本開示は、加湿装置及び空気組成調節装置に関するものである。
コンテナや倉庫などの貯蔵庫の庫内(対象空間)を加湿する加湿装置として、圧縮空気を庫内へ供給する経路でその空気を冷却して生成される水を容器に溜め、その水を使って庫内を加湿するものがある(例えば特許文献1参照)。圧縮空気は水分取り出し用の空気として用いられている。
上記加湿装置では、無給水で庫内を加湿できる。しかしながら、例えば対象空間の外部の湿度が低いと水分取り出し用の空気から水を回収するのが困難で、容器が高圧である場合は水が流入しにくく溜まりにくい。そのため、庫内を十分に加湿できないことがある。
上記加湿装置は、農産物等の植物の鮮度低下の抑制を目的として、農産物(植物)等を収容する倉庫や輸送用コンテナの庫内空気の組成(例えば、庫内空気の酸素濃度や二酸化炭素濃度)を調節する庫内空気調節装置に用いられることがある。この場合も、上記と同様の問題が生じ得る。
本開示の目的は、貯蔵庫の庫内を無給水で十分に加湿できるようにすることである。
本開示の第1の態様は、
対象空間(201)を加湿する加湿装置であって、
水分取り出し用空気が流れる空気経路(220)と、
上記空気経路(220)で水分取り出し用空気を冷却する冷却部(240)と、
上記空気経路(220)において水分取り出し用空気を上記冷却部(240)で冷却して生成される水分を取り出す水分取り出し部(250)と、
上記水分取り出し部(250)で取り出された水分で上記対象空間(201)を加湿する加湿部(260)と、
を備え、
上記空気経路(220)は、上記対象空間(201)に連通する主経路(221,222,263)と、水分取り出し用空気の一部又は全部を上記対象空間(201)の外へ排出する排出経路(223)を含む
ことを特徴とする。
第1の態様では、空気経路(220)を流れる水分取り出し用空気が冷却部(240)により冷却され、水分が水分取り出し部(250)で取り出されて、対象空間(201)が加湿される。この第1の態様では排出経路(223)を設けているので、水を溜める容器が高圧になり難く、従来と比較して回収した水分を貯留しやすい。よって、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
上記水分取り出し用空気としての外気を圧縮する圧縮部(230)を有し
上記冷却部(240)は、上記圧縮部(230)で圧縮された外気を冷却する
ことを特徴とする。
第2の態様では、圧縮した外気を冷却することにより水分が生成される。空気を圧縮すると露点温度が上がるので、冷却により水分が生成されやすい。よって、対象空間(201)を、より十分に加湿できる。
本開示の第3の態様は、第2の態様において、
上記対象空間(201)の空気を冷却する冷凍機(270)を備え、
上記冷却部(240)は、上記冷凍機(270)で冷却された対象空間(201)の空気で外気を冷却することを特徴とする。
第3の態様では、圧縮した外気を対象空間(201)の低温の空気で冷やすことにより、水分を生成しやすくしている。よって、対象空間(201)を、より十分に加湿できる。
本開示の第4の態様は、第3の態様において、
上記冷却部(240)は、上記冷凍機(270)が有する冷媒回路の冷媒で外気を冷却する冷却熱交換器(140)を備える
ことを特徴とする。
第4の態様では、圧縮した外気を冷媒回路の冷媒で冷却することにより、水分が生成され、この水分によって対象空間(201)が加湿される。
本開示の第5の態様は、第1から第4の態様の何れか1つにおいて、
上記水分取り出し部(250,251)は、上記対象空間(201)の内部と外部にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする。
第5の態様では、対象空間(201)の外部で冷却された空気から生成された水分は、対象空間(201)の外部の水分取り出し部で取り出される。また、対象空間(201)の内部で冷却されて生成された水分は、対象空間(201)の内部の水分取り出し部で取り出される。外気等の条件によっては、対象空間(201)の外部の方が内部より水分取り出し量が多くなることがあり、対象空間(201)の外部にも水分取り出し部(251)を設けておくと、そのような場合に対象空間(201)を十分に加湿できる。
本開示の第6の態様は、第1から第5の態様の何れか1つにおいて、
上記空気経路(220)は、外気の流れを主経路(221,222,263)から排出経路(223)へ切り換える切換弁を有する
ことを特徴とする。
第6の態様では、切換弁を用いて外気の流れを主経路(221,222,263)給気側と排出経路(223)の排気側に調整することで、水分を回収する運転と、対象空間を加湿する運転を容易に切り換えられる。
本開示の第7の態様は、第6の態様において、
上記切換弁は、上記対象空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流を主経路(221,222,263)側へ向かうように切り換えられ、上記対象空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へむかうように切り換えられる
ことを特徴とする加湿装置。
第7の態様では、対象空間(201)の湿度に応じて、加湿装置を制御できる。
本開示の第8の態様は、対象空間(5)の空気の組成を調節する空気組成調節装置であって、
第1の態様の加湿装置(130)と、
被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離部(41,61)を有する組成調節部(40,60)と、を備え、
上記空気経路の主経路は、上記分離部(41,61)へ被処理空気が流入する経路と該分離部(41,61)で生成された供給用空気が上記対象空間(5)へ流れる経路とを含み、
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)で被処理空気または供給用空気を冷却除湿するように構成され、
上記水分取り出し部(150)は、上記空気経路(135)を流れる被処理空気または供給用空気を冷却して生成される水分を取り出すように構成され
上記加湿部(160)は、上記水分取り出し部(150)で取り出された水分で上記対象空間(5)を加湿するように構成されている
ことを特徴とする。
第8の態様では、空気経路(135)を流れる被処理空気または供給用空気が冷却部(140)により冷却され、水分取り出し部(150)において被処理空気または供給用空気から水分が取り出される。この水分により、加湿部(160)において、対象空間(5)が加湿される。したがって、対象空間(5)の湿度が低下するのを抑制できる。
本開示の第9の態様は、第8の態様において、
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)における上記分離部(41,61)の上流側に配置されていることを特徴とする。
第9の態様では、被処理空気は、空気経路(135)で冷却されて含有水分量が低下した後に分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)に水分が付着しにくくなり、分離部(41,61)の品質低下を抑制できる。
本開示の第10の態様は、第9の態様において、
上記空気経路(135)には、上記冷却部(140)と上記分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱する加熱部(170)が設けられていることを特徴とする。
第10の態様では、空気経路(135)を流れる被処理空気は、冷却部(140)で冷却されて含有水分量が少なくなった後に、加熱部(170)で加熱され、分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)へ低温の被処理空気が流入するのを抑制できる。
本開示の第11の態様は、第8から第10の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、上記被処理空気である外気から供給用空気を分離するように構成され、
上記加湿部(160)は、上記外気から生成された供給用空気を加湿するように構成されていることを特徴とする。
第11の態様では、被処理空気である外気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される。
本開示の第12の態様は、第8から第10の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、上記被処理空気である対象空間の庫内空気から供給用空気を分離するように構成され、
上記加湿部(160)は、上記庫内空気から生成された供給用空気を加湿するように構成されていることを特徴とする。
第12の態様では、被処理空気である庫内空気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される。
本開示の第13の態様は、第8から第10の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、第1の被処理空気である外気から供給用空気を分離する第1分離部(41)と、第2の被処理空気である対象空間の庫内空気から供給用空気を分離する第2分離部(61)とを備え、
上記加湿部(160)は、上記外気から生成された供給用空気と、上記庫内空気から生成された供給用空気とを加湿するように構成されていることを特徴とする。
第13の態様では、外気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給されるとともに、庫内空気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される運転を行える。
本開示の第14の態様は、第8から第13の態様の何れか1つにおいて、
上記空気経路(135)には、上記冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)が設けられていることを特徴とする。
第14の態様では、冷却部(140)の上流側で被処理空気が加圧されるので、被処理空気の体積が小さくなり、水分を取り出しやすくなる。したがって、十分な加湿が可能になる。
本開示の第15の態様は、第8から第14の態様の何れか1つにおいて、
上記被処理空気は、庫内空気を冷却する冷凍機(10)を備えたコンテナ(1)の庫内空気であり、
上記冷却部(140)は、上記冷凍機(10)で生成される冷熱により被処理空気を冷却するように構成されていることを特徴とする。
第15の態様では、コンテナ(1)用の冷凍機(10)で生成される冷熱を利用して被処理空気を冷却して水分を取り出し、その水分でコンテナ(1)の庫内を加湿できる。
本開示の第16の態様は、第8から第15の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離膜(85)を備えていることを特徴とする。
第16の態様では、分離膜(85)を用いて被処理空気から組成の異なる供給用空気を生成する構成において、対象空間(5)を加湿することができる。
図1は、実施形態1に係る加湿装置の概略構成図である。
図2は、実施形態1の変形例1に係る加湿装置の概略構成図である。
図3は、実施形態1の変形例2に係る加湿装置の概略構成図である。
図4は、実施形態1の変形例3に係る加湿装置の概略構成図である。
図5は、実施形態1の変形例4に係る加湿装置の概略構成図である。
図6は、実施形態1の変形例5に係る加湿装置の冷却部の部分断面図である。
図7は、実施形態1の変形例6に係る加湿装置の概略構成図である。
図8は、実施形態1の制御例1を示すフローチャートである。
図9は、実施形態1の制御例2を示すフローチャートである。
図10は、実施形態2の庫内空気調節装置を備えた輸送用コンテナの概略断面図である。
図11は、輸送用コンテナに設けられたコンテナ用冷凍機の冷媒回路の構成を示す冷媒回路図である。
図12は、実施形態2の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図13は、実施形態2の庫内空気調節装置に設けられた分離モジュールの概略断面図である。
図14は、実施形態2の庫内空気調節装置が行う酸素濃度低減動作を示すブロック図である。
図15は、実施形態2の庫内空気調節装置が行う二酸化炭素濃度低減動作を示すブロック図である。
図16は、加湿器(加湿部)の概略構造を示す縦断面図である。
図17は、実施形態3の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図18は、実施形態4の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《実施形態1》
図1に示す実施形態1の加湿装置(210)は、コンテナや倉庫などの貯蔵庫(200)の庫内空間(201)を対象空間として、その庫内空間(201)を加湿する装置である。この加湿装置(210)は、空気経路(220)と圧縮部(230)と冷却部(240)と水分取り出し部(250)と加湿部(260)とを有する。
上記空気経路(220)は、水分取り出し用空気(本実施形態では外気:庫内空間(201)の外の空気)が流れる経路である。上記空気経路(220)は、通常はパイプやチューブで構成される。
上記圧縮部(230)は、上記空気経路(220)における外気の流入口寄りに設けられている。この圧縮部(230)は、外気を圧縮するエアポンプ(231)を有するポンプユニットである。エアポンプ(231)はポンプモータ(232)で駆動される。圧縮部(230)には、空気経路(220)における外気流入口にエアフィルタ(233)を有する。圧縮部(230)の外部には、空気流入口の近傍に、外気湿度センサ(234)と外気温度センサ(235)が設けられている。
上記冷却部(240)は、上記空気経路(220)において水分取り出し用空気を冷却する部分である。本実施形態では、空気経路(220)のうち、貯蔵庫(200)の庫外に設けられている庫外経路(221)が冷却部(240)として構成されている。エアポンプ(231)から吐出される圧縮された外気は高温(例えば100℃)であり、この空気は庫外経路(221)を流れるときに外気で冷却される。
貯蔵庫(200)の庫内空間(201)に配置された上記水分取り出し部(250)は、水分取り出し用空気を上記冷却部(240)で冷却して生成される水分を取り出すように構成されている。水分取り出し部(250)は、例えば市販の水分除去フィルタにより構成される。水分除去フィルタでは、該水分除去フィルタを通過する空気から水分が取り出される。水分取り出し部(250)は、空気経路(220)が上記庫内空間(201)を通る部分である庫内経路(222)に設けられる。
水分取り出し部(250)で取り出された水は、水分取り出し部(250)と同様に庫内空間(201)に設けられた加湿部(260)へ供給される。加湿部(260)は、水容器(261)とレベルセンサ(262)とを有する。水容器(261)には、給気経路(263)と加湿ノズル(264)とが設けられている。加湿部(260)は、水分取り出し部(250)から水容器(261)に供給された水分を用いて、加湿ノズル(264)により庫内空間(201)を加湿する。庫内空間(201)には、庫内湿度センサ(202)と庫内温度センサ(203)が設けられている。
空気経路(220)は、外気を庫内経路(222)から庫内空間(201)の外部へ排出する排出経路(223)を有する。排出経路(223)には、三方弁(225)(切換弁(224))が設けられる。三方弁(225)は、第1ポートと第2ポートが排出経路(223)に接続され、第3ポートが上記給気経路(263)に接続される。空気経路(220)は、庫外経路(221)と庫内経路(222)と給気経路(263)とを含む主経路を有する。上記三方弁(225)は、外気の流れを主経路の給気経路(263)への流れと、主経路から排出経路(223)への流れとに切り換える。上記主経路は外気流入口から上記庫内空間(201)に連通する経路であり、上記排出経路(223)は、外気の一部又は全部を上記庫内空間(201)の外へ排出する経路である。
上記切換弁(224)は、庫内空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流を主経路の給気経路(263)側へ向かうように切り換えられる。上記切換弁(224)は、庫内空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へ向かい、空気が庫外へ排出されるように切り換えられる。
〈運転動作〉
この加湿装置(210)では、エアポンプ(231)を起動することにより、空気経路(220)の流入口に設けられているエアフィルタ(233)を通って外気がエアポンプ(231)に吸い込まれる。エアポンプ(231)は外気を加圧して吐出する。加圧された外気は庫外経路(221)を流れる。加圧された空気は、高温(例えば100℃)になっており、外気よりも温度が高い。そのため、庫外経路(221)を流れる高温の外気は、庫外経路(221)の周囲の空気により冷却される。庫外経路(221)を流れる高温の外気が冷却されると、空気中の水蒸気が凝縮し、庫外経路(221)内を外気と水分とが流れる。
庫外経路(221)を流れる外気と水分は、庫内経路(222)に流入する。庫内経路(222)には水分取り出し部(250)が設けられており、空気中の水分が取り出されて加湿部(260)の水容器(261)に貯留する。水分取り出し部(250)を通過した外気は、排出経路(223)へ流れる。水分を加湿部(260)に溜める(水分貯留運転をする)とき、切換弁(224)は庫内経路(222)と排出経路(223)が連通するように切り換えられている。例えば、水分取り出し部(250)を通過した空気の一部又は全部が庫外へ排出される。そのため、庫内の水容器(261)の圧力は上昇しすぎず、水分が水容器(261)に貯留される。
加湿部(260)に水が十分に溜まると、加湿運転を行う。加湿運転時は、庫内経路(222)が加湿部(260)の給気経路(263)と連通するように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内空間(201)の湿度に応じて、一部又は全部が給気経路(263)へ流れる。給気経路(263)を通って水容器(261)に空気が供給されることにより、水容器(261)内の圧力が上昇し、加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気が庫内へ供給される。このようにして、加湿運転時には庫内が加湿される。
−実施形態1の効果−
本実施形態1では、空気経路(220)を流れる外気(水分取り出し用空気)が冷却部(240)により冷却された後、水分が水分取り出し部(250)で取り出され、加湿部(260)に溜められる。
従来は、空気を庫内へ供給する経路でその空気を冷却して生成される水を容器に溜め、その水を使って庫内を加湿する構成の加湿装置(210)において、例えば対象空間の外部の湿度が低い場合に水分を回収しにくく、空気を常に庫内の水容器に供給することにより水容器(261)の圧力が高くなると、水が容器に溜まりにくい。その結果、従来の加湿装置(210)では、庫内を十分に加湿できないことがある。
本実施形態1では、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。このため、庫内空間(201)の水容器(261)の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本実施形態では、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
なお、加湿装置(210)の制御の具体例については、図8及び図9のフローチャートを用いて後述する。
−実施形態2の変形例−
〈変形例1〉
図2に示す実施形態1の変形例1は、切換弁(224)の構成が図1の実施形態1と異なるものである。
この変形例1では、切換弁(224)は、1つの三方弁(225)を用いる代わりに、2つの電磁弁(第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227))を用いている。第1電磁弁(226)は排出経路(223)に設けられている。給気経路(263)は水分取り出し部(250)と第1電磁弁(226)の間で排気経路に接続されている。第2電磁弁(227)は給気経路(263)に設けられている。
この変形例1の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の構成を除いて、上記実施形態1と同じである。
変形例1において水分を加湿部(260)の水容器(261)に溜める運転は、第1電磁弁(226)を開き、第2電磁弁(227)を閉じて行う。この状態では、実施形態1と同様に、水分取り出し部(250)を通過した外気が庫内空間(201)へ供給されず、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転は、第1電磁弁(226)を閉じ、第2電磁弁(227)を開いて行う。この状態では、水分取り出し部(250)を通過した外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ噴き出され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例1においても、実施形態1と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。このため、庫内空間(201)の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
なお、第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227)は、それぞれ、開閉のみが可能な弁でなく、流量調整が可能な弁で代用してもよい。
〈変形例2〉
図3に示す実施形態1の変形例2は、切換弁(224)の配置が図1の実施形態1と異なるものである。
この変形例2では、切換弁(224)は、実施形態1と同様に1つの三方弁(225)を用いている。この三方弁(225)は、庫外経路(221)に設けられている。三方弁(225)は、第1ポートと第2ポートが排出経路(223)に接続され、第3ポートが上記給気経路(263)に接続される。
この変形例2の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の配置を除いて、上記実施形態1と同じである。
変形例2において水分を加湿部(260)の水容器(261)にためる運転は、三方弁(225)の庫外経路(221)側を開き、給気経路(263)を閉じて行う。この状態では、外気は水容器(261)へ供給されないので、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転時は、三方弁(225)の庫外経路(221)側を閉じ、給気経路(263)側を開く。この状態では、外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ水分を含んだ空気として供給され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例2においても、実施形態1及び変形例1と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。そのため、庫内空間(201)(水容器(261))の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
〈変形例3〉
図4に示す実施形態1の変形例3は、切換弁(224)の配置が図2の変形例1と異なるものである。
この変形例3では、切換弁(224)は、変形例1と同様に2つの電磁弁(第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227))を用いている。第1電磁弁(226)は庫外経路(221)に設けられている。給気経路(263)は圧縮部(230)と第1電磁弁(226)の間で庫外経路(221)に接続されている。第2電磁弁(227)は給気経路(263)に設けられている。
この変形例3の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の配置を除いて、上記変形例1と同じである。
変形例3において水分を加湿部(260)の水容器(261)に溜める運転は、第1電磁弁(226)を開き、第2電磁弁(227)を閉じて行う。この状態では、外気は水容器(261)へ供給されないので、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転時は、第1電磁弁(226)を閉じ、第2電磁弁(227)を開く。この状態では、外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ水分を含んだ空気として供給され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例3においても、実施形態1及び変形例1,2と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。そのため、庫内空間(201)(水容器(261))の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
〈変形例4〉
図5に示す変形例4は、貯蔵庫(200)の庫内空間(201)の空気を冷却する冷凍機を備えた例である。
この変形例4において、貯蔵庫(200)には、仕切り板(273)を隔てて庫内空間(201)と貯蔵空間が区画形成されている。庫内空間(201)には、上記実施形態1及び変形例1〜3と同様に、各機器が設けられている。庫内空間(201)には、全体は示していない冷媒回路を有する冷凍機(270)に設けられる蒸発器が配置されている。庫内空間(201)は、貯蔵庫(200)の内部の空気を冷却する空間であり、冷却された空気は、図において、庫内空間(201)を下降して貯蔵空間へ流入し、貯蔵空間の上部から庫内空間(201)へ流入するようにして、貯蔵庫(200)内を循環する。
本実施形態では、空気経路(220)を流れる外気は、庫外経路(221)で冷却されるとともに、庫内空間(201)において、蒸発器を通って冷却された空気で冷却される。
なお、この変形例4において、圧縮部(230)、水分取り出し部(250)、加湿部(260)などのその他の構成は、実施形態1と同じである。
〈運転動作〉
この加湿装置(210)では、エアポンプ(231)を起動することにより、空気経路(220)の流入口に設けられているフィルタを通って外気がエアポンプ(231)に吸い込まれる。エアポンプ(231)は外気を加圧して吐出する。加圧された外気は庫外経路(221)を流れる。加圧された空気は、高温(例えば100℃)になっており、外気よりも温度が高い。そのため、庫外経路(221)を流れる高温の外気は、庫外経路(221)の周囲の空気により冷却される。庫外経路(221)を流れる高温の外気が冷却されると、空気中の水蒸気が結露し、庫外経路(221)内を外気と水分とが流れる。
庫外経路(221)を流れる外気と水分は、庫内経路(222)に流入し、庫内空間(201)の低温の空気でさらに冷却され、庫内経路(222)中で水分が生成される。庫内経路(222)には水分取り出し部(250)が設けられており、空気中の水分が取り出されて加湿部(260)の水容器(261)に貯留する。水分取り出し部(250)を通過した外気は、排出経路(223)へ流れる。水分を加湿部(260)に溜める(貯水運転をする)とき、切換弁(224)は庫内経路(222)と排出経路(223)が連通し、給気経路(263)を閉じるように切り換えられている。そして、水分取り出し部(250)を通過した空気の一部又は全部が庫外へ排出される。そのため、庫内に設けられている加湿部(260)の水容器(261)の圧力は上昇しすぎず、水分が水容器(261)に貯留される。
加湿部(260)に水が十分に溜まると、加湿運転を行う。加湿運転時は、庫内経路(222)が加湿部(260)の給気経路(263)と連通するように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内空間(201)の湿度に応じて、一部又は全部が給気経路(263)へ流れる。給気経路(263)を通って水容器(261)に空気が供給されることにより、水容器(261)内の圧力が上昇し、加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気が庫内へ供給される。このようにして、加湿運転時には庫内が加湿される。
−変形例4の効果−
この変形例4では、空気経路(220)を流れる外気(水分取り出し用空気)が冷却部(240)により冷却された後、さらに庫内空気で冷却される。そして、生成された水分が水分取り出し部(250)で取り出され、加湿部(260)に溜められる。このように、水分取り出し用の空気である外気を、低温の庫内空気で冷却することにより、水分を十分に生成できる。よって、上記実施形態1と比較して、庫内を無給水で、より十分に加湿できる。
また、上記実施形態1で説明したその他の効果は、本変形例でも同様に奏することができる。
この変形例4においては、蒸発器で冷却した庫内空気により、水分取り出し部(250)へ供給される空気を冷やす構成を、実施形態1の加湿装置(210)に適用している。しかしながら、蒸発器で冷却した庫内空気により、水分取り出し部(250)へ供給される空気を冷やす構成は、変形例1〜変形例3に適用してもよい。その場合でも、この変形例4と同様の効果を奏する。
〈変形例5〉
上記冷却部(240)は、上記冷凍機が有する冷媒回路の冷媒と空気経路(220)の外気が熱交換し、外気が冷却される冷却熱交換器にしてもよい。
図6に示すように、この変形例5では、冷却部(240)は、二重管熱交換器(145)で構成されている。この二重管熱交換器(145)は、後述するが、実施形態2で説明する冷媒回路における圧縮機の吸入管(12a)と蒸発器の出口管(15a)との間に接続される内管(146)と、内管(146)の外径よりも内径が大きくて長さが短い外管(147)とを有し、外管(147)の両端部は端板(147a)で閉塞されている。
外管(147)の一端には、空気経路(220)に接続される空気流入管(148)が設けられている。外管(147)の他端には、水分取り出し部(250)に接続される空気流出管(149)が設けられている。
この構成において、空気流入管(148)から外管(147)へ流入した被処理空気は、内管の中を流れる低温の冷媒によって冷却され、被処理空気に含まれる一部の水蒸気が凝縮する。水分の一部が凝縮した被処理空気は水分取り出し部(250)へ流れて行き、そこで凝縮水が加湿部(260)へ供給される。加湿部(260)に供給された凝縮水は、供給管(263)から水容器(261)へ空気が供給されることにより加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内空間(201)へ供給される。
したがって、この変形例5においても、上記実施形態1及び各変形例と同様に、庫内空間(201)の加湿や保湿を行うことができる。
〈変形例6〉
図7に示す変形例6は、実施形態1の加湿装置(210)に設けられている水分取り出し部(250)が1つであるのに対して、2つの水分取り出し部(250)を設けている点が、上記実施形態1と異なる。
具体的には、実施形態1の水分取り出し部(250)は、第1水分取り出し部(250)として、庫内経路(222)に設けられ、庫内空間(201)に位置している。もう一つの水分取り出し部(250)は、第2水分取り出し部(250)として、庫外経路(221)に設けられ、庫外空間に位置している。このように、変形例6では、水分取り出し部(250)が、庫内空間(201)の内部と外部にそれぞれ設けられている。
この変形例6では、庫外空間で冷却された空気から生成された水分は、庫外空間の第2水分取り出し部(250)で取り出される。また、庫内空間(201)の内部で冷却されて生成された水分は、第1水分取り出し部(250)で取り出される。外気等の条件によっては、対象空間(201)の外部の方が内部より水分取り出し量が多いことがあり、この変形例6では、そのような場合に対象空間(201)を十分に加湿できる。
例えば、外気の方が庫内空間(201)よりも温度が低い場合、エアポンプ(231)で加圧した外気から得られる結露水の量が、その後にさらに庫内空間(201)で冷却して得られる結露水の量よりも多い場合がある。この変形例6は、そのような場合に、第2水分取り出し部(250)を庫内空間(201)の加湿に有効に利用できる。
〈加湿制御1〉
実施形態の加湿制御の第1の制御例を、図8のフローチャートを用いて説明する。この加湿制御1は、図1に示すように、加湿部(260)の水容器(261)にレベルセンサ(262)を設けている場合の制御例である。レベルセンサ(262)を設けない場合の制御例は、後述の加湿制御2において説明する。
加湿制御1では、加湿部(260)を用いて庫内空間(201)を加湿しない場合は、外気を庫内へ導入することによる加湿を行う。一方、外気での加湿を行えない場合には、レベルセンサ(262)を用いて加湿部(260)の水分量を検出し、水分貯留運転と加湿運転とを切り換える。上記切換弁(224)は、上記庫内空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流が主経路(221,222,263)側へ向かうように切り換えられ、上記庫内空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へむかうように切り換えられる。この加湿制御1には、外気湿度センサ(234)、外気温度センサ(235)、庫内湿度センサ(202)、及び庫内温度センサ(203)の検出値が用いられる。
加湿制御1が開始されると、ステップST11において、庫内空間(201)(フローチャートでは密閉空間と表示)の湿度が設定湿度よりも低いかどうかが判別される。庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるまでは次の動作へ移行せず、庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるとステップST12へ進む。
ステップST12では、外気の温度と湿度から、外気を庫内空間(201)の温度に変化させた場合の湿度を計算で求め、その湿度を「試算湿度」とする。次にステップST13へ進み、試算湿度が設定湿度よりも大きいかどうかが判別される。試算湿度の方が大きい場合、外気を庫内温度まで冷やしたときの湿度が庫内湿度よりも大きいことになる。
判別結果が「YES」の場合、ステップST15で、空気経路(220)において、水分取り出し部(250)を通過した空気が吸気経路を通って加湿部(260)へ流れるように、切換弁(224)を切り換える。こうすることにより、湿度の高い外気を用いて庫内が加湿される。また、このときに水容器(261)内に水分が十分に溜まっていれば、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST13の判別結果が「NO」の場合、ステップST14へ進み、レベルセンサ(262)の検出値に基づいて、水容器(261)の水量が十分かどうかが判別される。水量が十分であれば、ステップST15へ進む。このときは、上述したように水容器(261)内に水分が十分に溜まっているので、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST14において、水容器(261)の水量が十分でないと判断されると、ステップST16へ進む。ステップST16では、水分取り出し部(250)を通過した空気が排出経路(223)へ流れるように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内(加湿部(260))へは供給されない。よって、加湿部(260)の圧力は上昇しない。そのため、水分取り出し部(250)において空気経路(220)から取り出された水分が加湿部(260)に溜まる。加湿部(260)に水が十分に溜まると、ステップST14の判別結果が「YES」になり、庫内空間(201)が加湿される。
〈加湿制御2〉
加湿部(260)にレベルセンサ(262)を設けない場合の制御例として、図9のフローチャートに基づいて加湿制御2を説明する。レベルセンサ(262)を設けない加湿制御2では、空気経路(220)の水分取り出し用空気から水分を取り出すのに必要な時間(タイマーA)を算出する。また、水容器(261)に溜まった水がなくなるまでの加湿可能時間(タイマーB)を算出し、空気経路(220)の空気を加湿部(260)へ流す時間を定める。
加湿制御2が開始されると、ステップST21において、庫内空間(201)(フローチャートでは密閉空間と表示)の湿度が設定湿度よりも低いかどうかが判別される。庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるまでは次の動作へ移行せず、庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるとステップST22へ進む。
ステップST22では、外気の温度と湿度から、外気を庫内空間(201)の温度に変化させた場合の湿度を計算で求め、その湿度を「試算湿度」とする。次にステップST23へ進み、試算湿度が設定湿度よりも大きいかどうかが判別される。試算湿度の方が大きい場合、外気を庫内温度まで冷やしたときの湿度が庫内湿度よりも大きいことになる。
判別結果が「YES」の場合、ステップST24で、空気経路(220)において、水分取り出し部(250)を通過した空気が吸気経路を通って加湿部(260)へ流れるように、切換弁(224)を切り換える。こうすることにより、湿度の高い外気を用いて庫内が加湿される。また、このときに水容器(261)内に水分が十分に溜まっていれば、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST23の判別結果が「NO」の場合、ステップST25へ進み、外気の温度と湿度、庫内の温度とエアポンプ(231)の空気の吐出量や圧力から、1秒当たりの水分分離量を算出する。そして、加湿部(260)に十分な水分量を溜めるのに必要な時間を、水分分離運転時間(タイマーA)を算出する。
次に、ステップST24では、タイマーAがカウントアップしたかどうかを判別する。判別結果が「NO」であれば、水分取り出し部(250)を通過した空気が排出経路(223)へ流れるように切換弁(224)が切り換えられ、空気経路(220)の空気から水分を取り出す運転が行い、ステップST26とステップST27のループを繰り返す。
ステップST26で判別結果が「YES」になると、加湿部(260)に十分な量の水が溜まったと判断される。このとき、ステップST28へ進み、上記の試算湿度と、庫内温度及び庫内湿度、エアポンプ(231)の吐出量から、加湿を行える加湿運転時間(タイマーB)を算出する。
ステップST29,ステップST30では、タイマーBがカウントアップするまで、水分取り出し部(250)を通過した空気が加湿部(260)の水容器(261)に流入する。このことにより、水容器(261)の圧力が上昇し、水容器(261)の水が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST29でタイマーBがカウントアップすると、加湿運転時間が終了したと判断され、加湿運転が終了する。
以上のように、加湿制御1及び加湿制御2のいずれの場合も、空気経路(220)を流れる水分取り出し用の空気を庫外へ排出する運転と、庫内へ供給する運転を行うので、庫内空間(201)を無給水で十分に加湿できる。
《実施形態2》
本実施形態の空気組成調節装置は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用コンテナ(1)に設けられる庫内空気調節装置(30)である。そして、庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間(対象空間)の庫内空気の組成を、大気の組成と異なるように調節する。庫内空気調節装置(30)は、本開示の加湿装置を備えている。
図1に示すように、収納庫を構成する輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用冷凍機(10)とを備えている。この輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理か可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、コンテナ用冷凍機(10)に設置される。この輸送用コンテナ(1)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行う植物を輸送するために用いられる。植物の例としては、バナナやアボカド等の果物、野菜、穀物、球根、生花等が挙げられる。
コンテナ本体(2)は、細長い直方体形状の箱状に形成されている。コンテナ本体(2)は、一方の端面が開口し、この開口端を塞ぐようにコンテナ用冷凍機(10)が取り付けられる。コンテナ本体(2)の内部空間は、貨物(6)を収納するための荷室(5)を構成する。
荷室(5)の底部には、貨物(6)を載せるための床板(3)が配置される。この床板(3)とコンテナ本体(2)の底板との間には、コンテナ用冷凍機(10)が吹き出した空気を流すための床下流路(4)が形成される。床下流路(4)は、コンテナ本体(2)の底板に沿ってコンテナ本体(2)の長手方向へ延びる流路である。床下流路(4)は、一端がコンテナ用冷凍機(10)の吹出口(27)に接続し、他端が床板(3)の上側の空間(即ち、貨物(6)が収容される空間)と連通する。
−コンテナ用冷凍機−
図1に示すように、コンテナ用冷凍機(10)は、ケーシング(20)と、冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とを備えている。
ケーシング(20)は、庫外壁部(21)と、庫内壁部(22)と、背面板(24)と、区画板(25)とを備えている。後述するように、このケーシング(20)には、冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とが設けられる。
庫外壁部(21)は、コンテナ本体(2)の開口端を覆うように配置される板状の部材である。庫外壁部(21)は、下部がコンテナ本体(2)の内側へ膨出している。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)に沿った形態の板状の部材である。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)におけるコンテナ本体(2)の内側の面を覆うように配置される。庫外壁部(21)と庫内壁部(22)の間の空間には、断熱材(23)が充填されている。
ケーシング(20)は、その下部がコンテナ本体(2)の内側へ窪んだ形状となっている。ケーシング(20)の下部は、輸送用コンテナ(1)の外部空間と連通する庫外機器室(28)を形成する。この庫外機器室(28)には、庫外ファン(16)が配置される。
背面板(24)は、概ね矩形の平板状の部材である。背面板(24)は、庫内壁部(22)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置され、庫内壁部(22)との間に庫内空気流路(29)を形成する。この庫内空気流路(29)は、その上端がケーシング(20)の吸込口(26)を構成し、その下端がケーシング(20)の吹出口(27)を構成する。
区画板(25)は、庫内空気流路(29)を上下に区画するように配置された板状の部材である。区画板(25)は、庫内空気流路(29)の上部に配置される。この区画板(25)によって、庫内空気流路(29)は、区画板(25)の上側の一次流路(29a)と、区画板(25)の下側の二次流路(29b)に区画される。一次流路(29a)は、吸込口(26)を介して荷室(5)と連通する。二次流路(29b)は、吹出口(27)を介して床下流路(4)と連通する。区画板(25)には、庫内ファン(17)が取り付けられる。庫内ファン(17)は、一次流路(29a)から吸い込んだ庫内空気を二次流路(29b)へ吹き出すように配置される。
図2に示すように、冷媒回路(11)は、圧縮機(12)と、凝縮器(13)と,膨張弁(14)と、蒸発器(15)とを配管で接続することによって形成された閉回路である。圧縮機(12)を作動させると、冷媒回路(11)を冷媒が循環し、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。図1に示すように、凝縮器(13)は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に配置され、蒸発器(15)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。また、図1では図示を省略するが、圧縮機(12)は、庫外機器室(28)に配置される。
−庫内空気調節装置−
図1,図3に示すように、庫内空気調節装置(30)は、本体ユニット(31)と、センサユニット(90)と、換気用排気管(100)と、制御器(110)とを備えている。本体ユニット(31)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫外機器室(28)に設置される。センサユニット(90)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)に設置される。換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)と庫外機器室(28)に亘って設置される。制御器(110)は、本体ユニット(31)に設けられて、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。
図3に示すように、庫内空気調節装置(30)の本体ユニット(31)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)と、ユニットケース(32)とを備えている。ユニットケース(32)は、箱状の密閉容器である。第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)とは、このユニットケース(32)の内部空間に配置される。第1組成調節部(40)、第2組成調節部(60)、及びポンプユニット(35)の詳細は後述するが、各組成調節部(40,60)は、被処理空気(庫外空気、庫内空気)から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気(例えば後述の第1庫外空気)を分離する分離部(41,61)を有し、上記供給用空気を上記輸送用コンテナ(1)の内部空間へ供給することができるように構成されている。
また、庫内空気調節装置(30)は、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)とを備えている。供給管(120)、庫内側吸入管(75)、及び測定用配管(125)は、本体ユニット(31)をコンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)に接続するための配管である。
供給管(120)は、第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)から流出した供給用空気を荷室(5)へ供給するための配管である。供給管(120)は、入口端が第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)に接続され、出口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
庫内側吸入管(75)は、荷室(5)内の庫内空気を第2組成調節部(60)へ供給するための配管である。庫内側吸入管(75)は、入口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口し、出口端が後述する第2組成調節部(60)の第2ポンプ(37)に接続される。なお、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において、庫内側吸入管(75)の入口端は、供給管(120)の出口端の上流側に配置される。
測定用配管(125)は、供給管(120)を流れる供給用空気をセンサユニット(90)へ供給するための配管である。測定用配管(125)は、入口端が供給管(120)に接続され、出口端がセンサユニット(90)に接続される。また、測定用配管(125)には、電磁弁からなる測定用開閉弁(126)が設けられる。この測定用開閉弁(126)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に収容される。
なお、換気用排気管(100)と、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)と、後述する各組成調節部(40,60)に設けられた配管(52〜55, 71〜74,95)とは、硬質のパイプで構成されていてもよいし、柔軟なホースで構成されていてもよいし、パイプとホースを組み合わせることで構成されていてもよい。
〈ポンプユニット〉
図3に示すように、ポンプユニット(35)は、第1ポンプ(36)と、第2ポンプ(37)と、駆動モータ(38)とを備えている。
第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、吸い込んだ空気(被処理空気)を吐出する空気ポンプである。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、例えば容積型の流体機械によって構成される。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)は、一体化されている。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)に連結された電動機である。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方を駆動する。
〈第1組成調節部〉
第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ第1の被処理空気である庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本実施形態の第1組成調節部(40)は、供給用空気である第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫外空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第1組成調節部(40)は、エアフィルタ(47)と、第1分離モジュール(第1分離部)(41)と、第1バイパス弁(50)と、第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とを備えている。また、第1組成調節部(40)は、庫外側吸入管(55)と、第1導入管(52)と、第1一次側管(53)と、第1二次側管(54)と、第1バイパス管(51)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、この第1組成調節部(40)を構成する。
第1バイパス弁(50)と第1分離モジュール(41)との間には、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過する第1冷却管(131)が接続されている。この第1冷却管(131)と、それに関連する構造については後述する。
エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。エアフィルタ(47)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に取り付けられる。エアフィルタ(47)は、庫外側吸入管(55)を介して第1ポンプ(36)の吸入口に接続する。なお、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、庫外側吸入管(55)を省略し、密閉容器であるユニットケース(32)の内部空間を介してエアフィルタ(47)と第1ポンプ(36)を連通させてもよい。
詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、第1導入口(42)と、第1一次側導出口(43)と、第1二次側導出口(44)とを備える。第1導入口(42)は、第1冷却管(131)及び第1導入管(52)を介して第1ポンプ(36)の吐出口に接続する。第1一次側導出口(43)は、第1一次側管(53)を介して供給管(120)に接続する。第1二次側導出口(44)には、第1二次側管(54)の一端が接続する。第1二次側管(54)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第1二次側管(54)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。
第1バイパス弁(50)は、三つのポートを有する切換弁であって、第1バイパス弁機構を構成する。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第1バイパス弁(50)は、第1導入管(52)の途中に配置される。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第1ポンプ(36)の吐出口に接続し、第2のポートが第1冷却管(131)を介して第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)に接続する。第1バイパス弁(50)の第3のポートには、第1バイパス管(51)の入口端が接続する。第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)に接続する。第1バイパス管(51)は、第1バイパス通路を構成する。
第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に設けられる。第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に接続する第1バイパス管(51)の他端よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。また、第1圧力センサ(45)は、第1調節弁(46)よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。
第1圧力センサ(45)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出した第1庫外空気の圧力を計測する。第1圧力センサ(45)の計測値は、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力と実質的に等しい。
第1調節弁(46)は、開度可変の電動弁であって、第1弁機構を構成する。第1調節弁(46)の開度を変更すると、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力が変化する。
第1分離モジュール(41)は、第1分離部を構成する。詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、分離膜(85)を備えている。そして、第1分離モジュール(41)は、未処理庫外空気を、分離膜(85)を透過しなかった第1庫外空気と、分離膜(85)を透過した第2庫外空気に分離する。
第1庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも高く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも低い低酸素濃度の気体である。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも低く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも高い高酸素濃度の気体である。このように、第1庫外空気と第2庫外空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。なお、本明細書における濃度は、体積割合を意味する。
〈第2組成調節部〉
第2組成調節部(60)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から吸い込んだ第2の被処理空気である庫内空気(未処理庫内空気)を第1庫内空気と第2庫内空気に分離するように構成される。本実施形態の第2組成調節部(60)は、供給用空気である第1庫内空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第2組成調節部(60)は、第2分離モジュール(第2分離部)(61)と、第2バイパス弁(70)と、第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とを備えている。また、第2組成調節部(60)は、第2導入管(72)と、第2一次側管(73)と、第2二次側管(74)と、第2バイパス管(71)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第2ポンプ(37)は、この第2組成調節部(60)を構成する。
第2バイパス弁(70)と第2分離モジュール(61)との間には、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過する第2冷却管(132)が接続されている。この第2冷却管(132)と、それに関連する構造については後述する。
詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、第2導入口(62)と、第2一次側導出口(63)と、第2二次側導出口(64)とを備える。第2導入口(62)は、第2冷却管(132)及び第2導入管(72)を介して第2ポンプ(37)の吐出口に接続する。第2一次側導出口(63)は、第2一次側管(73)を介して供給管(120)に接続する。第2二次側導出口(64)には、第2二次側管(74)の一端が接続する。第2二次側管(74)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第2二次側管(74)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。また、第2ポンプ(37)の吸入口には、庫内側吸入管(75)が接続する。
第2バイパス弁(70)は、三つのポートを有する切換弁であって、第2バイパス弁機構を構成する。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第2バイパス弁(70)は、第2導入管(72)の途中に配置される。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吐出口に接続し、第2のポートが第2冷却管(132)を介して第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)に接続する。第2バイパス弁(70)の第3のポートには、第2バイパス管(71)の入口端が接続する。第2バイパス管(71)の出口端は、第2一次側管(73)に接続する。第2バイパス管(71)は、第2バイパス通路を構成する。
第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に設けられる。第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に接続する第2バイパス管(71)の他端よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。また、第2圧力センサ(65)は、第2調節弁(66)よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。
第2圧力センサ(65)は、第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から流出した第2庫外空気の圧力を計測する。第2圧力センサ(65)の計測値は、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力と実質的に等しい。
第2調節弁(66)は、開度可変の電動弁であって、第2弁機構を構成する。第2調節弁(66)の開度を変更すると、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力が変化する。
第2分離モジュール(61)は、第2分離部を構成する。詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、分離膜(85)を備えている。そして、第2分離モジュール(61)は、未処理庫内空気を、分離膜(85)を透過しなかった第1庫内空気と、分離膜(85)を透過した第2庫内空気に分離する。
第1庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも高く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも低い低酸素濃度かつ低二酸化炭素濃度の気体である。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも低く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも高い高酸素濃度かつ高二酸化炭素濃度の気体である。このように、第1庫内空気と第2庫内空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。
〈分離モジュール〉
第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)の構造について、図4を参照しながら説明する。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)の構造は、互いに同じである。
各分離モジュール(41,61)は、一つの筒状ケース(80)と、二つの隔壁部(81a,81b)とを備えている。筒状ケース(80)は、両端が閉塞された細長い円筒状の容器である。隔壁部(81a,81b)は、筒状ケース(80)の内部空間を仕切るための部材であって、筒状ケース(80)の内部空間を横断するように設けられる。隔壁部(81a,81b)は、筒状ケース(80)の内部空間の一端寄りの位置と他端寄りの位置とに一つずつ配置される。図4において、筒状ケース(80)の内部空間は、左側の隔壁部(81a)の左側に位置する導入室(82)と、二つの隔壁部(81a,81b)の間に位置する二次側導出室(84)と、右側の隔壁部(81b)の右側に位置する一次側導出室(83)とに仕切られる。
各分離モジュール(41,61)は、中空糸状(即ち、外径が1mm以下の非常に細い管状)に形成された分離膜(85)を多数備えている。中空糸状の分離膜(85)は、一方の隔壁部(81a)から他方の隔壁部(81b)に亘って設けられる。各分離膜(85)は、一端部が一方の隔壁部(81a)を貫通して導入室(82)に開口し、他端部が他方の隔壁部(81b)を貫通して一次側導出室(83)に開口する。筒状ケース(80)の内部空間は、二つの隔壁部(81a,81b)に挟まれた空間のうち分離膜(85)の外側の部分が、二次側導出室(84)を構成する。各分離モジュール(41,61)において、導入室(82)と一次側導出室(83)は、中空糸状の分離膜(85)を介して連通する一方、二次側導出室(84)は、分離膜(85)の内側の空間、導入室(82)、及び一次側導出室(83)と非連通となる。
筒状ケース(80)には、導入口(42,62)と、一次側導出口(43,63)と、二次側導出口(44,64)とが設けられる。導入口(42,62)は、図4における筒状ケース(80)の左端部に配置され、導入室(82)と連通する。一次側導出口(43,63)は、図4における筒状ケース(80)の右端部に配置され、一次側導出室(83)と連通する。二次側導出口(44,64
)は、筒状ケース(80)の長手方向の中間部に配置され、二次側導出室(84)と連通する。
分離膜(85)は、高分子からなる非多孔膜である。この分離膜(85)は、物質毎に分子が分離膜(85)を透過する速度(透過速度)が異なることを利用して、気体に含まれる成分を分離する。
本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)のそれぞれに同じ分離膜(85)が設けられる。各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)は、窒素の透過速度が酸素の透過速度と二酸化炭素の透過速度の両方よりも低いという特性を有している。中空糸状の多数の分離膜(85)は、それぞれの膜厚が実質的に同じである。従って、各分離モジュール(41,61)に設けられた分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率と二酸化炭素の透過率の両方よりも低いという特性を有している。
各分離モジュール(41,61)では、導入口(42,62)を通って導入室(82)へ流入した被処理空気が、中空糸状の分離膜(85)の内側の空間を一次側導出室(83)へ向かって流れる。分離膜(85)の内側の空間を流れる被処理空気は、その一部が分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動し、残りが一次側導出室(83)へ流入する。
各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素および二酸化炭素の透過率よりも低い。つまり、窒素は、酸素および二酸化炭素に比べて分離膜(85)を透過しにくい。このため、中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる被処理空気は、一次側導出室(83)へ近付くにつれて、その窒素濃度が上昇すると同時に、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が低下する。また、中空糸状の分離膜(85)を流れる被処理空気に含まれる酸素と二酸化炭素は、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動する。
その結果、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気は、その窒素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも高くなり、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも低くなる。また、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動した処理後の空気は、その窒素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも低くなり、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも高くなる。
第1分離モジュール(41)では、第1導入口(42)から導入室(82)へ未処理庫外空気が流入し、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気が第1庫外空気として第1一次側導出口(43)から流出し、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ流入した処理後の空気が第2庫外空気として第1二次側導出口(44)から流出する。一方、第2分離モジュール(61)では、第2導入口(62)から導入室(82)へ未処理庫内空気が流入し、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気が第1庫内空気として第2一次側導出口(63)から流出し、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ流入した処理後の空気が第2庫内空気として第2二次側導出口(64)から流出する。
〈センサユニット〉
図1及び図3に示すように、センサユニット(90)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。図3に示すように、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)と、二酸化炭素センサ(92)と、センサケース(93)とを備えている。
酸素センサ(91)は、空気等の混合気体の酸素濃度を計測するジルコニア電流方式のセンサである。二酸化炭素センサ(92)は、空気等の混合気体の二酸化炭素濃度を計測する非分散型赤外線吸収(NDIR:non dispersive infrared)方式のセンサである。酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)は、センサケース(93)に収容される。
センサケース(93)は、やや細長い箱状の部材である。センサケース(93)は、長手方向の一方の端部に測定用配管(125)の出口端が接続され、他方の端部に出口管(95)の一端が接続される。出口管(95)の他端は、庫内空気流路(29)の一次流路(29a)に開口する。また、センサケース(93)には、庫内空気流路(29)を流れる庫内空気をセンサケース(93)の内部空間へ導入するためのエアフィルタ(94)が取り付けられる。エアフィルタ(94)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。
庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。このため、測定用開閉弁(126)が閉じた状態では、二次流路(29b)の庫内空気がエアフィルタ(94)を通ってセンサケース(93)へ流入し、その後に出口管(95)を通って一次流路(29a)へ流入する。この状態で、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)が庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(92)が庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
〈換気用排気管〉
換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の内部と外部を繋ぐための配管である。この換気用排気管(100)は、換気用排気通路を構成する。図1に示すように、換気用排気管(100)は、コンテナ用冷凍機(10)のケーシング(20)を貫通する。換気用排気管(100)の一端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。換気用排気管(100)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸入側に開口する。
図3に示すように、換気用排気管(100)の一端には、エアフィルタ(102)が取り付けられる。エアフィルタ(102)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。また、換気用排気管(100)には、換気用排気弁(101)が設けられる。換気用排気弁(101)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈供給用空気の加湿構造部〉
〈空気経路〉
この実施形態では、供給用空気を加湿するための加湿構造部(130)が、本開示の加湿装置として設けられている。加湿構造部(130)は、庫外側吸入管(55)、第1導入管(52)、第1冷却管(131)、第1一次側管(53)、庫内側吸入管(75)、第2導入管(72)、第2冷却管(132)、第2一次側管(73)、及び供給管(120)により構成された空気経路(135)に設けられている。この実施形態では、空気経路(135)は、被処理空気が分離部(41,61)へ導入される上流側の経路と、分離部(41,61)で処理された供給用空気が庫内空間(5)へ流れて行く下流側の経路(供給管(120))とを含む。
加湿構造部(130)は、冷却部(140)と水分取り出し部(150)と加湿部(160)を備えている。空気経路(135)は、分離部(第1分離部及び第2分離部)である第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))から庫内空間へ連通する経路である。空気経路(135)には、第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))に流入する被処理空気を加熱する加熱部(170)も設けられている。
〈冷却部〉
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)の第1冷却管(131)及び第2冷却管(132)を、図3では便宜上2箇所に示した上記蒸発器(15)の近傍に通し、上記コンテナ用冷凍機(10)で生成される冷熱により、空気経路(135)から庫内へ供給される供給用空気
を冷却するように構成されている。この冷却部(140)は、上記空気経路(135)における上記第1,第2分離部(41,61)の上流側に設けられている。具体的には、上記空気経路(135)に設けられて第1バイパス弁(50)と第1分離モジュール(41)との間で庫内空間を通過する第1冷却管(131)が、上記蒸発器(15)の近傍を通過するように配置され、第1冷却部(141)が構成されている。また、上記空気経路(135)に設けられて第2バイパス弁(70)と第2分離モジュール(61)との間で庫内空間を通過する第2冷却管(132)も、上記蒸発器(15)の近傍を通過するように配置され、第2冷却部(142)が構成されている。
〈水分取り出し部〉
上記冷却部(140)により空気経路(135)を流れる供給用空気(被処理空気)が冷却されて露点温度以下になると、供給用空気中の水分が、上記空気経路(135)に設けられている水分取り出し部(150)からドレン水として取り出される。この水分取り出し部(150)には、例えば市販されている第1水分フィルタ(151)と第2水分フィルタ(152)が用いられている。第1水分フィルタ(151)は第1冷却管(131)に設けられ、第2水分フィルタ(152)は第2冷却管(132)に設けられている。
水分フィルタは、例えば、容器内に所定量の凝縮水が溜まると、下部に設けられているバルブが開き、排水口から水が排出されるように構成されている。第1水分フィルタ(151)及び第2水分フィルタ(152)は、空気経路(135)中で上記冷却部(141,142)の下流側に配置されている。
〈加湿部〉
各水分フィルタ(水分取り出し部(150))の排水口には、図3には示していないが、例えばチューブなどの接続管を介して加湿器(160)が接続されている。加湿器(160)は、空気経路(135)の経路上に設けられ、具体的には供給管(120)に接続されている。図7に示すように、加湿部である加湿器(160)は、加湿容器(161)と蓋部材(162)とを備え、各水分フィルタ(水分取り出し部(150))からの水流入管(163)と、加湿容器(161)内に流入した供給用空気が流出する空気流出管(164)とを備えている。なお、供給用空気が加湿容器(161)の中へ流入する空気流入管は省略している。
この加湿器(160)では、加湿容器(161)の下部に上記凝縮水が溜まる。加湿容器(161)の上部は、庫内空間へ供給される供給用空気が一旦貯留される空間になっており、ポンプ圧が作用している。したがって、庫内へ供給される供給用空気に加湿容器(161)の内部で水分が与えられて加湿され、加湿された低酸素濃度の気体である供給用空気が庫内へ導入されることになる。
〈加熱部〉
上記加熱部(170)は、上記空気経路(135)に、上記冷却部(140)と上記分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱するように設けられている。具体的には、第1冷却部(141)と第1分離モジュール(41)との間に第1加熱部(171)が設けられ、第2冷却部(142)と第2分離モジュール(61)との間に第2加熱部(172)が設けられている。第1加熱部(171)及び第2加熱部(172)は、図3では便宜上2つに分けて示した庫外機器室(28)の凝縮器(13)の近傍に、上記第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)への流入側の空気経路(135)を通過させることにより構成されている。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)へ流入する被処理空気は凝縮器の温熱で加熱されるので、各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)が冷えるのを抑えられる。
本実施形態では、上記分離部(第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))により、第1の被処理空気としての外気から低酸素濃度の供給用空気を分離し、上記加湿部(160)は、その供給用空気を加湿することが可能である。
また、本実施形態では、上記分離部(第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))により、第2の被処理空気としての庫内空気から低酸素濃度かつ低二酸化炭素濃度の供給用空気を分離し、上記加湿部(160)は、その供給用空気を加湿することが可能である。
そして、本実施形態では、被処理空気としての外気から供給用空気を分離する分離部を第1分離部(41)とし、被処理空気としての庫内空気から供給用空気を分離する分離部を第2分離部(61)とすると、上記加湿部(160)は、上記第1分離部(41)で外気から生成された供給用空気と、上記第2分離部(61)で庫内空気から生成された供給用空気とを、いずれも無給水で加湿することができる。
本実施形態では、上記ポンプユニット(35)は、上記空気経路(135)において上記冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)を構成している。
〈制御器〉
制御器(110)は、制御動作を行うCPU(111)と、制御動作に必要なデータ等を記憶するメモリ(112)とを備える。制御器(110)には、酸素センサ(91)、二酸化炭素センサ(92)、第1圧力センサ(45)、及び第2圧力センサ(65)の計測値が入力される。制御器(110)は、ポンプユニット(35)、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、第1バイパス弁(50)、第2バイパス弁(70)、及び換気用排気弁(101)を操作するための制御動作を行う。また、制御器(110)による制御動作中に、加湿構造部(130)によって庫内の湿度が低下するのを無給水で抑える動作が行われる。
−コンテナ用冷凍機の運転動作−
コンテナ用冷凍機(10)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気を冷却する冷却運転を行う。
冷却運転では、冷媒回路(11)の圧縮機(12)が作動し、冷媒回路(11)において冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)では、圧縮機(12)から吐出された冷媒が、凝縮器(13)と膨張弁(14)と蒸発器(15)とを順に通過し、その後に圧縮機(12)へ吸入されて圧縮される。
また、冷却運転では、庫外ファン(16)と庫内ファン(17)とが作動する。庫外ファン(16)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部の庫外空気が庫外機器室(28)へ吸い込まれて凝縮器(13)を通過する。凝縮器(13)では、冷媒が庫外空気へ放熱して凝縮する。庫内ファン(17)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気が庫内空気流路(29)へ吸い込まれて蒸発器(15)を通過する。蒸発器(15)では、冷媒が庫外空気から吸熱して蒸発する。
庫内空気の流れについて説明する。荷室(5)に存在する庫内空気は、吸込口(26)を通って庫内空気流路(29)の一次流路(29a)へ流入し、庫内ファン(17)によって二次流路(29b)へ吹き出される。二次流路(29b)へ流入した庫内空気は、蒸発器(15)を通過する際に冷却され、その後に吹出口(27)から床下流路(4)へ吹き出され、床下流路(4)を通って荷室(5)へ流入する。
庫内空気流路(29)において、一次流路(29a)は庫内ファン(17)の吸い込み側に位置し、二次流路(29b)は庫内ファン(17)の吹き出し側に位置する。このため、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。
−庫内空気調節装置の運転動作−
庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気の組成(本実施形態では、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)を調節するための運転を行う。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)の運転動作について、庫内空気の酸素濃度の目標範囲が5%±1%であり、庫内空気の二酸化炭素濃度の目標範囲が2%±1%である場合を例に説明する。
〈庫内空気調節装置の運転動作の概要〉
本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作とを行う。
輸送用コンテナ(1)への貨物(6)の積み込みが完了した時点において、荷室(5)内に存在する庫内空気の組成は、大気の組成(窒素濃度:78%、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.04%)と実質的に同じである。そこで、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度低減動作を停止する。
庫内空気の酸素濃度が6%に達して庫内空気調節装置(30)の酸素濃度停止動作が停止した後は、貨物(6)である植物が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆくと同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が次第に上昇する。
庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の上限値(3%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作を行う。庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の下限値(1%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、二酸化炭素濃度低減動作を停止する。
また、庫内空気の酸素濃度が目標範囲の下限値(4%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度増加動作を停止する。
このように、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を21%(大気の酸素濃度)から目標範囲にまで引き下げるために、酸素濃度低減動作を行う。また、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を、それぞれの目標範囲に維持するために、二酸化炭素低減動作と酸素濃度増加動作とを適宜繰り返して行う。
〈酸素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作について、図3〜図5を適宜参照しながら説明する。この酸素濃度低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が酸素濃度の低い第1庫内空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給する。
酸素濃度低減動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定する。
先ず、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれる。第1ポンプ(36)は、吸い込んだ庫外空気を加圧して吐出する。第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧の2倍程度である。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1導入管(52)を流れ、第1冷却管(131)を通った後に第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)へ未処理庫外空気として流入する。未処理庫外空気が第1冷却管(131)を通るときの作用は後述する。
第1分離モジュール(41)において、第1導入口(42)を通って導入室(82)へ流入した未処理庫外空気は、中空糸状の分離膜(85)へ流入する。中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる未処理庫外空気は、その一部が分離膜(85)を透過して第2庫外空気として二次側導出室(84)へ移動し、残りが第1庫外空気として一次側導出室(83)へ流入する。上述したように、分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率よりも低い特性を持つ。このため、図5に示すように、第1庫外空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも低く、第2庫外空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも高い。
第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から第1一次側管(53)へ流出した第1庫外空気は、供給管(120)へ流入する。一方、第1分離モジュール(41)の第1二次側導出口(44)から第1二次側管(54)へ流出した第2庫外空気は、輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
次に、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)に吸い込まれる。第2ポンプ(37)は、吸い込んだ庫内空気を加圧して吐出する。第2ポンプ(37)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧よりも若干高い程度である。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2導入管(72)を流れ、第2冷却管(132)を通った後に第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)へ未処理庫内空気として流入する。未処理庫内空気が第2冷却管(131)を通るときの作用は後述する。
第2分離モジュール(61)において、第2導入口(62)を通って導入室(82)へ流入した未処理庫内空気は、中空糸状の分離膜(85)へ流入する。中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる未処理庫内空気は、その一部が分離膜(85)を透過して第2庫内空気として二次側導出室(84)へ移動し、残りが第1庫内空気として一次側導出室(83)へ流入する。上述したように、分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率よりも低い特性を持つ。このため、図5に示すように、第1庫内空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも低く、第2庫内空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも高い。
第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から第2一次側管(73)へ流出した第1庫内空気は、供給管(120)へ流入する。一方、第2分離モジュール(61)の第2二次側導出口(64)から第2二次側管(74)へ流出した第2庫内空気は、輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
上述したように、供給管(120)には、第1分離モジュール(41)から流出した第1庫外空気と、第2分離モジュール(61)から流出した第1庫内空気とが流入する(第1庫外と第1庫内空気は、いずれも被処理空気の処理前より処理後の酸素濃度が低い)。そして、供給管(120)を流れる第1庫外空気と第1庫内空気の混合空気は、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b)へ流入し、二次流路(29b)を流れる庫内空気と共に荷室(5)へ供給される。
通常、酸素濃度低減動作中は、輸送用コンテナ(1)の外部から内部へ供給される第1庫外空気の流量Qo1が、輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ排出される第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる(図5を参照)。つまり、第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となるように、第1庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度低減動作では、大気に比べて酸素濃度の低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて荷室(5)内の庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。また、酸素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された酸素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。
〈二酸化炭素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の二酸化炭素濃度低減動作について、図3,図4,図6を適宜参照しながら説明する。この二酸化炭素低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が二酸化炭素濃度の低い第1庫内空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給する。
二酸化炭素濃度低減動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。そして、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれにおいて、庫外空気や庫内空気は、酸素濃度低減動作と同様に流れる。ただし、二酸化炭素濃度低減動作において、第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力と、第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、いずれも大気圧よりも若干高い程度である。
第1組成調節部(40)では、第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気が、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気とに分離される。そして、第1庫外空気(供給用空気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫外空気(排出用空気)が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。なお、未処理庫外空気の二酸化炭素濃度は、大気の二酸化炭素濃度(0.04%)と実質的に同じである。このため、第1庫外空気の二酸化炭素濃度は実質的にゼロと見なせる。
第2組成調節部(60)では、第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気が、未処理庫内空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が低い第1庫内空気と、未処理庫内空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い第2庫内空気とに分離される。そして、第1庫内空気(供給用空気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫内空気(排出用空気)が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
通常、二酸化炭素濃度低減動作中は、酸素濃度低減動作中と同様に、第1庫外空気の流量Qo1が第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる(図6を参照)。つまり、第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となるように、第1庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、二酸化炭素濃度低減動作では、二酸化炭素濃度の極めて低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。また、二酸化炭素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された二酸化炭素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。
〈酸素濃度増加動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度増加動作について、図3を参照しながら説明する。この酸素濃度増加動作では、第1組成調節部(40)が輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が輸送用コンテナ(1)の内部から吸い込んだ庫内空気をそのまま荷室(5)へ送り返す。
酸素濃度増加動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図3に破線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
第1組成調節部(40)において、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気(この場合は未処理の庫外空気が供給用空気になる)は、第1バイパス管(51)へ流入し、その窒素濃度と酸素濃度を保った状態で第1一次側管(53)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。一方、第2組成調節部(60)において、第2ポンプ(37)へ吸い込まれた庫内空気(この場合は未処理の庫内空気が供給用空気になる)は、第2ポンプ(37)から吐出された後に第2バイパス管(71)を通って第2一次側管(73)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ戻る。また、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度増加動作では、庫内空気よりも酸素濃度の高い庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することによって、荷室(5)内の酸素濃度を上昇させる。
−制御器の制御動作−
庫内空気調節装置(30)の制御器(110)は、酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)の計測値を監視する。そして、庫内空気調節装置(30)が上述した動作を行うことによって、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれの目標範囲に保たれるように、酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)の計測値に基づいて庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。
〈庫内空間の加湿ないし保湿の作用〉
ところで、酸素濃度低減動作や二酸化炭素濃度低減動作において、未処理の庫外空気や未処理の庫内空気が第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)を通るとき、分離膜(85)で庫外空気や庫内空気中の水分が酸素や二酸化炭素とともに分離される。供給用空気から分離された水分は排出用空気に含まれて、排出用空気とともに庫外へ排出される。そのため、運転を継続すると庫内の湿度が低くなり、貨物(6)である植物から蒸発する水分量が多くなり、植物の重量減少や品質低下を招いてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、供給用空気は、上記加湿構造部(130)により第1冷却管(131)及び第2冷却管(132)で水分が与えられてから庫内へ供給される。したがって、庫内の湿度が低下するのを抑制できる。
〈外気を用いて行う庫内の加湿〉
図3において、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれ、第1ポンプ(36)で加圧されて第1導入管(52)から第1冷却管(131)へ送り出される。未処理の庫外空気が流れる第1冷却管(131)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において第1冷却部(141)である蒸発器(15)の近傍を通過しているので、第1冷却管(131)の中の庫外空気(水分取り出し用空気)が冷却され、庫外空気に含まれる水蒸気の一部が凝縮する。
凝縮した水を含む庫外空気は、水分取り出し部(150)である第1水分フィルタ(151)を通過し、そのときに凝縮水が加湿部(160)へ供給され、加湿容器(161)の下部に溜まる。加湿容器(161)では、溜まった凝縮水の上方を加圧された供給用空気が通過し、その際に供給用空気が加湿される。そして、加湿された供給用空気が庫内空間へ供給される。
外気中の水分で供給用空気を加湿する場合は、庫内へ供給する水蒸気量を、分離膜(85)で失われる水分量よりも多くすることができるから、結果として、庫内の湿度を上昇させる「加湿」を無給水で行うことができる。
第1水分フィルタ(151)を通過した庫外空気は、含有水分量の少ない空気であり、この庫外空気は第1加熱部(171)である凝縮器(13)で加熱されてから第1分離モジュール(41)へ流入する。したがって、第1分離モジュール(41)へ流入する庫外空気は、一旦低下した温度が凝縮器(13)で上昇し、しかも含有水分量の少ない乾燥空気(相対湿度が低い空気)であるから、分離膜(85)の信頼性が低下するのを抑制できる。
なお、第1分離モジュール(41)を通過した後の供給用空気の流れは既に説明したのでここでは省略する。
〈庫内空気を用いて行う庫内の保湿〉
図3において、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)の流入口に設けられているフィルタ(図示せず)から庫内側吸入管(75)に流入して第2ポンプ(37)に吸い込まれ、第2ポンプ(37)で加圧されて第2導入管(72)から第2冷却管(132)へ送り出される。庫内空気が流れる第2冷却管(132)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において第2冷却部(142)である蒸発器(15)の近傍を通過しているので、第2冷却管(132)の中の庫内空気(水分取り出し用空気)が冷却され、庫内空気に含まれる水蒸気の一部が凝縮する。
凝縮した水を含む庫内空気は、水分取り出し部(150)である第2水分フィルタ(152)を通過し、そのときに凝縮水が加湿部(160)へ供給され、加湿容器(161)の下部に溜まる。加湿容器(161)では、溜まった凝縮水の上方を加圧された供給用空気が通過し、その際に供給用空気が加湿される。そして、加湿された供給用空気が庫内空間へ供給される。
庫内空気中の水分で供給用空気を加湿する場合は、庫内空間に存在した水蒸気を庫内空間へ戻す動作を行うものであるから、結果として、庫内の湿度を維持する「保湿」を無給水で行うことができる。
第2水分フィルタ(152)を通過した庫内空気は、含有水分量の少ない空気であり、この庫内空気は第2加熱部(172)である凝縮器(13)で加熱されてから第2分離モジュール(41)へ流入する。したがって、第2分離モジュール(41)へ流入する庫内空気は、一旦低下した温度が凝縮器(13)で上昇し、しかも含有水分量の少ない乾燥空気(相対湿度が低い空気)であるから、分離膜(85)の信頼性が低下するのを抑制できる。
なお、第2分離モジュール(61)を通過した後の供給用空気の流れは既に説明したのでここでは省略する。
−実施形態2の効果−
この実施形態2の空気組成調節装置は、被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離部(41,61)を有し、上記供給用空気を上記対象空間である荷室(5)の内部へ供給する組成調節部(40,60)と、上記分離部(41,61)から上記荷室(5)へ連通する空気経路(135)と、上記空気経路(135)で被処理空気を冷却除湿する冷却部(140)と、上記空気経路(135)を流れる被処理空気を冷却して生成される水分を取り出す水分取り出し部(150)と、上記水分取り出し部(150)で取り出された水分で上記荷室(5)へ吹き出される供給用空気を加湿する加湿部(160)と、を備えている。
従来であれば、例えば国際公開第2007/033668号において、分離部で水分が分離されることにより庫内が乾燥して農産物等の植物の鮮度低下により商品価値が低下するおそれがあったのに対して、この実施形態2では、上述したように、空気経路(135)を流れる被処理空気が冷却部(140)により冷却され、水分取り出し部(150)において被処理空気から水分が取り出される。この水分は、加湿部(160)において、荷室(5)へ吹き出される供給用空気を加湿する。そして、加湿された供給用空気が、空気経路(135)を通って荷室(5)へ供給される。したがって、荷室(5)の湿度が低下するのを無給水で抑制できるので、植物が乾燥して商品価値が低下する問題を抑制できる。
また、本実施形態では、加湿に用いられる水分は、フィルタを通過した被処理空気から生成している。単なるドレン水を用いて庫内を加湿すると、雑菌が繁殖するおそれがあるが、本実施形態では清浄な被処理空気から水分を取り出しているから、そのような問題も抑制できる。
また,本実施形態では、上記冷却部(140)を、空気経路(135)における上記分離部(41,61)の上流側に配置しているので、被処理空気が、空気経路(135)で冷却されて含有水分量が低下した後に分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)に水分が付着しにくくなり、分離部(41,61)の品質低下を抑制できる。
本実施形態では、空気経路(135)には、冷却部(140)と分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱する加熱部(170)を設けているので、空気経路(135)を流れる被処理空気が、冷却部(140)で冷却されて含有水分量が少なくなった後に、加熱部(170)で加熱され、分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)へ低温の被処理空気が流入するのを抑制でき、乾燥空気を分離部(41,61)に供給することにより、分離膜(85)の信頼性を高められる。
また、本実施形態では、分離部(41,61)として、外気から供給用空気を分離する第1分離モジュール(41)と、対象空間(庫内空間)の庫内空気から供給用空気を分離する第2分離モジュール(61)とを用い、これらの供給用空気に加湿部(160)で水分を与えて庫内空間へ供給し、庫内の乾燥を抑制するようにしている。外気を用いる場合は、庫内への水分供給量を庫内からの水分排出量よりも多くすることができるから、庫内を無給水で加湿することができる。また、庫内空気を用いる場合は、庫内への水分供給量を庫内からの水分排出量とほぼ同じにすることができるから、庫内を無給水で保湿することができる。
また、本実施形態では、空気経路(135)に設けられているポンプユニット(35)を、冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)として用いており、冷却部(140)の上流側で被処理空気が加圧されるので、被処理空気の体積が小さくなって水分を取り出しやすくなる。したがって、供給用空気を十分に加湿できるから、植物の乾燥による品質低下をより確実に抑制できる。
また、本実施形態では、コンテナ用冷凍機(10)にもともと設けられている蒸発器(13)を用いて供給用空気を冷却している。したがって専用の冷却部を設ける必要がなく、構成を簡素化することが可能になる。
なお、上記実施形態では、冷却部(140)や加熱部(170)を分離部(41,61)の上流側に設けているが、分離部(41,61)の下流側に設けて供給用空気を冷却したり加熱したりするようにしてもよい。
−実施形態2の変形例−
〈変形例1〉
上記実施形態2では、上記冷却部(140)は、第1冷却管(141)及び第2冷却管(142)を蒸発器(13)の近傍に通す構成にしているが、例えば、実施形態1の変形例5で説明した図6の二重管熱交換器(145)を用いてもよい。二重管熱交換器(145)の具体的な構成の説明はここでは省略する。
この構成において、空気流入管(148)から外管(147)へ流入した被処理空気は、内管の中を流れる低温の冷媒によって冷却され、被処理空気に含まれる一部の水蒸気が凝縮する。水分の一部が凝縮した被処理空気は水分取り出し部(150)(第1水分フィルタ(151)または第2水分フィルタ(152))へ流れて行き、そこで凝縮水が加湿器(160)へ供給される。加湿器(160)に供給された凝縮水は、上記実施形態2と同様に、加湿容器(161)内で供給用空気を加湿し、加湿された供給用空気が空気経路(135)を流れて庫内空間へ供給される。
したがって、この変形例1においても、庫内空間の加湿や保湿を無給水で行うことができる。
〈変形例2〉
図3の例では、加湿器(160)を供給管(120)に接続し、空気経路(135)である供給管を流れる供給用空気に水分を含ませ、その水分を含んだ供給用空気を庫内空間(5)へ供給するようにしているが、加湿器(160)には、水分を含んだ供給用空気を庫内へ吹き出す供給管(120)とは別に、図7の加湿容器(161)内に溜まった水分を庫内へ噴霧する噴霧機構(図示せず)を設けてもよい。この場合、加湿器(160)には、加湿された空気の吹出口(供給管(120)の先端部:図7の空気流出管(164))と、水分の吹出口(噴霧機構の噴霧口)とが設けられる。
このように構成すると、噴霧機構を設けない場合に比べて、庫内空間の加湿量を増やすことが可能になる。
《実施形態3》
実施形態3について説明する。この実施形態3の庫内空気調節装置(30)は、実施形態2の第1組成調節部(40)を庫内空気調節装置(30)に設ける一方、第2組成調節部(60)は設けない構成にした例であり、ポンプユニット(35)や組成調節部(40)は一系統のみが設けられている。この実施形態3において、実施形態2と構成が共通する部分は説明を省略する。なお、被処理空気及び供給用空気が流れる回路は1系統のみであるが、各部品の名称は、便宜上、二系統が設けられていた実施形態2の「第1」の標記を変更せずに使用することとする。
図9に示すように、庫外側吸入管(55)には、エアフィルタ(47)とポンプユニット(35)の間に第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)が設けられている。庫内側吸入管(75)は、実施形態2とは異なり、第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)とポンプユニット(35)の間に接続され、第2開閉弁(第2電磁弁)(48b)が設けられている。この実施形態3では、第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)と第2開閉弁(第2電磁弁)(48b)の一方を開き、他方を閉じることにより、庫外空気または庫内空気の何れかを組成調節部(40)で処理し、庫内へ供給することができる。
第1導入管(52)は、実施形態2の第1バイパス弁(50)が設けられておらず、第1冷却管(131)に接続されて庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過し、庫内空気調節装置(30)のユニットケース(32)に戻って第1分離モジュール(41)に接続されている。
第1冷却管(131)には、実施形態2と同様に、庫内空気流路(29)の内部に冷却部(140)と水分取り出し部(150)が設けられ、ユニットケース(32)の内部に加熱部(170)が設けられている。また、供給管(120)には加湿部(160)が設けられ、冷却部(140)、水分取り出し部(150)及び加湿部(160)により加湿構造部(130)が構成されている。
実施形態2とは異なり、第1一次側管(53)には、第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に、上記第1バイパス弁(50)と同様に構成された流路切り換え弁(49)が設けられている。流路切換弁(49)は、第1のポートと第2のポートが第1一次側管(53)に接続され、第3のポートが循環配管(69)に接続されている。流路切り換え弁(49)を第2のポートと第3のポートが接続される状態に切り換えると、庫内ファン(17)により庫内空気流路(29)を流れる庫内空気が循環配管(69)から流出し、供給管(120)を通って庫内空気流路(29)へ戻る。
《水分回収量の試算》
ここで外気を加圧して体積を減らすことによる水分回収量について説明する。
ポンプユニット(35)により、庫外空気を300kPaに加圧する場合、庫外空気の体積は大気圧の約1/4になる。体積が小さくなると、庫外空気中に水蒸気の状態で存在できる水分の量が減少し、体積が1/4だと相対湿度は100%を超える。
例として、アボカドを輸送する条件(庫内温度:5℃、相対湿度:80%)で試算する。ポンプの吸入側が、空気温度:5℃、圧力:0kPa、湿度:80%RHとすると、庫外空気気に含まれる水分量は5.43g/m3で、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RHとすると、含まれる水分量は、6.79g/m3×体積1/4で、1.70g/m3である。この場合、水分の排出量は1.70g/m3であり、回収量は、5.43−1.70=3.73g/m3となる。
〈無給水加湿を行う場合の外気条件〉
庫内から排出される水分を回収するか否かによる水分回収量について試算する。
・実施形態2の場合(庫内の水分回収なし)
水分排出量が上記の5.43g/m3である条件で、ポンプで吸入する庫外空気には7.13g/m3(42%RH)以上の水蒸気量が必要になる。具体的には、ポンプの吸入側が、外気温度:20℃、圧力:0kPa、湿度:42%RH(水分量:7.25g/m3)とし、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RH(水分量:6.79g/m3×体積1/4)とすると、水分回収量は7.25−1.70=5.55g/m3となり、上記の5.43g/m3よりも多い。
・実施形態3の場合(庫内の水分回収あり)
水分排出量が上記の1.70g/m3である条件で、ポンプで吸入する庫外空気には3.4g/m3(20%RH)以上の水蒸気量が必要になる。具体的には、ポンプの吸入側が、外気温度:20℃、圧力:0kPa、湿度:20%RH(水分量:3.45g/m3)とし、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RH(水分量:6.79g/m3×体積1/4)とすると、水分回収量は3.45−1.70=1.75g/m3となり、上記の1.70g/m3よりも多い。
以上のことから、実施形態3では水分の排出量よりも回収量が多くなるので、植物の鮮度保持や分離膜(85)の結露防止の観点から、実施形態2よりも効果的である。
《実施形態4》
図10に示す実施形態4について説明する。この実施形態4の庫内空気調節装置(30)は、実施形態2の加湿部(160)の構成を変更した例である。
この実施形態4では、加湿部(160)は、実施形態2とは違って空気経路(135)の経路上には設けられておらず、供給管(120)に接続されずに該供給管(120)とは別に設置されている。
一方、加湿器(160)は、各水分フィルタ(水分取り出し部)(150)から供給された水分を溜める構成である点は実施形態2と同じであり、例えば各水分フィルタ(150)に接続管(図示省略)で接続されている。また、加湿器(160)は、図示していないが加湿容器(161)内の水分を庫内空間(5)へ直接供給するための機構として、例えば噴霧機構を有している。つまり、この実施形態4では、加湿器(160)は、庫内空間(5)へ供給される供給用空気に水分を与えて庫内空間(5)を加湿するのではなく、噴霧機構を用いて庫内空間(5)を直接に加湿するものとして構成されている。
この実施形態4においても、実施形態2,3と同様に庫内空間(5)の加湿や保湿を行えるので、植物の乾燥による品質低下を抑制することが可能である。
噴霧機構については実施形態2の変形例2においても説明したが、噴霧機構は、加湿器(160)の具体的な構成に応じて、設ける態様を適宜変更してもよい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)については、次のような変形例を適用してもよい。
−第1変形例−
実施形態2の庫内空気調節装置(30)において、第1分離モジュール(41)の分離膜(85)と第2分離モジュール(61)の分離膜(85)とは、それぞれの特性が互いに異なっていてもよい。
−第2変形例−
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、第1バイパス弁(50)は、第1分離モジュール(41)へ流入する未処理庫外空気の流量と、第1バイパス管(51)へ流入する未処理庫外空気の流量の割合を、多段階に又は連続的に変更できるように構成されていてもよい。また、第2バイパス弁(70)は、第2分離モジュール(61)へ流入する未処理庫内空気の流量と、第2バイパス管(71)へ流入する未処理庫内空気の流量の割合を、多段階に又は連続的に変更できるように構成されていてもよい。
−第3変形例−
実施形態2の庫内空気調節装置(30)では、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれに駆動モータが連結されていてもよい。この変形例では、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の一方を作動させて他方を休止させることが可能となる。
−第4変形例−
実施形態2の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれは、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、吸い込んだ被処理空気を互いに組成が異なる二種類の処理後の空気に分離するように構成されていてもよい。この場合、組成調節部(40,60)は、吸い込んだ被処理空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって、窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い処理後の空気を生成する工程と、吸着剤から窒素を脱離させて窒素濃度が高くて酸素濃度及び二酸化炭素濃度が低い処理後の空気を生成する工程とを繰り返し行う。
−第5変形例−
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、定置型の冷蔵庫または冷凍庫に設けられてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、トラックや鉄道などで輸送される陸上輸送用の冷蔵・冷凍コンテナに設けられていてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、荷室を形成する箱体が車台と一体になった冷蔵・冷凍トラックに設けられていてもよい。さらに、上記実施形態では庫内空気調節装置を説明したが、本開示は、対象空間の空気組成を調節する空気組成調節装置であれば、適用対象はコンテナ等の庫内に限定されない。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、空気組成調節装置について有用である。
1 輸送用コンテナ
5 荷室(対象空間、庫内空間)
10 コンテナ用冷凍機
30 空気組成調節装置
40 第1組成調節部(組成調節部)
41 第1分離モジュール(第1分離部)
60 第2組成調節部(組成調節部)
61 第2分離モジュール(第2分離部)
85 分離膜
135 空気経路
140 冷却部
150 水分取り出し部
160 加湿部
170 加熱部
180 加圧部
本開示は、加湿装置及び空気組成調節装置に関するものである。
コンテナや倉庫などの貯蔵庫の庫内(対象空間)を加湿する加湿装置として、圧縮空気を庫内へ供給する経路でその空気を冷却して生成される水を容器に溜め、その水を使って庫内を加湿するものがある(例えば特許文献1参照)。圧縮空気は水分取り出し用の空気として用いられている。
上記加湿装置では、無給水で庫内を加湿できる。しかしながら、例えば対象空間の外部の湿度が低いと水分取り出し用の空気から水を回収するのが困難で、容器が高圧である場合は水が流入しにくく溜まりにくい。そのため、庫内を十分に加湿できないことがある。
上記加湿装置は、農産物等の植物の鮮度低下の抑制を目的として、農産物(植物)等を収容する倉庫や輸送用コンテナの庫内空気の組成(例えば、庫内空気の酸素濃度や二酸化炭素濃度)を調節する庫内空気調節装置に用いられることがある。この場合も、上記と同様の問題が生じ得る。
本開示の目的は、貯蔵庫の庫内を無給水で十分に加湿できるようにすることである。
本開示の第1の態様は、
対象空間(201)を加湿する加湿装置であって、
対象空間(201)へ供給される水分取り出し用空気が流れる空気経路(220)と、
上記空気経路(220)で水分取り出し用空気を冷却する冷却部(240)と、
上記空気経路(220)において水分取り出し用空気を上記冷却部(240)で冷却して生成される水分を取り出す水分取り出し部(250)と、
上記水分取り出し部(250)で取り出された水分で上記対象空間(201)を加湿する加湿部(260)と、
を備え、
上記空気経路(220)は、上記対象空間(201)に連通する主経路(221,222,263)と、水分取り出し用空気の一部又は全部を上記対象空間(201)の外へ排出する排出経路(223)を含み、
上記対象空間(201)の空気を冷却する冷凍機(270)を備え、
上記冷却部(240)は、上記冷凍機(270)で冷却された対象空間(201)の空気で水分取り出し用空気を冷却する
ことを特徴とする。
第1の態様では、空気経路(220)を流れる水分取り出し用空気が冷却部(240)により冷却され、水分が水分取り出し部(250)で取り出されて、対象空間(201)が加湿される。この第1の態様では排出経路(223)を設けているので、水を溜める容器が高圧になり難く、従来と比較して回収した水分を貯留しやすい。よって、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
本開示の第2の態様は、
対象空間(201)を加湿する加湿装置であって、
水分取り出し用空気が流れる空気経路(220)と、
上記空気経路(220)で水分取り出し用空気を冷却する冷却部(240)と、
上記空気経路(220)において水分取り出し用空気を上記冷却部(240)で冷却して生成される水分を取り出す水分取り出し部(250)と、
上記水分取り出し部(250)で取り出された水分で上記対象空間(201)を加湿する加湿部(260)と、
を備え、
上記空気経路(220)は、上記対象空間(201)に連通する主経路(221,222,263)と、水分取り出し用空気の一部又は全部を上記対象空間(201)の外へ排出する排出経路(223)を含み、
上記水分取り出し部(250,251)は、上記対象空間(201)の内部と外部にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする。
第2の態様では、対象空間(201)の外部で冷却された空気から生成された水分は、対象空間(201)の外部の水分取り出し部で取り出される。また、対象空間(201)の内部で冷却されて生成された水分は、対象空間(201)の内部の水分取り出し部で取り出される。外気等の条件によっては、対象空間(201)の外部の方が内部より水分取り出し量が多くなることがあり、対象空間(201)の外部にも水分取り出し部(251)を設けておくと、そのような場合に対象空間(201)を十分に加湿できる。
本開示の第3の態様は、第1の態様において、
上記水分取り出し用空気としての外気を圧縮する圧縮部(230)を有し
上記冷却部(240)は、上記圧縮部(230)で圧縮された外気を冷却する
ことを特徴とする。
第3の態様では、圧縮した外気を冷却することにより水分が生成される。空気を圧縮すると露点温度が上がるので、冷却により水分が生成されやすい。よって、対象空間(201)を、より十分に加湿できる。
本開示の第4の態様は、
第2の態様において、
上記水分取り出し用空気としての外気を圧縮する圧縮部(230)を有し
上記冷却部(240)は、上記圧縮部(230)で圧縮された外気を冷却する
ことを特徴とする。
本開示の第5の態様は、
第3または4の態様において、
上記圧縮部(230)は、外気を圧縮して、吸入した外気よりも温度が高い空気を吐出するエアポンプ(231)を有するポンプユニットである
ことを特徴とする。
本開示の第6の態様は、
第1から第5の態様の何れか1つにおいて、
上記主経路(221,222,263)は、該主経路(221,222,263)を流れる空気を上記加湿部(260)に供給する給気経路(263)を含む
ことを特徴とする。
本開示の第7の態様は、第4の態様において、
上記対象空間(201)の空気を冷却する冷凍機(270)を備え、
上記冷却部(240)は、上記冷凍機(270)で冷却された対象空間(201)の空気で外気を冷却することを特徴とする。
第7の態様では、圧縮した外気を対象空間(201)の低温の空気で冷やすことにより、水分を生成しやすくしている。よって、対象空間(201)を、より十分に加湿できる。
本開示の第8の態様は、第1,第3または第7の態様において、
上記冷却部(240)は、上記冷凍機(270)が有する冷媒回路の冷媒で外気を冷却する冷却熱交換器(140)を備える
ことを特徴とする。
第8の態様では、圧縮した外気を冷媒回路の冷媒で冷却することにより、水分が生成され、この水分によって対象空間(201)が加湿される。
本開示の第9の態様は、第1から第8の態様の何れか1つにおいて、
上記空気経路(220)は、外気の流れを主経路(221,222,263)から排出経路(223)へ切り換える切換弁を有する
ことを特徴とする。
第9の態様では、切換弁を用いて外気の流れを主経路(221,222,263)給気側と排出経路(223)の排気側に調整することで、水分を回収する運転と、対象空間を加湿する運転を容易に切り換えられる。
本開示の第10の態様は、第9の態様において、
上記切換弁は、上記対象空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流を主経路(221,222,263)側へ向かうように切り換えられ、上記対象空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へむかうように切り換えられる
ことを特徴とする加湿装置。
第9の態様では、対象空間(201)の湿度に応じて、加湿装置を制御できる。
本開示の第11の態様は、対象空間(5)の空気の組成を調節する空気組成調節装置であって、
第1または第2の態様の加湿装置(130)と、
被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離部(41,61)を有する組成調節部(40,60)と、を備え、
上記空気経路の主経路は、上記分離部(41,61)へ被処理空気が流入する経路と該分離部(41,61)で生成された供給用空気が上記対象空間(5)へ流れる経路とを含み、
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)で被処理空気または供給用空気を冷却除湿するように構成され、
上記水分取り出し部(150)は、上記空気経路(135)を流れる被処理空気または供給用空気を冷却して生成される水分を取り出すように構成され
上記加湿部(160)は、上記水分取り出し部(150)で取り出された水分で上記対象空間(5)を加湿するように構成されている
ことを特徴とする。
第11の態様では、空気経路(135)を流れる被処理空気または供給用空気が冷却部(140)により冷却され、水分取り出し部(150)において被処理空気または供給用空気から水分が取り出される。この水分により、加湿部(160)において、対象空間(5)が加湿される。したがって、対象空間(5)の湿度が低下するのを抑制できる。
本開示の第12の態様は、第11の態様において、
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)における上記分離部(41,61)の上流側に配置されていることを特徴とする。
第12の態様では、被処理空気は、空気経路(135)で冷却されて含有水分量が低下した後に分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)に水分が付着しにくくなり、分離部(41,61)の品質低下を抑制できる。
本開示の第13の態様は、第12の態様において、
上記空気経路(135)には、上記冷却部(140)と上記分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱する加熱部(170)が設けられていることを特徴とする。
第13の態様では、空気経路(135)を流れる被処理空気は、冷却部(140)で冷却されて含有水分量が少なくなった後に、加熱部(170)で加熱され、分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)へ低温の被処理空気が流入するのを抑制できる。
本開示の第14の態様は、第11から第13の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、上記被処理空気である外気から供給用空気を分離するように構成され、
上記加湿部(160)は、上記外気から生成された供給用空気を加湿するように構成されていることを特徴とする。
第14の態様では、被処理空気である外気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される。
本開示の第15の態様は、第11から第13の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、上記被処理空気である対象空間の庫内空気から供給用空気を分離するように構成され、
上記加湿部(160)は、上記庫内空気から生成された供給用空気を加湿するように構成されていることを特徴とする。
第15の態様では、被処理空気である庫内空気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される。
本開示の第16の態様は、第11から第13の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、第1の被処理空気である外気から供給用空気を分離する第1分離部(41)と、第2の被処理空気である対象空間の庫内空気から供給用空気を分離する第2分離部(61)とを備え、
上記加湿部(160)は、上記外気から生成された供給用空気と、上記庫内空気から生成された供給用空気とを加湿するように構成されていることを特徴とする。
第16の態様では、外気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給されるとともに、庫内空気から供給用空気が生成され、この供給用空気が加湿されて対象空間(5)へ供給される運転を行える。
本開示の第17の態様は、第11から第16の態様の何れか1つにおいて、
上記空気経路(135)には、上記冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)が設けられていることを特徴とする。
第17の態様では、冷却部(140)の上流側で被処理空気が加圧されるので、被処理空気の体積が小さくなり、水分を取り出しやすくなる。したがって、十分な加湿が可能になる。
本開示の第18の態様は、第11から第17の態様の何れか1つにおいて、
上記被処理空気は、庫内空気を冷却する冷凍機(10)を備えたコンテナ(1)の庫内空気であり、
上記冷却部(140)は、上記冷凍機(10)で生成される冷熱により被処理空気を冷却するように構成されていることを特徴とする。
第18の態様では、コンテナ(1)用の冷凍機(10)で生成される冷熱を利用して被処理空気を冷却して水分を取り出し、その水分でコンテナ(1)の庫内を加湿できる。
本開示の第19の態様は、第11から第18の態様の何れか1つにおいて、
上記分離部(41,61)は、被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離膜(85)を備えていることを特徴とする。
第19の態様では、分離膜(85)を用いて被処理空気から組成の異なる供給用空気を生成する構成において、対象空間(5)を加湿することができる。
図1は、前提技術に係る加湿装置の概略構成図である。
図2は、前提技術の変形例1に係る加湿装置の概略構成図である。
図3は、前提技術の変形例2に係る加湿装置の概略構成図である。
図4は、前提技術の変形例3に係る加湿装置の概略構成図である。
図5は、実施形態1に係る加湿装置の概略構成図である。
図6は、実施形態1の変形例1に係る加湿装置の冷却部の部分断面図である。
図7は、実施形態2に係る加湿装置の概略構成図である。
図8は、実施形態1の制御例1を示すフローチャートである。
図9は、実施形態1の制御例2を示すフローチャートである。
図10は、実施形態3の庫内空気調節装置を備えた輸送用コンテナの概略断面図である。
図11は、輸送用コンテナに設けられたコンテナ用冷凍機の冷媒回路の構成を示す冷媒回路図である。
図12は、実施形態3の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図13は、実施形態2の庫内空気調節装置に設けられた分離モジュールの概略断面図である。
図14は、実施形態2の庫内空気調節装置が行う酸素濃度低減動作を示すブロック図である。
図15は、実施形態3の庫内空気調節装置が行う二酸化炭素濃度低減動作を示すブロック図である。
図16は、加湿器(加湿部)の概略構造を示す縦断面図である。
図17は、実施形態4の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図18は、実施形態5の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《前提技術》
図1に示す前提技術の加湿装置(210)は、コンテナや倉庫などの貯蔵庫(200)の庫内空間(201)を対象空間として、その庫内空間(201)を加湿する装置である。この加湿装置(210)は、空気経路(220)と圧縮部(230)と冷却部(240)と水分取り出し部(250)と加湿部(260)とを有する。
上記空気経路(220)は、水分取り出し用空気(本前提技術では外気:庫内空間(201)の外の空気)が流れる経路である。上記空気経路(220)は、通常はパイプやチューブで構成される。
上記圧縮部(230)は、上記空気経路(220)における外気の流入口寄りに設けられている。この圧縮部(230)は、外気を圧縮するエアポンプ(231)を有するポンプユニットである。エアポンプ(231)はポンプモータ(232)で駆動される。圧縮部(230)には、空気経路(220)における外気流入口にエアフィルタ(233)を有する。圧縮部(230)の外部には、空気流入口の近傍に、外気湿度センサ(234)と外気温度センサ(235)が設けられている。
上記冷却部(240)は、上記空気経路(220)において水分取り出し用空気を冷却する部分である。本前提技術では、空気経路(220)のうち、貯蔵庫(200)の庫外に設けられている庫外経路(221)が冷却部(240)として構成されている。エアポンプ(231)から吐出される圧縮された外気は高温(例えば100℃)であり、この空気は庫外経路(221)を流れるときに外気で冷却される。
貯蔵庫(200)の庫内空間(201)に配置された上記水分取り出し部(250)は、水分取り出し用空気を上記冷却部(240)で冷却して生成される水分を取り出すように構成されている。水分取り出し部(250)は、例えば市販の水分除去フィルタにより構成される。水分除去フィルタでは、該水分除去フィルタを通過する空気から水分が取り出される。水分取り出し部(250)は、空気経路(220)が上記庫内空間(201)を通る部分である庫内経路(222)に設けられる。
水分取り出し部(250)で取り出された水は、水分取り出し部(250)と同様に庫内空間(201)に設けられた加湿部(260)へ供給される。加湿部(260)は、水容器(261)とレベルセンサ(262)とを有する。水容器(261)には、給気経路(263)と加湿ノズル(264)とが設けられている。加湿部(260)は、水分取り出し部(250)から水容器(261)に供給された水分を用いて、加湿ノズル(264)により庫内空間(201)を加湿する。庫内空間(201)には、庫内湿度センサ(202)と庫内温度センサ(203)が設けられている。
空気経路(220)は、外気を庫内経路(222)から庫内空間(201)の外部へ排出する排出経路(223)を有する。排出経路(223)には、三方弁(225)(切換弁(224))が設けられる。三方弁(225)は、第1ポートと第2ポートが排出経路(223)に接続され、第3ポートが上記給気経路(263)に接続される。空気経路(220)は、庫外経路(221)と庫内経路(222)と給気経路(263)とを含む主経路を有する。上記三方弁(225)は、外気の流れを主経路の給気経路(263)への流れと、主経路から排出経路(223)への流れとに切り換える。上記主経路は外気流入口から上記庫内空間(201)に連通する経路であり、上記排出経路(223)は、外気の一部又は全部を上記庫内空間(201)の外へ排出する経路である。
上記切換弁(224)は、庫内空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流を主経路の給気経路(263)側へ向かうように切り換えられる。上記切換弁(224)は、庫内空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へ向かい、空気が庫外へ排出されるように切り換えられる。
〈運転動作〉
この加湿装置(210)では、エアポンプ(231)を起動することにより、空気経路(220)の流入口に設けられているエアフィルタ(233)を通って外気がエアポンプ(231)に吸い込まれる。エアポンプ(231)は外気を加圧して吐出する。加圧された外気は庫外経路(221)を流れる。加圧された空気は、高温(例えば100℃)になっており、外気よりも温度が高い。そのため、庫外経路(221)を流れる高温の外気は、庫外経路(221)の周囲の空気により冷却される。庫外経路(221)を流れる高温の外気が冷却されると、空気中の水蒸気が凝縮し、庫外経路(221)内を外気と水分とが流れる。
庫外経路(221)を流れる外気と水分は、庫内経路(222)に流入する。庫内経路(222)には水分取り出し部(250)が設けられており、空気中の水分が取り出されて加湿部(260)の水容器(261)に貯留する。水分取り出し部(250)を通過した外気は、排出経路(223)へ流れる。水分を加湿部(260)に溜める(水分貯留運転をする)とき、切換弁(224)は庫内経路(222)と排出経路(223)が連通するように切り換えられている。例えば、水分取り出し部(250)を通過した空気の一部又は全部が庫外へ排出される。そのため、庫内の水容器(261)の圧力は上昇しすぎず、水分が水容器(261)に貯留される。
加湿部(260)に水が十分に溜まると、加湿運転を行う。加湿運転時は、庫内経路(222)が加湿部(260)の給気経路(263)と連通するように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内空間(201)の湿度に応じて、一部又は全部が給気経路(263)へ流れる。給気経路(263)を通って水容器(261)に空気が供給されることにより、水容器(261)内の圧力が上昇し、加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気が庫内へ供給される。このようにして、加湿運転時には庫内が加湿される。
−前提技術1の効果−
本前提技術1では、空気経路(220)を流れる外気(水分取り出し用空気)が冷却部(240)により冷却された後、水分が水分取り出し部(250)で取り出され、加湿部(260)に溜められる。
従来は、空気を庫内へ供給する経路でその空気を冷却して生成される水を容器に溜め、その水を使って庫内を加湿する構成の加湿装置(210)において、例えば対象空間の外部の湿度が低い場合に水分を回収しにくく、空気を常に庫内の水容器に供給することにより水容器(261)の圧力が高くなると、水が容器に溜まりにくい。その結果、従来の加湿装置(210)では、庫内を十分に加湿できないことがある。
本前提技術1では、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。このため、庫内空間(201)の水容器(261)の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本前提技術では、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
なお、加湿装置(210)の制御の具体例については、図8及び図9のフローチャートを用いて後述する。
−前提技術の変形例−
〈変形例1〉
図2に示す前提技術1の変形例1は、切換弁(224)の構成が図1の前提技術1と異なるものである。
この変形例1では、切換弁(224)は、1つの三方弁(225)を用いる代わりに、2つの電磁弁(第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227))を用いている。第1電磁弁(226)は排出経路(223)に設けられている。給気経路(263)は水分取り出し部(250)と第1電磁弁(226)の間で排気経路に接続されている。第2電磁弁(227)は給気経路(263)に設けられている。
この変形例1の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の構成を除いて、上記前提技術1と同じである。
変形例1において水分を加湿部(260)の水容器(261)に溜める運転は、第1電磁弁(226)を開き、第2電磁弁(227)を閉じて行う。この状態では、前提技術1と同様に、水分取り出し部(250)を通過した外気が庫内空間(201)へ供給されず、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転は、第1電磁弁(226)を閉じ、第2電磁弁(227)を開いて行う。この状態では、水分取り出し部(250)を通過した外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ噴き出され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例1においても、前提技術1と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。このため、庫内空間(201)の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
なお、第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227)は、それぞれ、開閉のみが可能な弁でなく、流量調整が可能な弁で代用してもよい。
〈変形例2〉
図3に示す前提技術1の変形例2は、切換弁(224)の配置が図1の前提技術1と異なるものである。
この変形例2では、切換弁(224)は、前提技術1と同様に1つの三方弁(225)を用いている。この三方弁(225)は、庫外経路(221)に設けられている。三方弁(225)は、第1ポートと第2ポートが排出経路(223)に接続され、第3ポートが上記給気経路(263)に接続される。
この変形例2の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の配置を除いて、上記前提技術1と同じである。
変形例2において水分を加湿部(260)の水容器(261)にためる運転は、三方弁(225)の庫外経路(221)側を開き、給気経路(263)を閉じて行う。この状態では、外気は水容器(261)へ供給されないので、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転時は、三方弁(225)の庫外経路(221)側を閉じ、給気経路(263)側を開く。この状態では、外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ水分を含んだ空気として供給され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例2においても、前提技術1及び変形例1と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。そのため、庫内空間(201)(水容器(261))の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
〈変形例3〉
図4に示す前提技術1の変形例3は、切換弁(224)の配置が図2の変形例1と異なるものである。
この変形例3では、切換弁(224)は、変形例1と同様に2つの電磁弁(第1電磁弁(226)及び第2電磁弁(227))を用いている。第1電磁弁(226)は庫外経路(221)に設けられている。給気経路(263)は圧縮部(230)と第1電磁弁(226)の間で庫外経路(221)に接続されている。第2電磁弁(227)は給気経路(263)に設けられている。
この変形例3の加湿装置(210)の構成は、切換弁(224)の配置を除いて、上記変形例1と同じである。
変形例3において水分を加湿部(260)の水容器(261)に溜める運転は、第1電磁弁(226)を開き、第2電磁弁(227)を閉じて行う。この状態では、外気は水容器(261)へ供給されないので、水分が水容器(261)に溜まる。一方、庫内空間(201)を加湿する運転時は、第1電磁弁(226)を閉じ、第2電磁弁(227)を開く。この状態では、外気が水容器(261)に供給される。よって、水容器(261)に溜まった水が加湿ノズル(264)から庫内空間(201)へ水分を含んだ空気として供給され、庫内空間(201)が加湿される。
この変形例3においても、前提技術1及び変形例1,2と同様に、水分を水容器(261)に溜めるときには空気経路(220)を流れる空気を庫外へ排出するようにしている。そのため、庫内空間(201)(水容器(261))の圧力上昇が抑えられ、水容器(261)に水を十分に溜めることができる。そして、その後に空気経路(220)の気流を加湿部(260)へ向かうように切り換えることにより、水容器(261)に溜まった水を使って庫内を加湿できる。以上のように、本変形例においても、空気経路(220)に主経路と排出経路(223)を設け、水を貯留する運転と、庫内を加湿する運転を行えるようにしたことにより、対象空間を無給水で十分に加湿できる。
〈実施形態1〉
図5に示す実施形態1は、貯蔵庫(200)の庫内空間(201)の空気を冷却する冷凍機を備えた例である。
この変形例4において、貯蔵庫(200)には、仕切り板(273)を隔てて庫内空間(201)と貯蔵空間が区画形成されている。庫内空間(201)には、上記前提技術1及び変形例1〜3と同様に、各機器が設けられている。庫内空間(201)には、全体は示していない冷媒回路を有する冷凍機(270)に設けられる蒸発器が配置されている。庫内空間(201)は、貯蔵庫(200)の内部の空気を冷却する空間であり、冷却された空気は、図において、庫内空間(201)を下降して貯蔵空間へ流入し、貯蔵空間の上部から庫内空間(201)へ流入するようにして、貯蔵庫(200)内を循環する。
本実施形態では、空気経路(220)を流れる外気は、庫外経路(221)で冷却されるとともに、庫内空間(201)において、蒸発器を通って冷却された空気で冷却される。
なお、この変形例4において、圧縮部(230)、水分取り出し部(250)、加湿部(260)などのその他の構成は、前提技術と同じである。
〈運転動作〉
この加湿装置(210)では、エアポンプ(231)を起動することにより、空気経路(220)の流入口に設けられているフィルタを通って外気がエアポンプ(231)に吸い込まれる。エアポンプ(231)は外気を加圧して吐出する。加圧された外気は庫外経路(221)を流れる。加圧された空気は、高温(例えば100℃)になっており、外気よりも温度が高い。そのため、庫外経路(221)を流れる高温の外気は、庫外経路(221)の周囲の空気により冷却される。庫外経路(221)を流れる高温の外気が冷却されると、空気中の水蒸気が結露し、庫外経路(221)内を外気と水分とが流れる。
庫外経路(221)を流れる外気と水分は、庫内経路(222)に流入し、庫内空間(201)の低温の空気でさらに冷却され、庫内経路(222)中で水分が生成される。庫内経路(222)には水分取り出し部(250)が設けられており、空気中の水分が取り出されて加湿部(260)の水容器(261)に貯留する。水分取り出し部(250)を通過した外気は、排出経路(223)へ流れる。水分を加湿部(260)に溜める(貯水運転をする)とき、切換弁(224)は庫内経路(222)と排出経路(223)が連通し、給気経路(263)を閉じるように切り換えられている。そして、水分取り出し部(250)を通過した空気の一部又は全部が庫外へ排出される。そのため、庫内に設けられている加湿部(260)の水容器(261)の圧力は上昇しすぎず、水分が水容器(261)に貯留される。
加湿部(260)に水が十分に溜まると、加湿運転を行う。加湿運転時は、庫内経路(222)が加湿部(260)の給気経路(263)と連通するように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内空間(201)の湿度に応じて、一部又は全部が給気経路(263)へ流れる。給気経路(263)を通って水容器(261)に空気が供給されることにより、水容器(261)内の圧力が上昇し、加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気が庫内へ供給される。このようにして、加湿運転時には庫内が加湿される。
−変形例4の効果−
この変形例4では、空気経路(220)を流れる外気(水分取り出し用空気)が冷却部(240)により冷却された後、さらに庫内空気で冷却される。そして、生成された水分が水分取り出し部(250)で取り出され、加湿部(260)に溜められる。このように、水分取り出し用の空気である外気を、低温の庫内空気で冷却することにより、水分を十分に生成できる。よって、上記前提技術と比較して、庫内を無給水で、より十分に加湿できる。
また、上記前提技術で説明したその他の効果は、本変形例でも同様に奏することができる。
この実施形態1においては、蒸発器で冷却した庫内空気により、水分取り出し部(250)へ供給される空気を冷やす構成を、前提技術の加湿装置(210)に適用している。しかしながら、蒸発器で冷却した庫内空気により、水分取り出し部(250)へ供給される空気を冷やす構成は、変形例1〜変形例3に適用してもよい。その場合でも、この変形例4と同様の効果を奏する。
〈変形例1〉
上記冷却部(240)は、上記冷凍機が有する冷媒回路の冷媒と空気経路(220)の外気が熱交換し、外気が冷却される冷却熱交換器にしてもよい。
図6に示すように、この変形例1では、冷却部(240)は、二重管熱交換器(145)で構成されている。この二重管熱交換器(145)は、後述するが、実施形態2で説明する冷媒回路における圧縮機の吸入管(12a)と蒸発器の出口管(15a)との間に接続される内管(146)と、内管(146)の外径よりも内径が大きくて長さが短い外管(147)とを有し、外管(147)の両端部は端板(147a)で閉塞されている。
外管(147)の一端には、空気経路(220)に接続される空気流入管(148)が設けられている。外管(147)の他端には、水分取り出し部(250)に接続される空気流出管(149)が設けられている。
この構成において、空気流入管(148)から外管(147)へ流入した被処理空気は、内管の中を流れる低温の冷媒によって冷却され、被処理空気に含まれる一部の水蒸気が凝縮する。水分の一部が凝縮した被処理空気は水分取り出し部(250)へ流れて行き、そこで凝縮水が加湿部(260)へ供給される。加湿部(260)に供給された凝縮水は、供給管(263)から水容器(261)へ空気が供給されることにより加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内空間(201)へ供給される。
したがって、この変形例1においても、上記実施形態1及び各前提技術と同様に、庫内空間(201)の加湿や保湿を行うことができる。
〈実施形態2〉
図7に示す実施形態2は、実施形態1の加湿装置(210)に設けられている水分取り出し部(250)が1つであるのに対して、2つの水分取り出し部(250)を設けている点が、上記実施形態1と異なる。
具体的には、実施形態2の水分取り出し部(250)は、第1水分取り出し部(250)として、庫内経路(222)に設けられ、庫内空間(201)に位置している。もう一つの水分取り出し部(250)は、第2水分取り出し部(250)として、庫外経路(221)に設けられ、庫外空間に位置している。このように、変形例6では、水分取り出し部(250)が、庫内空間(201)の内部と外部にそれぞれ設けられている。
この変形例6では、庫外空間で冷却された空気から生成された水分は、庫外空間の第2水分取り出し部(250)で取り出される。また、庫内空間(201)の内部で冷却されて生成された水分は、第1水分取り出し部(250)で取り出される。外気等の条件によっては、対象空間(201)の外部の方が内部より水分取り出し量が多いことがあり、この変形例6では、そのような場合に対象空間(201)を十分に加湿できる。
例えば、外気の方が庫内空間(201)よりも温度が低い場合、エアポンプ(231)で加圧した外気から得られる結露水の量が、その後にさらに庫内空間(201)で冷却して得られる結露水の量よりも多い場合がある。この変形例6は、そのような場合に、第2水分取り出し部(250)を庫内空間(201)の加湿に有効に利用できる。
〈加湿制御1〉
実施形態の加湿制御の第1の制御例を、図8のフローチャートを用いて説明する。この加湿制御1は、図1に示すように、加湿部(260)の水容器(261)にレベルセンサ(262)を設けている場合の制御例である。レベルセンサ(262)を設けない場合の制御例は、後述の加湿制御2において説明する。
加湿制御1では、加湿部(260)を用いて庫内空間(201)を加湿しない場合は、外気を庫内へ導入することによる加湿を行う。一方、外気での加湿を行えない場合には、レベルセンサ(262)を用いて加湿部(260)の水分量を検出し、水分貯留運転と加湿運転とを切り換える。上記切換弁(224)は、上記庫内空間(201)の湿度が所定値よりも低いと、空気経路(220)の気流が主経路(221,222,263)側へ向かうように切り換えられ、上記庫内空間(201)の湿度が所定値以上であると、空気経路(220)の気流が排出経路(223)側へむかうように切り換えられる。この加湿制御1には、外気湿度センサ(234)、外気温度センサ(235)、庫内湿度センサ(202)、及び庫内温度センサ(203)の検出値が用いられる。
加湿制御1が開始されると、ステップST11において、庫内空間(201)(フローチャートでは密閉空間と表示)の湿度が設定湿度よりも低いかどうかが判別される。庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるまでは次の動作へ移行せず、庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるとステップST12へ進む。
ステップST12では、外気の温度と湿度から、外気を庫内空間(201)の温度に変化させた場合の湿度を計算で求め、その湿度を「試算湿度」とする。次にステップST13へ進み、試算湿度が設定湿度よりも大きいかどうかが判別される。試算湿度の方が大きい場合、外気を庫内温度まで冷やしたときの湿度が庫内湿度よりも大きいことになる。
判別結果が「YES」の場合、ステップST15で、空気経路(220)において、水分取り出し部(250)を通過した空気が吸気経路を通って加湿部(260)へ流れるように、切換弁(224)を切り換える。こうすることにより、湿度の高い外気を用いて庫内が加湿される。また、このときに水容器(261)内に水分が十分に溜まっていれば、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST13の判別結果が「NO」の場合、ステップST14へ進み、レベルセンサ(262)の検出値に基づいて、水容器(261)の水量が十分かどうかが判別される。水量が十分であれば、ステップST15へ進む。このときは、上述したように水容器(261)内に水分が十分に溜まっているので、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST14において、水容器(261)の水量が十分でないと判断されると、ステップST16へ進む。ステップST16では、水分取り出し部(250)を通過した空気が排出経路(223)へ流れるように切換弁(224)が切り換えられる。このとき、水分取り出し部(250)を通過した空気は、庫内(加湿部(260))へは供給されない。よって、加湿部(260)の圧力は上昇しない。そのため、水分取り出し部(250)において空気経路(220)から取り出された水分が加湿部(260)に溜まる。加湿部(260)に水が十分に溜まると、ステップST14の判別結果が「YES」になり、庫内空間(201)が加湿される。
〈加湿制御2〉
加湿部(260)にレベルセンサ(262)を設けない場合の制御例として、図9のフローチャートに基づいて加湿制御2を説明する。レベルセンサ(262)を設けない加湿制御2では、空気経路(220)の水分取り出し用空気から水分を取り出すのに必要な時間(タイマーA)を算出する。また、水容器(261)に溜まった水がなくなるまでの加湿可能時間(タイマーB)を算出し、空気経路(220)の空気を加湿部(260)へ流す時間を定める。
加湿制御2が開始されると、ステップST21において、庫内空間(201)(フローチャートでは密閉空間と表示)の湿度が設定湿度よりも低いかどうかが判別される。庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるまでは次の動作へ移行せず、庫内空間(201)の湿度が設定湿度より低いと判別されるとステップST22へ進む。
ステップST22では、外気の温度と湿度から、外気を庫内空間(201)の温度に変化させた場合の湿度を計算で求め、その湿度を「試算湿度」とする。次にステップST23へ進み、試算湿度が設定湿度よりも大きいかどうかが判別される。試算湿度の方が大きい場合、外気を庫内温度まで冷やしたときの湿度が庫内湿度よりも大きいことになる。
判別結果が「YES」の場合、ステップST24で、空気経路(220)において、水分取り出し部(250)を通過した空気が吸気経路を通って加湿部(260)へ流れるように、切換弁(224)を切り換える。こうすることにより、湿度の高い外気を用いて庫内が加湿される。また、このときに水容器(261)内に水分が十分に溜まっていれば、その水分が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST23の判別結果が「NO」の場合、ステップST25へ進み、外気の温度と湿度、庫内の温度とエアポンプ(231)の空気の吐出量や圧力から、1秒当たりの水分分離量を算出する。そして、加湿部(260)に十分な水分量を溜めるのに必要な時間を、水分分離運転時間(タイマーA)を算出する。
次に、ステップST24では、タイマーAがカウントアップしたかどうかを判別する。判別結果が「NO」であれば、水分取り出し部(250)を通過した空気が排出経路(223)へ流れるように切換弁(224)が切り換えられ、空気経路(220)の空気から水分を取り出す運転が行い、ステップST26とステップST27のループを繰り返す。
ステップST26で判別結果が「YES」になると、加湿部(260)に十分な量の水が溜まったと判断される。このとき、ステップST28へ進み、上記の試算湿度と、庫内温度及び庫内湿度、エアポンプ(231)の吐出量から、加湿を行える加湿運転時間(タイマーB)を算出する。
ステップST29,ステップST30では、タイマーBがカウントアップするまで、水分取り出し部(250)を通過した空気が加湿部(260)の水容器(261)に流入する。このことにより、水容器(261)の圧力が上昇し、水容器(261)の水が加湿ノズル(264)から水分を含んだ空気として庫内へ供給され、庫内空間(201)が加湿される。
ステップST29でタイマーBがカウントアップすると、加湿運転時間が終了したと判断され、加湿運転が終了する。
以上のように、加湿制御1及び加湿制御2のいずれの場合も、空気経路(220)を流れる水分取り出し用の空気を庫外へ排出する運転と、庫内へ供給する運転を行うので、庫内空間(201)を無給水で十分に加湿できる。
《実施形態3》
本実施形態の空気組成調節装置は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用コンテナ(1)に設けられる庫内空気調節装置(30)である。そして、庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間(対象空間)の庫内空気の組成を、大気の組成と異なるように調節する。庫内空気調節装置(30)は、本開示の加湿装置を備えている。
図10に示すように、収納庫を構成する輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用冷凍機(10)とを備えている。この輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理か可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、コンテナ用冷凍機(10)に設置される。この輸送用コンテナ(1)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行う植物を輸送するために用いられる。植物の例としては、バナナやアボカド等の果物、野菜、穀物、球根、生花等が挙げられる。
コンテナ本体(2)は、細長い直方体形状の箱状に形成されている。コンテナ本体(2)は、一方の端面が開口し、この開口端を塞ぐようにコンテナ用冷凍機(10)が取り付けられる。コンテナ本体(2)の内部空間は、貨物(6)を収納するための荷室(5)を構成する。
荷室(5)の底部には、貨物(6)を載せるための床板(3)が配置される。この床板(3)とコンテナ本体(2)の底板との間には、コンテナ用冷凍機(10)が吹き出した空気を流すための床下流路(4)が形成される。床下流路(4)は、コンテナ本体(2)の底板に沿ってコンテナ本体(2)の長手方向へ延びる流路である。床下流路(4)は、一端がコンテナ用冷凍機(10)の吹出口(27)に接続し、他端が床板(3)の上側の空間(即ち、貨物(6)が収容される空間)と連通する。
−コンテナ用冷凍機−
図10に示すように、コンテナ用冷凍機(10)は、ケーシング(20)と、冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とを備えている。
ケーシング(20)は、庫外壁部(21)と、庫内壁部(22)と、背面板(24)と、区画板(25)とを備えている。後述するように、このケーシング(20)には、冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とが設けられる。
庫外壁部(21)は、コンテナ本体(2)の開口端を覆うように配置される板状の部材である。庫外壁部(21)は、下部がコンテナ本体(2)の内側へ膨出している。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)に沿った形態の板状の部材である。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)におけるコンテナ本体(2)の内側の面を覆うように配置される。庫外壁部(21)と庫内壁部(22)の間の空間には、断熱材(23)が充填されている。
ケーシング(20)は、その下部がコンテナ本体(2)の内側へ窪んだ形状となっている。ケーシング(20)の下部は、輸送用コンテナ(1)の外部空間と連通する庫外機器室(28)を形成する。この庫外機器室(28)には、庫外ファン(16)が配置される。
背面板(24)は、概ね矩形の平板状の部材である。背面板(24)は、庫内壁部(22)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置され、庫内壁部(22)との間に庫内空気流路(29)を形成する。この庫内空気流路(29)は、その上端がケーシング(20)の吸込口(26)を構成し、その下端がケーシング(20)の吹出口(27)を構成する。
区画板(25)は、庫内空気流路(29)を上下に区画するように配置された板状の部材である。区画板(25)は、庫内空気流路(29)の上部に配置される。この区画板(25)によって、庫内空気流路(29)は、区画板(25)の上側の一次流路(29a)と、区画板(25)の下側の二次流路(29b)に区画される。一次流路(29a)は、吸込口(26)を介して荷室(5)と連通する。二次流路(29b)は、吹出口(27)を介して床下流路(4)と連通する。区画板(25)には、庫内ファン(17)が取り付けられる。庫内ファン(17)は、一次流路(29a)から吸い込んだ庫内空気を二次流路(29b)へ吹き出すように配置される。
図11に示すように、冷媒回路(11)は、圧縮機(12)と、凝縮器(13)と,膨張弁(14)と、蒸発器(15)とを配管で接続することによって形成された閉回路である。圧縮機(12)を作動させると、冷媒回路(11)を冷媒が循環し、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。図10に示すように、凝縮器(13)は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に配置され、蒸発器(15)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。また、図10では図示を省略するが、圧縮機(12)は、庫外機器室(28)に配置される。
−庫内空気調節装置−
図10,図12に示すように、庫内空気調節装置(30)は、本体ユニット(31)と、センサユニット(90)と、換気用排気管(100)と、制御器(110)とを備えている。本体ユニット(31)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫外機器室(28)に設置される。センサユニット(90)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)に設置される。換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)と庫外機器室(28)に亘って設置される。制御器(110)は、本体ユニット(31)に設けられて、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。
図12に示すように、庫内空気調節装置(30)の本体ユニット(31)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)と、ユニットケース(32)とを備えている。ユニットケース(32)は、箱状の密閉容器である。第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)とは、このユニットケース(32)の内部空間に配置される。第1組成調節部(40)、第2組成調節部(60)、及びポンプユニット(35)の詳細は後述するが、各組成調節部(40,60)は、被処理空気(庫外空気、庫内空気)から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気(例えば後述の第1庫外空気)を分離する分離部(41,61)を有し、上記供給用空気を上記輸送用コンテナ(1)の内部空間へ供給することができるように構成されている。
また、庫内空気調節装置(30)は、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)とを備えている。供給管(120)、庫内側吸入管(75)、及び測定用配管(125)は、本体ユニット(31)をコンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)に接続するための配管である。
供給管(120)は、第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)から流出した供給用空気を荷室(5)へ供給するための配管である。供給管(120)は、入口端が第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)に接続され、出口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
庫内側吸入管(75)は、荷室(5)内の庫内空気を第2組成調節部(60)へ供給するための配管である。庫内側吸入管(75)は、入口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口し、出口端が後述する第2組成調節部(60)の第2ポンプ(37)に接続される。なお、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において、庫内側吸入管(75)の入口端は、供給管(120)の出口端の上流側に配置される。
測定用配管(125)は、供給管(120)を流れる供給用空気をセンサユニット(90)へ供給するための配管である。測定用配管(125)は、入口端が供給管(120)に接続され、出口端がセンサユニット(90)に接続される。また、測定用配管(125)には、電磁弁からなる測定用開閉弁(126)が設けられる。この測定用開閉弁(126)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に収容される。
なお、換気用排気管(100)と、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)と、後述する各組成調節部(40,60)に設けられた配管(52〜55, 71〜74,95)とは、硬質のパイプで構成されていてもよいし、柔軟なホースで構成されていてもよいし、パイプとホースを組み合わせることで構成されていてもよい。
〈ポンプユニット〉
図12に示すように、ポンプユニット(35)は、第1ポンプ(36)と、第2ポンプ(37)と、駆動モータ(38)とを備えている。
第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、吸い込んだ空気(被処理空気)を吐出する空気ポンプである。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、例えば容積型の流体機械によって構成される。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)は、一体化されている。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)に連結された電動機である。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方を駆動する。
〈第1組成調節部〉
第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ第1の被処理空気である庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本実施形態の第1組成調節部(40)は、供給用空気である第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫外空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第1組成調節部(40)は、エアフィルタ(47)と、第1分離モジュール(第1分離部)(41)と、第1バイパス弁(50)と、第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とを備えている。また、第1組成調節部(40)は、庫外側吸入管(55)と、第1導入管(52)と、第1一次側管(53)と、第1二次側管(54)と、第1バイパス管(51)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、この第1組成調節部(40)を構成する。
第1バイパス弁(50)と第1分離モジュール(41)との間には、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過する第1冷却管(131)が接続されている。この第1冷却管(131)と、それに関連する構造については後述する。
エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。エアフィルタ(47)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に取り付けられる。エアフィルタ(47)は、庫外側吸入管(55)を介して第1ポンプ(36)の吸入口に接続する。なお、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、庫外側吸入管(55)を省略し、密閉容器であるユニットケース(32)の内部空間を介してエアフィルタ(47)と第1ポンプ(36)を連通させてもよい。
詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、第1導入口(42)と、第1一次側導出口(43)と、第1二次側導出口(44)とを備える。第1導入口(42)は、第1冷却管(131)及び第1導入管(52)を介して第1ポンプ(36)の吐出口に接続する。第1一次側導出口(43)は、第1一次側管(53)を介して供給管(120)に接続する。第1二次側導出口(44)には、第1二次側管(54)の一端が接続する。第1二次側管(54)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第1二次側管(54)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。
第1バイパス弁(50)は、三つのポートを有する切換弁であって、第1バイパス弁機構を構成する。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図12に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第1バイパス弁(50)は、第1導入管(52)の途中に配置される。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第1ポンプ(36)の吐出口に接続し、第2のポートが第1冷却管(131)を介して第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)に接続する。第1バイパス弁(50)の第3のポートには、第1バイパス管(51)の入口端が接続する。第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)に接続する。第1バイパス管(51)は、第1バイパス通路を構成する。
第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に設けられる。第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に接続する第1バイパス管(51)の他端よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。また、第1圧力センサ(45)は、第1調節弁(46)よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。
第1圧力センサ(45)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出した第1庫外空気の圧力を計測する。第1圧力センサ(45)の計測値は、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力と実質的に等しい。
第1調節弁(46)は、開度可変の電動弁であって、第1弁機構を構成する。第1調節弁(46)の開度を変更すると、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力が変化する。
第1分離モジュール(41)は、第1分離部を構成する。詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、分離膜(85)を備えている。そして、第1分離モジュール(41)は、未処理庫外空気を、分離膜(85)を透過しなかった第1庫外空気と、分離膜(85)を透過した第2庫外空気に分離する。
第1庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも高く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも低い低酸素濃度の気体である。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも低く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも高い高酸素濃度の気体である。このように、第1庫外空気と第2庫外空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。なお、本明細書における濃度は、体積割合を意味する。
〈第2組成調節部〉
第2組成調節部(60)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から吸い込んだ第2の被処理空気である庫内空気(未処理庫内空気)を第1庫内空気と第2庫内空気に分離するように構成される。本実施形態の第2組成調節部(60)は、供給用空気である第1庫内空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第2組成調節部(60)は、第2分離モジュール(第2分離部)(61)と、第2バイパス弁(70)と、第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とを備えている。また、第2組成調節部(60)は、第2導入管(72)と、第2一次側管(73)と、第2二次側管(74)と、第2バイパス管(71)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第2ポンプ(37)は、この第2組成調節部(60)を構成する。
第2バイパス弁(70)と第2分離モジュール(61)との間には、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過する第2冷却管(132)が接続されている。この第2冷却管(132)と、それに関連する構造については後述する。
詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、第2導入口(62)と、第2一次側導出口(63)と、第2二次側導出口(64)とを備える。第2導入口(62)は、第2冷却管(132)及び第2導入管(72)を介して第2ポンプ(37)の吐出口に接続する。第2一次側導出口(63)は、第2一次側管(73)を介して供給管(120)に接続する。第2二次側導出口(64)には、第2二次側管(74)の一端が接続する。第2二次側管(74)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第2二次側管(74)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。また、第2ポンプ(37)の吸入口には、庫内側吸入管(75)が接続する。
第2バイパス弁(70)は、三つのポートを有する切換弁であって、第2バイパス弁機構を構成する。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図12に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第2バイパス弁(70)は、第2導入管(72)の途中に配置される。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吐出口に接続し、第2のポートが第2冷却管(132)を介して第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)に接続する。第2バイパス弁(70)の第3のポートには、第2バイパス管(71)の入口端が接続する。第2バイパス管(71)の出口端は、第2一次側管(73)に接続する。第2バイパス管(71)は、第2バイパス通路を構成する。
第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に設けられる。第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に接続する第2バイパス管(71)の他端よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。また、第2圧力センサ(65)は、第2調節弁(66)よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。
第2圧力センサ(65)は、第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から流出した第2庫外空気の圧力を計測する。第2圧力センサ(65)の計測値は、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力と実質的に等しい。
第2調節弁(66)は、開度可変の電動弁であって、第2弁機構を構成する。第2調節弁(66)の開度を変更すると、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力が変化する。
第2分離モジュール(61)は、第2分離部を構成する。詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、分離膜(85)を備えている。そして、第2分離モジュール(61)は、未処理庫内空気を、分離膜(85)を透過しなかった第1庫内空気と、分離膜(85)を透過した第2庫内空気に分離する。
第1庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも高く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも低い低酸素濃度かつ低二酸化炭素濃度の気体である。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも低く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも高い高酸素濃度かつ高二酸化炭素濃度の気体である。このように、第1庫内空気と第2庫内空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。
〈分離モジュール〉
第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)の構造について、図13を参照しながら説明する。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)の構造は、互いに同じである。
各分離モジュール(41,61)は、一つの筒状ケース(80)と、二つの隔壁部(81a,81b)とを備えている。筒状ケース(80)は、両端が閉塞された細長い円筒状の容器である。隔壁部(81a,81b)は、筒状ケース(80)の内部空間を仕切るための部材であって、筒状ケース(80)の内部空間を横断するように設けられる。隔壁部(81a,81b)は、筒状ケース(80)の内部空間の一端寄りの位置と他端寄りの位置とに一つずつ配置される。図13において、筒状ケース(80)の内部空間は、左側の隔壁部(81a)の左側に位置する導入室(82)と、二つの隔壁部(81a,81b)の間に位置する二次側導出室(84)と、右側の隔壁部(81b)の右側に位置する一次側導出室(83)とに仕切られる。
各分離モジュール(41,61)は、中空糸状(即ち、外径が1mm以下の非常に細い管状)に形成された分離膜(85)を多数備えている。中空糸状の分離膜(85)は、一方の隔壁部(81a)から他方の隔壁部(81b)に亘って設けられる。各分離膜(85)は、一端部が一方の隔壁部(81a)を貫通して導入室(82)に開口し、他端部が他方の隔壁部(81b)を貫通して一次側導出室(83)に開口する。筒状ケース(80)の内部空間は、二つの隔壁部(81a,81b)に挟まれた空間のうち分離膜(85)の外側の部分が、二次側導出室(84)を構成する。各分離モジュール(41,61)において、導入室(82)と一次側導出室(83)は、中空糸状の分離膜(85)を介して連通する一方、二次側導出室(84)は、分離膜(85)の内側の空間、導入室(82)、及び一次側導出室(83)と非連通となる。
筒状ケース(80)には、導入口(42,62)と、一次側導出口(43,63)と、二次側導出口(44,64)とが設けられる。導入口(42,62)は、図13における筒状ケース(80)の左端部に配置され、導入室(82)と連通する。一次側導出口(43,63)は、図13における筒状ケース(80)の右端部に配置され、一次側導出室(83)と連通する。二次側導出口(44,64)は、筒状ケース(80)の長手方向の中間部に配置され、二次側導出室(84)と連通する。
分離膜(85)は、高分子からなる非多孔膜である。この分離膜(85)は、物質毎に分子が分離膜(85)を透過する速度(透過速度)が異なることを利用して、気体に含まれる成分を分離する。
本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)のそれぞれに同じ分離膜(85)が設けられる。各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)は、窒素の透過速度が酸素の透過速度と二酸化炭素の透過速度の両方よりも低いという特性を有している。中空糸状の多数の分離膜(85)は、それぞれの膜厚が実質的に同じである。従って、各分離モジュール(41,61)に設けられた分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率と二酸化炭素の透過率の両方よりも低いという特性を有している。
各分離モジュール(41,61)では、導入口(42,62)を通って導入室(82)へ流入した被処理空気が、中空糸状の分離膜(85)の内側の空間を一次側導出室(83)へ向かって流れる。分離膜(85)の内側の空間を流れる被処理空気は、その一部が分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動し、残りが一次側導出室(83)へ流入する。
各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素および二酸化炭素の透過率よりも低い。つまり、窒素は、酸素および二酸化炭素に比べて分離膜(85)を透過しにくい。このため、中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる被処理空気は、一次側導出室(83)へ近付くにつれて、その窒素濃度が上昇すると同時に、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が低下する。また、中空糸状の分離膜(85)を流れる被処理空気に含まれる酸素と二酸化炭素は、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動する。
その結果、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気は、その窒素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも高くなり、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも低くなる。また、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ移動した処理後の空気は、その窒素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも低くなり、その酸素濃度および二酸化炭素濃度が導入室(82)の被処理空気よりも高くなる。
第1分離モジュール(41)では、第1導入口(42)から導入室(82)へ未処理庫外空気が流入し、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気が第1庫外空気として第1一次側導出口(43)から流出し、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ流入した処理後の空気が第2庫外空気として第1二次側導出口(44)から流出する。一方、第2分離モジュール(61)では、第2導入口(62)から導入室(82)へ未処理庫内空気が流入し、分離膜(85)を透過せずに一次側導出室(83)へ流入した処理後の空気が第1庫内空気として第2一次側導出口(63)から流出し、分離膜(85)を透過して二次側導出室(84)へ流入した処理後の空気が第2庫内空気として第2二次側導出口(64)から流出する。
〈センサユニット〉
図10及び図12に示すように、センサユニット(90)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。図12に示すように、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)と、二酸化炭素センサ(92)と、センサケース(93)とを備えている。
酸素センサ(91)は、空気等の混合気体の酸素濃度を計測するジルコニア電流方式のセンサである。二酸化炭素センサ(92)は、空気等の混合気体の二酸化炭素濃度を計測する非分散型赤外線吸収(NDIR:non dispersive infrared)方式のセンサである。酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)は、センサケース(93)に収容される。
センサケース(93)は、やや細長い箱状の部材である。センサケース(93)は、長手方向の一方の端部に測定用配管(125)の出口端が接続され、他方の端部に出口管(95)の一端が接続される。出口管(95)の他端は、庫内空気流路(29)の一次流路(29a)に開口する。また、センサケース(93)には、庫内空気流路(29)を流れる庫内空気をセンサケース(93)の内部空間へ導入するためのエアフィルタ(94)が取り付けられる。エアフィルタ(94)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。
庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。このため、測定用開閉弁(126)が閉じた状態では、二次流路(29b)の庫内空気がエアフィルタ(94)を通ってセンサケース(93)へ流入し、その後に出口管(95)を通って一次流路(29a)へ流入する。この状態で、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)が庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(92)が庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
〈換気用排気管〉
換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の内部と外部を繋ぐための配管である。この換気用排気管(100)は、換気用排気通路を構成する。図10に示すように、換気用排気管(100)は、コンテナ用冷凍機(10)のケーシング(20)を貫通する。換気用排気管(100)の一端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。換気用排気管(100)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸入側に開口する。
図12に示すように、換気用排気管(100)の一端には、エアフィルタ(102)が取り付けられる。エアフィルタ(102)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。また、換気用排気管(100)には、換気用排気弁(101)が設けられる。換気用排気弁(101)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈供給用空気の加湿構造部〉
〈空気経路〉
この実施形態では、供給用空気を加湿するための加湿構造部(130)が、本開示の加湿装置として設けられている。加湿構造部(130)は、庫外側吸入管(55)、第1導入管(52)、第1冷却管(131)、第1一次側管(53)、庫内側吸入管(75)、第2導入管(72)、第2冷却管(132)、第2一次側管(73)、及び供給管(120)により構成された空気経路(135)に設けられている。この実施形態では、空気経路(135)は、被処理空気が分離部(41,61)へ導入される上流側の経路と、分離部(41,61)で処理された供給用空気が庫内空間(5)へ流れて行く下流側の経路(供給管(120))とを含む。
加湿構造部(130)は、冷却部(140)と水分取り出し部(150)と加湿部(160)を備えている。空気経路(135)は、分離部(第1分離部及び第2分離部)である第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))から庫内空間へ連通する経路である。空気経路(135)には、第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))に流入する被処理空気を加熱する加熱部(170)も設けられている。
〈冷却部〉
上記冷却部(140)は、上記空気経路(135)の第1冷却管(131)及び第2冷却管(132)を、図12では便宜上2箇所に示した上記蒸発器(15)の近傍に通し、上記コンテナ用冷凍機(10)で生成される冷熱により、空気経路(135)から庫内へ供給される供給用空気を冷却するように構成されている。この冷却部(140)は、上記空気経路(135)における上記第1,第2分離部(41,61)の上流側に設けられている。具体的には、上記空気経路(135)に設けられて第1バイパス弁(50)と第1分離モジュール(41)との間で庫内空間を通過する第1冷却管(131)が、上記蒸発器(15)の近傍を通過するように配置され、第1冷却部(141)が構成されている。また、上記空気経路(135)に設けられて第2バイパス弁(70)と第2分離モジュール(61)との間で庫内空間を通過する第2冷却管(132)も、上記蒸発器(15)の近傍を通過するように配置され、第2冷却部(142)が構成されている。
〈水分取り出し部〉
上記冷却部(140)により空気経路(135)を流れる供給用空気(被処理空気)が冷却されて露点温度以下になると、供給用空気中の水分が、上記空気経路(135)に設けられている水分取り出し部(150)からドレン水として取り出される。この水分取り出し部(150)には、例えば市販されている第1水分フィルタ(151)と第2水分フィルタ(152)が用いられている。第1水分フィルタ(151)は第1冷却管(131)に設けられ、第2水分フィルタ(152)は第2冷却管(132)に設けられている。
水分フィルタは、例えば、容器内に所定量の凝縮水が溜まると、下部に設けられているバルブが開き、排水口から水が排出されるように構成されている。第1水分フィルタ(151)及び第2水分フィルタ(152)は、空気経路(135)中で上記冷却部(141,142)の下流側に配置されている。
〈加湿部〉
各水分フィルタ(水分取り出し部(150))の排水口には、図12には示していないが、例えばチューブなどの接続管を介して加湿器(160)が接続されている。加湿器(160)は、空気経路(135)の経路上に設けられ、具体的には供給管(120)に接続されている。図16に示すように、加湿部である加湿器(160)は、加湿容器(161)と蓋部材(162)とを備え、各水分フィルタ(水分取り出し部(150))からの水流入管(163)と、加湿容器(161)内に流入した供給用空気が流出する空気流出管(164)とを備えている。なお、供給用空気が加湿容器(161)の中へ流入する空気流入管は省略している。
この加湿器(160)では、加湿容器(161)の下部に上記凝縮水が溜まる。加湿容器(161)の上部は、庫内空間へ供給される供給用空気が一旦貯留される空間になっており、ポンプ圧が作用している。したがって、庫内へ供給される供給用空気に加湿容器(161)の内部で水分が与えられて加湿され、加湿された低酸素濃度の気体である供給用空気が庫内へ導入されることになる。
〈加熱部〉
上記加熱部(170)は、上記空気経路(135)に、上記冷却部(140)と上記分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱するように設けられている。具体的には、第1冷却部(141)と第1分離モジュール(41)との間に第1加熱部(171)が設けられ、第2冷却部(142)と第2分離モジュール(61)との間に第2加熱部(172)が設けられている。第1加熱部(171)及び第2加熱部(172)は、図12では便宜上2つに分けて示した庫外機器室(28)の凝縮器(13)の近傍に、上記第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)への流入側の空気経路(135)を通過させることにより構成されている。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)へ流入する被処理空気は凝縮器の温熱で加熱されるので、各分離モジュール(41,61)の分離膜(85)が冷えるのを抑えられる。
本実施形態では、上記分離部(第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))により、第1の被処理空気としての外気から低酸素濃度の供給用空気を分離し、上記加湿部(160)は、その供給用空気を加湿することが可能である。
また、本実施形態では、上記分離部(第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61))により、第2の被処理空気としての庫内空気から低酸素濃度かつ低二酸化炭素濃度の供給用空気を分離し、上記加湿部(160)は、その供給用空気を加湿することが可能である。
そして、本実施形態では、被処理空気としての外気から供給用空気を分離する分離部を第1分離部(41)とし、被処理空気としての庫内空気から供給用空気を分離する分離部を第2分離部(61)とすると、上記加湿部(160)は、上記第1分離部(41)で外気から生成された供給用空気と、上記第2分離部(61)で庫内空気から生成された供給用空気とを、いずれも無給水で加湿することができる。
本実施形態では、上記ポンプユニット(35)は、上記空気経路(135)において上記冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)を構成している。
〈制御器〉
制御器(110)は、制御動作を行うCPU(111)と、制御動作に必要なデータ等を記憶するメモリ(112)とを備える。制御器(110)には、酸素センサ(91)、二酸化炭素センサ(92)、第1圧力センサ(45)、及び第2圧力センサ(65)の計測値が入力される。制御器(110)は、ポンプユニット(35)、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、第1バイパス弁(50)、第2バイパス弁(70)、及び換気用排気弁(101)を操作するための制御動作を行う。また、制御器(110)による制御動作中に、加湿構造部(130)によって庫内の湿度が低下するのを無給水で抑える動作が行われる。
−コンテナ用冷凍機の運転動作−
コンテナ用冷凍機(10)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気を冷却する冷却運転を行う。
冷却運転では、冷媒回路(11)の圧縮機(12)が作動し、冷媒回路(11)において冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)では、圧縮機(12)から吐出された冷媒が、凝縮器(13)と膨張弁(14)と蒸発器(15)とを順に通過し、その後に圧縮機(12)へ吸入されて圧縮される。
また、冷却運転では、庫外ファン(16)と庫内ファン(17)とが作動する。庫外ファン(16)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部の庫外空気が庫外機器室(28)へ吸い込まれて凝縮器(13)を通過する。凝縮器(13)では、冷媒が庫外空気へ放熱して凝縮する。庫内ファン(17)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気が庫内空気流路(29)へ吸い込まれて蒸発器(15)を通過する。蒸発器(15)では、冷媒が庫外空気から吸熱して蒸発する。
庫内空気の流れについて説明する。荷室(5)に存在する庫内空気は、吸込口(26)を通って庫内空気流路(29)の一次流路(29a)へ流入し、庫内ファン(17)によって二次流路(29b)へ吹き出される。二次流路(29b)へ流入した庫内空気は、蒸発器(15)を通過する際に冷却され、その後に吹出口(27)から床下流路(4)へ吹き出され、床下流路(4)を通って荷室(5)へ流入する。
庫内空気流路(29)において、一次流路(29a)は庫内ファン(17)の吸い込み側に位置し、二次流路(29b)は庫内ファン(17)の吹き出し側に位置する。このため、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。
−庫内空気調節装置の運転動作−
庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気の組成(本実施形態では、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)を調節するための運転を行う。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)の運転動作について、庫内空気の酸素濃度の目標範囲が5%±1%であり、庫内空気の二酸化炭素濃度の目標範囲が2%±1%である場合を例に説明する。
〈庫内空気調節装置の運転動作の概要〉
本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作とを行う。
輸送用コンテナ(1)への貨物(6)の積み込みが完了した時点において、荷室(5)内に存在する庫内空気の組成は、大気の組成(窒素濃度:78%、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.04%)と実質的に同じである。そこで、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度低減動作を停止する。
庫内空気の酸素濃度が6%に達して庫内空気調節装置(30)の酸素濃度停止動作が停止した後は、貨物(6)である植物が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆくと同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が次第に上昇する。
庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の上限値(3%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作を行う。庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の下限値(1%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、二酸化炭素濃度低減動作を停止する。
また、庫内空気の酸素濃度が目標範囲の下限値(4%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度増加動作を停止する。
このように、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を21%(大気の酸素濃度)から目標範囲にまで引き下げるために、酸素濃度低減動作を行う。また、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を、それぞれの目標範囲に維持するために、二酸化炭素低減動作と酸素濃度増加動作とを適宜繰り返して行う。
〈酸素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作について、図13〜図15を適宜参照しながら説明する。この酸素濃度低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が酸素濃度の低い第1庫内空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給する。
酸素濃度低減動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図12に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定する。
先ず、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれる。第1ポンプ(36)は、吸い込んだ庫外空気を加圧して吐出する。第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧の2倍程度である。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1導入管(52)を流れ、第1冷却管(131)を通った後に第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)へ未処理庫外空気として流入する。未処理庫外空気が第1冷却管(131)を通るときの作用は後述する。
第1分離モジュール(41)において、第1導入口(42)を通って導入室(82)へ流入した未処理庫外空気は、中空糸状の分離膜(85)へ流入する。中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる未処理庫外空気は、その一部が分離膜(85)を透過して第2庫外空気として二次側導出室(84)へ移動し、残りが第1庫外空気として一次側導出室(83)へ流入する。上述したように、分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率よりも低い特性を持つ。このため、図14に示すように、第1庫外空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも低く、第2庫外空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも高い。
第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から第1一次側管(53)へ流出した第1庫外空気は、供給管(120)へ流入する。一方、第1分離モジュール(41)の第1二次側導出口(44)から第1二次側管(54)へ流出した第2庫外空気は、輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
次に、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)に吸い込まれる。第2ポンプ(37)は、吸い込んだ庫内空気を加圧して吐出する。第2ポンプ(37)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧よりも若干高い程度である。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2導入管(72)を流れ、第2冷却管(132)を通った後に第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)へ未処理庫内空気として流入する。未処理庫内空気が第2冷却管(131)を通るときの作用は後述する。
第2分離モジュール(61)において、第2導入口(62)を通って導入室(82)へ流入した未処理庫内空気は、中空糸状の分離膜(85)へ流入する。中空糸状の分離膜(85)の内側を流れる未処理庫内空気は、その一部が分離膜(85)を透過して第2庫内空気として二次側導出室(84)へ移動し、残りが第1庫内空気として一次側導出室(83)へ流入する。上述したように、分離膜(85)は、窒素の透過率が酸素の透過率よりも低い特性を持つ。このため、図14に示すように、第1庫内空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも低く、第2庫内空気の酸素濃度は、未処理庫外空気の酸素濃度よりも高い。
