JP2019191097A - 中流動コンクリート評価装置およびこれを用いた中流動コンクリートの評価方法 - Google Patents
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Description
中流動コンクリートは、打込み時に振動を補助的に加えて軽微な締固めを行うことで密実充填できる。そのため、トンネル覆工コンクリートとしての用途を含め、種々の用途に適用されている。
ここで、従来、有スランプコンクリートの締固めの程度は、スランプ試験装置の容器内でスランプ試験を行い、振動により試料が理論密度に締固まるまでの振動エネルギを「締固め完了エネルギ」として評価している。
これに対し、中流動コンクリートの締固めについても、締固め完了エネルギにより評価すればよいものの、中流動コンクリートはスランプが大きいため、スランプ試験時の加振前後でのスランプの変化がほとんど認められない。そのため、中流動コンクリートの締固め完了エネルギを既存のスランプ試験装置を用いて測定することは困難である。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、中流動コンクリートの施工性能の定量的な評価用として好適な中流動コンクリート評価装置およびこれを用いた中流動コンクリートの評価方法を提供することを課題とする。
ここで、本発明の一態様に係る中流動コンクリート評価装置において、基台と、該基台上に設けられて水平な載置面が形成されたテーブルと、該テーブルに前記載置面と直交する方向に縦振動を限って入力するように装備された加振部と、を有する加振台と、前記テーブルの載置面上に置換可能に設けられるスランプフロー試験器と、前記テーブルの載置面上に置換可能に設けられるU型充填試験器と、を備えることは好ましい。
本発明の一態様に係る中流動コンクリート評価装置によれば、試料となる中流動コンクリートに対して縦振動を限って入力してそのときの中流動コンクリートの締固めに必要な加振エネルギを定量的に測定できる。そのため、中流動コンクリートの施工性能の定量的な評価用として好適である。
本発明の一態様に係る中流動コンクリート用配合選定方法によれば、本発明のうちのいずれか一の態様に係る中流動コンクリート評価装置を用い、試料となる中流動コンクリートの施工性能を定量的に評価するので、中流動コンクリートの締固めに対して望ましい振動エネルギを定義し得て、もって十全な施工計画の立案に資する中流動コンクリートの評価方法を提供できる。
特に、本実施形態の加振台50は、加振部として、単軸垂下式の加振モータを有する一軸加振装置20を有する。一軸加振装置20は、テーブル10に載置面11と直交する方向に縦振動を限って入力するようにテーブル10下面から垂下されている。
詳しくは、図2に示すように、加振台50は、基台1と、テーブル10と、一軸加振装置20と、を備える。テーブル10は、基台1上に4つのマウントゴム2を介して支持された振動台として設けられており、テーブル10の上面が、水平な載置面とされている。
テーブル10の下部中心の位置には、加速度センサ3が設けられている。加速度センサ3は、テーブル10上に、スランプフロー試験器30を載置して、テーブル10に縦振動を限って入力したときの加速度を測定可能に設けられている。加速度センサ3の検出信号は、信号線を介してコンピュータ60に入力される。
ここで、一軸加振装置20の加振モータの起動時間は、測定データの精度に大きく影響する。そのため、加振モータの起動時間を最小にすることが好ましい。また、テーブル10の横揺れを最小にするために、本実施形態のように、単軸垂下式の加振モータを有する一軸加振装置20を採用することが好ましい。
さらに、本実施形態の評価装置100は、加振台50のテーブル10の載置面11上に置換可能に設けられるスランプフロー試験器30と、テーブル10の載置面11上に置換可能に設けられるU型充填試験器40と、を備えて構成される。
同図において、試料Fをスランプコーンに収容時において、上面径A=φ10cm、底面径B=φ20cm、高さH=30cmである。なお、同図(a)の状態からスランプコーンを引き抜き、試料Fが広がったときに降下した試料高さがスランプ値Sであり、載置面11上での直径φの広がりがスランプフロー値Wである(JIS A 1150)。
