JPH0532963A - 蓄熱材 - Google Patents
蓄熱材Info
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- JPH0532963A JPH0532963A JP3192024A JP19202491A JPH0532963A JP H0532963 A JPH0532963 A JP H0532963A JP 3192024 A JP3192024 A JP 3192024A JP 19202491 A JP19202491 A JP 19202491A JP H0532963 A JPH0532963 A JP H0532963A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 使用容器に対し耐食性の材料からなる蓄熱材
を提供する。 【構成】 耐食性材料として、エリスリトール、マンニ
トールおよびガラクチトールからなる群より選ばれる糖
アルコールを主成分とする蓄熱材を提供する。かかる蓄
熱材は、さらに核形成材を添加してもよい。
を提供する。 【構成】 耐食性材料として、エリスリトール、マンニ
トールおよびガラクチトールからなる群より選ばれる糖
アルコールを主成分とする蓄熱材を提供する。かかる蓄
熱材は、さらに核形成材を添加してもよい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エリスリトール、マン
ニトールおよびガラクチトールを主成分とし、これらの
化合物の融解潜熱を利用する蓄熱材に関する。エリスリ
トール、マンニトールおよびガラクチトールは、高融解
潜熱、高融点を有し、かつ熱安定性に優れた物質であ
り、毒性の問題がなく、難燃性であり、金属などの蓄熱
器の材質に対する腐食性もない特質から新しい蓄熱材と
して期待されるものである。
ニトールおよびガラクチトールを主成分とし、これらの
化合物の融解潜熱を利用する蓄熱材に関する。エリスリ
トール、マンニトールおよびガラクチトールは、高融解
潜熱、高融点を有し、かつ熱安定性に優れた物質であ
り、毒性の問題がなく、難燃性であり、金属などの蓄熱
器の材質に対する腐食性もない特質から新しい蓄熱材と
して期待されるものである。
【0002】
【従来の技術】潜熱利用型蓄熱材は、顕熱利用型と比較
して融点を含む狭い温度領域に温度上昇を伴うことなく
大量の熱エネルギーを貯蔵できることから、主として取
り出し温度が一定で小容積な設計をするために検討され
ている。この代表的な蓄熱材として特開昭51−128
053号公報に見られるような塩化マグネシウム・6水
塩、特開昭51−126980号公報の硝酸マグネシウ
ム・6水塩、特開昭51−70193号公報の水酸化バ
リウム・8水塩、特開昭51−70193号公報の塩化
カルシウム・6水塩などの無機水和塩類、特開昭57−
145173号公報の蟻酸ナトリウム・3水塩のような
有機酸塩水和物があるが、これらの塩水和物には溶融/
凝固の繰り返しによる相分離や過冷却現象など、実用上
の問題があり、一方これらは金属などの機材に対する腐
食性が大きいため容器材質の選択が難しく、耐食性の材
質を使用すると装置のコストアップの原因となるといっ
た課題をかかえている。
して融点を含む狭い温度領域に温度上昇を伴うことなく
大量の熱エネルギーを貯蔵できることから、主として取
り出し温度が一定で小容積な設計をするために検討され
ている。この代表的な蓄熱材として特開昭51−128
053号公報に見られるような塩化マグネシウム・6水
塩、特開昭51−126980号公報の硝酸マグネシウ
ム・6水塩、特開昭51−70193号公報の水酸化バ
リウム・8水塩、特開昭51−70193号公報の塩化
カルシウム・6水塩などの無機水和塩類、特開昭57−
145173号公報の蟻酸ナトリウム・3水塩のような
有機酸塩水和物があるが、これらの塩水和物には溶融/
凝固の繰り返しによる相分離や過冷却現象など、実用上
の問題があり、一方これらは金属などの機材に対する腐
食性が大きいため容器材質の選択が難しく、耐食性の材
質を使用すると装置のコストアップの原因となるといっ
た課題をかかえている。
【0003】一方、低腐食性の観点から有機、特にパラ
フィン系の蓄熱材が多く開発されているが、融解熱が5
0cal /g以下、融点は80℃以下といずれも低く、か
つ純粋なパラフィンは高価となるため安価なものを使用
すると融点幅が広くなるという欠点もある。更に、易燃
性で繰り返し使用による劣化が激しいという欠点もあ
る。
フィン系の蓄熱材が多く開発されているが、融解熱が5
0cal /g以下、融点は80℃以下といずれも低く、か
つ純粋なパラフィンは高価となるため安価なものを使用
すると融点幅が広くなるという欠点もある。更に、易燃
