《実施形態1》
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
〈全体構成〉
図1及び図2に示すように、本実施形態は、空気組成調整装置(60)を備えた輸送用コンテナ(1)に関する。空気組成調整装置(60)は、外気とは異なる組成に調整した空気を対象空間に導入する。空気組成調整装置(60)は、ガス供給ユニット(30)と、センサユニット(50)とを備える。
ガス供給ユニット(30)は、空気の組成を調整する調整部と、空気を搬送する搬送部と、空気回路(3)とを有する。調整部は、後述する第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を含む(図4参照)。搬送部は、後述するエアポンプ(31)を含む(図4参照)。空気回路(3)は、エアポンプ(31)によって空気を第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に導入し、組成を調整した空気を対象空間へ供給する。
センサユニット(50)は、対象空間における空気中の成分の濃度を測定するセンサを有する。センサは、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)を含む。
〈輸送用コンテナ〉
輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、輸送用冷凍装置(10)とを備える。輸送用コンテナ(1)は、海上輸送等に用いられる。輸送用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の庫内空間(対象空間)の空気を冷却する。
コンテナ本体(2)の庫内空間には、生鮮物としての植物(15)が箱詰めされた状態で収納される。植物(15)は、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。植物(15)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行う。
コンテナ本体(2)は、一方の端面が開口する細長い直方体の箱状に形成される。輸送用冷凍装置(10)は、冷凍ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、空気組成調整装置(60)(Controlled Atmosphere System)とを備える。冷凍ケーシング(12)は、コンテナ本体(2)の開口端を塞ぐように取り付けられる。
〈輸送用冷凍装置〉
輸送用冷凍装置(10)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備える。輸送用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の庫内空気を、冷媒回路(20)の蒸発器(24)で冷却する。
〈ケーシング〉
冷凍ケーシング(12)は、庫外壁(12a)と、庫内壁(12b)とを有する。庫外壁(12a)は、コンテナ本体(2)の庫外側に位置する。庫内壁(12b)は、コンテナ本体(2)の庫内側に位置する。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成される。
庫外壁(12a)は、コンテナ本体(2)の開口端を塞ぐように、コンテナ本体(2)の開口の周縁部に取り付けられる。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ本体(2)の庫内側へ膨出している。
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置される。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられる。
このように、冷凍ケーシング(12)の下部は、コンテナ本体(2)の庫内側に向かって膨出している。これにより、冷凍ケーシング(12)の下部におけるコンテナ本体(2)の庫外側には、庫外収納空間(S1)が形成される。また、冷凍ケーシング(12)の上部におけるコンテナ本体(2)の庫内側には、庫内収納空間(S2)が形成される。
図1に示すように、冷凍ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成される。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1サービス扉(16A)及び第2サービス扉(16B)によって閉塞される。
第2サービス扉(16B)には、換気口(16D)が形成される。換気口(16D)は、コンテナ本体(2)の庫内空間と庫外空間とに連通する。換気口(16D)は、回転蓋(16C)によって開閉される。回転蓋(16C)は、中心軸を中心に回転可能となっている。回転蓋(16C)は、ユーザが手動で回転させることで、換気口(16D)を開く開状態と、換気口(16D)を閉じる閉状態とに切り換わる。
具体的に、回転蓋(16C)には、開口が形成される。回転蓋(16C)の開口を第2サービス扉(16B)の換気口(16D)に連通させることで、換気口(16D)が開状態となる。本実施形態では、第2サービス扉(16B)には、中心軸に対して対称な位置に、第1換気口と第2換気口の2つの換気口が形成される。回転蓋(16C)には、第1換気口と第2換気口に対応して2つの開口が形成される。
第1換気口は、開状態において、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と庫外空間とに連通している。第2換気口は、開状態において、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と庫外空間とに連通している。庫内ファン(26)を回転駆動することで、庫外空間から第1換気口を通って1次空間(S21)へ外気が給気される。庫内ファン(26)を回転駆動することで、2次空間(S22)から第2換気口を通って庫外空間へ庫内空気が排気される。
なお、回転蓋(16C)を回転させるモータ(図示省略)を備えた構成としてもよい。この場合、ユニット制御部(100)によって、回転蓋(16C)の開閉動作を制御すればよい。
図2に示すように、コンテナ本体(2)の庫内には、仕切板(18)が配置される。仕切板(18)は、略矩形状の板部材で構成される。仕切板(18)は、冷凍ケーシング(12)の庫内側の面と対向して配置される。仕切板(18)によって、コンテナ本体(2)の庫内の植物(15)が収納される庫内空間(対象空間)と、庫内収納空間(S2)とが区画される。
仕切板(18)の上端と、コンテナ本体(2)内の天井面との間には、吸込口(18a)が形成される。コンテナ本体(2)の庫内空気は、吸込口(18a)を通って庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられる。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられる。区画壁(13)は、庫内ファン(26)が設置される開口を有する。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。本実施形態では、区画壁(13)の上側に1次空間(S21)が設けられ、区画壁(13)の下側に2次空間(S22)が設けられる。
コンテナ本体(2)内には、コンテナ本体(2)の底面の上方に、床板(19)が設けられる。床板(19)には、箱詰めされた植物(15)が載置される。コンテナ本体(2)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成される。仕切板(18)の下端とコンテナ本体(2)内の底面との間には、隙間が設けられ、庫内収納空間(S2)が床下流路(19a)に連通している。
床板(19)におけるコンテナ本体(2)の奥側(図2で右側)には、吹出口(18b)が形成される。吹出口(18b)は、輸送用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ本体(2)の庫内へ吹き出す。
〈冷媒回路の構成と機器配置〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)で順に接続することで構成された閉回路である。ユニット制御部(100)は、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作を制御する。