本実施形態の中流動コンクリートの評価方法は、上記評価装置100を用い、試料となる中流動コンクリートに対して、フレッシュコンクリートの状態にて、加振台50のテーブル10に縦振動を限って入力し、加振時の、試料となる中流動コンクリートの施工性能を定量的に評価するものである。
本実施形態では、スランプフロー試験では、図1(b)に示したように、上記スランプフロー試験器30を用い、加振台50の一軸加振装置20を駆動してテーブル10に縦振動を限って入力し、加振時の、中流動コンクリートのスランプフロー値Wが、600mmに達するのに要する時間を測定する。
ここで、スランプフローが600mm以上である高流動コンクリートは、自己充填性を持つコンクリートと判断できる。したがって、中流動コンクリートが振動エネルギを受けてスランプフローが600mm程度の状態になれば、自己充填性を十分に発揮できると推察できる。
本実施形態では、スランプフローが600mmになるときの振動エネルギを測定し、中流動コンクリートの締固め完了エネルギとする。コンクリートの締固め度の計算は以下の式によって算出できる。本実施形態では、中流動コンクリートの締固め完了時および締固め完了エネルギを以下のように定義する。
締固め度γ=初期フロー値(mm)÷600(mm)×100(%)
以下、本実施形態の中流動コンクリート評価装置100を用いて実施した、中流動コンクリートの複数の評価試験(この例では第一から第四の評価試験)の結果について考察とともに説明する。第一から第四の評価試験で用いた4種類の試料の配合を表1に示す。
第一の評価試験では、上記評価装置100を用い、表1に示した、試料となる4種類の中流動コンクリートとして、粗骨材量一定(330リットル一定)且つ配合一定とし、混和剤の量を調整して初期スランプフローを350mm、400mm、450mmおよび500mmとしたときの、それぞれの場合の各試験データを図8(a)、(b)に示す。
第一の評価試験において、図8に示すように、中流動コンクリートは、混和剤量を調整して初期スランプフローを増加させると、同図(a)からわかるように、流動性は改善するものの、同図(b)に示すように、混和剤量を調整して初期スランプフローを増加させても、間隙通過性に与える影響が小さいことがわかる。
第二の評価試験では、上記評価装置100を用い、表1に示した、試料となる4種類の中流動コンクリートとして、粗骨材量を一定とし、スランプフロー400mm一定とし、さらに、水セメント比50%一定としたときに、細骨材率と混和剤の量を調整して単位水量Wを155、160、165、170、175kgに変化させた。この場合の各試験データを図9(a)、(b)に示す。
第二の評価試験において、同図に示すように、中流動コンクリートは、スランプフローが同一であっても、同図(b)に示すように、単位水量の相違によって間隙通過性が大きく相違することがわかる。よって、中流動コンクリートの配合選定において、単位水量と間隙通過性との関係性については、特に注意すべきである。
第三の評価試験では、上記評価装置100を用い、表1に示した、試料となる4種類の中流動コンクリートとして、粗骨材量を一定とし、スランプフロー400mm一定且つ単位水量165kg一定としたときに、細骨材率と混和剤の量とを調整して、水セメント比W/Cを、40%、50%および60%にそれぞれ変化させた。この場合の各試験データを図10(a)、(b)に示す。
第三の評価試験において、中流動コンクリートは、図10に示すように、水セメント比の減少により、間隙通過性が改善されることがわかる。これは、単位粉体量が多くなった影響であると考えられる。
第四の評価試験では、上記評価装置100を用い、表1に示した、試料となる4種類の中流動コンクリートとして、スランプフロー400mm一定とし、単位水量W=165kg一定とし、さらに、水セメント比W/C=50%一定としたときに、細骨材率と混和剤の量とを調整して、単位粗骨材量を280、300および330リットルに変化させた。この場合の各試験データを図11(a)、(b)に示す。
