JP2019187325A - 変質防止剤含有食品組成物 - Google Patents

変質防止剤含有食品組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2019187325A
JP2019187325A JP2018084854A JP2018084854A JP2019187325A JP 2019187325 A JP2019187325 A JP 2019187325A JP 2018084854 A JP2018084854 A JP 2018084854A JP 2018084854 A JP2018084854 A JP 2018084854A JP 2019187325 A JP2019187325 A JP 2019187325A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
food
mass
salt
odor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018084854A
Other languages
English (en)
Inventor
佐藤 浩之
Hiroyuki Sato
浩之 佐藤
小磯 博昭
Hiroaki Koiso
博昭 小磯
一弘 矢木
Kazuhiro Yagi
一弘 矢木
啓治 後藤
Keiji Goto
啓治 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Priority to JP2018084854A priority Critical patent/JP2019187325A/ja
Publication of JP2019187325A publication Critical patent/JP2019187325A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】変質防止剤に特有の異味または異臭を抑制するための方法に関する。変質防止剤の異味または異臭が抑制されてなる食品添加用組成物または食品組成物、並びにその製造方法に関する。【解決手段】変質防止剤、並びにグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を含有する食品添加用組成物または食品組成物。本発明は、変質防止剤とグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩とを併用することで実施できる。【選択図】なし

Description

本発明は、変質防止剤に特有の異味または異臭を抑制するための方法に関する。また本発明は変質防止剤の異味または異臭が抑制されてなる食品添加用組成物または食品組成物、並びにその製造方法に関する。
食品分野において、主として微生物の増殖による変質または変敗を防止または抑制し、品質を保持するために、保存料または日持ち防止剤が用いられている。こうした保存料や日持ち防止剤には、その成分特有の味(異味)または臭い(異臭)を有するものが少なくない。例えば日持ち防止剤として用いられる酢酸や酢酸ナトリウムは、特有の酸味や酸臭を有するため、これを変質防止効果を発揮する割合で配合することで、食品の風味が損なわれることがある。また同様に日持防止剤として用いられる乳酸ナトリウム、グリシンおよびチアミンラウリル硫酸塩にも、特有の味や臭いがあることが知られている。特にグリシンは加熱することで蒸れたような特有の加熱臭(劣化臭)を生じるため、製造または調理過程で加熱工程を有する食品については、これを変質防止効果を発揮する割合で配合することで、風味が損なわれることがある。また、保存料として用いられる安息香酸、ソルビン酸、およびプロピオン酸等の有機酸やこれらの塩には特有の臭いがあること;エゴノキ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、ツヤプリシンおよびペクチン分解物などの植物抽出物や分解物には特有の味や臭いがあること;さらにしらこたん白抽出物やε−ポリリシンなどのたん白質にも特有の味があることが知られている。
こうした保存料または日持防止剤特有の異味や異臭を抑制する方法として、従来より種々の方法が提案されている。例えば、酢酸ナトリウムやグリシン等の日持防止剤の酸味を抑制する方法として、これらの日持防止剤に酢酸カルシウムと有機酸を併用する方法(特許文献1);また酢酸などの有機酸の異味や異臭を抑制する方法として、高甘味度甘味料であるスクラロースやアスパルテームを用いる方法(特許文献2〜4)、3−ヒドロキシ4,5−ジメチル−2(5H)−フラノンを用いる方法(特許文献5)、グルコン酸カルシウムと乳酸カルシウムを併用する方法(特許文献6)、クルクミンを併用する方法(特許文献7)、または糖アルコールを併用する方法(特許文献8)などが提案されている。
一方、グルタミルバリルグリシン等のグルタミルペプチドについて、コク味付与作用や香辛料風味増強作用は知られているものの(特許文献9〜10)、保存料または日持防止剤に特有の味や臭いを抑制する作用については知られていない。
特開2015−6170号公報 特開平10−215793号公報 特開平10−229847号公報 特開平10−243776号公報 特開2001−69940号公報 特開平10−248385号公報 特開平7−250659号公報 特開2006−121994号公報 特開2010−154862号公報 WO2014/123175号国際公開パンフレット
本発明は、保存料または日持防止剤等の変質防止剤に特有の味(異味)または臭い(異臭)を抑制するための方法を提供することを目的とする。また本発明は変質防止剤の異味または異臭が抑制されてなる食品添加用組成物または食品組成物、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、グルタミルバリルグリシン(γGlu-Val-Gly)(以下、単に「EVG」とも称する)を変質防止剤と併用することで、変質防止剤に特有の異味や異臭が抑制できることを見出した。かかる知見に基づいて、本発明者らは、EVGを使用することで、変質防止剤をより広範囲にわたり食品に利用することができることを確認し、本発明を完成するに至った。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有する。
(I)食品添加用組成物
(I−1)変質防止剤、並びにEVGおよび/またはその塩を含有する、食品添加用組成物。
(I−2)変質防止剤が、ソルビン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、重合リン酸、チアミンラウリル硫酸、グリシン、グリセリン脂肪酸エステル、キトサン、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、(I−1)に記載する食品添加用組成物。
(I−3)変質防止剤100質量部に対するEVGおよび/またはその塩の割合が総量で10質量部以下である(I−1)または(I−2)に記載する食品添加用組成物。
(II)変質防止剤含有食品組成物
(II−1)(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載する食品添加用組成物を含有する食品組成物。
(II−2)変質防止剤を0.01〜50質量%、並びにEVGおよび/またはその塩を総量で0.0000001〜0.1質量%の割合で含有する、(I−1)に記載する食品組成物。
(III)変質防止剤含有食品組成物の製造方法
(III−1)(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載する食品添加用組成物を配合し、食品組成物中に変質防止剤とEVGおよび/またはその塩との共存状態を形成する工程を有する、変質防止剤含有食品組成物の製造方法。
(III−2)さらに加熱工程を有する(III−1)に記載する製造方法。
(III−3)前記食品組成物に、変質防止剤を総量で0.01〜50質量%、EVGおよび/またはその塩を総量でを0.0000001〜0.1質量%となるように配合する、(III−1)または(III−2)に記載する製造方法。
(IV)変質防止剤の異味および/または異臭を抑制する方法
(IV−1)変質防止剤とEVGおよび/またはその塩を併用することを特徴とする、変質防止剤の異味および/または異臭を抑制する方法。
(IV−2)前記併用が、食品組成物中に変質防止剤とEVGおよび/またはその塩との共存状態を形成するものである、(IV−1)に記載する方法。
(IV−3)前記共存状態は、変質防止剤を含有する食品組成物にEVGおよび/またはその塩を配合するか、EVGおよび/またはその塩を含有する食品組成物に変質防止剤を配合するか、または食品組成物に変質防止剤、およびEVGおよび/またはその塩を配合することによって形成されるものである、(IV−2)に記載する方法。