第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から第2一次側管(73)へ流出した第1庫内空気は、供給管(120)へ流入する。一方、第2分離モジュール(61)の第2二次側導出口(64)から第2二次側管(74)へ流出した第2庫内空気は、輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
上述したように、供給管(120)には、第1分離モジュール(41)から流出した第1庫外空気と、第2分離モジュール(61)から流出した第1庫内空気とが流入する(第1庫外と第1庫内空気は、いずれも被処理空気の処理前より処理後の酸素濃度が低い)。そして、供給管(120)を流れる第1庫外空気と第1庫内空気の混合空気は、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b)へ流入し、二次流路(29b)を流れる庫内空気と共に荷室(5)へ供給される。
通常、酸素濃度低減動作中は、輸送用コンテナ(1)の外部から内部へ供給される第1庫外空気の流量Qo1が、輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ排出される第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる(図14を参照)。つまり、第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となるように、第1庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度低減動作では、大気に比べて酸素濃度の低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて荷室(5)内の庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。また、酸素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された酸素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。
〈二酸化炭素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の二酸化炭素濃度低減動作について、図12,図13,図15を適宜参照しながら説明する。この二酸化炭素低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が二酸化炭素濃度の低い第1庫内空気(供給用空気)を荷室(5)へ供給する。
二酸化炭素濃度低減動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図12に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。そして、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれにおいて、庫外空気や庫内空気は、酸素濃度低減動作と同様に流れる。ただし、二酸化炭素濃度低減動作において、第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力と、第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、いずれも大気圧よりも若干高い程度である。
第1組成調節部(40)では、第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気が、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気とに分離される。そして、第1庫外空気(供給用空気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫外空気(排出用空気)が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。なお、未処理庫外空気の二酸化炭素濃度は、大気の二酸化炭素濃度(0.04%)と実質的に同じである。このため、第1庫外空気の二酸化炭素濃度は実質的にゼロと見なせる。
第2組成調節部(60)では、第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気が、未処理庫内空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が低い第1庫内空気と、未処理庫内空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い第2庫内空気とに分離される。そして、第1庫内空気(供給用空気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫内空気(排出用空気)が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
通常、二酸化炭素濃度低減動作中は、酸素濃度低減動作中と同様に、第1庫外空気の流量Qo1が第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる(図15を参照)。つまり、第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となるように、第1庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、二酸化炭素濃度低減動作では、二酸化炭素濃度の極めて低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。また、二酸化炭素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された二酸化炭素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。
〈酸素濃度増加動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度増加動作について、図12を参照しながら説明する。この酸素濃度増加動作では、第1組成調節部(40)が輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が輸送用コンテナ(1)の内部から吸い込んだ庫内空気をそのまま荷室(5)へ送り返す。
酸素濃度増加動作において、制御器(110)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図12に破線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
第1組成調節部(40)において、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気(この場合は未処理の庫外空気が供給用空気になる)は、第1バイパス管(51)へ流入し、その窒素濃度と酸素濃度を保った状態で第1一次側管(53)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。一方、第2組成調節部(60)において、第2ポンプ(37)へ吸い込まれた庫内空気(この場合は未処理の庫内空気が供給用空気になる)は、第2ポンプ(37)から吐出された後に第2バイパス管(71)を通って第2一次側管(73)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ戻る。また、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度増加動作では、庫内空気よりも酸素濃度の高い庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することによって、荷室(5)内の酸素濃度を上昇させる。
−制御器の制御動作−
庫内空気調節装置(30)の制御器(110)は、酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)の計測値を監視する。そして、庫内空気調節装置(30)が上述した動作を行うことによって、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれの目標範囲に保たれるように、酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)の計測値に基づいて庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。
〈庫内空間の加湿ないし保湿の作用〉
ところで、酸素濃度低減動作や二酸化炭素濃度低減動作において、未処理の庫外空気や未処理の庫内空気が第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)を通るとき、分離膜(85)で庫外空気や庫内空気中の水分が酸素や二酸化炭素とともに分離される。供給用空気から分離された水分は排出用空気に含まれて、排出用空気とともに庫外へ排出される。そのため、運転を継続すると庫内の湿度が低くなり、貨物(6)である植物から蒸発する水分量が多くなり、植物の重量減少や品質低下を招いてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、供給用空気は、上記加湿構造部(130)により第1冷却管(131)及び第2冷却管(132)で水分が与えられてから庫内へ供給される。したがって、庫内の湿度が低下するのを抑制できる。
〈外気を用いて行う庫内の加湿〉
図12において、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれ、第1ポンプ(36)で加圧されて第1導入管(52)から第1冷却管(131)へ送り出される。未処理の庫外空気が流れる第1冷却管(131)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において第1冷却部(141)である蒸発器(15)の近傍を通過しているので、第1冷却管(131)の中の庫外空気(水分取り出し用空気)が冷却され、庫外空気に含まれる水蒸気の一部が凝縮する。
凝縮した水を含む庫外空気は、水分取り出し部(150)である第1水分フィルタ(151)を通過し、そのときに凝縮水が加湿部(160)へ供給され、加湿容器(161)の下部に溜まる。加湿容器(161)では、溜まった凝縮水の上方を加圧された供給用空気が通過し、その際に供給用空気が加湿される。そして、加湿された供給用空気が庫内空間へ供給される。
外気中の水分で供給用空気を加湿する場合は、庫内へ供給する水蒸気量を、分離膜(85)で失われる水分量よりも多くすることができるから、結果として、庫内の湿度を上昇させる「加湿」を無給水で行うことができる。
第1水分フィルタ(151)を通過した庫外空気は、含有水分量の少ない空気であり、この庫外空気は第1加熱部(171)である凝縮器(13)で加熱されてから第1分離モジュール(41)へ流入する。したがって、第1分離モジュール(41)へ流入する庫外空気は、一旦低下した温度が凝縮器(13)で上昇し、しかも含有水分量の少ない乾燥空気(相対湿度が低い空気)であるから、分離膜(85)の信頼性が低下するのを抑制できる。
なお、第1分離モジュール(41)を通過した後の供給用空気の流れは既に説明したのでここでは省略する。
〈庫内空気を用いて行う庫内の保湿〉
図12において、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、コンテナ用冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)の流入口に設けられているフィルタ(図示せず)から庫内側吸入管(75)に流入して第2ポンプ(37)に吸い込まれ、第2ポンプ(37)で加圧されて第2導入管(72)から第2冷却管(132)へ送り出される。庫内空気が流れる第2冷却管(132)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において第2冷却部(142)である蒸発器(15)の近傍を通過しているので、第2冷却管(132)の中の庫内空気(水分取り出し用空気)が冷却され、庫内空気に含まれる水蒸気の一部が凝縮する。
凝縮した水を含む庫内空気は、水分取り出し部(150)である第2水分フィルタ(152)を通過し、そのときに凝縮水が加湿部(160)へ供給され、加湿容器(161)の下部に溜まる。加湿容器(161)では、溜まった凝縮水の上方を加圧された供給用空気が通過し、その際に供給用空気が加湿される。そして、加湿された供給用空気が庫内空間へ供給される。
庫内空気中の水分で供給用空気を加湿する場合は、庫内空間に存在した水蒸気を庫内空間へ戻す動作を行うものであるから、結果として、庫内の湿度を維持する「保湿」を無給水で行うことができる。
第2水分フィルタ(152)を通過した庫内空気は、含有水分量の少ない空気であり、この庫内空気は第2加熱部(172)である凝縮器(13)で加熱されてから第2分離モジュール(41)へ流入する。したがって、第2分離モジュール(41)へ流入する庫内空気は、一旦低下した温度が凝縮器(13)で上昇し、しかも含有水分量の少ない乾燥空気(相対湿度が低い空気)であるから、分離膜(85)の信頼性が低下するのを抑制できる。
なお、第2分離モジュール(61)を通過した後の供給用空気の流れは既に説明したのでここでは省略する。
−実施形態3の効果−
この実施形態3の空気組成調節装置は、被処理空気から該被処理空気とは組成が異なる供給用空気を分離する分離部(41,61)を有し、上記供給用空気を上記対象空間である荷室(5)の内部へ供給する組成調節部(40,60)と、上記分離部(41,61)から上記荷室(5)へ連通する空気経路(135)と、上記空気経路(135)で被処理空気を冷却除湿する冷却部(140)と、上記空気経路(135)を流れる被処理空気を冷却して生成される水分を取り出す水分取り出し部(150)と、上記水分取り出し部(150)で取り出された水分で上記荷室(5)へ吹き出される供給用空気を加湿する加湿部(160)と、を備えている。
従来であれば、例えば国際公開第2007/033668号において、分離部で水分が分離されることにより庫内が乾燥して農産物等の植物の鮮度低下により商品価値が低下するおそれがあったのに対して、この実施形態3では、上述したように、空気経路(135)を流れる被処理空気が冷却部(140)により冷却され、水分取り出し部(150)において被処理空気から水分が取り出される。この水分は、加湿部(160)において、荷室(5)へ吹き出される供給用空気を加湿する。そして、加湿された供給用空気が、空気経路(135)を通って荷室(5)へ供給される。したがって、荷室(5)の湿度が低下するのを無給水で抑制できるので、植物が乾燥して商品価値が低下する問題を抑制できる。
また、本実施形態では、加湿に用いられる水分は、フィルタを通過した被処理空気から生成している。単なるドレン水を用いて庫内を加湿すると、雑菌が繁殖するおそれがあるが、本実施形態では清浄な被処理空気から水分を取り出しているから、そのような問題も抑制できる。
また,本実施形態では、上記冷却部(140)を、空気経路(135)における上記分離部(41,61)の上流側に配置しているので、被処理空気が、空気経路(135)で冷却されて含有水分量が低下した後に分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)に水分が付着しにくくなり、分離部(41,61)の品質低下を抑制できる。
本実施形態では、空気経路(135)には、冷却部(140)と分離部(41,61)との間で被処理空気を加熱する加熱部(170)を設けているので、空気経路(135)を流れる被処理空気が、冷却部(140)で冷却されて含有水分量が少なくなった後に、加熱部(170)で加熱され、分離部(41,61)に流入する。したがって、分離部(41,61)へ低温の被処理空気が流入するのを抑制でき、乾燥空気を分離部(41,61)に供給することにより、分離膜(85)の信頼性を高められる。
また、本実施形態では、分離部(41,61)として、外気から供給用空気を分離する第1分離モジュール(41)と、対象空間(庫内空間)の庫内空気から供給用空気を分離する第2分離モジュール(61)とを用い、これらの供給用空気に加湿部(160)で水分を与えて庫内空間へ供給し、庫内の乾燥を抑制するようにしている。外気を用いる場合は、庫内への水分供給量を庫内からの水分排出量よりも多くすることができるから、庫内を無給水で加湿することができる。また、庫内空気を用いる場合は、庫内への水分供給量を庫内からの水分排出量とほぼ同じにすることができるから、庫内を無給水で保湿することができる。
また、本実施形態では、空気経路(135)に設けられているポンプユニット(35)を、冷却部(140)の上流側で被処理空気を加圧する加圧部(180)として用いており、冷却部(140)の上流側で被処理空気が加圧されるので、被処理空気の体積が小さくなって水分を取り出しやすくなる。したがって、供給用空気を十分に加湿できるから、植物の乾燥による品質低下をより確実に抑制できる。
また、本実施形態では、コンテナ用冷凍機(10)にもともと設けられている蒸発器(13)を用いて供給用空気を冷却している。したがって専用の冷却部を設ける必要がなく、構成を簡素化することが可能になる。
なお、上記実施形態では、冷却部(140)や加熱部(170)を分離部(41,61)の上流側に設けているが、分離部(41,61)の下流側に設けて供給用空気を冷却したり加熱したりするようにしてもよい。
−実施形態3の変形例−
〈変形例1〉
上記実施形態3では、上記冷却部(140)は、第1冷却管(141)及び第2冷却管(142)を蒸発器(13)の近傍に通す構成にしているが、例えば、実施形態1の変形例1で説明した図6の二重管熱交換器(145)を用いてもよい。二重管熱交換器(145)の具体的な構成の説明はここでは省略する。
この構成において、空気流入管(148)から外管(147)へ流入した被処理空気は、内管の中を流れる低温の冷媒によって冷却され、被処理空気に含まれる一部の水蒸気が凝縮する。水分の一部が凝縮した被処理空気は水分取り出し部(150)(第1水分フィルタ(151)または第2水分フィルタ(152))へ流れて行き、そこで凝縮水が加湿器(160)へ供給される。加湿器(160)に供給された凝縮水は、上記実施形態3と同様に、加湿容器(161)内で供給用空気を加湿し、加湿された供給用空気が空気経路(135)を流れて庫内空間へ供給される。
したがって、この変形例1においても、庫内空間の加湿や保湿を無給水で行うことができる。
〈変形例2〉
図12の例では、加湿器(160)を供給管(120)に接続し、空気経路(135)である供給管を流れる供給用空気に水分を含ませ、その水分を含んだ供給用空気を庫内空間(5)へ供給するようにしているが、加湿器(160)には、水分を含んだ供給用空気を庫内へ吹き出す供給管(120)とは別に、図16の加湿容器(161)内に溜まった水分を庫内へ噴霧する噴霧機構(図示せず)を設けてもよい。この場合、加湿器(160)には、加湿された空気の吹出口(供給管(120)の先端部:図16の空気流出管(164))と、水分の吹出口(噴霧機構の噴霧口)とが設けられる。
このように構成すると、噴霧機構を設けない場合に比べて、庫内空間の加湿量を増やすことが可能になる。
《実施形態4》
実施形態4について説明する。この実施形態4の庫内空気調節装置(30)は、実施形態3の第1組成調節部(40)を庫内空気調節装置(30)に設ける一方、第2組成調節部(60)は設けない構成にした例であり、ポンプユニット(35)や組成調節部(40)は一系統のみが設けられている。この実施形態4において、実施形態3と構成が共通する部分は説明を省略する。なお、被処理空気及び供給用空気が流れる回路は1系統のみであるが、各部品の名称は、便宜上、二系統が設けられていた実施形態3の「第1」の標記を変更せずに使用することとする。
図17に示すように、庫外側吸入管(55)には、エアフィルタ(47)とポンプユニット(35)の間に第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)が設けられている。庫内側吸入管(75)は、実施形態3とは異なり、第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)とポンプユニット(35)の間に接続され、第2開閉弁(第2電磁弁)(48b)が設けられている。この実施形態4では、第1開閉弁(第1電磁弁)(48a)と第2開閉弁(第2電磁弁)(48b)の一方を開き、他方を閉じることにより、庫外空気または庫内空気の何れかを組成調節部(40)で処理し、庫内へ供給することができる。
第1導入管(52)は、実施形態3の第1バイパス弁(50)が設けられておらず、第1冷却管(131)に接続されて庫内空気流路(29)の二次流路(29b)を通過し、庫内空気調節装置(30)のユニットケース(32)に戻って第1分離モジュール(41)に接続されている。
第1冷却管(131)には、実施形態3と同様に、庫内空気流路(29)の内部に冷却部(140)と水分取り出し部(150)が設けられ、ユニットケース(32)の内部に加熱部(170)が設けられている。また、供給管(120)には加湿部(160)が設けられ、冷却部(140)、水分取り出し部(150)及び加湿部(160)により加湿構造部(130)が構成されている。
実施形態3とは異なり、第1一次側管(53)には、第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に、上記第1バイパス弁(50)と同様に構成された流路切り換え弁(49)が設けられている。流路切換弁(49)は、第1のポートと第2のポートが第1一次側管(53)に接続され、第3のポートが循環配管(69)に接続されている。流路切り換え弁(49)を第2のポートと第3のポートが接続される状態に切り換えると、庫内ファン(17)により庫内空気流路(29)を流れる庫内空気が循環配管(69)から流出し、供給管(120)を通って庫内空気流路(29)へ戻る。
《水分回収量の試算》
ここで外気を加圧して体積を減らすことによる水分回収量について説明する。
ポンプユニット(35)により、庫外空気を300kPaに加圧する場合、庫外空気の体積は大気圧の約1/4になる。体積が小さくなると、庫外空気中に水蒸気の状態で存在できる水分の量が減少し、体積が1/4だと相対湿度は100%を超える。
例として、アボカドを輸送する条件(庫内温度:5℃、相対湿度:80%)で試算する。ポンプの吸入側が、空気温度:5℃、圧力:0kPa、湿度:80%RHとすると、庫外空気気に含まれる水分量は5.43g/m3で、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RHとすると、含まれる水分量は、6.79g/m3×体積1/4で、1.70g/m3である。この場合、水分の排出量は1.70g/m3であり、回収量は、5.43−1.70=3.73g/m3となる。
〈無給水加湿を行う場合の外気条件〉
庫内から排出される水分を回収するか否かによる水分回収量について試算する。
・実施形態3の場合(庫内の水分回収なし)
水分排出量が上記の5.43g/m3である条件で、ポンプで吸入する庫外空気には7.13g/m3(42%RH)以上の水蒸気量が必要になる。具体的には、ポンプの吸入側が、外気温度:20℃、圧力:0kPa、湿度:42%RH(水分量:7.25g/m3)とし、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RH(水分量:6.79g/m3×体積1/4)とすると、水分回収量は7.25−1.70=5.55g/m3となり、上記の5.43g/m3よりも多い。
・実施形態4の場合(庫内の水分回収あり)
水分排出量が上記の1.70g/m3である条件で、ポンプで吸入する庫外空気には3.4g/m3(20%RH)以上の水蒸気量が必要になる。具体的には、ポンプの吸入側が、外気温度:20℃、圧力:0kPa、湿度:20%RH(水分量:3.45g/m3)とし、ポンプの吐出側が、空気温度:5℃、圧力:300kPa、湿度:100%RH(水分量:6.79g/m3×体積1/4)とすると、水分回収量は3.45−1.70=1.75g/m3となり、上記の1.70g/m3よりも多い。
以上のことから、実施形態4では水分の排出量よりも回収量が多くなるので、植物の鮮度保持や分離膜(85)の結露防止の観点から、実施形態3よりも効果的である。
《実施形態5》
図18に示す実施形態5について説明する。この実施形態5の庫内空気調節装置(30)は、実施形態3の加湿部(160)の構成を変更した例である。
この実施形態5では、加湿部(160)は、実施形態3とは違って空気経路(135)の経路上には設けられておらず、供給管(120)に接続されずに該供給管(120)とは別に設置されている。
一方、加湿器(160)は、各水分フィルタ(水分取り出し部)(150)から供給された水分を溜める構成である点は実施形態3と同じであり、例えば各水分フィルタ(150)に接続管(図示省略)で接続されている。また、加湿器(160)は、図示していないが加湿容器(161)内の水分を庫内空間(5)へ直接供給するための機構として、例えば噴霧機構を有している。つまり、この実施形態5では、加湿器(160)は、庫内空間(5)へ供給される供給用空気に水分を与えて庫内空間(5)を加湿するのではなく、噴霧機構を用いて庫内空間(5)を直接に加湿するものとして構成されている。
この実施形態5においても、実施形態3,4と同様に庫内空間(5)の加湿や保湿を行えるので、植物の乾燥による品質低下を抑制することが可能である。
噴霧機構については実施形態3の変形例2においても説明したが、噴霧機構は、加湿器(160)の具体的な構成に応じて、設ける態様を適宜変更してもよい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)については、次のような変形例を適用してもよい。
−第1変形例−
実施形態3の庫内空気調節装置(30)において、第1分離モジュール(41)の分離膜(85)と第2分離モジュール(61)の分離膜(85)とは、それぞれの特性が互いに異なっていてもよい。
−第2変形例−
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、第1バイパス弁(50)は、第1分離モジュール(41)へ流入する未処理庫外空気の流量と、第1バイパス管(51)へ流入する未処理庫外空気の流量の割合を、多段階に又は連続的に変更できるように構成されていてもよい。また、第2バイパス弁(70)は、第2分離モジュール(61)へ流入する未処理庫内空気の流量と、第2バイパス管(71)へ流入する未処理庫内空気の流量の割合を、多段階に又は連続的に変更できるように構成されていてもよい。
−第3変形例−
実施形態3の庫内空気調節装置(30)では、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれに駆動モータが連結されていてもよい。この変形例では、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の一方を作動させて他方を休止させることが可能となる。
−第4変形例−
実施形態3の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれは、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、吸い込んだ被処理空気を互いに組成が異なる二種類の処理後の空気に分離するように構成されていてもよい。この場合、組成調節部(40,60)は、吸い込んだ被処理空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって、窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い処理後の空気を生成する工程と、吸着剤から窒素を脱離させて窒素濃度が高くて酸素濃度及び二酸化炭素濃度が低い処理後の空気を生成する工程とを繰り返し行う。
−第5変形例−
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、定置型の冷蔵庫または冷凍庫に設けられてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、トラックや鉄道などで輸送される陸上輸送用の冷蔵・冷凍コンテナに設けられていてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)は、荷室を形成する箱体が車台と一体になった冷蔵・冷凍トラックに設けられていてもよい。さらに、上記実施形態では庫内空気調節装置を説明したが、本開示は、対象空間の空気組成を調節する空気組成調節装置であれば、適用対象はコンテナ等の庫内に限定されない。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、空気組成調節装置について有用である。
1 輸送用コンテナ
5 荷室(対象空間、庫内空間)
10 コンテナ用冷凍機
30 空気組成調節装置
40 第1組成調節部(組成調節部)
41 第1分離モジュール(第1分離部)
60 第2組成調節部(組成調節部)
61 第2分離モジュール(第2分離部)
85 分離膜
135 空気経路
140 冷却部
150 水分取り出し部
160 加湿部
170 加熱部
180 加圧部