JP2019203905A - 計測装置、計測方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

計測装置、計測方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】試料の屈折率を計測するために試料に何らかの特殊な部材を接触させなくてもよい計測装置を提供する。【手段】計測装置100は、試料10の表面10aに照射されたテラヘルツ波THzが表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間ta1、ta2、及び、表面に照射されたテラヘルツ波が試料の裏面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第2時間ta1、ta2を、試料に対する位置が互いに異なるテラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得手段1521と、第1及び第2時間に基づいて、試料の屈折率nを算出する算出手段1522とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばテラヘルツ波を用いて試料の屈折率を計測する計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
試料の屈折率を計測するための計測装置として、テラヘルツ波を用いた計測装置が知られている。例えば、特許文献1には、試料と接している透過部材を介してテラヘルツ波を試料に照射すると共に、透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形及び試料で反射したテラヘルツ波の時間波形に基づいて試料の屈折率を取得する情報取得装置が記載されている。例えば、特許文献2には、反射部材と板状部材との間に配置された検体に対して板状部材を介してテラヘルツ波を照射すると共に、板状部材と検体との界面で反射したテラヘルツ波の時間波形及び検体と反射部材との界面で反射したテラヘルツ波の時間波形に基づいて検体の屈折率を取得する情報取得装置が記載されている。
特開2014−209094号公報 特開2015−83964号公報
特許文献1及び2に記載された情報取得装置では、屈折率を計測するためには、試料(言い換えれば、検体)に対して特殊な部材(具体的には、透過部材、又は、板状部材及び反射部材)を密着させる必要がある。しかしながら、何らかの要因によって、特殊な部材を試料に密着させることができない可能性が出てくる。この場合、特許文献1及び2に記載された情報取得装置が試料の屈折率を計測することができないという技術的問題点が生ずる。
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、試料の屈折率を計測するために試料に何らかの特殊な部材を接触させなくてもよい計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
本発明の計測装置の第1の例は、試料の表面に照射されたテラヘルツ波が前記表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間、及び、前記表面に照射された前記テラヘルツ波が前記表面の反対側に位置する前記試料の裏面で反射された後に前記所定位置に到達するまでに要する第2時間を、前記試料に対する位置が互いに異なる前記テラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得手段と、前記第1及び第2時間に基づいて、前記試料の屈折率を算出する算出手段とを備える。
本発明の計測方法の第1の例は、試料の表面に照射されたテラヘルツ波が前記表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間、及び、前記表面に照射された前記テラヘルツ波が前記表面の反対側に位置する前記試料の裏面で反射された後に前記所定位置に到達するまでに要する第2時間を、前記試料に対する位置が互いに異なる前記テラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得工程と、前記第1及び第2時間に基づいて、前記試料の屈折率を算出する算出工程とを備える。
本発明のコンピュータプログラムの第1の例は、コンピュータに上述した本発明の計測方法の第1の例を実行させる。
図1は、本実施例のテラヘルツ波計測装置の構成を示すブロック図である。 図2は、テラヘルツ波計測装置が行う屈折率及び厚さを計測する第1計測動作の流れの一例を示すフローチャートである。 図3は、試料に照射されるテラヘルツ波の光路及び試料によって反射されたテラヘルツ波の光路を示す試料の断面図である。 図4は、テラヘルツ波検出素子が検出したテラヘルツ波の波形信号を示すグラフである。 図5は、第1位置に照射されるテラヘルツ波の光路及び第2位置に照射されるテラヘルツ波の光路を示す試料の断面図である。 図6は、テラヘルツ波計測装置が行う屈折率及び厚さを計測する第2計測動作の流れの一例を示すフローチャートである。 図7は、第1位置に照射されるテラヘルツ波の光路、第2位置に照射されるテラヘルツ波の光路及び第3位置に照射されるテラヘルツ波の光路を示す試料の断面図である。
以下、計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明を進める。
(計測装置の実施形態)
<1>
本実施形態の計測装置は、試料の表面に照射されたテラヘルツ波が前記表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間、及び、前記表面に照射された前記テラヘルツ波が前記表面の反対側に位置する前記試料の裏面で反射された後に前記所定位置に到達するまでに要する第2時間を、前記試料に対する位置が互いに異なる前記テラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得手段と、前記第1及び第2時間に基づいて、前記試料の屈折率を算出する算出手段とを備える。
本実施形態の計測装置によれば、後に具体的な数式を用いて詳述するように、試料に何らかの特殊な部材を接触させることなく、複数の照射位置に対応する複数の第1時間及び複数の第2時間に基づいて、試料の屈折率を好適に計測する(つまり、算出する)ことができる。
<2>
本実施形態の計測装置の他の態様では、前記照射位置毎に、前記表面と前記裏面との間の物理的な距離である前記試料の厚さが異なる。
この態様によれば、試料の厚さが異なる複数の照射位置にテラヘルツ波が照射されることで、計測装置は、試料の屈折率を好適に計測する(つまり、算出する)ことができる。
<3>
本実施形態の計測装置の他の態様では、前記表面に向けて前記テラヘルツ波を照射する照射手段と、前記試料によって反射された前記テラヘルツ波を検出する検出手段とを更に備え、前記所定位置は、前記検出手段が設置されている位置であり、前記第1時間は、前記照射手段が前記テラヘルツ波を照射してから前記表面で反射された前記テラヘルツ波が前記検出手段に到達するまでに要する時間であり、前記第2時間は、前記照射手段が前記テラヘルツ波を照射してから前記裏面で反射された前記テラヘルツ波が前記検出手段に到達するまでに要する時間である。
この態様によれば、計測装置は、照射手段及び検出手段を用いて、試料の屈折率を好適に計測することができる。
<4>
本実施形態の計測装置の他の態様では、前記試料を含む移動対象物を所定の移動方向に沿って移動させることで、前記照射位置を変更する変更手段を更に備える。
この態様によれば、計測装置は、位置が互いに異なる複数の照射位置の夫々毎の第1及び第2時間を好適に取得することができる。
<5>
本実施形態の計測装置の他の態様では、前記試料、前記照射手段及び前記検出手段のうちの少なくとも一つを含む移動対象物を所定の移動方向に沿って移動させることで、前記照射位置を変更する変更手段を更に備える。
この態様によれば、計測装置は、位置が互いに異なる複数の照射位置の夫々毎の第1及び第2時間を好適に取得することができる。
<6>
上述の如く移動対象物を移動させる計測装置の他の態様では、前記移動方向が前記裏面に平行である場合には、前記取得手段は、前記照射位置が第1位置となる場合の前記第1及び第2時間、並びに、前記照射位置が前記第1位置とは異なる第2位置となる場合の前記第1及び第2時間を取得する。
