JP2019204896A - Bnt−bt系膜及びその形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(110)面の配向度=ΣIb(110)/{ΣIa(100)+ΣIb(110)}×100 (1)
ここで、ΣIa(100)及びΣIb(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。
(100)面の配向度=ΣIc(100)/{ΣIc(100)+ΣId(110)}×100 (2)
ここで、ΣIc(100)及びΣId(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。
先ず、本発明の第1の実施形態のBNT−BT系膜を形成する方法を図1に基づいて説明する。
図1(d)に示すように、第1の実施形態のBNT−BT系膜11は基板12上に形成される。この基板12は、図1(a)に示すように、シリコン製又はサファイア製の耐熱性のある基板本体13を有する。シリコン製の基板本体の場合、この基板本体13上にSiO2膜14が設けられ、このSiO2膜14上に下部電極15が設けられる。下部電極15は、Pt、TiOX、Ir、Ru等の導電性を有し、かつBNT−BT系膜11と反応しない材料により形成される。例えば、下部電極15を、基板本体12側から順にTiOX膜15a及びPt膜15bの2層構造にすることができる。上記TiOX膜15aの具体例としては、TiO2膜が挙げられる。更に上記SiO2膜14は密着性を向上するために形成される。Pt膜15bは、例えばスパッタリング法により(111)面に配向して形成される。
図1(b)に示すように、基板12上にシード層としてのBNT膜16をCSD法(以下、ゾルゲル法ともいう。)により形成する。このBNT膜16は、(Bi,Na)TiO3膜形成用液組成物を基板12上に塗布し、乾燥し、仮焼して第1仮焼膜として作製される。この液組成物は、Bi、Na及びTiを少なくとも含む。例えば、酢酸ビスマス、ナトリウムアルコキシド及びチタンアルコキシドを含む。この液組成物の塗布は、スピンコーティング、ディップコーティング、LSMCD(Liquid Source Misted Chemical Deposition)法又は静電スプレー法などにより、仮焼した後で4nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下の厚さを有する塗膜(ゲル膜)になるように行われる。
図1(c)に示すように、BNT膜(第1仮焼膜)16上にBNT−BT系膜(第2仮焼膜)17をゾルゲル法により形成する。このBNT−BT系膜17は、(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜形成用液組成物をBNT膜16上に塗布し、乾燥し、仮焼して第2仮焼膜として作製される。この液組成物は、Bi、Na及びTiに加えてBaを少なくとも含み、例えば、酢酸ビスマス、酢酸バリウム、Naアルコキシド及びTiアルコキシドを含む。この液組成物はMn及び/又はNbを含んでもよい。この液組成物の1回の塗布は、BNT膜形成用液組成物の塗布方法と同じであり、焼成した後で、好ましくは50nm以上100nm以下の厚さを有する膜になるように行われる。焼成した後の膜厚が50nm未満では生産性が劣り、100nmを超えると、焼成後のBNT−BT系膜中にクラックが発生し易くなる。
BNT−BT系膜(第2仮焼膜)17を作製した後、このBNT−BT系膜(第2仮焼膜)17とBNT膜(第1仮焼膜)16とを一括焼成する。この一括焼成により、第1仮焼膜は、電極と第2仮焼膜の間の界面における易結晶化膜となって結晶核発生密度を高めるとともに、焼成中に第2仮焼膜と一体となって、図1(d)に示すように、BNT−BT系膜11を形成する。BNT−BT系膜11の状態では、シード層であった第1仮焼膜は消失する。このBNT−BT系膜11はペロブスカイト型構造で形成され、(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜形成用液組成物がMn及び/又はNbを含む場合には、このペロブスカイト型構造のAサイト及び/又はBサイトにMn及び/又はNbを含む。この一括焼成は、酸素(O2)雰囲気中、N2、Ar、N2O又はH2のガス雰囲気中、或いはこれらの混合ガス雰囲気中、第1仮焼膜と第2仮焼膜とを、例えば、RTAで25℃/秒以上の速度で600℃以上700℃以下の温度まで昇温し、0.5分以上5分以下の時間保持することにより行われる。好ましい昇温速度は25℃/秒以上200℃/秒以下であり、好ましい焼成温度は50℃以上100℃以下である。昇温速度が25℃/秒未満、焼成温度が600℃未満又は焼成時間が0.5分間未満では、作製されるBNT−BT系膜11の結晶化度が十分でなく、その密度が低くなる。焼成温度が700℃を超えるか、又は焼成時間が5分間を超えると、生産性が悪くなる。