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファン(25)が設けられる。庫外ファン(25)は、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動される。庫外ファン(25)は、コンテナ本体(2)の庫外空間の空気(外気)を凝縮器(22)へ送る。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で圧縮されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と、庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファン(26)が2つ設けられる。庫内ファン(26)は、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動される。庫内ファン(26)は、コンテナ本体(2)の庫内空気を吸込口(18a)から吸い込んで蒸発器(24)へ吹き出す。蒸発器(24)では、膨張弁(23)で減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と、庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納される。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分に配置される。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)を、下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画する。
第1空間(S11)には、圧縮機(21)と、インバータボックス(29)と、空気組成調整装置(60)のガス供給ユニット(30)とが設けられる。インバータボックス(29)には、圧縮機(21)を可変速で駆動する駆動回路が収納される。第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられる。
図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に収納される。庫内収納空間(S2)の蒸発器(24)の上方には、上述した2つの庫内ファン(26)が、冷凍ケーシング(12)の幅方向に並んで配置される(図1参照)。
〈空気組成調整装置〉
図4~図7に示すように、空気組成調整装置(60)は、ガス供給ユニット(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、制御部(55)とを備える。空気組成調整装置(60)は、コンテナ本体(2)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調整する。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
〈ガス供給ユニット〉
ガス供給ユニット(30)は、成分調整された空気を生成するためのユニットである。本実施形態では、ガス供給ユニット(30)は、コンテナ本体(2)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する。ガス供給ユニット(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成される。ガス供給ユニット(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置される。
図4に示すように、ガス供給ユニット(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)と、第2方向制御弁(33)と、空気回路(3)とを有する。空気回路(3)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が接続される。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の内部には、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が設けられる。空気回路(3)の構成部品は、ユニットケース(36)に収容される。
(エアポンプ)
エアポンプ(31)は、第1ポンプ機構(31a)と、第2ポンプ機構(31b)とを有する。第1ポンプ機構(31a)は、吸引した空気を加圧して吐出する加圧ポンプ機構を構成する。第2ポンプ機構(31b)は、減圧ポンプ機構を構成する。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(31c)の駆動軸に接続される。
(空気回路)
空気回路(3)には、エアポンプ(31)等の構成部品が接続される。空気回路(3)は、外気通路(41)、加圧通路(42)、減圧通路(43)、及び供給通路(44)を含む。
外気通路(41)は、ユニットケース(36)を内外に貫通する。第1ポンプ機構(31a)の吸込口には、外気通路(41)の一端が接続される。外気通路(41)の他端には、メンブレンフィルタ(37)が設けられる。メンブレンフィルタ(37)は、通気性と防水性とを有するフィルタである。図示していないが、メンブレンフィルタ(37)が設けられる外気通路(41)の他端は、庫外収納空間(S1)の凝縮器(22)の上方の第2空間(S12)に配置される。
第1ポンプ機構(31a)の吐出口には、加圧通路(42)の一端が接続される。加圧通路(42)の他端は2つに分岐して、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)に接続される。
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、減圧通路(43)の一端が接続される。減圧通路(43)の他端は2つに分岐して、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)に接続される。第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続される。供給通路(44)の他端は、コンテナ本体(2)の庫内収納空間(S2)において、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に開口する。供給通路(44)の他端部には、逆止弁(65)が設けられる。逆止弁(65)は、庫内収納空間(S2)へ向かう空気の流通を許容し、空気の逆流を防止する。
エアポンプ(31)の側方には、送風ファン(49)が2つ設けられる。送風ファン(49)は、エアポンプ(31)に向かって送風することで、エアポンプ(31)を冷却する。
加圧ポンプ機構である第1ポンプ機構(31a)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)のうち一方の吸着筒に対して加圧した空気を供給することで、その吸着筒において加圧空気中の窒素成分を吸着剤に吸着する吸着動作を行う。
減圧ポンプ機構である第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)のうち他方の吸着筒内から空気を吸引することで、その吸着筒の吸着剤に吸着している窒素成分を脱着する脱着動作を行う。脱着動作により、窒素濃縮空気が生成される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、吸着動作と脱着動作とが交互に行われる。供給通路(44)は、脱着動作で生成された窒素濃縮空気をコンテナ本体(2)の庫内に供給する通路である。
加圧通路(42)の第1ポンプ機構(31a)の出口部と、供給通路(44)の第2ポンプ機構(31b)の出口部とは、バイパス通路(47)で接続される。第1ポンプ機構(31a)の出口部は、第1ポンプ機構(31a)と第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)との間である。バイパス通路(47)には、バイパス開閉弁(48)が設けられる。バイパス開閉弁(48)は、制御部(55)によって開閉制御される。