(IV−4)前記変質防止剤の異味および/または異臭が、変質防止剤を加熱することによって生じる異味および/または異臭である、(IV−1)〜(IV−3)のいずれかに記載する方法。
(IV−5)前記変質防止剤の異味が、酸味、えぐみ、および収れん味からなる群より選択される少なくとも1つである(IV−1)〜(IV−4)のいずれかに記載方法。
(IV−6)前記変質防止剤の異臭が、酸臭、加熱臭、およびビタミン臭からなる群より選択される少なくとも1つである(IV−1)〜(IV−5)のいずれかに記載する方法。
(IV−7)前記食品組成物中に、変質防止剤の総量100質量部に対するEVGおよび/またはその塩の割合が総量で10質量部以下となるように、変質防止剤とEVGおよび/またはその塩とを併用する、(IV−1)〜(IV−6)のいずれかに記載する方法。
(IV−8)前記食品組成物中に、変質防止剤の総量が0.01〜50質量%、EVGおよび/またはその塩の総量が0.0000001〜0.1質量%となるように両者を併用する、(IV−1)〜(IV−7)のいずれかに記載する方法。
(IV−9)変質防止剤が、ソルビン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、重合リン酸、チアミンラウリル硫酸、グリシン、グリセリン脂肪酸エステル、キトサン、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、(IV−1)〜(IV−8)のいずれかに記載する方法。
ここで本発明において「異味」とは、変質防止剤の有効成分またはそれを含む組成物に起因して口腔内で感じる味覚であって、当該変質防止剤特有の特異的な味を意味する。当該「異味」は、口腔内で感じる味覚のうち、とくに酸味、えぐみ、収れん味、または渋味などの異質な味(不快な味、心地よくない味)を意味する。また「異臭」とは、変質防止剤の有効成分またはそれを含む組成物に起因して鼻腔で感じる異質な臭い(不快な臭い、心地よくない臭い)を意味する。「臭い」には鼻から直接嗅ぐ臭い(オルソネーザルアロマ)と、口に入れて飲み込むときに喉から鼻腔に抜ける時に感じる臭い(レトロネーザルアロマ)との両方の意味が含まれる。本発明のEVGおよび/またはその塩による異臭抑制作用・効果は、鼻から直接嗅ぐ臭い(オルソネーザルアロマ)、および口に入れて飲み込むときに喉から鼻腔にかけて感じる臭い(レトロネーザルアロマ)のいずれか一方、好ましくは両方の臭いを抑制する効果を意味する。これらの異臭として、制限されないが、酸臭(酸による刺激臭)、加熱臭(加熱によって発生する異質な臭いまたは劣化臭)、ビタミン臭(例えば、ビタミンB1の分解生成物であるビス(2-メチル-3-フリル)ジサルファイド、または2-メチル-3-フランチオール等の臭い)等を例示することができる。
本発明の食品添加用組成物は、変質防止剤に由来する異味および/または異臭が抑制されており、食品に適用した場合に食品組成物本来の風味が損なわれることがなく、風味のよい食品組成物を提供することができる。また本発明の食品組成物は、変質防止剤を含有することで微生物による変質、変敗または腐敗が抑制されて保存性が向上されているとともに、変質防止剤に由来する異味および/または異臭が抑制されているため、変質防止剤の配合によって食品本来の風味が損なわれ難いことを特徴とする。また本発明の方法によれば、変質防止剤に特有の異味および/または異臭を抑制することができ、このため変質防止剤の食品への適用範囲を広げることができる。
(I)食品添加用組成物
本発明の食品添加用組成物は、変質防止剤、並びにEVGおよび/またはその塩を含有することを特徴とする。
(1)変質防止剤
本発明において変質防止剤とは、食品の変質を抑制ないし防止するために用いられる可食成分または当該成分を含有する可食性組成物を意味する。食品の変質は、一般に「食品の外観、内容、さらに官能的にも食用に適さなくなる現象」をいうが、本発明においては特に食品が微生物の影響をうけて風味が悪くなるなど、変質または変敗することで食用に適さなくなることをいう。つまり変質防止剤は、微生物の増殖による食品の変質、変敗または腐敗を防止することで食品の保存性を向上し、また食中毒の発生を予防するために使用される可食性成分または可食性組成物であり、食品添加物の保存料、日持向上剤、水素イオン調整剤、および調味料の範疇に含まれる可食性成分または可食性組成物が含まれる。
本発明において変質防止剤として用いられる可食性成分または可食性組成物は、前述するように微生物の増殖を抑制し、食品の変質、変敗および腐敗を防止する作用(以下、この作用を「静菌作用」または「変質防止作用」とも総称する)を有し、かつその成分またはその組成物に特有の味(異味)および/または臭い(異臭)を有する可食性成分または可食性組成物である。
保存料としては、一般に、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、およびデヒドロ酢酸ナトリウム等の有機酸およびその塩類;パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、およびパラオキシ安息香酸プロピル等の有機酸エステル類;亜硫酸ナトリウム(結晶、無水)、次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの無機塩類;カワラヨモギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、レンギョウ抽出物、ホオノキ抽出物、ツヤプリシン(抽出物)、およびペクチン分解物等の植物成分抽出物および分解物;しらこたん白抽出物、およびε−ポリリシン等のたん白質等を挙げることができる。本発明において好ましく用いられる保存料は、特有の味(異味)および/または臭い(異臭)を有するものであり、上記の保存料のうち、特に安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、およびデヒドロ酢酸ナトリウム等の有機酸およびその塩類;亜硫酸ナトリウム(結晶、無水)、次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの無機塩類;カワラヨモギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、ツヤプリシン(抽出物)、およびペクチン分解物等の植物成分抽出物および分解物;しらこたん白抽出物のたん白質には、特有の味(異味)および/または臭い(異臭)があることが知られている。本発明において好ましく用いられる保存料としてはソルビン酸またはその塩、安息香酸またはその塩、プロピオン酸またはその塩、およびデヒドロ酢酸またはその塩を挙げることができる。
日持向上剤としては、食品に適用可能であり、微生物の増殖を抑制する作用(静菌作用)があるものであればよい。一般に、酢酸(氷酢酸)、乳酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、およびグルコノデルタラクトン等の有機酸またはそれらの塩;ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸(以上、重合リン酸)、およびリン酸等の無機酸またはそれらの塩;グリシン、およびチアミンラウリル硫酸塩(ビタミンB1ラウリル硫酸塩)等のアミノ酸やビタミンル類;グリセリン脂肪酸エステル;リゾチーム;キトサン;ワサビ抽出物、シソ抽出物、およびチャ抽出物等の植物抽出物などの可食性成分または可食性組成物を挙げることができる。またこれらはpHに依存して、またはpHに依存することなく静菌作用を発揮するものであればよい。なお、上記有機酸の塩としては、食品添加剤として許容されるナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩を挙げることができる。また上記無機酸の塩としては、食品添加剤として許容されるナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩を挙げることができ、これらにはピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、およびメタリン酸ナトリウム等の重合リン酸塩;並びにリン酸三カリウム、およびリン酸三ナトリウム等のリン酸塩を挙げることができる。本発明において好ましく用いられる日持向上剤としては、酢酸またはその塩、乳酸またはその塩、クエン酸またはその塩等の有機酸またはその塩;重合リン酸塩;グリシン、およびチアミンラウリル硫酸塩等のアミノ酸やビタミンル類;グリセリン脂肪酸エステル;およびキトサンであり、より好ましくは酢酸またはその塩、およびグリシンである。
なお、前記酢酸または酢酸ナトリウムは、市場で入手可能な食用酢として用いられていてもよい。食用酢には米酢、玄米酢、粕酢、麦芽酢、黒酢およびハトムギ酢などの穀物酢;リンゴ酢、ワイン酢、シェリー酢、バルサミコ酢、ポン酢、レモン酢、かぼす酢、および梅酢等の果実酢;醸造酢;合成酢が含まれる。
