JP2018146173A - 蓄熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱材の過冷却状態を長期間維持可能としつつ、必要なタイミングで電気トリガーによって過冷却状態を解除することで、蓄熱材に蓄えられた熱を自由に取り出すことができる蓄熱装置を提供する。【解決手段】本開示の蓄熱装置は、過冷却状態で熱を保持し、電気トリガーで固化し発熱する、酢酸ナトリウム三水和物を主材とする蓄熱材104と、蓄熱材104に電気トリガーを与える、少なくとも1本は銀を含んで構成された一対以上の電極109と、を備える。蓄熱材104は、飽和濃度以下の銀元素を含み、電極109は、蓄熱材104と接触する表面の少なくとも一部に臭化銀が付着されている。【選択図】図1
Description
本開示は、蓄熱装置に関する。
従来の蓄熱材として、潜熱蓄熱材が知られている。潜熱蓄熱材は、物質の相変化を利用する蓄熱材である。相変化時の温度が一定であるので、潜熱蓄熱材は、熱エネルギーを安定した温度で取り出せるという利点を有する。潜熱蓄熱材を用いて蓄熱を行う場合、潜熱蓄熱材が加熱されて液体状態になる。その後、潜熱蓄熱材は、液体状態に維持されるように保温される。潜熱蓄熱材を固化(凝固)させることによって、潜熱蓄熱材に蓄えられた熱を必要な時期に取り出すことができる。
例えば、酢酸ナトリウム三水和物は、比較的大きい融解潜熱を有するので、少ない容量で効率的に熱を蓄えることができる物質として知られている。酢酸ナトリウム三水和物は、物質固有の温度(融点)で融解するものの、一旦融解すると融点を下回っても凝固せず、過冷却状態になることが知られている。そこで、酢酸ナトリウム三水和物を含む蓄熱材を加熱して液体状態にした後、蓄熱材を過冷却状態に保って蓄熱することが検討されている。この場合、酢酸ナトリウム三水和物を含む蓄熱材の過冷却状態を解除することによって、蓄熱材に蓄えられた熱を取り出すことができる。
従来の過冷却状態の解除手段としては、過冷却状態の蓄熱材に電圧を印加する電極が知られている(例えば、特許文献1参照)。図2は、特許文献1に記載された、過冷却解除の機能を有する従来の蓄熱装置を示している。図2に示す蓄熱装置は、蓄熱槽201、蓄熱材202、熱交換パイプ203、スイッチ204、電極材205、及び直流電源206を備えている。スイッチ204を熱交換パイプ203側に接続して直流電源206を動作させると、電極材205−熱交換パイプ203間に所定の電圧が印加される。
さらに、特許文献2は、酢酸ナトリウム三水和物を主材とし、アルカリ金属、アルカリ土類金属および亜鉛のそれぞれの塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる1種類以上の化合物を含有してなる蓄熱材を用いてなり、少なくとも1対の電極を備え、そのうち少なくとも1本は銀電極である蓄熱装置を開示している。さらにこの蓄熱装置において、融液状態の蓄熱材と接触した少なくとも1本の銀電極に通電し、その後に蓄熱材を固化させることによる電極の活性化処理方法が記載されている。活性化処理を行うことで、電気トリガーによる固化開始の繰り返し安定性が高い蓄熱装置を提供できる。
特許文献1及び2に記載の技術では、蓄熱材の過冷却状態を長時間維持可能としつつ、蓄熱材に蓄えられた熱を必要な時期に自由に取り出すことができる構成については具体的に検討されていない。
本開示は、蓄熱材の過冷却状態を長期間維持可能としつつ、必要なタイミングで電気トリガーによって過冷却状態を解除することで、蓄熱材に蓄えられた熱を自由に取り出すことができる蓄熱装置を提供する。
本開示は、過冷却状態で熱を保持し、電気トリガーで固化し発熱する、酢酸ナトリウム三水和物を主材とする蓄熱材と、前記蓄熱材に電気トリガーを与える、少なくとも1本は銀を含んで構成された一対以上の電極と、を有する蓄熱装置であって、前記蓄熱材は、飽和濃度以下の銀元素を含み、前記電極は、前記蓄熱材と接触する表面の少なくとも一部に臭化銀が付着されている、蓄熱装置を提供する。
本開示の蓄熱装置によれば、常温において蓄熱材の過冷却状態を長時間維持しつつ、任意のタイミングで電気トリガーを与えて過冷却を解除することで蓄熱材から熱を取り出すことができる。
(本発明者らの検討に基づく知見)
銀電極を用いて電気トリガーを与えることで蓄熱材の過冷却状態を解除する蓄熱装置では、融点以上の温度である融解状態の蓄熱材の中で通電処理を行った場合、特に特許文献2に記載の活性化処理を行うための通電処理を行った場合には、銀電極において化学反応が始まり、蓄熱材の中に銀が溶出する。このため、銀の溶解度が飽和したとき、不溶物として銀化合物が沈殿し、蓄熱材との間に界面が形成される。この界面の増加により、意図せず蓄熱材の固化(凝固)が促進されてしまうため、過冷却状態を長期間維持することが困難になり、蓄熱材に蓄えられた熱を、必要なタイミングで自由に取り出すことができないという課題があることを、本発明者らは新たに見出した。このため、活性化処理のような通電処理を行わずに準備された電極により、蓄熱材に電気トリガーを与えられる構成とするのが望ましい。
銀電極を用いて電気トリガーを与えることで蓄熱材の過冷却状態を解除する蓄熱装置では、融点以上の温度である融解状態の蓄熱材の中で通電処理を行った場合、特に特許文献2に記載の活性化処理を行うための通電処理を行った場合には、銀電極において化学反応が始まり、蓄熱材の中に銀が溶出する。このため、銀の溶解度が飽和したとき、不溶物として銀化合物が沈殿し、蓄熱材との間に界面が形成される。この界面の増加により、意図せず蓄熱材の固化(凝固)が促進されてしまうため、過冷却状態を長期間維持することが困難になり、蓄熱材に蓄えられた熱を、必要なタイミングで自由に取り出すことができないという課題があることを、本発明者らは新たに見出した。このため、活性化処理のような通電処理を行わずに準備された電極により、蓄熱材に電気トリガーを与えられる構成とするのが望ましい。
そこで、本発明者らは、活性化処理と呼ばれる通電処理を行わずとも、電気トリガーによる過冷却状態の解除を確実に行うことができる構成の検討を重ねた。その結果、発明者らは、銀を主体とする金属の表面に臭化銀を付着させたものを電極に用いることで、活性化処理のような通電処理が不要となり、その結果、電気トリガーを与えていないときは蓄熱材の過冷却状態を長期間維持することができることを新たに見出した。このような構成とすれば、活性化処理を行っていなくても、電極間に電気トリガーを与えたとき、電極表面の臭化銀と溶解した銀元素との間で何らかの反応が生じ、電極周りに結晶核が形成され、固化(凝固)が促進される。その結果、電気トリガーによる固化開始の繰り返し安定性が向上する。したがってこのような構成とすれば、活性化処理の工程を除くことができる。本発明者らは、この新たな知見に基づいて、本開示の蓄熱装置を案出した。なお、上記の知見は本発明者らの検討に基づくものであり、上記の知見は先行技術ではない。
本開示の第1の態様は、過冷却状態で熱を保持し、電気トリガーで固化し発熱する、酢酸ナトリウム三水和物を主材とする蓄熱材と、前記蓄熱材に電気トリガーを与える、少なくとも1本は銀を含んで構成された一対以上の電極と、を有する蓄熱装置であって、
前記蓄熱材は、飽和濃度以下の銀元素を含み、前記電極は、前記蓄熱材と接触する表面の少なくとも一部に臭化銀が付着されている、蓄熱装置を提供する。
前記蓄熱材は、飽和濃度以下の銀元素を含み、前記電極は、前記蓄熱材と接触する表面の少なくとも一部に臭化銀が付着されている、蓄熱装置を提供する。
第1の態様の蓄熱装置によれば、常温において液相の状態を長時間維持することができ、電気トリガーを与えると100%の確率で液相を固相に変えることができるので、任意のタイミングで熱を取り出すことができる。
本開示の第2の態様は、特に第1の態様に加え、蓄熱材に含まれる銀元素の重量濃度が3000ppmを超えない蓄熱装置を提供する。
第2の態様の蓄熱装置によれば、融点からの温度差が大きく、液相の状態を維持するのが従来技術では困難な−20℃環境下においても、液相の状態を12時間以上維持することができる。
