JP7207154B2 - ゼオライトの製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献5の方法は、テンプレートとアルカリが容易に分離できる場合に限定される。すなわち、特許文献5に記載のようにテンプレートとアルカリを蒸留により容易に分離できる条件下においては良好な手段であるが、例えばテンプレートが塩である場合は、アルカリとテンプレートを分離することが困難であるという問題もある。
その結果、反応液、特にテンプレート含有母液中のゼオライトを構成する無機成分(アルミノシリケートであればシリカやアルミニウム等、アルミノフォスフェートであればリンやアルミニウム等)の量を制御することにより、ゼオライトを製造した後の母液を、連続的に原料の一部として使用しても、リサイクル合成時の原料や水熱条件を変えることなく、そして、テンプレート含有母液を用いないで合成したリサイクル前の水熱合成時よりも高い収率でリサイクル合成できることを見出した。
更に、この母液を原料の一部としてゼオライトの水熱合成反応を行う場合、アルミノシリケートゼオライトを製造する場合においては、リサイクル液に含まれるケイ素(Si)に対するテンプレートの比率を変えることにより、リサイクル前よりも高い収率としたり、得られるゼオライトの粒子径を制御したりすることができることも見出し、本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]~[7]を提供する。
前記分離後残液から前記有機溶剤をさらに分離し、前記有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程(B)と、
前記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程(C)と
を備えるゼオライトの製造方法。
[2]有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程(X1)と、
前記ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程(X2)と、
前記水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程(X3)とを備え、
前記反応残液を前記処理液として使用する、上記[1]に記載のゼオライトの製造方法。
[3]前記リサイクル液における前記有機構造規定剤に対するケイ素のモル比が2.7以下である、上記[1]又は[2]に記載のゼオライトの製造方法。
[4]前記有機溶剤が、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含む、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[5]前記有機溶剤が、1分子中に含まれる炭素数が4以下のアルコール類を含む、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[6]水熱合成時の反応温度が150℃以上である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
[7]水熱合成時の水のシリカに対するモル比が20以下である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態
様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されない。また、本発明の
実施態様は適宜組み合わせることもできる。なお、本明細書において「~」はその前後に
記載される数値を含む範囲を意味する。
アルミノシリケートゼオライトの骨格構造を構成しているMe、AlおよびSiの構成割合(モル比)は、特に限定されるものではないが、Me、Al、Siの合計に対するMeのモル比をx、Alのモル比をy、Siのモル比をzとすると、xは通常0以上であり、0.3以下である。xがこの上限値以下とすることで、合成時に不純物が混入しにくく好ましい。
また前記yは通常0.001以上であり、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05であり、通常0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下である。
また前記zは通常0.5以上であり、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.75以上であり、通常0.999以下であり、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.99以下、更に好ましくは0.98以下である。
y、zが上記範囲内であると、合成が容易で、触媒として用いた場合に十分な酸点があり十分な活性が得られやすい。
他の原子Meは、1種でも2種以上含まれていてもよい。好ましいMeは、周期表第3又は第4周期に属する元素である。
アルミノフォスフェートの骨格構造を構成しているMe1、Al及びPの構成割合(モル比)は、特に限定されるものではないが、Me1、Al、Pの合計に対するMe1のモル比をx1、Alのモル比をy1、Pのモル比をz1とすると、x1は、通常0以上であり、好ましくは0.01以上であり、通常0.3以下である。
また前記のy1は、通常0.2以上であり、好ましくは0.3以上であり、通常0.6以下であり、好ましくは0.5以下である。
また前記のz1は、通常0.3以上であり、好ましくは0.4以上であり、通常0.6以下であり、好ましくは0.5以下である。
0.01≦x1≦0.2 ・・・(I)
(式中、x1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するケイ素のモル比を示す)
0.3≦y1≦0.6 ・・・(II)
(式中、y1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するアルミニウムのモル比を示す)
0.3≦z1≦0.6 ・・・(III)
(式中、z1は骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するリンのモル比を示す)
また、x1は好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、より更に好ましくは0.075以上であり、好ましくは0.11以下、より好ましくは0.105以下、更に好ましくは0.100以下、より更に好ましくは0.095以下である。
なお、上記の元素の割合は元素分析により決定するが、本発明における元素分析は、試料を塩酸水溶液で加熱溶解させ、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、以下ICP)発光分光分析により行う。
X線回折における主だったピークとしては、例えば、線源にCuKα線を用いた場合、2θ=9.5°±0.2°に110面のピーク、2θ=16.1°±0.2°に202及び-202面のピーク(非常に近いので重なることが多い)、16.9°±0.2°に022面のピーク、20.6°±0.2°に310面のピークなどが挙げられる。
本発明のAEI型ゼオライトの製造方法は以下の工程(A)~(C)を備える。
工程(A):ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程
工程(B):上記分離後残液から有機溶剤をさらに分離し、有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程
工程(C):上記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程
工程(A)で使用される処理液は、ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤(テンプレート)を含むものである。すなわち、処理液は、後述するテンプレートを含むゼオライト原料混合液を水熱合成したときに得られる、水熱合成物を含む溶液そのものであってもよいし、その溶液に対して抽出、分離などの後処理が適宜なされたものであってもよい。ここで、分離は、例えば、固形分を取り除くことにより行われるとよい。
本製造方法では、テンプレート以外の原料、原料由来の不純物などは、概ね工程(A)において固形分として析出される一方で、テンプレートは概ね溶液中に残存する。そのため、析出した固形分を分離して得られた分離後残液は、工程(B)で有機溶剤が分離されることで、高濃度でテンプレートを含むリサイクル液となる。したがって、そのようなリサイクル液を使用して、工程(C)においてリサイクル合成を行うと、通常の製造条件でも良好な品質のゼオライトを製造することができる。
工程(X1):有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程
工程(X2):ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程
工程(X3):工程(X2)の水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程
工程(X1)では、有機構造規定剤(テンプレート)を含むゼオライト原料混合液を調製する。ゼオライト原料混合液は、例えば、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水を混合し必要に応じて種晶としてゼオライトを添加して十分に混合することで得られる。
これらの原料の混合順序は、特に限定はないが、好ましくはアルカリ溶液を調製した後にケイ素原子原料、アルミニウム原子原料を添加した方がより均一に原料が溶解する点から、水、テンプレート、及びアルカリ金属原子原料を混合してアルカリ溶液を調製した後、このアルカリ溶液へアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、種晶であるゼオライトの順番で添加して混合することが好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム原子原料は、特に限定されず、アモルファスの水酸化アルミニウム、ギブサイト構造を持つ水酸化アルミニウム、バイヤーライト構造を持つ水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミニウムアルコキシド、更には、ゼオライトのようにシリカを含むゼオライト等をアルミニウム原子原料として用いる事ができる。特に好ましくはアモルファスの水酸化アルミニウム、ギブサイト構造を持つ水酸化アルミニウム、バイヤーライト構造を持つ水酸化アルミニウムであり、これらの中でもアモルファスの水酸化アルミニウムがとりわけ好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられるケイ素原子原料としては、特に限定されず、公知の種々の物質を使用することができ、例えばゼオライトを使用してもよく、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、トリメチルエトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲルなどを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、他の成分と十分均一に混合できる形態のものであって、特に水に溶解しやすい原料が好ましく、コロイダルシリカ、トリメチルエトキシシラン、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲルが好ましい。
ケイ素原子原料は、ケイ素原子原料に対する他の原料の使用量がそれぞれ前述ないしは後述の好適範囲となるように用いられる。
本発明に用いられるアルカリ金属原子原料に含まれるアルカリ金属は、特に限定されず、ゼオライトの合成に使用される公知のものが使用できるが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンを含むことが好ましい。
これらのアルカリ金属原子が含まれることにより、水熱合成における結晶化の進行が容易となり、また副生物(不純物結晶)が生成しにくくなる。
有機構造規定剤としては、窒素含有系有機構造規定剤、リン含有系有機構造規定剤などを使用できる。窒素含有系有機構造規定剤としてはテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAOH)やテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド(TPAOH)などの公知の各種の物質を使用することができる。また、例えば窒素含有系有機構造規定剤として、以下のような物質を使用することができる。
4級アンモニウムカチオンは、一般的に、熱による分解反応が起こりやすいが、その中でも、安定性の高い有機構造規定剤を選択することが好ましい。具体的には、N,N-ジメチル-9-アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン、N,N-ジエチル-2-エチルピペリジニウムカチオン、N,N-ジメチル-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジニウムカチオン、N,N-ジメチル-2-エチルピペリジニウムカチオン、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオン、N-エチル-N-メチル-2-エチルピペリジニウムカチオン、更に好ましくは、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンである。
有機構造規定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水の使用量は、結晶が生成しやすいという観点から、本発明で種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するモル比で通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。この範囲にすると、結晶がより生成しやすく好ましい。また廃液処理にかかるコストダウンの効果を十分得るために、種晶として添加するゼオライト以外の原料混合液に含まれるケイ素(Si)に対するモル比で通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下である。
本発明により製造されるAEI型ゼオライトは種晶を添加しても良い。本発明で種晶として添加するゼオライトは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のようにして調製されたゼオライト原料混合液は、調製後直ちに水熱合成してもよいが、高い結晶性を有するゼオライトを得るために、所定の温度条件下で一定時間熟成することが好ましい。特に、スケールアップする場合は撹拌性が悪くなり原料の混合状態が不十分となりやすい。そのため一定期間原料を撹拌しながら熟成させることにより、原料をより均一な状態に改善することが好ましい。熟成温度は通常100℃以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下であり、その下限は特に設けないが、通常0℃以上、好ましくは10℃以上である。熟成温度は熟成中一定でもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよい。熟成時間は特に限定されないが、通常2時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、更に好ましくは1日以上であって、通常、30日以下、好ましくは10日以下、更に好ましくは4日以下、特に好ましくは2日以下である。
工程(X2)では、工程(X1)で調製されたゼオライト原料混合液を水熱合成する。水熱合成は、上記のようにして調製され、必要に応じて熟成されたゼオライト原料混合液を耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、撹拌下、又は、容器を回転ないしは揺動させながら、或いは静置状態で、所定温度を保持することにより行われる。
上記の条件で反応させることにより、目的とするAEI型ゼオライトの収率が向上し、異なるタイプのゼオライトが生成し難くなるため好ましい。
工程(X3)では、上記の水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液から、生成物であるAEI型ゼオライトを分離し、反応残液を得る。
分離されたゼオライト(以下、「OSDA等含有ゼオライト」と称する。)は、細孔内にテンプレート及びアルカリ金属原子の両方又はいずれか一方を含有している。水熱合成物を含む反応液からのOSDA等含有ゼオライトの分離方法は特に限定されないが、通常、濾過、デカンテーション等による方法が挙げられる。また、水熱合成後、5~60℃、好ましくは15~30℃に冷却した後、濾過などすることで分離するとよい。