(2)グルタミルバリルグリシン(EVG)またはその塩
EVGは、γグルタミル構造を有するトリペプチドの調味料(食品添加物)である。魚醤や醤油中の食品中に微量含まれており、コク味付与作用を有する成分とされている。
本発明においてEVGは、遊離の形態、塩の形態、またはそれらの混合物のいずれの形態で用いることができる。本発明において、「グルタミルバリルグリシン(EVG)および/またはその塩」とは、特記しない限り、遊離の形態のEVG、塩の形態のEVG、またはそれらの混合物を意味する。以下、当該「EVGおよび/またはその塩」を、単に「EVG類」と総称する場合がある。
EVGの塩としては、可食性の塩または薬理学的に許容される塩であれば特に限定されない。例えば、カルボキシル基などの酸性基に対する塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;アルミニウム塩;亜鉛塩;トリエチルアミン、エタノールアミン、ピペラジン、ピペリジン、ジシクロヘキシルアミンなど有機アミンとの塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。また、アミノ基など塩基性基に対する塩としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩;酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、デカン酸、デオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩を挙げることができる。塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
EVGは、本発明の効果を奏することを限度として、所望の程度に精製されていればよく、精製品であっても、また非精製品であってもよい。例えば、EVGとして、純度が30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、90%(w/w)以上、または95%(w/w)以上のものを用いることもできる。
(3)食品添加用組成物
本発明において食品添加用組成物は、食品に添加して使用されるものを意味する。具体的には、食品の製造または調理の過程において、食品に添加、混和、湿潤またはその他の方法によって使用されるものである。ここで対象とする食品は、スーパーやコンビニエンスストアなどの店頭で販売される加工食品のほか、レストランや食堂等の飲食店および家庭で調理される食品(調理食)のいずれもが含まれる。なお、加工食品には、缶・瓶詰果汁、味噌、醤油、および漬け物等の一次加工食品;製パン、製麺、マヨネーズやソースなどの調味料等の二次加工食品;インスタント食品、冷凍食品、レトルト食品、缶詰、瓶詰、練り製品、包装食品、調理済み食品・半調理済み食品、コピー食品、総菜類等の三次加工食品(調理加工済み食品)が含まれる。またその形態も問わず、固形物(固体、粉末状、顆粒状)、半固形物(ペースト状、ゲル状)、および液状物(溶液状、乳液状、分散液状)のいずれでもよい。つまり、本発明において食品という用語は、飲料を含む飲食品と同意義で使用される。
本発明の食品添加用組成物は、前記食品に添加して使用する目的(役割)によって特に制限されるものではない。例えば、(1)保存料または日持向上剤などのように、微生物の増殖を抑制することで食品の保存性を高め、食中毒を予防するものであってもよいし、(2)pH調整剤などのように、食品の製造や加工に必要であるとして添加されるものであってもよいし、(3)酸味料や調味料等のように、食品の嗜好性や品質を向上させて、より魅力ある食品にするためのものであってもよいし、さらに(4)食品の栄養成分を補充し、強化するものであってもよい。
本発明の食品添加用組成物における変質防止剤に対するEVG類の割合は、EVG類を配合することで変質防止剤の異味や異臭が抑制できる限りにおいて特に制限されない。好ましくは食品添加用組成物に含まれている変質防止剤の総量100質量部に対するEVG類の割合(総量)として10質量部以下を挙げることができる。好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下である。下限値は、本発明の効果を奏することを限度として制限されないが、通常0.000007質量部以上であり、好ましくは0.0007質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上である。
なお、本発明の食品添加用組成物における変質防止剤、並びにEVG類の配合割合は、上記の限りにおいて特に制限されず、食品添加用組成物の種類や用途、および配合する変質防止剤の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば変質防止剤の配合割合(総量)としては、通常0.1〜100質量%未満の範囲、好ましくは0.5〜90質量%の範囲から適宜選択することができる。また、EVG類の配合割合(総量)としては、上記の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して10質量部以下の割合の範囲になるように、通常0より多く5質量%未満の範囲、好ましくは0より多く3質量%の範囲から適宜選択することができる。
また、本発明の食品添加用組成物が、例えば食品の微生物による腐敗や変敗を防止し、食中毒の発生を予防するために使用される保存料製剤である場合、変質防止剤の含有量(総量)として1〜100質量%未満の範囲、好ましくは5〜100質量%未満、より好ましくは10〜100質量%未満を挙げることができる。EVG類の含有量(総量)は、前述の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して0より多く10質量部以下の範囲である限り制限されず、通常0より多く10質量%未満の範囲であればよい。好ましくは0より多く5質量%の範囲、より好ましくは0より多く3質量%の範囲から選択することができる。なお、ここで変質防止剤として、好ましくは安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、およびデヒドロ酢酸ナトリウムなどを挙げることができる。当該保存料製剤は、最終食品における上記変質防止剤の濃度(添加濃度)が、厚生労働省が定める使用基準内に収まるように適宜調整することができる。本発明の保存料製剤は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、顆粒、錠剤等のいかなる形態であってもよい。
また、本発明の食品添加用組成物が、例えば食品の短期間の腐敗や変敗を抑制するために使用される日持向上用製剤である場合、変質防止剤の含有量(総量)として1〜100質量%未満の範囲、好ましくは10〜100質量%未満、より好ましくは20〜100質量%未満を挙げることができる。EVG類の含有量(総量)は、前述の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して0より多く10質量部以下の範囲である限り制限されず、通常0より多く10質量%未満の範囲であればよい。好ましくは0より多く5質量%の範囲、より好ましくは0より多く3質量%の範囲から選択することができる。なお、ここで変質防止剤として、前述する有機酸またはその塩;無機酸またはその塩;アミノ酸やビタミン類;グリセリン脂肪酸エステル;リゾチーム;キトサン;および植物抽出物などの可食性成分または可食性組成物を挙げることができる。当該日持向上用製剤は、最終食品における上記変質防止剤の濃度(添加濃度)が、総量で0.05〜5質量%(または500〜50000ppm)、好ましくは0.1〜3質量%(または1000〜30000ppm)となるように適宜調整することができる。当該日持向上用製剤は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、顆粒、錠剤等のいかなる形態であってもよい。なお、日持向上用製剤の静菌作用を向上するために、pHが5.5〜6.5となるようにpH調整剤と併用されてもよい。
本発明の食品添加用組成物が、例えば食品のpH調整に使用されるpH調整用製剤である場合、変質防止剤の含有量(総量)として1〜100質量%未満の範囲、好ましくは10〜100質量%未満、より好ましくは20〜100質量%未満を挙げることができる。EVG類の含有量(総量)は、前述の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して0より多く10質量部以下の範囲である限り制限されず、通常0より多く10質量%未満の範囲であればよい。好ましくは0より多く5質量部%の範囲、より好ましくは0より多く3質量%の範囲から選択することができる。なお、ここで変質防止剤として、好ましくはクエン酸、クエン酸三ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、リン酸ナトリウムを挙げることができる。かかる食品添加用組成物は、最終食品における変質防止剤の濃度(添加濃度)が、0.05〜50質量%(または500〜500000ppm)の範囲で適宜調整することができる。当該本発明の食品添加用組成物(pH調整用製剤)の形態は特に限定されない。本発明のpH調整製剤は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、顆粒、錠剤等のいかなる形態であってもよい。
