JP2019189736A - 低温成形加工性と誘電特性に優れた液晶ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温成形加工性に優れ、かつ良好な誘電特性を有する液晶ポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】式(I)〜(V)【化1】で表される繰返し単位を含み、結晶融解温度が250℃以下であり、かつ、JIS C2565に準拠した空洞共振器摂動法で85mm×1.7mm×1.7mmの試験片を用いて10GHzにて測定した誘電率が3.55以下である、液晶ポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、低温成形加工性に優れるとともに、良好な誘電特性を有する液晶ポリエステル樹脂に関する。
サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂(以下、液晶ポリエステル樹脂またはLCPと略称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。特にパーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が急速に進んでおり、例えば0.5mm以下の非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多く、LCPの優れた成形性、すなわち、流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を活かして、その使用量が大幅に増大している。
このように、液晶ポリエステル樹脂は種々の優れた特性を有するが、その高い耐熱性のために、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの他のエンジニアリングプラスチックと比較して著しく加工温度が高い。このため、用途によってはその高い加工温度が障害となることがある。
したがって、液晶ポリエステル樹脂が有する良好な機械物性、耐薬品性、薄肉成形性を保持しながら、低温加工性に優れた液晶ポリエステル樹脂が望まれていた。
低温加工性の液晶ポリエステル樹脂として、例えば、特許文献1には特定の繰返し単位により構成され、示差走査熱量計により測定された融点(結晶融解温度)が190〜250℃である液晶ポリエステル樹脂が提案されている。
一方、近年、高度情報化社会の発展とともに、パーソナル・コンピューターや携帯電話等の情報・通信分野において、情報通信機器の伝送情報量および伝達速度が爆発的に増大している。特に、マイクロ波およびミリ波の高周波領域において適応できる高性能な高周波用電子部品のニーズがより強くなってきている。
しかしながら、誘電率の高い液晶ポリエステル樹脂を例えば電気コネクタなどの基板として使用した場合、高周波信号が減衰してしまい、信号伝播速度が低下するといった問題が生じる。そのため、これらの電子部品に使用する液晶ポリエステル樹脂は、低誘電率であることが求められている。
特開2005−105232号公報
このような背景から、結晶融解温度が低く、かつ誘電特性に優れた液晶ポリエステル樹脂の開発が強く求められている。
本発明の目的は、低温成形加工性に優れ、かつ良好な誘電特性を有する液晶ポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の繰返し単位を構成成分とすることによって、低温加工性に優れるとともに、良好な誘電特性を有する液晶ポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、式(I)〜(V)
Figure 2019189736
ArおよびArは、それぞれ1種または2種以上の2価の芳香族基を表し、p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
0.01≦p≦15、
35≦q≦48、
35≦r≦48、
2≦s≦15、および
2≦t≦15]
で表される繰返し単位を含み、
結晶融解温度が250℃以下であり、かつ、JIS C2565に準拠した空洞共振器摂動法で85mm×1.7mm×1.7mmの試験片を用いて10GHzにて測定した誘電率が3.55以下である、液晶ポリエステル樹脂に関する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、結晶融解温度が低いため、低温加工性が求められる用途に使用できるとともに、他の樹脂とのブレンドに供するブレンド材料として好適に使用することができる。
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、高周波帯域における誘電特性および耐衝撃性に優れるので、コネクタ、アンテナやプリント配線基板などの電気電子部品用の材料として好適に使用することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、当業者にサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂と呼ばれる、異方性溶融相を形成する液晶ポリエステルである。
液晶ポリエステル樹脂の異方性溶融相の性質は、直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわち、ホットステージに載せた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、式(I)〜(V)
Figure 2019189736
[式中、
ArおよびArは、それぞれ1種または2種以上の2価の芳香族基を表し、p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
0.01≦p≦15、
35≦q≦48、
35≦r≦48、
2≦s≦15、および
2≦t≦15]
で表される繰返し単位を含む。
式(I)に係る組成比pは、0.05〜13モル%が好ましく、0.1〜11モル%がより好ましい。
式(II)に係る組成比qおよび式(III)に係る組成比rは、それぞれ35〜45モル%が好ましく、37〜43モル%がより好ましい。
式(IV)に係る組成比sおよび式(V)に係る組成比tは、それぞれ3〜14モル%が好ましく、5〜13モル%がより好ましい。sとtは、等モル量であるのが好ましい。
上記の繰返し単位において、例えばAr(またはAr)が2種以上の2価の芳香族基を表すとは、式(IV)(または(V))で表される繰返し単位が液晶ポリエステル樹脂中に2価の芳香族基の種類に応じて2種以上含まれることを意味する。この場合、式(IV)に係る組成比s(または式(V)に係る組成比t)は、2種以上の繰返し単位を合計した組成比を表す。
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、3−ヒドロキシ安息香酸、ならびにこのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(II)で表される繰返し単位を与える単量体の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、ならびにこのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(III)で表される繰返し単位を与える単量体の具体例としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ならびにこのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(IV)で表される繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニルなど、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(V)で表される繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテルなど、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
なかでも、式(IV)および式(V)で表される繰返し単位に係るArおよびArが、互いに独立して、式(1)〜(4)で表される芳香族基からなる群から選択される1種または2種以上を含む液晶ポリエステル樹脂が好ましい。
Figure 2019189736
これらのなかでも、式(IV)で表される繰返し単位に係るArとしては、式(1)および式(4)で表される芳香族基が、得られる液晶ポリエステル樹脂の機械物性、耐熱性、結晶融解温度および成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことからより好ましい。
これらの繰返し単位を与える単量体としては、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、ならびにこのエステル形成性誘導体が挙げられる。
また、式(V)で表される繰返し単位に係るArとしては、式(1)および/または式(3)で表される芳香族基が、重合時の反応性および得られる液晶ポリエステル樹脂の機械物性、耐熱性、結晶融解温度および成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことからより好ましい。
これらの繰返し単位を与える単量体としては、ハイドロキノンおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ならびにこのエステル形成性誘導体が挙げられる。
このなかでも、式(IV)および式(V)で表される繰返し単位に係るArおよびArが、いずれも式(1)で表される芳香族基である液晶ポリエステル樹脂が特に好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂において、繰返し単位の組成比の合計[p+q+r+s+t]が100モル%であることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲において、他の繰返し単位をさらに含んでもよい。
他の繰返し単位を与える単量体としては、他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールおよびこれらの組合せなどが挙げられる。
他の芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ安息香酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらの他の単量体成分から与えられる繰返し単位の組成比の合計は、繰返し単位全体において、10モル%以下であるのが好ましい。
以下、本発明の液晶ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂の製造方法には特に限定はなく、前記の単量体成分によるエステル結合またはアミド結合を形成させる公知の重縮合法、例えば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
溶融アシドリシス法とは、本発明の液晶ポリエステル樹脂を製造するのに適した方法であり、この方法は、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、反応を継続することにより溶融ポリエステルを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(例えば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリエステル樹脂を製造する際に使用する重合性単量体成分は、常温において、ヒドロキシル基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは、前記単量体成分のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリエステル樹脂の製造時にモノマーに無水酢酸などのアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、例えば、有機スズ化合物(ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジアリールスズオキシドなど)、二酸化チタン、三酸化アンチモン、有機チタン化合物(アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなど)、カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなど)、ルイス酸(BFなど)、ハロゲン化水素などの気体状酸触媒(HClなど)などが挙げられる。
触媒の使用量は、モノマー質量に対し10〜1000ppmが好ましく、20〜200ppmがより好ましい。
このような重縮合反応によって得られた液晶ポリエステル樹脂は、溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工され、成形加工や溶融混練に供される。
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリエステル樹脂は、分子量を高めて成形加工性を向上させる目的で、減圧下、真空下または窒素やヘリウムなどの不活性ガスの雰囲気下において、実質的に固相状態で熱処理を行ってもよい。
このようにして得られた本発明の液晶ポリエステル樹脂は、結晶融解温度が250℃以下であり、低温成形加工性に優れるものである。結晶融解温度は、好ましくは150〜250℃であり、より好ましくは170〜235℃であり、さらに好ましくは175〜220℃である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「結晶融解温度」とは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、以下DSCと略す)によって、昇温速度20℃/分で測定した際の結晶融解ピーク温度から求めたものである。より具体的には、液晶ポリエステル樹脂の試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持し、次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度とする。測定用機器としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000などを使用することができる。
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、JIS C2565に準拠した空洞共振器摂動法で85mm×1.7mm×1.7mmの試験片を用いて10GHzにて測定した誘電率が3.55以下であり、誘電特性に優れるものである。誘電率は、好ましくは3.53以下、より好ましくは3.51以下である。なお、本発明の液晶ポリエステル樹脂の誘電率は、通常3.0以上である。
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、ASTM D256に準拠した23℃におけるIzod衝撃強度が好ましくは480J/m以上、より好ましく500J/m以上、さらに好ましくは520J/m以上である。なお、本発明の液晶ポリエステル樹脂のIzod衝撃強度は、通常1200J/m以下である。
上記のようにして得られた本発明の液晶ポリエステル樹脂は、無機充填材および/または有機充填材、添加剤や他の樹脂成分などを含有した液晶ポリエステル樹脂組成物とすることができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が含有してもよい無機充填材および/または有機充填材の具体例としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの充填材は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、タルクおよびガラス繊維が、機械物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。
無機充填材および/または有機充填材を含有する場合、その含有量は、液晶ポリエステル樹脂100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
無機充填材および/または有機充填材の含有量が1質量部以上であると液晶ポリエステル樹脂組成物について機械物性の向上効果が得られやすい。無機充填材および/または有機充填材の含有量が150質量部を超えると、誘電特性の向上効果が不十分となる傾向がある。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が含有してもよい他の添加剤の具体例としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜25のものをいう)などの滑剤、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型剤、染料、顔料、カーボンブラックなどの着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、中和剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
これらの添加剤を含有する場合、その含有量は、液晶ポリエステル樹脂の合計量100質量部に対する合計量として、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
添加剤の含有量が0.01質量部未満であると、添加剤の機能が実現しにくくなる傾向があり、10質量部を超えると、液晶ポリエステル樹脂組成物の成形加工時の熱安定性が悪くなる傾向がある。
また、上記他の添加剤のうち、滑剤、離型剤などの添加剤を使用する場合は、液晶ポリエステル樹脂組成物を作製する際に添加してもよいし、成形加工の際に液晶ポリエステル樹脂のペレット表面に付着させてもよい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が含有してもよい他の樹脂成分の具体例としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂成分は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
上記他の樹脂成分の含有量は、液晶ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.5〜80質量部がより好ましい。
液晶ポリエステル樹脂組成物は、液晶ポリエステル樹脂、ならびに、無機および/または充填材、添加剤または他の樹脂成分を混合し、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度近傍から結晶融解温度+50℃の温度条件で溶融混練して得ることができる。
このようにして得られた本発明の液晶ポリエステル樹脂または液晶ポリエステル樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出し成形、ブロー成形など公知の成形加工方法によって成形品に加工することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂または液晶ポリエステル樹脂組成物は、低誘電率であるという優れた誘電特性を有するため、電気電子部品として好適に使用することができる。
このような電気電子部品としては、特に限定されないが、例えば、コネクタ、スイッチ、リレー、コンデンサ、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナ、チップアンテナおよび電子回路基板、とりわけプリント基板などの基板などが挙げられる。
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂または液晶ポリエステル樹脂組成物は、インフレーション成形、Tダイ成形などの公知の方法でフィルムまたはシートとしてもよい。フィルムまたはシートは、単層構造でもよく、異種材料との多層構造であってもよい。
さらに、本発明の液晶ポリエステル樹脂は、結晶融解温度が250℃以下であることから、他の熱可塑性樹脂とブレンドしても熱劣化が起きにくく、その柔軟性を低下させることなく流動性や誘電特性を向上させることができるため、ブレンド材料として好適に使用することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂とブレンドすることができる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の溶融粘度、引張強度、Izod衝撃強度、結晶融解温度および誘電率は、以下に記載の方法で測定した。