外気導入通路(40)は、外気通路(41)と、加圧通路(42)の一部と、バイパス通路(47)と、供給通路(44)の一部とで構成される。外気導入通路(40)は、第1ポンプ機構(31a)を通過した加圧空気を庫内へ供給する。加圧空気の組成は、外気の組成と等しい。外気導入通路(40)には、冷却部(40a)が設けられる。冷却部(40a)は、ユニットケース(36)の外部の空間を通る。
(方向制御弁)
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)に設けられる。第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、エアポンプ(31)と、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に配置される。第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を、後述する2つの接続状態(第1又は第2接続状態)に切り換える。第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の切り換え動作は、制御部(55)によって制御される。
第1方向制御弁(32)は、加圧通路(42)と、減圧通路(43)と、第1吸着筒(34)の一端部とに接続される。加圧通路(42)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続される。減圧通路(43)は、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続される。第1吸着筒(34)の一端部は、加圧時の流入口である。
第1方向制御弁(32)は、第1状態(図4に示す状態)と、第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。第1状態では、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させ、第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する。第2状態では、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させ、第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する。
第2方向制御弁(33)は、加圧通路(42)と、減圧通路(43)と、第2吸着筒(35)の一端部とに接続される。
第2方向制御弁(33)は、第1状態(図4に示す状態)と、第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。第1状態では、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させ、第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する。第2状態では、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させ、第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を両方とも第1状態に設定すると、空気回路(3)が第1接続状態に切り換わる(図4を参照)。第1接続状態では、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され、第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される。第1接続状態では、第1吸着筒(34)において外気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)において吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作が行われる。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を両方とも第2状態に設定すると、空気回路(3)が第2接続状態に切り換わる(図5を参照)。第2接続状態では、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され、第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される。第2接続状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
(吸着筒)
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、円筒部材で構成される。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の内部には、吸着剤が充填される。吸着剤は、加圧下では窒素成分を吸着し、減圧下では吸着した窒素成分を脱着させる性質を有する。
吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトである。このような孔径のゼオライトを吸着剤に用いると、空気中の窒素成分を吸着することができる。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、外気中の窒素成分が吸着剤に吸着する。その結果、外気よりも窒素成分が少ない酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、外気よりも窒素濃度が低く酸素濃度が高い。
一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素成分が脱着する。その結果、外気よりも窒素成分を多く含む窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、外気よりも窒素濃度が高く酸素濃度が低い。本実施形態では、例えば、窒素濃度92%、酸素濃度8%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部(加圧時の流出口)には、酸素排出通路(45)の一端が接続される。酸素排出通路(45)は、加圧された外気から生成された酸素濃縮空気をコンテナ本体(2)の庫外へ導く。
酸素排出通路(45)の一端は、2つに分岐し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部のそれぞれに接続される。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給ユニット(30)の外部、すなわち、コンテナ本体(2)の庫外に開口する。酸素排出通路(45)が第1吸着筒(34)に接続された分岐部分及び第2吸着筒(35)に接続された分岐部分には、逆止弁(61)がそれぞれ設けられる。逆止弁(61)は、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止する。
酸素排出通路(45)の途中には、逆止弁(62)と、オリフィス(63)とが、一端から他端に向かって順に設けられる。逆止弁(62)は、後述する排気用接続通路(71)からの窒素濃縮空気が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側へ逆流するのを防止する。オリフィス(63)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から流出した酸素濃縮空気を、庫外への排出前に減圧する。
酸素排出通路(45)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を庫外へ排出する通路である。酸素排出通路(45)には、圧力センサ(66)が接続される。圧力センサ(66)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の合流点(P0)と逆止弁(62)との間に配置される。