また、本発明の食品添加用組成物が、例えば食品に酸味の付与、または酸味の調整や味の調和のために使用される酸味料製剤である場合、変質防止剤の含有量(総量)として1〜100質量%未満の範囲、好ましくは10〜100質量%未満、より好ましくは20〜100質量%未満を挙げることができる。EVG類の含有量(総量)は、前述の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して0より多く10質量部以下の範囲である限り制限されず、通常0より多く10質量%未満の範囲であればよい。好ましくは0より多く5質量部%の範囲、より好ましくは0より多く3質量%の範囲から選択することができる。なお、ここで変質防止剤として、好ましくはクエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウムなどを挙げることができる。当該食品添加用組成物(酸味料製剤)は、最終食品における変質防止剤の濃度(添加濃度)が、0.05〜50質量%(または500〜500000ppm)の範囲で適宜調整することができる。本発明の食品添加用組成物(酸味料製剤)は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、顆粒、錠剤等のいかなる形態であってもよい。
また、本発明の食品添加用組成物が、例えば食品に旨味などを付与もしくは増強し、また味の調和や調整をして味覚を向上や改善するために使用される調味料製剤である場合、変質防止剤の含有量(総量)として0.05〜100質量%未満の範囲、好ましくは0.05〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%を挙げることができる。EVG類の含有量(総量)は、前述の通り、変質防止剤の総量100質量部に対して0より多く10質量部以下の範囲である限り制限されず、通常0より多く10質量%未満の範囲であればよい。好ましくは0より多く5質量部%の範囲、より好ましくは0より多く3質量%の範囲から選択することができる。なお、ここで変質防止剤として、好ましくはクエン酸三ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸二ナトリウムなどを挙げることができる。当該食品添加用組成物(調味料製剤)は、最終食品における上記変質防止剤の濃度(添加濃度)が、0.05〜50質量%(または500〜500000ppm)の範囲で適宜調整することができる。本発明の食品添加用組成物(調味料製剤)は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、固体等のいかなる形態であってもよい。
当該調味料製剤は、必要に応じて、他の成分をさらに含有することができる。「他成分」は、調味料に使用できる成分であれば特に限定されない。「他の成分」は、EVG類による変質防止剤の異味または異臭抑制効果を妨げない範囲で使用することができる。「他の成分」としては、例えば、アミノ酸系うま味調味料(例:グルタミン酸ナトリウム等)、核酸系うま味調味料(例:イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等)、無機塩類(例:リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等)、アミノ酸(例:グリシン、アラニン、アルギニン、リジン等)、タンパク質加水分解物、家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例:チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等)、アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)を利用した加工食品、等張化剤(例:ソルビトール等)、緩衝剤(例:酢酸ナトリウム等)、防腐剤(例:亜硝酸ナトリウム等)、抗酸化剤(例:L−アスコルビン酸等)、着色剤(例:ベニバナ色素)、矯味剤(例:ハッカ油等)、pH調整剤(例:酢酸ナトリウム等)、賦形剤(例:デキストリン、乳糖等)等が挙げられる。これらの「他の成分」は、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
(II)変質防止剤含有食品組成物およびその製造方法
本発明が対象とする食品組成物は、その製造または調理の過程において、前述する食品添加用組成物を添加、混和、湿潤またはその他の方法によって使用して製造されるものである。つまり、本発明の食品組成物は、前述する変質防止剤、並びにEVG類を含有し、変質防止剤の総量100質量部に対して、EVG類の割合が総量で10質量部以下であることを特徴とする。EVG類の割合として、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下である。下限値は、本発明の効果を奏することを限度として制限されないが、通常0.000001質量部以上であり、好ましくは0.0005質量部以上であり、より好ましくは0.005質量部以上である。
本発明の食品組成物における変質防止剤、並びにEVG類の配合割合は、上記の限りにおいて特に制限されず、食品組成物の種類や用途、および配合する変質防止剤の種類に応じて、適宜設定することができる。例えば変質防止剤の配合割合(総量)としては、通常0.01〜50質量%の範囲、好ましくは0.01〜30質量%の範囲、より好ましくは0.1〜20質量%の範囲から適宜選択することができる。また、EVG類の配合割合(総量)としては、通常0.0000001〜0.1質量%の範囲、好ましくは0.000005〜0.1質量%の範囲、より好ましくは0.00005〜0.1質量%の範囲、から適宜選択することができる。
本発明が対象とする食品組成物は、前述する通り、各種の加工食品(一次加工食品、二次加工食品、三次加工食品)のほか、レストランや食堂等の飲食店および家庭で調理される食品(調理食)のいずれもが含まれる。またその形態も問わず、固形物(固体、粉末状、顆粒状)、半固形物(ペースト状、ゲル状)、および液状物(溶液状、乳液状、分散液状)のいずれでもよい。つまり、本発明において食品組成物という用語は、飲料を含む飲食品と同意義で使用される。
本発明の食品組成物は、食品組成物中に変質防止剤とEVG類との共存状態を形成する工程を有する以外は、対象とする食品の種類に応じて定法に従って製造することができる。前記共存状態は、変質防止剤を含有する食品組成物にEVG類を配合するか、EVG類を含有する食品組成物に変質防止剤を配合するか、または食品組成物に変質防止剤およびEVG類を配合することによって形成される。当該製造工程は、さらに加熱工程を有していてもよく、かかる加熱工程を経ても、本発明の食品組成物は、EVGまたはその塩の配合により変質防止剤に由来する異味および/または異臭の発生が抑制されていることを特徴とする。
(III)変質防止剤の異味および/または異臭を抑制する方法
本発明は、変質防止剤とEVG類を併用することを特徴とし、こうすることで食品組成物中における変質防止剤に由来する異味および/または異臭を抑制することができる。ここで併用とは、食品組成物中に変質防止剤とEVG類との共存状態を形成することをいう。当該共存状態は、変質防止剤を含有する食品組成物にEVG類を配合するか、EVG類を含有する食品組成物に変質防止剤を配合するか、または食品組成物に変質防止剤およびEVG類を配合することによって形成される。変質防止剤およびEVG類を添加配合する時期は特に制限されないが、変質防止剤に由来する異味および/または異臭を抑制するという目的を達成する意味で、EVG類の配合は、変質防止剤の配合と同時またはそれより前であることが好ましい。変質防止剤の配合よりも後である場合であっても、加熱処理の前にEVG類を添加配合することが好ましい。
ここで変質防止剤の種類やその使用割合については、前述する(I)にて説明した通りであり、当該記載はここに援用される。またEVGの塩の種類やEVG類の使用割合についても、前述する(I)にて説明した通りであり、当該記載はここに援用される。具体的には、本発明は前記食品組成物中に、変質防止剤の総量100質量部に対するEVG類の割合が総量で10質量部以下となるように、変質防止剤とEVG類とを併用することで実施することができる。好ましくは、食品組成物中に変質防止剤の割合が総量で0.01〜50質量%、EVG類の割合が総量0.0000001〜0.1質量%となるように両者を併用することで実施することができる。