第四の評価試験において、中流動コンクリートは、図11に示すように、粗骨材の配合量を多くすることにより、間隙通過性が低下することがわかる。特に、粗骨材の配合量が330リットルを超えると、間隙通過性が低下する度合が大きくなる傾向があることが見て取れる。
また、本実施形態の中流動コンクリート評価装置100を用いて中流動コンクリートに対して望ましい振動エネルギを定義し、もって十全な施工計画の立案に資する中流動コンクリートの評価方法を提供できる。例えば施工性能を定量的に評価した中流動コンクリートの配合を選定できる。
同図に示すように、中流動コンクリートの配合選定に際し、フレッシュコンクリートの状態において、縦加振下でスランプフロー試験器30を用いたスランプフローが600mmとなる加振エネルギと、同加振下でU型充填試験器40を用いたU型充填高さが350mmとなる加振エネルギと、が同じになるようにコンクリート配合を選定することは好ましい。
なお、本発明に係る中流動コンクリート評価装置およびこれを用いた中流動コンクリートの評価方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば図13に、加振部の他の実施形態を示すように、この二軸加振装置20は、テーブル10の裏面に水平に張り渡された支軸21と、支軸21に上端が回転自在に支持された一対の垂下腕22と、を有し、一対の垂下腕22の下端に加振部用ハウジング29が固定されている。
これにより、同図に示す二軸加振装置20によれば、駆動モータ24が駆動されると、加振用の一対の偏心錘27A,27Bが上下方向以外の方向への振動を相殺することにより、テーブル10に縦振動を限って入力できる。
2 マウントゴム
3 加速度センサ
10 テーブル
11 載置面
20 一軸加振装置(加振部)
30 スランプフロー試験器
40 U型充填試験器
50 加振台
60 コンピュータ
100 中流動コンクリート評価装置
F 中流動コンクリート試料
Claims (7)
- 試料となる中流動コンクリートに対して縦振動を限って入力して当該試料の締固めに必要な加振エネルギを定量的に測定可能に構成されていることを特徴とする中流動コンクリート評価装置。
- 基台と、該基台上に設けられて水平な載置面が形成されたテーブルと、該テーブルに前記載置面と直交する方向に縦振動を限って入力するように装備された加振部と、を有する加振台と、
前記テーブルの載置面上に置換可能に設けられるスランプフロー試験器と、
前記テーブルの載置面上に置換可能に設けられるU型充填試験器と、
を備える請求項1に記載の中流動コンクリート評価装置。 - 基台と、該基台上に設けられて水平な載置面が形成されたテーブルと、該テーブルに前記載置面と直交する方向に縦振動を限って入力するように装備された加振部と、を有する加振台と、
前記テーブルの載置面上に置換可能に設けられるスランプフロー試験器またはU型充填試験器と、
を備える請求項1に記載の中流動コンクリート評価装置。 - 前記加振部は、前記テーブルの下面から下方に垂下されるとともに揺動可能に支持された一軸加振装置である請求項2または3に記載の中流動コンクリート評価装置。
- 前記加振部は、前記テーブルに縦振動を限って入力するように前記テーブルの下面から垂下された状態で装着された二軸加振装置である請求項2または3に記載の中流動コンクリート評価装置。
- 前記テーブル上に前記スランプフロー試験器を載置したときに、前記テーブルに縦振動を限って入力したときの試料となる中流動コンクリートのスランプフローを測定可能に設けられたセンサと、
前記加振部の起動信号および前記センサと同期して前記加振部の起動からの経過時間を計測するタイマと、
を備える請求項2〜5のいずれか一項に記載の中流動コンクリート評価装置。
但し、請求項3にあっては、前記テーブルの載置面上にスランプフロー試験器が設けられている場合に限る。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の中流動性コンクリート評価装置を用い、試料となる中流動コンクリートに対して、フレッシュコンクリートの状態にて縦振動を限って入力し、試料となる中流動コンクリートの施工性能を定量的に評価することを特徴とする中流動コンクリートの評価方法。
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