排気用接続通路(71)は、圧力センサ(66)の下流側で、第2ポンプ機構(31b)の吐出口を酸素排出通路(45)に接続する通路である。逆止弁(62)は、第1接続点(P1)と、第2接続点(P2)との間に設けられる。第1接続点(P1)では、圧力センサ(66)と酸素排出通路(45)とが接続される。第2接続点(P2)では、酸素排出通路(45)と排気用接続通路(71)とが接続される。逆止弁(62)は、第1接続点(P1)から第2接続点(P2)への空気の流れを許容し、逆方向への空気の流れを禁止する。
(給排切換機構)
空気回路(3)には、給排切換機構(70)が設けられる。給排切換機構(70)は、ガス供給動作と、ガス排出動作とを切り換える。ガス供給動作は、窒素濃縮空気を第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)からコンテナ本体(2)の庫内に供給する動作である。ガス排出動作は、窒素濃縮空気を第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から庫外へ排出する動作である。給排切換機構(70)は、排気用接続通路(71)と、排気用開閉弁(72)と、供給用開閉弁(73)とを有する。
排気用接続通路(71)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素排出通路(45)に接続される。排気用接続通路(71)の他端は、酸素排出通路(45)にオリフィス(63)よりも庫外側で接続される。
排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)に設けられる。排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)の中途部に配置された電磁弁で構成される。排気用開閉弁(72)は、供給通路(44)から流入した窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる。排気用開閉弁(72)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
供給用開閉弁(73)は、供給通路(44)に設けられる。供給用開閉弁(73)は、供給通路(44)と排気用接続通路(71)の接続部よりも庫内側に配置される。供給用開閉弁(73)は、庫内側への空気の流通を許容する開状態と、庫内側への空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁で構成される。供給用開閉弁(73)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
〈排気部〉
図2及び図4に示すように、排気部(46)は、排気通路(46a)と、排気弁(46b)と、メンブレンフィルタ(46c)とを有する。メンブレンフィルタ(46c)は、排気通路(46a)の流入端部(庫内側端部)に設けられる。
排気通路(46a)は、冷凍ケーシング(12)を内外に貫通している。排気通路(46a)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ。
排気弁(46b)は、排気通路(46a)に接続される。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられる。排気弁(46b)は、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁で構成される。排気弁(46b)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
庫内ファン(26)の回転中に、制御部(55)によって排気弁(46b)を開くと、庫内空間に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内空間に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を通って庫外空間へ排出される。
〈センサユニットの回路構成〉
図2及び図4に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられる。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、排気管(57)と、給気管(78)と、開閉機構としての給気開閉弁(79)と、メンブレンフィルタ(54)とを有する。
酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)は、センサケーシング(90)に収容される。センサケーシング(90)には、給気管(78)の一端が接続されている。給気管(78)の他端は、庫内収納空間(S2)に開口する。給気管(78)は、センサケーシング(90)の内部に庫内空気を導入する通路を構成している。
給気管(78)の他端には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられる。センサケーシング(90)の内部には、メンブレンフィルタ(54)を通過した庫内空気が流入する。センサケーシング(90)には、排気口(図示省略)が設けられる。排気口には、排気管(57)が接続される。
給気管(78)には、給気開閉弁(79)が接続される。給気開閉弁(79)は、給気管(78)における空気の流通を許容する開状態と、給気管(78)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁で構成される。給気開閉弁(79)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
なお、開閉機構としての給気開閉弁(79)は、弁に限定されない。例えば、開閉機構は、シャッタでもよく、ダンパでもよい。開閉機構がシャッタの場合、シャッタは、センサケーシング(90)における給気管(78)の接続口に設けられる。開閉機構がダンパの場合、ダンパは、給気管(78)に設けられる。
酸素センサ(51)は、例えば、ジルコニア式センサで構成される。二酸化炭素センサ(52)は、例えば、非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサで構成される。排気管(57)の一端は、センサケーシング(90)に連結される。排気管(57)の他端は、庫内ファン(26)の吸込口の近傍で開口する。
庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、連通路(58)を介して連通している。連通路(58)は、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサ(51)、二酸化炭素センサ(52)、及び排気管(57)を含む。
庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が2次空間(S22)の圧力よりも低くなるので、この圧力差により、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを含む連通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。
庫内ファン(26)の運転中に、メンブレンフィルタ(54)を通って庫内空気がセンサケーシング(90)内に流入する。センサケーシング(90)内では、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを通過する。酸素センサ(51)は、庫内空気の酸素濃度を測定する。二酸化炭素センサ(52)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を測定する。
空気回路(3)には、センサ回路(80)が設けられる。センサ回路(80)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成した窒素濃縮空気の濃度を酸素センサ(51)で測定する給気測定動作を行う。センサ回路(80)は、分岐管(81)と、分岐開閉弁(82)とを備える。センサ回路(80)は、供給通路(44)を流れる空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)に導く。
分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端がセンサケーシング(90)に連結される。分岐管(81)は、ユニットケース(36)内において供給通路(44)から分岐して庫内空間に連通している。分岐管(81)の他端部(庫内部分)には、逆止弁(64)が設けられる。逆止弁(64)は、分岐管(81)の一端から他端へ向かう空気の流れを許容し、空気の逆流を防止する。
分岐開閉弁(82)は、ユニットケース(36)の内部に設けられる。分岐開閉弁(82)は、分岐管(81)の空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)の空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁で構成される。分岐開閉弁(82)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
庫内ファン(26)の運転停止中に給気測定動作を行う場合には、ガス供給ユニット(30)で生成された窒素濃縮空気が、分岐管(81)を介して酸素センサ(51)に導かれ、酸素センサ(51)において窒素濃縮空気の酸素濃度が測定される。
空気組成調整装置(60)では、センサの測定値が実際の値からずれると、濃度の調整が不安定になる。そのため、所定のタイミングで酸素センサ(51)に外気を導入して校正(測定値の補正)が行われる。酸素センサ(51)の校正中には、エアポンプ(31)で加圧された外気が、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をバイパスして分岐管(81)を通り、センサケーシング(90)内の酸素センサ(51)に導入される。
空気回路(3)は、センサケーシング(90)内に外気を導入する。空気回路(3)は、第1通路(75)と、第2通路(76)とを有する。第1通路(75)は、外気通路(41)と、加圧通路(42)とを含む。第2通路(76)は、バイパス通路(47)と、分岐管(81)とを含む。
第1通路(75)は、エアポンプ(31)により、外気を第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に導入する。第2通路(76)は、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間で、第1通路(75)から分岐して、センサケーシング(90)に連通する。
第2通路(76)には、気液分離器(85)が設けられる。気液分離器(85)は、酸素センサ(51)に導入される空気の水分を除去する。気液分離器(85)には、ドレン管(77)が接続される。ドレン管(77)は、空気から分離された水分を排出する。
〈センサユニットの配置と構造〉
センサケーシング(90)の内部には、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)が収容される。気液分離器(85)は、センサケーシング(90)に固定される。
図8に示すように、気液分離器(85)には、第2通路(76)の一部である分岐管(81)と、ドレン管(77)とが接続される。輸送用冷凍装置(10)の冷凍ケーシング(12)には、輸送用冷凍装置(10)で発生するドレン水を受けるためのドレンパン(28)が設けられる。ドレン管(77)は、ドレンパン(28)に水分を排出するように、気液分離器(85)から下方へ延びる。
センサケーシング(90)は、図示しないブラケットにより輸送用冷凍装置(10)の冷凍ケーシング(12)に固定される。本実施形態では、センサケーシング(90)は、庫内収納空間(S2)に位置する。センサケーシング(90)の内部には、メンブレンフィルタ(54)を通過した庫内空気が流入する。
気液分離器(85)とセンサケーシング(90)とは、連絡管(59)で接続される。センサケーシング(90)の内部には、エアポンプ(31)から搬送されて気液分離器(85)で水分が除去された空気が、連絡管(59)を介して流入する。
センサケーシング(90)には、排気管(57)が接続される。排気管(57)は、庫内ファン(26)の吸込口側で開口している。センサケーシング(90)の内部に流入した空気は、排気管(57)から排出される。
〈制御部〉
制御部(55)は、コンテナ本体(2)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度に調整する濃度調整運転の制御を実行する。具体的に、制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ本体(2)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)が所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給ユニット(30)、排気部(46)及びセンサユニット(50)の動作を制御する。
制御部(55)は、例えば、空気組成調整装置(60)の各要素を制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやディスク等の記憶媒体とを含む。制御部(55)の詳細な構造やアルゴリズムは、どのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
-運転動作-
〈冷媒回路の運転動作〉
本実施形態では、図3に示すユニット制御部(100)によって、コンテナ本体(2)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
冷却運転では、ユニット制御部(100)により、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。
冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ本体(2)の庫内空気は、蒸発器(24)を通過する際に、蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)で冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ本体(2)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ本体(2)の庫内空気が冷却される。
〈ガス供給ユニットの動作〉
(ガス生成動作)
ガス供給ユニット(30)では、第1生成動作と第2生成動作とが、所定の時間で交互に繰り返されることで、窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。第1生成動作は、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される動作(図4を参照)である。第2生成動作は、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される動作(図5を参照)である。各動作の切り換えは、制御部(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
《第1生成動作》
第1生成動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が両方とも、図4に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。
第1接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第2吸着筒(35)から窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気を吸引する。
具体的に、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を加圧通路(42)に吐出する。加圧通路(42)に吐出された加圧空気は、加圧通路(42)を流れる。そして、加圧空気が加圧通路(42)を介して第1吸着筒(34)へ供給される。