斯くして、変質防止剤を加熱することによって生じる異味および/または異臭をも抑制することが可能になる。
以下、本発明の理解を容易にするために、実施例および実験例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例等によって何ら制限されるものではない。また下記の実施例等は、特に言及しない限り、常温(25±5℃)および常圧条件で実施した。なお、以下の実施例等において、特に言及しない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実験例1 EVGの酢酸に対する酸味および酸臭抑制効果
酸度醸造酢(タマノイ酢製、酢酸15%含有)を蒸留水で希釈して0.2%濃度の酢酸水溶液を調製し、これにグルタミルバリルグリシン(EVG)(和光純薬工業製)を、表1に記載するように0.05〜1000ppm濃度になるように添加し溶解して、EVG添加酢酸含有水溶液(25℃+5℃)(被験試料1〜9)を作製した。
味と臭いの官能評価についてよく訓練された専門のパネル3名に、被験試料1〜9の酸味と酸臭を、EVGを添加しない0.2%濃度の酢酸水溶液を対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で、下記の基準に従って4段階で評価した。なお、酸臭は被験試料(25℃+5℃)を広口ビーカーにいれて、液面を揺らして鼻で臭いを嗅ぐことによって評価した(オルソネーザルアロマの評価)。また酸味は被験試料を口に含み、口腔内で感じる味から評価した
[酸味・酸臭の判断基準]
◎:対照試料と比較して、酸味または酸臭が顕著に抑制されている。
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
結果を表1に示す。下記表には、パネル3名のうち、2名以上が示した評価結果を示す。3名の評価結果がすべて相違する場合は、再び時間をおいて再評価を行い、その結果を採用した。その場合でも3名が全て異なる評価結果を示した場合は、中間の評価結果を採用した(以下の実験例においても同じ)。
Figure 2019187325
上記の結果からわかるように、EVGの添加により、酢酸特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。具体的には、酢酸100質量部に対してEVGを0.0025質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上の割合で併用することで、酢酸特有の酸味および酸臭を有意に抑制することができる。またEVGは酢酸100質量部に対して50質量部の割合で配合しても酸味および酸臭マスキング効果に変わりはなく、これらを有意に抑制できることが確認された。
実験例2 EVGの各種の有機酸に対する酸味および酸臭抑制効果
食用酢酸に代えて、静菌作用を有する食用有機酸(クエン酸、乳酸、アジピン酸)を用いて、実験例1と同様にして、EVGによる酸味および酸臭抑制効果を評価した。
具体的には、上記各種の食用有機酸を蒸留水で希釈して各々0.2%濃度の有機酸水溶液を調製し、これにEVGを、表2に記載するように5ppmまたは50ppm濃度になるように添加し溶解して、各種のEVG添加有機酸含有水溶液(25℃+5℃)(被験試料10〜16)を作製した。これらの被験試料について、実験例1と同様に、EVGを添加しない0.2%濃度の各有機酸水溶液を対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で、よく訓練された専門パネル3名に、各有機酸の酸味と酸臭を評価してもらった。
結果を表2に示す。酸味・酸臭の判断は、実験例1と同じ基準に従って行った。
Figure 2019187325
上記の結果からわかるように、EVGの添加により、クエン酸、乳酸、およびアジピン酸特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例3 米酢添加米飯に対するEVGの効果
米酢とともにEVGを添加して米飯を炊き、米酢の酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)試験方法
水洗し、水に浸漬した米180部に対して、水271部および米酢(市販品:ミツカン社製、酸度4.5%))9部を添加し、これに表3に記載する濃度になるようにEVGを添加して、通常の炊飯器にて炊飯した。炊飯後、5分間蒸らした後に茶碗に装い、よく訓練された専門パネル3名に、茶碗にいれたときの米飯の臭いと、それを食べたときに口腔内で感じる酸味を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずに米酢のみを上記の割合で添加して炊飯した米飯を対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で4段階の評価を行った。
(2)試験結果
結果を表3に示す。
Figure 2019187325
◎:対照試料と比較して、酸味または酸臭が顕著に抑制されている。
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、米酢に加えてEVGを添加して米飯を炊くことにより、米酢に由来する酢酸特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。また上記の結果からわかるように、EVGを50ppmより大きく超えて100ppmより多く添加しても酸味および酸臭抑制効果に差はなかった。このことから、経済的観点から、EVGは所定量以下の添加で十分であると考えられる。
実験例4 乳酸添加うどんに対するEVGの効果
乳酸に加えてEVGを添加した水溶液に、茹でたうどんを浸漬処理し、乳酸の酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)試験方法
下記方法によりうどん(被験試料)を調製し、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸味、および食べる際に鼻で直接嗅いで感じる酸臭(オルソネーザルアロマ)を評価してもらった。評価は、浸漬水として、EVGを添加せずに乳酸を0.5%添加して調製した水溶液を用いて浸漬処理したうどんを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
[うどん(被験試料)の調製方法]
1.市販の冷凍うどんを沸騰水で1分間ゆで上げ、水気をきる。
2.上記で水気をきったうどん麺を4倍量の0.5%乳酸水溶液に1分間浸漬する。
3.再度水気をきり、真空パックした後、90℃で5分間、二次加熱する。
4.加熱後、流水で冷却して、冷蔵保存する。
5.食べるときに、600Wレンジで60秒再加熱し、酸臭および酸味の評価を実施する。
(2)試験結果
結果を表4に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、乳酸に加えてEVGを添加することで、乳酸に由来する有機酸特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例5 乳酸添加パスタに対するEVGの効果
乳酸に加えてEVGを添加した水溶液に、茹でたパスタを浸漬処理し、乳酸の酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)試験方法
下記方法によりパスタ(被験試料)を調製し、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸味、および食べる際に鼻で直接嗅いで感じる酸臭(オルソネーザルアロマ)を評価してもらった。評価は、浸漬溶液として、EVGを添加せずに乳酸を1%添加して調製した水溶液を用いて浸漬処理したパスタを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
[パスタ(被験試料)の調製方法]
1.乾燥麺のパスタを設定された茹で時間よりも1分早くゆで上げ、水気をきる。
2.上記で水気をきったパスタ麺を4倍量の浸漬溶液(1%乳酸およびEVG含有水溶液)に1分間浸漬する。
3.再度水気をきり、真空パックした後、90℃で5分間、二次加熱する。
4.加熱後、流水で冷却して、冷蔵保存する。
5.食べるときに、600Wレンジで15〜30秒再加熱し、酸臭および酸味の評価を実施する。
(2)試験結果
結果を表5に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、実験例4と同様に、乳酸に加えてEVGを添加することで、乳酸に由来する有機酸特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例6 酢酸ナトリウム添加食パンに対するEVGの効果
酢酸ナトリウムに加えてEVGを添加して食パンを製造し、酢酸ナトリウムの酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。
