を介して蓄熱材11と蓄熱材13を加熱し、融解させる。この場合に、蓄熱材13は蓄熱材11よりも融点が低いので、管路20から出た熱媒体を管路21に注入し、蓄熱材11を加熱した後の熱媒体でさらに蓄熱材13を加熱することで、効率的な加熱を行わせることもできる。蓄熱が完了すると、熱媒体の循環を停止させ、蓄熱槽12及び蓄熱槽14を放置する。
熱の保存期間においては、蓄熱槽12及び蓄熱槽14から各蓄熱槽周囲環境への熱損失のために、蓄熱材11と蓄熱材13の温度は徐々に低下するが、蓄熱槽12は蓄熱槽14に包囲されているので、蓄熱槽12の熱損失は蓄熱槽14の熱取得となり、蓄熱材11を蓄熱材13よりも高温に保つことができる。蓄熱槽12内の温度が蓄熱材11の融点を下回ると、それ以降は蓄熱材11が過冷却状態になる。さらに温度が低下し蓄熱槽14内の温度が蓄熱材13の融点を下回ると、それ以降は蓄熱材13も過冷却状態になる。さらに温度が低下し、蓄熱槽14内の温度が蓄熱材13の自発的凝固開始温度に達すると、蓄熱材13は凝固を開始し、凝固熱を放出する。放出された蓄熱材13の凝固熱は、蓄熱槽14内の温度を蓄熱材13の融点近傍に維持する。これにより、蓄熱材13が完全に凝固するまでは蓄熱材11の温度は蓄熱材13の融点近傍、すなわち自発的凝固開始温度よりも高温に保持され、蓄熱材11が自発的凝固温度に達する時間を引き延ばすことができる。
熱の抽出時には、熱電素子17に外部から通電して蓄熱材11を局所的に冷却し、自発的凝固開始温度よりも低温度にすることで発核を起こさせる。蓄熱材11を発核させる時点で蓄熱槽14内の温度が高く、蓄熱材13が未発核の場合には、熱電素子18にも通電して蓄熱材13の発核を促進させる。一度発核が起こると結晶は上方に成長し、蓄熱槽12あるいは蓄熱槽12及び蓄熱槽14内に潜熱を放出しながら凝固が進展する。蓄熱材11から放出される凝固熱を抽出するために管路19から管路20を介して熱交換管15に熱媒体を循環させ、蓄熱材11から熱媒体に熱を移動させる。あるいは管路19から管路20及び管路21から管路22を介して熱交換管15及び熱交換管16に熱媒体を循環させ、蓄熱材11及び蓄熱材13から熱媒体に熱を移動させる。蓄熱材11及び未発核であった蓄熱材13の凝固熱で加熱されて管路20及び管路22から流出する高温の熱媒体は、外部の熱利用設備で利用された後に、管路19及び21から蓄熱槽12及び蓄熱槽14にそれぞれ帰還する。
各経路に熱媒体を流す方向は自由であり、また熱交換管15と熱交換管16の接続は必要に応じて直列と並列を選択することができる。
蓄熱材13の量は、必要とされる時間までは蓄熱槽12内の温度が蓄熱材11の自発的凝固開始温度を下回らないように設定すればよい。また、熱交換管15及び熱交換管16は、上述の作用が得られれば図2の形状に限らず、種々の形状が選択できる。
また、本実施例は2種類の蓄熱材の構成例を示しているが、3種類以上あっても実施例1の記述のように、物質の必要条件と役割は同様であり、たとえば3種類の場合には最外周に配置された最も融点の低い第3の蓄熱材が最初に自発的に凝固して蓄熱槽内の温度を第3の蓄熱材の融点近傍に保持し、次に融点の低い第2の蓄熱材が自発的に凝固して蓄熱槽内の温度を第2の蓄熱材の融点近傍に保持するので、その期間は第1の蓄熱材の自発的凝固を後らせることができる。
本発明の蓄熱装置の断面構造図である。(実施例1) 本発明の蓄熱装置の断面構造図である。(実施例2) 従来の蓄熱装置の断面図である。
符号の説明
1、2、11、13 相変化蓄熱材
3 蓄熱容器
4、12、14 蓄熱槽
5 断熱板
6、7、8、9、19、20、21、22 管路
10 断熱材
15、16 熱交換管
17、18 熱電素子

Claims (5)