この態様によれば、移動方向が試料の裏面に平行である場合には、照射位置が変更された場合であっても、所定位置(或いは、テラヘルツ波の照射位置及びテラヘルツ波の検出位置のうちの少なくとも一方)と試料の裏面との間の距離が変わることはない。この場合には、計測装置は、2つの異なる照射位置に夫々対応する2つの第1時間及び2つの第2時間を取得すれば、試料の屈折率を好適に計測することができる。つまり、計測装置は、試料の屈折率を計測するために、3つ以上の照射位置に夫々対応する3つ以上の第1時間及び3つ以上の第2時間を取得しなくてもよい。
<7>
上述の如く照射位置が第1位置となる場合の第1及び第2時間並びに照射位置が第2位置となる場合の第1及び第2時間を取得する計測装置の他の態様では、前記照射位置が前記第1位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta1及びtb1と定義し、前記照射位置が前記第2位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta2及びtb2と定義し、変数Δtを数式1で定義し、変数Δtを数式2で定義し、屈折率をnと定義すると、前記移動方向が前記裏面に平行である場合には、前記算出手段は、数式3に基づいて、前記屈折率を算出する。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
Figure 2019203905
この態様によれば、計測装置は、数式1から数式3に基づく演算を行うことで、第1及び第2時間に基づいて、試料の屈折率を好適に計測することができる。
<8>
上述の如く移動対象物を移動させる計測装置の他の態様では、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記移動手段は、前記移動方向を固定したまま前記移動対象物を移動させることで、前記照射位置を、互いに異なる第1位置、第2位置及び第3位置へと順に変更し、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記取得手段は、前記照射位置が前記第1位置となる場合の前記第1及び第2時間、前記照射位置が前記第2位置となる場合の前記第1及び第2時間、並びに、前記照射位置が前記第3位置となる場合の前記第1及び第2時間を取得し、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記取得手段は、前記第1及び第2時間、並びに、前記照射位置を前記第1位置から前記第2位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量、及び、前記照射位置を前記第2位置から前記第3位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量に基づいて、前記屈折率を算出する。
この態様によれば、移動方向が試料の裏面に平行でない場合には、照射位置が変更されると、所定位置(或いは、テラヘルツ波の照射位置及びテラヘルツ波の検出位置のうちの少なくとも一方)と試料の裏面との間の距離もまた変わる。この場合には、計測装置は、3つの異なる照射位置に夫々対応する3つの第1時間及び3つの第2時間を取得すれば、試料の屈折率を好適に計測することができる。つまり、計測装置は、試料の屈折率を計測するために、4つ以上の照射位置に夫々対応する4つ以上の第1時間及び4つ以上の第2時間を取得しなくてもよい。
<9>
上述の如く照射位置が第1位置となる場合の第1及び第2時間、照射位置が第2位置となる場合の第1及び第2時間並びに照射位置が第3位置となる場合の第1及び第2時間を取得する計測装置の他の態様では、前記照射位置が前記第1位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta1及びtb1と定義し、前記照射位置が前記第2位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta2及びtb2と定義し、前記照射位置が前記第3位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta3及びtb3と定義し、変数Δtを数式4で定義し、変数Δtを数式5で定義し、変数Δtを数式6で定義し、前記照射位置を前記第1位置から前記第2位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量をP1と定義し、前記照射位置を前記第2位置から前記第3位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量をP2と定義し、屈折率をnと定義すると、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記算出手段は、数式7に基づいて、前記屈折率を算出する。
Figure 2019203905
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Figure 2019203905
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この態様によれば、計測装置は、数式4から数式7に基づく演算を行うことで、第1及び第2時間に基づいて、試料の屈折率を好適に計測することができる。
<10>
上述の如く移動対象物を移動させる計測装置の他の態様では、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記移動手段は、(i)前記照射位置を、互いに異なる第1位置、第2位置及び第3位置へと順に変更するように、且つ、(ii)前記第1位置から前記第2位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量が、前記照射位置を前記第2位置から前記第3位置へと変更する場合の前記移動対象物の移動量と同一になるように、前記移動方向を固定したまま前記移動対象物を移動させ、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記取得手段は、前記照射位置が前記第1位置となる場合の前記第1及び第2時間、前記照射位置が前記第2位置となる場合の前記第1及び第2時間、並びに、前記照射位置が前記第3位置となる場合の前記第1及び第2時間を取得する。
この態様によれば、上述したように、移動方向が試料の裏面に平行でない場合には、計測装置は、3つの照射位置に夫々対応する3つの第1時間及び3つの第2時間を取得すれば、試料の屈折率を好適に計測することができる。
<11>
上述の如く照射位置が第1位置となる場合の第1及び第2時間、照射位置が第2位置となる場合の第1及び第2時間並びに照射位置が第3位置となる場合の第1及び第2時間を取得する計測装置の他の態様では、前記照射位置が前記第1位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta1及びtb1と定義し、前記照射位置が前記第2位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta2及びtb2と定義し、前記照射位置が前記第3位置となる場合の前記第1及び第2時間を夫々ta3及びtb3と定義し、変数Δtを数式8で定義し、変数Δtを数式9で定義し、変数Δtを数式10で定義し、屈折率をnと定義すると、前記移動方向が前記裏面に平行でなく且つ前記裏面が平面である場合には、前記算出手段は、数式11に基づいて、前記屈折率を算出する。
Figure 2019203905
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Figure 2019203905
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この態様によれば、計測装置は、数式8から数式11に基づく演算を行うことで、第1及び第2時間に基づいて、試料の屈折率を好適に計測することができる。
<12>
本実施形態の計測装置の他の態様では、前記算出手段は更に、算出した前記屈折率に基づいて、前記表面と前記裏面との間の物理的な距離である前記試料の厚さを算出する。
この態様によれば、計測装置は、屈折率に加えて、試料の厚さを計測する(つまり、算出する)ことができる。
(計測方法の実施形態)
<13>
本実施形態の計測方法は、試料の表面に照射されたテラヘルツ波が前記表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間、及び、前記表面に照射された前記テラヘルツ波が前記表面の反対側に位置する前記試料の裏面で反射された後に前記所定位置に到達するまでに要する第2時間を、前記試料に対する位置が互いに異なる前記テラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得工程と、前記第1及び第2時間に基づいて、前記試料の屈折率を算出する算出工程とを備える。