図1(e)に示すように、所望の膜厚に応じて、BNT−BT系膜11上に更に厚さ調整層としてのBNT−BT系膜18を形成してもよい。このBNT−BT系膜18は、上記第2仮焼膜を形成する液組成物と同一の液組成物をBNT−BT系膜11上に塗布し、乾燥して、仮焼する。所望の膜厚に応じて、1層又は2層以上の仮焼膜を積層する。このときの塗布、乾燥及び仮焼の条件は、第2仮焼膜形成時の塗布、乾燥及び仮焼の条件と同じである。1層又は2層以上の仮焼膜を積層した後、これらの仮焼膜を一括焼成する。図1(e)には厚さ調整層形成用に4層の仮焼膜を積層した後、焼成した例が示される。単一のBNT−BT系膜の膜厚、即ち1回の焼成で形成されるBNT−BT系膜の膜厚は、250nm以上400nm以下であることが好ましく、270nm以上380nm以下であることが更に好ましい。ここで、1回の焼成で形成されるBNT−BT系膜の膜厚を250nm以上400nm以下の範囲内に限定したのは、250nm未満では生産性が低下し、400nmを越えると成膜時にBNT−BT系膜中にクラックが発生し易くなるからである。
第1の実施形態のBNT−BT系膜11、18は、上述したゾルゲル法で形成され、Cu−Kα線を用いたX線回折法により得られる回折角度2θ=32°〜33°の前記膜の(110)面のピーク波形における半値幅が0.200°以下である。このため、BNT−BT系膜11、18は、結晶性が高く、かつ(110)面の高い配向度を有する。この結果、BNT−BT系膜11、18は高い圧電特性を有する。上記半値幅が0.200°を超えると、膜の結晶性に劣る。
(110)面の配向度=ΣIb(110)/{ΣIa(100)+ΣIb(110)} (1)
ここで、ΣIa(100)及びΣIb(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。
このため、(110)面の配向度の高く、かつ(100)面の配向度の高い膜よりも誘電率が低く、ジャイロセンサなどのセンサに好適である。
次に、本発明の第2の実施形態のBNT−BT系膜を形成する方法を図2に基づいて説明する。第2の実施形態の特徴ある点は、図2(a)〜図2(d)に示すように、基板12の下部電極15の上にLaNiO3膜(LNO膜)20が形成され、このLNO膜上にBNT膜(第1仮焼膜)26とBNT−BT系膜(第2仮焼膜)27がこの順に積層され、第1仮焼膜26及び第2仮焼膜27が一括焼成されて、BNT−BT系膜21が形成されることにある。符号28は、焼成したBNT−BT系膜21の上に積層された厚さ調整層形成用のBNT−BT系膜である。LNO膜20が形成される以外、第1の実施形態と同じである。このため、次のLNO膜の形成について説明する以外は、繰り返しの説明を省略する。
図2(b)に示すように、LNO膜20は電極15上に形成される。このLNO膜20は(100)面に自己配向性を有するため、BNT−BT系膜21及び28の結晶配向性を(100)面に制御するための結晶配向性制御層として用いられる。このLNO膜20は、LNO膜形成用液組成物を電極15上に塗布し、乾燥し、仮焼した後、焼成することにより形成される。LNO膜形成用液組成物は、La及びNiを少なくとも含む。La源としては、酢酸ランタン、オクチル酸ランタン、2−エチルヘキサン酸ランタン等の金属カルボン酸塩、硝酸ランタン等の金属硝酸塩、ランタンイソプロポキシド等の金属アルコキシド、ランタンアセチルアセトナート等の金属β−ジケトネート錯体等が選ばれ、Ni源としては、酢酸ニッケル、オクチル酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル等の金属カルボン酸塩、硝酸ニッケル等の金属硝酸塩、ニッケルアセチルアセトネート等の金属β−ジケトネート錯体等が選ばれる。
第2の実施形態のBNT−BT系膜21、28は、上述したゾルゲル法で形成され、基板電極上にLNO層20を有するため、Cu−Kα線を用いたX線回折法により得られる回折角度2θ=22.5°〜23.5°付近の前記膜の(100)面のピーク波形における半値幅が0.200°以下である。このため、BNT−BT系膜21、28は、結晶性が高く、かつ(100)面の高い配向度を有する。この結果、BNT−BT系膜21、28は高いキャパシタ特性を有する。上記半値幅が0.200°を超えると、膜の結晶性に劣る。
(100)面の配向度=ΣIc(100)/{ΣIc(100)+ΣId(110)}×100 (2)
ここで、ΣIc(100)及びΣId(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。
このように(100)面の優先配向度を高めた膜の誘電率は(110)面の優先配向度を高めた膜より誘電率が高いため、薄膜キャパシタに好適である。
〔0.94Bi0.55Na0.58TiO3−0.06BaTiO3液組成物の合成〕
フラスコに、テトラチタンイソプロポキシド(Ti源)と、このTi源に対してアセチルアセトンとをモル比(Ti:アセチルアセトン)で1:2となるように投入して撹拌し、この混合液を150℃のオイルバスで30分間還流した。次いでフラスコ内の得られた溶液に、酢酸ビスマス(Bi源)と酢酸バリウム(Ba源)とをモル比(Ti:Bi:Ba)で1:0.517:0.06となるように投入し、更にTi1モルに対して20モルの割合で酢酸を投入して撹拌し、150℃のオイルバスで30分間還流することにより均質な液を得た。次にフラスコ内のこの液にナトリウムエトキシド(Na源)をモル比(Ti:Na)で1:0.545となるように投入し、更にTi1モルに対して20モルのエタノールを投入し撹拌し、30分間還流することにより均質な液を得た。フラスコ内を減圧することにより、液中の副生成物や過剰な溶液を除去した。除去した後の溶液の酸化物濃度は20質量%であった。更に安定化剤である2−ジメチルアミノエタノールをモル比(Ti:安定化剤)で1:1となるように添加し、続けて酢酸により酸化物換算で8質量%まで希釈した。得られた液をフィルターでろ過することによりゴミを取り除き、ゾルゲル液である0.94Bi0.55Na0.58TiO3−0.06BaTiO3液組成物(以下、BNT−BT液組成物という。)を得た。
酢酸バリウム(Ba源)を投入しない以外は、上記液組成物の合成と同様の方法でゾルゲル液である酸化物換算で1質量%のBi0.60Na0.60TiO3液組成物(以下、BNT液組成物という。)を得た。
先ず直径100mmのシリコン基板を熱酸化して、その表面に500nmのSiO2膜を形成した。SiO2膜上にTiをスパッタリング法により20nmの厚さで形成し、続いてRTAにて酸素雰囲気下、700℃で1分間焼成することにより酸化チタン膜を形成した。酸化チタン膜上にスパッタリング法により100nmの厚さの(111)配向のPt膜からなる下部電極を形成した。このPt膜上に直接酸化物換算で1質量%のBNT液組成物を滴下し、3000rpmで15秒間スピンコーティングした。更に350℃のホットプレートで5分間仮焼を行い、Pt膜上に厚さ10nmのシード層となる第1仮焼膜を形成した。この第1仮焼膜上に酸化物換算で8質量%のBNT−BT液組成物を塗布し、3000rpmで15秒間スピンコーティングした。更に350℃のホットプレートで5分間仮焼を行い、第1仮焼膜上に厚さ10nmのBNT−BT誘電体層となる第2仮焼膜を形成した。酸素雰囲気中、第1仮焼膜(シード層)と第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)とをRTAで50℃/秒の速度で700℃まで昇温し、3分間保持して一括焼成し第1仮焼膜と第2仮焼膜が一体となって結晶化した。第1仮焼膜(シード層)と第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)の各厚さは分光エリプソメーター(J. A. Woollam 型番M2000-DI))により測定した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)のそれぞれの仮焼温度を375℃に変更した以外、実施例1と同様にして、厚さ320nmのBNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)のそれぞれの仮焼温度を400℃に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)を一括焼成するときの昇温速度を25℃/秒に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
BNT−BT液組成物を0.90Bi0.55Na0.58TiO3−0.10BaTiO3液組成物に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)の厚さを4nm(実施例6)、15nm(実施例7)及び20nm(実施例8)に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)のそれぞれの仮焼温度を325℃に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)のそれぞれの仮焼温度を425℃に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)及び第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)を一括焼成するときの昇温速度を10℃/秒に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
第1仮焼膜(シード層)の厚さを3nm(比較例4)及び25nm(比較例5)に変更した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例1〜8及び比較例1〜5によりBNT−BT膜を形成するときの製造条件を次の表1及び表2に示す。
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた13種類のBNT−BT膜について、配向面、(110)面のピーク波形における半値幅、(110)面の配向度、密度及び比誘電率を測定又は算出した。これらの結果を上記表2に示す。
13種類のBNT−BT膜の優先配向面をX線回折プロファイルによりそれぞれ測定した。具体的には、X線回折(XRD)装置(パナリティカル社製、型式名:Empyrean)を用いた集中法により、実施例1及び比較例1のBNT−BT膜のCu−Kα線を用いたXRD分析を行った。その結果(実施例1及び比較例1のみ)を図3に示す。図3から明らかなように、実施例1及び比較例1のBNT−BT膜の優先配向面はそれぞれ(110)面であった。なお、図3において、回折角度2θが32°〜33°の範囲内であって、基板に由来する回折ピークを除いた最も強度の高い配向面を優先配向面とした。また、実施例2〜8及び比較例2〜5のBNT−BT膜についても、上記と同様にXRD分析を行ったところ、優先配向面はいずれも(110)面であった。
上記XRD装置により得られる回折角度2θ=32°〜33°の13種類のBNT−BT膜の(110)面のピーク波形における半値幅(°)をそれぞれ求めた。
13種類のBNT−BT膜のX線回折プロファイルにおいて、回折角度2θ=32°〜33°の(110)面のピーク強度を測定した。
13種類のBNT−BT膜のX線回折プロファイルにおいて、回折角度2θが22.5°〜23.5°の範囲内の(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度(ΣIa(100)及びΣIb(110))を求め、次の式(1)により(110)面の配向度を求めた。
(110)面の配向度=ΣIb(110)/{ΣIa(100)+ΣIb(110)}×100 (1)
13種類のBNT−BT膜の膜密度(%)をSEMで測定した。膜の断面をSEMにて観察し、その断面像を画像解析することにより膜の面積及び膜中のボイド部分の面積を算出し、[(膜の面積−ボイド部分の面積)/膜の面積]×100という計算を行うことにより膜密度(%)を算出した。
先ず、BNT−BT膜の上面に、スパッタリングにより200μmφの一対の電極をそれぞれ形成した後、RTAを用いて、酸素雰囲気中で700℃に1分間保持して、ダメージを回復するためのアニーリングを行い、キャパシタ構造を作製して、比誘電率測定用のサンプルとした。このサンプルの誘電率を強誘電体評価装置(aix ACCT社製:TF−analyzer2000)により測定した後、無次元化するために、上記測定された誘電率を真空の誘電率で除して比誘電率を算出した。
表2から明らかなように、実施例1、2、3と比較例1、2を比較すると、仮焼温度が350℃から400℃では(110)面の優先配向度が上昇し、ピークの半値幅が小さくなっていることが確認できた。半値幅の小さな膜は結晶性に優れ、高い圧電特性が期待できる。
〔LaNiO3膜の形成〕
LaNiO3前駆体として、酢酸ニッケル・4水和物(Ni源)と硝酸ランタン・6水和物(La源)を用意し、これらをLaとNiの金属原子比が1:1となるように秤量した。また、安定化剤として、上記前駆体の合計量1モルに対して5モルとなる量のN−メチルホルムアミドを用意した。次いで、フラスコに、上記酢酸ニッケル・4水和物(Ni源)と、上記硝酸ランタン・6水和物(La源)と入れた後に、エチレングリコールモノプロピルエーテルを添加して混合溶液を調製した。
実施例1と同一組成のBNT液組成物と実施例1と同一組成のBNT−BT液組成物を用いて、このLNO膜上に実施例1と同様に、第1仮焼膜(シード層)を形成した後、第2仮焼膜(BNT−BT誘電体層)を形成し、これらを一括焼成して、厚さ300nmのBNT−BT膜を形成した。即ち、実施例9では、LNO膜を下地に使用した以外、実施例1と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例10では、仮焼温度を375℃にした以外、実施例9と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例11では、仮焼温度を400℃にした以外、実施例9と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例12では、焼成時の昇温速度を25℃/秒にした以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した)。
実施例13では、焼成時の昇温速度を100℃/秒にした以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した)。
実施例14では、焼成時の温度を750℃にした以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例15では、焼成時の温度を800℃にした以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
比較例6では、BNT層を使用しなかったこと以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
比較例7では、仮焼温度を325℃にしたこと以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
比較例8では、仮焼温度を425℃にしたこと以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
比較例9では、昇温速度を10℃/秒にしたこと以外、実施例10と同様にして、BNT−BT膜を形成した。
実施例9〜15及び比較例6〜9によりBNT−BT膜を形成するときの製造条件を次の表3及び表4に示す。
実施例9〜15及び比較例6〜9で得られた11種類のBNT−BT膜について、比較評価試験その1と同様の方法で、配向面、(100)面のピーク波形における半値幅、ピーク強度、(100)面の配向度、密度及び比誘電率を測定又は算出した。これらの結果を上記表4に示す。
11種類のBNT−BT膜の優先配向面をX線回折プロファイルによりそれぞれ測定した。具体的には、比較評価試験その1と同一のX線回折(XRD)装置を用いて、同一の方法で、実施例9及び比較例6のBNT−BT膜のXRD分析を行った。その結果(実施例9及び比較例6のみ)を図4に示す。図4から明らかなように、実施例9及び比較例6のBNT−BT膜の優先配向面はそれぞれ(100)面であった。なお、図4において、回折角度2θが22.5°〜23.5°の範囲内であって、基板に由来する回折ピークを除いた最も強度の高い配向面を優先配向面とした。また、実施例10〜15及び比較例7〜9のBNT−BT膜についても、上記と同様にXRD分析を行ったところ、優先配向面はいずれも(100)面であった。
上記XRD装置により得られる回折角度2θ=22.5°〜23.5°の11種類のBNT−BT膜の(100)面のピーク波形における半値幅(°)をそれぞれ求めた。
11種類のBNT−BT膜のX線回折プロファイルにおいて、回折角度2θ=22.5〜23.5°の(100)面のピーク強度を求めた。
11種類のBNT−BT膜のX線回折プロファイルにおいて、回折角度2θが22.5°〜23.5°の範囲内の(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度(ΣIc(100)及びΣId(110))を求め、次の式(2)により(100)面の配向度を求めた。