  1. 内部に熱媒体が循環する蓄熱槽の内部に配置され、該熱媒体から与えられた熱を内部に充填された過冷却可能な相変化蓄熱材を過冷却状態にして貯蔵する蓄熱容器であって、
    n種類(nは2以上の自然数)の過冷却可能な相変化蓄熱材がそれぞれ別々に充填されたn種類の蓄熱容器と、該蓄熱容器に充填された前記相変化蓄熱材を局所的に冷却して過冷却状態を解除する手段とからなり、
    前記n種類の相変化蓄熱材において、第i番目(1≦i≦n−1)の相変化蓄熱材の融点は、第(i+1)番目の相変化蓄熱材の融点よりも高く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度は前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度よりも低いことを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の充填された蓄熱容器は、前記第i番目の相変化蓄熱材の充填された蓄熱容器よりも前記蓄熱槽の外壁に近い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 内部に熱媒体が循環する蓄熱槽であって、過冷却可能なn種類(nは2以上の自然数)の相変化蓄熱材がそれぞれ別々に充填され、前記熱媒体から与えられた熱を各相変化蓄熱材を過冷却状態にして貯蔵するn種類の蓄熱槽と、該蓄熱槽に充填された相変化蓄熱材を局所的に冷却して過冷却状態を解除する手段からなり、前記n種類の相変化蓄熱材において、第i番目(1≦i≦n−1)の相変化蓄熱材の融点は、第(i+1)番目の相変化蓄熱材の融点よりも高く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度は前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材の凝固開始温度よりも低く、かつ、前記第i番目の相変化蓄熱材を貯蔵する蓄熱槽は、少なくともその側面が前記第(i+1)番目の相変化蓄熱材を貯蔵する蓄熱槽に部分的に包囲されるように配置されていることを特徴とする蓄熱装置。
  4. 前記第i番目の相変化蓄熱材は多価アルコールを主成分とし、第j番目(i<j≦n)の相変化蓄熱材はポリエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項1乃至請求項に記載の蓄熱装置。
  5. 前記第i番目の相変化蓄熱材は多価アルコールを主成分とし、第j番目(i<j≦n)の相変化蓄熱材はパラフィンを主成分とすることを特徴とする請求項1乃至請求項に記載の蓄熱装置。
JP2007273713A 2007-10-22 2007-10-22 蓄熱装置 Expired - Fee Related JP5594752B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007273713A JP5594752B2 (ja) 2007-10-22 2007-10-22 蓄熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007273713A JP5594752B2 (ja) 2007-10-22 2007-10-22 蓄熱装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009103341A JP2009103341A (ja) 2009-05-14
JP5594752B2 true JP5594752B2 (ja) 2014-09-24

Family

ID=40705182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007273713A Expired - Fee Related JP5594752B2 (ja) 2007-10-22 2007-10-22 蓄熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5594752B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014099510A (ja) * 2012-11-14 2014-05-29 Toshiba Corp 太陽光発電機
JP6077928B2 (ja) * 2013-05-20 2017-02-08 富士重工業株式会社 電子機器の収容ケース
CN111623406A (zh) * 2020-04-15 2020-09-04 北京工业大学 一种严寒环境户外可携带相变蓄热供暖装置

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5231578B2 (ja) * 1974-06-05 1977-08-16
JPS63225814A (ja) * 1987-03-16 1988-09-20 Fujitsu Ltd 温度維持装置
JPH0650121A (ja) * 1992-07-29 1994-02-22 Nippondenso Co Ltd 蓄熱装置
JPH0696343A (ja) * 1992-09-14 1994-04-08 Sanden Corp 蓄熱ユニット
JPH06281372A (ja) * 1993-03-30 1994-10-07 Mazda Motor Corp 潜熱蓄熱機の発核装置
JP3444127B2 (ja) * 1997-01-23 2003-09-08 三菱化学株式会社 蓄熱材組成物
JP2981890B1 (ja) * 1998-10-07 1999-11-22 工業技術院長 蓄熱装置およびその装置における熱管理方法
JP3472795B2 (ja) * 1999-11-24 2003-12-02 独立行政法人産業技術総合研究所 蓄熱槽、蓄熱装置並びに蓄熱及び熱回収方法
JP3472796B2 (ja) * 1999-12-27 2003-12-02 独立行政法人産業技術総合研究所 蓄熱槽、蓄熱装置及び蓄熱及び熱回収方法
JP3752536B2 (ja) * 2002-05-01 2006-03-08 独立行政法人産業技術総合研究所 蓄熱槽、熱利用装置及びその熱利用方法
JP2005009829A (ja) * 2003-06-20 2005-01-13 Kyushu Electric Power Co Inc 蓄熱ユニット
JP3867147B2 (ja) * 2004-03-15 2007-01-10 独立行政法人産業技術総合研究所 蓄熱体、蓄熱装置およびその熱管理方法
JP2006234310A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Osaka Gas Co Ltd 蓄熱装置
JP2006284008A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 蓄熱装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009103341A (ja) 2009-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fazilati et al. Phase change material for enhancing solar water heater, an experimental approach
Amini et al. An investigation into the use of the heat pipe technology in thermal energy storage heat exchangers
US4200148A (en) Storing and extracting latent heat
Mazman et al. Heat transfer enhancement of fatty acids when used as PCMs in thermal energy storage
WO2017159065A1 (ja) 熱貯蔵システム
US20170254601A1 (en) Thermal energy storage systems comprising encapsulated phase change materials and a neutralizing agent
JP5594752B2 (ja) 蓄熱装置
Kunkel et al. Channel formation and visualization of melting and crystallization behaviors in direct‐contact latent heat storage systems
JP4714923B2 (ja) 蓄熱装置
JP2011038760A (ja) 温熱用蓄熱装置
Shank et al. Experimental study of a latent heat thermal energy storage system assisted by variable-length radial fins
CA1130675A (en) System and process for storing energy
Amer et al. Thermal energy storage by using latent heat storage materials
CN101779088B (zh) 热水器
JP3873229B2 (ja) 温蓄熱装置
JP2006284008A (ja) 蓄熱装置
JP5083881B2 (ja) 蓄熱装置及びその熱管理方法
JP2981890B1 (ja) 蓄熱装置およびその装置における熱管理方法
Agyenim et al. A comparison of heat transfer enhancement in medium temperature thermal energy storage heat exchanger using fins and multitubes
JP3867147B2 (ja) 蓄熱体、蓄熱装置およびその熱管理方法
JP2017122555A (ja) 蓄熱装置および蓄熱方法
JP2015183973A (ja) 過冷却型潜熱蓄熱材組成物および蓄熱システム
JP2004232897A (ja) 複合型蓄熱装置
NAING et al. Reduction of the solidification height of phase-change material in direct-contact latent heat storage vessel
JP6588492B2 (ja) 潜熱蓄熱材の過冷却防止方法、及び潜熱蓄熱槽

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5594752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees