(1)概要
図1に示す本実施形態の物品移動装置2は、物品としての基板9(図2A参照)を部品が実装される所定位置まで搬送する搬送装置である。物品移動装置2は、図2Aに示すように、実装装置1に組み込まれて用いられる。
なお、本実施形態の物品移動装置2は、例えば、印刷装置、ボンディング装置、検査装置又は塗布装置等、実装装置以外の作業装置にも適用可能である。また、本実施形態の物品移動装置2は、例えば、物品を移動する機能のみを有する装置にも適用可能である。また、本実施形態の物品移動装置2は、例えば、物品の位置決め等を行う際に、物品の姿勢を変更する装置にも適用可能である。また、物品移動装置2によって移動する物品は、基板9以外の物品であってもよい。
本実施形態の物品移動装置2は、ステージ3を備えている。ステージ3は、物品を配置可能な上面37を有している。ステージ3は、上面37上に気体を吹き出すことで物品を移動する。
図5Aに示すように、ステージ3は、下層31と、上層32とを有している。上層32は、下層31上に位置している。下層31は、複数の吹出孔310を有している。複数の吹出孔310は、上層32に向けて気体を吹き出す。上層32は、上面37からの気体の吹出方向を制御する。
本実施形態の物品移動装置2では、下層31の複数の吹出孔310から上層32に吹き出される気体の吹出方向が、下層31とは別の層である上層32によって制御される。このため、下層31と上層32とを別々に設計することができ、設計の自由度が高い。
(2)構成
以下、図1〜図7に基づき、本実施形態の実装装置1の構成について説明する。なお、以下の実装装置1の説明では、実装装置1の設置状態を基準にした方向を用いて説明する。
図2Aに示すように、実装装置1は、物品移動装置2と、作業部4とを備えている。本実施形態の物品移動装置2が移動する基板9は、可撓性を有するフレキシブル基板である。なお、基板9は、硬質なリジッド基板であってもよい。また、図2Aに示す基板9は、矩形状であるが、基板9の形状は矩形状に限定されない。また、搬送可能な基板9の大きさも、限定されない。物品移動装置2は、例えば、30mm角以下のフレキシブル基板を搬送可能である。
作業部4は、物品移動装置2によって所定位置に配置された基板9に、部品を実装する。なお、本実施形態の作業装置は、実装装置1であるため、部品を実装する作業部4を備えているが、作業部4が行う作業は、作業装置に応じて変わる。例えば、作業装置が印刷装置である場合、作業部は、物品移動装置2によって所定位置に配置された基板9に対して印刷を行う。
本実施形態の物品移動装置2は、例えば、図3A〜図4Dに示すようにステージ3上に配置された基板9を、ステージ3上の所定位置まで搬送する。本実施形態のステージ3は、図5A及び図5Bに示すように、ベース30、下層31及び上層32を有している。ベース30は、例えば金属製である。以下、ベース30の長手方向を左右方向とし、ベース30の短手方向を前後方向として説明する。また、ベース30は、上方から見て矩形状で、上面に開口部を有する浅底の箱状に形成されているものとして説明するが、必ずしも箱状に形成されている必要はなく、下層31及び上層32と同様に板状に形成されていてもよい。
ベース30は、底部300と、周壁部301とを有している。底部300は、上方から見て矩形の板状に形成されている。底部300の長手方向は、左右方向と平行である。周壁部301は、底部300の周縁から上方に向かって突出している。
下層31及び上層32は、ベース30の内側に配置されている。上層32は、下層31の上方に位置している。下層31は、長手方向が左右方向と平行な矩形状で、ベース30の底部300の上面に沿った板状に形成されている。下層31は、ベース30により、下方から支持されている。本実施形態の下層31は、上方から見て、ベース30の周壁部301で囲まれた領域の全体に亘っている。下層31の上面は、水平である。
下層31には、複数の吹出孔310が形成されている。複数の吹出孔310は、上層32に向けて気体を吹き出し、上層32を介してステージ3上に気体を吹き出す。本実施形態の下層31は、多孔質層であり、下層31には、全体に亘って多数の細孔が形成されている。これら多数の細孔は、一端が下層31の上面に開口し、他端が下層31の下面に開口した孔を含んでいる。本実施形態では、これら多数の細孔により、複数の吹出孔310が構成されている。なお、図5A及び図5Bに示した吹出孔310の様子は、模式的なものであり、その形状及び大きさは、実際の吹出孔310の形状及び大きさとは異なる。
下層31は、例えば、炭化ケイ素又はガラス等のセラミックスから形成される。なお、下層31は、セラミックス製に限られず、カーボン、紙、繊維又は樹脂等から形成されてもよい。また、下層31の各吹出孔310の断面形状は、円形状であってもよいし、四角形状又は四角形状以外の多角形状等であってもよい。また、複数の吹出孔310は、不織布又は織布等において全体に亘って形成される多数の空隙であってもよい。
上層32は、下層31の上面に沿って配置されており、下層31によって下方から支持されている。上層32は、長手方向が左右方向と平行な矩形状で、下層31の上面に沿った板状に形成されている。上層32は、上方から見て、下層31の全体に亘っている。
図1に示すように、上層32は、複数のシート320を有している。本実施形態の各シート320は、上方から見て、長手方向が前後方向と平行な矩形状に形成されている。上層32は、複数のシート320として、複数の第1シート321と、複数の第2シート322とを有している。本実施形態の上層32は、複数の第1シート321及び複数の第2シート322のみから構成されている。
複数のシート320は、同一平面内において隙間なく並べて配置されている。本実施形態の複数のシート320は、第1シート321と第2シート322とが左右方向において交互に一枚ずつ位置するように配置されている。なお、上層32は、第1シート321を一枚のみ有してもよいし、第2シート322を一枚のみ有してもよい。
各シート320の上面は、水平であり、互いに面一である。複数の第1シート321の上面と、複数の第2シート322の上面とで、水平で平坦な上層32の上面が構成されている。上層32の上面は、ベース30の周壁部301の上端面と面一であり、上層32の上面と周壁部301の上端面とで、ステージ3の上面37が構成されている。各シート320は、樹脂製である。なお、第1シート321及び第2シート322の各々は、樹脂製に限られず、セラミックス、カーボン、紙又は繊維等から形成されてもよい。
図5A及び図5Bに示すように、各シート320は、隔壁33と、複数の通気孔(孔)34とを有している。本実施形態の隔壁33は、図2Bに示すように、上方から見てマトリックス状に形成されており、シート320の全体に亘っている。隔壁33は、複数の第1壁部331と、複数の第2壁部332とを有している。複数の第1壁部331は、左右方向に間隔をあけて並んでおり、各第1壁部331は、上方から見て前後方向に直線状に延びている。複数の第2壁部332は、前後方向に間隔をあけて並んでおり、各第2壁部332は、上方から見て左右方向に直線状に延びている。複数の第2壁部332は、上方から見て、複数の第1壁部331と交わっている。
各シート320には、複数の通気孔34が、シート320の全体に亘って形成されている。上方から見て、複数の通気孔34の間は、隔壁33によって仕切られている。下層31の複数の吹出孔310から上方に吹き出された気体は、上層32の複数の通気孔34を通過して、ステージ3上に吹き出される。
下層31の吹出孔310は、上層32の通気孔34よりも、断面積が小さい孔である。本開示において、「断面積が小さい孔」とは、下層31の吹出孔310の最大の断面積が、上層32の通気孔34の最大の断面積よりも小さいことを意味する。ここで、「最大の断面積」とは、孔を通過する気体の流れ方向において最大となる孔の断面積(前記流れ方向と直交する断面における面積)を意味する。
各シート320の各通気孔34は、隣り合う二つの第1壁部331と、隣り合う二つの第2壁部332とで囲まれた空間であり、水平断面形状が矩形状である。なお、通気孔34の水平断面形状は、矩形状に限定されず、例えば、矩形を除く四角形、四角形を除く多角形又は円形等であってもよい。各通気孔34は、シート320の下面から上面に至るまで延びている。各通気孔34の下端は、シート320の下面において開口し、各通気孔34の上端は、シート320の上面において開口している。
下層31の各吹出孔310は、下層31全体において、気体の吹出量に大きな差が生じることを抑制するため、直径1000μm以下の孔よりも断面積が小さい孔であることが好ましい。また、下層31の吹出孔310は、直径100μm以下の孔よりも断面積の小さい孔であることがより好ましく、直径10μm以下の孔よりも断面積が小さい孔であることが更に好ましい。
各第1壁部331は、左右に隣接した通気孔34にそれぞれ臨んだ左右の壁面3310を有している。各第2壁部332は、前後に隣接した通気孔34にそれぞれ臨んだ前後の壁面3320を有している。
第1シート321における各第1壁部331の左右の壁面3310は、上下方向と平行である。対して、第1シート321における各第2壁部332は、上端に近い部分ほど前後方向のうちの一方の方向である前方に位置するように傾斜している。これにより、第1シート321の各第2壁部332の前後の壁面3320は、上端に近い部分ほど前方に位置するように傾斜している。したがって、各第1シート321の複数の通気孔34からステージ3上に吹き出される気体の吹出方向は、左右方向と直交する前斜め上方となる。
図5Bに示す第2シート322における各第2壁部332の前後の壁面3320は、上下方向と平行である。対して、第2シート322における各第1壁部331は、上端に近い部分ほど左右方向のうちの一方の方向である右方に位置するように傾斜している。これにより、第2シート321の各第1壁部331の左右の壁面3310は、上端に近い部分ほど右方に位置するように傾斜している。したがって、第2シート322の複数の通気孔34からステージ3上に吹き出される気体の吹出方向は、前後方向と直交する右斜め上方となる。
すなわち、本実施形態では、各シート320の隔壁33が、ステージ3の上面37上からの気体の吹出方向を制御する吹出方向制御部を構成している。また、第1シート321の隔壁33の壁面3320と、第2シート322の隔壁33の壁面3310とは、上下方向に対して異なる方向に傾いている。これにより、上層32は、下層31の複数の吹出孔310から供給された気体を、上方から見て、第1方向(前方)と、第1方向とは異なる第2方向(右方)との異なる2方向に制御する。なお、上層32は、下層31から吹き出される気体の吹出方向を制御できればよく、例えば、ルーバ等であってもよい。また、このルーバは、気体の吹出方向を変更できるように、回転可能であってもよい。
図6に示すように、下層31は、複数のエリア35を有している。複数のエリア35は、上方から見て互いに異なる位置に存在している。本実施形態の下層31は、複数のエリア35で構成されている。すなわち、下層31は、複数のエリア35に分割されている。
複数のエリア35は、上層32の複数のシート320にそれぞれ一対一で対応している。下層31の各エリア35は、上方から見て、対応するシート320と重複している。下層31は、複数のエリア35として、複数の第1エリア351と、複数の第2エリア352とを有している。複数の第1エリア351は、複数の第1シート321にそれぞれ一対一で対応している。複数の第2エリア352は、複数の第2シート322にそれぞれ一対一で対応している。
本実施形態の物品移動装置2は、通気路22を更に有している。下層31の複数の吹出孔310(図5A及び図5B参照参照)は、通気路22を介して、気体供給源24につながっている。また、本実施形態の下層31の複数の吹出孔310は、通気路22を介して、気体吸引源25につながっている。なお、気体吸引源25は、省略可能である。
気体供給源24は、例えば、コンプレッサ等である。気体吸引源25は、例えば、真空ポンプ又は真空発生器である。本実施形態の実装装置1は、装置外部の気体供給源24及び気体吸引源25を利用し、気体供給源24及び気体吸引源25を備えていない。なお、実装装置1は、気体供給源24及び気体吸引源25を備えていてもよい。