本開示の第3の態様は、第1の態様または第2の態様に加え、前記臭化銀における臭素元素のモル分率が、0.1%より大きく、且つ、50%より小さい蓄熱装置を提供する。
第3の態様の蓄熱装置によれば、液相から固体への固化を行うことが従来技術では困難である0.2Vの低電圧電気トリガーにおいても、2分以内に100%の確率で液相を固相に変えることができる。さらに低電圧化によって、電極反応が減少し、繰返し利用における蓄熱装置の耐久性向上と、低電圧化によるランニングコスト低減が可能である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(実施の形態1)
図1は、本開示における蓄熱装置の概略図である。
図1は、本開示における蓄熱装置の概略図である。
図1において、蓄熱槽101は潜熱蓄熱材104で満たされており、周囲を断熱材102によって囲まれている。過冷却状態を解除する装置として、銀で構成された一対の電極109とそれらをつなぐ電源110とスイッチ111を備えた電線によって構成されている。潜熱蓄熱材104は、飽和濃度以下の銀元素を含み、電極109は、電極表面116にハロゲン化銀が付着されている(実施の形態1の構成)。
かかる構成によれば蓄熱材104に銀元素を添加し、電極表面116にハロゲン化銀を付着するとすることにより、液相に電気トリガーを与えた時、電極表面116のハロゲン化銀と、溶解した銀元素との間で酸化還元のような反応が起こり、電極表面116に拡散2重層が形成される。この拡散2重層の微小な運動によって電気トリガーによる固化が促進される。
よって活性化処理の工程を除いても、電気トリガーによって固化がなされることとなり、活性化処理を行った場合の蓄熱材中の銀元素の重量濃度の増加を生じさせることがないので、温度が融点以下においても液相を維持できる期間を長くすることができる。
なお、本実施の形態において、過冷却を解除する電気トリガーを発する電極109を一対設けたが、複数対あっても良い。
(実施の形態2)
実施の形態2は、図1における潜熱蓄熱材104が酢酸ナトリウム三水和物を主材とし、潜熱蓄熱材104内の銀元素の重量濃度が、3000ppmを超えないように構成している。
実施の形態2は、図1における潜熱蓄熱材104が酢酸ナトリウム三水和物を主材とし、潜熱蓄熱材104内の銀元素の重量濃度が、3000ppmを超えないように構成している。
−20℃環境下では、蓄熱槽101の内側と外側での温度差、あるいは、高低差による濃度分布によって、潜熱蓄熱材104中の銀元素が部分的に飽和に達し沈殿物が発生する恐れがある。潜熱蓄熱材104中の銀元素の重量濃度を3000ppmより少なくすることで、部分的な飽和による沈殿物の発生を抑制することができ、−20℃環境下においても液相を維持できる期間を長くすることができる。
よって融点からの温度差が大きく、液相の状態を維持するのが従来技術では困難な−20℃環境下においても、液相の状態を12時間以上維持することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3は、図1における電極表面116のハロゲン元素のモル分率を0.1%より大きく、50%より小さくするように構成している。
実施の形態3は、図1における電極表面116のハロゲン元素のモル分率を0.1%より大きく、50%より小さくするように構成している。
電気トリガーの電圧が小さい場合、ハロゲン元素のモル分率が50%以上では電極表面116が不導体に覆われるため電気抵抗が大きくなり、通電しにくくなる恐れがある。またモル分率が0.1%以下では電極表面116の反応物が少ないため、電極109周りの銀元素を集めて、拡散2重層の形成に時間がかかり、固化の開始が遅延する。よってモル分率を0.1%より大きく、50%より小さくすることで、電気トリガーによる固化の確実性を向上させることができる。
液相から固体への固化を行うことが従来技術では困難である0.2Vの低電圧電気トリガーにおいても、2分以内に100%の確率で液相を固相に変えることができる。
さらに低電圧化によって、電極反応が減少し、繰返し利用における蓄熱装置の耐久性向上と、低電圧化によるランニングコスト低減が可能である。