OSDA等含有ゼオライトからテンプレートを除去するには、製造性の面で焼成を行うことが好ましい。この場合、焼成温度については、好ましくは400℃以上、より好ましくは450℃以上、さらに好ましくは500℃以上であり、好ましくは900℃以下、より好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。焼成は、不活性ガス存在下に行うとよい。不活性ガスとしては、窒素などを用いることができる。また、焼成は、OSDA等含有ゼオライトを水洗、乾燥した後などに行うとよい。
工程(A)では、ゼオライトを分離して得られた上記反応残液の少なくとも一部に、有機溶剤を含む溶剤を添加し、固形分を析出させ、その固形分を分離して分離後残液を得る。
水熱合成後にゼオライトを分離して得られた未反応のテンプレートを含む反応残液に、貧溶媒として有機溶剤を含む溶剤を加えると、濾液中に含まれる無機成分が沈殿するため、反応残液に含まれる無機成分を固形分として容易に分離することが可能である。使用する有機溶剤としては、水と混和性が高い有機化合物であれば限定はしないが、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含むことが望ましい。
また、反応残液に添加される溶剤は、有機溶剤以外の溶剤が含まれてもよく、そのような有機溶剤以外の溶剤として水が挙げられる。
有機溶剤は、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら有機溶剤を使用して析出操作を行うことで、ケイ素原子及びアルカリ金属原子を無機沈殿物として析出させる一方で、未反応のテンプレートは分離後残液中に適切に残留させることが可能になる。
反応残液に対する有機溶剤の添加量を調製することにより、濾液から析出する無機成分量を制御することが可能である。これは、有機溶剤の添加により、テンプレートを含む母液(反応残液)中の無機成分の溶解度を制御することができるからである。例えば、テンプレートを含む反応残液からより多くの無機成分を析出させるためには、添加する有機溶剤の量を増やせばよい。
分離後残液中に存在するケイ素成分をイオン交換樹脂により吸着除去する場合、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いるとよい。強塩基性陰イオン交換樹脂の中でも、トリメチルアンモニウム基を持つイオン交換樹脂、あるいはジメチルエタノールアンモニウム基を持つイオン交換樹脂等を用いるともよい。より塩基性が強く、更に化学的に安定で使用温度範囲の広いトリメチルアンモニウム基を持つイオン交換樹脂が好ましい。
イオン交換樹脂のイオン型は特には限定されないが、ケイ素との交換反応により液中に溶出することから、リサイクル合成時の影響を考慮するとOH型がより好ましい。
工程(B)では、上記工程(A)の分離により得られた分離後残液から有機溶剤をさらに分離して、有機構造規定剤(未反応のテンプレート)を含むリサイクル液を得る。
有機溶剤の分離方法は、有機溶剤と一緒に含まれる未反応のテンプレートを変質させない方法であれば特に制限はないが、通常は、蒸留による分離が好ましい。蒸留は、特に限定されないが、減圧蒸留で行うとよい。
アルカリ原子含有量の下限値はリサイクル合成時に影響がない範囲であれば問題ないため、リサイクル原料液中のアルカリ原子含有量は、特に下限値は設定されないが、0.0001重量%以上が好ましい。
工程(C)では、リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する(「リサイクル合成」ともいう)。工程(C)におけるリサイクル合成は、上記工程(X1)~工程(X3)と同様に行えばよい。
具体的には、まず、テンプレートを含むゼオライト原料混合液を調製する。ゼオライト原料混合液は、上記したように、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水の混合物であり、この混合物には種晶などの成分がさらに含まれてもよい。また、添加剤なども適宜添加されてもよい。
したがって、通常、リサイクル液に、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料を加える。さらに、種晶、水などを適宜加えるとよい。
テンプレートは、その全量をリサイクル液由来のものとしてもよいが、一部をリサイクル液由来のものとし、一部は新たに加えてもよい。新たにテンプレートを加えることで、リサイクル液に含まれる不純物の影響を抑えることができる。また、リサイクルを複数回繰り返した場合に、リサイクル液に含まれる不純物が蓄積していくことを防止する。
ゼオライト原料混合液の調製において、原料の混合順序は、特に限定されないが、好ましい態様は、工程(X1)において原料としてリサイクル液を使用する場合と同様である。
また、工程(C)におけるゼオライト原料混合液におけるアルミニウム原子原料、アルカリ金属原子原料、テンプレート、及び水のケイ素原子に対するモル比は、上記工程(X1)における各モル比と同一であってもよいし異なってもよい。
また、添加割合を少なくする場合、その添加割合は、工程(X1)において調製されたゼオライト原料混合液におけるケイ素原子原料の配合割合に対して、例えば、0.75以上1未満、好ましくは0.8以上0.95以下、より好ましくは0.85以上0.9以下である。リサイクル液中に含まれるケイ素含有量が多い場合などには、追加するケイ素原子原料の量を少なくすることで、リサイクル液を用いた水熱合成を適切に行うことが可能になる。なお、ここでいうケイ素原子原料の添加割合とは、リサイクル液に追加的に添加される、アルミニウム原子の添加量に対する、ケイ素原子の添加量のモル比を意味する。また、ゼオライト原料混合液におけるケイ素原子原料の配合割合とは、工程(X1)で調製されたゼオライト原料混合液におけるアルミニウム原子に対するケイ素原子のモル比を意味する。
分離されたゼオライト(OSDA等含有ゼオライト)は、工程(X3)で説明したとおり、焼成等を行ってテンプレートを除去するとよい。