(1)溶融粘度
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmを用いて、剪断速度1000sec−1、260℃の条件下での溶融粘度をそれぞれ測定した。
(2)引張強度
射出成形機(日精樹脂工業(株)製UH1000−110)を用いて、シリンダー設定温度260℃、金型温度70℃で、ASTM4号ダンベル試験片を成形し、これを用いてASTM D638に準拠して測定した。
(3)Izod衝撃強度
射出成形機(日精樹脂工業(株)製UH1000−110)を用いて、シリンダー設定温度260℃、金型温度70℃で、長さ127.0mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの短冊状試験片を成形した。この試験片の中央を長さ方向と垂直に切断した、長さ63.5mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの短冊状試験片を用いて、ASTM D256に準拠して測定した。
(4)結晶融解温度(Tm)
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000を用い、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20〜50℃高い温度で10分間保持する。ついで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、その際に観測される発熱ピークのピークトップの温度を液晶ポリエステル樹脂の結晶化温度(Tc)とし、さらに、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度(Tm)とした。
(5)誘電率
射出成形機(日精樹脂工業(株)NEX−15−1E)を用いて、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃で、長さ85mm、幅1.7mm、厚さ1.7mmのスティック状試験片に成形した。
この試験片を用いて、JIS C2565に準拠した空洞共振器摂動法により、ネットワークアナライザー(アジレントテクノロジー社製PNAシリーズE8316A)を使用して、誘電率(10GHz)を測定した。
実施例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
3HBA:3−ヒドロキシ安息香酸
POB:4−ヒドロキシ安息香酸
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
TPA:テレフタル酸
HQ:ハイドロキノン
[実施例1]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、3HBA:4.5g(0.5モル%)、POB:356.4g(39.7モル%)、BON6:486.8g(39.8モル%)、TPA:107.9g(10.0モル%)およびHQ:71.6g(10.0モル%)を仕込み、さらに全単量体の水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間かけて昇温し、同温にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留出させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温にて30分間保持した。その後、3時間かけて335℃まで昇温した後、30分かけて20mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたペレットを用いて上記の方法により溶融粘度、引張強度、Izod衝撃強度、結晶融解温度および誘電率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2〜4および比較例1〜3]
3HBA、POB、BON6、TPAおよびHQを表1に示す割合(モル%)となるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。得られたペレットを用いて上記の方法により溶融粘度、引張強度、Izod衝撃強度、結晶融解温度および誘電率を測定した。結果を表1に示す。
各実施例における液晶ポリエステル樹脂(実施例1〜4)は、結晶融解温度が175〜218℃、誘電率が3.36〜3.49、Izod衝撃強度が532〜1086J/mであり、低温加工性、誘電特性および耐衝撃強度に優れるものであった。
これに対して、3HBAから与えられる繰返し単位の含有量が本発明の範囲外である液晶ポリエステル樹脂(比較例1〜3)は、誘電特性および耐衝撃強度に劣るものであった。
Figure 2019189736

Claims (7)

  1. 式(I)〜(V)
    Figure 2019189736
    [式中、
    ArおよびArは、それぞれ1種または2種以上の2価の芳香族基を表し、p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
    0.01≦p≦15、
    35≦q≦48、
    35≦r≦48、
    2≦s≦15、および
    2≦t≦15]
    で表される繰返し単位を含み、
    結晶融解温度が250℃以下であり、かつ、JIS C2565に準拠した空洞共振器摂動法で85mm×1.7mm×1.7mmの試験片を用いて10GHzにて測定した誘電率が3.55以下である、液晶ポリエステル樹脂。
  2. ArおよびArが、互いに独立して、式(1)〜(4)
    Figure 2019189736
    で表される芳香族基からなる群から選択される1種または2種以上を表す、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  3. ArおよびArが、それぞれ式(1)で表される芳香族基である、請求項1または2に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  4. ASTM D256に準拠したIzod衝撃強度が480J/m以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂と無機充填材および/または有機充填材を含む、液晶ポリエステル樹脂組成物。
  6. 無機充填材および/または有機充填材が、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、および酸化チタンからなる群から選択される1種以上である、請求項5に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂または請求項5および6のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品またはフィルム。
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