本実施形態の計測装置によれば、上述した本実施形態の計測装置が享受することが可能な効果と同様の効果を好適に享受することができる。
尚、本実施形態の計測装置が採用する各種態様に対応して、本実施形態の計測方法も、各種態様を採用してもよい。
(コンピュータプログラムの実施形態)
<14>
本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに上述した本実施形態の計測方法を実行させる。
本実施形態のコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態の計測装置が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
尚、本実施形態の計測装置が採用する各種態様に対応して、本実施形態のコンピュータプログラムも、各種態様を採用してもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
本実施形態の計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムの作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
以上説明したように、本実施形態の計測装置は、取得手段と、算出手段とを備える。本実施形態の計測方法は、取得工程と、算出工程とを備える。本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに上述した本実施形態の計測方法を実行させる。従って、試料に何らかの特殊な部材を接触させない場合であっても、試料の屈折率が計測される。
以下、図面を参照しながら、計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムの実施例について説明する。特に、以下では、計測装置、計測方法及びコンピュータプログラムが、テラヘルツ波THzを試料10に照射することで当該試料10の屈折率nを計測するテラヘルツ波計測装置100に適用された例を用いて説明を進める。
(1)テラヘルツ波計測装置100の構成
初めに、図1を参照しながら、本実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成について説明する。図1は、本実施例のテラヘルツ波計測装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ波THzを試料10に照射すると共に、試料10が反射したテラヘルツ波THz(つまり、試料10に照射されたテラヘルツ波THz)を検出する。
テラヘルツ波THzは、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波成分を含む電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。テラヘルツ領域は、様々な物質が固有の吸収スペクトルを有する周波数領域である。従って、テラヘルツ波計測装置100は、試料10に照射されたテラヘルツ波THzを解析することで、試料10の特性を計測することができる。本実施例では、テラヘルツ波計測装置100は、試料10に照射されたテラヘルツ波THzを解析することで、試料10の特性の一例である試料10の屈折率nを計測することができる。
ここで、テラヘルツ波THzの周期は、サブピコ秒のオーダーの周期であるがゆえに、当該テラヘルツ波THzの波形を直接的に検出することが技術的に困難である。そこで、テラヘルツ波計測装置100は、時間遅延走査に基づくポンプ・プローブ法を採用することで、テラヘルツ波THzの波形を間接的に検出する。以下、このようなポンプ・プローブ法を採用するテラヘルツ波計測装置100についてより具体的に説明を進める。
図1に示すように、テラヘルツ波計測装置100は、パルスレーザ装置101と、「照射手段」の一具体例であるテラヘルツ波発生素子110と、ビームスプリッタ161と、反射鏡162と、反射鏡163と、ハーフミラー164と、光学遅延機構120と、「検出手段」の一具体例であるテラヘルツ波検出素子130と、バイアス電圧生成部141と、I−V(電流−電圧)変換部142と、制御部150と、ステージ170を備えている。
パルスレーザ装置101は、当該パルスレーザ装置101に入力される駆動電流に応じた光強度を有するサブピコ秒オーダー又はフェムト秒オーダーのパルスレーザ光LBを生成する。パルスレーザ装置101が生成したパルスレーザ光LBは、不図示の導光路(例えば、光ファイバ等)を介して、ビームスプリッタ161に入射する。
ビームスプリッタ161は、パルスレーザ光LBを、ポンプ光LB1とプローブ光LB2とに分岐する。ポンプ光LB1は、不図示の導光路を介して、テラヘルツ波発生素子110に入射する。一方で、プローブ光LB2は、不図示の導光路及び反射鏡162を介して、光学遅延機構120に入射する。その後、光学遅延機構120から出射したプローブ光LB2は、反射鏡163及び不図示の導光路を介して、テラヘルツ波検出素子130に入射する。
テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを出射する。具体的には、テラヘルツ波発生素子110は、ギャップを介して互いに対向する一対の電極層を備えている。ギャップには、一対の電極層を介して、バイアス電圧生成部141が生成したバイアス電圧が印加されている。有効なバイアス電圧(例えば、0Vでないバイアス電圧)がギャップに印加されている状態でポンプ光LB1がギャップに照射されると、ギャップの下側に形成されている光伝導層にもまたポンプ光LB1が照射される。この場合、ポンプ光LB1が照射された光伝導層には、ポンプ光LB1による光励起によってキャリアが発生する。その結果、テラヘルツ波発生素子110には、発生したキャリアに応じたサブピコ秒オーダーの又はフェムト秒オーダーのパルス状の電流信号が発生する。発生した電流信号は、一対の電極層に流れる。その結果、テラヘルツ波発生素子110は、当該パルス状の電流信号に起因したテラヘルツ波THzを出射する。
テラヘルツ波発生素子110から出射したテラヘルツ波THzは、ハーフミラー164を透過する。その結果、ハーフミラー164を透過したテラヘルツ波THzは、試料10(特に、試料10の表面10a)に照射される。試料10に照射されたテラヘルツ波THzは、試料10によって(特に、試料の表面10a及び裏面10bの夫々によって)反射される。試料10によって反射されたテラヘルツ波THzは、ハーフミラー164によって反射される。ハーフミラー164によって反射されたテラヘルツ波THzは、テラヘルツ波検出素子130に入射する。
テラヘルツ波検出素子130は、テラヘルツ波検出素子130に入射するテラヘルツ波THzを検出する。具体的には、テラヘルツ波検出素子130は、ギャップを介して互いに対向する一対の電極層を備えている。ギャップにプローブ光LB2が照射されると、ギャップの下側に形成されている光伝導層にもまたプローブ光LB2が照射される。この場合、プローブ光LB2が照射された光伝導層には、プローブ光LB2による光励起によってキャリアが発生する。その結果、キャリアに応じた電流信号が、テラヘルツ波検出素子130が備える一対の電極層に流れる。プローブ光LB2がギャップに照射されている状態でテラヘルツ波検出素子130にテラヘルツ波THzが照射されると、一対の電極層に流れる電流信号の信号強度は、テラヘルツ波THzの光強度に応じて変化する。テラヘルツ波THzの光強度に応じて信号強度が変化する電流信号は、一対の電極層を介して、I−V変換部142に出力される。
光学遅延機構120は、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の差分(つまり、光路長差)を調整する。具体的には、光学遅延機構120は、プローブ光LB2の光路長を調整することで、光路長差を調整する。光路長差が調整されると、ポンプ光LB1がテラヘルツ波発生素子110に入射するタイミング(或いは、テラヘルツ波発生素子110がテラヘルツ波THzを出射するタイミング)と、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミング(或いは、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミング)との時間差が調整される。テラヘルツ波計測装置100は、この時間差を調整することで、テラヘルツ波THzの波形を間接的に検出する。例えば、光学遅延機構120によってプローブ光LB2の光路が0.3ミリメートル(但し、空気中での光路長)だけ長くなると、プローブ光LB2がテラヘルツ波検出素子130に入射するタイミングが1ピコ秒だけ遅くなる。この場合、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングが、1ピコ秒だけ遅くなる。テラヘルツ波検出素子130に対して同一の波形を有するテラヘルツ波THzが数十MHz程度の間隔で繰り返し入射することを考慮すれば、テラヘルツ波検出素子130がテラヘルツ波THzを検出するタイミングを徐々にずらすことで、テラヘルツ波検出素子130は、テラヘルツ波THzの波形を間接的に検出することができる。つまり、後述するロックイン検出部151は、テラヘルツ波検出素子130の検出結果に基づいて、テラヘルツ波THzの波形を検出することができる。
