JP2019202929A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水熱合成におけるテンプレートの使用量を削減したゼオライト製造方法の提供。【解決手段】ゼオライトの製造方法は、ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程(A)と、前記分離後残液から有機溶剤をさらに分離し、前記有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程(B)と、前記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程(C)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明はゼオライトの製造方法にし、更に詳しくは、水熱合成法によるゼオライトの製造方法において、水熱合成で使用しなかった未反応のテンプレートをリサイクルしてゼオライトを製造する方法に関する。
ゼオライトはその骨格構造に由来する細孔による分子ふるい効果やイオン交換能、触媒能、吸着能などの特性をもっており、現在、吸着材、イオン交換剤、工業触媒、環境触媒として幅広く利用されている。ゼオライトの合成方法としては、骨格の構成元素、即ち珪素、アルミニウム、リン等の各種元素の原料を用いて、水性媒体中で加熱合成する、いわゆる水熱合成が行われている。
水熱合成法は、上述したゼオライト骨格となる元素の原料の他に、ゼオライトの構造を規定する有機構造規定剤(OSDA:Organic structure−directing agent、以下、「テンプレート」という場合がある。)を一種または複数種用いる場合がある。
水熱合成は通常、上述の各種原料を用いて水性ゲルとしたものを、長時間加熱して合成を進めるため、得られたゼオライトと分離した後の反応母液が多量に発生し、且つ未反応原料の処理もあり、このリサイクルが課題となっている。また水熱合成に用いるテンプレート類は一般的に高価であるため、安価なゼオライトの提供には、これらの回収、再利用も課題となっている。水熱合成に使用されたテンプレートを再利用することが難しいことは既によく知られているが、様々な技術が提案されている。
特許文献1では、テンプレート含有母液に含まれる不純物に対して、組成等を調製することによりこの不純物を制御して高シリカのフォージャサイト型ゼオライトを合成する方法が紹介されている。しかし、本手法はテンプレート含有母液に含まれる不純物を制御し、高シリカのフォージャサイト型を製造する手法であり、その制御条件が限られている。
特許文献2では、母液に含まれるテンプレートを分解し、回収しやすい3級アミンに変えた後、再生反応としてアルキル化反応を行い、構造規定剤として再使用する方法を提供している。しかしこの方法では、再利用の為には3級アミンを4級アンモニウム塩に再生する工程を要するなど、製造工程が複雑である。更に、母液に含まれる未反応の無機成分と完全に分離してしまうため、無機成分を含む液の廃液処理費用や、リサイクル合成時に無機成分をリサイクルすることができないため原料費が嵩むといった問題もある。
特許文献3では、テンプレート含有母液を用いてリサイクル合成を行うと、得られたゼオライトの粒子サイズを所望の範囲内に制御されることとなり、造粒後の圧壊強度が高くなることが報告されている。しかし、特許文献3に開示される方法は、リサイクル合成前とは異なる平均粒子径のゼオライトを合成する方法であり、例えば、同じ平均粒子径を有するゼオライトをリサイクル合成により製造する場合には適用できない。更に、本リサイクル手法はシリコアルミノフォスフェートゼオライトの合成に限定された製造方法である。
特許文献4には、水熱合成によりAEI型アルミノシリケートゼオライトを製造した後の母液を、そのまま、連続的に原料の一部として使用する方法が示される。本方法では、反応後の母液をそのままリサイクルする際に、反応系内に未反応の珪素原料が多く持ち込まれることを考慮し、水熱反応前のゲルを調製する際に、リサイクル原料を用いない初期の水熱合成反応に用いる原料とは異なる原料を選定する必要がある。また、リサイクル原料を用いない反応で使用するY型ゼオライトよりも、リサイクル原料を用いた反応ではSAR(SiO/Al)が高い高価なY型ゼオライトが使用されており、トータルとしてコストが嵩むという問題がある。
特許文献5では、反応後の母液にアルカリを添加してゼオライト原料を析出・分離させ、得られた処理廃液からテンプレートを濃縮分離してこれをゼオライトの水熱合成原料の一部とする方法が開示される。しかし、この方法を適用するには、アルカリの添加によりゼオライト原料が析出する条件、特にアルミノフォスフェートのように酸性条件下でゼオライトを水熱合成する場合にしか適用できず、アルカリ条件下で水熱合成を行うアルミノシリケートゼオライトの合成では、アルカリを添加しても析出・分離できない、という問題がある。
また、特許文献5の方法は、テンプレートとアルカリが容易に分離できる場合に限定される。すなわち、特許文献5に記載のようにテンプレートとアルカリを蒸留により容易に分離できる条件下においては良好な手段であるが、例えばテンプレートが塩である場合は、アルカリとテンプレートを分離することが困難であるという問題もある。
特開平11−011938号公報 特開2010−95463号公報 特開2006−273710号公報 米国公開特許2015/0118150号 特開2005−075702号公報
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、水熱合成後の反応液を簡便な方法でリサイクルして、水熱合成におけるテンプレートの使用量を削減しつつ、リサイクル合成においても通常の製造条件で良好な品質のゼオライトを製造できる、ゼオライトの製造方法を提供することである。また、本発明の限定的な課題は、未反応テンプレートを含有する母液をリサイクルする場合において、原料や反応条件などを変えなくても、高収率にしたり、また、粒子径を制御したりすることが可能なゼオライトの製造方法を提供する。
本発明は上述した課題を鑑みて、ゼオライトの水熱合成で得られる反応液のリサイクル、具体的には廃液中に残存する高価なテンプレートの取得と再利用、及び化学工業的に安全で簡便な廃液のリサイクル方法について鋭意検討した。
その結果、反応液、特にテンプレート含有母液中のゼオライトを構成する無機成分(アルミノシリケートであればシリカやアルミニウム等、アルミノフォスフェートであればリンやアルミニウム等)の量を制御することにより、ゼオライトを製造した後の母液を、連続的に原料の一部として使用しても、リサイクル合成時の原料や水熱条件を変えることなく、そして、テンプレート含有母液を用いないで合成したリサイクル前の水熱合成時よりも高い収率でリサイクル合成できることを見出した。
更に、この母液を原料の一部としてゼオライトの水熱合成反応を行う場合、アルミノシリケートゼオライトを製造する場合においては、リサイクル液に含まれるケイ素(Si)に対するテンプレートの比率を変えることにより、リサイクル前よりも高い収率としたり、得られるゼオライトの粒子径を制御したりすることができることも見出し、本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
[1]ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を含む溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程(A)と、
前記分離後残液から前記有機溶剤をさらに分離し、前記有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程(B)と、
前記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程(C)と
を備えるゼオライトの製造方法。
[2]有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程(X1)と、
前記ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程(X2)と、
前記水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程(X3)とを備え、
前記反応残液を前記処理液として使用する、上記[1]に記載のゼオライトの製造方法。
[3]前記リサイクル液における前記有機構造規定剤に対するケイ素のモル比が2.7以下である、上記[1]又は[2]に記載のゼオライトの製造方法。
[4]前記有機溶剤が、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含む、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[5]前記有機溶剤が、1分子中に含まれる炭素数が4以下のアルコール類を含む、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[6]水熱合成時の反応温度が150℃以上である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[7]水熱合成時の水のシリカに対するモル比が20以下である、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
本発明では、水熱合成後の反応液を簡便な方法でリサイクルして水熱合成におけるテンプレートの使用量を削減しつつ、リサイクル合成においても通常の製造条件で良好な品質のゼオライトを製造できる、ゼオライトの製造方法を提供する。また、本発明では、リサイクル液に含まれる、テンプレートに対するケイ素のモル比を調整することで、高収率としたり、得られるゼオライトの粒径を調整したりすることが可能になる。
参考例1で合成したゼオライトのXRDパターンを示すチャートである。 参考例1で合成したゼオライトのSEM画像である。 実施例1でリサイクル合成したゼオライトのSEM画像である。 実施例2でリサイクル合成したゼオライトのSEM画像である。 実施例3でリサイクル合成したゼオライトのSEM画像である。 比較例2で合成したゼオライトのSEM画像である。
<本発明のゼオライトの製造方法>
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態
様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されない。また、本発明の
実施態様は適宜組み合わせることもできる。なお、本明細書において「〜」はその前後に
記載される数値を含む範囲を意味する。
本発明で製造されるゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定義するゼオライトである。具体的なゼオライトとしては、骨格構造を構成する原子として、少なくとも酸素、アルミニウム(Al)、リン(P)を含むもの(以下、「アルミノフォスフェート」ということがある。)、または、少なくとも酸素、アルミニウム、ケイ素(Si)を含むもの(以下、アルミノシリケートということがある。)等が挙げられ、好ましくはアルミノシリケートゼオライトである。
アルミノシリケートゼオライトは骨格構造を構成する原子として、少なくとも酸素(O)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)を含むものであり、これらの原子の一部が他の原子(Me)で置換されていてもよい。
アルミノシリケートゼオライトの骨格構造を構成しているMe、AlおよびSiの構成割合(モル比)は、特に限定されるものではないが、Me、Al、Siの合計に対するMeのモル比をx、Alのモル比をy、Siのモル比をzとすると、xは通常0以上であり、0.3以下である。xがこの上限値以下とすることで、合成時に不純物が混入しにくく好ましい。
また前記yは通常0.001以上であり、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05であり、通常0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下である。
また前記zは通常0.5以上であり、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.75以上であり、通常0.999以下であり、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.99以下、更に好ましくは0.98以下である。
y、zが上記範囲内であると、合成が容易で、触媒として用いた場合に十分な酸点があり十分な活性が得られやすい。
他の原子Meは、1種でも2種以上含まれていてもよい。好ましいMeは、周期表第3又は第4周期に属する元素である。
アルミノフォスフェートとは、骨格構造を構成する原子として、少なくとも酸素、アルミニウム(Al)、リン(P)を含むものであり、これらの原子の一部が他の原子(Me)で置換されていてもよい。他の原子(Me)としては、例えば周期表の2A族、3A族、4A族、5A族、7A族、8族、1B族、2B族、アルミニウム以外の3B族及び4B族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の原子が挙げられる。中でも、リン原子がヘテロ原子(Me1:但し、Me1は周期表の4B族元素)で置換されたMe1−アルミノフォスフェートが好ましい。
Me1は、1種含まれていても、2種以上含まれていてもよい。好ましいMe1は、ケイ素またはゲルマニウムであり、更に好ましくはケイ素である。すなわちケイ素で置換されたアルミノフォスフェートであるシリコアルミノフォスフェートがより好ましい。
アルミノフォスフェートの骨格構造を構成しているMe1、Al及びPの構成割合(モル比)は、特に限定されるものではないが、Me1、Al、Pの合計に対するMe1のモル比をx1、Alのモル比をy1、Pのモル比をz1とすると、x1は、通常0以上であり、好ましくは0.01以上であり、通常0.3以下である。
また前記のy1は、通常0.2以上であり、好ましくは0.3以上であり、通常0.6以下であり、好ましくは0.5以下である。
また前記のz1は、通常0.3以上であり、好ましくは0.4以上であり、通常0.6以下であり、好ましくは0.5以下である。
本発明において用いられるゼオライトが、シリコアルミノフォスフェートの場合、ゼオライト中のアルミニウム原子、リン原子およびケイ素原子の存在割合は、下記式(I)、(II)および(III)を満たすことが好ましい。
0.01≦x1≦0.2 ・・・(I)
(式中、x1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するケイ素のモル比を示す)
0.3≦y1≦0.6 ・・・(II)
(式中、y1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するアルミニウムのモル比を示す)
0.3≦z1≦0.6 ・・・(III)
(式中、z1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するリンのモル比を示す)
これは言い換えると、ゼオライト中の骨格構造に含まれるケイ素原子、アルミニウム原子、リン原子の合計に対するケイ素原子の存在割合をx1、アルミニウム原子の存在割合をy1、リン原子の存在割合をz1としたとき、x1が通常0.01以上0.2以下、かつy1が通常0.3以上、0.6以下であり、かつz1が通常0.3以上、0.6以下であるゼオライトであることが好ましいことを意味する。
また、x1は好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、より更に好ましくは0.075以上であり、好ましくは0.11以下、より好ましくは0.105以下、更に好ましくは0.100以下、より更に好ましくは0.095以下である。
また、本発明におけるゼオライトのゼオライト骨格内には他の元素が含まれていてもよい。他の元素としては、リチウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、砒素、スズ、カルシウム、硼素などが挙げられる。好ましくは、鉄、銅、ガリウムが挙げられる。他の元素は、1種単独でもよいが、2種以上であってもよい。
他の元素の含有量はゼオライト骨格中にケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するモル比で、0.3以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1以下である。
なお、上記の元素の割合は元素分析により決定するが、本発明における元素分析は、試料を塩酸水溶液で加熱溶解させ、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、以下ICP)発光分光分析により行う。
本発明で製造されるゼオライトは、IZAによって定義された結晶構造を有するゼオライトであればよいが、好ましくは結晶構造中に8員環を有するゼオライト、更に好ましくは、AEI型、AFX型、CHA型、RHO型、特に好ましくはAEI型である。
本発明により製造されるAEI型ゼオライト(以下、「本発明のAEI型ゼオライト」と称す場合がある。)とは、IZAが定めるゼオライトの骨格構造を規定するコードでAEI構造のものを示す。その構造は、X線回折のデータにより特徴付けられる。ただし、実際に作製されたゼオライトを測定する場合には、ゼオライトの成長方向や、構成する元素の比、吸着した物質、欠陥の存在、乾燥状態などの影響を受け、各ピークの強度比やピーク位置に若干のずれを生じるため、IZAの規定に記載されたAEI構造の各パラメータと全く同じ数値が得られるわけではなく、10%程度の幅は許容される。
X線回折における主だったピークとしては、例えば、線源にCuKα線を用いた場合、2θ=9.5°±0.2°に110面のピーク、2θ=16.1°±0.2°に202及び−202面のピーク(非常に近いので重なることが多い)、16.9°±0.2°に022面のピーク、20.6°±0.2°に310面のピークなどが挙げられる。
以下、AEI型ゼオライトについて詳述するが、他の型もAEI型ゼオライトの製造方法と同様に製造できる。
<AEI型ゼオライトの製造方法>
本発明のAEI型ゼオライトの製造方法は以下の工程(A)〜(C)を備える。
工程(A):ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程
工程(B):上記分離後残液から有機溶剤をさらに分離し、有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程
工程(C):上記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程
<処理液>
工程(A)で使用される処理液は、ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤(テンプレート)を含むものである。すなわち、処理液は、後述するテンプレートを含むゼオライト原料混合液を水熱合成したときに得られる、水熱合成物を含む溶液そのものであってもよいし、その溶液に対して抽出、分離などの後処理が適宜なされたものであってもよい。ここで、分離は、例えば、固形分を取り除くことにより行われるとよい。
したがって、処理液には、水熱合成で使用されなかった未反応のテンプレートに加えて、テンプレート以外の原料(ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、アルミニウム原子原料)、これら原料由来の不純物、及び水熱合成により合成されたアルミノシリケートの少なくともいずれかの無機成分が含まれる。また、処理液は、溶媒として水を含む。
本製造方法では、テンプレート以外の原料、原料由来の不純物などは、概ね工程(A)において固形分として析出される一方で、テンプレートは概ね溶液中に残存する。そのため、析出した固形分を分離して得られた分離後残液は、工程(B)で有機溶剤が分離されることで、高濃度でテンプレートを含むリサイクル液となる。したがって、そのようなリサイクル液を使用して、工程(C)においてリサイクル合成を行うと、通常の製造条件でも良好な品質のゼオライトを製造することができる。
本発明では、以下の工程(X1)〜(X3)を経て得られた反応残液を上記した処理液として使用することが好ましい。すなわち、本発明のゼオライトの製造方法は、上記工程(A)〜(C)に加えて、以下の工程(X1)〜(X3)を備えることが好ましい。
工程(X1):有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程
工程(X2):ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程
工程(X3):工程(X2)の水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程
以下、工程(X1)〜(X3)及び工程(A)〜(C)を備えるAEI型ゼオライトの製造方法について工程ごとに詳細に説明する。
<工程(X1)>
工程(X1)では、有機構造規定剤(テンプレート)を含むゼオライト原料混合液を調製する。ゼオライト原料混合液は、例えば、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水を混合し必要に応じて種晶としてゼオライトを添加して十分に混合することで得られる。
これらの原料の混合順序は、特に限定はないが、好ましくはアルカリ溶液を調製した後にケイ素原子原料、アルミニウム原子原料を添加した方がより均一に原料が溶解する点から、水、テンプレート、及びアルカリ金属原子原料を混合してアルカリ溶液を調製した後、このアルカリ溶液へアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、種晶であるゼオライトの順番で添加して混合することが好ましい。
また、本製造方法では、リサイクルを繰り返し行ってもよい。すなわち、工程(X1)〜(X3)、及び工程(A)〜(C)は、繰り返し行なってもよい。リサイクルを繰り返し行う場合、工程(X1)では、ゼオライト原料混合液の一部に後述するリサイクル液を使用する。リサイクル液を使用する場合には、リサイクル液に、必要に応じて水、テンプレート、さらにはアルカリ金属原子原料を配合してアルカリ溶液を調製した後、このアルカリ溶液へアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、種晶であるゼオライトの順番で添加して混合することが好ましい。
<アルミニウム原子原料>
本発明に用いられるアルミニウム原子原料は、特に限定されず、アモルファスの水酸化アルミニウム、ギブサイト構造を持つ水酸化アルミニウム、バイヤーライト構造を持つ水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミニウムアルコキシド、更には、ゼオライトのようにシリカを含むゼオライト等をアルミニウム原子原料として用いる事ができる。特に好ましくはアモルファスの水酸化アルミニウム、ギブサイト構造を持つ水酸化アルミニウム、バイヤーライト構造を持つ水酸化アルミニウムであり、これらの中でもアモルファスの水酸化アルミニウムがとりわけ好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルミニウム原子原料の使用量は、ゼオライト原料混合液ないしはこれを熟成して得られた水性ゲルの調製しやすさや生産効率の点から、本発明で種晶として添加されるゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するアルミニウム原子原料中のアルミニウム(Al)のモル比で通常0.02以上、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.08以上である。上限は特に限定されないが、水性ゲル中にアルミニウム原子原料を均一に溶解させる点から、アルミニウム原子原料の使用量は、通常2以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.4以下、最も好ましくは0.2以下である。