また、ゼオライトが分離されることで得られる反応残液は、上記する工程(A)における処理液として供されてリサイクルが繰り返されてもよい。
本発明の製造方法により得られるAEI型ゼオライトは、Si及びAl以外の金属を含有させてもよい。金属を含有させたゼオライトにおける金属の存在状態としては、アルミニウムに配位してゼオライト骨格構造に含まれない場合と、アルミニウムに配位せずに骨格構造に含まれる場合とがある。
Si及びAl以外の金属を含有させると、例えば、排ガス処理用触媒などの触媒、特にNOxの選択的還元触媒(SCR触媒)として有効である。このような排ガス処理用触媒に使用する場合、ゼオライトに含有させる金属元素としては遷移金属が好ましく、中でも、鉄、コバルト、亜鉛、パラジウム、イリジウム、白金、銅、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニウム等の周期表第3-12族の遷移金属が挙げられる。また、より好ましくは鉄、コバルト、銅などの周期表第8、9、11族の遷移金属、さらに好ましくは鉄、銅などの周期表第8、11族の遷移金属であり、最も好ましくはCu(銅)である。これらの金属の2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
特にゼオライトに含有させる金属が銅(Cu)であった場合には、触媒中の銅の含有量として、0.1重量%以上10重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、また、より好ましくは8重量%以下である。
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトに、上記の遷移金属を含有させる方法としては、特に限定されないが、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法、噴霧乾燥法等、好ましくは、固相イオン交換法、含浸担持法、噴霧乾燥法により、AEI型ゼオライトに遷移金属を担持させる方法が好ましい。
AEI型ゼオライトに上記遷移金属を担持させた後は、好ましくは300℃~900℃、より好ましくは350℃~850℃、さらに好ましくは400℃~800℃で、例えば1秒~24時間、好ましくは10秒~8時間、さらに好ましくは30分~4時間程度焼成することが好ましい。この焼成は必ずしも必要ではないが、焼成を行うことにより、ゼオライトの骨格構造に担持させた金属の分散性を高めることができ、触媒活性の向上に有効である。
上記式において、nは2~5の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が特に好ましい。xは2~6の整数が好ましく、2~5の整数がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、4が特に好ましい。
このようなポリアミンとしては、中でもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが安価であり、好ましく、中でもトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。これらのポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、分岐状のポリアミンを含んでいても良い。
また、本製造方法では、AEI型ゼオライトにSi及びAl以外の金属を含有させることで、AEI型ゼオライトの耐水熱性を向上させることができる。そのような金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、プラセオジウム(Pr)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、セシウム(Ce)、鉄(Fe)のいずれかが挙げられる。これらの金属を2種類以上混合して用いてもよい。
なお、鉄などを使用すると、上記したように、AEI型ゼオライトは、排ガス処理用触媒として有効となり、また耐水熱性を向上させることも可能である。
また、上記した金属の中では、アルカリ土類金属が好ましく、より好ましくはマグネシウム又はカルシウム、最も好適にはカルシウムである。
またワンポット合成法でゼオライトに上記金属を含有させてもよい。すなわち、AEI型ゼオライトの水熱合成前のゼオライト原料混合液にこれらの金属を各種化合物の形で添加して水熱合成するとよい。この場合、通常、上記金属は、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。また、各種の酸化物、水酸化物、硫化物等にしてもよい。これらのうち、水に対する溶解性の観点から、無機酸塩、有機酸塩が好ましく、また、アルカリ土類金属は水酸化物で添加することも好ましい。
本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトは、本発明の製造方法において仕込み組成比を変えることにより、Si/Al比を広い範囲内で調整可能である。よって得られたAEI型ゼオライトのSi/Al比は特に限定されるものではない。
なお、ここでいう本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトとは、工程(C)により得られたAEI型ゼオライト、工程(X3)により得られたAEI型ゼオライト、さらには、工程(C)及び(X3)で得られたAEI型ゼオライトに金属を担持させたもののいずれも意味する。以下も同様である。
これらを総合して、骨格内Alの脱離の影響が小さく、かつ高い触媒活性を維持するためには、Si/Al比は好ましくは5.5以上7以下、より好ましくは5.5より大きく7より小さい、更に好ましくは6以上6.5以下である。本発明の製造方法により得られたAEI型ゼオライトのSi/Al比は、29Si-NMR測定により求めることができる。