本実施形態のステージ3は、複数の接続部200を有している。複数の接続部200は、ベース30に取り付けられている。複数の接続部200は、下層31の複数のエリア35にそれぞれ一対一で対応している。
ステージ3は、複数の接続部200として、複数の第1接続部201と、複数の第2接続部202とを有している。複数の第1接続部201は、複数の第1エリア351にそれぞれ一対一で対応している。複数の第2接続部202は、複数の第2エリア352にそれぞれ一対一で対応している。
各接続部200は、複数のポート203で構成されている。各ポート203は、ベース30の底部300の下面に取り付けられており、対応するエリア35の下方に位置している。
ベース30は、複数の通気部302を更に有している。複数の通気部302は、複数の接続部200にそれぞれ一対一で対応している。各通気部302は、複数の孔303で構成されている。複数の孔303は、対応する接続部200の複数のポート203にそれぞれ一対一で対応している。各孔303は、ベース30の底部300(図3A参照)を上下方向に貫通している。各孔303は、対応するポート203の上方に位置し、対応するポート203に通じている。
通気路22は、複数の接続部200と、気体供給源24及び気体吸引源25をつないでいる。気体供給源24は、通気路22を介して複数の接続部200に気体を供給する。気体吸引源25は、複数の接続部200から通気路22を介して気体(詳しくは、大気)を吸引する。
気体供給源24から複数の接続部200に供給される気体は、大気である。なお、気体供給源24から複数の接続部200に供給される気体は、大気に限られない。例えば、実装装置1がクリーンルームに設置される場合、気体供給源24から複数の接続部200に供給される気体(すなわち、ステージ3上に吹き出される気体)は、窒素であってもよい。
物品移動装置2は、切換部23を更に有している。切換部23は、通気路22に設けられた複数の開閉弁230を有している。複数の開閉弁230の各々が、開閉されることにより、物品移動装置2は、以下に示す、第1吹出状態、第2吹出状態、第1吸引状態、第2吸引状態又は休止状態に切り換えられる。これにより、物品移動装置2は、エリア35毎に独立して、気体を吹出可能となり、また、エリア35毎に独立して、基板9を吸着可能となる。
物品移動装置2が第1吹出状態にあるとき、各第1接続部201は、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体供給源24にのみ通じる。このため、各第1接続部201には、気体供給源24から通気路22を介して気体が供給される。この気体は、下層31の対応する第1エリア351が有する複数の吹出孔310(図5A及び図5B参照)に供給され、この後、対応する第1シート321の複数の通気孔34(図5A及び図5B参照)を通って、第1シート321上に吹き出される。このとき、第1シート321の複数の通気孔34を通過する気体は、第1シート321の第2壁部332の壁面3320に当たって、前方に制御される。これにより、各第1シート321上に吹き出される気体の吹出方向は、前斜め上方となる。なお、物品移動装置2が第1吹出状態にあるとき、各第2接続部202は、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。このため、各第2シート322上には、気体が吹き出されず、また、各第2シート322上の気体は、吸引されない。
物品移動装置2が第2吹出状態にあるとき、各第2接続部202は、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体供給源24にのみ通じる。このため、各第2接続部202には、気体供給源24から通気路22を介して気体が供給される。この気体は、下層31の対応する第2エリア352が有する複数の吹出孔310(図5B参照)に供給され、この後、対応する第2シート322の複数の通気孔34(図5B参照)を通って、第2シート322上に吹き出される。このとき、第2シート322の複数の通気孔34を通過する気体は、図5Bに示すように、第2シート321の第1壁部331の左右の壁面3310に当たって、右方に制御される。これにより、各第2シート322上に吹き出される気体の吹出方向は、右斜め上方となる。なお、物品移動装置2が第2吹出状態にあるとき、各第1接続部201は、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。このため、各第1シート321上には、気体が吹き出されず、また、各第1シート321上の気体は、吸引されない。
すなわち、本実施形態のステージ3は、上層32、下層31及び複数の接続部200で構成され、ステージ3の上面37上に気体を吹き出す吹出構造を有している。
物品移動装置2が第1吸引状態にあるとき、各第1接続部201は、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体吸引源25にのみ通じる。このため、各第1接続部201の気体は、通気路22を介して気体吸引源25に吸引される。この場合、各第1シート321上の気体は、第1シート321の複数の通気孔34及び下層31の対応する第1エリア351が有する複数の吹出孔310を介して、対応する第1接続部201に吸引される。なお、物品移動装置2が第1吸引状態にあるとき、各第2接続部202は、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。このため、各第2シート322上には、気体が吹き出されず、また、各第2シート322上の気体は、吸引されない。