<ケイ素原子原料>
本発明に用いられるケイ素原子原料としては、特に限定されず、公知の種々の物質を使用することができ、例えばゼオライトを使用してもよく、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、トリメチルエトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲルなどを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、他の成分と十分均一に混合できる形態のものであって、特に水に溶解しやすい原料が好ましく、コロイダルシリカ、トリメチルエトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲルが好ましい。
ケイ素原子原料は、ケイ素原子原料に対する他の原料の使用量がそれぞれ前述ないしは後述の好適範囲となるように用いられる。
<アルカリ金属原子原料>
本発明に用いられるアルカリ金属原子原料に含まれるアルカリ金属は、特に限定されず、ゼオライトの合成に使用される公知のものが使用できるが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンを含むことが好ましい。
これらのアルカリ金属原子が含まれることにより、水熱合成における結晶化の進行が容易となり、また副生物(不純物結晶)が生成しにくくなる。
アルカリ金属原子原料としては、上記のアルカリ金属原子の水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩などを用いることができる。アルカリ金属原子原料は、1種でも2種以上含まれていてもよい。
アルカリ金属原子原料は、その適当量を使用することにより、アルミニウムに後述のテンプレートが好適な状態に配位しやすくなるため、結晶構造を作りやすくできる。原料混合液中において、種晶として添加されるゼオライト以外のケイ素原子に対するアルカリ金属原子のモル比は、0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.25以上、とりわけ好ましくは0.30以上であり、アルカリ原子量が多いと水熱合成時に結晶化したゼオライトを溶解させる作用が働くため、好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下、とりわけ好ましくは0.6以下である。
<有機構造規定剤(テンプレート)>
有機構造規定剤としては、窒素含有系有機構造規定剤、リン含有系有機構造規定剤などを使用できる。窒素含有系有機構造規定剤としてはテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAOH)やテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド(TPAOH)などの公知の各種の物質を使用することができる。また、例えば窒素含有系有機構造規定剤として、以下のような物質を使用することができる。
N,N−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン、N,N−ジメチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジエチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、2,6−ジメチル−1−アゾニウム[5.4]デカンカチオン、N−エチル−N−プロピル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン等。
また、リン含有系有機構造規定剤としては、テトラブチルホスホニウム、ジフェニルジメチルホスホニウムのような物質を使用することができる。ただし、リン化合物は、合成されたゼオライトを焼成して有機構造規定剤を除去する時に有害物質である五酸化二リンを発生する可能性があるため、有機構造規定剤としては、好ましくは窒素含有系有機構造規定剤を使用し、具体的には4級アンモニウムカチオンが好ましい。
本発明では、反応後の有機構造規定剤を含む母液をリサイクルする際、分解反応が起こることでロスが発生すること、また、分解物がリサイクル合成時に悪影響を及ぼすことが考えられるため、水熱合成時の高温及び高圧、更にアルカリ存在下において安定性の高い有機構造規定剤が好ましい。
4級アンモニウムカチオンは、一般的に、熱による分解反応が起こりやすいが、その中でも、安定性の高い有機構造規定剤を選択することが好ましい。具体的には、N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン、N,N−ジエチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチル−2−エチルピペリジニウムカチオン、更に好ましくは、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムカチオンである。
有機構造規定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機構造規定剤の使用量は、結晶の生成しやすさの観点から、本発明で種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するモル比で通常0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上である。また、コストダウンの効果を十分得るために、通常1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。
<水>
水の使用量は、結晶が生成しやすいという観点から、本発明で種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するモル比で通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。この範囲にすると、結晶がより生成しやすく好ましい。また廃液処理にかかるコストダウンの効果を十分得るために、種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するモル比で通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下である。
<種晶>
本発明により製造されるAEI型ゼオライトは種晶を添加しても良い。本発明で種晶として添加するゼオライトは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
種晶の添加量は、種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して0.1重量%以上であり、また反応をより円滑に進めるために、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。また、本発明で種晶として添加するゼオライトの使用量の上限は特に限定されないが、種晶の添加量は、コストダウンの効果を十分得るために通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、更に好ましくは6重量%以下である。
本発明において、種晶として添加するゼオライトは、ゼオライトであれば特に限定はされないが、好ましくは結晶構造を構成するbuilding unitにd6rが含まれているもゼオライトであり、特にAEI型、AFT型、AFX型、CHA型、EAB型、EMT型、ERI型、FAU型、GME型、KFI型、LEV型、LTL型、LTN型、MOZ型、MSO型、MWW型、OFF型、SAS型、SAT型、SAV型、SBS型、SBT型、SZR型が好ましく、AEI型、CHA型、FAU型がより好ましい。
なお、本発明で種晶として添加するゼオライトは、水熱合成後に焼成を行っていない未焼成品でも水熱合成後に焼成を行った焼成品でもよいが、ゼオライトが結晶の核としての機能を発現するためにはアルカリに対して溶解しにくい方がよいため、焼成品よりも未焼成品を用いるのが好ましい。ただし、ゼオライト原料混合液中の組成あるいは温度条件によっては、未焼成のゼオライトが溶解せず、結晶の核としての機能を発現できない場合がある。このような場合、溶解性を高くするため焼成によりOSDAを除去したゼオライトを用いるとよい。
なお、ゼオライト原料混合液は、上記のアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、水及び種晶であるゼオライト以外にも、必要に応じてさらに添加剤などが添加されてもよい。そのような添加剤としては、例えば、ゼオライトの合成を助けるための成分となる補助剤、より具体的には酸成分により反応を促進させる補助剤が挙げられる。また、ポリアミンのような金属の安定化剤、又は後述の水熱合成時に触媒として働く銅などの金属なども挙げられる。また、後述するように、アルミニウム、ケイ素以外の金属原料がさらに添加されてもよい。
(熟成)
上記のようにして調製されたゼオライト原料混合液は、調製後直ちに水熱合成してもよいが、高い結晶性を有するゼオライトを得るために、所定の温度条件下で一定時間熟成することが好ましい。特に、スケールアップする場合は撹拌性が悪くなり原料の混合状態が不十分となりやすい。そのため一定期間原料を撹拌しながら熟成させることにより、原料をより均一な状態に改善することが好ましい。熟成温度は通常100℃以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下であり、その下限は特に設けないが、通常0℃以上、好ましくは10℃以上である。熟成温度は熟成中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。熟成時間は特に限定されないが、通常2時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、更に好ましくは1日以上であって、通常、30日以下、好ましくは10日以下、更に好ましくは4日以下、特に好ましくは2日以下である。
<工程(X2)>
工程(X2)では、工程(X1)で調製されたゼオライト原料混合液を水熱合成する。水熱合成は、上記のようにして調製され、必要に応じて熟成されたゼオライト原料混合液を耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、撹拌下、又は、容器を回転ないしは揺動させながら、或いは静置状態で、所定温度を保持することにより行われる。
水熱合成の際の反応温度は、反応速度を速めることで反応時間を短縮する効果があるため、通常110℃以上、好ましくは125℃以上、より好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上であって、一方、温度が高すぎるとテンプレートが分解するため、通常230℃以下、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは190℃以下、特に好ましくは180℃以下である。
反応時間は特に限定されないが、通常2時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上、更に好ましくは10時間以上、特に好ましくは18時間以上、とりわけ好ましくは20時間以上、最も好ましくは1日以上であって、通常30日以下、好ましくは10日以下、より好ましくは7日以下、更に好ましくは5日以下、特に好ましくは3日以下、とりわけ好ましくは2日以下である。反応温度は反応中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。
上記の条件で反応させることにより、目的とするAEI型ゼオライトの収率が向上し、異なるタイプのゼオライトが生成し難くなるため好ましい。
<工程(X3)>
工程(X3)では、上記の水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液から、生成物であるAEI型ゼオライトを分離し、反応残液を得る。
分離されたゼオライト(以下、「OSDA等含有ゼオライト」と称する。)は、細孔内にテンプレート及びアルカリ金属原子の両方又はいずれか一方を含有している。水熱合成物を含む反応液からのOSDA等含有ゼオライトの分離方法は特に限定されないが、通常、濾過、デカンテーション等による方法が挙げられる。また、水熱合成後、5〜60℃、好ましくは15〜30℃に冷却した後、濾過などすることで分離するとよい。
OSDA等含有ゼオライトは、例えば、触媒(触媒担体も含む)や吸着材等の用途で使用する場合、必要に応じて、テンプレート等を除去するとよい。OSDA等含有ゼオライトは、必要に応じて水洗、乾燥した後、焼成等を行ってテンプレートを除去するとよい。
OSDA等含有ゼオライトからテンプレートを除去するには、製造性の面で焼成を行うことが好ましい。この場合、焼成温度については、好ましくは400℃以上、より好ましくは450℃以上、さらに好ましくは500℃以上であり、好ましくは900℃以下、より好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。焼成は、不活性ガス存在下に行うとよい。不活性ガスとしては、窒素などを用いることができる。また、焼成は、OSDA等含有ゼオライトを水洗、乾燥した後などに行うとよい。
<工程(A)>
工程(A)では、ゼオライトを分離して得られた上記反応残液の少なくとも一部に、有機溶剤を含む溶剤を添加し、固形分を析出させ、その固形分を分離して分離後残液を得る。
水熱合成後にゼオライトを分離して得られた未反応のテンプレートを含む反応残液に、貧溶媒として有機溶剤を含む溶剤を加えると、濾液中に含まれる無機成分が沈殿するため、反応残液に含まれる無機成分を固形分として容易に分離することが可能である。使用する有機溶剤としては、水と混和性が高い有機化合物であれば限定はしないが、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含むことが望ましい。
また、反応残液に添加される溶剤は、有機溶剤以外の溶剤が含まれてもよく、そのような有機溶剤以外の溶剤として水が挙げられる。
20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、あるいはエチレングリコール等のアルコール類、酢酸等のカルボンキシル基を有するカルボン酸類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、ジメチルホルムアルデヒド等のアルデヒド類で代表される含酸素化合物、または、アセトニトリル等のニトリル類、トリエチルアミン等のアミン類、ピリジン等の芳香族アミンで代表される含窒素化合物が挙げられる。なかでも、含酸素化合物であるアルコール類、エーテル類、含窒素化合物であるニトリル類が好ましく、より好ましくは、1分子中に含まれる炭素数が4以下であるアルコール類、さらに好ましくはメタノール、エタノール、最も好ましくはメタノールである。
有機溶剤は、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら有機溶剤を使用して析出操作を行うことで、ケイ素原子及びアルカリ金属原子を無機沈殿物として析出させる一方で、未反応のテンプレートは分離後残液中に適切に残留させることが可能になる。
また、本発明では、有機溶剤としては、本発明の効果が阻害されない限り、水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤と、水との溶解度が25g/100ml未満の有機溶剤を併用してよい。有機溶剤全量のうち、水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤の割合は、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、最も好ましくは100重量%である。水との溶解度が25g/100ml未満の有機溶剤は、一般的に有機溶剤として使用されるものが特に限定なく使用できる。
反応残液に加えた有機溶剤は、後述するように、蒸留により分離することが望ましい。したがって、有機溶剤は、水に対する沸点差が大きく、共沸しにくい有機溶剤が好ましい。共沸しにくい有機溶剤としては、沸点が90℃以下の有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下の有機溶剤がより好ましく、沸点が70℃以下の有機溶剤が更に好ましい。沸点の下限は、特に限定されないが、例えば40℃、好ましくは50℃である。
(有機溶剤と反応残液の比率)
反応残液に対する有機溶剤の添加量を調製することにより、濾液から析出する無機成分量を制御することが可能である。これは、有機溶剤の添加により、テンプレートを含む母液(反応残液)中の無機成分の溶解度を制御することができるからである。例えば、テンプレートを含む反応残液からより多くの無機成分を析出させるためには、添加する有機溶剤の量を増やせばよい。
無機成分を析出させるために添加する有機溶剤の量としては、反応残液(処理液)に対する体積比として、好ましくは0.5倍以上、より好ましくは1.0倍以上、更に好ましくは1.5倍以上、特に好ましくは2.0倍以上、とりわけ好ましくは2.5倍以上、最も好ましくは3.0倍以上である。また、晶析操作を行う混合槽のサイズを小さくできる、あるいは有機溶剤の回収にかかるコストや析出した無機成分の廃棄コストが低くなることから、好ましくは20倍以下、より好ましくは10倍以下、更に好ましくは8.0倍以下、とりわけ好ましくは6.0倍以下、最も好ましくは5.0倍以下である。
無機成分は、反応残液に有機溶媒を加えて得た混合液を攪拌するなど通常の晶析操作を行うことで析出させるとよい。晶析操作における無機成分の析出量の制御は、混合液の温度を変えることで行うことが可能である。温度の調整により、無機成分の析出速度や析出量を制御することが可能であり、好ましい温度範囲を有している。しかし、析出物の溶解度は濾液に含まれる無機成分の状態や組成により異なるため、必ずしもすべての場合にあてはまるわけではないが、晶析操作における混合液の温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、通常、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下、とりわけ好ましくは60℃以下である。
晶析操作における撹拌時間を変えることでも無機成分の析出量の制御が可能である。この場合も濾液に含まれる無機成分の状態、組成、温度、あるいは反応器サイズによって変わる撹拌効率等にも依存するため、最適な範囲は条件によって異なるが、攪拌時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、特に好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは3時間以上である。また、好ましくは2日以下、より好ましくは1日以下、更に好ましくは15時間以下、とりわけ好ましくは10時間以下である。
また、晶析操作において、無機成分の析出速度を速めるために、混合液に種結晶を添加する方法を用いてもよい。
有機溶剤により析出した無機成分の分離操作としては、通常、濾過、デカンテーション等による方法が挙げられる。
有機溶剤の添加による無機成分の析出は、有機溶剤を加えることにより無機成分の溶解度を下げることで飽和溶解度以上の無機成分が析出する操作である。従って、有機溶媒の添加量や温度条件等を変えても溶解度分の無機成分は液に残存する。残存した無機成分の中でも、未反応のケイ素はゼオライトの原料とは異なる物質(すなわち、不純物)として液中に存在していることがあり、例えば、反応性の低いケイ酸(SiO 2−、HSiO 等)カチオンや重合物等の状態で存在する場合、リサイクル合成時にゼオライトの結晶成長速度に影響する。そして、未反応のケイ素の残存量が多いと水熱合成におけるゼオライトの結晶成長速度が遅くなることが考えられる。従って、結晶成長速度の観点からは、リサイクル液(分離後残液)に含まれるケイ素量は少ない方が望ましい。
未反応のケイ素は、ゼオライトの構成パーツとなりえるものもある。具体的には、酸素4員環、酸素6員環、酸素8員環、あるいはbuilding unitであるd6r等の状態で存在する場合、リサイクル合成において種晶としての効果を発現することもある。種晶としての効果を持つときは、残存量が多いほどリサイクル合成により得られるゼオライトの粒子径は小さくなる。従って、反応残液中に含まれるシリカの量を制御することにより、リサイクル合成時に得られるゼオライトの粒子径を自由に変えることができる。リサイクル合成において得られるゼオライトの粒子径を上記工程(X3)で得られるゼオライトの粒子径からできる限り変えないようにする場合は、リサイクル液(分離後残液)のケイ素含有量を低くすればよい。
したがって、工程(A)では、析出した固形分を分離して除去した後、吸着剤を用いて無機成分を吸着により分離後残液からさらに分離除去してもよい。例えば、無機成分の中でもケイ素成分を分離除去する場合は、ケイ素を吸着するイオン交換樹脂を使用するとよい。
分離後残液中に存在するケイ素成分をイオン交換樹脂により吸着除去する場合、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いるとよい。強塩基性陰イオン交換樹脂の中でも、トリメチルアンモニウム基を持つイオン交換樹脂、あるいはジメチルエタノールアンモニウム基を持つイオン交換樹脂等を用いるともよい。より塩基性が強く、更に化学的に安定で使用温度範囲の広いトリメチルアンモニウム基を持つイオン交換樹脂が好ましい。
イオン交換樹脂のイオン型は特には限定されないが、ケイ素との交換反応により液中に溶出することから、リサイクル合成時の影響を考慮するとOH型がより好ましい。
<工程(B)>
工程(B)では、上記工程(A)の分離により得られた分離後残液から有機溶剤をさらに分離して、有機構造規定剤(未反応のテンプレート)を含むリサイクル液を得る。
有機溶剤の分離方法は、有機溶剤と一緒に含まれる未反応のテンプレートを変質させない方法であれば特に制限はないが、通常は、蒸留による分離が好ましい。蒸留は、特に限定されないが、減圧蒸留で行うとよい。
蒸留により有機溶剤を分離除去した後のリサイクル液は、通常、晶析で析出分離されなかったケイ素が残存するが、残存ケイ素は、後述する工程(C)におけるリサイクル合成時、ゼオライトの結晶成長速度に影響する。特に、リサイクル液におけるテンプレートに対するケイ素量が多いと、水熱合成におけるゼオライトの結晶成長速度が遅くなり、リサイクル合成をする前の水熱合成よりも反応時間が長くなる。また、得られるゼオライトの粒子径が小さくなることがある。従って、水熱合成時間を長くすることなく、また、平均一次粒子径の大きいゼオライトを製造するためには、反応残液に含まれるケイ素量を少なくすることが好ましい。具体的には、有機溶剤を分離除去した後のリサイクル液中のケイ素含有量は、好ましくは3.5重量%以下、より好ましくは、2.5重量%以下、更に好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、とりわけ好ましくは、0.3重量%以下である。下限値はリサイクル合成時に影響がない範囲であれば問題ないため、リサイクル原料液中のケイ素含有量は特に下限値は設定されないが、0.0001重量%以上が好ましい。
また、リサイクル合成時の上記したケイ素の影響を少なくするためには、有機構造規定剤(テンプレート)に対するケイ素のモル比を低くすることが好ましい。従って、リサイクル液におけるテンプレートに対するケイ素のモル比は、好ましくは2.7以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.0以下、とりわけ好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.1以下にすることが好ましい。テンプレートに対するケイ素のモル比は、リサイクル合成時に影響がない範囲であれば問題ないため、特に下限値は設定されないが、0.0001以上が好ましい。ただし、製造容易性、及び得られるゼオライトの収率を高くする観点からは、テンプレートに対するケイ素のモル比を適宜高くしてもよい。
リサイクル液中のアルカリ原子含有量は、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは、1.0重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下、とりわけ好ましくは、0.2重量%以下である。リサイクル液中に含まれる残存アルカリ成分の量を少なくすると、リサイクル合成時に原料組成の調製が必要なくなる。また、アルカリ成分がゼオライト合成時とは異なる物質として存在する場合は、リサイクル合成時に影響が出やすく、具体的には水熱合成後に得られる目的のゼオライト以外の不純物が混在することが考えられるが、アルカリ原子含有量を少なくすることで、そのような影響を少なくすることができる。
アルカリ原子含有量の下限値はリサイクル合成時に影響がない範囲であれば問題ないため、リサイクル原料液中のアルカリ原子含有量は、特に下限値は設定されないが、0.0001重量%以上が好ましい。
また、リサイクル液中のアルミニウム原子含有量は、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。リサイクル液中に含まれる残存アルミニウム原子の量を少なくすると、リサイクル合成時に原料組成の調製が必要なくなる。また、本製造方法では、アルミニウム原子原料の使用量を上記所望の範囲内に調整することで、リサイクル液中にアルミニウム原子が実質的に含有されないようにすることが可能である。したがって、リサイクル液中のアルミニウム原子含有量の下限値は、0.0重量%である。
<工程(C)>
工程(C)では、リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する(「リサイクル合成」ともいう)。工程(C)におけるリサイクル合成は、上記工程(X1)〜工程(X3)と同様に行えばよい。
具体的には、まず、テンプレートを含むゼオライト原料混合液を調製する。ゼオライト原料混合液は、上記したように、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水の混合物であり、この混合物には種晶などの成分がさらに含まれてもよい。また、添加剤なども適宜添加されてもよい。
ゼオライト原料混合液の調製は、工程(B)で得られたリサイクル液に、不足する原料を加えた後、十分に混合することで行うとよい。リサイクル液は、通常、水と、テンプレートを含むが、その他の原料は含まないか、含んでいても少量である。
したがって、通常、リサイクル液に、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料を加える。さらに、種晶、水などを適宜加えるとよい。
テンプレートは、その全量をリサイクル液由来のものとしてもよいが、一部をリサイクル液由来のものとし、一部は新たに加えてもよい。新たにテンプレートを加えることで、リサイクル液に含まれる不純物の影響を抑えることができる。また、リサイクルを複数回繰り返した場合に、リサイクル液に含まれる不純物が蓄積していくことを防止する。
ゼオライト原料混合液の調製において、原料の混合順序は、特に限定されないが、好ましい態様は、工程(X1)において原料としてリサイクル液を使用する場合と同様である。
水熱合成前のゼオライト原料混合液におけるリサイクル液の重量割合は、特に限定されないが、リサイクルを有効に行うために、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましい。また、リサイクル液の重量割合は、リサイクルを有効に行うためには高ければ高いほどよいが、リサイクル液に含まれる不純物の影響を抑える観点からは、85質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
ここで、各原料の詳細、配合量などは、上記の工程(X1)で説明したとおりである。本工程(C)において使用する各原料は、工程(X1)において使用した各原料と異なってよいが、同一であることが好ましい。
また、工程(C)におけるゼオライト原料混合液におけるアルミニウム原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水のケイ素原子に対するモル比は、上記工程(X1)における各モル比と同一であってもよいし異なってもよい。
工程(C)では、上記したように、ゼオライト原料混合液には、通常、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、及びアルカリ金属原子原料などが、リサイクル液に添加されるが、添加されるケイ素原子原料の添加割合は、工程(X1)において調製されたゼオライト原料混合液におけるケイ素原子原料の配合割合と同一でもよいが、少なくてもよい。本発明では、リサイクル液から無機成分の大部分が取り除かれているので、添加割合を配合割合と同一としても工程(X3)で得られたゼオライトと近似する性状のゼオライトを得ることができる。
また、添加割合を少なくする場合、その添加割合は、工程(X1)において調製されたゼオライト原料混合液におけるケイ素原子原料の配合割合に対して、例えば、0.75以上1未満、好ましくは0.8以上0.95以下、より好ましくは0.85以上0.9以下である。リサイクル液中に含まれるケイ素含有量が多い場合などには、追加するケイ素原子原料の量を少なくすることで、リサイクル液を用いた水熱合成を適切に行うことが可能になる。なお、ここでいうケイ素原子原料の添加割合とは、リサイクル液に追加的に添加される、アルミニウム原子の添加量に対する、ケイ素原子の添加量のモル比を意味する。また、ゼオライト原料混合液におけるケイ素原子原料の配合割合とは、工程(X1)で調製されたゼオライト原料混合液におけるアルミニウム原子に対するケイ素原子のモル比を意味する。
工程(C)においては、上記のように調製したゼオライト原料混合液を、工程(X2)、(X3)と同様に、水熱合成し、その後、水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離するとよい。工程(C)における水熱合成及びゼオライトの分離方法の詳細は、上記工程(X2)、(X3)において説明したとおりであり、その説明は省略するが、上記工程(X2)、(X3)と全く同一の条件、方法で行ってもよいし、異なる条件、方法で行ってもよい。
分離されたゼオライト(OSDA等含有ゼオライト)は、工程(X3)で説明したとおり、焼成等を行ってテンプレートを除去するとよい。
また、ゼオライトが分離されることで得られる反応残液は、上記する工程(A)における処理液として供されてリサイクルが繰り返されてもよい。
<Si及びAl以外の金属の含有>
本発明の製造方法により得られるAEI型ゼオライトは、Si及びAl以外の金属を含有させてもよい。金属を含有させたゼオライトにおける金属の存在状態としては、アルミニウムに配位してゼオライト骨格構造に含まれない場合と、アルミニウムに配位せずに骨格構造に含まれる場合とがある。
Si及びAl以外の金属を含有させると、例えば、排ガス処理用触媒などの触媒、特にNOxの選択的還元触媒(SCR触媒)として有効である。このような排ガス処理用触媒に使用する場合、ゼオライトに含有させる金属元素としては遷移金属が好ましく、中でも、鉄、コバルト、亜鉛、パラジウム、イリジウム、白金、銅、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニウム等の周期表第3−12族の遷移金属が挙げられる。また、より好ましくは鉄、コバルト、銅などの周期表第8、9、11族の遷移金属、さらに好ましくは鉄、銅などの周期表第8、11族の遷移金属であり、最も好ましくはCu(銅)である。これらの金属の2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
上記遷移金属の含有量は、Si及びAl以外の金属を含有させてなるAEI型ゼオライト全量中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。
特にゼオライトに含有させる金属が銅(Cu)であった場合には、触媒中の銅の含有量として、0.1重量%以上10重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、また、より好ましくは8重量%以下である。
(遷移金属を含有したAEI型ゼオライトの合成方法)
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトに、上記の遷移金属を含有させる方法としては、特に限定されないが、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法、噴霧乾燥法等、好ましくは、固相イオン交換法、含浸担持法、噴霧乾燥法により、AEI型ゼオライトに遷移金属を担持させる方法が好ましい。
AEI型ゼオライトに上記遷移金属を担持させた後は、好ましくは300℃〜900℃、より好ましくは350℃〜850℃、さらに好ましくは400℃〜800℃で、例えば1秒〜24時間、好ましくは10秒〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間程度焼成することが好ましい。この焼成は必ずしも必要ではないが、焼成を行うことにより、ゼオライトの骨格構造に担持させた金属の分散性を高めることができ、触媒活性の向上に有効である。
また、ワンポット合成法で含有させることも好ましい。ワンポット合成法は、遷移金属原料である遷移金属酸化物や遷移金属塩をゼオライト合成工程のゲル、即ち、前述の水熱合成前のゼオライト原料混合液に添加することにより、遷移金属を含むAEI型ゼオライトを一工程で合成する方法である。ワンポット合成法では、イオン交換法、含浸法などの方法と比べて、大量の廃液を排出することなく、また、ゼオライト浸漬スラリーの濾過、洗浄などの工程数を増やすことなく、遷移金属を含有させることが可能である。
ワンポット合成法で用いる遷移金属原料は特に限定されず、通常、遷移金属の硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩が好ましく、より具体的には例えば硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いてもよい。これら遷移金属原料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
またゲル(ゼオライト原料混合液)中で遷移金属を安定化させるためにポリアミンを用いて錯塩を形成させても良い。錯塩の形成に用いるポリアミンとしては、一般式H2N−(C2nNH)−H(式中、nは2〜6の整数、xは2〜10の整数)で表されるポリアミンが好ましい。
上記式において、nは2〜5の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が特に好ましい。xは2〜6の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、4が特に好ましい。
このようなポリアミンとしては、中でもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが安価であり、好ましく、中でもトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。これらのポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、分岐状のポリアミンを含んでいても良い。
ワンポット合成法を用いる場合には、上記遷移金属原料、あるいは遷移金属原料とポリアミンを用いる以外は、上記製造方法に従い、遷移金属を含有したAEI型ゼオライトを得ることができる。
(Si及びAl以外の金属による耐熱性向上)
また、本製造方法では、AEI型ゼオライトにSi及びAl以外の金属を含有させることで、AEI型ゼオライトの耐水熱性を向上させることができる。そのような金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、プラセオジウム(Pr)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、セシウム(Ce)、鉄(Fe)のいずれかが挙げられる。これらの金属を2種類以上混合して用いてもよい。
なお、鉄などを使用すると、上記したように、AEI型ゼオライトは、排ガス処理用触媒として有効となり、また耐水熱性を向上させることも可能である。
また、上記した金属の中では、アルカリ土類金属が好ましく、より好ましくはマグネシウム又はカルシウム、最も好適にはカルシウムである。
これら金属は、水熱合成後のAEI型ゼオライトもしくは上記した触媒として使用するための金属(例えばCuなどの遷移金属)を担持した後のAEI型ゼオライトに、さらに金属を担持させることでAEI型ゼオライトに含有させるとよい。金属を担持させる方法としては、イオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法、噴霧乾燥法等が挙げられる。
またワンポット合成法でゼオライトに上記金属を含有させてもよい。すなわち、AEI型ゼオライトの水熱合成前のゼオライト原料混合液にこれらの金属を各種化合物の形で添加して水熱合成するとよい。この場合、通常、上記金属は、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。また、各種の酸化物、水酸化物、硫化物等にしてもよい。これらのうち、水に対する溶解性の観点から、無機酸塩、有機酸塩が好ましく、また、アルカリ土類金属は水酸化物で添加することも好ましい。
これらの金属を担持させる効果としては、ゼオライト骨格中のAlに金属が配位することで、水蒸気からの保護効果が得られるものと考えられる。AEI型ゼオライトにこれらの金属を含有させる場合、金属含有AEI型ゼオライト中の上記金属の含有量は、AEI型ゼオライト中のアルミニウムに対する金属のモル比として0.0001以上、好ましくは0.0005以上、より好ましくは、0.001以上、更に好ましくは0.005以上である。この金属含有量の上限は特に限定されないが、触媒として使用する場合は活性点となる遷移金属もイオン交換する必要があるため、通常1以下、好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下である。
また、本発明の製造方法で得られるゼオライトは、例えば触媒として使用する場合、主に原料に由来するアルカリ金属原子、例えばナトリウム、カリウム、セシウム等を含んでいてもよい。このうち容易に除去できるナトリウムに関しては、特に限定されないが、比較的除去の難しいカリウム、セシウム等に関しては、ゼオライト中のアルミニウムに対するモル比として、0.001以上、1.0以下であることが好ましい。即ち、ゼオライトから無理に除去することにより、ゼオライトの骨格などにダメージを与えることを防ぐ点から、ゼオライト中のアルミニウムに対するカリウム及び/又はセシウムのモル比は、上述の範囲が好ましい。
本発明により製造されたAEI型ゼオライトのイオン交換能を、アルカリ金属原子原料、あるいはアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、テンプレート、及び本製造方法で添加するゼオライトに含まれるアルカリ金属原子由来のアルカリ金属部分から、H型やNH4型に変換して用いることもでき、その方法は公知の技術を採用することができる。例えば、NHNO、NaNOなどアンモニウム塩あるいは塩酸などの酸で、通常、室温から100℃で処理後、水洗する方法などにより行うことができる。
<AEI型ゼオライトの物性>
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトは、本発明の製造方法において仕込み組成比を変えることにより、Si/Al比を広い範囲内で調整可能である。よって得られたAEI型ゼオライトのSi/Al比は特に限定されるものではない。
なお、ここでいう本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトとは、工程(C)により得られたAEI型ゼオライト、工程(X3)により得られたAEI型ゼオライト、さらには、工程(C)及び(X3)で得られたAEI型ゼオライトに金属を担持させたもののいずれも意味する。以下も同様である。
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトは、触媒や吸着剤として使用される場合に活性点や吸着点が多い方が好ましいことから、Si/Al比が50以下であることが好ましく、より好ましくは25以下、更に好ましくは15以下、特に好ましくは10以下、とりわけ好ましくは7以下である。一方、骨格内のAl量を抑制することで、ゼオライトは水蒸気を含むガスにさらされた場合でも、骨格内Alが脱離せず構造破壊が起こりにくくなる。そのため、Si/Al比は好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、とりわけ好ましくは4.5以上である。
これらを総合して、骨格内Alの脱離の影響が小さく、かつ高い触媒活性を維持するためには、Si/Al比は好ましくは5.5以上7以下、より好ましくは5.5より大きく7より小さい、更に好ましくは6以上6.5以下である。本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトのSi/Al比は、29Si−NMR測定により求めることができる。
本発明で得られたAEI型ゼオライトは、後述するようにSCR触媒として使用されてもよい。SCR触媒は、一般的に窒素酸化物を含む排ガスの浄化性能と650℃以上の水熱耐久性が求められている。結晶性に差が無ければ、Si/Al比が低いゼオライトは、Si/Al比の高い触媒よりも活性点が多いため、窒素酸化物を含む排ガスに対して高い浄化性能を持つことが利点である。例えば、トラックのように排ガスが700℃以下と比較的低温では、水蒸気を含むガス雰囲気下でSCR触媒を用いても、水蒸気による骨格内Alの脱Alは進行しにくい。従って窒素酸化物を含む排ガスの浄化性能が優先され、ゼオライト骨格中の活性点が多いゼオライトの使用が望まれる。具体的には、Si/Al比が6.5以下のゼオライトの使用が望まれる。
一方でSi/Al比の高いゼオライトは、ゼオライト骨格中のAl量が少ないことから水蒸気を含む高温のガス雰囲気下でも構造が崩壊しにくい利点がある。ディーゼル乗用車やガソリン車では、800℃以上で水蒸気を含むガス雰囲気下でSCR触媒を用いるため、高い水蒸気耐性を求められる。従ってSi/Al比が6.5を超え、より好ましくは、10以上のゼオライトを使用することが望まれる。
本発明の製造方法で得られたAEI型ゼオライトの平均一次粒子径は、0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.07〜5μm、更に好ましくは0.1〜3μm、より更に好ましくは0.2〜2μmの範囲である。本発明では、リサイクル液を原料として使用しても、平均一次粒子径を大きくすることができ、これら下限値以上の平均一次粒子径を有するゼオライトを容易に製造できる。平均一次粒子径をこれら下限値以上とすることで、耐水熱特性などが良好となり、触媒として適切に使用できるようになる。また、平均一次粒子径を上記範囲内とすることで、触媒活性、取り扱い性などが良好となる。
なお、AEI型ゼオライトの平均一次粒子径は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトの比表面積は、特に限定されないが、細孔内表面に存在する活性点が多くなることから、300〜1000m/gが好ましく、より好ましくは350〜800m/g、更に好ましくは450〜750m/gである。なお、本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトの比表面積は、BET法により測定される。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは、その結晶性に優れている。このことは、160℃以上のアンモニア吸着量で測定できる酸量により明らかである。本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトの酸量は、好ましくは0.5〜3.0mmol/g、より好ましくは0.7〜3.0mmol/g、更に好ましく0.9〜3.0mmol/g、特に好ましくは1.2〜3.0mmol/g、最も好ましくは1.2〜2.5mmol/gである。本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトの酸量は、具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
また、本発明によって得られたAEI型ゼオライトは、酸量が1.2mmol/g以上、3.0mmol/g以下であり、Si/Al比が6.5以下であることが特に好ましい。
なお、以上の説明においては、AEI型ゼオライトの製造方法について詳細に説明したが、他のゼオライトについても同様に製造することができ、AEI型以外のアルミノシリケートであっても、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水を含むゼオライト原料混合液を用いて同様に製造できる。他のアルミノシリケートでも、リサイクル液に残存する無機成分の量を上記と同様に調整することで、得られるゼオライトの平均一次粒子径を調整したり、収率を高くしたりすることができる。
また、例えば、アルミノフォスフェートの場合には、アルミニウム原子原料、リン原子原料、テンプレート、水、及び必要に応じて配合される他の原子(Me)原料などを含むゼオライト原料混合液を用いて同様に製造できる。アルミノフォスフェートでも、リサイクル液に残存する無機成分の量を適宜調整することで、得られるゼオライトの平均一次粒子径を調整したり、収率を高くしたりすることができる。
[ゼオライトの用途]
本発明の製造方法により得られたゼオライトの用途としては特に制限はないが、触媒、吸着材、分離材料などとして好適に用いられる。これらの中では、触媒として用いられることがより好ましい。中でも、AEI型ゼオライトは、特に自動車等の排ガス浄化用触媒等の排ガス処理用触媒に好適に用いられる。特にSi/Al比が6.5以下のものは高い触媒活性が得られる。
<排ガス処理用触媒>
本発明の製造方法により得られたゼオライトを排ガス処理用触媒として用いる場合、ゼオライトとしては、必要に応じてアルミニウム及びケイ素以外の金属を含有させたゼオライトを用いてもよい。金属を含有させる方法は上記したとおりである。
本発明の製造方法により得られたゼオライトは、触媒として使用する場合、その触媒はバインダーなどのゼオライト以外の成分を含んでもよい。例えば、ゼオライトは、バインダーと混合し、造粒して用いることやハニカム状等の所定の形状に成形して用いることができる。具体的には例えば、ゼオライトをシリカ、アルミナ、粘土鉱物等の無機バインダーや、アルミナ繊維、ガラス繊維等の無機繊維と混合した後、造粒するかまたは押出法や圧縮法等によりハニカム状等の所定の形状に成形し、続いて焼成することにより、粒状の触媒やハニカム触媒、触媒成形品を得ることができる。