一方でSi/Al比の高いゼオライトは、ゼオライト骨格中のAl量が少ないことから水蒸気を含む高温のガス雰囲気下でも構造が崩壊しにくい利点がある。ディーゼル乗用車やガソリン車では、800℃以上で水蒸気を含むガス雰囲気下でSCR触媒を用いるため、高い水蒸気耐性を求められる。従ってSi/Al比が6.5を超え、より好ましくは、10以上のゼオライトを使用することが望まれる。
なお、AEI型ゼオライトの平均一次粒子径は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
また、本発明によって得られたAEI型ゼオライトは、酸量が1.2mmol/g以上、3.0mmol/g以下であり、Si/Al比が6.5以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法により得られたゼオライトの用途としては特に制限はないが、触媒、吸着材、分離材料などとして好適に用いられる。これらの中では、触媒として用いられることがより好ましい。中でも、AEI型ゼオライトは、特に自動車等の排ガス浄化用触媒等の排ガス処理用触媒に好適に用いられる。特にSi/Al比が6.5以下のものは高い触媒活性が得られる。
本発明の製造方法により得られたゼオライトを排ガス処理用触媒として用いる場合、ゼオライトとしては、必要に応じてアルミニウム及びケイ素以外の金属を含有させたゼオライトを用いてもよい。金属を含有させる方法は上記したとおりである。
ここでは排ガス処理用触媒を例にして説明しているため無機バインダーを用いているが、用途や使用条件によっては有機バインダーを用いてもよいことは言うまでもない。
具体的には、AEI型ゼオライトなどの各種ゼオライトを含む触媒は、窒素酸化物浄化触媒として、ディーゼル自動車、ガソリン自動車などの自動車、定置発電装置、船舶、農業機械、建設機械、二輪車、航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様な排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化することができる。
該排ガスには窒素酸化物以外の成分が含まれていてもよく、例えば炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、硫黄酸化物、水が含まれていてもよい。また、触媒使用時には、アンモニア、尿素、ヒドラジン、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びギ酸アンモニウム等の窒素含有化合物(但し、窒素酸化物を除く)、炭化水素等の公知の還元剤を使用してもよい。
更に、前記アンモニアを還元剤として窒素酸化物を選択還元した後に、余剰のアンモニアを酸化する工程を含んでいてもよい。
なお、前記アンモニアとしては、外部から排気浄化システム内に導入したアンモニアや、外部から排気浄化システム内に導入した尿素から生成したアンモニアを用いることができる。また、排気浄化システム内で排ガスからアンモニアを生成して用いることもできる。
以下の実施例及び比較例において得られたゼオライトの分析及び性能評価は以下の方法により行った。
<試料の調製>
めのう乳鉢を用いて人力で粉砕したゼオライト試料約100mgを同一形状のサンプルホルダーを用いて試料量が一定となるようにした。
<装置仕様及び測定条件>
粉末XRD測定装置仕様及び測定条件は以下の通りである。
通常の合成における収率(重量%)は以下の式で計算した。
(収率)=(OSDAを除くAEI型ゼオライトの重量(g))/{(製造時に添加するアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl2O3、SiO2に換算した重量(g))+(種晶として添加するゼオライトのOSDA含有量を除く重量(g))}×100
また、リサイクル合成時の収率(重量%)は以下の式で計算した。
(収率)=(OSDAを除くAEI型ゼオライトの重量(g))/{(製造時に添加するアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl2O3、SiO2に換算した重量(g))+(テンプレートを含むリサイクル液に含有されるアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl2O3、SiO2に換算した重量(g))+(種晶として添加するゼオライトのOSDA含有量を除く重量(g))}×100
本発明における平均一次粒子径とは、一次粒子の粒子径の平均値に相当する。平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡による粒子の観察において、任意に選択した15個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求められる。粒子径は粒子の投影面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)とした。
リサイクル液に含まれる無機成分の組成は、以下の方法で分析を実施した。
リサイクル液中のアルミニウムとケイ素については、リサイクル液を秤取し、乾式灰化後の灰分をアルカリ塩溶融分解して純水に溶解し、アルミニウムの沈殿が再溶解する程度に鉱酸を加えて一定容とした溶液を適宜希釈し、誘導結合プラズマ発光分析法(マトリクスマッチング検量線法)で定量した。
リサイクル液中のナトリウムについては、リサイクル液を秤取し、乾式灰化後の灰分をフッ化水素酸を加えて蒸発乾固してケイ素を除去し、残分に鉱酸を加えて一定容とした溶液を適宜希釈し、原子吸光分析法(酸濃度マッチング検量線法)で定量した。