(実施例)
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(溶液調整)
酢酸ナトリウム無水物28.8gと水23.6g、さらに酢酸銀0.025gを60ccスクリュー管に添加し、65℃の恒温槽内でスクリュー管内の添加物が完全に溶解するまで加熱する。
(溶液調整)
酢酸ナトリウム無水物28.8gと水23.6g、さらに酢酸銀0.025gを60ccスクリュー管に添加し、65℃の恒温槽内でスクリュー管内の添加物が完全に溶解するまで加熱する。
(電極の表面処理)
直径1.5mm、長さ65mmの銀線(純度99.9%)に対して、常温(20℃)の臭化カリウム1.0wt%水溶液中で電圧2V、0.05Hzの交流を0.5時間通電する。銀電極は2本とも表面に黄色の臭化銀が付着した。なお、以下の実験後に、この2本の銀電極の付着物を元素分析したところ、臭素を検出することができた。
直径1.5mm、長さ65mmの銀線(純度99.9%)に対して、常温(20℃)の臭化カリウム1.0wt%水溶液中で電圧2V、0.05Hzの交流を0.5時間通電する。銀電極は2本とも表面に黄色の臭化銀が付着した。なお、以下の実験後に、この2本の銀電極の付着物を元素分析したところ、臭素を検出することができた。
(電極の設置)
上記表面処理後の2本の電極を5mmの間隔でプラスチック蓋に取り付け、電極先端が蓄熱材に5mm浸漬するように蓄熱装置に設置する。この時、電極表面に臭化銀が付着した部分が蓄熱材と接するように設置する。
上記表面処理後の2本の電極を5mmの間隔でプラスチック蓋に取り付け、電極先端が蓄熱材に5mm浸漬するように蓄熱装置に設置する。この時、電極表面に臭化銀が付着した部分が蓄熱材と接するように設置する。
(固化実験)
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、20℃の水槽内に30分静置する。その後、電極間に電圧2V、0.05Hzの交流を掛けて固化(凝固)を行うことを、30回の繰返しで行った結果、毎回3秒以内に固化が始まった(表1参照)。
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、20℃の水槽内に30分静置する。その後、電極間に電圧2V、0.05Hzの交流を掛けて固化(凝固)を行うことを、30回の繰返しで行った結果、毎回3秒以内に固化が始まった(表1参照)。
(安定性評価実験)
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、−20℃の恒温槽内に12時間静置し、液相の状態を保っているかを、10回の繰返しで行った結果、毎回液相の状態を保った(表1参照)。
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、−20℃の恒温槽内に12時間静置し、液相の状態を保っているかを、10回の繰返しで行った結果、毎回液相の状態を保った(表1参照)。
(比較例1)
(溶液調整)
酢酸ナトリウム無水物28.8gと水23.6g、さらに臭化カリウム0.025gを60ccスクリュー管に添加し、65℃の恒温槽内でスクリュー管内の添加物が完全に溶解するまで加熱する。
(溶液調整)
酢酸ナトリウム無水物28.8gと水23.6g、さらに臭化カリウム0.025gを60ccスクリュー管に添加し、65℃の恒温槽内でスクリュー管内の添加物が完全に溶解するまで加熱する。
(電極の設置)
直径1.5mm、長さ65mmの銀線(純度99.9%)を電極とし、2本の電極を5mmの間隔でプラスチック蓋に取り付け、電極先端が蓄熱材に5mm浸漬するように蓄熱装置に設置する。
直径1.5mm、長さ65mmの銀線(純度99.9%)を電極とし、2本の電極を5mmの間隔でプラスチック蓋に取り付け、電極先端が蓄熱材に5mm浸漬するように蓄熱装置に設置する。
(活性化処理)