下記処方からなるドウに、酢酸ナトリウムを0.35%、EVGを10ppm(いずれも最終濃度)となるように添加して、自動ホームベーカリー(National SD-BT6)に投入して、食パンを製造した。なお、食パンは製造工程で、味や臭いに影響を与えない微量のフィチン酸を用いて最終製品のpHが5.1になるよう調整した。製造した食パンを、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸味、および食べる際に鼻で感じる酸臭を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずに酢酸ナトリウムを0.35%添加して製造した食パンを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
[食パンの処方]
1.強力粉 280 (g)
2.バター 16.8
3.砂糖 19.6
4.脱脂粉乳 6.72
5.塩 5.6
6.ドライイースト 3.36
7.水 201.6
結果を表6に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、酢酸ナトリウムに加えてEVGを添加することで、酢酸ナトリウムに由来する有機酸塩特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例7 酢酸Na製剤添加ポテトコロッケに対するEVGの効果
酢酸ナトリウムを含有する酢酸Na製剤(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)、およびEVGを添加してポテトコロッケを作製し、酢酸Na製剤の酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。なお、酢酸Na製剤には、酢酸ナトリウム76.6%に加えて、氷酢酸4.4%、グリシン17.3%、その他1.7%等の有機酸およびアミノ酸が含まれている。
(1)ポテトコロッケの製造
下記処方からなるポテトコロッケの生地に、酢酸Na製剤を1.5%、EVGを10ppm(いずれも最終濃度)となるように添加して成型した後、下記の手順に従って、バッター液とパン粉を付け、冷凍後油ちょうして、ポテトコロッケ(pH5.9)を製造した。
[生地処方]
ジャガイモ 74.6(%)
玉葱 23
合挽き肉 1
食塩 0.7
砂糖 0.6
胡椒 0.1
合 計 100
[バッター処方]
市販バッターミックス(千葉製粉製) 20 (%)
水 80
合計 100
[試作手順]
1.ジャガイモを茹でてからつぶしておく。玉葱、合挽き肉を炒め、全ての原料を混合し、コロッケの具とした。
2.コロッケの具に対し、酢酸Na製剤及びEVGを添加した。
3.バッター液に成形したコロッケをつけ、さらにパン粉をまぶしす。急速冷凍(-40℃、2時間)した後、冷凍保存を行った。
4.冷凍していたコロッケを油ちょうした。(175℃、2分30秒)
5.コロッケを個々に包装し、30℃にて保存した。
(2)試験方法
上記で製造したポテトコロッケを、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸味、および食べる際に鼻で直接嗅いで感じる酸臭(オルソネーザルアロマ)を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずに酢酸Na製剤を1.5%(酢酸Naに換算すると1.14%)添加して製造したポテトコロッケを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
(3)試験結果
結果を表7に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、酢酸Na製剤に加えてEVGを添加することで、酢酸Na製剤に由来する有機酸または有機酸塩特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例8 ボイルブロッコリーに対するEVGの効果
酢酸Na製剤(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)に加えてEVGを添加した水溶液に茹でたブロッコリーを浸漬し、酢酸Na製剤の酸味および酸臭に対するEVGの抑制効果を評価した。なお、酢酸Na製剤は、前記実験例7で用いたものと同じものである。
(1)試験方法
ブロッコリーの10倍量の沸騰水に冷凍ブロッコリーを投入し、再沸騰後30秒間ボイルした。これをザルに上げた後、これを3%濃度の酢酸Na製剤(酢酸Naに換算すると2.28%)を溶解した水溶液に投入し、30分間浸漬した後、ザルに上げて水切りをした。これをよく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸味、および食べる際に鼻で感じる酸臭を評価してもらった。評価は、上記浸漬水として、EVGを添加せずに酢酸Na製剤を3%添加して調製した水溶液を用いて浸漬処理したブロッコリーを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
(2)試験結果
結果を表8に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、酸味または酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、酸味または酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、酢酸Na製剤に加えてEVGを添加することで、酢酸Na製剤に由来する有機酸または有機酸塩特有の酸味および酸臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例9 酢酸ナトリウムに対するEVGの効果
酢酸ナトリウムに加えて、EVGを添加してフラワーペーストを作製し、酢酸ナトリウムの酸臭およびえぐみ(後味の悪さ)に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)フラワーペーストの製造
下記処方からなるフラワーペーストの粉体原料に、酢酸ナトリウムを0.2%、EVGを5ppm(いずれも最終濃度)となるように添加して、下記の手順に従って、加熱してフラワーペーストを製造した。
[処方]Brix45
1.グラニュー糖 14.5(%)
2.水飴 14
3.無塩バター 5
4.コーンスターチ 4.6
5.薄力粉 2
6.全卵 3.5
7.ゲル化剤 0.3
8.全脂粉乳 8.2
9.フマル酸 0.1
10.水 47.8
合 計 100
[試作手順]
1.予め粉体原料(1,4,5,7,8,9)を計量し混合した。これに最終濃度が0.2%となるように、酢酸ナトリウムを配合し、混合した。
2.鍋に液体原料(2,6,10)を量り、上記で調製した粉体混合物を少しずつ加えながら撹拌混合した。
3.鍋に原料3を加えて火をかけ、よくヘラでかき混ぜた。
4.焦げ付かないようにヘラでかき混ぜながら、弱火で長時間加熱した。
5.加熱終了後、水を追加して、最終的な収量を調整し、フラワーペーストを作製した。
(2)試験方法
上記で製造したフラワーペーストを、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる酸臭(レトロネーザルアロマ)と後味の悪さ(えぐみ)を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずに酢酸Naを0.2%(終濃度)添加して製造したフラワーペーストを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
(3)試験結果
結果を表9に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、えぐみまたは酸臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、えぐみまたは酸臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、えぐみまたは酸臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、酢酸Naに加えてEVGを添加することで、酢酸Naに由来する特有の酸臭および後味の悪さ(えぐみ)が有意に抑制できることが確認された。
実験例10 グリシンに対するEVGの効果
グリシン(日持向上剤)に加えてEVGを添加して卵焼きを作製し、焼成時に発生するグリシン特有の加熱臭(蒸れたような劣化臭)に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)卵焼きの製造
下記処方からなる卵焼きの原料にグリシンを1.5%、EVGを0.001〜100ppm(いずれも最終濃度)となるように添加して、下記の手順に従って、卵焼きを焼成製造した。
[処方]
1.液卵(裏ごし) 72 (%)
2.砂糖(白砂糖) 3.5
3.馬鈴薯澱粉 2
4.和風だし 2
5.高濃度醸造酢 0.4
6.水 20.1
合 計 100
[試作手順]
1.計量した4および5に、2および3の混合物を少しずつ加えながら撹拌した。
2.上記にグリシン及びEVG、並びに裏ごしした液卵を加えて、混合した。
3.上記の混合原料をフライパンにて焼成して卵焼きを作製した。
4.室温にて放冷後、滅菌袋に密封し、脱気後に二次殺菌(85℃で30分間)した。
5.流水冷却して、官能評価した。
(2)試験方法
上記で製造した卵焼きを、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内と鼻で感じるグリシン加熱臭(レトロネーザルアロマ)を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずにグリシンを1.5%(終濃度)添加して製造した卵焼きを対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
(3)試験結果
結果を表10に示す。
Figure 2019187325
◎:対照試料と比較して、グリシン加熱臭が格段に抑制されている。
○:対照試料と比較して、グリシン加熱臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、グリシン加熱臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、グリシン加熱臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、グリシンに加えてEVGを添加することで、グリシン添加食品を加熱することで生じる加熱臭が有意に抑制できることが確認された。
実験例11 チアミンラウリル硫酸塩に対するEVGの効果
調味液に、チアミンラウリル硫酸塩(日持向上剤)に加えてEVGを添加し、これに白菜を漬けて浅漬けを作製し、チアミンラウリル硫酸塩のビタミン臭および収れん味に対するEVGの抑制効果を評価した。
(1)白菜の浅漬けの製造
下記処方からなる調味液に、チアミンラウリル硫酸塩を0.05%、EVGを50ppm(いずれも最終濃度)となるように添加して、下記の手順に従って、白菜の浅漬けを製造した。
[処方]
調味液 180部
食塩 2 %
グルタミン酸ナトリウム 0.3%
水 97.7%
塩漬白菜 120部
[試作手順]
1.白菜を輪切りにして塩で下漬けしたものを水洗いし、水を切る。
2.調味液にチアミンラウリル硫酸塩とEVGを所定量添加し、混合する。
3.上記で調製した調味液と上記1で処理した白菜とを3:2の割合で容器に入れて密封する。
4.10℃にて保存し、経日的に液の濁りと菌数を測定する。
(2)試験方法
上記で製造した浅漬け白菜を、よく訓練された専門パネル3名に食べてもらい、口腔内で感じる収れん味と、口腔内と鼻腔で感じるビタミン臭(レトロネーザルアロマ)を評価してもらった。評価は、EVGを添加せずにチアミンラウリル硫酸塩を0.05%(終濃度)添加して製造した調味液に塩漬け白菜を漬けた対照試料(陰性コントロール)として、これとの比較で3段階の評価を行った。
(3)試験結果
結果を表11に示す。
Figure 2019187325
○:対照試料と比較して、収れん味またはビタミン臭が抑制されている。
△:対照試料と比較して、収れん味またはビタミン臭がやや抑制されている。
×:対照試料と比較して、収れん味またはビタミン臭が抑制されていない。
上記の結果からわかるように、チアミンラウリル硫酸Naに加えてEVGを添加することで、チアミンラウリル酢酸Naに由来する特有の収れん味およびビタミン臭が有意に抑制できることが確認された。
本発明によれば、食品組成物における変質防止剤に由来する異味および/または異臭を抑制することができる。このため、変質防止剤の配合によって食品組成物本来の風味が損なわれることなく、風味のよい食品組成物を提供することができる。

Claims (16)

  1. 変質防止剤、並びにグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を含有する、食品添加用組成物。
  2. 変質防止剤が、ソルビン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、重合リン酸、チアミンラウリル硫酸、グリシン、グリセリン脂肪酸エステル、キトサン、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載する食品添加用組成物。
  3. 変質防止剤100質量部に対するグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩の割合が総量で10質量部以下である請求項1または2に記載する食品添加用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載する食品添加用組成物を含有する食品組成物。
  5. 変質防止剤を0.01〜50質量%、並びにグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を総量で0.0000001〜0.1質量%の割合で含有する、請求項4に記載する食品組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載する食品添加用組成物を配合し、食品組成物中に変質防止剤とグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩との共存状態を形成する工程を有する、変質防止剤含有食品組成物の製造方法。
  7. さらに加熱工程を有する請求項6に記載する製造方法。
  8. 前記食品組成物に、変質防止剤を0.01〜50質量%、グルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を総量で0.0000001〜0.1質量%になるように配合する、請求項6または7に記載する製造方法。
  9. 変質防止剤とグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を併用することを特徴とする、変質防止剤の異味および/または異臭を抑制する方法。
  10. 前記併用が、食品組成物中に変質防止剤とグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩との共存状態を形成するものである、請求項9に記載する方法。
  11. 前記共存状態は、変質防止剤を含有する食品組成物にグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を配合するか、グルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を含有する食品組成物に変質防止剤を配合するか、または食品組成物に変質防止剤およびグルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩を配合することによって形成されるものである、請求項10に記載する方法。
  12. 前記変質防止剤の異味および/または異臭が、変質防止剤を加熱することによって生じる異味および/または異臭である、請求項9〜11のいずれかに記載する方法。
  13. 前記変質防止剤の異味が、酸味、えぐみ、および収れん味からなる群より選択される少なくとも1つである請求項9〜12のいずれかに記載方法。
  14. 前記変質防止剤の異臭が、酸臭、加熱臭、およびビタミン臭からなる群より選択される少なくとも1つである請求項9〜13のいずれかに記載する方法。
  15. 前記食品組成物中に、変質防止剤が0.01〜50質量%、グルタミルバリルグリシンおよび/またはその塩が総量で0.0000001〜0.1質量%となるように両者を併用する、請求項9〜14のいずれかに記載する方法。
  16. 変質防止剤が、ソルビン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、重合リン酸、チアミンラウリル硫酸、グリシン、グリセリン脂肪酸エステル、キトサン、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項9〜15のいずれかに記載する方法。
JP2018084854A 2018-04-26 2018-04-26 変質防止剤含有食品組成物 Pending JP2019187325A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018084854A JP2019187325A (ja) 2018-04-26 2018-04-26 変質防止剤含有食品組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018084854A JP2019187325A (ja) 2018-04-26 2018-04-26 変質防止剤含有食品組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019187325A true JP2019187325A (ja) 2019-10-31