誘導結合プラズマ発光分析装置としては、サーモフィッシャーサイエンティフィック製の「iCAP7600Duo」を用いた。原子吸光分析装置としては、バリアンインスツルメント(現アジレントテクノロジー)製の「SpectrAA-120」を用いた。
(通常のゼオライト合成)
有機構造規定剤(OSDA)として4.5gのN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド(セイケム社製:35重量%)、アルカリ原料として0.5gのNaOH(和光純薬製)、Al原料として0.4gのアモルファスAl(OH)3(Al2O3 53.5重量%含有、Aldrich社製)、Si原料として5.9gのスノーテックス40(シリカ(SiO2)濃度:40重量%、日産化学社製)を以下の組成になるようにゲルを調製した後に、種晶として未焼成品のCHA型ゼオライト(Framework density:14.5T/1000Å3:シリカ/アルミナ比(SAR)=23)を0.12g添加してゼオライト原料混合液を得た。ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液319gに、体積比率で1:1になるように231gのエタノール(WAKO社製99.5w/w%)を添加して、室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したエタノールを回収するために50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は12.3重量%、ケイ素が2.2重量%、ナトリウムが0.3重量%、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は1.0であった。
また、エタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=0.90/0.056/0.35/20/0.25
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液324gに、体積比率で1:1になるように238gのメタノール(WAKO社製99.8w/w%)を添加して室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したメタノールを回収するために、50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は13.0重量%、ケイ素が1.6重量%、ナトリウムが0.4重量%、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.7であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=0.90/0.056/0.35/20/0.25
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液107gに、体積比率で1:5になるように392gのメタノール(WAKO社製99.8w/w%)を添加して、室温で5時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液から、無機沈殿物を生成させるために添加したメタノールを回収するために50℃、0.02MPaの条件で減圧蒸留を行い、未反応のテンプレートを含むリサイクル液を得た。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は14.0重量%、ケイ素が0.2重量%であり、ナトリウムが0.2重量%、アルミニウムは0.0重量%、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.1であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物と思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は67重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
(通常のゼオライト合成)
有機構造規定剤(OSDA)として5.640gのN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド(セイケム社製:35重量%)、アルカリ原料として0.640gのNaOH(和光純薬製)、Al原料として0.532gの水酸化アルミニウム(53.2重量%、共和化学社製「キョーワード200」)、Si原料として9.914gのスノーテックス30(シリカ(SiO2)濃度:30重量%、日産化学社製)を以下の組成になるようにゲルを調製した後に、種晶として未焼成品のCHA型ゼオライト(Framework density:14.5T/1000Å3:シリカ/アルミナ比=SARが20)を0.150g添加してゼオライト原料混合液を得た。ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。
(種晶を除く反応前混合物のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.0556/0.330/15.0/0.250
(反応残液からのテンプレートの回収)
参考例2で得られたゼオライト分離後の反応残液363gに、体積比率で1:3になるように792gのメタノール(キシダ化学社製99.8w/w%)を添加して、室温で6時間撹拌混合し、無機沈殿物を生成させた。次に沈殿物を濾別することにより得られた分離後残液に、分離後残液に対し重量比率で1:1になるように363gの陰イオン交換樹脂(三菱ケミカル(株)社製、「ダイヤイオンSA10A」)を添加して1時間撹拌混合し、陰イオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂を濾別することによりメタノール混合溶液を回収した。