物品移動装置2が第2吸引状態にあるとき、各第2接続部202は、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体吸引源25にのみ通じる。このため、各第2接続部202の気体は、通気路22を介して気体吸引源25に吸引される。この場合、各第2シート322上の気体は、第2シート322の複数の通気孔34及び下層31の対応する第2エリア352が有する複数の吹出孔310を介して、対応する第2接続部202に吸引される。なお、物品移動装置2が第2吸引状態にあるとき、各第1接続部201は、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。このため、各第1シート321上には、気体が吹き出されず、また、各第1シート321上の気体は、吸引されない。
すなわち、本実施形態のステージ3は、上層32、下層31及び複数の接続部200で構成され、ステージ3の上面37に配置された物品を吸着する吸着構造を有している。
物品移動装置2が休止状態にあるとき、各第1接続部201及び各第2接続部202は、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。この場合、ステージ3上には気体は吹き出されず、また、ステージ3上の気体は吸引されない。
図5Aに示すように、本実施形態のステージ3は、ガイド部36を更に有している。ガイド部36は、ステージ3の上面37に配置された基板9の左右方向の移動をガイドする。ガイド部36は、ベース30の前面(周壁部301の前面)に沿って配置されており、ベース30に取り付けられている。ガイド部36は、長手方向が左右方向と平行で、ステージ3の前面に沿った板状に形成されており、左右方向に延びている。ガイド部36は、ステージ3の前面における左右方向の全長に亘っている。ガイド部36は、ステージ3の上面37から上方に突出した突出部分360を有している。突出部分360の後面は、左右方向に延びている。
実装装置1は、図7に示す制御部10を更に備えている。制御部10は、作業部4及び切換部23を制御する。制御部10は、例えば、プロセッサ及び記憶装置等を含むコンピュータである。プロセッサは例えばCPU(Central Processing Unit)等である。記憶装置は、例えば半導体メモリ又はハードディスク等である。制御部10は、物品移動装置2が備えてもよいし、物品移動装置2とは別の装置であってもよい。
実装装置1によって基板9に部品を実装するにあたり、制御部10は、例えば、以下に示すように切換部23を制御して、基板9を部品が実装される所定位置まで搬送する。
基板9は、物品移動装置2によって搬送される前において、休止状態にある物品移動装置2におけるステージ3Aの上面37に沿って配置される。この状態で、制御部10は、図3Aに示すように、物品移動装置2を第1吹出状態とする。これにより、各第1シート321から、前斜め上方に向かって気体が吹き出され、この気体がステージ3上に配置された基板9に当たることにより、基板9は、図3A及び図3Bに示すように、ステージ3上に浮上し、ステージ3上を前方に移動する。
上述した第1吹出状態は、ステージ3上の基板9が、図3C及び図3Dに示すように、ガイド部36の突出部分360に当たるまで維持される。これにより、基板9は、前端面が突出部分360の後面に沿った状態で、ステージ3上に配置される。
次に制御部10は、物品移動装置2を第1吸引状態とし、各第1シート321上の気体を、ステージ3によって吸引する。これにより、ステージ3上に配置された基板9は、図3Eに示すように、ステージ3に吸着され、上面37と略平行な平面状となって、反りが抑制される。
次に制御部10は、物品移動装置2を第2吹出状態とし、各第2シート322から右斜め上方に向かって気体を吹き出す。これにより、各第2シート322から吹き出された気体が、ステージ3上に配置された基板9に当たり、図4A及び図4Bに示すように、基板9は浮上し、かつ、ステージ3上をガイド部36の突出部分360の後面に沿って、右方に移動する。この場合、基板9の右方への移動がガイド部36によってガイドされるので、基板9の向きが変わり難い。
上述した第2吹出状態は、ステージ3上において右方に移動する基板9が、図4Dに示すように、ステージ3上の所定位置に配置されるまで維持される。次に制御部10は、物品移動装置2を第2吸引状態とする。これにより、各第2シート322上の気体は、ステージ3によって吸引され、ステージ3上に配置された基板9は、図4Cに示すように、ステージ3の上面37に吸着され、ステージ3の上面37と略平行な平面状となる。なお、上述した制御部10による制御は、例えばタイマ又は基板9を検知するセンサーの検知結果等に基づいて行われる。
なお、上述した基板9の移動方法では、第2吹出状態に代えて、各第1接続部201及び各第2接続部202を同時に気体供給源24に通じる状態にしてもよい。このようにすることで、基板9の右方への搬送の際にガイド部36で基板9を確実に規制し、基板9の向きが変わることを抑制できる。
また、上述した基板9の移動方法では、第1吸引状態に代えて、各第1接続部201及び各第2接続部202が、同時に気体吸引源25に通じる状態にしてもよい。これにより、各第1接続部201及び各第2接続部202の気体は同時に、通気路22を介して気体吸引源25に吸引される。このようにすることで、基板9が第1エリア351及び第2エリア352をまたがる大きさである場合であっても、基板9の全体がステージ3に吸着され、上面37と略平行な平面状となって、反りが抑制される。また、同様の理由により、第2吸引状態に代えて、各第1接続部201及び各第2接続部202が、同時に気体吸引源25に通じる状態にしてもよい。
上述したように、本実施形態の物品移動方法では、ステージ3の上面37に基板9が配置された状態で、ステージ3から上面37上に気体を吹き出して基板9を移動する工程を含む。そして、この工程において、下層31の複数の吹出孔310から上層32に向けて気体を吹き出し、上層32により上面37からの気体の吹出方向を制御する。このため、ステージ3における下層31と上層32とを別々に設計することができ、ステージ3の設計の自由度が高い。
制御部10は、図4C及び図4Dに示すように、物品移動装置2により基板9を所定位置に移動した後、図2Aに示す作業部4を制御して、基板9に部品を実装する。このとき、作業部4により部品を基板9に実装する実装工程は、図4Cに示すように、物品移動装置2が第2吸引状態にあり、基板9がステージ3に吸着された状態で行われる。このため、基板9を固定し、かつ、基板9の反りを抑制した状態で、基板9に対して部品が実装される。なお、基板9の固定が、例えば、クランプ機構を用いて行われた場合、基板9の形状及び大きさに合うクランプ機構が基板9毎に必要になるが、本実施形態では、このようなクランプ機構を省略できる点で有効である。なお、実装工程は、物品移動装置2が休止状態にあるときに、行われてもよい。
(3)変形例
次に上記実施形態の変形例について説明する。
(3−1)変形例1
図8に示す変形例1の物品移動装置2Aは、上記実施形態の物品移動装置2(図1参照)と同じ構成を有している。このため、以下の説明では、上記実施形態の物品移動装置2と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
物品移動装置2Aは、上記実施形態のステージ3(図1参照)に代わるステージ3Aを有している。図9Aに示すように、ステージ3Aは、下層31を有している。なお、本実施形態のステージ3Aは、ガイド部36(図1参照)を有していない。
ステージ3Aは、上記実施形態の上層32(図1参照)に代わる上層32Aを有している。上層32Aは、上記実施形態の上層32と同じ構成を有している。ただし、上層32Aは、一枚のシート320Aで構成されている。シート320Aは、上記実施形態の第1シート321と同様、樹脂製であり、隔壁33(図5A参照)と、複数の通気孔34(図5A参照)とを有している。
シート320Aの各第1壁部331の左右の壁面3310(図5A参照)は、上下方向と平行である。対して、シート320Aの各第2壁部332(図5A参照)は、上端に近い部分ほど前方に位置するように傾斜している。これにより、シート320Aの各第2壁部332の前後の壁面3320は、上端に近い部分ほど前方に位置するように傾斜している。したがって、シート320Aの複数の通気孔34からステージ3A上に吹き出される気体の吹出方向は、複数の第2壁部332の壁面3320によって、前方に制御される。これにより、上層32Aの全体に亘る複数の通気孔34からは、左右方向と直交する前斜め上方に気体が吹き出される。
本変形例の物品移動装置2Aは、図10に示すように、通気路22に代わる通気路22Aを有している。ステージ3Aは、複数の接続部200に代わる複数のポート203Aと、ベース30に代わるベース30Aを有している。ベース30Aは、上記実施形態のベース30と同じ構成を有している。ただし、ベース30Aは、複数の通気部302(図6参照)に代わる、複数の孔303Aを有している。
複数のポート203Aは、ベース30Aの底部300の下面に取り付けられており、下層31の下方に位置している。複数の孔303Aは、複数のポート203Aにそれぞれ一対一で対応している。各孔303Aは、ベース30Aの底部300を上下方向に貫通している。各孔303Aは、対応するポート203Aの上方に位置し、対応するポート203Aに通じている。
通気路22Aは、複数のポート203Aと、気体供給源24及び気体吸引源25をつないでいる。気体供給源24は、通気路22Aを介して複数のポート203Aに気体を供給する。気体吸引源25は、複数のポート203Aから通気路22Aを介して気体を吸引する。
物品移動装置2Aは、切換部23に代わる切換部23Aを有している。切換部23Aは、通気路22に設けられた複数の開閉弁230Aを有している。複数の開閉弁230Aの各々が開閉されることにより、物品移動装置2Aは、以下に示す、吹出状態、吸引状態又は休止状態のいずれかの状態に切り換えられる。
物品移動装置2Aが吹出状態にあるとき、各ポート203Aは、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体供給源24にのみ通じる。このため、各ポート203Aには、気体供給源24から通気路22Aを介して気体が供給される。この気体は、下層31が有する複数の吹出孔310(図5A参照)に供給され、この後、上層32A(シート320A)の複数の通気孔34(図5A参照)を通って、前斜め上方に向かって吹き出される。
物品移動装置2Aが吸引状態にあるとき、各ポート203Aは、気体供給源24及び気体吸引源25のうち、気体吸引源25にのみ通じる。このため、各ポート203Aの気体は、通気路22Aを介して気体吸引源25に吸引される。この場合、上層32A上の気体は、上層32Aの複数の通気孔34及び下層31の複数の吹出孔310を介して複数のポート203Aに吸引される。
物品移動装置2Aが休止状態にあるとき、各ポート203Aは、気体供給源24及び気体吸引源25のいずれにも通じない。この場合、ステージ3A上には気体は吹き出されず、また、ステージ3A上の気体は吸引されない。
図8に示すように、物品移動装置2Aは、傾斜角度変更部5を更に有している。傾斜角度変更部5は、ステージ3Aの上面37の水平面に対する傾斜角度を変更する。本変形例の傾斜角度変更部5は、支持部50と、駆動部51とを有している。支持部50は、ベース30Aの前端部を中心にして、ベース30Aの後端部が上下動できるように、ベース30Aを回転可能に支持している。
駆動部51は、ベース30Aにおいて支持部50で支持された部分よりも後方の部分を上下方向に移動する。駆動部51は、例えば、ステージ3Aの後部を上下方向に移動するエアシリンダーで構成される。なお、傾斜角度変更部5は、例えば、駆動部51として油圧シリンダ又はモータ等を用いた機構であってもよい。駆動部51がベース30Aを上方に向かって移動することにより、ベース30A(ステージ3A)はベース30Aの前端部を中心にして上方に回転する。これにより、ステージ3Aの上面37は、前方に向かって下り傾斜した姿勢となる。すなわち、上層32Aによる気体の吹出方向を制御する方向(本例では、前方)を気体の制御方向としたとき、上面37は、気体の制御方向と同じ方向に向かって下り傾斜するように傾けられる。このように上面37が水平面に対して傾けられることにより、上面37に配置された基板9は、気体がステージ3Aから上方に吹き出された状態において、前方に移動しやすくなる。
物品移動装置2Aは、搬送部6を更に有している。搬送部6は、ステージ3Aの上面37に配置された基板9(図9E参照)に接した状態で、基板9を搬送する。本変形例の搬送部6は、コンベアで構成されており、複数のプーリ61、ベルト60及びモータ62を有している。複数のプーリ61は、ステージ3Aの前面(周壁部301の前面)に沿って前後方向に並べて配置されている。各プーリ61の回転軸方向は、上下方向と平行である。ベルト60は、複数のプーリ61の周囲に位置し、複数のプーリ61に掛けられている。ベルト60は、ステージ3Aの上面37の前方に位置しており、上面37の前端部に配置された基板9と接する位置に配置されている。
モータ62は、プーリ61を回転する動力を発生させる。モータ62が駆動すると、プーリ61が回転し、プーリ61により、ベルト60は、複数のプーリ61の周囲を回転する。このベルト60に基板9(図9C参照)が接することで、基板9は、ベルト60によって右方に搬送される。
基板9に部品を実装するにあたり、制御部10(図7参照)は、例えば、以下に示すように切換部23A(図13参照)を制御して、基板9を部品が実装される所定位置まで搬送する。基板9が物品移動装置2Aによって搬送される前、物品移動装置2Aは休止状態にあり、基板9は、図9A及び図9Bに示すように、ステージ3Aの水平な上面37に沿って配置される。この状態で、制御部10は、物品移動装置2Aを吹出状態とする。これにより、図9Cに示すように、上層32Aから、前斜め上方に向かって気体が吹き出される。また、この際、制御部10は、傾斜角度変更部5(図8参照)を制御して、ステージ3Aの上面37を前下がりとなるように水平面に対して傾ける。これにより、ステージ3Aの上面37に配置された基板9は、ステージ3A上に浮上し、この状態でステージ3Aの上面37に沿って前方に移動する。なお、この場合、制御部10は、物品移動装置2Aを吹出状態にした後に、ステージ3Aの上面37を前下がりの状態にしてもよいし、物品移動装置2Aを吹出状態にする前に、ステージ3Aの上面37を前下がりの状態にしてもよい。
上述した基板9は、図9E及び図9Fに示すように、ステージ3Aの上面37の前端部に位置するまで、上面37に沿って前方に移動する。この位置まで移動した基板9は、搬送部6のベルト60に接し、ベルト60によって右方に搬送される。このとき、基板9は、上層32から前斜め上方に吹き出された気体により、ベルト60側に押された状態で、搬送部6によって搬送される。なお、この場合、制御部10は、基板9がベルト60に接した後に、搬送部6の駆動を開始してもよいし、基板9がベルト60に接した後に、搬送部6の駆動を開始してもよい。また、制御部10は、搬送部6によって基板9を搬送しているとき、物品移動装置2Aを休止状態にしてもよい。
上述した搬送部6による基板9の搬送は、基板9が、図9Hに示すように、ステージ3上の所定位置に配置されるまで行われ、この後、制御部10は搬送部6を停止する。次に制御部10は、図9Gに示すように、物品移動装置2Aを吸引状態とし、上層32上の気体をステージ3Aに吸引する。これにより、ステージ3Aの上面37における所定位置に配置された基板9は、ステージ3Aに吸着され、上面37と略平行な平面状となる。
次に制御部10は、物品移動装置2Aの吸引状態を維持したまま、傾斜角度変更部5(図8参照)を制御して、図9Iに示すように、ステージ3Aの上面37を水平にする。これにより、ステージ3Aの上面37における所定位置に配置された基板9は、水平になる。なお、上述した、切換部23A及び搬送部6の制御は、例えばタイマ、又は基板9を検知するセンサーの検知結果等に基づいて行われる。
制御部10は、図9I及び図9Jに示すように、物品移動装置2Aにより、基板9を所定位置に移動した後、作業部4(図2A参照)を制御して、基板9に部品を実装する。このとき、作業部4により部品を基板9に実装する実装工程は、物品移動装置2Aが吸引状態にあって、基板9が図9Iに示すように、ステージ3Aに吸着された状態で行われる。このため、基板9を固定し、かつ、基板9の反りを抑制した状態で、基板9に対して部品が実装される。なお、この実装工程は、例えば、物品移動装置2Aが休止状態にあるときに行われてもよい。
なお、本変形例の傾斜角度変更部5は、ステージ3Aの上面37を、上層32Aによる気体の制御方向である前方と同じ方向に向かって下り傾斜させるが、例えば、上層32Aによる気体の制御方向とは異なる方向である右方に向かって下り傾斜させてもよい。また、本変形例の傾斜角度変更部5は、省略可能である。また、本変形例の上層32Aによる気体の制御方向は、前方の1方向であるが、上記実施形態と同様に、前方と右方の2方向であってもよい。この場合、搬送部6は省略可能である。
(3−2)変形例2
図11A〜図13に示す変形例2の物品移動装置2Bは、上記実施形態の物品移動装置2(図1参照)と同じ構成を有している。このため、以下の説明では、上記実施形態の物品移動装置2と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11Aに示すように、物品移動装置2Bは、上記実施形態のステージ3(図1参照)に代わるステージ3Bを有している。ステージ3Bは、下層31と、ガイド部36とを有している。
ステージ3Bは、上記実施形態の上層32(図1参照)に代わる上層32Bを有している。上層32Bは、変形例1の上層32A(図8参照)と同様に、一枚のシート320Bで構成されている。シート320Bは、変形例1のシート320Aと同じ構成を有している。ただし、シート320Bの各第2壁部332の前後の壁面3320(図5A参照)は、上下方向と平行であり、シート320Bの各第1壁部331(図5A参照)は、上端に近い部分ほど右方に位置するように傾斜している。これにより、シート320Bの各第1壁部331の左右の壁面3310は、上端に近い部分ほど右方に位置するように傾斜している。したがって、シート320Bの複数の通気孔34(図5A参照)からステージ3B上に吹き出される気体の吹出方向は、複数の第1壁部331の壁面3310によって、右方に制御される。これにより、複数の通気孔34からは、前後方向と直交する右斜め上方に気体が吹き出される。