本発明の製造方法により得られたゼオライトは、触媒として使用する場合、シートやハニカム等の基材に塗布して用いてもよい。具体的には、例えば、本発明の製造方法により得られたゼオライトと、シリカ、アルミナ、粘土鉱物等の無機バインダーとを混合し、スラリーを作製し、コージェライト等の無機物で作製された基材の表面に塗布し、焼成する方法が挙げられる。好ましくはこの際にハニカム形状の基材に塗布することにより、触媒が塗布されたハニカム状のハニカム触媒を得ることができる。
ここでは排ガス処理用触媒を例にして説明しているため無機バインダーを用いているが、用途や使用条件によっては有機バインダーを用いてもよいことは言うまでもない。
本発明の製造方法により得られたゼオライト、特にAEI型ゼオライトを含む触媒は、窒素酸化物を含む排ガスを接触させて窒素酸化物を浄化する窒素酸化物浄化触媒として有効であり、例えば、NOxの選択的還元触媒(SCR触媒)として有効である。
具体的には、AEI型ゼオライトなどの各種ゼオライトを含む触媒は、窒素酸化物浄化触媒として、ディーゼル自動車、ガソリン自動車などの自動車、定置発電装置、船舶、農業機械、建設機械、二輪車、航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様な排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化することができる。
該排ガスには窒素酸化物以外の成分が含まれていてもよく、例えば炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、硫黄酸化物、水が含まれていてもよい。また、触媒使用時には、アンモニア、尿素、ヒドラジン、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びギ酸アンモニウム等の窒素含有化合物(但し、窒素酸化物を除く)、炭化水素等の公知の還元剤を使用してもよい。
本発明の製造方法により得られたゼオライト、特にAEI型ゼオライトは、窒素酸化物浄化触媒以外に、例えば、本発明の窒素酸化物浄化用触媒を用いて窒素酸化物の浄化を行った後段において、窒素酸化物浄化で消費されなかった余剰の還元剤(例えばアンモニア)を酸化する酸化触媒に用いることができる。このように、本発明の製造方法により得られたゼオライトを含む触媒は、酸化触媒として余剰の還元剤を酸化し、排ガス中の還元剤を減少させることができる。その場合、酸化触媒として還元剤を吸着させるためのゼオライト等の担体に白金族等の金属を担持した触媒を用いることができるが、本発明の製造方法により得られたゼオライト、特にAEI型ゼオライトを該担体として使用するとよい。例えば、鉄、銅などの遷移金属を担持した本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトに、更に該白金族等の金属を担持して使用することもできる。
本発明の製造方法により得られたゼオライト、特にAEI型ゼオライトを含む触媒は、様々な排気浄化システムにおいて用いることができる。該システムとしては、本発明の触媒からなる選択的還元触媒を備えた排気浄化システムが例示でき、更に該排気浄化システムにおいて選択的還元触媒の下流にアンモニア酸化触媒が配置されていてもよい。
本発明の製造方法により得られたゼオライト、特にAEI型ゼオライトを含む触媒は様々な排気浄化方法において用いることができる。該排気浄化方法としては、アンモニアを選択的還元触媒(SCR触媒)に吸着させ、吸着されたアンモニアを還元剤として窒素酸化物を選択還元する工程を含む排気浄化方法であって、選択的還元触媒として、本発明の製造方法で得られたAEIゼオライトを含む触媒を用いることが好ましい。
更に、前記アンモニアを還元剤として窒素酸化物を選択還元した後に、余剰のアンモニアを酸化する工程を含んでいてもよい。
なお、前記アンモニアとしては、外部から排気浄化システム内に導入したアンモニアや、外部から排気浄化システム内に導入した尿素から生成したアンモニアを用いることができる。また、排気浄化システム内で排ガスからアンモニアを生成して用いることもできる。
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトを用いた触媒を使用する際の、触媒と排ガスの接触条件としては特に限定されるものではないが、排ガスの空間速度は通常100/h以上、好ましくは1000/h以上であり、更に好ましくは5000/h以上であり、通常500000/h以下、好ましくは400000/h以下、更に好ましくは200000/h以下であり、温度は通常100℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは150℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下、更に好ましくは600℃以下、特に好ましくは500℃以下で用いられる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を更に具体的に説明する。実施例に先立って、各種評価方法、及びゼオライトの製造例を説明する。製造例および実施例等において「部」及び「%」は、特に断らない限り「重量部」及び「重量%」を示す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例により何ら限定されるものではない。
〔分析・評価〕
以下の実施例及び比較例において得られたゼオライトの分析及び性能評価は以下の方法により行った。
[粉末XRDの測定]
<試料の調製>
めのう乳鉢を用いて人力で粉砕したゼオライト試料約100mgを同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにした。
<装置仕様及び測定条件>
粉末XRD測定装置仕様及び測定条件は以下の通りである。
[収率の計算方法]
通常の合成における収率(重量%)は以下の式で計算した。
(収率)=(OSDAを除くAEI型ゼオライトの重量(g))/{(製造時に添加するアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl、SiOに換算した重量(g))+(種晶として添加するゼオライトのOSDA含有量を除く重量(g))}×100
また、リサイクル合成時の収率(重量%)は以下の式で計算した。
(収率)=(OSDAを除くAEI型ゼオライトの重量(g))/{(製造時に添加するアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl、SiOに換算した重量(g))+(テンプレートを含むリサイクル液に含有されるアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl、SiOに換算した重量(g))+(種晶として添加するゼオライトのOSDA含有量を除く重量(g))}×100
[平均一次粒子径の測定]
本発明における平均一次粒子径とは、一次粒子の粒子径の平均値に相当する。平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡による粒子の観察において、任意に選択した15個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求められる。粒子径は粒子の投影面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)とした。
[リサイクル液に含まれる無機成分の組成分析]
リサイクル液に含まれる無機成分の組成は、以下の方法で分析を実施した。
リサイクル液中のアルミニウムとケイ素については、リサイクル液を秤取し、乾式灰化後の灰分をアルカリ塩溶融分解して純水に溶解し、アルミニウムの沈殿が再溶解する程度に鉱酸を加えて一定容とした溶液を適宜希釈し、誘導結合プラズマ発光分析法(マトリクスマッチング検量線法)で定量した。
リサイクル液中のナトリウムについては、リサイクル液を秤取し、乾式灰化後の灰分をフッ化水素酸を加えて蒸発乾固してケイ素を除去し、残分に鉱酸を加えて一定容とした溶液を適宜希釈し、原子吸光分析法(酸濃度マッチング検量線法)で定量した。
誘導結合プラズマ発光分析装置としては、サーモフィッシャーサイエンティフィック製の「iCAP7600Duo」を用いた。原子吸光分析装置としては、バリアンインスツルメント(現アジレントテクノロジー)製の「SpectrAA−120」を用いた。
[参考例1]
(通常のゼオライト合成)
有機構造規定剤(OSDA)として4.5gのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド(セイケム社製:35重量%)、アルカリ原料として0.5gのNaOH(和光純薬製)、Al原料として0.4gのアモルファスAl(OH)(Al 53.5重量%含有、Aldrich社製)、Si原料として5.9gのスノーテックス40(シリカ(SiO)濃度:40重量%、日産化学社製)を以下の組成になるようにゲルを調製した後に、種晶として未焼成品のCHA型ゼオライト(Framework density:14.5T/1000Å3:シリカ/アルミナ比(SAR)=23)を0.12g添加してゼオライト原料混合液を得た。ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
この原料混合液を耐圧容器に入れ、15rpmで回転しながら180℃、1日間水熱合成を行った。この水熱合成反応後、水熱合成物を含む反応液を室温まで冷却して、濾過により生成した結晶を回収し、結晶から分離した反応残液も合わせて得た。回収した結晶を100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、図1に示すような位置にピーク及び相対強度を有するXRDパターンを示すAEI型ゼオライトであることを確認した。また図2に得られたゼオライトのSEM画像を示す。平板上の形を有し、平均一次粒子径は0.44μmであることを確認した。また、この時の収率は66重量%であった。
また、ゼオライトを分離後の反応残液に含まれるテンプレート濃度は7.2重量%、ケイ素が3.7重量%、ナトリウムが1.6重量%、アルミニウムは0.0重量%だった。本結果より算出されるテンプレートに対するケイ素のモル比は2.9であった。
[実施例1]
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液319gに、体積比率で1:1になるように231gのエタノール(WAKO社製99.5w/w%)を添加して、室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したエタノールを回収するために50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は12.3重量%、ケイ素が2.2重量%、ナトリウムが0.3重量%、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は1.0であった。
また、エタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
(リサイクル合成)
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=0.90/0.056/0.35/20/0.25
水熱合成で生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また図3に得られたゼオライトのSEM画像を示す。反応残液を原料に使用して得られたAEI型のゼオライトの平均一次粒子径は0.34μmで、参考例1で得られたAEI型ゼオライトよりも平均一次粒子径が小さく、粒状の形であることが分かった。また、この時の収率は79重量%であった。
[実施例2]