性で繰り返し使用による劣化が激しいという欠点もあ
る。
【0004】また、特開昭56−79174号公報「熱
エネルギー貯蔵材料」において、100℃以上の融点を
示すジメチルテレフタレート、ジメチルフマレートおよ
びジヒドロアントラセンが高融点の有機物系蓄熱材とし
て報告されているものの、これらは融解潜熱が55cal
/g以下であり十分満足のできる物性ではない。また、
米国特許第4,295,517号明細書「蓄熱材として
キシリトールを含有する反復使用可能な加熱装置 (REUS
ABLE HEAT DEVICES CONTAINING XYLITOLAS THE HEAT-ST
ORAGE MATERIAL)」では、多価アルコール系のキシリト
ールが報告されているが、融点が92℃と低く、結晶性
が悪く、かつ繰り返し使用時の熱安定性も悪いことから
実用的とは言い難い。
エネルギー貯蔵材料」において、100℃以上の融点を
示すジメチルテレフタレート、ジメチルフマレートおよ
びジヒドロアントラセンが高融点の有機物系蓄熱材とし
て報告されているものの、これらは融解潜熱が55cal
/g以下であり十分満足のできる物性ではない。また、
米国特許第4,295,517号明細書「蓄熱材として
キシリトールを含有する反復使用可能な加熱装置 (REUS
ABLE HEAT DEVICES CONTAINING XYLITOLAS THE HEAT-ST
ORAGE MATERIAL)」では、多価アルコール系のキシリト
ールが報告されているが、融点が92℃と低く、結晶性
が悪く、かつ繰り返し使用時の熱安定性も悪いことから
実用的とは言い難い。
【0005】このような蓄熱材の開発状況の中で伝熱媒
体として水あるいは水蒸気を用いるシステムが多く、水
温を高温に保持できる、または水蒸気を気体の状態に保
持し潜熱を利用できる蓄熱材の開発が期待される。
体として水あるいは水蒸気を用いるシステムが多く、水
温を高温に保持できる、または水蒸気を気体の状態に保
持し潜熱を利用できる蓄熱材の開発が期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】世界的にエネルギー資
源の枯渇あるいは供給の不安定さが第一次石油ショック
で認識されて久しいが、近年、温暖化現象に見られるよ
うな環境問題、更には、エネルギー資源が有限であるこ
となどからエネルギーの有効利用は、人類にとって益々
重要な課題となってきている。そこで、太陽エネルギー
あるいは石油・石炭などの種々の資源利用において発生
する排熱エネルギーの有効利用が望まれる。
源の枯渇あるいは供給の不安定さが第一次石油ショック
で認識されて久しいが、近年、温暖化現象に見られるよ
うな環境問題、更には、エネルギー資源が有限であるこ
となどからエネルギーの有効利用は、人類にとって益々
重要な課題となってきている。そこで、太陽エネルギー
あるいは石油・石炭などの種々の資源利用において発生
する排熱エネルギーの有効利用が望まれる。
【0007】例えば、太陽エネルギーまたは排熱を熱エ
ネルギーとして一時期貯蔵し、必要に応じて使用する。
また、夜間の余剰電力を熱エネルギーとして貯蔵し、昼
間の消費電力のピーク時に使用して電力ピークを抑制す
ることも考えられる。本発明の目的は、これらの要請を
満足すると共に、従来技術に随伴する各種欠点を解消す
る優れた蓄積材を提供することにある。
ネルギーとして一時期貯蔵し、必要に応じて使用する。
また、夜間の余剰電力を熱エネルギーとして貯蔵し、昼
間の消費電力のピーク時に使用して電力ピークを抑制す
ることも考えられる。本発明の目的は、これらの要請を
満足すると共に、従来技術に随伴する各種欠点を解消す
る優れた蓄積材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく各種の物質について鋭意研究を行った結
果、意外にも、エリスリトール、マンニトールおよびガ
ラクチトールが蓄熱材として優れた特性を持つことを見
出だし本発明を完成した。従って、前記課題は、エリス
リトール、マンニトールおよびガラクチトールから選ば
れる糖アルコールを主成分とする蓄熱材を提供する本発
明によって解決することができる。
を解決すべく各種の物質について鋭意研究を行った結
果、意外にも、エリスリトール、マンニトールおよびガ
ラクチトールが蓄熱材として優れた特性を持つことを見
出だし本発明を完成した。従って、前記課題は、エリス
リトール、マンニトールおよびガラクチトールから選ば
れる糖アルコールを主成分とする蓄熱材を提供する本発
明によって解決することができる。
【0009】本発明の主成分として用いるエリスリトー
ル、マンニトールおよびガラクチトールは、それ自体既
知物質であり、市販の製品をそのまま利用するか、また