図13に示すように、本変形例の物品移動装置2Bは、傾斜角度変更部5を有している。傾斜角度変更部5は、変形例1の傾斜角度変更部5(図8参照)と同じ構成を有している。なお、本変形例の傾斜角度変更部5は、ステージ3Bの上面37を、上層32Bによる気体の制御方向(右方)と異なる方向(前方)に向かって下り傾斜させる。
本変形例の物品移動装置2Bは、通気路22A、切換部23A、複数のポート203A、ベース30A及び傾斜角度変更部5を有している。通気路22A、切換部23A、複数のポート203A及びベース30Aは、それぞれ、変形例1の通気路22A、切換部23A、複数のポート203A及びベース30Bと同じ構成を有している。
基板9に部品を実装するにあたり、制御部10(図7参照)は、例えば、以下に示すように切換部23Aを制御して、基板9を部品が実装される所定位置まで搬送する。
基板9は、物品移動装置2Bによって搬送される前において、図11A及び図11Bに示すように、休止状態にある物品移動装置2Bにおけるステージ3Bの水平な上面37に沿って配置される。この状態で、制御部10は、傾斜角度変更部5(図13参照)を制御して、ステージ3Bの上面37を、図11Cに示すように、前下がりとなるように水平面に対して傾ける。これにより、ステージ3Bの上面37に配置された基板9は、ステージ3Bの上面37に沿って前方に移動する。
上述した基板9は、図11E及び図11Fに示すように、ステージ3Bの上面37の前端部に位置するまで、前方に移動する。次に制御部10は、図11Eに示すように、物品移動装置2Bを吸引状態とし、上層32B上の気体をステージ3Bによって吸引する。これにより、ステージ3Bの上面37前端部に配置された基板9は、ステージ3Bに吸着され、上面37と略平行な平面状となる。
次に制御部10は、図12Aに示すように、物品移動装置2Bを吹出状態とし、上層32Bから、右斜め上方に向かって気体を吹き出す。これにより、ステージ3Bの上面37に配置された基板9は、ステージ3B上に浮上し、かつ、図12Bに示すように、ステージ3B上をガイド部36の突出部分360の後面に沿って、右方に移動する。
上述した吹出状態は、ステージ3B上において右方に移動する基板9が、図12Dに示すように、ステージ3B上の所定位置に配置されるまで維持される。次に制御部10は、物品移動装置2を吸引状態とし、上層32B上の気体をステージ3Bによって吸引する。これにより、ステージ3B上に配置された基板9は、図12Cに示すように、ステージ3Bに吸着され、上面37と略平行な平面状となる。なお、上述した制御部10による制御は、例えばタイマ又は基板9を検知するセンサーの検知結果等に基づいて行われる。
制御部10は、図12C及び図12Dに示すように、物品移動装置2Bにより基板9を所定位置に移動した後、作業部4(図2A参照)を制御して、基板9に部品を実装する。このとき、作業部4により部品を基板9に実装する実装工程は、物品移動装置2Bが吸引状態にあって、基板9が図12Cに示すように、ステージ3Bに吸着された状態で行われる。このため、基板9を固定し、かつ、基板9の反りを抑制した状態で、基板9に対して部品が実装される。なお、この実装工程は、例えば、物品移動装置2Bが休止状態にあるときに行われてもよい。
(4)まとめ
以上説明した、実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の物品移動装置(2;2A;2B)は、以下に示す構成を有する。物品移動装置(2;2A;2B)は、ステージ(3;3A;3B)を備える。ステージ(3;3A;3B)は、物品を配置可能な上面(37)を有する。ステージ(3;3A;3B)は、上面(37)上に気体を吹き出すことで物品を移動する。ステージ(3;3A;3B)は、下層(31)と、上層(32;32A;32B)とを有する。上層(32;32A;32B)は、下層(31)上に位置している。下層(31)は、複数の吹出孔(310)を有する。複数の吹出孔(310)は、上層(32;32A;32B)に向けて気体を吹き出す。上層(32;32A;32B)は、上面(37)からの気体の吹出方向を制御する。
この態様によれば、下層(31)の複数の吹出孔(310)から上層(32;32A;32B)に吹き出される気体の吹出方向が、下層(31)とは別の層である上層(32;32A;32B)によって制御される。このため、下層(31)と上層(32;32A;32B)とを別々に設計することができ、設計の自由度が高い。
第2の様態の物品移動装置(2;2A;2B)は、第1の様態との組み合わせにより実現され得る。第2の様態の上層(32;32A;32B)は、複数の孔(通気孔(34))を有する。複数の孔を、気体が通過する。複数の吹出孔(310)の各々は、複数の孔の各々よりも断面積が小さい孔である。
この態様によれば、下層(31)の全体において、気体の吹出量に大きな差が生じることを抑制できる。
第3の態様の物品移動装置(2;2A;2B)は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の下層(31)は、多孔質層である。
この態様によれば、多孔質の下層(31)が有する多数の細孔を、複数の孔(通気孔(34))として利用できる。
第4の態様の物品移動装置(2;2A;2B)は、第1〜第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様のステージ(3;3A)は、上面(37)に配置された物品を吸着する吸着機構を有する。
この態様によれば、気体によって移動したステージ(3;3A)上の物品を、ステージ(3;3A;3B)によって吸着して固定できる。
第5の態様の物品移動装置(2)は、第1〜第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の上層(32)は、気体の吹出方向を、上方から見て、少なくとも二つの異なる方向に制御する。
この態様によれば、上面(37)に配置された物品を、上方から見て、少なくとも二つの異なる方向に移動することが可能になる。