このようにして、第1吸着筒(34)には、加圧空気が流入し、加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。第1生成動作中に、第1吸着筒(34)では、第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1生成動作中に、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて、吸着剤に吸着された窒素成分が脱着する。このことにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
《第2生成動作》
第2生成動作では、制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が両方とも、図5に示す第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。この第2接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第2吸着筒(35)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第1吸着筒(34)から窒素濃縮空気を吸引する。
具体的に、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を加圧通路(42)に吐出する。加圧通路(42)に吐出された加圧空気は、加圧通路(42)を流れる。そして、第1生成動作と同様に、加圧空気が加圧通路(42)を介して第2吸着筒(35)へ供給される。
このようにして、第2吸着筒(35)には、加圧空気が流入し、該加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。第2生成動作中に、第2吸着筒(35)では、第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2生成動作中に、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて、吸着剤に吸着された窒素成分が脱着する。このことにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
(ガス供給動作及びガス排出動作)
ガス供給ユニット(30)では、給排切換機構(70)によって、ガス供給動作とガス排出動作とが切り換えられる。ガス供給動作は、空気回路(3)において生成した窒素濃縮空気をコンテナ本体(2)の庫内に供給する動作である。ガス排出動作は、脱着動作の開始時点から所定時間の間、生成した窒素濃縮空気をコンテナ本体(2)の庫内へ供給せずに排気する動作である。
図4及び図5に示すように、ガス供給動作では、制御部(55)によって、排気用開閉弁(72)が閉状態に制御され、供給用開閉弁(73)が開状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成された窒素濃縮空気が、供給通路(44)を通ってコンテナ本体(2)の庫内へ供給される。酸素濃縮空気は、酸素排出通路(45)を通って庫外へ排出される。
図示を省略するが、ガス排出動作では、制御部(55)によって、排気用開閉弁(72)が開状態に制御され、供給用開閉弁(73)が閉状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成されて供給通路(44)に吐出された窒素濃縮空気は、排気用接続通路(71)から酸素排出通路(45)に流入し、酸素排出通路(45)を流れる酸素濃縮空気と共に庫外へ排出される。
(外気導入動作)
本実施形態では、外気をコンテナ本体(2)の庫内へ導入する外気導入動作も可能である。図6に示す外気導入動作では、第1方向制御弁(32)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第2状態に設定され、バイパス開閉弁(48)が開かれる。供給用開閉弁(73)は開かれ、分岐開閉弁(82)は閉じられる。この状態でエアポンプ(31)を起動すると、外気が、外気通路(41)と加圧通路(42)の一部とバイパス通路(47)と供給通路(44)の一部とにより構成された、太い実線で示した外気導入通路(40)を流れる。外気導入通路(40)の通路抵抗が、第1方向制御弁(32)、第2方向制御弁(33)、第1吸着筒(34)、及び第2吸着筒(35)を通る流路の通路抵抗よりも小さいためである。そして、外気導入通路(40)を流れる外気と組成の同じ空気が、コンテナ本体(2)の庫内へ押し込まれる。
〈空気組成調整装置の濃度調整運転〉
本実施形態では、空気組成調整装置(60)は、制御部(55)によって、コンテナ本体(2)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)を所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調整する濃度調整運転を行う。濃度調整運転では、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ本体(2)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、ガス供給ユニット(30)及び排気部(46)の動作が制御される。
濃度調整運転中、制御部(55)は、分岐開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調整運転中、制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定される。
濃度調整運転中、第1生成動作及び第2生成動作を交互に繰り返してガス供給動作を行い、庫内の酸素濃度を調整する。このとき、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して、ガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ本体(2)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。庫内空気の酸素濃度が所定値(例えば8%)まで低下すると、制御部(55)は、ガス供給ユニット(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。コンテナ本体(2)の庫内では、植物(15)が呼吸を行うため、コンテナ本体(2)の庫内空気の酸素濃度が減少し、やがて目標酸素濃度の5%に至る。
庫内空気の酸素濃度を上昇させる運転は、バイパス開閉弁(48)を開いて、エアポンプ(31)に吸引した外気を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をバイパスさせてコンテナ本体(2)の庫内に供給する外気導入動作で行うことができる。このとき、外気は冷却部(40a)を通るので、庫内空気の温度上昇が抑えられる。
また、詳細は省略するが、庫内空気の酸素濃度(及び二酸化炭素濃度)の調整は、ガス供給動作、ガス排出動作、及び外気導入動作を適宜切り換えて行うこともできる。
(給気測定動作)
本実施形態では、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給ユニット(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作が行われる。給気測定動作は、上述の濃度調整運転や試運転等のガス供給動作中に庫内ファン(26)が停止した際に並行して行われる。
制御部(55)は、ガス供給動作中に、分岐開閉弁(82)を開状態に制御すると共に供給用開閉弁(73)を閉状態に制御する。これにより、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の全てが分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、酸素センサ(51)に導入され、酸素濃度が測定される。
このように、ガス供給ユニット(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給ユニット(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態であるかを確認することができる。
(センサ校正動作)