テラヘルツ波検出素子130から出力される電流信号は、I−V変換部142によって、電圧信号に変換される。
制御部150は、テラヘルツ波計測装置100の全体の動作を制御するための制御動作を行う。制御部150は、CPU(Central Processing Unit))と、メモリとを備える。メモリには、制御部150に制御動作を行わせるためのコンピュータプログラムが記録されている。当該コンピュータプログラムがCPUによって実行されることで、CPUの内部には、制御動作を行うための論理的な処理ブロックが形成される。但し、メモリにコンピュータプログラムが記録されていなくてもよい。この場合、CPUは、ネットワークを介してダウンロードしたコンピュータプログラムを実行してもよい。
制御部150は、制御動作の一例として、テラヘルツ波検出素子130の検出結果(つまり、I−V変換部142が出力する電圧信号)に基づいて、試料10の特性を計測する計測動作を行う。計測動作を行うために、制御部150は、CPUの内部に形成される論理的な処理ブロックとして、ロックイン検出部151と、信号処理部152とを備えている。
ロックイン検出部151は、I−V変換部142から出力される電圧信号に対して、バイアス電圧生成部141が生成するバイアス電圧を参照信号とする同期検波を行う。その結果、ロックイン検出部151は、テラヘルツ波THzのサンプル値を検出する。その後、ポンプ光LB1の光路長とプローブ光LB2の光路長との間の差分(つまり、光路長差)を適宜調整しながら同様の動作が繰り返されることで、ロックイン検出部151は、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形(時間波形)を検出することができる。ロックイン検出部151は、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号を、信号処理部152に対して出力する。つまりロックイン検出部151は、I−V変換部142から出力される電圧信号(つまり、テラヘルツ波THzの検出信号)から参照信号とは異なる周波数のノイズ成分を除去する。即ちロック印検出部151は、検出信号と参照信号とを用いて同期検波をすることによって、時間波形信号を相対的に高い感度で且つ相対的に高精度に検波する。尚、テラヘルツ波計測装置100がロックイン検出を用いない場合は、テラヘルツ波発生素子110には、バイアス電圧として直流電圧が印加されればよい。
信号処理部152は、ロックイン検出部151から出力される波形信号に基づいて、試料10の特性を計測する。例えば、信号処理部152は、テラヘルツ時間領域分光法を用いてテラヘルツ波THzの周波数スペクトルを取得すると共に、当該周波数スペクトルに基づいて試料10の特性を計測する。
本実施例では特に、信号処理部152は、制御動作の一例として、ロックイン検出部151から出力される波形信号に基づいて、試料10の屈折率nを計測する計測動作を行う。更に、信号処理部152は、制御動作の一例として、ロックイン検出部151から出力される波形信号に基づいて、試料10の厚さd(つまり、試料10に対してテラヘルツ波THzが入射する方向に沿った厚さd)を計測する計測動作を行う。尚、ここでいう厚さdは、「表面10aと裏面10bとの間の物理的な距離」を意味する。計測動作を行うために、信号処理部152は、CPUの内部に形成される論理的な処理ブロックとして、「取得手段」の一具体例である検出時間取得部1521と、「算出手段」の一具体例である屈折率算出部1522と、「算出手段」の一具体例である厚さ算出部1523とを備える。尚、検出時間取得部1521、屈折率算出部1522、厚さ算出部1523の動作の具体例については、後に詳述するためここでの説明を省略する。
ステージ170は、試料10を保持する。図1に示す例では、ステージ170は、試料10の裏面10bがステージ170側を向くように、試料10を保持している。ステージ170は、試料10を保持したまま、所定の移動方向に沿って移動可能である。ステージ170が移動すると、テラヘルツ波THzの試料10上での照射位置が変わる。
ステージ170の移動は、制御部150によって制御される。具体的には、制御部150は、CPUの内部に形成される論理的な処理ブロックとして、照射位置変更部153を備える。照射位置変更部153は、テラヘルツ波THzの照射位置を調整する(例えば、所望位置に変更する)ように、ステージ170の移動を制御する。
尚、照射位置変更部153は、ステージ170を移動させることに加えて又は代えて、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130のうちの少なくとも一方を移動させることで、テラヘルツ波THzの照射位置を調整してもよい。
(2)テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する計測動作
続いて、図2から図7を参照しながら、テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する計測動作について説明する。本実施例では、テラヘルツ波計測装置100は、屈折率n及び厚さdを計測する計測動作として、2種類の計測動作(第1計測動作及び第2計測動作)のうちの少なくとも一方を行う。以下、屈折率n及び厚さdを計測する第1計測動作、及び、屈折率n及び厚さdを計測する第2計測動作について順に説明する。
(2−1)屈折率n及び厚さdを計測する第1計測動作
はじめに、図2を参照しながら、テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する第1計測動作について説明する。図2は、テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する第1計測動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、照射位置変更部153は、テラヘルツ波THzの照射位置が、試料10の表面10a上の第1位置になるように、ステージ170を制御する(ステップS101)。
その後、テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを試料10の表面10aに向けて出射する(ステップS102)。つまり、テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを、試料10の表面10a上の第1位置に照射する(ステップS102)。
試料10aに照射されたテラヘルツ波THzは、試料10によって反射される。ここで、図3を参照しながら、試料10によるテラヘルツ波THzの反射について説明する。図3は、試料10に照射されるテラヘルツ波THzの光路及び試料10によって反射されたテラヘルツ波THzの光路を示す試料10の断面図である。
図3に示すように、試料10に照射されたテラヘルツ波THzの一部は、試料10の表面10aによって反射される。表面10aによって反射されたテラヘルツ波THzは、試料10からテラヘルツ波検出素子130に伝搬していく。
一方で、試料10に照射されたテラヘルツ波THzの一部は、表面10aによって反射されることなく、試料10の内部を透過していく。その後、試料10の内部を透過したテラヘルツ波THzは、試料10の裏面10bに到達する。その結果、試料10の内部を透過したテラヘルツ波THzの一部は、試料10の裏面10bによって反射される。裏面10bによって反射されたテラヘルツ波THzは、再び試料10の内部を透過していく。その後、試料10の内部を透過したテラヘルツ波THzは、試料10の表面10aに到達する。その結果、裏面10bによって反射されたテラヘルツ波THzの一部は、試料10からテラヘルツ波検出素子130に伝搬していく。
尚、本実施例において、表面10a及び裏面10bは、試料10内でのテラヘルツ波THzの伝搬方向(図1及び図3で言えば、図面横方向)に沿って対向する試料10の2つの外面を意味する。この場合、表面10aは、2つの外面のうちテラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130に近い一方の外面に相当する。一方で、裏面10bは、2つの外面のうちテラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130から遠い他方の外面に相当する。
また、試料10の裏面10bによるテラヘルツ波THzの反射を促進するべく、試料10の裏面10bに接する又は密着するように反射部材が配置されていてもよい。
再び図2において、試料10によって反射されたテラヘルツ波THzは、テラヘルツ波検出素子130によって検出される(ステップS102)。その結果、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号が、信号処理部152に入力される。
その後、検出時間取得部1521は、信号処理部152に入力された波形信号に基づいて、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1を取得する(ステップS103)。つまり、テラヘルツ波計測装置100は、第1位置に照射されたテラヘルツ波THzの検出結果に基づいて、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1を取得する。検出時間取得部1521は、テラヘルツ波THzを第1位置に照射した場合に取得された第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1を、屈折率算出部1522に出力する。尚、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1は、夫々、「第1時間」及び「第2時間」の一具体例である。
ここで、図4を参照しながら、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1の取得動作について説明する。図4は、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形信号を示すグラフである。
図4に示すように、波形信号には、表面10aで反射されたテラヘルツ波THzに相当する波形信号及び裏面10bで反射されたテラヘルツ波THzに相当する波形信号が含まれている。裏面10bで反射されたテラヘルツ波THzが試料10の内部を透過した後にテラヘルツ波検出素子130に到達する一方で、表面10aで反射されたテラヘルツ波THzは試料の10の内部を透過することなくテラヘルツ波検出素子130に到達する。このため、裏面10bで反射されたテラヘルツ波THzは、表面10aで反射されたテラヘルツ波THzよりも時間的に遅れてテラヘルツ波検出素子130に到達する。従って、波形信号上でも、裏面10bで反射されたテラヘルツ波THzに相当する波形信号は、表面10aで反射されたテラヘルツ波THzに相当する波形信号よりも時間的に遅れている。
第1検出時間ta1は、テラヘルツ波発生素子110がテラヘルツ波THzの照射を開始してから試料10の表面10aで反射されたテラヘルツ波THzがテラヘルツ波検出素子130に到達するまでに要する時間である。一方で、第2検出時間tb1は、テラヘルツ波発生素子110がテラヘルツ波THzの照射を開始してから試料10の裏面10bで反射されたテラヘルツ波THzがテラヘルツ波検出素子130に到達するまでに要する時間である。検出時間取得部1521は、波形信号を解析することで、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1を容易に取得する(言い換えれば、算出する又は特定する)ことができる。
再び図2において、その後、テラヘルツ波計測装置100は、照射位置を変更した後に、上述した動作(つまり、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2を取得する動作)を再度行う。具体的には、照射位置変更部153は、テラヘルツ波THzの照射位置が、試料10の表面10a上の第2位置(但し、第2位置は、第1位置とは異なる)になるように、ステージ170を制御する(ステップS101)。その結果、ステージ170は、所定の移動方向に沿って所定の移動量だけ移動する。
ここで、図5を参照しながら、テラヘルツ波THzが照射される第1位置及び第2位置について説明する。図5は、第1位置に照射されるテラヘルツ波THzの光路及び第2位置に照射されるテラヘルツ波THzの光路を示す試料10の断面図である。
図5に示すように、第1動作例では、第1及び第2位置は、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L11と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L21とが同一であるという第1条件を満たす。更に、第1及び第2位置は、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L13と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L23とが同一であるという第2条件を満たす。つまり、照射位置変更部153は、第1及び第2条件を満たすように、ステージ170を制御する。言い換えれば、照射位置変更部153は、第1及び第2条件を満たす第1位置及び第2位置の夫々にテラヘルツ波THzが照射されるように、ステージ170を制御する。
第1及び第2条件を満たすようにステージ170を制御するために、照射位置変更部153は、ステージ170の移動方向が試料10の裏面10bと平行になるように、ステージ170を制御する。言い換えれば、第1及び第2条件を満たすようにステージ170を制御するために、照射位置変更部153は、試料10の裏面10bに平行な方向に沿ってステージ170が移動するように、ステージ170を制御する。その結果、テラヘルツ波THzの照射位置が変更される場合であっても、テラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離が変わることはない。同様に、テラヘルツ波THzの照射位置が変更される場合であっても、テラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離が変わることはない。
尚、ここでいう「裏面10bに平行な方向に沿ってステージ170が移動する」状態とは、「第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのステージ170と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのステージ170とが、裏面10bに平行な方向に沿って並ぶように、ステージ170が移動する」状態を意味する。このような状態は、裏面10bに平行な第1方向のみに沿ってステージ170が移動することによって実現される。或いは、このような状態は、裏面10bに平行な第1方向及び裏面10bに交わる第2方向に沿ってステージ170が移動する場合であっても、第2方向に沿ったステージ170の移動量がトータルでゼロになる(つまり、相殺される)限りは、実現される。
尚、照射位置変更部153が、ステージ170を移動させることに加えて又は代えて、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130のうちの少なくとも一方を移動させることで、テラヘルツ波THzの照射位置を調整してもよいことは上述したとおりである。この場合においても、照射位置変更部153が、第1及び第2条件を満たすように、テラヘルツ波発生素子110及びテラヘルツ波検出素子130のうちの少なくとも一方を移動させる。
加えて、図5に示すように、第1動作例では、第1及び第2位置は、第1位置における試料10の厚さd1が、第2位置における試料10の厚さd2とは異なるという第3条件を満たす。つまり、照射位置変更部153は、第3条件を満たすように、ステージ170を制御する。言い換えれば、照射位置変更部153は、第3条件を満たす第1位置及び第2位置の夫々にテラヘルツ波THzが照射されるように、ステージ170を制御する。
第3条件が満たされるためには、試料10は、試料10の厚さdにばらつきがあるという条件を満たすことが好ましい。厚さdのばらつきは、試料10の表面10aに意図的に形成された凹凸(例えば、段差や、曲面等)に起因した厚さdのばらつきを含んでいてもよい。或いは、厚さdのばらつきは、仕上げ加工の精度に依存する試料10の表面10aの粗さに起因した厚さdのばらつきを含んでいてもよい。