は、対応する糖を常法によって還元して調製したものを
使用することができる。例えば、エリスリトールは、日
研化学株式会社にてグルコースを原料とする酵母発酵に
より生産されたものを使用することができ、マンニトー
ルは市販の異性化糖を接触還元し、生成物を晶析するこ
とにより容易に入手できる。また、ガラクチトールはラ
クトースを加水分解し、接触還元し、次いで晶析するこ
とにより容易に得ることができる。
ル、マンニトールおよびガラクチトールは、それ自体既
知物質であり、市販の製品をそのまま利用するか、また
は、対応する糖を常法によって還元して調製したものを
使用することができる。例えば、エリスリトールは、日
研化学株式会社にてグルコースを原料とする酵母発酵に
より生産されたものを使用することができ、マンニトー
ルは市販の異性化糖を接触還元し、生成物を晶析するこ
とにより容易に入手できる。また、ガラクチトールはラ
クトースを加水分解し、接触還元し、次いで晶析するこ
とにより容易に得ることができる。
【0010】これらの物性を下記表1に示し参考に供す
る。
る。
【0011】
【表1】
【0012】表1の分析値は、熱分析を示差走差熱量分
析計(セイコー電子工業社製)で行い、融解潜熱を求
め、そのときのピークトップを融点として示した。これ
らの物質は融点以上に加熱することにより容易に融解
し、この時融解潜熱分のエネルギーを吸熱して温度を融
点付近に保持できる。すなわち、本発明はかかる融解潜
熱の利用に着目したことに基づくものである。しかしな
がら、本発明にいう「蓄熱材」とは融解潜熱の利用と結
晶化熱の利用の両利用態様を包含する概念である。
析計(セイコー電子工業社製)で行い、融解潜熱を求
め、そのときのピークトップを融点として示した。これ
らの物質は融点以上に加熱することにより容易に融解
し、この時融解潜熱分のエネルギーを吸熱して温度を融
点付近に保持できる。すなわち、本発明はかかる融解潜
熱の利用に着目したことに基づくものである。しかしな
がら、本発明にいう「蓄熱材」とは融解潜熱の利用と結
晶化熱の利用の両利用態様を包含する概念である。
【0013】本発明において、エリスリトール、マンニ
トールまたはガラクチトールを「主成分とする」とは、
本発明の蓄熱材がその目的を達成する量でこれらの糖ア
ルコールを含むことをいい、本発明の目的に沿うかぎり
副成分が混入できる意味に用いている。また、主成分と
して用いる糖アルコールは、それぞれ単独で用いても、
組み合わせて用いてもよい。
トールまたはガラクチトールを「主成分とする」とは、
本発明の蓄熱材がその目的を達成する量でこれらの糖ア
ルコールを含むことをいい、本発明の目的に沿うかぎり
副成分が混入できる意味に用いている。また、主成分と
して用いる糖アルコールは、それぞれ単独で用いても、
組み合わせて用いてもよい。
【0014】以下に副成分の例を挙げるが、本発明の使
用目的または使用態様によって多種多様の副成分を含め
ることができるので、主成分に混入できる副成分が以下
の記載によって制限を受けるものでない。従って、副成
分は本発明の目的上消極的な意味を有するだけでなく、
積極的な意味を有するものも含む。本発明者らは、例え
ば、副成分が主成分の核形成性を高めるような場合に
は、それによって本発明の蓄熱材の融点・融解潜熱を所
望の値に調整できることを見い出した。この目的に沿う
副成分としては、他の糖アルコール、その他の糖類、例
えば、ソルビトール、ラクトース、果性化糖、マンノー
ス、ガラクトース、グルコース、ラクチトール、ペンタ
エリスリトールなどが挙げられる。例えば、ペンタエリ
スリトールを本発明の蓄熱材の副成分として用いると、
組成物の過冷却現象を緩和できることを見い出した。か
かる発見に基づき、本発明のもう一つの態様である過冷
却現象を緩和した蓄熱材が提供される。
用目的または使用態様によって多種多様の副成分を含め
ることができるので、主成分に混入できる副成分が以下
の記載によって制限を受けるものでない。従って、副成
分は本発明の目的上消極的な意味を有するだけでなく、
積極的な意味を有するものも含む。本発明者らは、例え
ば、副成分が主成分の核形成性を高めるような場合に
は、それによって本発明の蓄熱材の融点・融解潜熱を所
望の値に調整できることを見い出した。この目的に沿う
副成分としては、他の糖アルコール、その他の糖類、例
えば、ソルビトール、ラクトース、果性化糖、マンノー
ス、ガラクトース、グルコース、ラクチトール、ペンタ
エリスリトールなどが挙げられる。例えば、ペンタエリ
スリトールを本発明の蓄熱材の副成分として用いると、
組成物の過冷却現象を緩和できることを見い出した。か
かる発見に基づき、本発明のもう一つの態様である過冷
却現象を緩和した蓄熱材が提供される。
【0015】従って、本発明でいう核形成材とは、結晶