Family

ID=68389852

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018084854A Pending JP2019187325A (ja) 2018-04-26 2018-04-26 変質防止剤含有食品組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019187325A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023286615A1 (ja) * 2021-07-12 2023-01-19 味の素株式会社 植物タンパク質含有食品の異風味を抑制する方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05336941A (ja) * 1991-12-02 1993-12-21 Eisai Co Ltd 食品用保存剤及び保存法
JPH06189711A (ja) * 1992-12-25 1994-07-12 Lion Corp パーム油カロチン含有食品
JPH10215793A (ja) * 1997-02-12 1998-08-18 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
JPH10229847A (ja) * 1997-02-18 1998-09-02 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
JPH10243776A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
WO2008139946A1 (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Ajinomoto Co., Inc. 甘味料
WO2014017485A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 味の素株式会社 果汁含有飲食品
JP2016168044A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 味の素株式会社 コク味付与機能を有する組成物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05336941A (ja) * 1991-12-02 1993-12-21 Eisai Co Ltd 食品用保存剤及び保存法
JPH06189711A (ja) * 1992-12-25 1994-07-12 Lion Corp パーム油カロチン含有食品
JPH10215793A (ja) * 1997-02-12 1998-08-18 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
JPH10229847A (ja) * 1997-02-18 1998-09-02 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
JPH10243776A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Sanei Gen F F I Inc 酸味のマスキング方法
WO2008139946A1 (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Ajinomoto Co., Inc. 甘味料
WO2014017485A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 味の素株式会社 果汁含有飲食品
JP2016168044A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 味の素株式会社 コク味付与機能を有する組成物

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"「おいしさ」を決める「コク」を解明する", 月刊フードケミカル, 2017, VOL.33, NO.1, P.4-5, JPN6021050231, ISSN: 0004785740 *
"「グルタミルバリルグリシン新規指定に」", 月刊フードケミカル, 2014, VOL.30, NO.9, P.6, JPN6021050233, ISSN: 0004785739 *
GNPD - 65% CALORIE-REDUCED MAYONNAISE, ID# 4294313, [ONLINE], 2016, [検索日:2021.12.09], JPN6021050234, ISSN: 0004785738 *
主要な保存料・日持向上剤の抗菌メカニズム−どこまで解明されているか?, 日本食品微生物学会雑誌, 2014,, JPN6022021318, ISSN: 0004785741 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023286615A1 (ja) * 2021-07-12 2023-01-19 味の素株式会社 植物タンパク質含有食品の異風味を抑制する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2008349773B2 (en) Methods and compositions for reducing sodium content in food products
US20120201945A1 (en) Food composition with reinforced or enhanced salty taste and composition containing potassium chloride with suppressed offensive taste
US8507027B2 (en) Seasoning compositions, salt-like taste enhancer and method for enhancing salt-like taste of food and drink
JP2019062778A (ja) 塩味増強剤及びこれを利用した塩味増強方法
JP2008510469A (ja) トレハロースを含む成分系、トレハロースを含む食品、およびこれらを作製する方法
US20130287926A1 (en) Low sodium salt substitute compositions
US20100239740A1 (en) Low sodium salt substitute compositions
US6858244B2 (en) Seasoning compositions, foods and drinks with the use thereof and processes for producing the same
JP7098405B2 (ja) 有機酸含有食品組成物
JP2019050774A (ja) 味質向上剤
JP2019187325A (ja) 変質防止剤含有食品組成物
US20130171326A1 (en) Low sodium salt substitute compositions
JP2002281932A (ja) 調味料組成物及び該調味料組成物を用いてなる食品の製造方法
JP3906099B2 (ja) 調味料
JP2001245644A (ja) 加工食品の日持ち向上方法
JP4478065B2 (ja) 食品の塩なれ方法
JP2002315552A (ja) 食品の変質防止マグネシウム強化剤及び食品の変質防止マグネシウム強化法
JP2002101845A (ja) 酸味成分由来の酸味、刺激臭の改善方法及び酸味成分含有組成物
JPWO2018143214A1 (ja) 有機酸類含有ソース
JPH09248148A (ja) 茹麺用保存剤及び茹麺の製造方法
TWI836020B (zh) 含有高濃度乙酸鈉之釀造醋
JP2013078284A (ja) 塩味増強剤による塩味増強法及び食塩含有飲食品の減塩方法
JP7350513B2 (ja) 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法
JP2002010768A (ja) 食品の製造方法
JPH0541969A (ja) 食品用保存剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220531