上記スクリュー管を65℃水浴中に保持し、電圧1V、周波数0.05Hzの交流を4時間通電した。銀電極は2本とも淡灰色化した。スクリュー管を20℃水中に浸漬し、1時間後に電極付プラスチック蓋を取り除いて酢酸ナトリウム3水塩の種結晶数粒を投入し、直ちにプラスチック蓋を挿入する。スクリュー管中の溶液は全体が固化した。これを一夜静置する。なお、以下の実験後に、この2本の銀電極の淡灰色化した付着物を元素分析したところ、臭素は検出されなかった。
上記スクリュー管を65℃水浴中に保持し、電圧1V、周波数0.05Hzの交流を4時間通電した。銀電極は2本とも淡灰色化した。スクリュー管を20℃水中に浸漬し、1時間後に電極付プラスチック蓋を取り除いて酢酸ナトリウム3水塩の種結晶数粒を投入し、直ちにプラスチック蓋を挿入する。スクリュー管中の溶液は全体が固化した。これを一夜静置する。なお、以下の実験後に、この2本の銀電極の淡灰色化した付着物を元素分析したところ、臭素は検出されなかった。
(固化実験)
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、20℃の水槽内に30分静置する。その後、電極間に電圧2V、0.05Hzの交流を掛けて固化(凝固)を行うことを、30回の繰返しで行った結果、毎回3秒以内に固化が始まった(表1参照)。
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、20℃の水槽内に30分静置する。その後、電極間に電圧2V、0.05Hzの交流を掛けて固化(凝固)を行うことを、30回の繰返しで行った結果、毎回3秒以内に固化が始まった(表1参照)。
(安定性評価実験)
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、−20℃の恒温槽内に12時間静置し、液相の状態を保っているかを、10回の繰返しで行った結果、毎回液相の状態を保たなかった(表1参照)。
上記試料において、65℃の恒温槽内で完全に融解するまで2時間加熱した後、−20℃の恒温槽内に12時間静置し、液相の状態を保っているかを、10回の繰返しで行った結果、毎回液相の状態を保たなかった(表1参照)。
(実施例2)〜(実施例4)
実施例1と同様の手順で試料を作成し、蓄熱材に添加する酢酸銀の添加量を変更する。実施例1の試料が、銀の重量濃度で300ppmであったのに対して、1000ppm、2000ppm、3000ppmの試料を用意して、安定性評価実験を行う。−20℃環境において、銀の重量濃度が3000ppm以内であれば液相の状態を12時間維持した(表1参照)。
実施例1と同様の手順で試料を作成し、蓄熱材に添加する酢酸銀の添加量を変更する。実施例1の試料が、銀の重量濃度で300ppmであったのに対して、1000ppm、2000ppm、3000ppmの試料を用意して、安定性評価実験を行う。−20℃環境において、銀の重量濃度が3000ppm以内であれば液相の状態を12時間維持した(表1参照)。
(比較例2)
実施例1と同様の手順で試料を作成し、蓄熱材に添加する酢酸銀の添加量を変更する。銀の重量濃度が4000ppmの試料を用意して、安定性評価実験を行う。結果、−20℃環境において、銀の重量濃度が3000ppmを超えた条件では液相の状態を12時間維持しなかった(表1参照)。
実施例1と同様の手順で試料を作成し、蓄熱材に添加する酢酸銀の添加量を変更する。銀の重量濃度が4000ppmの試料を用意して、安定性評価実験を行う。結果、−20℃環境において、銀の重量濃度が3000ppmを超えた条件では液相の状態を12時間維持しなかった(表1参照)。
(実施例5)〜(実施例6)
実施例1と同様の手順で試料を作成し、電極の表面処理の通電時間を変更した。実施例1の試料が、電極表面の臭素元素のモル分率が10%であったのに対して、1.0%、40%の試料を用意して、固化実験を行う。結果、電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%より大きく、50%より小さい条件では電極間に電圧0.2V、0.05Hzの交流を2分間掛けると、毎回固化が始まった(表1参照)。