核として蓄熱材の結晶を成長させるもの、あるいは蓄熱
材の結晶核形成のきっかけとなり、結晶核の生成を促す
ものの、いずれをも含み、蓄熱材の結晶化をより容易に
するものをいう。具体的な態様を挙げると、例えば、蓄
熱材エリスリトール100重量部に対して、核形成材と
してペンタエリスリトールを9〜23重量部添加する場
合、エリスリトール(融点120℃)の熔融温度130
℃では、ペンタエリスリトール(セイコー電子工業社製
示差走査熱量計による分析においてピークトップが18
0℃)が熔融することなく残存し、一方、この組成物が
冷却し始めると、核形成材としてエリスリトールの結晶
化を促し過冷却現象が緩和される。前記では核形成材と
してペンタエリスリトールを用いる場合を例示したが、
核形成材の添加量は、その種類と期待する効果の程度に
より、異なるので、限定されるものではない。
核として蓄熱材の結晶を成長させるもの、あるいは蓄熱
材の結晶核形成のきっかけとなり、結晶核の生成を促す
ものの、いずれをも含み、蓄熱材の結晶化をより容易に
するものをいう。具体的な態様を挙げると、例えば、蓄
熱材エリスリトール100重量部に対して、核形成材と
してペンタエリスリトールを9〜23重量部添加する場
合、エリスリトール(融点120℃)の熔融温度130
℃では、ペンタエリスリトール(セイコー電子工業社製
示差走査熱量計による分析においてピークトップが18
0℃)が熔融することなく残存し、一方、この組成物が
冷却し始めると、核形成材としてエリスリトールの結晶
化を促し過冷却現象が緩和される。前記では核形成材と
してペンタエリスリトールを用いる場合を例示したが、
核形成材の添加量は、その種類と期待する効果の程度に
より、異なるので、限定されるものではない。
【0016】なお、本発明でいう過冷却現象とは、通
常、物質が結晶化するとき、融点よりはるかに低い温度
まで結晶化しないことをいい、この現象を防ぎ、より融
点に近い温度で結晶化が惹起されるようにすることを過
冷却現象の緩和という。また、副成分として他の添加
剤、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、ヒドロキシ
アミン類)、および金属腐食防止剤(例えばクロム酸
塩、ポリリン酸塩、亜硝酸ナトリウム)等も使用器材に
関連して本発明の蓄熱材に加えることができる。
常、物質が結晶化するとき、融点よりはるかに低い温度
まで結晶化しないことをいい、この現象を防ぎ、より融
点に近い温度で結晶化が惹起されるようにすることを過
冷却現象の緩和という。また、副成分として他の添加
剤、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、ヒドロキシ
アミン類)、および金属腐食防止剤(例えばクロム酸
塩、ポリリン酸塩、亜硝酸ナトリウム)等も使用器材に
関連して本発明の蓄熱材に加えることができる。
【0017】以下、本発明の蓄熱材の使用形態および作
用について具体的に説明する。例えば、家庭用熱交換式
温水器内に蓄熱材として、エリスリトールを使用すると
夜間電力を利用して熔融させ、通水することにより温水
を必要なときに得ることができ、温水貯蔵タイプより省
スペースの温水器を構成することができる。次に、給食
・弁当等の保温材として本発明の蓄熱材を使用すれば、
電気配線、バッテリーといったエネルギー源の不要な給
食・弁当の運搬器の製作が可能となる。
用について具体的に説明する。例えば、家庭用熱交換式
温水器内に蓄熱材として、エリスリトールを使用すると
夜間電力を利用して熔融させ、通水することにより温水
を必要なときに得ることができ、温水貯蔵タイプより省
スペースの温水器を構成することができる。次に、給食
・弁当等の保温材として本発明の蓄熱材を使用すれば、
電気配線、バッテリーといったエネルギー源の不要な給
食・弁当の運搬器の製作が可能となる。
【0018】同様に、鍋、釜、食器類にジャケットを付
けその中に、本発明の蓄熱材を入れることにより料理を
高温で保持できる。また別の形態として、例えばマンニ
トール、ガラクチトールを熔融させてボイラーの蒸気配
管を保温することにより、蒸気の凝集を防ぎ、運転・開
始に要する時間も短縮できる。
けその中に、本発明の蓄熱材を入れることにより料理を
高温で保持できる。また別の形態として、例えばマンニ
トール、ガラクチトールを熔融させてボイラーの蒸気配
管を保温することにより、蒸気の凝集を防ぎ、運転・開
始に要する時間も短縮できる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明をこれらの例に限定するものではない
ことは言うまでもない。例1 図1のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに130℃に加熱熔融した日研化学(株)製エリ