(100)面の配向度=ΣIc(100)/{ΣIc(100)+ΣId(110)}×100 (2)
11種類のBNT−BT膜の膜密度(%)を比較評価試験その1と同一の方法で算出した。
11種類のBNT−BT膜の比誘電率を比較評価試験その1と同一の方法で算出した。
表4から明らかなように、実施例9、10、11と比較例7、8を比較すると、仮焼温度が350℃以上400℃以下でXRD評価によるピーク波形の半値幅が小さくなり、ピーク強度も向上していることが確認できた。一般的にピーク強度が高い膜の方が高い特性を有するため仮焼温度は上記温度が良好であった。実施例10、12、13と比較例9を比較すると、焼成時の昇温速度が25℃/秒より小さいと膜の緻密化が十分でなく、高い特性が得られないことが判った。
12 基板
15 電極
16、26 第1仮焼膜(シード層)
17、27 第2仮焼膜
18、28 BNT−BT系膜
20 LNO膜
Claims (6)
- 基板の電極上に形成される(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜からなるBNT−BT系膜であって、
前記BNT−BT系膜は化学溶液堆積法(CSD法)により形成され、
Cu−Kα線を用いたX線回折法により得られる回折角度2θ=32°〜33°の前記膜の(110)面のピーク波形における半値幅が0.200°以下であり、かつ下記式(1)で表される前記膜の(110)面の配向度が90%以上であるBNT−BT系膜。
(110)面の配向度=ΣIb(110)/{ΣIa(100)+ΣIb(110)}×100 (1)
ここで、ΣIa(100)及びΣIb(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。 - 基板の電極上にLaNiO3膜を介して形成される(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜からなるBNT−BT系膜であって、
前記BNT−BT系膜は化学溶液堆積法(CSD法)により形成され、
Cu−Kα線を用いたX線回折法により得られる回折角度2θ=22.5°〜23.5°の前記膜の(100)面のピーク波形における半値幅が0.200°以下であり、かつ下記式(2)で表される前記膜の(100)面の配向度が90%以上である請求項1記載のBNT−BT系膜。
(100)面の配向度=ΣIc(100)/{ΣIc(100)+ΣId(110)}×100 (2)
ここで、ΣIc(100)及びΣId(110)は、(100)面及び(110)面の各ピーク強度の積分強度をそれぞれ示す。 - 前記(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜が(Bi,Na)TiO3−BaTiO3にMn及び/又はNbを含む請求項1又は2記載のBNT−BT系膜。
- 前記基板がシリコン基板又はサファイア基板である請求項1ないし3いずれか1項に記載のBNT−BT系膜。
- 前記基板の電極が(111)面に配向するPt膜である請求項1ないし4いずれか1項に記載のBNT−BT系膜。
- 基板の電極上に直接又はLaNiO3膜を介して化学溶液堆積法(CSD法)により(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜からなるBNT−BT系膜を形成する方法であって、
前記基板の電極上に直接又はLaNiO3膜を介して(Bi,Na)TiO3膜形成用液組成物を塗布乾燥し350℃以上400℃以下の温度で仮焼して厚さが4nm以上20nm以下であるシード層となる第1仮焼膜を形成し、前記第1仮焼膜上に(Bi,Na)TiO3−BaTiO3系膜形成用液組成物を塗布乾燥し350℃以上400℃以下の温度で仮焼して第2仮焼膜を形成した後、前記第1仮焼膜と前記第2仮焼膜を25℃/秒以上の速度で昇温し700℃以上800℃以下の温度で一括焼成して結晶化した(Bi,Na)TiO3−BaTiO3膜系を形成するBNT−BT系膜の形成方法。
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JP2018099754A JP7124445B2 (ja) | 2018-05-24 | 2018-05-24 | Bnt-bt系膜及びその形成方法 |
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