JP6262026B2 - フレッシュコンクリート締固め状態報知システム及び品質管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、棒状バイブレータを用いたフレッシュコンクリートの締固めにおいて、その締固め特性を判定して、当該締固め特性に応じてフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するためのシステム及びフレッシュコンクリートの品質管理方法に関するものである。
建設施工現場において、コンクリートを打設する際の空洞(未充填)や気泡、ジャンカやコールドジョイント等の発生を抑制するためには、内部振動機(例えば、棒状バイブレータ)による締固め作業が重要である。この締固め作業では、内部振動機による締固め間隔や締固め時間が、最終的なコンクリート構造物の品質を左右する。
しかし、土木学会コンクリート標準示方書等に代表される基準では、バイブレータにより締固め間隔や締固め終了時間の目安が記述されているのみである。このため、実際の施工現場では、締固め間隔や締固め終了時間の判断は作業員に委ねられることが多く、十分な施工管理を行っているとはいえ、作業員の経験や勘に頼るところがあった。
内部振動機による締固め効果については、従来より数多くの研究が行われており、振動機の周波数や振動時間、コンクリートの特性などの要因と締固め範囲との関連性が研究されている。これらの研究成果から、フレッシュコンクリート内の加速度(締固めエネルギー)を用いた締固め管理方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特許文献1に記載された技術は、コンクリートバイブレータにより、コンクリートの締固めが有効に行われているか否かを判別するためのコンクリートバイブレータの有効運転管理装置に関するものである。このコンクリートバイブレータの有効運転管理装置は、コンクリートバイブレータ運転時の負荷と相関関係を有する電流、力率、周波数、音量などの運転状況データを検出するセンサと、当該センサにより検出された値を閾値と比較する比較回路と、比較の結果を表示する表示装置とからなり、検出された値が閾値を超えたときに、有効運転表示が表示装置に表示される。
特許文献2に記載された技術は、コンクリート又はモルタルの打設後のバイブレーションかけ忘れを防止するためのバイブレータかけ検知装置に関するものである。このバイブレータかけ検知装置は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換するセンサ素子を型枠内に設置し、このセンサ素子に機械振動が印加されることで発生する電気信号を検出し、検出した機械振動の大きさに応じた電気信号を所定の基準データと比較し、その比較結果に基づいてコンクリート又はモルタルへのバイブレータかけ状況を判定する。
特許文献3に記載された技術は、コンクリートの締固め施工域全体の締固め程度の評価、締固め完了の範囲の判定を行うためのコンクリートの締固め判定方法に関するものである。このコンクリートの締固め判定方法は、コンクリートの締固め施工域の地図をGPS対応のモニターに表示し、締固め施工域においてバイブレータにより締固めを行う位置毎に、GPS測量によりバイブレータの挿入位置を求めて地図上に特定し、当該位置についてバイブレータの挿入位置からの距離と振動時間を考慮して評価した締固めの及ぶ範囲、程度及び締固め完了と判定した範囲を地図上に記録する。
特開2002−322812号公報 特開2004−218369号公報 特開2013−159939号公報
上述した従来の技術は、フレッシュコンクリート内に加速度計を設置する必要がある等、フレッシュコンクリートの締固め状態を管理するためには、バイブレータに付属しなければならない機器が多く、当該機器の設置や撤去に時間とコストがかかるという問題があった。
また、特許文献1に記載された技術は、バイブレータ運転時の負荷と相関関係を有する電流、力率、周波数、音量などの運転状況データを検出することにより、バイブレータが有効に運転されているか否かを管理している。しかし、フレッシュコンクリートは、施工対象に合わせてスランプ値等の性状を決定しなければならず、バイブレータ運転時の負荷と運転状況データとを比較して有効な運転を行っているか否かを判定するためには、使用するフレッシュコンクリートと運転状況データとの関係を予め測定する較正作業(キャリブレーション)を行わなければならない。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、フレッシュコンクリートの締固め特性を判定して、当該判定結果に基づいて締固め状態を報知することにより、適切な締固めを行って施工品質を向上させることが可能なフレッシュコンクリートの締固め状態報知システム及び品質管理方法を提供することを目的とする。
本発明のフレッシュコンクリート締固め状態報知システム及び品質管理方法(以下、締固め状態報知システム、品質管理方法と略記することがある)は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のフレッシュコンクリートの締固め状態報知システムは、フレッシュコンクリート内に棒状バイブレータを挿入して締固めを行う際に、当該フレッシュコンクリートの締固め特性を判定して、当該締固め特性に応じて締固め状態を報知するための装置であって、フレッシュコンクリートの締固め特性を判定する演算装置と、当該演算装置における判定結果に基づいて、締固め状態を報知する報知装置とを備えたことを特徴とする。
演算装置は、加速度・角速度演算手段と、流体力演算手段と、粘性係数演算手段と、判定手段とを含んでいる。報知装置は、報知信号生成手段と、報知手段とを含んでいる。
加速度・角速度演算手段は、棒状バイブレータの電流値に基づいて、当該棒状バイブレータの振動加速度及び振動角速度を求めるための手段である。流体力演算手段は、振動加速度と振動角速度とを用いて、当該棒状バイブレータが受ける流体力を求めるための手段である。粘性係数演算手段は、流体力を用いてフレッシュコンクリートの粘性係数を求めるための手段である。判定手段は、演算装置における各演算結果データと、予め定めた基準値とを比較して、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を判定するための手段である。
報知信号生成手段は、判定手段における判定結果に基づき、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための報知信号を生成するための手段である。報知手段は、報知信号に基づいて、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための手段である。
また、上述した構成に加えて、演算装置に、加速度分布演算手段と、締固め有効範囲演算手段とを含ませることが可能である。加速度分布演算手段は、棒状バイブレータの振動加速度と、コンクリートの粘性係数とに基づいて、フレッシュコンクリート内を伝播する棒状バイブレータの振動加速度の分布を求めるための手段である。締固め有効範囲演算手段は、棒状バイブレータの電流値の変化と、フレッシュコンクリート内を伝播する棒状バイブレータの振動加速度の分布とに基づいて、フレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲を求めるための手段である。