このリサイクル液に含まれる無機成分の組成を分析した結果、テンプレート濃度は44.5重量%、ケイ素が0.055重量%、ナトリウムが0.430重量%であり、アルミニウムは0.0重量%であり、テンプレートに対するケイ素のモル比は0.007であった。
また、メタノールを添加することにより生成した無機沈殿物を熱量分析(TG)で測定した結果、テンプレートの分解物を思われる400℃以上の重量減少は見られなかった。従って、無機成分の析出時に析出物にテンプレートが取り込まれていないことを確認した。この未反応のテンプレートを含むリサイクル液を水熱合成の原料の一部として使用した。
次に、上記で得られた未反応のテンプレートを含むリサイクル液を使用して水熱合成によりゼオライトを製造した。
具体的には、リサイクル液に含まれる未反応のテンプレートを原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率が下記のモル比率になるように、不足原料をリサイクル液に添加して、参考例2と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例2に使用した原料と同じものを使用した。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1.0/0.0556/0.330/15.0/0.250
(反応残液を原料として用いたゼオライト合成)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液を原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率を下記のモル比率になるように、不足原料を反応残液に添加して、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
(反応残液を原料として用いたゼオライト合成)
参考例1で得られたゼオライト分離後の反応残液を原料として、水熱合成前のゼオライト原料混合液のモル比率を下記のモル比率になるように、不足原料を反応残液に添加した。そして、水熱合成時間を65時間とした以外は、参考例1と同様の条件でゼオライトの水熱合成を行った。なお、ゼオライト原料混合液における各原料のモル比は、以下の通りであった。また、種晶は、種晶ゼオライト以外の原料混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiO2であるとした時のSiO2に対して5重量%となるように添加した。この時、添加したテンプレート、アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、種晶は、参考例1に使用した原料と同じものを使用した。その際、水熱合成前のゼオライト原料混合液中のリサイクル液の重量比は50重量%であった。
(種晶を除く原料混合液のモル比)
SiO2/Al2O3/NaOH/H2O/N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムハイドロオキサイド=1/0.056/0.35/20/0.25
それに対して、各比較例のように、有機溶剤を使用して所定の処理を行わずに反応残液をそのままリサイクルすると、参考例1と同様の反応時間では(比較例1)、AEI型ゼオライトが得られなかった。また、比較例2のように、水熱合成時間を長くすることでAEI型ゼオライトが得られたが、ゼオライトの粒子径を参考例1に比べて著しく小さくなった。
Claims (7)
- ゼオライト水熱合成により得られ、かつ有機構造規定剤を含む処理液に、有機溶剤を含む溶剤を添加し、析出した固形分を分離して分離後残液を得る工程(A)と、
前記分離後残液から前記有機溶剤をさらに分離し、前記有機構造規定剤を含むリサイクル液を得る工程(B)と、
前記リサイクル液の少なくとも一部を原料として水熱合成を行い、ゼオライトを合成する工程(C)と
を備えるアルミノシリケートゼオライトの製造方法であって、
前記リサイクル液における前記有機構造規定剤に対するケイ素のモル比が2.7以下、前記リサイクル液中におけるアルミニウム原子原料が0.5重量%以下である、アルミノシリケートゼオライトの製造方法。 - 有機構造規定剤を含むゼオライト原料混合液を調製する工程(X1)と、
前記ゼオライト原料混合液を水熱合成する工程(X2)と、
前記水熱合成で得られた水熱合成物を含む反応液からゼオライトを分離し、ゼオライトが分離された反応残液を得る工程(X3)とを備え、
前記反応残液を前記処理液として使用する、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。 - 前記リサイクル液におけるアルカリ原子含有量が1.5重量%以下である、請求項1又は2に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記有機溶剤が、20℃における水との溶解度が25g/100ml以上の有機溶剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 前記有機溶剤が、1分子中に含まれる炭素数が4以下のアルコール類を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 水熱合成時の反応温度が150℃以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
- 水熱合成時の水のシリカに対するモル比が20以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
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