尚、試料10の裏面10bは平面である場合には、第1及び第2位置が上述した第1及び第2条件を満たしやすくなる。このため、第1計測動作においては、試料10の裏面10bは平面であることが好ましい。
その後、テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを、試料10の表面10a上の第2位置に照射する(ステップS112)。その後、テラヘルツ波検出素子130は、試料10によって反射されたテラヘルツ波THzを検出する(ステップS112)。その結果、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号が、信号処理部152に入力される。その後、検出時間取得部1521は、信号処理部152に入力された波形信号に基づいて、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2を取得する(ステップS113)。つまり、テラヘルツ波計測装置100は第2位置に照射されたテラヘルツ波THzの検出結果に基づいて、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2を取得する。検出時間取得部1521は、テラヘルツ波THzを第2位置に照射した場合に取得された第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2を、屈折率算出部1522に出力する。尚、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2は、夫々、「第1時間」及び「第2時間」の一具体例である。
その後、屈折率算出部1522は、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1、並びに、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2に基づいて、試料10の屈折率nを算出する(ステップS121)。具体的には、屈折率算出部1522は、数式12を用いて、屈折率nを算出する。尚、数式12中のΔtは、第1位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の内部を透過するために要する時間に相当する。つまり、数式12中のΔtは、第1位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の表面10aから裏面10bを介して再度表面10aに到達するために要する時間に相当する。このため、Δtは、Δt=tb1−ta1という数式から算出可能である。数式12中のΔtは、第2位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の内部を透過するために要する時間に相当する。つまり、数式12中のΔtは、第2位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の表面10aから裏面10bを介して再度表面10aに到達するために要する時間に相当する。このため、Δtは、Δt=tb2−ta2という数式から算出可能である。
Figure 2019203905
ここで、上述した図5を参照しながら、数式12を用いて屈折率nを算出可能な理由について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L11と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L21と、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L13と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L23とが、いずれも同一である(便宜上、Lである)ものとする。つまり、L11=L13=L21=L23=Lであるものとする。但し、L11=L21≠L13=L23である場合であっても、後述する説明中の「L」を「(L11+L13)/2」又は「(L21+L23)/2」に置き換えれば、数式12を用いて屈折率nを算出可能な理由に変わりはないことが分かる。
まず、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から裏面10bに至るまでに要する時間は、第2検出時間tb1の半分である。第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から裏面10bに至るまでの光路長(つまり、光学距離)は、(L−d1)+n×d1である(但し、説明の便宜上、試料10が空気中に位置しており、且つ、空気の屈折率を1と近似する)。従って、空気中のテラヘルツ波THzの速度をcと定義すると、数式13が成立する。同様の理由から、第2位置に関連する数式14もまた成立する。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
一方で、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から表面10aに至るまでに要する時間は、第1検出時間ta1の半分である。第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から表面10aに至るまでの光路長(つまり、光学距離)は、L−d1である。従って、数式15が成立する。同様の理由から、第2位置に関連する数式16もまた成立する。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
数式13に対して数式15を代入することで、数式13から変数d1を消去することができる。変数d1が消去された数式13をnについて解くと、数式17が得られる。数式14に対して数式16を代入することで、数式14から変数d2を消去することができる。変数d2が消去された数式14をnについて解くと、数式18が得られる。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
数式17に対して数式18を代入することで、数式17から変数nを消去することができる。変数nが消去された数式17をLについて解くと、数式19が得られる。
Figure 2019203905
数式19を数式17に代入することで、数式17から変数Lを消去することができる。変数Lが消去された数式17をnについて解くと、上述した数式12が得られる。
再び図2において、その後、厚さ算出部1523は、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2、並びに、ステップS121で算出した屈折率nに基づいて、試料10の厚さdを算出する(ステップS122)。第1動作例では、上述したように第1位置における試料10の厚さd1と第2位置における試料10の厚さd2とが異なる。従って、厚さ算出部1523は、厚さd1及びd2の夫々を算出する。具体的には、厚さ算出部1523は、d1=(c/n)×Δt/2という数式を用いて、厚さd1を算出する。厚さ算出部1523は、d2=(c/n)×Δt/2という数式を用いて、厚さd2を算出する。
以上説明したように、本実施例のテラヘルツ計測装置100は、第1計測動作を実行することで、試料10の屈折率nを好適に計測する(つまり、算出する)ことができる。特に、本実施例のテラヘルツ計測装置100は、試料10の厚さdが異なる複数の照射位置にテラヘルツ波THzを照射することで、試料10に何らかの特殊な部材を接触させることなく、屈折率nを好適に計測することができる。更に、本実施例のテラヘルツ計測装置100は、屈折率nを好適に計測することができるがゆえに、試料10の厚さdもまた好適に計測することができる。
ここで、屈折率nを計測することなく試料10の厚さdを計測する比較例のテラヘルツ波計測装置の一例として、単一の照射位置にテラヘルツ波THzを照射することで厚さdを計測するテラヘルツ波計測装置が想定される。この場合、比較例のテラヘルツ波計測装置は、第1検出時間t及び第2検出時間tを取得する。更に、比較例のテラヘルツ波計測装置は、厚さd=c×(t−t)/2という数式を用いて、試料10の厚さdを計測する。しかしながら、上述したように、試料10の内部でのテラヘルツ波THzの速度c’は、屈折率nに応じて変動する。このため、比較例のテラヘルツ波計測装置によって計測される厚さdは、試料10の本来の厚さd=(c/n)×(t−t)/2よりも大きな値となってしまう。
このため、比較例のテラヘルツ波計測装置100は、本来の厚さdを計測するためには、屈折率nを計測する必要がある。しかしながら、特許文献1及び2に記載されているように、屈折率nの計測には手間がかかるのが一般的である。しかしながら、本実施例のテラヘルツ波計測装置100は、比較的容易に屈折率nを計測することができると言う大きな利点を有している。