このような構成とした場合に、判定手段は、締固め有効範囲演算手段により求めたフレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲について、基準値との比較に基づく判定を行う。また、報知装置は、判定手段の判定結果に基づき、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固めについて、締固め時間及び締固め範囲が適切であるか否かを報知する。
また、上述した構成に加えて、演算装置に、棒状バイブレータの実際の仕様諸元を計測して求めた補正値を入力する補正値入力手段を含ませることが可能である。このような構成とした場合に、各演算手段は、当該補正値を用いて補正演算を行う。
また、上述した構成に加えて、演算装置及び報知装置の少なくとも一方を、棒状バイブレータに内蔵することが可能である。
本発明のフレッシュコンクリートの品質管理方法は、フレッシュコンクリート内に棒状バイブレータを挿入して締固めを行う際に、当該フレッシュコンクリートの粘性係数を求めて、当該粘性係数に応じて当該フレッシュコンクリートの品質管理を行うための方法に関するものである。
このフレッシュコンクリートの品質管理方法は、棒状バイブレータの電流値に基づいて、当該棒状バイブレータの振動加速度及び振動角速度を求める工程と、振動加速度と振動角速度とを用いて、当該棒状バイブレータが受ける流体力を求める工程と、流体力を用いてフレッシュコンクリートの粘性係数を求める工程と、粘性係数に基づいて当該フレッシュコンクリートの品質管理を行う工程とを含むことを特徴とする。
なお、棒状バイブレータの電流値とは、棒状バイブレータを駆動する際にDCモータに流れる電流値のことであり、この電流値はフレッシュコンクリート内に挿入した棒状バイブレータ(バイブレータ棒部)の負荷(フレッシュコンクリートとの間に生ずる抵抗力)に応じて変化する。
本発明のフレッシュコンクリートの締固め状態報知システムによれば、棒状バイブレータを用いたフレッシュコンクリートの締固め作業において、フレッシュコンクリートの材料特性(粘性係数)や締固め時間、締固め範囲が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かをリアルタイムに判定して、これを報知する。これにより、管理者や作業者がフレッシュコンクリートの締固め特性をリアルタイムに監視して、締固め特性に応じた適切な対応をとることができ、構造物等の品質が向上するとともに、製造コストを低減することが可能となる。
特に、棒状バイブレータの電流値のみを測定して、フレッシュコンクリートの締固め特性を判定するための演算に用いることにより、従来技術のような加速度計等の機器を設置する必要がない。さらに、事前の実験により、フレッシュコンクリートの締固め特性を求める必要がなく、適切かつ確実に、現状の締固め状態が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かを把握することができる。
締固め状態報知システムの構成を示すブロック図。 棒状バイブレータの模式図。 棒状バイブレータにおける鉛直方向断面の加速度分布を示す説明図。 棒状バイブレータにおける水平方向断面の運動と力の釣り合いを示す説明図。 バイブレータ棒部の近傍における微少要素を示す説明図。 棒状バイブレータの力の釣り合いを示す説明図。 粘性係数と角速度の関係を示す説明図。 波速と空気量の関係の比較を示す説明図。 棒状バイブレータにおける加速度の減衰を示す説明図。 乱れの領域における加速度減衰を示す説明図。 粘性係数と角速度の関係を示す説明図。 せん断応力とせん断ひずみ速度の関係を示す説明図。
以下、図面を参照して、本発明に係るフレッシュコンクリートの締固め状態報知システムの実施形態を説明する。図1〜図12は本発明の実施形態に係るフレッシュコンクリートの締固め状態報知システムを説明するもので、図1は締固め状態報知システムの構成を示すブロック図、図2は棒状バイブレータの模式図、図3は棒状バイブレータにおける鉛直方向断面の加速度分布を示す説明図、図4は棒状バイブレータにおける水平方向断面の運動と力の釣り合いを示す説明図、図5はバイブレータ棒部の近傍における微少要素を示す説明図、図6は棒状バイブレータの力の釣り合いを示す説明図、図7は粘性係数と角速度の関係を示す説明図、図8は波速と空気量の関係の比較を示す説明図、図9は棒状バイブレータにおける加速度の減衰を示す説明図、図10は乱れの領域における加速度減衰を示す説明図、図11は粘性係数と角速度の関係を示す説明図、図12はせん断応力とせん断ひずみ速度の関係を示す説明図である。
本発明の実施形態に係る締固め状態報知システムは、フレッシュコンクリート内に棒状バイブレータを挿入して締固めを行う際に、当該フレッシュコンクリートの締固め特性を判定して、当該締固め特性に応じて締固め状態を報知するための装置に関するものである。この締固め状態報知システム100は、図1に示すように、演算装置200と報知装置300を備えている。また、演算装置200は、加速度・角速度演算手段206、流体力演算手段207、粘性係数演算手段208、判定手段209を含んでおり、さらに、加速度分布演算手段210、有効範囲演算手段211、補正値入力手段212を含むことが可能である。
また、報知装置300は、報知制御手段301、報知手段302を含んでおり、棒状バイブレータ10に内蔵することが可能である。報知制御手段301は、判定手段209における判定結果に基づき、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための報知信号を生成するための電子機器及びプログラムからなる。報知手段302は、報知信号に基づいて、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための機器である。
この報知手段302は、例えば、フレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための可視データを表示するための液晶表示装置、フレッシュコンクリートの締固め状態に応じて、点灯色、点滅間隔、点灯個数等を変更するランプ類、フレッシュコンクリートの締固め状態に応じて、鳴動回数や音色を変更する音声発生装置(ブザーや、アンプ及びスピーカ)等からなる。
報知手段302を液晶表示装置により構成した場合には、現状の締固め状態が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かを文字情報やグラフにより表示し、あるいはランプ類の点灯色、点滅間隔、点灯個数等を変更する。また、報知手段302を音声発生装置により構成した場合には、ブザーの鳴動回数により、現状の締固め状態が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かを報知し、あるいは、音声により、現状の締固め状態が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かを報知することができる。さらに、報知手段302は、上述した各装置を組み合わせた構成としてもよい。
締固め状態報知システム100は、加速度・角速度演算手段206の機能により、フレッシュコンクリートの締固め特性判定において、棒状バイブレータ10の電流値に基づいて、当該棒状バイブレータ10の振動加速度及び振動角速度を求める。続いて、流体力演算手段207の機能により、棒状バイブレータ10の振動加速度と振動角速度とを用いて、当該棒状バイブレータ10が受ける流体力を求める。続いて、粘性係数演算手段208の機能により、流体力を用いてフレッシュコンクリートの粘性係数を求める。
また、加速度分布演算手段210の機能により、棒状バイブレータ10の振動加速度と、コンクリートの粘性係数とに基づいて、フレッシュコンクリート内を伝播する棒状バイブレータ10の振動加速度の分布を求める。
また、有効範囲演算手段211の機能により、棒状バイブレータ10の電流値の変化と、フレッシュコンクリート内を伝播する棒状バイブレータ10の振動加速度の分布とに基づいて、フレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲を求める。
また、補正値入力手段212の機能により、棒状バイブレータ10の実際の仕様諸元を計測して補正値を求め、各演算における補正値を用いて演算を行う。
そして、判定手段209の機能により、演算装置200における各演算結果データと、予め定めた基準値とを比較して、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を判定する。この際、有効範囲演算手段211により求めたフレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲について、基準値との比較に基づく判定を行うことができる。
そして、報知装置300を構成する報知制御手段301及び報知手段302の機能により、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知する。現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態とは、予め定めた基準値との比較に基づいて、現状の締固め状態が、品質管理上必要な規定値を満足しているか否かに関する情報のことである。上述したように、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するには、文字情報、グラフ等を液晶表示装置等の表示画面に表示し、ランプ類の点灯色、点滅間隔、点灯個数等を変化させ、あるいは、締固め状態に応じてブザーの鳴動回数を変化させたり、スピーカから音声を発生させたりして、棒状バイブレータ10の操作者や管理者等に報知する。
また、棒状バイブレータ10に、位置情報を取得するためのGPS装置等を内蔵し、棒状バイブレータ10の現在位置と締固め範囲との関係を示す情報を取得して、判定装置における判定に利用してもよい。この場合には、報知装置300を用いて、棒状バイブレータ10の現在位置と締固め範囲との関係を報知することができる。
また、フレッシュコンクリートの粘性係数と品質には相関関係があるため、演算結果である粘性係数を用いて、フレッシュコンクリートの品質を管理することができる。この場にも、報知装置300を用いて、フレッシュコンクリートの品質を報知することができる。
なお、演算を行う各演算手段206〜211は、例えば、パーソナルコンピュータ及び当該パーソナルコンピュータを各手段として機能させるソフトウェア(演算プログラム)により実現される。すなわち、演算を行う各演算手段206〜211は、CPU、ROM、RAM等の機能を有するパーソナルコンピュータにソフトウェア(演算プログラム)をインストールし、棒状バイブレータ10の電流値及びその他の入力値に基づいて所定の演算を行うことにより、フレッシュコンクリートの締固め特性を判定することができる。
演算装置200として機能するパーソナルコンピュータは、基本的な構成機器として、図1に示すように、CPU201、ROM202、RAM203、記憶手段204(例えば、HDD)、送受信制御手段205を備えている。CPU201は、他の手段を統括的に機能させて各種の演算処理を行うための装置である。ROM202、RAM203は、各種のプログラムデータ、演算データ等を記憶するための装置である。記憶手段204は、データベース、テーブルデータ等を記憶するための大容量記憶装置からなる。送受信制御手段205は、パーソナルコンピュータ及びその付属機器を含むコンピュータシステムにおいて、各種のデータの送受信を制御するための電気機器及びプログラムからなる。
なお、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
<棒状バイブレータ加速度と流体力の関係>
フレッシュコンクリートの締固めに用いる代表的な棒状バイブレータ10は、図2に示すように、本体部11の上部に把持部12を設けるとともに、本体部の下部にバイブレータ棒部13を設け、本体部11の内部にDCモータ14を内蔵し、バイブレータ棒部13内に偏心錘15を内蔵している。DCモータ14の回転軸は、フレキシブルジョイント16及びシャフト17を介して偏心錘15に連結している。そして、DCモータ14によりバイブレータ棒部13の先端部付近に取り付けた偏心錘15を高速で回転させ、その起振力によりバイブレータ棒部13を振動(回転)させることにより、フレッシュコンクリートを締固めることができる。なお、棒状バイブレータ10の運動を簡易的にモデル化するため、棒状バイブレータ10の運動が定常状態であると仮定して説明を行う。
まず、バイブレータ棒部の運動を鉛直方向断面で考察する(図3参照)。バイブレータ棒部の運動は、定常状態で運動していると仮定しているため、フレキシブルジョイント付近を支点とした振り子運動となる。また、バイブレータ棒部は非常に硬いため、剛体として捉えることができ、バイブレータ棒部の鉛直方向(z方向)の加速度分布は、図3に示すように、三角形となる。そこで、バイブレータ棒部の先端からフレキシブルジョイント付近の支点(加速度がゼロとなる点)までの長さを棒状バイブレータの有効長L0〔m〕として、鉛直方向(z方向)の加速度αの分布を下記式(1)のように置く。
Figure 0006262026
式(1)において、αTはバイブレータ棒部の先端の加速度〔G〕である。バイブレータ棒部に発生する向心力F〔N〕は、バイブレータ棒部の全重量(偏心錘の重量も含めた均質な材料と仮定)をmVとすれば、式(1)より、下記式(2)を求めることができる。
Figure 0006262026
式(2)において、gは重力加速度である。なお、向心力Fの鉛直方向の作用位置z〔m〕は、図3に示すように、下記式(3)となる。
Figure 0006262026
そこで、バイブレータ棒部に作用する起振力についても、z(=L0/3)の位置を基準にして考える。偏心錘の重量をmw〔kg〕、アーム半径をrw、角速度をω〔rad/s〕とすると、起振力は下記式(4)と表すことができる。
Figure 0006262026
次に、バイブレータ棒部の運動を、向心力Fの作用位置z(=L0/3)における水平方向断面(x−y断面)で考える。棒状バイブレータの運動を定常状態と仮定していることから、水平方向の運動は、図4(a)に示すような等速円運動となる。無負荷時のバイブレータ棒部の先端の加速度をαT0〔G〕、角速度をω0〔rad/s〕とすると、無負荷時の運動方程式は、式(2)及び式(3)を用いて、下記式(5)と表すことができる。
Figure 0006262026
このバイブレータ棒部を、フレッシュコンクリート等の粘性流体中に挿入する。バイブレータ棒部には、速度方向(θ方向)にフレッシュコンクリートの粘性による流体力Fc〔N〕が作用し、図4(b)に示すような半径r〔m〕、角速度〔rad/s〕、の等速円運動(定常状態)となる。この時、バイブレータ棒部には、下記式(6)に示すような流体力FcによるポテンシャルVが作用していると捉えることができる。
Figure 0006262026
式(6)において、νはバイブレータ棒部の速度(=rω)〔m/s〕である。無負荷時(フレッシュコンクリート挿入時)の運動方程式は、下記式(7)と表すことができる。
Figure 0006262026

式(7)に、式(2)、式(4)及び式(6)を代入すると、下記式(7−1)となる。
Figure 0006262026

また、式(6)より、下記式(7−2)であるから、下記式(8)となる。
Figure 0006262026

Figure 0006262026
式(8)に式(5)を代入して整理すると、バイブレータ棒部が受ける流体力Fcは、式(5)より、下記式(8−1)となる。一方、式(6)は、下記式(8−2)となり、代入すると、下記式(8−3)となる。これにより、下記式(9)を求めることができる。
Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026
<棒状バイブレータ加速度と電流の関係>
図4(a)に示す無負荷状態から図4(b)に示す負荷状態に変化した場合、DCモータのトルク増分ΔTMは原点周りのモーメントの増加量と等価であり、バイブレータ棒部が受ける流体力Fcを用いて、下記式(10)と表すことができる。
Figure 0006262026
式(10)において、Δrは作用位置z(=L0/3)におけるバイブレータ棒部の軌道半径の変化であり、下記式(10−1)より、下記式(11)となる。
Figure 0006262026

Figure 0006262026
式(10)に式(9)及び式(11)を代入し、バイブレータ棒部の先端の角速度αTで整理すると、下記式(11−1)及び下記式(11−2)であるから、下記式(11−3)、下記式(11−4)、下記式(11−5)、下記式(11−6)、下記式(12)と表すことができる。
Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026

Figure 0006262026
一方、DCモータでは、トルクTM〔N.m〕と電流I〔A〕は比例関係になることから、DCモータのトルク増分ΔTMと電流Iの関係は、下記式(13)と表すことができる。
Figure 0006262026
式(13)において、KTはトルク定数〔N・m/A〕、TM0は無負荷時のトルク〔N・m〕、I0は無負荷時の電流〔A〕である。また、DCモータの角速度ω〔rad/s〕は印加電圧E〔V〕を一定とした場合、下記式(14)と表すことができ、電流Iとは逆比例の関係になる。
Figure 0006262026
式(14)において、KEは逆起電力定数〔V・s/rad〕、RはDCモータの内部抵抗〔Ω〕である。式(13)及び式(14)に式(12)を代入すると、加速度αTと電流Iの関係は、下記式(15)のように求めることができる。
Figure 0006262026
なお、式(15)に示す加速度αTと、電流Iの関係式は非常に複雑である。既往の研究によると、フレッシュコンクリートに棒状バイブレータを挿入しても角速度(周波数)にはあまり変化がみられないことから、下記式(16)において角速度ωをω0と表しても、実務上は問題ないと考えられる。
Figure 0006262026
<棒状バイブレータの検定実験>
実際にフレッシュコンクリートの締固めに用いる棒状バイブレータは、ベアリングやジョイント部分でトルク損失があるため、上述した理論式と必ずしも一致しないと考えられる。そこで、棒状バイブレータの検定試験を行い、棒状バイブレータの加速度、角速度と電流の関係を近似することが望ましい。検定試験では、式(16)よりバイブレータ棒部の先端の加速度αTと電流の関係式を下記式(17)とする。また、式(14)より、角速度ωと電流Iの関係式を下記式(18)と近似して、校正係数C1〜C4を求める。
Figure 0006262026

Figure 0006262026
<粘性係数の推定>
図5及び図6を参照して、バイブレータ棒部の表面におけるフレッシュコンクリートの微少要素を取り上げる。バイブレータ棒部に作用する流体力は、フレッシュコンクリート等の粘性流体に作用する力の反作用である。微少要素の単位面積当たりに作用する力をfc〔N/m2〕、x方向及びy方向の成分をfcx,fcy〔N/m2〕とすると、下記式(19)となる。
Figure 0006262026
ここで、フレッシュコンクリートを非圧縮性ニュートン流体と仮定し、下記式(20)のようにモデル化する。
Figure 0006262026
なお、フレッシュコンクリートは非ニュートン流体であり、一般的にビンガム流体等でモデル化されることが多いが、ここでは棒状バイブレータが高周波の振動を与えることから、流動曲線における降伏値は低減し、ニュートン流体に近い挙動になると考える。式(20)において、τはせん断応力〔N/m2〕、μは粘性係数〔pa・s〕、γ(傍点)はせん断ひずみ速度(ずり速度)〔S-1〕である。式(20)より、式(19)に示したx方向及びy方向の成分fcx,fcyを下記式(21)とし、x方向及びy方向のせん断ひずみ強度γxy(傍点),γyx(傍点)を、粘性流体の振動平板流れの解を基に、それぞれ下記式(22)のように定義する。
Figure 0006262026

Figure 0006262026
式(22)において、ρはフレッシュコンクリートの密度〔kg/m3〕である。また、u0及びν0はバイブレータ棒部の表面におけるx,y方向の速度振幅であり、フレッシュコンクリートとバイブレータ棒部の接触面における加速度振幅をαc(傍線)とすると、下記式(23)と表すことができる。
Figure 0006262026
なお、フレッシュコンクリートとバイブレータ棒部の接触面における加速度振幅αc(傍線)は、フレッシュコンクリートを挿入したバイブレータ棒部の長さをL〔m〕とすれば、式(1)より、下記式(24)となる。また、バイブレータ棒部とフレッシュコンクリートの接触面積S〔m2〕は、バイブレータ棒部の先端が丸くなっているため、バイブレータ棒部の先端の底面積は無視している。
Figure 0006262026
よって、式(19)に示すフレッシュコンクリートの単位面積当たりに作用する力fc〔N/m2〕は、式(21)〜式(23)を代入することで、下記式(24−1)、下記式(24−2)、下記式(24−3)、下記式(25)と表すことができる。
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ここで、バイブレータ棒部とフレッシュコンクリートの接触面積をS〔m2〕(πφ・Lと同形。φは棒状バイブレータ径〔m〕)とすれば、バイブレータ棒部に作用する流体Fc’〔N〕は、下記式(26)となる
Figure 0006262026
また、図7に示すように、流体力Fc’の作用位置zc〔m〕は、加速度分布が台形であることから、下記式(27)となる。ここで、向心力Fの作用位置(z=L0/3)での流体力Fcは、モーメントの釣り合いから、下記式(27−1)、下記式(28)と求めることができる。
Figure 0006262026

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式(28)に式(25)〜式(27)を代入すると、下記式(28−1)となる。式(28−1)において、下記式(28−2)とすると、下記式(28−3)、下記式(28−4)、下記式(28−5)、下記式(29)、下記式(30)となる。
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さらに、式(29)に式(9)を代入して粘性係数μについて整理すれば、式(28)より、下記式(30−1)となり、両辺を二乗して下記式(30−2)となり、下記式(30−3)となる。
Figure 0006262026

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また、式(9)より、下記式(30−4)であるから、代入して、下記式(30−5)、下記式(30−6)、下記式(31)となり、粘性係数μをバイブレータ棒部の先端の加速度αT及び角速度ωから推測することが可能となる。
Figure 0006262026

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<コンクリート中の振動伝播式>
既往の研究によると、棒状バイブレータがフレッシュコンクリートを締固める振動波は、フレッシュコンクリート中を伝播する縦波であると考えられており、その振動伝播特性(加速度分布式)は、波動方程式を解くことにより指数関数的に減衰することが知られている。本発明では、振動伝播特性(加速度分布式)として、既往の研究において提案されている式に対してバイブレータ棒部の径による影響を考慮した式を適用することで、フレッシュコンクリート内の加速度分布式を下記式(32)のように表す。
Figure 0006262026
式(32)において、xはバイブレータ棒部の中心からの距離〔m〕、φはバイブレータ棒部の径〔m〕、ξは負荷減衰係数、χは幾何学減衰係数、βは材料減衰係数、γは境界減衰係数である。また、加速度α(z)は、式(1)に示すように深度方向(z方向)で三角形に分布するため、加速度分布をどの深度で評価するのかが必要である。ここでは、フレッシュコンクリートに作用する加速度が平均値となる深度位置(z=L/2)で評価することとし、下記式(33)を用いる。
Figure 0006262026
<負荷減衰係数>
負荷減衰係数ξは、バイブレータ棒部をフレッシュコンクリートに挿入した際の加速度比であり、無負荷時のバイブレータ棒部の先端の加速度をαT0〔G〕、負荷時(フレッシュコンクリート挿入時)のバイブレータ棒部の先端の加速度をαT〔G〕とすると、下記式(34)で定義することができる。なお、バイブレータ棒部の先端の加速度αTは、電流Iより式(18)を用いて求めることができるため、深度負荷減衰係数ξも電流Iを計測することにより直接求めることが可能である。
Figure 0006262026

<幾何学減衰係数>
幾何学減衰係数χは、バイブレータ棒部で発生した振動が水平360°方向に拡散することを考慮した係数である。この幾何学減衰係数χは、エネルギーの拡散から下記式(35)のように近似することができる。なお、平面波を仮定した場合には、χ=0となる。
Figure 0006262026
<材料減衰係数>
材料減衰係数βは、フレッシュコンクリートの粘性によって生じる減衰を表す係数である。平面波の場合、圧縮による体積変化を無視すれば、材料減衰係数βと粘性係数μの関係は、波動方程式より下記式(36)のように導かれる。
Figure 0006262026
ここで、バイブレータ棒部の運動が高周波(200Hz、1200rad/s)であるため、β≪kと考えると、式(36)は下記式(36−2)のように近似でき(図7参照)、式(37)となる。式(36−2)を導くには、β≪kより式(36)の分母を下記式(36−1)と近似する。
Figure 0006262026

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よって、材料減衰係数βは、粘性係数μを用いて下記式(37−1)のように求めることができ、式(38)となる。
Figure 0006262026

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ここで、cはフレッシュコンクリート内を伝播する振動の速度〔m/s〕であり、下記式(39)を用いて推定する。
Figure 0006262026
式(39)において、Aは体積比で表した空気量、ρcは、空気を含まないフレッシュコンクリートの密度〔kg/m3〕、KAは空気の体積弾性率〔N/m2〕(ここでは、KAを1.43×10と近似する)、nKは空気を含まないフレッシュコンクリートの体積弾性率Kc〔N/m2〕と空気の体積弾性率KAとの比である。フレッシュコンクリートの体積弾性率Kcは空気に比べてかなり大きく、体積弾性率の比nKは非常に大きな値となるため、既往の研究では、式(39)を近似して下記式(40)を提案している。
Figure 0006262026
しかし、式(40)は、空気を含まない材料(空気量ゼロ)では波速の計算ができないため、ここでは体積弾性率の比nKを1.53×10と仮定し、式(39)を適用する。図8(a)は、式(39)と式(40)の比較であるが、波速に差はほとんど見られない。
なお、厳密には空気量Aがゼロに近いほど式(39)と式(40)の間に差が生じ、フレッシュコンクリートの物性を考慮した場合、図8(b)に示すように、空気量が0.1%以下程度から徐々に差が生じ始める。体積比を考慮した場合、弾性率の比nK=1.53×104は、体積弾性率Kcに対して表1に示す水の体積弾性率を適用した値である。フレッシュコンクリートの体積弾性率Kcは水よりも大きいと考えられるが、フレッシュコンクリート内の空気量が0.1%以下になることは現実にないと考えられ、実務においてnK=1.53×104としても十分問題ないと考えられる。なお、水の体積弾性率を適用した理由は、棒状バイブレータのキャリブレーションとして水を想定しているためである(式(38)に、水の物性値ρc=1.000g/cm3及びA=0.0%を代入すると、波速cは、1480m/sに近似する)。
Figure 0006262026
<境界減衰係数>
バイブレータ棒部の近傍では、フレッシュコンクリートの乱れ等の影響により振動の伝播が妨げられる。図9に、バイブレータ棒部の表面のP点における加速度の経時変化を示す。ここでは、乱れの領域を、せん断により横波の影響が強い領域であると仮定し、その範囲a〔m〕を振動平板の境界層(Stockes層)の厚さ(99%厚)から以下のように定義する。
振動平板解による速度分布は、下記式(41a)である。ここで、下記式(41b)とすると、下記式(41c)より、下記式(41)となる。
Figure 0006262026

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この式(41)に示すせん断による横波の影響範囲a〔m〕を乱れの領域と定義する。また、乱れの領域内では境界層理論を基に、加速度の減衰式が1/n乗則に従うものと仮定すると、下記式(42)となる。
Figure 0006262026
式(42)において、δは加速度がゼロとなる領域の厚さである。また、nはバイブレータ棒部の表面の粗度や骨材材混入料等の影響を受け変化する任意の定数である。ここで、乱れの領域の境界位置(x=a+φ/2)において、加速度が式(42)に示す1/n乗則から式(33)に示す指数関数に移行すると仮定して、下記式(43)とする。
Figure 0006262026
また、図10に示すように、乱れの領域において圧縮波によって排除される面積S1が面積S2に等値されると仮定して、式(44)とする。なお、式を簡略化するため、面積S1,S2は微少であると考え、三角形で近似すると下記式(45)となる。
Figure 0006262026

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したがって、境界減衰係数は、下記式(45−1)より、下記式(45−2)、下記式(45−3)となる。
Figure 0006262026

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一方、式(44)に式(45)を代入すると、下記式(45−4)、下記式(45−5)、下記式(45−6)となる。
Figure 0006262026

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ここで、下記式(45−7)より代入し、下記式(45−8)とすると、下記式(46)を求めることができる。
Figure 0006262026

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以上のように各減衰係数を求めることで、フレッシュコンクリート内の加速度分布を推定することが可能となる。本発明は、従来のように、フレッシュコンクリート内に加速度計を設置する必要がないため、施工を阻害しないばかりか、経済的でもある。
<締固め限界範囲の推定>
本発明では、フレッシュコンクリートのレオロジー特性(せん断応力τ〜せん断ひずみ速度γ(傍点)の関係)を線形と仮定し、ニュートン流体として取り扱ってきた。しかし、実際のフレッシュコンクリートのレオロジー特性(せん断応力τ〜せん断ひずみ速度γ(傍点)の関係)は非線形であり、ビンガム流体のような降伏値を持つことが知られている。このため、降伏値以下の応力状態においてフレッシュコンクリートは変形せず、締固めも進行しないものと考えられる。
式(36)における粘性係数μと角速度ωの関係を図11に示す。図11に示すように、粘性係数μは点Pにおいてピークを持ち、粘性係数の最大値μmaxは下記式(47)となる。
Figure 0006262026
式(47)において、c’は締固め完了時における波速の限界値である。粘性係数が最大値μmaxを持つため、せん断応力τ〜せん断ひずみ速度γ(傍点)の関係は図12のように表すことができ、フレッシュコンクリートのレオロジー特性は非線形で表される。そこで、この粘性係数の最大値μmaxを用いて降伏値τyを下記式(48)で定義し、さらに式(24)を用いて、この降伏値τyに対応する加速度の限界値αlimを下記式(48−1)とすると、下記式(49)となる。
Figure 0006262026

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締固めの限界範囲xlim〔m〕は、この加速度限界値αlimを式(33)に代入した下記式(50)を解くことで求めることができる。
Figure 0006262026
なお、式(50)は非線形方程式であるため、締固めの限界範囲xlimは解析的に求める必要がある。ここでは、下記式(51)として、下記式(52)に示すNewton法による反復計算を用いて求める。
Figure 0006262026

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式(52)において、添字iは反復回数である。また、反復計算に用いる収束条件は、締固めの限界範囲xlimがmm単位の制度で得られれば実務的にも十分であることから、下記式(53)と定義し、計算の初期値x0には式(41)に示す乱れの領域の厚さaを用いる。このような条件でフレッシュコンクリートの締固めの限界範囲を計算した結果、反復回数が5〜10程度で解はほぼ収束することを確認している。なお、本発明では、締固めの管理をリアルタイムで実施することを前提としているが、この程度の計算負荷であれば、リアルタイムでの評価も十分可能である。
Figure 0006262026
<締固め完了時間と有効範囲の推定>
フレッシュコンクリートの締固めが進行することは、フレッシュコンクリートの密実さ(密度)が向上することであり、この密度向上の影響はフレッシュコンクリートの流体力(粘性係数)に反映され、その結果として棒状バイブレータに作用する負荷量が変化する(棒状バイブレータで測定する電流Iが変化する)。既往の研究では、棒状バイブレータの電流から求めたトルクの経時変化を用いて、締固めの進行度をモニタリングすることが可能であるとしている。そこで、本発明では、フレッシュコンクリートの締固め完了時間を、測定した電流Iの経時変化から双曲線法を用いて次のように求める。双曲線関数を下記式(54)と定義し、この双曲線関数を下記式(55)に示すように直線で近似する。
Figure 0006262026