本実施形態では、外気をセンサユニット(50)に導入して酸素センサ(51)を校正する図7のセンサ校正動作を行うことができる。センサ校正動作は、例えば庫内を冷却しながら濃度調整を一旦停止して短時間(10分程度)で行い、その後に濃度調整運転に戻すことができる。
センサ校正動作では、第1方向制御弁(32)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第2状態に設定され、バイパス開閉弁(48)が開かれる。供給用開閉弁(73)は閉じられ、分岐開閉弁(82)は開かれる。この状態でエアポンプ(31)を起動すると、外気が、第1通路(75)と第2通路(76)を流れ、センサユニット(50)に導入される。酸素センサ(51)は、検出値が外気の酸素濃度を示すように校正される。
センサ校正動作中に、外気は気液分離器(85)を通過する。そのため、酸素センサ(51)には、水分の少なくとも一部が除去された外気が接触する。
〈センサの劣化について〉
次に、酸素センサ(51)の劣化について説明する。
(酸素センサの構造)
本実施形態の酸素センサ(51)は、ジルコニア式のセンサである。酸素センサ(51)の素子は、白金及びジルコニアで構成される。酸素センサ(51)は、白金及びジルコニアの固体電解質中を移動する酸素イオンの量を電気的に測定することで酸素濃度を測定する。
酸素センサ(51)の白金及びジルコニアには、接合補助剤として微量の金属酸化物が添加されている。白金とジルコニアとの界面で接合補助剤同士が結合することで、白金及びジルコニアが接合される。
(酸素センサの劣化の課題)
コンテナ本体(2)の庫内空間に収容された包装容器又は包装容器に梱包された生鮮物などから腐食成分が発生することがある。ここで、腐食成分とは、酸素センサ(51)を腐食させる成分のことである。腐食成分は、庫内の空気とともに輸送用コンテナ(1)内を循環する。
酸素センサ(51)が通電状態の場合、酸素センサ(51)は発熱し高温になる。一方、酸素センサ(51)が通電状態から非通電状態に切り替わると、酸素センサ(51)は発熱しなくなるので温度が下がる。酸素センサ(51)の温度が下がると、センサケーシング(90)内の温度が低下し、センサケーシング(90)内の相対湿度が上昇する。センサケーシング(90)内の相対湿度が上昇すると、水分が結露して、酸素センサ(51)の表面に水膜が形成される。
庫内の空気とともにセンサケーシング(90)に流入した腐食成分が酸素センサ(51)表面の水膜中に侵入すると、水膜内で腐食成分と酸素センサ(51)の接合補助剤が反応する。腐食成分と酸素センサ(51)の接合補助剤が反応すると、接合補助剤の結合力が弱まり、白金とジルコニアの接合力が低下し、酸素センサ(51)の出力が低下する。これが酸素センサ(51)の劣化である。
ここで、腐食成分は、硫黄成分を含む。水膜中に侵入しやすい腐食成分としては、硫酸イオンが挙げられる。
〈第1動作〉
制御部(55)は、空気組成調整装置(60)及び輸送用冷凍装置(10)が運転された状態において、以下の制御を行う。
図9に示すように、ステップST11において、制御部(55)は、空気組成調整装置(60)を制御して、空気の組成を調整する濃度調整運転を実行する。
ステップST12において、制御部(55)は、エアポンプ(31)を制御して、濃度調整された空気をコンテナ本体(2)の庫内空間に搬送する。このとき、給気開閉弁(79)は開状態となっており、庫内空気が給気管(78)を通ってセンサケーシング(90)の内部に流入する。酸素センサ(51)は、センサケーシング(90)内に流入した空気中の酸素濃度を測定する。
ステップST13において、制御部(55)は、空気組成調整装置(60)の運転停止指令を受けたかを判定する。ステップST13での判定が「YES」の場合、ステップST14に分岐する。ステップST13での判定が「NO」の場合、ステップST13を繰り返し行う。
ここで、空気組成調整装置(60)の運転停止指令は、例えば、ユーザによって停止ボタンが押された場合に出力される。なお、空気組成調整装置(60)の運転停止指令と同時に、輸送用冷凍装置(10)の運転停止指令を出力するようにしてもよい。
ステップST14において、制御部(55)は、給気開閉弁(79)を制御して、給気開閉弁(79)を閉じる第1動作を実行する。
第1動作では、給気開閉弁(79)が閉状態に切り換えられる。給気開閉弁(79)を閉じることで、給気管(78)において空気の流通が遮断される。これにより、空気組成調整装置(60)の運転停止中に、センサケーシング(90)の内部に庫内空気が流入するのを抑えることができる。その結果、腐食成分が長時間にわたって酸素センサ(51)に接触しないようにして、酸素センサ(51)の劣化を抑えることができる。
空気組成調整装置(60)の運転停止動作に連動して第1動作を行うタイミングは、空気組成調整装置(60)の運転を停止させる直前、運転停止動作と同時、運転を停止させた直後の何れかであればよい。
制御部(55)は、酸素センサ(51)のモニタリングの停止指令を受けた場合に、第1動作を行うようにしてもよい。酸素センサ(51)のモニタリングは、例えば、空気組成調整装置(60)において濃度調整運転が終了した場合、給気測定動作が終了した場合、及びセンサ校正動作が終了した場合に停止する。
なお、ステップST14では、ユーザが手動で給気開閉弁(79)を閉状態に切り換えるようにしてもよい。つまり、空気組成調整装置(60)の運転停止中に、給気開閉弁(79)を閉状態であればよい。
〈第2動作〉
制御部(55)は、空気組成調整装置(60)が運転停止された状態で且つ輸送用冷凍装置(10)が運転された状態において、以下の制御を行う。
図10に示すように、ステップST21において、ユニット制御部(100)は、輸送用冷凍装置(10)を制御して、コンテナ本体(2)の庫内空間を冷却する冷却運転を実行する。
ステップST22において、ユニット制御部(100)は、庫内ファン(26)を制御して、温度調整された空気をコンテナ本体(2)の庫内空間に搬送する。このとき、給気開閉弁(79)は開状態となっており、庫内空気が給気管(78)を通ってセンサケーシング(90)の内部に流入する。
ステップST23において、ユニット制御部(100)は、輸送用冷凍装置(10)の運転停止指令を受けたかを判定する。ステップST23での判定が「YES」の場合、ステップST24に分岐する。ステップST23での判定が「NO」の場合、ステップST23を繰り返し行う。
ここで、輸送用冷凍装置(10)の運転停止指令は、例えば、ユーザによって停止ボタンが押された場合に出力される。
ステップST24において、制御部(55)は、給気開閉弁(79)を制御して、給気開閉弁(79)を閉じる第2動作を実行する。
第2動作では、給気開閉弁(79)が閉状態に切り換えられる。給気開閉弁(79)を閉じることで、給気管(78)において空気の流通が遮断される。これにより、輸送用冷凍装置(10)の運転停止中に、センサケーシング(90)の内部に庫内空気が流入するのを抑えることができる。その結果、腐食成分が長時間にわたって酸素センサ(51)に接触しないようにして、酸素センサ(51)の劣化を抑えることができる。
輸送用冷凍装置(10)の運転停止動作に連動して第2動作を行うタイミングは、輸送用冷凍装置(10)の運転を停止させる直前、運転停止動作と同時、運転を停止させた直後の何れかであればよい。
なお、第1動作又は第2動作を行う際に、センサケーシング(90)の内部に外気を導入する動作を行うようにしてもよい。具体的に、外気を導入する動作では、図7に示すように、第1方向制御弁(32)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(33)が第2状態に設定され、バイパス開閉弁(48)が開かれる。供給用開閉弁(73)は閉じられ、分岐開閉弁(82)は開かれる。この状態でエアポンプ(31)を起動すると、外気が、第1通路(75)と第2通路(76)を流れ、センサケーシング(90)の内部に導入される。