尚、上述した数式12は、数式13から数式16より構成される連立方程式(つまり、L、d1、d2及びnを未知数とする4つの方程式からなる連立方程式)をnについて解くことで得られる数式であるとも言える。このため、テラヘルツ波計測装置100は、数式12を用いることに代えて、数式13から数式16より構成される連立方程式をnについて解くことで、屈折率nを算出してもよい。例えば、テラヘルツ波計測装置100は、nの仮定値を連立方程式に代入することで連立方程式が成立するか否かを判断し、連立方程式が成立するまで連立方程式に代入するnの仮定値を調整する動作を繰り返してもよい。この場合、連立方程式が成立するnの仮定値が、試料10の屈折率nに相当する。
(2−2)屈折率n及び厚さdを計測する第2計測動作
続いて、図6を参照しながら、テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する第2計測動作について説明する。図6は、テラヘルツ波計測装置100が行う屈折率n及び厚さdを計測する第2計測動作の流れの一例を示すフローチャートである。
上述した第1計測動作では、ステージ170は、試料10の裏面10bに平行な方向に沿って移動している。つまり、テラヘルツ波THzの照射位置が変更される場合であっても、テラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離及びテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離が変わらない。しかしながら、ステージ170の移動条件や、試料10の状態(特に、裏面10bの状態)によっては、ステージ170は、試料10の裏面10bに平行な方向に沿って移動することができない場合もある。つまり、テラヘルツ波THzの照射位置が変更されると、テラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離及びテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離のうちの少なくとも一方が変わってしまう場合もある。
この場合には、テラヘルツ波計測装置100は、第1計測動作を行ったとしても、屈折率nを計測することは困難である。このため、ステージ170が試料10の裏面10bに平行な方向に沿って移動することができない場合には、テラヘルツ波計測装置100は、第2計測動作を行うことで屈折率nを計測する。但し、第2計測動作は、裏面10bが平面である(言い換えれば、裏面10bに意図的に凹凸が形成されていない)試料10に対して行われる。
具体的には、図6に示すように、照射位置変更部153は、テラヘルツ波THzの照射位置が、試料10の表面10a上の第1位置になるように、ステージ170を制御する(ステップS201)。テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを、第1位置に照射する(ステップS202)。その後、テラヘルツ波検出素子130は、試料10によって反射されたテラヘルツ波THzを検出する(ステップS202)。その結果、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号が、信号処理部152に入力される。その後、検出時間取得部1521は、信号処理部152に入力された波形信号に基づいて、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1を取得する(ステップS203)。尚、ステップS201、ステップS202及びステップS203の動作は、特段の説明がない場合には、夫々、第1計測動作のステップS101、ステップS102及びステップS103の動作と同一であってもよい。
その後、照射位置変更部153は、試料10の表面10a上の第2位置(但し、第2位置は、第1位置とは異なる)になるように、ステージ170を制御する(ステップS211)。その結果、ステージ170は、照射位置を第1位置から第2位置に変更するために、所定の第1移動量P1だけ所定の移動方向に沿って移動する。
但し、第2計測動作は、主としてステージ170が試料10の裏面10bに平行な方向に沿って移動することができない場合に行われる動作である。このため、照射位置変更部153は、照射位置を第2位置に変更する際には、テラヘルツ波THzの照射位置が変更される場合であってもテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離が変わらないという上述した第1条件を満たすように、ステージ170を制御しなくてもよい。同様に、照射位置変更部153は、照射位置を第2位置に変更する際には、テラヘルツ波THzの照射位置が変更される場合であってもテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離が変わらないという上述した第2条件を満たすように、ステージ170を制御しなくてもよい。
その後、テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを、第2位置に照射する(ステップS212)。その後、テラヘルツ波検出素子130は、試料10によって反射されたテラヘルツ波THzを検出する(ステップS212)。その結果、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号が、信号処理部152に入力される。その後、検出時間取得部1521は、信号処理部152に入力された波形信号に基づいて、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2を取得する(ステップS213)。尚、ステップS211、ステップS212及びステップS213の動作は、特段の説明がない場合には、夫々、第1計測動作のステップS101、ステップS102及びステップS103の動作と同一であってもよい。
その後、照射位置変更部153は、試料10の表面10a上の第3位置(但し、第3位置は、第1位置及び第2位置とは異なる)になるように、ステージ170を制御する(ステップS221)。その結果、ステージ170は、照射位置を第2位置から第3位置に変更するために、所定の第2移動量P2だけ所定の移動方向に沿って移動する。
第2計測動作では特に、照射位置変更部153は、照射位置を第2位置から第3位置に変更する場合のステージ170の移動方向が、照射位置を第1位置から第2位置に変更する場合のステージ170の移動方向と同一になるように、ステージ170を制御する。つまり、照射位置変更部153は、照射位置を第1位置から第2位置を経由して第3位置に変更する場合のステージ170の移動方向が固定されるように、ステージ170を制御する。
また、第2計測動作が主としてステージ170が試料10の裏面10bに平行な方向に沿って移動することができない場合に行われる動作である。このため、照射位置変更部153は、照射位置を第3位置に変更する際には、上述した第1条件を満たすように、ステージ170を制御しなくてもよい。同様に、照射位置変更部153は、照射位置を第3位置に変更する際には、上述した第2条件を満たすように、ステージ170を制御しなくてもよい。
その後、テラヘルツ波発生素子110は、テラヘルツ波THzを、第3位置に照射する(ステップS222)。その後、テラヘルツ波検出素子130は、試料10によって反射されたテラヘルツ波THzを検出する(ステップS222)。その結果、テラヘルツ波検出素子130が検出したテラヘルツ波THzの波形を示す波形信号が、信号処理部152に入力される。その後、検出時間取得部1521は、信号処理部152に入力された波形信号に基づいて、第1検出時間ta3及び第2検出時間tb3を取得する(ステップS223)。尚、ステップS221、ステップS222及びステップS223の動作は、特段の説明がない場合には、夫々、第1計測動作のステップS101、ステップS102及びステップS103の動作と同一であってもよい。
その後、屈折率算出部1522は、第1検出時間ta1及び第2検出時間tb1、第1検出時間ta2及び第2検出時間tb2、並びに、第1検出時間ta3及び第2検出時間tb3に基づいて、試料10の屈折率nを算出する(ステップS231)。具体的には、屈折率算出部1522は、数式20を用いて、屈折率nを算出する。尚、数式20中のΔt及びΔtは、第1計測動作の説明時に既に説明済みである。数式20中のΔtは、第3位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の内部を透過するために要する時間に相当する。つまり、数式20中のΔtは、第3位置にテラヘルツ波THzを照射した場合において、テラヘルツ波THzが試料10の表面10aから裏面10bを介して再度表面10aに到達するために要する時間に相当する。このため、Δtは、Δt=tb3−ta3という数式から算出可能である。