第6の態様の物品移動装置(2;2A;2B)は、第1〜第5のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の上層(32;32A;32B)は、隔壁(33)と、複数の通気孔(34)とを有する。複数の通気孔(34)には、気体が通過する。複数の通気孔(34)の間が、隔壁(33)で仕切られている。隔壁(33)の壁面は、上下方向に対して傾斜している。
この態様によれば、隔壁(33)の壁面(3310:3320)によって、気体の吹出方向を制御できる。
第7の態様の物品移動装置(2)は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様の上層(32)は、第1シート(321)と、第2シート(322)とを有する。第2シート(322)は、第1シート(321)と同一平面内に位置している。第1シート(321)及び第2シート(322)の各々は、隔壁(33)と、複数の通気孔(34)とを含む。第1シート(321)の隔壁(33)の壁面(3210)と、第2シート(322)の隔壁(33)の壁面(3220)とは、上下方向に対して異なる方向に傾いている。
この態様によれば、第1シート(321)の壁面(3210)の向きと、第2シート(322)の壁面(3220)の向きとを異ならせて、気体の吹出方向を異なる2方向に制御できる。
第8の態様の物品移動装置(2)は、第7の態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様の上層32は、複数の第1シート(321)と、複数の第2シート(322)とを備える。複数の第1シート(321)及び複数の第2シート(322)は、第1シート(321)と第2シート(322)とが交互に位置するように配置されている。
この態様によれば、ステージ(3)の上面(37)において広範囲に配置された物品を、複数の第1シート(321)及び複数の第2シート(322)から吹き出された気体により、移動できる。
第9の態様の物品移動装置(2;2B)は、第1〜第8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様のステージ(3;3B)は、ガイド部(36)を更に備える。ガイド部(36)は、上面(37)から上方に向かって突出し、上面(37)に配置された物品の移動をガイドする。
この態様によれば、ガイド部(36)によってステージ(3;3B)の上面(37)に配置された物品の移動をガイドすることができる。
第10の態様の物品移動装置(2A)は、第1〜第9のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様の物品移動装置(2A;2B)は、傾斜角度変更部(5)を更に備える。傾斜角度変更部(5)は、上面(37)の水平面に対する傾斜角度を変更する。
この態様によれば、ステージ(3A;3B)から吹き出した気体と、上面(37)の水平面に対する傾斜角度を変更することとにより、上面(37)に配置された物品を移動できる。
第11の態様の物品移動装置(2B)は、第10の態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様の傾斜角度変更部(5)は、上面(37)を、気体の制御方向と異なる方向に向かって下り傾斜するように傾ける。
この態様によれば、ステージ(3B)の上面(37)を、傾斜角度変更部(5)によって、気体の制御方向と異なる方向に向かって下り傾斜させることで、物品を気体の制御方向とは異なる方向に移動できる。
第12の態様の物品移動装置(2A)は、第1〜第11のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第12の態様の物品移動装置(2A)は、搬送部(6)を更に備える。搬送部(6)は、上面(37)に配置された物品に接した状態で、物品を搬送する。
この態様によれば、ステージ(3A)の上面(37)に配置された物品を、ステージ(3A)から吹き出された気体と、搬送部(6)とによって移動できる。
第13の態様の物品移動装置(2)は、第1〜第12のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第13の態様の下層(31)は、複数のエリア(35)を有する。複数のエリア(35)は、上方から見て互いに異なる位置に配置される。複数のエリア(35)は、エリア(35)毎に、物品に対して気体を吹出可能又は物品を吸着可能である。
第13の態様によれば、ステージ(3)の上面(37)に配置された物品を、エリア(35)毎に移動又は吸着することができる。
また、上記実施形態及び変形例から明らかなように、第14の態様の作業装置は、以下に示す構成を有する。作業装置は、第1〜第13のいずれか一つの態様の物品移動装置(2;2A;2B)と、作業部(4)とを備える。物品移動装置(2;2A;2B)は、物品として基板(9)を移動する。作業部(4)は、基板(9)に対して作業を行う。
この態様によれば、物品移動装置(2;2A;2B)により移動した基板(9)に対して、作業部(4)により作業を行うことができる。
また、上記実施形態及び変形例から明らかなように、第15の態様の物品移動方法は、工程を含む。この工程は、下層(31)と、下層(31)上に位置した上層(32;32A;32B)とを有するステージ(3;3A;3B)の上面(37)に物品が配置された状態で、ステージ(3;3A;3B)から上面(37)上に気体を吹き出して物品を移動する工程である。この工程において、下層(31)が有する複数の吹出孔(310)から上層(32;32A;32B)に向けて気体を吹き出し、上層(32;32A;32B)により上面(37)からの気体の吹出方向を制御する。
この態様によれば、下層(31)の複数の吹出孔(310)から上層(32;32A;32B)に吹き出される気体の吹出方向が、下層(31)とは別の層である上層(32;32A;32B)によって制御される。このため、下層(31)と上層(32;32A;32B)とを別々に設計することができ、設計の自由度が高い。