スリトール800ml(深さ84mm) を入れ、中央部Bに
91.3℃の熱湯300ml (深さ60mm) を注ぎ込んだ
状態で中央部Bの水温の経時変化を測定した。また、コ
ントロールとして外側部分Aに何も入れない室内放冷モ
デルの、比較対照として外側部分Aに130℃に加熱し
た米山薬品工業製グリセリンを入れた顕熱型蓄熱モデル
の温度の経時変化を測定した。
明するが、本発明をこれらの例に限定するものではない
ことは言うまでもない。例1 図1のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに130℃に加熱熔融した日研化学(株)製エリ
スリトール800ml(深さ84mm) を入れ、中央部Bに
91.3℃の熱湯300ml (深さ60mm) を注ぎ込んだ
状態で中央部Bの水温の経時変化を測定した。また、コ
ントロールとして外側部分Aに何も入れない室内放冷モ
デルの、比較対照として外側部分Aに130℃に加熱し
た米山薬品工業製グリセリンを入れた顕熱型蓄熱モデル
の温度の経時変化を測定した。
【0020】その結果は、図2のとおりであり、図中、
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。室内
放冷あるいは顕熱型モデルと異なりエリスリトールは、
70分まで直線的に徐冷され、その後、放冷に近似した
曲線となっており、70℃以上の高温域では結晶化熱に
よって保温されていることが解る。例2 図3のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに関東化学(株)製マンニトール100gを入れ
180℃で加熱熔融後、170℃に加熱したグリセリン
40mlを中央部Bに注ぎ込みグリセリン温度の経時変化
を測定した。また、コントロールとして外側部分Aに何
も入れない室内放冷モデルの温度の経時変化も測定し
た。
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。室内
放冷あるいは顕熱型モデルと異なりエリスリトールは、
70分まで直線的に徐冷され、その後、放冷に近似した
曲線となっており、70℃以上の高温域では結晶化熱に
よって保温されていることが解る。例2 図3のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに関東化学(株)製マンニトール100gを入れ
180℃で加熱熔融後、170℃に加熱したグリセリン
40mlを中央部Bに注ぎ込みグリセリン温度の経時変化
を測定した。また、コントロールとして外側部分Aに何
も入れない室内放冷モデルの温度の経時変化も測定し
た。
【0021】その結果は、図4のとおりであり、図中、
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。測定
開始5分間で室内放冷は約30℃低下したのに対し、マ
ンニトールで保温したときはほぼ横這いであった。ま
た、100℃以上の高温域を比較すると室温放冷は9分
間であるのに対しマンニトールで保温したときは33分
間であった。例3 図3のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに日研化成(株)試作品ガラクチトール100g
を入れ、200℃で加熱溶解後、170℃に加熱したグ
リセリン40mlを中央部Bに注ぎ込みグリセリン温度の
経時変化を測定した。また、コントロールとして外側部
分Aに何も入れない室内放冷モデルの温度の経時変化も
測定した。
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。測定
開始5分間で室内放冷は約30℃低下したのに対し、マ
ンニトールで保温したときはほぼ横這いであった。ま
た、100℃以上の高温域を比較すると室温放冷は9分
間であるのに対しマンニトールで保温したときは33分
間であった。例3 図3のような二重構造ステンレススチール製容器の外側
部分Aに日研化成(株)試作品ガラクチトール100g
を入れ、200℃で加熱溶解後、170℃に加熱したグ
リセリン40mlを中央部Bに注ぎ込みグリセリン温度の
経時変化を測定した。また、コントロールとして外側部
分Aに何も入れない室内放冷モデルの温度の経時変化も
測定した。
【0022】その結果は、図5のとおりであり、図中、
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。室内
放冷では測定開始直後急速に冷却され15分間で約80
℃低下したが、ガラクチトール添加による保温効果で1