実施例1と同様の手順で試料を作成し、電極の表面処理の通電時間を変更した。実施例1の試料が、電極表面の臭素元素のモル分率が10%であったのに対して、1.0%、40%の試料を用意して、固化実験を行う。結果、電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%より大きく、50%より小さい条件では電極間に電圧0.2V、0.05Hzの交流を2分間掛けると、毎回固化が始まった(表1参照)。
(比較例3)〜(比較例4)
実施例1と同様の手順で試料を作成し、電極の表面処理の通電時間を変更した。電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%、50%の試料を用意して、固化実験を行う。結果、電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%以下もしくは50%以上の条件では電極間に電圧0.2V、0.05Hzの交流を2分間掛けも、固化が始まらなかった(表1参照)。
実施例1と同様の手順で試料を作成し、電極の表面処理の通電時間を変更した。電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%、50%の試料を用意して、固化実験を行う。結果、電極表面の臭素元素のモル分率が0.1%以下もしくは50%以上の条件では電極間に電圧0.2V、0.05Hzの交流を2分間掛けも、固化が始まらなかった(表1参照)。
以上、実施例及び比較例を説明した。なお、本開示においては、電極表面にハロゲン化銀である臭化銀を付着させたが、酸化銀を用いることも可能である。
本明細書に開示された技術は、内燃機関の廃熱、燃焼式ボイラーの廃熱などを熱源として機器の暖機を行うための蓄熱装置に有用である。また、本明細書に開示された技術は、空調機または給湯器にも応用できる。
101 蓄熱槽
102 断熱材
104 潜熱蓄熱材
109 電極
110 電源
111 スイッチ
116 電極表面
201 蓄熱槽
202 蓄熱材
203 熱交換パイプ
204 スイッチ
205 電極材
206 直流電源
102 断熱材
104 潜熱蓄熱材
109 電極
110 電源
111 スイッチ
116 電極表面
201 蓄熱槽
202 蓄熱材
203 熱交換パイプ
204 スイッチ
205 電極材
206 直流電源
Claims (3)
- 過冷却状態で熱を保持し、電気トリガーで固化し発熱する、酢酸ナトリウム三水和物を主材とする蓄熱材と、
前記蓄熱材に電気トリガーを与える、少なくとも1本は銀を含んで構成された一対以上の電極と、
を有する蓄熱装置であって、
前記蓄熱材は、
飽和濃度以下の銀元素を含み、
前記電極は、
前記蓄熱材と接触する表面の少なくとも一部に臭化銀が付着されている、
蓄熱装置。 - 前記蓄熱材に含まれる前記銀元素の重量濃度は、
3000ppmを超えない、
請求項1記載の蓄熱装置。 - 前記臭化銀における臭素元素のモル分率は、
0.1%より大きく、且つ、50%より小さい、
請求項1または2に記載の蓄熱装置。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110173907A (zh) * | 2019-05-20 | 2019-08-27 | 华南理工大学 | 一种可控相变材料包及其制备方法与应用 |
CN114284599A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-04-05 | 华北电力大学 | 一种过冷相变材料的分级电池温控装置及其温控方法 |
US12018895B2 (en) | 2019-03-20 | 2024-06-25 | Panasonic Holdings Corporation | Supercooling release device, heat storage device and power unit |
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2017
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