センサケーシング(90)の内部に外気を導入すると、センサケーシング(90)の内部に滞留する腐食成分が、センサケーシング(90)の外部に排出される。具体的には、腐食成分は、排気口からセンサケーシング(90)の外部に排出される。本実施形態においては、排気口から排気管(57)を通った腐食成分は、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に排出される。これにより、空気組成調整装置(60)の運転停止中、又は輸送用冷凍装置(10)の運転停止中に、腐食成分によってセンサ(51)が劣化するのを抑えることができる。
制御部(55)は、センサケーシング(90)に外気を導入した後、又は外気を導入する前に、給気開閉弁(79)を閉状態に切り換える。これにより、腐食成分が長時間にわたってセンサ(51)に接触しないようにして、センサ(51)の劣化を抑えることができる。
また、第1動作又は第2動作を行う前に、回転蓋(16C)を開状態として換気口(16D)を開くことで、換気口(16D)を通して、庫内空間に外気を導入するようにしてもよい。換気口(16D)を通して庫内空間に導入された外気は、庫内ファン(26)によって庫内空間を流通する。外気を含む庫内空気は、センサケーシング(90)のメンブレンフィルタ(54)を通過して、センサケーシング(90)の内部に流入する。
本実施形態においては、換気口(16D)が庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と連通している。このため、換気口(16D)から取り込まれた外気が、1次空間(S21)から庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に導入され、2次空間(S22)に配置されたセンサケーシング(90)の内部に流入する。その結果、センサケーシング(90)の内部から腐食成分を排出することができる。
-実施形態1の効果-
本実施形態の特徴によれば、組成が調整された空気が対象空間に搬送される。対象空間における空気中の成分の濃度がセンサ(51)で測定される。センサ(51)は、センサケーシング(90)に収容される。センサケーシング(90)の内部には、通路(78)を介して、対象空間の空気が導入される。開閉機構(79)は、通路(78)を開閉する。
開閉機構(79)を開くことで、センサ(51)による測定が必要なときに、センサケーシング(90)の内部に対象空間の空気を導入することができる。これにより、腐食成分が長時間にわたってセンサ(51)に接触しないようにして、センサ(51)の劣化を抑えることができる。
本実施形態の特徴によれば、開閉機構(79)は、空気組成調整装置(60)の運転停止中に閉状態となっている。これにより、空気組成調整装置(60)の運転停止中に、センサケーシング(90)の内部に腐食成分が流入するのを抑えることができる。
本実施形態の特徴によれば、制御部(55)は、第1動作を実行する。第1動作は、空気組成調整装置(60)の運転停止動作に連動して、開閉機構(79)を閉じる動作である。
このように、第1動作において、開閉機構(79)を閉じることで、空気組成調整装置(60)の運転停止中に、センサケーシング(90)の内部に腐食成分が流入するのを抑えることができる。
本実施形態の特徴によれば、空気組成調整装置(60)を備えた冷凍装置において、開閉機構(79)を開くことで、センサ(51)による測定が必要なときに、センサケーシング(90)の内部に対象空間の空気を導入することができる。
本実施形態の特徴によれば、制御部(55)は、第2動作を実行する。第2動作は、冷凍装置(10)の運転停止動作に連動して、開閉機構(79)を閉じる動作である。
このように、第2動作において、開閉機構(79)を閉じることで、冷凍装置(10)の運転停止中に、センサケーシング(90)の内部に腐食成分が流入するのを抑えることができる。
本実施形態の特徴によれば、冷凍装置(10)を備えたコンテナにおいて、開閉機構(79)を開くことで、センサ(51)による測定が必要なときに、センサケーシング(90)の内部に対象空間の空気を導入することができる。
《実施形態2》
図11は、本実施形態2に係る輸送用冷凍装置の斜視図である。以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
図11に示すように、センサケーシング(90)は、庫外に配置されている。具体的には、センサケーシング(90)は、庫外収納空間(S1)の第2空間(S12)における電装品ボックス(17)の左側に配置される。ここで、「左側」は、輸送用コンテナ(1)の外部に露出した輸送用冷凍装置(10)の面を正面から見たときの方向を意味する。
図12に示すように、センサケーシング(90)には、給気管(78)の一端が接続されている。給気管(78)の他端は、庫内収納空間(S2)に開口する。給気管(78)の他端には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられる。給気管(78)は、庫内空気を、庫外に配置されたセンサケーシング(90)の内部に導入する通路を構成している。
給気管(78)には、給気開閉弁(79)が接続される。給気開閉弁(79)は、給気管(78)における空気の流通を許容する開状態と、給気管(78)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁で構成される。給気開閉弁(79)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態では、腐食成分による劣化を抑える対象のセンサとして酸素センサ(51)について説明したが、対象のセンサは、酸素センサ(51)には限定されない。対象のセンサは、庫内空気の成分の濃度を測定するセンサであればよい。例えば、酸素センサ(51)の代わりに、あるいは酸素センサ(51)に加えて、二酸化炭素センサ(52)を対象としてもよい。また、対象のセンサは、エチレン濃度を検知するエチレンセンサ、あるいは庫内への冷媒漏れを検知する漏洩検知センサでもよい。また、他のセンサが用いられる構成でそのセンサが腐食成分による劣化のおそれがある場合はそのセンサを対象としてもよい。
前記実施形態では、腐食成分による劣化を抑える対象の酸素センサ(51)としてジルコニア式のセンサについて説明したが、対象のセンサはジルコニア式のセンサには限定されない。例えば、ガルバニ電池式のセンサでもよい。
前記実施形態では、腐食成分として硫酸イオンを例示したが、硫酸イオン以外の硫黄成分、リン酸、カルシウム、塩素、アンモニアなどを含む他の腐食成分が、センサケーシング(90)の内部に流入するのを給気開閉弁(79)で遮断してもよい。
前記実施形態では、1つのエアポンプ(31)が第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とを有する構成としていたが、第1ポンプ機構(31a)と第2ポンプ機構(31b)とは、2つの個別のエアポンプによって構成されていてもよい。
前記実施形態の搬送部は、送風機を用いて構成してもよい。
前記各実施形態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をそれぞれ1本ずつ用いて、窒素の吸着及び脱着を行うようにしていたが、吸着筒の本数は1本ずつに限定されない。例えば、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をそれぞれ3本ずつ用いて、合計6本の吸着筒を備えた構成としてもよい。
前記実施形態の調整部としての第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、ゼオライトなどの吸着剤を用いる構成に限定されず、例えば、窒素の透過率と酸素(及び二酸化炭素)の透過率が異なるガス分離膜を用いて窒素濃縮空気及び酸素濃縮空気を生成し、これらの濃縮空気により庫内空気の組成を調整する構成であってもよい。
前記実施形態では、海上輸送用のコンテナ本体(2)に設けられる輸送用冷凍装置(10)に対して、空気組成調整装置(60)を適用した例について説明したが、空気組成調整装置(60)の用途はこれに限られない。空気組成調整装置(60)は、海上輸送用のコンテナの他、例えば、陸上輸送用のコンテナ、単なる冷凍冷蔵倉庫、常温の倉庫等の庫内空気の組成の調整に用いることができる。冷凍装置は、輸送用でなく、定置型の貯蔵庫(冷凍冷蔵倉庫)の庫内空間を冷却する装置であってもよい。
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。