5分間温度がほぼ横這いで160℃以上に保持された。例4 エリスリトールとキシリトールをそれぞれ10gずつカ
ッセロールに入れ、130℃までの加熱と60℃までの
冷却を繰り返し行い、これらをサンプリングして熱分析
(DSC)により融点・融解潜熱を測定するとともにカ
ッセロール内の糖アルコールの結晶化状態を観察した。
縦軸は温度(℃)、横軸は経過時間(分)を示す。室内
放冷では測定開始直後急速に冷却され15分間で約80
℃低下したが、ガラクチトール添加による保温効果で1
5分間温度がほぼ横這いで160℃以上に保持された。例4 エリスリトールとキシリトールをそれぞれ10gずつカ
ッセロールに入れ、130℃までの加熱と60℃までの
冷却を繰り返し行い、これらをサンプリングして熱分析
(DSC)により融点・融解潜熱を測定するとともにカ
ッセロール内の糖アルコールの結晶化状態を観察した。
【0023】その結果は表2のとおりであり、エリスリ
トールでは、融点・融解潜熱ともに加熱回数250回ま
で全く変化が見られないのに対し、キシリトールでは、
180回で劣化が観察された。また、カッセロール内の
ようすはエリスリトールは250回まで容易に結晶化
し、キシリトールは1回から飴状で結晶化は見られなか
った。そこでキシリトールについてはこの結果を裏付け
る現象として示差走査熱量分析計により融解熱を分析後
放冷するとエリスリトールは結晶化による発熱ピークが
検出されたが、キシリトールでは見られなかった。
トールでは、融点・融解潜熱ともに加熱回数250回ま
で全く変化が見られないのに対し、キシリトールでは、
180回で劣化が観察された。また、カッセロール内の
ようすはエリスリトールは250回まで容易に結晶化
し、キシリトールは1回から飴状で結晶化は見られなか
った。そこでキシリトールについてはこの結果を裏付け
る現象として示差走査熱量分析計により融解熱を分析後
放冷するとエリスリトールは結晶化による発熱ピークが
検出されたが、キシリトールでは見られなかった。
【0024】なお、表2のキシリトールは混練して放置
しただけでは結晶化しないため混練することにより強制
的に結晶化させ融解熱を測定したものである。このこと
から、蓄熱材としての適性は、結晶化および熱安定性に
ついてもエリスリトールの方がキシリトールに比べ遙か
に優れている事が明らかである。
しただけでは結晶化しないため混練することにより強制
的に結晶化させ融解熱を測定したものである。このこと
から、蓄熱材としての適性は、結晶化および熱安定性に
ついてもエリスリトールの方がキシリトールに比べ遙か
に優れている事が明らかである。
【0025】
【表2】
【0026】例5
例2と同様の装置を使って、マンニトールに替えてエリ
スリトールとマンニトールを4:6の比率で混合したも
のを使用した結果を図6に示す。室内放冷では2.5分
程度しか100℃以上の温度を維持することが出来ない
が、混合物の場合は17分間程度は維持することが可能
である。例6 例2と同様の装置を使って、マンニトールに替えてガラ
クチトールとマンニトールを4:6の比率で混合したも
のを使用した結果を図7に示す。
スリトールとマンニトールを4:6の比率で混合したも
のを使用した結果を図6に示す。室内放冷では2.5分
程度しか100℃以上の温度を維持することが出来ない
が、混合物の場合は17分間程度は維持することが可能
である。例6 例2と同様の装置を使って、マンニトールに替えてガラ
クチトールとマンニトールを4:6の比率で混合したも
のを使用した結果を図7に示す。
【0027】室内放冷では2.5分程度しか100℃以
上の温度を維持することが出来ないが、混合物の場合は
17分間程度は維持することが可能である。また、35
から40分付近で、結晶化熱による保温効果が認められ
る。例7 日研化学(株)製エリスリトールに核形成材としてペン
タエリスリトール(キシダ化学(株)製)を一定比率混
合し、乳ばちで十分に粉砕したものを、サンプリングし
て示差走査熱分析計(DSC)により結晶化温度・結晶
化熱を測定した。
上の温度を維持することが出来ないが、混合物の場合は
17分間程度は維持することが可能である。また、35
から40分付近で、結晶化熱による保温効果が認められ
る。例7 日研化学(株)製エリスリトールに核形成材としてペン
タエリスリトール(キシダ化学(株)製)を一定比率混
合し、乳ばちで十分に粉砕したものを、サンプリングし
て示差走査熱分析計(DSC)により結晶化温度・結晶
化熱を測定した。
【0028】なお、本実験は密閉セル使用のため、非常
に過冷却現象が発生しやすい条件である。その結果は表
3に示すとおりであり、全く核形成材を加えないものの
結晶化温度は、30.9℃であるのに対し、ペンタエリ
スリトールを10%含有しているものは57.2℃、3
0%含有しているものは74.7℃となり明らかに過冷