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液324gに、体積比率で1:1になるように238gのメタノール(WAKO社製99.8w/w%)を添加して室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したメタノールを回収するために、50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は13.0重量%、ケイ素が1.6重量%、ナトリウムが0.4重量%、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.7であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
(リサイクル合成)
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=0.90/0.056/0.35/20/0.25
水熱合成で生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また図4に得られたゼオライトのSEM画像を示す。反応残液を原料に使用して得られたAEI型のゼオライトの粒子サイズは、平均一次粒子径は0.41μmで角の丸い平板上の形を有していた。また、この時の収率は67重量%であった。
[実施例3]
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液107gに、体積比率で1:5になるように392gのメタノール(WAKO社製99.8w/w%)を添加して、室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したメタノールを回収するために50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は14.0重量%、ケイ素が0.2重量%であり、ナトリウムが0.2重量%、アルミニウムは0.0重量%、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.1であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
(リサイクル合成)
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は67重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
水熱合成で生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また図5に得られたゼオライトのSEM画像を示す。反応残液を原料に使用して得られたAEI型のゼオライトの粒子サイズは、平均一次粒子径は0.45μmであり、角のある平板状の形を有していた。また、この時の収率は66重量%であった。
[参考例2]
(通常のゼオライト合成)
有機構造規定剤(OSDA)として5.640gのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド(セイケム社製:35重量%)、アルカリ原料として0.640gのNaOH(和光純薬製)、Al原料として0.532gの水酸化アルミニウム(53.2重量%、共和化学社製「キョーワード200」)、Si原料として9.914gのスノーテックス30(シリカ(SiO)濃度:30重量%、日産化学社製)を以下の組成になるようにゲルを調製した後に、種晶として未焼成品のCHA型ゼオライト(Framework density:14.5T/1000Å3:シリカ/アルミナ比=SARが20)を0.150g添加してゼオライト原料混合液を得た。ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。
(種晶を除く反応前混合物のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.0556/0.330/15.0/0.250
この原料混合液を耐圧容器に入れ、15rpmで回転しながら170℃、1日間水熱合成を行った。この水熱合成反応後、水熱合成物を含む反応液を室温まで冷却して、濾過により生成した結晶を回収し、結晶から分離した反応残液も合わせて得た。回収した結晶を100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また、平均一次粒子径は0.65μm、この時の収率は64.2重量%であった。
また、ゼオライトを分離後の反応残液に含まれるテンプレート濃度は11.9重量%、ケイ素が4.8重量%、ナトリウムが2.1重量%、アルミニウムは0.0重量%だった。本結果より算出されるテンプレートに対するケイ素のモル比は2.3であった。
[実施例4]
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例2で得られたゼオライト分離後の反応残液363gに、体積比率で1:3になるように792gのメタノール(キシダ化学社製99.8w/w%)を添加して、室温で6時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液に、分離後残液に対し重量比率で1:1になるように363gの陰イオン交換樹脂(三菱ケミカル(株)社製、「ダイヤイオンSA10A」)を添加して1時間撹拌混合し、陰イオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂を濾別することによりメタノール混合溶液を回収した。
回収したメタノール混合溶液から、無機沈殿物を生成させるために添加したメタノールを回収するために、50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は44.5重量%、ケイ素が0.055重量%、ナトリウムが0.430重量%であり、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.007であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物を思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。この未反応のテンプレートを含むリサイクル液を水熱合成の原料の一部として使用した。
(リサイクル合成)
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例2と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例2に使用した原料と同じものを使用した。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1.0/0.0556/0.330/15.0/0.250
水熱合成生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られたゼオライト粉のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また、反応残液を原料に使用して得られたAEI型のゼオライトの平均一次粒子径は0.66μm、この時の収率は61.1重量%であった。
[比較例1]
(反応残液を原料として用いたゼオライト合成)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液を原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率を下記のモル比率になるように、不足原料を反応残液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
水熱合成で生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られた結晶粉末のXRDを測定したところ、アモルファスであることがわかった。
[比較例2]
(反応残液を原料として用いたゼオライト合成)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液を原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率を下記のモル比率になるように、不足原料を反応残液に添加した。そして、水熱合成時間を65時間とした以外は、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO/Al/NaOH/HO/N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
水熱合成で生成した結晶を回収し、100℃で12時間乾燥した後、得られた結晶粉末のXRDを測定したところ、AEI型ゼオライトであることを確認した。また図6に得られたゼオライトのSEM画像を示す。反応残液を原料に使用して得られたAEI型のゼオライトの平均一次粒子径は0.05μmで、丸い粒状の非常に小さい粒子が生成していることがわかった。また、この時の収率は70重量%であった。
以上の各実施例の結果から明らかなように、水熱合成後の反応残液を、有機溶剤を使用して所定の処理をした上でリサイクルすると、水熱合成におけるテンプレートの使用量を削減しつつも、適切な粒子径を有するゼオライトを高収率で製造することができた。また、リサイクル液におけるテンプレートに対するケイ素のモル比を変更することで、粒子径を調整したり、収率を高くしたりすることができた。
それに対して、各比較例のように、有機溶剤を使用して所定の処理を行わずに反応残液をそのままリサイクルすると、参考例1と同様の反応時間では(比較例1)、AEI型ゼオライトが得られなかった。また、比較例2のように、水熱合成時間を長くすることでAEI型ゼオライトが得られたが、ゼオライトの粒子径を参考例1に比べて著しく小さくなった。

Claims (7)

  1. ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を含む溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程(A)と、
    前記分離後残液から前記有機溶剤をさらに分離し、前記有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程(B)と、
    前記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程(C)と
    を備えるゼオライトの製造方法。
  2. 有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程(X1)と、
    前記ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程(X2)と、
    前記水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程(X3)とを備え、
    前記反応残液を前記処理液として使用する、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  3. 前記リサイクル液における前記有機構造規定剤に対するケイ素のモル比が2.7以下である、請求項1又は2に記載のゼオライトの製造方法。
  4. 前記有機溶剤が、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
  5. 前記有機溶剤が、1分子中に含まれる炭素数が4以下のアルコール類を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
  6. 水熱合成時の反応温度が150℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
  7. 水熱合成時の水のシリカに対するモル比が20以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
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