Figure 0006262026
式(55)において、t0は測定開始時間、I0はt0における電流である。また、近似曲線の係数a,bは最小二乗法を用いると、下記式(56)と求めることができる。
Figure 0006262026
式(56)において、jは測定回数である。以上のような双曲線法では、電流が時間経過とともに限界値に収束していく。この時の締固め限界時間をtlimとすると、電流の限界値Ilimは式(54)及び式(55)より、下記式(57)となる。
Figure 0006262026
また、フレッシュコンクリートの締固め度U〔%〕は、下記式(58)で表すことができる。
Figure 0006262026
また、締固め有効範囲xEを締固め限界範囲xlimを用いて、下記式(59)と定義すれば、締固め度Uに対する締固め有効範囲が推定できる。仮に、締固め度90%を管理基準として定めれば、締固めの完了時間と有効範囲を評価・管理することが可能となる。
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<電流値の計測>
棒状バイブレータ10の電流値を計測する電流計は、棒状バイブレータ10に内蔵させてもよいし、棒状バイブレータ10の電源コードに取り付けるアタッチメントタイプであってもよい。また、施工現場において、同時に複数の棒状バイブレータ10を稼働させた際には、棒状バイブレータ10に印可する電圧が低下することが考えられる。この場合には、電流値も変化するため、適宜な補正を行うことが好ましい。
<補正値>
棒状バイブレータ10は、構成部品の特性等に基づいて、それぞれ実際の仕様諸元が異なっているのが一般的である。そこで、本実施形態では、予め、棒状バイブレータ10の検定試験を行い、補正値を求めることが好ましい。この検定試験では、無負荷時の加速度と角速度、バイブレータ棒部の加速度分布(有効長)、電流値と加速度との関係、電流値と角速度との関係、加速度と流体力との関係(流体力は負荷質量として載荷する)等を求める。なお、加速度と流体力との関係を求める場合に最も簡易な方法は、棒状バイブレータ10に錘を取り付けることである。
<演算装置/報知装置>
上述した実施形態では、演算装置200及び報知装置300を棒状バイブレータ10とは別の装置として構成しているが、棒状バイブレータ10の内部に演算装置200及び報知装置300のいずれか一方又は双方を組み込むことが可能である。このような構成とすることにより、棒状バイブレータ10とは別に、演算装置200や報知装置300を設ける必要がなくなり、装置構成がコンパクトなものとなる。
なお、棒状バイブレータ10の内部に演算装置200及び報知装置300のいずれか一方又は双方を組み込んだ場合であっても、棒状バイブレータ10の内部に組み込んだ報知装置300における報知と同等の報知を行う報知装置を別途設けることが可能である。このような構成とすることにより、棒状バイブレータ10の操作者(作業者)がフレッシュコンクリートの締固め状態をリアルタイムに把握することができるだけではなく、管理者もフレッシュコンクリートの締固め状態をリアルタイムに把握することができる。
10 棒状バイブレータ
11 本体部
12 把持部
13 バイブレータ棒部
14 DCモータ
15 偏心錘
16 フレキシブルジョイント
17 シャフト
100 締固め状態報知システム
200 演算装置
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 記憶手段
205 送受信制御手段
206 加速度・角速度演算手段
207 流体力演算手段
208 粘性係数演算手段
209 判定手段
210 加速度分布演算手段
211 有効範囲演算手段
212 補正値入力手段
300 報知装置
301 報知制御手段
302 報知手段

Claims (5)

  1. フレッシュコンクリート内に棒状バイブレータを挿入して締固めを行う際に、当該フレッシュコンクリートの締固め特性を判定して、当該締固め特性に応じて締固め状態を報知するためのシステムであって、
    前記フレッシュコンクリートの締固め特性を判定する演算装置と、当該演算装置における判定結果に基づいて、締固め状態を報知する報知装置とを備え、
    前記演算装置は、
    前記棒状バイブレータの電流値に基づいて、当該棒状バイブレータの振動加速度及び振動角速度を求める加速度・角速度演算手段と、
    前記振動加速度と振動角速度とを用いて、当該棒状バイブレータが受ける流体力を求める流体力演算手段と、
    前記流体力を用いてフレッシュコンクリートの粘性係数を求める粘性係数演算手段と、
    前記演算装置における各演算結果データと、予め定めた基準値とを比較して、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を判定する判定手段と、
    を含み、
    前記報知装置は、
    前記判定手段における判定結果に基づき、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知するための報知信号を生成する報知信号生成手段と、
    前記報知信号に基づいて、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固め状態を報知する報知手段と、
    を含む、
    ことを特徴とするフレッシュコンクリートの締固め状態報知システム。
  2. 前記演算装置は、
    前記棒状バイブレータの振動加速度と、前記コンクリートの粘性係数とに基づいて、前記フレッシュコンクリート内を伝播する棒状バイブレータの振動加速度の分布を求める加速度分布演算手段と、
    前記棒状バイブレータの電流値の変化と、前記フレッシュコンクリート内を伝播する前記棒状バイブレータの振動加速度の分布とに基づいて、フレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲を求める締固め有効範囲演算手段と、を含み、
    前記判定手段は、前記締固め有効範囲演算手段により求めたフレッシュコンクリートの締固め時間及び締固め有効範囲について、基準値との比較に基づく判定を行い、
    前記報知装置は、
    前記判定手段の判定結果に基づき、現在実施しているフレッシュコンクリートの締固めについて、締固め時間及び締固め範囲が適切であるか否かを報知する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のフレッシュコンクリートの締固め状態報知システム。
  3. 前記演算装置は、
    前記棒状バイブレータの実際の仕様諸元を計測して求めた補正値を入力する補正値入力手段を含み、
    前記各演算手段は、当該補正値を用いて補正演算を行う、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフレッシュコンクリートの締固め状態報知システム。
  4. 前記演算装置及び前記報知装置の少なくとも一方は、前記棒状バイブレータに内蔵されている、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレッシュコンクリートの締固め状態報知システム。
  5. フレッシュコンクリート内に棒状バイブレータを挿入して締固めを行う際に、当該フレッシュコンクリートの粘性係数を求めて、当該粘性係数に応じて当該フレッシュコンクリートの品質管理を行うための方法であって、
    前記棒状バイブレータの電流値に基づいて、当該棒状バイブレータの振動加速度及び振動角速度を求める工程と、
    前記振動加速度と振動角速度とを用いて、当該棒状バイブレータが受ける流体力を求める工程と、
    前記流体力を用いてフレッシュコンクリートの粘性係数を求める工程と、
    前記粘性係数に基づいて当該フレッシュコンクリートの品質管理を行う工程と、
    を含むことを特徴とするフレッシュコンクリートの品質管理方法。
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