Figure 2019203905
ここで、図7を参照しながら、数式20を用いて屈折率nを算出可能な理由について説明する。図7は、第1位置に照射されるテラヘルツ波THzの光路、第2位置に照射されるテラヘルツ波THzの光路及び第3位置に照射されるテラヘルツ波THzの光路を示す試料の断面図である。
尚、以下の説明では、説明の便宜上、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L11と、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L13は、同一である(便宜上、L1である)ものとする。第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L21と、第2位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L23は、同一である(便宜上、L2である)ものとする。第3位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離L31と、第3位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でのテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離L33は、同一である(便宜上、L3である)ものとする。但し、L11≠L13である場合であっても、後述する説明中の「L1」を「(L11+L13)/2」に置き換えれば、数式20を用いて屈折率nを算出可能な理由に変わりはないことが分かる。L21≠L23である場合であっても、後述する説明中の「L2」を「(L21+L23)/2」に置き換えれば、数式20を用いて屈折率nを算出可能な理由に変わりはないことが分かる。L31≠L33である場合であっても、後述する説明中の「L3」を「(L31+L33)/2」に置き換えれば、数式20を用いて屈折率nを算出可能な理由に変わりはないことが分かる。
また、以下の説明では、第1位置における試料10の厚さdは、d1であるものとする。第2位置における試料10の厚さdは、d2であるものとする。第3位置における試料10の厚さdは、d3であるものとする。
まず、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から裏面10bに至るまでに要する時間は、第2検出時間tb1の半分である。第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から裏面10bに至るまでの光路長(つまり、光学距離)は、(L1−d1)+n×d1である(但し、説明の便宜上、試料10が空気中に位置しており、且つ、空気の屈折率を1と近似する)。従って、空気中のテラヘルツ波THzの速度をcと定義すると、数式21が成立する。同様の理由から、第2位置に関連する数式22及び第3位置に関連する数式23もまた成立する。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
Figure 2019203905
一方で、第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から表面10aに至るまでに要する時間は、第1検出時間ta1の半分である。第1位置にテラヘルツ波THzが照射されている状況下でテラヘルツ波THzがテラヘルツ波発生素子110から表面10aに至るまでの光路長(つまり、光学距離)は、L1−d1である。従って、数式24が成立する。同様の理由から、第2位置に関連する数式25及び第3位置に関連する数式26もまた成立する。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
Figure 2019203905
数式21中の「L1−d1」に数式24の「c×ta1/2」を代入することで得られる数式をd1について解くと、数式27が得られる。数式22中の「L2−d2」に数式25の「c×ta2/2」を代入することで得られる数式をd2について解くと、数式28が得られる。数式23中の「L3−d3」に数式26の「c×ta3/2」を代入することで得られる数式をd3について解くと、数式28が得られる。
Figure 2019203905
Figure 2019203905
Figure 2019203905
一方で、上述したように裏面10bが平面であるため、ステージ170の移動方向に対する裏面10bの傾きは一定である。従って、数式30が成立する。
Figure 2019203905
この数式30に対して数式24、数式25及び数式26を代入することで得られる数式を整理すると、数式31が得られる。
Figure 2019203905
数式31に対して数式27、数式28及び数式29を代入することで得られる数式を整理すると、上述した数式20が得られる。
再び図2において、その後、厚さ算出部1523は、試料10の厚さd(つまり、厚さd1、d2及びd3)を算出する(ステップS232)。具体的には、厚さ算出部1523は、d1=(c/n)×Δt/2という数式を用いて、厚さd1を算出する。厚さ算出部1523は、d2=(c/n)×Δt/2という数式を用いて、厚さd1を算出する。厚さ算出部1523は、d3=(c/n)×Δt/2という数式を用いて、厚さd1を算出する。
以上説明したように、本実施例のテラヘルツ計測装置100は、第2計測動作を実行することで、第1計測動作を実行する場合に享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。特に、テラヘルツ波計測装置100は、テラヘルツ波THzの照射位置が変更されることでテラヘルツ波発生素子110と裏面10bとの間の距離及びテラヘルツ波検出素子130と裏面10bとの間の距離のうちの少なくとも一方が変わってしまう場合であっても、試料10の屈折率nを好適に計測する(つまり、算出する)ことができる。
尚、照射位置を第1位置から第2位置に変更する場合のステージ170の移動量P1と照射位置を第2位置から第3位置に変更する場合のステージ170の移動量P2とが同一である場合には、上述した数式20は、数式31となる。従って、移動量P1と移動量P2とが同一になるように照射位置変更部153がステージ170を制御する場合には、屈折率算出部1522は、数式20に代えて、数式32を用いて、屈折率nを算出してもよい。
Figure 2019203905
また、上述した数式20は、数式21から数式26及び数式30より構成される連立方程式(つまり、L1、L2、L3、d1、d2、d3及びnを未知数とする7つの方程式からなる連立方程式)をnについて解くことで得られる数式であるとも言える。このため、テラヘルツ波計測装置100は、数式20を用いることに代えて、数式21から数式26及び数式30より構成される連立方程式をnについて解くことで、屈折率nを算出してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う計測装置、計測方法、及び、コンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10 試料
10a 表面
10b 裏面
100 テラヘルツ波計測装置
101 パルスレーザ装置
110 テラヘルツ波発生素子
120 光学遅延機構
130 テラヘルツ波検出素子
150 制御部
151 ロックイン検出部
152 信号処理部
1521 検出時間取得部
1522 屈折率算出部
1523 厚さ算出部
153 照射位置変更部
170 ステージ
LB1 ポンプ光
LB2 プローブ光
THz テラヘルツ波

Claims (1)

  1. 試料の表面に照射されたテラヘルツ波が前記表面で反射された後に所定位置に到達するまでに要する第1時間、及び、前記表面に照射された前記テラヘルツ波が前記表面の反対側に位置する前記試料の裏面で反射された後に前記所定位置に到達するまでに要する第2時間を、前記試料に対する位置が互いに異なる前記テラヘルツ波の複数の照射位置の夫々毎に取得する取得手段と、
    前記第1及び第2時間に基づいて、前記試料の屈折率を算出する算出手段と
    を備えることを特徴とする計測装置。
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