却現象が緩和されている。
に過冷却現象が発生しやすい条件である。その結果は表
3に示すとおりであり、全く核形成材を加えないものの
結晶化温度は、30.9℃であるのに対し、ペンタエリ
スリトールを10%含有しているものは57.2℃、3
0%含有しているものは74.7℃となり明らかに過冷
却現象が緩和されている。
【0029】本発明のエリスリトールは、過冷却の小さ
い物質であり、上記のように使用する条件(量、環境)
によっては、本実験で使用した密閉セル内のように過冷
却を起こす可能性があるが、ペンタエリスリトールを使
用し、かつその量を調整することにより所望の結晶化温
度が実現される。従って、ペンタエリスリトールのよう
な核形成材の添加が、エリスリトールの過冷却防止する
上で好ましいことが判明した。
い物質であり、上記のように使用する条件(量、環境)
によっては、本実験で使用した密閉セル内のように過冷
却を起こす可能性があるが、ペンタエリスリトールを使
用し、かつその量を調整することにより所望の結晶化温
度が実現される。従って、ペンタエリスリトールのよう
な核形成材の添加が、エリスリトールの過冷却防止する
上で好ましいことが判明した。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】本発明のエリスリトール、マンニトール
およびガラクチトールは、全て120℃以上の高融点と
65cal /g以上の高融解潜熱を有する結晶粉末ある。
これらの物質を新規な蓄熱材として提供することにより
高温域で大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能と
なる。
およびガラクチトールは、全て120℃以上の高融点と
65cal /g以上の高融解潜熱を有する結晶粉末ある。
これらの物質を新規な蓄熱材として提供することにより
高温域で大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能と
なる。
【0032】この特質を応用すれば新しい蓄熱器あるい
は蓄熱システムを構築することもできる。
は蓄熱システムを構築することもできる。
【図1】例1で使用した実験装置の側断面図である。
【図2】蓄熱材としてエリスリトールを使用したときの
水温の経時変化を表している。
水温の経時変化を表している。
【図3】例2,3,5および6で使用した実験装置の側
断面図である。
断面図である。
【図4】蓄熱材としてマンニトールを使用したときのグ
リセリン温度の経時変化を表している。
リセリン温度の経時変化を表している。
【図5】蓄熱材としてガラクチトールを使用したときの
グリセリン温度の経時変化を表している。
グリセリン温度の経時変化を表している。
【図6】蓄熱材としてエリスリトールとマンニトールを
4:6の比率で混合したものを使用したときのグリセリ
ンの温度の経時変化を表している。
4:6の比率で混合したものを使用したときのグリセリ
ンの温度の経時変化を表している。
【図7】蓄熱材としてガラクチトールとマンニトールを
4:6の比率で混合したものを使用したときのグリセリ
ンの温度の経時変化を表している。
4:6の比率で混合したものを使用したときのグリセリ
ンの温度の経時変化を表している。
1…温度計センサー
2…外容器
3…内容器
Claims (3)
- 【請求項1】 エリスリトール、マンニトールおよびガ
ラクチトールからなる群より選ばれる糖アルコールを主
成分とする蓄熱材。 - 【請求項2】 請求項1記載の蓄熱材において、前記各
糖アルコールに対する核形成材を添加することにより過
冷却現象を緩和した蓄熱材。 - 【請求項3】 前記糖アルコールがエリスリトールであ
り、そして核形成材がペンタエリスリトールである請求
項2記載の蓄熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3192024A JPH0532963A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3192024A JPH0532963A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 蓄熱材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0532963A true JPH0532963A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16284333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3192024A Pending JPH0532963A (ja) | 1991-07-31 | 1991-07-31 | 蓄熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0532963A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0754744A1 (en) * | 1995-07-12 | 1997-01-22 | Mitsubishi Chemical Corporation | Heat storage compositions |
EP0722997A3 (en) * | 1995-01-11 | 1997-04-23 | Nikken Fine Chemicals Co Ltd | Heat build-up composition |
US5916477A (en) * | 1996-10-29 | 1999-06-29 | Mitsubishi Chemical Corporation | Heat storage/heat radiation method |
JP2001081446A (ja) * | 1999-09-16 | 2001-03-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 蓄熱材組成物及び蓄熱体 |
US8715523B2 (en) | 2011-01-31 | 2014-05-06 | The University Of Tokyo | Heat storage material and heat utilization system using the same |
CN105492566A (zh) * | 2013-08-29 | 2016-04-13 | 得克萨斯系统大学董事会 | 蓄热单元、其组合物及其制备和使用方法 |
US10174236B2 (en) | 2014-03-20 | 2019-01-08 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Heat storage material composition |
-
1991
- 1991-07-31 JP JP3192024A patent/JPH0532963A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP0722997A3 (en) * | 1995-01-11 | 1997-04-23 | Nikken Fine Chemicals Co Ltd | Heat build-up composition |
EP0754744A1 (en) * | 1995-07-12 | 1997-01-22 | Mitsubishi Chemical Corporation | Heat storage compositions |
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US5916477A (en) * | 1996-10-29 | 1999-06-29 | Mitsubishi Chemical Corporation | Heat storage/heat radiation method |
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US8715523B2 (en) | 2011-01-31 | 2014-05-06 | The University Of Tokyo | Heat storage material and heat utilization system using the same |
CN105492566A (zh) * | 2013-08-29 | 2016-04-13 | 得克萨斯系统大学董事会 | 蓄热单元、其组合物及其制备和使用方法 |
JP2016538401A (ja) * | 2013-08-29 | 2016-12-08 | ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム | 蓄熱ユニット、それらの成分、ならびにそれらの作製及び使用方法 |
CN105492566B (zh) * | 2013-08-29 | 2018-04-17 | 得克萨斯系统大学董事会 | 蓄热单元、其组合物及其制备和使用方法 |
US10174236B2 (en) | 2014-03-20 | 2019-01-08 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Heat storage material composition |
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